「気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会」(第8回)議事要旨

1.開催日時及び場所
日時: 令和5年11月16日(木曜日)13時00分~15時00分

場所: 中央合同庁舎5号館22階第1会議室 及び オンライン

2.出席者
民間企業(敬称略・五十音順)

大金 義明 東京海上ホールディングス株式会社 リスク管理部 グローバルリスク管理グループ マネージャー
小川 明子 第一生命保険株式会社 責任投資推進部 スチュワードシップ推進室 マネージャー
古賀 喜郎 東急不動産ホールディングス株式会社 グループサステナビリティ推進部 企画推進室 室長
斉藤 圭  日清食品ホールディングス株式会社 経営企画部 次長
中井 義雄 農林中央金庫 統合リスク管理部 部長代理
七星 正史 株式会社京葉銀行 リスク管理部 リスク管理グループリーダー
三木 誠  株式会社日本取引所グループ サステナビリティ推進本部 事務局長

三村 玲緒 株式会社常陽銀行 リスク統括部 信用リスク管理室 調査役(代理:沼田 祐治 リスク統括部 リスク管理統括グループ 調査役)
宮下 裕美 株式会社みずほフィナンシャルグループ リスク統括部 サステナビリティリスク管理室 室長補佐
関係省庁等
金融庁
文部科学省
農林水産省
経済産業省
国土交通省
環境省
土木研究所
国立環境研究所
日本銀行

3.議事
発表に対する質疑応答やコメントは以下のとおり。

  • 気候変動による物理的リスクを開示している企業のなかでも、食品や農業関係など物理的リスクの影響が大きいセクターの企業は事業戦略にまで踏み込むなど、詳細な開示を行っている印象がある。
  • 農作物の収量変化による財務影響分析において、農作物の将来価格は、将来の需給バランスを予測し算出するケースがある。ただ、2030 年や2050 年の需給バランスを考える際には代替品が出ている可能性もあり、なかなか予測が難しいのは事実である。また国別のデータが無い場合もある。
  • 風水災による不動産へのリスクを評価する際に、物件の階数を考慮することは可能。ただ、まとまった件数になってくるとかなりの作業量となってくることが課題。
  • 気候変動による物理的リスク分析の際に活用するデータについて、企業からは公開情報が多すぎて、理解できないという声が増えてきている。情報を選別して分かりやすく情報提供していく必要がある。
  • 労働生産性低下による財務影響評価については、WBGT や売上高などを用いて影響額を算出している。
  • 水害による財務影響評価について、操業停止による年間の売上額への影響と資産(建物、設備、在庫)への影響を算出している場合が多い。また、復旧コストを考慮しているケースもある。算出した金額はサステナブルレポートや自社のホームページを通じて開示されているケースが多く、会計と結びつけて損益計算書や貸借対照表に反映させているケースはないと思われるが、引当金として積み立てている企業はある。
  • 金融機関における融資先企業のTCFD 開示の分析に関し、物理的リスクよりも移行リスクの方が優先順位は高い。移行計画とその進展について注視している。また、物理的リスクについても、影響額だけではなく算定のプロセスも重要である。
  • TCFD とTNFD について、将来的には1つのレポートで開示されることになっていくことが考えられる。また、両者の分析に関し、物理的リスクによって生態系へ影響を及ぼすものと考えられるため、TCFD における水資源リスクの分析結果などはTNFD にも活用できるものと考えられる。生態系に関するデータが温度帯にリンクしていないなど、データの課題は存在する。
  • 物理的リスクの定量評価をどこまで突き詰めるべきかという点について、経営戦略への活用という観点で言えば、おおまかに把握できればよいという考えもあるが、企業によっては数値化しなくては話が進まないケースもあり、各企業の文化の違いも影響しうる。数値の開示を目的とすべきはなく、開示したリスクに対して対策を講じ、事業の持続可能性を高めることが重要である。定量評価があいまいだと、対策もあいまいになってしまうため、対策を検討するにあたり、一定の定量化は必要と考えられる。
―― 了 ――
お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総合政策局総合政策課サステナブルファイナンス推進室(内線 2920、2893)

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