保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム(第12回)議事要旨

1.日時:

平成17年10月18日(木)18時00分~20時00分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館2階 共用第3特別会議室

3.議題:

保険契約における適合性原則の遵守について

4.議事内容

  • ニッセイ基礎研究所青山主任研究員より、「英国における保険販売と適合性原則」について、説明が行われた。

  • ニッセイ基礎研究所土浪主任研究員より、「米国の生命保険販売と適合性規制」について、説明が行われた。

  • 木下委員より、「保険取引における適合性原則の考え方」について、説明が行われた。

  • 上記説明に対して自由討議が行われた。主な内容は以下のとおり。

    • 適合性原則を抽象的に議論するだけでなく、その原則から導かれるべき個別の行為ルールの内容やその是非について検討する必要があるのではないか。その際には、諸外国の状況、例えば保険契約における適合性原則は顧客ニーズへの適合を重視するものであるという前提で、顧客を知る義務や適合性レターの交付義務が課せられていること等を参考とすべきではないか。

    • 顧客との関係でいえば、通常一般的なケースを想定して提案を行い、そこで得られた情報をもとに再度提案を行うといった場合が多く、募集人の行う顧客への情報提供や助言といった行為を明確に区別することは困難ではないか。

    • 情報提供をすれば後は顧客の自己責任に委ねられるということであれば情報提供の次元の問題にとどまることとなる。しかしながら、それを超えて顧客のニーズを誘導していくなど顧客の実質的な判断に影響を与えるものは助言といえる。情報提供と助言の中間に位置するものについて、いずれに該当するかその解釈が難しい場面もあろうが、各行為の性質等を勘案しつつ情報提供や助言の枠組みを具体化していく等合理的な対応をなしていくべきではないか。

    • 募集人が顧客に助言を行う場合、契約上の定めがなくても、募集人が顧客に対して行う勧誘の状況等から、その外形上、黙示の助言契約が認められる場合があるのではないか。

    • 例えば、複数の保険商品や他の金融商品と比較して勧誘する場合、ひとつの保険商品でも複数の契約のタイプがある場合など、実際に類型化することが難しい部分もあるが、その状況から顧客が募集人を信頼しても仕方ないような勧誘が行われる場合は黙示の助言契約が認められると考えられるのではないか。

    • 最近の顧客は、募集人から一方的に情報提供を受けて購入するだけでなく、例えば、来店型の店舗や通信販売などに見られるように、自ら積極的にアプローチをする場合も多くなっている。また、顧客の側でも、保険会社や募集人を選択することは可能であって、気に入らなければ拒否することも出来る。顧客が受動的であるということを前提とした検討は適当ではないのではないか。

    • 顧客が受動的に保険商品を購入する局面において問題がおこっている場合が多く、そのような問題を解決するためのルール作りが必要ではないか。

    • 募集人が自己に都合のよい保険商品の提案を行った場合、顧客の商品選択の幅が制限されたり、そのニーズが歪められてしまう可能性がある。そのため、募集人の行う情報提供や助言といった行為には公正性が求められるのではないか。特に契約を転換する場合には、顧客が従前の保障水準を失うなどのリスクがあることから、既契約と新契約の保障内容の比較だけでなく、それに伴う費用と便益についても分析した結果を示す必要があるのではないか。

    • 保険契約の転換は、既契約を下取りして新契約を別に結ぶため、そこには顧客の主観や優先度が関係してくる。そのため、保障内容の比較だけでなく、その費用や便益についてまで比較しないと転換できないというのは困難ではないか。

    • 契約の転換には従前の保障水準が維持されない等のリスクがあるからこそ、既契約を継続した場合にはどうなるのか、転換した場合はどれだけの費用がかかるのか、保障内容が変更になるのか、といった事項が明らかになって初めて、転換するかどうか顧客の判断が可能となるのではないか。

    • 勧誘時の公正性の確保のために、例えば、募集形態や取り扱う保険商品の範囲など募集人がどのような立場で保険商品をすすめているのかを明示したり、募集人の手数料の開示や顧客への推奨理由を記載した文書を交付させるなどの措置が考えられないか。

    • 募集人が保険商品の推奨理由を記載した書面を顧客に交付することとしたとしても、判でおしたような文面が並ぶだけといった事態になると、あまり実効性のないルールになってしまうのではないか。

    • そのような書面が交付されることによって、顧客にとっては推奨された保険商品が自分のニーズに合っているのかを確認する機会が確保されるとともに、保険会社や募集人の責任を明確化する上でも一定の効果があるのではないか。

以上

【内容についての照会先】

金融庁 電話:03-3506-6000(代表)
監督局保険課  錦野 (内線3740)
小畠 (内線3336)
本議事要旨は、暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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