平成15年8月8日
金融庁

企業会計審議会第27回第一部会議事録について

企業会計審議会第27回第一部会(平成15年4月18日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(連絡・問い合わせ先)

企業会計審議会 事務局
(金融庁総務企画局内)
金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室


企業会計審議会第27回第一部会議事録

日時:平成15年4月18日(金)午後3時00分~午後4時45分

場所:中央合同庁舎第4号館11階共用第一特別会議室

○斎藤部会長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから第27回の第一部会を開催いたします。

委員の皆様には、お忙しいところをお集まり頂きまして、まことにありがとうございます。

それでは、本日の審議に入ります。

前回の部会では、公開草案の案について皆様にご審議をお願いして、様々な論点についてご議論を頂きましたが、概ね議論も集約されて参りましたので、前回申し上げましたとおり、当部会としては本日の部会では公開草案としての内容をご審議頂くことといたしたいと思います。

本日は、前回のご指摘を踏まえてワーキンググループにて修正を加えました公開草案の案を用意いたしておりますのでご検討頂きたいと思います。

なお、公開草案の案とはいえ、申し訳ありませんけれども、お配りいたしました資料は審議終了後に回収したいと思います。この点、お含み置き頂きたいと思います。

また、審議時間は一応1時間半を予定しておりますけれども、議論もかなり集約されておりますので、時間がもし余れば早目に終了させて頂くこともあるということにしたいと思います。

それでは、本日お配りしております資料の内容につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○辻前企業会計専門官

それでは、お手元の資料をご確認頂きたいと思いますが、資料1、2、3、4とございまして、資料1は前文の見え消し、前回以降の修正を見え消しで入れたものでございまして、資料2は基準本体の方の見え消し版になります。縦長の資料3は前文の見え消しの修正をすべて反映した版になりまして、資料4の方は基準本体の修正をすべて反映させた版ということになります。

本日は資料3と資料4に沿いまして、基本的に読み上げながら、適宜必要なところでは説明を加えるということで進めさせて頂きたいと思います。

それでは、資料3をお願いいたします。

資料3は、まず企業結合に係る会計基準の設定に関する意見書(公開草案)(案)となっておりまして、一が経緯でございます。

1.証券取引法に基づくディスクロージャー制度については、連結経営の定着といった企業行動の変化や取引の複雑化・高度化といった近年の経済実態の変化に対応するために、既存の会計基準を改訂する必要がある、又は新しい会計基準を制定する必要があるとの認識が高まってきている。また、我が国企業の資金調達活動の国際化が進展し、海外からの投資がより一般化するにつれ、我が国の会計基準を国際的水準に調和させる必要性も広く認識されるようになってきている。

当審議会は、このような状況を考慮し、「連結財務諸表原則」の改訂を初めとする会計基準の整備を精力的に進めてきており、平成12年5月の総会において、新たに企業結合会計が審議事項に取り上げられ、第一部会において審議することが決定された。

2.企業結合会計の審議は、平成12年9月から開始され、近年の商法改正、諸外国の会計処理基準の現状及び動向、我が国の会計実務、財務諸表利用者のニーズ等を考慮しつつ精力的に進められてきた。そこでの審議は、何よりも我が国の実態に適合し、かつ、その考え方が国際的に理解される企業結合会計の基準を設定する必要があるという基本認識に立つものであった。当審議会は、このような審議を踏まえ、企業結合に係る会計基準について検討すべき論点を取りまとめ、平成13年7月に「企業結合に係る会計処理基準に関する論点整理」を公表した。その後、この論点整理に対して寄せられた意見を参考にし、また、国際的調和を重視する観点から、海外で行われていた企業結合会計の見直しに係る議論を適宜検討の対象に加えながらも、我が国の企業結合会計のあるべき姿についてさらに審議を進め、このたび「企業結合に係る会計基準の設定に関する意見書(公開草案)」を取りまとめたので、これを公表し、広く各界の意見を求めることとした。

二 会計基準整備の必要性

近年、我が国では、企業が外部環境の構造的な変化に対応するため企業結合を活発に行うようになってきており、企業組織再編成を支援するための法制の整備も進められている。しかし、会計基準の整備はやや立ち遅れており、現状では、「連結財務諸表原則」を除くと企業結合に適用すべき会計処理基準が明確ではなく、商法の規定の範囲内で幅広い会計処理が可能になっている。

一方、国際会計基準等の海外の基準では、企業結合全般に適用される会計基準が整備されており、企業結合の経済的実態に応じてパーチェス法(被結合企業から受入れる資産・負債の取得原価を、対価として交付する現金及び株式等の公正価値とする方法)――ここの所は前回以降、パーチェス法がどのようなものか簡単な説明を括弧書きで加えております――と持分プーリング法(すべての結合当事企業の資産、負債及び資本をそれぞれの適切な帳簿価額で引継ぐ方法)――こちらの方も説明を加えさせて頂きました――のいずれかが使い分けられてきた。また、最近の海外の基準には、持分プーリング法を廃止する傾向が認められる。ただし、いずれの方法であっても例えば消滅会社から引継いだ資産を時価以下の範囲で任意に評価替えするような余地はなく、我が国の現行の会計実務とは大きく隔たっている。

このような状況を踏まえ、企業結合の経済的実態を正しく認識できる会計処理方法を確立するという観点から、首尾一貫した会計基準を整備する必要がある。企業結合による事業再編の重要性が高まっている折、適切な投資情報のディスクロージャーという観点からも会計基準の整備が必要である。

三 会計基準の要点と基本的な考え方

1.会計基準の基本的考え方

企業結合とは、ある企業(会社及び会社に準ずる事業体をいう。以下同じ)と他の企業又は企業を構成する事業とが一つの報告単位に統合されることをいい、一般的には「連結財務諸表原則」にいう他の会社の支配の獲得も含む。本基準は企業結合に該当する取引を対象とするため、ジョイント・ベンチャーとよばれる企業体を形成する取引及び共通支配下の取引も本基準の適用対象となる。ただし、少数株主との取引等「連結財務諸表原則」に会計処理に関する定めがあるものについては、本基準の対象取引から除くこととした。

本基準では、企業結合には「取得」と「持分の結合」という異なる経済的実態を有するものが存在する以上、それぞれの実態に対応する適切な会計処理方法を適用する必要があるとの考え方に立っている。すなわち、「取得」に対しては、ある企業が他の企業の支配を獲得することとなるという経済的実態を重視し、パーチェス法により会計処理することとした。これは、企業結合の多くは、実質的にはいずれかの結合当事企業による新規の投資と同じであり、交付する現金及び株式等の投資額を取得価額として他の結合当事企業から受入れる純資産を評価することが現行の一般的な会計処理と整合するからである。他方、企業結合の中には、いずれの結合当事企業も他の結合当事企業に対する支配を獲得したとは合理的に判断できないものがあり、このような「持分の結合」に対しては持分プーリング法により会計処理することとした。この考え方は、いずれの結合当事企業の持分も継続が断たれておらず、いずれの結合当事企業も支配を獲得していないと判断される限り、企業結合によって投資のリスクが変質しても、その変質によっては個々の投資のリターンは実現していないとみるものであり、現在、ある種の非貨幣財同士の交換を会計処理する際にも適用されている実現概念に通じる基本的な考え方でもある。

また、本基準では、ジョイント・ベンチャーとは、複数の独立した企業により共同支配される企業をいい、いずれの企業も単独ではジョイント・ベンチャーの支配を獲得しないことから、ジョイント・ベンチャーの形成は持分の結合として扱うこととした。ジョイント・ベンチャーは我が国においては合弁会社とよばれる場合もあり、その形成は、共同新設分割による新会社の設立、同一事業を専業とする子会社同士の合併など様々な形式がとられる。

なお、結合当事企業が結合後企業に拠出するという想定が根拠とされることも多いフレッシュ・スタート法(すべての結合当事企業の資産・負債を結合時の公正価値に評価替えする方法)――ここも説明を加えさせて頂いております――についても、諸外国の動向等を踏まえて慎重に検討したが、フレッシュ・スタート法の採用に合理性が認められるためには、新設合併のようにすべての結合当事企業がいったん解散し、すべての株主持分が清算された上で、新たに設立された企業へ拠出するという経済的実態が必要であると考えられる。また、諸外国における企業結合の会計処理をめぐる議論において選択肢の一つとして言及されてはいるものの、その方法を適用することが適切と考えられる事象やその根拠等が必ずしも明確ではない現況等を勘案し、企業結合の会計処理方法としてフレッシュ・スタート法を現時点においては採用しないこととした。しかしながら、フレッシュ・スタート法が諸外国において企業結合の会計処理方法として採用された際等には、フレッシュ・スタート法の要否を検討する必要性が生ずる可能性がある。

2.取得と持分の結合の考え方

(1) 持分の継続

従来から、企業結合には「取得」と「持分の結合」があり、それぞれ異なる経済的実態を有するといわれてきた。企業結合が取得と判断されれば、取得企業の資産・負債はその帳簿価額で結合後もそのまま引継がれるのに対して、被取得企業の資産・負債は公正価値に評価替えされる。他方、企業結合が持分の結合と判断されるのであれば、すべての結合当事企業の資産・負債はその帳簿価額で結合後もそのまま引継がれる。このような相違が生ずるのは、持分の継続が断たれた側では、投資家はそこでいったん投資を清算し、改めて当該資産・負債に対して投資を行ったと考えられるのに対して、持分が継続している側では、これまでの投資がそのまま継続していると考えられるからに他ならない。取得の場合には、取得企業の持分は継続しているが、被取得企業の持分はその継続を断たれたとみなされている。他方、持分の結合の場合には、すべての結合当事企業の持分は継続しているとみなされている。このように、持分の継続・非継続により取得と持分の結合は識別され、それぞれに対して異なる会計処理が使い分けられてきた。

これを企業の損益計算の観点からいえば、次のようになる。持分の継続が断たれてしまえば、そこで投資家はいったん投資を清算し、改めて当該資産・負債に対して投資を行い、それを取得企業に現物で出資したと考えられる。したがって、再投資額が結合後企業にとっての新たな投資原価となるが、それは企業結合時点での資産・負債の公正価値に他ならない。そのような投資原価を超えて回収できれば、その超過額が企業にとっての利益である。これに対して、持分が継続しているならば、そこでは投資の清算と再投資は行われていないのであるから、結合後企業にとっては結合前の帳簿価額がそのまま投資原価となる。この投資原価を超えて回収できれば、その超過額が企業にとっての利益である。このように、持分の継続・非継続は、企業にとっては投資原価の回収計算の違いを意味している。

取得と持分の結合は、このように異なる経済的実態を有していると考えられるので、それぞれを映し出すのに適した会計処理を使い分けることが必要となる。持分の継続が断たれていると判断されるならば、対応する資産・負債を公正価値で引継ぐパーチェス法が、持分が継続していると判断されるならば、資産・負債を帳簿価額で引継ぐ持分プーリング法が、企業にとっての投資原価の回収計算すなわち損益計算の観点から優れている。持分の結合と判断される企業結合が存在する限り、それに適した会計処理方法を定めておくことは必要であると考えた。

もちろん、持分の継続・非継続それ自体は、相対的な概念であり、具体的に明確な事実として観察することが困難な場合が多い。そこで、持分の継続を「対価の種類」と「支配」という操作可能な二つの観点から判断することとした。具体的には、マル1企業結合に際して支払われた対価の種類が議決権付普通株式であること、マル2結合後企業に対して各結合当事企業の株主が総体として有することになった議決権比率が等しいこと、マル3議決権比率が等しくないこと以外にも支配関係を示す一定の事実が存在しないこと、という三つの要件をすべて充たせば持分は継続していると判断し、そのような企業結合に対しては持分プーリング法を適用することとした。もし、いずれか一つでも要件を充たさなければ、持分の継続は断たれたと判断し、パーチェス法を適用することとした。すなわち、持分の継続という概念を柱にして持分の結合を識別し、それ以外はすべて取得と判断することとした。これは取得企業を識別できない場合を持分の結合と判定する方法とは異なり、異なる経済的実態を有する取得と持分の結合のうち、持分の結合を積極的に識別し、それ以外の企業結合を取得と判定するアプローチである。

なお、マル1からマル3までの要件は、並列関係にあるのではなく、前者は後者の判定へ進むための必要条件である点には注意を要する。このような判定手順は、諸外国において持分プーリング法の濫用といわれてきたような、経済的実態が持分の結合ではない企業結合に持分プーリング法が任意で適用される事態を防止するためにも必要である。

(2) 持分の継続と対価の種類

企業結合に際して支払う対価の種類としては種々考えられるが、現金等の資産(負債の引受を含む。)を対価とするものと、結合企業の株式を対価とするものとに大別できる。現金等の財産を対価として被結合企業の株式を取得した場合には、被結合企業の株主の持分が継続していないことは明白である。したがって、株式を対価とするもの以外は、すべて取得と考え、パーチェス法を適用することとした。

また、交付株式を償還する取決めがある場合など、形式的には株式を対価としていても、実質的に現金の代わりに株式を使用していることも考えられる。しかし、それは、経済的実態として現金等の財産を対価とした企業結合と同じと考えられるので、そのことを識別しなければならない。そこで、そのための識別規準を対価の種類の判定の中に設けた。

(3) 持分の継続と支配

持分の継続と支配の関係については、支配をより重視する最近の国際的な動向にも配慮し、企業結合に伴って支配・被支配の関係が生じたときは、支配される側の持分はそこで継続を断たれると考えることとした。

支配・被支配関係の判定は、「議決権比率が等しいこと」及び「議決権比率以外にも支配・被支配関係を示す一定の事実が存在しないこと」という二つの要件を充たしているか否かで行うが、この二つは並列的な関係にあるのではない。議決権比率が等しいという要件は、持分が継続しているためのいわば必要条件であり、この要件を充たして初めて、議決権比率以外の要件の判定を行うことになる。過半数の議決権を取得すれば、結合後企業の最高意思決定機関である株主総会を支配することができ、本基準において議決権比率以外の要件の判定規準として掲げられている事項を左右する権限を有しているのであるから、議決権比率を用いた支配の判定は、支配・被支配を判定するいわば最大の実質規準である。したがって、議決権比率が等しくなければ、その段階で取得として判定されることになる。

議決権比率による判定

まず、議決権比率が等しいという要件であるが、厳密に言えば、これは結合当事企業が2社であれば、結合後企業に対して各結合当事企業の株主が総体として有することになった議決権比率が50対50であることを意味する。したがって、議決権比率が50対50でなければ、理論上は支配・被支配の関係が成立することになるが、実務的な配慮から、上下概ね5パーセントポイントの幅をもたせることとした――前回もここの箇所は議論になりまして、色々ご議論頂いたところでございますが、その後、ワーキンググループでもご検討頂きまして、5パーセントポイントというのが妥当ではないかということで、この案の方ではこのようにさせて頂きました。それから、前回の部会でも数字の前に「概ね」というのを入れた方がよいのではないかというご意見を複数頂きまして、こちらの方もワーキンググループでも検討して頂きましたが、厳密に数字を割り切ってしまうと実務では実際の発行株式の数が直前になってずれるというような場合は珍しくないであろうと、そのようなこ意見も頂きまして、「概ね」という形で数字の前に修飾を置かせて頂いたということでございます。これについては後ほどまたご審議を頂きたいというように考えております。

続けさせて頂きます。

議決権比率の小さい側が事実上の取得会社として法的にも存続する可能性はあり、50パーセント基準を機械的に適用すると、それを後述の逆取得として処理せざるを得なくなる。そうした実務上の不都合を減らすには、議決権の数値基準に多少の幅を持たせて議決権比率以外の要件の判断を加味する方が合理的とみられるからである。

結合当事企業が3社以上の場合、持分の継続についてはいくつかの考え方ができる。まず、1社が他の2社以上を支配する場合に、他の2社以上の持分の継続が断たれたと考えることも一つであろう。しかし、この考え方は、1社の株主が結合後企業に対して過半数の議決権比率を有している場合にのみ、支配・被支配関係が成立することを意味する。しかし、他の2社以上を一つのまとまりとして捉えて持分の継続を判定することになり、ここでいう企業結合が独立した第三者間の取引であることを考慮するならば、そのような捉え方には難があるといわざるを得ない。さらに、結合当事企業が2社の場合の要件を実質的に緩和する裁量を残すことになる。すなわち、2社であれば取得と判定される企業結合であっても、1社を加えて3社の企業結合とすることで持分の継続と判定することを可能にすることができる。これらの理由から、本基準ではこの考え方は採らないこととした。

次に、各結合当事企業の株主の議決権比率を個別に検討して、その継続性を判定することも一つの考え方であろう。例えばA、B、C社の株主の結合企業に対する議決権比率が40対40対20であるとする。A、B、C社は独立企業であること、持分の継続は相対的な概念であることを考慮するならば、A社とB社、A社とC社、B社とC社という形でそれぞれの持分の継続性を判定することになる。この例では、A社とB社の株主の持分は継続しており、C社の株主の持分は継続を断たれたと判定される。したがって、A社とB社の結合は持分プーリング法で処理され、C社についてはパーチェス法で処理されることになる。

しかし、この考え方は、次のような別の問題を惹起する可能性がある。すなわち、企業結合の組み合わせをどう考えるかにより、会計処理の結果に差が生じてくることである。上記の会計処理は、まずA社とB社が結合し、その後、AB社がC社を結合したという仮定が必要である。しかし、この仮定は、上記の企業結合から論理的に導かれるものではない。これ以外の仮定も可能である。例えば、まずB社とC社が結合し、次にBC社がA社を結合したと仮定すれば、B社とC社の企業結合は取得であり、BC社とA社の結合も取得と判定される。このように各結合当事企業の株主の議決権比率を個別に検討して、その継続性を判定することになると、そこに裁量が働く余地が残ることになる。したがって、本基準では裁量の余地をできるだけ縮小することを第一に考え、この考え方も採らないこととした。

本基準では、結合当事企業が3社以上の場合、議決権比率が等しいか否かの判定は議決権比率が最上位の企業の議決権比率を基準とし、他の各企業との議決権比率を結合当事企業が2社の場合の比率にそれぞれ還元した上で判定することとした。そして、最上位の企業と議決権比率が等しいと判定された企業が1社でも存在すれば、議決権比率が等しいと判定されなかった結合当事企業も含め、当該企業結合は議決権比率が等しいという要件を充たすことになると考えて、議決権比率が等しいと判定された企業について、議決権比率以外の要件の判定に進むこととした。――ここの最後の箇所は、前回の部会でも少しわかりにくいということでご指摘を頂きまして今のような形に修文をいたしました。

続けさせて頂きます。

もちろん、この考え方にも問題は残る。それは、議決権比率が等しいと判定されなかった企業の持分の継続性の判定が、議決権比率が等しいと判定された企業についての最終的な判定に結果として依存することである。確かに、このような問題は残るが、裁量の余地をできるだけ縮小することを第一に考えて、議決権比率が最上位の企業を基準とする判定方法を採ることとした。

議決権比率が等しいと判定されれば、いずれの株主も支配を獲得したとはいえないので、どの持分も継続していると考えられ、次の議決権比率以外の要件の判定に進むことになる。議決権比率が等しいと判定されなければ、議決権比率の大きい側の株主が支配を獲得し、議決権比率の小さい側の株主の持分は継続を断たれたことになるので、この企業結合は取得であり、議決権比率の大きい側の企業が取得企業と判定され、パーチェス法が適用される。

議決権比率以外の要件による判定

次に、議決権比率以外の要件の判定では、結合後企業の意思決定機関を通じて、又は財務上若しくは営業上の重要な契約等を通じて、結合後企業を支配しているか否かを判定する。ただし、既に議決権比率が等しいという数値基準を充たしているのであるから、結合後企業の株主総会の支配関係について改めて株主を個別に分析してその支配関係を判定することは行わないこととした。また、結合日後2年以内に一方の結合当事企業の大部分の事業を処分する計画がある場合にも、支配関係が存在すると考えた。すなわち、事業を処分する計画がある結合当事企業は支配されると考え、持分の継続はそこで断たれると考えた。また、株主の交換比率が時価に基づいて算定した交換比率と一定以上乖離している場合には、多額のプレミアムが発生していると考えられるので、このような場合も持分の結合には当たらないと考えた。

結合当事企業の一方が支配を獲得していないと判定されれば、この企業結合は持分の結合であり、持分プーリング法が適用される。他方、結合当事企業の一方が支配を獲得していると判定されれば、この企業結合は取得であり、支配を獲得していると判定された企業が取得企業と判定され、パーチェス法が適用される。

(4) ジョイント・ベンチャーの形成

ジョイント・ベンチャーの形成を本基準の対象としないことも考慮したが、その場合、ジョイント・ベンチャーか否かという会社形態の違いにより本基準の対象範囲を区別することになり、そこに裁量の余地が働くことになる。そこで、ジョイント・ベンチャーの形成も企業結合の定義に含め、それ以外の企業結合と一貫した考え方を適用することとした。

ただし、ジョイント・ベンチャーの形成か否かの判定については、通常、共同支配であることが契約等から明らかであるので、そのような結合については議決権比率による判定は行わずに議決権比率以外の要件による判定を行うこととした。したがって、その実態として結合当事企業の一方が支配を獲得していると判定されれば、本基準にいうジョイント・ベンチャーには該当しないため、この企業結合は取得であり、支配を獲得していると判定された企業を取得企業としてパーチェス法が適用される。

3.取得の会計処理

(1) 取得企業の決定方法

取得企業の決定は、取得と持分の結合とを識別する規準と整合した形で行うこととした。すなわち識別規準のマル1からマル3までは、それぞれが前者が後者の判定に進むための必要条件となっていたから、まずマル1対価の種類で取得と判定された場合には、対価を支出した企業を取得企業とする。次のマル2議決権比率の判定で取得と判定された場合には、議決権比率が大きいと判定された結合当事企業を取得企業とする。最後のマル3議決権比率以外の要件の判定で取得と判定された場合には、支配を獲得した結合当事企業を取得企業とする。

なお、企業結合が議決権付普通株式の交付により行われる場合は、通常、議決権付普通株式を交付する企業が取得企業である。しかし、吸収合併の場合、法律上存続する会社(存続会社)が議決権付普通株式を交付するものの、法律上消滅する会社(消滅会社)の株主が合併後、存続会社の議決権総数の過半数を保持又は受取る結果、企業結合会計上、消滅会社が取得企業に該当し、存続会社が被取得企業に該当する場合がある。このような事象は、議決権付普通株式を交付した会社と企業結合会計上の取得企業が一致しないという意味で「逆取得」とよばれるが、本基準では存続会社の議決権総数の過半数を保持又は受取ることとなった株主が所有していた消滅会社が、通常、企業結合会計上、取得企業に該当することになる。

他方、現行商法では、存続会社のすべての資産・負債を時価評価することは認められないと解釈されていることから、上記の逆取得の場合に、個別財務諸表上、パーチェス法を適用し存続会社のすべての資産・負債を時価評価することを強制することは商法の規定に抵触する虞がある。したがって、逆取得の場合には、連結財務諸表上は消滅会社を取得企業としてパーチェス法を適用することとするが、個別財務諸表上は持分プーリング法に準じた処理方法により会計処理することとした。

また、株式交換において、完全子会社が取得企業となる場合も逆取得に該当する。このような場合には、完全親会社の連結財務諸表では、完全子会社を取得企業としてパーチェス法を適用することになる。株式移転による共同持株会社の設立の形式をとる企業結合にパーチェス法を適用する場合には、完全子会社の一つを取得企業とすることになる。

なお、結合当事企業が3社以上である企業結合においては、議決権比率が最上位の結合当事企業と議決権比率が等しいと判定されたすべての結合当事企業について判定手続を実施し、取得企業を決定することとした。

(2) 取得原価の算定

基本原則

取得と判定された企業結合における取得原価の算定は、一般的な交換取引において資産の取得原価を算定する際に適用されている一般的な考え方によることが整合的である。一般的な交換取引においては、その交換のために支払った対価となる財の時価は、通常、取得した資産の時価と等価であると考えられており、取得原価は対価の形態にかかわらず、支払対価となる財の時価で算定される。すなわち、交換のための支払対価が現金の場合には現金支出額で測定されるが、支払対価が現金以外の資産の引渡し、負債の引受、又は株式の交付の場合には支払対価となる財の時価と取得した資産の時価のうち、より高い信頼性を持って測定可能な時価で測定されるのが一般的である。したがって、公開企業が自己の株式を交付して非公開企業の純資産を取得した場合には、通常、その公開企業株式の時価の方が非公開企業の純資産の時価よりも高い信頼性をもって測定できることから、取得原価は公開企業株式の時価を基礎にして算定されることになる。

取得が複数の取引により達成された場合の算定方法

取得が、単一の取引でなく複数の取引により達成される場合、原則として、取得企業は被取得企業に対する支配を獲得するに至った個々の取引ごとに取得の対価となる財の時価を算定し、それらを合算したものを取得原価とすることとした。これは、個々の交換取引はあくまでその時点での等価交換取引であり、取得が複数の交換取引により達成された場合は、取得原価は個々の交換取引ごとに算定した原価の合計額とすることが経済的実態を適切に反映するとの考え方によるものである。

株式の交換の場合の算定方法

株主の交換による取得の場合において、市場価格のある取得企業等の株式が取得の対価として交付されるときは、いつの時点の株価をもって取得原価を算定すべきか、すなわち主要な交換条件が合意されて公表された時点での株価と、実際の株式交付時点での株価のいずれで測定すべきかという論点がある。この論点に関しては、結合当事企業は、お互いの本来の事業価値等を適切に反映した結果として、結合の主要条件、とりわけ交換比率の合意に至っているのが通常であり、また、そのような合意内容が公表された後の株価変動には被取得企業の本来の事業価値と必ずしも関係しない影響が混在している可能性もあると考えられることから、原則として、結合の主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定することとした。ただし、株式交付日の株価が当該主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価と大きく異ならない場合には、株式交付日の株価を基礎に算定することも認められることとした。

株式の交換の場合、基本的には取得原価の算定値として交換比率算定上の評価額は利用できない。これは交換比率算定上の評価額は、通常、お互いが共通の前提のもとであくまで適切な交換比率を算定するために事業価値を算定したものであり、取得することとなる純資産の時価や取得の対価となる財の時価として算定したものではないからである。なお、非公開企業同士の株式交換比率の決定に当たって、企業結合会計上の測定値として妥当と認められる時価純資産額が算定されている場合には、その時価純資産額を基礎にして取得することとなる純資産の時価を算定できる。

取得に要した支出額の会計処理

取得と判定された企業結合に要した支出額のうち、取得の対価性が認められる外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等は取得原価に含め、それ以外の支出額は発生時の事業年度の費用として処理することとした。これは取得はあくまで等価交換取引であるとの考え方を重視し、取得企業が等価交換の判断要素として考慮した支出額に限って取得原価に含めることとしたためである。

条件付取得対価の会計処理

結合契約のなかには、結合契約を締結した後の将来の特定の事象又は取引の結果に依存して追加的に株式が交付されたり現金又は他の資産が引渡されたりする条項が含まれているものがある。このように、結合契約において定められる結合契約締結後の将来の特定の事象又は取引の結果に依存して追加的に交付又は引渡される財は、条件付取得対価とよばれる。

被取得企業が結合契約締結後の特定年度において特定の利益水準を維持又は達成したときに、取得企業が株式を追加で交付する条項があるなど、条件付取得対価が結合契約締結後の将来の業績に依存する場合には、条件付取得対価の交付又は引渡しが確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、支払対価を取得原価として追加的に認識するとともに、のれん又は負ののれんを追加的に認識することとした。追加的に認識するのれん又は負ののれんは結合日時点で認識されて、その後償却又は減損処理されていたならば、追加認識された事業年度で認識されていたであろう金額で計上されることになる。

他方、取得企業が交付した特定の株式又は社債の市場価格が特定の日又は期間における特定の価格を下回っているときに、当初合意した価額を維持するために株式又は社債を追加で交付する条項があるなど条件付取得対価が特定の株式又は社債の市場価格に依存する場合がある。このように当初合意された価額が維持される場合には、条件付取得対価の交付により取得原価を追加的に認識するのは適切ではないため、その交付又は引渡しが確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、追加で交付可能となった条件付取得対価をその時点の時価に基づき認識するとともに、結合日に交付している株式又は社債をその時点の時価に修正することとした。また、当該修正により生じた時価が社債金額より高い場合のその差額(プレミアム)の減少額、又は時価が社債金額より低い場合のその差額(ディスカウント)の増加額を将来にわたって規則的に償却することとした。――ここの箇所は前回の部会でご指摘頂きましたので、わかりやすくなるように数カ所修正を加えております。

続けさせて頂きます。

(3) 取得原価の配分方法

基本原則

取得企業は、被取得企業から取得した資産及び引受けた負債の時価を基礎として、それらに対して取得原価を配分することとなる。これは、取得と判定された企業結合に特有な処理ではなく、企業結合以外の交換取引により複数の資産及び負債を一括して引受けた場合に一般的に適用されているものである。すなわち、交換取引により複数の資産及び負債を一括して引受けた場合には、まず、支払対価総額を算定し、次にその支払対価総額を、一括して引受けた個々の資産及び負債の時価を基礎として、それらの個々の資産及び負債に対して配分するのと同様である。その際の取得と判定された企業結合の場合の特徴の一つとして、取得原価としての支払対価総額と、被取得企業から取得した資産及び引受けた負債に配分された純額との差額が生ずる場合があり、その差額はのれん(又は負ののれん)とよばれる。

識別可能資産及び負債の範囲

被取得企業から取得した資産及び引受けた負債のうち結合日時点において識別可能なものは識別可能資産及び負債とよばれる。この識別可能資産及び負債の範囲については、被取得企業の結合日前の貸借対照表において計上されていたかどうかにかかわらず、企業がそれらに対して対価を支払って取得した場合、原則として、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準の下で認識されるものに限定することとした。例えば、我が国においては、法律上の権利又は分離して譲渡可能な無形資産に対して対価を支払って取得した場合、通常、それらは適当な科目を付されて無形固定資産に計上されることになると考えられる。したがって、取得した資産に法律上の権利又は分離して譲渡可能な無形資産が含まれる場合には、取得原価を当該無形資産等に配分することができるものとした。また、取得後短期間で発生することが予測される費用又は損失であって、その発生の可能性が取得の対価の算定に反映されている場合には、むしろ、その費用又は損失を負債として認識した方がその後の投資原価の回収計算を適切に行いうると考えた。

識別可能資産及び負債の時価の算定方法

識別可能資産及び負債の時価は、通常の資産を取得した際に適用される一般原則との整合性を考慮して、結合日時点での時価を基礎にして算定することとした。本基準では、時価は、強制売買取引や清算取引ではなく、いわゆる独立第三者間取引に基づく公正な評価額であり、通常、それは観察可能な市場価格であるが、市場価格が観察できない場合には合理的に算定された価額であると考えた。したがって、対象資産及び負債に関して観察可能な市場価格がある場合には、その市場価格が通常最も客観的な評価額であり、結合日時点の時価となると考えられる。そのような典型例としては、市場性のある有価証券が考えられる。他方、対象資産及び負債に関して観察可能な市場価格がない場合の方が現実には圧倒的には多く、そのような場合にも、その時価を何らかの方法により見積る必要があるが、これは取得に判定された企業結合の場合に特有なものではなく、通常の交換取引において取得した場合と同様である。このような観察可能な市場価格がない資産及び負債の時価を見積る際には、独立第三者間取引に基づく公正な評価額を算定する目的との整合性を確保するため、原則として、市場参加者が利用するであろう情報や前提等が入手不可能である限り、それらに基礎を置くこととし、そのような情報等が入手できない場合には見積りを行う企業が利用可能な独自の情報や前提等に基礎を置くこととして、そのような合理的な基礎に基づき見積られた価額は合理的に算定された時価であると考えることとした。その典型例としては、大規模工場用地や近郊が開発されていない郊外地に代表される固定資産が考えられる。特に、時価が一義的には定まりにくい土地等が識別可能資産に含まれている場合において、負ののれんが多額に生ずるときにはその金額を当該土地等に合理的に配分した評価額も、ここでいう合理的に算定された時価であると考えられる。――ここの最後の文章につきましては、ワーキンググループで検討して頂きまして、資産の評価とそれから負ののれんの関係についてもう少しわかりやすい説明を追加した方がよい、そのような結論になりましたので、この下3行を追加させて頂いたということでございます。

続けさせて頂きます。

暫定的に決定した会計処理の確定手続

識別可能資産及び負債を特定し、それらに対して取得原価を配分する作業は結合日以後の中間決算又は年度決算前に完了すべきであるが、それが困難な状況も考えられる。そのため、結合条件の交渉過程において、通常、ある程度の調査を行っている場合が多く、また1年を超えた後に結合日時点での状況に基づいて結合日時点での識別可能資産及び負債を特定し、しかもそれらの結合日時点での時価を見積ることが非常に困難であることなど実務面での制約等を考慮し、配分は結合日以後1年以内に完了するものとし、完了前の決算においては暫定的に決定した会計処理を行うこととした。したがって、例えば中間決算又は年度決算の直前において企業結合が完了した場合は、配分作業が完了した時点で初めて会計処理を行うのではなく、その中間決算又は年度決算の時点で入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行った上で、その後追加的に入手した情報等に基づき配分を確定させることになる。

(4) のれんの会計処理

のれんの会計処理方法としては、その効果の及ぶ期間にわたり「規則的な償却を行う」方法と、「規則的な償却をせず、のれんの価値消滅時に減損処理をする」方法が考えられる。「規則的な償却を行う」方法によれば、企業結合の成果たる収益と、その対価の一部を構成する投資消去差額(連結財務諸表の場合は連結調整勘定)の償却という費用の対応が可能になる。また、のれんは投資原価の一部であることに鑑みれば、のれんを規則的に償却する方法は、投資原価を超えて回収された超過額を企業にとっての利益とみる考え方とも首尾一貫している。さらに、取得したのれんは時間の経過とともに自己創設のれんに入れ替わる可能性があるので、取得したのれんの非償却による自己創設のれんの実質的な資産計上を防ぐことができる。のれんの効果の及ぶ期間及びその減価のパターンは合理的に予測可能なものではないという点に関しては、価値が減価した部分の金額を継続的に把握することは困難であり、かつ煩雑であると考えられるので、ある事業年度において減価が全く認識されない可能性がある方法よりも、一定の期間にわたる規則的な償却は合理的であると考えられる。また、のれんのうち価値の減価しない部分の存在も考えられるが、その部分だけを合理的に分離することは困難であり、分離不能な部分を含め「規則的な償却を行う」方法に一定の合理性があると考えた。

一方、「規則的な償却をせず、のれんの価値消滅時に減損処理をする」方法は、のれんが超過収益力を表すとみると、競争の進展において通常はその価値が減価するにもかかわらず、競争の進展に伴うのれんの価値の減価の過程を無視することになる。また、超過収益力が維持されている場合においても、それは結合後の追加的な投資や企業の追加的努力によって補完されているにもかかわらず、のれんを償却しないことは、上述のとおり追加投資による自己創設のれんを計上することと実質的に等しくなるという問題点がある。実務的な問題としては、減損処理を実施するためには厳格で適用可能なのれん価値の評価方法の確立が不可欠であるが、その実行可能性には問題点が残る。

本基準ではこれら「規則的な償却をせず、のれんの価値消滅時に減損処理する」方法に対する「規則的な償却を行う」方法の合理性、及び子会社化して連結する場合と、資産・負債を直接受入れ、当該会社を消滅させた場合の経済的な同一性に着目し、正の値であるのれんと投資消去差額の会計処理との整合性を図る観点から、規則的な償却を採用した。また、その償却期間についても、現行の「連結財務諸表原則」の考え方を踏襲し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって償却することとした。なお、のれんは「固定資産の減損に係る会計基準」の適用対象資産となることから、規則的な償却を行う場合においても「固定資産の減損に係る会計基準」に従った減損処理が行われることになる。

一方、「規則的な償却を行う」方法と、「規則的な償却をせず、のれんの価値消滅時に減損処理をする」方法との選択適用については、利益操作の手段として用いられる可能性もあることから、認めないこととした。

のれんを規則償却とした場合、例えば、株式の交換による企業結合のプロセスにおいて買収対価(発行株式金額)の過大評価や過払いが生じている可能性がある場合に、のれん等が過大に計上される状況が考えられる。このように取得原価のうちのれんやのれん以外の無形資産に配分された金額が相対的に多額になるときには、結合年度(結合日の属する事業年度をいう。以下同じ)においても「固定資産の減損に係る会計基準」の適用上、減損の兆候が存在すると判定される場合もある。被取得企業の時価総額を超えて多額のプレミアムが支払われた場合や取得時に明らかに識別可能なオークション又は入札プロセスが存在していた場合も同様に取扱われることがある。

(5) 負ののれんの会計処理

負ののれんの会計処理方法としては、想定される負ののれんの発生原因を特定し、その発生原因に対応した会計処理を行う方法や、正の値であるのれんの会計処理方法との対称性を重視し、規則的な償却を行う方法が考えられる。

想定される発生原因に対応した会計処理を行う方法には、企業結合によって取得した非流動資産に負ののれんを比例的に配分し、残額が生じれば繰延利益又は発生時の利益として計上する方法、若しくは、全額識別不能な債務やバーゲン・パーチェスとみなし、発生時に利益計上する方法等が含まれる。

非流動資産を比例的に配分する方法のもととなる考え方には、負ののれんの発生は、パーチェス法の適用時における識別可能資産の取得原価を決定する上での不備によるものとみなし、この過程で測定を誤る可能性の高い資産から比例的に控除することが妥当であるとみるものがある。一方、発生時に利益計上する方法は、識別可能資産の時価の算定が適切に行われていることを前提にした上で、負ののれんの発生原因を識別不能な債務やバーゲン・パーチェスであると位置付け、現実には異常かつ発生の可能性が低いことから、異常利益としての処理が妥当であると考えるものである。また、異常利益として処理させる(経常的な利益とはならない)ことは、時価の算定を適切に行うインセンティブになるという効果があるともいわれている。

これらはいずれも、負ののれんのすべてをある特定の原因に発生するものとみなし、その原因に対応した会計処理を行うものであるが、「(3)取得原価の配分方法」の「識別可能資産及び負債の時価の算定方法」にいう土地等の場合を除き、想定された発生原因に合理性を見出すことが困難な場合が多い。したがって、本基準においては、取得後短期間で発生することが予測される費用又は損失について、その発生の可能性が取得の対価の算定に反映されている場合には、発生原因が明らかなことから取得原価の配分の過程で負債として認識されるものと考え、残額については、承継した資産の取得原価総額を調整する要素とみて、正の値であるのれんと対称的に、規則的な償却を行うこととした。

(6) 個別財務諸表上の会計処理

本基準では、連結財務諸表上も個別財務諸表上も同様にパーチェス法を適用するものとしている。しかしながら、株式交換の場合、完全親会社の個別財務諸表における完全子会社株式の取得原価については複数の考え方がありうる。また、消滅会社が取得企業となる場合のように、商法の規定との関係から複数の処理方法が考えられる状況が存在する。そのため、特に以下について個別財務諸表上の取扱いを明らかにした。

株式交換による企業結合にパーチェス法を適用する場合、完全親会社の連結財務諸表と個別財務諸表とで支出した対価の算定は異ならないものと考えることとし、本基準に従って算定される取得原価で被取得企業株式(完全子会社株式)を計上することとした。また、完全子会社が取得企業となる場合、完全親会社の個別財務諸表では、取得企業の結合日における適正な帳簿価額による純資産額に基づいて取得企業株式(完全子会社株式)の取得原価を算定することとした。

また、株式移転による共同持株会社の設立の形式をとる企業結合にパーチェス法を適用する場合、完全親会社の個別財務諸表においては、他の被取得企業株式と同様に取得企業株式も完全子会社株式として扱われる。このとき、連結財務諸表提出会社となる完全親会社の連結財務諸表では、結合日においていずれかの完全子会社が取得企業となり、当該取得企業(完全子会社)の資産、負債及び資本が結合直前の帳簿価額で受入れられることになるため、完全親会社の個別財務諸表上においても、取得企業(完全子会社)の結合日における適正な帳簿価額による純資産額に基づいて取得企業株式(完全子会社株式)の取得原価を算定することとした。

企業結合が合併の形式をとる場合において、取得企業が存続会社と異なるときは、個別財務諸表上は持分プーリング法に準じた処理方法を適用することとした。また、企業結合が現物出資又は吸収分割による子会社化の形式をとる場合、被取得企業に移転された事業に対する取得企業の支配は、その結合の前後で継続していることから、取得企業の個別財務諸表では移転した事業に係る資産及び負債の移転直前の適正な帳簿価額による純資産額に基づいて被取得企業株式(子会社株式)の取得原価を算定することとした。

4.持分の結合の会計処理

(1) 資産、負債及び資本の引継ぎ

企業結合が持分の結合と判定される場合には、すべての結合当事企業の資産及び負債は、その帳簿価額で結合後も引継がれることになる。資本についても、すべての結合当事企業の資本金、資本剰余金及び利益剰余金といった内訳が、自己株式の処理等を除き、原則としてそのまま引継がれる。

結合後に引継がれる資産及び負債の帳簿価額は一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠した「適正な帳簿価額」であることが必要であり、したがって、結合当事企業の資産又は負債の帳簿価額に会計処理又は評価の誤りがある場合には、引継ぎ前にその修正が行われることになる。我が国の商法では、時価以下の範囲で承継資産額を決定することが求められていると解されており、金融商品については最近の会計基準の設定により時価で評価する資産の範囲が拡大してきているものの、例えば土地のような固定資産に含み損がある場合においては、従来時価まで評価減して合併時に引継ぐことが実務で行われてきた。このような場合には、持分の結合の会計処理に当たり、結合後に引継ぐべき結合当事企業の帳簿価額をどのように決定するかについて疑義が生ずることがあるが、「固定資産の減損会計に係る会計基準」が既に整備されたことにより、一定の場合に帳簿価額がその資産の利用による回収可能価額まで引き下げられることとされたため、合併当事企業の適正な帳簿価額をそのまま用いることができる。

株式交換又は株式移転の場合には、結合後企業の個別財務諸表における資本の構成が各結合当事企業において計上されていた資本の部の合算と異なる場合がある。このような場合であっても、連結財務諸表上は各結合当事企業の資本の構成を引継ぐものとする。

持分プーリング法が適用される企業結合において、自己株式が生ずる場合がある。吸収合併により生じた自己株式のうち、消滅会社が結合前に保有していた存続会社株式はその適正な帳簿価額で資本の部から控除することになる。また、存続会社が結合前に保有していた消滅会社株式に新株を割当てたときは、割当てた分の自己株式を認識せず、当該抱合わせ株式の帳簿価額を、資産及び負債の移転による増加資本と相殺することになる。

(2) 結合年度の連結財務諸表

持分プーリング法を適用する場合には、結合の時期にかかわらず結合年度の結合当事企業の収益と費用を合算してよいか、また、過年度の財務諸表を修正再表示すべきかという論点がある。過去においても結合されていたかのように結合当事企業の過年度の財務諸表を合算して修正再表示する処理は、持分プーリング法が認められてきた諸外国の会計基準で採用されてきた。このような処理は業績の比較可能性という観点から望ましいものの、我が国では、有価証券報告書における開示が1年を単位として独立しており、過年度の修正再表示の慣行がないことや、商法上の計算書類の確定は各結合当事企業を単位として行われること等を考慮して、結合年度の連結財務諸表に限り、期首に結合が行われたとみなして損益を合算する処理を求めることとした。――前回の資料では、この後に追加的な情報開示について記載しておりましたが、その後指摘を受けまして、ワーキンググループで記載場所、それから記載内容について検討して頂きました結果、後から出てきますけれども、「6.開示」の方に修正した上で移動しております。

続けさせて頂きます。

(3) 会計処理方法の統一

結合当事企業は結合前には独立して事業を営んでおり、各企業が採用している会計処理が統一されていることは想定されていない。このように結合当事企業の会計処理方法に違いがある場合には、結合後の企業の財政状態及び経営成績を適切に表示するため、適切と考えられる方法に統一することとした。適切と考えられる方法の判断は、連結財務諸表における親子会社間の会計処理の統一に準じて、同一の環境下で行われた同一の性質の取引については会計処理を統一することが適当である。

(2) の結合年度の連結財務諸表及び結合後の個別財務諸表においては、このような統一後の会計処理方法に基づいて財務諸表を作成しなければならない。

(4) 結合前の取引等の消去

結合年度の連結損益計算書においては、各結合当事企業間の結合前の取引は消去して表示し、それらの取引から生じた損益については、結合年度の連結財務諸表において、未実現損益の処理に準じて消去することとした。ただし、それらの金額に重要性が乏しい場合には、消去しないことができることとした。

(5) 結合に要した支出額の会計処理

持分プーリング法が適用される企業結合に要した支出額は、パーチェス法が適用される場合と異なり、結合の対価を構成しないと考えられるところから、発生時の事業年度の費用として処理するものとした。

(6) 個別財務諸表上の会計処理

マル1株式交換及び株式移転

株式交換又は株式移転による企業結合に持分プーリング法が適用される場合には、すべての結合当事企業の資産、負債及び資本はその帳簿価額で結合後も引継がれることになるため、個別財務諸表においても、結合当事企業の結合日における適正な帳簿価額による純資産額に基づいて完全子会社株式の取得原価を算定することとした。

マル2合併

結合日において、各結合当事企業の資産、負債及び資本の適正な帳簿価額を引継がなければならない。結合当事企業の会計処理方法に違いがある場合には、結合日において、会計処理方法の変更に準じて適正な方法に統一し、当該処理により生じた差額は結合年度の損益として処理することとした。会計処理の統一は、結合計画の中で結合前の各結合当事企業の財務諸表において正当な理由に基づく会計方針の変更として行うことも認められるが、この場合にはその影響額を適正に開示しなければならない。

(7) ジョイント・ベンチャーの形成

ジョイント・ベンチャーの形成は持分の結合であるため、持分プーリング法に準じた処理方法を適用することとした。

ジョイント・ベンチャーを共同支配する企業が、当該ジョイント・ベンチャーの形成に当たり事業を移転した場合には、移転した事業に係る資産及び負債の移転直前の適正な帳簿価額による純資産額に基づいて当該ジョイント・ベンチャーに対する投資の取得原価を算定することとした。この場合、ジョイント・ベンチャーへの持分プーリング法の適用に際して、ジョイント・ベンチャーへの投資と、ジョイント・ベンチャーの資本のうち投資会社の持分比率に対応する部分との差額は処理しないこととなる。

5.共通支配下の取引等の会計処理

本基準が対象としている企業結合は、その定義からも明らかなように経済的に独立した企業同士の取引に限定することなく、法的に独立した企業同士の取引を対象としているため、企業集団内における合併、吸収分割、現物出資等の取引(共通支配下の取引)が含まれることとなる。子会社の判定基準として支配力基準が導入されてから、我が国においては企業集団内における企業再編が活発に行われることになったが、このような企業再編に係る取引は、基本的に連結財務諸表には影響しない取引であるため、個別財務諸表にも影響させるべきではないとの観点から、共通支配下の取引として個別財務諸表上の取扱いを示す必要があると考えた。ただし、企業集団内における企業再編のうち、企業結合に該当しない取引、例えば、株式移転による持株会社の設立や新設分割による子会社の設立については、共通支配下の取引に係る会計処理に準じて処理するのが適当である。

また、株式交換等により少数株主から子会社株式を取得する取引(少数株主との取引)は、企業結合に該当しない取引ではあるが、現行では、現金による取得を前提とした連結財務諸表上の取扱いが「連結財務諸表原則」において示されているに留まっているため、個別財務諸表上の取扱いを含めた全般的な会計処理を示す必要があると考えた。

したがって、本基準では共通支配下の取引及び少数株主との取引について、それぞれの会計処理方法を以下のように定めることとした。

(1) 共通支配下の取引

共通支配下の取引とは、結合当事企業(又は事業)のすべてが、結合の前後で同一の企業に最終的に支配され、かつ、その支配が一時的ではない場合の企業結合であり、共通支配下の取引は、親会社の立場から企業集団内における純資産等の移転取引として内部取引と考えた。このため、連結財務諸表と同様に、個別財務諸表の作成に当たっても、基本的には、結合の前後で当該純資産等の帳簿価額が相違することにならないよう、企業集団内における移転先の企業は移転元の帳簿価額により計上することとした。

ただし、親会社と子会社が結合する場合において、連結財務諸表の作成に当たり、子会社の純資産等の帳簿価額を修正しているときは、親会社が作成する個別財務諸表においては、連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額により計上しなければならないこととした。

(2) 少数株主との取引

――以下については前回の部会でご指摘頂きまして、ほぼ全面的に書換えたような形になってございます。

では、続けさせて頂きます。

少数株主との取引は、企業集団を構成する子会社の株主と、当該子会社を支配している親会社との間の取引となる。それは企業集団内の取引ではなく、親会社の立場からは外部取引と考えられる。したがって、親会社は子会社株主を少数株主から追加取得したときは、個別財務諸表上、子会社株式の取得原価は、当該株式の時価若しくは支出した対価となる財の時価で測定される。また、連結財務諸表上は、その金額と減少する少数株主持分の金額との差額をのれん又は負ののれんとして処理することになる。後者は、「連結財務諸表原則」が想定する現金を対価とする場合の処理と同様の取扱いとなる。

しかし、親会社が自社の株式を対価として子会社株式を追加取得した場合、子会社株式の取得原価と増加する資本の額の処理には、なお検討を要する論点が残されている。連結財務諸表上、支配獲得時に子会社の資産と負債を全面的に評価替えしている限り、自社の株式を対価とする追加取得では、その前後において資産及び負債に変化はなく、追加的なのれんも生じないという考え方がありうるからである。その観点からすれば、個別財務諸表上は、連結財務諸表上の少数株主持分の金額相当額を子会社株式に追加して計上することになる。連結財務諸表上の資産及び負債に変化がないと考えた場合、のれんだけを追加計上する処理にどのような意味があるかは慎重に検討される必要がある。

株式の交換による取得を、現金による子会社株式の取得とその現金の拠出との組み合わせだと考えれば、子会社株式の取得原価も増加する資本の株もいずれも対価として交付した株式の公正価値で決められる。しかし、それですべてが片づくのであれば、そもそも共通支配下の企業結合を独立の問題として取り上げる必要がない。本基準では、概念上の検討を将来の課題として残し、専ら現行の実務に当たる混乱を最小にする観点から、自社の株式を対価として追加取得した子会社株式をその時点の公正価値で評価して同額の資本を計上するとともに、連結財務諸表上は、その金額と消滅する少数株主持分の金額との差額を現行基準における子会社株式の追加取得に準じて処理することとした。

6.開示

「連結財務諸表原則」では連結調整勘定は、事実上、のれんの性格を有するものとされていることから、本基準では営業権のうちのれんに相当するものと合わせ、のれん又は負ののれんとして表示することとした。また、財務諸表の有用性をさらに高める観点から、次の場合において注記事項を定めることとした。

(1) パーチェス法を適用した企業結合

(2) 持分プーリング法を適用した企業結合

(3) 共通支配下の取引等

(4) 重要な後発事象

なお、本基準はその適用範囲を超えて、企業結合前後の比較可能性を高める追加的な情報を任意で開示することを妨げるものではない。

――これは先ほど申し上げました、文言を移動したところでございます。

四 実施時期等

1.本基準については、今後、関係各方面の準備作業、企業側の受入準備が必要であり、これらを考慮して、平成18年4月1日以後開始する事業年度から実施されるよう措置することが適当である。

――これは前回の部会でも議論がございまして、前回は平成17年としていましたが、1年先にした方がよいのではないのかというご議論がございまして、ワーキンググループでも適用指針の完成時期等につきまして再度検討して頂きまして、平成18年からとした方がよいのではないかという結論になりまして、ここでは18年としてございます。この辺につきましても、後ほどご検討いただければと思います。

2.のれんの償却期間について、本基準は最長20年としているところ、商法施行規則では合併等により取得したのれんについては5年内の償却が求められている。したがって、本基準の実施に合わせて商法施行規則の改正が行われることが適当である。本基準の負ののれんの負債計上及び持分プーリング法を適用する場合の帳簿価額の引継ぎについても、本基準の実施により商法との関係で評価替えが生じないように措置することが適当である。

3.本基準を実務に適用する場合の具体的な指針等については、今後、関係法令を整備するとともに、次の事項を含め、企業会計基準委員会において適切に措置していくことが適当である。

(1) 合併、株式交換・株式移転、会社分割、営業譲渡・譲受等、企業再編の形式ごとの連結財務諸表上及び個別財務諸表上の適用方法

(2) 取得した事業用土地の時価の算定方法

(3) 取得企業は存続企業と異なる企業結合について、パーチェス法を適用したとしたときの影響額を注記する場合の注記項目等

時間の関係から資料4につきましては、1ページ目の2の定義の所が追加になりますので、ここだけ読み上げさせて頂きます。

1.企業結合とは、ある企業(会社及び会社に準ずる事業体をいう。以下同じ)と他の企業又は企業を構成する事業とが一つの報告単位に統合されることをいう。

2.支配とは、ある企業又は企業を構成する事業の活動から便益を享受するために、その企業又は事業の財務及び経営方針を左右する能力を有していることをいう。

3.共同支配とは、複数の独立した企業が契約等に基づき、ある企業を共同で支配することをいう。

4.取得とは、ある企業が他の企業(被取得企業)又は企業を構成する事業に対する支配を獲得して一つの報告単位となることをいう。

5.持分の結合とは、いずれの企業(又は事業)の株主(又は持分保有者)も他の企業(又は事業)を支配したとは認められず、結合後企業のリスクや便益を引続き相互に共有することを達成するため、それぞれの事業のすべて若しくは事実上のすべてを統合して一つの報告単位となることをいう。

6.ジョイント・ベンチャーとは、複数の独立した企業により共同支配される企業をいう。

7.時価とは、公正な評価額をいう。通常、それは観察可能な市場価格をいい、市場価格が観察できない場合には合理的に算定された価額をいう。

8.のれんとは、被取得企業又は取得した事業の取得原価が、取得した資産及び引受けた負債に配分された純額を超過する額をいい、不足する額は負ののれんという。

9.結合日とは、被取得企業の純資産及び事業又は取得した事業に対する支配が取得企業に移転した日、又は結合当事企業の事業のすべて若しくは事実上のすべてが統合された日をいう。

10.企業結合において共通支配下の取引とは、結合当事企業(又は事業)のすべてが結合の前後で同一の企業に最終的に支配され、かつその支配が一時的でない場合の企業結合をいう。親会社と子会社の合併及び子会社同士の合併は共通支配下の取引に含まれる。

以下につきましては、基本的に前文の内容と同じ内容を記載しておりますので、読み上げは省略させて頂きたいと思います。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

ただいまのご説明を受けまして、ご質問やご意見があれば承りたいと思います。

八木委員、どうぞ。

○八木委員

先月27日の部会でも私共の要望を申し上げたわけでございますが、その後引き続き、私共産業界も検討会を開きまして、考え方を詰めて参りました。

まず、何よりも先にこれまで本日までの検討の中で、私共の意見、要望を意見書案に色々取り込んで頂いてきておりまして、この点、部会長を初め関係者各位に御礼を申し上げたいところでございます。ありがとうございます。

さて、いよいよ公開草案を決定するに当たりまして、最後にただいまご説明があったわけでございますが、最後に斟酌して取り上げて頂きたい事項として、先月の部会で申し上げた内容がどのようにまとめられているのかということで懸念しながら拝見したわけでございますが、4項目ありますので、ただいまの意見、私の感想・コメントを申し上げたいと思います。

まず第1点でございますけれども、ただいまの資料の6ページにあった例の数値基準のところでございますけれども、持分プーリング法の適用の数値基準である議決権の保有割合について、概ね5パーセントと幅のある規定として頂きました。この点が1点でございます。

それから、第2点は適用時期でございます。これは先ほどの最後の21ページの所でございますが、これも諸般の事情を勘案して適用指針ができてから少なくとも丸1年は置くことが必要なのではないかというように私共は実務面から考えておりまして、それを入れて頂いた形で平成18年4月1日以降の結合からとされたところでございます。

それから第3点は、これは資料には載っていないのでございますが、これも前回申し上げた税務との調整でございますが、これはお願いになりますけれども、企業組織の再編税制との整合性を保ちますために申告調整によって課税問題が生じないように調整を頂くようお願いしたいと思います。

なお、資料1の適用時期等にその旨を記載していただければと思ったのでございますが、これが無理のようでございますれば、金融庁当局から税務当局へぜひお話を繋いで頂きたいということを要望申し上げたいと存じます。

第4点でございますが、パーチェス法における取得原価の配分に関連する事項でございます。これは最後の最後になって少しコメントした部分でございますが、私共産業界での議論の過程で出ておりました土地の時価評価の難しさに由来する問題でございますけれども、先ほど12ページの一番下のあたりに載せて頂いておりましたけれども、この点、取得原価の配分の結果、大きく負ののれんが生じた場合にその金額を当該土地に合理的に配分した評価額も合理的に算定された時価と考えられるという規定が組み込まれました。

以上お願いした点、要望の事項が1点ございますが、残る3点のところを確認させて頂きまして、すべて取り入れられたというように評価申し上げたいと存じます。

以上でございます。ありがとうございました。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

他にご発言は。

引頭委員、どうぞ。

○引頭委員

これは質問ですけれども、数値基準のところで色々議論があったのですが、今回「概ね」という所で、概ねプラス・マイナス5パーセントということですけれども、「概ね」のイメージがどうなんでしょうかという質問です。

もう一つは、7ページ目の議決権比率以外の要件による判定という所で、多額のプレミアムの発生という所があると思いますが、一定以上乖離している場合には、という「一定以上」がどのようなものなのか、この2点だけ教えてください。

○辻前企業会計専門官

「概ね」の所ですが、そもそものご議論が要するに実務上、障害が出るというようなお話でしたので、基準ではこのように定めて、実際には実務上、今後の運用上どの程度が妥当なのかというのを関係者の間でみていって頂くことになるのではないかなというようには思います。例えば企業会計基準委員会の方でご検討されるかもしれませんが、基準としては実務に委ねるというようなことで考えたいということでございます。

それから、一定の幅についても同様でございまして、一定の幅がどれ位かというのが必要であれば企業会計基準委員会の方でご検討いただければというように思います。

○斎藤部会長

西川委員。

○西川委員

今のご発言の中で、一定の幅の方は何も書いていないので多少の検討の余地はあるかと思いますけれども、概ね5パーセントについてさらに適用指針で詰めろというのは多分不可能だと思いますので、それは実務ということと適用指針で決めるということは違うと思いますので、どうしても、それがないといけないということであれば、もう一回議論してもらわないといけない――要するに言いたかったのは、「概ね」は「概ね」で通らなかったら意味がないということだろうと思いますので、実務の中で判断してもらうということだろうというのが意見です。

○斎藤部会長

要するにASBJ側からすれば、適用指針で定量的に決めるべき問題ではないということですか。

○西川委員

さらに5.5だ、6だ、7だとか、そのような数字に踏み込んだ話は、やりようがないということだけです。

○斎藤部会長

確かに、5パーセントポイントとか、かつては2.5パーセントポイントと言ったのはもともと誤差の範囲を言っているわけですから、誤差の範囲にさらに誤差の範囲をつけるということが非常に難しいことはわかり切っていることでありますけれども、この間の当部会のご議論の結果として私自身も部会長としてやむなしと考え、事務局の判断を支持いたしました。

万代委員、どうぞ。

○万代委員

一定以上の方の理解ですけれども、一応、例えば純粋に時価で交換比率を定めた場合に、仮にプーリングには当たらないという場合に、何らかの調整でもってプレミアムをつけることによってプーリングの範囲に収まると、いわゆる逆転は起きないということを考えたというのが事実ですね。逆転しないパーセンテージがどの程度かをご議論頂いて、それをもって、ここの一定以上の範囲と考えるということをASBJではお考え頂きたいなというように思います。

○斎藤部会長

遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員

先ほどの概ね5パーセントでございますけれども、経済界の要望を十分踏まえて頂いて、何らかのガイドラインを出して頂けるとありがたいと思っております。

それからこれは質問でございますが、実施時期は我々の要望を入れて頂いたわけですけれども、基本の問題としてこれは会計基準の一部であるのかどうかという問題でございまして、この意見書案を見ますと意見書案の最後に載っておりまして、会計基準案の所には載っていないわけですが、そうすると、この意見書案を受け取った金融庁が最終的に実施時期を決めるということになるのか、それとも会計基準の一部として理解すべきものなのか、最近色々議論があるようですので、この機会に教えていただければと思います。

○斎藤部会長

これは金融庁の方でお答え頂きたいと思います。

羽藤参事官、どうぞ。

○羽藤参事官

非常に難しいご質問ですけれども、難しいというのは恐らく会計基準は何かというようなことになりますと、この括弧に書いてある会計基準というヘッドタイトルがついているものが会計基準そのものだろうということだと思いますが、これまでの色々なケースをみてみますと、確かに意見書があって、会計基準があって、そして、今日も実は意見書案でずっと説明をしたわけでありまして、会計基準案を読み上げたわけではない――つまりそのようなことから考えますと、そもそも両者は基本的には、包括的に全体として会計基準を議論をする場合には、扱って頂くべき問題だというように私は理解をしております。

つまり、意見書案の中に時期の明示があって、そして会計基準案の中には時期の明示がないわけですけれども、時期の問題というのも実は会計基準を具体的に実施をしていく上では密接不可分な問題である――理論的には確かに会計基準として集約をされたものが会計実務の会計の処理の基本というようなことになるとは思いますが、意見書に具現されているもの、そして時期の問題も含めてそのようなものをトータルとして、この場合ですと企業結合についての会計基準が一般に公正妥当と認められるものとして定着をしていくのかどうかというような捉え方を、これは企業会計審議会の場でして頂く。そして部会の意見をまとめて頂き、そして企業会計審議会としての意見書として出して頂くということだと思います。したがって、これを頂いた後で、金融庁だけで、仮に例えば、やはりこれは2005年ですというように一方的にこの適用の実施時期というものを決めるというのは、私はそれは必ずしも適切なことではないのではないかというように思います。

仮に、もしその適用時期について事後の何らかの事情によって、この点について見直さなければいけないということであれば、適用時期についてのしかるべきご議論が、この企業会計審議会の場であるのか、あるいは企業会計基準委員会の場であるのかという点の議論はまたあるにしても、私はそこのところの議論というのは金融庁だけが判断ができる問題でもないのではないかというように理解をしています。

○斎藤部会長

よろしゅうございましょうか。辻山委員、どうぞ。

○辻山委員

本質的な議論をしているところで瑣末な議論で失礼ですが、前に気づけばよかったのかもしれないですが、資料3の4ページ、一番下の方の「なお」の前の段落の「マル3議決権比率」の所ですが、他の所の表現は「議決権比率以外にも」という表現になっていることと、もしこのまま残すとしたら「等しくない」ではなくて「等しい」になるのではないかということで、「議決権比率以外にも支配関係が」というようにするか、ここの部分は削除した方がよいのではないかと思います。

○辻前企業会計専門官

読みやすいように修正させて頂きます。

○斎藤部会長

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

八木委員からもお話がございましたが、私は産業界の者として、大変、我々の色々な意見について十分配慮して頂いたことについて感謝を申し上げたいと思います。

ただ最近、先ほど来お話が出ておりましたように世の中の会計に対する色々なご意見等がありますから、これは公開草案という形でぱっと出すということなんだろうと思うんですが、やはりプレス対策と申しますか、そのあたりについては従来と同じようなやり方をされるのかどうか、そのあたりについて何かご意見を聞かせていただければよいし、何か特に変わったやり方をされるのかですね。

つまり延々2年間も我々が色々検討してきたという苦心と申しますか、そのようなところについては若干のコメントをして頂くとありがたいというように思います。

以上、これは希望だけでございます。

○斎藤部会長

羽藤参事官、どうぞ。

○羽藤参事官

今のご指摘の点については、後ほどもまた触れさせていただこうというように実は考えておりましたところではございます。

むしろ、そのような発表の仕方、あるいは公開草案としてこれを提示をしていくに当たって、もちろん私共自分が担当してというのもあるわけではございますけれども、例えば今、伊藤委員からもございましたように、もしこの場でその点について、例えば、このような点を工夫をして頂きたい、今お話がございましたように、なぜ2年半以上もこの議論というものについては非常に時間をかけながらこの議論をしてきたのかということの恐らく本質と申しましょうか、あるいは既にこの部会の場でも繰り返しご指摘のあったところでございますけれども、国際的な動向との関係ではどのような点に留意をしながら議論をしたのかとか、そのようなことは単に公開草案の文章そのものだけを世の中に問うというようなことでは、あるいは日本のメディア、あるいは海外のメディアに対しても誤解を招いたりするところも出てきかねないところは確かにあるだろうと思います。したがって、そのような意味で公開草案を出すに当たっては、このような点に留意すべきであるというようなことについても、時間の制約もございますけれども、この場で委員の方々のご意見をいただけるのであれば、これは本来、部会長のご采配のところではございますけれども、事務局としてはそのような点で、ご意見なりコメントなりいただけるのであれば、あわせてお願い申したいというように思います。

○斎藤部会長

当初、私が1時間半を予定しているというように申し上げたことは無視して頂いて結構ですから、どうぞご自由にご発言ください。

山田委員、どうぞ。

○山田委員

今、羽藤参事官の方から敢えてありましたのでお話し申し上げますと、今回、IASBというか、国際的な現在の企業結合に対する会計基準の動向からしますと、ある意味では、その動向とは少し違った形の公開草案になっておりますので、このあたりについてこの意見書案の文章というのは非常に長くてしかもかなり精緻にできていますので、これを日本語でも読み込んで理解するのは非常に難しいと思いますが、海外に適切なメッセージを送り、誤解のないようにぜひして頂きたいと、それを強くお願いしたいと思います。

○斎藤部会長

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

この段になって言うのは非常に心苦しいのですが、7ページの所、先ほどのプレミアムの話ですけれども、仮に時価で交換していたら議決権比率の関係でパーチェスになったかもしれない。ところが、実際の交換比率によるとプーリングになるかもしれない。つまりプレミアムをつけてプーリング法を買うという言い方をしますけれども――アメリカではパーチェス・オブ・プーリング・メソッドと言いますが、そのような現象を防ぐために、実際の交換比率であってもそれがプーリング法を適用するためだけのものであるというように認定した場合には、プーリングを認めないというところまで踏み込む規制をするつもりなんでしょうか。

○斎藤部会長

この意見書案は、そのような観点からできております。

○大日方委員

それは、時価による交換であるのが真正な姿だという予断が入っているという気がしますが――つまり、時価は当然、入手可能な情報はすべて反映された存在ではありますが、企業同士の結合においては必ずしも市場に反映されていない何かを、価値を見つけて交渉しているかも知れず、それが時価と乖離したときにすべてプーリング法を使うための操作だと言えるかというと、これは難しいのではないかという気がしています。

ただし、それが割り切りの問題だということであれば、形式基準を使ってばっさりと切るということも可能だと思いますが、むしろ逆に、割り切りとしてもうそこは踏み込まないと、もうこの数値基準を作っている以上、プーリング法をプレミアムで買い取るようなことが行われてもそれは仕方がないというように臨むのも一法なのかもしれないわけですが、そこについては何となくこのまま大部の基準であるということもあって、明示的に意思決定したのかというと余り記憶がないのでご議論頂きたいと思います。

○斎藤部会長

この件について、十分な議論がこれまでになかったということはおっしゃるとおりですね。この現在の基準の立てつけは今おっしゃられたような方法で、多額のプレミアムが存在しているというケースでチェックをかけるというシステムになっていますけれども、多額のという基準でチェックをかけるのがよいのか、そうではなくて大日方委員がおっしゃるように交換比率が決められたということの方が、市場取引としては基本的な問題であって、そこに依存してすべてを決定すべきなのか、どちらも一つの考え方であります。その点についてはもちろんこの場でご議論して頂いて構わないことでありますので、もしこの点について賛否ご議論があれば承りたいと思います。

一番最後の段階でかなりサブスタンシャルな問題が出てきたので大変議論しにくいわけでありますが、ご意見が出された以上、取扱わざるを得ませんので、どうぞご発言ください。

万代委員、どうぞ。

○万代委員

まず、ここでの理解はどのようなことだったかと申しますと、どうも実務では交換比率は100パーセント株価で決まらない。それ以外の要素もあるけれども、大体どうも8だと低いとおっしゃっていましたかね――9割程度は時価を考慮せざるを得ないんだと、たしかそのようなお話を伺った記憶があります。そうした場合、では残り1割が何なのかといった場合に、明確にプーリングを使うためだけだというように断定できるならよいのですが、どうもそれは無理でしょう、プレミアムの発生原因というものは特定することはできないでしょうと――そうしますと9割程度が株価で決まったときに、例えば時価でやれば60対40でパーチェスになるようなものが45対55の範囲になってプーリングとなると、そのようなことは避けたい。その程度の理解でございます。

○斎藤部会長

要するに多額のプレミアムという「多額の」がみそなんですね。

どうぞ、引頭委員。

○引頭委員

これは率直に言ってすごく難しい問題だと思いますが、多額のプレミアムを払うかどうかというのは、結局買う側というか、その会社が経営をどのように考えるかということで会計とはまた違う部分もあるかと思うんです。海外ではやはり4割とか5割のプレミアムを払ってでも欲しいというところもあったかもしれませんし、そのような事実があったと思いますね。

ただ、議決権比率とかというようになった場合には、最終的には発行した株数で何対何という形で交換比率が決まっていくんだろうな――そのように思いますと、例えばここの比率には踏み込まずに多額のプレミアムを払う方の株主が払うことに対して同意した場合には、それは要するにそのようなことだという形の逃げ方というか、余り多額のプレミアムについてどれ位というのを決めるのはまたどうなのかなと、色々なケースが出るかもしれない、どうなのかなという感じがする――運用のところでどうにかならないものかなというように思いますが。

○斎藤部会長

払う方の株主が同意した場合というのは、具体的にどのようなことでしょうか。代表訴訟か何か起こさなかったケースですか。

○引頭委員

そのようなことを大きな買い物をするときとか、一応、株主総会とかにかけたりしますよね。どのような運用かまた難しい、小さいか大きいかによってまた色々違うかもしれないですが、これはプーリングかどうかという話なのできっと大きい話というように考えますと、多分株主に対して1回かけると思うんですよ。ですので、そのときにそうした交換比率に対してプレミアムがあるけれども、納得するのであればという考え方です。つまり、払ってまでもやってくれというように株主が思うのであればよいのではないかというイメージです。

○西川委員

まとまってはいないのですが、先ほどの判定の話に比べてこちらの方はこれだけで実務に難しいという面があるのであれば、一定以上はどれだけかということは難しいかもしれませんが、何かしら適用指針の中でもう少し説明するということはできるかもしれないという気はします。

○斎藤部会長

いかがでしょうか。

西川委員のご発言は、大日方委員が出された問題について「多額の」という所を直接扱うかどうかは別にしても、多少適用指針でそれも一緒にある程度は解決できるような方法を工夫することは可能かもしれないというご意見ですか。

○西川委員

ですから、この文章自体を直すという合意がここでない場合の話ですけれども。

○斎藤部会長

辻山委員、どうぞ。

○辻山委員

先ほど大日方委員のご指摘ですけれども、私は「多額の」ということについて異議を唱えられた、あるいは一定のプレミアムということについて異議を唱えられたというようには聞かなかったのですが、要するにプレミアムがついてもそれは市場の判断なのでそれ自体をプーリングとかパーチェスの判定にもう一度フィードバックさせるという必要がありやなしやという、ただそのご指摘というようには聞かなくて、その中に一部既にそれとは無関係の要素があるだろうということですけれども、この文言修正について問題提起されたというようには聞かなかったので、今、西川委員がご指摘のような対応はもともとイメージしていたことですけれども。大日方委員が、そのことについて異議を唱えられたというように先ほど聞き取れなかったのですが。

○斎藤部会長

もう一度、大日方委員に戻しますけれども、よろしいですか。

○大日方委員

ある定量的な基準でプレミアムの程度を判断してプーリングを認めるかどうかという書き振りになっているわけですね。そうではなくて、対案としては、交換比率についてはもう疑念を持たないと――つまりプレミアムを払ってプーリング法を使いたいという事例、それがわかる事例があってもそれは敢えてプーリングを許すというのも一つの選択肢ではないかということです。

つまり、どのような姿勢で臨むかで、やはりプーリング法性悪説のような形で濫用されるんだという姿勢で臨むか、いや理があって残しているんだから、もうそれ以上問わないと――一定の幅のところを持たせた以上、どこまでいっても取引のアービトレージは起こるわけですね。何をやっても。ですからイタチごっこになるようなものは、さっさと最初からやらないという選択肢に立つかということをご議論頂きたいということです。

○斎藤部会長

その姿勢は初めからはっきりしていまして、プーリングに関しては理があって残しているんですね。理があって残しているけれども、にもかかわらずプーリングに対する濫用ということが、日本の会計基準に対する外的な環境の側の問題として繰り返し指摘されてきている。ですからそのあり得るべき批判に対しては答えておこうということでこのような対処の方法を出したということだと思います。

どうぞ。

○大日方委員

恐らくそうだろうと思いますが、そうすると多分私の理解だと、プーリングは理があって残すけれども、やはり濫用を許すために残しているのではない、そこで自己規律を働かせたいということで、やはり濫用を防ぐために形式基準にならざるを得ないけれども、多額のプレミアムがある場合にはプーリング法の適用を許さない。機械的な定量基準についてはASBJに今後検討をお願いするということでよろしいですか。

○斎藤部会長

そのような趣旨だと思います。

○大日方委員

私は以上です。

○斎藤部会長

他にご異論がなければ、この件はこれでよろしゅうございますか。

西川委員、どうぞ。

○西川委員

非常に言いづらいというのは、学者の方に、反応が全くわからないのですが、20ページの子会社株式の追加取得の真ん中のパラグラフのあたりですけれども、「追加的なのれんも生じないという考え方がありうるからである」という所位で止められないかというのが一つで、それでもどうしてもお嫌でしたら「追加して計上することになる」という所位で止められないかというのが2番目です。

なぜそれを言うかというと、のれんだけを追加計上する処理にどのような意味があるかというような言い方をしますと、そのように追加取得について色々な考え方があるならば最初から全部のれんを計上してしまったらどうかというようなことを言われることが嫌だな――IASBがそのような方向で――FASBもそうですけれども、動いていますので、色々大変である、考え方が色々あるというのは途中までの所でわかるのではないかなということだけです。

○斎藤部会長

おっしゃるようにこの問題はもともと比例連結・全部連結から始まって、連結開始時の部分時価評価・全面時価評価の話と、それから今の部分のれん・全部のれんの話が全部連動している大変複雑な話でありまして、その問題が解きほぐせない限り、明確な基準を一義的に決めるわけにはいかないという趣旨ですから、西川委員がご懸念であればどこで切ることも可能ではないかと思いますが、ただ、にもかかわらずやはり言うべきことは言っておきたいというご意見があれば――大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

これは私は別に自分で書いていませんので、それをはっきりさせた上で申しますが、この問題はストックの振替えやストックの評価の問題だけで話が閉じるというわけではないんだと――つまり、のれんが出てくるということはその後の利益決算まで含んだ問題なんだ――意見書案冒頭にありますように利益計算の観点からプーリングとパーチェスというのを説き起こしている以上、やはりここでやったのれんというのを入れておいた方が、閉じてよいのではないかと。

つまり単純にその時点のストックの評価とか振替え問題だけではなくて、どうしても会計基準というか、会計の問題というのは利益計算が絡む。だからのれんにこだわるということがあるので、これを落としてしまうと、せっかく冒頭の方で、格調高く損益計算の問題としてやっているのでもったいないという――それは私の意見です。

○斎藤部会長

今の西川委員がこの辺で切ってもよいのではないかという所までは、実は追加的なのれんも生じないという考え方があり得るからであるという所、のれんの話は入っているんですけどね。

○大日方委員

それだと、やはり何となくまだストックの問題しか意識していないと読めて、表現がきついかどうかという点についてはあるかもしれませんが、書いてありますように、これが他の会計基準にどのような影響を与えるかということを考慮して、今回決断しているんだというときに、何の問題なのかということがきちんと伝わらないと意味がないと思うんですね。ですから「その観点からすれば」云々の所をカットしてしまうと、問題の所在が余りわからなくなるのではないか。せっかく苦労されて書いているのに、何か肝心なところが抜けてしまうのでは意味がないと思います。

○斎藤部会長

わかりました。

それでは、西川委員のご懸念の本質は最近のIASBないしはFASBの一部もそうですけれども、ややお伽話的な全部のれんのような議論が、部分的には優勢になりつつある。そのような議論に結びついてしまうということのご懸念でありますので、今、大日方委員がおっしゃったようなのれんが将来の利益に対して与える影響ということを落とさないようにして、なおかつ西川委員のご懸念に答えるような方向で文章を少し工夫させて頂きたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。なかなかそれにお答えするのは難しいと思いますけれども、多少工夫させて頂きたいと思います。

他にはご発言ないでしょうか。

特によろしゅうございますか。ほぼご発言頂いたと考えてよろしゅうございますか。

それでは、この公開草案の案について委員各位のご発言は一通り頂いたというように理解させて頂きます。

本日のご審議で公開草案は内容的にほぼ固まったと思いますので、本日頂きましたご意見につきましては私の責任で適宜反映させて頂くということでこの場は引き取らせて頂きたいと思います。よろしゅうございましょうか。

ありがとうございました。

それでは、事務局から何かご発言があれば承ります。

○大久保審議官

斎藤部会長を初め、当部会の各委員におかれましては2年半以上にわたりまして本件につきまして精力的にご審議を頂きまして、ご協力頂きましたことに厚く感謝申し上げます。

また、昨年10月以降ワーキンググループとしても積極的にご活動頂いたわけでございまして、ご尽力を重ねて頂きましたことをお礼申し上げたいというように思っております。

企業結合会計は我が国の経済、事業環境の現状に鑑みますと、会計処理の透明性・適正性を高めるという観点から大変重要な課題であるというように認識しております。本日までご議論頂きました公開草案の案につきましては、関係者の関心も非常に高いところでございまして、先ほど来ご指摘がございますようにこの草案を公開するに当たりましては、国際的にも、国内的にも趣旨を正確に理解して頂くとともに、誤解が生じたりするというようなことは極力避けて各方面の意見を聞いていく必要があるかと思います。この点につきましては、本日出されましたご意見を踏まえまして、事務局としてもこれをどのように対外的に説明していったらよいかということを改めて考えたいというように思いますし、その過程で色々ご示唆を頂くということも非常に重要なことかと考えております。

そのようなことも踏まえまして、本日ご議論頂きました公開草案の案の最終的な確認とともに、どのようにこれを対外的にご説明し、きちんとしたご意見を踏まえて最終案に向けての更なる努力がなされるかということにつきまして、私共としてもさらに考えて参りたいというように思っております。

いずれにいたしましても、引き続き、最終案に向けましてご協力をお願いできればありがたいというように思っております。ありがとうございました。

○斎藤部会長

どうもありがとうございました。

ただいまの大久保審議官からのご説明にございましたように、公開草案として外部に公表する時期につきましては、その内容の重要性に鑑みまして事務局とも相談しながら時期を決めさせて頂きたいと思います。

また、公表に当たりましては内容の最終的な確認作業や細部の字句の修正等を行う必要があると思われますので、事務局とも相談しながらその間、作業を進めて参りたいと思います。つきましては、場合によっては皆様方に再度ご参集頂いて最終的に公開草案の文案をご確認頂くこともあろうかと思われますので、もしそのようなことになりました場合にはよろしくお願いいたします。

予定の時刻、当初申し上げた1時間半は超えてしまいましたが、本日の部会はこれで終了させて頂きたいと思います。

なお、今後の取扱いにつきましては事務局から改めてご連絡申し上げます。

本日はこれで散会させて頂きます。大変ありがとうございました。

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