平成13年11月13日
金融庁

企業会計審議会第22回第二部会議事録について

企業会計審議会第22回第二部会(平成13年10月26日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第22回第二部会議事録

日時:平成13年10月26日(金)午後2時00分~午後3時54分

場所:中央合同庁舎第4号館9階金融庁特別会議室

○脇田部会長

それでは、定刻になりましたので、これより第22回第二部会を開催させていただきます。

それでは、これより議事に入りたいと思います。

前回の部会では、公開草案につきまして修正する必要があるポイントやその方向性につきましていろいろとご検討をいただきました。皆様のご意見を踏まえまして起草メンバーの皆様方にご協力をいただきまして、一応の修正案をここに作成いたしました。本日はこれをたたき台とさせていただきまして、具体的な修正内容について皆様方からのご議論、ご意見を伺いたいと考えております。

事前に意見書の形で修正したものを送付させていただいておりますけれども、本日は資料を2つ用意してございます。一つは、事前にお届けいたました修正案と公開草案を比較いたしました表でございます。もう一つは、修正案についての説明を入れた表でございます。紙幅の関係から資料が2つになっておりますけれども、ご容赦いただきたいと思います。

本日は、この2つの資料に基づきまして検討してまいりたいと思いますけれども、前回同様、まず論点を大まかに分けまして、それぞれ事務局より説明をしていただきまして、皆様からのご意見をいただくという形で一通りご検討いただきまして、最後に、全体を通して再度ご意見をいただく時間をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、まず「経緯」から「監査基準の位置付け」のところまで、事務局からご説明いただきたいと思います。お願いいたします。

○多賀谷課長補佐

それでは、ご説明させていただきます。

資料が2つに分かれておりましてちょっと見にくいのでございますが、資料1の修正案と公開草案の対比をごらんいただきながら私から説明をさせていただきます。資料2の方は、左側は全く同じでございまして、説明のコメントをご確認のために付けさせていただいているということでございます。

まず、「経緯」と「監査基準の位置付け」までですが、経緯は、特に公開草案から時間が経過をしたという点で若干の語句の修正がございます。

1つは、経緯の「審議の背景」の中の、「既に9年余が経過しており」というのが「10年余」ということで、公開草案を出す時点から時間がたっておりまして、平成3年の12月に前回の監査基準の大幅な改訂がございましたので、大体10年ぐらいになるかなということでございます。

それから、2の「審議の経緯」についてでございますが、ここも最後の部分につきましては、公開草案では、公開草案を取りまとめましたという形になっておりましたが、今後は最終的な意見書を取りまとめるということになりますので、その経緯につきまして、「平成13年6月に監査基準の改訂案(公開草案)を公表した。」と。「その後」ということで、今度は公開草案に対して各界から寄せられた意見も参考としつつ、これこれで最終的な、この「『監査基準の改訂に関する意見書』を取りまとめたことから、これを公表することとした。」という、取りまとめた時の文案を想定して直しております。

なお、「○回」というのは、部会の回数を最終的には入れさせていただくということでございますので、内容的には特に変わったということではございません。

それから、次に「監査基準の位置付け」のところでございます。

ここでは、一つ「改訂基準の性格」というところの中ほどに、従来は「個人としての監査人のみならず監査事務所などの組織としても」というような文章がございました。品質管理について述べているところでございますが、ここにつきまして、「監査人個々人のみならず」というふうに変えさせていただいております。

これは寄せられた意見にもございましたが、個人としての監査人というのが個人と監査法人というふうに誤解をされるという、ここではあくまでもお一方お一方監査をやられる自然人としてのお一方と、その監査人が所属する組織という意味での監査事務所という意味で使っておりますので、若干誤解が生じる余地がありましたので、「監査人個々人のみならず監査事務所などの組織としても」という形で言葉を若干修正させていただいております。

それから、3ページでございますが、上の方でございます。

ここは、基本的には公認会計士協会が作成する監査に関する各種の指針をあわせて我が国の監査の規範であるということを述べているところでございます。

まず、最初の下線が引いてあるところでございます。「大幅に行われ、監査基準を補足する具体的な指針を示す役割は日本公認会計士協会に委ねられることとなった。」というのは、平成3年の改正の経緯でございますので、その平成3年の改正時の前文の文章を参考といたしまして、これに沿った表現に若干修正をさせていただいております。

また、「実務指針」という用語を使っていたのですが、実務指針というのは特定の意味もあるのではないかということで、一般的な意味で「指針」ということで、これを具体的に公認会計士協会の方でどういうような名称を付すかというのは別の話でございますので、ここは一般的な用語として「具体的な指針を示す」と、「役割は日本公認会計士協会に委ねられる」というような形で、「実務指針」というふうに使っているところを「具体的な指針」あるいは「指針」というふうに、この全体を通して修正をさせていただいております。

それから、下の方の下線でございますが、「我が国において一般に公正妥当と認められる」というのが入っております。これは、前文の5「実施時期等」にも同じような表現がございまして、そこでは「一般に公正妥当と認められる」というのが公開草案の段階でも入っておりましたので、ちょっとここは用語と文章に不整合がありましたので、同じ文章に修正をしたということでございます。

それから、3の「監査基準の位置付け」については、特に修正はございません。冒頭部分はこのところだけでございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。

それでは、今説明していただきました点で補足、あるいは改訂いたしました点等を含めてご意見はございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

監査基準の経緯及び監査基準の構成、あるいは位置付けというところでございますが、よろしゅうございましょうか。

それでは、続けてご説明をいただきたいと思います。

今度は「主な改訂点とその考え方」で、「監査上の重要性」のあたりまでお願いしたいと思います。

○多賀谷課長補佐

それでは、ご説明申し上げます。

資料の3ページの中ほど、三「主な改訂点とその考え方」のところからでございます。ここから内容的なところに入るわけでございますが、まず「監査の目的」のところでございます。

これは種々ご議論がございまして、特に(2)のところですが、公開草案では「すべての重要な点において、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況を適正に表示しているかどうか」という文章になっていたわけでございます。この「すべての重要な点において」というのがどこにつながるのか不明確であるというご意見がございました。また、実際の監査報告書を想定した場合に、米国等の監査報告書を踏まえた場合にうまく当てはまるのかどうかというようなご指摘もございました。

これはなかなか理論的には難しい点もあろうかと思いますが、修正では、「企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示している」というふうな形で、一文としてこの「重要な点」は後ろに置いております。したがいまして、すべての重要な点においては適正に表示しているかどうかについて判断するというような趣旨の文章になっております。

また、ここで「キャッシュ・フローの状況」というのが入っていることにつきまして、証取法の監査を想定しているのではないかというようなご意見がありました。そこで、「等」をつけるかどうかというようなご議論もありましたが、「等」をつけない方がいいのではないかというご意見がございまして、この辺を勘案しまして「等」は付しておりません。

その点は、そのすぐ下の(3)ですが、「改訂基準では、基本的な財務諸表の監査を前提として」ということで、キャッシュ・フロー計算書まで入った損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書というのが、国際的には一応基本的な財務諸表ということで現在なっておりますので、「基本的な財務諸表の監査を前提として」ということでそこに一文を入れさせていただきまして、それから、1枚めくっていただきまして4ページに続けて、(3)の最後のところですが、従前は「それに応じて、意見の表明の形式は異なるものとなる。」というだけだったのですが、これは加藤委員からもご意見がございましたので、「それに応じて、監査基準を適宜読み替え、意見の表明の形式は異なるものとなる。」ということで、もしキャッシュ・フロー計算書がない、あるいは財務諸表の形式が違うという場合には、当然監査報告書の意見表明の形式は、そこの部分は適宜読み替えて記載をしていただくということで明確にしたところでございます。

それから、大きな2の「一般基準の改訂について」でございます。

ここは冒頭にも下線が引いてございますけれども、「独立性」についてもっと強調した方がいいのではないかというような意見がまずございました。その趣旨をどうするかということでご検討いただいたのですが、1つには、公開草案では、前文での説明が「職業的懐疑心」から始まっておりまして、「独立性」については、現行の基準でもございますので特に詳しい説明を付していなかったわけですけれども、この際現行基準にあっても、一般基準についての説明をなるべく加えるという形の中で、「独立性の保持」についても明確にするという形をとらせていただきました。

その関係で、冒頭の文章に、公開草案ではそこに独立性等も入っていたのですが、その辺をとりまして、文章を整理して(1)、(2)という形で、一般基準の(1)と(2)の説明を加えたところでございます。

(1)につきましては、「専門能力の向上と知識の蓄積」ということでございます。

「監査人は、近年の企業の大規模化や取引活動の複雑化、会計処理の技術的進展、会計基準の高度の専門化などに対応するために、職業的専門家としての能力の維持・研鑽に努め、実務経験を積み、これらの能力や知識を監査の実務に活かすことにより、初めて監査に対する社会の期待に応えることができる。」ということで、この「専門的能力の向上と知識の蓄積」という一般基準の意義を明らかにしております。

また、(2)で「公正普遍の態度と独立性の保持」ということを謳っております。

「監査人は、監査の実施に当たって、精神的に公正普遍の態度を保持することが求められ、独立性の保持を最も重視しなければならない。そのため、公正普遍な態度に影響を及ぼす可能性という観点から、独立の立場を損なう特定の利害関係を有することはもとより、このような関係を有しているとの疑いを招く外観を呈することがあってはならないことを明確にした。」という意義を加えております。

この文章は意義でございますので一般基準そのものではございません。特に独立性につきましてはこれを強調するということで、その外観を呈することがあってはならないということも含め、この辺は公認会計士協会の先般改訂されました倫理規則を踏まえた表現を使わせていただいております。

それから、(3)以下はその番号がずれて、旧(1)が(3)にずれているものでございます。

それから(4)でございますが、ここは「不正に起因する虚偽の表示への対応」というところでございます。

ここは、冒頭に「財務諸表の虚偽の表示」というのがございまして、これは、公開草案では「財務諸表の重要な虚偽の表示」というふうになっておりました。これはちょっと文章がページをまたがってわかりにくいんですが、全体の流れからしますと、後段のちょうど2行目ですが、「重要な虚偽の表示の多くは、財務諸表の利用者を欺くために不正の報告をすること」云々ということで、要は、重要な虚偽の表示の起因する要因といたしまして不正というのを特に重視するんだという趣旨でございます。

したがいまして、冒頭も「重要な虚偽の表示は」となっていますとちょっとおかしいので、冒頭は一般的な、重要なもの以外も含めまして、いわゆるミス・ステートメントという意味での「虚偽の表示は、経営者による会計方針の選択や適用などの判断の誤りのみならず事務的な過誤」、いわゆる単純間違えも含めたミス・ステートメントという意味で使わせていただいております。

そういう一般的な意味での誤りというのはいろいろな原因があるけれども、その中で「重要な虚偽の表示」というのは、そういう不正を起因としていることが多いんだということを申し述べているところでございます。

ここは、公開草案に寄せられました意見でも、若干「虚偽の表示」という意味と「不正」という意味が混同されているような意見もございまして、「虚偽の表示」はミス・ステートメントの意味と、「不正」はフロードの意味ということで、ここを明確にする意味で整理をしております。

それから、(5)、(6)は、そのまま番号がずれたということでございます。

次に、3の「リスク・アプローチの明確化」でございますが、ここにつきましては(1)、(2)、それから6ページの(3)、(4)ということで、基本的にこの前文の方の修正は行っておりません。ただ、ここはそのリスク評価の考え方を具体的に基準化したところで若干わかりにくいというご意見がございました。

具体的には、固有のリスクと統制評価手続及び実証手続との関係についてもう少し整理ができないのかという意見がございまして、この点については、監査基準の方になりますけれども、「実施基準」の二でございます。

15ページにちょっと飛んでいただきたいと思うんですが、15ページの二「監査計画の策定」というところでございます。ここの2と3に修正がございます。

この2と3の修正なんですが、前回のご議論で、この「監査計画の策定」の3の方なんですけれども、ここで「監査人は、企業の内部統制の状況を把握して統制リスクを暫定的に評価し、財務諸表項目自体が有する固有リスクも勘案した上で」と、この「財務諸表項目自体が有する固有リスクも勘案した上で」という言葉が入っているのがどういう統制評価手続と関係になるのかと。あるいは、その上の2でも「固有リスクと統制リスクを暫定的に評価するため」というふうに書いているのがどういう関係になるのかと。この辺は、前文の方で固有リスクの定義を明らかにしていることも含めまして何らか明確にすべきではないかというご意見がございました。ここにつきまして、この2と3をあわせて整理いたしました。

2の方では、「固有リスクと統制リスクを暫定的に評価するため」というのを後ろの方に持って行きまして、これこれこれこれの情報を入手して「固有リスクと統制リスクを暫定的に評価し」ということで明確にしまして、「監査計画への影響を考慮しなければならない。」としました。

3の方は、この「財務諸表項目自体が有する固有リスクも勘案した上で」というのは残しまして、「上で統制評価手続に係る監査手続」をすると。それから並びとして、「並びに発見リスクの水準に応じた実証手続に係る監査計画を策定し、実施すべき監査手続、実施の時期及び範囲を決定しなければならない。」と修正をしております。

この点は、若干非常に実務的な面もございますので、ちょっと十分にご説明できないかもしれませんのでまた補足していただければと思いますが、基本的には、2においては、固有リスク、統制リスクの暫定評価というのは、監査計画への影響を考慮するということを目的として全般的に評価するという趣旨でございます。3は、その全般的な暫定的評価を踏まえて、今度は監査は具体的に展開をしていきますので、統制リスク、あるいは財務諸表項目自体が有する固有リスクを勘案して、言葉が適切かどうかわかりませんが、どういう監査対象ごとに統制評価手続に係る監査手続を実施するのか。それから、その統制評価手続によって決まります発見リスクの水準、内部統制の状況によって決まります発見リスクの水準に応じて実証手続のどういう手続がどの程度必要かという計画を決定するんだというふうな、一応2段階のような形に整理をしているということでございますので、基本的な考え方は変わらずに、むしろ明確にするために基準の方の文章の方だけを変えたという形になっております。

済みません、また前に戻っていただきまして、6ページの「監査上の重要性について」でございます。これは6ページから7ページにかけてでございますが、これにつきましては最後の部分でございます、下線があります。「このように、監査上の重要性は、監査人が自らの責任を果たす上での監査の各過程における判断の基準という意味で、会計上の重要性とは区別されるべき概念である。」という文章が入っておりましたが、これにつきましては誤解されるのではないかという意見がありまして、必ずしも会計上の重要性と区別されるべきというふうに言い切る必要はないのではないかというご指摘がございましたので、ここは削除するという形で修正をしております。

一応、ここで区切らせていただきます。

○脇田部会長

ありがとうございました。

ただいま「監査の目的」から「監査上の重要性」までご説明いただきましたけれども、それと15ページの「実施基準」、「監査計画の策定」の部分に言及していただきましたけれども、この辺につきましてご意見、そしてまたご指摘いただく点がございましたらどうぞご発言ください。

山浦委員、どうぞ。

○山浦委員

15ページの監査基準の本文の方なんですけれども、起草委員の方でつくった原案で、まず監査計画の策定の3のところですね。これで、下線を引いております「統制評価手続に係る監査手続」とありますが、これは「監査計画」としていたはずなんですけれども。つまり「統制評価手続に係る監査計画を策定する」と。それから、それとあわせて「発見リスクの水準に応じた実証手続に係る監査計画を策定する」と、そういう並びでもともとこちらで原案をつくっていたつもりですけれども。

○脇田部会長

ご指摘ありがとうございました。

ただいまの15ページのところは、「手続」と「計画」の誤植でございまして、15ページの二「監査計画策定」、3の「監査人は」で始まる行の2行目の後ろの後段部分で、「統制評価手続に係る監査手続」、これが「監査計画並びに発見リスクの水準に応じた実証手続に係る監査計画」ということでございます。恐縮ですがそのようにお改めいただきたいと思います。

この点については非常に実務的な点もございますので、起草委員としてご参加いただきました友永委員にご発言をいただけるとありがたいのですが。この監査リスクの基準の点につきましてお願いいたしたいと思います。

○友永委員

ここのところは固有のリスクと統制リスクの評価の関係でございまして、それをどういう表現の仕方をするかということなんですが、第2項について、従来の案ですと「固有のリスクと統制リスクを暫定的に評価するため」ということで、「景気の動向」以下、さまざまな「企業の経営活動に関わる情報を入手し」と、「その影響を考慮しなければならない。」という文章で、固有のリスク、統制リスクの評価という部分があまり出ておりませんで、どちらかというと経営活動に関わる情報を入手して、その影響を考慮するという文面になっております。

それから、第3項の方は、統制リスクを暫定的に評価した上で統制評価手続と実証手続に係る監査計画を策定するといった文言になっているわけですが、そこで、その固有のリスクのうち経営環境に影響される固有リスクの評価をどういうふうにするのかといったことと、それから、第3項に出てまいります「財務諸表項目自体が有する固有のリスク」という言葉は固有リスクの一部の評価でございますけれども、それをどういう組み合わせで表現するのかということが問題でございまして、前回の第二部会の席上、加藤先生のご発言がございまして、財務諸表全体レベルでの評価と、それから勘定科目レベルでの評価という切り分けをした上で表現した方がいいのではないかというご提案があったものですから、そうした形に2項、3項を修正したということでございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。

起草委員として、この辺の工夫をいろいろしていただきました友永委員に補足説明をしていただきました。いかがでございましょうか、この点につきましての、かなり実務的な面の強い部分でございますけれども、ご指摘いただくことはございませんでしょうか。

加藤委員、どうぞ。

○加藤委員

今の固有リスクのところはそれで明確になったと思うんですが、一つ、前と比べますと発見リスクのことが、前回は特に発見リスクというようなものが出てこなくて、要するに統制評価手続と実証手続がセットになって監査計画を立案するというような表現になっていて、非常にフレキシブルというか、いろんな局面に対応できるような形になっていたんですが、今回のこの3項を見ますと、統制評価手続に係る監査計画と、それから発見リスクの水準に応じた実証手続に係る監査計画とはっきりと2つに分けているわけですが、ちょっと気になったのは、この「並びに」ということは、この実証手続というのは発見リスクの水準だけに応じて決めるのかどうかということなんですが、何となくこの統制評価手続と実証手続と分かれていて、はっきり分かれているような感じがするんですが、実務において必ずしもそういうふうにはっきり分かれるのかどうかということなんですが。特にこの実証手続というのは、両方に係るというか、内部統制の方の統制評価手続で漏れるというか、内部統制でカバーできないいろんなものが出てくると、それが発見できないのが発見リスクということだと思うんですが、この実証手続が発見リスクだけに係るというのがちょっと気になるんですが。

というのは、前の方の6ページに「発見リスク」という定義のところがあるんですが、ここでは「『発見リスク』とは」ということで、「監査手続を実施してもなお発見されない可能性をいう。」というところで、ここでいう監査手続というのは非常に範囲が広くて、統制評価手続も入るし、場合によっては実証手続も入るという気もするんですね。

ですから、何となくこの発見リスクの水準というものだけに実証手続を結びつけるのが実務的なのかなという気がちょっとしたんですけれども。

○脇田部会長

この点は非常に起草委員会でもご議論があって、いろいろ今ご指摘の点についても工夫をした上での作文をご検討いただきました。その上でのこの結果でございますけれども、山浦委員からもし補足していただけるようでしたらお願いいたします。

○山浦委員

前回指摘されたところで、この監査リスクモデルに従った監査のアプローチ全体が、修正前の案ではわかりづらいというご指摘がありました。私どももそれを受けとめまして工夫をいろいろ重ねたわけであります。

今加藤委員の方のご発言の件でありますけれども、おっしゃる点はわかります。わかるのですけれども、専門用語で恐縮なんですけれども、監査リスクAR=固有リスクIR×統制リスクCR×発見リスクDRと。そのモデル式に基づいて監査の仕組みを考えるとなりますと、統制評価手続に係る監査計画を策定し、それにあわせて統制評価手続を実施すると。その結果を受けて、IRとあわせて発見リスクの水準を決定すると。そして、その発見リスクの水準に応じて実証手続の種類なり実施時期なり範囲なりを決定すると。そういう枠組みを一応想定した上でこの基準をつくっております。

ただ、現実にはその間に幾つかの重複があるのは事実です。そのところを、修正前の原案はもう少しぼかして書いているんですけれども、そのぼかして書いてあるところが、今加藤委員の方でご評価いただいたフレキシブルというご評価と同時に、逆に言いますとわかりづらいという評価でもあったわけで、それを実務的な手続の重複関係がある程度わかった上で、このモデル式が明確になると、そのリスク・アプローチに基づいた監査の仕組みが明らかになるということをむしろ念頭に置いて今度の新しい基準の案をつくっております。

それと、その「発見リスクの水準に応じた実証手続に係る監査計画」というんですけれども、少なくとも実証手続そのものは監査要点を直接に立証するという趣旨の手続でありますので、最終的にはそこに落ち着いて、ここでいう「統制評価手続」というのはあくまでもその途中の経緯というんですか、最終的には実証手続に至るまでの途中の手続であるという位置付けもやはりここに込めたつもりなんですね。そういう意味では、実務的にむしろ則していると私どもは考えているのですけれども。

○脇田部会長

ありがとうございました。

加藤委員、いかがでございますか。

○加藤委員

そうですね、大体先生のおっしゃるとおりだと思うんですが、内部統制の依拠か、依拠する程度によってこの統制評価手続がどの程度行われるのかというようなこと。それと、それによって実証手続へのウエートづけが変わってくるというその辺の、はっきりと必ずしもそのすべての会社が内部統制の完璧な会社というか、そういうものだけでもないという状況も考えると、なかなか線引きの難しいところもあるかなと思っているんですけれども、いずれにしろ基準はこういう形にして、何かその辺の協合するところとか基本的なところは実務指針なり、そういう点で補っていただければいいんではないかと思います。

○脇田部会長

ありがとうございました。

ただいま加藤委員がおまとめくださいましたけれども、実務的なところについてはまた指針で補うという形で方向性を示していただくということにいたしまして、また、今のご発言についても、またなお検討するところがあれば検討させていただきたいというふうに思っております。

ほかにご発言はございませんでしょうか。

それでは、後でまたご発言いただくことにいたしまして次のところに進めさせていただきますが、次は「内部統制」の部分から「継続企業の前提」、これもいろいろとご意見があるかと思いますが、まず事務局からご説明いただきたいと思います。お願いいたします。

○多賀谷課長補佐

それでは、引き続きご説明させていただきます。

7ページ、「内部統制の概念について」でございます。

ここは、下線を引きましたところですが、ここを加えさせていただいております。この内部統制につきましては、直接の意見ではなかったかと思うんですが、むしろ不正発見を重視するというところに関わったご意見として、内部統制の重要な欠陥を発見した場合も、不正と同じく経営者等に報告して善処を求めるべきではないかと、基準の方をそういうふうにすべきではないかというご意見がございました。

ただ、前回ご議論をいただきましたように、内部統制の欠陥というのはそれ自体が不正ではございませんので、同様に扱うというのはちょっといかがなものかということでございました。ただ、一方で、内部統制というのはこれから非常に重視されるということもございますので、前文の方で何らかの対応を考えるという形でここに、読み上げさせていただきますと、「監査人としても、内部統制の重要な欠陥を発見した場合には、経営者等にその改善を促すことが望ましい。」と。当然、内部統制を確立していく中でより効率的な監査ができるわけでございますので、一応このような文章を入れさせていただいております。

この点は逆に言いますと、内部統制の評価自体の評価報告というんでしょうか、監査というんでしょうか、内部統制の評価をする監査を独立して行うということではないということを前提としてございますけれども、仮に内部統制の重要な欠陥を発見した場合に、これを監査人として放置するというのもいかがなものかと。やはり、企業の努力と相まってよりよい監査ができるのではないかということでございますので、内部統制の整備の重要性を指摘していることとの関係上もありますので、「改善を促すことが望ましい」というような形の表現にさせていただいております。これが第1点でございます。

それから、「継続企業の前提について」は7ページから9ページまでございますが、まず、(2)と(3)というのがございますが、基本的に(2)と(3)の表題を若干変えております。(2)の方を「監査上の判断の枠組み」としまして、(3)を「継続企業の前提に関わる開示」ということで、監査上の判断とその前提となる開示という形に整理をしております。

まず、(2)「監査上の判断の枠組み」でございますが、ここは継続企業を前提として財務諸表を作成することの適否に関しても二重責任、すなわち、まず一義的には経営者に責任があるということを明確にするべきであるというご意見がございましたので、そういった趣旨から、その判断や開示に関する経営者の責任はここにあるんですよということを、当然ではございますが一応加えまして、その後に続きます監査人の責任と併記をするという形になっております。

その関係で文章を区切っております。2つ目の文章から読ませていただきますが、「経営者は、継続企業の前提に基づき財務書表を作成することが妥当であるかどうかを判断し、企業の事業継続能力に関わる懸念事項について適切な開示を行わなければならない。」というのがあって、したがって、これが存在する場合でも「監査人の責任は、企業の存続の可否そのものを認定し、これを保証することにはなく、その懸念事項が適切に表示されているか否かの判断」というふうにつながっています。

すなわち、企業を経営していく、経営上の責任は当然経営者にあるので、そこで生じるリスクに対する対処なりディスクロージャーというものも経営者に基本的には責任があること。監査人はそれを前提としておりますので、監査人自らが企業の存続の可否そのものをいいとか悪いとかということを判断するものではないということを明確にしております。

それから次の段落のところでございますが、ここは、まず公開草案では、疑義を大幅に緩和させるための対応及び経営計画について検討するというふうになっておりました。これは読み方にもよるとは思うんですが、疑義が解消するか否かを検討するというふうに読めると。そうするとその疑義、つまり企業が継続するかしないかということを検討するんだということにつながってしまうのではないかと。それは監査人としては踏み込み過ぎであって、それはむしろ経営者の責任なり、経営の範疇に入ることではないかというご意見がございましたので、そこが誤解がないように、「当該事象等を解消あるいは大幅に改善させるための経営者の対応及び経営計画について検討する。」ということで、あくまでもその原因となっている事象等が解消するのか、あるいは改善するのかということに対する、そうさせるための経営者の対応等を検討するんだということで、その疑義が解消するかどうかというふうな誤解がないような文章になっております。

そうしますと、第3段落ですが、「その結果」というところですが、ここは公開草案では非常に複雑な構造になっておりまして、公開草案を見ますと、「継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況が存在している場合において」という一つの条件があって、「当該事象や状況の大幅な改善に重要な不確実性が残るときに」というもう一つ条件があって、それらの事象や状況及び経営計画等が財務諸表において適切に開示されていれば適正意見ですよというような、その2つの要件のような形で並んでいたわけですが、これは基準の方も同じですが非常にわかりにくいと。特に、その「疑義」という言葉と「不確実性」というのがどういう関係になるんだというご指摘がございました。

ここは、そんなに大きく本質的に変わるものかどうかという、あるいは本質的に分けなければならないものかどうかというご議論をいただきまして、その結果修正をしております。

そこでは、「継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況が存在し」、そこまでは同じでございます。「当該事象等の解消や大幅な改善に重要な不確実性が残るため」と、そのような状況が存在して、その事象が大幅に改善するかどうかよくわからないからというような形で、文章としてはつなげておりまして2つの要件という形にはなっておりません。「残るため、継続企業の前提に重要な疑義が認められる場合には」ということになっております。

この「継続企業の前提に重要な疑義が認められる場合には」というのも、判断基準として修正をしております。すなわち、監査上は当然監査基準の本体の方の構成でもそうなっておりますが、まずそういう事象を継続企業の前提として財務諸表をつくることがいいのかどうかということを監査人は念頭に置くんですよと。それから、それに疑義を抱かせるような事象があるかどうかを確認していきますと。そして、その事象が存在していれば、それに対する会社側の対応等を評価しながら最終的に疑義が残るのかどうか。要は、不確実な状況がまだ残るのかどうかということで、それが残っているということであれば、そういう状況が適切に開示されているかどうかということに対して意見を言うという構成になっております。

したがいまして、監査上の判断といたしましては、やはりその「継続企業の前提に重要な疑義が認められる場合には」という形で、事象があって疑義が残っているかどうかというところが一つの判断のポイントになるということを明確にしております。

それから、その下のところに幾つか「無限定適正意見」あるいは「除外事項を付した限定付適正意見」と四角が入っておりますが、これはまた別の意味で、要望としてどちらがいいかということでございます。ちょっとここは枠組みの最後のところでご説明をしたいと思います。一応監査上の枠組みとしてはそういうような形に修正をしております。

そして、(3)「継続企業の前提に関わる開示」と変えた方でございます。ここの「疑義」というのは疑義を何か開示するのか、それとも疑義についてどうこうと言っているわけではないので「開示」というふうに変えております。

1つは、1行目ですが「継続企業の前提に影響を与える可能性がある事象や状況」と。「可能性がある」というのを入れております。これは広い意味でリスク情報を指しているということを明確にする意味で、「可能性がある」というものも含めると大変広範になってしまって、その影響の重要度や発現時期が混淆し、却って投資判断の有用性を損なうという文章につながるものですから、可能性があるのをみんな入れてしまうのはちょっと行き過ぎですよということをここでいっているわけでございます。

それから9ページでございますが、9ページの方は、基本的には企業の継続性に重要な疑義を抱かせる事象や状況の内容としましては、公開草案を特に修正はしておりません。ただ、ここでは、先ほど判断基準としては疑義というのが一つの基準としたわけですが、ここでは開示の方は従前どおりにしております。不確実性が残るため重要な疑義が認められるというような要件は特に入れておりません。

この点については、開示のメルクマール、一応の例示ですので、基本的には幾つも要件をつくるというのはまた非常に複雑になるということでございますので、特に公開草案からは変えておりません。

それから、最後のところに下線がございますが、これは注記の内容といいますか、どういったことを書くのかというところですが、従前は「その内容及び経営者の対処や経営計画等について財務諸表の注記を義務づける」ということでさっと書いていたんですが、これは、むしろ重要な不確実性があるということもあわせて注記すべきであるという意見がありました。つまり、こういうことがありましたということだけになってしまうとまずいんですよと。これまでのご審議でもご紹介がございましたように、米国などの例で見ますと、やはりどういう意味があることなのかということも書いてありますので、そこまで入れるべきであるというご意見だったかと思います。

ただ、ここで注記の具体的文章まであらわすということはちょっと適切ではないので、「その旨」ということと、「財務諸表に与えている影響」と若干抽象的ですが、これを加える修正をしております。

したがいまして、考え得るとしますと、例えば企業が将来に渡って事業活動を継続するとの前提、ゴーイング・コンサーンですが――に重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在している旨、存在していますと書いて、そして、具体的な事象とはこういうことですと。それから、それに対して経営者の対応状況や経営計画はかくかくですと。そして、その疑義に関する影響は財務諸表に、恐らく継続企業で作っている財務諸表には反映はされていないと、修正はしていないというようなことが注記の具体的な要素になってくるという趣旨でございます。

それから、また戻ってもらいまして用語の問題でございますが、「適正」、「不適正」ということなんですが、この四角を付してあるのは、現段階では両案を併記しているという意味でございます。この点につきましては、例えば報告基準の三から六も同じように直しておりまして、ちょっと17ページをお開きいただきますと、ここ以下ですね、公開草案で「無限定適正意見」と書いてあるところの「無限定」に四角をしてございます。それから、「除外事項を付した意見」というのに、「除外事項を付した限定付適正意見」というふうにしております。

ここは、「限定意見」という言葉は使い倣わされているので復活してはどうかというご指摘がございました。また、「無限定適正意見」という言葉を使う以上は、「無限定」があるんですから「限定」があるというのが普通の解釈になるということなんですが、しかしながら「限定意見」という言葉を使わなかった趣旨は、やはりその「限定」という言葉の意味するところが曖昧、あるいは誤解されるのではないかというようなご指摘が非常にございまして、そこで「除外事項を付した意見」という形で使っていたわけですが、ここら辺を「無限定適正意見」という用語との対比におきまして、最終的にどのような用語が適切かというのはなおご議論をいただければということでございます。あわせてその部分も説明をさせていただきました。

以上でございます。――済みません、それからちょっと抜かしましたが、継続企業の前提に関しましては基準の方も同様に直しております。

16ページをごらんいただきたいんですが、1つは、実施基準の最後のところの6、これはいわゆる現在の経営者確認書のところでございますが、この中身として「財務諸表の作成に関する基本的な事項」というのを加えました。これは、継続企業を前提として財務諸表を作成していることという趣旨も含めて経営者確認書に記載するということでございます。これは、大意はないんですが、従前の文章ですと「経営者が採用した会計方針」というふうになっておりまして、この継続性の前提に関することが会計方針なのかどうかというのがいま一つはっきりしなかったので、「財務諸表の作成に関する基本的な事項」という言葉というのを追加して、その「基本的な事項」ということであれば、当然継続企業を前提として財務諸表をつくっておりますと、通常の会社はそういうことになると、そういう旨が表明されるという、当たり前と言えば当たり前なんですが、一応そこは読み込めるような形で追加をさせていただいております。

それから最後のページなんですが、18ページの「追記情報」のところでございますが、ここの例示の(2)「継続企業」のところですが、ここも従前は「継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況に関わる事項」としていたんですが、特にこれでも問題はないのかもしれないんですが、1点ご指摘があったのは、全くこの文章表現が先ほどの前文のところと一緒でございますと、要は注記をしたことをそのまま写すのかというご指摘が公開草案に対してございました。必ずしもそのままそっくり写すということではないんではないかと。監査人のそこには判断があるんではないかということでございますので、ちょっとその表現を完全に詰めてはおりませんが、若干ぼかして「継続企業の前提に関わる事項」というふうにちょっと簡単にあらわしております。ここはそのようなご意見に対応した部分でございます。

以上でございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。

ただいま内部統制の概念のところの追加いたしました経営者の責任といいますか、その辺についての監査人の内部統制の重要な欠陥を発見した場合には経営者等に改善を促すという、その項が入った点、及び継続企業の前提につきましてはかなり大幅に検討が加えられております。起草委員会でも大変時間をかけてご議論をいただいておりますので、ご意見もいろいろあるかと思いますので、どうぞ、ご自由にご発言をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。

内藤委員、どうぞ。

○内藤委員

ゴーイング・コンサーンの関係で少しいろいろと、質問とちょっと確認と両方混同して申し上げますけれども、6点ばかりお伺いします。

まず1つ目、8ページの先ほど説明いただきました(2)「監査上の判断の枠組み」の第3パラグラフに、「その結果、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況が存在し、当該事象等の解消や大幅な改善に重要な不確実性が残るため、継続企業の前提に重要な疑義が認められる場合」というふうに、監査人の判断の内容が明示され、そして整理されたと、これは非常に好ましいと思うんですね。

ところがですね、不確実性が残るために重要な疑義があるから、その場合には意見不表明になったり不適正を出したりするということなんですけれども、ここで、まず重要な疑義を抱かせる事象や状況が存在するという前提ですね、そして、かつその事象の解消や大幅な改善に重要な不確実性が残るという2つ目の判断がありますよね。では、最初に重要な疑義を抱かせる事象や状況が存在していって、しかし、その結果として、将来は重要な不確実性がなくその事象が解消され大幅な改善が見込まれるという時には、すなわち重要な疑義が認められない。そうすると、これについては何もしないのかということなんですね。

と言いますのは、前回加藤先生の方から、関西監査研究会の意見で意味のわからない意見が出てきたという質問がございまして、そこにこの重要な疑義がない時に関する基準を設けてはどうかという意見だったわけですが、これは、私戻りまして研究会の方に確認しましたところ、こういう2つの判断があって、今申し上げましたように、2つ目の判断を経た結果重要な疑義がなくなったと、そういう場合について開示の必要性を考えるとか、あるいは今回の改正の追記情報をそれでもなおかつやるのかどうかということに関して指示がないではないかという指摘だったと思うんですね。

今回のこの修正案では、重要な疑義が認められるということについてはっきりしたわけですけれども、では、その重要な疑義が認められないから何もしないということについて、例えばアメリカの基準のように、それでもなおかつ開示の必要性を検討するというような2つの規定がありましたり、あるいはドイツの場合には、その重要な疑義を抱かせる事象や状況については、必ず監査報告書にも書きなさいというような規定があったり、その辺との整合性についてどういうご議論があったんでしょうかということです。

それから第2点目は、そのすぐ下に「なお、無限定適正意見を表明する場合には、監査報告書に情報を追記することになる。」と書いてあります。これは言葉の意味ということかもしれませんけれども、情報を追記しなければならないんでしょうか、あるいは、追記情報の対象となる場合に相当するというふうに読むのでしょうか。これはいずれでしょうかということですね。

もししなければならないとすると、基準の方にも追記情報の中に、こういう重要な疑義が認められた時には追記情報を強制するというような規定を設けるべきではないでしょうか。これが2つ目です。

それから3つ目なんですけれども、その下の(3)に「継続企業の前提に関わる開示」ということで、これも前回にお願いしました開示の基準をここに設けていただいたんではないかというふうに、非常にありがたく思うんですけれども、これも、この規定をもってこれは開示基準というふうに理解してよろしいんでしょうか。あるいは、これがさらに府令とかガイドラインとかに反映されていくんでしょうか。その点のご確認をしたいということです。

○脇田部会長

内藤委員、6つおありになるとおっしゃいましたので、ここでちょっとこの3点について検討させていただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。

○内藤委員

はい。

○脇田部会長

この点については起草委員会でも確かに大変議論が繰り返されたところでございますので、この点も山浦委員、ご発言いただければありがたいと思います。

○山浦委員

まず第1点でありますけれども、今のところ我々は重要な疑義を抱かせる事象や状況が存在する場合に、最終的にはこの不確実性そのものがかなり解消されて、基本的にはその疑義が残らないと、こういう場合には開示は必要ないという立場をとっております。

確かに投資家サイドからしますと、その重要な疑義、それがたとえある程度の将来性が解消されたものであっても開示は必要ではないかという指摘、それから、そういった基準があるということも知ってはいるんですけれども、そのあたりの判断については、やはり経営者並びに監査人の責任の範疇で解決すべきではないかという理解で今のように対処しているわけでございます。

それから、2番目の追記情報の件ですけれども、とりあえずここでは追記情報としての記載の対象となるという位置付けでしております。これも、後ほど追記情報のところをもう少し細かい検討を、さらに監査基準の確定に当たりましてもう一歩踏み込んで我々検討したいと思っております。その時にもう一度、内藤委員のご指摘については検討させていただきます。とりあえず今は対象となるというような理解であります。

それから、3番目は私どもではなくて多賀谷さんの方から。

○脇田部会長

では、事務局からお願いいたします。

○多賀谷課長補佐

若干1番目の質問とも関わるかと思うんですが、基本的には、具体的な規定としてはどこまでというのは今のところわかりませんが、注記をする必要があるというご提言に対してはしかるべく、最終的にどこまでが府令というか財務諸表規則になるかというのはまだわかりませんけれども、法令的な対応をさせていただく予定でございます。

その際に、今1番目の質問との関係で、この前も起草委員会でご議論いただいたんですが、監査の枠組みとしてはやはり疑義が残るか残らないかということで、残らなければ当然監査人としてはそれに対応する必要はなくなるということだと思うんですが、情報開示の面からは非常に抽象的になりますので、疑義があるかないか書きなさいと。あると思ったら書きなさいというのはちょっと抽象的になりますし、また、その判断基準も非常に現実には難しいということですので、そこは、どちらかというとアメリカやドイツとかと同じように、開示は基本的にはそういうある一定の客観的な事象が生じた場合には、一応疑義があるものとして注記をしていただくという方を原則としておくということになろうかと思います。

当然、その中で完全に疑義が解消されてしまった場合にどうするのかと。例えば期末には何らかの問題があったんですけれども、その財務諸表を開示するまでに完全に解消してしまったと、資金調達の用意ができたとか、あるいはその逆もあると思うんですけれども、疑義よりももっと先にいってしまったという場合もあると思うんですが、そういう個別の具体的な対応については、また具体的なもう少し実務的な取り扱いで考えていけばいいのではないかと。基本的にはここにお示しいただきましたように、開示の方はある一定の状況というところに着目して基本的には開示をしていただくということを考えております。

○脇田部会長

ありがとうございました。

ただいま3点ほど、今内藤委員からご指摘をいただいて議論をさせていただきましたが、3番目の開示基準の問題は今事務局からお答えいただきましたけれども、特に1番、2番等をめぐりましてほかの方からご発言がございましたら、どうぞご発言いただきたいと思います。

加藤委員、どうぞ。

○加藤委員

この8ページの(2)「監査上の判断の枠組み」のところで、今内藤先生の方が指摘されたところですが、この3番目のパラグラフの上から3行目ですね。ここに「その疑義に関わる事項が財務諸表において適切に開示されていれば無限定適正意見を表明し、それらの開示が適切でなければ除外事項を付した限定付適正意見を表明する」ということで、ここで解釈する限り、この疑義に関わる事項の開示というものが監査人の意見を左右するというふうにここでは書いてあると思うんですね。

ところが後ろの方へ行くと、次の(3)の開示のところへ行くと、9ページの傍線が引っ張ってあるところですが、その旨、その内容及び当該事象等に対する経営者の経営計画等並びに財務諸表に与えている影響について注記する、開示すると。この右側のコメントを見ると「財務諸表注記に関しては、特に、不確実性は残るため重要な疑義が認められた場合という要件は入れていない。」ということなんですが、そうしますと、前の(2)と(3)の間で整合性がなくて、(2)の方では疑義に関わる事項の開示を適切にしなさいと。適切でなければ意見を限定しなさいと言っておいて、後ろの方では、それは開示には入れないんだというここが何か整合性がとれていないというのが一つと、あと監査人としては、疑義が開示されていないのにそれに基づいて監査意見を述べるというのは、では、監査人は何に基づいてその意見形成をしたのかということが財務諸表利用者にはわからないと思うんですね。この辺のことをちょっと。

○脇田部会長

事務局からお願いいたします。

○多賀谷課長補佐

その点につきましては、むしろちょっと逆の解釈をしておりまして、(3)の方が1つの要件で開示をしますので、ある事象が存在した場合には開示をするということが前提となっておりますので範囲が広いと。(2)は、その中で、つまり疑義が残っているかどうかというところに着目して監査上は判断になるので、場合によってはある一定の事象が生じているけれども、先ほど山浦委員からもご指摘がありましたが、疑義が解消してしまっているという場合があり得るということでございます。

ですから、そこは先に企業の方が注記をしますので、会社側に求めることとしては、一応ある一定の要件を満たした場合には、事象が生じた場合には基本的には疑義があるものとして開示をしていただきたいと。その中で、もちろん疑義が解消する場合もございますので、監査人のポイントとしては、そういう事象があるかないかではなくて、あった上でさらにその疑義がどうなっているのかということを判断するということでございます。

それで、この(3)の注記の内容については、一応そこの部分は「その旨」という形で示しておりまして、ただ「その旨」というのが重要な不確実性があるということを書かないということではなくて、その疑義を抱かせる事象や状況があるということは書いていただくということを想定しております。ただ、ちょっと不確実性という言葉をここで注記の言葉として具体的に出してしまうのがちょっと、表現として決めてしまうというのはいかがなものかということもございますので、そこは「その旨」と。つまり「その旨」というのは、その前の文章で「継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象は存在する旨を書く」という形でカバーをしているということでございます。

○加藤委員

ちょっとなかなかわかりづらいんですが、そうするとこの「その旨」ということは、先ほど内藤先生がご質問されたように、この疑義を抱かせる事象や状況が存在するけれども、その計画とか何かその対処の仕方によっては重要な不確実性がなくなったという場合も入るということなんですか。

○多賀谷課長補佐

基本的にはそうでございます。

○加藤委員

そうすると、それはなくなったのに、「その内容及び当該事象等に対する経営者の経営計画等」とか「財務諸表に与えている影響」、この「財務諸表に与えている影響」というのがよくわからないんですが、なくなったのにこういう経営者の経営計画とかも書くということなんですか。

○多賀谷課長補佐

そこはまだ、具体的な取り扱いになると思うんですが、表裏の関係でいきますと、まずある事象の方をとらえて一律に考えると。その上で、個別具体的にその開示のタイミングまでに事象がなくなるというようなことも現実には起こり得ますので、そういう場合の対処はどうするかと。例えば記載をしなくていいのか、それともそういう事象があったということで書くのか、それとも書いた上で、解消したということを後発事象で書くのか、いろんな具体的な対処はあると思うんですね。ただ、記載する要件としてまず疑義が残った場合だけ書きなさいというふうにすると、ある人にとっては、疑義があるような重要な事象は存在しているのに、その判断として疑義はないという判断をする。つまりそうしますと、経営計画は出てこないわけですね。それで書いていませんということになるのはまずいのではないかと。

ですから、ある一定の事象がある時には、基本的には注記をするということをまず前提とした上で次の判断なり、その監査上の判断としては、疑義が解消していれば書いていないということもあり得るというふうに枠組みをつくってあるということでございます。

○脇田部会長

はい、どうぞ。

○加藤委員

済みません、もう一つこれに関連してなんですが、この(3)の9ページのところですね、この財務諸表に与えている影響について注記すると。これがコメントの方を見ますと、これの意味が先ほどのご説明によると、その疑義に関する影響は財務諸表に反映していないということを注記するということですね。

だから、何となく本文の方を見ると、「財務諸表に与えている影響」ということは何か反映しているというような表現にとれるけれども、コメントの方を見ると財務諸表に反映していないことを書きなさいということで、ちょっとこの「財務諸表に与えている影響」というのがこれだけでわかるのかなという気がするんですけれども。

○脇田部会長

この点については、先ほど多賀谷課長補佐からもご発言ありましたけれども、今後の開示のいろいろな規則等との関わりもございますし、それから、今ケースを設定していく上でなかなか整理が難しいところもございますので、なお今いただいたご指摘を受けて、この点は検討をさせていただきたいというふうに思っております。

それでは、内藤委員からあと3つおありですので、どうぞご発言ください。

○内藤委員

続きといいますか、今のご議論とも少し関係しているんですけれども、先ほどの(3)の「継続企業の前提に関わる開示」に関しては多賀谷さんの方から、例えば継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況が存在しているということを書かせるというふうに具体例でおっしゃっていただいたんですけれども、私はまさにその開示の基準の中に「継続企業の前提に関し重要な疑義を抱かせる事象や状況」という言葉を必ず書くという、その表現ですね、これをきっちり開示基準の中に入れていただかないと、この辺をあやふやに書かれてしまいますと、では一体これは何の開示かというのがわからなくなっては困ると思いますので、ぜひそういう、少なくとも「重要な疑義を抱かせる事象や状況」という言葉を入れていただかないと、これまでの特記事項のこれに類したやつではそういう重要な疑義とか、ましては継続企業の前提というのは、ある特定の銀行の場合を除いて一切ないんですね。だから、本当に変わりましたよということであればそういう文言を必ず開示させると、これが大事かというふうに思います。ただ、今のは確認でございます。

そして、基準の方で18ページの方に修正案がございますが、その1番目の基準、「監査人は、継続企業の前提に重要な疑義が認められるときに、その重要な疑義に関わる事項が財務諸表に適切に表示されていると判断した場合は」というふうにかなりすっきりして、非常にわかりやすくなったと思うんですね。ところがその後段で、「それが適切に表示されていないと判断した場合は、除外事項を付した限定付適正意見を表明するか、又は、財務諸表が不適正である旨の意見を表明し、その理由を記載しなければならない。」というふうに書いてございます。

ここで2つ問題があると思うんですけれども、まず1つ目はですね、除外事項を付した限定付適正意見になるか財務諸表が不適正であるというふうに言えるのかどうか、これは「又は」でつながっているんですけれども、この判断基準は何に求めるんでしょうかということですね。

これは上の――上のというのは17ページの四の「意見に関する除外」のところと同じ意味で、その影響が財務諸表全体として虚偽の表示に当たるとするほどには重要でないという判断、これが「又は」の意味なんでしょうか。だとするとこれを含めて、また少しややこしくなるんですけれども、複雑にならないようにこの趣旨を入れるべきかもしれませんし、そしてもう一点は、除外事項を付した限定付適正意見の場合も不適正な意見の場合にも、四「意見に関する除外」のところでは「表明しなければならない」、そして、この場合には、財務諸表に対する意見においてこれこれを記載しなければならないという規定がございますから、ゴーイング・コンサーンの問題に関しても、これと同じ監査報告書に何を書くのかという規定がここに一つ欠けているのではないでしょうか。

以上、後半、確認とご質問というか意見でした。

○脇田部会長

まず第1の確認につきましては、一つの貴重なご提言として伺っておきまして、これからのいろいろな基準を検討する中で、さらに開示について考える時に活かさせていただくということにさせていただきます。

2番目、3番目の点につきまして山浦委員、ご発言いただけますでしょうか。

○山浦委員

継続企業の前提に関することは、なかなか詰めきれないところが幾つかあるんですけれども、1つは部会長の方でお引き取りいただきましたけれども、1番目についてはやはり重要性の判断基準が関わると。ところが、これは表示に関する重要性であるけれども、この問題については、いわゆる継続能力のここに関わってくるわけですね。ですから、恐らく企業の継続能力に極めてドラスチックな関わり方をするような事項については不適正ということになるんではないかと思うんです。

ですから、そういう意味では、いわゆる重要性もほかの財務諸表の表示の、会計処理上の重要性とは、恐らくこのあたりは判断基準が少し変わってくるんではないかと思います。ただ、そこを監査基準の中で明確にするということが、検討はしてみますけれどもそれができるかどうかですね、そのあたりはちょっと我々の方で、部会長の方でおっしゃいましたので引き取って検討いたします。

それから2番目については、その除外事項を付す場合の記載事項を何を記載するのかと、明確にすべきかと。その件についても、確かにこれら等何を記載したらいいのかというのがわからないと。確かにそうなんですけれども、ある程度我々は実務指針の方でお任せするというところもありまして、一定の合意みたいなものもありますけれども、ただ、その点についてもこの基準の中で明確にできるかどうか、これもやはり考えてみたいと思います。

○脇田部会長

今、山浦委員に起草委員としてご発言いただきましたけれども、この点はいろいろとですね、先ほどのこの件に関しましては、なおさらに詰めて検討させていただくことがいろいろございますので、またご意見を伺うということにさせていただきたいというふうに思います。

それでは、ほかにございますでしょうか。

渡辺委員、どうぞ。

○渡辺委員

8ページの「監査上の判断の枠組み」の中のところなんですが、表現の問題なんですけれども2つありまして、1つは第1パラグラフの最後のところなんですが、監査人の責任について書いてあるところで、「意見表明の枠組みの中で対応するという考え方こそが重要となる。」と。これは公開草案からそうなっているんですけれども、何か最終案にしてはまだ説得調というのか弁解調というのか、もう決めたんだったら「考え方こそが重要となる」ではなくて、もうちょっと言い切った方がいいんではないかという気がします。

それでもう一つ、同じ(2)の最後、(3)の上になるところですが、「継続企業の前提に関わる監査基準の考え方であると理解すべきである。」というのは、これも何となく「考え方である。」で何かすっきりとするような気がします。

こちらの方は、私としてはすっきりそれで済むと思うんですけれども、上の方は「監査人の責任」というところなので、ここはまたいろいろご意見が出るんだとは思いますが、すっきりさせるという意味では、ここは二重責任の原則ということで出てきて、まず経営者の責任をいっているわけですから、「監査人の責任は」、後ろの方に行きまして「すなわち、会計処理や開示の適正性を保証するものである」と。強過ぎると言われるかもしれませんが、「という考え方こそが重要となる」というのは、何かもう一つこういう意見書としては生ぬるいなという感じがします。

○脇田部会長

重要なご指摘ですけれども、今の点は、特にこの継続企業の前提につきましては、要するに監査人の意見という枠組みの中でということが、今ご指摘のように、単なる情報開示とかその他のものに関わるというふうに非常に範囲が広がってしまうという危険があるものですから、特に研究者的な発想がちょっとここに残されているということで、ご指摘の点については作文上工夫をしなければならないと思いますし、また、監査基準の考え方を理解すべきであるという点も、この辺は確かにご指摘のとおりだと思いますが、この点山浦委員、いかがでしょうか。

○山浦委員

この継続企業の前提に関する監査基準というのは、ややもすると、その企業の存続能力についての監査人のご託宣というか、一定の評価、存続能力そのものについての評価ということでとらえられがちなんですね。したがいまして、そこを何とか、その点の誤解をできるだけ避けたいという趣旨でこういった表現をあえて使っております。これは気に入らないと言われれば、それを変えることもやぶさかではないんですけれども、私どもがこういった表現を使った趣旨はまにさそこにあるわけです。

○脇田部会長

ありがとうございました。

角田委員、どうぞ。

○角田委員

ちょっと極めてアバウトな簡単な質問を3つお願いしたいんですが、1つは、前回の資料を見てみますと、ゴーイング・コンサーンの定義や表現について検討してはどうかというご意見が出たという話が書いてあるんですが、それについてはどこかで検討されて、どこでどういうふうに反映されているのかなということが第1点。

それから2番目に、この7ページ目の「内部統制の概念について」というところですけれども、まさに線が引いてありますが、「監査人としても、内部統制の重要な欠陥を発見した場合には、経営者等にその改善を促すことが望ましい。」と。これは素人として見れば、ああ、それは当然ですねと思いますけれども、その監査人としての責任という点でもこういうところも入ってくるというふうな考え方なのかどうかということ。

それから3番目はですね、その次の8ページ目ですけれども、これは(2)のところですが、「経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが妥当であるかどうかを判断し」というふうに書いて、そして「適切な開示を行わなければならない。」というふうに書いてありますけれども、これは判断する前の話ではないかと。素人で見ますと、例えばそれを検討して、その懸念事項があればそれを開示しろということではないのかなと思うんですが、ちょっと簡単で結構ですけれども。

○脇田部会長

今3つほどご指摘をいただきましたけれども、この点も起草委員会ということで……、まず1番については事務局からちょっとお願いいたします。

○多賀谷課長補佐

定義はですね、一応ゴーイング・コンサーンというのは基準の方に置くということではなくて、前文の6の「継続企業の前提」の(1)の「企業が将来にわたって事業活動を継続するとの前提」ということで、継続能力というのをつけた方とかという意見があったんですけれども、一応それはこのままでこの定義にするということにしております。

○角田委員

「将来にわたって」というのは1年ということを言っているわけですか。

○多賀谷課長補佐

それはですね、非常に実務的には難しいところがあると思うんです。1年以上といういろいろな意見がございましたので、そこは最低1年ということで、1年以上の評価もしてはいけないということではないというふうになっておりますが、1年はということでしております。

○脇田部会長

それでは、2番目の内部統制に関するところ及びただいまの経営者の開示のところについて、山浦委員ご発言いただけますか。では、お願いいたします。

○山浦委員

今回リスク・アプローチというのを採用しておりまして、そのリスク・アプローチの中には、内部統制の機能状況を評価して、そこに関わるそのリスクを最終的な発見リスク、つまり監査手続の中身に反映させるという仕組みをとっております。また、これは世界的にも認められたシステムであると。そういうことを前提にしておりますので、この企業側の内部統制の整備状況というのは、この監査を実施する上で極めて重要なポイントであります。逆に言いますと、企業側にその内部統制が十分機能しておりませんと、監査上も何かと制約がかかってきて、むしろそのコストもかかるし、あるいは、場合によっては監査そのものが成り立たないというケースもあります。

したがいまして、監査をスムーズに行う上でもこの内部統制の機能促進について、経営者に対していろんな形でアドバイスして協力してもらうと。おこがましい話ですけれども、これはまた経営の方にもプラスになるだろうと思っておりますけれども、ただ、ここに表現として、「改善を促すことが望ましい。」と少し下がった表現をしております。ここまで監査人の責任として明確にするということになりますと、今の日本の仕組みの中ではそこまでは言えないのではないかということもありまして、こういった表現にとめているわけです。

ただ、趣旨としては、やはり監査人は経営者側に内部統制に大きな不備があれば、これは改善について協力を要請するというのは、監査人としては当然であろうと考えております。

○脇田部会長

もう一点の、山浦先生、もう一つお願いいたします。経営者の継続企業についての開示なんですけれども、懸念事項について適切な開示を行わなければならないというところなんですが。

○山浦委員

改めて言うまでもないんですけれども、財務諸表を作成するための会計基準というのはゴーイング・コンサーンが前提として成立しておりますので、そのゴーイング・コンサーンを前提としてその会計基準を適用して、その上で財務諸表を作成するのが適切かどうか、それについてはやはり経営者が第一義的に判断すべき事柄であろうと。こういう趣旨なんでありますけれども、当然それに伴っていろんな附帯条件なり懸念事項があれば、これについてもやはり経営者サイドで開示していただくと。それをもとにして監査人が評価をするという仕組みをとっております。

私の方でこの点についてお答えするのは、とりあえずそういう趣旨であるということを確認するだけでありますけれども。

○脇田部会長

よろしゅうございましょうか。

それでは、時間がそろそろ迫ってまいっておりますので、以下全体につきまして、事務局からご説明をいただきたいと思います。

○多賀谷課長補佐

それでは、少しスピードを上げて説明させていただきたいと思います。

9ページからでございますが、「情報技術の利用」につきましては、従来情報技術の高度化というのを非常に強調し過ぎていたんですが、もうこれは一般的な問題ではないかというご指摘がございましたので、高度化に関わらず監査上重要だということで、その表題を含めまして若干修正をしております。

それから、8の「実施基準に関わるその他の改訂事項」でございますが、(2)「監査要点と監査証拠」の中で監査要点の例示として列挙しておりますが、公開草案では「認識する期間の適切性」というのがございました。これが非常にわかりにくいという意見が多数ございましたので、「期間配分の適切性」というふうに修正をしております。

それから10ページは、先ほど申し上げた指針とか若干の語句の訂正だけでございます。

それから、9の「監査意見及び監査報告書」でございますが、ここは10ページ以下ずっとですが、11ページにまず用語の問題として「適用方法」あるいは「表示方法」というところがございますが、「適用の方法」あるいは「財務諸表の表示」といっていたのを、「適用の方法」は「適用方法」に、それから「財務諸表の表示」というのは、全体としての財務諸表の表示というのと、その中の個々の項目の記載というんでしょうか、表示の問題とを分けるために、ここでは個々の問題をいっておりますので「会計処理や財務諸表の表示方法」というふうに用語を若干使い分けるような修正をしております。以下、同じような修正を、基準もあわせてしております。

それから、新しいところにつきましては(2)の「監査報告書の記載」でございますが、これは内容的に変えたということではないんですが、報告基準の三、17ページをご覧いただきたいんですが、17ページに「無限定適正意見の記載事項」というのがございまして、この冒頭の下線は、先ほど「監査の目的」の修正にあわせて変更がしてございます。

それから、(2)の「実施した監査の概要」の書き方なんですが、従来ですと、経営者による会計方針の選択及び見積もりの評価というところの文章が後ろに来ていまして、「全体としての財務諸表の表示を検討する」というのが「ともに」となっているんですが、この全体としての財務諸表の表示の検討というのは全体ですので、評価も入っているということですのでちょっと文章の順番を入れかえて、「監査は経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積もりの評価も含め全体としての財務諸表の表示を検討していること、監査の結果として」というふうに、ちょっと文章の順番を入れかえさせていただいております。

それから、11ページの「監査報告書の記載」のマル2でございますが、ここ自体は「限定付適正意見」という用語だけなんですが、ここの具体的報告基準の三から六のところ、やはり17ページの四「意見に関する除外」でございますが、この用語のほかに1の最後のところでございますけれども、「除外した不適切な事項及び財務諸表に与えている影響」ということを変えております。特に「除外した事項」というのは明確に不適切な事項としたんですが、「影響額」というのを「財務諸表に与えている影響」としました。

これは、公開草案に対する意見で、必ずしも金額が書けない場合があると。それから、そもそも注記等金額的表示になっていないものについては金額は書けないではないかということがございましたので、「財務諸表に与えている影響」ということで、それを含めた影響という形で言葉を変えさせていただいております。

それから、次に17ページの一番最後、五の「監査範囲の制約」のところでございますが、ここも言葉の訂正とともに、「この場合には」という一番最後の行ですが、「この場合には、実施した監査の概要及び財務諸表に対する意見において、除外した事項を記載しなければならない。」となっていたんですが、ここも影響がありますので、正確に「この場合には、実施した監査の概要において、実施できなかった監査手続を記載し」と、それから「財務諸表に対する意見において、当該事実が影響する事項を記載しなければならない。」ということで、記載場所と記載内容を正確にしております。

それから、12ページといいますか、18ページをごらんいただいた方がいいと思うんですが、追記情報は、基本的には先ほど申し上げた(2)の表現、文章だけが変わっているんですけれども、追記情報の性格自体の整理につきましてはご意見があったんですけれども、今のところ、この前文の方でも基本的には変更しておりません。ただ、先ほど「継続企業前提に関わる事項」で加藤委員からのご指摘もありましたし、内藤委員からのご指摘もありまして、追記情報としてはどういうふうに書かなければならないのかということもございますので、追記情報のそもそもの性格という意味もなおご検討いただればというふうに考えております。

それから、12ページの「中間監査基準」以下「実施基準」については、中間監査基準について今後また引き続きご検討いただくわけですが、公開草案に対するご意見に対して先般ご議論いただいた中でも、当面は現行の中間財務諸表という制度の中でどう監査するかということを議論すればいいのではないかということでしたので、そのことだけをつけ加えております。あとは語句の修正だけでございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。

それでは、残されました部分について、ご自由にご発言いただきたいと思います。

非常に細かい修正といいますか、語句の修正、あるいはその語句の使い方について意見がそれぞれ多様におありになるというところもございますので、どうぞ忌憚なくご発言ください。

山浦委員、どうぞ。

○山浦委員

ご意見を先取りするような形で恐縮なんですけれども、起草委員も精いっぱい時間を使って議論をしておりますけれども、今、多賀谷課長補佐の方からご説明ありましたように、追記情報のところについてはまだ検討が足りないところがあります。それから、継続企業の前提とのかかわり合いでも、その点だけ、とりあえず今回の修正案を入れているんですけれども、それもまた不十分なところがあるのではないかと考えております。

したがいまして、この点については、また次の部会までに何とか出せるようなものといいますか、こちらの方で提示できるようなものを検討したいと思っております。

○脇田部会長

残された検討事項として、この追記情報について今後も検討させていただくということをまず最初に申し上げた上で、どうぞご発言いただきたいと思います。

こちらから申し上げるとあれなんですが、今意見のところで「無限定」に括弧がついております。あるいは「限定」あるいは「適正意見」、この例えば17ページのところでも、コメントのところに「『限定意見』の用語を使用すべきとの意見があった。」と。「限定の意味が曖昧でありそのまま使用することは避けるが、その対比として、『無限定適正意見』の用語を単に『適正意見』とするかどうか。また、『限定』の用語を使うとすれば、『除外事項を付した適正意見』を『除外事項を付した限定付適正意見』という表現にするか。」といった点につきまして、起草委員会の段階でもいろいろと意見が交わされておりますので、ご発言いただければと思いますが。

山浦委員、お願いできますか。

○山浦委員

たびたび恐縮なんですけれども、監査の実務会、それから、監査論の研究者間でもこの「限定付適正」という、その場合の「限定」とは何かということで長い間議論されております。

2通りの考え方がありまして、そのイクセプション、ある特定の事項を除外した上であとは適正であると、こういった形の意見なんだと。それからもう一つは、「条件付適正」という考え方があります。これまで「限定付適正意見」という用語は一般に使われて、それを当然、英語で言いますと「クオリファイド・オピニオン」で、「無限定適正意見」は「アン・クオリファイド・オピニオン」です。その場合の「クオリファイド」というのが、海外でもやはり「条件付適正」という実務が結構長い間存在していたものですから、そういう2通りの解釈、あるいは実務的に2通りのものが併存しているという事情だったんですね。

一つ今回の基準改訂で明確にしたかったのは、既にもう海外の実務でもその「条件付」というのが排除されております。「条件付」という要するにグレーゾン付で、その点については附帯条件付で適正意見を認めましょうといった趣旨であります。しかし、これでは監査人はそこに逃げてしまうというか、判断の上で白黒をつけないままそこに逃げてしまう可能性がありますので、これは戒めるというのが海外での基準の趣旨でありまして、今回の我々の改訂に当たりましてもその点は活かしまして、やはり「条件付」ということをやめまして、明らかにその「除外事項を付した限定付適正」という概念を入れることによりまして、この「限定付適正」の意味を明確にしたということであります。

○脇田部会長

ただいま山浦委員からご発言をいただいておりますけれども、どうぞ、ご意見はございませんでしょうか。

渡辺委員、どうぞ。

○渡辺委員

学問的に正しいというのは大変重要だと思うんですが、アナリストとかファンドマネージャーの人は、どんなに難しくなっても勉強する時間があるのでそれはいいと思うんですけれども、普通の投資家の人から見ると、何かあまり難しいのがいろいろ出てくるとわかりにくいので、できればある程度既に定着している「無限定適正」とか、「限定意見付」とかという枠組みがあまり変わらない方が、要するに「無限定適正」だと改訂上はちゃんと出ているんだろうと思って、「限定付」というのは何かおかしいことがあるんだなと、そういう見た目の方でわかりやすいというのも重要かなと思います。その中の分析はまた非常に深いものがあって、こういう場合はどうというのはそれはそれで大事なことだと思いますが、最終的に普通の人が見た時に何か変かなとか、これは一応関係上いいんだというのがわかりやすい方がいいんではないかというふうに私は思います。

○脇田部会長

確かに監査人の監査意見が投資家、あるいはこの監査報告書を読む方たちにわかりやすい表現であるということは非常に必要だと思いますけれども、今のご意見を受けて山浦委員、ご発言はありますか。

○山浦委員

と申しますと、従来どおり「無限定適正意見」、それから「限定付適正意見」という用語を基本的に置いて、そしてその説明はもちろん基準の中、あるいは前文でやりますけれども、その用法で結構だというご意見でよろしいでしょうか。

○渡辺委員

ええ。私は、それがそのまま残った方がわかりやすいと思います。会計はとにかくいろいろ変わってきていまして、正直言って何だかわかっていないからわからなくなってきたと。少なくとも、昔のことを知っている人から見ると何だかわからないというのがありますので、ここであまりそういうことを入れない方がいいなというふうに思います。

○脇田部会長

ありがとうございました。

ほかに何か全体的にご発言ございませんでしょうか。

それでは、特にご発言ございませんでしたら、このあたりで意見交換を終了させていただきたいと思います。

本日はいろいろとご発言いただきましたし、重要な点についてご指摘をいただいております。これからも起草委員会等におきまして十分に検討させていただき、本日のご意見を反映させるように、またいろいろ検討すべき点、また新たに加える点もあるかと思いますが検討させていただきたいと思います。

本日は、修正案につきまして一通りご検討いただいたわけでございますけれども、このご議論を踏まえまして、そういう意味での必要な修正を加えてまいたりいと思います。したがいまして、次回もきょういただきましたご意見、ご指摘、あるいはいただきましたご疑念もいろいろありましたのでそれを整理させていただきまして、そして公開草案をさらに修正を加え、それを次回に具体的な文章としてお示しいたしまして、ご検討いただくこととしたいと思っております。

なお、これからの日程でございますけれども、次回は開催時間が変更になっておりますのでご注意をいただきたいと思います。開催日はいつものとおり金曜日でございますが、11月16日、開催時間が少し遅れまして3時30分から5時30分の開催を予定しております。また、詳しいことにつきましては事務局からご連絡をさせていただきたいと思います。

また、年末になりますといろいろとご多用と思いますので、あらかじめお願いをしておきたいと思いますが、年末は12月21日に部会を予定しておりますので、この点もご記憶いただければありがたいと思います。

それでは、本日の部会はこれで閉会させていただきます。

ありがとうございました。

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