評定制度研究会(第10回)議事要旨

1.日時

平成17年4月20日(水)13時30分~15時30分

2.場所

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.議題

  • 法令等遵守態勢における着眼点

  • 自己資本管理

  • 資産管理

  • 中小企業融資

4.議事内容

  • 新しく委員となった、福沢委員の紹介があった。

  • 事務局より、法令等遵守態勢における着眼点、自己資本管理、資産管理、中小企業融資についての説明があった。

【自由討議での主な意見等】

(自己資本管理について)

  • 8%、4%を超えていれば合格であり、「B」以上である。「A」となるには1段上の水準を求めるという、ベスト・プラクティスの考え方もあるのではないか。仮に、その水準に達していなくとも、統合リスク管理により、十分な自己資本を確保していることを金融機関が立証できれば、「A」となってもいいのではないか。いずれにせよ、自己資本の水準については、一つの目安に過ぎず、金融機関の経営改善に向けたインセンティブが働くようなメカニズムを埋め込むことが必要ではないか。

  • 自己資本の水準・質については、現行の金融検査マニュアルにおける検証項目とはなっておらず、今回、新たに評定の基準とした場合、金融機関の行動に制約をもたらさないか。

  • 検査周期等に反映させることにより、金融機関にインセンティブを与えるとの観点からみると、自己資本に関しては管理態勢のみならず、水準と質も評定要素にするべきではないか。

  • 自己資本比率の水準・質については、基準を設けて評価する必要があると考えられるが、乖離率の幅の大小については、金融機関の自己資本管理の巧拙を必ずしも表すものではないのではないか。

  • 金融機関の健全性を測るものとして、自己資本比率の水準・質に関する基準を設けることはやむを得ないのではないか。

  • 自己資本比率の水準については、総資産分類率や不良債権比率とは異なり、金融機関の健全性を測る指標として一般的に認知されているものであるため、検査後の自己資本比率を評定の基準とするべきではないか。

  • 「A」評価する基準を、早期是正措置基準にない水準とした場合、その基準自体がデファクトスタンダードとなる懸念がある。

  • 現状、国内基準と国際基準があり、また、バーゼル II 導入後は計測手法にも様々なバリエーションが生じるなかで、一律の基準を以って評価することには疑問である。

  • 管理態勢を重視した評定制度を整備するということであれば、早期是正措置基準にない水準を設けて評価することに違和感を覚える。

  • 国内基準行の場合、実態として、自己資本がほとんどTier1だけで構成されており、Tier2を見るのは国際基準行に限ってもいいのではないか。

  • Tier2を有効的に活用するということも勘案すべきであり、Tier1比率の高低のみを以って自己資本の質を測ることには違和感がある。

  • 自己資本の質については、Tier2の算入規制が存在し、また、検査においても繰延税金資産の回収可能性について検証していることを踏まえると、改めて質を評定要素とする必要はないのではないか。

  • Tier2を損失バッファーとして見た場合、Tier1より劣ることは否めず、Tier1を高めることは必要である。従って、Tier1比率を評定要素とすることには意義がある。ただ資本調達手段(商品性)の違いまでも評定要素することは、日々、新たな金融商品が現出している環境を踏まえると実務的に困難か。

  • 資本の質について、既に算入制限が課されており、その制限内に収まっているTier2に対して更にその内容を問うことは慎重に考えるべきではないか。

  • 乖離率の発生要因を勘案した評定は行うべき。

  • 自己資本比率の乖離率の発生要因は、そのほとんどが償却・引当額の乖離から生じていることを踏まえると、「資産管理」における評価と重複した評価となるのではないか。

  • 乖離率は結果であり、自己資本の算定の正確性を以って評価することは、管理態勢を重視した評定制度の趣旨にそぐわないのではないか。

  • 自己資本比率は、預金者等にディスクローズされている指標の中で最も重要な指標であり、その正確性が保たれているか否かを検証することは重要。従って、乖離率は、自己資本の管理態勢の整備状況を表す端的な指標ではないか。

  • オペレーショナルリスクが新たに加わるバーゼル II の導入を展望した場合、「自己資本管理」は、信用リスクの1項目とはせずに独立の項目とするべきではないか。

  • 現行の自己資本比率規制において、自己資本に大きな影響を与えるのは信用リスクであり、金融検査マニュアルもそういう構成になっているので、あながちおかしくはないのではないか。

(資産管理について)

  • 総資産分類率等の乖離率を評定要素とすることについては、健全な金融機関の場合、分類額が少し増加しただけで乖離率が大きくなるなど、検査前の数値の水準に大きく左右されることから、不適切ではないか。

  • 「資産管理」の評定における乖離率については、開示されるものでもなく、自己資本比率の乖離率に比し、評価の目安としての有効性が劣ることから、「資産管理」の評定においては、管理態勢面に対する定性評価のウェイトが高くなるのではないか。

  • プロセスチェックの帰結として、増加率を評定要素することにはそれなりの意義があると思われるが、その発生要因を勘案することなく、数値のみを以って機械的に評定することがないよう、プロセス重視の評定とすべきではないか。

  • 総資産分類率の増加率を評定要素した場合、「 II 分類」と「 III ・ IV 分類」とは、償却・引当に及ぼす影響の違いから、その性格が異なるので、分類総額の増減を以って評定要素することには疑問を感じる。

(中小企業融資について)

  • 協同組織金融機関にとって中小企業融資は、信用リスク管理そのものである。評定項目として「信用リスク管理態勢」と「中小企業融資」を分ける意義自体に違和感がある。

  • 中小企業融資に対する評価は、金融検査において検証するべきものではなく、監督局におけるモニタリングで対応すべき性格のものではないか。

  • 中小企業融資の概念が曖昧な中で、計画の数値目標やその達成状況を評価するのは難しいのではないか。

  • 中小金融機関を評定するに当たって「中小企業融資」の項目は重要である。地域に対する貢献度を何らかのかたちで評価するためにも本項目を評定制度に織り込むべきではないか。

  • 業態やビジネスモデルによっても捉え方が異なるような概念のあいまいな「中小企業融資」という事項は、評価に透明性が求められる評定制度の項目として馴染むのか、疑問である。評定項目とするのであれば概念を明確にし、透明性を確保する必要がある。

  • 中小企業融資は、各金融機関が採用するビジネスモデルに大きく関わる事項であり、監督局でのモニタリングの対象とはなり得ても、金融検査において検証すべき事項でないのではないか。

お問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
検査局総務課 瀬戸口(内線2575)
横山(内線2576)
木村(内線2517)
本議事要旨は、暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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