平成13年10月16日
金融庁

企業会計審議会第12回第一部会議事録について

企業会計審議会第12回第一部会(平成13年9月14日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第12回第一部会議事録

日時:平成13年9月14日(金)午後4時00分~午後5時59分

場所:中央合同庁舎第4号館9階金融庁特別会議室

○斎藤部会長

定刻になりましたので、これより第12回の第一部会を開催いたします。

委員の皆様方には、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

審議の再開に当たりまして、まず、前回の部会以降の経過を簡単に確認しておきます。まず、7月6日に論点整理を外部に公表いたしました。公表に当たり、コメントの締め切りは8月31日とさせていただきました。これまでに論点整理に対して各界から寄せられたコメントにつきましては、皆様方のお手元にお配りしております。本日は、これらのコメントについてご紹介いただくとともに、意見交換をしていただきたいと考えております。

審議に入ります前に、前回以降の委員の異動などについて、ご報告させていただきます。去る8月31日付けで、市川育義氏が幹事に就任され、当部会に所属されることになりました。なお、市川委員は本日ご欠席でございます。

また、事務局は、大藤氏にかわりまして、今回から細田企業開示参事官が担当されます。

○細田参事官

細田でございます。よろしくお願いいたします。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

なお、本日は、固定資産部会に所属しておられます都委員と第二部会に所属しておられます加藤委員の代理として伊藤参考人にご出席いただいております。都委員と伊藤参考人はそれぞれ関係の深い団体の意見の取りまとめに関与されたことから、特にご説明いただくためにお越しいただきました。よろしくお願いいたします。

それでは、まず、寄せられましたご意見について、事務局から簡単に説明をしていただきたいと思います。

○辻前企業会計専門官

論点整理に対するコメントはお手元にお配りしてあるとおりでございまして、全体として8件、団体から6件、個人から2件いただいております。量の方がかなりございまして、すべてを読み上げる時間がないということと、事前に皆様の方にご送付させていただきましたので、一度お目通しいただいているのではないかという前提で、ここでは全体の確認という意味で、論点整理の項目の順番に沿いましていただいておりますご意見を抜粋の形でご紹介させていただきたいと思います。抜粋した以外でもさまざまなご意見をいただいておりますが、時間の都合ですべてご紹介できない点はご了承いただきたいと思います。

それでは、まず、順番に沿ってご説明させていただきます。

1番に、論点整理の最初の「会計処理方法の定義」でパーチェス法、プーリング法について、「かつ」という考え方と「または」という考え方があるという提示をしたわけですが、その点についてご意見をいただいております。

まず、パーチェス法において、留保利益の引き継ぎを認めるかどうか両論併記したご意見をいただいております。「例えば合理的な理由があるものに限って引き継ぎを認めていくとの立場もあり、今後、合理的な理由の如何について検討する必要がある」とのご意見をいただいております。

次に、プーリング法において、被結合会社の資本構成をそのまま引き継ぐべきであるとのご意見をいただいております。「実質配当請求権も従来と同様のものであるから、資本構成もそのまま引き継ぐべきである」とのご意見をいただいております。

次に、増加する資本に関して、商法規定との整合性、抱合せ株式及び自己株式の消却処理の明確化、合併差損の取扱いについて検討すべきであるとするご意見をいただいております。「資本の増減に係る問題は複雑であるが……明確な会計処理を規定しない場合、実務において混乱を生ずる可能性がある」とのご意見をいただいております。

次に、パーチェス法における取得費用の会計処理について言及している意見をいただいております。「取得に直接要した費用の意義、具体的内容とその会計処理及び取得に直接要しない費用の意義とその会計処理、この論点については、企業結合との関連で、新株発行費用が発生した場合、新株発行費用の繰延を認めている商法規定との関係も検討していただきたい」とのご意見をいただいております。

次に、事業に対する支配の有無に基づいてパーチェス法における取得企業を決定すべきであるとのご意見をいただいております。「具体的には、株式交換・移転、会社分割に関する研究報告書等を参考に、実質的な取得企業を定める基準を明確にすべきである」とのご意見をいただいております。

それから、逆取得の会計処理について言及しているご意見をいただいております。「法的形式よりも経済的実質を優先すべきである……他方、商法上の取扱いを優先すべきとの考え方もあり、法的形式と経済的実質のいずれによるかについては必ずしも意見の一致を見ているわけではない」とのコメントをいただいております。

別のご意見として、「逆取得の場合の具体的な会計処理方法については、諸外国の会計基準や文献においても必ずしも明確ではないため、次の事項を含め検討していただきたい。(1)個別財務諸表における具体的会計処理方法(商法決算における配当可能利益の算定に関する取扱いとの関係の検討を含む)。(2)連結財務諸表における具体的会計処理方法」とのご意見をいただいております。

次に、パーチェス法において被取得企業で認識されていた擬制資産や負債を取得企業が認識することは認められるとするご意見をいただいております。「結合企業で既に計上されているものについては、時価評価した上で結合会社に計上するかしないかを判断すべきである」とのご意見をいただいております。

次に、市場性のない資産や負債の公正価値の特定方法については柔軟な対応が必要であるとするご意見をいただいております。「測定方法については、実務面に配慮して、市場のない資産・負債については簿価での評価を許容したり、時価の測定方法に複数の選択肢を設ける、あるいは公正価値の考え方のみを整理し、具体的な算出方法については企業に任せる等の柔軟な対応も必要である」とのご意見をいただいております。

次に「会計処理の基本的考え方と処理方法の使い分け」に関連して、以下のご意見をいただいております。

まず、株式の交換を時価発行増資と現金買収に分解することに反対するご意見をいただいております。「結合の実態を表すとは考えられず、反対である」とのご意見をいただいております。

次に、パーチェス法とプーリング法の使い分けを前提とした上で、恣意性を排除するために具体的な基準が必要であるとするご意見をいただいております。「プーリング法を適用する状況についてはより具体的な規定を設けることにより、パーチェス法の適用を回避するような余地を排除する必要がある」とのご意見をいただいております。

別のご意見として、「現行の国際会計基準を踏まえ、取得側を明確に判定できない場合をベースとして、我が国の実情をもとに、持分プーリング法適用に際してのメルクマールを明らかにすることが必要である」とのご意見をいただいております。

また、別のご意見として、「経営実態として支配の獲得であればパーチェス法を採用し、いずれが支配を獲得したか判別できない場合にはプーリング法を採用すべきである。具体的な基準については、一律に基準化するのではなく、株式交換・移転、会社分割に関する研究報告等を参考にしつつ、企業結合の実態に応じて判断すべきである」とのご意見をいただいております。

また、別のご意見として、「何らかの数値基準を定めるか、少なくとも企業により使い分けに当たり解釈に大きな相違が生じないよう手当てを講ぜられることを要望する」とのご意見をいただいております。

また、同じ方からのご意見ですが、「実行可能性(操作性)と実効力の観点とともに、我が国で定められた企業結合会計基準の適用結果が国際的な企業会計基準の適用結果と異ならないよう手当てを講ぜられることを要望する」とのご意見をいただいております。

それに関連しまして、数値規準が必要であるとするご意見もいただいております。「例えば業種の同一性、売上・人員等の規模がほぼ同一(90%以上等)、等を従来のアメリカの持分継続基準に加えるべきである」とするご意見をいただいております。

そのほかに、追加的な検討事項を挙げているご意見もいただいております。「次の事項も検討していただきたい」とのことで、具体的には「マル1 企業結合当事会社が3社以上の場合の判定方法、マル2判定時点、なお、プーリング法とパーチェス法を使い分けるとした場合の判定時点としては、例えば、当該企業結合について企業結合当事企業間でその重要な条件が合意及び公表された日、企業結合日などが考えられる。マル3パーチェス法を適用するとした場合の取得の対価の測定時点」があげられております。

次に、論点整理の「のれんの会計処理」について、のれんの本質について詳細な検討が必要であるとする意見をいただいております。「会計基準では、より広義の測定概念である『差額』と定義した上で、シナジー効果、識別不能となった無形資源など構成要素の解釈を明らかにする必要がある」とのご意見をいただいております。

次に、資産計上して規則償却(加えて減損処理)をすべきであるとするご意見をいただいております。「のれんを一定の償却期間にわたり定額償却する場合でも、収益性の低下により投資額を回収する見込みがないことが明確になった場合には、他の資産と同様に、減損処理が行われるべきである」とするご意見をいただいております。

次に、償却期間の具体例についてもご意見をいただいておりまして、「適正なのれんの償却期間の決定は困難であるので、20年以内でなるべく短い期間を設定するべきである」とのご意見をいただいております。

また、追加的な検討事項を挙げているご意見をいただいております。「規則的に期間配分して償却する方法を採用する場合には、次の点も検討していただきたい」として、具体的には「(1)償却期間及び償却方法の各決算期ごとの見直し、(2)商法規定との関係、(3)減損処理」があげられております。また、「通常は償却せず、減損処理する方法を採用する場合には、次の点も検討していただきたい」として、具体的には「(1)無形固定資産の償却方法と減損処理、(2)商法規定との関係」があげられております。

次に、貸方差額に関連して、引当金を認識すべきであるとのご意見をいただいております。「将来の損失を見込んで時価より安値で買収していると想定されることから、引当金を計上すべきである。その場合の貸借対照表能力の有無は、引当要件に照らして判断すべきである」とのご意見をいただいております。

次に、識別可能無形資産の振替えを強制すべきであるとのご意見をいただいております。「借方差額のうち識別可能無形資産については定義、認識基準及び測定基準を明確にした上で、資産計上を強制すべきである」とのご意見をいただいております。

次に、論点整理の「企業結合会計の適用範囲等」について、次のような意見をいただいております。

まず、企業結合と連結の会計処理基準の整合化を図るべきとするご意見をいただいております。「両者の会計処理基準も極力整合化を図るべきである。連結会計上の連結調整勘定と企業結合上の合併のれんについても、両者の性格は類似していると思われることから、同一の会計処理が望ましい」とのご意見をいただいております。

次に、企業分割と企業結合の会計処理の整合性を確保すべきであるとのご意見をいただいております。「共同新設分割・吸収分割等については、承継会社から見れば企業結合の一種であることから、企業分割の会計処理基準と企業結合の会計処理基準との整合性を確保すべきである」とのご意見をいただいております。

次に、企業集団内における合併等は企業結合に該当せず、簿価を維持すべきであるとするご意見をいただいております。これはプーリング法を適用すべきであるというご意見になります。「企業集団内における合併等は企業結合に該当しないとすべきである……どのような形態であろうと簿価を維持すべきである」とのご意見をいただいております。

次に、企業集団内の企業間の合併等について追加的な検討事項を挙げている意見もいただいております。「これに関して、次の事項も検討していただきたい」とのことで、「(1)企業集団内で合併等が行われた場合の個別財務諸表における会計処理方法、(2)連結子会社と持分法適用会社間又は持分法適用会社間で合併等が行われた場合の会計処理方法、(3)共通の個人株主に支配されている企業間で合併等が行われた場合の会計処理方法」があげられております。

次に、プーリング法を採用した場合における過年度財務諸表の修正再表示については、賛成意見と反対意見の両方をいただいております。まず賛成意見として、「比較可能性を担保するために、過年度財務諸表の修正再表示を規定する必要がある」とのご意見をいただいております。次に、反対意見として、「結合の効力発効日以前の収益・費用を加えることとなるため、合算すべきではない」とのご意見をいただいております。

論点整理の区分には入らないのですが、幾つか意見をいただいておりますので、その中から一部をご紹介をさせていただきます。

まず、国際的調和に考慮した基準を設定する必要があるとのご意見を複数の方からいただいております。「本邦会計基準と国際会計基準の収斂を図る方向で議論を進めていただきたい」とのご意見をいただいております。

次に、開示についての検討が必要であるとするご意見をいただいております。「開示事項についても国際的調和の観点等から検討していただきたい」とのご意見をいただいております。

次に、株主の会計処理についても検討が必要であるとのご意見をいただいております。「例えば、会社分割の会計処理の株主(会社)について研究報告第7号の考え方と企業再編税制における法人税法の考え方とが異なる部分でもあり、検討していただきたい」とのご意見をいただいております。

非常に簡単なまとめ方ではあるのですが、以上でございます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

それでは、日本鉄鋼連盟のご意見につきまして、都委員から補足して説明していただきたいと思います。よろしくどうぞ。

○都委員

それでは、鉄鋼連盟の意見につきまして、若干ご説明をさせていただきます。

個別の意見につきましては今ご紹介があり、かなりの部分が重複するかと思いますので、少し絞って申し上げたいと思います。

まず一番大きな点といたしましては、この総論の最後の行あたりでございます。企業会計基準の検討に当たっては、経営の実態を財務諸表に的確に反映させるといった観点が必要であり、企業結合においては、実態が支配獲得であればパーチェス法、それが判別できない場合にはプーリングを採用すべきであるとのことでございます。日本では、合併といったような企業結合に際しまして、どちらが支配を獲得したか必ずしもはっきりしないケースがままあります。このような合併に際して従業員や債権者あるいは銀行、商権等をいろいろ配慮した中での統合というようなものがございます。こうしたときに、この支配獲得ということでどちらが支配したかわからないときに、あえて無理にパーチェス法を適用するというのは実態をあらわせないと考えております。

より具体的に申し上げますと、鉄鋼業界におきましては、古くは八幡製鉄と富士製鉄という大きな鉄鋼会社が、どちらもほぼ同規模でありましたけれども、合併をいたしました。これにつきましてはご案内の方もいらっしゃるかと思いますが、明らかにどちらかが支配したというような状況にはございません。また、新しくはNKKと川崎製鉄という、ほぼ同規模の会社がやはり統合に向けて準備を進めております。こういった事例では支配獲得ははっきりしておりませんが、一方で、それぞれの会社は古い会社でもございますからいろいろな資産を持っています。こういった会社が無理にどちらかを支配として決めて時価評価をするというようなことがございますと、むしろ逆にそれは比較可能性を損なうのではないか、どちらが支配するかによっても大きく数字が異なりますし、他の会社との比較可能性も薄くなってしまうのではないかという意味で、そのような実態を踏まえ、ぜひプーリングについての必要性をご認識いただいて今後ご検討していただきたいということでございます。

あと、個別の点につきましては、大体ご紹介がありましたので、かいつまんで申し上げたいと思います。

次のページをめくっていただきまして、(2)でございますが、パーチェス法の場合の留保利益の引継ぎの可否につきまして、これはなかなか難しゅうございまして、原文の中でも意見調整はしておりません。2つの意見があったということのご紹介でございます。パーチェス法は本質的には買収であるので留保利益を引き継ぐ必要はないという立場と、一方で、商法では留保利益の引き継ぎを認めており、また、配当財源の引き継ぎについては債権者、株主間の利害調整を規定するのは商法の分野なので、新たな制約を設けるべきではないという立場もございます。具体的には、例えば財務制限条項などにつきまして不都合が起きてくるということで、経済行為そのものを損なう可能性があるのではないかということでございます。

それから、次のページに行きまして、先ほどありましたとおりですが、逆取得のケースにつきましても2つの意見がございました。経済的実質を優先すべきという意見と、逆に、法的形式を重視すべきだという意見がございました。

(4)のマル1でございますが、被結合会社で既に計上されているものについては、こういった擬制資産等につきましても、時価評価した上でそれが価値あるものであれば計上すればよいのではないかという意見でございます。このページは以上でございます。

その次のページの上の方が、先ほどの持分プーリングもぜひ入れなければいけないとする理由が上の方に書いてございます。

「のれんの処理」につきましては、規則的に償却すべきという意見で一致しております。

「負ののれんの会計処理」につきましては、先ほどご紹介がありましたとおり、将来の損失を見込んで安値で買収していると想定されることから引当金を計上する。すべてがそうかというのは必ずしも言い切れないかもしれません。一般的にはこう考えるということでございます。

あと、「企業結合会計」につきましては、連結会計基準あるいは企業分割の会計処理基準とそれぞれ整合性を保つべきであるという意見でございます。

最後のページ、(4)「プーリング法採用の場合の結合年度の収益・費用の合算、過年度の財務諸表の修正再表示」でございますが、まず、結合前については合算すべきではない、それから、過年度の財務諸表の修正再表示については、幾つか理由を挙げておりますが、最終的には実務的な負荷も含めて不要としていただきたいということでございます。

以上でございます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

それでは、次に、日本公認会計士協会のご意見につきまして、伊藤参考人から補足してご説明していただける点がございましたら、よろしくお願いいたします。

○伊藤参考人

それでは、公認会計士協会のコメントについて、ご説明をさせていただきます。

お手元の「意見」の最初の「全般的事項」というところに基本的な考え方を述べてございますが、基本的にこちらの場でこの論点整理を取りまとめていただいたことを非常に高く評価させていただいております。特に企業結合に係る基本的な考え方につきまして、プーリング法とパーチェス法を整理した意見は非常に高く評価しております。

この意見は、いわゆる論点について検討していただきたい事項と、触れられていない論点について今後検討していただきたいというものについて述べており、方針あるいは方向性等について、記載してはおりませんので、その点お含みおきください。

この論点整理で取り上げられております企業結合と企業分割との会計処理基準との関係につきましては国際会計基準等では明記されていない論点でございますし、既に4月以降に会社分割が行われ、税法も適用されているというように実務が動いておりますので、なるべく早い機会に企業分割に係る会計処理基準を創設していただきたいというお願いでございます。

その時期につきましては今回の企業結合の会計処理基準に含めてというわけではございません。これはこれでつくっていただいて、その後企業分割の会計処理基準をつくっていただきたいと考えております。

次に、「企業結合会計と合併会計」でございますが、こちらの論点整理では合併会計を主体にまとめられておりますが、連結会計も企業結合の会計の対象でございますので、この見直しも必要に応じて行っていただけたら幸いかと考えております。

「プーリング法とパーチェス法の使い分け」を検討されるわけですが、それぞれにつきまして十分な検討を行い、理論的な問題点あるいは実務的な問題点を洗い出した上で、その結論を明確に示していただきたい、国際的にはパーチェス法の一本化というような流れがございますので、国際的なファイナンスをするときに、それを修正するようなことはやむを得ないのか、それとも、プーリング法の論拠が国際的に通用するものであればそれを打ち出していただきたい、こういう趣旨でございます。

「数値基準」につきましては、先ほど簡単にご説明がありましたが、税法基準は非常に緩やかなものでございますので、これで実務が動いてしまうといささかつらいものがあります、それから、国際的にも通用しないのではないかと考えます。これにつきましては申告調整と税効果会計による調整で十分に対応できますので、会計は会計として国際的に通用するような数値基準を明確に打ち出していただきたい、こういう趣旨でございます。それに付随しまして、「判定基準」につきましては、先ほどご説明がありましたように、3社以上の場合の取得会社の判定方法というような、少し応用問題でございますが、この点。それから、判定基準をいつにするかというような点も明確にしていただきたい。それから、パーチェス法を適用するとした場合の取得の対価の測定時点、これは取得日なのか株式の交換日なのか、明らかにしていただきたいということでございます。

「のれん」につきましては、基本的にはこちらのご意見に賛成させていただいているわけですけれども、規則的に期間配分して償却する方法と、償却しないで減損処理とワンセットで行う方法が一応方向性として示されております。この場合の償却期間、償却方法を各決算期ごとに見直して、のれんがまだ有効なのかどうかも書き込んでいただきたい。それから、商法ののれんの規定との関係も整理していただきたいということでございます。

「逆取得の会計処理」につきましては、個別財務諸表では、個別を優先して形式的な取得会社で財務諸表をつくるのか、先ほどお話がありましたように、実質基準でつくってもいいのか――連結では当然実質基準でつくるべきとは考えているわけですが、その辺の整理をしていただいて方向性を出していただきたい。

次の5の「企業結合の会計処理基準と連結会計基準との関係」ですが、公認会計士協会では2つの研究報告、株式交換・移転と企業分割における判定基準をIASをベースに我が国の連結原則の用語等に従いまして一応作成したわけです。今回は使い分けの判定基準をつくられるわけですが、いわゆる連結と企業結合のパーチェスにかかわる判定基準の整合性をとっていただきたいという趣旨でございます。

6.「企業集団内の合併の会計処理」ですが、基本的には企業結合に該当しないという見解の方が有力とのことで、その会計処理はパーチェス法あるいはプーリング法と必ずしも同じではないという観点につきまして、企業集団内で合併等が行われた場合、連結財務諸表には変化がないわけですが、その変化のないのをそのまま個別財務諸表に反映していいのか、それとも、個別は個別で合併会計が必要なのか、その辺を明らかにしていただきたい。同じように、子会社と持分法適用の関連会社――支配している会社と影響力を行使できる会社との合併、あるいは、関連会社同士の合併が行われた場合にどのように処理したらよいかご検討いただきたい。次に、共通の個人株主に支配されている企業間で合併等が行われた場合の会計処理方法も検討していただきたい。先ほど、ある企業に支配されている連結グループの合併について検討をお願いしました。個人株主に支配されている企業グループも実質的には同じですが、個人株主が支配している場合には連結財務諸表はつくられていません。そのときに同じように考えるのか、それとも、連結の傘がないと別の次元で合併会計を適用するのか、この辺を検討していただきたい。

「開示」につきましても、先ほどご紹介いただいておりますので、省略させていただきます。

次に、「論点整理で触れられていない事項」につきまして、まず、企業結合当事企業の株主――企業の場合ですが、この株主について研究報告第7号の会社分割の会計処理と企業再編税制における法人税法の考え方に異なる部分がございます。研究報告では、支配関係を株主全体の立場から取得か持分の結合かというような判定基準を用いておりますが、法人税法は、特定の株主が支配しているかどうかという観点で、マイナー株主については一切対象とはしていないという違いがございます。どちらが考え方として妥当なのかご検討をいただきたい。

次に、「パーチェス法を適用する場合の会計処理」ですが、パーチェス法を適用する場合に、取得に費用がいろいろかかります。その取得費用の会計処理とともに、その範囲をどこまで取得付随費用として含めるか、この辺を明らかにしていただきたいということでございます。それから、先ほどお話がありました新株発行費用、これも取得付随費用の1つとも考えられますが、この会計処理はどうしたらよろしいのか。

これに対してプーリング法の場合も新株発行等をする場合にはその費用がかかるわけですが、これは取得したわけではないので取得費用には該当しないわけですが、これはパーチェス法の場合と同じように処理すべきなのか、そうではないのか、ご検討をお願いしたいということでございます。

次に、(4)「株式交換・移転」ですが、この制度を利用して完全親子会社関係を創設する場合の会計処理につきまして、まずAとして、単独で完全親子会社関係を創設する場合の会計処理、Bとして、完全親会社になろうとする会社が新株発行に代えて保有自己株式を完全子会社となる会社の株主に移転する場合の会計処理、これにつきましては簿価で処理するのか時価で処理するのか、この辺を明らかにしていただきたいということでございます。

次のページに入りまして、(5)の「会社分割」については、研究報告で相当な論点がございます。研究報告では一応の結論を出しておりますが、必ずしもすべての関係者がその結論に同意しているわけではございません。なお、今後検討すべき問題が幾つもあると考えております。この点につきましても、今後、会社分割の会計基準の設定に向けて検討されるときに、ぜひご検討していただきたいという趣旨でございます。

まずAとしまして、商法で定める会社分割制度により、いわゆる分社型の新設分割を行った場合の会計処理を明らかにしていただきたい。

Bとしまして、商法で定める会社分割が行われ、移転する営業の資産または負債について損益を認識するとした場合、これを売買処理法と呼んでいますが、その認識時点がいつであるべきか。研究報告では分割日としておりますが、法人税法では分割日の前日としております。例えば、3月31日が決算日のときに4月1日を分割日としますと、会計と税務では営業移転損益を計上すべき日が1日ずれるため当該損益が計上される決算期が一期ずれるということになります。会計では税効果会計でこれを処理しまして税引後損益への影響はないという形にしておりますが、この点について理論的にはどうなるべきかを明らかにしていただきたいという趣旨でございます。

それから、商法で定める新設分割または吸収分割の手続により、ある会社――いわゆる承継会社――が他の営業の全部または一部を承継する場合の、他の会社――いわゆる分割会社――より承継する場合の繰延税金資産・負債の回収可能性の判断につきまして、公開草案では、承継会社の方の回収可能性で判断すべきだと打ち出したのですが、各界のご意見を聞きましたところ、分割会社の決算を作成するにあって、それは実務上難しい、非常に困難だということで、分割会社で決算を組むときに分割会社の回収可能性で処理したものを承継会社の方で引き継ぎ、その上で承継会社は次の決算のときに承継会社の方の回収可能性で判断して会計処理をすべきだという実務界の強い要望がありまして、最終的にはそういう方向でまとめております。これが適切なのかどうか、これもご検討をいただきたい。

Dとしまして、商法で定める会社分割を行った場合の分割会社における移転する営業を構成する資産・負債の帳簿価額の算定方法。これにつきまして一番いい例が退職給付引当金で、移転する営業の引当金としてどれだけ持っていくのか、あるいは、移行時差額のうち幾らを持っていくのか、配分の基準をお示しいただきたいということでございます。

Eとしまして、商法で定める分割型分割を行った場合の分割会社における資本の取り崩しの方法論につきましてお示しいただきたい。

次は、商法で定めるいわゆる分社型分割の場合の分割会社における承継会社株式の取得価額と税効果会計の問題です。分割日における税効果に係る一時差異は、分割日以前に存在するものと分割によって生じるものがございます。この一時差異に係る繰延税金資産・負債は承継会社株式の取得価額を構成するものとして会計処理を行う考え方と、一時差異に係る繰延税金資産・負債は承継会社株式の取得価額を構成しないものとして会計処理を行う考え方と2つございます。それぞれ論理的に整合する部分と整合しない部分がございます。これも一応の結論は出ておりますが、協会の関係者の中では相当強い反対もございました。この点につきましてぜひご検討をお願いしたいということでございます。

次のページに行きまして、Gの法定有限連帯責任を伴う債務。債務は、分割会社に残るか、承継会社に移転するか、いずれか分割契約書で明らかにするわけでございますが、債権者との法律関係では、分割契約書で分割当事者間で弁済の責めを負わないとされた側も、債権者に個別催告を行わない限り連帯して債務を負うこととされております。個別催告をすべて行うのは実務上、非常に困難だということですので、連帯債務になります。そうしますと、金融商品の会計基準及びその実務指針の考え方に基づきますと、当該債務を両社で計上するということになります。研究報告では、法務省とも打合せをしまして、法務省の方で注記することを手当てするということで、契約上、債務を負う方が計上すればよいという方向で書かかれていますが、法律の考え方とそれをどう会計処理すべきか、この点について明らかにしていただきたいという趣旨です。

Hとしましては、分割型会社分割におきまして営業移転損益を認識する場合の取得に直接要した費用についてです。分社型の会社分割で営業移転損益を認識する場合には、パーチェス法と同様に、分割会社におきまして承継会社株式の取得に直接要した費用はその株式の取得価額に加算すると考えられます。一方、分割会社が承継会社株式を取得しない分割型会社分割、すなわち株主の方に承継会社の株式が直接行く場合には、その会社分割に直接要した費用の会計処理はどうすべきなのかという点を明らかにしていただきたいということでございます。

Iとしまして、簿価引継法と商法の資本充実の原則でございますが、簿価引継法におきまして承継した純資産の公正な評価額が簿価純資産額を下回る場合の会計処理が問題となります。公正なる企業会計によれば、著しい価値の下落のない場合には評価減しなくてよいということですので、公正価値で評価すると含み損が幾らかある場合に、それはそのままでよいのか。研究報告では、公正な会計慣行で処理している場合には、重要な含み損がなければそのままでよいという一応の判断はしておりますが、それでよいかどうかをご検討いただきたいという趣旨でございます。

Jでございますが、分割型の会社分割の場合における営業移転損益の認識でございます。分割型の場合は承継会社の株式が株主に直接行きますので、分割会社からは資産・負債が流出するだけで営業移転に見合う資産の受け入れがないので、分割会社におきまして営業移転損益の計上を認めることはおかしいのではないかという意見も相当ございました。分割型の会社分割の場合、営業移転損益を認識するのは分割会社か分割会社の株主なのかという議論でございます。研究報告では、一応、分割会社が認識すべきだという結論を出しております。

K、差額のれんの会計処理についてです。承継会社を取得会社とする売買処理の場合、承継会社が分割により承継した資産・負債は分割日における公正な評価額――これには識別可能なのれんが含まれます。――により測定し、一方、取得の対価は対価として発行する承継会社の株式等の公正な評価額により測定する。両者の差額はのれんとして認識されることになるわけですが、商法上、承継会社が受ける資本金の増加額は、承継会社が分割により受け入れた純資産額を限度とされています。この場合、分割交付金及び代用自己株式の交付がないことを前提として考えていますが、純資産額を限度とすると解されるため、交付した株式等の公正な評価額が分割により承継した純資産額の公正な評価額を上回る場合には、個別財務諸表においてその差額のれんを計上することができないという見解と、計上することはできるのではないかという見解がございます。研究報告では、一応、個別では計上できない、連結では計上できる、こういう別々の会計処理を採用しておりますが、それでよろしいのかどうか、この点をご検討いただきたい。

以上が会社分割関係でございます。

次に、(6)といたしまして、現物出資と事後設立が行われた場合の会計処理方法を検討していただきたいということでございます。平成13年に行われた企業組織再編税制によりまして、いわゆる適格現物出資と適格事後設立につきましては、実質的にその譲渡損益の計上を繰り延べることとされております。現物出資及び事後設立の会計処理に係る会計基準が設けられない場合には、税法による会計処理が実務として定着する可能性も考えられますので、会計基準を速やかに検討していただきたい。この現物出資で、2社が現物出資をして1つの会社をつくる場合には、それはまた企業結合会計に関連しているように考えられるわけです。

(7)の自己株式と抱合株式の消却は、論点整理でも触れられていますので、ここでは省略させていただきます。

(8)は、被合併会社に重要な含み損が存在する場合の取扱いでございます。合併の会計実務におきまして、被合併会社に含み損がある場合においても、全体として債務超過とならない場合には、その含み損が被合併会社の損益計算書に計上されない場合もあると言われております。これに対し、研究報告では、いわゆる簿価引継法において移転する純資産の公正な評価額の総額が移転する簿価純資産額を著しく下回る場合には、分割会社で評価減を実施すべきものとしております。企業結合会計と会社分割会計の整合性をとる観点から、被合併会社におきまして減損会計の認識基準を満たさないもの等に重要な含み損が存在する場合には、その含み損を被合併会社の最終事業年度の損益計算書に計上すべきか否かについてご検討していただきたい。

最後に、「その他」といたしまして、論点整理の文中に「企業分割」「会社分割」「取得企業」「存続会社」「合併会社」という用語が使用されていますが、これらの違い、あるいは同じものなのか、この辺を明らかにしていただきたい。

以上でございます。ありがとうございました。

○斎藤部会長

ありがとうございました。大変詳細にご説明いただきまして、感謝いたします。

それでは、ただいまのご説明につきまして、一括して、ご意見、ご質問のある方はご発言いただきたいと思います。

特に順番を設けて議論をするということは今日は考えておりませんので、ご自由にご発言をいただければと思います。

どうぞ、西川委員。

○西川委員

黒川先生にお聞きしたいのですが、持分プーリングとフレッシュスタートで、対象が異なることがあるのかどうか。例えば、どうしても取得者がはっきりしない場合には持分プーリングorフレッシュスタートという、同じ対象のものがどちらかの処理になるということだけなのか、あるいはフレッシュスタートの方はそれ以外の対象もあるのかといったあたりをお伺いしたいのですが。

○斎藤部会長

どうぞ、黒川委員。

○黒川委員

私は別々にあると思っております。ですから、どちらが取得会社か判別がつかないものについてはフレッシュスタート法か持分プーリング法かということになるのではなくて、フレッシュスタート法と持分プーリングがふさわしい経済的実態は別々にあるのではないだろうかと何となく私は思っております。

もう少し具体的に言うと、フレッシュスタート法は新しい事業の出発というようなことが一応定義されております。具体的に、例えば1つの要件としてあり得る可能性としては、大規模なリストラ等々があって、以前の当事会社それぞれの継続性が全くないような企業結合がもし仮にあったとしたならば、それはフレッシュスタート法ではないのだろうか、そのようなものが1つあります。ただ、持分プーリング法の方はそうではなくて、これはARS5に主として依拠しますけれども、論理的には、果たしてもともとそれがあったのかどうかということまで言ってしまうと問題ですけれども、企業グループ内における結合、同一企業実体内における結合がもともとプーリング会計として存在していた、要するに、連結会計を念頭に置いていたわけですね、そのようなものがまず1つありました。

それからARS5で書かれていたのは、複数の電力会社が一緒になった、その場合に全く事業形態が変わらない――要するに、地域ごとの電力会社、別々の法的実体だったものが単に一緒になった。ですからその場合にはシナジー効果も余りなくて、単に本当に一緒になってしまった――要するに、以前と同じ消費者が同じ地域の電力会社から買っている。そのような状況がそもそもプーリング会計の発祥の1つとしてあったということがARS5には書いてある。それから考えると、プーリング会計の方は、単に今までの状況が全く変わらないで単に一緒になってしまった。そのような経済的実質がある場合にはもしかするとプーリング会計になるかもしれない、これが1つの考え方だと思います。

ですから、このように経済的実質が違うものがあれば、プーリング会計もあるし、フレッシュスタート法もあるだろう。もう一度言うと、どちらが取得企業かわからないから、あるいは、規模が同じぐらいだからということではなく、それぞれ経済的実質が別々にあるのではないだろうか、これが私見であります。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

どうぞ、伊藤委員。

○伊藤委員

さきほどの黒川先生の意見に別に反論するわけではないのですが、実際に経営をやっている立場からいいますと、地域別に分かれていた電力会社が一体になったからこれはプーリングだというのは、むしろ私は非常に理解に苦しむんですね。同じ業種のものがあったとしても、それはやはりそこには経営の意思がきちんと働いておって、経営者の意思決定のもとにおいてお互いに相手の会社の人格を認めていこうではないかということがあったときにプーリングではないかと私は思っています。したがって、業種が仮に変わったとしても、実際に経営をやっている立場からそのような理解を我々はしたいと思っています。

したがいまして、この中の幾つかを論じる中で、たまたま経済産業省から出ているものには、実際に経営に携わってきた者として、比較的実態感があるような感じがするんですね。先ほど都さんがおっしゃった、鉄鋼連盟の中の考え方もそうですね。企業結合の実態やそれぞれの国の法制やビジネスプラクティスを反映したものであるという。つまり、著しく異ならない企業間の結合の場合には云々ということだけれども、本当はやはりそこには経営者の意思がきちんとどう働いているかというところが重要ではないか。したがって、合併する場合に、その合併契約において、必ず経営者がその合併の本質をかなり問うているわけですね。したがって、そこがやはり重要ではないかと思います。決して先生の言っていることへの反論ではありません。

以上です。

○黒川委員

さきほどいいましたのは、そもそもの発祥というか、ARS5に依拠してということでしたが、今伊藤委員がおっしゃったのはごもっともな点が多いと思います。その場合に、もし仮に経営者の意思ということになれば、意図が全くフレッシュスタートであると、新しい会社のスタートであると書いてあったならば、その場合にはフレッシュスタートになる可能性もある。それから、これは全く今までと同じように、単に一緒になるんだよというような意思が表明されていればプーリングになると、このように理解してよろしいのでしょうか。仮にそうだとすれば、それはまた大変ある意味で経営者の意思は重要でございますので、経済的実質を識別するための1つの重要な指標になり得る、そのように私は思います。

○斎藤部会長

伊藤委員、ご発言はございますでしょうか。

よろしゅうございますか。

○伊藤委員

はい。

○斎藤部会長

ほかにご発言はないでしょうか。

○伊藤委員

私は、アナリストの方に同じことを聞きたいのです。

アナリストの方々からは、経営者の意思を聞きたいと、あらゆる場面においていろいろなご質問があります。まさしくアナリストの方々は経営者の意思をはっきりとそこで自分の耳で確かめ、目で確かめて、経営分析方法を考える。そのようなことを考えると、アナリストの人はどのようにこの問題を考えているのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○斎藤部会長

大体、引頭委員に対するご指名かと思いますけれども。

○引頭委員

質問のご趣旨は、パーチェスとかプーリングの話ですか。

○伊藤委員

その問題に限定して、先ほど私が言ったようなことは間違っているのか、そのあたりについてはどう理解されていますか。

○引頭委員

率直に申し上げると、ただ単に一緒になったというような経済実態というのはアナリストとしては評価できない――それは現実問題としてはあると思います。アメリカで――何法でやったかはわかりませんけれども――ただ一緒になっただけという形のコンピューター会社同士の合併があって、その後、株価が大幅に暴落したという現実もあります。それは望ましいことではないのですが、買い手の問題とまたそこは別だと思うんですね。アナリストとしては、そういうことは経営者の方々にやってほしくないということは強く申し上げておきます。

○斎藤部会長

今の引頭委員のお話は、合併した結果についてマーケットがどう評価するかという観点からのお話であって、伊藤委員の出された質問は、むしろそのための情報を出すときにどういう方法がいいだろうかというお話ですよね。ですから、むしろ逆に言えば、実態が単にくっついただけということであったらそれを正直に言ったらいい。マーケットはそれに対して非常に低い評価を与えるでしょうということですね。

○引頭委員

まさにそのとおりでございます。

○伊藤委員

逆に言えば、経営者の意思をきっちりとアナリストとしては聞きたいという気持ちなんでしょう。

○引頭委員

そのとおりでございます。

○斎藤部会長

ほかにいかがでしょうか。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

ちょうどいらっしゃっているのでお聞きしたいのですが。JICPAからのコメントで、「我が国で定められた企業結合会計基準の適用結果が国際的な会計基準の適用結果と異ならないよう手当てを講ぜられることを要望する」というのは、どのような意味でしょうか。

○斎藤部会長

伊藤参考人、どうぞ。

○伊藤参考人

先ほど別のところでもお話ししましたが、今までの会計処理基準は実務のように税法の基準に基づいて行われてきましたので、これを現在、国際的に使われている会計基準と合わせていただきたいという点。それから、将来的にパーチェス法だけになる可能性があり得る――国際会計基準の方の方向性もそういう方向で今動いていっているというお話を聞いておりますので、そのような場合に、先ほどお話ししましたように、プーリング法が我が国では使えるというか、それにふさわしい状況があるということならば、それを国際的に説明できるようなことも含めて検討していただきたい、そういうものを会計基準をつくる際に考えていただきたい、そういう趣旨でございます。この2つでございます。

○斎藤部会長

大日方委員、追加してご発言はございますか。

○大日方委員

そうすると、我が国でプーリング法を認めることは反対ではないということですね。この「手当て」という意味がよくわからないのですが、素直に読むと、国際的な会計基準と同じものを我が国で採用してほしいとも読めますし、あるいは、国際会計基準でやった場合の調整表のようなものを義務づけるべきだとも読めるのですが、そこまで踏み込んだ意味なのか違うのかということです。

○伊藤参考人

調整表までつくるということは議論しておりません。我が国でプーリング法という処理を認めるならば、企業が国際的な市場でファイナンスする場合には調整表でやるのか、それとも別途、財務諸表を作成するのか、それはその企業がどういう判断をされるかですが、それが1つというように考えております。もし可能なら、プーリング法でできるとした場合のその論拠を国際的に説明して、我が国の特殊性でいくのか、あるいは他の国でもそういうものがあり得るのかというようなものを世界的に発言していっていただきたい、こういう趣旨でございます。

○斎藤部会長

例えば、日本で仮にプーリングを非常に限定的にせよ認めるということになるといたしますと、今おっしゃるように、当然、国際的な基準と違いが出てくる可能性は高いわけですね。その場合に、チョイスは今のお話ですと2つであって、国際的な基準が決まったら全部それにあわせろという考え方と、もう1つは、国際的にプーリングならプーリングを採用する根拠を説明せよということですが、後者の選択肢をとった場合に、説明することは決して難しくありませんが、国際的な会計基準の設定の場でそれがアクセプトされるかどうかは全く別問題ですね。現に国際的な会計基準の流れでパーチェスに一本化しているというのは、もうアメリカがそう決めて、大変な政治的なかけひきの結果そこまでまとまっているんだから壊さないでくれと、そういう流れになっていると思うんですね。そういうときに説明して通るということは普通はない。ということは、消去法でいくと、公認会計士協会のご意見は国際基準と同じにしてくれということなのかということが、多分、大日方委員がお聞きになりたいことだろうと思うんです。

○伊藤参考人

ここの文章は、現行の国際会計基準の企業結合はプーリング法も認めているという観点から、従来の何でもありの合併会計を整備していただきたいということでございます。この論点整理で相当程度整理されて、非常にわかりやすくなって、考え方のベースができて、我々も非常に喜んでいるわけでございますが、この整理に基づきまして、今生きている国際会計基準と異ならないようにまず手当てをしていただきたい。その次の段階として、将来、パーチェス法に一本化された場合に、今斎藤先生が言われたようにそういう方向で動いているわけですが、その場合には、我が国でプーリング法が妥当だと判断されたならば、それを一応世界にアナウンスして、これで行くというスタンスを示されればよろしいのかなという趣旨でございます。

○斎藤部会長

大日方委員、よろしゅうございましょうか。

長坂委員、どうぞ。

○長坂委員

都委員にお伺いしたいのですけれども。

「プーリング法とパーチェス法の使い分け」のところで、先ほど、鉄鋼業界の合併の規模についてお話がありましたが、16ページの「使い分け」のところを見ますと、「具体的な基準については一律に基準化するのではなく」と書いてありますけれども、これは規模の同一性などの規準をつくるようなところにも反対ということでしょうか。

○斎藤部会長

都委員、どうぞ。

○都委員

最終的には何らかの基準は必要だと思います。ただ、余りにその適用範囲を狭いところにすると、一方では、これは単に規模的なものだけではなくて、先ほど来話がありましたように、経営者の意図ということとも非常に重要なファクターでありますので、その辺についてはその範囲で一律に基準化するということではないということでございます。

○斎藤部会長

長坂委員、いかがでしょうか。

○長坂委員

先ほど経営者の意図というお話が出ていて、確かに経営者の意図は大事だと思いますが、会計基準にするときにはなかなか経営者の意図というのはなじんでこないのかなという気が何となくしていまして、やはり何らかの数値規準のようなものをつくらない限りはある程度プーリング法の使用を狭めることはなかなか難しいのではないか――狭めるのがよいかどうかはわかりませんが、個人的にはある程度狭めた方がよいのではないかと思っておりますので、そうした場合にはやはり数値規準が必要になってくるのではないかと、個人の意見ですけれども、思っております。

○斎藤部会長

確かに私も経営者の意図というのは大事だと思うんですね、情報として非常に大事で、開示制度というのはその経営者の持っている意図も含めた私的な情報を情報非対照下の市場にシグナルする手段でありますから、それは非常に大事な情報だと思うんです。ただ、経営者の意図を実現できるような客観的な条件がなければやはりどうしようもないわけで、それはそれなりの客観的な条件による制限がかかることはやむを得ないんだと思いますね。

○伊藤委員

それは全く同感ですね。

○斎藤部会長

黒川委員、どうぞ。

○黒川委員

今の数値規準について、今まで検討されたものを見ますと、数値規準をもし仮にプーリング法の適用を狭めていくという意図をもって導入するのであれば、かなり強力であると、それは非常に有効な手段であるということは言われておりました。それについては長坂委員のおっしゃったことはそのとおりだろうと思いますが、一方、いわゆる当事会社の相対的規模がどの程度等しいかという規準でございますけれども、これについては2つ論理的に欠点があると言われていたのも事実ですので、これも以前お話ししたかもしれませんけれども、もう一度こういう場ですので確認しておきたいと思います。

1つは、M&Aをするに当たって、大きな会社がM&Aをするのが困難になる。困難になるというのは、それはその前提としてプーリング会計の方を好むということを前提に置かなければなりませんが、要するに、プーリング会計の適用対象に大きな会社は小さな会社に比べるとなりにくい、要するに、市場において、あるいは売上規模において非常に大きい会社がM&Aの対象会社を選ぶときになると、自分と同じぐらい大きな会社は非常に少なくなってしまって不公平だというものがあります。例として挙がっていたのは、GMのような会社は何かほかの会社と合併をしようと思うとみんな小さくなってしまってプーリング会計は全然適用対象にならない。それに対してある程度小さい会社は自分と同じような会社と合併するチャンスが非常に大きいので、大きな会社は不公平になってしまうのではないかということが1つ言われておりました。

それからもう1つは、合併あるいは結合の順番を変えることによってプーリング会計になったりパーチェスになったりする。初めにある程度大きい会社と合併してしまうと自分の会社が大きくなってしまいますから、次の会社と合併をしようと思うときに相対的格差が大きくなってしまう。ですから、どうせ合併することがある程度計画されているんだったら、初めに小さい会社と合併をして自分の会社を余り大きくしないでおいて中ぐらいの会社と合併をすると、もしかするとプーリング会計になるかもしれない。こういう恣意的な操作があり得るというような2つが相対的規模に対する反論という形でありました。

もう1つは実務的な実行可能性という点で、やはり1対3がいいのか、1対6がいいのかと言ったときに、そこの切り方が、論理的に、果たして1対幾つならばいいのかというところはどこまで行っても決着がつく問題ではないのであろうと、こういうことがありましたので一応インフォメーションいたしました。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

念のためにお断りしておきますけれども、私が、経営者の意図というものだけではなくて、それを実現できる客観的な条件と申しましたそのときの「客観的な」という意味は、数値規準のようにだれが見ても同じ結果が出るという意味での客観性では決してなくて、むしろ実態的なというふうに申し上げた方がいいと思いますけれども、そこだけは確認のために申し上げておきます。

○黒川委員

今の部会長のおっしゃったところと関連すると思いますけれども、鉄鋼連盟の方の、通ページでいくと17ページの6行目ぐらいに、「企業結合の事情というのは、ファイナンス理論に基づく企業結合だけでなく、従業員、債権者、取引先、近隣住民など、株主以外のステークホルダーとの関係も重視したさまざまな形の企業結合があり……」と書いてある、これが経済的実質のことを想定されている文章だろうと思うのです。それで、もしよろしければ、どのような経済的実質が、M&Aでどんな――ここに書かれているステークホルダーの観点から、このような結合もあるんじゃないかということが議論されていたならば、教えていただきたいということでございます。

○都委員

具体的な実例についてここでそれを十分議論した経緯はございません。ただ、例えば、かつて行われた八幡製鉄と富士製鉄の合併でありましたら、どちらかが一方的な買収をしたということではなくて、事実としてそれぞれ従業員とか銀行とか商権といったことを配慮しながら、実際にはどちらかがどちらかを買収したということではない、逆に言えば、そういった合併が最も合併の目的に十分資するであろうということで行われたと考えております。

○斎藤部会長

よろしゅうございますか。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

今後の作業日程にもかかわることなので確認をしておきたいのですけれども。企業分割との整合性についてコメントが複数出ているのですが、企業分割で共同新設分割あるいは吸収分割が合併、企業結合と同じ側面を持つので、そのときに、分割されて新しくできている、あるいは吸収したところの側面において、合併と同じような会計処理が要求されるという点まではわかるわけですけれども、ところが、企業分割の場合は基本的には分割する側の会計処理がメインであって、そのときに――分割後は基本的に株主になるわけですが、その会計処理と分割された側の会計処理の間には通常は整合性がなくても構わないはずなんですね。ただ大体の場合、分割されて新しくできた、あるいは吸収されて新しく移った側も、通常は連結の範囲に入るということで、やはり会計処理を問題にせざるを得ないから、それによって自動的に企業分割は分割した側もされた側も同時に視野に収めて入っているんだと思うんです。ところが、合併の場合には、合併の企業についての会計処理を議論するときに、必ずしも自動的に株主の会計処理をするということにはならないだろう、自動的にそれが証券取引法の対象範囲に入っているはずだという前提そのものが成り立っていないんだろうと思うんです。

したがって、そのときに合併から企業分割を述べるにはベクトルが全然違っていて強引な感じもするということと、似ているのは吸収分割と共同新設分割の合併された側の会計処理であって、基本的に企業分割の場合は株主の側の会計処理とは関係がないので、ここは切り離さないと議論がおかしくなるのではないかと思います。

○斎藤部会長

よくわかりました。

引頭委員、どうぞ。

○引頭委員

都委員に質問があるのですが、日本鉄鋼連盟さんがお書きになったレジュメの14ページ目の「パーチェス法」のところの「時価評価に際して」という部分ですけれども、「時価評価の方法に対して複数の選択肢を設ける等の柔軟な対応を許容」と書いてありますが、どのような評価を念頭に置かれた文面なのかを確認させてください。

○都委員

ここでは「時価の測定に複数の選択肢」と、やや誤解をあるいは生みかねなかったかもしれませんが、例えば、土地などにしますといろいろな評価の仕方がございます。これは公示価格とかあるいは鑑定によるものとか幾つかありまして、必ずしもどれかが一律に一番最適だということにはならないということで、そういった局面においては最も適当なものを選べるというようなことを考えてほしいと、こういうことでございます。

○引頭委員

これについては、結果が著しく異なる可能性がない範囲においてという理解でよろしいのでございますか。

○都委員

そうですね。

○引頭委員

わかりました。

○斎藤部会長

ほかにご発言はないでしょうか。

どうぞ、西川委員。

○西川委員

会社分割の話が出たのですが、会社分割という切り口で見ると、本当に固有の問題というのは相当あるんですね。もちろん今回の企業結合という大きな観点に立った基準をつくるという段階の中では、非常にいろいろなことを言うと議論をする中で邪魔になることはあると思うのですが、現在、研究報告の状態であるものは強制力もないということですので、どこかの時点では――実務指針なのか何なのかわかりませんが、会社分割の会計処理についてきちんと規定をしておく必要があるということは言えるのではないかと思います。その中では、やはり株主の問題も出てくるであろうし、例えば分割型の分割では、会社には何も対価が入ってこないのに営業移転損益を認識するかどうかといったような問題が出てくるだろうと思います。ですので、やはりここはこういう会計処理をするというように規定をしないと、研究報告のような形で放っておくというのはまずいのではないかという感じはしております。

○斎藤部会長

わかりました。

黒川委員、どうぞ。

○黒川委員

今、分割の話が出たのですが、あの研究報告でも、株主と個別会計と連結会計という、こういう三者の中でそれぞれの会計処理が非常に精緻に検討されているわけです。連結会計はある意味で今までの企業結合会計の論理をもとにして新たなものをつくられたわけですが、個別会計は商法のある意味で限定の中でまたつくられていると、このように私は理解したわけです。

そこで、問題はやはり個別会計と連結会計をどのような位置づけにするかでございますけれども、この辺について、あるいは、商法の方は果たしてこの先どうなるんだろうと、この辺について教えていただければと思います。

○神田部会長代理

これは当面の予想ですけれども、商法の会計は情報提供の面と配当規制の面があり、情報提供の面は大体証券取引法というか企業会計の方に行きましょうという流れになっていますが、配当規制の方に関する限り個別がベースだという点は当面は動かないと思います。そうだとしますと、配当可能な利益を計算する会計というのは個別の会計であるという立場は、恐らく当面維持されるだろうと見ていいと思います。他方、連結財務諸表は、これは中間試案の中でも出ており、したがって来年の通常国会の商法改正によると思いますけれども、商法上もそれをもって連結決算書――名前はともかく、例えば連結決算書類と呼んで、商法上の開示書類にもしましょうということにはなると思いますが、それは情報提供の部分です。情報提供の方は大体公開会社というか――商法では大会社と記述しておりますが、連結が主体になっていく。当面は中小会社でいいと思いますけれども、まだそれは商法に――こういう表現がいいかどうかはわかりませんが――従いましょうという感じだと思います。

今のところ、配当を連結で計算するということを言う人はもちろんいるのですけれども、そういうことはほとんど想定されていないのではないでしょうか。ですから、当面はそこでは個別という感じでしょうか。

○斎藤部会長

おっしゃられるとおり、配当規制について連結ベースというのは多分無理だと思いますね。損があるときはそういう議論をしやすいし、またなってもいいんですけれども、子会社の方に利益があるとき、親会社の債権者に対する保護という観点から、子会社の上げた利益を一方的に親会社の株主に配当するということは、多分現在の法律の考え方からしても、あるいは、日本の法律に限らずアメリカの社債契約上の配当制限条項の考え方からしても、いずれにしてもそういうふうにはならないと言えるのではないかと思いますね。

○神田部会長代理

もう1点追加してよろしいでしょうか。そのことでもう少し申しますと、今回のご意見の中で、商法が明確でないというご意見が若干あったように思いますが、合併とか企業結合会計自体について商法が明確でない点は多数あって、平成9年の改正のときに検討はしたけれどもやめたとかそういう問題はあるのですけれども、個別で配当規制があるというところはかなり現在の商法では明確ですから、そういう意味では仮に企業会計が全部パーチェス法になっても、それは連結であろうが単体であろうが何であろうが、商法上は配当可能利益の引き継ぎは認められるはずなんですね。

商法の考え方は、債権者と株主とのいわゆる調整で、幾ら株主に配当していいかという最大限の枠ですから、現在の分割の例でいうと、100という数字がある場合は、会社をどういう規模で分割しても足して100なら自由に分けていいわけですね、20・80にしてもいいし、80・20にしてもいいし、50・50でもいいし、0・100でもいいですと、そこで一貫していますから。合併の場合は消滅してしまいますから、100を引き継ぎたければ引き継げばいい、引き継がない選択肢もありますけれども、そこのところは企業会計がどうなろうと、あるいは、商法でいえば商法の企業会計がどうなろうと、配当規制ということでいえば変わることはないと思うし、そこが不明確だということはないと思います。それがおかしいという議論はあり得るところですけれども、配当規制は個別であり、かつ、それは配当可能な最大限度額を決するんだという考え方に立っている限りは余り動かないところではないかと思います。

もちろん経済実態と法形式ということを非常に詰め始めますと株式交換などの場合、非常に法形式を重要視していますからそこまで持っていけないわけですけれども――会社は残っていますので――その辺はおかしいのではないかという議論はあるかもしれませんが、資産が動いていくときには配当可能利益の引き継ぎとか移転を認めているということで一応は一貫していますので、余り不明確さはない。これは逆さになったような場合も同じで、何がどうなろうと純資産が動いていく限りにおいては、そこは私は明確だとむしろ思っていますが、ただ他の点で不明確な点は多々あると思います。

○斎藤部会長

共同持株会社のケースでは、それは純資産が動いていないという発想でしょうか。

○神田部会長代理

株式移転ですね、ですからそのようにしている。ただ、そういうことからいえば、本来は株式交換や株式移転でも移るものは株式ですから、移る株式の公正価値というか時価をベースに増加資本金の額等を本当は決めなければいけないのですが、計算がややこしいので、仮に純資産額を使ってしまったというところからやや混乱が生じているんですね。ですが、そこは計算上の便法として株式の価値を評価するのは難しいということで、移らない純資産額を株式の評価のかわりに使って、新設であれば新しい資本ですけれども、正味金額の最高限を決めるというルールにしたために、俗に言われるマイナス何とかというのが生じたりするわけです。今度は10月1日から、商法上はもっと簡単になりますけれども。

○斎藤部会長

ありがとうございました。勉強させていただきました。

どうぞ、引頭委員。

○引頭委員

きょうの議論とは直接は関係ないかもしれませんが、一アナリストとして神田先生にぜひお伺いしたいんです。

こうした企業結合会計ができることによって、今まで日本では遅れていたと言われるM&A、企業再編とかリストラとかがかなり進むのではないかと言われて期待されていると思うんです。これはいいんですが、グローバル競争が進む中、かつ、海外の株式市場がかなり暴落している中で、国際的なM&Aがにわかに――過去は高すぎて対象にもならなかったかもしれませんが、にわかに射程圏内に入ってきたというのが経済実態上は多分あると思うんですね。そうした中で、今回のこうした話が国際間のいわゆる株式交換とかにまで発展するようなイメージになるのか。今はなかなかそういう例はないといいますか、過去では直接な株式交換による買収は当然なかったわけですが、そのあたりのご見解というかイメージがもしありましたらお願い申し上げます。

○神田部会長代理

この部会の審議とは直接は関係ないと思いますが、そのニーズは前から非常にありまして、法律的なことだけ申しますと、伝統的には、アメリカを除けば、ヨーロッパの例えばドイツとかフランスとか、日本の法律のもとでは合併であれ株式交換であれ、ドイツの会社と日本の会社が合併することはできないと解されているんですね。なぜできないかというのは、逆に言うと、なぜアメリカでは――アメリカは州ごとですが――できるかというと、州ごとに規定があるんですね。ドイツの会社にどの法律を適用するか。ですから、吸収合併の場合でいいますと、日本の会社が例えばドイツの会社を吸収合併しようとすると、手続がないんですね。それはドイツとフランス間でも同じです。したがって、ダイムラー・クライスラーの場合も同じ問題があるわけです。だから、ヨーロッパでは株式取得型になるんですね。法人格2つが消えるわけではない。

それに対して、学会では多数説にはなっていませんけれども、いやそれは難しく考えなくていいんだと、ドイツの会社にはドイツの会社法、日本の会社には日本の会社法を適用すればいいんだと、だからそういうクロスボーダーも合併で法人格が消滅して、それで存続会社は日本なら日本でいいし、あとは日本法ですよと、ドイツならドイツ法で――細かい問題は少しわからないところはあるのですが、ラフに言うと、それでいいですよと言う人もいるんですね。

株式交換や株式取得の場合には、大きく言うと2通りあって、1つは任意の株式の取得、もう1つは日本法で言う株式交換・株式移転という多数決で反対者がいても――完全親会社と言っていますけれども――100%完全にしている。後者につきましては合併と同じように解されていまして、しかしそれは合併よりは問題が少ないんだから、例えばアメリカの会社と日本の会社の間に株式交換があっていいんだという、合併と同じように考える説があるのですが、公式には、規定がない限り難しいというのが普通の考え方なんですね。

それから、任意の方ですけれども、これは一般に国際会社法とか国際私法とか言っていますけれども、その規定のもとで可能なわけですから、例えば日本側から買いにいく例を言いますと、日本の会社がアメリカの会社の株式を取得するということになるんですね。ただ、任意でやる場合には、これは国内の場合でもそうですけれども、これまで指摘されてきた問題点というのは、例えば株式を対価として株式を取得するので現物出資という形式になりますので、これは裁判所へ行って検査役を選任して、その検査役の調査を受けなければいけないとかそういう問題があって、任意でない株式交換とか株式移転の場合には検査役の調査は外したんですね。従来は検査役の調査を避けるためにという表現がいいかどうかはよくわからないのですが、子会社を通じて買収をしたりしていましたけれども、逆に外国企業が日本企業を買収する場合も、任意である場合はそのときに適用される日本法なら日本法、ドイツ法ならドイツ法、アメリカの何とか州法なら何とか州法に従ってやれば、それは今も可能ですけれども、それぞれの法制のもとでの事実上の制約があるということです。

それで、今後のことを考えるとヨーロッパなどで言われていることは、クロスボーダーの合併とか、強制的な意味での株式交換みたいなものにやはりなってきているではないかと、大体似ているんだから、細かいことは違うかもしれませんけれども。それぞれの国で設立されている会社であれ――株主は世界じゅうに散らばっているかもしれませんけれども、そこでの株主保護とか会社債権者保護の手続は、その会社についてはその国の法律でいいのではないかと、少しラフな言い方ですけれども、そういう形で規定を置いて認めた方がいいのではないかという議論が他についてはなされていると思うんですね。まだ日本では、法制審議会ではそういう議論は正式には全く出されていないという状況であり、一部の学者ができると言っているのですが、普通はできないと言われています。これはドイツも全く同じで、最近はヨーロッパ一体で同じで、できるという学説がふえているのですが、政府はまだそこはできるという見解はとっていないですね。そのような状況です。

○斎藤部会長

大変ありがとうございました。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

2つほど簡単なことを確認しておきたいんですが。

まず1点は、「自己株式の消却処理の明確化をしてほしい」という要望が複数あるようですが、確かに合併は自己株式の取得原因というか取得する契機にはなるのですが、従来と違って取得したら直ちに消却しろということではないということ。それから、包括的に自己株式の会計処理基準をつくる必要があるということが当然のごとく考えられますので、ここの合併の中で自己株式の消却処理を決めてしまうと多少ほかの形で取得した自社株や何かについての会計処理の整合性に問題があるので、これはいずれしかるべきときに出されるということだろうと思います。

それからもう1つは、その下にあります、「パーチェス法における取得費用の会計処理」のところで、具体的にイメージがわかないのですが、その下に書いてある、新株発行費用のようなものが該当するのかわかりませんが、商法規定との関連も書いてあるのですけれども、現在でも研究開発費については商法は繰延を認めておきながら一応禁止しているということがもう既に前例としてあるので、その点は同じように考えて、この問題は、事実上は容認であるから、繰延を禁止するような方向での基準は自由度があると考えてよろしいのでしょうか。確認というよりは質問ですが。

○斎藤部会長

だれが答えるべきかはわかりませんけれども、前者の自社株の問題については、事実上おっしゃるようになると思いますね。ですから、多分、この部会でこの問題を企業結合の会計基準の一環として扱うという必要は必ずしもないというふうに思います。それでいいと思いますが、いいですよね、西川先生。

○西川委員

はい。

○斎藤部会長

それから、後者については、これは私なんかが伺っている限りそのとおりと思いますけれども、せっかくオーソリティーがおられますので、商法上これは繰延は容認規定ですから別に構わないですよね。

○神田部会長代理

少し関係ないかもしれませんが、よろしいでしょうか。

商法上どのようになっているかを少し申し上げたいのですけれども、合併会計について、例えば1つわからない例を挙げますと、今回の改正で10月1日から減資差益――資本減少した差益あるいは法定準備金と呼んでいるものですが――がどのように使えるのかよくわかりませんが、商法は、条文に則して申しますと、法定準備金は従来は資本に組み入れるか欠損のてん補にしか使えない。減少した場合にはその2つにはもちろん使えますが、そのほかに自己株の消却に使用できる。それ以外に使えるかどうかははっきりしないのですが、商法規定でいけばそれは使えない。法定準備金減少利益といいましょうか、減資差益と呼ばれていたものは、資本が減少したときに払い戻しなどをした場合にはそれを差し引いたものという概念で従来は資本準備金に入れていたのですが、今回の整理によると、資本準備金に入れることができなくなったのですが、準備金の減少はそのままになっていますから、昨日か一昨日に交付された計算書類規則によると、「その他の剰余金」というところに入って、これは商法上は配当可能になるわけですね。

そうすると、企業結合の場合の合併差益や分割差益とかいうものの中には、本来、減資差益に当たるものも入っているはずですよね。ただ、それだけではなくて評価益のようなものも入るものですから、これは結局一括して資本準備金にするという規定のままになっているんですね。そうすると、減資差益に当たる部分を厳密に言えば分けて、減資差益に当たる部分は今回の単純な資本減少のときの減資差益と同じ扱いにし――配当規制との関係だけなんですが、つまり違うことは資本準備金に入れるかその他の剰余金に入るかということですけれども――そうでない部分については資本準備金にするのが本来はロジカルなはずなんですけれども、そこは放置してあるんですよね。

その延長で、自己株式一般についても結局、資本取引であっても、商法から言うと減資差益のように配当可能なものが出てくるわけですよね。ですから、その辺をこの企業結合の場合にどのように整理するのかということがあります。規定上ははっきりしているのですが、それでいいかという問題はあると思いますね。

○斎藤部会長

確かにおっしゃるとおり、従来は、合併差益も減資差益もいずれも資本準備金でありましたから、事実上は、企業合併のケースで、合併減資差益に相当するものが出てくるわけですが、それは特に区分しなかったわけですよね。ただ、今のように、今回の商法改正でそもそも減資差益という概念が消滅いたしまして、それに相当する額は従来と違って自社株の消却なり配当なりに充当できる財源になりましたので、従来一緒にしていた本来の合併差益と合併に伴う減資差益というのは概念上は分けて考えることをどこかでしなければいけないかなという感じはいたしますね。

ありがとうございました。

どうぞ、黒川委員。

○黒川委員

今のようなことは、すべては商法上の個別会計上の配当規制という観点から議論されていると理解してもよろしいわけですよね。というのは、非常に大きな減資差益が出てきてしまって、今までの会計理論的に言えば、これは資本だったのだろうと思いますが、それがもしかしたら自社株の消却に使えるし、もしかするとその他の剰余金になって配当もできる――そうなると会計的にはどのように理解していいのかと思うところもあります。

先ほどからの議論とあわせて、要するに、個別会計と連結会計は全く別のものがずっと存続していて、もうそこでの整合性はなくても全く関係なくそれぞれそれぞれ考えていっていいんだと、その間で会社は2つ両方をつくれるんだと、このような考え方で物事を考えていけばいいのか、あるいはやはり整合的に考えて今おっしゃったような商法の――そこは資本の部の中身ですから、やはり影響を受けてそれぞれ考えていかなければならないのか、この辺を少し確認したいと思います。

○神田部会長代理

私が、仮に、もうどこでもいいんだと、別々だとまで言うと言いすぎであって、何らかの関係はやはりあると思うんですね。やはり目的に応じてしかるべき分離というか差が出ることはあるのではないかと思います。したがって、会計理論的に資本取引となるものは資本取引だと思うんですね。配当規制の立場から見ると、それは個別の貸借対照表を見て、そこで幾ら残せというかという立法政策的な判断ですから、今回の法改正では、資本が100ならば法定準備金はあと4分の1、125まで残せばそれ以上は配当可能にしてよろしいという判断をしたんですね。それはやはり、資本の10倍も準備金があるのは異常な事態で、資本が100まででも行けば――25がいいかどうかはわかりませんけれども、そういう判断をしたために全部で200、300ある準備金は25までは自由にというか、株主総会の普通決議で減らせますとしたんですね。しかし、他方、増資したときはどうかというと、増資したときはやはりその対価は全額資本準備金に入るんですね。ですから、今の例で、どんどん増資したら125を超える部分はすぐ配当できるわけではありませんで、増資した場合はそこは別で残しているわけであります。

ですから、今一番議論されて非常に難しい例は金庫株を処分したときで、私は感覚的には増資と同じではないかと、だから資本準備金に入れるべきだと思いますが、そのためには法改正をしませんと現在の商法では入れられないんですね。それだったら、1,000円で取得したものを1,200円で売った200円はどうするかといったときに、これは資本準備金にする方が私は個人的には筋だと思いますけれども、それは商法改正がないと処分と新株発行とは法律上は別ですから、そうなるともうその200円はその他の剰余金ですねということになっていくわけですよね。そのときに、それは資本取引なのにすぐに200円を配当可能利益でいいんですかと言われたときには同じ問題で、減資差益だって資本取引ですけれども配当に入れられますし、今の話で、125を維持していればそれを超える部分は準備金を減少しておいて、それをもって配当原資に充てられるわけですよね。

ですから、もっとロジカルに言えば、それだったら増資したときだって2分の1を、準備金ではなくて、資本プラス4分の1であって、それを超える部分はもう配当可能にしたっていいと、そちらのルールも直した方が一貫するんじゃないですかというご指摘を斎藤先生から前にいただいたことがたしかありますが、それはそのとおりなんですけれども、そこまではまだ踏み切っていない。その意味では、非常に中途半端と言えば中途半端ですけれども、一応それなりの線は引いているんですね。それは商法の考え方であって、私はそれが必ずしも商法の考え方として完全にベストかどうかと言われると個人的にはそう思わない面がありますけれども、しかし今の法律では一応そういうことで整理していますので、その話と会計理論の方から考えた同じ資本取引ではないですかという話は必ずしも合わない部分はあるけれども、もう勝手にやっていいという話ともまた違うんですよね。そういう問題は昔からあるのではないでしょうかね、資本剰余金と呼ばれているものに当たる概念というのは、商法は資本準備金を限定列挙していますから、これをそれ以上広げるということは配当を減らす形になりますから株主の利益を害するというので、非常に厳格ですよね。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

○多賀谷課長補佐

今の黒川委員のご発言についてですが、今、商法改正に伴う財務諸表規則等の改正についてコメントを出しております。そこで、財務諸表規則等におきましては、表示の区分としては、その他の資本剰余金というのがございますので、今般、法定準備金に入らない部分というのはそちらに記載をいただくような形になるのかと考えられます。

以上です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

それでは、おおむね予定の時間も参りましたので、本日の部会はこの辺で終了させていただきたいと思います。

次回の部会は10月5日(金)の午後を予定しておりますが、詳細につきましては改めて事務局からご連絡をいたします。次回は、日本の企業結合の事例につきまして、関係者からヒアリングを実施することを考えております。

本日は、お忙しいところ、まことにありがとうございました。

これで散会させていただきます。

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