「金融所得課税の一体化に関する研究会」(第1回):    議事要旨

  • 1.日時:令和3年5月10日(月)14時00分~15時00分

  • 2.場所:オンライン開催

  • 3.議事内容:

金融所得課税の一体化に関する過去の経緯や今後の課題等について、事務局より説明。その後、参加者において、金融所得課税の一体化の方向性や、その方向性を踏まえた取り組むべき課題等について、意見交換を行った。
 主な発言は、以下のとおり。

(総論)

  • ○ 公平性・中立性・簡素性という税負担の三原則や、投資の促進を通じたリスクマネーの円滑な供給・経済の底上げの実現といった観点での議論は重要。ただし、租税回避防止策の実効性及び個人投資家にとっての有用性と課題についてはしっかりと議論すべき。

  • ○ ポートフォリオでリスク、リターンが異なる投資対象の組入れが増えれば分散投資効果が高まる。

  • ○ リスクを取って得た所得が、リスクを取らないで得た所得より課税されることは、租税の中立性から適切ではない。

  • ○ 執行性を担保する観点から、個人番号を提出している者に限って、損益通算を認めてはどうか。

  • ○ 個人投資家の利便性向上の観点から、特定口座で処理していくことができるのか議論が必要ではないか。

(損益通算の範囲について)

  • ○ 価格の透明性等が担保されているかという観点から、市場デリバティブについて、期末で時価評価するルールの下に損益通算の中に組み入れていくことがよいのではないか。

(租税回避防止について)

  • ○ 時価評価課税の導入にあたっては、有効性と課題を丁寧に議論すべき。

  • ○ 時価評価については、対象者全員に強制的に課すべき。一方、含み益に課税されることで、キャッシュフローがないところに課税が生じる可能性がある。

  • ○ 租税回避行為は、課税の時点を課税される側が選択できることが基本的にはよくない。例えば、デリバティブのポジションについて期末に時価評価をして、そこで損益が生じたものとして通算するというルールがよいのではないか。

  • ○ 所得税の本質に係る理論の部分と、実際に執行できるのかという問題を分けて議論すべき。執行面において、投資家の申告等に要する負担や、税務当局における行政運営コストは、重要な考慮要素である。

  • ○ キャッシュフローがないところに課税が生じるという問題をどのように考えるか。

  • ○ 納税者である個人投資家に、含み益等の概念をどのように理解してもらうのか、検討する必要。


  ―― 了 ――
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