企業会計審議会第23回監査部会議事録

1.日時:平成22年3月2日(火曜日)16時00分~17時40分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

○友杉部会長

それでは、時間になりましたので、始めたいと思います。

これより第23回の監査部会を開催いたします。皆様には、お忙しいところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。なお、本日の部会も企業会計審議会の議事規則に則り、公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異義なし」の声あり)

○友杉部会長

ご了解いただきましたので、そのように取り扱わせていただきます。

本日は、田村金融担当大臣政務官にご出席をいただき、ご挨拶をいただく予定でございましたが、急用ということですので、ご欠席になられます。なお、大塚金融担当副大臣は、後ほどご出席をいただくと伺っておりますので、お見えになりましたら、ご紹介をさせていただきたいと思います。

それでは、本題に入りまして、監査基準の改訂についての議事に入ります。我が国の監査基準につきましては、国際的な監査の基準や公認会計士監査をめぐる内外の動向を踏まえ、これまでも、必要に応じて監査の質の向上を図るための改訂を行ってきているところであります。

その意味で、国際的な基準と比べても遜色のないものになっていると考えております。今般、国際的な監査の基準である、いわゆる、国際監査基準がその内容の大幅な改正ではなく、規定の明確化を図るとの観点から、全面的に見直す改正が行われました。その結果、改正後の国際監査基準と我が国の監査基準との間には、一部に差異が生ずることになりました。それゆえ、本日は、国際監査基準の改正に対応して、我が国の監査基準の改訂のため、その差異を調整することについて、ご審議をいただきたいと考えております。その後には、この議事次第にもあります、「その他」という箇所で、現在、コンバージェンスが進められている我が国の会計基準の適用に伴います、その監査上の対応についてご意見を伺えればと考えております。

それでは、まず、監査基準の改訂についてですが、最初に事務局から監査をめぐる最近の動向について説明をお願いいたします。

○三井企業開示課長

それでは、資料1をお開きいただきたいと思います。釈迦に説法のような資料が、若干、上に何枚か乗っておりますので、適宜、省略しながら進めさせていただきたいと思います。

1つ目は監査基準の体系でございまして、今日、もし、お許しいただければ、ご議論をしていただきたいところは、この監査基準の中にあります、主に4の報告基準のところについて、ISA、国際監査基準と、若干の形式ではありますけれども、差異が出てきているという点があります。

次のページでございますが、これは、少しポンチ絵的になっていますので、後ほどの説明と一緒にさせていただきます。

3ページをご覧いただきたいと思います。これもご案内かと存じます。このPIOBというものが、国際監査・保証基準審議会、IAASBとも呼んでおりますけれども、こちらを公的な目で監視をする、こういったものが、世界的な会計不祥事の後、出来上がっているわけでございます。この点について、これをレビューすると、あるいは組み直しのプロセスの中でレビューしていくということが、現在、議論されているところでございます。

4ページをご覧いただきたいと存じます。先ほど、部会長からお話のありましたように、国際監査基準ISAにつきまして、クラリティ・プロジェクト、明瞭化の作業が進められておりまして、全体が完了したということを、前回の監査部会にご報告させていただいております。その後、昨年の6月、IOSCO、証券監督者国際機構から国際監査基準についての声明が出されております。また、同時期に欧州委員会、欧州連合における政府当局である欧州委員会からアドプションをするかしないか、アドプションに向けた、コンサルテーションがなされております。過去には、今申し上げました、IFACの有効性、レビューの点でございます。

1枚、おめくりいただきまして、5ページでございます。IOSCOの声明でございますけれども、主にクロスボーダーでの公募、ないしは上場に当たって、証券規制当局がクラリティ後のISAによって、実施報告される監査を受けられることを奨励するというふうな声明でございます。国内向けについても考慮に入れる、コンバージェンスを念頭において考慮に入れることを奨励する、こういった声明でございます。

次の6ページが、ECのコンサルテーションでございまして、ISAをEU域内においてアドプションをするかどうかというパブリック・コメントを始めたということでございます。その場合、どういうものをこのアドプションの対象にするのかということについて、IFRS財務諸表、ないしIFRS財務諸表に限らず、法定監査、さらには、もっと広くと、こういった案を示してコンサルテーションを始めているということでございます。

7ページでございまして、EU以外の状況も含めてみますと、米国はご案内のとおり、PCAOBが米国の監査基準をつくるという体制にエンロン後、移行しています。オーストラリア、カナダについては2010年度からISA明瞭化版、クラリティ版を使うというふうな意向が示されております。

その次の8ページでございまして、IFAC改革につきましては2003年、PIOBが設立されて公的な監視のもとに中立的な監査基準を作ると、こういうものが、うまくワークしているかどうかということを、今、レビュー中でございます。監査に当たっては、従来、とかく監査人が、最も影響を受けるということで、監査人からのインプット、コメントに対する意見というものが、多く出されていたわけでございまして、それに対して、監査人以外、作成者等々の一般の方々からのコメントが、それほど活発ではなかったというふうなことが背景にございます。

それから、その次のページの9ページでございますけれども、日本からの国際監査基準設定プロセスへの参加状況でございます。この分野、かなり日本の学会、ないし会計士の専門家の方々から、積極的に、かつ、重要な立場でご参加いただいているという状況でございます。

10ページ以下は、IOSCOの声明についての参考資料、ないし関係条文、年表等でございます。

説明は以上でございます。

○友杉部会長

ありがとうございました。なお、ご質問、ご意見等は、後ほど一括してお受けしたいと思いますので、ご了承のほど、よろしくお願いいたします。

それでは次に、只今の説明にありました、国際監査基準の明瞭性プロジェクト、いわゆるクラリティ・プロジェクトと、それに対する日本公認会計士協会の対応状況につきまして、日本公認会計士協会の副会長でもいらっしゃいます、友永委員からご説明をお願いいたしたいと思います。

よろしくお願いします。

○友永委員

友永でございます。資料2をご覧いただきたいと思います。クラリティ・プロジェクトにつきましては、この部会、総会でもご説明をしたところでございますけれども、このクラリティ・プロジェクト、監査上の要求事項を記載している文書、ブラック・レターと、その説明をしているグレー・レターから構成されていた以前の国際監査基準でございますけれども、この構成の中で、要求事項が明確ではない、あるいは要求事項の手続自体も足りないのではないかという批判があったことから、これを新しい起草方針のもとに全面的な改訂作業を行ってきたところでございます。

このクラリティ・プロジェクトは2009年3月に完了いたしまして、クラリティ版のISA36本と国際品質管理基準、ISQC第1号の合計37本が公表されたということでございます。先ほど、ご紹介のあった証券監督者国際機構が声明を出して、その監査の受け入れや国内向けの監査基準の設定に当たってのISAの考慮を促しているということでございます。

クラリティ版のISAの特徴でございますけれども、要求事項とそうでないものとを明確に区分しまして、要求事項と適用指針及びその他の説明事項に分けて記載をしていること、目的を記載いたしまして個々のISAの目的を明確にしているというところにございます。

次に日本公認会計士協会の対応でございますが、現在このような状況を踏まえ、クラリティ版のISAを参考にしつつ、監査基準委員会報告書の新起草方針に基づく、改正版の公表を進めているところでございます。監査基準委員会報告書の新起草方針はクラリティ版ISAと同様に、報告書の構成を監査上の要求事項と適用指針に区分をし、個々の報告書に目的を明確に記載するといった方針に基づいて、我が国における監査基準を始め、監査をとりまく環境をも踏まえた上で、新たな監査基準委員会報告書を策定し、または既存の監査基準委員会報告書を全面的に書き換えるという作業でございます。

既存の監査基準委員会報告書、これは、第27号以降は、既にISAとほぼ同様の内容のものとして作ってございますけれども、そういった意味で大幅な変更はございませんが、それ以前の監査基準委員会報告書については、書き換えることにより大幅な変更を伴う場合がございます。

次のページにまいりまして、適用時期でございますけれども、先ほどのご説明にあったように、各国ともISAの2009年12月15日以後開始する事業年度に合わせる国もあれば、1年延期を予定している国もございます。ただ、それぞれクラリティ版ISAは、一時点に一斉に適用するという方向でございます。

日本公認会計士協会は、新起草方針に基づく改訂版の各基準委員会報告書を、2011年(平成23年)の4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用することを現時点では予定をしております。ただ、新起草方針に基づく改正版の起草作業の進捗状況や、諸外国のクラリティ版ISAへの取り組みの状況により延期される可能性があるため、公表する新起草方針に基づく改正版の基準委員会報告書は未発効としておりまして、発効及び適用については、将来に別に常務理事会で定めるということにしてございます。

また、中間報告という位置づけで公表をしておりまして、これは、ある程度の量の新起草方針に基づく改正版をとりまとめた時点で、クラリティ版ISAとの整合性とともに基準委員会報告書間の整合性をとるために、最終的な調整を行うということを意図しております。

3ページ以降、これは国際監査基準と我が国の監査基準委員会報告書の対比表でございまして、さらに基準委員会報告書の方の改正の進捗状況を記載しております。ここで、既に公表している部分は8本ございまして、公開草案を公表しているものが6本ございます。それ以外の部分につきましても、新たな起草方針に基づく改正作業を実施しているところでございます。

私からのご報告は以上でございます。

○友杉部会長

どうも、クラリティ・プロジェクトの要点につきまして、ご説明ありがとうございました。

これまでご説明いただきました国際監査基準の改正状況を踏まえまして、僭越ながら、私と当監査部会に所属しておられる何人かの委員の方々、それに事務局も加わりまして事前に検討を行いました。それで皆様の円滑な審議に資するよう監査基準の改訂案を作成させていただきましたので、それにつきまして事務局から説明してもらいます。

○野村企業会計調整官

資料3-1を、ご覧いただきたいと思います。

先ほど、課長の方からもご説明申し上げましたとおり、今回は、監査基準、4つの部分で構成されておりますけれども、そのうちの4番目でございます報告基準を中心に改訂をさせていただきたいというふうに考えております。資料3-2で、監査基準の改訂に合わせまして、いわゆる前文といっておりますが、そちらのほうも合わせてお示しをさせていただければということでございます。

恐縮でございますが、その資料3-2の方の2ページ目でございますけれども、主な改訂点とその考え方というところを、まず、ご覧いただければと思います。1のところでございますけれども、国際監査基準の改訂と我が国の監査基準・監査実務指針の関係ということでございまして、先ほどご説明申し上げましたとおり、我が国の監査基準の体系といたしましては、原則的な規定を定めております監査基準と、その監査基準を具体化した実務的、詳細な規定ということで、先ほどご紹介をいただいた日本公認会計士協会の定めている監査実務指針の両者によりまして、我が国における一般に公正妥当と認められる監査の基準が構成されているところでございます。

先ほど、ご紹介がありましたとおり、日本公認会計士協会では、監査実務指針の改訂の作業を、今、鋭意進めていただいているところでございます。従いまして、今回の監査の基準の改訂ということにつきましては、その明瞭性プロジェクトによります国際監査基準との差異と考えられる項目のうち、監査基準での改訂が必要な項目、監査実務指針のみの改正で対応することが可能だというものについての検討を行いまして、監査実務指針の改正に先立って、監査基準の改訂が必要と考えられる報告基準についての改訂を行ってはどうかというものでございます。

具体的には、2の報告基準の改訂についてというところでございますけれども、まず、(1)の監査報告書の記載区分についてです。公認会計士監査を行った結果を監査報告書に監査の意見を述べていただくわけですが、その監査報告書の記載区分ということでございまして、現在の我が国の監査基準では、監査報告書には、マル1監査の対象、マル2実施した監査の概要、マル3財務諸表に対する意見を記載することが求められてございます。

途中でございますけれども、資料4-1をご覧いただきたいと思います。こちらは、我が国の監査報告書のひな形ということで、今申し上げましたとおり、左の方に監査の対象、それから実施した監査の概要、財務諸表に対する意見ということで、3つで構成されているところでございます。

資料3-2に戻っていただきまして、一方で、明瞭性プロジェクト後の国際監査基準の方でございますけれども、この監査報告書を監査の対象、経営者の責任、監査人の責任、監査人の意見ということで4つに区分した上で、そのマル1の監査の対象以外については、それぞれ見出しを付して、明瞭に表示するということを求めております。

具体的には、今、見ていただきました資料4-1でございますけれども、その2枚目が国際監査基準に基づいた監査報告書の文例ということで、2つ目のパラグラフからですけれども、経営者の責任、監査人の責任、意見という形で見出しを付けて区分をするという形になってございます。

また、資料3-2の文章に戻っていただきますと、こうしたことから我が国の監査基準におきましても、監査報告書の記載区分を現行の3区分、先ほど見ていただいたとおり、見出しがついていないで、文章の形になっているわけですが、こちらを3区分から4区分にするとともに、国際監査基準において求められている記載内容を踏まえて、それぞれの記載区分における記載内容を整理してはどうかということでございます。

例えばということで、監査の対象に含まれております財務諸表の作成責任は経営者にあることということの記載を、経営者の責任の区分に記載するということで明確化したりとか、監査手続の選択は、監査人の判断によること、いわば、当たり前のことですが、そういった内容を監査人の責任の区分に記載することを求めることとしたということでございます。

それから、2つ目でございますが、追記情報ということでございまして、こちらについては、現行の監査基準では監査人の意見、適正意見とか不適正意見とかいった意見とは別に、監査人が説明または強調することが適当と判断した事項につきましては、情報として追記をするという、追記情報という欄があるわけでございますけれども、財務諸表における記載を特に強調するために当該記載を前提に、強調する強調事項と言われている部分と監査人の判断において説明することが適当として記載される説明区分というものの区分がなく、混在して記載されているところでございます。

この点につきましては、資料3-1の最後の9ページをお開きいただきたいと思います。こちらが新旧対照表の形になってございまして、右側が現行ですが、その追記情報の柱書きのところですけれども、今、申し上げましたとおり、「次に掲げる事項その他説明又は強調することが適当と判断した事項は、監査報告書に情報として追記する」ということでございまして、説明する事項と強調する事項があれば、追記情報という形で書きなさいという形式になっていますので、現行では、その他説明事項と強調すべき強調事項が混在して記載されているのが現状でございました。

今回、明瞭性プロジェクト後の国際監査基準では、その両者を区分して記載するということが求められておりますので、我が国の監査基準におきましても左側、改訂案でございますけれども、その強調する事項とその他説明事項を明確に区分していただいてはどうかということでございまして、「次に掲げる強調すること又はその他説明することが適当と判断した事項は、監査報告書にそれらを区分した上で、情報として追記する」ということで区分することを求めているものでございます。

こちらが、大きな2点目でございまして、順序が逆になりましたが、1点目の、具体的な改訂案の内容でございますけれども、今、見ていただいております新旧対照表の資料3-1の2ページ目の一番下をご覧いただきたいと思います。先ほど、申し上げましたとおり、現行でございますと、3区分、監査の対象、実施した監査の概要、それから財務諸表に対する意見という3区分だったわけでございますが、改訂案では、それを4区分ということで監査の対象は同じですが、監査の対象、経営者の責任、監査人の責任、監査人の意見という形にしていただいてはどうかというものでございます。

それで、今、見ていただいた見出しを見ていただくとわかりますとおり、これまでは、経営者の責任というのが、監査の対象という中に混じっていたわけでございますけれども、見出しを付した上で経営者の責任ということと監査人の責任ということで、明確に区分するということが1つ大きな特徴かと思っております。

それぞれに書かれる内容でございますけれども、次の3ページの一番下を見ていただきたいと思います。まず、監査の対象のところでございます。線を引かせていただいておりますけれども、現行ですと、次のページにまたがって、恐縮ですが、財務諸表の作成責任は経営者にあることということで、いわゆる、二重責任の原則といわれていますが、財務諸表自体は、経営者が作成することに責任を負っていますということについて、今回、新たに経営者の責任という区分を設けましたので、そちらのほうに移すということで、改訂案の(2)で経営者の責任の方に財務諸表の作成責任を移しております。

今回、経営者の責任は、国際監査基準の規定内容と合わせまして、「財務諸表に重要な虚偽の表示がないように内部統制を整備する責任は経営者にあること」ということで、内部統制を整備する、これは、あくまで財務諸表に関してということですけれども、内部統制を整備する責任は経営者にあることということを、合わせて経営者の責任の欄に加えております。

それから、その下の監査人の責任のところでございますけれども、監査人の責任は独立の立場から、財務諸表に対する意見を表明することにあることということですが、この点も現行の監査の対象の(1)のところにあったわけですが、それを監査人の責任ですので、監査人の責任のところに持ってきているということでございます。

加えまして、4ページの一番下でございますが、「国際監査基準との表現に合わせまして監査手続の選択は監査人の判断によること」、「財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないことということ」、それから、「監査の結果として入手した監査証拠が意見表明の基礎を与える十分かつ適切なものであることといったこと」を加えているところでございます。

主な改訂点のご説明は、以上でございます。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。今、ご説明いただきましたように、国際監査基準との調整ということで、そっくりそのまま合わせているわけではなくて、その経緯をいろいろ考えたりしながら、最低限の調整を行ったということであります。

これにつきまして、これから、ご質問とかご意見等を賜っていきたいと思いますので、どなたからでも結構ですので、ご審議いただきたいと思います。挙手でお願いしたいと思います。

この改訂は、いわゆる、ある面で技術的といいますか、形式的な点が非常に多いということでありますので、実質的ないろいろな判断が入るというものはあまりなくて、国際監査基準に調整、揃えたという点が多いものですから……。どうぞ、八田委員。

○八田委員

いくつか言葉や用語の問題もあるのですが、中身のほうを先にお伺いしますが、資料3-1の新旧対照表で、今、野村さんのほうからご説明いただいた4ページの所で、基本的な変更は、この国際監査基準への対応ということで、全く異存ないわけですけども、日本の基準として文章化されている中で、まず、(2)の経営者の責任の文章ですけれども内部統制を整備する責任が経営者にあるという理解で、運用という用語が入っていないという点です。

実は、私の記憶に間違いがなければ、日本の内部統制の基準には、経営者の責任として、整備及び運用する役割と責任は経営者にあると明確に書いてあると思います。まず、それとの整合性を保っていただきたいと思います。少なくとも整備というのは、いわゆるあるべき姿、つまり静態的なというのか、スタティックな状態を意味しており、運用というのは、それに対して魂を入れるといいますか、動態的な状態を指すものと理解されていると思うのですが、そちらについてもやはり、経営者に責任があるという認識を記載された方がいいのではないかということが1点です。2つ目が、この(3)の監査人の責任のところでの文言の追加が入っているところで、監査手続の選択は監査人の判断によるという文章のところです。これについては、平成3年のときの監査基準の改訂の時だと思うのですが、旧来、日本の監査基準及び準則の中には、監査技術と監査手続というのを明確に概念上、区別しており、監査手続とは、監査技術の選択適用の展開過程であると、こういう理解を我々はしてきていたと思うんです。

ところが、実務上は技術も手続もいちいち区別しておらず、みな手続と呼んでいるということで、平成3年のときに、監査技術という言葉はなくなったと思います。ただ、ここで手続の選択ということで適用がないんですね。つまり、どういう手続を選ぶかということ、つまり実査という手続なのか、立会という手続なのか、証憑つき合わせという手続なのかと、それをどういう場面に適用していくかということがないと実際の監査は進まないわけであり、まさにこうした監査人の判断、これが一番重要なところではないかと思います。

ですから、私は、本当は監査技術の選択、適用という言葉を残してもらいたいのですけれど、監査技術という概念が消滅している限り、妥協策として、手続の選択及び適用は監査人の判断という言い方をしないと、何となく説明がつかないという気がするというのが、2つ目であります。先にまず、それだけお願いします。

○友杉部会長

ありがとうございました。その辺、検討させていただきますが、経営者の責任のところにつきましては、この国際監査基準の場合は、この前に財務諸表に対するという修飾語がついているんですね。ここではそれが削除した形で経営者の責任と、ただ、この経営者の責任は、財務諸表だけじゃなくて、色々な、経営責任って非常に広いですから、それを限定する意味で、こう財務諸表のというのがついていたんだと思うのですが、先生が今おっしゃたように、内部統制の整備だけじゃなくて運用までというのが、経営者の財務諸表に対する責任と絡むのではないかということ、それから監査手続は選択をし、かつ、それを適用していくということは、監査論では通常出てきますので、その辺は検討させていいただきたいと思います。ありがとうございました。

ほかの委員の方、何かご質問等ございますでしょうか。

○八田委員

時間がもったいないので、またいいですか。発言させてください。

○友杉部会長

どうぞ、八田委員。

○八田委員

前文のほうですけれども、私自身いつも気になるんですけれども、監査基準の改訂という、言偏の入った訂と改正という言葉の両方が出てくるんです。我が国の場合には、会計原則や監査基準は、みんな言偏が入っている改訂という用語が使われていますが、ここでは、別途、国際監査基準については改正という用語で使い分けをされているようですけれども、その違いに何か意味があるのでしょうかということです。これが、まず1つ、形式の問題です。

監査実務指針など、会計士協会の絡みでは、改正という言葉での説明になっているようですけれども、国際監査基準については、前文において、両方使われているような、そんな気がしますので、教えていただきたいということです。

それから、さらにまた形式ですけれども、先ほど事前にもお話ししましたけれども、この経緯のところの第2パラグラフにおいて、平成21年改訂時の前文の文章が引用されており、このかぎ括弧の中で、国際監査基準というのが最初に出ていますが、ここにISAと入っていますけども、平成21年の時には、ここにISAは入っていないということです。従いまして、もし使用するというのであれば、どこか、前のほうで使わないとまずいんじゃないかなということです。そう考えると、第1パラグラフの一番最後の、現行の監査基準は、国際監査基準と比して内容等に遜色ないということを述べていますので、ここを国際監査基準と言い切って、(ISA)と書いてはだめなのか、何かほかに国際的な監査基準として認定されているものがあるのかどうか、それは形式上の問題ですけども。

それから、後発事象のところの問題ですけれども、前文の3ページ、3の第3パラグラフ、後発事象についてというところで、決算日の翌日から監査報告書日の間に発生している事象ということとなっていますが、これは年度決算の場合は、そのまま当てはまると思うのですが、かつて日本にあった後発事象に関する監査の実務指針でしょうか、そこでは中間監査があったときに、貸借対照表日と中間貸借対照表日、つまり決算日は2つありますよということが明示されていました。今日の場合、四半期ですから、その場合はどう考えるのでしょうか。ただこれは、年度監査の監査基準なので、特に言わなくていいのかなと、その辺が四半期の場合、どういうふうに考えるのか。また、同じように四半期の後発事象と、中間決算の後発事象と、そういうのかどうか、その辺を3つ確認させていただきたいと思います。

○友杉部会長

ありがとうございます。改訂につきましては、監査基準等は版を重ねるという意味で、ずっと、こちらの訂のほうを使ってきていたので、それを踏襲したということが、主な理由だったと思います。改定、改正などどうするかという議論は我々もしたんですけども、いままで、ずっと、この改訂の版を重ねる方で来ているので、それで合わせてはどうかという結論だったと思います。

それから、2番目のISAの方は、言われるとおり訂正したほうがいいと思います。

それから、3ページの後発事象の決算日のところにつきましては、先生がおっしゃったように、今、まさに、これは年度の監査基準というものを前提にしておりますので、この後、これが認められれば、今後また、中間、それから四半期レビューのところも修正していかなければいけないので、それとの関連において齟齬がないような表現をとるように検討させていただきたいと思います。

事務局から何か補足説明ございますか。どうぞ。

○野村企業会計調整官

只今、八田委員の方から、お話のありました2点目の前文の件は、先ほど、おっしゃられたとおりでございまして、かぎ括弧で引用しておりますけれども、昨年4月に公表されました監査基準の改訂に関する意見書では、ここの部分には、ISAという表現が入ってございませんので、訂正をさせていただきたいと思います。

それから、先ほど改訂案のご説明のところで、只今、八田委員からご質問のございました、監査実務指針での対応の部分のご説明を省略してしまいましたので、合わせて、補足をさせていただきたいと思います。前文の、3ページをお開きいただきたいと思うのでございますが、先ほど2のところまでご説明申し上げたのですけれども、今回、監査基準ではなくて、監査実務指針で対応していただいてはどうかというものについてでございまして、監査報告書の改訂以外の部分については、日本公認会計士協会の実務指針で対応していただいてはどうかということでございます。

その際に、今ご指摘のございました監査上の後発事象ということについては、以下の点に留意する必要があるのではないかということです。監査上の後発事象といいますのは、先ほどお話がございましたが、決算日の翌日から監査報告書を作成するまでの間に発生した事象というふうに、基本的には言われておりますけれども、我が国の監査基準では、後発事象に関する手続というのは規定されているのですが、明確な定義というのはおかれておりません。今回、明瞭性プロジェクト後の国際監査基準の方では、監査における後発事象については、決算日の翌日から監査報告書日の間に発生している事象、及び監査報告書日後に監査人が知るところとなった事実というように定義をされているところございます。従いまして、我が国においても監査上の後発事象の定義について、国際監査基準に合わせていただくことが適当ではないかということで、現在、監査実務指針の方で、監査上の後発事象の定義というものが置かれているわけでございますけれども、そちらの方を国際監査基準に合わせていただいてはどうかということで、監査実務指針での対応が要請されるという表現になっているところでございます。

以上でございます。

○友杉部会長

ありがとうございました。あと、他にご質問、ご意見等ございますでしょうか。どうぞ、武井委員。

○武井委員

今回のご提案が、国際的な整合性を引き続き確保するための技術的な改訂が中心だというご説明は私も理解いたしました。特段、方向性については、全く異論はございません。従いまして実務の中への定着といいますか、落とし込みにつきましては、混乱のないように十分なご説明、周知をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

細かい点になりますけど、2点ほど関連の質問をお許しいただけますでしょうか。今日、頂戴いたしました資料3-1の4ページの改訂案の下から3行目のところを引用させていただきますが、2カ所、お尋ねをしたいと思います。監査手続の選択は、監査人の判断によること、というくだりと、それから、その後続けてあります、財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないと、この2カ所です。まず第1点目は、この監査手続の選択は監査人の判断によることというくだりの意味合いでございますが、私ども、実務を担っている者から受けとめた場合、現在の公認会計士の先生の監査実務自体に具体的な影響があるのかないのか。たぶん変更はないと理解いたしておりますが、そういう理解でいいかどうかというのが1点と、2つ目の内部統制との絡みでございますけれども、ご案内のとおり、財務報告に係る内部統制の監査基準というのがございまして、そこでの表現を拝見しますと、財務諸表監査と内部統制監査、一体となって行われ監査証拠も相互に利用されるというくだりがございます。この効率性を目的とした記載と今回の改訂との絡みでございますが、相互に影響を及ぼしうるものなのか、あるいは、効率性を対象とした相互の活用ということで、従前と全く変わりがないのか、その2点について、ご説明いただければありがたいのですが。

○友杉部会長

最初の監査手続の選択は監査人の判断によることということにつきまして、先ほど、八田委員から、そこに適用が入るんじゃないかということなのですが、これが、実務上、変わるのかどうかというのは、実は、公認会計士の先生方に聞かないとわからないところがあるのですが、多分、変わらないのではないかという気がするのですが。公認会計士の実務担当の先生方、変わるのか、変わらないのか。では、篠原委員、ご説明いただきたいと思います。

○篠原委員

篠原でございます。ただ今、友杉部会長が申されたとおり、この監査手続の選択というのは、実務上、従来からやられているものでございますので、今回、それを文章上、明示したということで実務的なインパクトは少ないのかなと考えております。

○友杉部会長

ありがとうございます。変わらないということだそうでございますので。

○武井委員

わかりました。

○友杉部会長

もう一つの内部統制の方につきましては、現在、一体的に作成されていますけれども、基本的には影響が及ばない形で処理されるだろうというふうに、我々は考えたのですけれども、国際監査基準はこういうふうに書いてあるものですから、それを、その内容に入れたということなのですけども。補足説明ありますか。どうぞ。

○野村企業会計調整官

只今、2点目については、部会長の方からお話しいただいたとおりではあるのではございますけれども、ここで言っておりますのは、財務諸表監査の目的ということでございまして、内部統制の有効性自体について意見表明するのは、内部統制監査の方でということで、そういう意味で財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性についての意見表明をするものではないということを、国際監査基準の表現と合わせて明示させていただいていると理解しております。

○武井委員

分かりました。ありがとうございました。

○三井企業開示課長

すみません。今日、お配りしている資料の中に入ってなくて、大変、恐縮でございますけれども、このISA、色々な国での監査基準に適応できるようにということで、色々な制度に適合するようなオプションが入っていまして、お配りしている資料の中に少し出ていますのは、資料4-1の2枚目でございまして、直訳なので大変読みにくい日本語になっておりますけれども、真ん中の段の監査人の責任というところの5行目に、監査には、という段落がありまして、その3行目、リスク評価を行う際に、監査人は状況において適切な監査手続を計画するために、しかし、事業体の内部統制の有効性について意見を表明するためではなく、事業体の連結財務諸表の作成及び適正な表示に関連した内部統制を考慮に入れるということで、リスクアプローチの監査、財務諸表監査手続の中で内部統制を考慮すると、こういうコンテクストで、このくだりが入っております。

表示のところで内部統制報告書を一体的に開示しない場合には、内部統制についての意見を表明しませんという基準が、今日お配りしている資料の中には含まれてはおりませんが、ISAの中にはございまして、そうしたことから、ここの部分、財務諸表監査のところを抜き書きしたような形になっていまして、このような記述になったという次第でございます。

○武井委員

結構です。

○友杉部会長

ありがとうございました。他に、ご質問等ございますでしょうか。

どうぞ、五十嵐委員。

○五十嵐(則)委員

どうもありがとうございました。ISAに基づきました監査報告書の文例がございますので、私の理解している範囲で、ISAのプロジェクトについてお話しさせていただきたいと思います。一つは、日本の監査基準に基づいた監査報告書の文例とISAに基づいた監査報告書の文例を見ますと、ISAに基づく監査報告書の文例は長文であり、特にヨーロッパの国では、このISAに基づく監査報告書の文例が長すぎるんじゃないかということが、現在議論されております。

この標準例は、クラリティ・プロジェクトで決定されたことでございますが、現在新しい監査報告書のプロジェクトが開始されております。この監査報告書が監査財務報告制度全体の中での監査報告書を利用する利用者にとりまして、この監査報告書を見た場合に、監査人の責任などの内容が相対的に長すぎるという側面と、ここの監査人の責任を限定しているのではないかという側面があり、ある会計事務所では、この内容をインターネット上の内容を引用して監査報告書を発行する例が出ております。従いまして、アニュアルレポート等に含まれる監査報告書は、短文になっているという例がございます。そういう意見がございますので、最終的に日本公認会計士協会で監査報告書の標準例を作成されると思いますけれども、それらの内容も勘案されてみられたらいかがかと思いましたので、述べさせていただきました。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。

他にご質問等ございますか。どうぞ、町田委員。

○町田委員

審議の場で確認しておきたいと思いまして、もし、お許しいただければ、篠原委員に教えていただきたいというか、ご説明をお願いしたいのですけれども。今回の改訂案では、3つほど改訂の中心になるところがあると思うわけです。1つは、例えば、新旧対照表の6ページですけれども、監査範囲の制約のところに、一番顕著に見られますが、4行目、「意見表明ができないほど全体にわたっていない」という言い方で、これまで日本の監査基準では、「重要」ということで、全て一纏めに処理してきたところを、「重要」(material)ということと、「全体にわたる」(pervasive)という、2つの概念を織り込んでいるというのが、一つの改訂点かと思います。

2つ目は、これまで、我々も授業で教えてきたところではありますが、4ページから5ページにかけてのところですが、これまでは「合理的な基礎を得た」というふうに監査意見表明の基礎を言ってきたところですけれども、今度は、この合理的な基礎というのはなくなって、「意見表明の基礎を与える」ということで、合理的という言葉がなくなったということ。

そして、一番最後ですけれども、追記情報のところですが、これまでは、強調事項と説明事項の両方を監査基準では一括して記載していたわけですけれども、日本公認会計士協会の実務の指針などでは、追記情報の役割を財務諸表に記載されている事項を強調するという,強調事項に限って、かなり限定されて規定されていたんじゃないかと思うのですが、それが今回は,説明事項の方にも、かなりウエートをおいて,区分して記載するということが求められているという点。以上の3点が大きな改訂ポイントなのかなと思って受け取っているんですけども、その理解でよろしいのかということを確認させていただきたいと思います。

それから、合わせて,「合理的な基礎」と言っていたものが,「合理的」という用語がなくなってしまうことによって、実質的に何か影響があるのかどうかということ、及び、今後は説明事項に係る追記情報ということも認める、つまり、監査人が必要と判断したことについては、監査報告書上、情報として説明するということが行われる実務になっていくのかどうかということについても、確認できればと思っております。

よろしくお願いいたします。

○友杉部会長

ありがとうござました。ご指名ですので、篠原委員、よろしかったら、お答えいただけますでしょうか。

○篠原委員

篠原でございます。1点目の重要と全体にわたって、私ども広範と呼んでいますけれどもマテリアルとパーベイシブということで除外事項を分類していくんだというのが、ISAの新しい考え方でございまして、マテリアルとパーベイシブ、それにもう一つ加えますと、監査証拠というのも一つのキーワードになってくるのですけれども、そこでマトリックスをつくった上で、今日、マトリックスをご用意していないので、ちょっとご説明しにくいのですけれども、マテリアルとパースベーシブと監査証拠で除外事項の類型を決めていくというのが、町田先生がおっしゃったとおりISAの考え方でございます。

2点目の合理的な基礎と、恐らく、リーズナブルベーシスという英語が当たるかと思うのですけれども、ご指摘のとおりISAでは、リーズナブルベーシスという言葉をやめて、ベーシスと、単なる基礎という言葉に置き換えております。その基礎と申しますのも適正意見を出す基礎にもなりますし、不適正意見を出す基礎にもなるということで、このベーシスというのが、ニュートラルな使い方をされているというのが、一つの特徴点かなというふうに思います。

3点目、強調事項とその他事項のうち、今回、ISAに合わせて、その他の事項、明確に区分して使うというふうな形で、変わった点でございますけれども、監査基準そのものは、従来から追記事項のところは限定列挙ではなかったと解釈しておりますし、今回も限定列挙ではなく、例示列挙であるというふうな立てつけと解釈しておりますので、基準の立てつけとしては従来どおり、ある意味、その他事項ということが、明らかに区分して書きなさいということになりましたので、実務がそういうふうに流れるかどうか、今後、ウオッチしていかなければいけないのかなと思っております。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。

町田委員の確認ということで、町田委員、よろしいでしょうか。

○町田委員

はい。

○友杉部会長

ありがとうございます。他に、特にご質問等ございますでしょうか。

それでは、時間の関係もございますので、今回の監査基準の改訂は、国際監査基準の改正に伴う差異を調整するという技術的なものが中心であります。その意味では、基本的な方向性として我々が出しましたこの国際監査基準の改訂案が、おおむね合意されたのではないかというふうに思っております。

私としては日本公認会計士協会の実務指針策定への影響等を考えますと、早期に監査基準の改訂を行うことが適当であり、本日いただいたご意見等も踏まえ、所要の修正を行った上で、監査基準の改訂案を早急にパブリック・コメントに付させていただいてはどうかというふうに考えております。その際、このパブリック・コメントに付す期間ですが、今回の場合は、この技術的、形式的な面が強い関係から、通常の1カ月よりも短い期間でよいのではないかというふうに考えております。その際、具体的な修正の文言につきましては、部会長であります私にご一任いただきたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○友杉部会長

どうも、ありがとうございました。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。

それでは、次の議題に移りますが、「その他」の議題ですが、コンバージェンスが進められている我が国の会計基準の適用に伴います、監査上の対応についてご意見を伺いたいと思います。具体的には、昨年12月に公表されました「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の適用に伴う監査対応ということであります。

それにつきまして、まず、事務局から概要について説明をお願いしまして、その後、日本公認会計士協会より、補足の説明をお願いしたいというふうに思いますので、まず、最初に事務局から説明をお願いいたします。

○三井企業開示課長

それでは、資料5と資料6-1、資料6-2の3つの資料を使わせていただきたいと思います。まず、資料6-2でございますけれども、昨年末にASBJ、企業会計基準委員会から公表されました、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」との関係で資料5と資料6-1でございます、これにどう対応するかということでございまして、若干、制度面での考え方の整理が必要かと考える次第でございます。

この資料5の1.のところでございますけれども、従来、過去に誤謬があった、あるいは、会計上の処理について変更したというような場合に、過去に遡るという実務は必ずしもなかったというふうに考えておりますが、この会計基準で過去に遡及して修正するという基準が入るということになります。そうしますと、現在、有価証券報告書には、その財務諸表等規則及び開示関係の規則に従いまして、前期の財務諸表と当期の財務諸表を並べて開示していただいております。その前期の財務諸表は従来の考え方により、いわば前期に確定した財務諸表を並べているというような格好になろうかと思います。

新しい会計基準の考え方によりますと、過去に、例えば、誤謬があったということになりますと、その誤謬のあった時点に遡って修正をすると。そうしますと、ずっと過去、例えば数年前に間違いがあったとすると、その時点に正しい会計処理をしたと仮定して、ずっと変わってくるということになります。

そうしますと、むしろ、前年との比較の数字を投資家にとって、見やすい形で時間的な連続性が分かるような数字を公表していただくということに、この会計基準の大きな意味があるとしますと、前年度の財務諸表は、いわゆる比較財務諸表と言われるその修正後のというんでしょうか、当年度と比較する場合に、比較のベースになるような財務諸表を並べていただく方が、より望ましいということになろうかと思います。

そうしたことから、従来の日本の財務諸表ですと、前年度の財務諸表と当年度の財務諸表、仮に過去の誤謬とか会計処理方針の変更があった場合には、それぞれスタンド・アローンといいますか、別個のものとしてたまたま並んでいる財務諸表であったわけでございますが、新しい会計基準のもとでは、新しく今期修正したもの、遡及修正したもののベースで前年と対応した形のものを、前年度分として載せていただくということが見やすいということに、あるいは、新しい会計基準の考え方に合っているということになろうかということから、ここでその比較財務諸表という考え方を取り入れていく必要があるのではないかということでございます。

その比較財務諸表を、したがって、というところでございますが、その場合に、既に出された財務諸表が変わるということではなくて、当期の財務諸表を修正するといった場合に、それに対応する財務諸表なり、財務の数字を並べていただくと、こういう考え方になるということかと思います。

その方法にも、さらに細かく言うと監査上は、2つの考え方があるというふうにお伺いしております。それが、2.の監査意見の表明でございまして、後ほど、日本公認会計士協会から、より詳しいご説明があるかと思いますけれども、いわゆるコレスポンディングフィギュア、対応数値というやり方、コンパラティブファイナンシャルステートメント、比較財務諸表という考え方の2つの方法があるというふうにお伺いしています。後者の比較財務諸表方式、コンパラティブとか、コンパラ式とか言われているそうでございますが、この場合は、アメリカのとっている方法で、財務諸表として対応する数値を前期に比較係数として並べると、それに対しまして、コレスポンディングフィギュア方式、対応数値方式、コレポンとかいうそうですが、その場合には、その対応する数値について並べると。これは、ヨーロッパなどで、IFRSが適用されている国などで使われているというふうにお伺いしております。

従いまして、監査の考え方として、どちらでいくことがよろしいであろうかと、一つはこの遡及修正に伴い、比較財務諸表の考え方を取り入れるということについて監査上どのようにとらえていくかという、大きな判断のもとに、その具体的な方法としてコレポン方式なのか、コンパラ方式なのかという考え方の整理を、一応、ここでしておくことが適当ではないかと、こういうことでございます。

この資料5は、とりあえず、従来それぞれ、前年度と当年度と2つを監査しているということではなくて、当年度について監査意見を表明していると。もちろん、その過程では、過去の数字を全く見ていないわけではございませんで、当年度の係数について監査意見を述べるに当たって必要な数字については、過去のものも遡って、事実上、監査ではご覧になっていただいているということではございますが、意見表明の対象としては、当年度のものであったという現行の実務との連続性から考えると、いわゆる対応数値方式、コレポン方式ということが考えられるということで、それをとりあえず、この資料5には掲げておりますが、この辺についてご議論をいただければと思います。

あと資料6-1でございますが、この遡及修正、あるいは比較財務諸表につきましては、今度は、法令上の手当てについても現在検討中でございます。財務諸表等規則、それから監査証明府令、それから開示府令、それぞれにおきまして比較財務諸表というものを位置づけるための、これは技術的な改正になりますけれども、それぞれ財務諸表等規則でありますと、この国際会計基準、またのところでございますけれども、単に比較情報として位置づけるのに加えまして前期首の貸借対照表の位置づけを加えるといったことから、監査証明府令につきましても、今、申し上げましたこの対象範囲について、今、申し上げたようなことに対応した技術的な規定に改めると。それから、開示府令につきましてもこの前年度の財務諸表というのは、既に前年度の有価証券報告書として出したものを、そのまま掲げているというものではなくて、当期の財務諸表の比較財務諸表としての位置づけを持つということになろうかと思います。

いずれも技術的な改正ではありますけれども、考え方として新しい、あるいは、従来と少し違った考え方が入ると思いますので、この際、ご議論いただければありがたいと思います。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。では、日本公認会計士協会の方から、ご説明をお願いいたします。

○篠原委員

篠原でございます。それでは、お手元の資料7に沿って若干、比較情報について説明させていただきます。今、三井課長のご説明で、ほぼ、尽くしているのかなということで、重なる部分もございますけれども、資料7に沿ってご説明させていただきます。

比較情報に対する監査意見の表明についてということで、今、ご紹介にあったように新しい会計基準によって、この前期の財務諸表が、当期の財務諸表に関連する比較情報として位置づけられるようになったということで、これに対して監査上どういうものがあるかということで、その下に現在のことが書いてございますけれども、有価証券報告書には当期と前期の2期分の財務諸表が掲載され、それぞれの監査意見が表明されるということで、現在も2期分の財務諸表が並べられているのですけれども、あくまでも単年度について監査意見を表明するという立てつけになっておりまして、実際には、当期分について監査報告書が発行されていて、前期分については前期の監査報告書のコピーが添付されているというのが、現状の立てつけでございます。

この比較情報に対する監査意見の表明の方法ということで、ここに書いてございますISA710というのが、そこのところを扱っておりまして、そこの部分が、ここの時計文字の II のISA710号の特徴というところに書いてございます。あくまでも監査意見の表明方式が2つあるということでございまして、1つがマル1対応数値方式、コレスポンディングフィギュア方式と、マル2として比較財務諸表方式、コンパラティブファイナンシャルステートメンツ方式というものがございます。

上の対応数値方式、俗にコレポンとか呼んでおりますけれども、監査意見は当期のみに言及して比較情報には言及しないという方式でございます。この比較情報に対する考え方の基になっておりますのが、この過年度に関する金額や開示は、当期の財務諸表と不可分で一体であると、不可分で一部として含まれているということで、当期に関する金額や開示と関連づけて読まれるということですので、当期の監査意見の中でカバーしてしまおうというのが、コレスポンディングフィギュア方式でございます。一方、比較財務諸表方式というのは、監査意見に表示される各期に言及する方式といっておりますけれども、2期書かれていれば、2期分に監査報告書で言及するという方式でございます。

最後、既にご紹介がありましたけれども、海外の状況を見ますとイギリスやフランスなど、IFRS採用国の多くは、マル1の対応数値方式をとっているようでございまして、米国はマル2の比較財務諸表方式をとっているということになっております。

1枚めくっていただきまして、監査意見の表明方式は2通りあると申し上げたのですが、この2方式、いずれをとりましても監査手続に差異はございません。ここに書いてある6つの手続が主なものとなります。

1番目は、比較情報が過年度の表示、開示と一致しているか、これは当たり前のことですけれども、ここに該当する場合には、修正再表示された金額や開示も見なさいというふうに決めてございます。

マル2は会計方針の変更がないか否かを検討する、変更があった場合には適切に反映、開示されているかを確かめるということで、会計方針の変更があれば、遡及処理も出てきますので、ここでも遡及処理を含めたところでカバーされていると。

マル3過年度の財務情報の重要な虚偽表示の可能性に気づいた場合には、必要な追加手続を実施する、あるいはマル4の過年度の財務諸表が改訂された場合、比較情報と合致していることを判断するということで、この辺も遡及処理に絡んでくるような記述になっておりますけれども、このようなマル1からマル6までの手続をしなさいとなっておりますけれども、この意見表明方式の2方式、いずれをとっても監査手続は同じだというふうに言われております。

3といたしまして、これは我が国における比較情報に対する監査意見の表明方式の論点ということで、どちらも既に採用されている国が幾つもありますので、どちらがどちらとは言いにくいのですけれども、1つここで書いてございますのが、比較財務諸表方式の場合には、監査人や関与公認会計士が交代したときの対応が困難になる可能性があるというふうに書いてございます。

実際、その中身はということですけれども、この比較財務諸表方式、いわゆるアメリカのとっているコンパラ方式というのは、1通の監査報告書で2期分の財務情報に言及するというのが特徴でございます。ただし、監査人の交代が起きたときにどうなるのかと申しますと、米国の実務を見ますと基本的には、新たに発行される監査報告書の前年度分は、前任監査人に見てもらいなさいと、当年度分は、後任監査人に見てもらいなさいということで監査報告書が、監査人に交代があった場合ですけど、2通発行されてしまうというのが、米国の実務のようです。

この実務を日本に当てはめた場合なのですけども、監査人の交代に限らず、日本の場合は、監査報告書に会計士が署名、押印するという実務がございます。それともう一つ、実際には複数関与社員制度などと呼ばれていますけれど、1通の監査報告書に複数の会計士がサインするというのが実務でございます。ここで、会計士のローテーションの問題が、日本の場合、特有の問題になってまいりまして、このような複数の関与社員がローテーションで代わっていくというのが、恐らく2年とか3年ごとに起きるのですけども、その交代のたびに2期分の監査報告書が発行できなくて1期分と1期分と、2通の監査報告書が発行されてしまうという事態になっておりまして、例えば、初年度は1通の監査報告書で済んだものが、次年度は、誰かがローテーションで代わったので、監査報告書を分けて発行すると、これが交互に起きてきてしまうというようなことがございまして、こういう煩雑な対応に対して色々手当てするという手もあるのですけども、そういう対応を避けるためには、どちらかというと1番の対応数値方式の方がいいのかなというふうに考えております。

以上、説明でございます。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。資料5のイメージ図があるんですけども、この現行制度が左側で、右側が比較情報が入った場合の対応方式が、つまり対応数値方式が記載されておりますけど、これについて説明はよろしいですか。

○三井企業開示課長

恐縮でございます。それではこのポンチ絵といいますか、絵を使って説明をさせていただきます。先ほど口頭で説明して申しわけございません。

現行制度のところでございますが、2期、有価証券報告書に財務諸表を並べるということの意味でございます。前年度分というのは、前の年に出した有価証券報告書が、便宜、並べてあるという発想でございます。従いまして、仮に大きな修正があったとしますと、この前年度分と当年度分の関係というのは、必ずしも連続性があるという考え方に立っているものではございません。むしろ、確定決算主義といいますか、各年、各年の決算が確定したというものが、有価証券報告書に載ってくるという日本古来の会計実務に則ったものでございます。

これに対しまして右側の比較情報制度、比較情報方式でございますけども、毎年、毎年、例えば会計処理の変更であるとか、あるいは、場合によっては誤謬の修正がありますと、今年度、新しい数字に過年度に遡って変わるということになりますと、前年度と当年度が連続して時系列で比較といいますか、並べて見られるというのが、むしろ投資家の情報として有用性が高いということだとしますと、前年度と当年度が別個のものとして並んでいるのではなくて、当年度の財務諸表を作るに当たって、そのベースで前年度を見たときにはどうかと、こういうふうな数字を見られるようにしましょうと。こういう発想でございまして、このような絵になるということでございます。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。

日本公認会計士協会の方からご説明があったのは、この資料7の時計文字の III のところにあります、比較財務諸表方式の場合には監査人や関与公認会計士が交代するなどのため監査意見表明は困難であるということですので、それには、対応数値方式の方がよろしいということを説明されているというふうに思います。

日本の場合、監査法人名以外に公認会計士が署名するんですけど、アメリカのほうでは会計事務所だけというところもあり、交代とか、あまり縁起がよくないんですけど、亡くなられた場合とか、色々出てくると大変だということを含んでいるというふうに考えてよろしいのでしょうか。どうもありがとうございました。

今、事務局と日本公認会計士協会の方から説明がありましたが、比較情報、それに対する監査のあり方につきまして、これから、ご質問とかご意見等を賜りたいと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。ご意見、ご質問等ございます方、挙手をお願いします。どうぞ、八田委員。

○八田委員

篠原先生に、1つ伺いたいのですが。この2つの方式があって手続的には差異はないということであり、私も大体そう思うのですけども、監査人の責任という視点から見た場合に、両者に何か違いはあるのでしょうか。

○篠原委員

篠原でございます。ISAの考え方として、監査手続に違いがなければ監査責任にも違いがないというふうな解釈でおります。

○友杉部会長

監査報告書が前年度と今年度、2つ、比較情報として出ていてもということですか。

コレスポンディングの場合は、今年度分だけですからいいんですけど、コンパラティブの場合には、2つの監査報告書が出てくるけど、責任においては、一緒ということでよろしいですか。

○八田委員

ちょっと意味が分からないのですが、確かに当期に関しては、全く差異はないと思うのですが、その前年度分の比較情報になった部分、あるいは、その比較財務諸表になった部分、すなわちこちらの2の方式ですと前の監査人にその業務をもう一回委ねるということであれば、その責任は、前任監査人の話になりますよね。ところが、当期に関っている人だけが、全部、全てを完了させれば、前任監査人の責任というのは出てこないと思うのですが、要するに責任の重さとかいうのではなくて、責任の所在という点についても違いがないということでしょうか。

○篠原委員

篠原でございます。元々、コンパラティブ方式というのは、2年連続して監査をするという前提でできている方式でございます。例外的に監査人が交代した場合には、前年度分に関して前任監査人が、当年度分に関して後任監査人が行うというふうなことで責任を分割するというのが、コンパラティブ方式でございまして、コレスポンディング方式の場合には、どういうやり方があるかといいますと、強調事項なり、その他事項で、監査人の交代があった場合には、その旨を前任監査人のことについて言及するという方法をとっている国もございます。そういう方法をとるならば、監査人が交代をした場合でも、基本的にコンパラティブでも、コレスポンディングでも責任は同じなのかなというふうに考えております。

○友杉部会長

という説明ですが、八田委員、よろしいでしょうか。

○八田委員

よく分からないですけれども、結構です。

○友杉部会長

どうぞ、五十嵐委員。

○五十嵐(則)委員

日本公認会計士協会の方に私の理解の確認をさせていただきたいと思います。有価証券報告書のイメージですと、X2年の「比較情報」導入のところで、20X1年3月期と20X2年3月期は、両年の各期ごとに監査報告書が出まして、監査報告書が開示されていると、こういうふうに理解していますが、それでよろしいでしょうか。

それで、2年度目のときのX3年ですが、ある会計処理が発生したために、20X2年3月期にリステートされた場合には、監査報告書は当年度の財務諸表の20X3年の3月期については監査報告書が出ておりますけれども、リステートされました20X2年の3月期には監査報告書が出ていないと理解しましたけれど、これでよろしいでしょうか。

○篠原委員

申しわけございません。このポンチ絵は、私どもの方の紙ではないもので、ちょっと理解しにくいのですけれども、もう一度、ポイントを絞っていただいて。

○五十嵐(則)委員

X3年の箇所ですが、20X3年の3月期の財務諸表には監査報告書が作成されて、開示され、有価証券報告書の中に含められて、20X2年の3月期の比較情報の財務諸表は修正された財務諸表だと思いますが、これには、監査報告書は添付されないと理解していますが、それでよろしいでしょうか。

○篠原委員

先ほど、ISA710のご説明をしましたけれども、710の監査手続によりますと当年度の監査として遡及修正した部分は見なさいとございますので、当年度の監査報告書が出ているということで、その中で710に基づいて遡及修正部分を監査しているというふうに考えられるのではないかと思います。

○三井企業開示課長

完全なポンチではなくて、かなり割り切って書いてあるわけですが、左にある現行制度でいいますと、遡及修正しない現行の会計基準をベースにしますと、訂正報告ということを脇に置けば、大雑把に申しますと前年度分は無修正のまま、とりわけ誤謬の場合につきましては、そのまま置いてあるというふうに考えるとすっきりするかと思います。

従って、前年度、修正前のものが、そのまま当年度のコピーで財務諸表として並んでいると、それに当年度は、例えば、期首の数字につけ加えたり、引いたりして修正したものを、当年度の財務諸表を作るといったものが、仮にあるとしますと、前年度と当年度が、いわば、分裂した状態で並んでいるということになろうと思います。

実際にはさらに重要な、もし、間違いがあったりする場合は、とりわけ誤謬である場合には、過去に訂正報告書が出て、その訂正報告書がこの前年度分に、新たに提出されて、それにまた監査報告がついているといったケースがありますので、結果的には今年の修正後のベースの前年度の数字は、訂正報告書とその監査報告書という形で担保され、それと比較することができるケースが多いわけですけれども、一応、思想、哲学としては分裂しているということを、いわば非常に単純化して絵にしようとしたものでございます。

○五十嵐(則)委員

X3年における比較情報となる20X2年3月期には監査報告書はないと理解いたしました。

この事をお伺いしている理由は、監査報告書についてのアカデミックスタディが4つの研究グループで包括的に行われています。それらの報告書において、監査報告書の投資家への有用性がつきまして、イギリス、オーストラリア、カナダ、アメリカの各大学の教授などの最近1年以内に発行された調査研究報告書では、監査報告書の有用性の1つの特徴は、財務諸表について監査報告書が出されているということが、投資家にとって非常に有用だというような結果となっております。こうした考えから検討しますと、監査報告書がリステートされました場合、前年度の分について監査報告書がないということは投資家の有用性という観点から見ますと、財務報告制度の中に含める方がよいのではないかという観点でご質問させていただきました。

○友杉部会長

この図表の右側の比較情報の導入のX2年とX3年ですけど、このX2年の3月には、監査報告書が出ているんですね。このX3年のときに、このいわゆる誤謬等があったときに、その比較情報についても監査はしているんですけれども、その監査意見は、比較情報に対しては表明しないと、当年度、この20X3年の監査報告書については、意見表明するというのが、このコレスポンディング方式なんだというふうに思っているんですけども。

○五十嵐(則)委員

投資家の有用性という、先ほどのリサーチスタディの結果から拝見しますと、財務報告制度の中で非常に重要な財務諸表の中に、監査報告書が出ていない財務諸表が開示されるという形式になってしまう可能性について少し懸念しているところでございます。この内容は、財務報告制度としていかにあるべきかということと関係していると考えますので、別の視点からの検討項目となるのかもしれません。

○友杉部会長

では、松本委員、どうぞ。

○松本委員

五十嵐先生のご懸念は、最もなお話でして。松本でございます。よろしくお願いします。事務局の方でご用意いただいています図「現行の有価証券報告書と『比較情報』の考え方を導入した場合の有価証券報告書のイメージ」の比較情報の導入のところをご覧いただきますと、私が事務局の説明をするのも何なんですが、慮って発言しているとご理解ください。比較情報の部分、20X1年3月期のものは比較情報として当年度X2年の財務諸表に付録のような形でついております。同じようにX2年3月期の財務諸表は、X3年3月期の財務諸表の比較情報として付録のように表示されます。ここでもし、X2年の3月期からX3年の3月期に変わる段階で、誤謬等の修正が行われた場合、X3年の3月期、すなわち当期の財務諸表の付録の情報であるX2年3月期の比較情報が修正されています。

この修正情報については、当然、会計方針の変更に当たりますので、会計方針の変更に係る注記が当期X3年3月期の財務諸表に行われます。この注記の四角の図が、比較情報と当年度の財務諸表にまたがる形で描いておられるのは、この注記部分については、当年度財務諸表に反映された会計方針の変更として開示されており、この注記は当期の監査対象に含まれております。従いまして、当然、前年度から当年度において変更された部分については、監査対象として監査が行われていて、かつ、監査意見の表明の対象になっているという意味だと思います。

ですから、比較情報に、全く監査がなされていないわけではなくて、変更があった場合は、当然、変更部分について、当年度財務諸表の開示されている注記情報に対して監査が行われた結果、比較情報も監査の対象として反映されていると理解している絵ではないかなというふうに考えております。以上です。

○友杉部会長

どうぞ、引頭委員。

○引頭委員

1点意見と、2点質問がございます。利用者側から見ますと、ずっとご説明賜ったように、統一した基準での比較情報が手に入るということで、今回の変更は非常によいことだと思います。

意見の方ですが、今、いろいろ監査報告書というお墨つきがついているか、ついていないかということで議論があったわけですが、たしかに実務を考えますとコレスポンディング方式でなければ難しいのではないかという印象等は持っております。ただ、正直申し上げまして、利用者側が、それほど深く監査の仕組みを理解しているとは思えないという面がございますし、また少し複雑といえば複雑だと思うんです。ですので、新しい枠組みについて、様々な場面で周知徹底していただくことが必要と思っております。具体的には、訂正したところについては、監査対象内であるということ、そして前期分についてもすでに監査を受けてあるものであることなど、についてでございます。これをぜひ、各方面に分かり易く宣伝していただきたいというのが1点目です。

あと2点目は質問なのですけれども、有価証券報告書にはいろいろな注記とか、監査対象外の情報とか、いろいろなものが含まれているわけです。仮に、前期の比較情報が訂正になった場合、もちろん程度にもよりますが、その訂正箇所が関係しているものであれば、監査対象内、対象外問わず、有価証券報告書の範囲内でもう一回、訂正されるのかどうかということが2点目です。

3点目は、現実には想定しづらいことかもしれませんが、1回監査報告書が出たけれども、前期の比較情報という名のもとに大きく変更されてしまったような場合、利用者としてはかなり戸惑うと思われます。そうした場合、どのような対処等が想定されるのかについてお聞かせくださいませ。

以上です。

○三井企業開示課長

2つ、まず、周知の話はご指摘のとおりでありまして、私どもも十分な周知をしていく必要があると思っておりますし、日本公認会計士協会、あるいは、関係者の方々のご周知をお願いしたいということでございます。

それから、訂正報告書の件でございます。主に非財務情報についての訂正は大変多うございます。他方、監査対象の財務情報についての訂正は、もちろん、あるわけでございますけども、非財務情報の訂正報告書の提出件数に比べると、数は比較的少ない状況かと存じます。当期の財務諸表の中で、留保利益などの調整などで行われているケースも多いのかもしれません。

従いまして、会計基準が変わりますと財務情報、とりわけ会計処理方針の変更の場合には、遡及して数字が訂正されるということで、そうしますと、当然、記述部分というのでしょうか、非財務情報の中でMD&A、経営者の分析及びその議論みたいなところにも及んでくる場合があり得るとは思います。従って、どういうふうにするのというのは、恐らく中身次第であろうかと思います。例えば売上高が大きく違っていましたという場合ですと、そもそも売上が伸びていたのですという、そのMD&Aの記述が違ってくるということになると大きな訂正ということになるかもしれませんが、そうでないようなものですと、それは、むしろ当期で説明していくというようなこともあり得るのかなというふうに考えてございます。

最後の点は、若干、難しい質問でございますけれども、ケース・バイ・ケースかと思います。現状ですと、粉飾決算のような場合には、黒字が赤字になったり、資産超過が債務超過になったりするケース、訂正報告書を出す、そのような大きな問題の場合は、当然、訂正報告書が出されますけれども、それ以外に会社として何らかの社内調査をされて報告される、あるいは発表されるケースもあろうかと思います。他方、反対側の極の軽微なものであるとすると、過去の何らかの会計処理で軽微な間違いが見つかって、それを直すといったこともあろうかと思います。

それは、ケース・バイ・ケースで、どのように投資家の信頼を失わないような適正な情報開示をしていくかという観点で、対応していくというふうに考えます。

あと1点ですね、こちらに座っているものがこういうことを申し上げるのは、大変、申し訳ないかなと思うんですが、そのコンパラ方式とコレポン方式で、コレポン方式ということをとりあえずドラフトの案として出させていただいています理由として、従来の実務の延長線上で、比較的頭に入りやすいからということを説明で申し上げましたが、もし私の誤解であれば訂正いただきたいと存じますが、会計方針の変更などで訂正する場合には、通常、訂正される部分と、それに関連する部分を監査でご覧になっているのではないかと思いまして、それと全く無関係なところを含めて前年度分を1からゼロベースで監査をされているわけではないんだろうというふうに考えております。

ですので、コレポン方式というのは、もし仮にそれが実務であるとすると、従来、我が国で行われている実務を比較的素直に表しているような感じがします。従来の日本の会計の実務、それからIFRSが、実際に適用されている国の実務を考えると、むしろコレポン方式のほうが、すんなり頭に入りやすいのかなと思った面もございます。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。他に、どうぞ。

○篠原委員

お願いと申しますか、資料5でも、今後、遡及処理に関する監査上の取り扱い、実務指針として協会で検討するようにというふうに書かれているのですけれども、今回、監査基準の改訂に、直接関連しなかったために、その部分ではISA710ですとか、遡及処理のことが取り上げられていないのですけども、前文あたりで、取り上げていただくというのは、可能なのでしょうか。

○友杉部会長

前文って、これ、基準の前文の方ですので、比較情報についての理解というのは、日本の場合、まだ周知されてないようなところがあるんじゃないかと、それに対する監査のあり方も2通りあると、そのどちらがいいかというときに日本会計士協会の方は、いわゆる対応数値方式がいいんだと、今までの慣行から見てもということなんですが。

今、日本公認会計士協会の方から、監査基準の前文に、本文の方、つまり基準の方じゃなくて、前文に、何らかの形で明確にしてほしいという要望がありましたので、それを載せる方向で、前向きに一応検討させていただくということでよろしいですか。前文のほうで前向きに、明確に載せるように検討させていただきたいというご返事にさせていただきたいと思います。

あと、このことにつきまして、ご質問とか、ご意見等ございますでしょうか。

それでは、皆さま方からいただきましたご意見を、比較情報につきまして、この対応数値方式、コレスポンディングフィギュアという方式の方で検討していきたいというふうに思いまして、監査基準の前文の方にも明確に載せることができれば、載せたいということを関係者と相談をいたしまして検討させていただきたいというふうに思います。それに合わせまして、関係法令とか日本公認会計士協会の実務指針にも影響が及んでくると思いますので、早急にまとめて対応いたしたいというふうに思っております。

それでは、本日のスケジュール、審議の予定は以上でございますので、あとは、パブリック・コメントの関係等がございますので、事務局から、その辺の日程のご説明、お願いできますか。

○三井企業開示課長

それでは、今日、いただきましたご意見を踏まえまして、先ほど八田先生から2点ありました点を、修正の方向で詳細を詰めさせていただきまして、それから、もう一つは、最後にありましたコレポン方式ですね。比較情報の取り扱い、監査上の取り扱いについて部会長に文章をご相談させていただきます。その上でパブリック・コメントに付させていただきたいと思います。先ほど、部会長からお話のありましたように、もし、お許しいただければ、30日よりも短い期間で、パブリック・コメントに付させていただければ、ありがたいと思います。

私の方からは、以上でございます。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。それでは、これにて閉会いたします。

本日は、お忙しいところ、ご参集いただきまして、どうも、ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3672、3656)

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