企業会計審議会第19回監査部会議事録

1.日時:平成21年3月24日(火曜日)16時29分~18時10分

2.場所:中央合同庁舎第7号13階 金融庁共用第一特別会議室

○友杉部会長

それでは定刻になりましたので、これより第19回監査部会を開催いたします。

皆様には、お忙しいところご参集頂きまして、誠にありがとうございます。

私は昨年3月の企業会計審議会の総会におきまして、監査部会長に指名されました友杉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

なお、本日の部会も企業会計審議会の議事規則にのっとり公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○友杉部会長

ご了解頂きましたので、そのように取り扱わせて頂きます。

前回の部会、昨年の1月28日でございますが、その後、委員の異動がございましたので事務局からご紹介頂きたいと思います。

○野村企業会計調整官

山浦委員、関委員、水野委員がご退任されまして、五十嵐則夫委員、武井優委員、篠原真委員、鈴木康史委員が新たに就任されておられますので、ご紹介させて頂きます。

五十嵐則夫委員でございます。

○五十嵐(則)委員

五十嵐でございます。どうぞよろしくお願いします。

○野村企業会計調整官

武井委員でございます。

○武井委員

武井でございます。どうぞよろしくお願いします。

○野村企業会計調整官

篠原委員でございます。

○篠原委員

篠原でございます。よろしくお願いいたします。

○野村企業会計調整官

鈴木委員でございます。

○鈴木委員

鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○野村企業会計調整官

また、江原幹事が退任され、萩本法務省民事法制管理官が幹事に就任されておられます。萩本幹事でございます。

○萩本幹事

法務省民事局の萩本でございます。よろしくお願いいたします。

○野村企業会計調整官

委員等名簿をお手元に配付させて頂いておりますので、ご参照頂ければと思います。

以上でございます。

○友杉部会長

ありがとうございました。

それでは、議事に入ります。本日の議事次第をご覧頂きたいと思いますが、「監査をめぐる国際的動向について」という大きなテーマの中で、3つの項目についてご審議を頂きたいと考えております。

第1に「国際監査基準への日本公認会計士協会の対応」についてということですが、監査基準についてもコンバージェンスに向けた動きが進んでいる中で、前回の本部会におきまして国際監査基準の改訂におけるクラリティ・プロジェクトに関しては膨大な作業が予想されますことから、日本公認会計士協会において検討を進めて頂くとともに、監査基準の改正の要否等とも関連することが考えられますことから、検討状況を企業会計審議会にご報告くださるようお願いしたところですので、対応状況についてご報告を後で頂きます。

第2に、去る2月4日に企画調整部会から公表され、現在意見募集中の「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)」につきまして、監査との関連を中心に後で説明を頂きます。

第3に、監査のコンバージェンス等の観点から、国際的な基準との整合性をより高めるよう、継続企業の前提に関する注記について、監査基準等の見直しについてご審議を頂きたいと考えております。

それでは、国際監査基準への日本公認会計士協会の対応につきまして、日本公認会計士協会常務理事でもいらっしゃる篠原委員から、ご報告をお願いいたします。

○篠原委員

篠原でございます。

それでは、「国際監査基準への日本公認会計士協会の対応」ということで、お手元の資料1-1と1-2に沿いまして国際監査基準を定めております国際監査・保障基準審議会(IAASB)のクラリティ・プロジェクトにつきまして説明させて頂きます。

1-1ではクラリティ・プロジェクトの概要を説明しております。

それから、1-2では、まず最初にこのIAASBのクラリティ・プロジェクトの対象となっております基準のリスト、最後のページに、これに対応する日本公認会計士協会の取り組みといたしまして、既に公表されている実務指針が4本書かれてございます。

それでは、1-1に沿いましてご説明させて頂きます。

クラリティ・プロジェクトと申しますのは、この国際監査基準(ISA)を定めておりますIAASBが近年公表する基準に対しまして、「内容が複雑である」、あるいは「長文で理解しづらい」というご批判があったことから、その書きぶりを変えようということで、2003年からその内容の検討が始まっております。

ご案内のとおり、現在のISAと申しますのは、必ずしなければならない要求事項をブラック・レターと申しておりますが、太字体で表して、その他の手続についてはグレー・レターという普通字体で表しております。このブラック・レターとグレー・レターが混在して1つの基準になっているのが現在のISAでございますが、このクラリティ・プロジェクトによって幾つかの改善がなされております。

先ほど「長文で理解しづらい」というご批判があったと申し上げましたが、そのほかにもこのグレー・レター、その他の手続の位置づけが不明解であるとか、あるいはECの第8指令に見られますように、法律にこの監査基準を取り込みたいというニーズに応えるためにもこのクラリティ・プロジェクトというのが進みまして、結果的にはここの2番に書いてありますとおり、各基準に目的を設けること、そして要求事項とその他、適用指針と呼んでおりますが、要求事項と適用指針をまとめて2つのパートで表すというのが主な見直しになっております。

この新しい起草方針に基づきまして、この2006年ころから順次基準を改訂しておりまして、資料1-2をご覧頂きたいのですが、ここには38本掲げております。38本のうち1番目がISQC1という品質管理に係る基準でございまして、38本目が最後でございますが、ISAE3402という、ここには外部の受託会社の統制に関する保証報告という、ISA以外の2本が入っておりますが、この中でこの最後の38番目を除く37本について見直しが完了いたしまして、今月3月3日にこのクラリティ・プロジェクトの完了というものが、IFACからウェブサイトで公表されております。

その他といたしましては、この適用方針をめぐりまして、この五月雨式に出てくる基準を逐次採用するのか、あるいはまとめて一括して適用するのかという議論がございましたが、結果的にここに書いてありますとおりビックバン方式という一括適用をとるとIAASBでは方針を固めております。

また、適用日でございますが、ここに書いてありますとおり2009年12月15日以降開始事業年度ということで、実質的には2010年の初めから適用されるというのが、IAASBが決めた適用日でございます。

ただし、各国の適用日を見ますと若干幅があるようで、必ずしもこの2009年12月15日に合わせてくる国というのが現状では限られてくるのではないかと思います。あるいはアメリカなどですと、アメリカと申しましてもPCAOBではなくてAICPAの中のASBが定める非公開会社に対する監査基準でございますが、これも少なくとも1年は遅れると聞いております。

また、ECにつきましては、ECが今後このISAを法定監査の監査基準として採用する詰めを今後行うということになっており、それに合わせて考えるという国もあれば、ヨーロッパの中でも英国などは、ECに先行してなるべくこの2009年12月15日を目標に作業を進めたいとしている等、国によって若干ばらつきがあるのが現状でございます。

1-2の方にまいりまして、この38本のうちの最後の38番目を除く37本がこの3月3日のウェブサイトへの公表でプロジェクト完了となったわけですが、これに対する日本公認会計士協会の取り組みといたしましては、最後のページに4つほど「クラリティ版ISAのうちJICPAが対応する実務指針を公表しているもの」として、リスクモデルと申します、その考え方の中心となる4本の基準が既に対応されております。これは2005年10月の監査基準の改訂を受けて、日本の監査基準もISAの採用するリスクモデルに沿った形になったということを受けて、クラリティ・プロジェクトに伴うこの新起草方針に合わせた見直しがなされたものでございます。

以上が日本公認会計士協会の対応でございます。

○友杉部会長

ありがとうございました。

ただいまのご報告につきまして、特段のご質問等があればお願いいたします。

よろしいでしょうか。

次に、企画調整部会の中間報告(案)についてですが、まず事務局よりその内容等につきまして、監査との関連を中心に説明して頂きます。

事務局、よろしくお願いします。

○廣川課長補佐

金融庁企業開示課課長補佐の廣川と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、早速ですがお手元にあります資料2-1、2-2、2-3の資料を使って、「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)」について、概要をご説明させて頂きます。

まず、資料2-1でございますが、冒頭、「『我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)』の公表について」とあります。その最初の段落にありますように、企業会計審議会・企画調整部会におきましては、昨年の10月より国際会計基準の取り扱いについて議論を行ってまいりまして、1月28日、先般の第15回企画調整部会におきまして中間報告(案)の取りまとめがなされております。具体的な内容については、次の資料2-2を使い、監査に関連する部分の具体的な記述につきまして、資料2-3をときどき参照しながらご説明いたします。

資料2-2でございますが、基本的に、我が国の会計関係者が中長期的な展望を共有した上で、国際会計基準の取扱いを検討する必要があるという考え方でありまして、その際、IASCFのガバナンス改革の状況とか、米国を初めとする国際的な諸情勢等の状況変化に応じて柔軟に対応することが重要という考え方も示されています。

次に、国際会計基準の取扱いについて、適用に向けた課題が幾つか示されております。まとめますと、大きく4つに括られております。

まず、2.のところにございます例えば昨年秋のG20の共同声明やFSF、金融安定化フォーラム等に対する国際会計基準審議会の対応、それから米国新政権の対応、こういった諸情勢を見極める必要があるということです。

次に、国際会計基準に対する実務の対応、教育・訓練が課題となります。

3つ目に、国際会計基準の設定におけるデュー・プロセスの確保、国際会計基準委員会財団のガバナンスへの我が国の関与の強化も課題として挙げられております。

最後に、XBRLの国際会計基準への対応について、我が国では先進諸外国に先駆けて2008年4月からXBRLの義務化をしておりますが、国際会計基準を適用するに当たっても引き続きXBRLで投資家に情報提供ができるということを確保していくことが、4つ目の課題として挙げられております。

このうち監査に関連するものについては、特にマル2の国際会計基準に対する実務の対応、教育・訓練の中に具体的な箇所がございます。その関連で幾つか本文をご紹介させて頂きます。

まず、資料2-3の6ページをお開き頂ければと思います。

6ページの上段の方ですが、マル3と書かれている箇所がございます。これは国際会計基準を適用するに当たっての課題の考え方を示した部分でございます。マル3のところで「会計基準は財務報告の作成」、その次に「監査」と出てまいります。「監査・分析・監視の各段階を通じた会計実務と相まって、投資者に信頼性の高い財務報告が届けられてはじめてその役割が果たされることとなる」ということで、こうした監査も含めた実務・執行面での取り組みも重要という考え方が示されております。

そうした基本的な考え方をベースといたしまして、具体的には、9ページをご覧頂ければと思います。9ページは各主体ごとにその国際会計基準の適用に向けた課題を書き分けた箇所でございますが、「ハ.監査人」の中で、「監査の実務指針の見直しも必要になるものと考えられる」という考え方が示されております。

さらに、その次の「ニ.当局」の箇所がございます。当局には、執行当局としての側面もありますが、制度所管当局としての側面もございます。そうした中で、第2段落の上から3行目の終わりあたりからでございますが、「監査基準等の見直しの必要性・・・の検討」というのも課題として掲げております。

監査に関わる部分で特別に書き出している課題は以上でございます。

こうした課題も踏まえた上で、具体的に国際会計基準の適用について、中間報告(案)では、資料2-2においてエッセンスとしては、具体的に2つあり、まず最初に任意適用についての検討がなされております。国際会計基準の任意適用につきましては、例えばということで、2010年3月期、来年の3月期の年度の財務諸表から、国際的に財務活動を行っているような上場企業、あるいは一定規模以上の上場企業の連結財務諸表に任意で適用を認めることが考えられるという考え方が示されております。

ただし、時期や適用対象企業については、IASCFのガバナンス改革の状況、国際的な諸情勢を見極めた上で判断する必要があるという位置づけになっております。

その上で、次の(2)でございますが、将来的な強制適用の是非ということで、審議会でまとめられた中間報告(案)におきましては、強制適用の是非の決定というものは行われておりませんが、1つの目途として、2012年に強制適用するか否かの判断をするということが考えられるという書き方になっております。その際には、先ほど申し上げました2番目で掲げてあります課題の達成状況等を確認するということです。つまり、具体的な判断時期の目途はありますが、その時期は前後し得るという考え方になっております。その強制適用を仮に行う場合の開始時期でございますが、判断をした時期から十分な期間ということで、少なくとも3年間の準備期間を確保するということが考えられるということで、目安が示されております。

資料2-1にお戻り頂きまして、こうした内容の中間報告(案)が1月28日の企画調整部会を受けて取りまとめられまして、それが2月4日に金融庁からパブリックコメントとしてホームページに公表されております。具体的には4月6日の月曜日17時まででありまして、パブリックコメントで提出された意見を踏まえまして、引き続き企画調整部会でご審議を頂く方向になっております。

先ほど中間報告(案)で申し上げました監査基準、あるいは実務指針についての検討ですが、金融庁事務方といたしましては監査基準は、基本的には、監査の実施、あるいは監査意見を表明する手続・方法等の基準でございますので、特定の会計基準の適用に影響は受けないものと考えてございます。

それから、先ほどもご説明がありましたように、近年、国際的な監査基準と整合的な形での対応が進められてきておりますので、監査基準・監査の実務指針の体系に大きな変化は及ばないと考えております。ただし、国際会計基準を前提とした例えば監査報告書のあり方や、後ほど別途議論を頂きます継続企業の前提に関する注記に関する監査基準等については、所要の手当てが必要になり得るのではないかと認識しております。

いずれにいたしましても、監査基準、監査実務指針の所要の手当てを実施する場合には、先ほどご説明があったクラリティ・プロジェクトへの対応との整合性等を意識しつつ、かつ中間報告(案)で示されている国際会計基準の任意適用の時期の目途である2010年3月期との兼ね合いを考えつつ検討を進める必要があるものと認識しております。

説明は以上でございます。

○友杉部会長

ありがとうございました。

監査との関連を中心とした国際会計基準の取り扱いにつきまして、監査の実務を担う公認会計士の立場から、日本公認会計士協会の副会長でもいらっしゃる友永委員からコメントをお願いいたします。

○友永委員

友永でございます。

今のご説明、それから初めの議題でありますクラリティへの対応ということに関して、幾つかの点について申し述べさせて頂きたいと思います。

まず、IFRS導入に伴う監査基準・監査実務指針の見直しという点でございますが、財務報告のフレームワークという概念の導入をしてはどうかと考えております。これは、現在の監査基準では、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して適正に表示されているかどうかということについて、監査人は意見を述べることになっているわけですが、ISAでは基本的にはIFRSを念頭に置いて開発されていますが、フレームワークフリーという建前になっております。

今後はIFRSの任意適用を認めますと、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準というものは、日本基準のほかにIFRS、そして一部例外的に認められている米国基準といったものがそこに入ってくるということでございますので、監査基準において財務報告のフレームワークフリーの形での設定ということがあれば、その辺の齟齬を来すことはないのではないかと思います。

監査基準においては、「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」と総称することがあったとしても、監査実務指針のほうで複数の会計基準を前提とした財務報告のフレームワークという記述ができれば対応できるものと考えております。

2番目に、新たに作成すべき監査実務指針ということですが、国際監査基準とのコンバージェンスを図る方針で実務指針を作成してまいったわけでございますが、日本の実務や日本の会計基準にないため作成していないという部分がございます。例えば、近々企業会計基準委員会から公開草案が公表されるであろう会計上の変更及び過去の誤謬に関する会計基準がございますが、過年度遡及修正等の実務が日本になかった関係で、国際監査基準のISA710(比較情報)、ISA510(初年度監査業務-期首残高)、ISA560(後発事象)に対応する監査実務指針というのは作成していなかったわけでございます。これらにつきましては適用時期の問題がございまして、IFRS任意適用開始の時期を考慮いたしますと、早急に作成をしなければいけないものと考えております。

それから、現行の監査実務指針においてIFRSを想定した適用指針における例示等で、これはあまりないとは思いますが、取り入れてこなかったものがあるかどうかについても検討をして、必要であれば見直しをしていきたいと。こういったことはクラリティ・プロジェクト対応の作業を現在やっております。その作業の中で優先順位を見極めながら同時並行的に行っていきたいと考えております。

それから、本日の3番目の議題に載っております継続企業の前提に関する監査基準の規定の再検討の必要性ということで、IFRSでは会計基準IAS1号に規定があるということで、会計基準の問題として取り扱っているわけですが、日本では監査基準マターということで、財務諸表等規則における規定で開示が規制されているということで、いわばねじれた関係がございます。財務諸表等規則では、会社が将来にわたって事業を継続するとの前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在する場合、そういった場合には注記をすることを求めるということに対して、IAS1では継続企業としての能力に重大な疑義を生じさせる可能性のある事象または状況に重要な不確実性がある場合ということで、その事象または状況の存在と重大な不確実性という、2段階での判断を求めているというところに違いがあります。

それから、経営者の評価ということにつきましては、その事象または状況の存在の有無の評価だけではなく、経営者の対応策の検討が含まれて、その上で不確実性があるかどうかの判断が行われるというところに違いがあるかと思います。

それから財務諸表等規則では、当該事象を待たず状況を解消または大幅に改善するための経営者の対応及び経営計画ということで、きっちりとした経営計画が必要であるかのように一部にとられかねない表現というところもございますので、そこら辺、識別された事象や状況によって必要な対応策というのは、必ずしも経営計画の存在ばかりを求めているわけではないといったところの対応が必要かということでございます。ここら辺のIFRSの導入に当たりまして、ゴーイングコンサーンについての監査基準の上での齟齬が生じないということで、今回のご審議により解消され、実務上の混乱が回避できるものと考えております。

それから、ISAとのコンバージェンスにおける大きな問題としましては、報告基準の改訂が必要ではないかと考えております。日本の現在の監査基準では監査の対象、実施した監査の概要、財務諸表に対する意見の3部構成で監査報告書を作成しておりますが、ISAでは監査の対象、経営者の責任、監査人の責任、意見という4部構成で、形の上でも大きく変わっておりますが、記載の内容も現在の文章とは異なる内容になっております。

それから、監査基準において追記情報として記載すべきものの中に、強調事項区分とその他の事項区分というものが混在しておりますが、これらを明確に分けて記載することを要求している等大きな違いがございますので、コンバージェンスに当たりましては報告基準の改訂が必要になろうかと考えております。

少し長くなりましたが、以上でございます。

○友杉部会長

ありがとうございました。

今までいろいろご説明がありましたように、意見募集中の中間報告(案)にはIFRSの適用に向けた課題を中心に、監査関連の記載が多くあるところであります。したがいまして、基本的には中間報告の企画調整部会における検討と、あわせて国際会計基準と監査の関連する部分については、今後、当部会においても審議・検討を行ってまいりたいと考えております。

また、ただいま友永委員から国際的な基準と我が国の監査基準と異なる部分があるものとして、継続企業の前提に関する注記についてのご指摘がありました。継続企業の前提に関する注記については、我が国では平成14年の監査基準等の改正によって導入されたものですが、継続企業の前提に関する注記にかかわる現行の監査基準や監査実務指針、関連府令等の規定が、ご指摘のように国際的な基準と必ずしも整合的ではなく、またそれらの規定の本来の趣旨とは異なる実務が行われているとも考えられますことから、コンバージェンスの観点等からそれらの規定を早急に見直すことを検討してはどうかと思います。

関連府令の見直しは当局のほうで検討しており、関連府令の見直しは継続企業の前提に関する注記において監査基準等と密接に関連しておりますので、関連府令の改正案を含めて継続企業の前提に関する注記について、まず事務局から説明して頂きます。

よろしくお願いします。

○三井企業開示課長

それでは、資料3-1から3-4までを使って、現在私どもで検討中のものをご説明させて頂きたいと存じます。

資料3-1は、まず日本の今のルールと米国基準ないし国際会計基準・国際監査基準に基づく実務の基準なりルールとの比較の総括でございます。資料3-2が日本の開示規則を初めとする諸ルール、3-3が国際的なもの、そして見直しの1つのたたき台案が3-4でございます。

それでは、まず資料3-1をご覧頂きたいと思います。

まず大きな全体像を説明いたしますと、日本の現在のルールは開示のルールとして財務諸表等規則、3-2にあります「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」というものが正式な名前ですが、ここにまず書かれております。そして監査もこれに基づいて行うとすればということで監査基準がございます。監査基準等については2ページ以降に添付しております。

資料3-1に戻りまして、その中では「『継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況』の存在」というものが出発点になります。真ん中辺にその例を掲げていますが、この経済状況で問題になっているようなものですと、継続的な営業損失の発生であるとか、財務制限条項への抵触や債務の返済の困難性といったものがあります。これら以外にもさまざまなものが事例として、資料3-2の財務諸表等規則ガイドライン8の27-2のあたりに例示されております。1つ1つの事象に対して機械的にということではなく、これらの事象は例示でございまして、これら1つないしは複数、あるいは、これら以外の事情も総合勘案して、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況があるかどうかを判断するということでございます。

こういった事象または状況が客観的に存在すれば、日本の場合はそれが継続企業の前提に関する注記ということで開示をすることになり、これは監査対象になっております。そして、監査基準のほうでは、その事象、状況をチェックすると同時に、それを軽減するための経営者の対応なり経営計画の合理性を判断するということになっております。この合理性をチェックするということになりますので、債務超過であるとか債務の返済の困難性から継続企業の前提に疑義がある状態を解消するようなきっちりしたものがないと、あるいは蓋然性の高い経営計画がないという場合には、意見不表明になり得るという実務になっているようでございます。

他方、これに対応する米国ないし国際会計基準に基づく国際的な実務を見ますと、まず出発点の事象または状況があります。この例示は細かい違いがあるとしても、そういった客観的な事実が存在するというところが出発点になる点は同一でございます。ただ、その事象・状況があるからといって直ちに注記に至るということではなく、経営者の対応ぶり、ここでは経営計画という言葉を用いていますが、原語では“plan”ですので、日本語でいう経営計画には至らない対応策やいわば対策、経営者のアクションと言ったほうが近い意味合いの言葉であり、こういったものを経営者として検討、評価します。その結果、なお重要な不確実性、“material uncertainty”というものが残る場合には注記に至るということでございまして、この日本の基準と国際的な基準では、この経営者がとっている対応を考慮するかしないかというところに違いがございます。

したがいまして、開示も下にありますように、日本ではこの事象・状況があればその事象・状況の存在をもって、継続企業の前提に関して疑義があるという注記になります。結果的には、右欄との比較で言いますと、経営者の対応策などを考慮した結果、かなり継続企業であろうという蓋然性が高まった場合でも、継続企業の前提に疑義があるという開示をしなければならないのではないかというのが、この財務諸表等規則の文言を機械的に読むとそういう形になるということでございまして、監査基準もそういったことを反映した基準になっております。

したがいまして、この資料3-4をご覧頂きたいと思います。以上の状況を踏まえますとどのようにしようかということでございますが、国際的な実務に合わせるということで、左のような今の実務を右のようにしてはどうかという提案でございます。まず考え方として、事象または状況が存在するかどうか。存在しなければ当然注記をしないわけですが、存在するとすれば、自動的に注記ということが今の開示のルールでございます。新しい案としては、その次にそういった事象・状況を改善する、例えばコベナンツですと、コベナンツに抵触していますので、即時返済が求められ得る状況になっていますが、求められているわけではありませんので、求められ得る状態を解消するために、債務者としては当然貸主である銀行等の金融機関と交渉する、あるいは場合によっては新しい資金を取り入れる、あるいは第三者割当増資を実施する、新しいスポンサーを見つける、不要不急の資産を売却する、あるいは企業全体のリストラを行う、不採算部門の撤退をする。そういったさまざまな対応策があるかと存じます。そういった状況を考慮して評価し、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性、“material uncertainty”が残るかどうか。それが解消されていれば、注記は要らなくなる。

それでもなお重要な不確実性が残る場合に注記になり得るというわけでございますが、まずこの判断時点が期末時点になります。有価証券報告書が提出される、あるいは、提出するという機関決定をする時期かもしれませんが、それまでにこの対応策は続けられるわけでございまして、例えば3月決算の会社ですと、3月31日時点では、例えばコベナンツに抵触したとしても、そのために経営者、それを軽減するために何らかの対応を行った結果、例えば増資ができそうになったとか、あるいは資産売却の目途がつきそうだとか、そういったことによって、この矢印の「No」という場合があり得る。それでもなお重要な不確実性が残る場合に注記する。こうしたものが恐らく海外の実務なりルールの姿ではなかろうかと思います。そして、注記事項はそれを反映させるということでございます。

1枚おめくり頂きまして、今の図の右側を前提としますと、事象または状況が存在する場合であって経営者の施策等によって重要な不確実性が解消された場合には、このままですと今は注記されているものが開示対象から外れることになります。片やその事象・状況というのは、経営者の対応の施策によって継続企業の前提を揺るがすものではなくなっているわけですが、そのこと自体はそれなりに開示に値する事象かと思われます。ただし、それはゴーイングコンサーンの注記ではなく、むしろ現在ですとMD&Aないし事業等のリスクで開示されることにフィットするのではないかと思われます。

実際の事例を、網羅的ではなくピックアップ的に見てみますと、日本ですと3月決算の上場会社約3,000社中、12月時点でゴーイングコンサーン注記がなされているものは170社強ある状況でございます。片や外国では網羅的な検索はかけておりませんが、FRCがイギリスにおいて30社程度をサンプルで見たものについてはゴーイングコンサーン注記は現状なされていないであるとか、あるいはGMの例で言いますと、直近の第3四半期以前はゴーイングコンサーン注記はなくて、今回出されたものからゴーイングコンサーン注記がついたということでございます。ただ、そのGMの事例などを見ますと、それ以前のディスクロージャー書類ではゴーイングコンサーン注記はついてないわけですが、リスク情報やMD&Aにおきまして、借り換えが難しいであるとか、債務超過になったことによるさまざまな障害、リスク、問題点がかなり事細かに記載されております。こういった海外の開示の状況と比べますと、ゴーイングコンサーン注記がなくなったまま何も開示されないということではなく、そういったものはむしろリスク情報などのセクションで、引き続き開示をして頂くということが良いのではないかと思われるわけでございます。

それを監査のフローチャートに直したものが3ページでございます。まずは、今のゴーイングコンサーン注記までの検討は経営者の責任でございまして、経営者として事象、状況の存在、そしてそれを経営者はどのように軽減しようとしているのか、その結果重要な不確実性が残るのかどうか、こういったことを経営者として判断・評価するわけでございますして、それに対して監査人としてチェックをしていくということになります。

その際、この真ん中の少し灰色になっているところ、現在の意見不表明にかかわるところでございますが、「経営者の評価、重要な疑義を解消させる対応・経営計画等の合理性を検討」ということになっておりまして、経営計画等が合理的ではない、この「合理的」という言葉は多義的でございますが、現状の実務ですと、要するにかなりきちんとした経営計画、プランというよりは経営計画といったものがないと意見不表明になり得るということでございます。しかし、国際的な基準を見ますと、そのプランに対して“feasible”という言葉を使っているようでございまして、むしろ経営者の評価、“evaluation”であるとか“consideration”というものを監査人として見る。経営者の対応策、プランといったものを評価し、それが“feasible”かどうかは見ますが、“rationality”までは見ない、あるいはそれが確実に達成される蓋然性を見るものではないということです。ここでは経営者の対応策等について検討した上で重要な不確実性が残るかどうか、その有無を確認すると、このように変えることによって、国際的な流れと一致あるいは調和させることができるのではないかと思います。

4ページをおめくり頂きまして、まずは、その出発点であります開示の規則を条文に落としたものでございます。条文でございますので事細かに説明いたしませんが、現状は事象、状況があればそれを注記するというものが下の段でございます。一方、上の段でございますが、事象、状況が存在する場合であって、かつ、それを解消し、または改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性、「継続企業」から始まって「重要な不確実性」までがワンワードでございますが、これが認められるときには注記をする、こういう立てつけにしてはどうかということでございます。

それでは、2枚おめくり頂きまして6ページでございます。

日本では、IAS1号に相当するものを財務諸表等規則という法令で行うということになりますので、それが監査に直接影響を与えるということで、「監査基準の改訂について」のドラフトをここに提示させて頂いております。

経緯のところは、まずこのゴーイングコンサーンに関する監査の導入経緯から始まり、この国際的なクラリティ・プロジェクト、そして国際会計基準の我が国企業への適用といった流れと監査基準の見直しとの関係を掲げてございます。

2ページ目以下が本論でございまして、「継続企業の前提に関する監査の実施手続」という項目でございます。今申し上げましたように、国際的な取り扱いとの差異が生じているのではないか、そしてその差異というものは今申し上げたような差であるということが記載されております。

「なお」のところにありますように、この“material uncertainties related to event and condition” というものを、日本語では法令用語との関連性を考えまして、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」というワンワード、1つの法令で使っている言葉の引用という形で位置づけております。

次のページでございまして、それに対する監査人の意見表明でございます。経営者が今申し上げましたように、事象・状況を認識しそれを改善する、軽減するための手だてを講じる、そして重要な不確実性が残るかどうかをチェックし、監査人もそれに対してチェックをするというわけでございます。このような立てつけになっていることを掲げた上で、最後のところでございますが、計画の合理性をどこまでチェックするか。計画の合理性、つまり将来その経営計画全体が成功するかどうかというのはまさに経営的なことでございまして、監査の実務と照らし合わせますと、ここのところは監査手続がきちんと実施できなかった、その重要な部分において監査手続が実施できず監査の範囲に限定があるという場合に意見表明の適否という問題になってきます。本来のこの意見表明・不表明のところに戻りまして、このような場合というのは、要するに判断の材料がないということでして、経営プラン、経営計画、ここでいう計画は対応策ということですが、どのように対応していくのかが全く提示されず監査の手続が行えないという場合には、重要な監査手続が実施できなかった場合に準じて限定付適正意見又は意見不表明ということになり得ると、このような記述となっております。

それを踏まえまして本文でございますが、9ページから10ページにつきまして、大きな改正点でございますが、「第三 実施基準」の「三 監査の実施」の7項でございまして、「経営計画等の合理性を検討しなければならない」という左の現行基準を右のように改訂したいということでございまして、「監査人は、継続企業を前提として財務諸表を作成することの適切性に関して合理的な期間について経営者が行った評価を検討しなければならない」。第8項として、「監査人は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると判断した場合には、当該事象又は状況に関して合理的な期間について経営者が行った評価及び対応策について検討した上で、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを確かめなければならない」、と改正してはいかがかということでございます。

「第四 報告基準」のところでございますが、これまで述べましたようなことをこの文言に反映しているというのが内容でございまして、それぞれ「重要な疑義」にかかわる事項が「重要な不確実性」になっております。

それから、もう1つは第3項でございまして、「合理的な経営計画等を提示しないときには」ではなく、これが「経営者が評価及び対応策を示さない」故に「十分かつ適切な監査証拠が入手できない」場合に、この意見不表明なり限定付適正意見になり得ると、このような基準でございます。

それから12ページ、これは先ほどの関連でございまして、以上の見直しの結果、かなり注記に至らないケースが生ずると思われます。その場合に、それらのうち重要なリスク情報になるものがあると思いますので、そういったものを、これは法令としては企業内容等開示府令でございますが、財務諸表ではなく、有価証券報告書の経営者の財務状況に対する評価なり分析の欄、いわゆるMD&Aと呼ばれている部分、ないしは事業等のリスクと呼ばれている欄に記載して頂くことが必要であるということで、それに関する府令案と、ガイドライン案を13ページ、14ページに付けております。

説明が長くなりましたが、以上でございます。

○友杉部会長

ありがとうございました。

ただいまの事務局の説明に基づきまして、監査基準を中心に継続企業の前提に関する注記の見直しにつきまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたしたいと思います。

ご意見ございませんでしょうか。阿部委員、どうぞ。

○阿部委員

そもそもの質問ですが、現行、注記が5%程度の会社についていること自体がやはり不正常だという理解があって、このような改正に及んだということでよろしいのでしょうか。

○三井企業開示課長

この5%ということが異常かどうかというのは、それ自体はディベータブルなことでありまして、私が高い低いと言うことは差し控えるべきだと思います。議論の出発点として申し上げますと、現在、国際会計基準を日本企業も適用することができるようになり得るパブリックコメント案を公表しているところでございます。そういった中で、監査基準もそれを考慮して、特に齟齬があるところについては見直す必要があるということで、最も大きな基準上の違いがあるところは、このゴーイングコンサーンの部分ではないかと思われます。

その違いというのは、今申し上げましたように、日本では、ある客観的な事実がありますと、基準上はメカニカルに注記になり得るという立てつけでございまして、国際的な基準はそこに経営者の対応というワンクッションがございます。ポテンシャルとしましては、この経営者のとり得る施策の余地が十分にある段階であれば、複数期連続の赤字であるとかコベナンツへの抵触という事象がたくさん起きているような経済状況であっても、国際的な基準を適用すると、さほど注記がつく企業の数は多くない。片や、その経営者による対応策が十分に功を奏するケースがたくさんあったとしても、その事象または状況に抵触するケース自体はたくさんあるとすると、日本の基準ですと多くの企業において注記が行われる。このような齟齬が出るかと思います。そのこと自体は基準が違うので、それ自体で善悪があるわけではございませんが、同じ用語が使われておりますので、日本のゴーイングコンサーン注記と海外のゴーイングコンサーン注記が、ゴーイングコンサーン注記Aやゴーイングコンサーン注記Bといったマーカーがついていない状態で、違う基準により両者に大きな実務の違いがあるということになりますと、投資家に対して必ずしも有用な情報を提供していることにならないのではないか考えられると思います。

特に、仮定の話ではございますが、一般論としてこのコベナンツに抵触するような事象等が頻発するような状況で、かつ経営者がそれに対して有効な施策を十分にとり得る余地が大きい、したがってトータルとして見ると重要な不確実性が残る企業の数が少ないような状況で、その事象、状況に客観的に該当する企業が多くあるために、日本においては多くの注記がなされるということになりますと、海外では経営者が施策をとってなお不確実性が残る場合にだけ注記されていると投資家が認識している、そういうパーセプションがある注記について、一定の客観的な事象だけで多くの開示がなされるということは、必ずしも投資家に有用な情報を提供しないと考えられます。もし仮に今がそういう経済状況、市場状況であるとすると、この基準を見直し、国際的に齟齬がないようにするということは、投資家に有用な情報を提供するという意味で望ましいのではないか。こういうことが元々の始まりでございます。結果的に、その数がどのようになるかは、結果として出てくるものであろうかと思います。

○友杉部会長

よろしいでしょうか。

ほかにご意見やご質問はございませんか。どうぞ、黒川委員。

○黒川委員

質問ですが、資料3-4の3ページの分かりやすく事務局が作って頂いたフローチャートの新しい方の流れで、今回新たに加わったこのグレーで囲われている文章の下の「適当」という言葉が左と同じ「適当」となっています。この新の方のグレーの中では「対応策について検討し、重要な不確実性の有無を確認」という文章で終わっているのですが、この「適当」がどこにかかるのか確認したいのでお願いします。

○三井企業開示課長

左側は従来の監査ですので、経営者が行った財務諸表の基準に従う何らかのアクションが、基本的にはそれが妥当かどうか、基準に準拠しているかどうかをチェックするということになります。その中身自体の実質判断、経営判断が正しかったかどうかは判断しないということが出発点かと思います。

したがいまして、現状はこの合理性を検討するという部分において、確かにゴーイングコンサーンは会計基準には則っておりませんので、基準に準拠するという意味がこの部分については必ずしも明らかではないというところがあって、かつその合理性を要求するというふうに、もし会計基準に相当するものがここでは財務諸表等規則だとすると、そこを解釈してしまいますと、監査人はその基準への準拠性ということで、経営者が合理的な経営計画を立てているかどうか、要するに会社が継続させることができるだけのパワーとその能力があって、そういう経済環境にあるかどうかということを経営者が打ち出さなければいけなくて、それを監査するというふうにも読み得るわけでございます。そういったことを会計基準や監査基準で監査人に要求するということは稀でございまして、通常、経営者の能力ということについて監査基準はニュートラルでございまして、その意味では、ある起きた事態に対して経営者がどういう施策をとっているか。そして経営者がそういう施策をとったとしても、なお、期間決算をするという会計基準の考え方から照らした場合の継続企業の前提について不確実性が残っている。将来のことですので経営者といえどもよく分からないことを前提に、一定の経営者としての判断に対して監査人がチェックし、それが著しく不当である、証拠がない、事実に反するといったことではないかどうかということをチェックしていくということではなかろうかと思います。ここでの「適当」というのは、最初申しましたような、やや従来の枠組みからはみ出しているような合理性の判断というものを適当として判断するわけではなく、経営者が自らの責任において施策を打ち、そしてそれについて重要な不確実性が残らない、あるいは残るという判断をしたということが、監査人が監査証拠を入手しチェックできた。したがって虚偽はない、客観的な事実関係から見て齟齬のある開示はしていない、事実どおりに開示をしているということが確認できると、適当ということになります。

その意味では、適当という言葉は、監査証拠が入手でき、それなりの監査の結論に達したということに尽きているわけでございまして、経営計画や経営者の対応策の将来性というものを適当と言っているわけではないという意味でございます。

○友杉部会長

今の説明でよろしいでしょうか。

○黒川委員

分かりました。その「適当」という言葉は、「確認」という最後の言葉にかかると思ったので、「有」「無」の方が良いのかなと思って質問しました。

○三井企業開示課長

すみません、そのとおりです。イエス・ノーということですね。不確実性の有無を確認しましたという「有」「無」とか「Yes」「No」のほうが適当だと思います。

○友杉部会長

先に進んでよろしいですか。どうぞ。

○引頭委員

2つの質問と1つのお願いがあります。今回このように継続企業の監査手続きを変更するという点については、国際的なコンバージェンスを考えますと納得できます。ただ、利用者側としては、今まで注記で記載されている内容が後退することについては心配しております。内閣府令の改正でディスクロージャーの制度を変えてその懸念を担保するということですが、そこで質問です。継続企業の開示の例を見てみますと、例えば3月31日時点では疑義があったけれども、その後新たな事象がありそれが解消されたというように記載されているものも多くあります。その場合、今回の12ページの改正案では、その重要な疑義を生じさせるような事象というものを、いつ時点と置くのでしょうか。これは非監査になりますので、結局のところ経営者がどのように判断するかにかかってくるわけです。ですから有価証券届出書あるいは有価証券報告書を提出する時点でのことか、それとも決算にまたがるところから、今の監査で開示しているような流れで開示していくのかというところが、まず1点目の質問です。

2点目が、先ほどお話がありましたように、注記には書かなくなるけれども、その分MD&Aであるとか、事業等のリスクといったところで詳しく書く方向になるとのことですが、海外企業の開示の状況がもしお分かりになるようでしたら、教えていただきたいというのが2点目です。

3点目はお願いなのですが、今、日本企業のMD&Aの書きぶりの状況等を拝見してみますと、ご案内のように、会社によって、ものすごい差があるわけです。これが平時で、非常に経営状態がよいときであればあまり気にする必要がないかもしれませんが、足元の厳しい経済状況を鑑みますと、こういう情報が投資家に届けられなくなったり、あるいは企業がかなり恣意に開示しなくなって、だれもチェックしなくなるというような、投資家サイドのリスクというものもあるのかなと思います。ですので、東証あるいは金融庁を含めて、作成者側に対して指導といいますか、啓蒙といいますか、そのようなことを行わないと、浸透しないおそれがあるので、是非お願いしたいと思いました。

以上でございます。

○友杉部会長

説明はよろしいですか。

○三井企業開示課長

それでは、まず投資家サイドのリスクをどう考えるか、という開示政策のあり方を私のほうから説明しまして、時点の問題についてはスタッフの方から補足させて頂きます。

ここでの考え方は、「開示を後退させない」、「開示のレベルは変えない」ということを出発点にしております。開示の中身は後退させないということですが、開示の場所が変わるということになろうかと思います。先ほどの資料3-1ですと、客観的な事象というのは、例えば継続的に赤字が続いていますということが客観的な事実でございまして、継続的な赤字が続く、しかもかなり深刻な不況であるとすると、かなりの数の企業が赤字になるので、かなりの企業はこの事象または状況があるということになろうかと思います。また、コベナンツというものが多く使われるようになっておりますので、かなりの企業がこのコベナンツに抵触するということが考えられます。

そうしますと、そのコベナンツに抵触したとか、継続して赤字になっているという事象は開示するということを前提にしまして、どこに開示するのが適当かと考えた場合に、海外の事例を見ますと、MD&Aと事業等のリスクにおいて詳細に開示されておりまして、その全てがゴーイングコンサーンのところで注記されているわけではありません。そうしますと、投資家にとってより有用な情報ということでありますと、それをゴーイングコンサーン注記に書くのではなく、MD&A等において開示するということの方が有用な情報を提供することになるのではないか、比較可能性という意味で望ましいのではないか。その意味では、まず開示量としてそれを減らすことを意図しているわけではないということでございます。

ご指摘のありました監査との関係でございますが、事象または状況が存在しますと、経営者がまず責任を持って対応策というものを考える。海外ですと“consider”する、ないし、“evaluate”するということになっていますが、日本でも同じような立てつけにすると考えますと、まず経営者が一時的に判断した上で、監査がそれを事後チェックをするということになりますので、その限りでは監査人の目に触れることになります。

また、財務諸表とそれ以外の非監査項目に対する監査の考え方としては、非監査項目そのものは監査対象ではございませんが、そこでナレティブに書かれている部分と財務諸表の整合性については、日本基準では、恐らくISAでも同様に、その整合性については監査人は見ることになっていると思います。新しいこのやり方でも、事象または状況が存在するということがトリガーとなり、それに対して経営者のとった措置というものが十分に重要な不確実性を解消させるものであったとすると、それをまず経営者が判断したということを前提に、そこを監査人はチェックすることになりますので、その限りでは監査も含めて開示は後退させないことになろうかと思います。ただし、ゴーイングコンサーンの注記そのものを行う企業の数については、現行基準の下で行う場合よりは少なくなる可能性はもちろんあり得るわけでございます。

○友杉部会長

それでは時点の話をお願いします。

○谷口企業開示調整官

ご指摘いただきました記載時点についてですが、ここに示しております有価証券届出書につきましては、提出日現在で記載をして頂くことになっております。それから、有価証券報告書の記載につきましては、この有価証券届出書の記載上の注意を準用しておりますが、有価証券報告書につきましては事業年度末現在で記載をして頂くということになります。

○引頭委員

事業年度末現在の後に解消したとか、そういうことがあった場合は、それは別に提出日までの間の内容についても書いていいということになるわけですよね。

○谷口企業開示調整官

基本的な記載時点は事業年度末日現在ではございますが、それ以後起こったことについても、必要があれば記載をして頂くということになります。

○引頭委員

現在と同じということですね。分かりました。

○友杉部会長

よろしいでしょうか。

○武井委員

発行会社の立場からお願いを申し上げたいと思います。

この先のIFRSの導入を考えた場合、監査基準につきましても、ご提案のとおり、国際的な整合性をとるということは、基本的に一番大事なことでございます。そういった観点から、私ども発行会社としても、今回のご提案については全く異論はございません。むしろ監査基準が異なることによって、ややもしますと間違ったイメージを海外に発信してしまうことを、場合によっては恐れているわけでございますので、今回の方向性はそういう意味においても大変正しい方向ではないかと思います。

この資料によりますと、21年3月期決算から適用とのご提案でありますが、あまり時間がございませんので、関係者への周知徹底をお願いしたいと思います。ここのところが一番大事なことではないかと思います。この方向性で進まれる場合にはぜひ関係者への周知徹底というものを、ここにいる私どもも含めてでございますが、尽力をお願いしたいと思います。

と申しますのは、現状の制度でもこの注記をするかしないかという議論を会計士の先生とする場合に、実務的には非常に手間がかかるというか、手こずる問題のところです。これを新しいスキームに変えるとなると、その制度の趣旨を発行会社の実務担当者や会計士の先生等々が十分に斟酌して理解する必要があります。ややもすると、制度は新しく変わったけれども運用は従来のままになってしまい、実態は何も変わらないということにもなりかねません。是非丁寧な理解促進を、発行会社、会計士の先生においてもお願いしたいと思います。

最悪のケースは、会社の機関決定をした業務改善計画を、きちんと会計士の先生方に説明したとしても、保守的に捉えられ、しばらくお手並みを拝見しましょうかということで、従来どおりの注記を求められかねません。新しい制度を作る以上はやはり新しい制度で運用できるようにして頂ければと思います。もちろん、今ご指摘がありましたとおり、リスク情報等で十分必要なことを開示することについては、発行会社として異論のないところです。

少し長くなりましたが、以上でございます。

○友杉部会長

その辺の対応は、対応して頂くということでよろしいでしょうか。

○三井企業開示課長

私どもとしましても、最大限努力したいと思います。

○友杉部会長

では、五十嵐委員。

○五十嵐(則)委員

少し確認させて頂ければと思いますが、ゴーイングコンサーンに関する注記が有価証券報告書の場合ですと、その開示は期末日現在で行われまして、有価証券届出書の場合は提出日現在について記されると理解いたしました。一般にアメリカの監査で実施するときには、監査報告書の発行日において、“material uncertainty”があった場合には、その部分を監査をするときには監査報告書のオピニオンデートをアップデートしますし、監査報告書発行日現在で監査ができないといったときにはアンオーディットといたします。監査報告書についてはデュアル・デーティングにより、“subsequent event”(つまり、後発事象)についてもう一つの日付を記述して監査報告書を発行するという実務をとっているというふうに理解しています。

したがいまして、そこの監査報告書上の手当てというものが、PCAOBの基準とISAsのコンバージェンスに係るとおもいますが、その辺のところも何らかの形で何かコンバージェンスのようなものが必要ではないかと理解いたしました。

また、“material uncertainty”につきましては、MD&Aその他に詳細な記述があるかと思いますが、財務諸表の注記の中にネイチャー・オブ・オペレーションの記述がUSGAAP上、求められておりまして、そこには詳細な記述が行われていまして、ゴーイングコンサーンの記述もあり、それを受けて監査報告書が作成されていると思います。日本でも財務諸表の注記にもある程度の詳細な内容が開示上必要となると思いました。Accounting Trends & Techniquesのアメリカの内容を見ますと、例に出ている会社はほとんど、長文のゴーイングコンサーンについて記述されております。

以上でございます。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。

ほかにご意見は。八田委員。

○八田委員

大体ご趣旨は分かりましたが、3つほど申し上げたいと思います。

まず第1に、ゴーイングコンサーンの規定が平成14年に盛られたときは、私は外でこの作業活動を見ており、一研究者として、当時としては世界に先駆けて最も厳しい規定ではないかと理解したと記憶しています。会計上の対応ということでなく、監査上の意見表明に関わらしめて実務対応するということで、本当にそのような監査ができるのだろうかという疑念を持ったものでした。ただ実際に景気動向等も絡めて、その後日本の景気は若干上向いてきたために、当初考えられていた以上の深刻な経済状況にはならなかったということと、情報開示がなされてきたことで、監査業界あるいは経済界もそこそこに受け入れ可能になってきて、やっとこれが1回転というか、5年、6年経ち、この情報開示は安定してきていると思っているわけです。

したがって、この年度末のこの時期に緊急性を要してゴーイングコンサーンの規定の見直しをしなければいけないということであるならば、私は監査基準の改訂という形をとるのではなく、違った対応が考えられるのではないかということです。例えば、昨年12月にはアメリカのPCAOBがこの金融危機の状況において、監査上のアラートということで実務家に対して幾つかの考慮ないしは十分な対応をしなさいということで、ゴーイングコンサーン問題についても、ちゃんと十分な検討をしなさいとアラートを出しております。あるいは今年の1月には、冒頭ご説明ありましたIAASBも、やはりアラートを出して、この危機的状況下でのゴーイングコンサーン対応についても、監査人に対して若干の指針を示しているわけです。

したがって、第2といたしまして、日本も同じような状況にあるわけですから、当局としてこういった指針ないしは道しるべなどを示すことは非常に時宜にかなっていると思うのですが、なぜここで監査基準の本体に手を入れなければいけないのか。今日の資料にも示されていますが、旧と新の違いを見れば、基本的な違いは、注記に記載されるかどうかということだと思います。しかし、問題はそうではなくて、監査業界というか日本の公認会計士業界、ここがやはり、多分当局でお考えになっている以上というか、あるいは世間的な感覚以上に保守的になりすぎているということで、結局、こうした注記についても、あまりにもつけすぎているのではないか。数の上から見ても、先ほど四半期開示の段階で170社以上とおっしゃっていましたが、これが年度末になってくるともっと保守的になる可能性もあるのではないかということです。したがって、仮に今の段階で基準を変えても、肌感覚で慣れちゃっている監査人のほうは、果たして方向転換をできるのだろうか。それよりももっとインパクトのある形で、例えば解釈指針とか、あるいはQ&Aのような形の、その時点時点で必要な対策をもっとフレキシブルにとって頂くほうが、実務界にとっても有効なのではないかなという気がします。そこで、1つ目の質問として、どうしてもやはり基準を変えなければならないのか。この内容を例えばQ&Aとか、かつて企業会計審議会でも後発事象などは解釈指針というものを示した時期がありましたが、そういったもののほうがやはりアイキャッチといいますか、実務への浸透も大きいし、例えば内部統制の基準のときにもQ&Aとか誤解なんていうのが出たとき、そちらの方がやはり非常に実務的には受け入れやすかったという声も聞いたことがありますので、そういう方向は考えておられなかったのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。

それともう1つは、先ほど武井委員もおっしゃったように、この基準を変えるという流れ、これはもうこれほど深刻な経済環境ですから、何がしか必要な制度対応は私はとるべきだと思いますが、仮にこの時期にやったときに、もう既に1年の事業年度の作業が大体終わってきている監査業界やら担当監査事務所の方々において、意識の変革ができるのか、そういう対応が本当にとれるのかどうかということのほうが懸念が大きいと思いますので、その辺の周知徹底といいますか、時間的に非常に制約されているということもあって、何か妙案があるのかないか、その辺も少し確認させて頂きたいと思います。

○三井企業開示課長

実務的な解釈により対応はできないかということで、もちろん私どもも、当初その可能性を探ってみたわけでございますが、資料3-2、法律の文章で恐縮でございますが、この条文を読んで頂きたいと思います。ここに書いてある言葉、これは法令用語でございますので法令として読んで頂きたいわけでございますが、「貸借対照日において」、次が大事でして、「債務超過等財務指標の悪化の傾向」等々といって、3行目に、このような「事象又は状況が存在する場合には・・・注記しなければならない」と、このように書いてございます。

したがいまして、この文章上は、先ほどの資料3-4の右側のような実務をもし行うと、この法令に違反した開示をしたことになり違法になってしまうことになります。有価証券報告書は課徴金のペナルティもございますが、仮に、経営者が十分な施策をとっているのでゴーイングコンサーンとして重要な不確実性はないと自信をもって判断したため注記をしませんでしたということに対して、仮に解釈ガイドラインを出した場合、この法令に抵触してしまいます。そうすると解釈指針によって対応することは法令上難しく、この法令を変える必要があるというのがこの問題の出発点でございます。

したがいまして、私どもの所管している内閣府令でございますので、コンバージェンスの観点から改正すると決断したわけでございます。この現行規定をベースに監査基準ができておりますので、法令だけ変えますと、監査基準とこの法令との間に齟齬が生じることから、ここは大変やむを得ない判断として、監査基準にどうしても波及するため、ご審議をお願いしている次第でございます。

それから、監査業界あるいは経済界、発行企業への周知というのは、当然のことながらこのタイミングでございますので、あらゆるチャンネルを使って努力する必要があると認識しております。

○友杉部会長

ほかにご質問等はございますでしょうか。

どうぞ、内藤委員。

○内藤委員

内藤でございます。

先ほどもご案内がありましたが、平成14年当時にこのゴーイングコンサーンの監査基準の作成の議論に加わった立場から、今回実務上で生じているような事態をきちんと解決するという方向性は非常に良いかと思うのですが、3つほど確認させて頂きたいことがございます。

まず1つ目ですが、今も資料3-2の部分で問題となったわけですが、当時の議論ではそういう事象または状況が存在する場合には、まずはその透明性を高めるという意味でまず出して頂きましょうと。それに対して、財務諸表等規則第8条の27の第3号にございますように、「当該事象又は状況を解消又は大幅に改善するための経営者の対応及び経営計画」も書いて頂いて、そういう疑義を抱かせる事象または状況が現在解消しているということも、そこにあわせて書いてください。その上で、監査人はそういう注記をなされているけれども、それが適切に書かれていればそれでオーケーだと、こういうような枠組みでいったかと思います。ただそれが、今問題となっているように、そういう事象または状況があれば、これはイコール、ゴーイングコンサーンとして非常に危ない会社だというような受け止められ方をしたということであると、それはやはり変えるべきであろうかと考えます。

その資料3-1ですが、これは議論の一番大きな大切な点なので確認したいのですが、継続企業の前提に関する注記ということで、そこに矢印がいろいろついているのですが、米国とIFRSの2つ目のところの「『経営者の対応・経営計画』を検討・評価」した後に、継続企業の前提に関する注記が行われるという、ここの「『経営者の対応・経営計画』を検討・評価」するということと、日本の注記の後に、「『経営者の対応・経営計画』の合理性を判断」するという主体が、米国IFRSのほうはこれは経営者ですよね。日本のほうはこれは監査人ですよね。だから、ここは主語が省かれてあるので、両方とも、ともすれば監査人がそういう評価を、米国とIFRSのほうもするかのように見えてしまうので、その点だけ確認したい。そうではないですよね。

ですから、この継続企業の前提に関する注記の前までの話で、経営者が自らの対応を経営計画を検討評価した上で、注記するかしないかということを、あくまでも書いているという趣旨でよろしいですね。

○友杉部会長

どうぞ、はい。

○三井企業開示課長

本来、そういうことであったと思います。したがいまして、事象または状況があれば自動的に開示し、開示する際には経営者のとった施策を開示するということだったと思います。

それに加えて、その経営者の計画というものの合理性を、この主語は監査人でございまして、おっしゃるとおり表の左の下の主語は監査人でございますが、それをチェックすることになっております。そうすると、合理性があるかどうかについて監査人は検討しなければならないため、合理性があると判断できない場合には意見不表明になるというのが、これは意図せざる結果かもしれませんが、あるいは、当時、インテンショナルに監査人にそういう判断を求めるということを考えていたのかどうかという問題もあるかもしれませんが、そういった点がもう1つ問題点としてあるのではないかと認識しております。

○内藤委員

そうですね、ありがとうございます。

それから第2点目ですが、資料3-4の1枚目の新しい方で、注記をするかしないかのときに3つ目の判断事項として、貸借対照表日後も継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していれば注記をするということで、同じく資料3-4の4ページ目の新しい規則のところにも、第8条の27のただし書きがございまして、「ただし、貸借対照表日後において、当該重要な不確実性が認められなくなった場合は注記することを要しない」とあります。先ほどもこの点について議論があったかと思いますが、こういう規定がここに出てくると、逆に後発事象として、貸借対照表日においては問題がなかったのだが、貸借対照表日後、当該重要な不確実性が出てきたときに、これは注記することを必要だというふうに、逆に読むのでしょうか、読まないのでしょうかということ、これが1つ。

それからあわせてもう1つですが、重要な不確実性が認められる場合には注記をするけれども、そうではない場合にはリスク情報の1つとして記載するというふうにご提案がございました。そうしますと、そのリスク情報の記載の中には重要な不確実性がない場合には書くという規定になっています。重要な不確実性がある場合にはリスク情報としても書くし、財務諸表に注記も行われると。この両方立てで行われるということでよろしいんでしょうか。

この2点、ご確認をお願いします。

○三井企業開示課長

まず第1点目については、これは恐縮ですが法律用語ですので、先ほどの資料3-4の4ページをご覧頂きたいと思いますが、貸借対照表日において事象または状況が存在する場合であって不確実性が認められるときには注記しなければならないということになりますので、これは貸借対照表日に不確実性がある場合だけでございます。その上で、ただし書がついておりますが、ただし書は本文を打ち消すだけでございまして、ただし書は、本文に書いていないことまで規範としては機能しないというルールでございます。したがいまして、答えはノーでございまして、貸借対照表日に不確実性がなかった場合には、その後不確実性ができたとしても、この全体が適用にならないので注記義務はない、というのが答えでございます。

次に、この開示府令の方でございますが、事業等のリスクは不確実性がなくなった場合にだけ書くという立てつけにはなっておりませんので、注記がされない場合には、投資家にとってはここを見ないと書いていないという意味で、事実上必要性が高いということはもちろんございますが、そのリスク情報というのは、その重要性の高いものについて財務諸表との関係で説明の必要なものは書くというのが出発点でございますので、結論としては、注記がされる場合、されない場合、いずれもリスク情報として書かれることになるということでございます。

○内藤委員

ありがとうございます。

今の前段の部分ですが、IFRSの後発事象に関する開示基準の中に、ゴーイングコンサーンの問題を扱っていたかと思うのですが、それとの整合性という意味では大丈夫なのでしょうか。後発事象としてゴーイングコンサーンの問題が生じたときの開示問題というのは、IFRSと一致した対応になっているのでしょうか。今日はちょっと確認できてきていないので、もしできればご確認をお願いしたいのですが。

○三井企業開示課長

確かに後発事象という括りになると、後発事象として書くということは当然あり得るとは思います。それは後発事象として重大なものは書くという、そちらのルールで書くことになり、8条の27がストレートに適用されるわけではなく、後発事象の解釈として考えることになります。

○内藤委員

それから、3点目になりますが、資料3-4の9ページ以降の監査基準新旧対照表ですね。これが一番分かりやすいので、2点確認させて頂きたいと思います。1点目は、改訂案の方の第三「実施基準」の三の第7項ですが、「監査人は、継続企業を前提として財務諸表を作成することの適切性に関して合理的な期間について経営者が行った評価を検討しなければならない。」とあり、ここでは評価だけが取り上げられていまして、次に第8項に、「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると判断した場合には、当該事象又は状況に関して合理的な期間について経営者が行った評価及び対応策について検討した上で」と、こちらでは「評価及び対応策」と出てくるのですが、第7項のほうの検討においても「評価及び対応策」として、「対応策」も検討する必要があるのではないかと思うのですが、それは必要ないのでしょうか。評価と対応策というのは一緒に判断すべきことではないんでしょうかという点が1つ。

それから、恐らく今日の議論のこの資料はホームページ上に出てくるのではないかと思うのですが、出てくるとすれば、3ページ目の継続企業を前提に関する監査手続のところで、監査の結果としての意見が無限定適正意見、意見不表明の検討、あるいは不適正意見というふうに3つの場合しか出てこないんですね。現行基準も今回の改訂基準でも、除外事項を付した限定付き適正意見が出てくるのに、ここではそういうのは出てこないという表記になっているのですが、これはどうしてなのでしょうかという質問です。

以上です。

○三井企業開示課長

2つ目の点は後ほど補足しますが、多分訂正する必要があろうかと思います。

まず、1つ目の点でございますが、第7項の方は重要な事象または状況がない前提ですので、単純に評価としています。そして第8項は、そういう事象または状況があるので対応策を検討するとしています。

継続企業の前提につきましては、ISA570等のように、会計基準で定めている場合でも定めていない場合でも、それが当然の前提であるので、常にその前提については何らかの確信を持っている必要があります。ただし、順調に進んでいる場合にはそれだけでチェックしなくても済むかもしれません。順調に進んでいない場合には、その進んでいない程度によってチェックしなければいけない度合いが高まってきます。そして一定のトリガーが引かれる事象またはそれに準ずるような状況がある場合には念入りに見なければいけないという立てつけになっております。ここでは、それを参考に書いてございます。その意味では、継続企業の前提というのは、会計基準に書いてあろうとなかろうと、財務諸表をあるルールに基づいて作成する前提なので、まずそこはチェックしてください、その経営者の評価をチェックしてください。一定の列挙された事象またはそれに類するようなことを総合判断して、客観的な事実がある場合にはこのトリガーが引かれて第8項のようなことを検討すると、このように書いたつもりでございます。

○内藤委員

今の点ですが、第7項というのは、まずその計画の段階で、監査人は継続企業を前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況の有無を確かめないといけない。だから監査人独自で今そういう状況になっていないかどうかということを確かめないといけないわけですよね。その上で、監査の実施をする際に自らのそういう疑義を生じさせるような事象または状況の有無に関して、経営者のほうはどう考えているかということを第7項で聞くのであって、必ずしもそういうことがないような状況で経営者の評価を確認するという趣旨ではないのではないかと思います。

このように私は読んだのですが、もしそう読むとすると継続企業を前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況の有無を監査人が独自に見たときに、経営者はどういう評価、そして対応策をとっているのかということを検討して、そしてその上でなお重要な不確実性があるかないかというふうに進んでいくのではないかと読んだものですから、今の第7項のご説明は少し違うのではないでしょうか。要するに、評価と及び対応策、「及び対応策」というのが重要なキーポイントになってくるのではないかと思いましたので、お伺いした次第です。

○友杉部会長

それについては、第7項のほうが一般的に継続しているかどうかというのを見るということで評価までを、第8項の方は継続していない場合どうするかのということで対応策まで見るという関係にあり、現行の監査基準には7番の部分が入っていないので、分離したというふうに解釈するのですが、それでよろしいですね。

それでは、残ったところを。

○野村企業会計調整官

3ページ目の図でございますが、ご指摘のように、例えば新のところで網かけをした部分につきましては、意見の表明について検討するということでございますので、表明できる場合には限定付適正意見になるケースも当然ございます。この表では直ちに意見不表明ということになっており、やや正確性に欠けておりますので、この点は修正したいと思います。

○友杉部会長

他にご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

町田委員。

○町田委員

ちょっと懸念することについてお願いと、あと1つだけ質問があります。

といいますのは、これまでのご説明で、国際対応ということで今回の改訂が図られるということは承知したのですが、これまでゴーイングコンサーンの追記がつきますと、マスコミ等では倒産判別などといって誤った理解が示されていて、我々はそれに対してそうではないんだということを言ってきたところであるかと思います。実際にゴーイングコンサーンの追記情報がついても、そのゴーイングコンサーンの検討において合理的な期間と言われる1年以内に倒産に至ってしまう企業と、追記がついていない状態で倒産に至ってしまう企業との間には、ほとんど有意な差がないということは、調査などの結果で示されているかと思います。

また、実際にゴーイングコンサーンの追記がついていても、平成15年からずっとデータを追っていきますと、2007年2月までのデータなのですが、追記がついた企業が全体で200社ちょっとあるのですが、そのうち1年以内に上場廃止になった企業は多くても15%程度なんですね。そうすると残り85%は追記がついているけどつぶれていないということです。しかし、今後はこのゴーイングコンサーン追記がかなり限定されていくとなると、1つ目の懸念としましては、まさにマスコミが言っているような倒産判別に近いような形になって、監査人がとにかく保守的になってしまう危険性にちょっと懸念を持ちますので、できるだけこのゴーイングコンサーンの問題について啓発をして頂かないと非常に難しい問題が生じてしまうのではないかという懸念が1つ。

2つ目の懸念は、その重要な不確実性がないものはリスク情報として挙げるということでしたが、海外ではそうしているということで、今回はそうするんだということですが、1つ海外と日本との違いは、先ほど引頭委員のほうからお話がありましたが、リスク情報に上がってしまうと、確かに開示のばらつきもありますし、それだけではなくて、そのリスク情報に関して、例えばMD&Aといったところについて、アメリカなどではそれに対する監査以外の保証の枠組みというものが提供されている部分があるわけです。それがまだ日本ではきちんと整備されていませんし、十分になっていないということがあります。そういったリスク情報の内容と、それに対する保証の枠組みということを今後考えていかなければいけないのではないでしょうか。このことをぜひお願いしたいと思います。以上2点が、懸念とそれに対するお願いです。

もう一つは質問ですが、今回適用がこの21年3月期ということですが、日本ではご案内のとおり、四半期レビューでもゴーイングコンサーン対応を求めているわけです。この四半期レビューでもゴーイングコンサーン対応を求めているからこそ、第3四半期で百数十件もゴーイングコンサーン注記がついたような気もします。今後検討するということですが、次から次へと四半期というものは終わっていくわけで、その四半期、例えば4月末に四半期が終わる、5月末に四半期が終わる、そういった企業もあるわけで、この四半期における適用というのは次の四半期レビュー基準の改訂を待つのかどうか。待たない間にも、例えば早期適用を容認するとか、今回の改訂の考え方を浸透させるようにするという形になるのか、その適用のことを教えて頂きたいと思います。

○三井企業開示課長

まず1つ目でございまして、確かにスクリーニングにかかるということですので、そのようなご懸念は当然だと思います。他方で、現状はおっしゃっているように約85%倒産しないという実績があるにもかかわらず、海外ではスクリーニングにかかったものにだけゴーイングコンサーン注記がついていますので、海外ではゴーイングコンサーン注記がつかないのに、その日本法人は海外の親会社の保証がつけられたにもかかわらすゴーイングコンサーン注記がついてしまう。そうすると日本のほうは親会社の保証があっても駄目なぐらい悪いのかというパーセプションがあるというご指摘があり、また、日本では、単なる開示であって、85%倒産しないゴーイングコンサーン注記がつくことによって、銀行の融資態度が変化するというご指摘もあります。

したがいまして、もともとの制度の趣旨はご指摘のとおりで、軽く開示をしようということだったのでございますが、ゴーイングコンサーン注記という形で開示すると決して軽くはなく、現状でも重大な開示を多くの会社がしているかと思います。そこは今であっても、また改正後であったとしても、あくまでこれは開示であって倒産判別ではないということを引き続き十分にPRしていく必要があると思っております。

四半期については我々も気にしておりまして、まずこの年度のものを整理いたしましたら、引き続きこの部会におきまして、皆様のお許しが得られれば、四半期レビュー基準についてもこのゴーイングコンサーン問題を取り上げて頂ければありがたいと思います。

○友杉部会長

町田委員、よろしいでしょうか。

他にございますか。特にということであれば。よろしいでしょうか。

それでは、まだまだご意見等があろうかと思いますが、そろそろまとめたいと思います。

本日は、監査基準の改正案等に多くのご意見をちょうだいいたしましたが、基本的な方向性としてはこの案の内容で皆様のおおむねの合意があったのではないかと思います。私としましては、継続企業の前提に関する注記の現状等にかんがみまして、早期に現状の規定を見直すことが適当であり、本日頂いたご意見等を踏まえ、所要の修正を行った上で監査基準の改正案を早急にパブリックコメントに付させて頂いてはどうかと考えます。

また、その際の具体的な修正の文言につきましては、部会長である私にご一任頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

なお、修正後の文言等につきましては、委員の皆様にはお送りさせて頂きたいと思っております。

それではありがとうございました。

今後スケジュール等につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○三井企業開示課長

それでは、今日頂きましたご意見、ご指摘により修正すべき点は修正させて頂きまして、部会長とも相談の上、可及的速やかにパブリックコメントに付させて頂きたいと存じます。パブリックコメントの期間は、3月決算に間に合わせるといった点も考慮しまして、若干短めにと考えてございますが、具体的には部会長にも相談させて頂きたいと思います。最終的にはパブリックコメントを終了した後、そのコメント結果を考慮し、そして最終的な基準として確定させるために、次回、4月9日にまたこの審議会を開かせて頂ければありがたいと思います。具体的な日時等につきましては、改めて事務局の方からご案内申し上げたいと思います。

そして、次回の部会の審議結果によりましては、その後可及的速やかに内閣府令の改正の官報掲載手続、その他関係の諸手続をとらせて頂くことも念頭に置きまして、皆様方に今後の手続の相談をさせて頂きたいと存じます。

以上でございます。

○友杉部会長

ありがとうございます。

パブリックコメントの期間終了後の部会の日程は4月9日でございますが、事務局から改めてご連絡させて頂きます。

それでは、これにて閉会いたします。

お忙しいところご参集頂きまして、本当にありがとうございました。

以上

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金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3672、3656)

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