平成13年3月1日
金融庁

企業会計審議会第5回第一部会議事録について

企業会計審議会第5回第一部会(平成13年2月2日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第5回第一部会議事録

日時:平成13年2月2日(金)午後2時00分~午後4時00分

場所:中央合同庁舎第4号館10階共用第一特別会議室

○斎藤部会長

それでは、定刻になりましたので、これから第5回第一部会を開催いたします。

委員の皆様には、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

当初、1月開催ということで御案内しておりましたけれども、中央省庁再編に伴う手続の関係から、企業会計審議会総会を開催する必要が生じましたために、本日にこの部会を延期させていただきました。

先ほど開催されました企業会計審議会総会では、一応改めて部会が設置されまして、私が引き続き当部会長を務めるよう会長から御指名をいただきました。

また、既に皆様に御送付されておりますとおり、審議会のメンバーも改めて任命されております。今般の任命では、新たに専門委員が設けられておりまして、これまでの幹事の方の中から、専門委員に就任された方がおられます。詳しくは席上配付しております名簿をごらんください。

なお、当部会の構成メンバーの方はほとんど同じでございますが、新しくソニー株式会社の長坂武見氏が専門委員として任命され、当部会に所属されることになりました。長坂委員におかれましては、前回、参考人として御出席いただいております。今後もよろしくお願いをいたします。

○長坂参考人

ソニーの長坂でございます。今回から正式に委員として参加させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○斎藤部会長

当部会の運営に関しましては、従来と変わりはありませんので、委員の皆様方におかれましては、今後とも御協力のほどよろしくお願いを申し上げます。

本日は、財務諸表利用者の観点からの企業結合会計の論点につきまして、引頭委員及び日興ソロモン・スミス・バーニー証券会社の小谷野参考人より御報告をいただく予定にしております。

まず、引頭委員から、企業アナリストから見た企業分析と会計制度について御報告をお願いいたします。

よろしくどうぞ。

○引頭委員

大和総研の引頭でございます。

本日は、私どもアナリストが、財務諸表を日々利用させていただいておりまして、利用者の立場から、どのようにみえているのかということを私なりにまとめましたので、お話しさせていただきたいと思います。

レジュメの方では、副題を「望まれるディスクロージャーの強化」としておりまして、私どもとしては、これが一番の強い言葉でございます。

1番から順を追ってお話しさせていただきます。

まず、企業分析のツールとして、どのようなものが利用されているかということですが、(1)の事業会社が提供する開示情報。一般的に一番私どもが利用させていただいているのは、はっきり言いまして、事業会社さんに開いていただけるミーティングであるとか、あるいは取材ということになります。そのほか紙ベースあるいは電子媒体等の情報ということになりますと、ここにありますように、1番が有価証券報告書、決算短信とその補足資料、アニュアルレポート、ファクトブック、インターネット上のホームページ、こうしたものを私どもは企業が提供してくれるものとして見ております。

この中で、最も私どもが使っておりますのは、決算短信及び決算補足資料でございます。これは、一番早く決算内容を伝えるものであるということ、それから、ここがポイントですが、決算の補足資料には、会計上や法律上で決められた開示情報以外のものも多く盛り込まれていることから、これらを使っております。

そのほか、先ほど申し上げたように、投資家向けのインターネットホームページ上での開示も進んでいます。

こうした中で、99年度から、連結中心の決算開示となりまして、連結のキャッシュフロー表など、新たな報告事項が加えられました。これは、私どもでは、大変重要なツールとして使わせていただいております。

こうした中で、(2)アナリストが重視する開示情報でございますけれども、マル1番は、やはり連結財務諸表――貸借対照表、損益計算書、これらを一番活用しております。

そして、マル2といたしまして、連結財務諸表の貸借対照表・損益計算書以外の情報。

マル3番目に、事業の状況、設備の状況等々、いろいろ細かく会社の内容をあらわしたもの。

マル4番目に、個別の損益計算書。

マル5番目には、個別財務諸表のその他注記等。

マル6番目に、個別の貸借対照表となっていまして、現時点では、周りのアナリストに聞いてみたのですが、現実問題として個別の貸借対照表はそれほど重視されていないというのが実態です。ただ、これには、後ほどお話し申し上げますけれども、一応理由があるということでございます。

ここで、99年度から連結中心の開示になり、どのように開示内容が変化したかについてお話しさせていただきたいと思います。

次のページ表1でございます。今回私が担当させていただいている会社の富士通さん、こちらを例にとりまして、99年度と98年度以前の決算と、開示内容がどうなったのかということで、○、×、△をつけてみました。私は電気業界の担当なのですが、富士通さんを選ばせていただきましたのは、電気業界の場合、大半の企業がSEC基準を使っておりまして、過去から連結の開示は充実しておりました。富士通さんは、大手の中では、日本基準を連結でも使っている会社として今回選ばせていただいた次第でございます。

上から細かくお話するつもりはありませんが、ここでひとつ訂正がございます。連結情報の上から7個目ぐらいですか、設備投資等の概要のセグメント別というところが、98年度以前が空欄になっておりますが、ここは×でございます。抜けておりました。

ここでは、上の方が連結情報、下の方が個別情報となっており、この○、×の分布をごらんになってわかりますように、連結情報については、かなり○が多くなっておりまして、開示は進んでおります。一方で、個別情報となりますと、開示は、むしろこちらから言わせていただきますと、後退したという形になっております。ここで申し上げたいのは、連結の数値情報は非常に充実したが、実態の数字は少なくなったのではないかというのが個人的な見解でございます。

次のページをめくっていただきまして、ここから、本題の企業結合の会計と企業分析についてお話しさせていただきます。

私どもの基本的な立場といたしましては、どのような会計制度を選択しようとも、企業の実態、つまり、キャッシュフローに関しましては中立であるということを考えております。ですから、企業さんの行動も意思決定も、基本的には会計制度の影響は受けないと考えております。当然ながら、商法等の法律あるいは税法、こうしたものの影響は当然受けますが、会計制度そのものからは受けないと考えております。

ただ、しかしながらのところが実は重要ですけれども、財務諸表を利用している私どもにとりまして、企業行動の実態の推定・把握が、実は会計制度が違うことで困難になっているということは事実でございます。

ここで、(2)の方にいきまして、企業結合会計における企業分析上の問題点を少し書いてみました。

まず、マル1番のパーチェス法におけるのれんについてですが、パーチェス法におきましては、取得される会社の負債の公正価値に取得企業が発行します株式の時価を加えた合計額と、識別可能資産の公正価値との差額がのれんとされております。そして、識別可能資産に関しましては、すぐさま買い手がその公正価格で決まると私どもは理解しております。

一方、のれんは、よくわからないもの、残りのもの、識別不可能ということで、ここは書かせていただいております。この識別不可能な資産の価値は何かと考えましたところ、結局、企業あるいは事業を取得することによって得られます将来のキャッシュフローを構成する一部、これは現在価値に割り引いたものですが、その中の一部を形成しているととらえております。

皆様御承知おきだと思いますが、アメリカのFASBは、昨年の12月に、99年9月に提案いたしました企業の合併、買収に関する会計処理の変更案を一部修正すると言っております。具体的には、パーチェス法に一本化する方針は変更しないのですが、のれん代の償却は見送り、減損会計を用いて対応する。のれんの価値が下がった場合には、減損会計を用いて対応すると言っております。

ここで、問題点(a)になりますが、このFASBで決められたといいますか、発表されましたのれん代を償却しないという会計方法について、アナリストとしてどう思うかということでございます。結論は、一番上に書いてありますように、率直に申し上げまして、企業分析者の立場から言いますと、のれん代を償却しない会計処理は望ましい処理とは言えないと考えております。なぜかといいますと、総資産が実態以上に膨らんでしまう可能性があるからではないかという考え方からでございます。

先ほど申し上げましたように、のれん代は、企業あるいは事業の取得により期待される将来のキャッシュフローの一部を構成している。そうなりますと、事業や企業の取得後には、被取得事業、つまり買われた会社は、買った会社と同一の企業グループを形成して利潤を生み出し、その利潤が資本の部に計上されていくことになります。このように考えますと、のれん代を償却しないということは、バランスシート上では利益の二重計上になっているのではないかと考えます。

次のページでございます。そうした認識されたのれん代は、取得時点における将来のキャッシュフロー予測、特に株式市場での評価に基づくものであるというのは、皆様の総意だと思いますが、これは、言ってみれば、将来の利益を先取りして、資産の方に計上しているとも見てとれます。ですから、取得後、実際に利益が出てきて、その利益が計上されていくということを考えますと、予測値に基づく部分は償却していいのではないかと考えるわけでございます。これが、のれんの償却についての一アナリストとしての見方でございます。

次に、取得の原価についての考え方でございます。取得の原価は、会計上認められる費用と交付する株式数と定められた日の株価で算出される株式の時価の合計とされています。しかし、実際の交渉では、取得会社、買われる会社ともに、株式の交換比率が交渉のポイントになってくるわけです。そして、それぞれの企業が、取得価額あるいは売却価額をどの程度の価値と見積もったかは、外からはよくわからない。交換比率しか出てこないということでございます。それで、前回ソニーの長坂さんからお話がありましたように、必ずしも当事者企業が想定した価額と一致するわけではないということも確認されております。

そこで、証券会社の私が言うのもなんですが、株価は大変ボラタイルなものであります。これは、アメリカのNASDAQ、これはハイテクの株価をあらわす株式が多く上場している市場ですが、こちらは2000年3月に、5,132ポイントという高値をつけました。しかし、現在は2,700から2,800ポイントの近辺と書いてありますが、昨日は2,782ポイントでございました。高値から見たら、約5割の水準になっております。企業がゴーイング・コンサーンであるという前提に立ちますと、こうした短期間で企業価値が激変するというのは本当なのでしょうかということが、疑問として投げられるわけです。

株式の交付により事業あるいは企業を取得する場合、当然ながら、一部の買収費用を除きますと、キャッシュアウトはないわけでございます。だからこそ、交換比率を決める際には、株価はボラタイルということも前提として、当該企業の実態の価値がどうかという決断をするのだと思います。当然ながら、売った人は、後は株でもらうわけですから、その株式のリスクを負うということになります。

外部分析者の視点からは、現金による企業の取得、事業の取得という場合には、取得者側の取得額に対する意思がわかるわけです。このものについて幾ら払ったかがはっきりわかりますし、資産自体が現金流出によって減ります。しかし、株式の場合には、マーケットが前面に出てくるわけでございまして、その企業がどういった経営判断をしたかは読み取れないと考えます。

このように見ますと、ボラタイルな株式市場での評価を前提としたのれん代の計上というものの意義、これは改めて考える必要があるのではないかと思うわけです。第3回目に、黒川先生からいろいろな償却方法を御説明いただいた中に、パーチェス法の区分に、所有主・持ち分からの控除ということで、のれん代は控除して、識別可能資産は公正価値で評価するという方法もあったと思います。個人的には、そうした方法もあるのではないかと考えております。

さらに、次の論点にいきまして、パーチェス法と持分プーリング法の適用でございます。持分プーリング法の適用は、ここに書いてありますように、だれが取得会社か識別できない場合、そういう形で限定されております。この規定によりますと、現実的には事業規模が大きい会社ほど、持分プーリング法の適用が受けにくくなるということがあるかと思います。

ここで、5ページ目の上の方に、これは単純な例ですけれども、仮にAという大企業、これは、幾つかのセグメントを有する大きな企業、そして、Bという新興企業、これは、一部の事業しかやっていない新しい企業、こういうものがあったとします。Bの事業内容と同様のセグメントをAも有していて、Aにとっては、それは、新規の事業分野、新規成長分野といいますか、注力分野として位置づけられていたとします。その事業分野というのは、非常に企業再編が活発であった。そのときに、その事業分野については、また高い成長性が市場で期待されておりまして、株価バリュエーションもプレミアムがついて取引されていた。このような仮定を置いてみます。

その場合、Bが自分の事業規模とほぼ同様の企業との企業結合、これを繰り返し行った場合、持分プーリング法の適用によりまして、のれん代は発生せず、バランスシートの水膨れもないという可能性があります。しかし、Aが同じようにAのセグメントと同様の事業規模の企業を結合していった、買収していった。そうした場合には、その事業は、Aの中では小さなセグメントということですから、基本的にはパーチェス法が適用されるのではないか。

そうであれば、株式市場で高いプレミアム、将来への利益期待への高いプレミアムがついて取引されているということですから、Aの大きい会社は、どんどんのれん代を多く計上しなければならなくなってしまう。ここからがポイントですけれども、その場合、アナリストが実際分析するときどう見るかということです。その大きい会社Aのセグメントと、小さい会社であったBと比べた場合、外部分析者には、部門別ののれん代は当然開示されていません。ですから、仮に実態の収益力が同等であったとしても、企業Aのセグメントの資産効率はBより極めて低いというように、外部データはこういうものしかありませんので、そのように考える可能性があるのではないかと考えるわけです。

このようなケースがいつもあるわけではありませんが、異なる会計制度が並立するのが企業分析をミスリードする可能性があるのではないかと思いますし、これを容認する場合には、開示内容を拡充しないと、先ほど申し上げたようなミスリードが起こるのではないかと考えております。

次の3番目になりますが、その他の論点についてのところで考えていきたいと思います。

まず、(1)の公正価値についてですけれども、パーチェス法の場合、識別可能資産、負債の公正価値の算出が最も重要な項目になってきます。にもかかわらず、その算出根拠、もちろん、ディスカウント・キャッシュフロー法だとか、市場株価方式であるとか、修正純資産方式であるとか、そうしたことは言われますけれども、実際の数字が私どもに開示されることはなかなかありません。こちらに書いてありますように、アカウンティングファーム、会計事務所等々によって算出され、はっきり言ってブラックボックスになってしまっているということがあるかと思います。

そのように考えますと、公正価値を算出するに当たり、何か一定の指針は出せないのでしょうか。また、外部分析者に対するディスクロージャーをもう少し強化する必要があるのではないかと考えているわけです。

ただし、現実問題として考えた場合、正直申しまして、資産・負債の公正価値の情報そのものが、必ずしも企業評価に直結するというわけではないとは思います。この公正価値情報は、あくまでもその時点の価値情報であって、その評価というのは、当然普遍的なものではないわけです。当然ながら、企業の分析で、一番大事なことは、その企業が将来どの程度キャッシュフローを生み出せるかという予測でございまして、予測というのはどんどん変化していきます。このようにみますと、公正価値情報が公開されたとしても、一参考情報としての位置づけになるのですが、それもあった方がいいという考え方でございます。

ただ、いずれにしても、私ども外部分析者からしますと、公正価値が合算して記載されている財務諸表は、余り使い勝手がよいとは言いがたいと考えております。

ちなみにですが、みずほ銀行さんが合併するときに、市場株価方式、収益方式、修正純資産方式というこの3つの方式で、それぞれの方法の合併比率、それぞれ市場株価の方を50%、収益の方を30%、修正純資産を20%というようにウェートづけした合併比率も出された。そうしたものが開示情報としてはございます。ただ、これも比率だけしかございませんので、使いづらいと考えます。

次の6ページ目でございます。次の合併等の会計処理について、これは、単体の話になるかと思いますが、個別財務諸表で処理されます合併会計と連結会計が、整合性を持たないケースが存在するというのは広く知られているところかと思います。商法上は、現物出資説と人格継承説、この2つがあって、現物出資説に基づきますとパーチェス法、人格継承説でいきますとプーリング法という形で考えられてはおります。ただ、商法では、両者の違いは、特に厳密には区分されていない。そうした中では、企業側が自由にといいますか、かなりアローアンスを持って、どちらで評価するかを決められるというのが今の実態でございます。

正直にいいまして、連結と個別で受け入れ財産の評価方法が違うというのは、こちら側としては利用しにくいです。先ほど個別の財務諸表を見なくなったというように申し上げましたけれども、整合性がとれていないということはアナリストの中でも定着しておりまして、なかなか有意義に個別のバランスシートそのものは使いづらいというのが実態になっております。

ですから、そうしたギャップを埋めるためには、個別財務諸表におきまして、資産・負債の評価方法に加えまして、パーチェス法の場合には、受け入れ前の簿価・受け入れ後の評価額、プーリング法が採用された場合には、さはさりながら、公正価値、そして取得原価の推計、そうしたものがディスクロージャーされているのであれば、分析するのに障害は少ないのではないか。つまり、こうしたものは開示した方がよいのではないかと考えております。当然ながら、そういうことになりますと、監査対象として、合併の場合にも処理された方がよいのではないかと考えます。

次の論点(3)連結財務諸表と個別財務諸表でございますけれども、個別財務諸表の開示を続けるべきなのか、そうではないのかという議論も一方であるかと思いますが、個人的には、個別財務諸表の開示は続けるべきだと考えております。当然、純粋持株会社の場合では、確かに個別財務諸表の意味は限られてくるとは思います。ただ、個別財務諸表は、そのグループの中核企業の業績を示すものであること、財務諸表から中核企業の戦略の一端が読み取れるということを考えますと、私どもにとっては意味がございます。

ただ、冒頭申し上げましたように、個別財務諸表のディスクロージャーは大変後退しております。現在の開示情報では不十分と言わざるを得ないのではないかと考えております。

これは、少し余談になりますけれども、きょうは日立の八木さんもいらっしゃっていて恐縮ですが、日立さんの有価証券報告書のページ数ですけれども――ページ数で情報がはかれるかどうかは別問題ですが――98年度の日立さんの有価証券報告書は95ページありました。ところが、99年度になりますと70ページで、25ページ減っています。もちろん、紙の厚さと情報はパラレルではありませんが、やはり減ったのではないかという印象はございます。

さらに、次の4番でございますけれども、では、ディスクロージャーの具体的内容についてどうかというところをお話しさせていただきます。今まで見てきましたように、企業分析者にとりましては、会計処理そのものというよりも、どのような処理を経て財務諸表が作成されたかという点、そして、ディスクロージャーの内容が一番大事なことでございます。

繰り返しですが、いかなる会計処理が選択されたとしても、企業価値そのものには影響しません。ですがディスクロージャーが不十分な場合には、企業評価をする上で、何かひずみが生じる。実態をあらわさない企業評価になってしまう可能性というのはあるかと思います。

次の7ページ目でございます。ここから企業の開示のところを見ていきたいと思いますが、まず(1)企業結合の開示について、前回、辻前専門官の方からお話があったと思いますが、有価証券報告書におきます企業結合の開示例ということで、前回、ほくやくとかオリックスさん、ソニーさん、住友重機さん、ダイムラークライスラー・アーゲーということで御説明いただいたかと思います。

ここで、どこの会社でもいいのですけれども、きょうは、ソニーの長坂さんがいらっしゃっているので、ソニーさんで言いますと、沿革から始まっているかと思いますが、今見ていこうと思いますのは、日本の企業の開示の場合、どのように開示がばらけているかというところでございます。

まず、3-1の沿革の一番下の方に、平成12年1月に、ソニー・ミュージックさん、ケミカルさん、プレシジョンさんを株式公開により完全子会社化しましたという記述がございます。

そして、3-2に、経営上の重要な契約等というところで、上場子会社3社の完全子会社化がディスクロージャーされています。

そして、3-3で、今度は発行済株式数、資本金等の推移というところで、また交換比率等々が開示されています。

そしてまた、次の3-4、今度は注記になりますが、無形固定資産及び営業権というところで、またのれん代の償却方法等が開示されています。

さらに、3-5の上場子会社3社の子会社化というところで、もう1度全体をまとめて書かれている。

さらに、これは最後になりますが、資本金明細表でまた書かれているというところで、かなり多岐にわたって、記述されているというのが実態でございます。

ここで、アメリカにおける企業結合の開示例という参考資料があるかと思います。こちらの方には、シスコシステムズさん、こちらの方は、売上規模が大体2兆円ぐらい、時価総額も27兆円ということで、かなり買収を繰り返してきたアメリカのルーターの大きな会社でございます。そして、MCIワールドコムさん、インクトゥミさんという、この3つを持ってきました。最初のシスコシステムズさんの方を見ていきますと、ビジネス・コンビネーションズということで、企業結合の項目がございます。最初に、POOLING OF INTERESTSとして、持分プーリング法で結合したものについて、真ん中の方に表があります。時期、会社名、そして、どれぐらい株を発行したか、オプションも含めてどうだったか、そしてフェアバリューについて開示があります。

次のページになりますけれども、それぞれの買収した会社の売上規模、そして利益を――これはネットになりますが――開示しています。

そして、その次のページになりますけれども、OTHER POOLING OF INTERESTSということで、小さい会社の分ですね。余り重要ではないものをここでまとめております。

そして、4ページ目になりますが、今度は、パーチェス法で買ったものがまとまっております。Considerationは多分取得価額という意味だと思います。In-Process R&D Expenseが開示されていますが、これは、上の方に取得価額を算出する上で、重要なファクターであったので開示していると書いてあります。そして、右の方には、負債の公正価値、あるいはのれん代、無形固定資産の評価ということで、かなり細かく開示して見やすくなっているというのがシスコさんです。

その次の6ページ目になりますが、MCIワールドコム、これは通信の大きな会社ですけれども、これも買収をかなり繰り返していますが、こちらは、そんなに親切な開示ではありません。一応買った会社の売上と利益は書いてありますが、7ページ目をごらんいただきましたらわかりますように、文章で細かく延々と書いてあって、大変見にくくなっております。

そして、9ページ目ですけれども、インクトゥミさん、これは、新興企業で、サーチエンジンをやっている会社でございます。この会社の場合は、売上規模が小さいせいもありますけれども、ビジネス・コンビネーションズという開示がなく、事業の様子と事業の概要という項目の中で、In September、In Aprilとかありますけれども、こういうものを買いましたということが書いてある。これも、わかりにくいということで、アメリカでも、このようにかなり開示の方法自体はばらばらですが、シスコさんに見られますように、かなり踏み込んだ開示をしているというのは、例でおわかりいただけたかと思います。

次の(2)の企業結合の開示内容についてでございます。これは、先ほど申し上げたように、公正価額と評価はブラックボックスになっています。そうしたことで、パーチェス法を採用するとしても、大まかな勘定科目につきましては、公正価額と簿価、この両方を開示できないでしょうか。そして、やはり外部からのチェック機能を持たすべきではないでしょうかということでございます。仮に持分プーリング法だとしても、引き継がれたものの簿価、そして参考値としての公正価額、そうしたものを表記することが必要なのではないかと思います。

そして、(3)番目に、親子間取引及び親会社の投資勘定の開示の強化ですけれども、先ほど来申し上げているように、個別財務諸表が99年度から大幅に簡素化された結果、親子間取引の状況、親会社の投資勘定の情報が極端に入手しがたくなっています。現在の開示では、親子間のグロスの取引全体の量はわかるのですが、個別の取引は全くわからないという状況になっております。

仮に関係会社貸付金明細表がありますと、親会社がどこにお金を貸しているのかとか、そうしたことでグループ企業の財務状況を知ることができます。また、関係会社有価証券明細表がありますと、期中の増減が書いてありましたので、そうなりますと、個々の関係会社に対して、どうした形で増減資をしたのかということもわかります。連結中心の開示の流れというのは、全く異論はありませんが、こうした親子間取引、親会社投資勘定の開示は望まれると考えております。

最後に、連結子会社間の合併など、企業結合に該当しない取引についてはどう開示したらよいかということですが、いろいろ考えたのですけれども、これは大変難しい問題でございまして、連結子会社間の合併というのは、連結財務諸表作成に当たっては全く影響がない、関係のないものではあります。

ただ、8ページ目「ただし」というところですけれども、個別財務諸表と連結財務諸表の整合性とこの問題は類似しているのではないかと考えまして、つまり、子会社同士の合併におきまして、パーチェス法が採用された場合、子会社の財務諸表は、買う子会社、これを公正価値で評価した部分だけどんどん増加していくということになります。ただし、連結財務諸表では、そのまま簿価ということになるわけです。

ですので、仮に親会社と10社の子会社で形成される企業グループがあった場合、子会社同士が次々と合併を繰り返していって、最後に親と子とひとつずつになったという場合に、パーチェス法が採用されている場合には、子会社の規模によっては、財務諸表上は子会社の簿価が親会社の簿価を大幅に上回っている。そのような可能性もある。これは、親会社の連結の簿価を大幅に上回っているということでございます。ですので、このあたりも企業分析者にとっては大変頭の痛い問題になるのではないかと考えます。

こうなると、何らかの配慮が必要なのではないか。この場合には、もしかしたら子会社同士の合併の場合には、持分プーリング法で処理するのもひとつの手かもしれないと考えております。

最後、まとめになりますけれども、アナリストの立場から言いますと、さまざまな会計処理が並立することは、比較可能性の観点から見れば、望ましくないのは事実ではございます。しかしながら、現実問題としては、並立してしまう可能性がある。そうした中では、ディスクロージャーを拡充していただくのが望まれるところでございます。企業結合の場合、パーチェス法、持分プーリング法のいずれが採用されたとしても、資産・負債の公正価値及び評価前の簿価、あるいは資産・負債の公正価値及び取得価額の原価の推計、こういったものが開示されていれば、アナリストとしては、企業比較を行う上では大きな障害にはならないと考えます。

また、連結中心の開示が進む中、親子間あるいはグループ企業間での個々の取引に関する開示については、大変乏しくなっている。個別取引の情報というのも、グループ戦略を分析する上では非常に重要な問題になってきますので、附属明細表を連結の方でも、より開示強化するべきではないかと考えております。

私からの発表は以上でございます。

○斎藤部会長

大変ありがとうございました。後ほどまとめて意見交換の時間を設ける予定ではございますけれども、この時点で、ただいまの御報告につきまして、御質問がありましたら御発言ください。よろしゅうございましょうか。

それでは、次に、小谷野参考人から、金融資本市場から見た企業結合会計について御報告をお願いいたします。よろしくどうぞ。

○小谷野参考人

私は、日興ソロモン・スミス・バーニーで投資銀行業務を行っております小谷野と申します。

引頭委員の方からは、企業アナリストの視点ということで、かなりアナリストの視点からの突き詰めた議論というものがなされましたが、私は、もう少し広げて、企業の経営者あるいはM&Aをアドバイスしたりする際の投資銀行として利用する場合の利用者としてのスタンス、そうしたものも含めて、若干広目の議論をさせていただきたいと思います。

また、本稿の内容につきましては、かなり私自身の経験等に基づいた私見も入っておりますが、その点、御了承いただければと思います。

お手元の資料の2-2のところで、「金融資本市場からみた企業結合会計」と題した拙稿が配付されているかと思われますが、これは、昨年の半ばに書かれたものでして、その後、御案内のとおり、昨年12月に、FASBが企業結合会計に関する仮決定を出しております。こうした状況も踏まえながら、本日はお話しさせていただきたいと思います。基本的には、資料の2-2を中心にしながら、適宜新しい状況につきましては、資料2-1のレジュメの方を参照させていただくということで進めさせていただきます。

まず最初に、企業分析者の視点という中で、会計情報の位置づけということでございますが、昨今、電子媒体による開示を各企業が強化してきておりますけれども、我々財務諸表の利用者にとりまして、会計情報というのは、唯一かつ最大の体系的な情報であるということで、我々は、まだ分析上非常に重視せざるを得ない、これに頼っていかなくてはいけないというところは事実であろうと思います。

また、そうした中で、ひとつ重要なのは、開示の継続性と速報性、これをどのようにして両立させていくのかということが重要な問題なのではないかと思います。つまり、企業にある種のM&A等のイベントが起きたときに、これを企業の外部の者がいち早く知るということ、また、最終的な財務諸表としてあらわれてくるコンテンツの内容が、それ以前の過去のいろいろな取引について開示されている内容と整合性があること、こうしたところが利用者が非常に気にしているところではないかと思います。

それで、もうひとつ企業の価値をどのように考えるのかというところの議論で、今非常に痛感しておりますのは、キャッシュフローを中心としました企業の公正価値の考え方、これが一般的になりつつあるということだと思います。従来、日本におきましては、主に相続税法上の評価に重きを置いた「日本式株価算定」のウェートが非常に高かったわけですけれども、こうしたところから離れて、モダン・ファイナンス・セオリーにのっとったディスカウント・キャッシュフローによる評価、これに付属するものとして、これをチェックする要因としての類似企業の市場取引の評価、こうしたところが現在企業を評価する際に中心的な手法になってきているということも、ここであわせて申し述べさせていただきます。

それで、お手元の資料2-2の59ページ右下の段落のところですけれども、特殊事象の存在しない定常状態における企業の収益性、あるいは信用力の状況、これを容易に把握するという意味で、損益計算書及びバランスシートの意義、こうしたものは非常に大きいだろうと我々は考えております。

会計処理基準にさほどの変更がないと考えられる場合には、企業の利益水準を過去水準、あるいは最近何年間かのトレンドと比較するような分析、あるいは過去とのさまざまなタイムシリーズの分析、こうしたものが企業の収益性を手短に知り得る道具として、これは投資銀行に限らず幅広く使われています。

一方で、損益計算書の高度化と申しますか、昨今、現在価値概念が入ってくる中で、年金会計等々もそうですけれども、アクルーアル的な視点から損益計算書の内容に修正・加工が加わってくるということが、実際分析者にとって、大きな問題になってきているのではないかと思います。つまり、キャッシュフローから離れた発生主義的な概念として損益計算書の数字というものはあったわけですけれども、ここに加工性がどんどん高まっていって、損益計算書の数字がある種バーチャル・リアリティーのようなものになってきているといったような感触が、企業の外部の分析者からすると、否定できないのではないでしょうか。

昨今のキャッシュフロー分析に対するニーズ、関心の高まりは、本来的には、キャッシュフローを算出して、それを現在価値で割り戻すことは、理論からすると一番正しいという基本的な認識の広まりによるためであろうかと思いますが、一方で、損益計算書の数字自体が、企業のファンダメンタルズを知り得るという観点からすれば、若干難しいものに、仮想現実的なものになってきているのではないかという分析者全般の意識が生じていることは否定できないのではないかと考えております。

では、企業の外部分析者は何を考えているのかというと、資料2-1のレジュメの方に、「実態利益」という言葉で書かせていただきましたが、定常状態の企業の利益水準といったようなものはどれ位かを把握したいということを強く願っているということでございます。

こうした中で、M&Aというのは、典型的なワンタイム・イベント、非常に大きくかつ、非日常的な出来事ということでして、企業の価値をはじく際に、発表された会計情報に対して、このM&Aの影響をどのように除去するのか、ワンタイム・イベントである部分を除去して、定常的な収益力、収益性といったものを見ていくのかといった点が、分析者の大きな関心になっている点も否定できないと思います。

これは、資料2-2の60ページ目の左上の段落に書かせていただいた箇所にございますが、企業側にとっても、現在、インベスター・リレーションズの場合において、財務諸表の数字の一時的な変動要因をどう説明するかが大きな課題になっているかと思います。

企業の立場で、例えばインベスター・リレーションズをサポートしたりする際に、例えばソフトウエアの会計処理基準が変わったということで、大きな利益上の影響を受けるITサービスの会社、こういうところの開示をどのようにサポートしていくのかといったようなところは、昨年、一昨年と、大きなIRの実務上のテーマではありました。このように実態利益をどのように考えるかは分析者の大きな関心になっていると思われます。

一方で、繰り返しになりますけれども、損益計算書の数字が、簡易的に企業の収益力を知り得るための指標として広く使われているという現状も事実でございまして、私ども、M&Aのアドバイスをする際に、合併の前と後で、どのように企業の収益力が変わるのかを分析する際に、我々はダイリューション分析と言っておりますが、一株当たりの利益が上がるか下がるのかというチェックを、常に分析の中で行っているというのも一方では事実でございます。

しかしながら、キャッシュフローEPSという概念が今回のFASBの仮決定に至るまでの中途の過程で、IRの中で、アメリカで非常に使われてきたという状況もございます。ワンタイム・イベントをどのように財務諸表の中で峻別していくのか。裏返しの言い方をしますと、実態利益をどのように把握していくのかという関心と、簡易的に企業の収益性を把握したいという意識、これが、常に分析者の中で相反するものとして存在するということを指摘したいと思います。

キャッシュEPSが、昨年アメリカでも非常にはやった際に、会計利益をよく見せようという悪あがきにすぎないのではないかという冷やかな見方、これも、確かに存在したと思いますが、しかし、一方で、短期間で多くの企業がこうした指標を採用したという事実そのものが、投資家がキャッシュフロー重視の考え方を持っており、それに対して、いち早く企業として開示していきたいという意欲が出てきたとも言えるかと思われます。

次に、DCF分析につきましては、先ほど引頭委員の方から説明がなされましたとおり、フリーキャッシュフローはあくまでも会計基準の影響からは中立であるということで、キャッシュフロー分析の立場からしますと、分析者は、今ある財務諸表からフリーキャッシュフローをいかに簡便な形で再現できるのかというところが大きなポイントになっていると思います。

しかしながら、今日本の大企業のセグメントの価値の算出などを行う際に、今の連結財務諸表のキャッシュフローの開示でも十分だといった議論は残存しているかと思われます。先ほどの引頭委員のコメントの中で、連結財務諸表が非常に充実する一方で、個別企業の財務諸表の開示が若干後退していることに対して、利用者がフラストレーションを感じているという状況は、現在かなり幅広く分析者の中で見られるのではないかと考えます。

企業の価値をはかるという意味で、ディスカウント・キャッシュフローがファンダメンタル・バリューをはかる上で重要な基盤を形成しています。これに加えて、実際に株式市場、昨今の株式市場はかなりボラタイルになっておりますけれども、株式市場における一番直近時点での企業の価値の見方というのが、市場ではどうなっているのか。それに対応して、分析対象企業の価値がどのようになっているのかを調べる方法が市場乗数分析でございます。

我が国で一般的にこれまで使われておりましたのは、PER、海外ではP/Eと書いてPEレシオと呼びますが、企業の時価総額と税引き後利益との比率を見て、企業が何倍で評価されているのかというので株式価値が相対的に高いか低いかを見ていく。同業他社の中で、50倍の企業は割高とか、30倍の企業は割安とか、そういう見方をするものでございます。

こうしたP/Eのような指標に類似しておりますけれども、海外ではこれをEBIT、すなわち営業利益、あるいはEBITDA、これは償却前の利益と呼んでおりますけれども、こうした営業段階の財務諸表に対する乗数を算出して、分析対象企業が割高か割安かを見ることがかなり一般的になってきております。この場合、企業価値を示す分子の方は、時価総額だけではなくて、有利子負債も足し込みます。つまり、営業利益も償却前営業利益も、これは税引前の指標ですので、分子の企業価値の方は、これは負債を足し戻すということになります。

この中で、私は特にEBITDA乗数に注目したいと考えています。具体的には、企業の償却負担が、会計方法により非常にさまざまである。あるいはM&Aを繰り返してきた企業と、内部成長してきた企業で、当然償却の金額が違う。こうした部分の影響を捨象するという意味で、EBITDAは有用な指標と考えられておりまして、EBITDA倍率、これは、日本でもここ2年ぐらいで広まってきましたけれども、海外では特に投資の多い業種の企業を見る際にかなり普遍的な指標として使われていると思われます。

ここで、若干余談でございますが、では、会計上の特に発生主義に近いような数字は、乗数分析では余りポピュラーではないのかといいますと、実はそうでもなくて、アメリカでは、昨今のIT及びインターネット関係の企業の隆盛があった中で、利益が出ない企業のバリューを株式市場でどうつけていくのかという基準としまして、売上高乗数、こうしたものが結構使われていたというのも事実であります。

あるいはより企業の実態をみていこうという意味で、営業利益にマーケティング関係の数字、費用を足し戻した、我々はプリマーケティングEBITといっておりますけれども、インターネット関係の企業は、利益が出る前に、まず顧客の囲い込みを行うために公告宣伝費を大量に使ったりしますので、そこの部分での先行投資は、これは費用化したものだけれども、一種キャピタライズされた設備投資のようなものとみなして、プリマーケティングEBITといったようなものを計算して、それに対して、企業の時価総額プラス有利子負債残高がどれぐらいになっているのかという乗数をみるものです。

こうしたものも行われておりまして、市場乗数分析におきましては、キャッシュフローに近いか、あるいは発生主義に近いかといったようなところで、指標の優劣、あるいは当否を問うというよりも、株式市場が見ている企業のバリューが高いか低いかというベンチマークを、企業の業種の実態に即してある種アドホックに基準を見つけていこうという動きがみられているということでして、ある種会計基準の枠組みにとらわれずに、あるいはその背後にある概念にとらわれずに、分析者がクリエイティブな乗数のベンチマークを考えていると言えるかと思います。

それから、信用力分析につきましては、これは、企業の実態としての純資産がどれぐらいなのかという部分の関心が徐々に高まっておりますという一言で、大体議論はカバーされてくるかと思います。つまり、持分プーリング法とパーチェス法を比較した場合、パーチェス法の方が、のれんが計上される分だけ、結果として剰余金の部分が大きくなる。こうしたところについて、保守主義の観点からどう考えていくのかという議論がひとつあります。信用力分析に関しましては、このコメントで今回はとどめさせていただきたいと思います。

それで、今、実際の企業分析者の関心はどのようなものなのでしょうかというところで、私がいろいろ考えてみるに、実は、これまではそれほど高くなかったけれども、連結会計への関係者の対応が進んでくる中で、去年、今年と、関心が非常に急速に高まってきているというのが本当のところではないかと思います。従来は、税法上の取り扱いに応じた会計処理の選択が非常によくなされておりまして、日本企業の経営者は皆さんそうされていたと思います。それをわかった上で、財務諸表の利用者も開示された数値を使っていたという状況があった中で、我が国の会計基準のあり方というものは、ある種、無法地帯に近い状況であったということだろうと思います。

この辺のディスカッションにつきましては、お配りした資料の2-2の63ページの左のあたりから始まる、「わが国の関係者の意識」というところでまとめさせていただきましたが、従来の証券アナリスト協会のテキストにしても、合併方式の企業結合については、我が国の会計原則上は明確な規定に乏しいという実態を書いた上で、主として、税負担の回避ないし最小化という視点から、税法の取り扱いに準じた会計処理が選択されることが多いように思われる。若干表現をソフトにしながら、実態はこうですよというのを分析者に言い含めるといったような形での対応がなされてきたということだと思います。

そうした中で、市場分析者の発想あるいは企業のバリューを知りたいという欲求からすると、関心は非常に単純明解でして、のれんの額と償却方法が一体大くくりでどうなっているのか、それから、企業結合があった後の企業の経営、特にコスト構造が実態としてどうなるのか、早く知りたいといったようなところが大きいと言えます。その辺の開示がなされるのであれば、ほかの部分は、それほど厳密に考えなくてもいいのではないかといった意識が強かったのは事実だろうと思います。

こうした中で、今後、企業の国際間比較あるいはグローバルな投資家に対するインベスター・リレーションズ上の対応といった中で、形式的な意味での開示基準の整備といったものが問われてくる。さらに、関係者の関心としましては、こうした形式的な開示を踏まえた上で、さらに質的な開示の充実へのニーズも高いということだと思います。

これは、本末転倒の意見かもしれませんが、特に利用者の観点からすると、質的な開示がある程度きちんとされるのであれば、形式的な企業結合会計の基準については、若干ルーズであってもいいのではないかといったような割り切りもあるのではないか。そういった意識が利用者の間では強いのではないかと私は感じます。

そうした中で、アメリカの実態につきまして簡単に説明させていただきますと、93年のAIMRの報告書、それに続くAICPAの報告書を通じまして、企業結合に関する開示を充実させようということがかなり強く要請されてきました。これを受ける形で、96年にFASBもそれを認めました。

また、見積財務諸表につきましては、これは、実はアメリカの対応は早くて、今から約20年前の1982年に、レギュレーションS-Xを改正しました。この際に、8-Kと呼ばれる臨時報告書の形式の中で、見積財務諸表を機動的に開示していくようにしましょうといった対応がなされてきたということでございます。

それで、本日の私の冒頭の議論に戻るのですが、開示においては、速報性と継続性、2つの重要な要請の側面があるということを申しましたけれども、アメリカの実際上の運用は、開示に関してはかなり柔軟だと思われます。つまり、投資家が知りたいと思っているのれんの額はどれぐらいで、大体合併に対するコスト削減はどれぐらいで、ざっくり言って、損益計算書にどれぐらいの影響があるのだろうかと言った点をかなりラフな形で示す速報段階の開示、それから、合併・企業買収の話が煮詰まってきたステージでの財務諸表に近い、かなり細かい項目のところまでの開示と、段階を追って、8-Kで少しずつ開示されていくことになります。こうした企業結合のプロセスの進展に応じて、投資家をミスリードしない範囲で、段階的に情報を開示していくスタンスはかなり一般的だと思います。

アメリカの企業の合併等々が行われますと、通常大くくりの財務諸表の開示をいち早く行うとともに、合併の意義、またそうした企業結合に至る経営者の判断、こうしたものをインベスターズ・ミーティングでスライドショーなどをやって、いかに市場関係者に幅広く知らしめるかといったようなところが、まず案件を発表する際の大きな経営者の関心になっています。その後で会計実務的な対応がついてくるという、非常にプラクティカルな割り切りもあるというように考えております。

そうした中で、先ほどの付属資料にもありましたダイムラークライスラー、これは、かなり例外的な状況だったと思います。持分プーリング法とパーチェス法両方について、見積財務諸表を初期の段階でかなり細かく発表した。これは、アメリカの大きな企業結合の中でも、かなり例外的な対応だったように思われます。

また、テレコムとか、IT関係の企業につきましては、バランスシートに与える影響が、先ほどの引頭委員の議論にもございましたが、表ではなく文章の中に潜っているといったような御指摘をなされましたけれども、これもまさにそのとおりで、キャッシュフローに大きな影響を与える項目をまず重要視する。また、経営陣の方針を書くといったところを重視した上で、特にのれん等々の問題については、できる範囲のところで、大くくりな数字を出して、それで開示は勘弁してもらう。そうした割り切りがあると思われます。

それで、アメリカの現状ということで、資料2-1の2ページ目のところでございますけれども、大きくこの2年間、アメリカの企業結合会計をめぐる議論はスイングしてまいりました。まず第1の波が、99年9月のFASBの公開草案で、持分プーリングの廃止、のれん償却は20年定額法、それ以内で行ってくださいという内容が出てきて、大きな反響を呼んだということでございます。

また、EPSにつきましては、企業結合に伴うのれん、ここの部分は別ですというのを出すことで、これから翻って、キャッシュEPSのような話が大きく取りざたされてきたということでございます。

これを、また若干軌道修正する2つ目の波が、昨年12月のFASB仮決定ということで、これは本年6月までに最終決定ということですけれども、のれんの償却にかえて、減損処理の導入がなされていく。この場合に不定期に減損チェックが入るということで、この運用がどうなるのかというのが、今利用者の非常に大きな関心になっているかと思います。

ただ、ひとつこれに関してプラスな面があるとすれば、EPSは税引き後利益を基準にするのがいいのか、また、それに買収に関するのれんを加えたキャッシュEPSがいいのかという議論は一応終了したということです。つまり、のれんに関する議論がなくなったので、一株当たり利益に対して、何が企業の実態に合うものなのかといったような神学論争はこれで終わった。もっと言ってしまいますと、アメリカの企業の経営者の意思決定において、プーリングの識別基準という制約が外れたことで、かなりM&Aが会計基準の影響を受けない形で自由に行われるだろうという見方を私はしております。

ただ、一方で、既にFASBのほうでも、減損チェックについてのある程度の基準というのは出してきておりますけれども、今後、この減損チェックを通じて、損益計算書に影響が出ると嫌だということで、企業結合が起きた後の経営者の関心が過度に減損チェックに向かってしまう可能性もあるということで、これは関係者、これは財務諸表の利用者もそうですし、経営者もそうですけれども、大きな懸念事項になっているかと思います。

また、企業間の平等な競争というように書かせていただきましたが、会計基準から収益性の差異が生じない。よって、企業の資金調達に対する有利、不利、投資家の認識の良い、悪いの差が生じないという意味では、これはひとつプラスの要因なのかなというように考えております。

また、これは企業経営者というよりは、主に利用者にとっての議論でございますけれども、こうした減損のチェックを行うまではのれんの認識をしないということで、損益計算書の仮想現実化にひとつ歯どめがかかったのかなとも考えられます。もしかしたら、これは、損益計算書の利用者にとってのウェートが向上するひとつのきっかけになるのではないか。ここ数年、キャッシュフロー重視の中で、損益計算書の位置づけは若干低下していた面は否定できませんが、それに歯どめがかかる要因になるのかもしれないといったような議論はあるかと思います。

なお、既存ののれんとの整合性に関する議論は、減損チェックが今後どのように行われるかという問題と並んで、これも財務諸表の利用者及び経営者にとって、ひとつ大きな懸念が出るだろうと思われます。

今後も現実問題としまして、まだ日本の企業結合会計に関する基準について、かなりいろいろな議論が出ることが予想されますが、開示充実をどのようにしていくのかをまず関係者のニーズに即した形でつくっていくのが最初なのだろうというのが、私の率直な意見です。特に我が国で、企業会計の利用者の方は、キャッシュフローで割り切って企業評価を行うのだからいいのだという一方で、いまだに損益計算書の数字を気にされる経営者が多いという実情のもとでは、パーチェス法の導入をいち早く行っていくといったようなことは、企業再編を阻害する可能性があります。

こうしたことを踏まえて日本でも、思い切ってアメリカと同じように、減損チェックまで規定してしまうという割り切りもひとつあろうかと思いますが、特に日本の経営者の非常にコンサバティブな心情を鑑みますと、その場合は、減損チェックの基準をいかに明確にするのかといった手当てが大事になってくるだろうと思います。利用者の視点としましては、開示がきちんとなされるという前提のもとでは、パーチェス法と持分プーリング法の混在には比較的寛容ではないかと私は考えております。

そうした中で、具体的に開示充実への要請にはどういったようなところが考えられるのかについて、これは特に、米国における投資家あるいはアナリスト、そうした人たちの意見を踏まえながら、グローバルな視点から、幾つかポイントを挙げさせていただきます。

まずひとつに、経営者の方針の開示の充実ということですね。マネジメント・ディスカッション&アナリシス、MD&Aと我々は呼んでおりますけれども、ここの部分の開示をしっかりすることによって、企業結合に至った企業の経営者の判断といったようなものを何らかの形で文章にしていく。これは、非常に有意義なことだろうと思います。

それから、2つ目が、ある種信用力に不安のある企業においては特に、買収資金が必要な場合の調達方針、及び格付け等の信用力対策に対する即時開示といったような問題です。これは、アメリカの90年代前半の開示要請の大きな流れの中でも、特に注目された点のひとつだろうと思います。

それから、3つ目ですけれども、予想連結の損益計算書、連結バランスシート、連結キャッシュフロー計算書、こうしたところの早期開示です。これらは早期に開示される一方で、細かい項目は、また後のステージになっても構わないから、まず大くくりに連結の企業の姿がわかるような統計を早く出してくださいということです。

それから、資産の再評価を実施した場合の根拠と方法の即時の開示です。これは、非常に基本的な情報として、手短に見てみたいということが利用者のニーズだと思います。

それから、連結損益計算書と連結キャッシュフロー計算書の開示充実。これは、我が国でも、今回の連結財務諸表中心への転換の中で、軌道に乗ってきたところだろうと思います。

それから、のれんの償却方法の開示の充実、これは幾つかの企業のIRの場で、個別の買収案件についての償却年数が何年かを開示されている企業も増えてきておりますけれども、この辺も非常に重要な関心事だろうと思います。

それから、7番の投資計画等の計画値の開示充実は、これは1番の経営方針とかかわる観点で気にされているものだと思います。

8番の事業運営の方針に対する開示の充実、これも同様に1番と関係するところだろうと思います。

また、企業によりましては、ある種の前向きの企業結合をやることが、一方で不要な資産を売っていくといったようなリストラクチャリングと結びついている場合もあります。また、一度企業買収をした後で、当該対象企業の不要なオペレーションを売っていくということも想定されるかと思われます。そうした中で、企業結合後の中止事業はどのようなものなのか。海外ですと、ディスコンティニュード・オペレーションズという形で、アニュアルレポートの中でも、そうした独自の項目が独立項目にありますが、そうしたところを充実させることも重要なポイントではないかと思います。

また、リスク情報に関しては、これは企業結合に限らず、一般的に日本の財務諸表の付注で出てくるものについては、若干記述があいまいなものが多いという議論は前からございまして、この点についても、幅広く検討を加えていく必要があるだろうと思います。

こうした11の点が重要と考えられます。特に企業結合を外部者から数字の面から把握したいという意味でいきますと、3番、4番、6番、こうしたところが極めて重要だと考えられます。質的な面で補足するという意味では、1番がやはり非常に大事になってくるだろうと考えます。

ただ、開示の話ですので、これは、規則をいかに最低限のところでクリアするのかという発想を企業経営者が持っているとだめで、投資家との対話を含めて、企業の経営者の主体的な取り組みも同時に重要になっていくだろうと考えます。

それと、私どもが企業経営者の皆さんといろいろディスカッションする中で、個別の財務諸表の開示に対するニーズが相当投資家の方から強いですよということをお話ししますと、時間とコストを考えると、なかなかそこまで手が回らないという企業の経営者のコメントは非常に多く聞かれます。そうした中で、今、連結中心に、財務諸表のパラダイムシフトが起きる中で、企業の経営者と投資家との橋渡しをするという意味で、我々投資銀行に携わる者の責任、この過渡期における役割は重要であろうと自分自身考えておる次第でございます。

以上でございます。

○斎藤部会長

大変ありがとうございました。

それでは、お二方から、詳細な御報告をいただきましたので、多少の時間をとりまして、いろいろ意見交換をいたしたいと思います。どのような順番でも、どなたからでも結構でございますので、御自由に御発言をいただきたいと存じます。

○長坂参考人

引頭委員に御質問なのですけれども、個別財務諸表の開示が後退したというようなお話がございました。関係会社貸付金明細表とか有価証券明細表があった方がいいというお話がありました。作成者の立場から言いますと、これは基本的には、連結の中で消えてしまうもの・その中の資産のアロケーションとかですので、連結を見た場合、それほど重要なのか余りぴんと来ないところがあります。多分アメリカの企業などですとこうした情報は一切出していないのではないかと思うのですが、それとの関係でもう一度その必要性を説明していただきたいと思います。

○引頭委員

個人的には、むしろアメリカでも、今後はこうした要望は強まるのではないかとすら思っています。といいますのも、アメリカの場合ですと、昔は、一企業一事業という形で、かなり集中と選択した形で事業展開がされていたわけですが、ここに来て、もう少し垂直統合的な意味も含めまして、買収・合併が相当増えてきた。そのような流れに立ちますと、連結のトータルの数字、前に申し上げたように、バーチャルな企業ですよね。そうした数字を見ても、実際の中身を分析するというのはやはり難しいのではないかと考えております。

先ほど長坂さんがおっしゃったように、確かに関係会社貸付金などは、企業の資金のアロケーションの表ですよね。これを私どもは知りたいのです。これを知ることによって、どういう形でお金が会社の中で動いていっているのかということですね。それを知って、経営メッセージを知るといいますか、経営者の方が言っていることが本当に正しいのか、何か問題がないのか、そうしたことを分析するツールとして、ぜひ知りたいということでございます。

○長坂参考人

一応おっしゃっている意味は理解できますけれども、納得はいたしかねるというところです。

○斎藤部会長

ほかに御発言ございますでしょうか。

○小谷野参考人

今の点に関しまして、若干補足でございますが、海外の投資家から日本の大企業を見た場合に、子会社が結構上場している例が多く、それで子会社と親会社との取引が結構多い。そうした中で、親子関係の取引が多いのであれば、それについては、双方で開示してくださいといったような要請を時々耳にすることがあります。これは、どちらかというと、開示の仕組みの問題そのものというよりも、子会社上場が多い我が国のひとつの事情を反映したものだろうと推察します。

それから、第2点で、アメリカでもそういう要求が非常に強まるだろうという引頭委員の御発言ですが、これは、まず、個別の取引をどこまで開示するかは、コストと、現実的に投資家がどこまでミスリードされないかという中での、デリケートな問題ではあります。アメリカで企業分割が非常に盛んになっている理由のひとつは、企業の中の一事業部門の実態がよくわからないので、アナリストがちゃんとカバーしない――アナリストがレポートを書かないので、企業の価値が全体として低くバリューされてしまう。それを避けるために、会社を分けていきましょう、スピンオフしましょうといったようなことがアメリカで盛んになっております企業分割のひとつの大きな背景になっていると思います。

そうした中で、企業の特にコングロマリット化した大企業のIRの場合におきましては、今後、個別の取引まではさすがにいかないにしても、損益計算書とか、バランスシートを区分で開示していこうといったような動きが投資家からのプレッシャーとして強まってくる。それに対して、企業も、IR上、前向きにこたえていこう、そういう動きが強まっているのは間違いないと思います。

○八木委員

私も、つい先日、自分のところの有価証券報告書を使おうと思って見て、必要なものがなくて、あらと思ったことがありました。だんだん慣れていくと思います。かわりに1カ月早く出すようにしましたし、それから、今度は四半期という、海外の業界でもやっているところ。その辺、綱引きになるかと思うのでありますが、できるだけ今言われたような情報は御質問にこたえるとか、そういうことで補っていければと思っております。

ここは、たまたま会計基準の議論の場ですけれども、パーチェス、プーリングで、お二人の話を聞くと、パーチェスの場合だったら、例えば簿価その他を開示、プーリングがあったら、フェアマーケットバリューみたいなものを示したらどうか、そういうことで補って、いろいろな取引の実態がよくわかれば、方法のいかんは問わない。そのように受け取りました。特にプーリングでやったときの公正価値はどういうことかというと、例えば、企業経営者がどう判断するか・判断したか、その根拠なり何なりを示せという意味かなと思いながら伺いました。結局、プーリングとパーチェス、両方必要だ、状況に応じてあっていいのではないか、このような感じでとらえて、優劣という話ではないととらえてよろしいわけですか。

○小谷野参考人

私は率直に言ってそうだと思います。開示が充実しているのであれば、どちらの方法であっても、特に問題ないだろう。特にフリーキャッシュフローで最終的に公正価値を算出していくのが市場関係者の役割であるとすれば、あえてここで、会計基準について複雑化するのはどうかなという部分も、当然これは議論としては成り立ち得ると思います。

○引頭委員

私も全く同じ意見でございまして、どちらかに一本化することによって、逆に開示がなくなってしまう危険を考えれば、開示を充実しながら、企業さんの状況に応じてというのも、分析者としては十分いいと考えます。

○斎藤部会長

お二方の一方はアナリスト業務、一方はインベストメント・バンキング業務で、代表的なユーザーの方からの御発言で、基本的には、ここの部会のテーマになっている合併あるいは企業結合の会計方法について、一義的に一方を選択する根拠を模索することよりは、キャッシュフローに対する影響をきちんと開示させるということを考えた方が生産的であるという、そういう御発言であったわけですが、特に小谷野参考人の今日の御説明は、合併直前直後のディスクロージャーが中心になっておりましたけれども、それは、その後のことを考えても、その結論は変わらないと承ってよろしゅうございましょうか。

○小谷野参考人

そうですね。基本的に、これまで我が国の企業結合会計については、分析者の方は、ある種の歴史的な流れを踏まえた上で、分析のスタンスというのはある程度確立していると思われますので、そうした意味では、今のままでも、十分に対応できるのではないかと考えます。

○斎藤部会長

それでは、ほかに御発言はございませんでしょうか。

○葛馬委員

引頭委員にお伺いしたいのですけれども、ひとつは、本論と外れますけれども、1ページ目のところで、アナリストが重視する開示情報というので、順番が書いてありまして、この中で、キャッシュフロー計算書というのが新しく導入されて、もてはやされているわけですけれども、それは、恐らくマル2のところに入っているのかと思いますが、実際、どのように使われているのかということをお伺いしたい。

幾つかありますので、最初に質問を言いますと、これは、今後、企業結合会計を考える上で、参考までに教えていただきたいということですが、3ページあたりの下の方に書いてある、仮にのれんを償却しないと二重計上になるという考え、まさにそのとおりだと思いますが、これは、減損会計を適用すればこういうことは避けられる。その意味では、予測値に基づいた資産を計上するのではなくて、1年たったら、当然予測値も変わってくるはずなので、むしろ償却よりも減損会計の方が意味があるのではないのか。私はそれがいいと言っているのではなくて、その辺のお考えをお伺いしたいということです。

それと、これも難しい、ほとんど神学論争的になるような話ですけれども、4番目の取得の原価について、株券という紙切れでもって資産を評価するのか、資産の価値でもって紙切れを評価するのか、パーチェスという場合、恐らく両方あると思いますが、この辺はどう考えるのか。結局勝負がつかないのではないか。勝負がつかなかったら、足して2で割るという方法が生活の知恵ではないかという気がするのですけれども、もう少し突っ込んだ何かお考えがあれば教えていただきたい。

それと、最後の事例で、8ページですけれども、子会社同士の合併においてパーチェス法が採用された場合ということで書いてあります。日本公認会計士協会が発表された企業結合、分割の研究報告では、親会社が同じ場合の会社の資産の移動とか、共同新設分割などの場合にはプーリング法で処理するとたしか書かれていたと思いますが、アメリカなどでは、子会社同士の合併では、パーチェスが普通使われているのかどうかということも、もしわかれば教えていただきたいと思います。

以上です。

○斎藤部会長

4点、よろしゅうございましょうか。

○引頭委員

まず、1点目のキャッシュフロー表ですけれども、これは、一番使うのは営業フリーキャッシュフローというところで、実際に得たお金と、あと投資に使ったお金、それを設備投資とかそうしたもの、あるいは何か合併等で株式を取得したための投資のお金とか、そうしたものを含めたものを差し引いた営業キャッシュフローを一番見ます。

それは、過去をいろいろ分析すると、日本の企業はマイナスの時期が非常に多うございまして、逆に、そうしたキャッシュフロー表を公表するに当たり、企業さんの間でも、フリーキャッシュフローの目標値を説明会で御発言されるところがふえてきました。そうした面では、キャッシュフローに対する外部チェック機能、これは非常に高まったのではないかなということで、アナリストとしても非常にわかりやすくなりましたし、会社さんとしても意識を持ちやすくなったということで、非常によかったと考えております。

2つ目の御質問ののれんを償却しないと利益の二重計上で、この場合には、減損処理でしたらどうかということですが、それはそのとおりだと考えます。ただ、FASBの方の決定では、いつ減損するのかとか、要するに、毎期なのか、少したってからなのかとか、余り規定がなかったように私は読めたのですけれども、仮に減損をするとしても、何かしらの基準が要るのではないか。その資産がどういう価値を持つかというのを各企業で決められるわけですから、この辺が何か指針がないと、恣意的な面が出るのか出ないのかなというところで、そこだけは疑問です。ただ、やり方としては、これでいいと思います。

それから、取得の原価について、株と現金でどうかということですけれども、これは、本当に今御指摘のとおり、神学論争みたいでございまして、私は個人的には現金主義でございます。

○葛馬委員

株で資産を評価するのか、資産で株を評価するのかという点ですが。

○引頭委員

私は、別だと思います。要するに、株価というものは、マーケットの参加者の人たちがそれぞれの判断で決められたもの、企業の価値というのは、また別のところにあるのではないか。それがいつも一応イコールに分析上はなってはしまうのですけれども、個人的には、本当にそうなのかなと。オーバーシューティングするときもありますし、株価が上にも下にもいくときがありますので、その辺は非常に難しいと思います。

先ほどNASDAQが半分になりましたというお話を申し上げましたけれども、例えば時価の評価のときに、6カ月あるいは3カ月、そうした平均値を求めればよいではないかという御指摘は当然あると思いますが、株価はずっと下がるときもあるわけです。ずっと上がるときもある。必ずしもそうした直近の評価だけでいいのかというのも、個人的には思いますので、そこは分けて、株式市場とまた違う面があるのではないかと思います。

それから、子会社同士の合併については、私はてっきり何でもパーチェス法になるのかと思いまして、このように書きましたが、これは、勉強不足でございます。失礼いたしました。

○斎藤部会長

ありがとうございました。第2点については、のれんの償却のかわりに減損を使った場合には、利益の二重計上とおっしゃった点は消滅するという、そこだけに限ってお答えになったわけですね。

○小大日方委員

先ほど斎藤先生がまとめられたので、あえて言わない方がいいのかもしれませんが、企業評価に当たって、キャッシュフローを使うということはよくわかっているわけです。ところが、毎期毎期の利益をその期その期のキャッシュフローにそのまま戻して使うというのであれば、今後は、キャッシュフロー計算書が出てきているわけですから、極端な言い方をすれば、損益計算書なんていうのは要らない。

だから、その限りにおいて、利益を全然情報として使わないのだから、プーリングだろうが、パーチェスだろうが、影響するはずがないというように聞こえてしまうのですが、利益をベースにした企業評価モデル、あるいは評価手法があったとして、それを使うときに、それでもプーリングとパーチェスの差というのは調整可能であるために、使い分けなり、その調整計算ができるだけの注記があれば、何でもいいということになるのでしょうか。その辺をお伺いしたい。

○斎藤部会長

どちらからお答えいただくのがいいのでしょうか。むしろ小谷野参考人からお答えいただいた方がいいかもしれません。

○小谷野参考人

基本的に、プーリングとパーチェスがどのような計算で、どのような形で損益計算書の利益あるいは損益の数字に影響を与えるのかという過程はさておき、利用者の立場からすると、実際にそれで出てきた営業利益ないし税引き後の利益の数字がどれだけ影響を受けているのかを端的に知り得れば、それでいいという発想です。

つまり、プーリングでもパーチェスでも、キャッシュフローさえわかればいいというよりも、キャッシュフローは第一義的に今後重要になるでしょう。しかし、ディスカウンテッド・キャッシュフローだけでは読み切れない企業を取り巻く環境、あるいは企業の想定していないビジネスモデルを株式市場は仮に読んでいるとすれば、その情報もある程度読み込んでいきたい。

そうした中で、損益計算書の数字をある種平準化といいますか、実態利益に即した形で組みかえることで、市場株価法によって、企業価値を一応チェックしたいというのが、分析者の視点でもあると思うのです。そうした意味では、損益計算書は完全になくなってもいいとか、そういう議論ではなくて、損益計算書の使い勝手をよくするという意味で、開示を充実してください、そういう言い方の方が、分析者の意識としてはより正しいのではないかと思います。

○斎藤部会長

大日方委員の御質問の趣旨は、企業評価を考える上で、重要なのは、期待のキャッシュフローだ。つまり、将来の予想キャッシュフローである。その予想キャッシュフローを考える上で、現在のキャッシュフローがベストの情報であるのかどうかということを確認しているのです。

○小谷野参考人

それは、そうだと思います。

○斎藤部会長

それは、従来の議論のパラダイムと基本的に違っております。アメリカ等の実証研究からも明らかでありますが、現在のキャッシュフローに対して、開示される利益が追加的な情報価値を持つということを繰り返し確認しているわけでありまして、今のお答えは、そのパラダイムを否定したということなのか。そうではなくて、基本的にキャッシュフローに関する期待の重要性をおっしゃっているのか、その辺の確認なのです。

○小谷野委員

それは、キャッシュフローに対する期待の重要性ということですね。

○斎藤部会長

大日方委員、よろしゅうございましょうか。追加的なコメントはありますか。

○大日方委員

お二方のアナリストとしての御見識は、私は今お聞きして、そのとおりかなと納得はしているのですが、ただ、多少わからない点があるのは、アメリカでは、当然に皆さん御承知のように、投資家への情報提供を基本的に第一の目的としており、SECの幹部は、繰り返し、アナリストの情報ニーズにこたえることが第一義的な目的である、会計基準の変更に当たってはアナリストの意見を重視すると言っているわけです。

仮にアナリストから見て、プーリングとパーチェスにさほど大きな違いがなくて、調整計算の補足情報等で十分今までのルールでやっていけるということであるとすると、なぜにこんなにもめているのかが私はよくわからない。つまり、では、アナリストは構わないようなことを、だれか違う利害集団がいてもめさせているのか。

どうしても私は利益を使ってキャッシュフロー予測をする上で、アナリストにとって、何か方法の統一化というようなことがアメリカで言われているのではないかという気がしたものですから、そういう流れが――事情はよくわかりませんが、多分コスト節約というか、あるいは比較可能性みたいな議論なのかもしれませんけれども、そういうことが背景にあるのではないかということを確認したいのです。アメリカの事情という意味です。

○小谷野参考人

これは、どういうほかの一派がいるのか、私もわかりませんが、比較可能性を素早く行う上での財務指標の有効性を高めたいという意識は、当然あると思います。それは当然にコストの問題ともかかわってくると思います。当然証券アナリスト等々、忙しい中で、大量の情報を処理しなければならない中で、余りにも違う基準が並存していて、そこで短期間にいろいろ出てくるアーニング・アナウンスメント等を正確に調整しなければならないとなると、コストはかかる。これは、利用者の視点として十分あり得る議論だと思います。

○斎藤部会長

よろしゅうございましょうか。もしかすると、情報のユーザーサイドから見て、本当に意味のある議論として、企業結合会計の方法の統一という意見が出てきているのかどうか、それ自体が疑わしいという御質問にも聞こえますけれども。

○大日方委員

それは逆質問で、おっしゃるとおりで、非常にソフィストケートされたアナリストの方々を前提として、今日のお話はそのとおりだというように私は思えたのです。つまり、どちらかの方法が使いやすくて、どちらかの方法が使いにくいとか、あるいは統一しなければやっていけないということは、通常考えにくいわけです。その意味では、余り国際的調和化の観点から、摩擦を起こすのはよくないと思いますけれども、今日の話は、それで十分に合理的で、ソフィストケートされたアナリストの意見だと承っております。

○斎藤部会長

ありがとうございました。ほかに御発言はございませんか。

○葛馬委員

私も、お聞きしていて、今の会計はバーチャル・リアリティーであるという話があって、バーチャル・リアリティーなので、リアリティーというキャッシュフローに戻ろうよ、余りソフィストケートされたことを考えてもしょうがないのではないかというような、非常にディスカレッジされるような印象は若干受けました。

これは感想だけなのですけれども、ついでに、これはお願いですけれども、こういう席で、利用者側の方のお話を聞くと、必ずあれも欲しい、これも欲しいという話ばかり。要するに、多々ますます弁ずの話なのです。しかし、世の中には、孔子様がおっしゃった過ぎたるはなお及ばざるがごとしというのもあります。これは、孔子さんが余りうるさいことを言うので奥さんに逃げられて嘆いて言った言葉だと伝えられていますけれども、使ってみて、この情報は、手間をかけている割にはなくてもいいのではないかということも、ぜひ一緒に言っていただければありがたい。

日立さんの95ページから70ページというのは、25ページ分手間暇が省けて、それだけ収益力が上がったという側面もあるわけなので、ぜひその辺は使われる方も、何がしかの自己抑制といいますか、その辺をお願いしたいなと思います。これはお願いです。

○伊藤委員

私も、企業の財務諸表を作成する側として、葛馬さんの言うのと同じ気持ちなのですけれども、きょうお二人のお話をいろいろ聞かせていただきまして、アナリストさんの御要望というのはよくわかるし、我々もIRミーティング等に、そういう点を踏まえて、必要に応じてその事前に出した資料以外にも、個別によくお伺いし、必要なものはその都度渡します。

きょうのところで、私なりに興味があったので、これは、今後の企業会計上のひとつの参考として、我々が限界を感じなければならないのかどうかという点については、後の方の御説明で、63ページの「わが国の関係者の意識」というのがあって、そこのところに、「米国のように結合の形態によって会計処理を変えるという会計原則がないため、実務では、主として税負担の回避ないし最小化という観点から、税法の取扱いに準じた会計処理が選択されることが多いように思われる」というくだりがあるわけです。

これは、現実には逆基準性というか、そういったところが日本の企業会計上によく出ているけれども、このパーチェスについて、今の確定決算主義との関係をどうしていくのかは、我々もこの場でも1度よく考えておく必要があるのではないかと思いますので、それが、今日、これにあらわれているのかなということを少し考えた次第ですけれども、そのあたりについては、そのようなことを意味しておられるのか、これは単なる記述なのか、そのあたりを聞きたいというのが1点です。

それからもうひとつは、この合併に関しては、最初の方の6ページの「合併等の会計処理について」の最初のところにいろいろ原則論が出ていますね。現物出資説と人格継承説。確かに日本の合併というのは、基本的には相手の人格を認めた合一といいますか、そういった形態が非常に多い。最近違うことがありますけれども、基本的には、比較的少ない。これは、日本の固有民族を中心とした今の過程の中で、しかも、労働の移動がなかなかできない。年金システムもトータルではない。ひとつのグループとしてのいろいろなものが連なって、そのような形態になってきているので、会計だけがそれを先行して行うというのが、本当に必要なのかあるいは、時期尚早なのか。

これは、我々実際に経営している者と会計士さんで、あるいはそういった意見の違いもあろうかと思うのですが、それに際して、67ページの最初のところ、「経営者の方針(MD&Aなど)の開示充実」と書いてある。これは、経営者が、この合併が基本的にみれば、本当にM&Aだというところがはっきりすれば、それはそれなりの情報を合った形で出せばいいのであって、そういう点では八木さんも言ったように、どちらでもいいけれどもそれなりのきちっとした情報を出す、経営者のその方針と開示情報が裏づけされていればいいのではないか、このように判断するのです。

したがって、我々も、余分な情報を長々と出したくもないし、時間もないし、必要な情報はその都度出すということでいいのではないかと私は判断したのです。そういうことでよろしいのでしょうねということの確認です。

ですから、さっきの御質問、もう1回くどいようですが申し上げますと、この企業会計の審議会の場で、そのような確定決算の問題まで踏み込まなければならないというように考えておられてこれを書いているのかどうかを聞きたい。

2つ目については、私が言ったように、経営者の方針がはっきりすれば、パーチェスか、それともプーリングかというのは、おのずから思料の推理はそれでいいのではないか、このように考えていいですか。その2つの点を聞きたいのです。

○小谷野参考人

最初の点につきましては、まさに確定決算主義そのものをどう考えるのかという議論に当然なろうかと思います。つまり、分析者の視点としましては、これまでの我が国の企業結合会計の処理は、ある種、税法上ベストの選択を企業の経営者が行っているのであるから、その領域まで踏み込むことはしなくてもいいのではないかといった暗黙の了解といいますか、自己規制なような部分があったと思われます。それは、逆に、キャッシュフロー等々で、ある程度割り切って、数字が出てくるのであれば、それでいいといったような議論に結びついていることは否定できません。

それから、第2点につきましてですが、これは、企業サイドの実際のコスト及び時間の制約を考えると、まさにそのとおりだと思います。私が書きました資料の67ページの11項目挙げた中で、(3)、(4)、(6)の部分がまずきちんと出ている。それに加えまして、企業の経営者が具体的に何を考えているのかといったようなところが、つまり(1)番に関係するところが別途開示されていれば、かなりの程度、分析者の方は納得がいく部分はあるとは思います。

それで、ひとつつけ加えたいのは、今回の私の議論というのは、企業結合を発表する前後の開示のあり方に中心を置いた記述になっていますが、長期で考えてみた場合、今のままのやり方でもいいのか。基本的にはいいと私は先ほどお答えしましたが、そうした意味でより重要なのは、この(1)番に関する部分で、企業結合を行った後の企業の経営者のグループ戦略の方針、あるいは業界環境の考え方、これはどのように変わったのかを開示していくことが、非常に重要なポイントであろうと考えます。

○黒川委員

きょうの御説明、大変よくわかりましたが、先ほど部会長もおっしゃいましたことと少し関係するのですけれども、将来のキャッシュフローとそれの予測の現在の情報がどのような関係にあるのかという点で、普通、我々が考えております財務諸表というものの将来予測性に関して、経営者の見積もりというか判断というか、経営判断が大変入ってくる、そういう点があったと思うのです。例えば、のれんの償却ということに関しますと、のれんの償却年数、これに幅がありますね。それで、何年をとるかということで、もし、仮に、正しいというか、経営者の予測が反映しているならば、5年あるいは10年といったときに、そののれん価値がどのぐらい続くのかということの判断資料になるかもしれません。

それから、のれんの価値がパーチェス法ですと表に出てくるわけですけれども、これは、このぐらい価値を見出したのだということかもしれません。それから、もし仮に公正価値プーリングがあるとするならば、ここの結合はフレッシュスタートなのだというような判断がなされるのかもしれません――これは、制度としてはありませんが。キャッシュあるいはどちらの情報も出ればということよりも、現在の財務諸表上で表明されたものの持つ意味がひとつあったのではないかと思います。その点について、今日の二人の先生方の判断ですと、両方出ていればよい。あとは、質疑応答の中で明らかになっていけばよい、このようなことでよろしいのでしょうか。

それとも、私が言いましたように、今までの我々が考えていた、そういう確定といいましょうか、経営者の約束事というか、約束したことというか、あるいは表明の約束というのでしょうか、何と言っていいかわかりませんけれども、そういうものの意味は余りなくなってきているのか、あるいはやはりあるとお考えでしょうか。

○引頭委員

今、黒川委員が御指摘のとおり、そうした情報も外に出てくれば、それは、経営者の意思として私どもは使いますし、それは利用させていただいております。ただ、どちらの方法がいいのかというのは、正直言って、私自身、本当にどちらがいいかはよくわかりません。

ただ、多分自分が経営者だったらということを考えますと、そのときの株式時価に換算されるパーチェス法、要するに取得価額がそれで決まってしまう場合と、持分プーリング法を使った場合では、資産効率の計算の方法とか、そうしたものは、もちろん公開情報で幾つか調整はできるとは思いますが、例えば社員の人に、このセグメントでこれぐらい利益を回せなければならないとか、資産効率はこれだけ上げなければならないというように、全社の経営目標数値をつくるときに、少し揺らぎが出てくるのではないかなという懸念は個人的には持っております。

○小谷野参考人

個人的には、企業の経営者自身が、損益計算書の数字をどう思っているのかという判断と、例えばのれんの償却年数の判断の問題というのは、これは切っても切り離せない問題なので、実際、形式的な開示の中で、どこまでそうしたものを織り込めるのかというのは、なかなか実務的には難しいのかもしれない。そうした意味では、現実的な判断としては、Q&Aの中で、適宜やりとりする中で、経営者の考えている大局的な買収対象事業に対するスタンスを知っていくというのが、実際的なやり方なのかと私はそのように思います。

○斎藤部会長

黒川委員、どうですか。よろしゅうございますか。

ほかに御発言ございませんか。

○辻前企業会計専門官

例えば、アメリカで、パーチェス法とプーリング法という2つの方法があって、きょうの開示例でも、パーチェス法と一言単語があれば、どのような処理をしたかある程度推察がつくのですが、物の考え方として、会計処理の方法を逆にもっと数をふやして、8つとか、それ以上にして、それぞれ名前をつけるような姿があったとして、それは、利用者にとって、親切というか、わかりやすいと言えるものかどうかというのをお伺いしたいと思います。

○小谷野参考人

キャッシュフローは大事だから、会計方法はどうでもいいんだと言っておいてなんですが、これが、5つも6つもいろいろな方式が並存してくると、これは、非常に紛らわしいだろうなと、これは直感的に思います。M&A等々のワンタイム・イベントがないときの企業の実態をぱっと知り得る数字として、出てくる利益の数字というのは、新聞などにも出てきますし、みんなが見ているものでして、それの背景にある基準が幾つもあるというのは、やはり余り気持ちのいいものではないのではないかと思います。

○斎藤部会長

よろしゅうございますか。

それでは、まだ二、三分でしょうか、時間がございますが、特に御発言があれば、手短にお願いいたします。

○長坂委員

引頭委員の3ページで、FASBののれんの償却を見送る方針についてのコメントを言われているのですけれども、私も個人的には、前回お話ししましたけれども、のれんを償却しないでそのまま残しておくというのは、実際に物があるものではないものをいつまでも残しておくというのは問題ではないかなと思っていまして、FASBの今回の仮決定は、余りよくないような感じを個人的には抱いています。

もうひとつの理由としましては、減損処理をするということですけれども、当社は過去に金額の大きな減損処理をしまして、どちらかというと苦い経験があります。減損処理だけにして、多分毎年は何も出てこなくて、大きな金額がある年度に損失として出てくるというのは問題ではないかなと個人的には考えております。

○斎藤部会長

わかりました。ありがとうございました。

ほかに御発言ございませんでしょうか。

それでは、特に御発言がなければ、ほぼ予定の時間でありますので、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。

小谷野参考人、大変ありがとうございました。

なお、次回第6回は、3月9日金曜日の午後、その次の第7回は、3月23日金曜日の午後で予定しておりますので、よろしくお願いをいたします。詳細につきましては、改めて事務局から御連絡いたします。

本日は、お忙しいところ、まことにありがとうございました。

これで閉会させていただきます。

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