平成13年4月11日
金融庁

企業会計審議会第6回第一部会議事録について

企業会計審議会第6回第一部会(平成13年3月9日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第6回第一部会議事録

日時:平成13年3月9日(金)午後2時00分~午後4時04分

場所:中央合同庁舎第4号館10階共用第一特別会議室

○斎藤部会長

それでは、定刻になりましたので、これから第6回の第一部会を開催いたします。

委員の皆様にはお忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、財務諸表作成者の観点から企業結合会計の論点について経済団体連合会の八木委員より、また利用者の観点から渡辺委員よりご報告をいただく予定にしております。現在、渡辺委員は第二部会に所属され、監査基準の審議にご参加いただいております。本日は特に当部会でのご報告をお願いいたしました。また、固定資産部会に所属されております逆瀬委員にも特にお越しいただいております。お二方とも本日はよろしくお願いいたします。

それでは、まず八木委員から、「産業界から見た企業結合会計の検討に当たっての考え方」についてご報告をお願いいたします。

○八木委員

ご指名でございますので、私の方から、産業界から見た企業結合会計の検討に当たっての考え方をご説明させていただきたいと思います。

ただいま部会長からお話がありましたように、固定資産部会から逆瀬委員が参考人として同席させていただいております。それから、経団連でただいま企業会計制度に関する提言をまとめつつあるのでございますが、経団連の中村委員、伊藤委員もご一緒でございますので、何かございましたらご質問の過程でご協力いただければと思っております。よろしくお願いします。

企業結合会計につきましては、私どもの認識としては、世界的な潮流もいま一つまだ定かでないものがあり、我が国の組織再編も、商法改正や税法改正によってようやく緒についたばかりであると感じております。実際には我が国企業の本格的な組織再編は来年度あたりから始まるといっていいのではないか、こういう認識でございます。

このような中で、今回、企業結合会計の検討が進められているわけでございますが、経団連の内部といたしましては、例えば会計基準であったらこうあるべきだといった基準の中身自体について確たる方向性のコンセンサスはまだ得られておりません。まさに議論の途中でございます。本日は、経営者の立場から基準の中身というより、むしろこれからの検討に当たって考えていただきたいと思っております点について、レジュメの順にお話をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

まず、企業経営の多様化の動向、(1)企業集団経営手法の定着、その1つとして連結経営でございますが、企業を取り巻く環境が構造的に大きく変わっていく中で、まさに国際競争が熾烈を極めておりまして、この中で勝ち抜いていくために、企業は必死で選択と集中による経営の効率化、単独経営からグループ連結経営への転換を進めております。ここ二、三年、以前とは格段の激しさでそれが進んでいると私自身も認識しております。

経営の効率化を図るためには、事業特性に応じた組織を構築して、責任と権限の明確化あるいは迅速な意思決定プロセスを実現する必要があるわけでございます。従来、我が国では、商法、税法、独禁法などの制約で、企業組織再編のためのツールが未整備だったと思います。そういうこともありまして、経営効率化のための組織形態としては、企業の中で事業部制をとったり、あるいはグループ制とか、企業の中の組織を一生懸命改めるケースが多かったと考えております。しかし、より経営責任を明確化するためには、例えば社内分社化とかカンパニー制ということで、ここ数年、事業部制からそういった新しい組織体制をとる会社が非常に増えていっております。現在、私どもの会社もそうでございますが、多くの企業がこのような状況にあると考えております。

現時点で、純粋持ち株会社の解禁を初めとして連結開示への移行とか、あるいは何回かにわたる商法の改正、税制措置の整備等々を経まして、企業組織再編のために基本的なツールが整備されてきつつあるように思っております。その結果、企業の再編には大変多くの選択肢が与えられたことになりまして、純粋持ち株会社を活用するグループから、あくまで社内での組織変更にとどめる企業まで、いろいろなケースが考えられるわけでございます。

例えば、公表されております具体的な事例といたしまして、金融界におきましては、ご存知の日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行、こちらが昨年の9月に持ち株会社としてみずほホールディングスを設立されました。2002年の春をめどに株式移転の方法により分社経営を完成させる予定と聞いております。また、同じ銀行関係では、東海銀行、三和銀行、東洋信託銀行でも、2001年4月に持ち株会社としてUFJ(ユナイテッド・ファイナンシャル・オブ・ジャパン)ホールディングスを株式移転の方法により設立する予定と聞いております。一方で、住友銀行、さくら銀行におきましては合併による統合を計画しておれるところでございます。

こういった金融機関以外におかれましても、これから連結納税制度が整備されることを待って持ち株会社化を進めたいと計画したり、検討しておられる会社が数多くあると感じております。

その次にマル2でございまして、合併、営業譲渡・営業譲り受け、あるいは株式買収、株式交換・移転、会社分割、これらについてでございますが、このように既に独禁法とか、証取法とか、商法、税法等々におきまして連結経営や企業再編をめぐるさまざまな環境整備が図られておりまして、企業が事業移転していく手法として、合併とか営業譲渡・譲り受け、株式買収、株式交換・移転、会社分割といった多くの選択が可能となったと考えております。

マル3でございますが、企業組織再編のさらなる進展といたしまして、今後、海外企業との関係も含めて我が国企業の組織再編がさらに進展していく、企業の組織再編の手法が多様化することが予想されております。また、新たな法制がなくても、これまで検討されていなかったような手法、例えば、再編ではございませんが、ソニーさんが導入したトラッキングストックのような例、これは法令改正前に解釈でというような考え方のもとにおやりになっているわけでございますが、こういった手法まで可能となることも考えられているわけでございます。企業会計面でも将来の発展性を踏まえた検討がまさに必要な時期になってきたと考えております。

それから、大きな2番でございます。企業組織再編をめぐる商法、税法の最近の動向についても大変目まぐるしいものがございます。

(1)商法でございますが、そのマル1組織再編を支援する合併簡素化、株式交換、会社分割制度の導入ということについて申し上げますと、1997年に独占禁止法が改正されて純粋持ち株会社が解禁されておるわけでございますが、昨年の9月8日の本部会で法務省の原田委員からご紹介がございましたとおり、商法でも組織再編を支援するために、これまでにないスピードでいろいろな制度が整備されてまいりました。1997年の商法改正による合併の簡素化を皮切りに、1999年には親子会社関係の創設を容易にするための株式交換・株式移転制度が創設されておるわけでございます。直近では、昨年の改正によりまして会社分割制度が創設されまして、本年の4月1日から施行される予定でございます。

2番として連結計算書類の導入がございます。平成14年の通常国会で商法の抜本改正を行うよう法制審議会では鋭意検討が進められておるわけでございますが、その中で商法への連結決算の導入も検討課題として挙げられているわけでございます。先ほど申し上げましたように、実態としては企業経営は既に連結グループを中心として行われておりまして、商法の開示情報としても連結情報を提供することが重要であると考えております。

3番目に証券取引法との調和でございますが、私どものように証券取引法適用企業から考えますと、証券取引法の開示が有用な情報だという決断のもとに連結主体の開示へ転換したのでございますが、にもかかわらず商法では相変わらず個別を中心とした開示が求められ続けている。商法と証取法の目的の違いを勘案してもそういうことに違和感が生じておりまして、これが増幅しつつあるわけでございます。

また、会計基準の面におきましても、さきの商法の資産評価規定の改正は、これは金融商品の関係等でございますが、当審議会での時価会計が導入されたから商法を改正したという経緯であると認識しておりまして、本末転倒の動きがあるわけでございます。今回の企業結合の会計につきましても、商法の評価規定との関連が論点となる可能性がございます。したがいまして、基本的には、商法は会計処理については触れずに、会計慣行にゆだねるべきではないか。計算規定のところでございますが、そこまで感じている次第でございます。

2番目に税法の関係でございますが、そのマル1として企業組織再編税制でございます。税法に関しましては、商法等が整備されたことを受けまして、既存の合併、現物出資などを包括的に見直す新しい企業組織再編税制が平成13年度税制改正によって導入されるわけでございます。新税制では、商法の規定にのっとって手続がなされた会社分割につきまして、租税回避の防止や、通常の資産譲渡と区別する目的から、独立事業継続要件あるいは継続保有要件、こうしたものを満たす的確再編の場合には課税の繰り延べを認めるということになっておりまして、4月1日以降に実施される再編に対して適用される予定となっております。

今回の税制措置で課税を繰り延べる理念は、資産に対する支配を継続するという点にあると聞いております。今回の税制は産業界の要求を大きく反映した内容となっておりまして、当審議会での検討に当たりましても一つのメルクマールとなるのではないかというふうに考えておる次第でございます。

マル2として連結納税制度でございますが、このような新しい組織再編税制の構築によりまして、法人税制の残された最大の課題は連結納税制度の導入であると申せると思います。既に自由民主党の平成13年度の税制改正大綱におきましては、「2002年度における導入を目指す」と明記されているわけでございますが、2002年度以降に一層本格的な企業組織再編の時代がやってくる可能性が高いことを念頭に置きつつ我々も検討を進める必要があるのではないかと思います。

3番目に、確定決算主義・損金経理要件の見直しということでございます。今回の企業結合の議論に始まることではございませんが、税法と企業会計との関係につきましては確定決算主義・損金経理要件といった大きな問題が残されております。

今回の企業組織再編税制で画期的なのは、会計や商法の扱いいかんにかかわらず、税務と乖離がある場合にはこれを申告調整できるとされた点だと思います。逆にいいますと、分割や合併を行って税法基準と会計基準が異なる場合には、企業は税務上の帳簿と会計上の帳簿という全く異なる帳簿を持つことになると思います。既に有税償却とか、引当金処理とか、あるいは退職給付会計などにおきましては事実上2つの帳簿が作成されておりますが、今回の組織再編税制でさらにこの傾向が強まるわけでございます。さらに、2002年度に連結納税制度が導入されれば、これは決定的といえる乖離につながると考えております。

ここに至りまして税と会計の調整を主張するということは、合理性が乏しくなると思いますし、かえって企業実態の適切な開示をゆがめることにもなりかねないと思っておりまして、税の議論というのは一つの重要な参考としつつも、企業実態の適切な開示というスタンスに即した検討が必要と考えざるを得ないと考えております。そこで、企業会計審議会としても、企業会計に大きな影響を与えている確定決算主義や損金経理要件について真剣に議論する必要があると感じている次第でございます。

大きな3番で企業結合会計をめぐる諸外国の動向、これについて所感を申し述べたいと思います。(1)で申し上げましたとおり、我が国での企業組織再編はさらに進展すると思われますが、ここでIASとかアメリカでの企業結合会計の動向について簡単に触れたいと思います。

まず、国際会計基準でございます。IAS22「企業結合」におきましては、事業の取得とみなされる企業結合はパーチェス法である、また持ち分の結合とみなされる場合には持ち分プーリング法であるという整理が行われていると認識しております。

ご存知のとおり、プーリング法の基本的な要件として3つ挙げられているわけで、1つは、結合企業の普通株式のほとんどすべてが交換あるいはプールされるということ。2番目として、一方の企業の公正価値が他方の企業と著しく異ならないこと。3番目に、いずれの企業の株主も結合後の企業に対して相対的に結合前と実質同等の議決権と持ち分を保持すること。こういった基本的な要件が定められているわけでございます。

ところが、G4+1では、98年12月の報告書においてプーリング法の廃止を提案していると聞いております。また、アメリカのFASBにおきましては、先月の14日、企業結合に関する修正後の公開草案を公表されて、G4+1の報告書と同じく、プーリング法を禁止すること並びに発生したのれんの償却を禁止するという新しい提案を行っているわけでございます。この公開草案は、1ヵ月間公開して、6月には最終報告を予定していると聞いております。国際的にはパーチェス法に収斂するような傾向だと感じております。なお、IASもFASBの公開草案も、共通支配下の企業間の取引や、ジョイントベンチャーが関係する場合には企業結合の対象外としているようでございます。

私は、これらの海外の基準がプーリング法を排除する理由がいま一つ腑に落ちないところがあるのでございます。以前の会議でも本件に関してご紹介がございましたけれども、海外の基準がプーリング法の排除について必ずしも明確な論拠を掲げているものではない、皆様のお話を伺ってそのように感じております。

2種類の会計処理があるために、アメリカの現在の基準が定めているプーリング法の要件に当てはまる形をつくればパーチェス法を免れることができる、したがって結果として同種の取引について財務諸表の比較可能性が失われるという理由が挙げられておりますけれども、それはプーリング法を排除する本質的な理由ではないのではないかとも感じている次第でございます。

アメリカのFASBの99年9月の公開草案においても、プーリング法の廃止には反対コメントが多かったと伺っておりますが、半分以上のコメントは、概してプーリング法の廃止に賛同したと記述されております。さらに、のれんの会計処理がどのように改定されるかによって判断が違うといったコメントもあったとされているところでございます。また、この公開草案には、企業結合について2種類の会計処理の存在が企業の財務諸表の比較を困難にする、という利用者の意見も紹介されております。

しかしながら、この審議会ではこれまでの議論の中で利用者側のご意見も幾つかございましたけれども、私の記憶では、開示を充実するという前提条件があれば、2種類の会計処理があっても必ずしも企業間の比較を妨げるものとはならないと承ったものもございますし、またパーチェス法を強制すれば企業の再編意欲を阻害してしまうのではないか、そういう危惧されたご意見もあったように感じ取っております。このあたりの議論は、今後ある意味で実証的に深めていく必要があるのではないかと感じておるわけでございます。

4番目に、我が国における企業結合会計の検討に際して、まず国際的調和という観点から一言申しますと、ここ数年間、日本の企業会計は目覚しいスピードで国際調和の動きをとってまいったと認識しているわけでございます。金融商品会計の一部あるいは連結実質支配力基準の導入等につきましては、もうアメリカを追い越した形で実践されているところでございます。また、経団連におきましても、証券取引法の開示においてIASとかSECの基準に準拠している連結財務諸表を容認するように各方面に要望いたしておりまして、国際調和の必要性というのは十分私どもも認識しているつもりでございます。他方、諸外国の企業結合会計は、申し上げたように揺籃期に入った趣もあるわけで、この動向をにらみながら我々も検討していかなければならない、そういう必要性を感じているところでございます。

2番目に、目的ということでございますが、そのマル1がまた国際調和でございます。国際調和に関する考え方は、今、申し上げたとおりでございますけれども、企業結合会計は大きなインパクトを財務諸表に与えるケースが十分に想定されるものでありますので、単に国際調和だけを希求するのではなくて、我が国の企業結合法制とか、その実態を踏まえる観点からの取り組みがあわせて非常に重要だろうと考えておるところでございます。国際調和のためというだけで企業組織再編活動に重要な影響を与えると考えられる企業結合会計処理基準をすっと導入することはなかなか困難なものがある、と感じております。この辺がこれからのポイントになると考えております。

もう一つの観点は、ニーズとコストベネフィットのバランスだと思います。新しい会計基準の検討におきまして、それを導入するニーズ、我々のような財務諸表作成者のコストベネフィットを比較考慮することが非常に重要だと思っております。利用者側の方々のパーチェス法一本化に対するニーズはどれほど強いものがあるのか、私は若干の疑問をまだ持っております。先ほど申しましたように、適当な開示が行われれば2種類の方法の並存は財務諸表の比較において障害にならない、というご意見が強く印象に残っているためでございます。

最近新規に導入された退職給付会計とか金融商品会計は、従来の会計手法とは異なりまして、我々作成者に相当の実務的な負担が生じております。しかし、経団連の仲間同士でもその負担はとにかく作成者側が引き受けざるを得ない、そういうコンセンサスが得られていると認識しております。どのような方向でまとまるにいたしましても、企業結合会計は作成者のコストが大きくなることは間違いないわけでございます。したがいまして、我が国における企業結合会計を導入するに際しまして、作成者側の理解を十分に得られるものでありたい、そういうものでなければならないと考えているわけでございます。

それから、商法・税法との関連について一言申します。昨年5月に本テーマが取り上げられましたけれども、その際、我が国の企業結合会計を検討するに際しましては、商法とか、現在、企業再編税制の細目検討が行われている税法との関連性についての配慮が必要であると申し上げてきた次第でございます。

商法との関連につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、会計処理については全面的に公正な会計慣行にゆだねるという形で、商法、税法の二元規制の弊害を解消する必要があるのではないか、そのための法改正をお願いしていきたいというふうに考えております。

また、税に関しまして産業界として希望するところは、明らかでありまして、できるだけ企業会計は税法と整合的であるにこしたことはないのでございます。しかしながら、税法と目的が異なる企業会計が一つの事象の取り扱いに関して全く同じでなければならないと申し上げるつもりはもちろんございません。また、先ほど申し上げたとおり、企業組織再編税制の発想がこれまでと基本的に転換されて、税と企業会計の二重記帳が前提となったわけでございます。そこで、連結納税制度や減損会計を含めて考えますと、税と会計の二重記帳は基本的に覚悟せざるを得ない。そうであるとすれば、税法の確定決算主義や損金経理要件の基本的な見直しを産業界としても本腰を入れて取り組んでいく必要があると考えております。結果としてこれが企業会計の進展に貢献することにもなると考えているわけでございます。

したがいまして、逆の意味で昭和27年あるいは1950年代、税法との調整意見書などに代表される意見を発信しているわけでございまして、今回の企業結合会計の改正に当たりまして、先ほど申し上げた状況を踏まえて確定決算主義や損金経理要件の基本的な見直しの必要性について本審議会の意見書においてぜひ織り込んでいただくようにお願いしたい、これは私どもの要望でございます。

それから、企業結合会計の対象となる企業組織再編についてでございますが、企業結合会計の対象に関しましての議論は行われておりませんが、企業再編の形にこだわらず、合併とか、営業譲渡・譲り受け、会社分割、株式交換・移転など、広く対象にすべきであると思います。異なる手法によって同様の効果を得ることができるわけでございますので、それぞれの事象ごとに審議をしていく必要があるのではないか、そのようにぜひお願いしたいと思っております。

連結と個別についてでございます。連結決算と個別決算の双方において、企業再編活動の会計を検討していく必要があるのではないかという視点でございます。4年前の平成9年の連結原則の改正によりまして、連結決算上、現金による企業買収についてはパーチェス法の適用を義務づけしたわけでございますが、それ以外の企業組織の再編につきましては、連結、個別ともたしか手がついていないのではないかと認識しております。

個別決算上、持分法が容認されない我が国の現状においては、現金買収の場合には、通常、個別決算では買収価格は投資原価に反映されるだけですけれども、その中には買収によるのれんが含まれているかもしれない。企業結合会計を論じる場合にこのような基本的な論点があると思います。

もう一つ、買収後子会社となる企業をパーチェス法で連結いたしますと、当該企業の資産、負債を公正価値で評価するということになります。したがって、当該会社のヒストリカルな帳簿を買収時点の公正価値に書きかえた上で連結が行われることとなるわけでございまして、当該子会社の資産、負債が2種類の帳簿によって作成される状態が生じていることになります。割り切ってこれを問題なしとするのか、あるいは現在、法制審議会では商法への連結情報の取り込みが検討されている状況を勘案して、何らかの方途がないものか、両方思案しているところでございます。二重の記帳は事務作業が多大になることもございまして、少なくとも100%子会社の場合には、連結手続の評価額をもって商法の記帳を改めることを認めてもよいのではないかという気がしているところでございます。いずれにしろ、このような視点を含めて連結、個別双方の観点から議論を進める必要があると考えております。

6番目に、共通支配下にある事業(企業)の再編でございます。共通支配下にある事業や企業の再編は、私どもの企業集団においても大小取りまぜて今後いよいよ増加すると思っております。IASなどでは企業結合の定義に含めない取り扱いと聞いているわけでございますが、外部株主が存在するような場合、特に日本にはこういうケースが多いわけでございますけれども、のれんが生じている場合もあろうかと思います。あわせて検討が必要なテーマであると認識しております。

7番目に、パーチェス法・プーリング法と事例研究のお願いということでございます。プーリング法・パーチェス法それぞれは長年定着した会計実務でございますが、先ほど申し上げた海外の動向もさることながら、まずは我が国の実例を徹底的に検証する作業が必要であろうと考えるわけであります。日本企業が海外で実施する例は買収ぐらいしかないと思うわけであります。海外事業は別と考えて、まず国内の例を検証していく作業が必要ではないかと思うわけです。これはぜひお願いしたいと思っております。

直観的には、金融機関の再編に見られますとおり、双方の経営者が新会社に移行している、両企業の規模が拮抗している、また議決権が双方の株主に比例的に引き継がれる、どちらの企業がプレミアムを獲得したか定かではない、こういった状況で無理やり一方を取得者であると決めつける方法は実態を無視した会計処理ということになって、経営者の事業再編意欲を減殺するということにつながっていくのではないかという懸念がございます。そういうことで先ほどのお願いにつながるわけでございます。

それから、最後でございますが、のれんの会計処理は、ついこの間までは償却資産との認識でございましたけれども、先ほど申し上げたアメリカの先月の公開草案では償却禁止を提案しているわけでございます。償却禁止とした上で評価減の会計処理を義務づけているわけでございますが、これではある日突然、評価減による損失計上を余儀なくされるということで、経営的にも非常に難しい面があると思っております。のれんは時の経過によって償却する方が望ましいのではないかというのが私どもの見解でございます。

以上、長々とお話を申し上げましたけれども、企業組織再編がこれからの日本経済復活のキーであり、今後ますます活用が進むと思っております。経営者の事業意欲あるいは経営の選択肢を狭めてしまうことのないようにご配慮いただきたい。財務諸表作成者側の実務において過度な負担が生じるか否か、そういう観点も踏まえていただきまして我が国の企業組織再編の実態を反映する会計基準の検討をお願いしたいと存じます。

冒頭申しました私どもの提言を検討しているところでございまして、今月いっぱいで経団連の中でオーソライズしてもらいまして、皆様方にお届けできると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。ご清聴をありがとうございました。

○斎藤部会長

大変ありがとうございました。

後ほどまとめて意見交換の時間を設ける予定でございますけれども、ただいまのご報告についてこの時点でご質問があればお願いいたします。

よろしゅうございましょうか。

この段階で特にご質問がないようでしたら、引き続いて渡辺委員から、「利用者から見た証取法会計のあり方などについて」ご報告をお願いいたします。

○渡辺委員

渡辺でございます。資料を2つお配りしてあります。1つはレジュメで、「利用者から見た証取法会計のあり方などについて」というタイルで、もう1つは、文章のものでして、「知的資産創造」という私どもの会社の月刊の調査誌に書いた短い文章であります。

最初に、「企業再編時代の情報開示制度-証取法決算への一元化とプロフォーマ情報の開示」について、ご紹介させていただきます。

最初は、よく言われる独特のトライアングル体制という日本の企業会計制度であります。企業会計は、企業の財政状態、経営成績の情報開示をしているのだと言われます。商法会計は、企業の利害関係者の権利義務の調整、特に配当規制を通じた債権者保護のための会計である。税務会計は、企業の利益に対して課税する法人税法の課税所得計算、そのための会計だと言われます。

それぞれの目的に従って何らかの会計処理が必要だというのは、どこの国でも変わらないわけであります。日本の場合だけどうしてトランアングル体制というような言い方があるかといいますと、要するに、情報開示を目的とした企業会計、証取法の会計ですが、この会計基準が商法会計と税法会計の規定に圧迫されて、適切な情報開示をするという観点から見ると、その目的が貫けなくなっているということであります。だれが迷惑をこうむるかということになりますと、公開企業の投資家が迷惑をこうむっているということであります。

証取法と商法、日本の場合は2つの決算を毎年やっているわけですが、その理由は、証取法の方に会計基準がある、加えて商法にも会計基準がある、2つの法律で会計処理の仕方を決めているということであります。こういう国は先進国にないそうでありまして、ヨーロッパの国は商法の規定の系列に会計基準がつくられている、アメリカの場合は、商法の方には会計の規定が実質ありませんで、証取法の会計の中で基準がつくられているということであります。日本の場合は、もともと商法だけがあったわけです。そこで会計の基準がありまして、そこに戦後証取法をつくって、詳細な会計基準を証取法の系列でつくり始めたために、両方で会計基準があるということになっているのが歴史のようであります。

その結果どんな問題が生じているかということですが、論文の3枚目、56ページを見ていただきたいのですが、56ページのところにアメリカのGAAP(一般に認められた会計原則)の非常に簡単化したものが図表で載っております。

見ていただくと、GAAPというのは、非常に体系立ったものになっておりまして、まず範囲が違っている。SECの規則あるいはFASBが出した基準書以下、これこれの文書、これこれの文書、これがGAAPであります、というのが一つあります。

もう一つは、その中で優先順位が決まっておりまして、ここは4段階に整理しております。優先順位aにはSECの規制というのがあります。下の方に行くに従ってより詳細な規制があって、優先順位の上の方で当てはめるべき規制が見つからなかった場合は下に行きなさい、こういう体系になっております。一番下のところに「上記に適切な会計原則がない場合」、どうしてもない場合の中に、例えば国際会計基準の中に適用できるものがあればそれを使ってください、同順位で教科書・論文の中に適用できる、あるいは参考になる処理の仕方があればそれに沿って会計処理をしなさい、こういうのがGAAPの体系になっているわけです。

日本の場合、明確に日本のGAAPはこれですと決めたものがないわけです。ない理由は、さっき申し上げましたように、商法と証取法と税法でそれぞれに会計の処理の規定がありまして、最初の問題は、証取法の中にそもそも規定がない。ここでご審議いただいております企業結合会計はその代表例でありますが、そういう問題が一つと、それから、証取法ではなくて商法の規定が優先するという問題があります。もう一つは、税法による特定の決算処理への誘導と私は言っておりますが、どういう決算処理をしていただいても結構です。しかし、損金経理なり決算調整なり、こういう会計処理を開示会計上していなければ税金はたくさん払ってください、それはあなたが決めてくださいということですが、要するに一種の補助金で適切でない会計処理に結果的に誘導している、そういうものがあります。

これを全部ひっくるめて一つのGAAPとして説明しようとすると大変苦しいものがあって、結局、日本の会計は理解しようとする側からすると大変わかりにくいものになっているという問題があると思います。

もう少し具体的な問題として、次に開示されないプロフォーマ情報ということがあります。商法の確定決算主義、一たん総会で確定した決算は後に修正しないという考え方があります。これは商法という法律に基づく考え方ですので、これが優先されておりまして、どういう問題があるかといいますと、わかりやすいのは、日本では、会計方針の変更をした際、新しく採用した会計方針で過去のデータをつくりかえて公表するということが行われておりません。行われていないのではなくて、商法の確定決算主義があるので、行ってはいけないとされております。

その結果どういうことになるかといいますと、ある日突然、会計方針が変更されて、差額分がその年の決算に多額に出てくる、前の年と比べようと思っても比べられないということになります。その結果、監査の方では、正当な会計方針の変更であっても、これは監査報告の中で限定意見付ということになっております。これについては、正当な会計方針の変更であるにもかかわらず限定意見付というのはおかしいという考え方が一つありますが、もう一つは、比較可能性あるいは継続性の原則、今年の決算は去年の決算と比べられるのかどうかという大原則があります。その観点からすると、日本の確定決算処理に基づいて去年の決算をつくりかえた数字は出せないというのは、明らかに会計の大原則に反しておりますので、限定意見付なのもしようがないと私は思っております。ですから、会計方針の変更が行われると連続性がなくなってしまうという問題を生んでおります。

もう一つは、企業再編時代に当たってということですが、企業が合併あるいは分割した場合、これも確定決算主義という問題があります。合併の場合でしたら、その企業が去年から一緒になっていたとすれば去年のデータはどうであったか、これがプロフォーマ情報という考え方ですが、それが開示されないということです。ですから、合併あるいは反対に分割がありますと、企業から開示情報として得られるものは、突然数字が大きくなったり、あるいは突然数字が少なくなる、その結果だけが開示されて、新しい企業の範囲で過去1年、2年あったとすればどういう数字だったかというのが出ないことになります。これは将来の予測あるいは企業の新しい段階での色々な財務諸指標を比べようという場合に大変不都合でありまして、でこぼこでこぼこしたデータを横につないでも、まともな分析ができないということになります。ですから、プロフォーマ情報を開示するという意味でも、商法の確定決算主義から離れた方がいいと考えております。

そのときにそもそも商法決算が必要なのかどうかということでありまして、公開企業が証取法の決算に加えて商法で決算することが必要な理由は2つの説明がなされておりまして、1つは債権者保護です。証取法は投資家、主に株主を念頭に置いて情報開示を行っている、商法はそれだけではなくて広く債権者保護のために情報開示をしている、だから目的が違うので2つの決算があります、という説明がよくされております。

これは中を考えてみますと、商法の決めている会計規定は限られたものしかありませんで、ほとんどは斟酌規定という規定によって、証取法の規定が商法の中に流れ込むという格好になっております。その結果、商法決算で出されてくる情報開示はほとんど証取法と同じでありまして、実質を考えると、債権者にとって商法決算だけから知りたいという情報はほとんどない、ある意味では全然ないということであります。

商法特別の書類として附属明細書がつくられて、本店、その他に備え置かれていることになっているわけですが、幾つかの企業の方に「附属明細書をもらいに来る人がいるのですか」ということを聞きますと、「いない、今年についてはゼロ」という企業さんもあります。なぜ来ないのかというと、そこに情報が何もないからでありまして、商法決算は、債権者保護といっても、情報の観点から見ると、それを欲しがっている人はいないというのが実態であります。かつて附属明細書をもらいに来る人は、もっぱら総会屋でありまして、記述のちょっとした間違いを無理やり見つけて、いろいろと会社に難くせをつけるという人たちがもらいに行くものだというように広く考えられておりました。そういう人たちがかなり退治されましたので、現在ではもらいに来る人がいないということのようであります。

もう一つは、商法の目的として配当規制ということが言われますが、配当規制をするためにわざわざバランスシート、損益計算書をつくる必要があるのかということがいえると思います。配当規制をする、それも純資産をベースにして規制するということであれば、何もバランスシート、損益計算書をつくらないでも、証取法決算のデータをベースにして、それを計算していって結果だけを出す、必要があれば計算過程も書いて出すということで十分だと思います。十分というより、利用者から見ると、その方がよほどわかりやすい。今はバランスシートを見て足したり引いたりして計算しなさいということですが、それができる人はそういないと思いますので、実態上も配当可能額の計算結果だけを開示するということで十分だと思います。そういう意味で、証取法決算をしている公開会社について商法決算は要らないと思います。

もう一つ、税法会計の問題は、今、八木委員の方から、かなり見通しがよくなってきたというお話を伺って、いいことだと思いましたが、基本的な問題は決算調整ということでして、本来、商法を経由してですが、開示会計のところで税法が一定の処理を求めるというか、補助金を出して一定の決算を強いるというやり方は、開示会計から見ると耐えられないことではないかと思います。

もう一つは、バランスシートをある意味で課税上の備忘録として残しておく。それは、税務の決算書を別途税は税でつくっていただければ、それで済む問題だろうというふうに思います。

それから、何でこういう制度になったのか。私は専門の研究者でないので、思うところを述べるだけでありますが、戦後日本の会計を近代化しようというときに、一つは、会計の専門家がほとんどいなかった。シャウプ勧告の中に「この国は会計の専門家がほとんどいない、近代会計学の導入が課題である」と書いてあったということですが、会計の専門家が非常に少ない。しかも、会計に対する認識が乏しい国の中で会計を定着させるという意味では、配当という実態的な効果がある商法会計、税金の額が決まるという大変切実な税務会計、これと企業会計、開示会計を一体化して開示会計を普及させていこうというのは、一つの考え方として正しかったのだろうと思います。ところが、今、開示会計は、アナリストもたくさん出てきて、大変多くの人が関心を持っている分野ですので、今さら税務会計と商法会計の支持がなければ会計が機能しないという時代ではないと思います。

一体化する理由として、1つは、経営者はどうしても利益を過大表示したがる、多く出そうとする。それに対して税法と一体化すれば、利益を無理にたくさん出すと税金がふえるので、利益の過大表示に対する牽制効果があるという説明を時々見ることがあります。ただ、これは毅然とした独立監査人とか、有能な税務当局がいない国で初めて言えることでありまして、独立監査人制度というものに対する期待も尊敬もないという考え方であると思います。

それから、会計処理の二度手間を省く効率性ということも言われます。これは、要するに会計の専門家が少なかった時代の説明だろうと思います。今では税務と開示会計を一緒にすることによって開示会計がゆがむ問題の方がよほど大きくなっていると思います。

以上のような観点から、公開企業については、証取法で決算をやっているわけですので、商法決算を廃止して、証取法決算に一本化することが正しいと思っております。このあたりは、商法の専門の方にすると、商法は商法決算に制約されて決算しなさいということはいっていない、会計の方で勝手に単一性の原則ということを持ち出して合わせようとしている、という説を言われる方もあります。証取法から見ると商法が制約になっている、商法の方から見ると、そうではなくて、証取法の方のほうが勝手に物事を難しく考えている。そういう議論に陥りがちでありまして、要するにたらし回しになっていて、どっち側も相手の問題だと言っているようなところがあるように思います。

そういう意味で、私の最初の提案としては、商法決算はもうやめてもいいのではないか。どうしても商法決算が必要である・出してほしいと言っている人がいる証明は、商法決算を行うべきだという方のほうから出していただくのがいいのではないかと考えております。

それから、もう一つの企業結合会計の論点、特にパーチェス法についてどのように考えますかという宿題をいただきましたが、レジュメの2ページのところになっております。

1つはパーチェス法への統一ということですが、決算開示会計の利用者は色々な種類の人がいますし、利用の目的も必ずしも同じではない、非常に幅広い利用者がいるということを考えていただきたいと思います。

まず、重要なユーザーとして証券アナリストの方々がおられますが、証券アナリストから見ると、財務諸表その他の会計データは、非常に簡単にしてしまうと、予測を行うための素材情報の一つである。情報を色々なところから集めてきて、それをもとに分析するわけですが、開示情報というのは、ある意味でその中の一つでしかないということであります。ですから、有力なユーザーですが、アナリストが満足すれば、それですべていいかというと、私はそうではないと思います。専門に会社の方に直接インタビューもできるし、ミーティングで話を聞く機会もあって、分析に費やす時間もある、能力もあるというアナリスト以外のたくさんのユーザーが会計情報にはいるということであります。

証券会社の中でいきますと、クオンツと呼ばれる人たちがいます。これは、株価の情報、会計のデータを計量経済学的に分析している人たちであります。彼らにとっては、会計情報、例えば純資産ですとか、1株当たり利益というのはモデルの中の説明変数なわけであります。彼らから見ると、こういう情報は会社によって処理の仕方が違っているというのは大変困る悩ましい問題でありまして、統一・規格化された会計情報であってほしい、そういうものが出てほしいということであります。彼らは一度に数千銘柄のデータ処理をやりますので、一つ一つ会計処理を調整していくということはおよそ不可能なわけであります。

それから、個人投資家の方がふえてくれたらという議論は政府も含めてされていると思いますが、個人投資家の方々は企業にインタビューできない人たちです。彼らにとって使える情報は、会社の決算データ、それも大変シンプルにされた投資情報のデータ集に入っているようなものを判断の上で重視して、使っておられると思います。その情報が会社によってでこぼこで、しかも場合によって違うやり方で出されているというのは、理念的に間違っていると思います。あなた、分析をしなさいというのも一つの考え方ですが、そうではなくて、そういう人たちが利用しているのであれば、間違った結果にならないようにできるだけ統一したものが出てくるようにすることが重要ではないかと思います。

その次に、アナリストが常時見ている銘柄は大変限られておりまして、数百銘柄ぐらい、多くて見てもそのぐらいだろうと思います。圧倒的多数の上場会社、公開会社は、アナリストが継続的には見ていない企業であるわけです。ですから、アナリストのレポートもまず出てこない。こういう株式も取引されておりますので、そこでは監査をして出てきた会計情報が極めて重要な情報になっております。そういう意味では、企業の決算に当たってなるべく横比較が可能で、過去についても比較可能な情報が統一されて出てくることが大変重要なことだと思います。

もう一つの観点で、決算というのは、日本に限らず各国で今でも経営者にとっては成績表ということであります。1株当たり利益あるいは最終利益がふえたか減ったかということでまず評価が行われる、利益がふえていれば企業の経営はうまくいっていると推定されるということだろうと思います。その前に、「いやいや、そうではない」という経営者に対する批判をする方は、その方のほうに立証責任が行く。反対に最終利益が減っている、あるいは何年か続けて減っているということであれば、その経営にどこかおかしいところがあるという推定が行われて、「いや、そうではない、5年後のための投資なのだ」ということであれば、それは経営者の側がそのことを立証する責任がある。少し大げさにいえば、こういう約束事として世界中で公開企業の決算が今でも利用されていると思います。

そういう目で見ると、パーチェス法かプーリング法かということですが、1つは、最後に挙げております経営者にとっての成績表という観点ではなくて、要するに、会社というのは将来のキャッシュフローであって、その予測だけでいいということであれば、過去の投下資本、この場合ですとのれんということになりますが、過去の投資額はサンクコストだから意味がないという経済学的な発想に行ってしまうと思います。しかし、成績表という観点から過去の投資は全部サンクコストだと決めてしまう、過去の投資額は常に問われないということになると、今度は事前に投資に際しての規律が失われるということになると思います。過去の投資額がバランスシートに残っていく、経営者にとっての成績表という意味では、私はパーチェス法が望ましいと思っております。

それから、パーチェス法がいいというもう一つの論拠ですが、株式による買収は現金よりコストがないというのがプーリング法につきまとっている考え方でありまして、株主の方から見るとそれはおかしい。その違いをよく考えてみると、株主の株券の価値が下がることによって何かほかのものを買っているわけですから、本質的には全然変わっていないのに、株券は現金よりも安いものであるという感覚はおかしいと思います。

つまるところ、過去の企業買収のコストをのれんとしてバランスシートに残すという意味で、企業経営を評価するという観点からはパーチェス法がよろしいと私は思っております。もちろん、アメリカもそうですが、企業経営にあたる方がパーチェス法を好まない理由がここにあります。要するに、株式として幾らのコストを払って投資をしたかというのが後に残ってくるより、残ってこない方がよろしいということではないかと思います。

あと、パーチェス法かプーリング法か。国際的な比較可能性ということを持ち出しますと、他の国がどうやっているかに合わせるだけになりますが、基本的には比較可能で、日本だけ何で違うのかという説明を無理にしなくてもいい制度が望ましいと思います。

あと、2、3がありますが、最後、「個別財務諸表レベルの整備が困難な場合、企業結合会計を連結財務諸表のみで導入することについてどう考えますか」というご質問がありました。先ほどの論文の趣旨からいうと、個別財務諸表レベルで商法決算をやめるということですので、こういう問題はないわけですが、連結財務諸表のみで導入するしかないということになれば、そういうことになるのかなというふうに思います。

ただ、個別財務諸表が連結財務諸表、開示会計の中に全然思想もやり方も異なるものがぽつんと入っているというのは、私は何だかおかしいような気がします。この国の人たちは開示会計を何だと思っているのだろうという素朴な疑問がわいてくるのではないかと思いますので、余りに違っている場合は、個別財務諸表という呼び方をやめて、「これは税務商法会計です」と言って出した方がすっきりするような気がいたします。

以上です。

○斎藤部会長

どうもありがとうございました。

意見の交換を後に回しまして、まずただいまのご報告についてご質問がございましたら、どなたからでもご発言ください。

どうぞ、万代委員。

○万代委員

言葉の確認をさせていただきたいのですけれども、商法決算は要らないとか、商法決算を廃止という非常に刺激的な言葉が出ているんですが、これは、公開会社については証取法で既に決算をやっているのだから、それをそのまま商法も受け入れればいい、商法上の決算をそれでかえればいいというご趣旨なのか。それとも、商法決算を廃止するというのは、文字どおり会計については何ら触れる必要がないといいますか、やる必要がないといいますか、そこまで意味なさっているのか、そこの点だけ確認させてください。

○渡辺委員

商法決算は要らないとか、やめてしまえと言うと、「大胆ですね」と言われて、だれもそうなると思ってないみたいなことをすぐ言われるのですが、開示会計の上で商法決算と証取法決算を引き離したいということですので、商法の開示の部分に証取法に基づく決算を行っている会社についてはこの限りではなくて、そこでつくったものを配ってくださいとしていただくのが一つだと思います。

もう一つ、決算そのものをやめるかやめないかということですが、そもそも決算とは何なのかということがあるような気がします。要するに、1年間の会社の状態を会計処理して書類をつくる、これは重要な行為でしょうから取締役会でそれを承認しますというのが決算であれば、開示するか開示しないかというのとそんなに変わらないのかという気がします。

もちろん、日本の場合、決算はその後税金の方につながっていきますので、その意味では商法決算をなくすと今の税の体系の中でどう考えるのかという問題がありますので、そちらについては税務申告書を税務署に出す。それも重要な行為でしょうから、取締役会にかかるという意味では税務の決算と商法の決算を一緒にしたような格好で決算していただいて、それで構わない。それはそれできちんとやっていただければいいのではないか。私にとって重要な点は、開示する情報については、適正な開示会計のルールの中できちんと出していって、他の色々な要素が入ってこないようになればそれでよいと考えております。

○斎藤部会長

よろしゅうございますか。

○万代委員

はい。

○斎藤部会長

ほかにご質問はございますか。

それでは、特にご質問というふうに限定しないで、本日ご報告いただきました八木委員並びに渡辺委員、両方のご報告について自由にご意見を述べていただきたいと思います。

山田委員、どうぞ。

○山田委員

八木委員から先ほど詳細に産業界の考え方をご提示いただいて、私としては日本の産業界が国際的調和を念頭に置きながら立論されようとしている姿に非常に感銘を受けたわけですが、その中で、私がこの4月以降、国際会計基準委員会に所属することになることと関連しまして、国際的な議論に対する寄与の必要性という観点からお話しさせていただきたいと思います。

IASBという組織の中で、各リエゾン国の基準設定主体の長と年に3回程度会合を持って、IASCが取り上げるテーマに関しまして意見交換する場を今後つくろうと考えております。そうなりますと、そういう場においてIASCが取り上げるテーマというのは、正式には基準勧告委員会の議を経てから決めますので早くても5月になるのですが、現在ピックアップされている中に企業結合の問題が入っております。

そうなりますと、その時点において我が国の基準設定主体の長がそういう会議において議論をし、先ほど八木委員が申された4番目の(2)マル1国際調和、今までの国際的調和は4の(1)で、ポジティブに合わせてきたということでしょうが、4の(2)マル1は、国際的調和の中でも、ある程度我が国の実情に照らして、必要なことについてはそれなりの理論ないしは理屈を展開しようというお考えだろうと思います。そのときに、そういう会議においても通じるような論理をぜひ我々の中でつくり出していかなければ、なかなか国際的な場で説得することが難しくなる。

それから、八木委員のご説明の1の(1)マル3にありますように、今後、企業組織の再編というのが国際的なレベルで行われますと、我が国だけが国際的なルールと違うものを持っていることの意味合いといいますか、もう少しいいますと、グローバリゼーションというのは、単純にいってしまえば、世界中で一つの基準があればいいということにつながるわけですが、その中で我が国が持っている、ないしは我が国の中から論理的に言えるものを常に言っていく、そういうことに通じるような議論の展開をぜひこの中でしていくべきではないか。

コメントというか、感想といったものですが、そういうことを感じましたので述べさせていただきました。

○斎藤部会長

レスポンスがおありでしょうか。

○八木委員

ただいまの認識、私が申し上げたいことを端的におっしゃっていると思いますので、そのとおりだと思います。

○斎藤部会長

ほかにご発言がございましたら、どうぞご自由にお願いいたします。

どうぞ、伊藤委員。

○伊藤委員

私、実は先週ヨーロッパにいまして、3月1日、2日、日本・EU財界フォーラムをやりました。私が税・会計のワーキンググループの日本側サイドのチーフをやりましたが、向こうはドクター・ハーディマンさんという非常に有名な方で、たしかトゥイディーさんとかカーズバーグさんと友達ですが、そこでも今の山田さんの議論が出ました。つまり、ヨーロッパもIASを2005年目指して努力しましょう、日本ももちろんそれに対していろいろ努力されていることについて大変評価いたしたいという話がありました。

そのとき政府は経済産業省とか外務省の大使とか、そのあたりが出ていましたが、結局、世界の会計は確かに国際的調和というのが一つかもしれないけれども、EUだってそれぞれの国があって、IASの2005年に際しても、一挙にそこに持っていくわけではない、それぞれの色々な風土とか、考え方がある。八木さんのお話の中にいろいろあったと思いますけれども、商慣習そのものを前提としつつ、色々な制度をまとめていかなければならないということを財界の意見としてお話しされたと思います。

もちろんここでこういうことをつくるのは極めて重要だけれども、日本としての考え方を日本の都合だけで出しても、なかなか受け入れられない。何もほかの国に迎合する必要はないけれども、お互いに利害が相拮抗するような国、例えば多国籍が一緒になって一つの国を形成しているようなところと、長い伝統と、ほとんど単一民族に近い国では考えがそれぞれ違うわけです。ですから、そういうことを我々としてつくると同時に、それをどう説得するかということをほんとに真剣に考えなければならない。山田さんのおっしゃったこと、八木さんのおっしゃったことをこの審議会としてどう踏まえ、これからの新しい会計時代にどう取り組んでいくかということは非常に重要だと思います。

今日の議論の中の関連という意味で一言意見として言わせていただきたいということでありまして、先週そういう会議があったので、ますますそういう思いを強くしたような感じがいたしました。たまたまロンドンでカーズバーグさんにお会いしましてその話をしたら、カーズバーグさんも全く同意見だったような感じがいたしまして、特定の国の利害によって左右されるべきではなくて、全体の流れに絶えず協調させるということが重要ではないかと思います。

○斎藤部会長

ほかにご発言はないでしょうか。

確かに国際的調和という議論はこれから再三この場でもすると思いますけれども、その場合に、どのレベルで物を考えるかという程度問題は必ず論点になると思います。すべて国境を取り払って、世界中で単一のルールをつくるというのも一つの国際的調和でありますし、他方、具体的にいえば、会社法のような制度でも、国際はおろか、アメリカ一国でも州によって全部違っている。それでもアメリカでは全土での調和をしているつもりだと思います。ですから、さまざまなレベルの調和のうち、どの辺をイメージして議論するのかということがだんだんと重要な問題になるのではないか、というふうに私も感じております。

ほかにご発言はないでしょうか。

山田委員、どうぞ。

○山田委員

先ほど聞き逃したので今度は質問ですけれども、八木委員がおっしゃられた4の(2)マル5、連結と個別の問題を取り上げてご説明されておられましたが、現在、連結子会社になったとき、買収時点の公正価値を連結上つけて、個別財務諸表はヒストリカルなものを持っていて、二重帳簿になっているというご説明をされたように私は理解したのですが、そのような問題がある中で、どのような方向へということまでおっしゃられたのでしょうか。その辺のご主張のところを聞き漏らしたものですから、追加でお願いできればと思います。

○八木委員

そういうケースがあり得るというところまでで、どちらをとるとは言いませんでした。割り切って問題ないとするのか、それとも現在、法制審でいろいろやられている商法の連結上の取り込みなどもう少し具体化したら、それを勘案して取り入れていくという方向が必要になるのか、それは動向を見てこれからやらなければならない。そのような事実があるだろうということを指摘するにとどめております。

○山田委員

ありがとうございました。

○斎藤部会長

先ほどのご発言では、100%子会社のケースに限って、子会社の個別の簿価を連結の簿価に合わせるという一種のプッシュダウンのような考え方もあるのかもしれない、ということを一つの可能性としておっしゃられたのだと思います。

○八木委員

そうです。

○斎藤部会長

どうぞ、辻前さん。

○辻前企業会計専門官

八木委員のご報告で、事例研究の要請があったのですが、こういう調べものというのは、どういう目的で、何を調べるか絞ってやらないと時間があっという間になくなってしまうので、短期的にはこういうこと、長期的にはこういうことと分けて考えられるのか、その辺をお教えいただきたいのですが。

○八木委員

今はまだ具体的にこうというのはありませんけれども、海外は関係ない。日本の会社が海外でやる例はほとんど買収と考えていいと思うので、これも置いておけば、国内で行われている幾つかの例となれば、そうたくさんはない。典型的なものといえば限られてくるのではないか。余り古くまでさかのぼる必要はないかと考えて、それで整理していくと、表面だけではなくて、公開されたものをじっくり掘り下げていくにはそうたくさんの例は要らないのではないかと推定して、頭を整理しています。

○辻前企業会計専門官

これまでの代表的なのは合併しかないわけですが、合併は、前にもご説明いたしましたけれども、年間でいうと件数がすごく限られていますし、子会社の吸収合併を除くと年間だと10件、20件という世界になってしまうんですが、それを調べるときはどういう観点で調べるか。

前に中島委員からサジェスチョンを受けたのは、持ち分の結合として判定されるような合併が少ないかどうかというのは調べる価値があるのではないか、そういった観点ですね。そういった観点から見ていくと、相対的な規模とか、議決権のシェアとか、役員の配置とか、その後のリストラを調べるとか、いろいろあるのですけれども、それは海外のIASとかでいうパーチェスとプーリングを識別する基準とダイレクトに結びついているので、そういう議論をするのだったらそういうところにフォーカスして調べることになると思いますが、それは議論の進め方からいくと、パーチェス・プーリングという方向に行くかどうかというあたりになってから浮上してくるといいますか、そういった感じがあるのですが。

○八木委員

考えますのに、パーチェス・プーリングは、マクロで最初から共通的なものとしてはとか、理論だけでいくのではなくて、連結・単独、グループ内・外、異種なんとかと幾つかのケースを想定した上で一つ一つ決めていかないと、なかなかルールとしてきちっとしたものにならないだろうと感覚的に思っているので、そのために世の中にある具体的なケースをなるべく拾い上げて、現実的な議論、具体的な議論をやりたい、そういうことでございます。今おっしゃったようなことと感覚的には似ていると思います。いろんなケースを整理してパーチェス・プーリングを議論していかないと、最後に、実務としてまとまっていかないのではないかという感じを持っています。

○斎藤部会長

ほかにご発言はないでしょうか。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

渡辺委員の報告に関連してですけれども、2ページの真ん中辺、「パーチェス法かプーリング法か」というところの2番目ですが、アメリカでの基本的な論調とここは多分同じだと思います。株式交換による合併も、一たん時価発行増資をした後、調達資金をもって現金買収したとみなす、だから株式交換はパーチェスでやるという理解に立っておられるのかなという感じもしなくはない。その場合には株式交換と現金買収に差をつけるのはおかしいという感覚が生まれるのも無理ないのかもしれないのですが、現金買収であれば、もちろん対価を払っていて、その現金を買収に使わなければ他の用途に使えるという意味において、それは犠牲でありますから、コストであります。

しかし、新株発行の場合、通常、増資したときの株式交付がコストであるという見方をするのはあり得ないことでありまして、非常に単純化していいますと、何か一つの資産でもいいんですが、現物出資を受けたとき、受けた資産の評価額をフェアバリューでやるということはともかくとして、そのときに増加する資本を交付対価の時価で増加させるということは基本的には考えられていないわけであります。

それをやってしまいますと自己創設のれんにつながるということでありまして、新株発行のときのコストは何かというのはユニークには決まらない。もちろん取得した資産のフェアバリューはコストと言えなくもないのですけれども、言われているようなパーチェス法における交付された新株の全額が必ずしもコストとは言えないのではないか。アメリカでは、その点で考え直す余地があるためにもめている。つまり、グッドウィルの中には相手方の無形資産という意味でコストとなるべき部分もある、それの償却負担は当然のことながら自己創設のれんとしての分が含まれている以上、それを計上して、償却していくということに対しては何がしかの疑問点を持つ人が随分多いだろう、ですからこの状況に至っているのではないかという感じがしているわけです。

つまり、私が言いたいのは、株式交換を現金買収になぞらえるというのは必ずしも万能な理解の仕方ではなくて、それが当てはまるケースもありますけれども、理論的に当てはまらない場合には自己創設のれんの計上という重大な問題を引き起こしかねないということであります。

○斎藤部会長

いかがでしょうか。

○渡辺委員

今おっしゃったのは自己創設のれんということですので、会計学の見地から言われたのだと思います。今、会計の話をしているのだから、それはそうだと言われればそうですが、株券はお金と違って安いものであるというのはおかしい、というのがここで言っていることです。

どこかの会社を買収するときに、例えば「1千万株を発行しましょう」、相手が嫌だと言ったので「いいよ、2千万株発行しましょう」。結果的に2千万株発行しましたというときに、1千万株発行したのと2千万株発行したのでは、それまで株主だった人にとっては随分違うと思います。要するに、ダイリューションが起きるという意味で違うと思うんですね。その違いがどこに記録されるのだろうかというと、プーリング法だと記録されなくて、みんなそのうちに忘れてしまう。パーチェス法というのはその記録が残っていて、経営者の方から見ると、あのときにたくさんの株を発行して買った会社が思うように利益が出ていないというのが目の前に出てくる、そういう制度だと思います。過去に実行したことがいつも表に出てくる仕組みというのはモニタリングということでは非常に意味がある、というのがここで言っている趣旨であります。

○斎藤部会長

大日方委員。

○大日方委員

恐らく2つのことが一緒になって議論されている感じがしますが、まず一つ、非常に単純な例ですけれども、時価以下で新株を発行した場合、そのときにダイリューションが起きるわけですが、その場合既存の株主は何らかの負担をこうむっているわけですけれども、そのときに割り引いてしまった額を会計上費用にすることはないわけです。つまり、それは株主間の富の分配問題でありまして、それを費用にするというのは伝統的にやっておりませんし、やるとした場合にはものすごくとんでもないことになる、つまりそれは企業会計を根底から覆すことになる。

それと、株主にとってのコスト論というのは、資本コスト論であろうと思いますが、それは期待した利益が稼げているかどうかということで、株主が負うリスクというか、会計の外側で判断すべき問題でありまして、会計上何がコストかは別の問題であろうかと私は思います。

○斎藤部会長

渡辺委員、いかがでしょうか。

○渡辺委員

大変難しいご質問なのですが、株主が経営者をコントロールすればいいではないかと言ってしまうと、会計もコーポレートガバナンスも何も議論が始まらなくなってくると思いますが、公開会社で一人一人の株主が経営者をウオッチするために、あるいは影響を及ぼすために割く時間もベネフィットも余りない会社がたくさんある中で、どういう情報を出すようにすれば経営者のモニタリングに資するかという観点が会計の場合は重要だろうと思います。

○斎藤部会長

大日方委員、追加的にご発言がございますか。

○大日方委員

そのレベルでは私も趣旨は賛同しているのですが、とにかくここで確認しておかなければいけないのは、会計の目的から株式交換の会計処理と現金買収の会計処理が同一でなければならないことは導けない。それだけは確認しておきたいと思っているわけです。

○斎藤部会長

もともとご質問の対象となった渡辺委員のレジュメの2枚目の部分ですが、合併の対価として株式を発行することがただではないというのは当然のことでありまして、それについて質問されているわけではないと思います。それが買収の対価としての現金と全く同じか、そうはいえないのではないかということをおっしゃっているわけで、その問題が会計上ののれんの一部の資産性の議論にかかわってくる、そういう脈絡なんですね。

○渡辺委員

全く同じか、全くがついていますので、そう言われると、全く同じでないかもしれないが、全く別かというと、全く別ではないと思います。

○斎藤部会長

それでは、ほかにご質問はございませんでしょうか。

山田委員、どうぞ。

○山田委員

渡辺委員へのご質問ですが、Bの1.パーチェス法への統一、先ほどからここのところでおっしゃられたのは、企業結合の方法としては利用者、利用目的、対象企業という観点から考えてもパーチェス法がいいということを全体として主張されている、という理解でよろしゅうございましょうか。

○渡辺委員

全体としては統一するのがいいと思います。統一する選択肢はパーチェス法かプーリング法かということになれば、パーチェス法がいいと考えています。もちろん、パーチェス法で全部できない。3つの会社が同じように合併したとか、こういう悩ましいものが出てきますけれども、その点は置いておいて、パーチェスかプーリングかどちらかがベースかといわれれば、私はパーチェス法がいいと申し上げております。

○斎藤部会長

山田委員。

○山田委員

そのときの論拠として挙げられている中の一つに、クオンツにとってのモデルの説明変数とか幾つかございますが、分析する側からいえば、パーチェス法という一つの方法で企業結合が処理されることによって、それを前提にいろんな分析が可能だということが最大のポイントと考えてよろしいでしょうか。

○渡辺委員

より意味のある分析が可能だと言っていい。では、今はどうしているかということですが、今は、国をまたがってやる場合には国ごとに違うやり方がある。日本の場合は、時価主義ということで、そのときの事情で色々なものが結果的に出ている、それしかないわけです。今はどうしているかというと、それをそのまま入れて、コンピューターを回して分析する、ということをやっています。

そういう意味では今だってやっているのだからいいではないかという言い方もできるのですが、確かにできるのはできるのだけれども、考え方としてどこかおかしい。そのときの論拠になっているのは、なぜそれでもいいのかというのは、要するに、それをみんなが見ている。日本でいえば3千銘柄ぐらいを分析したときに、人々の一番目の前にある数字はそれだから、それを見ながら株式市場が動いているとすると、こういう分析結果が出ました、そういうやり方になっているわけです。

それである程度説明力があるわけです。説明力があるというのがある意味ではおかしくて、それぞれ勝手に――勝手というと言い過ぎですけれども、かなりばらついてやられているものである程度の結果が出てくるというのはおかしい、私自身はクオンツではないのですが、できるだけ統一した方が望ましい。

実際に分析している人は、コンピューターで処理して、その結果をそのまま眺めるのではなくて、おかしなものが出てくると、そこで初めて個別の異常値というか、変わっているものについて、場合によっては会計処理その他を眺めていって、それは根拠のある差異なのか、あるいは明らかに世の中で見通されてしまった会計上の数字なのかを見ているということですが、基本的にはみんなが見ている数字、それが統一された数字である方が望ましいというふうに彼らも言っていますし、私もそれはそうだろうと思います。

○斎藤部会長

小宮山委員。

○小宮山委員

さっき株を対価とするのはただかただでないかという話があったときのパーチェスがいいか悪いかという話で、素朴な疑問として、例えばアナリストの方がどういうふうに見られるか伺いたい点があるのですが、パーチェスとプーリングの違いの一番大きなところは、のれんが出るか出ないかですね。ただ、去年の9月以来の株価の下落を見ていますと、それでいろんな方が頭の痛い思いをしているわけですけれども、株式交換とか株式移転でパーチェスをやると、グッドウィルが負債に出てしまうんですよね。つまり、1株当たり純資産よりも株価の方が安いですから、負の面が出てくるという形になるんですね。

例えば、APB的に処理すると、ノンカレントのアセットが違うんだから、そこから引いていけばいい、そういう理屈がいまひとつしっくりこない面があるんですね。そうすると、そのままパーチェスといって頑張るよりも、プーリングをやった方が実感に合うケースがあるんですね。企業結合の会計というのは、対価は正しいというところが必要だと思うから、それがおかしいと、おかしな結論になるようなケースが出てくる。現実に企業結合で株式交換とか株式移転等が行われてきますので、事例として出てくるのではないかと思うんですよ。これを理論的に説明するのは難しいのでしょうけれども、アナリストの方の実感としてどのように感じられますか。

○渡辺委員

私の理解するところでは、アナリストというのは、パーチェスで処理したからこの会社の株は高いとか、プーリング法だから安いとか、そういう発想はおよそありません。

○小宮山委員

取得の対価は株価をベースに決まったものでスタートしますから、取得される会社の株価が1株当たりの純資産より低いと、必ずのれんは貸方に出る、要するに利益ののれんになるんですね。そういう実態をアナリストが見られたときにどういう感覚で受けとめられるのか、というのが知りたかった点です。

○引頭委員

私のセクターは電機でございまして、そうしたケースはめったに見たことがありません。今、純資産倍率が割れている会社は幾つかあると思いますけれども、渡辺さんがおっしゃるとおり、パーチェスだろうがプーリングだろうが、とにかく開示さえしてくれればというのが私の立場ですが、そうなったら株主さんにとってはどうなのかなという感じはします。

それとこれは個人的な意見ですが、現在は株価自体がかなりボラタイルになっており、企業結合の対価として本当に実態を反映し得るのか確かに疑問が残る点があります。

○斎藤部会長

よろしゅうございますでしょうか。

いろいろご議論がまだあると思いますけれども、本日もう一件準備していることがございます。金井委員から「最近の米国企業結合会計の動向」についてご説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○金井委員

それでは、お手元の資料、2つございまして、1つは、1枚の横の「最近の米国企業結合会計の動向」です。もう一つは、3枚の資料にわたっておりまして、「のれん減損レビューの方法」というものをご用意しております。これについて簡単にご説明させていただきます。

最初に、最近の米国企業結合会計の動向ですけれども、こちらに日を追って書いてございますように、まず去年の12月に、のれんの会計処理につきまして、購入のれんを非償却とし、かわりに減損レビューの対象とすることを決定いたしました。

その主な理由ですけれども、ここに4つほど書いてございます。のれん償却費の持つ意味は投資家にとって乏しく、通常経営陣ものれんに対しては責任を負っていない。それから、のれんは減価するとしても、これまで20年以内というエクスポージャードラフトの中で規定している年数があったわけですが、規則的なものではなく、またその有効経済年数を予測することは困難である、という意見がございました。

それから、非償却として、減損レビューの対象とすることをなぜ今回よいとしたかということですが、1つは、その他の無形資産の識別方法を精緻化することにより、のれんとして会計処理されるものは非償却なものに限られている。以前の公開草案では、識別すべき無形資産のクライテリアとして、信頼性をもって測定可能といいますか、リーズナブリー・メジャラブルという指針を採用しておりました。このもとではリーズナブリ-・メジャラブルというのが判断の分かれるところでしょうから、結果として無形資産として識別されないもの、すなわちのれんの方に組みかえられてしまうものが多いであろう、という認識がFASBの方でございます。今回、その他の無形資産の識別方法を以下のどちらかを満たすものというようにいたしまして、1つ目は契約またはその他の法律上の権利で経済的利益が確保されている場合、もう一つは分離可能で、売却、移転、リース、交換等が可能なもの、このような具体的な基準に変えたわけです。こういう指針に変えることによって、結果としてのれん以外の無形資産として把握されるものの範囲が広がるであろうと彼らは言っております。

もう一つは、その他の無形資産として把握されたものは、通常、減価性のものが多く含まれて、減価しない無形資産がのれんとして残るであろう、ということを言っています。この辺は筋道が必ずしも関連づけにくいのですが、無形資産の中には減価していくものと減価しないものがあって、こういうクライテリアで識別することで、減価性のものがより識別されていくであろうという議論をいたしております。

それから、もう一つですけれども、一回のれんとして帳簿上計上されますと、その後、会社は、そののれんをメンテしていくといいますか、例えば広告費をかけるとか、追加の費用を投資することによってそののれんをメンテしていくわけですが、その過程で購入のれんが徐々に自己創設のれんに入れかわる、というように言っております。ですから、最初は購入のれんですけれども、それに対するメンテを重ねることによって自己創設のれんに入れかわりますよと。結果として購入のれんの部分はだんだん価値が少なくなっていったかもしれないのですが、購入のれんの部分と持っている自己創設のれんの部分を合計すれば、のれんとして帳簿価格に計上している金額と比べて、両方ののれんの総額が上回るであろうという考え方をとっております。

その結果として、帳簿上のものと簿外のものの合計が帳簿に計上されている取得価格をほとんどの場合超えるであろうから、償却対象としなくて、減損レビューの対象でもいいのではないかという論法です。私自身も、今申し上げたこと、なかなかぴんとこないので難しいのですけれども、説明の中で言っておりますのはこういうことです。

この後は簡単にご説明いたしますが、FASBは十分厳格に適用可能な減損レビューの方法を確立したというわけです。ですから、減損レビューの方法となりますと、私どものフィーリングとしては厳密にどうやってやるのか疑問がわくわけですけれども、彼らは自信を持って、こういう方法を確立したから、これでやればいいという言い方をしております。

それから、FASBのその後の動きですけれども、2001年1月に企業結合会計にプーリング法の使用を禁止することを再確認いたしました。

2001年2月に公開草案が出ましたが、これはのれんの会計処理の部分についてだけです。ここの部分についてだけ修正された公開草案が出て、コメントを求めております。期日は3月16日です。

最終的な意見書が2001年6月に公表予定となっております。

FASBが自信を持って「十分厳格に適用可能な減損レビューの方法を確立した」と言っているものの要旨が添付の資料でございます。

まず、減損のレビューが必要となる場合ですけれども、毎年というわけではなくて、長期資産の減損、FAS121でいっておりますように、こういう事象が発生した場合には減損レビューの対象となるということです。のれんの減損レビューにつきましては、FAS121の対象からは外すことを前提にしております。

具体例としまして幾つか、のれんの減損レビューが必要となるような事象を列挙いたしました。例えば、当期の営業利益、キャッシュフローがマイナスであり、過去の実績または将来の予想においても営業利益、キャッシュフローがマイナスであるとか、直近のレポーティング・ユニットの時価算定で前提としていた仮定の一部が大きく悪化した場合等、格付の変化ですとか、株式時価総額の変化があった場合ですとか、こういう事例をこの中で列挙しております。

2つ目として問題になりますのは、のれんの減損をどの単位で識別するかということです。のれんは、物理的及び経営的に、また内部報告上、他の活動、事業、組織の資産から、識別可能なビジネス単位の最小のレベル、これをレポーティング・ユニットと呼んでおりまして、レポーティング・ユニット単位で減損を見ていきましょう、ということです。レポーティング・ユニットがどういうものか判断が難しいのですが、公開草案の中で幾つか例を示しておりますので、それを紹介させてください。

1つ目は、事業計画や業績評価による収支測定の最小単位。

通常はFAS131、セグメント情報で規定するセグメントより小さいが、長期資産の減損、FAS121の対象となる資産グループよりは大きいレベルと言っています。

それから、被買収部門よりは大きい。ある部門なり会社なりを買収したわけですが、これよりは大きいだろうと言っています。なぜかといいますと、フィールドビジットで彼らが見ましたのは、部門なり会社なりを買収したときには買収会社の部門とかビジネスとインテグレーションが図られることがほとんどであろう。そうすると、インテグレートされた全体がレポーティング・ユニットだということです。必ずしも買った会社それ自体がレポーティング・ユニットではなくて、買った後、インテグレートされた全体がレポーティング・ユニットですよと。そういうことですので、組織全体、すなわち買収会社全体よりは小さいレベルということです。

のれん及びその他のすべての資産及び負債は、買収時点で1もくしは複数のレポーティング・ユニットに割り当てなければならないということで、最初から何がのれんの減損対象となるレポーティング・ユニットを識別しておく必要があるということです。

それから、減損金額の算定方法ですけれども、あるレポーティング・ユニットに属するのれんの時価が取得時点の帳簿価格を下回っているときに減損しているとみなされる。のれんの時価は、レポーティング・ユニットののれんを除く識別された純資産の時価、どういうことかといいますと、あるレポーティング・ユニットを識別しまして、その中にのれん以外の資産、負債の時価が識別されたということは貸借対照表に計上されているという意味です。時価を算定しまして、これをレポーティング・ユニット全体の時価、レポーティング・ユニットを会社と例えますと、買収時点で買収価格を決める方法のように、まずレポーティング・ユニット全体の時価を算定します。それからレポーティング・ユニットに構成されるのれんを除く貸借対照表に計上されている資産、負債の時価のネットを算定しまして、引き算することによってのれんの金額を算定します。減損金額は、のれんの時価とのれんの帳簿価格の差額ということです。

基本的には、買収価格の決定に使用された時価算定モデルをレポーティング・ユニット時価算定に利用する。のれんを除く純資産の時価算定に際しては、レポーティング・ユニット時価算定に使用された仮定と整合性のとれた仮定を使用するということで、買収時の買収価格の決定等のモデル、評価方法に大きく依存している点があると思います。

最後に、ベンマークアセスメントの実施ということですが、あいまいな基準を定めておきますと実際に減損のレビューをどうするかがあいまいになるということで、企業が将来実施する減損のレビューに関する手続を定め、文書化することを確実なものとするために、純資産の帳簿価額に比し、そのユニットののれんの額に重要性がある場合で、かつ買収もしくは組織再編によりレポーティング・ユニットが新規に創設されたか、またはレポーティング・ユニットの純資産が実質的に増加した場合にはベンチマークアセスメントを実施しなければならないということで、最初に減損処理の方法について定めておきましょう、ということです。

3ページ目に、ベンチマークアセスメントの実施ステップということで、これはのれんの時価算定をどのようにやるか、減損額をどのように算定するかというのとパラレルなことが記載されてございます。

ベンチマークアセスメントを実施するために、買収価格の決定要素及び決定方法、その関連要因、レポーティング・ユニット及びのれんが割り当てるユニットを買収日現在でドキュメントするということで、後でのれんの減損を把握するために買収での前提条件はドキュメントしておいてください、ということです。

なお、ベンチマークアセスメントは買収日後1年以内に実施すること。それから、FASBの意見書が通った場合には、のれんが計上されているレポーティング・ユニットについて6ヵ月以内にベンチマークアセスメントを実施なければならない、と規定されてございます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

どうぞ、松岡委員。

○松岡委員

先ほど金井委員の方から、私の聞き違いだったかもしれませんが、非償却とする考え方の一つの中に、自己創設のれんとメンテした場合に事実上置きかわっていきまして、全体として見れば価値が恐らくあるから非償却でもいいのではないかというように聞こえたのですが、私の記憶ですと、例えば、自分がやってない事業を被買収企業から買ってくるというときには、買収してきた事業は一つしかなくて、それは被買収企業のものでございますので、自己創設のれんを排除するような形で減損テストは恐らく可能だろう。

一方、そうではなくて買ってきた側の企業も、自前でもともと持っていた事業と同じようなものを買ってきた場合には、合併後の状況においてはインテグレートされた一つの事業になりますので、その事業についてのれんのレビューのテストを行う場合、場合によっては当初から自前で持っていた分にかかわるキャッシュフローも加味されますので、そういった意味で自己創設のれん的な要素を完全に排除することは難しい場合もある懸念に触れていたという感じがございましたので、必ずしも足したものが価値が高ければいいというニュアンスではなかったかもしれません。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

それでは、予定した時間を過ぎておりますので、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。

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