平成12年11月8日
金融庁

企業会計審議会第2回第一部会議事録について

企業会計審議会第2回第一部会(平成12年10月13日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画部企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第2回第一部会議事録

日時:平成12年10月13日(金)午後2時03分~午後4時05分

場所:中央合同庁舎第4号館4階共用第二特別会議室

○斎藤部会長

それでは、定刻になりましたので、これより第2回の第一部会を開催いたします。

委員の皆様にはお忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、米国及び国際会計基準における企業結合会計についてご報告をいただく予定にしております。

それでは、初めに金井委員から、米国の企業結合会計についてご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○金井委員

金井でございます。よろしくお願いいたします。

30分ほどお時間をいただいておりますので、私の方から、米国における現行の基準の概要と、それからFASBの公開草案についてご説明させていただきます。

資料ですけども、今日お渡しいただきました資料と、先日お配りいただきました厚いファイルの中に、会計原則審議会意見書16号、17号、それからFASBの公開草案が含まれておりますので、これらが対象となります。

それでは簡単に、レジュメの方で始めさせていただきたいと思います。

米国における企業結合会計に関する取扱いは、1970年8月に公表されたAPB意見書16号「事業の結合」、及び17号「無形固定資産」に規定されております。FASBでは、公開草案「事業結合と無形固定資産」を1999年9月に公表し、新基準の作成について現在審議中でございます。

この公開草案はビジネス・コンビネーションとインタンジブル・アセッツの二つに分かれておりまして、前半のビジネス・コンビネーションの方はAPB16を修正するという位置づけに、後半のインタンジブル・アセッツの方はAPB意見書17号に置きかわるような位置づけになってございます。

これからAPB16号、それから17号の内容を簡単にご説明いたしまして、それから、FASBの公開草案のポイントをご説明したいと思います。

まず、「 II .APB意見書第16号「事業の結合」の概要」をご覧下さい。最初に対象についてご説明いたします。

一つの会社と一つ以上の会社又は会社組織をとっていない事業の結合が意見書の対象となりますが、以下の四角で囲っております三つの取引については、対象から外されております。一つは、少数株主持分の取得です。これはこの意見書自体からは除かれておりますが、パーチェス方式により処理されることとなります。親会社から新設子会社への純資産の譲渡、それから、共通の支配に服する会社間の純資産の譲渡又は株式交換も事業の結合の会計からは除かれておりまして、一般には譲渡法人の帳簿価額で処理されることになります。

一方、「結合」といったときの取引の形態ですが、三つの取引形態が考えられると思います。それがこの下の2行で書いてあることでございまして、二つ以上の会社が一つの会社になる場合。それから二つ目として、ある会社が子会社になる場合。それから三つ目として、譲渡会社の資産負債の一部又は全部を譲渡する場合という三つの形態がこの中に含まれます。

具体的に、結合を、それぞれどういう会計処理をするかということになりますけども、三つの条件を満たす取引については持分プーリング方式を、それ以外の取引についてはパーチェス方式を適用するということになっています。この三つの条件というのは、この後出てまいります。

一つの取引について部分的に双方の方式を採用すること――ある部分はパーチェス、ある部分はプーリングというような方法ですとか、または、どちらかの一方の方式を代替的に採用することはできません。プーリング方式にかえてパーチェス方式とか、パーチェス方式にかえてプーリング方式という代替的な採用はできないということです。

今、「持分プーリング方式」と「パーチェス方式」という言葉が出てまいりましたので、この後3と4で、それぞれの方式についてのご説明に移りたいと思います。

まず、持分プーリング方式とは、それまで独立していた2以上の会社の株主持分と、従来所有していた持分に基づく権利及び危険を、一つの持分に結合するような性格を有する会社の結合取引について適用される会計処理をいいます。

結合当事者の資源が分配されることなく結合が行われることから、買収とは認識されません。所有持分は維持され、結合前の会計処理が引き継がれるというのが持分プーリング方式の考え方でございます。

一般に、この方式を採用できる場合として先ほど申し上げました大きく三つの条件がございます。一つが、結合する会社が相互に独立していること。上段の定義で「独立した2以上の会社の株主持分」とありましたように、独立していることが大前提になるわけです。それから、持分の結合方法が上記の性格を有することを客観的に示すものであること。すなわち、独立した二つ以上の会社の株主持分と、従来所有していた持分に基づく権利及び危険を一つの持分に結合するような性格を有することを客観的に示すものであること。3として、それを疑わせるような取引が結合契約の中に含まれていないこと――その趣旨に反するような条件などが契約の中に含まれていないこと、この三つが大きな意味での条件になります。より具体的には、皆さんのお手元の資料の11ページをご覧いただけますでしょうか。

今申し上げた三つの条件というのは、三つの大きな考え方なのですけども、この考え方をあらわす具体的な基準をここに掲載しております。例えば、一番最初に、11ページの1のマル1のところに独立していることの条件として「各被結合会社は自立性を有し、結合計画開始日前2年以内に一度も他の会社の子会社または部門にならなかったこと」とあります。このような条件が12項記載されております。この全てを満たした場合についてのみ、持分プーリング方式が認められ、これらのどれかを満たさなかった場合には、パーチェス方式が採用されるということになります。

2ページの方に戻っていただきまして、具体的に会計処理の方法をご説明いたします。

先ほど申し上げましたとおり、所有持分は結合されたのですけども、それは維持され、結合前の会計処理が引き継がれることになります。それを具体的に資産・負債、資本勘定、損益計算書等にあらわしますと、このようになります。

1番として「資産・負債」ですが、「原則として、一般に認められた会計原則に従って計上された被結合会社の結合完結日現在の資産及び負債の金額を、結合会社の資産・負債として計上する」ということで、一般に認められた会計原則に従って計上された被結合会社の帳簿価額をもって結合することになります。帳簿が引き継がれるということです。

二つ目、「資本勘定」ですけども、「結合会社は、被結合会社の資本勘定の結合時残高を、結合会社の資本金、資本準備金、利益準備金等、それぞれの資本勘定に計上する」とされ、それぞれを基本的にはそのまま引き継ぎます。それから、マル2としまして、「結合会社の発行株式の額面金額または表示価額」――表示価額というのは、額面株式のStated Valueの翻訳です――「が、個々の結合会社の資本金の合計を超える場合には」――すなわち、結合して足した資本の合計よりも、新しい一つの会社の資本金が超えてしまう場合には――「超過額を結合資本準備金から差し引き、不足額があるときは結合利益剰余金から差し引く」という会計処理になっています。

それから、三つ目として、損益計算書上の処理です。「結合後の会社は、損益計算書および財務資料の抜粋を作成するに当たり」――ディスクロージャーの目的で要約財務諸表、損益計算書、それ以外の情報の作成を要求されたときには――「損益計算書および財務資料の抜粋を表示する最も古い年度の期首に結合が行われたものと仮定して、結合当事者の経営成績を結合する」とされております。すなわち、ディスクローズされている年度の一番前にさかのぼって、その時点、もしくはそれ以前に結合が行われたものとして会計処理します。

持分プーリング方式の会計処理の最後になりますけれども、「関連費用および資産の処分」をご覧下さい。持分プーリング方式の対象となる取引は株主持分の結合を目的とするもので、資産の取得又は資本の導入を目的とするものではありません。従って、取引のために要した関連費用は、発生時の期間費用として計上しなければならず、資産に配分したり、又は資本から直接差し引いてはなりません。かかった費用は全て期間費用になります。

続きまして、4番に移りまして、パーチェス方式についてご説明をさせていただきます。

パーチェス方式ではまず取得原価・買収金額を決定することになります。パーチェス方式は企業結合を、ある会社による他の会社の買収として処理します。買収企業は取得した資産、及び引き継いだ負債を、取得価額――対価ですから時価ということになるかと思いますが――で記録します。被買収会社の取得価額(買収の対価、支払った金額)と、有形資産及び識別可能な無形資産から負債を控除したものの適正価額の差額――払ったものと、受け入れた資産、負債の適正価額もしくは公正価値(これらは「Fair Value」の翻訳です)の差額がのれんとなります。

被買収会社から取得した資産及び引き受けた負債の取得価額は、次の三つの合計値として決定されます。すなわち、取得価額はこのマル1マル2マル3の合計額となります。

一つ目としましては、支払った金銭の額。金銭を支払った場合は、支払った金銭の額が対象になり、次に、引き渡した他の資産及び株式の適正価額。社債等を発行した場合には、発行した社債その他の負債の適正価額もその対価となりますので、この三つの合計が取得価額になります。

次に、パーチェス法によるときの、実際に買収行為によって取得した資産及び引き受けた負債の会計処理についてご説明いたします。

1番目に、「買収会社は、被買収会社の取得原価を被買収会社から取得した資産および引き受けた負債に配分しなければならない」。すなわち、先ほどのマル1マル2マル3の対価として払った金額等を、取得した資産、引き受けた負債に配分しなければなりません。

2番目に、「全ての識別できる個別および複数の資産と、個別または全体としての負債の適正価額を基礎として原価を配分」します。それぞれの引き取った資産及び負債について、それぞれの適正価額をもとに、まず価値を当てはめていきます。

配分できなかった金額が借方残高である場合には、すなわち、取得原価の方が配分した金額よりも上回ってしまった場合には、その金額をのれんとして計上し、APB意見書17号「無形固定資産」に記載されている方法で償却します。この無形固定資産の償却方法は、4ページ目の中段の「2.無形固定資産の償却」にありますように、40年以内の期間で償却することになっております。

マル4としまして、配分できなかった金額が貸方になる場合、いわゆる「負ののれん」の場合、「貸方残高であった場合には、取得した固定資産の配分額を基礎として、その金額を個々の固定資産の配分額から減ずる」。すなわち貸方になってしまった場合には、借方の固定資産――価値を割り当てていった固定資産からまず控除します。ただ、控除するときには、ここの括弧にありますように、市場性のある投資有価証券は除き、それ以外の固定資産から減額します。貸方残高の金額が固定資産の配分額の総額を超える場合、固定資産を減らしていっても、まだ貸方残高が消えないという場合には負ののれんを計上し、40年以内の適当な期間にわたって償却します。

後ほどご説明いたしますが、FASBの考え方はこの負ののれんの会計処理についても、特別利益・異常利益―― extraordinary gain ――に計上するということに変わっております。

それから、5番目、負ののれんを直接資本勘定に貸方記載することはできません。

ここまでがAPB16号、企業結合の概略でございます。

続きまして、現行の基準であります17号の無形固定資産についてご説明させていただきます。

無形固定資産につきましては、「自己形成の無形固定資産で、個別には識別できないもの、存続期間を決定できないもの、または事業継続に固有のもので、かつ、企業全体に関連しているもの、たとえばのれんなどは、発生時に費用処理する」こととなっております。取得したものではなくて、会社自身で形成したものについては、発生時に費用処理します。

これに対して、個別に取得した無形固定資産については、取得原価(時価)により資産に計上することとなります。

この資産計上した無形固定資産については、「無形固定資産の償却期間は関連する要素に基づいて決定し」、すなわち、取得の理由といった要素の内容に基づいて償却期間を決定し、「取得時一時償却してはならないとされております。ただし、見積残存期間が40年を超える場合には40年にわたって償却し、任意の短い期間内に償却することはできない」とされ、40年が現行の基準の最長となっております。

ここまでが16号、17号の要約でございます。

これに対して、現在FASBが公開草案「企業結合および無形固定資産」を公開しているところです。

続きまして、公開草案公表の経緯等、それから、公開草案の内容、現状等について、簡単にご説明したいと思います。

FASBは1999年9月7日に公開草案「企業結合および無形固定資産」を公表しました。1972年に設立されたFASBは、当面検討を要する審議のテーマの一つとして企業結合の会計処理の問題を取り上げ、そのためのプロジェクトチームを発足させました。1976年8月には、FASBから討議資料「企業結合と購入無形固定資産に関する会計」が公表されていますけども、1981年には検討テーマとしての優先順位が低いこと等を理由としてFASBの審議項目から除かれ、その後しばらく、企業結合の会計処理の問題が俎上に上ることはありませんでした。

しかし、以下のような経緯により、1996年に至って、一度は中断していました企業結合会計の新基準作成に関するプロジェクトを再開しました。なぜ再開したかという理由が、このマル1マル2マル3でございます。

1番目、APB16、17の適用に関し多くの照会がSECやFASBなどに寄せられ、それを通じて両基準の欠陥が明らかになってきました。APB16、17の下では、内容的にほとんど異ならない二つの取引が異なる会計処理方法によって処理され、財務諸表上全く異なる結果をもたらすことになってしまうということです。

それから、二つ目として、投資活動が世界規模で行われるようになったことにより、企業結合に関する内外の会計基準の国際的比較可能性への要請が高まってきたこと。

それから三つ目。会計基準の相違が、M&A市場の競争に影響を与えるようになってきたこと。これらの三つの理由から、1996年にFASBが検討を再開しました。

1997年9月には、G4+1において企業結合の会計処理の問題が取り上げられ、そのポジションペーパーが1998年12月にG4+1参加各国の基準設定主体を通じて各国で公表されました。FASBでは、G4+1のポジションペーパーを、FASBからのコメント招請書という形で国内で公表し、1999年2月までの期限でコメントを収集しました。FASBの公開草案は、FASB自体及びG4+1での検討結果を踏まえて提案されたものであります。

FASBは現在のところ、関係者から提案された種々の代替的会計処理方法に関し調査、検討を進めており、2000年10月まで、のれんやパーチェス法に関連した論点について、公聴会で議論していく予定とされております。議会を含んだ利害関係者が提起した全ての重要な論点について論議し、審議の過程において全ての代替案について検討を完了するまでは、公開草案に対する結論、もしくは最終的基準を出すことはないとのことです。

審議の過程は2000年中には完了するであろうと予測されていますが、進捗状況によっては遅れることもあり得るということです。このプロジェクトの終了期限はないとのことですが、現在のところ、2001年第1四半期の新基準の公表を予定しているということです。ただし、10月3日に米国下院の商業委員会に「無形資産の財務会計再検討法案」が提出されまして、またこの先どうなるか分からなくなってきたという側面もあるようです。これが現状でございます。

次に6ページへ移りまして、公開草案のポイントとして五つばかり挙げてございます。

一つは、一番重要な点は、パーチェス法に統一し、プーリング法の採用を認めないこととしたということです。先ほどパーチェス法、プーリング法とご説明しましたけども、パーチェス法だけにするということです。

それから、のれんの償却期間の上限を、従来の40年から20年に大幅短縮いたしました。

それから、三つ目として、負ののれんの会計処理方法につきましては、まず、市場性のない無形資産に配分し、次いで償却資産及び市場性のある無形資産に配分し――配分するというのはそれぞれ取得した資産から控除するということですけども――それでも引き切れなかった場合には、異常利益として認識することとしました。

それから、のれんは例外なく償却されます。のれんを除く無形資産については、一定の要件を満たす場合に、償却の対象としない非償却性の無形資産とすることは認めています。償却の対象としない無形資産については、定期的な減損テストの実施を強制することによって、無形資産の価値の低下を把握することにしています。この点については、現在審議の過程で少し内容が変わっておりますので、後で「仮に決定されている事項」という内容のところでご説明いたします。

それから、5番ののれんを除く無形資産は、反証のある場合には20年を超える有効経済年数にわたって償却することを認めています。のれんは20年以内の条件なのですが、のれん以外の無形資産につきましても一応20年という上限がございます。ただし、ある条件を満たす場合ですとか、反証を用意できる場合には、それを超えることですとか、無限の期間、償却しないということもできるというのが公開草案の考え方でございます。この点について今、審議が進んでおりまして、異なるアイデア、考え方が出されております。

それにつきまして、99年に公開された公開草案につき、現在までの審議の過程で仮に決定されている事項がございます。まず、プロジェクトの範囲については、2又は複数の企業結合の全てにすること。それから、無形資産については、のれん及びその他の購入無形固定資産を対象としますが、先ほども出てきました自己形成無形資産については、この公開草案の対象からは外すということです。

次に、営業権及びその他の購入無形資産ですが、のれんは取得コストが認識可能な取得資産及び引受負債に配分された金額を上回る部分であるとされております。これは特に説明がなくてもよいかと思います。

それからマル2、認識可能無形資産の認識は、個別に識別可能であるか、もしくは契約又はその他法律上の権利で将来の経済的利益が確保されている場合にのみ行いまして、これ以外の無形資産、例えば個別に認識可能でないとか、契約又はその他の法律上の権利で将来の経済的利益が確保されていないものについては、のれんに含めることとされております。

それから、識別可能無形資産の有効経済年数が20年以内であるという仮定は削除されております。のれんは20年以内、のれん以外の無形資産についても、まず概念として20年であるとお話しました。それに対して反証がある場合にはそれ以上とか、償却しないという考え方があることを申し上げたのですが、そもそもの考え方として20年以内であるという仮定は削除されることになりました。取得した識別可能無形資産は有効経済年数にわたって償却し、SFAS121の減損会計の処理に従って減損の検討を行うことになります。

それから、「無限の有効経済年数を有する取得した識別可能無形資産は償却対象とせず」です。のれん以外の無形資産については、まず、20年がマックスという仮定がなくなったのですが、その中でも、有効経済年数・有限の期間で償却されるものと、それから無限に価値が存続するから償却しないもの、二つに分かれるわけです。このうち、無限の有効経済年数を有するもの、価値が無限に続くものについては償却対象とせず、帳簿価額と公正価値のどちらか低い方の金額で評価し、SFAS121の適用の対象からは除かれる。すなわち、償却しないもの、無限に価値が存続するものは減損会計の対象には含めないで、公正価値と取得原価のどちらか低い金額で評価するという評価方法が継続して適用されることになります。

以上が公開草案について、FASBが今現在仮に決定していることです。

公開草案のバックグラウンド、ポイントと、現在仮に決定している事項を申し上げました。順序が逆になってしまいますが、そもそも公開草案自体がどういう概要になっているか簡単にご説明させてください。

一つ目が適用範囲ですが、非営利企業相互間の企業結合を除く全ての企業結合に適用されます。

それから、以下の二つのポイントから、企業結合の範囲を変更しています。「適用範囲」の記述がAPB16に比べて少し変わっておりまして、その理由というのは、パーチェス方式だけしか採用できないことと、事業と事業の交換も企業結合であることを反映させるために、適用範囲を変更しております。ただ、これらを除いては、APB16で対象となった取引と同様の取引が、公開草案ではカバーされています。

それから、先ほどから何回もお話ししていますように、公開草案では、全ての企業結合をパーチェス方式により会計処理しなければならないとしております。

8ページめくっていただきまして、公開草案では、以下のように単一処理方法の採用の必要性が述べられております。すなわち、幾つかの処理の中からこの場合にはこういう方法をというような理由づけではなくて、ある一つの会計処理方法をとるのがいいという、その必要性を述べ、プーリング法については理論的根拠に乏しいとしてこれを排除し――同一の持分が継続するということは基本的にあり得ないというような理論で、プーリング法については理論的根拠に乏しいとしてこれを排除し、他方、フレッシュスタート法についてはその利点を認めながら、適用上の追加的コスト、二つの会計処理方法を置くことのデメリットが利点を上回るとして、結局企業結合の処理方法をパーチェス法に絞っています。

以下の四角にまとめましたのが、単一処理方法採用の理由です。複数の方法から、そのときどきの条件に応じてある方法が適用されるというのではなくて、ある特定の一つの方法に――この場合はパーチェス法ですけども――絞ることとした理由は、この四角の中にまとめてございまして、これはご覧いただければおわかりになると思いますが、「同様の取引が同様の方法によって処理されることより信頼性が高まる」とか、比較可能性の問題ですとか、コストの問題ですとかございます。それから、デメリットとしては、「会計上の裁定の誘因を与える」とか、こういうデメリットによって、一つの方法で処理した方がいいという意見が公開草案では述べられております。

パーチェス法の適用に際しては、取得企業を識別しなければなりませんので、その場合には議決権の相対的シェアのほか、取締役会やシニアマメジメントの構成も取得企業識別の要因となります。

次に、のれんの会計処理の方法ですけれども、識別可能な取得資産及び引受負債に配分された金額を取得コストが上回る場合、その超過部分をのれんとして認識し――これはよろしいかと思います――識別可能であるが信頼性のある見積もりができない無形資産の金額はのれんに含めます。

それから、取得企業は、以下の一つ以上に該当する事象が取得日現在で存在する場合には、取得日後2年以内にのれんの回収可能性を検討しなければなりません。すなわち「取得が議論される以前における被取得会社の時価総額を超える多額のプレミアムが支払われていた」。「取得価額に比して相対的に多額ののれんが計上されている」。「取得時に明らかに識別可能なオークションまたは入札プロセスが存在していた」。「取得対価の支払が、主に取得会社の株式で行われていた」ということなんですが、ですから、明らかにその買収の過程において多額の金額が支払われて、そのプレミアムの金額がかなりの多額になるという状況、そのような状況がこのマル1からマル4に該当するんだと思いますが、そのような状況が存在する場合には、取得後2年以内の期間において、そののれんの金額が実際に将来において実現可能なのかどうかという判断をやらなければならないという内容でございます。

それから、負ののれんについては先ほど申し上げましたので、APB16とは違う処理方法が提案されていますということだけで、割愛させていただきます。

それから最後に、無形資産の会計処理。無形資産の会計処理につきまして、認識及び測定について、「企業は他の企業あるいは個人から取得した無形資産を、それらの資産が単独、あるいは集団として取得されたか、企業結合の一部として取得されたかどうかに関わらず、取得日に認識し、その公正価値に基づいて測定をしなければならない」とされております。

のれんの償却については「のれんは有効経済年数にわたって(20年を超えない期間)、原則として定額法で償却する」。"原則"と書いてありますのは、定額法以外の方法でより効果の発現を反映する方法が存在するならば、その方法も認めているわけですが、原則は定額法ということです。「のれんは獲得した会計年度における環境の変化や事象を起因として減損しない限り、その発生年度に即時償却はしない」ということで、減損の事実がない限りにおいては、取得年度の即時償却は認められておりません。

それから、のれん以外の無形資産の償却ですが、「償却が強制される無形資産は、以下の一定の条件を満たす無形資産以外の、信頼性をもって測定可能な識別可能無形資産であり、その有効経済年数(20年以内)にわたって償却されなければならない」となっております。今ご説明しているのは公開草案のもともとの内容です。もとの内容の中には、まず、20年を上限とするという判断がございますので、5年以内の無形固定資産についても、「以下の一定の条件を満たす無形資産以外」、この次のページにその「以下の一定の条件」とありますけれども、そういった特別なもの以外は20年以内で償却するという建前になっています。先ほど申し上げたFASBの仮決定は、そもそも20年という大前提をまず取り払うということです。

その特別な条件というのが最後の10ページに書いてあることでございます。10ページに書いてありますのは、無形資産が以下の二つの条件をともに満たす場合は、有効経済年数が20年以内に限定されることがないという、20年を超えて償却できる場合の条件です。

「無形資産が20年を超える期間にわたって維持されると予想される、明らかに識別可能なキャッシュフローを生成している」。「その資産が交換可能であるか、あるいは20年を超える期間にわたって続く契約、あるいはその他の法的権利を通して、将来の資産の経済的便益に対する支配を得ている」という、この二つともの条件を満たした場合には、20年を超えて償却期間を設定することができます。

この二つに加えて、「その無形資産に観察可能な市場(observable market)があり、無限の有効経済年数を持つと決定されている場合には、その有効経済年数が有限であると判断されない限り、償却対象とはならない」ということもございます。

10ページの最後に、無形資産の減損についてまとめて記載してございます。減損について考える場合には、償却が強制される無形資産と、償却してはならない無形資産に分けられております。

償却が強制される無形資産、すなわち、のれんとその他の償却性無形資産ですが、企業結合によって取得された無形資産に限らず、のれんや償却が強制されるのれん以外の無形資産は、SFAS121(減損会計)に基づいて、その回収可能性が疑わしくなっているような場合には、当該資産の減損について検討しなければなりません。

それから、償却してはならない無形資産。企業が保有・使用している無形資産のうち償却してはならないものについては、毎年、減損のレビューを実施し、無形資産の帳簿価額がその公正価値を超える場合には減損を認識するとされ、公開草案の中では、償却してはならない無形資産も減損の対象となっております。先ほど申し上げたとおり、今の仮決定では、取得価額と公正価値のどちらか低い方で評価し、減損会計を適用しないとしていますので、そちらに従えば、この二つの右側の方は適用なしということになります。

レジュメとしてご用意いたしましたのは以上ですが、簡単に表示についてご説明させてください。

まず、公開草案の中の表示なんですが、一つは、損益計算書上の開示方法としましては、法人税費用の後にのれん費用、税金、廃止事業による損益控除前利益という利益の概念がありまして、その後、のれん費用を税引き後で記載して、廃止事業による損益控除前利益というのを出して、それから廃止事業による損失を控除して純利益を出すという税金費用の後にのれん費用を税引き後で独立して記載するという形になっております。税金の後にのれん費用が出てきて、その後、廃止事業による損失が出てきて、純損益が開示されるという、少し変わった形になってございます。

それから、注記事項ですけども、APB16の場合は、あたかも期首現在で買収が行われるとした場合の損益計算書を開示するという規定があるのですけども、それは公開草案では削除されておりまして、取得時点における資産及び負債を、公正価値と帳簿価額で記載するという形へ変更がなされております。ただ、この辺についてはまだ審議中で、変更の予定があるようです。

それから、最後に、無形固定資産を取得した場合には、APB17と比較しましてより詳細な記述――例えば耐用年数をどのように設定したかとか、資産の内容に関する記述の要請が追加されています。

私の方からは以上でございます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

事務局から簡単に補足ございますか。

○辻前企業会計専門官

先ほどご紹介がありました10月3日に下院の方に提出されました法案について、簡単にご説明させていただきます。

名前は、直訳いたしますと「無形資産の財務会計再検討法案」ということで、民主党の議員と、それから共和党の議員が、連名で出しているような形になっております。

具体的な内容としては、持分プーリング法廃止を暫定的に猶予するという内容になっておりまして、SEC及びFASBは、会計基準を変更する前に、のれんを含む購入及び自己創設無形資産の会計処理方法について包括的な再検討を実施しなければならないと述べられておりまして、具体的には、議会の代表者が任命しました委員からなる無形資産の財務会計委員会を設置いたしまして、そこで、例えば今の会計基準でどのような問題があるかという点、それから、プーリング法が廃止された場合にはどのような経済的インパクトが生じるかという点、それから、購入及び自己創設無形資産についての識別評価、それから会計処理方法について検討を行うというふうになっておりまして、最後に、設置後9カ月以内に報告書を大統領及び下院に提出することというようになっております。

現段階ではそういうものが出されたというだけで、この後どうなっていくかは、まだはっきりしておりません。

以上です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

次のご報告の後に意見交換をいたしたいと思いますが、その前に、ただいまのアメリカの基準についてご質問がございましたら、この時点でお出しいただいて結構でございます。

どうぞ、安藤委員。

○安藤委員

仮決定の性格なのですけれども、これは公開草案の一部をこのように変えたと理解するのですか、それとも先取りと理解するのですか。

○金井委員

公開草案自体は公開草案として残っておりますので、私の理解では、審議の過程でこれこれの項目についてはこのように仮決定いたしましたというFASBから意見書案という形で、個別の報告が出されていると理解しております。

ですから、私は、公開草案自体が変わっているわけではないと思います。

○辻前企業会計専門官

このままというか、現状のままで締めた場合は、公開草案が今のこの仮決定の内容に書きかわるという解釈になると思いますが。

○安藤委員

先取りしたということでいいんでしょう。

○辻前企業会計専門官

そのような理解になると思います。

○斎藤部会長

ほかにご質問ございますか。

特にないでしょうか。

私の方から1点だけお伺いいたしますが、8ページの一番上で、FASBの公開草案では、「プーリング法については理論的根拠に乏しいとしてこれを排除し」というときの、その「理論的根拠」ということについて、先ほどのご説明では、従来言われてきた持分の継続性ということに対して、それが当てはまらないというご説明であったのですが、そのように考えてよろしいわけですね。

○金井委員

それだけではないと思います。この公開草案の中自体でも、理由は三つ、四つ記載されてございます。その中の一つの理由として、持分の継続性が本当にあり得るのでしょうかということがあげられており、それ以外にも幾つか理由が記載されてございます。

○斎藤部会長

これが最大の理由だと一応理解できるということでしょうか。

○金井委員

申し訳ございませんが、私個人としては、それが最大の理由かどうかというのはわかりません。

○斎藤部会長

そうですか。ご質問している意味は、パーチェスを使った場合、買収側は評価換えしないわけですが、それは持分が継続しているからではないんでしょうかということを伺いたかったんですが。

ということは、持分プーリングについて、持分の継続がないから評価換えせよというのであれば、パーチェスの論拠もまた成立しなくなるという可能性もあるように思ったものですから。

○金井委員

よくご存じの先生がそのようにご質問をされるわけですから、難しいことだと思うのですけども、私も今日の準備をしておりまして、それぞれの立場が色々であって、どの方法が絶対という、完全な理由はないように思えます。ただ、プーリングを排除するとするならば、そのような理由になるであろうと私は理解いたしました。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

ほかにご質問はないですか。

小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

今の斎藤部会長の質問に関係するのですけども、プーリングとパーチェスを分けることは取得企業の側からの会計処理の議論ですね。一方で、株主の側からの議論というのがありますね。例えば、株主の場合は譲渡損益を認識することになります。株式の交換に該当するので株主と保有されている企業の会計処理がミラーでないといけないといった理由か何か公開草案に書いてあったら教えていただきたいと思います。

○金井委員

私の記憶の限りではなかったと思います。

○斎藤部会長

よろしいですか。

ほかにご質問ございますでしょうか。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

8ページのところで、公開草案で、単一処理方法採用の必要性ということが強調されているわけです。FASBのホームページでも、なぜプーリンクを廃止すべきかということを強調しているわけですけれども、ここで書いてあるAPBルールからしますと、状況別に単一の方法が規定されているのであって、同じ状況で二つの方法をどちらか選択できるというルールにはなっていなかったはずですから、かつても単一処理方法を強制していたわけです。つまり問題は、複数の方法の、例えば定額法と定率法のような選択を巡る問題ではなくて、その状況別に会計方法を使い分ける運用の問題なのではないかという気がしてしようがないんです。同一の状況でも二つの方法を選択できるような状況というのは、APB16号で存在しているのでしょうか。

○金井委員

多分、そこを含めてということだと思うんですけども、例えば単一の状況ということがあったとしましても、全ての取引が同じ取引というわけではないわけです。同じような企業結合でも、それぞれの状況によって違いますから、それを、これはAです、これはBです、これはCですという判断が難しくなってきまして、右側の箱に書いてあるデメリットにあるような裁定の誘因を与えるということで、それでは単一の方がよいのではないかという議論をしているのだと思います。

ですから、ある取引が全て判断づけ可能であれば、ある取引が起こりました。だから、この会計処理方法ですというのであれば、もっとクリアカットになるのだと思うんですけども。

○斎藤部会長

よろしゅうございましょうか。

○大日方委員

別にそんな状況というのは合併以外にも多くあるわけで、特に合併で持ち出されることはないわけですよね。例えば、減価償却法を巡って変更する誘因があって、それでアップデーションが起こるということはあるんですが、そのときに統一しろという意見は普通出てきていないわけですから、なぜここでそれが出てくるのかという点について、特段の説明がなく、論理的には十分ではなくて、論理の一般性という観点からすると多少の違和感を感じざるを得ないという印象が残るということです。

○斎藤部会長

黒川委員、どうぞ。

○黒川委員

誠に論理的に言えば大日方委員のとおりだと思うんですけど、私の理解では、そこの「単一の方法に統一すれば」というところの右側の方にデメリットが書いてありますね。「複数の方法の適用領域について明確で恣意性のない境界を引くことは困難」と。これに引き続いて説明されることが、どうも多いような感じがします。

そういうとき、例えば、先ほどの12の条件の中で、11ページですか。2のマル2の「実質上すべての議決権普通株式と交換に」というときには、たしか95%とか何か数値基準が注記でありましたよね。そういうようなときに、例えば94.9%と95%だったというような、非常に細かいところを考えて、ほとんど同じような、例えば94.9%と95%という二つの仮合併の事例があったとして、片方は持分プーリング法、片方はパーチェス法適用となってしまう。ほとんど同じような状況であるにもかかわらず、ほんの少し形式基準といいましょうか、このような適用基準に合致しているか、合致していないかで、全然違った処理になってしまう。それがどうも比較可能性がないというような議論がされていたように思います。

○斎藤部会長

分類というのはいつもそういうものですけど。ですから、分類の境界のところでは、黒川委員おっしゃる問題というのはどのような場合でも生ずるわけです。多分、大日方委員の聞いていらっしゃるのは、そういう問題ではないと思うんですね。

○黒川委員

私が言ったのは、多分FASBで――大日方委員の論理的なご指摘は、よくわかります。それを認めた上で、ここの比較可能性というところで出てきたのは、そういうような問題で全然違ってしまう結果が、ほとんど経済的実質が同じようなものであるにもかかわらず、境界を引くということで結果が全然違ってしまうというようなことが書かれていたと、そういう記憶があるということを話しただけでございます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

よろしゅうございますか、大日方委員。

○大日方委員

今のところは結構でございます。

○斎藤部会長

ほかにご発言ございませんでしょうか。

なければ、後でご意見は一括してお伺いいたしますけれども、次の国際会計基準の企業結合会計の概要について、松岡委員よりご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○松岡委員

ただいまご紹介にあずかりました松岡と申します。

本日は、約30分ほどお時間をいただいておりますので、お手元に配付されている資料2「IAS現行基準の概要とG4+1の動向」というレジュメに基づきまして、簡単にご報告をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

まず、IASの現行基準の概要について、お話をさせていただきます。

その変遷と背景についてでございますが、IAS22号「企業結合」は、1983年に制定されまして、その後、1993年、96年、98年の3度にわたって改定が行われております。従いまして、現行のIAS22号は、1998年に改定された内容のものとなってございます。

その改定の内容でございますが、企業結合会計に関して抜本的な見直しを行ったものではございませんで、主にIAS36号「資産の減損」、同37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」、同38号「無形資産」との整合性を保つために行われたものでございます。そのほか、負ののれんに関わる会計処理につきましては、見直しの契機と捉えて、基本的な見直しが行われております。

主な改定項目を先に申し上げますと、一つはのれんの会計処理、もう一つは負ののれんの会計処理、三つ目といたしまして、いわゆるリストラクチャリングに関わる引当金の認識等が挙げられるかと思います。

それでは具体的に説明をさせていただきますが、まず、基本的なスタンスを最初にお話しさせていただきたいと思います。

IAS22号は、企業結合の会計処理につきましてはパーチェス法を基本といたしまして、持分プーリング法の適用は、取得企業が識別し得ない、極めて例外的な企業結合の場合に限って認めるというようなアプローチを採用してございます。

2ページ目に移らせていただきまして、具体的な適用範囲でございますが、まず原則といたしましては、連結財務諸表上、企業結合の定義を満たす取引に対して適用されるとしております。一方、個別財務諸表上の適用といたしましては、ほかの企業の株式の購入ではなくて、ほかの企業の純資産の購入のように、親子会社関係を生じさせない企業結合に限られるとされております。また、共通支配下にある企業間、具体的には親子会社間ですとか、子会社間の結合取引等には適用されないということになっております。

お話をする前に、まず定義を確認させていただきたいと思いますが、まず「企業結合」とは、「一つの企業が他の企業と合体しもしくは他の企業の純資産及び事業に対する支配を獲得する結果として、独立する複数の企業が経済的主体となることをいう」とされております。

「取得」につきましては、「一つの企業すなわち取得企業が、他の企業すなわち、被取得企業の純資産及び事業に対する支配を、資産の移転、負債の引受、もしくは持分の発行により獲得することとなる企業結合をいう」とされてございます。

一方「持分の結合」とは、「結合後企業体のリスクと便益を継続的に相互に共有するために、結合当事企業の株主が結合当事企業の純資産及び事業に対するすべて(又は事実上のすべて)の支配を結合することになり、結果として」――次が重要でございますが――「いずれの結合当事者も取得企業として識別しえない企業結合をいう」とされております。

なお、ここでいう「支配」とは、日本の場合とほぼ同様だと思いますけども、「企業活動から便益を得るためにその企業の財務及び経営方針を左右する力」というようにされてございます。

3ページ目に移らせていただきまして、今申し上げましたように、取得にはパーチェス法が、持分の結合には持分プーリング法が強制されることになります。従いまして、ある企業結合が取得と持分の結合のいずれであるかが決定されれば、それに関わる会計処理も自動的に決定されるというような流れになりますので、取得であるか、持分の結合であるかというような識別基準が非常に重要になってくるわけでございます。

それでは次に、今申し上げました識別基準の基本的なスタンスをお話しさせていただきたいと思います。

まず、国際会計基準では、企業結合の本質、すなわち取得企業が識別可能か否かにより、識別可能であれば「取得」である。そうでなければ「持分の結合」に分類するというようなスタンスをとっております。また、ほとんど全ての企業結合におきましては、結合当事企業の一方が他方の結合当事企業に対する支配を獲得するため、取得企業を識別することができ、それゆえ、その企業結合は取得であるというような前提を立てておりますので、逆に申し上げますと、取得企業を識別し得ないような場合は極めて例外的な状況に限られるというようなスタンスに立っているかと思います。

次に、具体的に取得に分類されることとなる企業結合についてお話をさせていただきたいと思います。

まず、結合当事企業の一方が他方の議決権の過半数を取得する場合には、そのような所有が支配に該当しないことを明確に証明できない限り、支配が獲得されたものと推定されることになります。

また、企業結合の結果、結合当事企業の一方が、これから申し上げます四つのいずれか一つでも獲得しているというのであれば、取得企業を識別できる可能性があるというようになっております。一つは、ほかの投資家との契約により、他方の企業の議決権の過半数を支配する権限。あるいは、法令または契約によりほかの企業の財務及び事業方針を左右する権限。あるいは、他方の企業の取締役会又はこれと同等の支配機関のメンバーの過半数を選任あるいは解任する権限。四つ目といたしまして、他方の企業の取締役会又はこれと同等の支配機関である議決権の過半数を行使する権限。四つが挙げられております。

さらに、これから申し上げます三つのような兆候が存在する場合には、取得企業が存在している可能性があるとしておりまして、その一つとしては、一方の企業の公正価値――基本的には株価総額と考えていただいて結構かと思いますが――それが他方の企業の株価総額よりもかなり大きいというような場合には、公正価値の株価総額の大きい企業が取得企業である。もう一つといたしましては、企業結合が議決権付の普通株式と現金との交換により実施されたような場合では、現金を引き渡した企業の方が取得企業であろう。三つ目といたしまして、一方の企業の経営者が結合後、存続企業体の経営陣の選任上支配的な立場にある場合には、そのような支配的な立場にある企業が取得企業であろうと記述されております。

レジュメには書いておりませんが、一つここで補足させていただきますと、IAS22号では、逆取得という考え方も採用されております。今申し上げました逆取得というのは、例えば、吸収合併の当事会社のいずれもが発行済株式総数が100であったということを想定していただきたいと思います。消滅会社株式の1株に対しまして、存続会社株式が2株割り当てるような場合を考えていただきますと、そのような場合は、法律上は株式を発行する存続会社が合併後存続する会社となりますが、合併後の会社に対して、先ほど取得に判断されるような識別基準を申し上げましたように、議決権ですとか、その他の権限を享受することとなる取得企業は、吸収合併後の発行済株式総数300のうち、その過半数である200を有することとなる株主によって結合前に所有されていた法律上の消滅会社であるということから、存続会社が消滅会社によって取得されたものとみなし、存続会社の資産・負債に対してパーチェス法を適用するというような解説がございます。

今申し上げましたように、企業結合の当事会社のいずれが法律上の存続会社となるかどうかというような法形式よりも、いわば取得企業が最終的に識別できるかどうかという経済的実質を優先しているものと考えられます。

続きまして、持分の結合に移らせていただきたいと思います。

まず、持分の結合に分類されるためには、これから申し上げます三つの全ての要件が満たされた上、かつ、結合当事企業が取得企業を識別し得ないことを立証できる場合に限られるというように解釈されております。今申し上げました「かつ」以下につきましては、基準そのものには書いてございませんが、解釈指針9号というものがございまして、そちらの方の解釈によれば、「立証できる場合」というように解されているようでございます。

では、その三つの要件をお話しさせていただきます。

一つは、結合当事企業の議決権付普通株式の事実上ほとんど全てが交換またはプールされる。一方の企業の株価総額が、他方の企業の株価総額と大きく異ならない。いずれの企業の株主も、結合後において、結合存続企業体に対し結合前と相対的に同様の議決権及び持分を維持しているという条件でございます。

なお、これから申し上げますような状況の場合には、取得企業が識別される可能性が高まるというように、一応注意が喚起されておりまして、まず、結合当事企業間で公正価値の相対的同等性が減少し、交換される議決権付普通株式の比率が下がってしまう。あるいは、財務上の協定により、ある株主グループがほかの株主グループより有利な立場となる。もう一つといたしましては、一方の企業の結合存続企業体に対する持分が、当該企業が結合前に支配していた事業の結合後の業績に依存しているというような場合でございます。

それでは次に、主な改定項目、及び国際会計基準に特徴的な規定に限ってお話をさせていただきたいと思います。

まず、パーチェス法の会計処理について幾つかお話しさせていただきたいと思います。

一つ目は、パーチェス法の下で個々に認識されるべき資産・負債の範囲に関してでございます。原則といたしましては、取得日に存在する被取得企業の資産・負債であって、次のいずれの要件も満たすものとされております。二つの要件は一般的な要件でございまして、経済的便益が流入するか、あるいは支出する可能性が高い。そして、その原価又は公正価値を信頼性を持って測定できるという条件でございます。さらに、取得企業の意思又は行動から生ずる負債を取得日時点で認識してはならないとしておりまして、将来の営業損失、あるいは取得の結果発生すると予想されるほかの費用についても負債を認識してはならないとされております。

一つの例外が認められておりまして、それは、取得日時点においては被取得企業の負債ではない。しかしながら、次の要件の全てを満たす引当金、これが一般的にリストラクチャリングに関わる引当金を念頭に置いていただくとよろしいかと思いますが、そういったものは逆に認識しなければならないとされております。

その三つの要件は、まず一つ目といたしまして、取得企業が遅くとも取得日までに被取得企業の事業活動の廃止又は縮小を伴うこととなる計画の大綱を作成していること。そして、取得企業がその大綱を取得日までに公表したことによって、取得企業がそのような計画を実行するであろうという確実な期待を関係者に抱かせていること。三つ目といたしまして、取得日から3カ月後、あるいは年度財務諸表の承認日のいずれか早い日までに、その大綱に基づき、今度は正規の詳細な計画を作成していること。この三つの要件を満たしたものについては認識しなければならないとされてございます。

もう一つの特徴的なところといたしましては、取得した無形資産の公正価値の決定方法を挙げられるかと思います。具体的には、無形資産の会計基準であります38号におきまして定義されている活発な市場を有するようなものについては、それを参照にして決定された公正価値。そのような活発な市場が存在しない場合には、原則として、レジュメに書かれているように、入手可能な最善の情報を用いて見積もるということになっております。

しかしながら、その結果、負ののれんが生じないか、あるいは増加しない金額に制限するとされております。これは机上、読んだだけですとなかなかわかりづらいので、簡単に説明させていただきますと、例えば取得原価が80であった場合で、活発な市場が存在しない無形資産を除く識別純資産の公正価値が100であったといった場合には、その時点でもう負ののれんが20既に生じていることになります。従いまして、そのような状況で対象となる無形資産を認識しますと、負ののれんが増加してしまいますので、そういったような場合には増加しない金額に制限する。すなわち、一切認識してはならないということでございまして、逆に、取得原価が80、活発な市場がない無形資産を除いた純資産の公正価値が70であれば、その状態では逆に正ののれんが10発生する状況になるかと思います。そこで、仮に無形資産を追加で、本来であれば20認識してしまいますと、逆に負ののれんが10生じてしまうことになりますので、そういった場合には負ののれんが生じないような10までの金額に制限するというようにお考えいただければ、わかりやすいのではないかと思います。

次に、のれんの会計処理といたしましては、20年を反証可能な上限といたしまして、最善の見積期間にわたって規則的に償却するとされております。従いまして、のれんの有効年数は基本的に20年を超えないというような推定を設けているわけでございますが、それは反証可能だという前提の下ですので、そういったような反証が可能な場合には、20年を超える見積期間にわたって償却できます。ただし、そのような場合には、36号の資産の減損の規定に従いまして、各決算日ごとに、その回収可能性を検討しなければならないとされております。

続きまして、負ののれんの会計処理につきましては、まず、負ののれんを大別いたしますと二つに分けております。一つは、取得日現在では識別可能な負債ではあるが、取得企業の取得計画において識別され、信頼性を持って測定することが可能な将来の予想損失・費用に関連するものと、それ以外のものに大別してございます

さきに申し上げた一つ目の負ののれんについては、それに関連する将来の損失や費用が認識された時点で、利益として認識しなければならないとされておりまして、そのような将来の損失や費用が当初予想された期間内に認識されなかったというような場合には、先ほど申し上げました2番目のそれ以外ののれんと同様に取り扱うということになっております。

それでは、それ以外ののれんはどのような会計処理がなされるかといいますと、また、そののれんを二つに分けております。一つは、取得した識別可能な非貨幣性資産の公正価値を超える部分。もう一つは超えない部分に分けておりまして、超えない部分につきましては、取得した識別可能な非貨幣性資産の残存平均加重有効年数にわたって利益として償却をする。超える部分については、即時に利益として認識するというような内容になってございます。

それでは、IASにつきましては、若干の補足をさせていただきたいと思いますが、詳細につきましては皆様に既に配付されております黒表紙の参考資料14の中に、改訂IAS22号の和文がございますので、時間のあるときにお目通しいただけたらと思います。

補足させていただきますと、まず適用時期でございますが、1999年の7月1日以降開始する年度財務諸表に対して適用されることになっております。詳細な経過措置が設けられておりますし、早期適用も奨励されております。ただし、早期適用をする場合には、さきにお話ししましたように、この22号が減損、あるいは引当金関係、無形資産との整合性を確保するために行われている側面がございますので、今申し上げた三つとセットで適用することが義務づけられております。従いまして、そのような三つの基準と相互に補完し合っているという前提の下で適用する場合には、全てセットで適用することが要求されてございます。

そのほかといたしましては、実際にパーチェス法を適用する場合に、取得が連続的な株式購入により達成される場合の具体的な取扱いが示されておりますし、パーチェス法の下で認識すべき個々の資産・負債の公正価値の決定方法につきましては、各項目ごとに詳細な指針が示されております。

最後に、パーチェス法、プーリング法を採用した場合に、それぞれ求められることとなる詳細な開示内容につきましても記載がされておりますので、その旨をつけ加えさせていただきたいと思います。

それでは、次に、さきに金井委員の方からお話しありましたように、アメリカの見直しの一つの契機ともなったと考えられるG4+1から出ている報告書のロジックを、順に沿って簡単にお話をさせていただきたいと思います。まず、レジュメの7ページ目。時間の関係で少し省略させていただきますが、企業結合に関しましては、1998年の12月に公表された報告書は、これまでのG4+1が公表してきた報告書とは性質が異なりまして、各基準設定主体がとるべきアプローチを提案、勧告しようとするものになってございます。

具体的には、企業結合に関する全ての会計処理の相違点を一度に統一するという方法を採用するのではなくて、会計処理方法についてのみパーチェス法のみに統一をして、プーリング法を禁止することを提案した内容となってございます。

その報告書の基本的なアプローチでございますが、まず、会計処理の結果得られる会計情報の意思決定有用性を評価基準として、まず、会計処理方法を一つだけにすべきか、あるいは複数用いるべきかを検討しております。その後に、単一あるいは複数の会計処理方法としてどのようなものが望ましいかを検討するアプローチを採用しておりまして、具体的に検討対象となったものとして、パーチェス法、プーリング法のほかに、現在は実際にどの基準設定主体においても採用されてはおりませんが、フレッシュスタート法と呼ばれるものの三つが検討対象となってございます。

今申し上げました三つの会計処理方法による会計的な結果の主な相違点が、レジュメの8ページの下の方にまとめておりますので、そちらの方を見ていただきたいと思います。

結合企業の資産及び負債の取引価格に基づく評価を行うかどうかにつきましては、プーリング法は行わない、パーチェス法は被取得企業の分だけを行う、フレッシュスタート法は全て行う。取引価格に示されるのれんを認識するかどうかという観点では、プーリング法は認識しない、パーチェス法とフレッシュスタート法は認識するということです。次に、結合当事企業の利益剰余金を引き継ぐかどうかについては、プーリング法は全て引き継ぐ、パーチェス法は取得企業の分だけを引き継ぐ、フレッシュスタート法は引き継がないということでございます。また、結合日前の利益を結合するのかどうかにつきましては、プーリング法はする、パーチェス法とフレッシュスタート法はしないというようなことになります。

次に、各方法の理論的な根拠の主要な相違点についてお話をさせていただきたいと思います。

まず、引き渡した対価の性質は会計と関係があるのかどうかという観点では、プーリング法は関係がある。すなわち、基本的には株式のみである。パーチェス法とフレッシュスタート法は関係ないということでございます。結合当事企業は結合取引の当事者とみなされているかどうかという観点につきましては、プーリング法は、株主のみが当事者であるというような考え方でございますので、みなされない。一方、パーチェス法とフレッシュスタート法は、いずれもみなされているということでございます。次に、結合取引の結果、新たな企業体を創出することになるかどうかという観点については、プーリング法は創出されない。パーチェス法も創出されない。フレッシュスタート法は創出されるということでございます。結合当事企業の資産及び負債の一部、あるいは全てに対する支配が変化するかどうかという観点では、プーリング法は変化しない、パーチェス法は被取得企業の資産及び負債だけが変化する、フレッシュスタート法は全て変化するというような相違があろうかと思います。

それでは、結論が導き出されるまでの過程を順を追って簡単に説明させていただきますと、まず、主に情報の比較可能性を確保する観点から、二つの方法を認めるよりも単一の方法しか認めない方が望ましいと、暫定的に結論を下しております。ただし、その場合には、ある単一の方法が全ての企業結合取引に適切に適用できることが条件となります。その後で、今申し上げました三つの方法のうち、唯一全ての企業結合取引に適用できる可能性のあるパーチェス法から検討を進めております。

10ページに移らせていただきまして、まずパーチェス法に関してでございます。パーチェス法の理論的な根拠といたしましては、取得した資産及び引き受けた負債を、取引において交換される対価の性質に関わりなく――これは現金であるか、株式であるか、その他のもであるかに関わりなく――通常同じ方法で認識測定する会計処理方法と整合していると。すなわち、交換された対価の公正価値に基づく会計処理方法であるということが、理論的な根拠とされてございます。

従いまして、パーチェス法の適用により、ほかの会計情報と比較可能な情報が得られる上、パーチェス法は利害関係者にとっても理解が容易である。取得した全ての資産及び負債の公正価値に関する情報は、入手することがなかなか難しいのではないかというような批判もあろうかと思いますが、その点につきましては、何も企業結合に限った話ではなくて、ほかの一般的な購入取引でも同様な困難が伴うことがあるというようにされております。ただし、取得企業が識別できない企業結合が現実に存在するならば、パーチェス法を全ての結合取引に適用する可能性は損なわれるし、極めてまれに取得企業の実質が大幅に変容するため、パーチェス法ではなくほかの方法を適用すべき結合取引が存在する可能性もあるということを理由にして、プーリング法、あるいはフレッシュスタート法を適用すべき状況の有無について、次に検討してございます。

プーリング法につきましては、その一つの根拠といたしまして、結合取引が株主間で行われるということがございますが、結合当事企業が企業結合に関する交渉の過程に深く関与しているという事実から考えると、このような概念は否定されるとしております。

もう一つの根拠である、持分の交換によって実施される企業結合では、所有者持分が継続されるということが挙げられますが、それに関しましては、結合前の所有主持分は、一方の結合当事企業のみのリスクと収益に関するものであったのに対しまして、結合後におきましては、結合当事企業全てのリスクと収益に関係するということになるので、そのような論拠も否定されるとしております。

また、プーリング法のように交換取引を交換された公正価値に基づいて認識・測定しない例外的な処理方法が正当化されるためには、プーリング法によって得られる情報の意思決定有用性がほかの方法から得られる情報のそれより高い場合に限られるとしておりますが、プーリング法から得られる情報は、ほかの方法から得られる情報と比較しても、将来を予想する価値が劣っているばかりか、投資活動が会計上含まれないために、情報のフィードバック価値も損なわれる。さらには、結合前に既に生じていたはずの損益を、結合後の企業において認識する可能性があるという理由から、情報の信頼性、具体的には表現の忠実性にも問題があるとしております。

また、報告企業だけではなく、財務諸表等の利用者にとってのコストも考慮してみると、それらのコスト合計と、得られる情報、又意思決定有用性とを比較した結果、プーリング法よりもほかの方法の方がすぐれているとしております。

さらには、一定の条件を満たす企業結合について、プーリング法を認めるアプローチを採用してきた米国の実績によれば、そのようなアプローチの適用には数多くの困難を伴っていた。具体的には、解釈に問題が生じるために解釈指針を多数、作らなければいけなかったということかと思います。

また、例外的にプーリング法を認めるアプローチは、米国以外の幾つかの国に実際にございますが、パーチェス法とプーリング法によって得られる結果が著しく相違する結果、プーリング法を適用することにより、より望ましい結果を得ようとする報告企業は相変わらず存在する。プーリング法の適用を認める解釈を作ろうとする圧力も常に発生するとしております。

今申し上げてきたような結果、プーリング法はいかなる企業結合取引に対しても適用すべきではないと判断しております。

次に、フレッシュスタート法につきましては、その論拠は、どの結合当事企業も存在せず、新しい事業体が生ずる企業結合については確かに合理的であるが、取得企業を識別できない企業結合はまれであろうし、結合後の企業の性質が結合当事企業のそれと著しく異なる場合も少ないであろうと考えているようでございます。

一方、フレッシュスタート法は、結合当事企業が従来認識していた資産・負債のみならず、全ての資産・負債を公正価値により認識・測定しますので、その結果得られる情報は、確かに完全で、忠実に表現されたものであろうとしておりますが、例えば、実際にフレッシュスタート法を適用することを想定した場合に、のれんを認識する場合、どのような決定方法にするのかですとか、いかなる場合にパーチェス法ではなくフレッシュスタート法を適用すべきかなどなど、解決すべき問題が非常に多く存在するほかに、自分にとってより望ましい結果を得ることができる会計処理方法を選択しようとする動機は、やはり二つの会計方法を認めると、相も変わらずな状況になるであろうということを言っております。

結論の概要といたしましては、全ての企業結合を会計処理する方法としては、パーチェス法のみを認めるのが最善であるとした上で、確かに企業結合の中には、パーチェス法よりもフレッシュスタート法を適用した方がよい場合もあるけれども、フレッシュスタート法の利点、すなわち表現の忠実性が向上されるということと、適用に関わっては追加的なコストが発生すること、やはり二つの方法を認めざるを得ないというようなことから生じる欠点とを比較した結果、欠点の方が大きいとしております。

また、取得企業を識別できないまれな企業結合につきましては、最も大きい結合当事企業を取得企業とみなす方法ですとか、あるいは、結合当事企業自身がどちらを取得企業とするかについて、一方的に指定するというような方法のような恣意的な解決でも十分であろうというように考えた結果、最終的にはパーチェス法を全ての企業結合に適用した方がよいというロジックとなってございます。

予定の時間を少しオーバーしてしまいましたが、私の方からは以上でございます。

○斎藤部会長

大変ありがとうございました。

それでは、ただいまのご報告に関連いたしまして、IASCの理事を務めておられます山田委員から、追加していただける事項がございましたらお願いいたします。

○山田委員

IASCの理事会の方でも、この問題を取り上げております。ステアリングコミッティが実際にできており、さらに、日本からも委員が出て、議論に参加しております。

これは少なくともG4+1の意見書が出たのと同じ問題意識を持って、先ほど松岡委員の方からご説明のありました現在のISA22号の、パーチェスと、それからプーリングという、この二つの処理を適用すべき事態、本当に明確に区別できる実態があるのかどうかということを見直そうということで検討をスタートしております。

具体的には、何回かステアリング・コミッティの会議が開かれ、さらには、IASCの理事会でも、去年の11月と今年の3月と、2度ほど実は議論がされております。しかし、なかなか議論が迷走しているというのが実態でございまして、一つは、ステアリング・コミッティの中でもIAS22号でいう持分プーリングを適用すべき事態、先ほど非常にまれな事態とご説明あったと思うんですが、こういう事態が本当にどういう事態なのかという実態を調べる必要があるんじゃないかという意見。それから、よくよく詰めていくと、全てやはりパーチェスという形で処理すべきではないのか、さらには、もう一方の意見としては、フレッシュスタート法がいいのではないか・理論的ではないかという主張も中にあるようでございます。一たん、去年の11月の理事会に、どちらか一つの方法にするか、それとも現在の二つを認めるか、いかがいたしましょうかという意見の打診がありまして、理事会から、プーリングとパーチェスは併存すべき、ないしは、それぞれの方法を適用すべき異なる事象があるという前提の下に、特にプーリングが適用できる事態をもう少し調査してくださいという依頼をしてあります。

その結果、これはつい最近の事態を問い合わせたところ、現在、イシューズペーパーを一つ作ろうということで準備をしているとのことです。このイシューズペーパーの中では、基本的にはプーリングとパーチェスのテクニカルな分析を、どういう状態で使われているかという分析を取り扱おう。さらに、フレッシュスタート法についても、その妥当性についてはもう少し突っ込んだものにしよう。さらに、関連問題として、先ほど出ている共通支配下の企業とか、共通支配下のジョイントベンチャーといったような問題、それから、ニューベーシスアカウンティングについても触れよう。つまり、現在つけている簿価が、どういう事態が起こったならば適切ではなくなるのかというようなことについて検討してはどうかということで、そういうような問題領域をカバーしたイシューズペーパーを、今現在準備中だとのことです。ただ、不幸なことに、現在、ISACの理事会の組織が改組するという事態に当たっておりまして、年内にイシューズペーパーは到底できないので、それをどういう形で取り扱うかについては、新しくできる理事会の方で決めるということで、事務局としてはそういうイシューズペーパーの準備をしているけれども、先についてはわからないというのが、現在、私が得ている情報でございまして、それに加えてもう一つは、アメリカで起こっている事態を少し見て、その動きいかんでプロジェクトの動向を見きわめようと、そういうところで少しとどまっているというような状況でございます。

○斎藤部会長

大変ありがとうございました。

それでは、これまでのご報告に対するご質問やご意見等をお伺いいたします。どなたからでも結構でございますので、ご自由にご発言いただきたいと存じます。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

必ずしもここで十分なお答えをいただけるかどうか、ちょっと定かではないんですが、G4+1のところで、途中で、三つの方法を比較して、特に11ページくらいでしょうか。11ページの一番上の黒丸くらいのパラグラフにも出てくるんですが、重要な情報ということからしますと、通常、テキストの話ですと、合併でどんな方法を使うかによって将来のキャッシュ・フローは変わりませんから、そのことによって意思決定の有用性がどうこうということはあり得ない話で、その観点から三つの方法で選択できるはずがないわけです。もしも、副次的に生じるキャッシュ・フローを考慮すると、最近はやりの言葉で言いますと、経営者報酬ですとか、債務契約とかという契約コストですね。それがいずれの方法をとるかによって変わってくるので情報価値が変わるとすれば、それはむしろ一つの方法に削減した方が情報価値は落ちるのであって、複数の方法からの選択を認めた方が、投資家にとっては情報価値が高まるというのが常識であります。

従いまして、その点から言うと、ここに書いてあることは理論的にはほとんど意味を持っていないと言わざるを得ないわけであって、比較可能性という議論は残りますけれども、意思決定有用性という観点からこういう議論をされるというのは、恐らくは、多分、何かの勘違いか、過剰反応かという感じがします。

従って、ここは私はうのみにしてほしくないという感じです。

○斎藤部会長

ほかにご発言ございませんでしょうか。

安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

この内容の問題ではなくて、アメリカで議会が割って入って先へ行かない、不透明感が出てきたということ、また、IASCの方でもアメリカの模様ながめというようなことになってくると、日本はどうするかということなのですが。少なくとも、全然基準がないんだから、現行のIASあるいはFASBの現行基準くらいまで、整備するのか、それとも、アメリカもIASCも見直し中なので、その結論が出て、そのアップデートされた基準にするか、二つあり得ると思うのですが。

○斎藤部会長

答えるべき資格を持った人がここにおられれば。会長か、あるいは事務局か、いずれかではないかと思いますが。

○若杉会長

全てが質問ではなくて、意見であっていいわけですから。

○斎藤部会長

どうぞ、山田委員。

○山田委員

補足みたいな話ですが、IASの「負ののれんの会計処理」で、特に6ページのところから負ののれんについて、ある意味ではおかしなと見えるような処理をしているのですが、この前提として、6ページを見ていただくと、「取得日現在では識別可能な負債ではないが、取得企業の取得計画において識別され、信頼性をもって測定することが可能な将来の予想損失」というような――私はこの変更に携わったことから、日本で適用する際の基本的な条件がちょっと違うのではないかという観点から、一応指摘をしておきたいと思って発言しているのですが――典型的には、将来、購入した部門のうちどこかをたたんでしまうためのようなコストとして割り引いてくるために生じている負ののれんというのが、マル1のところで大体カバーしている部分なんですが、これをIASでは引当金としての認識ができないという点を一つご指摘したい。

なぜならば、先ほどの5ページのところの一番下の黒丸のところで、いわゆるリストラクチャリングができる引当金について、ある要件を書いてあるかと思うんですけれども、基本的に、取引が起こった時点で、債務性のないものについて引当金の計上ができないというか、IASの引当金の考え方というのは少し狭い考え方をとっておりますので、従って、この5ページのところで救おうとした事態であっても救えないような、つまり、取得した後、将来どこかの時点で事業をたたみたい。それに対して、その分を値引いた取引価格を決めるというような形で出てくる負ののれんについては、引当金の設定もできない。しかし、取引価格が低いことは事実なので、負ののれんを認識しなければならない。それをある期間に一律に償却してしまうと当事者の意図が反映しないということからこの区分を設けて、特にこういう特別な扱いをしたということですので、その辺の事情だけちょっとご説明しておきたいと思いまして、発言させていただきました。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

どうぞ、中島委員。

○中島委員

私もG4+1の報告書というのは前に読んだことがあるんですけれども、率直に言って、何となく結論の出し方がかなり強引だという印象を、そのとき持ちました。ただ、先ほど松岡さんのご説明にもありましたように、多分その前提として、パーチェス法を適用すべきでない企業結合というのは非常にまれだ。ごくごく例外的なものだという認識があるのだろうと思います。多分、金井さんのご説明になったアメリカの公開草案もそうですし。

それともう一つは、そういうものとパーチェス法を適用すべきものとの間を線を引くことが、今までの経験から非常に難しいという立場をとっているのではないかと思います。

ただ、本当にパーチェス法を適用すべきでない企業結合が、ごくごく例外的な話なのか、特に日本のような状況の下でそう言えるのかどうか。それから、ワーカブルな線の引き方というのは本当にそんなに至難なことなのかというところあたりが、これから企業結合の議論をしていく場合に、見ていかなければならないという気がします。

○斎藤部会長

ほかにご意見はございませんでしょうか。

黒川委員、どうぞ。

○黒川委員

理論的な、自由に発言したいという雰囲気で先ほどから発言もあったと思うので、大日方委員の議論を認めた上で議論したいのですが、先ほどの意思決定有用性の問題で、大日方委員の前提としてキャッシュ・フローの問題が出てきまして、持分プーリング、パーチェス等々、どの方法をとってもキャッシュ・フローにはしょせん変化がないのだからとおっしゃいました。それから、意思決定の有用性は、キャッシュ・フローを見て意思決定をするのだからというようなことでおっしゃったかのように聞こえたんですけれども、そこが、私も何もG4+1の方をディフェンスするわけじゃなくて、先ほど中島委員のおっしゃったように、おかしいなと思いつつあえてディフェンス側に立って考えてみたいんですけれども、本当にキャッシュ・フローだけなのかという問題があるんですね。

意思決定の有用性のときに、キャッシュ・フローで本当にみんな世の中、意思決定しているのかというところが、まず一つあると思うのと、それから先ほど大日方委員もおっしゃいましたけれども、派生的に少しキャッシュも変わるだろうという点。好意的にG4+1を解釈したときに、もしかしたらそこまで念頭に置いてこれを議論しているのかなとも思ったものですから。ここは読んだときに、私も大変悩みましたが、一方的におかしいとも言えない点もあるのかと。

○斎藤部会長

大日方委員、コメントありますか。

○大日方委員

二つくらいの問題があるのかもしれませんが、一つ目のキャッシュ・フローを考えることについては、キャッシュ・フローが変わるか変わらないかという点で有用性を考えるというのは、一応学問のパラダイムなので、これはちょっと動かせないだろうと思います。もちろん、キャッシュ・フローと関係のない、社長が若くて元気がいいとか、そのような情報を出した方いいというのであれば話は別ですが、基本的には、それは限定してかかるべきだろうと思います。

もう一つは、これはここに限ったことではないのですけれども、情報の有用性云々という議論は、事前に議論するのは非常に難しいわけでして、やってみないとわからないわけであります。事前に言えるのは、非常にステレオタイプ化されたことしかわからないわけです。そのときに問題なのは、かなり学問的に定説というか、確証があって言えていることと、そうでなくて、何となくムードでというか、論調からすると、企業は将来利益を大きく見せるためにプーリングを使いたがって――パーチェスにするとのれんの償却で利益が圧縮されるために――非常にパーチェスを嫌って、抜け道ばかり探す、それを抑えるためにパーチェスを広げるというような前提があって、理論の仮面をかぶっている。このことに対しては、その理論の仮面をはいであげないと。実は「理論」と呼んでいるけれども、全然違っていて、それは単純に正直に、前から続いているいわゆるプーリング反対論であり、単純にそこではプーリングとパーチェスの間で利益の額が大きく違ってくるので、どうも不正があるという、その感情があるんだということをむしろ前面に、正直に言うべきであって、私の学者としての感覚からすると、理論でもないものを理論的だと言われることに対して抵抗があるということです。

○斎藤部会長

よろしゅうございますか。どうぞご発言があったら。

○黒川委員

いいですか。

○斎藤部会長

はい、どうぞ。

○黒川委員

確かに今大日方委員がおっしゃった効率的市場仮説――と普通呼ばれているものに沿っていればということかもしれないのですけれども、実証会計の方からすると、持分プーリングとパーチェスだけに限らず、すべからくキャッシュ・フローに影響しないような決算政策は存在しなくていいはずなんだけれども、存在しているのは何なのかという疑問、また、その企業の決算政策を研究する方のスクールもあるという事実があると思います。

だから、キャッシュだけに限るべきだ。意思決定はそれに限るべきだ。それがパラダイムだと言っても、果たして本当にそうなのかということは、まだもう少しだけ限定をつける必要があるのかということが、まずあります。

それから、このG4+1を私なりにあえてディフェンスして考えたときに、一つ念頭に置いたのがEVA等での企業評価のときに、パーチェスか持分プーリングかで、評価が変わってくるのか、こないのか少し考えたことがあります。そのとき営業利益も変わりますけれども、のれんの償却とかが変わる。EVAが果たしてキャッシュになっていたかどうかというと、現行の報告会計にかなりディペンドしている部分があって、――詳しいところは本を見ても本当の核心のところはよくわからないところがありますけれども――完全にキャッシュばかりで見ているとも言えない。現状の損益計算書と貸借対照表の数字を少しモディファイして使っているというようなものもあったものですから、そこで、もしかしたらパーチェスと持分プーリングで、EVAのようなものの評価額も変わる可能性もあるのかと考えたことがあったという、それだけでございます。

○斎藤部会長

余りその議論に立ち入ってしまうと、私もちょっと首をかしげるところがございますけれども、それは黒川先生と直接にお話をした方が生産的な感じがいたします。

ほかにご発言ないでしょうか。

どうぞ、池澤委員。

○池澤委員

感想ですけども、確かに比較可能性に着目すれば、財務諸表の意味はそこにあるのかもしれませんけれども、1個の方法でやった方が非常にわかりやすい。それから、読者だって、方法は一つですから非常にわかりやすいし、アナリストの方もやりやすいんだろうと思うんですね。

ところが、例えばアメリカなんかだと、会計ということで推し進めていって方法を選択できるのかもしれませんけれども、日本の場合は必ずしも比較可能性だけで会計のやり方を全て決定するということは、いろいろ会計を取り巻く法規がありますから、簡単にはいかないのではないかなというのが、今伺ったところでの率直な感想といいますか、ポイントだと思います。

G4+1の方は、AかBかと突きつけているような感じがしますけれども、これはこれで欧米の税務の会計なり、商法の会計と、会計の会計という、そういう構造が違うところを背景にして、それで歴史がいろいろ悪いことをする人がいたり――わかりませんけれども――そういう歴史の背景があってこうなっているんだと思うんですね。そういうところと、日本のような、商法とか、税法とか、法律と我々の会計とが構造的に密接に関係しているところで同じ議論をするというのは行き過ぎというか、背景を少し見る必要があるかなという感じがしました。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

山田委員、どうぞ。

○山田委員

ここでの今後の議論にも関連するのかもしれませんが、今アメリカでもIASでも、いわゆる共通支配下の下の企業の取引は、基本的には基準から除かれているわけですけれども、そういう問題を取り上げるべきかどうか。特に個別財務諸表ということを重視して考えますと、そういう部分も検討の対象に入れるのかどうかということは、欧米と少し事情が違うのではないかなと。

従って、欧米のまま、そのまま受け入れるのではなくて、我が国の状況の中で、必要なのかどうかを検討してみる必要があるかという感じがします。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

どうぞ、池澤委員。

○池澤委員

補足させていただきますと、商法は今、個別財務諸表についてしか規定はないわけですけれども、この前の原田委員の説明にありましたように、商法でこれから連結の開示が必要かどうかの検討をするようです。そのようなスタートラインに立っている、それに対して我々は今、このような立場にある。商法は、我々産業界としても無視できないので――海外の動きを無視するということはもちろんできないわけですから、全体を見て――我々は今、早く検討をしているわけですので、この前「方向性」と言いましたけれども、何か議論ができればと思います。将来の商法のディスカッションに対する一つのきっかけとなるような、そういう議論ができればと思います。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

ほかにご発言はないでしょうか。

どうぞ。

○多賀谷課長補佐

IASか、G4+1かわかりませんが、非常に基本的なことで教えていただきたいのですが、先ほどから議論になっている「比較可能性」という言葉の意味なんですが、通常は期間比較というのと、横の並びの企業間の比較というのがあると思うのですが、例えば今、金融機関の合併が多く行われているわけですが、合併した金融機関と、しない金融機関の比較とか、同一企業での比較ということになると、途中で評価方法を変えた方が、比較可能性は一たん切れる。株価の指標ではありませんが、比較可能性が切れてしまうような気もするのですが、そこは比較可能性という意味はどのように考えているのでしょうか。

期間的比較も、途中で評価方法が変われば、金融商品の会計基準も、例えば評価方法が変更されれば、前期と次の期の比較可能性は完全に失われるわけですね、財務諸表の上では。当然、情報をリニューアルすればできますけれども。それで今度は、同じ企業間で時価評価している企業としていない企業。例えば、ことしの1年間は選択適用になっていますから、時価評価を最初に適用する企業と、適用しない企業があるわけです。これも当然、比較可能性がないので、その分は注記情報で補うということで、金融商品の会計基準はその1年間を埋めているわけですけれども、そういうふうな意味で横の比較か、縦の比較ということを考えたときに、途中で評価方法が変わるような合併なり、企業結合のやり方をとった方が比較可能性があるのだと言っている意味というのはどういうことなのか、ちょっと十分に理解できないので、教えていただければと思います。

○山田委員

ご質問の意味を十分理解できてないかもしれないんですが、一つは、合併は置きまして、同一企業における会計処理を変えた問題というのは、基本的には過去を遡及修正して表示することによって比較可能性を保つような形を、少なくともIASとか欧米ではとっていますので、そういう形でまず解決されているだろうと思うんですね。日本のように遡及をしないという形になると、まさに断絶がそのまま出てしまいますけれども、彼らはそういう形で多分、一応担保している。ただし、期首のところで累積の影響額を剰余金に入れてしまいますから、その問題は一つあるだろうと思います。

それから、もう一つの問題は、合併によって会計処理が変わるから、比較可能性をという問題ですけれども、そういう形で捉えるのがいいのかどうか分かりませんが、少なくとも前提になっているのは類似ないしは同一の取引に対して、基本的には一つの会計処理しか認めないということによって、その状況にある企業は全て一つの会計処理を適用するということによって比較を担保しようという考え方が根本にあると思うのですけれども、そうすると、合併によってそれ以前の会計処理と、それ以後の会計処理が変わるという事態をどう捉えたらいいのか。私よくわからないんですけれども、少なくとも合併の会計処理ということに関して言えば、一つで処理すれば、合併をするという事態を迎えた企業の状況は比較ができるということではないかと思うのですね。

それで、合併前と後というのは、どう考えるかによって、いずれにしても違う方法をとっている二つが一緒になれば、一つの方法にしなければいけないと思うので、そこである種の断絶があるのではないかと思います。

○斎藤部会長

よろしゅうございますか。

黒川委員、どうぞ。

○黒川委員

何かきょうは本当にディフェンスばかりで不本意ですが、今の多賀谷さんに対する答えとして私が念頭に置いたのは、例えば、読んだ限りで解釈したところでは、まず、同じ企業で前期と当期が違うというところで、例えばフレッシュスタート法の擁護として出てきたのが、もう比較する必要はないという。フレッシュスタートだから、企業結合前の状況と比較する必要もないという、門前払いが一つ論拠としてありました。それが本当にいいのかどうかはわかりません。

それでは、パーチェス法はどうなのかということですが、それについてはG4+1の、松岡委員のご説明のところの10ページのパーチェス法の論拠の2番目、「パーチェス法の適用により、他の会計情報と比較可能な情報が得られる上」という、この文言ですね。私も記憶が定かでないので、間違っていたら教えていただきたいんですが、他の情報との比較可能な情報というのは、他の情報というのは普通の一般の購買というか、交換、購入ですね、それとのアナロジーで、普通の購入の場合は取得原価にその時点での時価が反映されている。パーチェスも取得なのだからそれと同じで、取得した時点での公正価値が反映されているという点で、類似する情報、比較可能な情報となっている。そういう意味でパーチェスの方も比較可能性をクリアしたと、そのように感じておりました。

○斎藤部会長

小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

先ほどの多賀谷さんの質問に戻ってしまうんですけれども、何かそういう疑問が出てくるのは、時価評価の範囲をどう考えるかという点に関係してるだろうと思うんですね。日本の会計基準もそうだし、FASBも、IASも、非常に時価評価の範囲というのは限定的ですよね。ただ、何か大きく変わりそうなこともあるようですけれども。そうすると、特に金融関係の業種は、時価評価されている資産・負債の範囲というのは非常に狭いですよね。そうしますと、それを全部時価評価というのは、金融商品の会計基準の枠内でやるのか、本当に全部時価評価するのかによって、そこである会社は合併するとある程度丸裸の状態でスタートするんだろうと思うんですよね。それが比較可能性の問題としてどう考えるのかわからないという質問なんだろうと思います。確かに、そういう特殊な業種も同じように考えていくのかというのは、実際に時価評価をどうやってやるのかという話をしたときは、かなり大きなテーマになるんだろうと思います。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

そろそろ時間になりますけれども、特にこの際というご発言のご希望があれば、結構でございますが。

よろしゅうございましょうか。

○若杉会長

先ほどFASBのミューラー教授が来ておられまして、ご挨拶したんですけれども、別れるときに、「持分プーリング法はとるなよ」というふうに言い残して去られました。理由は今日、金井委員に説明していただいたのが根拠になっていると思います。

○斎藤部会長

ほかに特にご発言がないようでしたら、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。

なお、スケジュールの確認をいたしますが、11月は10日(金曜日)の2時~4時。それから、12月は8日(金曜日)の2時~4時。さらに、1月については、19日(金曜日)の2時~4時ということで、よろしくお願いいたします。詳細につきましては、改めて事務局からご連絡いたします。

本日は、お忙しいところを誠にありがとうございました。

これで散会させていただきます。

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