平成15年6月13日
金融庁

企業会計審議会第26回第一部会議事録について

企業会計審議会第26回第一部会(平成15年3月27日(木)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


○斎藤部会長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから第26回第一部会を開催いたします。

委員の皆様方にはお忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、本日の審議に入りますが、前々回に引き続いて前回の部会では、意見書と基準の両方のタタキ台について皆様にご審議をお願いして、多くのご意見、ご指摘をいただきました。その後、ワーキンググループでは、ご指摘を踏まえましてタタキ台を再度修正し、公開草案の案の形で資料を準備いたしました。本日は、お手元にお配りしております公開草案の案についてご審議いただいて、公開草案の内容を固めてまいりたいと考えております。なお、今回で意見の集約に至らない場合には、再度お集まりいただいて、公開草案を取りまとめることにしたいと考えております。

なお、前回同様、お手元の資料は委員限りの取り扱いとさせていただきます。

それでは、本日お配りしております資料について事務局から簡単に説明していただきたいと思います。よろしくどうぞ。

○辻前企業会計専門官

それでは、お手元にお配りしてある資料の方からご説明させていただきたいと思いますが、資料1、2、3、4とございまして、資料1は前文の見え消し版、資料2は基準の方の見え消しの案でございます。資料3は見え消しをすべて落とした前文のクリーンな版、資料4は同じように基準の方の見え消しをすべて反映させた版ということになります。

これから前回以降の主な修正についてご説明させていただきますが、全体からみますと、語句の修正、体裁の修正というのがほとんどでございます。また、資料1と資料2、該当する箇所を同時に修正いたしますので、その関係から、ここでは資料2の方を使いまして、時間の関係がございますので、主な修正点のみご説明させていただくことにしたいと思います。説明から漏れた点につきましては、意味不明ということでしたら、ご指摘いただければ補足して説明することにしたいと思います。

それでは、資料2の方をおあけいただきたいと思います。

資料2の1ページ目の摘要の真ん中位でございますが、コメントとして「「企業」について説明を追加」とございまして、同じく摘要の一番下のところに、下線を引いてございますが、「括弧内は企業の定義に相当するため1に移動」とございます。文案の方の一番下の行、見え消しで消しておりますが、「会社に準ずる……」のところにつきましては、前回ご指摘いただき、その後ワーキンググループの方で検討していただきましたが、そもそも企業についての定義というか、説明ということで、全体にかかるように書いてはどうかという結論になりまして、定義の1番の括弧内、「会社及び会社に準ずる事業体をいう。以下同じ。」ということで、企業はこのようなものであると最初に断るというように修正した形になってございます。

それから、2ページ目の方にいっていただきまして、摘要の二つ目のところで、「定義9の取得日を結合日に変更」とございますが、定義9の方はもともと取得日の定義になってございました。パーチェス法の場合は取得日になるわけですが、プーリング法の場合はどうするのかという議論になりまして、ここの後段のところ、下線を引いてございますけれども、「又は結合当事企業の事業のすべて若しくは事実上すべてが統合された日をいう」ということで、持分プーリング法の方もつけ加えまして、取得日ではなくて、結合日ということに定義の方を変えました。その関係で、前回のドラフトで「取得日」とあったところを「結合日」に原則的にすべて置きかえてございます。

3ページの方をおあけいただきたいと思いますが、3ページの摘要の一番上のところでございます。「実質的支配の用語が誤解を招いていると考えられるため、また、支配の定義との区別の問題もあるため、使用しない記述に変更」とございまして、ここの文案の方をみていただきますと、もともとは「結合当事企業の一方が実質的支配を獲得していないこと」となってございましたが、下線を引いておりますように、これを「議決権比率が等しくないこと以外にも支配関係を示す一定の事実が存在しないこと」という記述に改めてございます。

これは、前回の部会で、議決権比率が最大の実質基準ではないかというようなご指摘をいただきましたが、その考え方に沿いまして、案全体につきまして「実質的支配」の「実質的」の言葉についての用法を見直しました。そもそも支配の定義を1ページ目に置いてございますが、支配の定義と実質的支配の関係を説明するのは難しいとか、色々な議論がございまして、「実質的」というのは案の方からはすべて落としたということでございます。他の箇所も、もともと「実質的支配」となっていたところは、すべて「実質的」という言葉を落としていくという修正を加えてございます。

それから、4ページの方をおあけいただきたいと思いますが、4ページの摘要の一番上のところで、「3社以上の取り扱いの判定手続きを修正」とございまして、左の文案の方をみていただきますと、「当事企業が3社以上である場合には、議決権比率が最上位の結合当事企業を基準とし、他の各結合当事企業との議決権比率を結合当事企業が2社の場合の比率に還元した上で判定する」というように改めてございます。

もともとは上位2社というようになっていたのですが、下線を引いた方の考え方は、一番大きい会社を基準にいたしまして、2番目、3番目、4番目と順次比較していきまして、それを2社の比較でみた場合に等しいというように判定された場合は、注4に書いてございますが、こちらの判定手続の方にいくというように3社以上の場合の判定手順を変更したというか、より明確にいたしました。

注4の方も、摘要欄に書いてございますけれども、「3社以上の結合の場合、議決権比率が等しい結合当事企業が検討対象となる場合を明記」としてございます。注4の方は下線を引いておりますが、「結合当事企業が3社以上である場合には、議決権比率が等しいと判定された結合当事企業について判定手続きを実施する」というようにいたしまして、先ほどの説明と連動いたしますが、議決権比率が大きい2社で比較したときに、議決権比率が等しいと認められる範囲の企業については、すべて注4の手続の条件に合致しているかどうかを検討していただくというようにこのあたりを少し修正いたしました。

次の5ページの方に注6がございまして、こちらは取得企業をどの企業に決定するかという取得企業の決め方の方ですが、こちらも、今の注4を修正した関係で、「注4修正にあわせて修正」とございますが、文案の方は「議決権比率が等しいと判定された結合当事企業について判定手続きを実施し、取得企業を決定する」ということで、注4と注6が連動するような形で修正を加えております。

それから、少し飛んでいただきまして10ページの方をおあけいただきたいと思います。こちらの摘要の方に「のれんの効果の及ぶ期間にわたり償却する旨を明記」とございまして、文案の方は「20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって……」という形に修正してございます。これは、前回の部会でこのような文言を補ってはどうかというご指摘を受けましたので、それに従って修正を加えたということでございます。

下の行、「固定資産の減損に係る会計基準……」の記述につきましては、前文にも同じ趣旨の文章がございまして、基準の方には書かなくてもよいのではないかという議論になりまして、こちらは基準の方から落とさせていただきました。

同じページの(5)負ののれんの方でございますが、摘要に「負ののれんの償却期間についての説明を追加」とございまして、これものれんの修正と関連しているわけでございますが、文案の方で「20年以内の取得の実態に基づいた適切な期間で規則的に償却する」というような形で文章を変えさせていただきました。こちらの方についてどのような考え方によっているかというのは、資料1の文案の方に詳しく書き出してあるということでございます。

また飛んでいただきまして、14ページの方をおあけいただきたいと思います。摘要の一番下になりますが、「親会社の資本剰余金ではなく、利益剰余金に賦課」は、抱合せ株式の償却損が生じる場合の処理方法につきまして、注18の方は「超過額は親会社の利益剰余金に賦課」というようになってございます。こちらの表現は少し変えたのですが、内容的には前回と変わっていないということでございます。

前回、この点につきまして親会社の資本剰余金を使用するということはできないのかというようなご指摘をいただきまして、ワーキンググループでご検討いただきましたが、超過額が発生してきた原因を考えますと、発生原因は子会社の方の累積損失であろう――累積損失が原因となってこのような超過額が発生してきているというように考えますと、それを配賦する先というのは、親会社の利益剰余金ということになり、資本剰余金というのは考えにくいのではないのかという結論になりまして、前回のドラフトと同じように「利益剰余金に賦課」というような形で、変えていないということでございます。

主な変更点というか、重要な変更点というのは以上でございまして、あとの細かい修正点につきましては、摘要欄の説明がよくわからないということでしたら、補足的に説明するということでお願いしたいと思います。

非常に簡単でございますけれども、以上で終わりにしたいと思います。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からの説明に関しましてご質問やご意見、ご自由にご発言いただきたいと思います。

八木委員、どうぞ。

○八木委員

今回の案でございますけれども、理論的な裏づけをもって持分プーリング法、パーチェスと併存する方向を打ち出していただいておりまして、この点、我々実務をやっている方からして、高く評価したい点でございます。

今、ご説明にはなかったのですが、前回から来ている数値基準のところ、これを設けるか否かということで議論がこれからも出るのではないかと思うのでございます。結局、企業結合の内容、今年もこれから色々出てくるのではないかと思いますが、その内容にもよりますけれども、含み損益を温存する形でいくのか、実現する方向へ持っていくか。経営上のニーズというのは、その事業の実態とか、置かれた環境とか、時期とか、色々な面でこれからもさまざまな形が出てくるのではないかと思うのでございますが、この点は色々な形があるだろうということを認めざるを得ないと思います。

そこで問題は、その過程でプーリングの濫用というようなことが現実のものにならないようにするにはどうしたらよいかということになり、それを防止する意味で、この文中にもございます数値基準を用いるということについては、大勢だろうと思いますし、その意見はやむを得ざるものだというように認識しております。産業界でも色々他の意見もございますので後で出るかもしれませんけれども、私としてはそのように感じているのでございます。

ただ、持分プーリング法適用の数値基準でございます議決権の保有割合の幅というところは、文中にございますのは、狭過ぎますと実質的に持分の継続であるところの企業結合にすぐパーチェス法が適用されてしまうというような虞なしとは言えないのではないか、こう思っております。また、細かいことを申し上げるようで恐縮なのでございますけれども、結合の合意がトップで行われた、その後に例えば反対株主がいて買取請求が出たというようなことで、さまざまな点で当初考えた比率というものが当然凸凹してくるということは考えられるわけでございまして、そのようなことも含めて、ある種の幅を持った判断基準というのが必要なのかなというように思っているのでございます。

それで、ここへ至るまで少し調べてみたのでございますけれども、過去10年間の145件位、公開会社同士の統合のデータを調べてみましたら、プラスマイナス2.5%以内に入ったという非常に僅差のところが145件中5件でございまして、5%まで広げると今の5件を含めて11件でございます。やけに刻んで申しわけありませんが、7.5まで刻みますと20件、10%、つまり四分六という範囲でいくと29件、大体全体の2割位、10%プラスマイナスでも150件弱のもののうち2割位、その位の比率にすぎません。

そのような実態でございますので、我々としては、事業再編に対する影響を少しでも小さくしたい、このように考えておりまして、そのような意味で、余り幅の狭いご決定をみますとその辺に支障が来るのではないか、このように考えているわけでございます。

そのようなことで、2.5(5)%というような原案でございますけれども、それをとるにしても、ぴたりというより、おおむねこの程度とか、あるいは願わくば5から10%の間位ということもあり得るとか、その辺をお入れいただくと、ある程度使い勝手と言いますか、そのようなニーズに合うのではないかと思っております。

いきなり数値の話で恐縮でございますけれども、この辺がこれから実務界の意見調整していくのに一番のポイントでございますから、最初に申し上げた次第でございます。よろしくお願いします。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

いきなり本丸に触れる発言があったわけですけれども、どうぞご自由に。

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

産業界ばかりが意見を言ってもいけないんですね。しかし、私の方も、この前、関係者で会合を開きまして、この問題について色々な意見の交換をしたのでございますが、今、八木委員がおっしゃいましたような意見がございました。

それからもう一つは、これはお願いなのでございますけれども、今日の資料をずっと拝見させていただきますと、たしか今後の取り扱いのところか何かに、商法との関連が少し触れられているくだりがあったと思うのでございます。資料1の32ページのところです。

商法のことはきちっと整理されておられて、それは大変結構ではないかというように思うのでございますが、企業にとってみれば、もう一つ、税の問題も非常に関心があります。もちろん会計と税は基本的に位置づけが違うということはよくわかりますけれども、今、ちょうど企業の再編税制の審議が国会で行われています。企業結合は、新規事業を海外と合併したりする、このようなことは非常にはっきりしているのですが、ある種のジョイント・ベンチャーなり、合併なり、色々な形式があろうかと思いますが、それは再編に絡むものも結構ございます。時あたかも、これは公開草案として出てきますが、恐らくそのような意見も出るかもしれませんので、もしできれば税についても何か一言くだりを入れていただくと大変ありがたい。

これはむしろご当局の方にお願いすることかもしれませんけれども、あそこではたしか25%以上の出資のものを対象にしておったと思いますが、そのようなことも出ています。そのような点もありまして、税についてはそのようなことがあるけれども、会計はこうでいくのだとか、当然のことと言えば当然ですけれども、そのようなことを一言入れていただく方がよいのではないか。

意見交換の中では、企業のある方は、そこを大変強く主張される人もおりまして、そのような点で、むしろそちらの方を最優先してもらえないかというようなご意見もございます。そうすると、パーチェス法――税の方では当然のことながら税を繰り延べということを言っていますから、今やっていることと非常に問題を起こしますので、それは少し無理ではないかというように思いますが、何らかの形で一言入れていただければ大変ありがたい。これは要望でございます。

以上です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

○八木委員

全くおっしゃるとおりで、50%プラスマイナス・アルファということで会計の方は決まって、一方、税の方では、13年あるいは11年の再編税制と言いますか、あちらのルールでいくと、適格であるからプーリングでいいよというのに対して、こちらの場合はパーチェスになる。そこのところの差というものが出たときに、申告調整で会計と税の違いを調整できるというくだりを再確認しておく必要があるなと。よく会計が先行して、思ってもいない所得が増えてしまうというような場面がないではないので、申告調整の可能性というものを再確認しておくと言いますか、これが必要な事務かなというように思ったわけでございます。

以上です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

山田委員、どうぞ。

○山田委員

仕事の関係で1月、2月と出席できませんで、過去の経緯を知らずに色々申し上げることになるかもしれませんが、今回、読ませていただきました資料1、資料2、少なくとも国際的な会計基準の動向に、プーリングという問題は一つございますけれども、それ以外のところでは随分配慮されて、できるだけ国際的な基準と合わせるような形の努力をされていることを、非常に高く評価させていただきたいというように思います。

その流れの中で、先ほど八木委員の方からございました数値基準、本丸の議論ということでございますけれども、資料1の8ページあたりに「過半数の議決権を取得すれば……」云々とございますが、議決権のところで数値基準に至る前の考え方というのを明確に整理されていると思います。すなわち、国際的な流れの中でも、持分の結合と言われるものに当たるケースというのは非常に稀であるということが、ある意味ではここで非常に明確にされているのではないかなというように感じます。

それから、ご承知のように、対等な企業結合というのはあるとしても、それは非常に稀であるというのが国際的な考え方になっております。せっかく今回国際的なことに配慮されている流れからいきますと、特にプーリングというのは国際的にはかなり注目を浴びる取り扱いになっておりまして、この辺のところを私の立場ないしは国際的な観点からみますと、実質的な数値基準を広くしますと、あらぬ誤解を受けかねないという懸念を持っております。

したがいまして、先ほどの八木委員のご説明の中では、10%をとると10年間で29件、約2割あるというお話でしたけれども、この2割を多いとみるか少ないとみるかですが、国際的には非常に稀だという感覚からいきますと、このあたりだと少し広いのかなと。国際的な視点からみますと誤解を受ける虞があるという懸念がしますので、その点を一言申し上げたいと思います。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

他にご発言はございませんか。

遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員

今のご発言、プーリングは非常に稀であるということですけれども、我が日本では本当にそうなのかという議論をした結果、この審議会では、稀であるという認識は非常に稀であるという認識でしたか、そのような認識はとらないということにしたと思います。

我が日本では、いわゆる対等合併というのがよき経営慣行としてなされているわけで、これからもなされるであろうということを考えると、アローアンスが必要ではないか。私、個人的には、このような数値基準を決めるのは非常に難しいわけで、どうしても恣意的にならざるを得ないとすれば、実質的なメルクマールを探して決めていくというのがよろしいのではないかと考えております。

資料1の8ページには「議決権比率は最大の実質要件である」、このようにうたってしまっておりまして、先に最大の実質要件なるものを持ってきますと後のプーリングの要件を決めることは非常に難しくなるのではないかと考えておりまして、何%がよいかという数字より、まずそのあたりの議論が整理されないと先に進めないのではないかと思っております。

それからもう一つは、資料1の32ページに出ています実施時期等ですが、「平成17年4月1日以後開始する事業年度から」ということでございますが、今後この基準が制定され、その後、実務指針が1年と少しかかってまとめられるだろうと思います。そうなりますと、平成17年からでは実務界の対応が難しいということでございますので、これより1年あるいは2年後位をめどに実施するということにしていただきたいと考えております。

以上です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

他にご発言ございませんか。

○辻前企業会計専門官

ご欠席の方もおられたので、先ほどの稀のところの説明を補足させていただきたいと思います。

基準書上の企業結合といった場合は、ジョイント・ベンチャーの形成も入りますし、共通支配下の取引も入るというように定義してございまして、それとの関係で、先ほど八木委員からご紹介あったのは公開企業同士の結合ということだったわけですが、親子会社とか、子会社同士とか、そのようなものまですべてひっくるめて考えますと、パーチェス法というより持分プーリング法的な、簿価引継ぎの方が件数的には圧倒的に多くなると思われますので、「稀」とか「極めて稀」とかというような言い方はやめたということでございます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

教育に携わる立場から、言葉の問題です。前も言いましたけれども、資料2の10ページのところでは、(5)負ののれんの会計処理で、1行目のところで正ののれんというのが見え消しで、結果的に「正ののれん」という言い方は基準本文から消えているのですが、基準の前文に当たる意見書の部分にはまだ残っています。23ページの2行目、それから24ページの1行目。この方がわかりやすいということはわかりますが、これを残されますと、正ののれんという概念ができてしまい、もし私が辞典執筆で、のれんを担当させられたら、このような書き方になってしまう――のれんには、正ののれんと負ののれんがある、基準本文はのれんと出ていますから、基準では正ののれんをのれんと言っているという説明になっていくんですけれども、これについて特に残された理由があったらお聞かせ願いたい。

○辻前企業会計専門官

まさに安藤先生がおっしゃったとおり、説明する上で「正の」とつけた方がわかりやすいだろうというのは、個別に判断して、つけた方がよいであろうというようにご結論いただいたところは残っておりまして、なくてもよいであろうというところは取ってしまった、そのような対応をさせていただいたということでございます。ワーキンググループの議論としては、それできちんと読んでいただけるのではないか、そのような議論でございました。

○斎藤部会長

これは、その前は負ののれんの説明をしていて、その後にのれんの処理との対称性という言い方になると、確かにわかりにくいので付けてあるのですが、ご懸念であれば、表現の方法はもう少し工夫する余地があるかもしれません。例えば「正の値をとる場合ののれん」とか、「正である場合ののれん」とか。安藤委員としてはそのようなことなら差し支えないとご判断なさいますか。

○安藤委員

最後は斎藤部会長にお任せしますけれども、今、斎藤部会長がご発言になった線でおまとめいただけたら、その方が教育の現場は混乱しない。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

他にご発言はないでしょうか。

山田委員、どうぞ。

○山田委員

考え方を教えていただきたいんですが、資料2の8ページの一番最後の行に「取得後短期間で発生することが予測される費用又は損失であってその発生の可能性が取得の対価の算定に反映されている場合には、当該費用又は損失に対して取得原価を配分することができる」というくだりがございます。ここの考え方なんですけれども、一方で、もう一つの資料1の19ページのところに公正価値の考え方を整理されているくだりがあるかと思います。

ここでは多分3段階にお分けになられているのかなというように読んだのですけれども、最初のパラグラフの4行目位のところから、観察可能な市場価格があれば、それが公正な評価の1番目。あと、真ん中位に、そのようなものがなければ見積もりを使う。下から4行目位のところでは、見積もりを行う企業が利用可能な独自の情報や前提等に基礎を置いてもよいという書き方があるわけですけれども、これとリストラ引当金のような8ページのところから書いてある費用に関連してなんですが、このような費用がありますと、企業が第3段目の公正価値の見積もりを用いて見積もるときに、将来リストラを行うための費用というのは、受け入れる資産そのものの評価の方に入ってしまうのではないかと考えます。そうしますと、8ページの下から9ページの頭にかけて、「当該費用又は損失に対して取得原価を配分することができる」というのはどのようなケースになるのか、そことの関係がどのようになっているのかというのをご説明いただきたいと思います。

○辻前企業会計専門官

8ページの方の配分できるというのは、ケースとしては、そのような対価ということで明確に交渉して、合意されて、受け渡しが行われた金額という趣旨でこのような規定を入れたという形になってございまして、そのような意味では、別扱いというのが適切かどうかわかりませんけれども、それはそれに対する補てんというか、そのような形で受け渡しがなされたので配分ができる、そのように考えたということでございます。

○山田委員

今の説明ではよくわからないのですが、例えば工場設備の有形固定資産のキャッシュ・ジェネレーティング・ユニットとしての価値を測定する場合に、将来のキャッシャ・フローを見積もって時価を計算されると思いますが、その際に将来起こるであろうリストラにかかわるキャッシュ・フローというのは、逆に受け入れる資産サイドの評価のところに反映されるのではないかなと思います。

そうなりますと、8ページのところで言っているような予想される費用または損失に対して取得原価を割り当てるというケースは、多分ほとんど起こり得ないのか、ないしはそこのところを明確に書き分けませんと、二重になるとは思いませんが、場合によると二重になる可能性があるのではないかという感じがするのですが、私の言っている趣旨、おわかりいただけますでしょうか。

○辻前企業会計専門官

またワーキンググループのメンバーの方にもご検討いただこうかなというようには思いますけれども、先ほどの資産の評価の方は、時価を算定するということなので、要するに第三者間で売買が成立するような値段ということになりますと、また少し違う面が出てくるのではないかなというように思われますが。

○山田委員

私が言っているのは、資料1の19ページの3番目の原則のところです。つまり、19ページの真ん中のパラグラフの下、少し長いですけれども、「このような観察可能な市場価格がない資産及び負債の時価を見積もる際には、独立第三者間取引に基づく公正な評価額を算定する目的と整合性を確保し、原則として、市場参加者が利用するであろう情報や前提等が入手可能である限り、それらに基礎を置くこととし、そのような情報等が入手できない場合には、見積もりを行う企業が利用可能な独自の情報や前提等に基礎を置くこととして、そのような合理的な基礎に基づき見積もられた価額は合理的に算定された時価であると考えることとした」というくだりがございますが、これを読みますと、今のリストラにかかわるキャッシュ・フローというのは、一番最後のこのレベルでは多分資産の評価の方に入ってくる可能性があるのではないか。そこへ取り込まれれば、その範囲において資料2の8ページのところで言っている取得原価を割り振るものは制約を受けるのではないかなと思ったものですから、ご質問させていただきました。

○斎藤部会長

山田委員のご質問は、リストラ等の費用が予想される場合の負債が何に対する評価勘定かというときに、3番目の評価のプリンシプルが適用される資産についてだけおっしゃっているのであって、場合によっては1番目、2番目に対しても同じ問題が生ずるわけですよね。ですから、常に3番目の問題として処理して、相殺するというわけにはいかないというだけではないですか。

○山田委員

そうかもしれません。私が気になっているのは、そこにある種の限定があるのではないかという指摘です。

○斎藤部会長

辻山委員どうぞ。

○辻山委員

今のケースですと、1番、2番、3番というように、資料1の19ページですと、個別資産の時価が観察可能な場合にはそれを用いるということになっていますので、山田委員のおっしゃるように個別資産の価格に将来のキャッシュ・アウトフローを反映させたと仮にしまして、短期間に発生するリストラ費用が資産価格の減になりますと、今度は企業のその後の利益計算がかなり異なる。資産を圧縮した上で、その資産を原価算入するということと、リストラ費用について、引当金を立てて、リストラの実行に伴ってそれを償却する。利益計算そのものが異なってきますけれども、そのことも含めてそちらの方が合理的だというご指摘なんでしょうか。

○山田委員

私としては、少なくともリストラを予定している資産に対して、企業結合時にそれが対価に含まれているのであれば、それが引かれたものが引継がれるべきではないかなというように考えているものですから、ご質問したわけです。

○斎藤部会長

辻山委員どうぞ。

○辻山委員

山田委員のイメージですと、リストラというのは資産の処分に係るリストラ――そのことであればご趣旨はわかるのですが、それ以外にもさまざまなリストラ費用がありまして、そのようなものがその場合、考えられていないということになりますが、この点はいかがでしょうか。資産の処分ということに限って言えば、どちらでやっても結果は同じになるかもしれませんけれども、そうでない場合です。

○山田委員

私、このような形で識別可能資産が引継がれる時点では、識別可能資産がその後、少なくとも売買の対価の中で明確に明示されて、それが対応されているのであれば、識別可能資産の引継がれる金額というのは、その部分を反映したネットで考えてその後の計算をする方がよいのではないかなと思いますが。

○斎藤部会長

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

のれん、正と言うと怒られてしまうかもしれませんが、正も負もコンシステントに考えたときに、のれんが生じるということは、資産の評価額にファームスペシフィックなキャッシュ・フローは反映されていないはずであって、評価額にその企業固有のキャッシュ・フローが反映されているとすると、実はのれんは生じなくなってしまうわけです。ですから、負の場合も正の場合も基本的には同じで、市場で平均的に考えられているキャッシュ・フローをもとに評価額をつけて、のれんを独立把握するということだと思います。

そうしないと、リストラのときにだけ資産の評価額に反映させてしまうと少しおかしなことになるので、正・負を問わず企業個別のキャッシュ・フローではなく、時価の推定値という形での見積もり額を付すということが原則だと思います。

○斎藤部会長

西川委員、どうぞ。

○西川委員

山田委員のご懸念は、資産の方で減損的なマイナスがあって、かつリストラ引当金が二重計上されるような話かと思いますけれども、それが意見書の文案で避けられないようになっているかというと、そうは読めないので、別段何も問題はないのではないか――印象だけですけれども、そのような感じがしました。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

他にご発言ございますか。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

論点が次第に動いている感じがしますが、よろしいですか。

○斎藤部会長

いいですよ、どうぞ。

○大日方委員

それでは、二つあるのですが、一つは、簡単なところの確認ですけれども、合併の取得対価の測定で、株式交換の場合に、合併契約締結時の株価というのが原則になっていますが、これは当然のことだと思いますが、金庫株を再発行する場合は金庫株の取得原価ということでよろしいのかどうか。その場合にも再発行時の株価にしてしまうと、差額は一体どんな処理がされるのかよくわからなくなってしまうので、その点が一つです。

もう一点は、実質的なところですが、少数株主との取引のところで、資料1の31ページです。最初のパラグラフの2番目のセンテンスですが、親会社と少数株主との取引であるということはよいのですが、それから直ちに「親会社の立場からは外部取引と考えられる」というのは、論理飛躍であって、内部の株主間取引と外部というのは別の問題ですから、少数株主イコール外部と言い切ってしまってよいのかどうかという問題です。外部であるから直ちにパーチェス法に準じた処理というのは、説明がないので、「このため」でどれだけ読めということを含意されているかわかりませんが、そこは少し問題かなという感じがします。

それと、最後は単純に表現の問題ですが、ここでは恐らく増加する資本をフェアバリューで測定するということを含意していると思いますが、「パーチェス法に準じた」という表現でよいかどうか。どのようなことかというと、少数株主持分の連結上の簿価を増加する資本に振替えるのは、別にプーリングではありませんから、逆にそれと対比して言っているとなるとミスリーディングなので、もう少し明示的に、「準じた」という遠回りで誤解を招かないような方法が望ましいと思います。

以上です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

お答えはありますか。

○辻前企業会計専門官

最初の合併の方ですが、原則どおりというか、このドラフトのとおりにやりますと、金庫株を渡そうが、新規の株式を発行しようが、その分の対価として交付する金額というのは同じように計算されてしまいますので、資本の増加額というか、最後に出てくる貸借差額という意味で変わらないということになろうかと思います。その上で金庫株を渡した場合は、増分額、その時点の時価と当初の取得原価との差額について何らかの処理を行う形になるのではないだろうかというように思います。

それから、少数株主持分のところについては、さらに検討させていただきたいと思います。少し難しいかなというような気もいたします。

○斎藤部会長

恐らく即座に反論があるでしょうけれども、反論される前にこちらから反論しておきますが、まず第1点については、金庫株を振替えた場合に、原則どおりでいけば、そのときの時価で振替えるというのがこの基準案の原則ですが、時価で振替えた場合には、おっしゃるように取得額との差分が出てきます。それは現在のルールでいけば基本的には資本剰余でありますので、結局、最終的には簿価の振替えと同じ結果になりますので、結果だけをみればご懸念の必要はないというのが第1点に対するお答えです。

第2点は、議論としてはおっしゃるとおりでありまして、おっしゃられることは当然予測しておりました。理屈の立て方についてなお検討の余地があると思いますが、問題は結果ですね。つまり、少数株主の持分について、追加取得して結合したときの取得分について対価として発行した株式の時価で資本を増やすという処理について――結果についてどのようなご意見をお持ちかだけお聞かせください。

○大日方委員

その点についても当然予測していましたが、連結上の簿価を振替える方法とのメリット・デメリット比較という点が一つと、もう一つは、皆様、ご承知のように、少数株主持分が資本か、第3区分か、あるいは負債かという点について非常に大きな問題を持っているということ。ストックオプションとの関連にもなりますけれども、非金銭取引で新株発行したとき、資本増加をユニバーサルにフェアバリューで測定するというように言い切ってしまってよいか。つまり、ここで決めることがその後の将来の数々の会計基準にどのような影響を与えるかという点です。

話をもう一回戻しますが、連結上の簿価振替えと、フレッシュにフェアバリューを測定するというものの長短比較、その際にその後の手かせ足かせとならないようなことを考えたときに、消極的ではありますが、結果について異論はありません。ただし、どう説明するかという点については、逃げ出したいというのが本音であります。私が少し気になっているのは、資本か資本でないかということに対して、少数株主持分は資本ではないと言い切っている――日本では現在よいのですが、少し気になる点であります。

○斎藤部会長

おっしゃられるように、少数株主持分を追加取得するというケースを、単純に外部の取引だからパーチェス的に処理するというのは、極めて一面的な議論であって、理論的には不十分であると重々理解しているつもりです。この点については、なるべくご指摘にこたえられるような努力をいたしますけれども、大日方委員ご本人がなるべくなら避けたいというようにおっしゃるとおり、私もなるべくなら避けたい問題なんですね。

ただ、非常に正直に申しますと、これは一義的に決められない問題を含んでいて、当面、実害の少ない方を便宜的に選んでおくしかないというように考えておりまして、種々検討の結果、こちらの方が今の日本の実務に定着しているルールを大きく変えないで済むという点で、実害を総体的には小さくできるのではないかというように考えた次第であります。理論的には、もしかしたら非常に大きな論点を含んでいる可能性があることは承知しております。

他にご発言ございますか。市川委員、どうぞ。

○市川委員

今の少数株主との取引のお話ですが、この辺の話は前に私の方からさせていただいたというように思いますけれども、単純に考えまして、100%子会社を合併しましたといった場合には、もともとつくっていた連結の結果と合併後できる個別財務諸表が合わなければならないというのは当然のことかと思います。

問題なのは、ここにあるとおり、もともと70%しか出資していない会社を今回合併しましたといったときに、前につくっていた連結と今回合併によってでき上がる個別の数字が合うべきかどうかというところと密接に関連してくるのかなと思いますが、私、個人的には、100%子会社を合併した場合には、合併の前後で変わらない、それはよいと思いますけれども、もともと70%しか出資していない会社ということであれば、もともと70%相当の資産・負債部分しか自分のものでないわけです。全部自分のものではないわけですから、今回の追加取得によって初めて自分のものになったということからすると、パーチェスなんだというような形の会計処理をどうしても考えざるを得ないのかなというのが、実務家サイドからの意見という形でご理解いただけたらというように思います。結果は当然こうなるのかなというように思っているのですが、それのロジックが矛盾しているということであれば、今後ワーキング等を含めて検討させていただければというように思います。

○大日方委員

さほど単純ではないということだけ言っておきます。そのお考え方だと比例連結でなければならなくて、支配というのは、そのような形ではない形で全部連結しておりますので、なかなかそのようにはいかないわけです。つまり、持分比率だけ資産・負債、それからもちろん取得後の増加剰余金はそうですが、そういう形になっている場合には、シームレスというか、連続ベクトルで処理できるわけですが、ある一定の時点を超えたところから全部連結している、そこから支配前と支配後である種決定的に違う処理をしているわけです。その後、共通支配下の取引ですから、全く無関係の第三者が出会ったときの取引と話が同じかと言われると、少し違うのではないかという要素が残っているわけです。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

要するに、理屈のつけ方についてはこのままでは十分ではないというご指摘ですので、検討だけはするということにさせていただきます。

西川委員、どうぞ。

○西川委員

私の頭は単純ですので余り深く考えられないんですけれども、どうしても左側の方をみると、全部連結とはいっても、のれんの部分は部分のれんが計上されている。要するに投資額部分しかのれんがないわけで、追加取得について、キャッシュによる取得と株式による取得で分けるというようなことをするというのは、そもそも企業結合が何で同じなのかというような問題を引き起こしますので、理屈の部分の補強についてはしていただいていいんですけれども、結論はこのままがよいのではないかという感じがしています。

○斎藤部会長

特にご発言はございませんか。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

くどいようですが、キャッシュで取得したときと結果は同じになるというのであれば、ここだけではなくて、プーリングは最初から問題にならないわけです。そのような発想をとっていないわけですから、それを言ってしまうと根こそぎ崩れてしまうので、企業結合のプーリングが存続しているという中でどうコンシステントにそこを組み立てるかというのは、くどいようですが、かなり難しい作業であると思います。

○斎藤部会長

わかりました。

論点を少し変えて、別のことでご発言はないでしょうか。

いかがでしょうか。山田委員、どうぞ。

○山田委員

私、理解できないので質問させていただきたんですけれども、資料2の7ページ、条件付取得のところ、このページの最初、「他方」で始まるところがあるかと思いますけれども、ここでaとb、つまり後から株式または社債の市場価格による影響を受けて追加で発行する場合で、bの場合、既に発行している部分について時価に修正して、プレミアムまたはディスカウントは即時償却する。aの方の会計処理、反対側はのれんなのかなと思いますけれども、この辺の会計処理の考え方をご説明いただければと思います。

○辻前企業会計専門官

ここの場合は、aの方では追加分を時価で足す。bの方は、こちらは連動して減額しているはずですから、その分は修正するということでございまして、後半のプレミアム云々というのは時価に修正する、具体的にはこのようなことをやるという説明のつもりで書いたということでございます。

○山田委員

そうしますと、bの方は、最初のときに何らかの形で、多分差額としてのれんが上がっているわけですけれども、それとの関係は特に考えていなくて、発行したサイドのところだけの差額を考えて、それを損益に償却する、のれんとの関係はつけないということですね。

○辻前企業会計専門官

トータルでのれんの方と調整ということになろうかと思います。ただ、その期間分と言いますか、当年度分というのは、P/LであればP/Lに上げるとか、そのような細かい話は出てくるかと思いますけれども、基本的には対価の総額の方の調整になりますから、他の資産を時価で配分仕切っていますから、のれんの方に寄って、あと何ヵ月分かの当期分がP/Lにいくかもしれない、そのような感じだと思います。

○斎藤部会長

松岡委員、どうぞ。

○松岡委員

今の山田委員からのご説明に私なりの認識をお話しさせていただきたいと思います。私がこれからお話しするような内容が読み取れないというのであれば、ワーキンググループ等で検討させていただきたいと思います。

「他方」以下でございますが、前文の方にも少し触れていたかと思いますが、当初合意した価額を維持するために追加発行した場合を主に念頭に置いておりまして、他方のケースでは、取得の対価の総額は基本的に変えないというようなことを前提にしております。また、bの増加額を償却すると書いているのは、その年度で即時償却するという意味ではございませんで、追加で発行した時点から、通常のディスカウントと同様に将来に向かって償却していくというようなことを念頭に置いてございます。

○斎藤部会長

さしあたりよろしゅうございましょうか。

○山田委員

今のご説明ですと、この言葉からだけだとわかりづらいかなという感じがします。要は、将来の期間にわたって償却するという趣旨が余り明確でないような印象を受けました。

○斎藤部会長

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

今のところを確認させていただきたいのですが、6ページのマル5のところですが、「取得の対価が結合契約合意後の将来の業績に影響を受ける場合……」云々と書いてあると、取得の対価総額が変わるというように読めて、その場合に、増加する費用も連動して動いてしまうのに見合ってのれんを調整するというように読めるのですが、どのような状況なんでしょうか。

○斎藤部会長

要するに、例えば割り当てる株式の数がその後の業績等の条件によって変わり得る状況を言っている。

松岡委員、どうぞ。

○松岡委員

今、大日方委員からご指摘いただきました点を勘案させていただきまして、特に「他方」以下、私の先ほどの説明の趣旨からすると、おっしゃるとおり取得の対価が影響を受けるというような文章になっておりまして、対価総額自体が変動すると読めるようになっている点はそのとおりだと思いますので、その点を踏まえまして検討させていただきたいと思います。

○斎藤部会長

6ページの下から3行も含めてですね。

○松岡委員

そうです。

○斎藤部会長

山田委員、どうぞ。

○山田委員

8ページの注13ですが、一番最後のところで「追加で対価を交付する条項がある場合等をいう」というようになっていまして、対価というところなんですが、あくまでもこの趣旨は、株式または社債という意味の対価、キャッシュの場合は当然含まれないと思いますが、「等」というのはどのような意味で加えられたのかを教えていただきたいと思います。

○辻前企業会計専門官

最後のところは、もとが「例えば」となっておりましたので、「例えば」の方を落としたので、こちらの方を「等」としたということでございます。

注13自体は、株式または社債のことを念頭に置いて書いているということでございます。

○斎藤部会長

他にご発言は、ないでしょうか。

おおむね最終局面に来ている議論ですので、周辺の問題点をきちっと詰めなければならないのですが、同時に、冒頭に八木委員、伊藤委員あるいは遠藤委員が述べられた本丸部分も含めてできる限りこの場で合意形成をさせていただきたいと思いますけれども、その面についても積極的にご発言いただければ幸いです。

安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

資料1の32ページ、要するに実施時期ですが、平成17年4月1日以後開始するというと、3月決算だと、18年3月期決算からというと、ちょうど今、政治問題化している減損会計の強制適用と同じ時期に重なるので、この基準がまた政治問題化することはないんでしょうねという願望というか、できるだけそのようなことは避けていただきたい。ですから、政治問題をやるなら、ここでやるべきだというのが私の説です。学会でなくて、各界の人に集まってもらっているわけですから、もしも産業界の方がどうしても嫌だと言うなら、がんがんやるべきだし、まとまらなかったらそれはしようがないわけで、ここで決めてしまって、外で政治問題化してやるというのは、金融庁・この審議会の権威の問題にかかわってくるのではないかというのが私の意見です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

八木委員、どうぞ。

○八木委員

今の関連で、先ほど遠藤委員からも出たわけでございますが、私も、ミニマム1年先へいけないかなというのを、実務の色々な適用からいって感じました。

と申しますのは、これが公開草案になって、この夏位に色々な形で表へ出る。その後、例えばASBJで実務指針をおつくりになると思うのでありますが、ここへも一つお願いがあるんですけれども、結構大部なものになるのではないかと思うのでございます。というのは、合併から株式交換から営業譲渡、色々な形のものがございますから、個々にルールをつくる。税務位まで配慮した色々な設例まで設けてやらないといけないような難しい実務ではないかなと思うものですから、そうなると、えいやっとみて、これに1年近くかかりますと、その後の話でこれが具体化すると、期限として想定されている開始年度まで1年を切るというようなことになりかねないので、それであるならばもう1年位延ばしたらどうか。私も減損会計のことが頭にあったんですが、その適用後1年位でこれが適用になるということが流れとしてもよいのかなというように感じた次第です。

企業結合はご承知のとおり非常に時間がかかるプロジェクトでございまして、私は、このようなものはある期限をきちっと言うことがむしろ産業界にもある種のインパクトがある位に思っているので、余り先へいくより、早く考えろよという意味合いを持つ意味で、1年位でしたら実務の方も色々な意味でできていくのではないかなと思っております。企業結合プロジェクトは言い出して1年位でようやく具体的なものがみえてくるというのが現状でございまして、そのような意味からも05年4月は少し早いなという感じがしておりますので、よろしくお願いいたします。

○斎藤部会長

他にいかがでしょうか。

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

これは政治問題にも関連しますけれども、会計基準というのは、国際的な調和の中で、しかも日本の国益も考えて、日本の国情とか、あるいは商習慣とか、そのようなものを我々は十分配慮したんだということをこれを出すときにきちっとうたう、それで今まで2年間かかったということをよく説明する必要があると思います。単にIASBに協調しているだけだという印象を与えることは大変まずいというように思いますので、そこのところ、ぜひきちっとしたプレスをやっていただければ大変ありがたい。

以上です。

○斎藤部会長

長坂委員、どうぞ。

○長坂委員

質問なんですけれども、資料2の4ページ目で修正点を説明していただいたんですが、3社以上の取り扱いの場合ですけれども、説明を伺ったんですが、よく理解できなかったので、もう一度お願いしたい。

3社以上の場合、上位の会社を第2、第3の会社と比較する。前回は、例えば40・40・20の場合で、上位2社で比較して、持分であれば持分というお話だったんですけれども、この修正では、第2、第3とそれぞれ比較して、第2については持分で、第3の会社については取得ということでパーチェス法を適用する、そのような修正ということですか。

○辻前企業会計専門官

ここのところは、まだ判定プロセスの途中段階ですので、等しいかどうかというのがここの答えになるわけですが、今の例で言うと、A、B、C、Dという会社があって、Aが一番大きかった場合には、Aと大きさが同じ会社がどれ位あるかというのを調べて、B、C、Dと四つとも大きさが仮に同じだったとすれば、A、B、C、D、4社について注4の判定手続を実施する。仮に、Bしかなければ、A、Bについて次の事実関係の判定手続を実施するというような形になります。最初のところでAとB、AとC、AとDというように比較していった場合に、Aと大きさが等しい会社がどこにもないということでしたら、その時点で判定手続は終了で、Aの取得というように流れていく、そのような形になります。

それで最後の事実関係の判定手続までいきまして、ここに掲げてありますような事実――支配関係を示すような事実がないということですと、全体に対してパーチェス法か、全体に対してプーリング法かということで、そこの結合に参加している会社全体について同じ会計処理を適用するということでございます。

○長坂委員

そうすると、一つでも対等でないという判定がされる会社があれば、全体がパーチェスになるということでしょうか、それとも一つでも対等と判定される会社があれば全体がプーリングになるということなんでしょうか。

○辻前企業会計専門官

要するに、ステップになっていまして、議決権比率のところでは、一つでも等しいという会社があった場合は次のステップにいくわけです。そこのステップもクリアした場合には、CとかDとかという会社の大きさが等しくない場合であっても、AとBは大きさが同じ位で、支配関係もないということですと、A、B、C、D全部についてプーリング法を適用するということでございます。

○斎藤部会長

辻山委員、どうぞ。

○辻山委員

ここの部分は結論は変わっていないと思いますが、表現について前回の方がわかりやすかったということなのではないかと思います。なぜかというと、「議決権比率が等しいと判定された」というのが2社のことを言っているのか、その場合には2の要件が十分満たされたのかというのが少し不明確なので、表現についてはワーキングで検討したらいかがでしょうか。

○斎藤部会長

万代委員、どうぞ。

○万代委員

実質的に若干の修正になっております。前回までの文案は、議決権比率上位2社ということで、3社目以降は全く考慮していませんが、今回の文案では、もし仮に3社目も議決権比率が等しいと判定されれば、3社が次の議決権比率以外の判定基準に進むという形になっておりますので、若干前回とは異なっております。

以上です。

○斎藤部会長

よろしゅうございますか。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

50対50からどれ位の幅を持たせるかという点ですが、この2年間、一体何をやってきたかを振り返るということになると思いますが、プーリングを残す上で、前文にも書いてありますけれども、パーチェスだって自ら所有してきた資産、負債は評価替えしないのではないか。そこに着目して、パーチェスが正しいとすれば、その論拠をもってプーリングは否定できない面が必ずある。つまり、自らが評価替えしないとしたら、対等な相手であれば、そちらも評価替えしないはずになるのではないかというその一点にかかっているわけです。

そのときの議論では、持分の継続というアカデミックな表現でありますけれども、最終的には判定として議決権の大きさでみる。ここでは2.5とか5とかという表現になっていますが、ミスリーディングだなと私は思っているわけです。これは、100に対して2.5とか5ではなくて、2.5であれば52.5対47.5まではほぼ同じようにしよう、5であれば55対45までは同じようにしようということでありますから、例えば10をとってしまうと60対40ですから、小さい方からみて、5割大きい相手を同じだと言うというのは余り常識的ではないと思います。ですから、5とか10というのは100に対する比率というように聞こえるので、私は少しミスリーディングだと思いますが、55対45とか、52.5対47.5、つまりその次元でどれ位であれば同じというように言えるのかということの決断にかかっていると思います。

私の個人的な意見では、上下5%、55対45位がモデレートかなという気がしておりますけれども、決め手はありません。

○斎藤部会長

5とか2.5という数字は100に対する比率なんですよね、ですからパーセントポイントと言っている。それはそうとして、今の大日方委員のご意見では、確たる根拠があるわけではないけれども、プラスマイナス5、45対55位がモデレートであるということですが。

小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

比率の話というのは、恐らく初めのころから同じような話をしていると思いますけれども、これをみると、26回と書いてあって、何回目かで同じことを言っているのではないかと思いますが、昔、国際会計基準の解釈指針委員会で、この比率を決めようという案をやったことがあります。今から4年位前ですかね。そのころでも、少なくとも49とか51とかという話をしていたので、極端なケースでも45と55より大きい数字というのは誰もアイデアとして示さなかった、それだけは今の大日方委員の意見と似ているのかなというように思います。

○斎藤部会長

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

この前、あるところで色々な調査をさせまして、大企業同士の合併を色々比較すると、プラス2.5の差に入っているのは、十幾つのケースの中で1社しかなかったですね。つまり、対等合併といっても、実際の比率はかなり違うんですよ。ですから、先ほど遠藤委員もおっしゃいましたように、日本の企業の慣行というのは、必ずしも数値だけではないのではないか。ただ、我々の前提条件として、このような会計を使ってある種の企業が実態と違うようなこと、不正を働いているわけではないが、ある種の操作をしていることを排除するという点を前提に置くのであれば厳しくしなければならないけれども、そこのところはそんなに細かい数字でいくと、実際に日本の対等合併というところは、2.5というものが入っていると等しくなかったという事例が大企業の場合ございました。

○斎藤部会長

他にご発言ないでしょうか。

万代委員、どうぞ。

○万代委員

この数値基準は政治の話ですから、私はなるたけ関わりたくないというのが本音なんですが、プーリング法を残しても、現実にそれを使えるような合併がないというのであれば、ルールとして残す意味が多分ないだろうと思います。それであればパーチェス法に一本化した方が、むしろ誤解を受けずに済むだろうと思います。

2.5%ですと、確かに実態としてほとんどないということは、そのとおりなんだろうと思います。私は個人的には、5%ポイント、このあたりが落とし所かなという気はしていますが、残す条件として、日本では諸外国で言われていたようなプーリングの濫用ということは起こり得ない、そのようなルールだし、現実にも起こっていないということが外からみてわかるようなパーセンテージを決めていただきたい、個人的には5%あたりかなという気がしております。

以上です。

○斎藤部会長

他にご発言はございませんか。

これがある程度意見を集約できないとまとまらないんですよね。

どうぞ、安藤委員。

○安藤委員

今のパーセントのところですが、資料2の基準本文、3ページの一番下、ここでは2.5と括弧して5と二つ出してありますが、最終公開草案ではどちらかに絞るという含みですね。

○斎藤部会長

もちろんそうです。

○安藤委員

わかりました。

○斎藤部会長

どうぞ、遠藤委員。

○遠藤委員

この基準では企業結合に伴って支配・被支配が起こるかどうかというところを一番重視しているわけなんですけれども、要するに、実際の企業結合においてどの程度であれば支配・被支配の関係が生じないかということだろうと思いますが、実務の感覚と言いますか、経団連の会合などで出てくる意見は、10%ポイント位まではあり得るのだということなわけです。私は、そのような数値で議論するのはいかがかと思って、ずっと実質支配の基準一本やりで主張しているわけなんですけれども、実務の感じはそのようなところにあるのではないかと思います。

それから、濫用の懸念というのがあるんですけれども、濫用の懸念というのは一体どのようなことなのか私はよくわからないわけで、減損会計の適用などを考えますと、何が濫用の懸念なのかというのが本当によくわからないという感じがいたしております。

○斎藤部会長

八木委員、どうぞ。

○八木委員

冒頭、パーセントの議論で、おおむねというような表現もあり得るだろう、そのようなことを申しました。これは実務的なものでございますが、その他に、今回の条件をある意味で厳しくしているなというのは、前々回から私、少し発言しておりますけれども、まず数値基準があって、これを満足した後、資料1の6ページの上の方に三つ書いてあって、三つのいずれも欠けると持分の継続ではない、このようなところがあるわけでございます。

「結合後企業に対して各結合当事企業の株主が有することになった議決権比率が等しいこと、議決権比率が等しくないこと以外にも支配関係を示す一定の事実が存在しない」。よくあるのは、三つなら三つの要件のうちの二つを満足すればこうだとか、色々なのがあるわけですが、今回のは、これをシリーズにみていきなさいというように我々、理解しておるのでございますが、それが非常に厳しいものにしている。

例えば、取締役の数とか、議決権の数のようなものは、先ほど伊藤委員も言いましたけれども、現実の場では、企業同士というのは色々な知恵を出します。多少の大きさの違いは、将来のことを考えると、お互い対等の精神でいこうから始まりまして、色々なことを言うわけで、2番目、3番目あたり、あるいは具体的な形としての役員の数とか、そのようなものは対等でいくとか、会長、社長を交互に出すとか、色々な知恵でやるわけで、そういうのが現実でございます。

今回、数値基準を乗り越えて次へ次へせよ、このような判断だと認識しますので、ある意味では厳しい基準になっているなというように思っています。これを変えろということではなくて、それだけに数値基準という入り口のところが厳し過ぎると、この三つを満足するのは非常に厳しい印象を与えるなということで、この前も少し申し上げたところでございます。そのようなことで、おおむねとか、そのようなものが現実の場では必要になってくるのかなというように存じております。

以上です。

○斎藤部会長

どうぞ、伊藤委員。

○伊藤委員

意見としてお聞きいただきたいと思いますが、数値基準は大変明快なんですけれども、逆に言えば、それを利用してある種の不正が働く、アメリカがよい例なんですね。一番厳しい基準は実質だと私は思います。つまり、どのような形式をとろうとも、実質支配が行われているのかどうか。一番よい例は、CEOはどちらが出しているかとか、あるいは取締役の人数は一体どうかとかということ、そこの方が出資比率より重要なんです。したがって、出資比率だけで形式的にやるというのは、論理的には大変明快なんですけれども、実際の企業経営においてはそのようなものではないんですね。ですから、そこのところをご理解いただいた方が――不正に厳しくするのであれば、実質的にやった方が不正は直ると私は思います。

これはご参考に聞いていただいたらよいと思いますが、結果をみてみないと何とも言えないと思いますが、しかしながら幾つかの例をみていくと、アメリカの例をみてもそうだと思います。そのようなところをよくご検討いただきたいと思います。

○斎藤部会長

他にご発言はないでしょうか。

万代委員、どうぞ。

○万代委員

最初に議決権比率の判定、次を実質的支配の判定というように書いたので、大変誤解を生んだことになったのだろうと思います。今回直しましたように、株式会社でなくてもいいんですけれども、株式会社であれば、50%以上取れば支配できる、これがルールなわけで、最大の実質基準なわけです。株主の総意があれば、取締役だって決められる、これが建前としてのルールになっているわけですから、これが最大の基準と考えざるを得ないのではないかと思います。

伊藤委員がおっしゃるように、議決権比率以外でみた方がより厳しいのではないかというご意見ですけれども、それが果たして諸外国から、日本のルールがプーリングの濫用等が起こらないしっかりしたものだというようにみてもらえるのかどうかですね。私は個人的には、そのように思うと言いますか、議決権比率以外のところでみることもあり得るのかなと思いますが、今のご時勢、国際的な目も気にせざるを得ないのではないかというのが実感です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

他にご発言ございますか。都委員、どうぞ。

○都委員

まずポイントの話をさせていただきます。10%ポイントのところで、先ほどご紹介がありましたように、1対1.5という一番広いケースをとったときに、それでも対等の入り口にするかということについては、ためらいがなくはありませんが、一方で、5%で完全にリジッドにやったときに、先ほど来ご発言があったときも、5%位でとか、5%あたりでというような発言もありました。つまり、5%、完全にそこでポイントを仕切ることがこれまたよいのかということで、その辺のところについては、株価の変動というのはある比率を決定する直前の数字とされておりますが、微妙なところで動くことも十分考えられます。

その辺、産業界等のご発言、色々なご意見等を考えますと、5%で、100分の1ポイントもそこから動かないというより、そこにおおむねというような表現を持たせてやるということも、一方でそれ以降の実質基準というのは役員の数が半々だとか、これは会社にとっては相当厳しい基準でございますから、その辺でかなり担保できるような気もしますので、その辺、この基準を成立させる上では一つの進め方かなという気がしております。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

○伊藤委員

私ばかり言って恐縮ですが、確かに出資比率というものは極めて重要であって、これは全く否定しないんですよ。ですから、これは実質基準の中の極めて重要なものだと思います。ですから、実質基準というときには出資比率を無視しているということを言っているわけではない、しかしこれだけで最初のガイドラインを決めてしまうのはどうかということです。

例えば、大会社の場合、過去の企業結合をずっとみていきますと、出資比率50・50というのは余りないんですよ。出資比率だけでみれば、みんな違うんですね。かなり違って、6・4とか7・3とかがいっぱいある。しかし対等だということでみんなやっているわけです。では対等は実質的にどうなっているのかといえば、例えば新日鐵さんの例をとっても、実は出資比率をみてみると、55対45なんです。ある人はそれをみて、その役員は初めて知ったとか言っているわけです。決してみんな50・50ではない。商船三井だって、90対10でも実質でやっているわけです。役員は、最初は大阪商船から出たけれども、その後は交代していっているわけです。

そのようなこととか、企業は色々なやり方をいたします。もちろんしかし、出資比率が極めて重要であるということはよくわかります。ですから、それだけで最初に決めてしまうのはどうかというだけの話であってですね、決してそれを否定しているわけではございませんので、その点はぜひご勘案いただきたい。

それから、私が少し気になるのは、この前申し上げたんですが、連結するときに、少なくとも4割はないといけないなという認識でもってやっていまして、ここで実質を色々検討しているんですけれども、私どもが10%というようなことを言っているのも、40であればいいんだというようなことを言っているのではなくて、実質をみていこうではないかということを申し上げたい。日本のそのような国情をきちっと出す方が、後々ひっくり返ることがないのではないかという感じがするんですね。政治問題にしないためにも、実質的なことをきちっと考えてやっているんだということを言っておくべきではないかというように思います。

○斎藤部会長

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

日本の経営ということがこれまでも出てきましたから、そこのことは承知しているんですが、どんなに経営者の主権が株主より強かろうが、従業員の主権が強かろうが、経営者に対する報酬は費用であって利益処分ではない、従業員に対する給料は費用であって利益処分ではないです。つまり、会計はユニバーサルで、どこの世界へいっても株主に帰属する利益を計算しているわけです。

その上で、プーリングだ、パーチェスだというのがどのように正当化されて、併存し得るのかということを言ってきたわけで、だからこそ株主の議決権比率が最大の実質だという意見が根強くあると思っているわけです。ですから、90と10で対等なケースがあるのは、対等の意味が全然違っていて、会計とは関係のない次元、対等であろうとは思いますが、会計に反映されるべき対等なのかというと、それは次元が違っていると思います。

それから、誤解があるといけないので確認しておきたいわけですが、連結で実質的な子会社、支配というのを40%位まで考えるというときは、自分以外にそれ以上大きな持分を持つ人はいないという前提ですから、株主が2人しかいなくて、60と40持っているときどちらの子会社かといったら、60の方の子会社に決まっているわけですよね。そのときに、40の方について実質を考えて子会社にしましょうという人は多分いないわけです。

今やっているのは、株主集団のように2人の株主だというように思ったときに、連結の話をするのであれば、50・50以外にプーリングはほぼあり得ないわけです。しかし、それでは幾ら何でも、万代委員が、先ほどおっしゃいましたけれども、適用例がないに等しいのであればつくるのは無駄だということがあるので、アローアンスをつくるという話をしているわけです。ですから、この際、連結40云々という議論は、基本的に話が違うので、忘れていただいた方がよいと思います。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

松岡委員、どうぞ。

○松岡委員

前回の部会でも話題になったかと思いますが、資料1の1ページ目、下から7行目から、審議会での審議について、「何よりも我が国の実態に適合し、かつ、その考え方が国際的に理解される企業結合会計の基準を設定する必要があるという基本認識に立つものであった」という記載がございます。今までのお話を色々聞いていますと、前の「我が国の実態に適合し」というのは、もしかしたら10%ポイント位までの差なのかもしれませんが、「かつ」でございまして、国際的に10%の差が理解されるかどうかということについては、恐らく皆さんが理解されないだろうと考えざるを得ないというように考えます。

これ以降あくまでも個人的な見解でございますが、40対60ですと、1対1.5ですので、どう考えても、対等であるというような理屈は難しいだろうと考えます。したがいまして、45対55位が最大限かなというような個人的な見解がありまして、かつおおむねとつきますと、その前後、幾らまでなのかというような議論がまたございまして、結局、数値で示す限り、何%に決めたとしても、その前後のある程度というのは必ず問題になるというか、取り扱いが非常に難しくなるわけでございますので、そのような意味からも、あくまで個人的でございますが、45・55より超えることはルールとして望ましくないのではないかというように考えます。

最後に、非常に厳しい基準の枠組みになっているのではないかということなんですが、よく読んでいただきますと、ジョイント・ベンチャーという取り扱いがございまして、この基準で言うジョイント・ベンチャーに該当する限り議決権比率は問わないというような構成になってございます。したがいまして、JVに該当するものと該当しないものがどれ位の比率で、どの位実態に影響があるかはわかりませんが、必ずしも厳し過ぎる基準の内容になっていないのではないか、そのような点に皆さんがある程度配慮された合意となっているのではないかというように感じております。

以上です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

山田委員、どうぞ。

○山田委員

先ほど来延々と議論が続いていますけれども、先ほど小宮山委員の方から話があったのが一つ象徴的なポイントなんですが、IAS22号は持分の結合というのを認めていたわけですが、その中でどれ位の差であればという議論が出たときに、1%だとかという位のところでの議論が海外でされている、ひょっとすると2%ということがあるかもしれませんが、非常に狭い範囲で持分の結合というものを考えております。

それから、資料1の8ページかどこかにもありましたように、少なくとも同じ議決権比率だということが大原則であるという点から考えますと、この範囲を広げるというのは、国際的には理解され難い。それと同時に、これだけ色々なことに配慮してきていながら、画竜点睛を欠くと言いますか、誤解を招くことになりかねないのではないかということを非常に強く懸念します。

よく言われるのは、大日方委員が言われたのと同じような意味で言いますと、経営者の方がヘッジするというようなことを言われますが、ヘッジ会計の適用範囲というのは非常に限定的になっておりまして、対等と言われる言葉にしても、会計上で定義する対等ということと、経営者が日常のところで使うものとの間に会計上の判断で差があり得ることは当然ですし、個々のケースを取り上げて実質を判断するということになると基本的にワークしなくなると思いますので、この辺のところは厳しく考えることが必要ではないかと思います。

○斎藤部会長

残り時間が少なくなってきていて、まだ確認させていただきたい論点が一点残っておりますが、今の問題についてあと5分程度ご意見を伺う時間があると思います。

先ほど申し上げましたように、大詰めに来ておりまして、この2年間の結果をここで流すか、まとめるかというその瀬戸際だということをよくご判断いただいて、ご議論いただきたいと思います。

安藤委員、どうぞ。

○安藤委員

私も大分長くおつき合いして、よくわからないというか、確認ですが、数値基準を入れるという大方針で来ていて、今日いよいよ最終段階ということですけれども、従来の話を蒸し返すつもりはないんですが、自分のために言っているようなところがあります。例えば連結財務諸表原則ですと、100分の50以下であっても、高い比率の議決権といって、これは実務指針とかで処理しているわけですよね。そのような選択肢は最初から――要するに、ここで決着をつけようという方針で来ているという確認でよろしいでしょうか。やり方としては実務指針で対処する、それからもう一つ下げると公認会計士の監査の――協会でやるという3段階ありますが、ここでやるんだという方針ということでよろしいでしょうか。

○斎藤部会長

そのつもりでおります。説明いたしますと長くなりますので、そこはご理解いただきたい。

○伊藤委員

この前そのような意見だったですね。

○斎藤部会長

経済界の委員が揃っていらっしゃるので、今ご意見がまとまるようであれば、お待ちしますけれども。

どうぞ、遠藤委員。

○遠藤委員

今日大詰めの議論をやることは承知していたわけですけれども、経団連としてもう一度会合をやらなければならないということになっておりまして、4月4日に予定されているんでしょうか、次の審議会まで決定はお待ちいただきたいという希望を持っております。

それと、先ほど国際基準との調和というお話があったわけですけれども、国際的に理解されるということはどのようなことなのか。最近の国際会計基準の作成動向などをみていますと、本当にあれにフォローしていってよいのかという問題もありまして、国際会計基準への対応というものをしかるべき機関で十分検討すべきだと思っております。それだけ少し付け加えさせていただきます。

○斎藤部会長

そういたしますと、この場で最終決着は無理としても、おおむねの合意という段階もまだ難しいというように理解せざるを得ませんので、最終決着は次回に持ち越したいと思いますが、本日出たご意見の大方の帰趨と言いますか、分布については、私が改めて集約するまでもなく、十分に明瞭だと思いますので、それをぜひ経済界の方へお持ち帰りいただいて、ご検討いただきたいと思っております。

最後に一点確認させていただきたいんですが、この基準の適用時期について、先ほどお二方、特に八木委員から、平成17年は少し早過ぎるから、最小限1年はというご意見がございましたし、遠藤委員は1年か2年程度というご発言であったかと思いますけれども、念のために他の委員の方から、適用時期に関してご発言があれば承りたいと思います。

小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

1年という部分の具体的な趣旨が少し理解できない部分があるんですが、連結を実質支配力基準に変えたときが97年、適用は99年4月1日以降ということでしたから、今回と全く条件的には同じなんですね。あのとき約1年位で――あのころは会計士協会ですけれども、膨大な分量の実務指針をつくりました。実際にはそれで実務で適用できたという経験を我々は持っているわけですが、それでもう1年とか2年とかというところが少しわからない。私は適用できるんじゃないかと思っているんですけど。

○斎藤部会長

他にご発言ございませんか。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

企業結合の会計基準は、常時継続的に経験するとか、システムのプログラムを書きかえるということではなくて、今まで使ってきたプーリングとかパーチェスの範囲の明確化ということになっているわけですから、対応に時間がかかるというエクスキューズは通じないと思います。今まで使ったことのないものであればシステム対応とかプログラムを書換えなければならないわけですが、今まであったものの範囲が違うわけですから、これに対して余り準備云々というのは、エクスキューズとしては通らないと思います。

○斎藤部会長

八木委員、どうぞ。

○八木委員

確かにここで実務が対応できないとか、色々なことを言った覚えは何度もあるんですけれども、確かにこれはルーチンワークではないですよね。ただ、逆に言うと、企業結合というのは、思い立ってから具体化するまでに時間がかかるし、まさにこれから産業再生法だ何だと色々なものが動き出す時期であって、ケースも多く出る。そのような背景をみると、これから何年というのではなくて、03年、04年、05年という時代背景のようなものを考えると、1年位は延ばした方がよいのではないか。今のルールのもとでの結合を促進するなら、どんどんやりなさいというようなことをやるのも一つのやり方ではないか。

これも、先ほど遠藤委員が言いましたけれども、先ほどのパーセントの議論と同様でして、産業界でも来週早々、話し合ってみたいというように思っております。

○斎藤部会長

わかりました。ありがとうございました。

経済界の委員以外の方で、特にこの件で発言はないですか。

それでは、大体時間が参りました。本日の審議では、公開草案を取りまとめる上での意見の集約までには至っておりませんので、恐縮でありますけれども、再度お集まりいただきたいと思います。

次回は4月4日の15時からを予定いただいておりますけれども、正式には事務局から改めてご連絡いたします。よろしくお願いいたします。

現在の公開草案の案につきましては、必要な修正・検討を加えたものを次回の部会までに準備いたしたいと思います。各委員におかれましても、本日の審議についてその後お気づきの点やご意見等がございましたら、事務局に遠慮なくお寄せいただければと思います。

それでは、本日の部会はこれで終了させていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。散会いたします。

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