平成16年4月26日
金融庁

企業会計審議会第1回第二部会議事録について

企業会計審議会第1回第二部会(平成16年3月25日(木)開催)の議事録は、以下のとおり。

(連絡・問い合わせ先)

企業会計審議会 事務局
(金融庁総務企画局内)
金融庁 (TEL 03-3506-6000)
(内線 3657 、3669)
総務企画局企業開示参事官室


企業会計審議会 第1回第二部会議事録

於 金融庁特別会議室
(中央合同庁舎第4号館9階)

午後4時00分開会

○加古会長

皆様方にはお忙しいところをご参集頂きまして、誠にありがとうございます。定刻にもなりましたので、部会を開催させて頂きます。

本日は第1回の第二部会でございますが、初めに私から皆様にご報告をさせて頂きたい事項がございます。それは、第二部会の方はこれまで脇田委員に部会長をお願いしてまいりましたけれども、脇田委員から、新たな審議の開始に当たりまして、部会長を交代してほしいという申し出がございました。

部会長は、企業会計審議会令第6条第3項の規定がございまして、これに基づいて会長が指名することとされております。そこで、私から山浦委員に第二部会の部会長をお願いするという形で指名させて頂きました。したがいまして、今後は山浦部会長の下でこの第二部会を進めさせて頂きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

山浦委員よろしくお願いいたします。

○山浦部会長

山浦でございます。よろしくお願いします。

○加古会長

それから、この部会の所属でございますが、これも企業会計審議会令によりまして会長が指名することとなっております。本日ご参集の皆様には、既に本日の第二部会のご案内を差し上げているところでございますが、本日欠席の方もございますので、お手元に第二部会の名簿をお配りしてございますので、それをご確認頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

以下、この部会の運営は山浦部会長にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○山浦部会長

ご紹介を頂きました山浦でございます。今後ともよろしくご協力をお願いいたします。

それでは、これより議事に入らせて頂きます。

まず、当部会の審議事項について確認させて頂きます。

ご承知のように、2月20日に開催されました総会におきまして、財務諸表の保証に関する概念整理を当部会の審議事項として決定しておりますけれども、ここで審議事項として決定された背景などにつきまして、国際的な動向も併せて、事務局からまずご紹介して頂くということにしたいと思います。事務局の担当、よろしくお願いいたします。

○多賀谷課長補佐

それではご説明させて頂きます。お手元に資料の1-1、1-2、1-3、1-4というのをお配りしてございますので、これに基づきましてご説明させて頂きます。

ただいま部会長からもございましたが、当部会の審議事項につきましては、先般の総会におきまして、財務諸表の保証に関する概念整理と決定されております。その背景といたしましては、2005年問題と言われます状況がございます。これにつきましては、総会の折に配布されました資料をお手元の黒い表紙の資料集に綴ってございます。ただ、資料全体の説明は総会の繰り返しにもなりますので、監査に係る事項についてこれから簡単にご説明させて頂きたいと思います。

既にご承知と思いますが、欧州におきましては、EU域内の上場企業に2005年から国際会計基準を採用するということと併せて、監査については国際監査基準(ISA)によってはどうかという提案がされております。我が国の監査基準は、当審議会において14年の1月に全面的に改正されまして、国際的な水準と遜色のないものとなっておりますので、監査につきましては今のところ直接影響はしないというふうに考えておりますけれども、国際監査基準の議論では、所謂レビューなど監査以外の業務に関する基準も組み込まれております。このような種々の業務を整理した枠組みというのが概念整理として構築されているという状況でございます。

我が国におきましても、今後、四半期財務情報の議論が深化していくと思われますので、監査以外の方法による監査人の関与といった事柄が課題となってくるのではないかと考えられます。

その際、公認会計士が関与する個々の業務につきましては、それぞれに何らかの基準が個別に検討されることになろうかと思いますけれども、その前提として、監査以外の業務を含めた、国際的には保証と言われておりますこの枠組みにおきまして、それぞれの業務の目的や役割の観点からどのような違いがあるのか、あるいはどのような共通点があるのか、個々の基準の整備が今後整合的に進められるよう、その基盤となる概念を整理しておくことが必要ではないかといった趣旨で審議事項とされたものでございます。

少々付け加えさせて頂きまして、国際的な動向についてご説明させて頂きたいと思いますが、国際監査基準というものが形成されてきた議論の経緯でございますが、資料の1-1というのがございます。ここに簡単にまとめてございますけれども、そもそもは1977年に国際会計士連盟(IFAC)が発足しまして、IAPCというその中の委員会で国際監査ガイドラインの作成が始められたことがこの淵源となっているわけでございます。

その後、2002年に国際会計士連盟の組織改革によりまして、資料1-2に図がございますけれども、ちょっと小さくて申しわけございませんが、このような組織になりまして、国際監査・保証基準審議会(IAASB)、これが発足をしたところでございます。18名の理事から構成される理事会で、高品質の世界的な基準を開発するということを目標としております。こういう意味での国際監査基準の作成を行っているわけですが、今年からは金融庁と米国PCAOBがオブザーバーとしてこの議論に参加をしております。現在2005年を目指して国際監査基準の開発・改定が進められているところでございまして、ちょうど昨年の12月には、この保証業務の国際的な枠組み、まさにフレームワークに関する部分が基準として公表されたところでございます。

次に、国際監査基準を巡る各国といいましょうか、EU等の動向でございますが、長らく国際監査基準というのは国際会計士連盟の中で、会計士さんたちの中での問題ということで、各国の監査制度との関わりはほとんどございませんでした。ただ、国際会計基準というのが同じような経緯をたどってきたわけでございますけれども、国際会計基準の方が先に注目をされたかと思うのですけれども、そのような経緯の中で、1992年にIOSCOにおいて多国間公募、すなわち外国会社が国内で開示する財務書類について、国際会計基準とともに国際監査基準の容認が支持されるところとなりました。

しかしながらその後、IAPCが国際監査基準の修正・統合というような作業を進めたことに対しまして、1993年にIOSCOが不支持を表明するといったことがございまして、その1992年に支持をしたというこの多国間公募における国際監査基準の容認は事実上無効となるというような紆余曲折がございました。

その後改めてIOSCOにおいてこの国際監査基準の評価作業が始められておりまして、現在も続けられているところでございます。適宜IAASBにコメントを発するなど、作業を進めているところでございます。

一方、EUの最近の対応につきましては、2003年5月にEU域内の上場企業に対して国際会計基準の採用についてのコミュニケが公表されておりまして、IAASBは2005年の採用を目指して国際監査基準の整備を進めております。

これに加えまして、今月、3月でございますが、ECから第8号会社法指令(案)というのが公表されました。これは資料1-3というものにその概要をまとめたものだけ付けさせて頂いております。中身はいろいろなことが入ってございますが、1ページおめくり頂きまして2ページ目に、上の方に「国際的監査基準の採択等」という項目がございます。直接的に国際監査基準を明示しておりませんで、要件として国際的に一般的に認められており、かつ適切なデュー・プロセス、公的監督及び透明性をもって整備されること、高水準の信頼性を提供する、ヨーロッパの公共財のためになることといったような要件をここで述べまして、法定監査はECが採択する国際的監査基準に従って行われるべきであるという提案がされております。案でございますので、また今後の進展につきましては折に触れてご報告させて頂きたいと思います。

なお、昨年、また資料の1-1の方をちょっと見て頂きたいのですが、2ページ目の(3)のところでございますけれども、昨年IAASBにおきまして欧州諸国のメンバーを中心に各国の監査基準をISAそのものに統一してしまおうというような、コンバージェンスに向けた議論がございました。一応この動きはまだそういう方向には行っていないわけでございますが、今後も議論される可能性が十分に残っているという状況にあります。日本としてはもちろん完全に英語にするということも含めて、そのまま受け入れるということは適切ではないというふうに考えているところでございます。

それから、IOSCOとIFACによりまして、別個に公益監督機関、PIOBというふうに言っておりますが、これを2004年には設立したいという取り組みが進められております。先程も触れましたけれども、IAASBの審議には、本年2月から米国のPCAOB、公開会社会計監視委員会と言っておりますけれども、これと我が国の金融庁からオブザーバーとして参加することとなっております。

PCAOBはサーベーンズ=オクスリー法により設置された機関でございまして、監査法人の監督及び監査基準の設定権限を有するという新たな組織でございます。また、金融庁といたしましては、監査基準の設定を担っております当審議会から、山浦部会長に2月から参加をして頂いているところでございます。IAASBにはご承知のとおり池上委員が長らく日本の代表として公認会計士協会から参加をして頂いておりまして、更に山浦部会長にも加わって頂くという体制で、日本からも十分意見を反映させて頂けるように努力して頂いているところでございます。

そこで、資料の1-4という1枚紙がございますけれども、これをちょっと見て頂きたいのでございますが、中身にわたったご説明は今日は省略させて頂きますけれども、IAASBが作成している国際監査基準というものはどういうものかということなんですが、日本でいう監査基準という1つの部分だけではなくて、まず、その最も上位の概念といたしまして、会計士としての倫理規定というのが決められておりまして、その下に品質管理以下個々の基準が整理をされているという形になっております。

その中でちょうど4番目が「保証業務の国際的な枠組み」ということで、この枠組みの下に例えば歴史的財務諸表、通常の財務諸表の監査とかレビューの系列に属するものと、財務諸表以外の系列に属するものというものがまた整理をされている。また保証業務と比べますと、保証業務とそれ以外、関連サービスという枠組みで整理をされているというような、整理をした表というふうに捉えて頂ければと思います。

このように、樹形図的に個々の基準が整備されているわけでございますけれども、IAASBは国際会計士連盟の中の組織でございます。当然各国の公認会計士さんの集まりということでございます。ですから公認会計士さん自らの業務のための規範という位置付けで作成をされているということでございます。ただこの点、先程も申し上げましたように、公的な監督というものが当然ここの中ではございませんが、一方でいろいろな取り組みの中で、公的機関のIAASBへの参加、ただ今申し上げましたように山浦部会長に行って頂いておるような形での参加、あるいはEC会社法指令での公的監督の関わりなどに鑑みますと、監査業務を含め、保証業務に関する基準やその設定については会計士さん自身の業務の倫理という枠を越えて、法的な制度における規範あるいは規範性という観点からもその位置付けを考慮していく必要があるのではないかと考えられます。

いずれにしましても、我が国として国際的に遜色のないディスクロージャー制度を維持していくためには、監査以外の業務に関しましても逐次基準の整備を進めていく必要があるものと考えておりますけれども、その基本的な枠組みの整理として、今般当部会において財務諸表の保証に関する概念整理を取り上げることとなったわけでございます。総会の折にもご質問がありましたが、一応、本年夏頃を目途に審議を進めて頂くということになっております。

なお、ご説明ではございませんが、この後町田委員からもご報告の中で言及されるかもしれませんけれども、我が国の監査基準ですとか中間監査基準ですとか、先程申し上げました国際監査基準の保証業務のフレームワークあるいは日本公認会計士協会の東証マザースの意見表明業務などの実務指針など、関係するものをお手元の黒い表紙の資料集に綴ってございます。この資料集は毎回席上に置かせて頂きまして、適宜追加をしてまいりますので、何かの折にはご参考としてお使い頂ければと考えております。

事務局からは以上でございます。

○山浦部会長

ありがとうございました。

ここで皆様から当然ご質問等もおありかと思いますけれども、後ほど意見交換の時間を1時間ほど取っております。したがいまして、ここでは先に進めさせて頂きたいと存じます。

次に、今後の審議の進め方についてお諮りしたいと思います。ただいま事務局から説明がございましたけれども、一応本年の夏頃を目処に取りまとめを行いたいと考えておりますので、若干審議のスピードを上げて、今後、月に2回程度当部会を開催する必要があるのではないかと考えております。

そこでまず、次回以降、諸外国や我が国でのこれまでの議論の紹介を頂きながら、論点を絞って頂き、その後論点の検討を経て公開草案という形で文章化して参りたいというふうに考えております。

その際、私のほか、友永委員、内藤委員及び町田委員に起草メンバーとしてお手伝い頂きたいと思いますが、このように取りまとめに向けてこの作業を進めさせて頂くことでよろしいでしょうか。

〔「異議なし」と言う声あり〕

ありがとうございます。それでは、ただ今申し上げましたような形で進めさせて頂きたいと存じます。

本日は最初の審議でありますけれども、保証の概念整理という審議事項が、確かに若干抽象的かと思いますので、私から簡単に補足させて頂きたいと存じます。

基本的にこの財務諸表の保証というのは、我が国では監査という業務がこれまで主というよりは、むしろ監査だけが行われてきたという、そういう背景があります。その保証というのは監査人自身が監査行為を通して得るいわば確証、あるいはその心証形成の問題であります。その確証ないし心証を基にして意見を形成して、その意見が財務諸表の信頼性あるいは一定の基準に対する準拠性について、利用者に対して保証を与える、こういう構図になっております。したがいまして、まず保証の最初の意味は、監査人自身の確証ないし心証形成の問題であるわけです。

ところが、この構図というのは別段監査だけではないであろう。例えば、中間監査も我が国では実施されております。それから先程事務局の方から簡単に触れられたのですけれども、今般、四半期のレビューといった問題も出てきておりますし、このレビュー業務については諸外国では既に一般化しているところもあります。

要は、こういった監査以外の業務についてもその実施者が一定のレベルで手続きを通して確証あるいはその心証を得ることでその結論を利用者に対して伝える、こういった意味では同じであるわけです。またこれは別段、構図としては同じなのですけれども、恐らく監査と中間監査あるいはレビューといった、それぞれ実施者が得る確証のレベル、あるいは保証のレベルというのは違うし、当然結論を利用する、利用者サイドにとっても与えられるその保証というのは違うだろう。それから、これまで財務諸表といういわば歴史的な財務データを基にしてこの構図を考えてきたのですけれども、もしかしたらそういった歴史的な財務データだけではなく、将来情報等について、あるいは予測情報等についてのこういった保証というのもあり得るかも分からない。またそれから、もっと広く取り上げますと、IAASBの先程の概念図にあるのですけれども、そういった財務データ以外の保証の業務もあるかも分からない。いわばこういったいろんな意味での時系列的あるいは概念的な広がりといいましょうか、それを保証業務という包括概念で示してきた、こういう理解を私自身はしているわけです。これは部会長として言うというよりは、私個人の理解でありますけれども、こういうコンテクストで私自身は今回の審議事項の基本的な点を捕まえております。

ただ、このような説明だけではなかなかイメージが具体化しにくいと思いますので、どういったことが概念整理として考えられるのか、あくまでも今後の審議におけるイメージを共有するという趣旨で、本日は専門委員として出席して頂いております町田委員に概念整理の意味を説明して頂きたいと存じます。町田委員よろしくお願いします。

○町田委員

では説明させて頂きます。

お手元の資料のうちの資料2-1と資料2-2を基にご報告させて頂きたいと思います。

部会長から私にご依頼がありましたのは、まず1つは、公認会計士の業務がどのような状況にあるのかということを、保証との関係で、日本のことを中心に簡潔に整理してほしいということでした。また、先程ご案内のありました保証業務に係る国際的フレームワーク、この国際会計士連盟から公表された新しいフレームワークにおいて、合理的保証と限定的保証という概念で業務を区分するという考え方が示されているのですが、そのフレームワークの付録としてその区分に関する表が示されておりますので、その表について、翻訳した上で説明してほしいとのことでした。これら2つの依頼事項につきまして、以下それぞれ資料を基にご説明したいと思います。

はじめに資料2-1ですけれども、公認会計士の業務には、さまざまなものがあると思いますが、その主なものについて表にまとめてみました。軸としたのは、1つは財務情報を対象とするものとそれ以外という区分と、意見表明を行うに当たって準拠すべき基準が示されているものと示されていないものという区分です。これら2つの区分によって4分割の表にしてみました。

まず、財務情報を対象とする財務諸表監査があります。これについては、企業会計審議会から公表されている監査基準、その他公認会計士協会の実務指針等もあると思いますが、そういった基準がかなり明確に示されています。

また、日本の場合には、半期報告に関して中間監査があります。これについても、中間監査基準が設けられていて、同じように「監査」ということばで称される業務が行われています。

次に、先程レビューとか四半期報告という話がありましたけれども、既に東証マザーズの方では、四半期財務諸表に対する意見表明に係る基準に基づいて、四半期財務諸表に関する意見表明の業務が行われています。お手元の分厚い資料の方にそれに関係がある公認会計士協会の資料が綴られておりますが、この業務については、その説明を見る限りではレビューであるという言い方もされておりまして、レビュー業務として位置づけられているわけです。では、この意見表明業務との関係で中間監査をどのように位置づけるのか、という問題もあるかとは思いますが、ともかく、現状としては、以上のような意見表明業務が財務情報を対象とするものとして行われているということになります。

その他、一部財務情報に関係があるものも含みますけれども、「合意された手続」、これは“agreed-upon procedures”という英語の訳語だと思われますが、当事者間で、例えばクライアントと会計士の間で一定の手続きを行うことを合意の上で取り決めて、その手続の範囲で発見された事項、あるいはその手続を適用した結果だけを報告するという業務もありますし、また、財務諸表に関して分析したり、あるいは要約するといった「調製」と呼ばれる業務もあります。

これらについては、お手元の資料2-1の3ページ目のところに、必ずしも厳密な説明ではありませんけれども、簡単な説明を付けてありますのでご参照ください。

そうした財務情報を対象とする業務の他に、財務情報以外を対象とする業務ということも最近では重要な課題となってきているかと思います。

1つには、財務情報ともかなり関係がありますけれども、我が国で金融機関に関しては、その内部管理体制、所謂内部統制ですけれども、その有効性について経営者に報告させ、その経営者の主張に関して監査人が監査を行う、そういう報告実務が行われています。この内部統制自体は財務情報ではないということでその他の方に分類してありますが、現在、国際的な観点からも非常に重要な業務と考えられます。

また、環境報告書に関しては、第三者審査という言い方をしますが、所謂コンサル的なサービスではなくて、一定の審査基準、意見表明の基準に基づいて、環境報告書の内容をチェックするという業務も行われています。こういったものについてはそれぞれ業務基準が示されているので、上の欄に分類したということになります。

もちろん、合意された手続についても、財務情報以外にも行われますし、それから古くから行われていたとされる経営助言とかコンサルティング業務といったもの、こういったものがその他の方に分類できると思われます。

以上が、概略ではありますが、日本における会計士の業務の内容です。ここで特徴的なことは、1つは、我が国の場合会計士の業務についてはそれぞれ業務毎に基準が示されていたり、あるいは報告のスタイルが決められている点にあると思います。

また、用語の問題として、中間監査の場合に顕著なように、日本固有の使われ方をしている用語もありますし、さらには、海外からそのまま持ち込まれた、合意された手続きとか調製、レビューといった用語についても、それぞれの出自によって用法に関して若干の混乱が生じているのではないかと考えられます。

海外からそのまま移入された業務については、国際的な会計事務所、大規模法人に関しては国際的な提携もありますので、今や、用語法もかなり国際的な用法に沿ったものとなっているかと思います。それに対して、例えば中間監査については、古くから半年決算が中心であった日本の決算制度がその背景にあるでしょうし、あるいは環境報告の場合の第三者審査という言い方に関しては、実務が先行して始まったことによる問題もあるかもしれません。

このように、日本の場合、業務毎の基準・規定という点と、用語の若干の混乱という点について問題点を指摘できると思います。

一方、海外の場合ですが、これについては、2ページ目をご覧ください。

ここでは、一応、一部を除いて国際会計士連盟のフレームワークを基に整理しています。この場合、縦軸、横軸で日本とは多少整理の仕方を変えています。まず縦の軸の方ですけれども、1つは、財務情報、ただし限定がついておりまして、歴史的財務情報です。これは予測情報とか、そういったものを除くという意味の用語です。この歴史的財務情報とそれ以外という2分類になります。そして左側の横の軸、日本の場合は業務基準が示されているか否かということで分類したのですが、ここでは、そうではなくて、保証の程度によって分類しています。太線になっていますけれども、上は保証を付与する業務、下はそれ以外の関連業務という区分になります。

上の保証を付与する業務のうち、最上段にある合理的保証というのは、資料の2-2のところでご説明いたしますけれども、基本的には監査を想定して頂ければと思います。積極的に自ら計画して手続きを実施して、そしてすべての重要な点についてチェックをして意見表明を行うというものです。それに対して、2段目の限定的保証というのは、あくまでも決められた範囲内の準拠性等を確かめて、それ以上のことを行うわけではない。手続の限定も含めて、限定された保証ということで整理されているかと思います。

中身を見ていきますと、合理的保証というと歴史的財務情報については監査、限定的保証でいうとレビュー、そして保証を与えないものとしては調製というものがある。

そして、歴史的財務情報以外の方ですけれども、内部統制報告については、これはどの制度を前提とするかによって若干変わってくるのですが、ここに含めていますのは、アメリカの状況を主に念頭においております。サーベーンズ=オクスリー法、それからPCAOBの内部統制に関する監査基準を見ますと、監査人が統制のキーコントロールを自分で設定して意見表明を行うということで、監査とほとんど同じような保証の水準を要求しているととらえられます。したがって、以前は限定的保証で対応されていたものが、今は合理的保証の方に上がってきているというふうに考えられます。

限定的保証に属するものとしては、コンプライアンスに関する報告とか、その他保証業務というものがあると思います。

また、関連業務としては、経営助言業務やコンサルティング業務、これはかなり独立性の関係で限られていますけれども、そういったものがあります。

問題は四角で囲んでいる合意された手続の位置づけですが、ここだけ少し議論が残っているかなと思います。実は海外においてもこれに関しては少し混乱といいますか議論があって、以前はこのように、今置かれている限定的な保証として位置付けられる向きもあったかと思います。つまり合意された手続というのは当事者間で決められた手続を実施して、その結果を報告するということですから、その結果をどう利用するかによっては、限定された保証と考えられるということで、かつては、この図のように限定的保証として位置づける議論もありました。しかしながら、先程ご紹介のあった資料1-4の方をご覧頂くと、今回のこれ以後の位置付けとして、合意された手続を関連業務ということで保証の枠から外す、そして昨年12月に公表された保証業務に係る国際的フレームワークの方では、この合意された手続については触れられていないということになります。保証業務に係る国際的フレームワークでは、この2ページの表でいいますと、監査とレビューが入っているこの2つのマスのうち、合意された手続を除いたこの2つのマスについて扱っている報告ということになっています。

この監査とレビューが含まれているマスの部分について、その合理的保証と限定的保証ということを少し詳しく説明し、その内容を整理したのが、今回の国際会計士連盟のフレームワークの付録、資料の2-2になります。

日本の場合にも用語の混乱ということが若干見られるというお話をしましたけれども、海外でも、例えば、監査のテキストで説明されている内容が少しずつ変化してきていますし、今回の国際的フレームワークの方では、国際会計士連盟のフレームワークの方では少しずつその定義あるいは範囲というものを変更してきているという部分があるように思われます。

合理的保証業務ということと限定的保証業務ということを付録の方では区別して説明していますが、合理的保証業務については、その目的として、業務実施者によって積極的形式の結論表明を行う、その基礎として、当該業務を取り巻く環境下で保証業務リスクを受容可能な水準まで低下させる、ということが示されています。ここで、その報告の際の文言を見てみたいのですが、2ページの箇条書きの下から2つ目をご覧ください。

積極的形式で保証報告が行われるのが合理的保証業務なわけですが、そこでは次のような文章で報告が行われます。「われわれの意見では、内部統制はすべての重要な点においてXYZ、特定の規準に基づいて有効である。」したがって、この業務基準に従って種類、実施時期及び範囲が合理的な証拠収集手続を実施したということで意見を表明するということになります。

それに対して限定的保証、レベルの低い保証ということになりますが、そちらの方では、目的のところをご覧頂くと、業務実施者によって消極的形式の結論表明を行う、その基礎として当該業務を取り巻く環境下で受容可能ではあるが、ただし合理的保証業務よりリスクが高い水準にまで、保証業務リスクを低下させる、つまりある程度リスクが残されていても構わない、その程度の保証を与えるのだということです。かなり抽象的な定義になっていますが、同じようにその2ページの一番下の箇条書きの部分を見ますと、報告の形式としては「本報告に記述したわれわれの業務に基づいて、内部統制がすべての重要な点においてXYZ規準に基づいて有効ではないとわれわれに考えさせるような事項は、何一つ発見されなかった。」このような表明形式がとられる。これを、消極的形式の結論表明と呼んでいます。つまり自分たちが行った業務を詳細に説明して、その上で、例えば内部統制であればその有効性について評価して、その規準を満たさない事項は何1つ発見されなかったことを表明する、自分から何か有効性を見出すための手続きを新たに適用して発見していくということではなくて、あくまでも決められた規準の中で、あるいはその業務の範囲内で見つかったものの中で考えるという表明形式になります。

合理的保証と限定的保証は、こうした報告における表明形式の違いなどによって整理されているようにと思います。

以上のように、海外の場合については、国際会計士連盟あるいはアメリカの話をいたしましたけれども、いずれの場合でも、現在では、保証業務を広義に捉えて、会計士の行う業務全般のうち、何か保証を付与する業務を保証業務として、監査もレビューも保証業務の一部として捉えています。その枠組みの中で、国際会計士連盟の例で言えば、歴史的財務情報に関係があるものについては、合理的保証と限定的保証ということで区分する、つまり、保証の水準で業務を分類するという形での整理が行われているわけです。

この点が、業務毎の基準が作られて、業務毎に内容、手続、報告形式というものが定まっている日本との一番大きな違いではないかと思われます。

以上です。

○山浦部会長

ありがとうございました。町田委員にはかなり集中的な作業をお願いしまして、本当にありがとうございました。

それでは、これから自由に意見交換をして参りたいと思います。なお、ただいまの町田委員のご説明は、議論の方向性を示すという意味では決してありませんで、あくまでも議論の材料を提供して頂く、あくまでイメージということでご理解頂きたいと存じます。

概念の整理の中身としてどのような要素や要件が必要なのかということは今後の審議で具体的にご議論頂きたいと思いますので、本日は事務局の説明へのご質問でも結構でありますし、あるいは保証の概念性の必要性、あるいは財務諸表の保証に関するルールの在り方、あるいは先程の町田委員のご説明等々、自由にご意見を頂戴頂ければ、これからの審議の役に立つのではないかと思います。どなたからでも結構でございますけれども、ご発言頂きたいと思います。どうぞ。

○奥山委員

どこにどう入るのか分かりませんが、現実的な課題を持っている者として、ぜひどこかの整理の中に入れて頂きたいということで申し上げたいのですけれども、先程の歴史的財務情報という中には、予測を含まないというふうな言い方で歴史的という意味をおっしゃっていたような気がするのですが、今財務諸表監査の中で、特に金融機関の監査は、その資産査定にしろ、繰延税金資産、これは必ずしも銀行だけじゃないかもしれませんけれども、その対象となる会社の将来計画というものに対して会計士の方がチェックしなきゃいけないということがありますし、資産査定は当該企業ではないのですけれども、融資先の状況について会計士がある程度チェックしなきゃいけない。このチェックというのは一体何なのかということが非常に気になるところなんです。

それで、歴史的財務情報、財務諸表であるにも拘らず、将来予測を見なきゃいけない、そしてその中には必ずしも所謂通常の監査という手続きでは得られないものがかなりある。これが会社の財務諸表全体の中でかなり大きなウエートがある。私どもとしては従来の所謂見積りとか、そういう類のチェックになるのでしょうけれども、しかし今はそれでは覆い切れないほど大きなウエートがあるということで、今一般的に会計士の外からは、会計士がそこまでできる能力があるのかという批判も受けているわけですね。

それは私どもとしては、一定の手続きを踏まえれば、そこに限界があっても、それはそれでしようがないじゃないか、こういう反論を加えたいところなんですけれども、その辺の手続きが、従来の財務諸表監査の中に入っている、しかしそれが限定的だ、どんな位置付けになるのかなというのがちょっと整理できてないなと私も思いますので、問題指摘として申し上げたいと思います。

○山浦部会長

ありがとうございました。奥山委員がおっしゃる意味での問題は、今のIAASBでもエスティメート(見積もり)の監査ということで議論しているところですけれども、それも含めて、出来上がったものは歴史的な財務諸表という範疇に入ります。そのような意味で使ったのですけれども、ただ今日の監査の中にそういった予測情報等についての監査人の判断のいわば一種の限界的な問題があるという、この問題のご指摘はよく理解できます。

この問題も含めてでも結構ですけれども、どなたかほかの方からご意見がおありでしたらどうぞ。

○伊藤委員

私は奥山先生と同じ考えを持ったのですけれども、つまり最近の公認会計士さんに対する世間のいろんな、マスコミを含めての評価というのは、税効果会計に象徴されているように、つまり過去の実測会計から予測会計の方向へ重要性が移行していると思う。

我々が監査基準の改訂というのをこの第二部会でいろいろ検討し、リスクアプローチないしゴーイング・コンサーン基準を議論検討したわけですけれども、繰延税金資産については、世間でも今程までは話題になっていなかった。しかしながら、バブルがはげて企業経営が大変厳しくなり、最近再び業績が回復していますけれども、しかしながらこの業績が上がってきたものが本当に長続きするかどうか疑問であります。単に銀行だけのものじゃなくて、産業界においてもかなりの損失の累積を持っている企業もたくさんあるわけです。その面でのゴーイング・コンサーンの考え方についての調整というのはやはり出てきています。だから奥山先生がおっしゃったことは全く私も同感したわけです。

それから大変お恥ずかしい話でありますが、私は監査の問題をこの審議会で長く皆さんと一緒に入ってやってきたのですけれども、この保証ということについて、こういう問題が現実にあるということを気が付いてなかったということです。それが今ここで、日本が相当立ち遅れているのかどうかですが、監査基準改訂のときでも、そういう話題が全然出てなかったわけですな。あの時にはエンロンの問題もあったけれども、その前の時から審議会の時でもレジェンド付与についての問題を議論していたわけです。レジェンドがついた時に、会計基準だけじゃなくて、監査も含めて一体として考えていかなきゃいけないなという議論でリスクアプローチ、ゴーイング・コンサーン基準をやってきたのだけれども、この保証という問題がその時にはどういうふうに考えられておられたのかということ、そのあたりを教えて頂きたい。

だから最初の問題は奥山先生と同じであり、後の問題は私自身の素朴は疑問であります。

以上です。

○山浦部会長

伊藤委員の最初の問題提起、それから奥山委員のお申し出の件、これについては今回の基準審議の枠の中で議論すべきものなのか、あるいは別段の基準化の議論が必要なのか、あるいは例えば会計士協会等の方での実務指針等のレベルで議論するものなのか、そのあたりは少し検討の余地があるのではないかと思いますけれども、少なくとも伊藤委員の後半の部分については、確かにこれまで日本でこういった場所での議論はなかった。したがいまして、実務的な現場にいらっしゃる会計士の方々ももしかしたらそうかも分からないし、企業の現場にいらっしゃる方はもっとそうかも分からない。

それで、この点について少し国際的な視点で、先程町田委員の方から整理があったのですけれども、ただ突然で恐縮なのですけれども、池上委員、IAASBでご活躍で、私も現場で拝見しているところでありますけれども、少しこのあたりのIFACないし昔のIAPCで議論が出されました背景等について、もしよろしければご紹介頂けないでしょうか。

○池上委員

突然のご指名で、頭の中は全然整理されておりませんけれども、私はIAPCにテクニカルアドバイザーとして出席しておりましたので、今年で通算して7年目になります。それで前のISAE100番を出した時も審議に加わっておりました。あの頃にアシュアランスの基準を作ることになりました背景として、公認会計士の業務が広がってきましたので、一定の基準がなければ困るということで、どんな業務にでも対応できるような基準が必要であろうということでISAE100が作成されたということと、大きなフレームワークがなかったということですね。

今度の改定というのは、そういう意味ではそんなに大きく改定したとは思っていません。とりあえずある程度見直していこうということでして、そういう意味では新基準で使用している用語ですが、実は公開草案にする直前までレビューとオーディットを使っていました。ISAE100もレビューとオーディットという用語を公開草案では、使用していましたが、最後にやはり実務に混乱を生じるだろうということでモデレートアシュアランスとハイレベルアシュアランスに変わりました。草案段階で、前だって結構混乱するからやめた方がよいのではないかということで、リーズナブルアシュアランスとリミテッドアシュアランスという表現に変わりました。だから実質的には意味合いはそんなに変わってないと、私は考えています。

それと、先程アグリード・アポンのお話がありましたけれども、アグリード・アポンと言ってしまえばノーアシュアランスなんですけれども、確かに前のISAE100というのは、よく実務であり得るであろう合意された手続きを行って、これとこれをぶつけていって、ある程度ネガティブアシュアランスぐらいをつけられるぐらいのレベルは心証は得られただろうというような実務が存在し結構そういうレポートが出されているのではないかということで第7項があったわけですけれども、第7項の業務だけはクライテリアだとか、サブジェクトマターとかいろんな要件があるところで、それらの条件を満たしていません。ですから確かに変なパラグラフでした。そういう意味で新しいフレームワークでは、取り去られたということだと思います。

だから、先程の町田先生のご説明での、アグリード・アポンの解釈も成り立つと思いますけれども、アグリード・アポンというのはやはりノーアシュアランスなんですね。前のISAEでは第7項があったということで、実務上は使い易いものであったということですね。

それから、先程の伊藤委員の方のお話ですけれども、当時、実務では環境のレポートがかなり発行されていたとか、いろいろありまして、内部統制の話もたしかあったと思います。会計士としての業務をするに当たって何も基準がないのはよくない、そういうことがスタートであったと思います。特に最近になって、日本の国内においても、アシュアランスと呼べるかどうかよく分かりませんが、いろいろ各省庁で会計士が絡んだ報告書がよく出ていると思うのですけれども、そういうのも1つの例だと思います。これは各国で起こっている話だと思います。

ということで、いきなりのご指名でちょっとまとまっておりませんけれども、歴史的にはそんなところでございます。

○山浦部会長

どうも失礼しました。

1つだけ確かめさせて頂きたいのですけれども、アグリード・アポンについては、ある程度保証的な要素があるのですね。ただこれは今回の100ではいわば横になっているというのは、これは要するに個々に基準化できないという意味ですか。

○池上委員

元々120番という基準があったのですけれども、その中の表でもノーアシュアランスとされていますので、元々ノーアシュアランスということは変わってないと思います。前から横にはあったと思います。ただ町田委員が言われたように前のアシュアランス基準の中に、ちょうど間ぐらいのサービスに関する第7項があったということですね。アグリード・アポンはノーアシュアランスで前のIASE100でいうアシュアランス業務には入らないといってパラグラフがありまして、その次に記載されていました。内容的には、コンクルージョンとして、何かそれなりにアシュアランスをつけているような場合はこの基準に該当するとしています。ただ手続きはほとんど一緒です。

○山浦部会長

どうもありがとうございました。ただ少しテクニカルな話になって一般的じゃないというように思いますけれども、どうぞどなたからでも結構ですけれども、更に議論を続けて頂きたいと思います。八田委員どうぞ。

○八田委員

まず基本的な用語で少し教えて頂きたいのですけれども、例えば、先般来影響を及ぼしてきている米国の企業改革法の中で導入された例の内部統制の有効性に関する第三者の関与という時に、アテステーションという言葉が使われているわけです。これは証明と訳すのか何か分かりませんけれども、今日の町田委員のご説明の中ではそのアテステーションについては一切触れられてきていません。IFACの流れの中にはないということだと思うのですけれども、このアテステーションという言葉の、あるいは、言葉よりもこれもやはりこの内部統制報告とかを議論した時には、実務的にはかなり欧米社会で入ってきていますので、この辺をもう少し取り入れながら議論が必要かなと思うわけです。実は、今日頂いていますこの資料の中の、例えば、金融機関の内部管理体制に対する実務指針では、証明業務の基準を作っているわけですが、ここでは証明業務とアテステーションが同意語がどうか分かりませんが、証明業務というものの内容を監査相当業務とレビュー相当業務というように分けて、ただ、この分け方も私にとってはちょっと違和感がありますが、今回の議論の取っかかりとすることも必要かもしれません。つまり、現実に日本の場合も海外、アメリカで公開している会社はこのアテステーションの域外適用を受けるわけですから、やはりこの辺も少し整理して頂ければと思うのですが、このアテステーションはどういうご理解をされているのでしょうか。

○山浦部会長

まず1つは、町田委員の方から説明をちょっとして頂いた上で、法律上の用語概念にも関わりますので、それについては後ほど事務局の方からも説明を加えさせて頂きます。町田委員お願いします。

○町田委員

アテステーションに関しては、今回のこの概念の整理の中から除いております。それはどういうことかといいますと、アテステーションに関しては、かつてアメリカでエリオット委員会が報告書を公表して、アシュアランス業務ということで会計士の行う業務を一括りにする新しい枠組みを提示した際に、オーディット、レビューとそれからアシュアランスということで、アテステーションという用語を外したことに準じているわけです。それ以前の議論あるいはそれ以前の監査のテキストなどを見ますと、オーディットがあって、その次にアテステーションがあるという形だったかと思います。

アテステーションについては、基本的には、その他の保証業務、アシュアランスサービスと言われているものよりも保証の程度が高く、何らかの基準に準拠して意見表明を行うものであるとして、アテステーションの枠の中に、監査もレビューもそれからコンプライアンス報告も入るというような形での整理が、現在では、多くのテキスト、監査のことを説明している文献で行われているようにと思います。

ただ今八田委員のお話にありましたアメリカ企業改革法、その下で設置されたPCAOBでは、監査基準の第2号として、内部統制に関する監査基準を公表しています。その監査基準の中で、内部統制について監査をする際に、報告のプロセスに当たっては、アメリカ公認会計士協会が設定しているアテステーション基準を使うことを認めています。これまでPCAOBでは、監査基準についてはPCAOBが作るのだと言っておりましたし、レビューとかそういった業務についても、業務基準を見直すということを言っていましたが、アテステーション基準については、利用を認めると。

要は、このアテステーション業務基準というのは、コンプライアンスもありますし、内部統制もありますし、さまざまな会計士の業務に関するものを含んでいますが、少し言い方が雑ですけれども、会計士が行う報告業務に関して雑多なものを含む実務指針というふうに考えられるのではないかと考えております。そして、そのような報告を行わない、あるいは第三者に対する説明を行わない業務をその他のアシュアランス業務という形で整理しているように思われます。

つまり、アテステーションという用語は、言い換えれば、アテスト、つまりテストをする、チェックすることという形で、かなり幅広い意味で用いられてきていますので、その内容に関する混乱を避けるために、エリオット委員会やIFACでは、アテステーションという用語は使わずに、アシュアランスの包括的な枠組みの中で、オーディット、レビュー、アシュアランスという言い方を使ってきたのではないかと考えております。今後の議論は別といたしましても、ここでは、一応、それに準じた整理としております。

なお、先程合意された手続に関して議論がありましたので、少し補足いたします。合意された手続に関しましては、国際会計士連盟のフレームワークの中でも、保証業務の定義が示されておりまして、資料2-2の2ページ目のところに箇条書きで示しましたが、「『保証業務』とは、事業実施者が、対象事項を規準によって評価または測定した結果について、責任ある当事者以外の特定の利用者からの信頼の程度を高めるために、結論を表明する業務である。」とされています。

こういう定義の中の「責任ある当事者以外の特定の利用者」というところで、合意された手続を保証業務に含めることが除外されるわけでして、この点においても、少し明確な形で枠組みを示しているのではないかと考えております。

○山浦部会長

ありがとうございました。国際会計士連盟のアシュアランス・エンゲージメント(保証業務)のフレームワークも、ある意味では非常に抽象的なレベルの話になってくるわけですね。それで、こちらの方の今回の審議事項として、この枠組みを作るということでありますけれども、ある程度抽象的な議論レベルでのこちらの審議は避けられないというふうには思っておりますけれども、できればできるだけもう少し現場的なというか、もっと現実的なレベルでお話ができるような形で私どもできるだけ議論を進めていきたいと思うのですけれども、ただ、先程八田委員のご質問にもあるいはもしかしたら関係すると思うのですけれども、今般の公認会計士法で、これは以前からあったのですけれども、第2条の方に、「公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。」こういう言葉があります。「監査又は証明をすることを業とする。」という、この解釈について、まず事務局でどなたか、羽藤参事官お願いします。

○羽藤参事官

ここでご議論をお願いをすることの目的との関係もあるわけでしょうけれども、冒頭多賀谷の方からも触れさせて頂きましたようなことについての一定の第三者としての評価をどのような形でしていくのかというふうなニーズが現にある。八田先生がおっしゃったように内部統制ということについてのニーズがある。そのニーズはこれからもずっと広がりが出てくるだろうということがまずあるので、この場ではそういうニーズが一体どういうふうな類型としてあるのかということをまず認識をさせて頂きながら、一方で1つには国際的な議論がどのような基準として組み立てられようとしているのかということを考慮し、一方で国内の法制度においては今どのような取扱いになっているのかという関わりにおいていろいろなニーズをどういうふうに解釈できるのか、位置付けるのかということを考えながら、ニーズに共通して必要な事項として考えなければならないものは何かということを整理をして頂くというのが、ここでのご議論をお願いすることだというふうに思っています。

そのことは、いやそういうことであれば四半期なら四半期開示の基準をつくればいいのではないかという、非常に合目的なご議論も一方あるかもしれません。あるいは内部統制なら内部統制についての基準というものそれ自体を議論したらいいのではないかという合目的的な議論もあり得るのだと思います。むしろそういう議論もさることながら、どういうニーズがあるのかということが全体として鳥瞰されていきながら絞っていくことによって、各関係者や各界におけるいろいろな議論が、また更に進展していくのではないかという、この審議会外での議論の深まりということも期待をしていることが重要な意味合いがあると思うわけであります。

それで、内部統制については、今山浦先生からご紹介があったように公認会計士法の第2条の第1項では独占業務として財務書類について監査又は証明することを業とする、報酬を得てですけれども、これが公認会計士の独占業務として定められ、他の者が監査又は証明を行ってならないというふうな意味での制約、これが課されているわけであります。したがって、例えば内部統制については勝手に誰かが証明をしたことが、これとの関係において罰せられるようなことになるのかどうかというふうなことで議論を詰めていかなければならないわけでもあります。その時に、公認会計士法はご案内のとおり、成り立ちからいって財務書類の監査というところがベースになって、その中でずっと組み立てられてきたものでもありますから、要件としても財務書類についてと書いてあるわけであります。内部統制は、財務諸表監査の監査手続きの中で監査の一環として行われるものというのは当然あり得るわけでありましょうから、それについてしっかりとした保証を与えるということは、独占業務の中の一環として考えられるのではないかと思います。

けれども、問題は、通常の財務諸表監査と外れた形で内部統制について監査をする、あるいは一定の保証を与えるということは、これは独占業務かどうかというのは、法解釈上はやや議論があるところかもしれません。要するに財務諸表についてという前提になってないわけでありますから。それで、その時でも、いやいや、財務諸表から独立をして内部統制というのが成り立ち得ないのであるというふうな解釈もあるいは可能かもしれません。しかし、現行法を解釈をする立場として申し上げるとすれば、厳密に言いますと、財務諸表監査から独立をして内部統制について何らかの証明を与えるようなニーズというのでしょうか、それにもよるわけでしょうけれども、監査から外れてその証明を行っていくということは、公認会計士の独占業務であるとは言いにくいのではないかというふうに思います。

ただ、繰り返しですけれども、通常行われている内部統制に対するいわば第三者としての保証というものは、これは財務諸表監査の一環としても我が国でも行われておるというところだと思います。なお、アメリカの企業改革法が求めているアテステーションということの基準をどうするかという課題が別途あるとは思います。

ですから、財務諸表とは離れて内部統制を見るということに対して、何らかの一定の基準というものを組み立て、あるいはその担い手をどう考えていくのかということは、これは議論としてはあり得ることだと思いますけれども、むしろ内部統制に限らず、国際的な監査基準の議論が深まる中で、1つの整理の仕方として、第三者が独立をした立場で一定の評価をする、あるいは意見を宣明するということについての満たすべき要件は何かということをここでご議論を頂く。そして、それは応用範囲としては内部統制のような分野に応用されていくのであろうということを、ある意味では促していくというふうなことで、まず議論のファーストステップというのでしょうか、そういうものを取りまとめて頂き、その上で、次のステップとして、四半期開示の議論も別途金融審の場でお願いをすることにもなりますものですから、そういう制度的な対応ということをある意味では待ちながら、次のステップとしては将来的な課題ですが、四半期開示について、ある意味ではそれをレビューと呼ぶのかどうかですが、第三者がかかわっていく場合の基準というものをご議論頂くと、そのような形で進めて頂ければというふうに思っております。

○山浦部会長

それで、この第2条の1項業務との関係とここでの審議の目的、これをどういうふうに整理するかという、それについては少なくとも1対1の対応では現時点では考えていないということでよろしいですね。

○羽藤参事官

そういうことです。

○山浦部会長

高田委員どうぞ。

○高田委員

今の八田委員それから羽藤参事官のご説明に関連してなんですが、簡単に言ってしまうと、金融庁がなぜこういう保証業務基準をつくらなければいけないのかということに関して、国際的に説明がつくような理由づけができるのかどうかというのは私は非常に疑問に思っていて、つまり法定監査という枠組みの中で基準をつくろうという話なら、これはやはり国が一定の関与をしていくということはもちろん構わないというふうに思っているのですけれども、保証業務というふうに範囲が広がってきますと、必ずしも法定ではない。これは自由な契約の中でそれこそ公認会計士さんが必要とされて証明業務を行っていくということで構わないと思うのですけれども、そういう業務に関してなぜ国が関与してくるのだという話になると、これはIFACもEUの指令も恐らく共通している思想があって、監査基準あるいはもう少し広い基準は、これは職業行為基準であるから、当然職業団体が自ら作っていくという思想が根本に流れている。

それで、私は必ずしもそれが正しいとは思ってない。だから、法定監査にあっては国がもちろん関与していっていいのだというふうな考え方に立っていたのですけれども、今回こういう保証業務で必ずしも法定業務ばかりではない、ニーズを調べてそれの適用範囲を調べていくという、そういう考え方に立つと、これはなぜということに対して、例えば山浦先生が国際会議の場に出た時に、日本は何で国が関与しているのですかという質問があった時にどう答えるのかというのは、私もちょっと疑問に感じていて、そこは何かお考えがあれば示して頂きたいと思います。

○羽藤参事官

多分その時に山浦先生に持って頂く発言メモを作る立場としては、直ちに何か法定化するものではないものであります。しかし、当面の課題として四半期開示の問題であるとか、あるいは内部統制の問題であるとか、非常に幅の広がりを持った議論が今行われようとしておって、大事なことはそういうことに対する関係者の広い認識というのを深めるような、そういうふうな場がやはり必要ではないか、そして、四半期開示にしましてもあるいは内部統制にしましても、それらを制度的にどのように位置づけていくのかという議論が、これらは別途のご議論をより効率的にというか、今までの現状の制度なりとの関係において整理をしながら議論を進めて頂くためにも、前提としての認識というのを広く深めて頂くことが必要だろうということで金融庁が場を提供させて頂いている、あるいはお忙しい皆様方に集まって頂いているということであるわけであります。

行政の役割の中の1つとしては、伝統のある企業会計審議会では、まずここで決めて頂き、意見書にして、実質的にある種の規範性を非常に強く持ったものとして意見書として取りまとめられるということが、これは通例これまで行われてきたことなのかもしれませんけれども、逆に言うと行政の役割の一環としては、これからの議論をリードしていく、あるいは広く深めていくために、およそ共通のインタレストの中で関係のある方々に集まって頂いて、論点を整理をし、そして認識が深められていく、そういう中でそれぞれの場で例えば職業専門家としての団体が1つの基準を先行的につくろうということも、これはあり得ることだと思います。

ですから、そういう意味では、この先鞭としていろいろな課題を整理をして頂く。そのことが、繰り返しになるのですけれども、多分対外的に今の日本の経済社会の中のいろんな動きがある中で、論点がきちんと、ある意味ではパブリックな場で整理をされているということ、そのことが意味を非常に持っているのではないかというふうに私などは思っております。そういった形で山浦先生にご発言頂くようにメモはつくろうと思います。

○山浦部会長

どうぞ、八田委員。

○八田委員

わたしも実は当初、高田委員と同じような認識を持っておりました。ただ、実は私の理解が間違っているかもしれませんが、このアシュアランス・サービスというものが大きく業務領域に侵入してきたのは、アメリカの1997年のエリオット委員会というところが公表した例のアシュアランス・サービスに関するリポートだったのですね。

たまたま私はその時にアメリカにいまして、1992年のクリントン政権に入ってからの棒高の株価と好景気を欧歌している状況に触れる機会がありました。そして、その中で公認会計士協会も旧来型の所謂伝統的な監査に特化するのではなくて、もっと幅広くさまざまなものに対して保証というものを行いたいという視点から、その理論付けのための報告書が例のエリオット委員会報告書だと思うのですね。

ところがあの報告書をよく読んでみると、元々委員長のボブ・エリット自身がKPMGの会計事務所のコンサルティング部門のヘッドだったということからも分かるように、そこで言われる保証業務というのは、完全にコンサルティング業務だということで、非常に批判もあったのです。私もあれを見た時に、果たしてこれが公認会計士が旧来行ってきた所謂独立性と第三者性と批判性を持った独占的な権限を持っている監査人たる会計士が行う業務なのかどうか、非常に疑問を持ったわけです。実はそのコンサルティングに特化していくアメリカ会計プロフェッションの姿勢には非常に危ういものが感じられたのです。そして、これが結果的にそうなったかどうか分かりませんが、私はあれはエンロン事件に結びついた、あるいはアンダーセン崩壊に結びついたと思っているのです。

そういった背景を見た時に、実は逆にこういった保証業務という社会的なニーズの広がりがある時に、この企業会計審議会が実は歯止めとして、あるいは線引きとして、どこまでは独占なのか、あるいはここまでは第三者性として会計士に責任を負わせるのだ、ここからはコンサルティング業務であるとかといった枠組みを明示することはやはり逆に必要だと思います。つまり、最低限のものとして、逆にこの企業会計審議会の第二部会がつくらなければほかは作ることができないのじゃないかということで私も今日参加しているしだいです。したがいまして、その辺も少しご勘案頂ければと思います。

○山浦部会長

友永委員。

○友永委員

今の議論なんですけれども、町田委員の方からのご説明で、日本は業務毎にいろいろな基準ができるということがありました。これは特に今公会計の分野ですとか、それから独立行政法人ですとか非営利とか、さまざまな分野で、特に官庁サイドから会計士の関与というのが求められている状態がございます。

それで、それぞれの官庁と会計士の間でいろいろなこういう業務処理の基準を作っていくということになりますと、やはりそれぞれの特徴が出まして、非常に会計士団体としては困っているところがございます。そうした意味で、そしてそれぞれがほとんどが監査を要求されます。公認会計士のやる業務というのは監査だ。それはそれでいいのですけれども、やはりその内容的には保証にまで至らないような業務であったり、いろいろするわけで、そういった意味では日本の国内の今ある、今まさに出てきたような業務を概念別に整理して、会計士というのは監査だけではなくてこういう種類の業務もあるのだ、ただそれぞれやるについてはこういう要件が要るのだという整理をして頂くということは、今協会がいろいろと個別にそれぞれの省庁とやっているところが、やはり一本後ろ盾ができるといいますか、そういった意味でぜひ必要かなというふうに思います。

それで、自由討論ということですのでもう1つ、意見といいますか質問といいますか、先程公認会計士法の第2条の1項業務、2項業務の話が少し出ましたけれども、今回利害関係等のついた記載事項、監査報告書に第2項業務、これを継続的な報酬を受けている場合にはその旨を書くといったことが入りました。それとまた別に、監査報酬の開示というのも、これは監査業務に対して支払っているもの、それ以外の業務に対して支払っているものという区分で、これは作成者側が記載するわけですけれども、そういったことも出てくるということで、この1項業務と2項業務の区分というのは非常に実務的に今差し迫って重要な事態になっております。

それで、公認会計士協会としても、独立性に関する解釈指針といったものを今作っておりますけれども、特に監査業務といった場合に、これは今町田委員からご説明頂いたように監査、中間監査、レビュー、それから合意された手続きという、こういう概念的な区分けではなくて、監査人としての公認会計士が行う、そのクライアントに対して関連して行う業務というのが非常にこれはさまざま、細々としたものがあるわけなんです。特にその監査の一環として内部統制を見るというのは、これは監査そのものという解釈でどなたもご異論はないと思うのですが、監査人だから依頼される業務というのは、例えば、マザーズに上場している会社を見ている場合には、四半期報告に関する意見表明、これは当然に頼まれるわけです。それから外債を発行するとか、エクイティファイナンスをするとかいった時には証券会社からコンフォートレターの作成を求められる。そういった監査人であるからしてやる業務、これは協会の方は監査業務と直接的に関連のある業務という整理をしておりますけれども、これについては1項業務、監査業務と同等の業務という解釈をしていいものと私は思っておりますけれども、例えばSO法でも多分、コンフォートレターですとか、それから企業改革法に基づく内部統制に関するアテステーションの業務というのは監査業務に入っているはずなんですね。そこら辺を明確にして頂かないと、我々も監査報告書に継続的な報酬を受けて行っている旨をできるだけ書きたくないものですから、それから企業サイドとしても、監査報酬という区分とその他の報酬という区分、それなりの説明者責任が出ると思いますので、そういった意味で、もしお答え頂けるならそこら辺のお考えをお示し頂ければと思っております。よろしくお願いします。

○羽藤参事官

やや繰り返しのようなことになるかもしれません。

先程八田先生からお話があったように、この場で議論をして頂いた結果として、独立した立場で業を行うというふうなことで責任を伴いながら第三者性としてどういう意見を宣明するのかという領域が、要するに従来の財務諸表監査からいろいろ広がりが今出つつあるわけですけれども、従来の財務諸表監査の領域だけではないのだと。であるがゆえにしっかりと独立をしてというところが、例えばやはり必要であるというところも含めて、保証の水準においては確かに監査ではないけれども、やはり例えば要件としては独立性ということはどうしても必要ではないだろうかというふうな整理をして頂きながら、その求められる第三者としての意見の宣明について共通の属性というのはこうあるべきであるという議論が例えばこの場で導かれていけば、そのことは例えば公認会計士として求められるものとしての、あるいは現行の公認会計士法の第2条第1項で独占業務として対象となっている、「監査又は証明すること」ということに該当するのであるからということとして、再び整理ができるのではないかと思うのです。

ですから、今友永委員からもお話がありました、本来は個々、個々に具体的な事例から抽出される共通の要素として1つの上位概念が形成されながら、あるいは括りながら、それを法に落としていくというアプローチがあるべき姿なのかもしれませんが、既に今上位概念たる「監査又は証明すること」というのが独占業務として与えられている、いわば箱があるということがあって、また、今個々、個々のケースにおいてそれをどういうふうにこの箱に入れていくのかということで、箱はかなり実は大きいのですけれども、この箱として求められなきゃいけない基本的なエレメントとしては、幾つかのことがあるのではないか、その中の1つが例えば独立性ということでないかと私は理解をしております。

そういうことをこの場で整理をして頂く上で、個々、個々に求められている領域がまさに公会計の場もありますし、あるいは監査人だからということで求められている、つまり箱を担いでいる人だからということでいろいろなことが頼まれるということがあるわけですね。そういう整理をするという意味合いにおいて、公認会計士法でなぜ独占とされているのかということを意識しながら、個々、個々の業務のことについて整理をしていくという、それがまた更に共通の上位概念として整合的であるかというふうに跳ね返ってくるというか、検証していくと、そのようなことをこの場でお願いをしながら、繰り返しになりますが、八田先生がおっしゃったような社会的な「歯止め」の議論をして頂きたいと思っております。気を付けなければならないことは、監査人であるから監査証明業務をしっかりやるべきことなのに、どうもそうでないらしい、中途半端な業務内容というものを金融庁では何か認めようとしているのかもしれないというふうな誤解を招いてはいけないと思うのです。

それから、後もう1つ気を付けなければいけないのは、奥山会長初め公認会計士の関係の方がおられるのですけれども、公認会計士の仕事を何か増やそうというふうなことでの議論をこの場でお願いをするわけではありません。担い手は現行法からして公認会計士に独占が与えられていますけれども、およそ「監査又は証明すること」ということと関係で何の要素が必要であるのかということから始まっていって、恐らくそれは、ほかに担い手が現実問題として税理士さんを初めとしておられるかもしれないのだけれども、独立性ということとの関係で一体どのように関わるのかという現実問題もあるかもしれません。そういう意味では、公認会計士の業務、もう少し正確に言いますと公認会計士法で職責を与えられている公認会計士の業務について、何か領域を広げていこうという議論ではないのだということは我々も、取扱いやこれからまとめて頂く上で事務局として整理をしていきます上では気を付けなければならないことだというふうに思っています。

○山浦部会長

ありがとうございました。引頭委員お願いします。

○引頭委員

私は証券会社のアナリストとして、使う立場から少しコメントさせて頂きたいと思います。2点ございます。

1点は、先程町田委員から公認会計士の業務ということで、日本の場合と海外の場合ということでご発表あったと思うのですけれども、率直に申し上げると、使う側としては海外のこの分け方、要するに保証のレベルで分けている方が使いやすいというのはございます。つまり、日本の場合業務毎に分かれているわけですけれども、普通の投資家が業務がどうなっているかなんというのは当然分からないわけで、結局重要なのは結果なんですね。どういう結果を先生方がおっしゃったのかというのが一番大事なわけで、そうなると保証のレベル、これはイコール、投資家に対してリスクを分からせるということなんですね。この財務諸表はちょっと危ないのか、完璧に大丈夫なのか、そういう話だと思いますので、これはそういう意味では投資家保護とすごく密接な関係があるのではないかと思います。

もう1つは、先程友永委員もおっしゃっていたと思うのですけれども、所謂エクイティ・ファイナンス等を行う際に、有価証券届出書あるいは目論見書、こういったものを作るわけですが、その時に何を開示するかというのが問題になることがあります。ただ、今のところは監査がきちんとしているもの以外を載せることはやや難しいということになっております。 例えば、東証マザーズの場合は四半期でレビューという制度があるわけですけれども、普通の上場企業あるいは上場しようと思う会社の場合、四半期での保証という制度が何もないわけですね。ですから、それを載せたいと思った時に様々な問題が生じるわけです。これは非常にシンボリックな例なんですけれども、それ以外に、有価証券報告書の書き方も昔と比べて変わってきておりまして、MD&Aの項目などでは、自由演技というのですか、自由に書くところがすごい増えていて、やはりそこに数字を書きたい人もいると思うのですよ。ところが、今は様々な制約があり、多分ここしばらくは、大きな差が出ないような感じがするのですね。

そういう時に、例えばそのMD&Aに記載したい数字であるとか、そういうものについて、消極的な保証でも私はいいのかなと。それをわかった上で投資家は利用すればいいと思うのですね。今はそうした制度になっていませんので、企業も会計士さんの方もものすごくコンサバティブにとらえていらっしゃるようです。そうした保証業務を会計士さんがやるべきなのか、それとは違う第三者がやるべきなのか、私は全くノーアイデアですけれども、ただいずれにせよ、投資家に対していろいろな情報を開示し、保証の程度つまりリスクも同時に、わからせてあげるといったことが必要ではないでしょうか。使う立場もご考慮いただき、議論の幅を広げていただきたく、よろしくお願いいたします。

○山浦部会長

どうも非常に貴重なご意見を頂きましてありがとうございます。部会長の立場で議事進行の司会役ということだけに徹すれば本当はいいのかも分かりませんけれども、少なくともこれから先の議論を方向付ける幾つかのアイデアをいつも持っておく必要があるかという気がします。少なくともこの概念フレームワークで該当するからすべて監査又は証明業務に該当するとか、あるいはましてや会計士の独占業務にしようとか、そういう趣旨ではありません。ただ実際には先程八田委員やあるいは友永委員の方からありましたように、また、いろんな意味で会計士の業務、しかも他から、今引頭委員の方からもご指摘があったように、利用するサイドから情報についての一定の保証を求めるという、そういった業務の広がりは非常に広いわけです。それが先程八田委員のご指摘があったように、これを放置しておくととんでもないことになる。やはりそこに一定の明確な基準といいますか、共通の基準を設けるということ、そうすればあるいは今羽藤参事官の方から、別段会計士の業務を広げるわけじゃありませんというふうにおっしゃったのですけれども、実はアメリカのエリオット委員会の保証業務の基準の中でも明確に、こういった業務領域が非常に広がっている、ここで基準を明確にすることによって実はその業務の範囲を逆に広げることができる、そういった指摘もあります。

いずれにしても、社会のニーズが非常にアシュアランス・サービスについては、あるいはアシュアランス・エンゲージメントについては広がっているわけで、その中の一部として、今当面の問題として四半期のレビューの問題も出ている、それから先程のMD&Aの問題についての一定のアシュアランスの問題が出るとか、こういうものがあるわけですね。ですから、先程高田委員のご質問、ご意見も当然理解できますけれども、やはりその上位概念としての枠組みというのは、実はこれから先議論というか、会計士に限らず、こういう情報の保証に対する幾つかの業務が社会から要請が出てきた時に、この基準がある、ないというのは随分違う。むしろそのためのキャップになるような基準をこの場で審議したい、これが本来の趣旨ではないか、こういうふうに私自身は思っているわけでございます。

伊藤委員どうぞ。

○伊藤委員

先程来、羽藤参事官のお話と部会長のお話で、私はやっとだんだん、何となく、今日ここで議論し、これから議論することがやっとわかってきた、恥ずかしい話だけれども、最初は何をおやりになるのかなと、よくわからなかったですな。

ただ、この町田先生の2枚目の海外IFACの分析というか、この切り口に大変私は興味があります。その中で、公認会計士に対する我々企業経営者としての期待値があって、基本的には歴史的財務情報を対象とするものから順次変わってきており、予測数値にも期待が出てきておると申し上げましたけれども、それ以外にやはり企業の関心は何といってもコンプライアンスなんですよね。日本ではエンロンのような大きな会計士の不祥事というのは余り見られないわけです。しかし、コンプライアンスに関する不祥事で社長の交代は結構多いのですよ。これに対する世間の厳しさというのはものすごいわけです。それでなぜ日本は大きなそういう会計不祥事がなくてコンプライアンスだけなんだろうか。恐らくアメリカは会計不祥事とコンプライアンス、両方が多くあるのだろうと思うのです。それについては、私どもが経済界で話し合っている時には、やはり税が利いているのじゃないか、確定決算主義が利いているのじゃないかという点で意見が一致しています。つまり損金経理要件で税が徹底的に厳しく追及してきますから、その時の税の見方というのは、伝票が合っているからじゃなくて、合っている伝票の使途先がどうかということまでをチェックしてくるわけです。必要な経費ではなく寄付行為じゃないか、その金はどこへ行っているのですかと。

ところが、公認会計士さんの監査という点で見る限りは、支払いと伝票の金額が合っておれば、それはオーケーだと。ただ、保証という業務についてはそれがどういうようになるのか、企業経営者の責任はそうじゃないのですよ。企業はそういう損金の処理だけじゃなくて、そのお金が経営的社会的責任をちゃんと全うしているような事業活動に使われている金かどうかというところまでを見ておかないとコンプライアンスに引っかかってくるわけですよ。今日本で問題というのはそこなんです。そこに税がものすごく厳しく利いてきている。

しかし、残念ながら税は利益を出すことに関しては何のチェックもしない。適正に利益を出しているのかは公認会計士さんの仕事だと。それは、コンプライアンスのところに引っかかってこないのかどうかという問題もあるわけです。私はこのコンプライアンスが下の真ん中の限定的保証に入っているのが本当にいいのかどうかに関しては若干問題があって、やはりこの合理的保証の方まである程度踏み込んで頂かないといけないのではないかというのが日本的な土壌の中では強く要求されてくるのだろうと思います。

以上です。

○山浦部会長

新米の司会で申しわけありません。先程から内藤委員が手を挙げられていらっしゃいますけれども、よろしくお願いします。

○内藤委員

今回の第二部会が保証の概念整理をするということでスタートして、しかもそれが短期間の、この夏を目指してやるということですので、その共通の理解として、なぜそういう概念整理をするのか、今までのご議論を聞いていて大分わかってきたと思うのですね。

それで、いろんな側面からのご説明があったのですけれども、私は財務諸表監査が昭和32年、1957年に正規の財務諸表監査としてスタートしたのち、これまで企業会計審議会での基準改訂や、公認会計士のご努力もあって、ようやくグローバル水準に十分匹敵するような監査内容になってきて、しかもそれが伊藤先生おっしゃるようにいろんなマスコミでもよく取り上げられています。他方、財務諸表監査に類似した検証をしたことが、マスコミ報道では監査をやったのだというような取り上げられ方をしたり、いろいろな局面でさまざまな情報に対する検証業務が出てきたりしている中で、我が国だけに限ってみても、47年にわたって育ってきた財務諸表監査それ自体が危うくなってきているのじゃないかと思うのですね。

危うくなってきているという意味は、いろいろな業務、類似した業務が出てくることによって、法定監査としての監査とは一体どこが違うのだということがあやふやになってきた。そしてそれが不特定多数の投資者を含めて理解がさまざまになってきたのではないかと思うのですね。

そうすると、財務諸表監査を、質の高い保証を与える業務として守っていくためには、ほかの類似業務と監査とがどこが違うかということをこの審議会で明らかにしなければ、監査基準を2年前に改訂し、そして中間監査を1年数ヵ月前に改訂しても、誤解が生じてしまう。それがひいては新たなレジェンドを生む可能性だってあるわけですね。この意味で、保証ということが出ていますけれども、保証の概念整理を通じて、監査なり中間監査の意味が改めてはっきりするという側面もあるのではないか。

それでは、そういう認識の中で、今、羽藤参事官の方から、監査又は保証業務の要件は何であるか、あるいは山浦部会長の方からは、そういった類似の業務に関するものも含めて共通の基準は何かということをはっきりさせたいというご趣旨の発言があったかと思うのですけれども、短期間に議論を進めて概念整理をするということになりますと、何を目標として、具体的には監査、中間監査、レビュー、あるいはその他の保証業務についての定義をするのか、あるいは定義だけではなくて、それらの行為に共通した原則、そういったものまでも議論するのか、そして更に、その対象とするものについて、先程来のご議論では、歴史的という言葉にとらわれて、狭く解釈されているようですけれども、財務情報を対象とした保証類似業務だけをここで扱うのか、いや、そうではなく、内部統制とか、今伊藤委員からもお話がありましたコンプライアンスまでも扱うのか、そういった対象も扱うのか。それから、先程、保証を与える業務なのかそうではないのかという切り口がありました。特に、合意された手続について保証を与えるか与えないかという議論について、合意された手続は、合意された手続を実施する人、そしてそれを依頼する人、場合によってはその結果を利用する人、この三者がその手続き内容を合意している、すなわち、手続の結果を利用する人もその手続きを承認しているわけですので、利用者にとっては承認された手続によって得られる結果については一定の保証があると考えることができると思うのですね。この意味では合意された手続にも保証があるという理解も可能かもしれません。しかし、私たちがここで議論するのは、どういう意味で保証を与えるのかということ。これは不特定多数の人に対して保証を与えるといいますか、保証の結果を伝えるということを範疇として扱うのか、あるいはそうではなくて、もっと広げて、特定の三者間での協議の上での保証を与える行為までもここで扱うのかということなんです。

要するに、確認したい事項は、ここで一体どういう目標、つまり、概念整理を行う場合に、定義だけをするのか、あるいは共通の行為指針としての原則までも示すのか、その時の対象者はどうするのか、対象とする情報の範囲はどうなのか、あるいはシステムなのか、そういったあたりを今予定されているのであれば、お聞かせ頂ければ、起草委員の方も大変助かるのではないかと思います。

以上です。

○山浦部会長

多賀谷補佐、お願いします。

○多賀谷課長補佐

うまくお答えできるかどうか分かりませんが、例えば町田委員がお示し頂いたこの枠、どちらの枠がいいか分かりませんが、枠のようなイメージで考えた時に、これは高田先生のご質問とも関連するかと思うのですが、基本的には財務情報を対象とする、財務諸表監査というものが当然中心となるという縦列だと思います。そして、その中で、横の線という意味で言えば、まずはその保証というのが何かという、あるいは何が保証じゃないのだというような、これは一番重要な線なんだろうと思います。

それで、昔は監査しかなかったので、監査以外は保証じゃないという非常に単純な意識が共有されていて、また実務上もそれで何の弊害も起こらなかった。それが、伊藤委員もおっしゃったようにいろいろな、企業自体も変わっている、社会自体も経済も変わっている中で、その縦軸にも横軸にも広がっているということがあるのだと思います。

それで我々としては、縦軸としては一応財務諸表監査というものを踏まえながら、しかしながらそのレベルにおいてはまずその保証とは何か、そこはきちんとやはり議論するべきだと思うのです。ただ、そのレベルというか、個々の基準をどの程度に置くかというのは、その概念として監査との違いというのは考えていかなければならないでしょうけれども、そのあたりは実は監査基準と中間監査基準のご審議の中でかなり議論をされているのだと思うのですね。この保証の中に入る部分について我が国ではどう考えていくのかというのは、かなり中間監査基準の時も議論はされていて、ある程度共通な理解というのができているのではないか。まあレビューについては今ひとつだと思うのですけれども、ですから国際監査基準でのご議論ですとか、アメリカでのご議論ですとか、今後そういうものを紹介して頂く中で、かなりそこは短時間でも整理ができるのでは、これまでの基盤を持っておりますので整理はできるのではないかというふうに考えております。それで、その出来上がった大枠の中で個々の基準をどう作っていくかというのは、これはまた別の、次のステップかなと思います。

それで、大きな枠の中で保証と保証でないものは何が絶対的要件なのか、あるいは保証の中ではどういうものでそのレベルが区分されるのかというのは、やはり一般的な財務諸表の監査を念頭に置きつつご議論を頂きますけれども、それは結果として財務諸表以外の分野で会計士さんがいろいろな業務をなさる時にも使われる概念に敷衍されていくものではないか。そこと違うことを言っても、財務諸表監査というのは制度的にも一番基盤的にもしっかりしているわけですから、例えば財務諸表と同じように監査という用語を使う時に、違う意味で使うのですよということがあるのかどうかというと、やはりここでのご議論がそういう直接財務諸表を扱わない分野にも概念として広がっていくということは当然あり得ることだと思いますし、そこまで将来的には見込んだご議論をして頂くことは一向に差しえないのだと思います。

ただ、ここで意見書として対象にするという、その目標というのは基本的には財務諸表というのは1つの議論の焦点ということだというふうに理解しております。

○山浦部会長

ありがとうございました。

こういった場でこういう例を挙げるのは適切かどうか分かりませんけれども、昨年、ある公団で会計士が関与したことについて、一方は監査を受けた、一方は監査ではない、こういった大激論がありました。例えばこういったことも、やはり少なくとも監査とは何か、保証業務とは何かということの要件が決まっておれば、そしてそれが明示されておれば、ああいう議論もある程度避けることができたのではないか。あるいは共通の理解が得られたのではなか、こういうことも考えます。少なくともそれだけはできるだろうと思いますので、それから先どこまで行くかというのはさらに検討を要するのではないかと思いますけれども。

岸田委員どうぞ。

○岸田委員

ほかにも法律の専門の方がいらっしゃるのですけれども、発言がないようで、僭越ですけれども私の方からお話させて頂きたいと思います。

先程高田委員のご質問で、羽藤参事官のお答えとしては、官の関与といいますか、ということで公認会計士法2条の法律上の問題として監査業務の範囲と結びつくというようなお話があったと思うのですが、今日の話ではその監査の具体的な内容として、国際監査基準等で保証業務ということが問題になっているわけですけれども、保証という言葉はそもそも、私の考えでは法律用語だと思うので、これについては何年か前の監査研究学会で保証についていろんな議論をした時に、私もちょっと議論に参加させて頂いたのですけれども、何々を保証するということは、それがもし間違っておれば損害賠償義務を負う、つまり法律用語としては必ず責任を負うというのが保証だと思うのですが、今日のお話で、先程町田委員のご説明があったようなことによりますと、必ずしもこの監査で言う保証というのはそういう意味じゃなくて、結論を表明する、こういう意見ですよというふうに私は理解したわけであります。

それで、法律上は会計士さんが監査の権限がある、監査については会計士さんしか独占して権限ないのだとすれば、当然それについては責任を負うということになるわけであります。しかし、法律用語として保証という言葉を使えばもちろん責任があるわけですけれども、ここで言う保証というのは当然に責任あるということを意味していないように思うのです。

例えば、公認会計士法の改正の時にもいろいろ議論、今日もお話も出てまいりましたけれども、監査以外の言葉としてレビューとか、それからここにございます意見表明、だからレビューとか意見表明は監査ではない、保証してないのだ、だから責任を負わないということには法律的にはならないのではないかというふうに思います。それから、先程お話があったような将来情報、予測情報についても、これは保証があるかないかに拘らず、意見表明すれば法律上は責任あるのではないかと思います。

だとすると、こういうところで基準を作る意義というのは、監査基準なり何なりで意見表明あるいは意見報告を出せば、私の考えでは法律的にはそれが府令、内閣府令等でこれはこういう内容ですよということになれば、その政令、省令、府令と法律は結びついて結局責任はあるのだということで、ちょっと私ども法律家にとっては保証という言葉が当然に法律上の保証でないというところで議論がちょっとわかりにくいのですけれども、多分それは何か具体的な基準を作って、それが府令、政令に結びついて責任の根拠になるのじゃないかと思います。それはもう公認会計士の権限のところも結びつくのですけれども、必ずしも法律用語じゃないというふうに私理解しているのですけれども、それでよろしいのでしょうか。

○羽藤参事官

確かに「監査又は証明すること」という文言が使われた昭和23年当時に、これをどういうふうに説明がされていたかということとの関係で申し上げると、保証という概念との関係で検証が行われたということは、どうも私が調べた限りではないのですね。それで、一方で、そもそも国際「監査」基準と言いながら、訳としてそうなっていながら、その中に保証業務があり、それで監査業務がありというふうなことで、実は今おっしゃられたように法律上の「保証」が伴う概念として、その関係において、法的な概念整理、法的な責任をどう伴うかということを含めた概念整理というのは改めてここで確認をする必要があるのだというふうには思います。その上で公認会計士法などとの関係でも整理をしていくことが必要であると思います。これまで「保証」という言葉、そして保証業務ということの関係において、特に公認会計士がどのような責任を負うのかということについては、確たる整理というのはなされてはいないと私も認識しておるところなので、そういう意味では、繰り返しになるのですけれども、まさしくそういうことご議論頂くすることによって、監査と何が違うのかということが鮮明になり、あるいは保証という形で意見を宣明することによってどういう責任を負うのかということもまたきちんとしてくるということにつながっていく、そのような議論の場として、私どもも整理をさせて頂き、ご議論頂くように務めたいというふうに思います。

○山浦部会長

いろいろご意見をありがとうございました。

そろそろ定刻になりますので、今回の意見交換はこの辺で終了させて頂いてよろしいでしょうか。

本日は最初の部会審議ということで、幅広くご意見を頂戴することができたと思います。次回の部会は4月7日水曜日の午後4時から6時に開催し、諸外国や我が国でのこれまでの議論について、委員の方や参考人の方からご紹介頂きながらご議論頂くことを予定しております。また、第3回の部会は4月28日を予定しております。詳細は事務局を通じて連絡させて頂くことになりますけれども、なるべく早く日程をお知らせすることができるようにして参りたいと思っております。お忙しいところとは存じますけれども、何卒よろしくお願いいたします。

それでは、本日の部会をこれにて閉会させて頂きたいと思います。委員の皆様方には大変ご苦労様でございました。

ありがとうございました。

午後5時59分閉会

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