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保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム(第4回)議事要旨
1.日時:
平成17年5月11日(水)16時30分~18時30分
2.場所:
中央合同庁舎第4号館 金融庁特別C会議室
3.議題:
募集時における説明等のあり方について
4.議事内容
○第一生命経済研究所高崎主任研究員より、「英米における生命保険募集時の情報提供規制の動向」について、説明が行われた。
○事務局より、これまでの議論を踏まえて作成した「論点整理案(1)」について、説明を行った。
(論点整理案(1)に挙げられた主な論点)
- 説明が必要とされる重要事項とは何か
- 説明を行うべき時期
- 説明を行う方法
- 募集形態に応じた説明方法
- 説明を行う程度
- 重要事項の記載方法
○上記説明に対して自由討議が行われた。主な内容は以下のとおり。
(全般)
▼同じ保険商品といっても、貯蓄性の保険商品と保障性の保険商品では、契約の性質が基本的に異なるため、重要事項の例示、説明すべき時期、説明方法等について分けて考える必要があるのではないか。
(説明を行うべき時期)
▼生命保険はニーズの潜在性等の特性から、消費者に対して保障設計書を作成・説明したとしても、そのうち契約まで至るものはわずかしかないのが実態である。このような実態からすると、保障設計書を提示した段階で重要事項を説明しても、消費者はその内容を理解するまでの準備ができていないのではないか。消費者が聞く姿勢に入ってくる、申込書を提示する段階で重要事項を説明すれば足りるのではないか。
▼商品の複雑性と説明書面の複雑さから、消費者が募集人の説明する内容を理解できないことが、説明したもののうち契約まで至るものがわずかしかないという実態に拍車をかけているのではないか。どの段階で、どの情報を提供していくかを上手く整理できれば、このような実態がある程度解決できるのではないか。
(口頭説明の要否)
▼口頭説明を義務付けると、保険会社に非常に過大な募集コストがかかるおそれがあるし、また、顧客が説明を聞くつもりがない場合、募集人に事実上の不可能を強いることになるのではないか。
▼ある程度の口頭説明が必要であるとしても、書面に記載されている内容等を忠実に読み上げるというような方法にしなければ、却って消費者に誤解を与える情報が提供されるおそれが高まらないか。
▼現在の重要事項説明書を単純に読み上げなければならないとすると、30分から40分程度かかることになる。やはり書面の内容を単純に読み上げるのではなく、重要事項説明書のこの部分が重要である等と注意喚起し、消費者の質問の機会を確保することの方が実効的ではないか。
(募集形態に応じた説明方法)
▼電話などによる通信販売で保険に加入する消費者の中には、対面募集で入りたくない(募集人等と話をしたくない)ため非対面である通信販売で保険加入したという人が非常に多い。このような非対面募集の実態にも留意した上で、説明方法等について検討を行うべきではないか。
(説明書面への記載方法)
▼保障設計書というのは、各社の商品が多様化する中でその特性に応じた創意工夫をしながら、消費者の理解向上を図るために作成してきたものである。これについては提供すべき情報が記載されていればよく、これを定型化するといったこと等は保険会社の事業活動を不当に制限するおそれがあるのではないか。
▼消費者向けのものについては、家庭用品品質表示法など、表示すべき事項や順番等を法令等において定めていることが多い。保険においても同様に、ある程度の定型化した上で、各社が創意工夫すればよいのではないか。例えば、先般改正された金融先物取引法の施行規則における「契約締結前に配布する書面において、一定の事項については、わくの中に、かつ、最初に記載しなければならない」といったようなルールがあってもよいのではないか。
(ルールの実効性の確保)
▼情報提供ルールを整備したとして、監督当局が各社の募集文書等を一つ一つチェックすることまでは事実上不可能と思えるため、如何にルールの実効性を確保するかということについても検討する必要があるのではないか。
▼各社が苦情相談窓口をきちんと整備し、その窓口に寄せられた情報をもとにチェックしていくことも、ルールの実効性を確保するために不可欠ではないか。
▼英国におけるオンブズマン制度のような、紛争処理機関によるチェックなども考えていく必要があるのではないか。
(バイヤーズガイド)
▼米国のニューヨーク州では、全米保険監督官協会(NAIC)が作成した、生命保険に加入する際に留意すべき事項をまとめた書面(「生命保険バイヤーズガイド」)を、保険会社・募集人が購入し、契約者に交付することを義務付けている。日本においても、このような書面の交付を義務付けるとすれば、保険会社・代理店等に過大なコスト負担を強いることになるのではないか。むしろ、NAICの生命保険バイヤーズガイドのようなことは、書面交付義務など情報提供の中で議論するのではなく、消費者教育の中で考えるべきではないか。
▼保険会社が作成した説明書類は、いいところだけが強調されている感じがするため、なかなか商品の全体像が掴みにくい。消費者は、保険会社から提供される説明書類や約款を読みこなすツールを持っていないため、NAICが作成した生命保険バイヤーズガイドのようなものを是非具体化していただきたい。
(その他)
▼損害保険の場合、今すぐ自動車に乗りたいので自動車保険に入りたいとか、今すぐ海外旅行に行くので海外旅行傷害保険に入りたいということが日常茶飯事である。このような実態からすると、契約締結までにあまり義務を課しすぎると、却って顧客のニーズに応えられないことになりかねないことにも留意して欲しい。
以上
【内容についての照会先】
金融庁 電話:03-3506-6000(代表)
監督局保険課 山本 (内線3769)
長岡 (内線3336)
本議事要旨は、暫定版であるため、今後修正があり得ます。