貸金業制度等に関する懇談会(第15回)議事要旨

1.日時:

平成18年4月7日(金)15時30分~17時52分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館 11階 共用第一特別会議室

3.議題:

  • リボルビングについて
    • 飯島巖  (株)オリエントコーポレーション代表取締役会長
    • 木下盛好  アコム(株)代表取締役社長
  • 懇談会におけるこれまでの議論(座長としてのとりあえずの整理)
  • 討論

4.議事内容:

(株)オリエントコーポレーション飯島会長から資料15-5に基づき報告

信販会社のキャッシング・リボルビングの返済方法には、元利定額残高スライド方式とミニマムペイメント方式という2種類がある。元利定額残高スライド方式は、利用残高の金額に応じて月々の返済額が変わり、当方ではキャッシングリボの約98%がこの方法になっている。

ミニマムペイメント方式は、月々の最小の返済額のことであり、残高にスライドして返済額が変わる返済方法。当社では取扱いが約2%程度。3年ほど前に返済方法に種類を増やすべく新しく導入した返済方式。いずれも月々の返済額は元本と利息に充当される(資料1ページ)。

元利定額残高スライド方式の特長について(2ページ)。毎月決まった日(当社では27日)に、口座振替を利用して返済していただいている。利用の都度、ご利用代金明細書を発行(3ページ資料1-マル1)。支払い日平成18年1月27日、当月の請求額3万円。下に返済方法の内訳があり、リボルビング払いのキャッシング3万円となっている。ご利用明細という欄に17年12月5日に2万円を利用し利率27.600%と書かれている。リボルビング払いのご請求の明細という欄があり(4ページ資料1-マル2)、前月までの残高45万2,853円に加え2万円の利用があり、残高合計47万2,853円に対し、当月の返済額3万円の内訳は、元金の請求額が1万8,584円、残高に伴う利息が1万1,416円。この3万円の引き落とし後は残高が45万4,269円となる。この支払い予定額の明細がその下にあり、毎月3万円ずつ返済をいただくと18年9月27日には残高が28万4,401円。残高が30万円以下になると返済額が毎月2万円となる。さらに19年4月27日の前月の残高が19万8,625円で20万を割ったところで、その後の返済が1万円ずつになり、21年6月29日の8,705円をもって残高が全て返済される。

元利定額残高スライド方式の返済イメージを資料2で理解していただきたい。利用残高に対応する最低支払率は資料2ページのとおりであり、貸付けの利率は15.0~27.6%あるいは15.0~18.0%。例えばゴールドカードのような、優良の顧客には15%程度の金利を適用している。また翌月の返済額を予め増額変更できる特長があり、顧客から電話やインターネットによって翌月の返済を増額したいという連絡を受けると、その都度ご利用代金明細書を改めて発行している。特定の個別利用群を指定して繰上げ返済ができ、顧客からの指定があると、変更の都度ご利用代金明細書を発行し繰り上げ返済を受けている。

6ページ資料3に当方の融資商品の種類とリボの有無、貸付けの金額・利率を掲載している。その次にミニマムペイメント方式の特長を参考までに付けた。基本的には元利定額残高スライド方式と同じだが、月額の返済額がミニマムになっている。

アコム(株)木下社長から資料15-6に基づき報告

リボルビング契約、自主規制の内容、年収と契約額の考え方について説明する。

例えば50万円の限度額で30万円の利用があっても、余裕額があるので借入れが可能である状況をリボルビング方式という。大手各社の返済方式は、最小返済額以上の金額の自由な返済を認めている点が共通している。

返済額を定める残高ベースは貸付後または返済後の残高で決まり、返済額の指定を元利合計で定める、または元金を指定するという違いがある。当社は、貸付後の残高により元利合計の返済額を設定する方式を採用している。

当社は返済額を貸付後の残高に応じて定めているが現在は貸付後残高の3%。前回質問のあった大手7社による自主規制の取組みの中のリボルビングにおける計画的な返済の促進について説明する。

この取組みは契約で定める返済額の水準を引き上げ、約定の期日に約定の最小返済額だけを支払い続けた場合でも、5年以内に完済できるように変更するもの。上限金利27.375%で契約した場合、現状は各回の返済金額は借入時残高の3%相当額となり、約定どおり35日ごとに返済した場合、最長で81回・7年9ヶ月、毎月30日サイクルで返済した場合でも64回・5年4ヶ月かかる。この最小返済額を借入残高の4%にすることで、約定の35日ごとに返済しても42回・4年1ヶ月、毎月返済の場合で38回・3年2ヶ月にすることができる。また同様に、契約金利が23.36~20%の場合は返済額を2.5%~3.5%に、19%~15%の場合は2~3%に引き上げることで、最も長期間となるケースでも5年以内に全額返済できるようにする。外資を含め大手7社は返済方式の違いがあっても、返済期間を5年以内にすることに合意して、今回発表した。

ATMの明細書について、議論のポイントの1つである貸金業規制法43条1項の要件である17条書面、18条書面に該当するものは取引ごとに内容を表示して交付している。例えば5万円を平成18年4月6日に追加で借り入れた場合、返済金額は残高の3%であるので返済回数が78回、最終返済日は平成25年8月22日。35日サイクルで約定返済額は9千円以上をお願いするという表示をして顧客に交付をしている。

最後に前回質問のあった年収と契約金額の関係について説明する。例えば、当社では50万円超の貸付契約に際しては、営業部門の判断でなく審査部門の認可を必要とし、認可された額の範囲内で契約を締結している。また営業部門が審査部門に認可申請する際は、原則として事前に顧客から申し出のあった金額の範囲で申請している。年齢、家族構成、勤務年数、他社の借入件数、金額や属性等に基づく債権分類、その他の審査項目に加えて年収に関する幾つかの条件を審査して認可額を決定している。

その他の審査項目を全て満たしているとの前提で説明すると、年収から毎月の収入を計算し、その中から家賃又は住宅ローン、他社返済額、住宅費以外の家計支出を控除するなどして月々の返済余力を算出し、この返済余力に見合った上限額を設定している。

具体例を挙げると、月々の返済余力が2万円の場合、約定の返済額は2万円以下になる60万円が契約の上限額となる。更にこの返済余力に基づく上限基準に加えて、年収額そのものと年収額と他社借入額による2つのチェックを行った上で貸付認可額を決定している。具体的には返済余力がいくらあっても、年収額から100万円を引いた額の2分の1、年収額の2分の1から他社の借入額を引いた金額の2つを足切り基準として設定している。

営業部門はこの貸付認可額と改めて顧客に確認した希望額のうちの低い金額で極度額を決定し、契約を締結する。なお、返済余力を算出する家計支出は、総務省の家計調査データに当社の蓄積データを加えたデータベースを基に、年齢や家族世帯数等から個々に算出した値を使用している。また、住宅関係費用を別に把握しているのは家計の中で個人ごとに大きく違う点を考慮していることによる。当社の場合、年収で一律に決めているという訳ではなく支払い余裕額を基にして計算している。

資料15-1に基づき、事務局から説明

前回主な論点を紹介した資料14-1に沿って、これまで懇談会や個別にいただいた具体的な意見や指摘を当てはめている。意見があった・多かった・概ね一致したというのは座長と当方の主観であり、これらの認識の是非も踏まえてこの中間的な整理を充実させていただきたい。

(「0.はじめに」)

当懇談会の議論の目指すべきところは、多重債務者の発生や増大をいかに防止するかという観点が重要であるとの認識は共有されたと思われるし、個人や中小企業に対する金融仲介機能の健全な発展という観点が重要であるという意見もあった。

次に多重債務者の発生や増大を防止するための対応としては、貸金業者に対する規制が中心になる一方で、ややこの懇談会の守備範囲を超えるが円滑な債務整理のための司法手続などの基盤形成、社会保障との適切な役割分担、金銭教育・クレジットカウンセリングの普及、貸金業にかかる犯罪行為の取締り強化などをあわせた、関係者と連携した総合的な取組みが必要であることについても概ね一致したと思われる。

貸金業者に対する規制については、貸付けの量と金利と期間の問題や貸金業への参入規制、業者に対する行為規制、自主規制を含めたエンフォースメントのあり方など様々な要素が相互に密接に関連している。例えば利息制限法を超える高い金利で営業するがゆえに、特別なルールが必要になるといったこともあるので、全体としてあるべき規制を整理・構築していく必要があるという認識で概ね一致したと思われる。

業者に対する規制のあり方を考えるにあたっては、情報交渉力の面で個人と業者の間には格差があり、より重い注意義務を業者側に課すという形で弱い側を保護していくということを基本とすべきであるとの意見があった。

具体的な規制のあり方を巡っては、特に大手の消費者金融業者による積極的な広告、商工ローン業者による過度の勧誘、両者を通じて提携先を含めたATMやインターネットなどの利用を通じた過剰なアベイラビリティーの供与により需要が創出され、過剰な借入れが引き起こされているという指摘、それから本人の返済能力が十分でなくとも他社借入れあるいは親族等の立替え払いにより返済される例があり、信用リスクが他者に転嫁されているから価格メカニズムが正常に機能していないのではないか、といった指摘にも留意しつつ検討する必要があるとの意見があった。

「1.過剰貸付・多重債務の防止」

何故多重債務が生じているかについては、失業や疾病といったライフイベントによるものであるという意見もあったが、現実には、貸金業者による資金需要者の返済能力を超える過剰な貸付けや利息制限法を上回る金利の負担により、既にライフイベントに耐えられないような脆弱な経済状況になっているためであるとの意見が多かったと認識している。

この過剰な借入れについては、金銭教育やクレジットカウンセリングの充実の必要性を説く意見と、本質的には貸金業者による過剰な貸付行動の問題であるという意見があったと承知している。

マル1量的規制のあり方と実効性」

実効性という場合に、訓示規定であるから実効性がないのか、個々の業者に対するルールが十分でないのか、個々の業者のルールを超えて総量として捉えるべきだというのは、それぞれ若干次元の異なる問題である。

現在は返済能力を超える貸付けを禁じているが、違反に対する行政処分がないので実効性が担保されていないという指摘が多くあった。また、他社原則3社までという大手消費者金融業者の申合せには中小貸金業者が対象になっておらず、信販会社から既に借りている場合には借入先が5社、10社となるため、過剰貸付防止に役立っていないのではないかといった指摘があった。

返済能力を超える貸付けの禁止に違反した場合には、行政処分を可能にすべきという意見が多かったと承知しており、特に月毎の最低返済額が比較的少額であるリボルビング形式の貸付形態においては、最低返済額での返済を続けて長期化した返済期間に新たな借入れを重ねることにより多重債務に陥る例があることを踏まえ、最低返済額や最長返済期間に対する規制を設けるべきとの意見があった。

多重債務防止の観点からは、資金需要者の総債務残高に着目した規制が必要であるという意見もあったが、その実効性については疑問を呈する意見もあった。業者の側からは、新規貸付時や貸付期間中に信用情報センターを含む各種データベースを照会し、需要者の返済能力を確認するなど適正与信に努めており、貸付けの量的規制を一律に課すことは適切ではないとの意見があり、特に借り手が事業者の場合にはキャッシュフローの変動が消費者と比較して大きいため、現在の収入をベースにした量的規制はなじまないという意見もあった。

なお、多重債務に陥った債務者、消費者の債務を一本化する際にいわゆるおまとめローンで住宅を担保に取るという手法については、居宅を失うことがないように何らかの仕組みが必要ではないかという意見もあった。

マル2信用情報機関の活用と問題点」

総債務を確認するための手段が信用情報機関であって、一般論として信用情報機関の利用を促進する必要性については概ね一致していると思われる。特に全国信用情報センター連合会に中小零細業者の加盟を義務付けるべき、全件登録だけではなく全件照会を義務付ける必要がある、異なる業態の場合に、資格を満たしていれば差別的な取扱いは行われるべきではない、名寄せ・全件登録・リアルタイム更新といった要件を満たす限り、専業以外の業態の貸金業者についても全情連への加盟を推進すべきという各意見があった。

異なる業態の信用情報機関同士の情報交流については、個人情報の取扱いに関する懸念も示され、個人情報が適正に取り扱われるためには、情報機関そのものの業務の適正な運営を確保することが重要であるという指摘があった。

貸金業の登録と自主規制機関である貸金業協会と信用情報機関への加盟の整理が一つの課題で、イコールに近づけようとすれば貸金業者の登録のハードルを相当程度高くしなければ個人情報保護の観点から懸念があるということになると思う。

マル3リボルビング取引のあり方」

現行法はリボ契約そのものを明確に規定していないが、現実には消費者向けの大宗がリボになっており、法律上の位置付けを明確化するとともに借り手保護の観点からどのような書面交付要件や説明責任を課すべきかを検討する必要があるという意見があった。

リボ契約は、債務依存体質を深め債務額の増加を助長しているので、この契約の持つ過剰借入れのリスクと対策について入念な検討が必要であるとの意見があった。

業者側からは、リボ契約は顧客が借入れや返済を自らコントロールできる商品なので、新規契約等においてこの契約の特性についても明らかにするような説明をしている。従って、自らコントロールできない借り手をどう守っていくかということと、この契約の利便性をどう両立させていくかが課題。

マル4カウンセリングの活用と問題点、マル5広告・勧誘に対する規制のあり方」

カウンセリングについては、広告勧誘についてテレビのコマーシャルあるいはインターネットなどの新たな媒体で特に若い人達が影響を受けており、外国の規制やタバコの警告・広告の規制を参考にしながら、規制を強化することが必要であるとの意見があった。

勧誘に関しては、残高の維持、貸増しの要請、要請に基づかないリボの限度額引上げなど、一旦貸し出した後の業者側からの要請・勧誘が過剰な貸付けを招いているとして、規制が必要であるという意見があった。

「2.契約・取立て等にかかる行為規制 マル1取立規制」

悪質な訪問・電話、公正証書の安易な取得といった事例に対しては、業者も含めてこの懇談会の参加メンバーにとって規制が必要ということは多分異論はないのではないか。

マル2債務者や保証人に対する説明義務」

総論として説明義務の強化が必要という方向感の下、金額・金利・返済期間といったことを単品の説明確認だけではなくて、トータルの元利の返済計画、元利負担はどうなるかを顧客に対して事前に説明し確認を行う必要があるという意見があった。

二重金利が残っている間は、借主の支払い義務は利息制限法の上限金利までで、超過利息は任意に支払う、支払い義務がないことを承知の上で支払った場合に有効な弁済とみなされるということを記載させるべきであるという意見があった。

重要事項を見やすく開示の方法を明確にすべきという意見があった。

マル3その他」

生命保険の付保の禁止、あるいは付保するのであれば説明義務を課すべきとの意見、期限の利益の喪失というのは相当な期間を定めて催告することを条件とするという提案があった。

「3.参入規制・監督手法等 マル1参入規制のあり方」

ヤミ金融まがいの若い人達に対する警告的な意味合いもある貸金業務取扱主任者による試験資格制度を設けることにより、自主規制機関としての貸金業協会の機能も向上するだろうと思われる。行政による規制と、行政による規制の外縁をなす自主規制と、個々の業者によるコンプライアンス体制という3段階になっている中で、規制のあり方としては業者のコンプライアンス体制などが確立している場合に限り参入を認めた上で、違法行為を行わない体制を実際に作っているかどうかを監視する監督体制に、ある程度重点を移行させる必要があるという意見があった。

マル2自主規制機能の強化」

現行法で貸金業協会は借り手保護、苦情処理、貸し手への指導・研修、信用情報機関の利用による過剰貸付けの防止等の重要な役割を担っているが、加入率は極めて低く、加入のインセンティブを高めるとともに機能強化を図る必要があるということについては概ね意見の一致がみられたのではないか。

マル3監督ツールの充実」

現在の登録取消し、業務停止に加えて、業務改善命令を導入すべきであるという議論については、これまで異論はないと認識。都道府県のみに認められている保証会社に対する報告徴収権、立入検査権を国に対しても手当てすべきではないか、あるいは自主廃業による処分逃れといったものを封じるべきではないかといった意見があった。

マル4ヤミ金取締り等の対策」

ヤミ金融を警察が取り締まれるようなツールの強化、無登録業者に対する罰則の強化という意見があった。

「4.カウンセリング、その他 マル1事前予防型カウンセリングと債務整理型事後カウンセリングの強化」

多重債務に陥ってからではなく与信管理の一環として事前予防型のカウンセリングを行うことによってその後の展開が大きく違ってくるはずだという多くの意見や、借り入れる前、借り入れてから返済が困難になるまでの間の適切なタイミングでカウンセリングを提供するような仕組みが考えられないかという意見があった。債務整理型の事後のカウンセリングについては、法曹関係者による債務整理とカウンセラーによる家計指導の組み合わせが有効であるという意見があった。

マル2金銭教育」

お金を一定の金利で借りて収入の範囲内で返していくことの意味を、学校教育や更には社会人に対しても充実させるべきだということで一致していると思われる。

マル3自己破産手続等の活用」

自己破産については容易に免責されることが、過剰貸付けの防止に効果があるという意見と、借り手を業者が選別するようになるのではないかというモラルハザードの懸念に関する意見が両方あった。しかし、制度的には破産、免責の手続きが相当充実しているが、そういう道があることを多重債務者が必ずしも認識せず苦しみ続けていることがあると思われるので、カウンセリングや金銭教育に併せて広く周知して活用を促すことが求められるという点はあまり違和感がないのではないか。

マル4その他」

救済のための無利子又は低利融資といった公的支援制度について検討すべきであるという意見があった。

「5.金利規制のあり方、グレーゾーンの取扱い (1)考慮すべき論点 マル1需要者側のニーズと実態」

適正な金利水準について検討する際には借り手がその収入の中で無理なく返済できるかどうかが基本であり、現在の出資法金利は、低所得者や零細企業の損益分岐点を超えてしまっているという議論がある一方、企業にとってはビジネスチャンスを掴むために高い金利でも短期で借りたいニーズがあるとか、あるいは事業者の場合は自己資本や銀行借り入れと組み合わせてキャッシュフローを管理していることに留意する必要があるとの意見があった。

この延長線上で金利の取扱いとしては、情報力・交渉力の格差がないプロ向けのマーケットでは市場メカニズムに委ねても良いのではないかといった意見、その結果、事業者・法人向けについては消費者向けとは異なった取扱いをすべきとの意見があった。

事業者向貸付の保証人には純粋な消費者がなることが多く、実際に消費者たる保証人から回収するというケースが少なくないので、そのような場合には消費者向けと同じ規制が必要という意見もあった。

マル2供給者側への影響」

供給者側への影響というのは、そのような供給者から借りている借り手への影響ということであり、ヤミ金融への流出論というのも、一方で多重債務者がいてそのリストが漏洩してしまうが故にヤミ金融の犠牲になるという、これまで長らく議論されてきた割にはなかなか答えが出ていない現状認識の仕方ではないかと思われる。

大手業者は、銀行からの低利融資やノンバンク社債法に基づく低コストでの市場調達が可能であるのに中小貸金業者との貸出金利にさほど違いがなく、超過利潤が生じているのではないかという意見もあった。

マル3リボルビング取引とグレーゾーン金利」

リボについては、みなし弁済の要件になっている書面交付などについて明確化を図る必要があって、特に二重金利が残るのであればその点の検討が必要であるという意見があった。

当懇談会においては金利の規制が必要であるという見解で概ね一致したとさせていただいた。プロに関する議論も踏まえ、意見を再掲している。

「(3)グレーゾーンを存置する場合の選択肢」

当懇談会ではグレーゾーンを廃止すべきという意見が多かったが、廃止後の姿についてはコンセンサスが得られておらず、現状の二重金利を前提としての意見もあるので整理をした。

司法の判断を尊重し、多重債務を防止する観点からこの要件をより厳格かつ明確にすべきであるという意見があった。これに関して、グレーゾーン金利で貸すのであれば利息制限法内の利息と超過利息があって、超過利息については支払い義務がないということ、また弁済時にも2種類の利息があることのきちんとした説明義務を課すべきだという意見があった。

書面交付については、インターネット、ATM利用者の増加、リボルビング方式の普及といった状況に対応していないので電子化や記載の簡素化を行うべきであるという意見に対して、書面交付が将来の紛争を防止し、債務者を保護し、なおかつみなし弁済の要件になっているので、電子化や簡素化をすべきではないという意見が並立している。

「(4)グレーゾーンを廃止する場合の選択肢」

前回出資法金利を引下げ、利息制限法にあわせる方向感、逆に利息制限法を出資法金利にあわせるという方向感、中間的な金利に一本化する、という3つの選択肢を提示した。

出資法の上限金利は、借り手の返済能力という面や業者の調達コストという面からみても高すぎ、それが多重債務化の一因でもあるし、最近の司法判断というのもみなし弁済の要件を厳格に解釈していることからすると、この際引き下げる方向で検討することが適当であるという意見と、その下の限界的な信用リスクの高い借り手の資金ニーズに応える必要があり、こうした限界的な借り手がヤミ金融しか頼るものがなくなり、更には最近の判決が業者のビジネスモデルを不安定なものにしているので、この際利息制限法の上限金利を出資法の上限金利まで引き上げる方向で検討することが適当であるという意見が並立している。

現実の需給を考慮すると、少額短期であれば資金需要者の返済可能性と業者のコストからみてある程度高い金利も正当化されるのではないかという意見もあった。

他業態からも参入して、中には利息制限法の範囲で営業している業者もあるので、顧客が選択すればいいのではないかという意見があった。

それから利息制限法の金利の適用区分について、昭和29年から相当程度銀行の貸出金利が下がってきていることからすれば、再検討の必要があるのではないか、市場金利と連動させる仕組みも考えてはどうかという意見があった。

保証料についても主体が違うだけで金利、利息も保証料も借り手の信用リスクをシェアしていることからすれば、金利規制の潜脱にならないような対応が必要ではないかという意見があった。

日賦については、業者の方から制度が想定しているニーズがあるという説明があったが、初めから日賦から借りる人は少数ではないか、そもそも要件を充たさない違反が多発しているので本当に日賦という制度が想定している需要があるのか、疑問を呈する意見もあった。

討論

(意見)

現在、全情連だけでもある程度借入れ件数が把握できる状況だが、実際には過剰貸付状態になっているケースがある。信用情報機関を整備すれば過剰与信が無くなるか否かということの参考になろう。年収100万円未満でも大手消費者金融から借り入れができることを具体的事実として踏まえ、議論を進めていただきたい。

ヤミ金融から借りる人は自己破産者と多重債務者の主に二種類。セーフティーネットが無い中で相変わらず困難な経済状態が続くため、自己破産者がヤミ金融のターゲットになっている。ヤミ金融業者は、いわゆる名簿屋を通じて多重債務者や自己破産者の名簿を入手し、DMや電話による融資勧誘を行って貸している。

ヤミ金融に対するニーズは、生活費が必要だからというものではない。すでに抱えている負債の返済資金が必要な人達が、法的サービスを得られる相談窓口に行くことができればヤミ金融から借りる必要はない。そのような返済資金に窮している人の不健全なニーズまで保護する必要があるのか疑問で、資料15-1の中の「信用リスクの高い資金需要者」は極めて不明確であるので、明確にしてほしい。

金利を下げたからヤミ金融が増えたとよく言われるが、実際のニーズ等を踏まえると必ずしもヤミ金融が増えたことと金利を下げたことは一致しない。消費者向け業者数は2000年以降さほど減少しておらず、貸付残高も伸びている。ヤミ金融が一番発生する可能性があったのは、1983年の貸金業規制法制定時、大蔵省(当時)の指導もあり大きな信用収縮の結果、中小の貸金業者がバタバタと倒産した時期であるが、この時ヤミ金融は全く発生していない。上限金利引下げとヤミ金融の関係について異なる見方があることを明示していただきたい。

(意見)

信用情報機関の問題点として、どのような情報が登録されているのか分析が必要で、保管期間についてはもう少し長期化することを付け加えるべき。全情連加盟各社の業務内容がかなり不均衡な感じがするのでその分析とそれを無くす方向で検討してほしい。信用情報機関がうまく機能していない点については、実際に照会をすると1件につき100円ぐらいの手数料が掛かると聞いており、コストの分析も必要。一旦自己破産すると情報がどういう形で名簿屋に渡っているのか分析していただきたい。

上限金利を引き下げる場合は、今の借り手が相談を受けることができる場所の周知や、例えば低利で自治体が貸し出す方策など過渡期についての措置にまで目配りすると説得力があるのではないか。

低所得者層にとって29.2%の上限に張り付いた金利での借入れは非常に苦しいこと、実際の事業者の調達金利が低い水準にあることを、金利規制検討の前提条件とするべく明確に記載してほしい。

現行法がなぜ機能してこなかったのかの分析について、もう少し明確な頭出しが必要。

統一消費者信用法制を検討するという方向性は是非出していただきたい。

(意見)

信用情報機関について2点。

1つは、信用情報機関は非常に重要な働きをしており、特に過剰貸付け防止のために非常に重要だと思う。ブラック情報だけでなく、全てのホワイト情報を集めて適正な与信管理をすることが、過剰貸付け防止のために非常に重要だと思う。

アメリカの例だが、FRBの議長を長年勤めたグリーンスパン議長が、アメリカでは信用情報機関によって競争が非常に促進されて金利が下がり、消費者がよりクレジットにアクセスできるようになり、そして米国経済に非常に好影響を及ぼしたという証言を最近行っている。

一方日本では、登録業者のうち協会に入っている者が3分の1。さらにその5割、15%しか信用情報機会に加盟していないという状況で、正確な借り手の信用リスクを審査して過剰貸付けを防止するのはかなり困難だと思う。

2つめは、情報を悪用するということはあってはならないことで、アメリカには厳しい法律が存在して、情報機関の情報を悪用する場合には厳罰に処されることとなる。これは刑事罰で、日本で考えられるより非常に厳罰に対処される。特に最近はプライバシーに関しては非常に問題視されており、情報機関の健全な発展のためにはこれを悪用するということを根絶しなければならないと思う。

(事務局)

ヤミ金融と金利の問題については、定性的または定量的な説得力のある資料をお願いしたい。

そういう意味では、日弁連はいろいろ現場をみた上で今回の資料を提出していただいたし、以前懇談会で提出した国民生活センターの資料も大変意義深いので見ていただきたいと思う。国民生活センターの「多重債務問題の現状と対応に関する調査研究」には、ヤミ金融と金利は定性的にも定量的にも関連性がないと書かれている。

アメリカは自由金利だがヤミ金融は存在する。

この問題は重要で、ここで両論併記とすると今後の国民的議論にも影響を与えるので、業者の方の現場では定量・定性的な説得力のある資料があると思うので、「金利を下げればヤミ金融が増える」と言うのであれば、定性・定量的な数字を出していただきたい。

今のところでは関係がないという方向になるのではないかと思うが、その点についてもあわせて意見をお願いしたい。

(意見)

論点整理に、加えるというか考慮してほしい点について。

貸金業規制法には大きく分けて2つの問題がある。消費者保護が極めて不十分ということだが、これに関してはメンバーの方々が繰り返して発言されているとおりだと思う。

しかしもう1つ大変大事な点は、貸金業規制法が中小企業金融の健全な発展そしてそれに対する支援を阻害している側面があるということ。その理由は、貸金業規制法が資金需要者、実質消費者保護の前提に立っているため、資金需要者が法人・企業の場合は規制が合っていないという側面がある。

合っていない中身だが、1つは過剰な業務負担になっているという点。例えば17条、18条書面の交付についての行為規制だが、健全な貸し手が一部上場企業に融資する際、本当にこのような手続がいるか疑問で、過剰な業務負担を強いている。

2つめは金利規制が、エクイティファイナンス、資本投資に近い領域の商品開発の妨げになっているのではいかということ。前回の会合でも話があったが、ベンチャー投資とベンチャーへの資金供給については、通常ベンチャーキャピタルというかエクイティファイナンスで対応する。エクイティで出資する場合はハイリスク・ハイリターンだが、そういうものを支援するのがベンチャーキャピタルで、最近はそれに近いハイブリッド型のローンがたくさん開発されている。

妨げになっている一例としては、劣後ローンの類でありメザニンと呼ばれる収益連動金利特約付ローンが挙げられる。

考慮いただきたいポイントを結論的に言うと、貸金業規制法では資金需要者を切り分けて考えないとうまくいかない。論点整理の8ページに事業者を考慮する記述があるが、これは金利だけの問題ではなく全体の問題。「0.はじめに」の最初で、「中小企業に対する金融仲介機能の健全な発展」と書かれているが、もう少し考慮していただきたいと思う。

(意見)

銀行系カード会社ということでは、利用のほとんどがショッピングで融資は少ない。銀行系では元々リボや分割払いの取扱いが長い間許されてなかったためだが、現在は健全な融資を行えるように一生懸命努力している。

お金の必要な時と入る時にはタイムラグがあるが、特に若い人や家庭形成層にそういうことが多々あるわけで、そういう人達に対して便利で安心でお得な融資を提供したいという希望を持っているがなかなかうまくいかない。

その理由について色々考えるが、一番大きな理由としては日本の個人信用の分野ではリスク・ベースド・プライシングができていないことが極めて大きいと思う。そういう意味で目指すべき方向は、1つは中長期的に日本においてリスクプライシングを行うために今何をすべきか、もう1つは現在の多重債務など様々な課題をどうしていくかという大きな2つの方向感があると思う。

リスクプライシングを展望する意味合いにおいて、3つの基本的な課題がある。

1つは金利の透明性が極めて重要。出資法では全ての手数料が金利とみなされている。当社の金融商品の中には、次の給料日までに返済するための繋ぎの資金という発想で出したものでキャッシング一括という商品があるが、これは金利が27.8%になっている。

この商品の平均借入れは約5万円、借入日数が40日間でこの場合利息は1,523円。ところが、この借入れをコンビニのATMで出金した場合手数料が450円掛かる。450円は1,523円の約3割を占め金利に換算すると9%になり、27.8%のうち9%のATM手数料を当社が払っている。他にも延滞の督促料、電話代などの利用する人いわゆる受益者によって異なる様々な手数料もみなし利息になっており、リスクプライシングを行う上で金利の透明性、貸倒率等のリスクと金利の対比を行うことができず、非常に大きな問題。

2つめは、信用情報の共有・交流は極めて大事であり、ここに壁がある場合リスクの判定が困難である。しかし信用情報を共有するには消費者の同意が必要で、かつ情報機関の信頼性、個人信用情報の管理体制が極めて重要。また、同時にかなりコストが掛かる。

信用情報を共有していくためには、行政の旗振りというかリーダーシップが必要だと思う。

3つめは法律の統一性、総合性、明確性が必要。利息制限法と出資法で上限金利が異なり、割賦販売法と貸金業規制法でも異なっている点がある。例えば電子的手段での書面交付については、割賦販売法では認められているが貸金業規制法では認められてない。リスクプライシングを行う上で総合的に法律の透明性など基本的な整備が必要。

次に現在の様々な課題をどうしていくかという意味では、まずグレーゾーンについては当然一本化が必要。グレーゾーンがあるために大変な手間がかかっている。一方消費者はモラルハザードになっている状況だと思うので、是非今回一本化していただきたいと思う。

上限金利が必要かどうかという議論についてだが、現状では、上限金利はヤミ金融問題を含めた管理・監督の切口では必要だと思う。水準をどうするかは非常に難しいが、セーフティーネットやカウンセリングとの兼ね合いもある。仮に見直して引き下げるのであれば、先程も話したようにみなし利息の定義を変える必要がある。現在のみなし利息の定義は、出資法の上限金利が109.5%の時のもので、現在の29.2%というレベルには馴染まないと思うので、みなし利息の問題についてはきちんと対応していただきたい。また、電子書面を認めるなど技術の進歩に合わせた仕組みを取り入れずに上限金利だけ下げると、困難な面がいろいろ出てくる。

調達金利との関係について言うと、市場金利に連動させて上限金利が検討できないかどうかについても検討していく必要があると思う。

上限金利規制があるから借りられないというような生活困窮者に対しては、セーフティーネットが必要だが、これについては現時点でも必要だと思う。リスクプライシングが可能になってもこういう問題は起こるので、きちんと手を付けていくべき。また、カウンセリングも金銭感覚は教育によって始まるべきで、新制度をいろいろ整備すべきだと思う。

行為規制に関しては、それぞれ業界のビジネスモデルによっていろいろ異なると思うので、業界一括でなく個別差異性もみながら慎重に検討していただきたいと思う。

(意見)

リスクプライシングは供給側にとっては重要だと思うが、これまでの議論では、個人の消費者が支払い可能な金利には上限があると思う。

(質問)

(株)オリエントコーポレーションでは販売信用と金銭信用の両方を行っていると理解してよいか。また、販売信用に付随したキャッシングは伸びているのか。

キャッシングにおける返済方式としては、リボ以外の方法があるのか選択性になっているのかについて伺いたい。消費者金融の場合は選択性になっていないという認識を持っている。選択できる場合は、消費者の警戒感が働いてリボでの支払いを選択しないのではないかと思っているが、その辺の見解を聞きたい。

(回答)

当社((株)オリエントコーポレーション)のカードはいわゆるショッピングとキャッシングの両方を利用できるカードで、キャッシングが販売信用にセットされている。当社は、販売信用のショッピングにセットされているキャッシングによる融資と、融資専用のローンカードという形での融資商品を持っており、販売信用のキャッシングと言う場合はショッピングに付随したキャッシング機能である。

個品あっせんについては商品によって異なるが、実質年率で9.5~12.2%の間で個品の割賦ショッピングを取り扱っている。

返済方法が選択できるかという点については、一回払い、分割払い、リボ払いのどれにするかは利用時点で選択してもらうことになっている。

(質問)

金銭信用において、利用者がリボルビングによる支払いを選んでいる比率はどのようになっているのか。

(回答)

当社((株)オリエントコーポレーション)のキャッシング利用においては、リボルビングによる支払いが50.6%、それ以外が49.4%でほぼ半々というのが現在の実績。

(回答)

当社(三井住友カード(株))では、リボルビングとキャッシングの利用割合は非常に少ないが、全ての取扱いの中でキャッシングにおけるリボルビング払いでの利用割合は約2.2%。

(質問)

リボルビング払いの場合と一括払いの場合で収益率がどの程度異なるのかについて知りたい。リボルビングによる支払いを増やしたいという場合に、消費者のために増やしたいのか、借り手のために増やしたいのか、少し懸念を持っている。

(回答)

当社((株)オリエントコーポレーション)ではリボか1回か分割かの支払方法については、借り手の選択の問題で、支払方法別に収益を把握していない。

ショッピングとキャッシング機能が付いているクレジットカードと、ローン専用カードで収益性がどのように異なっているかの把握は現状行っていない。

(質問)

前回も話に出た団体信用生命保険等の現状についてアコム(株)に聞きたい。

(回答)

資料にあるとおり契約書、AC会員入会申込書の中で、生命保険会社の消費者信用団体生命保険に入ること及び個人情報を利用することの同意をきちっと得るようにしている。

(質問)

リボルビングについて、利用残高が与信(借入)限度額の上限以内ならば、自由に追加利用ができるのが特徴とあるが、これについては注意喚起するような表示がないことが不満。今後は追加利用をした場合においても返済期間は5年以内にするということか。

(回答)

追加利用をした場合にも、それから5年以内に返済することになる。また、リボルビング方式なので追加利用する場合もあるし、ミニマムペイメントというのはあくまでも最低の支払額であってミニマムペイメント以上の支払いを行う場合もある。

当社の場合、月々約9万件完済されている。そして再度利用されることもあり上手に利用されている。280万人の顧客のうち年間約100万件の完済を受けており、大多数の利用者が上手に使って返済している。

しかし一部の利用者の中には返済が困難になる場合があり、そういった場合には、途上与信等において状況を把握しながら客と相談してカウンセリングを行いながら返済計画に協力していくという形を取っている。多重債務問題に関しては我々としても真摯に受け止めて、3月28日に大手7社で自主的な取組みを発表した。

(質問)

平均5年にするという取組みが本当に効果的かどうかについて確認したい。先程の説明だと、追加借入れをする場合どんどん返済期間が伸びるため、小口短期とは言えないと思う。エンドレス、オープンエンドの借入れになり、多重債務に陥っていくと思うのだが。

資料15-2の事務局資料、1ページの2.マル3にあるように、ミニマムペイメントとは毎月の最低返済額、残高に応じた一定額又は残高の一定割合、通常は残高の1~5%で設定し、追加借入れをせずに毎月最低返済額のみを返済した場合の返済期間は3~8年が一般的で残高が多い場合や最低返済額が残高の減少に応じて随時に変更される契約の場合は長期化することもあるし、追加借入れを行うと当然長期化すると思う。

2ページに追加借入を行う時の債務累積のイメージがあるが、我々が多重債務で問題にしているのはこの点で、これに対してどういう対策を打つのかについて出していただかないと、自主規制とは言えないのではないかと感じる。

4ページにはリボルビング方式の最低返済金額で返済した場合の最長返済期間があるが、現状では5年を超える返済期間になっているものについては、各社全て5年以内に揃えるということか。

(回答)

今回、5年以内で返済をすることについて申合せができた。

(意見)

リボルビング払いなので借増しを続けていくと支払い期間は延びていくが、借増する人はやはり借金を返すために借入れを繰り返しており、利用者のほとんどが29%という高金利による利息を払っているため利息しか払えておらず、常に残高が当初借入額から変わっていない。

そういったことから、契約を更新した時から5年ということであれば、どこかで期間を区切ってその5年のところで残債務が残っていたらもう新たな借入れはできないというふうに何らかの手を打たないと多重債務は止まらないと思う。さらに、どういう状態になったらカウンセリングを受けるかについても決めておくことが必要だと思うし、延滞が2回出たら新しい貸付けを停止するなど、具体的に実効性のある手段をとっていただきたいと思う。

また、一般の消費者にとってはカードローンとキャッシングでどのように違うか分からない。リボルビングに関しても、返済方式が借入残高スライド元利定額方式の場合は短いがそうでなければ長くなり、返済方式によってどのように違ってくるか、また、返済額が元本と利息にどのように振り分けられているのか、消費者はほとんど知らないまま契約していると思う。そのため、追加借入れを行った時はその時の状況を知らせていく必要があり、機械の場合はレシートに出し、普通の販売信用と同じように1ヶ月に1回自宅に書類を届けるなどの対応が必要だと思う。

レシートに関しては、「御利用可能額」と記載されているのは問題だと以前言ったが、リボ中毒のケースをみると、消費者が利用可能額を自分の預金残高と誤解しており、借入れを行っているというのではなく機械でお金を下ろしているという表現を使っており、これが正にリボ中毒だということを認識していただきたい。これを防ぐには、借入額、キャッシングなどと言わず、今回の借入額とその適用金利、現在の残高のうち元本・利息の額、返済方式についてきちんと説明する必要がある。

現在の借入額からさらに借増ししない場合どのような返済予定になるかについての記載はあるが、借増しした場合はどうなるかに関してもきちんと想像させなければいけないと思う。利用に関する警告などについても記載する必要があるが、消費者金融のリボルビング方式でのカードローンでは安易に借りられることだけを非常に強調して実際に被害を増大させているので、これについてはきちんと手を打つべきだと思う。

私個人の考えとしては、リボ払いのカードについては廃止すべきだと思う。カードで借り入れるというのは安易で多重債務に繋がっているため、そのぐらいの手を打たないと被害は防止できないと思う。

(意見)

基本的に貸金業の問題の背景として、業者からは、今日話を聞いていても当然と思われること、このように言うだろうなあと予想できることしか聞かれず説得力があまりないと感じる。現在起きている社会問題について問題解決しようという姿勢があまり感じられない。

なぜこういう問題が起こっているかというのは非常に簡単で、私の周りの学生など若い人がかなりたくさん借りている。しかもやや所得が低く生活に困っている人、かなり限定された人が利用しているという実態があって、若い人達は結局借りられる限度までが自分の生活範囲になっている。つまり欲望が物凄く肥大化している。世の中にはたくさんの商品が氾濫しサービスが氾濫しているので、お金が借りられるのであればその限度まで自分の生活を拡大したいという状況にあり、貸し手さえいればどこまでも借りるという社会状況になっていると思う。

そういった人を「上手に利用している」と表現しているが、多くの人は上手に利用するということを自分の中で計画できない麻痺した状況の中で、お金が借りられるのであれば結局その限度まで自分の生活の範囲を決めているという状況にある。どこまで貸すかの限度については、業者にしっかり考えていただきたい。

どのくらいまで借りるのが上手に利用している範囲で、どこを超えてしまうと上手に利用していないのかという範囲については、おそらく業者がよく知っていると思う。知っているとすれば、その範囲内で有効に消費者を相手にしたビジネスを展開するという抑制的なビジネスであるべきだと思う。

他方で事業者向けのローンについては、他業態との間でイコールフッティングになっていない部分が確かにあるかもしれない。過剰規制になっている部分があるかもしれないので、新しいビジネスチャンスを拡大させるという観点で規制の調整というものが行われるのであれば、借入能力のない消費者にまで貸し付けてビジネスを展開する必要性がなくなるかもしれないので、その辺りのデータをしっかりと出していただきたいと思う。

(意見)

リボルビング払いについては、日本においてのみ非常に普及して社会問題になっているのではなく、アメリカでも非常に多いしヨーロッパでも普及している。先進国では消費経済ということで、リボ払いなどによって消費者が利便性を求めて経済を支えているという一面がある。

そういったことからどのように規制すればいいかは非常に大事だと思うが、アメリカの場合、現在アメリカの議会がFRBにリボ払い、ミニマムペイメントに関する規制案の提出を求めている。今年末までにFRBが規制案を提出した後パブリックコメントにかけられて、早ければ2007年に新しい法律ができるだろうと言われているが、その方向性は決してリボ払いを止めるというものではない。ディスクロージャー、消費者にどのように開示するかについて、例えばミニマムペイメント、最小限度額を支払った場合に何ヶ月で支払いが完了するかということを明示するなどの開示規則が提出されると思う。

それから消費者が、どのくらい経過すれば完済できるかということを電話ですぐに問い合わせることができるようにすることが考えられている。これだけ消費経済を支えている大きな要素を無くしてしまうという方向には、決して世界は行っていないということを理解していただきたい。

(意見)

私も学生から、「毎日のように1万円でもいいから借りてくれという電話が掛かって来る」という話をよく聞くが、こういった営業姿勢に対する意見については懇談会でもかなり出されているので、規制をもう少し補強していただきたいと思う。

2点目は、5.の「金利規制のあり方、グレーソーンの取扱い」で、最初に「考慮すべき論点」、2番目に「上限金利規制の意義」ときて、3番目にいきなり「グレーゾーンを存置する場合の選択肢」という構成になっているが、本来であれば「グレーゾーンについて」という項目を立ててまず認識を示して、その中で場合分けをしてグレーゾーンを存置する場合と、廃止する場合というように整理した方が分かりやすいのではと思う。そうすると10ページの「みなし弁済」制度は廃止すべき、という部分はグレーゾーンを廃止すべきということと同義だと思うので、そこでまとめられると思う。

グレーゾーンを廃止する場合の選択肢が挙げられているが、1つめの意見が引き下げる、2つめが引き上げる、3つめが中間的な金利に一本化とした上で11ページには「高い金利も正当化される」「金利規制の強化は必要ない」とあり、金利を上げるほうがいいという意見が強く出ており、これはこの懇談会の議論を両論であっても正確には反映していないという印象を持った。少なくとも上げるという意見と下げるという意見を同じ数だけ載せていただきたいと思う。

(意見)

資料15-1の5ページにコンプライアンスについての私の意見を記載していただいているが、発言の趣旨としては、コンプライアンスとは単に法令を遵守していればそれで十分だとは理解しておらず、もっと幅広く社会の良識に従うとか、良き市民として行動するというのがコンプライアンスの本来の内容だと理解しているというもの。よってコンプライアンス体制の部分については、当然適合性原則的なことを踏まえて行動するとか、営業姿勢においても良き企業としての社会的責任をしっかり果たせるような体制を取る必要がある、という趣旨で書いていただきたいと思う。

(意見)

実際のリボルビングの状況は、借り手が返そうとしても窓口で返させてくれないとか、一方的に融資限度額の増額を提案されたがそれが負債とみなされ住宅ローンの借入れを銀行に断られたとか、大変多くの被害情報が寄せられているので、リボと融資限度額がもたらす弊害について検討していただきたい。少なくとも、返済をした場合に明細書に記載されている利用可能額という表示については、国民生活センターの調査報告書にもあるように、預金と混同してしまうので利用可能額という表示はやめていただきたいと思う。

ヤミ金融に消費者を向かわせないという方向を目指して検討していただきたい。

資料15-1の6ページで「4.カウンセリング、その他」としているが、カウンセリングについてはセーフティーネットに含めて議論すべきで、セーフティーネットという大きな項目で括るべきだと思う。自治体、各地の消費者センター、法律扶助協会、法テラス、貸金業界がどのような形で、セーフティーネットとしての機能を果たせるか議論して整理していただきたい。

10ページからの「グレーゾーンを廃止する場合の選択肢」についてだが、最高裁の判決を受けて金利規制をどうするかについて検討してきたと思っているので、そういった観点からすると、みなし弁済制度は廃止するということを第一に出すべきだと思う。

マル3の「中間的な金利に一本化する」という場合、中間的な金利と利息制限法の間の金利で、事業者が請求するという可能性も否定できないので、最高裁の判決を真摯に受け止め、そのような可能性は有り得ないということを記載していただきたい。

広告に関しては、テレビコマーシャルについてだけしか記載されていないが、インターネットテレビのセグメント広告に関する話も懇談会に出ていたので、雑誌や新聞などあらゆる媒体を念頭に置いて検討していただきたい。また、広告の頻度・回数についての規制も必要と思う。

5ページの「マル3その他」に期限の利益の喪失に関する話があるが、大事な点なので是非割賦販売法に倣った形にしていただきたい。

9ページに、書面交付についてはIT化が進展しており、緩和して電子書面を認めてほしいという意見が事業者から出ているが、現段階では書面交付の電子化に対して反対する。

各自治体では、金利の引下げについて決議されているので、調べていただきたい。

(意見)

3ページの信用情報機関についてだが、分断されている信用情報機関の統合・横断化を進めることは非常に重要だと思うので、貸金業者系、販売信用・クレジット系、銀行系のそれぞれで色々事情があると思うが、そういう事情を乗り越えて是非統合していただきたい。

また、信用情報機関を統合しても、個人情報を適正に運営管理する必要があり、悪質な都イチ業者が利用すると困るので、参入規制と併せて検討することを記載していただきたいと思う。

金利については、借り手の類型別に考えていくべきだと思うが。事業者いわゆる法人と個人で分けるという議論もあったが、以前、平均的な中小業者の場合は12%でも企業活動が困難になるという報告もあり、こういったことをどのように考えていくかということも含めて議論をつめていただきたいと思う。

(意見)

3ページのマル2の一つ上の記載については、何に関することか非常に分かりにくいので、「おまとめローン」という言葉を入れていただきたい。多重債務に陥った債務者の債務を一本化する際には、経過利息を元本化するとともに住宅を担保に取り、更に新たな貸込みを行っている。こうした手法に関しては、過払い金の払戻しが受けられなくなることもあり、きちんと金融庁として対応すべきである。

5ページのマル3その他の生命保険の付保については、保険会社も、リボルビング払いという形で貸付けが行われていることをあまり認識していない事実があるようだ。保険会社は、ほとんど共同引受けでやっており、現状1年で引受手の主幹事会社が変わったりしていることもあり、告知との関係で言うと、病気を持っている、入院していることの告知義務に違反する場合、保険会社は支払いを拒否することになるが、そのような細かい報告を保険会社は消費者金融会社から受けておらず、1ヶ月毎に貸付残高の報告だけを受けているような状況。告知書については当然提出するようになっているが、住宅ローンの団信や一般の生命保険と比べると非常に簡単な告知書になっている。そのため保険会社は、加入前は既往症で入院したというようなことしか調べられないで、かなり過大な保険金を消費者金融会社に払っているというのが現実だと思う。

説明義務をきちんと課さないと他の保険契約者にも影響が及ぶし、また、過酷な取立にも使われているので、この団体信用生命保険に関しては、現在の状況に照らしてどうするか考えていく必要があると思う。

(事務局)

消費者をどのようにして助けるか、メンバーの意見を公正に反映させて考えていきたい。

利息制限法の範囲内での商品がある一方で、逆に利息制限法を超える利息の貸付けについては、短期でしっかり絞って貸付けを行っている業者がいるということは大きな議論の方向性を示していると思う。

マナーがあるなら自由にしてもよいが、マナーがない所にはルールを設けざるをえず、こういった点については業界の中でも差があるという印象を持った。

貸金に関する違法収益の返還についても検討事案としていただきたい。

アメリカの例について話があったが、アメリカでは預金口座を開くことができない人がたくさんいるということを前提にしないと方向性が間違ってしまうので、その点はお願いしたい。

事業者向け貸付けの取扱いを含めた整理が大切であるが、貸金業規制法第2条では「貸金業」を定義して銀行などを除外している。この整理については問題があり、統一消費者信用法制の中でどのようにするか、中長期的な課題として整理ができればいいと思うので、引き続きこうした点も議論していただきたいと思う。

最後に座長から、本日の議論を資料15-1に反映させて再度議論を行い、メンバーの同意が得られるのであれば「座長としての中間整理」として公表したい、との報告があった。

以上

お問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3567、3553)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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