「気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会」(第9回)議事要旨

1.開催日時及び場所
日時: 令和6年2月7日(水曜日)15時00分~17時00分

場所: 文部科学省5F4会議室 及び オンライン

2.出席者
民間企業(敬称略・五十音順)

大金 義明 東京海上ホールディングス株式会社 リスク管理部 グローバルリスク管理グループ マネージャー
小川 明子 第一生命保険株式会社 責任投資推進部 スチュワードシップ推進室 マネージャー
松本 恵  東急不動産ホールディングス株式会社 グループサステナビリティ推進部 部長
斉藤 圭  日清食品ホールディングス株式会社 経営企画部 次長
中井 義雄 農林中央金庫 統合リスク管理部 部長代理
七星 正史 株式会社京葉銀行 リスク管理部 リスク管理グループリーダー
三木 誠  株式会社日本取引所グループ サステナビリティ推進本部 事務局長

三村 玲緒 株式会社常陽銀行 リスク統括部 信用リスク管理室 調査役
宮下 裕美 株式会社みずほフィナンシャルグループ リスク統括部 サステナビリティリスク管理室 室長補佐
関係省庁等
金融庁
文部科学省
農林水産省
経済産業省
国土交通省
環境省
土木研究所
国立環境研究所
日本銀行

3.議事
発表に対する質疑応答やコメントは以下のとおり。

  • 国土交通省と連携された球磨川の氾濫事例について、湾岸にある建物は高潮や浸水リスクがありBCPに関心がある。単なる気象データではなく過去の気象の影響で起きた災害の事例集のようなものがあると良い。国土交通省にもガイダンス等との紐づけがされると説得力のあるものになる。
  • 過去の気象の影響で起きた災害の事例集に対する要望はよく聞こえてくるが、多岐にわたる専門家の協力が必要である。また、河川整備等においては過去事例だけではなく将来予測から計画を策定する動きもある。過去の事例を参照して将来を予測する素地はできてきており、成功事例と作っていくことと企業ニーズとのギャップを埋めていくことが重要である。
  • 気象と生物多様性関連のデータが一緒になったものがあると参考にしたい。
  • 生物多様性関連データは少ないデータから必要なデータを如何に抽出するかというところに専門家の知見が必要である。一方、気候データは膨大なデータの中から必要なデータを探し出す点で専門家の知見が必要である。
  • 例えば工場の先の農園までトレーサビリティを取れないと高解像度のモデルをフルに活用できない。
  • 東南アジアでは、現地の状況に合わせた気候変動予測データのダウンスケーリングに関する共同研究が進められている。
  • TCFDに取り組んでいるが、数十年先の将来予測をするため、外部開示をする際に、1、2年後に実現する自社のコアの戦略をしっかり伝えられているか、社内での事業の実施に役立つ分析ができているのかという点について課題があると感じている。
  • 将来の気候予測より1年2年先の気象を予測する方が難しく、直近の気候変動予測については、研究開発段階と理解している。一方、リスクを評価する観点からは、現在気候の中の極端な事例についてきちんと評価するという手段を採れるのではないか。
  • 気候変動が健康に与える影響について知見があれば共有いただきたい。
  • 気候変動による健康への影響については、IPCC AR6の執筆者として日本の研究者も参加したが、防災等の他分野と比べると、今後研究が進められていく分野だと思う。
  • シナリオと言っても階層によって定義が異なる。ベースラインのシナリオがバラバラだと結果の比較が不可能になるため、SSPでベースラインのシナリオを共通化していることは理解できる。しかし、5つしかないSSPのシナリオには、極端な事象を含むシナリオもあるため、経済への影響分析の際はSSP2を基に作っているシナリオが大部分であると考える。SSP2を基にTCFDシナリオ分析をすると合理的な水準の影響を見積もることができる。これに加えて、ユーザニーズを踏まえ、社会経済への影響だけ取り出して分布のすそ野の部分の影響を追加するシナリオを作ることはできないか。
  • 漁業の世界での適応は重要で地域ごとに冷凍、加工業も関連していることから地域経済も構造変化していく必要がある。今後獲れる魚種の予測も設備投資の観点から重要だと考える。品種改良を活かした適応策推進やAIを駆使して漁業全体の効率化も求められていく。
  • 企業からも共通のシナリオが欲しいという声があることからもSSPも共通の将来像を作り上げていく中で企業との連携も考えられる。他方、「シナリオ」は色々な意味で使われており、エンドユーザにとってはSSP、気候変動、地域性を含めた包括的なインプットを求めていると認識している。どの分野に対してどういう情報を提供するのかによって変わってくるので、影響評価の専門家の参画も不可欠であり、SSPを検討するための大きな枠組みが必要だと考える。
  • ユーザが本当に使いやすいデータを創出するという観点では、研究開発の段階からユーザが参画をし、研修者とともに研究を進めていく必要があるのではないか。
―― 了 ――
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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総合政策局総合政策課サステナブルファイナンス推進室(内線 2920、2893)

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