企業会計審議会第10回会計部会議事録

 

1.日時:令和5年6月2日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第1特別会議室

【徳賀部会長】
 皆様、こんにちは。定刻となりましたので、これより企業会計審議会第10回会計部会を開催いたします。皆様には、御多忙の中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 当初の予定と申しますか、今朝まで私は金融庁にて対面で出席することになっておりましたが、台風2号に伴う大雨で新幹線の不通・乱れの可能性があるということで、オンライン出席とさせていただきました。
事務局以外は全面オンライン会議となります。もし私の声が聞きにくいなどのトラブルがございましたら、チャット等でお知らせいただければありがたく存じます。また、仮に私の回線が不安定となった場合には、大変恐縮ではございますが、その時点で進行を事務局にお任せして、私のほうは再接続を試みるといったことで対応させていただきたいと思います。
 本日、委員総数25名中23名が出席されており、定足数の12名に達しております。会議の成立を報告いたします。なお、途中の退席者が4名ほどおられます。
 それではまず、会議の公開についてお諮りしたいと思います。企業会計審議会議事規則第4条第2項にのっとり、本日の会議について公開することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)

【徳賀部会長】
 御了解いただきましたので、本日の会議の模様はウェブ上でライブ中継させていただきます。
 なお、議事録はこれまでどおり作成し、金融庁のウェブサイトで公開させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局よりオンライン会議の開催に当たっての留意事項をお知らせいたします。また、委員の異動もございますので、廣川課長より併せてお願いいたします。

【廣川企業開示課長】
 ありがとうございます。金融庁企業開示課長の廣川でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。
 まず、オンライン開催に関しまして2点注意事項がございます。
 1点目といたしまして、御発言されない間は、恐縮ですが、マイクをミュートの設定にしていただきますようお願い申し上げます。御発言されるときにはマイクをオンにしてミュートを解除で御発言していただき、御発言が終わられましたらまたミュートにしていただくということでお願い申し上げます。また、支障のない範囲で構いませんが、会議中はお顔が見られるように、カメラの設定をオンにしていただけますと幸いでございます。
 2点目として、御発言を希望されるときですが、チャット機能を使って、全員宛てに発言希望である旨とお名前を入れていただいてお送りください。お名前については協会名などの組織名でも結構でございますので、御入力いただければと思います。それから、こちらでそれを確認させていただいた上で会長から指名をさせていただきたいと思います。なお、御発言に際して、念のために御自身のお名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただければと存じます。
 続きまして、委員の異動について御報告を申し上げます。6月1日付で新たに4名の方が御就任されておりますので、御紹介をさせていただきます。あいうえお順で恐縮です。
 阪智香委員でございます。

【阪委員】
 関西学院大学の阪と申します。皆様に学びながら貢献できるよう努めたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

【廣川企業開示課長】
 続きまして、佐藤雅之委員です。

【佐藤委員】
 日揮ホールディングスの佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣川企業開示課長】
 続きまして、茂木哲也委員です。

【茂木臨時委員】
 日本公認会計士協会の茂木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣川企業開示課長】
 ありがとうございました。
 また、新しく御就任いただいた浅見裕子委員は本日御欠席となっております。
 なお、事務局につきましては、お手元の配席図をもって御紹介に代えさせていただきます。
 以上でございます。

【徳賀部会長】
 廣川課長、委員の異動報告等ありがとうございました。新委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。まず初めに、国際会計基準に関する対応について事務局から、続いて、IFRS任意適用の状況について青委員から、また、企業会計基準委員会の活動について川西委員から、続いて、国際会計人材の育成の取組について林田委員から、最後に、本日御議論いただきたい事項について改めて事務局から説明いただきたいと思います。その後、まとめて皆様より御質問、御意見をお伺いしたいと思います。
 それでは、事務局より国際会計基準に関する対応について、御説明をお願いいたします。

【園田国際会計調整室長】
 徳賀会長、ありがとうございます。金融庁企業開示課国際会計調整室長の園田でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 事務局の資料として資料1と資料2の2つ御用意してございますけれども、資料2のほうは参考資料という扱いで本日説明は省略させていただきますので、資料1のほうを事務局より説明させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、目次にございますとおり、本資料の構成でございますけれども、まず初めに企業会計審議会総会(2023年4月7日開催)における主な意見、それから、2つ目に会計基準をめぐる変遷等、そして、3つ目、ご議論いただきたい事項という構成になっております。会長から御紹介いただきましたとおり、ご議論いただきたい事項のほうは後ほど説明をさせていただきます。
 おめくりをいただきまして、1ページ目でございます。2023年4月7日に開催した企業会計審議会総会で出た主な意見の御紹介でございます。まず柱書きのところでございますけれども、企業会計審議会総会で議論をしていただくに至った背景を記載してございます。まず1つ目ですけれども、2013年6月にこの企業会計審議会で「国際会計基準への対応のあり方に関する当面の方針」、いわゆる「当面の方針」と呼ばれているものを公表しております。それ以降、我が国における国際会計基準(IFRS)任意適用企業の拡大及び国際的な動向(のれんの動向)等が変化してきたところでございます。
 こういった環境変化を踏まえまして、4月7日の企業会計審議会総会では、この「当面の方針」の考え方、IFRSの任意適用の拡大促進及び我が国としての意見発信の強化等に資する取組について御議論いただいたところでございます。出た御意見につきましては、こちら1ページ目、それから、2ページ目に記載をさせていただいておりまして、簡単に紹介をさせていただければと思います。
まずIFRSへの対応のあり方でございます。「当面の方針」の考え方は引き続き堅持すべきであるという御意見。また、「当面の方針」以降におけるIFRS任意適用拡大に係る事実関係を分析し、我が国における会計基準の将来見据える方向性及び各段階における論点等を整理する必要があるのではないかといった御意見をいただいております。
 また、IFRS任意適用企業の拡大促進のところでございます。こちらにつきましても、特に海外進出を視野に入れている企業は積極的にIFRS任意適用を導入していく必要があるのではないかという御意見と、一方で、任意適用が伸び悩んでいる理由を分析するほか、任意適用のメリットを分かりやすくする必要があるのではないかといった御意見をいただいています。また、2つ目にありますとおり、プライム市場の上場企業の経営者に任意適用のコスト、ベネフィットを認識していただくことが考えられるのではないかと、こういった御意見もいただいております。また、3つ目ですけれども、現時点で任意適用していない会社はその必要性がないと判断しているケースが多いのではないかという御意見もございました。また、4つ目ですけれども、財務情報のファンダメンタル分析の重要性が企業と機関投資家の対話の促進という中で増しているということで、有用な情報を機関投資家に提供するという観点から、会計情報においても、国内企業間だけでなく、海外企業も含めての比較可能性が非常に重要な論点であるという御意見。また、IFRS任意適用企業のさらなる拡大という観点から、コーポレートガバナンス・コード改訂時に任意適用に関する規定を加えることも考えられるのではないかといった御意見をいただいたところでございます。
 2ページ目でございます。引き続き、総会で出た御意見の紹介でございますけれども、IFRSに関する国際的な意見発信でございます。こちらについては、特に個別の基準でのれんでございます。のれんを非償却とする会計基準においては、のれん残高が積み上がってしまう問題への対応について、本質的な解決には至っていないということで、のれんの償却再導入という考え方について今後も粘り強く発信していくべきであるという御意見。また、2つ目、国際的な議論を踏まえ、日本基準におけるのれんに係る会計処理や減損の認識の考え方について再検討してもよいのではないかという御意見もございました。また、3つ目にございますとおり、概念フレームワーク策定は、国際的な意見発信において我が国の考えを明確にするメリットがあるという御指摘もございました。
 次の日本基準の高品質化でございます。日本基準については、IFRSとの差異を小さくすることによって、経営管理の高度化に資するのではないかという、そういった任意適用した際のメリットがあるというような御指摘があったというところと、IFRSと日本基準についてはコンバージェンスが進められているというところであるのですけれども、金融商品会計やのれんの会計処理は大きな差異となっているという御指摘。また、日本基準について、日本の実務慣行も踏まえた基準づくりも必要ではないかといった御意見があったところです。
 また、国際会計人材の育成のところですけれども、財務会計基準機構(FASF)の会計人材開発支援プログラムに実際に参加された委員の方々より、こういった経験は大変有効であったという御意見。また、会計人材の裾野を広げる観点から、会計人材の母体について考える必要があるのではないかと御意見もございました。
 また、その他というところで2点ほどございます。国際化を視野に入れた場合、会計基準と監査保証基準を一緒に議論することが必要ではないかという御意見。また、サステナビリティ開示につきまして、会計になかった概念が出てくる可能性もあるため、会計とサステナビリティ開示における概念フレームワークを策定することは、企業・投資家にとって重要ではないかといった御意見もあったというところでございます。
 こういった御意見を4月7日の企業会計審議会総会でいただきまして、また、一部の委員の皆様より、会計部会でさらに議論をしてはどうかという御提言をいただきまして、今回会計部会を開催するということを総会の場で御了承いただいたということになってございます。
 以上が企業会計審議会総会での主な御意見でございまして、次に、会計基準をめぐる変遷等につきまして紹介させていただきます。3ページ目でございます。会計基準をめぐる変遷ということで、ここ十数年間の日本における取組などについて記載をしてございます。
 まず、2007年に企業会計基準委員会(ASBJ)と国際会計基準審議会(IASB)で東京合意を結んで、日本の会計基準をIFRSに収れん、コンバージェンスさせるということでこれまで取組がなされてございます。また、2009年には企業会計審議会で「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書」、いわゆる「中間報告」と呼ばれているものでございまして、こちらのほうではIFRS強制適用も視野に入れながらIFRS任意適用を開始するといった方向性が示されてございます。その後、2011年に金融担当大臣の談話ということで「IFRS適用に関する検討について」が公表されております。こちらのほうでは、当面はIFRSの強制適用はないというところと米国会計基準の使用期限の撤廃に触れておりまして、これをもちまして、米国会計基準は今も使用可能となっているというところでございます。
 2013年、10年前でございますけれども、ちょうど6月に企業会計審議会で、「国際会計基準への対応のあり方に関する当面の方針」、「当面の方針」と呼ばれているものでございますけれども、こちらを公表していただいております。IFRSの強制適用の是非についてはいまだ判断すべき状況になく、任意適用企業の積み上げが重要といったところ、また、修正国際基準、JMISと呼ばれているものを導入するといった方向性が出されてございます。
 その上で2014年以降の取組としましては、政府の成長戦略でもありましたとおり、任意適用企業の拡大促進、IFRSに関する国際的な意見発信、日本基準の高品質化、国際的な会計人材の育成という4つを柱として取り組んできたというところでございます。
 4ページ目にこちらの会計基準をめぐる取組のより具体的なところを書いてございます。まず、IFRS任意適用企業の拡大促進でございます。例えば取引所のほうでは、JPX日経インデックス400の導入とか、会計基準の選択に関する基本的な考え方の開示をされておられますほか、金融庁のほうでも、IFRS適用レポートの公表とか、IFRSに基づく開示例の公表、それから、銀行法・保険業法の施行規則改正といった取組をしてございます。
 また、IFRSに関する国際的な意見発信としましては、こちらは主にASBJでございますけれども、のれん及びリサイクリングに係る意見発信というところで、ヨーロッパ、イタリア、それから、香港とも共同でペーパーを出したり、もしくはASBJ御自身でのれんのペーパーを出したりといったところをしておられる。また、こちらの一番下のポツにございますとおり、IASBに対してのれんの償却再導入を求めるようなコメントレターをASBJ、それから、日本経済団体連合会、日本公認会計士協会、日本証券アナリスト協会からも提出しているという状況でございます。
 また、日本基準の高品質化につきましては、ASBJのほうで基準開発に取り組んでおられまして、収益認識の会計基準を策定されているというところ。また、中期運営方針(昨年8月)で金融商品、リース、保険契約の取組等を公表されておられるほか、暗号資産の会計基準等の策定も行われているという状況でございます。
また、国際的な会計人材の育成につきましては、財務会計基準機構のほうで会計人材開発支援プログラム、それから、国際会計人材ネットワークの構築をされておられます。
 次の5ページ目でございます。こういったことも施策を取りつつも、会計基準をめぐる環境変化がございました。大きく3つございますけれども、1つ目は我が国におけるIFRS任意適用企業の拡大でございます。次の6ページ目にグラフを載せておりますけれども、こちらを御覧いただければ分かりますとおり、「当面の方針」を公表してから、任意適用企業数、それから、任意適用企業の時価総額に占める割合は増加しておりますが、直近においては伸び率が鈍化しているという状況でございます。
 また、5ページ目に戻りまして、我が国における会計基準に係る議論等というところで2つございます。一つは我が国においては4つの会計基準、日本基準、IFRS、米国会計基準、JMISが併存しているという状態でございます。これは大きな収れんの中での一つのステップということで「当面の方針」でも位置づけられておりますけれども、一方で昨今では、IFRSを任意適用した企業のうち、日本基準等への再変更を検討している企業があるという状況でございます。また、2つ目にありますとおり、我が国におけるのれんに係る会計処理につきまして、経済団体の一つである経済同友会のほうで昨年4月に提言を公表しておられます。こちらのほうではのれんの規則的償却が収益を圧迫し、スタートアップ企業のM&Aの阻害要因になり得るなどとして規則的償却を見直していくべきという主張がなされております。経済同友会の提言は参考である資料2にも入れておりますので、申し添えます。
 それから、国際的な会計基準に係る議論の変化でございます。先ほど御説明したとおり、ASBJ、そのほかの日本の団体から、いわゆるtoo little, too late問題への対応としてのれんの償却の再導入を求めるコメントレターを提出したというところですけれども、のれんの会計処理については、アメリカの基準設定主体である米国財務会計基準審議会(FASB)及びIASBにおいて、我が国の会計基準と収れんしない方向で暫定決定がなされたという状況でございます。
 6ページ目は先ほど御説明いたしましたので、省略をいたします。
 では、会長にお返しいたします。

【徳賀部会長】
 園田室長、ありがとうございました。
 次に、青委員よりIFRS任意適用の状況について御報告をお願いいたします。

【青臨時委員】
 御紹介ありがとうございます。東京証券取引所の青でございます。本日御議論いただくに当たりまして、現状のIFRSの任意適用の状況について、御覧の資料3に基づきまして、御説明をさせていただければと存じます。
 1ページおめくりいただきまして、資料の1ページにございますけれども、こちらは東証の上場会社におけますIFRSの任意適用の推移を示しているものでございます。先ほどの金融庁からの御説明と重なる部分がございますけれども、2023年5月19日時点におきまして、IFRSを既に適用している会社が254社、適時開示によってIFRSを今後任意適用することを決定するということを開示している会社が14社、今後IFRS適用予定があるということを開示している会社が6社ということで、適用の方向を示している会社が合計274社あるという状況でございまして、昨年の6月末の時点から10社増加しているという状況にあるというところでございます。
 次のページをお願いいたします。こちらが、東証上場会社の時価総額に対するIFRS適用会社の状況を示したものでございます。こちらを見てお分かりのとおり、時価総額で見た場合に46.5%がIFRSを適用済み・適用決定・適用予定という形になっているというところでございます。濃い青色と普通の青色と水色のところでございます。それで、今年の3月決算の決算発表におきましてもIFRSを適用するということを開示している事例もあったということでございましたし、また、先ほど金融庁のほうからの御説明にありました、保険業法の改正を受けまして、保険会社のほうでも適用の決定とか適用予定の開示を行っているということが見受けられるところが今年の特色として挙げられることかなと考えている次第でございます。
 なお、本日の資料に含まれていますこのグラフのデータでございますけれども、時価総額は2023年4月末となってございますが、適用状況については若干ずれておりまして、今年の5月19日時点のデータということで、少しずれがある点について御承知おきいただきたいと存じます。
 次のページをお願いいたします。こちらはIFRSの適用状況を市場区分別に見たグラフでございます。一番左側のプライムでございますけれども、こちらでは、時価総額に対する5割近くの会社がIFRS適用済み、適用決定あるいは適用予定という形になっているということでございます。真ん中のスタンダード、それから、右側のグロースを見てみますと、グロースのほうがIFRSの適用が進んでいる傾向があって、スタンダードについてはかなり任意適用が少ない状況にあるというのがこれで見受けられるということかと存じます。
 次のページをお願いいたします。こちらはJPX日経インデックス400という、先ほど御紹介いただきました、IFRSの採用を基準に入れている指数でございますけれども、その400の構成銘柄を母集団で見たデータがこのページのものでございます。時価総額で見た場合に、57.8%の会社がIFRSを適用済み・適用決定・適用予定という状況になっているということでございます。2022年6月と比べた際に、2ページ目の東証全体よりもJPX日経400のほうがIFRSの適用が増加している傾向があるということが読み取れるかと存じます。その大きな要因としましては、5月に適用決定の適時開示が増えたことと、保険会社の適用決定・適用予定が増えたということがあるというふうに考えている次第でございます。
 次のページをお願いいたします。こちらはこれまで外へ出してなかったものをちょっと工夫してつくってみたものです。市場区分別に時価総額の分布ごとでIFRSの適用状況はどのようになっているのかというのを見えるようにしたというものでございます。それで、本スライドにおけるIFRS適用済みというところの中には、適用の決定をしたところとか適用予定は含まれていないという形になりますので、実際に適用をされている会社ということになります。それから、表の中のこの比率につきましては、社数ベースの比率ですので、御留意いただければと存じます。
 まず、上のほうのプライムについて御覧いただければと存じます。こちらを見ると、時価総額が1兆円以上のレイヤーでは、過半数の企業がIFRSを適用している状況にあるということでございます。これは社数ベースでございます。一方で5,000億円以上1兆未満の会社ですと25%、それから、1,000億円以上5,000億円未満ですと13%という形になっており、さらに、1,000億円未満のレイヤーでいけば、それぞれ10%未満の状況にあるというところでございます。こうしたことからも、時価総額が大きい企業になるほどIFRSの適用が進んでいるという状況が見られるということかと存じます。
 そのほか、このページの右下でございますけれども、こちらはグロースでございます。こちらに目を向けますと、時価総額のレイヤーごとにこれといった特徴が見受けられないということでございますけれども、言い換えれば、会社の規模に関係なくIFRSを適用する傾向が一定程度あるという状況にあるということかと存じます。
次のページをおめくりいただきまして、6ページでございます。この6ページから10ページまでは、業種別のIFRSの適用状況をまとめているものでございます。適用されていない業種につきまして、昨年の6月から変動はなかったということでございます。業種ごとの状況については、適宜御参照いただければと存じます。
 次の11ページのほうを御覧いただきますと、こちらは2013年の「当面の方針」で任意適用要件が緩和されてから新規上場においてもIFRSを採用することが可能となったということでございますけれども、こちらのスライドでは2014年以降のIFRSを適用して新規上場した会社の累計を示しているものでございます。折れ線グラフのほうが累計でございます。ここではテクニカル上場の事例が下の棒グラフのグレーの会社でございますけれども、そのベースで考えた場合に2023年5月まで40社がIFRSを適用して新規上場を果たしているということでございます。それで、旧市場の一部でIFRSが多いという資料でございますけれども、近年、新興市場でございますマザーズとかグロースの市場におきましてもIFRSを適用した新規上場の事例がある程度見られているのが実情であるということでございます。
 それから、最後の13ページ、14ページのデータにつきましては、先ほど御紹介いたしました東証全体とかJPX日経400の適用状況につきまして、過去の状況からの推移を示してございますので、適宜御覧いただければ幸いでございます。
 私からの説明は以上になります。ありがとうございました。

【徳賀部会長】
 青委員、ありがとうございました。
 次に、川西委員より企業会計基準委員会の活動について御報告をお願いいたします。

【川西臨時委員】
 企業会計基準委員会の川西でございます。本日はよろしくお願いいたします。本日は企業会計基準委員会の活動について御紹介をしたいと思います。
 次のページをお願いします。大きく、日本基準の開発と国際的な意見発信に分けてお話をさせていただければと思います。
 まず、日本基準の開発ですけれども、4ページをお願いします。日本基準を国際的に整合性あるものとするための取組としまして大きく2つを取り上げておりまして、一つがこのリース会計になります。もう一つが、金融資産の減損ということになります。リース会計につきましては、5月2日に公開草案を出したところでありまして、現在コメントを募集しているというところでございます。基本的な考え方としましては、この真ん中にありますとおり、IFRS16号をベースとしながらも、全ての定めを取り入れるのではなく、簡素で利便性が高いものをつくっていくといったことを考えているというところでございます。これは借手の話です。
 次のページに参りまして、貸手につきましては、基本的に変えないというところですけれども、IFRS16号のリースの定義、リースの識別の考え方を取り入れるということと、もう既に取り入れております収益認識会計基準との整合性を図る部分につきましては、貸手においても修正を提案しているというところであります。こちらがリース会計になります。
 次のページをお願いします。金融資産の減損は、これは典型的には金融機関の貸倒引当金に関連するような論点になりますけれども、進め方としまして6つのステップに分けて開発をするということとしております。
 次のページに進捗状況を説明しています。まずステップ1で、IFRSのモデルと米国基準のモデルのどちらを使うのかというところでは、IFRS基準のECLモデルを基調とするといったことを決めております。
 また、ステップ2と3は、基本的にIFRS基準をどういうふうに取り入れていくのかといったことを検討しているというところですけれども、幾つか国内で取り入れていく上で考えなければいけない論点などを御指摘いただいているところでありますので、まだ全部決めているわけではありませんけれども、これから検討していくというところになっていきます。また、ステップ3はいわゆるローン以外の金融商品についてどこまでこのモデルを使うかといったことですけれども、これについても幾つか議論しています。
 ステップ4という、IFRSの基準をそのままの形では入れない部分につきましては、まだ着手しておらず、これからの議論ということになります。また、ここでは減損の話をしていますけれども、分類及び測定と関連する論点は幾つかありますので、これらは同時並行的に検討しているというところでございます。
 次のスライドお願いします。ここからは経済環境の変化に対応するための取組になります。まずは暗号資産等の関係になります。こちらにつきまして、2番目の資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理、こちらのほうの審議を進めておりまして、これは一昨日、公開草案を公表させていただいて、今、コメントを募集しているというところでございます。こちらに取り組んでいますので、1点目のICOに関連する会計処理は少しお休みしているというような状況になっているというところでございます。
 次のページをお願いします。税効果会計につきましては、まず昨年の10月に改正会計基準27号を出したというところで、こちらは会計士協会の実務指針から移管する論点の幾つかを取り上げたという形になっております。
次のスライドをお願いします。こちらが3月末に対応したものでございまして、実務対応報告44号という、グローバル・ミニマム課税に対応する当面の取扱いというものを出しております。これはグローバル規模で導入されましたグローバル・ミニマム課税制度について、この3月決算においてはその影響を考えなくてよいという形での実務対応報告を出させていただいたというところであります。
 それから、次のスライドお願いします。もう一つがパーシャルスピンオフです。こちらにつきましては、令和5年度の税制改正において、このパーシャルスピンオフについて新しい定めが設けられたということで、我々としましては、税制適格となるかどうかを問わず、現行の会計基準でいいのかという観点から審議を始めることとしているというところでございます。
 12枚目のページでは、こういう取引を対象としていますというような、参考までに図をおつけしているというところでございます。
 次のページをお願いします。もう一つの取組としまして、実務指針等の移管ということを考えております、これはASBJが発足したときに、従来、会計基準は企業会計審議会がつくられて、実務指針等は日本会計士協会がつくられていたというものをASBJが引き受けてきたということですけれども、日本公認会計士協会が公表したものについては包括的に移管するということをしてきませんでした。そこで、実務指針等をまとめて移管する方法はないかということで今議論しております。日本公認会計士協会と一緒にどういうことができるのかというのを考えておりまして、その考え方につきまして、意見募集文書を今後公表することを予定しているというところでございます。
 国内的な取組は以上となりまして、ここからは国際的な意見発信ということになります。15ページをお願いします。まず基本方針ですけれども、先ほど御紹介ありましたとおり、我が国では4つの基準を使うことが認められているというところで、その中には国際的な会計基準が入っておりますので、それらの品質を高めるための努力も私どもで行っているというところであります。具体的な手段としましては、会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)会議への参加とか、IASBやFASBが出す文書に対してコメントを提出するといったことがあります。あとは、より説得力を持たせるために、各国の会計基準の設定主体との協議を行い、連携できるところは連携しているといったアプローチを取らせていただいているというところでございます。
 それから、次のページをお願いします。修正国際基準の開発もASBJで行っておりますけれども、この一つの機能としまして、意見発信の手段とするといったことがあります。こちらにつきましては、開発の方法、この2番目にありますけれども、我が国における会計基準に係る基本的な考え方が国際会計基準と合わない場合に、国際会計基準を削除または修正するという方法を取って、我が国においてどの部分が納得いかないのかといったことについて意見発信をしていくといったことを行っています。特に修正国際基準は、純利益の有用性をアンカーにしておりまして、具体的な削除または修正の項目としては2つ、のれんの会計処理とその他の包括利益の会計処理を取り上げているというところでございます。
 こののれんの議論、修正国際基準を公表したときには、非償却と償却を支持する方々はそれぞれいたということでありまして、この修正会計基準の中にこれらのいろいろな論拠を書いてありますけれども、それを抜粋したのがこれらのスライドになります。少し細かいので詳細は読み上げませんけれども、18ページをお願いします。こちらの償却を支持する根拠の最初のところ、企業結合後における企業の利益は、投資原価を超えて回収された超過額であると考えられるため、投資原価と企業結合後の収益との間で適切な期間対応を図る観点から、投資原価の一部であるのれんについて償却を行うことが必要であると、この主張をASBJでは非常に重く見ているといったところでございます。
 少し補足をしますと、企業結合を行うときの対価というのは、企業結合時の資産・負債の価値に加え、将来のその被取得企業から出てくる利益も織り込むという形になりまして、会計上それがのれんとして計上されるということになりますので、企業結合後、被取得企業から出てくる利益は増えるわけですけれども、それに対して対価を支払っているのであれば、その部分をコストとして見ることによって本当の利益が出てくるという、そういう考え方 に基づいているというところでございます。
 修正会計基準の結論が20ページになります。賛否両論あるけれども、企業結合後の利益計算の重要性に鑑み、こののれんの非償却というIFRSの考え方は、我が国の基本的な考え方との相違が大きいということで削除または修正する。方法としてはのれんの償却を求めるということにしています。
 修正会計基準は基本的に損益計算の観点から議論してきたということになりますけれども、意見発信は貸借対照表の観点からも行っておりまして、これが21ページ以降ということになります。
 これに関したペーパー出しております。22ページを見ていただくのが分かりやすいかもしれません。少し情報が古いですけれども、例えば米国や欧州でのれんを償却していない企業にあっては、のれんの残高が積み上がって、例えば米国ですと、純資産の50%を超えるのれんの残高を持っている企業が40%ほど、100%を超えているのは18.8%ほどということになっているというような形で、貸借対照表に大きなのれんの残高が計上されて、それ以外の資産の実態がよく分からなくなってしまっているというような形になっています。本当にこれでよいのか、といったことをこのペーパーを通じて主張してきたというように思います。
 23ページを御覧ください。こちらはアナリストの方々にもいろいろ情報の有用性についてリサーチした結果ですけれども、こちらはキャッシュフローにフォーカスしたような調査結果となりました。アナリストの方々はいろいろな御見解をお持ちですけれども、大きく分けて、会計上の利益が大事だという方と、基本的にキャッシュフローベースの分析を行うので、償却・非償却いずれもノンキャッシュの項目になりますので関連性がないというような、そういう言い方をされる方がいらっしゃる。会計上の利益が大事だ、償却込みの利益が大事だという方と、どちらでもいいという方がいらっしゃるのであれば、償却すべきなのではないかという、そういう結論を出したのがこのペーパーになります。
 24ページ以降は、皆様御案内のとおりですけれども、国際的な議論について御紹介をしています。IASBからは、もともと適用後レビューの一環としてディスカッション・ペーパーが出ておりまして、それに対してASBJがコメントして、従来どおり、のれんを償却すべきという結論を出したというところですけれども、いろいろ議論した結果、昨年の11月に償却の再導入はこれ以上検討しないといったことが決まったところになります。
 それから、次のページに参りまして、米国基準です。こちらは結論は同じですけれども、2020年7月ぐらいには、のれんの償却を再導入する方向で、どういう形で導入するかという議論まで入っていたのですけれども、昨年の6月にアジェンダから外すということが決まり、のれんの償却プロジェクトはFASBのアジェンダからおろされてしまったということになります。
 今後のASBJの対応でございますけれども、次のページになります。IASBとFASBの検討は止まってしまったのですけれども、我々の認識では、国内の関係者の多数が現在でものれんは償却すべきと考えていると理解しておりますので、今後も機会を見て意見発信を継続するといったことを考えているというところでございます。
のれん以外のプロジェクトについても非常に簡単に触れたいと思います。27ページをお願いします。まず基本財務諸表です。これは損益計算書の見せ方を扱うプロジェクトになります。こちらについては、残念ながら、我が国関係者の意見がなかなか採用されていないというところですけれども、段階利益をこれまで表示してきて実務がこなれている我が国の関係者と、ほとんどそういった規律がなかったIFRSの財務諸表の表示を比べますと、IASBの関係者は皆様、今回の提案でも十分な改善になるというふうな判断をされていますけれども、我が国関係者はそれでは不十分なのではないかと思うところがたくさんあるというところです。主な懸念としましては、営業利益が積極的に定義されていないとか、持分法投資損益の表示の方法とか、あと、今回提案されている経営者業績指標の在り方について御懸念があるというようなところでございます。
 最後に、グローバル・ミニマム課税の国際対応の話を少ししたいと思います。これはグローバル・ミニマム課税の制度自体は世界的にOECDを通じて採用されるということになったのですけれども、我が国では今年の3月に関連する税法が改正されるということになると、IFRSを任意適用されている会社は対応しなければならなくなりました。ただ、IASBの対応が少し遅くて、3月決算の企業には間に合わない可能性もあったのですけれども、昨年秋から私どもでIASBの関係者といろいろ協議させていただいて、何とか5月23日に最終基準の公表まで持っていったということで、3月末を決算日とする任意適用企業も、何とか連結財務諸表にこの救済をするということになったというところでございます。
 簡単ですけれども、私からの説明は以上となります。

【徳賀部会長】
 川西委員、ありがとうございました。
 次に、林田委員より、国際会計人材の育成の取組について御報告をお願いいたします。

【林田臨時委員】
 ありがとうございます。財務会計基準機構の林田でございます。今日は、国際会計人材の育成の取組について簡単に御説明させていただきます。
 では、次のページお願いします。財務会計基準機構では、会計人材育成の取組として、国際会計人材ネットワークと会計人材開発支援プログラムの2つを実施しております。今日はこの2つのプログラムを比較しながら説明をさせていただきたいと思います。
 まず目的ですけれども、ネットワークは、国際的ないろいろな場で意見発信できる人材等、これをプールして育成していこうと、これを目的としております。一方、開発支援プログラムは、将来を含めてIASB等のいわゆる国際的な組織の活動、これに直接参加して議論できる人材、これを育成しようと考えております。
 次お願いします。対象とする層は、ネットワークに関していいますと、英語で業務を行える語学力を有する管理職層です。一方、開発支援プログラムというのは、比較的若手のスタッフで、これはプロフェッショナルを目指していただこうという、こういう方たちを対象としております。
 次のページは、先ほど申し上げました目的のために、ネットワークのほうは主に最新の情報、それから、世界の動向等のアップデートを提供するとともに、メンバーの交流を図っていく。一方、開発支援プログラムというのは、これは少人数を対象として講義やグループ討議を通じまして、これは単に知識の習得だけではなくて、コミュニケーションスキルを含めた考える力、発信する力、この育成に力を入れております。
次の4ページ目が人材ネットワークの現在の構成でありまして、約1,500名弱が登録されているということでございます。
 次のページに、また昨年からは、会計に加えまして、サステナビリティ開示へと範囲を広げて取り組んでおります。具体的なシンポジウムとして、去年の秋は、ISSBから議長、理事をお招きしてシンポジウムを持ちましたし、今年の春は、会計のほうでIASBから議長、副議長、そして、理事をお招きしてシンポジウムを対面で開催しております。
 次からは、人材開発支援プログラムの比較的詳細です。今まで第1期から6期やってまいりました。先ほど申し上げましたように、プログラムの目的が、以下に記載していますような専門性の非常に高いポジション、これに就任することが可能な人材の育成を考えて取り組んでおります。
 次の7ページ目に、では、具体的にここを修了した方々がどういうふうな活動をされているかということで、特に会計基準設定に関連する活動に参加されている方、これだけでも延べで55名。ここに書いていませんけれども、本年4月からコロナも一段落したということで、IASBへの研究員の派遣を再開しておりますけれども、その方もこのプログラムの修了者であります。
 8ページ目が、現在、第7期の会計人材開発支援プログラムをやっていまして、コロナの影響も収まりましたので、できるだけ対面でやっていこうということで、知識の習得以外に、外部講師を呼んだり、あと、英語でのディスカッショントレーニング等に取り組んでおります。
 最後のページ、現在参加いただいていますのが、今回の場合は16名。ちょうど財務諸表の作成者が半分、利用者、監査人から各4名という、このぐらいの規模、構成が実質的な成果を上げるには一番いいんじゃないかなと私自身は考えております。
 以上が私からの説明でございます。ありがとうございました。

【徳賀部会長】
 林田委員、ありがとうございました。
 では最後に、事務局より本日議論していただきたい事項についての説明をお願いします。

【園田国際会計調整室長】
 再び、金融庁、園田でございます。資料1の7ページ目、最後に、御議論いただきたい事項を掲載しております。簡単に読み上げさせていただきます。
 我が国におけるIFRSに関する以下の事項について、どう考えるかということです。
IFRSへの対応の在り方については、2013年、企業会計審議会で「当面の方針」を公表して以降10年が経過し、我が国におけるIFRS任意適用企業の拡大及び国際的な動向の変化などが見られる。「当面の方針」の今後の取扱いについてどのように考えるかという点でございます。
 それから、IFRS任意適用企業の拡大促進でございます。この拡大促進について、どのように考えるか。拡大促進をする場合にはどのような取組が考えられるかの2点でございます。
 それから、IFRSに関する国際的な意見発信でございます。こちらについては、国際的な意見発信について、のれん、OCIリサイクリング、基本財務諸表等に関して積極的に行ってきたということで、特にのれんは、従来より、いわゆるtoo little, too late問題への対応として、償却再導入の意見発信を行ってきたところでありますけれども、現状、too little, too late問題についてどう考えるかというところと、仮にtoo little, too late問題について対応すべき課題と認識している場合、どのような対応策や意見発信が考えられるかという点でございます。
 それから、日本基準の高品質化でございます。高品質化のためにどのような取組が考えられるか。IFRSとのコンバージェンスを継続する場合には、留意すべき事項はあるかの2点でございます。
 それから、国際会計人材の育成ですけれども、我が国の国際会計人材の裾野を広げること、IASBなど国際機関で活躍する人材や国際会議等において積極的に議論できる人材などを育成するために、どのような取組が考えられるかという点でございます。
 それから、その他です。現在4つの会計基準が併存している状態について、将来的に会計基準が収れんしていく過程での一つのステップとして位置づけておりますけれども、こちら、一度会計基準を変更した企業がほかの会計基準(元の会計基準を含むもの)に変更する際は、合理的な理由がない限りは認められないと考えられますけれども、その程度についてどのように考えるかという点でございます。
 また、最後に、これまで御紹介したもののほか、IFRSに関する対応について検討すべき点はないかということで、以上、事務局のほうから御議論いただきたい事項として提案させていただいております。
 事務局からは以上でございます。

【徳賀部会長】
 園田室長、ありがとうございました。
 それでは、これから委員の皆様方から御意見、御質問を出していただく討論の時間としたいと思います。多くの委員の皆様方に発言していただいて、その議論を踏まえた議論の時間を確保する観点から、誠に恐縮ではございますが、御発言の時間としてはお一人3分以内を目安にしていただければありがたく存じます。チャット機能を使って、発言希望である旨を送っていただきたいと思います。なお、御質問への御回答につきましては、数名の委員から御質問を頂戴した後に、まとめて事務局または関係組織から御回答いただくことにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 米山委員、よろしくお願いいたします。

【米山委員】
 ありがとうございます。3分ということですので、優先度の高いものから発言させていただきたいと思います。
たしか4月の総会のときにもお話しした記憶が残っておりますけれども、任意適用を始めてから10年ほどを経て、様々な事実関係が蓄積してきました。ですので、任意適用を継続するかどうかを改めて幅広に検討し直してみるのに良い時期を迎えているのではないかと思っております。
 その際の留意事項なのですけれども、恐らく審議会のメンバーの皆様の中に、任意適用を継続するかどうかに関する考え方の違いがあるだろうと推察しています。そういった中で合意を形成していくためには、任意適用を存続するかどうかに関する考え方の違いが何に起因して違いが生じているのか、つまりどのような価値観が見解の違いを生み出しているのかを明らかにするとともに、価値判断が分かれる中で審議会としてはどのような事項を尊重するのかについてのかなり基本に立ち返った議論を最初に行う必要があるように思います。そういう努力を行わず、急いで個別問題の解決に取り組んでしまいますと、基本的な方向性に関する合意形成のために後戻りすることになるかもしれません。ですので、審議会としての基本方針に関して共通認識を得るための時間をいただきたいと思っています。
 私からは以上です。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 続いて、弥永委員、お願いいたします。

【弥永委員】
 ありがとうございます。経済同友会様の御提案に多少触発されて、3点ほど簡単に申し上げたいと思います。
 まず利用者拡大という観点から、現在、指定国際会計基準特定会社となることができるものはある程度限定されているわけですけれども、最近のIESBAの議論では、監査人がある企業をPIEとして扱うということが可能になるという方向で議論されていると聞いております。そこで、例えば社内体制の整備、内部統制報告書の作成・提出、監査人によるPIEの取扱いという、こういうようなものを条件としてもう少し、上場会社以外にも例えば公認会計士法上の大会社などについて任意適用の余地を拡大していくというのは考えられないかと思います。どれぐらい実効性があるかは分かりませんけれども、その企業における体制に着目して認めるのであれば、もう少し広げてよいのではないかというのが第1点でございます。
 第2点は、結論としてはいずれがよいのか必ずしも分かりませんけれども、仮に、のれんの非償却によって情報の有用性が高まると期待されるとしても、のれんの非償却を国内基準化する場合には、毎年の減損テストを厳格に行うことが当然の前提になっていますので、そうすると、やはり会社にとっての体制整備とコストが大きくかかる。このような点で、制度的には、のれんの非償却というのは簡単ではないのではないかという印象を持っております。いずれにしても、仮に、のれんの非償却を検討するのであれば、やはりこのような制度に対する影響、さらに国内基準にしてしまうと、日本においては、ASBJなど、多くの方々が連単一致という考え方をおとりなので、連単一致となりますと、やはり分配可能額算定目的との衝突が出てくる可能性があります。のれんの非償却が本当に今後話題になるのか分かりませんけれども、検討されるのであれば、この点は御検討において考慮に入れていただければと思います。
 第3に、日本基準の高品質化ということにも関係があるのですけれども、のれんのように意識的にIFRSと一線を画するという立場を取るのであれば、それは一理あるわけです。しかしながら、残念ながら、引当金とか無形資産については企業会計原則の時代から全く会計基準は進展していないわけですし、また、繰延資産についても当分の取扱いという形で、その時点での最低限の手直ししかしていないわけですので、その意味で、やはり我が国の日本基準が、コンバージェンスという観点からも、また特に無形資産についてはそもそも東京合意の対象だったということを考えると、ASBJの資源が許す限りは検討の対象となりうるのではないかと思われます。今回リース会計基準について決着がつきそうということだとすると、一般事業会社に適用される会計基準の課題としては、大物がなくなるということになるのではないかと思われますので。そうなると、やっぱりこういったものを検討する必要があるかどうかということについて、今一度考えていただくというのもあるのかもしれません。
 繰延資産についても、かつての企業会計審議会が公表した研究開発費等会計基準との整合性が存在していないという状態が続いているわけですので、のれんを見直すという議論を仮にするのだったら、それ以前に無形資産、繰延資産という辺りはやはり見直す必要があるということなのではないかなという感想を持ちました。
 非常に雑駁ですけれども、発言させていただきました。ありがとうございました。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 続きまして、井口委員、お願いいたします。

【井口委員】
 ありがとうございます。皆様、資料の御説明ありがとうございました。状況がよく分かりました。今日は機関投資家の立場として、日本の資本市場強化の観点で意見を述べさせていただければと思います。
 ちょうど事務局説明資料の7ページの項目について簡潔に意見を述べたいと思っております。1点目、2点目の国際会計基準への対応のところですが、個人的には、営業利益の定義、あるいはのれんの処理などに関して忸怩たる思いはありますが、会計情報の場合、特に比較可能性が重要となること、あと、2013年の「当面の方針」以降、日本の資本市場における海外投資家の影響力の一段の拡大や機関投資家のファンダメンタル重視の傾向、また、海外資金の呼び込みを促進する政府の最近の施策などを考えますと、やはり、引き続き国際会計基準の一段の任意適用の拡大は必要不可欠な施策ではないかと思っております。
 特に今日御説明いただきました東証様の資料の3ページにプライム市場の位置づけが記載されておりまして、そこでは、グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場とされております。このようなことからしますと、プライム市場上場企業では、とりわけグローバルな投資家との共通言語となります国際会計基準が必要になるのではないかと思っております。したがって、自らプライム市場に手を挙げられたプライム上場企業においては、任意適用の拡大をさらに強化する必要があるのではないかと思っております。方策としましては、企業が自ら考えてという「当面の方針」の精神を考えますと、例えばコーポレートガバナンス・コードなどソフトローで定める、あるいは東証様の指導強化でプライム市場上場企業での一段の適用の拡大を図るといった方策もあるのではないかと思っております。
 5点目の国際会計人材の育成につきましては、これは総会でも申し上げたこともありますが、私自身も実はこのプログラムの1期生として大変勉強させていただきました。今日の御出席の中でも何人か利用者サイドでこのプログラムの参加者がいらっしゃるということで、非常に成果があった、有効であったと思っております。一方、今後はISSBの基準あるいはASBJの基準に伴いまして、会計とサステナビリティのコネクティビティーがより一段と求められるという中ですので、既に林田様から御説明がありましたが、サステナビリティ開示人材の育成も必要になってくるのではないかと考えております。
 最後のその他のところにコメントさせていただきたいのですが、既に4つの会計基準が併存しており、会計基準を収れんさせていこうという中、国際会計基準へ移行した企業については原則不可逆的に元の基準には戻れないとすべきではないかと思っております。
 また、日本基準の中でのれんの償却・非償却の選択をできるようにして、特にスタートアップ企業において、のれんの償却は重いからのれんの非償却を認めるべきという、償却・非償却の選択適用の議論について御紹介がありましたが、会計処理というのは、私の理解では、企業活動を忠実に表現できるように選択されるべきと考えております。日本基準においてこのような償却・非償却の選択適用を認めるということは、一種の利益操作を認めることにもつながると思いますので、投資家あるいは利用者からすると到底受け入れられない考え方だと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 続きまして、田代委員、よろしくお願いいたします。

【田代委員】
 すみません、順番が変わっていたので、心の準備ができておりませんで。

【徳賀部会長】
 途中退席ということでしたので。

【田代委員】
 すみません、お気遣いいただきましてありがとうございます。私のほうからは2つあります。今、井口委員が選択導入に反対という意味で、投資家の御意見というのは非常に大切だと思う一方で、実態として、先ほど経済同友会のアンケートについて金融庁からお話がありましたが、私、経済同友会の副代表幹事をやっておりまして、現在、そのアンケートが途中なので、今日、実際のアンケートの結果をお出しすることはできなかったのですが、お伝えできるのは、まずスタートアップからアンケートを取っておりまして、スタートアップの72%が、これは既に上場しているスタートアップなんですけれども、のれんの償却をしなければいけないので、M&Aを断念した経験があるという答えになっております。
 それで、それ以外にもアンケートの数字はまた公表できるようになったらお伝えしたいんですけれども、日本のスタートアップは大きくならないというのが非常に大きな問題となっております。M&Aで大きくなるというのが一つの選択肢ですし、海外では実際M&Aで大きくなっていることを考えますと、どういう形でこの問題に対応するかということを一度考える必要があるのではないかと思います。それが選択制が非常に投資家から難しいのであれば、IFRSに行けばいいんじゃないかという話を私もしているんですけれども、やはりそれは結構会計士のほうがIFRS対応では難しいと言われてしまったとか、幾つかスタートアップ側の事情があると思いますので、その事情も聞きながら対応を考えるという必要があるのかなと思います。
 もう一つは、林田理事長からお話があった人材育成についてです。いろいろな、ISSBへの対応も含めて人材育成をしていらっしゃるということだと思うんですが、今、6ページ目の資料の中に、人材開発プログラムで将来に以下のようなポジションという中に、IASBの理事があるんですが、やはりISSBのほうにも、これからルールづくりをしていくという観点からも、ISSBの理事もぜひ人材育成のプログラムの中に入れていただければと思って御意見させていただきました。ありがとうございます。

【徳賀部会長】
 御意見ありがとうございました。
 続きまして、青委員、よろしくお願いいたします。

【青臨時委員】
 ありがとうございます。途中で退出する関係で、すみません、先に御発言させていただきます。恐縮です。
 私のほうからは大きく、IFRSの対応の在り方と任意適用企業の拡大促進、それから、会計基準の再度の変更の点、この2点について意見を述べさせていただければと思います。
 現状、「当面の方針」に関しましては、新規上場も含めてIFRSの任意適用が相応に進んできているという状況にあるということでございます。スタートアップについて、なかなか難しいというお話もございましたけれども、ある程度進んでいるという意味では一定の効果があったと考えられるのではないかと思われるというところがございます。
 他方で、プライムの会社に任意の適用を促していくべきじゃないかとか、あるいはIFRSの適用を推奨することを期待するというような御意見も出てきているところではございますが、現状としては、今4つの会計基準を企業のほうが任意で選択することが可能というような仕組みになっている中で、のれんなどのIFRSと日本基準で大きく異なる論点がある中で、意図して日本基準の選択をされている会社が相当程度あるという状況かと思われます。
 あと、任意適用の状況も、時価総額でいうとかなり増えてきているというような状況はあるのですけれども、社数ベースにすると、残念ながらIFRSの採用は10%に満たない状況ということかと思います。こうしたことを踏まえると、現時点で取引所のほうからルール等でIFRSの適用を強制色を出した形で求めていくというのはなかなか、ちょっと行き過ぎになるのではないかと思ってございますが、そうした中でも、幅広い関係者と連携をしながら、引き続きIFRSの任意適用の拡大に向けて取組を進めていくということは大事なことと思ってございますので、我々のほうもそうした取組を可能な限り進めていきたいと思っている次第でございます。
 それと、任意適用拡大が進んでいない点についての対応としては、一つは業種というところで、なかなかほとんど進んでいない業種も幾つか見受けられるところがございますので、そうした点については、制度的なボトルネック等についてもう少しうまく進めていくことができないかというところについて検討を深めていくということが一つ考えられるのかなと思われるというところと、あとは、全般に、上場会社全体に対して、IFRSに対する理解を深めていただいて、それで、IFRSに移行するときのハードル、心理的なものを含めたハードルを下げていただくということは、よりこれから力を入れていくということは可能ではないかと思う次第でございまして、その点についても私どものほうもできるだけ協力していきたいと思っているところでございます。
 それから、会計基準の再変更の点でございます。こちらは、合理的な理由がないと、なかなか会計基準を再度変更するということを認めることは難しいのではないかというのが基本観としてあるというところでございます。会計基準の変更を頻繁に行うということを認めるということになりますと、やはり経営者にとって都合のよい財務数値になるように会計基準を選んでいくということが可能というふうな受け止められ方を投資家側のほうからかなりそのように見られるおそれがあるということがあるかと思いますので、そうしたことは避けるべきと思われますし、合理的な理由に関しましては、採用する会計基準を変更すべき状況にあるという、何か変更することが必然的な状況にあるということが求められていくということかなと思われます。そこは恣意的な採用を行わないという意味で、そういうことが必要ではないかと思われます。それ以上に幅広く、十分な必然的な理由なしに幅広く認めていくということにはつながらないようにというふうな基本観を持ったほうがよいのかなと思った次第でございます。
 特に気になるところとしては、特定の会計処理の違いを活用することで、経営者にとって、現時点ではこれが都合がよいのでということで会計基準を選択して、有利な財務数値を作成するということになるとよろしくないと思われますので、そのような発想は避けるべきと考える次第でございます。
 一方で、例えばアメリカに上場していて、アメリカ上場の関係で米国の会計基準を採用するといったような会社もあるかと思いますけれども、そうした会社がアメリカから上場を撤退したような場合に、投資家のニーズが、米国会計基準でつくることへのニーズは大きく減少するということも考えられますので、そういった場合には会計基準を変える合理的な理由に該当し得るというような、そういった考え方もあり得るかもしれないなと思った次第でございます。
 私のほうからは以上でございます。ありがとうございました。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 続きまして、川村委員、よろしくお願いいたします。

【川村臨時委員】
 川村でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。細かなその他の論点からあえて申し上げます。基準間の変更に関しましては、望ましくないという御意見にもちろん同調いたしますが、変更することが認められるようなケースが生じたときに、それへの対応というのはやはり必要ではないかと思います。
 この問題は、以前この場で御発言させていただいたこともありますが、日本基準の初年度適用の問題であります。例えばIFRSを適用してのれんを非償却としていた企業が日本基準に戻ってくるときに、日本基準だと適正な残高はこの金額まで減っているはずだからということで、のれんの残高を期首利益剰余金で調整するといったことを認められてしまうと、損益計算書にのれんの償却費が出てこないままのれんの額が減ることになります。あるいはOCIのノンリサイクリングがIFRSで行われていますけれども、OCIで認識されていた含み損益を日本基準に戻してから実現利益として認識するというようなことが考えられます。これらは、重要な問題かと思いますので、何らかの対応が必要ではないかなと思います。
 そして、戻ってくる場合の形がどうなっているかということを明確にしておくことは、日本企業がIFRSに切り替えるというときの意思決定にも影響を及ぼすと思います。戻ってこられる程度によって、IFRSに切り替える際の覚悟が変わってくると思います。
 また、日本基準をこれからどうするかという問題につきまして申し上げますと、IFRSとのコンバージェンスを考える際に、やはり違いが目立つのは損益計算書の表示の問題かと思います。IASBで営業利益の問題などが議論されているのは承知しておりますが、例えば非継続事業からの損益の表示とか、特別損益の表示とか、長年の差異として残っている部分について検討の余地はあるのではないかなと個人的には思います。
 最後に、国際人材の問題です。大学に所属する人間からしますと、やはり海外留学を経験している人材が少ないという点が結構大きな問題だと思っています。私もIFAC関係の仕事で国際会議に出ていますが、やはりほとんどの方は、英語圏の大学のMBAやPhDを取っていらっしゃる方が多くて、留学経験がないと、国際会議の中で対等な議論をするというのは難しいというのを切に感じております。そうすると、若い公認会計士の方々等が海外で留学してきて、また日本に戻ってきて活躍するというようなキャリアプランを中心に据えた人材育成などを検討していただけるとありがたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

【徳賀部会長】
 御意見ありがとうございました。これまで6人の委員から御意見を承りましたが、事務局から何かコメントがございましたら、お願いいたします。ございませんか。

【園田国際会計調整室長】
 ありがとうございます。特に事務局から補足なり、回答なりはございません。皆様、大変ありがとうございます。

【徳賀部会長】
 承知しました。それでは、次は谷口委員ですね。よろしくお願いします。

【谷口臨時委員】
 ありがとうございます。任意企業の適用拡大の問題ですけれども、作成者側は結構、IFRS適用のためのコストと労力・工数を気にしますが、ただ、IFRSも日本基準も相当程度コンバージェンスが進んできていますので、最初のスイッチングは結構大変かもしれませんが、オンゴーイングのコストとか工数はそれほど大きくないという傾向もあります。こういった適用企業側の生の声を伝えていくと、新しく適用される企業の背中を押すことが出来るのかなとも思います。
 あと、やっぱりグローバルな資本市場へのアクセスをするためには絶対必要だということは多分皆さん気づいています。時価総額、企業価値の拡大という観点から、やっぱりIFRS適用企業の方が実際、投資家のベースも広がったり、時価総額の拡大傾向も強いみたいな客観的なエビデンスを見せると、その様なニーズがある企業についてはIFRSをアピールできるのかなと思います。
 あと、のれんの問題ですね。様々なグローバル企業とか投資家と話をして、今の減損テストの枠組みみたいなものを急激に変えるというのは相当抵抗感があるという意見をよく聞きます。ただ、これはファイナンシャルクライシスみたいに10年に一回ぐらい大きいイベントが起きるときには世の中の流れも変わりますので、継続的に発信をしていくというのが大事だと思います。やっぱりタイミングを見極めて強弱を付けながら発信することも大事かと理解します。一方で現実的には、too little, too lateを避けるために、今の減損テストの効率性と実効性を上げるような意見発信なり提言をして、実を取るというアプローチも必要ではないかなと思います。
 以上でございます。どうも。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 続きまして、冨田委員、よろしくお願いいたします。

【冨田臨時委員】
 ありがとうございます。連合の冨田でございます。私からは、働く者、労働組合の立場から、IFRSへの対応の在り方について発言させていただきたいと存じます。
 まず財務諸表や会計基準に対する連合の考え方について申し上げたいと思います。労働者の賃金や労働条件は、企業の収益によって左右される性質があり、その表示方法を決める会計基準の変更は、労働者にとって極めて重要な意味を持つと考えてございます。その上で財務諸表には、投資家だけではなく、労働者や経営者、債権者など多様な利用者が存在しますので、投資家視点だけではなく、労働者や経営者、債権者などの利用者の理解と納得の上に検討されていく必要があるのではないかと考えてございます。併せて、財務諸表の作成者が恣意的に操作できない、透明性の高いものであるべきであり、会計基準はそれを実現していく必要があると考えてございます。加えて、この会計基準は、我が国の産業構造や企業活動の実態に即して経済成長や雇用の維持・創出に寄与するものであることが大変重要だと考えてございます。
 これらの考え方を踏まえますと、IFRSへの適用の採否は、個々の企業が適用に係るコストとベネフィットを比較した上で判断すれば足りると考えますし、諸外国の状況を御説明いただきましたが、現時点においてもアメリカや中国は自国基準を採用しておりますので、この在り方につきましては、「当面の方針」を維持していくべきではないかと考えておりますので、御意見申し上げたいと思います。
 私からは以上です。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 続きまして、村田委員、よろしくお願いいたします。

【村田臨時委員】
 村田でございます。よろしくお願いします。私からは、1点意見、1点お願いを申し上げたいと思います。
 私はふだん日本経済について専門にしておりますけれども、IFRSの対応の在り方につきまして、大きな流れとしましては、先ほどの井口委員や青委員からの意見と重複する部分もございますが、やはり任意適用を促していくということは今後も必要と考えております。と申しますのは、やはり世界経済を見た場合、アメリカは別格としまして、日本の世界経済におけるプレゼンスの将来見通しは残念ながら決して明るくはないと考えておりまして、そうしますと、国際基準との調和は避けられない、かつ望ましいと考えるからです。もちろん昨年ののれんの償却のIASBにおける決定などは残念なことだとは思っておりますけれども、そうなりますと、今後の見通しを考えた場合、ある意味見方を変えれば、調和のためにこれまで以上にIFRSの導入を後押しするような手段が相対的に重みを増すということもあり得るのではないかと考えております。
 とはいえ、今の冨田委員の話もございましたが、規模にもよるとは思いますが、日本企業をめぐる環境は厳しい環境にあるということも踏まえて進めていく必要があるかと思っておりますので、企業にとって採用しやすいような環境づくりが重要であります。そのためには、既に意見もございましたが、例えば海外展開のあるプライム企業で導入していない理由や実態を東証様などでぜひ引き続き御検討いただいて、導入しない理由などを明らかにしていただいた上で、企業が導入しやすくなる方策を検討していくということが、先ほどのコーポレート・ガバナンスへの活用といったことももしかすると選択肢の一つかもしれませんけれども、そういうステップを踏んで進めていくということが望ましいのではないかなと考えております。
 2つ目はお願いでございます。高品質化につきまして、今、リース会計の見通しが一山越えた状態で、今、金融商品会計について御審議を基準委員会のほうで進めていただいているかと思いますけれども、金融環境の速さを考えますと、ぜひ力を入れて進めていただきたいと思っておりまして、これはお願いでございます。
 以上になります。ありがとうございます。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見と御要望を承りました。
 続きまして、佐々木委員、よろしくお願いいたします。

【佐々木委員】
 住友化学の佐々木でございます。総会のときのコメントと重なる部分があるかもしれませんけれども、御容赦いただければと思います。
 まずIFRSへの対応の在り方でございますけれども、「当面の方針」で記載されております任意適用の姿勢は維持すべきだと思ってございます。会計基準の選択は、経営判断の結果であると思ってございまして、現時点でIFRSを適用しない会社には、例えばグローバルに活動をしていない、あるいはする予定がないといった、必要性を感じていないケースが多いのではないかと思ってございます。
 また、自国基準も必要だろうと思ってございます。リーマンショックなどの市場の大きな変動などの際に、機動的な政策手当ての一環として会計基準を変更するというふうなことも考えられますけれども、そのためにも自国基準は維持すべきだと思ってございます。
 それから、IFRSに関する国際的な意見発信の関連でございますが、のれんの償却再導入という観点でございます。本日川西委員長から御説明がございました内容につきましては賛同いたします。のれんは減耗性の資産であると思ってございますので、経済実態をより適切に表現するにはやはり償却という手続が必要だろうと思ってございます。非償却の方向性で暫定決定されたところでございますけれども、膨張するのれん残高への対応、いわゆるtoo little, too lateの問題、これについては、本質的な解決には至っていないと思いますので、のれんの償却再導入につきまして、我が国の考え方として今後も継続的に粘り強く発信していくべきと思ってございます。
 日本基準の高品質化の観点でございますけれども、もちろん国際的な調和の観点は大事なんですが、加えまして、日本の実務慣行という観点も重要だと思いますので、両者のバランスが取れた形で今後検討すべきであろうと思ってございます。日本基準を開発する際には、そういった意味でIFRSに偏った姿勢にならないということが重要ではないかと思ってございます。
 なお、リース会計基準案、これにつきましては、経団連といたしましてもパブコメに対応する予定と伺ってございます。
 私からは以上でございます。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 続きまして、挽委員、よろしくお願いいたします。

【挽委員】
 ありがとうございます。一橋大学の挽です。私からは大きく分けて2つ、意見と質問を申し上げます。
 まず1点目ですが、国際会計人材の育成について、財務会計基準機構の役割に照らしますと、資料に示されている目的の下での取組になると思います。その実効性も高いと評価できるわけですけれども、果たしてこの目的だけでいいのかと言われますと、財務会計基準機構以外のところになるかとは思うんですけれども、もう少し幅広の目的を挙げていただきたい。また、スポーツを見れば、あるいは将棋の世界を見れば分かるように、比較的早い段階から専門的なことをやっていったほうが伸び率が高いと思います。例えば今、公認会計士協会様が力を入れられている、小学校、中学校、高校への会計教育の中に英語のテキストを入れてみたりとかということで、当たり前の品質のところを上げていくような取組が必要なのではないかと考えております。具体的な方法としては、中身が違うだけで、方法としては財務会計基準機構様が既にやっておられる方法が結構有用なのではないかなと教育者として思っております。
 それから、川村先生は留学が大事だとおっしゃっています。それは一理あると思うんですけれども、今、一橋も含めて、非常に海外から学生や研究者が国内に来ているんですね。そこの交流を、一橋大学では寮を通じて交流を深めさせたりというような工夫ができるんです。内なる国際化という視点からも、少し工夫をすれば大きな実りがあるのではないかと考えております。
 2つ目でございます。IFRSに絡んでですけれども、先ほど田代様がおっしゃっていたことに関連するんですけれども、スタートアップ育成5か年計画でのれんに問題にある企業はIFRSに移行したらいいじゃないかというのは、私もそのとおりだと思っております。IFRSに行けるような体制を組んでいくのがいいのではないかと。生の声、先ほど谷口様から有益な御指摘がありましたけれども、その辺をもうちょっと伝えてあげるというのがいいのかなと思います。
 最後、質問になるんですけれども、too little, too late、減損損失の認識の十分性及び適時性に課題があって、今日のデータとしても、B/Sにのれん残高が結構たまっているというお話がありました。その一方で資料2の12ページにございますように、FASBとIASBが結論を出されたわけです。国際的にtoo little, too lateという問題は認識されていることは承知しておりますが、日本に企業にtoo little, too lateというのが顕著に見られて、ファクトに基づいて問題提起をされているのかについて私は知りたいと考えております。大企業の外部監査人として活躍されている先生方に、日本企業にtoo little, too lateが顕著に見られるのかどうか。大手監査法人は、製造企業以上にグローバル化が進んでいるのではないかと思うので、大手監査法人内で海外の情報共有もなされているということが推測されるんですけれども、海外との比較を交えてお話しいただけると大変ありがたいので、お願いいたします。
 以上でございます。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。前者の御意見のほうは承りました。また、質問は後ほど関係組織からお答えいただくということにしたいと思います。
 続きまして、熊谷委員、よろしくお願いいたします。

【熊谷臨時委員】
 ありがとうございます。熊谷でございます。私のほうからは大きく3点意見を申し上げたいと思います。
 まずIFRSへの対応の在り方ということでありますけれども、これは4番の「その他」にも関わるかもしれませんが、現状、結局、日本基準、IFRS、米国基準、JMISという4つの基準が併存している状態のわけであります。しかし、現実問題といたしますと、米国基準適用企業がどんどん減りまして、今8社程度、JMIS適用企業がないということを考えますと、実質的に日本基準とIFRSの2基準体制になっているんじゃないかなと思っております。恐らくこれから米国基準を選ぶという会社とかJMISを選ぶ会社はないと思いますので、この辺りは自然体で考えていけばいいのかなと思っております。
 そこで、ここからIFRSの任意適用を促進していくためにどうしていくのか。やはりいろいろな方からございますように、まず日本市場の国際化ということを考えますと、IFRSの適用拡大が望ましい一方で、経営判断で選んでいるという御主張もあります。、そこで、比較的低コストでできることとしては、例えば東証でプライム市場上場企業を対象にIFRS採用企業のインデックスを作るということが考えられるのではないかと思います。いろいろな東証サイドの理由はあるかとは思うんですけれども、現実問題としますと、プライム市場上場企業の中に、国際的な資本調達活動をすると言いつつ、必ずしもそうとは思えないような企業が相当数入っているというのも事実ではないかと思います。 このような東証プライム市場IFRSインデックスを作ることのメリットは、例えばIFRSの採用企業の時価総額が、こういう企業会計審議会あるいは会計部会の場では出てくるんですけれども、現在デイリーでモニタリングできる指標がない。プライム市場についてIFRSインデックスをつくりますと、銘柄数もそこに入ってきますので、プライム市場におけるIFRS任意適用企業の銘柄数と時価総額を日々も入手できることになります。このように、日本におけるIFRS任意適用企業拡大努力の「見える化」の効果があるんじゃないかと思っています。その結果、そのインデックスが一定程度の認知度を得て参りますと、今度は、逆にそこに入りたいという企業も出てくるんじゃないかなと思っています。このようなインデックスの導入は、東証サイドの御検討事項になるかと思うんですけれども、ぜひ御検討いただけたらなと思っております。
 それから、人材育成という観点でございますけれども、これは井口さんもそうでしたけれども、私自身もこの人材育成の1期生ということで参加させていただきまして、海外あるいは国際的な活動をしていく上で大きなベースになったと考えております。これは引き続きやっていただきたいということと、やはり会計人材ネットワークでより広い人材プールをつくっていって、その中からやはり国際的に意見発信をどんどん積極的にやっていけるような人材を育てていくというようなプロセスを確立していく必要があるのかなと思っております。
 ということで、私のほうからは以上でございます。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 それでは、これまで6人の委員から御意見等を承りましたが、挽委員から質問がございましたので、まずtoo little, too late問題につきまして、茂木委員から御回答いただき、その後で、海外の会計基準設定主体の当該問題に関する認識等につきまして、川西委員から御説明、情報提供等をいただけますと幸いでございます。茂木委員、いかがでしょうか。

【茂木臨時委員】
 御質問いただきまして、ありがとうございます。会計士協会の茂木でございます。
too little, too lateの問題のところについて御質問をいただいております。この点について、我々は、我が国においてもこういった点について課題がある、それの課題の解決策として、のれんの償却の再導入ということの話をさせていただいているわけですが、これはこの問題が日本においてだけあるから、日本において特に大きいからこういうことを主張しているというわけではなく、国際的にもこういったtoo little, too lateの問題があるとは認識されていると考えております。
 2020年のIASBのディスカッション・ペーパーに対してBIG4等もコメントを出しておりますけれども、こういった国際的な会計事務所が出している中でもこのtoo little, too lateという認識についての問題意識は示されているところがございます。それに対する対応の仕方として、償却を再導入するべきなのか、また、それに対して、いや、償却の再導入ということは、それの解決策にならないというようなコメントがある部分もありまして、それへの対応の仕方が異なっているということでございまして、特に日本において特徴的にこういった問題が発生しているということではないと考えております。
 また、この後、川西委員のほうからもコメントいただけるかと思いますので、不十分な点等については補足いただければと思っております。
 私からは以上でございます。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。続いて、川西委員、よろしくお願いいたします。

【川西臨時委員】
 御質問ありがとうございます。まず我が国においても、必ずしも全員が償却支持というわけでもなくて、賛否両論あると認識しておりますけれども、それは世界中同じでございまして、米国においても賛否はありますし、欧州においても賛否があると理解しているところです。
 大きく何が違うのかというところですけれども、まず一つは、特に企業結合が成功しているというように思われているような場合に、なぜのれんの残高が減るのかといったことがよく指摘されます。その点につきましては、私どもでは当初ののれんというのは価値が減耗していくものであるけれども、その後の活動によっていわゆる自己創設のれんと呼ばれているものが創設されていって、入れ替わっていくと考えており、企業価値自体は減っていないということはそういう形で認識しています。そのような中、自己創設のれんは会計の世界では認識しないという約束の下で会計基準をつくっていますので、のれんだけ減るということになりますけれども、会計上のれんの残高が減っていくということについて違和感があるというような主張をされる方がそれなりにいるというのが一つです。
 もう一つは、仮に償却をするといったときの償却年数がなかなか決まらないのではないかという議論があります。これはアメリカのほうで結構問題になったところですけれども、そこが決まらないと結果的に恣意的な会計処理になるかもしれないということで、減損モデルを取ったほうがいいのではないかという考え方の方もいらっしゃるというところです。この点、私どもは基本的には固定資産の耐用年数と同じだと思っておりまして、いずれも見積りの世界だと思っておりますので、見積もれないことはないと思っているのですけれども、必ずしもそう思っていない方がいらっしゃるということだとは理解しています。
 以上です。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。挽委員、よろしいでしょうか。

【挽委員】
 ありがとうございます。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。では続きまして、茂木委員からよろしくお願いいたします。

【茂木臨時委員】
 ありがとうございます。発言を希望したときから言いたかったことを大分多くの方にお話しいただきました。時間がないという状況だと思いますので、簡単にお話をさせていただきます。
 IFRSへの対応の在り方ということで、「当面の方針」のところでこれ、2013年に出て約10年がたってきたところでございます。当初の目的については一定の成果を出してきていると考えておりますけれども、やはり10年たってきておりますので、現在の状況に照らして何か見直すべき点があるかというようなことについては検討をする必要もあるのかなと考えております。
 先ほど熊谷委員からもコメントがありましたけれども、例えばJMISについていいますと、今、適用する企業もないというような状況の中で、こういった点について現状の考え方を維持することが必要なのかというようなことについても考えていく必要があるかなと思います。
 のれんの会計処理の在り方については、今回このような暫定決定になったということは、日本として主張してきたことに照らして残念な状況だとは考えております。しかしながら、そこで出てきている理由というのが、必ずしも我々がしている主張に対して否定的なものであるというわけでもないと考えておりますので、これについては、我々としてどのような主張をしていくべきか。一方でこういった暫定決定がされたということに伴って、我々はどう考えるべきかということをもう一度考えるということであれば、それは考える機会として一つのきっかけにはなるのかなとは思いますけれども、そのような我々の主張の根拠が適切かどうかという観点から考えていくべきかなと考えております。
 私からは以上でございます。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りました。
 続きまして、松岡委員、よろしくお願いいたします。

【松岡委員】
 発言の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。私からは1点、企業におけるIFRS採用の進展の課題についてお話しできればと思います。
 先ほど佐々木委員からもございましたけれども、企業にとりましては、コストは現実に非常にクリアに見える一方で、ベネフィットが必ずしも明確でない、或いはタンジブルに測れないことが指摘されているかと思います。更に、昨今はESG開示などの新たな要請も出てきております。また、会計年度の集中もある中、エクスパティーズのある陣容や稼働、そして、監査法人側のリソースや経験値の課題も現実として指摘されているところがあるかと思います。
 御参考までですけれども、弊社におきましても、21年の第1四半期からUS-GAAPからIFRSへのスイッチ、そして、今年度からIFRSの完成形として、IFRS4号から17号への保険会計の基準変更に取り組んでおりますけれども、その経験からしても、比較のための移行期間の重複する作業を含めかなりの手間がかかりますし、また、対外説明の準備や実施も必要となってまいります。さらに、弊社も日本の企業の中では恐らく海外買収案件など最も多い会社の一社ではないかと思うのですけれども、IFRSの下でのPPAや減損テストについても緊張感を持って大変な検討作業を経て判断をしているという現実がございます。
 したがいまして、いずれにしても日本全体としての人材の拡大やエクスパティーズの積み上げが重要かと思っております。IFRS拡大を目指すのであれば、なかなか定量的に示しにくいのですが、そのベネフィットに応えられるような素地がつくられるよう、関係者の方々のさらなる御注力、御尽力をお願いするところでございます。
 私からは以上です。ありがとうございます。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りました。
 続きまして、金子委員、よろしくお願いいたします。

【金子委員】
 金子です。お時間いただきまして、ありがとうございます。私からも、7ページの事項に沿って幾つか意見を述べさせていただきます。
 最初のIFRSへの対応です。会計ルールの共通化は、比較可能性を高める観点で非常に有益ですので、IFRSを拡大することは非常に意義のあることと考えます。ただ一方で、業種や企業によって状況はかなり異なりますので、この状況をしっかり見た対応が必要ではないかと考えております。したがいまして、今、松岡さんからもお話がありましたけれども、IFRS適用のメリットと負担がどういうものなのか、これを再度確認することが必要だと考えております。2015年にはIFRSレポートが出されておりますけれども、この後の変化もあり得ると思います。
 負担の観点でいいますと、先ほど来から移行コストの問題は出ている一方で、移行後のコストは比較的小さいという御意見もございましたけれども、やはり企業によりましては移行後のコストも大きいと聞きます。連結財務諸表の作成のための調整に、時間とコストが必要となります。これは日本だけで行われる訳ではなく、米国や中国に子会社があって、ここのボリュームがかなり大きい企業グループに関しましては、現地基準からのIFRSへの調整が相当に必要です。個別財務諸表作成後、連結財務諸表作成までの短時間にこの調整をしなければならず、さらに、ギャップ差は毎年変わりますので、2つの基準に精通した人材が必要になるという点でやはり負担が大きいという声もございます。それから、見積りの要素が大きい会計処理が増えておりますが、ここにおいては企業側も監査人側も経験値が少ないので、判断にどうしても時間がかかってしまうという問題もございます。
 こういうことを考えて、様々なメリット、それから、負担を考慮した上で対応策を考える必要があると思います。このための方法の一つとしては、移行コストと移行後のコストを下げるという観点から、日本基準とIFRSの差を極力小さくしていく、日本基準を高度化していくことが非常に重要だと思います。それから、もう1点は、IFRSを任意適用した場合には、日本の会社、それから、米国子会社等において二重帳簿の問題が出てきます。現状は、単体において現地基準で作成した財務諸表を連結で調整しますが、最初の仕訳の段階からIFRSで会計処理できれば、この問題が生じないということになります。日本において単体でのIFRS適用を認める余地がないのか、この辺りを検討してもよいのではないかと思っております。
 その後の意見発信等については、人材の育成と資源の投入がやはり必要になってくると思います。その中では、先ほどJMISのお話が出てきましたが、限られた資源を有効に使っていくという観点も必要ではないかなと思っております。
 以上です。

【徳賀部会長】
 御意見ありがとうございました。
 続きまして、小倉委員、よろしくお願いいたします。

【小倉委員】
 小倉です。御指名ありがとうございます。
 まず1点目、のれんの償却については、いろいろな御意見が本日も出ておりました。もう少し範囲を広げて、作成者の方の御意見は聞いていってもよいかと思ったところでございます。
 2点目ですけれども、IFRSに関する対応でその他のところですが、本日川西委員長から御紹介があったとおり、IASBでは基本財務諸表に関する基準開発が行われています。これによりまして、P/Lの表示や営業費用の分析の開示などが要求されることになると承知をしております。そういった開示の追加の要求基準が適用されて、投資判断に十分な開示が行われるようになるのであれば、会計基準が異なっている金商法の単体財務諸表の開示というのは今後継続が必要なのかというところはぜひ検討してもよい論点ではないかと考えております。
 最後、3点目ですが、今ちょうど3月決算の会社は有価証券報告書の作成をされていて、人材開発、人材投資に関する開示を準備されていると思います。本日の国際会計人材開発の資料ですけれども、会計分野における女性活躍の状況はぜひ開示していただきたいと思いました。今日も先生方からも御意見がありましたけれども、若い方、学生の方にも財務・会計という分野を目指していただきたいと思いますので、4ページや7ページのスライドについてはぜひ女性の数の内訳を書いていただいて、特に4ページはセクターごとに開示がありますので、当局も含めてどういう状況かというのを、お名前が開示されているので、数を数えれば分かるというところもあるかもしれませんけれども、ぜひそういった開示も進めていただけるとよいのではないかと思いました。
 以上でございます。ありがとうございました。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りました。
 続きまして、大瀧委員、よろしくお願いいたします。

【大瀧臨時委員】
 ありがとうございます。SMBC日興証券の大瀧です。
 IFRS任意適用については、任意適用を維持し、適用したい会社は適用するというスタンスでよいと考えます。将来的にも強制適用すべきではないと思います。また、拡大促進策として、コーポレートガバナンス・コードにIFRSをデフォルトとして取り入れる案には反対です。
 IFRS任意適用をもっと拡大促進させるのであれば、その前に日本の意見が反映できるよう、IASBのボードメンバーの日本人枠を増やす、現地スタッフを増やすといった発言力を高める対策が急務と思われます。最近のIASBの議論では、日本が主張する営業利益、のれん償却及びリサイクリングが全て受け入れられませんでした。また、直近審議されている実務上の論点は、日本との関連性の低いものが多く、逆に日本が早期基準化を求めた国際課税のピラー2対応が先週ようやく基準化されました。自国の企業に適用させる会計基準は、本来、米国のように自国で開発・管理すべきであり、逆に主体的にコントロールできない会計基準を積極的に適用することは、将来日本の資本市場にとって大きなリスクになる可能性があると思っています。
 また、コーポレートガバナンス・コードと会計基準との関係性は乏しいと考えております。コーポレートガバナンス・コードでIFRSをデフォルトとした場合、日本基準の品質が劣っていると誤解される可能性があります。海外との対話促進の障壁となっているのは会計基準差ではなく、言葉の壁であり、決算短信や有価証券報告書の日英同時開示などの施策を進めるべきだと思います。
 なお、会計基準のコンバージェンスに当たっては、我が国の基本的な考え方を踏まえ、IFRSや米国基準の必要な部分を取り込めばよいと思います。そのために、概念フレームワークの開発は必要と考えます。概念フレームワークの完成まで日本の考え方を明確にしておくために、JMISは残しておいたほうがよいかもしれません。
 スタートアップ企業に関しては、任意でIFRSを適用すればよいと考えます。成長促進は理解できますが、資本市場の健全性も十分に配慮すべきです。どの会計基準であれ、適切に財務報告できることは上場の必須条件だと思います。
 併せて、日本基準でのれん償却の選択適用を認めることは、投資家にとっては、比較可能性の観点から断固反対ですし、日本会計基準の品質を落としかねないと思います。のれん償却の問題はASBJで議論されるべき論点だと思いますが、私見を申しますと、投資家が懸念しているtoo late問題は開示拡充では解決しないと考えます。too late問題は、P/LだけでなくB/Sの有用性の低下も懸念しております。減損テストの改善には限界があり、その対応策としても、のれん償却は維持すべきと思います。
 IFRS適用拡大の中で今後の課題を3つ取り上げます。一つは、先ほど申しました、日本の意見が通らないという問題です。2つ目は、IFRS財務報告の品質維持です。日本基準よりも注記開示に裁量があるため、基準の準拠性については、これまでどおり監査法人の規模を問わず十分な監査と当局による有価証券報告書レビューの実施をお願いしたいと思います。3つ目は、IFRS財務報告は、日本基準と比べて比較分析がしにくいという点です。具体的には、持続的な実力を示す営業利益が表示されない、政策保有株式の残高がその他金融資産に含まれるなど、特に短信における財務諸表本表の情報が減少しています。また、有報注記も各社で開示の仕方が異なります。
 我が国において貯蓄から投資への促進を進める中で、私は日本の会計制度をベースに、広く一般投資家に分かりやすく開示していくべきだと考えています。例えばIFRS財務報告において営業利益は赤字だが、MPMといった調整後利益では黒字と説明されても、一般投資家にはなかなか理解が難しいのではないでしょうか。そこで、連結財規や内閣府令等によりアドオンする形で、IFRS適用会社に日本の営業利益に該当するような利益を表示させるといった日本基準適用会社との比較ができるような追加的な開示を提案いたします。
 最後に、IFRS任意適用会社が日本基準に戻せる機会を提供することは大事だと思います。ただし、特定の会計処理のショッピングや損益操作にならないように慎重な対応を図るべきだと考えております。
 以上です。ありがとうございました。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 これまでに出てきた御意見につきましては、先ほどから御発言していただいておりますが、ほかに御発言よろしいでしょうか。よろしいですか。
 それでは、若干時間がございますので、先ほど村田委員と熊谷委員から出された要望に関しまして、東証は青委員が御退席されたので、信田様より御回答いただければと思います。御意見でも感想でも結構ですが、いかがでしょうか。

【青臨時委員代理(信田)】
 東京証券取引所の信田と申します。熊谷委員から寄せられた御意見につきましては、現時点での回答は差し控えさせていただければと思いますが、現状、先ほど御説明もさしあげましたとおり、JPX日経400という指標の中でもIFRSの採用も加点要素としては入れておりますので、そういったものも活用しつつ、今後検討させていただければと思います。
 以上でございます。

【徳賀部会長】
 信田委員、村田委員からの御要望について何か回答はございますか。特にないようですので、結構です。
 ほかに、事務局からこれまで出ました御意見等につきまして、何かコメントがございますか。

【園田国際会計調整室長】
 ありがとうございます。特にということではありませんけれども、貴重な御意見多々いただきまして、ありがとうございます。やはりIFRS任意適用について、これまでどおり進めるか、もし進めるとしたらどういう考えで行っていくのか、また、どういう方策があるかといったところも含めて、しっかり論点を整理すべきという御意見が多かったのかなという印象を受けておりますので、そういったところは我々としてもしっかり対応が必要かなというところは感じたところでございます。
 すみません、所感のような形になって恐縮ですけれども、以上でございます。

【徳賀部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、本日様々な立場からそれぞれ貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。本日、幾つかの論点につきましては、委員によって見解が異なるということがございました。先ほど米山委員からも御指摘がございましたが、意見の相違というだけではなく、どういうお立場で、どういうコンテクストでそのような意見を述べられているかということも含めて、私といたしましては引き続き審議を行う必要があると考えております。そのため、次回以降の会計部会において、本日出てまいりました論点を含め審議していきたいと考えております。
 それでは最後に、次回の日程等について、事務局から御説明をお願いいたします。

【廣川企業開示課長】
 ありがとうございます。企業開示課長の廣川でございます。
 本日、本当に多岐にわたる御意見を多くの論点についていただきまして、皆様、ありがとうございました。このように大変な多様な御意見をいただいたところではありますので、一度事務局のほうでも咀嚼をさせていただきまして、その上で会長ともよく御相談させていただきながら、今後の日程を考えてまいりたいと思いますので、今いつということではなく、改めて事務局から御連絡させていただきたいと存じます。ありがとうございます。

【徳賀部会長】
 以上で本日の会計部会を終了いたします。本日は、お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございました。これにて閉会いたします。

 

以上

お問い合わせ先

企画市場局企業開示課

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)(内線3691、2999)

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