貸金業制度等に関する懇談会(第1回)議事要旨

1.日時

平成17年3月30日(水)16時15分~18時00分

2.場所

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.議題

○ 「貸金業制度等に関する懇談会」の開催趣旨等

○ 貸金業制度等の概要

4.議事要旨

冒頭、メンバー等の紹介を行った。

吉野直行座長より挨拶があった。

総務企画局長より挨拶があった。

昨年1月に「貸金業規制法及び出資法の一部改正法」(いわゆる「ヤミ金融対策法」)が施行された。これは、ヤミ金融と呼ばれる無登録営業、違法な高金利による貸付け、さらに悪質な取立てなどの違法行為が多発し、社会問題となったことから、関係法令の改正が行われた。このヤミ金融対策法の附則においては、貸金業制度のあり方や出資法の上限金利について、この法律の施行後3年を目途として、新貸金業規制法の施行状況、貸金業者の実態等を勘案して検討を加え、必要な見直しを行う旨が規定されている。当懇談会は、この見直し条項を踏まえ、貸金業制度等について幅広く勉強するため、開催することになった。ヤミ金融対策法の施行から1年が経過したが、メンバー・オブザーバーの方々においては、ヤミ金融対策法の施行状況、貸金業者の実態や、貸金業制度等のあり方等について、幅広い観点から様々な意見を聞かせてもらえれば幸いである。当方も、この懇談会を通じて、貸金業制度等のあり方について幅広い観点から検討していきたいと考えている。

事務局より、当懇談会の運営等について説明を行った。

事務局より、貸金業制度等の概要について説明を行った。

自由討議の概要は以下のとおり。

  • 貸金業規制法の規制が及ぶ範囲はどこまでか。外貨建の場合の取扱いはどうなるのか。海外のSPCからの貸付け等はどうか。貸金業者に対する規制を資産の流動化に適用するとうまくいかなくなるのではないか。ホールセール取引について、規制する必要があるのか。

  • 金利規制の法目的は、弱者である借り手の保護だと思うが、本当に目的が達成できているのか、政策効果を評価しうる資料を示してほしい。

  • ヤミ金融対策法施行後、貸金業者数は減少しているようだが、実際のところ、ヤミ金融業者の現状はどうなっているのか。

  • 貸金業の登録制度では、3年毎に更新することとなっているが、審査方法は登録時も更新時も同じか。

  • 多重債務者の防止の観点からは、業態間の信用情報センターの交流を進めることが考えられるが、銀行と貸金業の提携などが進んでいる中、どのような現状にあるのか。

  • 消費者金融業者は海外で起債等をしているが、投資家はグレーゾーン金利について相当なリーガルリスクがあると懸念している。

  • 貸金業規制法のいわゆる43条(みなし弁済)問題は、銀行(ATM)などを通じて返済すると43条の要件を充たさなくなり、IT化の進展により、この法律で充分にカバーできなくなっている面がある。グレーゾーン金利の問題については、出資法改正以外にも解決手段がありうるのか検討すべきではないか。

  • 今までの改正等は、何か社会問題が起こるとそれへの対症療法という形で行われてきたが、今般は統一消費者信用法まで含めた検討を行ってほしい。

  • 貸倒費用が大きくなっている要因は、適正規模でなく過剰貸付けになってきており、良質なローン市場が存在していないことと、高金利での貸付けが背景にあるのではないか。

  • 銀行と貸金業者が提携したり、銀行自体が消費者向けローンに進出したりしている。また、貸金業界は二層構造(大手と小規模)となっており、業態を一括りにできない。貸金業の業態についてどのように考えるのか。

  • 出資法と利息制限法との間のグレーゾーン金利については、一定の結論を出すべきではないか。

  • 出資法違反の高金利事案では、元本の返済不要という判決も出ている。返還請求可能な範囲や元本返済不要の範囲について、検討をしてほしい。

  • ヤミ金融は相変わらず存在しており、課題として検討してほしい。

  • 消費者金融は、20代、30代の男性が多く利用している。それを狙ったテレビCMもある。過剰な与信は必要ないと考えており、広告について検討してほしい。

  • ホワイト情報も含めた情報の交流について検討してほしい。

  • 今は架空請求の後ろに隠れているが、消費者センターに対するサラ金、ヤミ金の苦情・相談は依然として多い。

  • ヤミ金グループが振込詐欺に移行しているという話もあり、まだまだ手を打たなければならない現状がある。また、犯罪収益が犯罪者の手もとに残るのは問題であり、犯罪収益の吐き出しについて検討してほしい。

  • 多重債務者の発生と業界構造との関係などについて、ヤミ金融の実態等を踏まえつつ、業態としてのあり方を検討すべきではないか。

  • 消費者金融、中小事業者金融の実態を認識した上で、中長期的にどのようなマーケットを育てていくかといった観点から、構造的な対策について検討していくべきではないか。

  • 貸金業界は二層構造にあるが、零細業者が、ある面、銀行等が対応できないニーズに応えている面もあるのかどうか、高コストに伴う高金利が必要な部分があるのかどうか、みていく必要がある。

  • 零細業者の調達金利は20%となっており、これだと上限金利29.2%でやっていけるのか。29.2%に落としたことがどういう意味をもっているのか。必要なニーズに応える供給がなされなくなったのか、それとも適正化されたとみるのか。実態をよく調べて議論を行うべき。

  • 簡単に破産を認めることが、業者が貸込むインセンティブを弱め、個人向け過剰与信を防止する方策にもなりうるため、個人破産制度のあり方についても検討すべき。

  • 銀行と消費者金融との提携、IT化の進展に伴う個人情報保護のあり方についても検討しなければならない。

  • 多重債務者向け貸出を増やす貸し手の存在により、デフォルト確率が上昇して貸倒費用が高まっているとすれば、金利規制が業者に意図せざる影響をもたらしている可能性についても検討が必要ではないか。

  • 貸金業者は、一般の消費者から様々な信用情報を入手した上で、審査をして貸付けを行っており、貸し手責任を重く考えた方がよいのではないか。

  • 営業費用が利益を圧迫しているというが、営業費用の内訳をみると、弁護士費用、過払返還額など多大な無駄をしているのではないか。

  • インターネットで簡単に借りられるようになっている。画面からは、金利があまり高くないように思えてしまうが、雪だるま式に借入金が膨れ上がると取立てが厳しいため、利用者が離れていっているのではないか。

  • 貸金業者のトラブルという現象は、業者が原因なのか、社会的・経済的な条件変化が原因なのか、現状に蓋をするような議論ではなく、総合的な観点からの検討が必要。

  • 貸し手責任のみならず、借り手側の責任もある。消費者に対する金融教育を行っても安易な借入れによる個人破産は増えており、需要サイドからみたアプローチも必要ではないか。

  • 情報の非対称性や交渉能力に差がある場合には、対等な当事者というよりは、注意するコストが少なくて済む、つまり能力が高い方に責任を多く負わせるのが正しい解決方法であり、個人と専業の業者であれば、業者に責任を多く分配し、注意義務を強めるといった権限分配が正しいのではないかと考えられる。

  • 貸金業法は一律の規制体系になっているが、中小事業者向信用は消費者向信用の倍くらいの貸付残高になっており、中小事業者向信用も消費者向信用と同様に考えてよいか、検討する必要がある。

  • 善良な借り手と善良な貸し手というものはありうることから、その点も忘れずに議論すべきではないか。

  • 高額商品にクレジットをつける割賦販売については、物やサービスの実体を伴っている。貸金業制度についても、業態によって異なる現状を理解してほしい。

以上

問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3567、3553)
本議事要旨は、暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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