企業会計審議会第56回監査部会議事録

  1. 日時:

    令和8年4月24日(金曜)16時30分~17時30分

  2. 場所:

    中央合同庁舎7号館 13階 共用第1特別会議室

  3. 議題:
    • (1)日本公認会計士協会説明
    • (2)事務局説明
    • (3)企業会計基準委員会説明
    • (4)討議
  4. 出席者:
    【委員】
    堀江正之(会長)、井口譲二、魚住康博、小倉加奈子、金子裕子、紙谷孝雄、後藤敏文(オンライン)、
    小林純、髙田知実(オンライン)、林田晃雄(オンライン)、藤本貴子、町田祥弘、松元暢子(オンライン)、弥永真生
    【日本公認会計士協会】
    甲斐幸子
    【金融庁】
    井上企画市場局長、小長谷企業開示課長、繁本総務課長、反町開示業務室長、
    倉持国際会計調整室長
    【法務省】
    宇野民事局参事官
  5. 議事録

【堀江部会長】

定刻5分前ではございますけれども、委員の先生方おそろいでございますので、これから企業会計審議会第56回の監査部会を開催させていただきます。お忙しいところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。

なお、本日の会議でございますけれども、企業会計審議会の議事規則に則りまして、対面とオンライン会議を併用した開催とさせていただきたいと思います。

それではまず、形式的なことでございますが、会議の公開についてお諮りさせていただきます。企業会計審議会議事規則に則りまして、監査部会の審議につきまして、公開することといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。御了解をいただきましたので、本日の会議の模様は、ウェブ上でライブ中継させていただきます。なお、議事録につきましては、金融庁ホームページに後日公開させていただく予定となっておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、会議に先立ちまして、事務局から留意事項をお願いいたします。

【反町開示業務室長】

事務局を務めさせていただきます、企業開示課開示業務室長の反町でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としておりますが、オンラインでの御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際には、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上、部会長から指名いただきます。また、御発言される際には、冒頭にお名前をお願いいたします。

なお、対面での御参加の委員におかれましては、お名前のプレートを立てていただければ、部会長から指名いただきます。また、御発言後はお名前のプレートを元にお戻しいただくようお願いいたします。

【堀江部会長】

次に、事務局から、委員の異動及び本日の会議の参考人について御紹介をお願いいたします。

【反町開示業務室長】

まず、委員の異動について、事務局から御紹介させていただきます。

昨年3月31日付で今給黎真一臨時委員、6月10日付で小畑良晴臨時委員が御退任され、新たに小林純臨時委員、魚住康博臨時委員が御就任されましたので、御紹介させていただきます。なお、事務局につきましては、お手元の配席図をもって紹介に代えさせていただきます。

また、本日は、参考人として、日本公認会計士協会の甲斐幸子テクニカルディレクターに御出席いただいております。それでは、堀江部会長、よろしくお願いします。

【堀江部会長】

それでは早速、議事に移らせていただきたいと思います。御案内のとおり、令和6年3月12日開催の企業会計審議会総会におきまして、開示・会計・監査をめぐる最近の動向についての審議が行われました。その中で継続企業の前提と不正に関する国際監査基準の改訂を踏まえた対応につきましてこの監査部会において審議を行うということとされましたので、御議論を行っていただければと思います。

まず冒頭、甲斐参考人から、継続企業及び財務諸表監査における不正に関する国際基準の改訂概要について御説明いただいた後、事務局から、監査基準改訂の方向性につきまして御説明をさせていただきます。続きまして紙谷臨時委員より、企業会計基準委員会における継続企業に関する会計基準の検討状況ということで御説明をお願いしてございますので、このような順番で進めさせていただきたいと思います。

ひとまずこの順番に従いまして御説明をさせていただいた後で、まとめて御質問、御意見を委員の先生方から頂戴したいと考えております。それではまず、甲斐先生から御説明をお願いいたします。

【甲斐参考人】

日本公認会計士協会テクニカルディレクターの甲斐と申します。本日は説明の機会を下さり、ありがとうございます。国際監査保証基準審議会、IAASBが行いました継続企業、それから財務諸表監査における不正に関する国際監査基準の改訂の内容について、私のほうから説明させていただきます。

次のスライドお願いします。まず、IAASBが改訂を行った背景を説明いたします。大きなきっかけの一つは、世界各地で生じた企業の破綻や不祥事でした。2010年代の後半に、例えばドイツのワイヤーカードとか英国のカリリオン等、大きな会社の不祥事が続きました。その結果、継続企業や不正に関連した監査人の役割や対応について利害関係者の方の関心が高まるといった流れが生じました。加えまして、継続企業に関しては、戦争や新型コロナウイルス感染症によるパンデミックといったリスクの高まりを受けまして、関心が特に強くなったということもあったと思います。

そこでIAASBは、2020年頃からISA570「継続企業」と、それからISA240「財務諸表監査における不正」という2つの基準の改訂を行うプロジェクトを開始しました。改訂の目的はそれぞれスライドに記載しているとおりです。監査人の手続の強化に加えて、監査報告書における透明性の強化が盛り込まれていたことが特徴だと思います。

次のスライドお願いします。この後からそれぞれの基準の主な改訂内容を説明いたします。まず、570「継続企業」の改訂を説明いたします。こちらのスライドでは今回の改訂で変更された主な領域を列挙していますが、本日はこのうち、特に日本の議論においても関連が深いと思われます継続企業の評価期間の論点と、あと監査報告書の論点について説明いたします。

次のスライドお願いします。まず、継続企業の評価期間の論点を説明いたします。現行の基準では、継続企業の前提に関する経営者の評価が対象としている期間が期末日の翌日から12か月よりも短い場合、監査人は経営者に対して、少なくとも期末日の翌日から12か月をカバーするように延長することを要請するということが求められていました。改訂された基準では評価期間の開始日が変更されまして、少なくとも期末日の翌日から12か月ではなくて、少なくとも財務諸表の承認日の翌日から12か月となっています。この財務諸表の承認日というのは、国際監査基準ではもともとISA560という後発事象に関する規定を扱っている基準で定義されていまして、定義の内容は※印のところに記載しているとおりです。

なぜ今回評価期間を改定することになったかは、改訂理由のところに記載させていただいています。1つ目については、開始日が期末日の場合、例えば期末日から大分経過してから財務諸表の作成が行われるようなケースですと、継続企業の評価自体にあまり意味がなくなってしまうというような問題意識がありました。それから2つ目は、継続企業の評価期間に関する規定は、表に記載したとおり、実は国等により様々となっておりまして、国際監査基準として財務諸表の承認日を採用することで、グローバルでの実務の一貫性を強化できるんじゃないかと考えたことがあります。

次のスライドお願いします。こちらのスライドでは、経営者の評価期間が財務諸表の承認日の翌日から12か月に満たない場合の監査人の対応を説明しております。簡単に申し上げますと、監査人はまず経営者に対して延長を求めまして、延長に応じてもらえなかった場合には、経営者等とディスカッションを行い、その結果に応じて適切な対応を行っていくというようなことが求められております。

次のスライドお願いします。次に、監査報告書の論点を説明いたします。無限定意見の場合、これまでは継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合のみ、監査報告書に財務諸表注記に参照する形で継続企業の前提に関する記載が行われていました。継続企業の前提に関する監査報告書の記載を強化すべきだというような声を受けまして、今回の改訂によって、全ての企業の監査において、継続企業の前提に関する監査人の結論に相当する記載を行うことになりました。加えまして、公に取引されている事業体の監査の場合には、追加の要求事項が設定されております。

こちらのスライドでは、全ての企業の監査において求められる監査人の結論に相当する記載を説明しております。重要な不確実性が認められないと判断された場合には、新設された継続企業区分において、それから重要な不確実性が認められると判断された場合には、既存の継続企業の前提に関する重要な不確実性区分において、それぞれ結論に相当する記載が求められます。

次のスライドお願いします。こちらは公に取引されている事業体、つまり、上場企業等の監査の場合の追加の要求事項となります。まず、左側ですが、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象、または状況が識別されたものの、経営者の対応等を考慮した結果、重要な不確実性は認められないと結論づけたという状況において、重要な不確実性は認められないと結論づける際に、経営者の重要な判断が行われているという場合には、前のスライドに記載した監査人の結論に相当する記載に加えて、下線の内容の記載が求められております。この経営者の重要な判断が行われている場合という条件節は、IAASBが最初に議論していた当初は入っていませんでした。ISA570の改訂の公開草案を公表した際に、重要な不確実性は認められないという判断はシンプルな判断になることも場合によってはあるんじゃないかと、そういう場合にまで監査報告書で説明するということは不要なんじゃないかというようなコメントが来たことから、最終化の前に追加された条件節となっています。それから、重要な不確実性が認められる場合、この場合は、前のスライドの内容に加えて、経営者の評価を監査人がどう評価したのかの説明を記載するということが追加されております。

次のスライドお願いします。この後からISA240、財務諸表監査における不正のほうの改訂を説明いたします。本日は特に重要な改訂ポイントである不正または不正の疑いが識別された場合の要求事項と、不正に関連する監査上の主要な検討事項について以降で説明させていただきます。

次のスライドお願いします。まず、不正または不正の疑いが識別された場合の要求事項について説明します。現行のISA240に対して不正または不正の疑いが識別された場合の監査人の対応が不明瞭だというような指摘が多くありました。そこで、改訂版のISA240では、要求事項に「不正又は不正の疑い」という新たなセクションが設けられまして、不正または不正の疑いが識別された場合の要求事項が記載されています。

具体的には、まず最初のステップとして、第55項ですが、不正または不正の疑いが識別された場合、監査業務への影響を判断するため、それについて理解をするということが求められます。これは不正または不正の疑いが識別された場合には必ず実施することが求められるものです。その上で、こちらと、あと次のスライドで記載しているんですが、理解した内容に応じまして、その後の追加手続等の判断や虚偽表示が識別された場合の対応が規定されていくというような流れとなっております。

1つ飛ばしていただいて、最後の11ページに行っていただけますでしょうか。最後に、不正に関連する監査上の主要な検討事項について説明いたします。現行の監査報告書に対して、不正に関連する監査人の責任や手続について監査報告書における記載が十分ではないという指摘がありました。そこで、改訂版のISA240では、不正に関連して監査上の主要な検討事項の枠組みが強化されております。

こちらのスライドの左側の逆三角形の図は、監査人が監査上の主要な検討事項、KAMを絞り込むプロセスを図示したものになっています。監査人はKAMの決定の際に、まず、監査の過程でガバナンスに責任を有する者に対してコミュニケーションを行った事項の中から監査上特に注意を払った事項を絞り込むことが求められています。改訂版のISA240では、その際に不正に関する事項については、右側の最初の箇条書の3つの矢じりのところに記載した事項を考慮して、監査上特に注意を払った事項を絞り込むということが求められています。その中から、当年度の財務諸表監査において特に重要であると判断された事項が不正に関するKAMとして決定されていくという流れです。

それから、最後の箇条書の部分ですけれども、不正に関連するKAMは、監査報告書の監査上の主要な検討事項区分において、不正に関連する事項であるということが明確に示される適切な小見出しを付して記載するということが求められております。

私からの説明は以上となります。どうもありがとうございました。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。本部会におきまして御審議いただきたい内容が、この2本の国際監査基準の改訂を踏まえてということでございますので、ただいまその改訂の背景を踏まえてポイントについて御紹介いただきました。

それでは引き続きまして事務局のほうから、開示業務室長の反町さんのほうから、今度は本部会での基準改訂に向けて、事務局として御用意させていただいた資料について説明をさせていただきます。では、よろしくお願いいたします。

【反町開示業務室長】

事務局でございます。よろしくお願いいたします。

まず目次ですが、最初にISA570、次にISA240について説明させていただきます。

資料3ページを御覧ください。先ほど甲斐様から御説明があったとおりですので詳細は割愛いたしますが、ISA570が改訂されて、継続企業の前提に関する評価期間の起算日の見直し、併せて監査報告書における記載の見直しが行われまして、我が国における対応を検討する必要があるということでございます。

続きまして、資料4ページを御覧ください。こちらは改訂後の監査報告書の記載イメージになります。継続企業の前提に関する経営者の評価を監査人がどのように検討したかなどについて追加で記載することになります。こちらは継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められた場合のイメージを記載したスライドですが、重要な不確実性が認められない場合においても記載が求められることになるということでございます。

続いて、5ページを御覧ください。監査基準の改訂の方向性についてです。まず、継続企業の前提に関する評価期間の起算日については、現行の監査基準では、平成14年の「監査基準の改訂に関する意見書」において、継続企業の評価期間は合理的な期間、「少なくとも決算日から1年間」と明記されております。このため、改訂の方向性でございますが、改訂された国際基準を踏まえまして、「少なくとも財務諸表の承認日から1年間」に修正していくことが考えられます。また、その際は、この後紙谷委員から御説明があると思いますが、現在開発されている会計基準との整合性等を踏まえる必要があると考えられます。

続いて、6ページを御覧ください。監査報告書の記載についてです。現在の監査基準では、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合、継続企業の前提に関する事項についての記載が求められております。改訂の方向性でございますが、改訂国際基準では、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められない場合においても、監査報告書に継続企業の前提に関する記載をすることが求められており、また、経営者が重要な不確実性がないとの重要な判断をしているような場合に、監査人が経営者の評価をどのように検討したか等について記載することが求められていることから、資料6ページの青字の部分を削除することが考えられるのではないかと思います。

続いて、資料8ページを御覧ください。ISA240「不正」の改訂についてでございます。こちらも改訂内容につきましては、甲斐様から御説明があったとおりなので詳細は割愛いたしますが、不正または不正の疑いへの対応に関する規定が新設されております。また、監査報告書における不正に関するKAMの要求事項が追加されまして、不正のKAMを記載する場合には、不正に関することを明確に記述した見出しを付して記載することが求められております。

続いて、資料9ページです。我が国におきましては、2013年に監査基準を明確化した独立の基準として不正リスク対応基準が策定されました。不正リスクに対応するために監査人が行うべき監査手続を一括して整理したものでして、監査の各段階における不正リスクに対応した監査手続等が明確化されているものです。具体的には、不正リスクの要因を考慮した監査計画の策定、そして不正リスクに対応した監査業務の実施など段階に応じた手続が規定されております。資料中頃でございますが、不正による重要な虚偽記載を示唆する状況に該当した場合には、経営者に説明を求めるとともに、追加的な監査手続を実施するとされております。そして、経営者の説明に合理性がないと判断した場合には、不正による重要な虚偽の表示の疑義があるものとして扱い、不正の態様に対応した監査手続の立案、監査計画の修正が求められております。

このように、改訂ISA240における不正または不正の疑いが識別された場合の要求事項と同じく、一定の場合には、より慎重な手続が求められているということから、事務局といたしましては、監査基準あるいはそれを明確化した不正リスク対応基準の改訂は不要と考えておりますが、日本公認会計士協会におかれまして実務の指針の改訂は御検討いただければと考えております。

続いて、資料10ページを御覧ください。監査上の主要な検討事項、いわゆるKAMは、監査人が監査の過程で監査役等と協議した事項の中から職業的専門家として特に重要であると判断した事項を絞り込んだ上で決定することとされております。そして、KAMであると決定した事項について、監査報告書に監査上の主要な検討事項の内容、特に重要な事項であると考え、監査上の主要な検討事項であると決定した理由、監査における監査人の対応を記載することとされております。

現在におきましても、不正に関するKAMを記載することは可能です。ですので、ISA240の改訂の対応として、監査基準自体の改訂は不要であると考えておりますが、この不正に関するKAMを記載した場合に、それが不正に関することであることが分かるように明確にする小見出しを付すと、こういったことは明瞭性の観点で有用なことでございますので、こちらも公認会計士協会の実務の指針において対応いただくことが適当であると事務局としては考えているところでございます。

最後に、資料14ページを御覧ください。御議論いただきたい事項でございます。継続企業の前提に関しては、監査報告書の記載内容を充実化することについてどう考えるか。また、継続企業の前提に係る評価期間を決算日から財務諸表の承認日に見直すことについてどう考えるか。上記のほか留意すべき点があるか。不正に関しましては、ISA240の改訂を踏まえた監査基準、不正リスク対応基準の改訂は行わないこととした場合、留意すべき点があるか、こうした点につきまして御議論いただければと存じます。

事務局からの御報告は以上になります。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。私、冒頭ちょっと御案内を失念いたしまして、途中、井上局長が所用により退出させていただくということでございますので、よろしくお願い申し上げます。

それでは続きまして、紙谷先生から、企業会計基準委員会における継続企業に関する会計基準の検討状況について御説明をいただきたいと思います。では、先生、よろしくお願いいたします。

【紙谷委員】

ありがとうございます。紙谷でございます。本日はお時間いただきまして、大変ありがとうございます。今からはASBJの副委員長の立場として、継続企業に関する会計基準の開発状況について御説明させていただきたいと思います。

1枚おめくりいただきまして、継続企業につきましては、昔は国際的に監査基準で定められているということもありましたけれども、現状ではIFRSにおきましても、米国におきましても、会計基準として定めが設けられている状況と認識しております。そのような状況におきまして、ASBJは、2023年から日本公認会計士協会が公表した実務指針のうち会計に関する部分を移管するというプロジェクト、移管プロジェクトと呼んでおりますけれども、こちらを進めておりまして、その一環として継続企業に関する会計基準の開発を進めているところでございます。

開発におきましては、監査保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」を主な対象として移管の検討を進めております。また、開発におきましては、会計基準または適用指針におきまして、評価に関する定めと開示に関する定めを設ける方向で進めております。さらに、監査基準における継続企業の評価期間の開始日の変更について会計基準に反映するかどうか、こちらも含めて検討を行っているところでございます。

1枚おめくりいただきまして、この評価期間の開始日に関しましては、本年3月26日に開催されました第573回企業会計基準委員会におきまして審議を行いました。そこでは、仮に我が国の監査基準が国際監査基準と同様に改訂される場合には、継続企業の評価期間の開始日について、こちらのスライドに記載しております、こちらは後発事象に関する会計基準で用いた用語なんですけれども、それと整合的な用語を用いることをASBJ事務局から提案させていただきました。審議におきましては、仮に我が国の監査基準が国際監査基準と同様に改正される場合には、会計基準において整合性を図るように対応すると、そういった方向性について異論は聞かれなかったというところでございます。ただし、具体的な文言や表現をどうするかについてもう少し議論したほうがいいという意見が出ておりますし、あと後発事象との関係について整理する必要があるといった意見も聞かれておりますので、今後は、当監査部会における議論も踏まえて引き続き検討を行っていくこととしているところでございます。

私からの説明は以上でございます。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。それでは、これまでの御説明も踏まえまして、今後議論すべき論点につきまして、今回この2か所の改訂に関しては初めての会合でもございますので、ぜひ幅広い観点から御質問、御意見等を頂戴できれば幸いでございます。限られた時間ではございますが、3分以内で御意見等を頂戴できれば幸いです。

なお、本日の会議では経過時間をお知らせするため、御発言から3分が経過したタイミングで事務局からメモを差し入れさせていただきます。大変失礼かと思いますけれども、コンパクトに御意見等をまとめて御発言いただければ幸いでございます。加えまして、御発言の順番につきましては若干前後する可能性もございますので、あらかじめ御了解いただければと思います。

なお、本日御欠席の青山臨時委員から意見書の提出がございましたので、まず事務局から、青山臨時委員の御意見についての御紹介をお願いしたいと思います。

【反町開示業務室長】

青山臨時委員の意見を御紹介させていただきます。

所用のため、企業会計審議会を欠席いたしますので、以下のとおり、書面にて意見を提出させていただきます。

ISA570の改訂方向(評価期間を承認日起算とする点、監査報告書記載の充実)は、透明性向上と国際整合性の観点から意義が大きく、原則として採用すべきと考える。特に上場会社については早期適用を推奨する。一方で、実務負担・訴訟リスクを抑えるため、記載内容の水準設計(定型文の整備、開示範囲の明確化)や「承認日」の法的定義、移行期間の設定が不可欠だと考える。

ISA240について。可能であれば改訂内容を国内基準にも反映すべきだが、短期的に改訂を行わない場合には、代替として包括的な実務ガイダンス、KAM対応基準、研修・品質管理強化を迅速に実施することが重要であると考える。

具体的実務措置(優先順位)。1.「財務諸表の承認日」の定義を関係省庁・会計基準委員会と協議して明確化する。2.上場会社向けに、まず監査報告書記載要領(文例、記載水準)を作成・公表する。3.ISA240の主要点を国内ガイダンスに取り込み、監査法人に対する研修と実務チェックリストを速やかに配布する。4.移行期間を設定し、モニタリングを行う。

以上でございます。

【堀江部会長】

それでは、委員の先生方から、御質問、それから御意見を頂戴したいと思います。オンラインで御参加の先生におかれましては、チャット等でお知らせいただければ、私のほうで指名させていただきます。それでは、どのような順番でも結構でございますので、御質問、御意見等があればお願いいたします。

弥永先生、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【弥永委員】

ありがとうございます。事務局の御説明の方向には私は基本的に賛成なのですけれど、2点ほど発言させていただきたいと思います。

事務局の出してくださった説明資料の5ページに示されている、財務諸表の承認日から1年と明記するというこの提案は結構だと思うのです。けれども、一方で会計基準との整合性を踏まえることが必要と御指摘されていて、紙谷臨時委員のほうからは逆に、この3ページのところで、会計基準のほうが言わば監査基準と整合性を図るように対応してくださるように見えるのです。そうすると、どっちがどっちに寄せてくれるのかなというのが少し気にはなるところでございました。その点について、今後考えていただいたらいいのではないかと思いました。

もちろん、ASBJの事務局の提案は、後発事象の会計基準と整合的なので、そして実務的にも分かるのです。けれども、やはり確認日がどうも承認日とは違うようなイメージがあるので、その辺りがちょっと気になるというのが第1点でございます。

第2点は、ここでこのようなお願いをしてよいのか分かりませんけれども、ASBJで会計基準・適用指針において開示を検討してくださっていることとの関連です。いわゆる二重責任の原則というものが監査においてはあると従来言われてまいりましたので、財務諸表における開示と二重責任の原則との整合性確保について、監査部会において、あるいは金融庁とASBJとの間でお話しいただけるといいのではないかと思った次第です。

以上です。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。ただいま2つ御質問、御意見をいただきましたので、これ、どうしましょうか。まず、事務局サイドと、それから紙谷先生からもちょっとコメントをいただくことできますか。事務局のほうから、1つ目から行きましょうか。

【反町開示業務室長】

ASBJとの整合性を踏まえてというところなんですけれども、密にコミュニケーションを取りながら、状況を見ながら適切に検討していきたいと考えているところでございます。

【堀江部会長】

紙谷先生、お願いできますか。

【紙谷委員】

ありがとうございます。監査基準のほうは国際監査基準を見ながらコンバージェンスの観点で検討を進められる一方、我々の会計基準のほうは、IFRSであったり、米国会計基準等を参照しながら、国際的な会計基準との整合性の中で検討を進めてまいりますので、その観点では、ぴったり一致というよりは、一定程度の整合性を図っていくという形になろうかと思っております。その辺り、大きく乖離しないようにコミュニケーションを取らせていただきながら進められたらと考えているところでございます。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。弥永先生、1点目よろしゅうございますか。

【弥永委員】

ありがとうございます。ないものねだりで申し訳ない。

【堀江部会長】

いえ、とんでもございません。

では、2点目、これは事務局のほうからでしょうか。その後また、紙谷先生にお聞きします。

【反町開示業務室長】

事務局としては、二重責任の原則を踏まえた検討とのご指摘につきましても考えていきたいと考えております。

【堀江部会長】

ということでございますので、紙谷先生、何かあれば、お願いします。

【紙谷委員】

ありがとうございます。会計基準は、基本的に企業がどのように計算書を作るかという観点でございますので、監査の観点で今まで「監査人は」という主語だったかもしれませんが、今回は開発する会計基準につきまして、「企業は」という主語の中でどのように評価するのか、どのように開示するのかという定めを設けることになりますので、二重責任の観点ではより明確になるのではないかと考えております。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。弥永先生、今の2つ目もよろしゅうございましょうか。

【弥永委員】

ありがとうございます。

【堀江部会長】

それでは、町田先生、手が挙がっておりますので、どうぞ御発言ください。

【町田委員】

ありがとうございます。

今、紙谷委員が、監査基準は国際監査基準との整合性をとるべきと言われ、ASBJではIFRSやIASとの整合性をとると言われましたが、であれば、ASBJにおいては、IASの1号との整合性を、この継続企業の問題について取るべきだと考えます。

何を言っているかというと、IASの1号で、経営者にゴーイングコンサーンの評価を求めているということです。監査基準では、今ご説明があったように、監査人が経営者の評価をどのように検討したかが問われるんですけれども、会計基準が経営者の評価を求めていないので、一応監査人が聞き取って、監査人が主導でやっていくというのが日本の枠組みになっています。

継続企業の前提、ゴーイングコンサーンの問題については、2002年に基準が導入され、2009年に改訂がされました。大きな改訂はこれぐらいです。四半期とかいろいろありましたけれども、大きな改訂はこの2回です。この2回とも審議の過程では、まずはIAS1号を受け入れるべきなんじゃないかという議論はあったんですが、それは経営者に対して要求が厳しいというような話もあって、あるいはアメリカはやってないということがあって、日本はアメリカの基準を模倣して2002年に入れたのだからアメリカが入れていないのであればわざわざ日本が入れる必要はないという考えもあったんですが、今や状況は変わりました。

2014年にアメリカは大幅に国際会計基準に歩み寄って、これは2008年の世界金融危機があったからだと思いますが、大幅に歩み寄ってASU2014-15が公表されました。これによって、日本以外の主要国は、全て、まず経営者が継続企業の前提を評価するという基準を持つことになったんです。ASBJが、先ほどおっしゃったように国際基準のIFRSやIASとのコンバージェンスを考えていくとおっしゃるのであれば、それこそまずはIAS1号をやるべきだと思います。

そして、この場は監査部会ですけれども、企業会計審議会の中に含まれる部会なのですから、ASBJに対して、最終的には総会として監査基準の改訂に関する意見書が発出されるのですから、その前文のところで、ASBJにおいて所要の対応を取るようにと言っていただいて、日本も、ヨーロッパが適用している国際会計基準、アメリカのFASBのASUに相応するような継続企業の前提に関する会計基準の枠組みを持つべきでしょう。

監査人が経営者の評価をどのように検討したかと事務局資料の3ページにありますけれども、そもそもの経営者による評価を基準で求めていないのは、とてもユニークな、ガラパゴスな状態なので、そのまま監査基準の改訂の話を進めるのはおかしいんじゃないかと思います。この1点だけ最初に発言させていただきたいと思います。後でちょっと不正のことも発言させていただきたいと思います。

【堀江部会長】

了解いたしました。ただいま町田先生から、今までこの監査部会、特に監査基準では、日本公認会計士協会に対して細かいところを決めてくださいという委任事項が入ったんですけれども、今度ASBJに対することもあり得ますので、紙谷先生もし何かあれば一言だけ、今の点についてお願いします。

【紙谷委員】

ありがとうございます。まず、先ほどの私の資料の2ページ目のところで若干説明を割愛したところなんですけれども、定めについて、74号はどちらかというと開示の基準といったテイストが強いと思うんですけれども、今回我々が開発を進めているところでは、この2ページにありますとおり評価と開示両方を含んだ形で会計基準を開発することを考えております。その評価につきましては、現行の監査基準報告書570にある判断基準、これはIAS1号の判断基準と同様の記載が一部あるのですが、そこについて取り込むという方向で議論を進めているところでございますので、町田先生御指摘いただいた方向で今議論していると御理解いただければと思います。

【堀江部会長】

ありがとうございました。かなり本質的な問題でもございますので、よろしくお願いいたします。

それでは、オンラインから御参加の林田先生、御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【林田委員】

ありがとうございます。よろしくお願いします。私は手短に、質問とコメントを1つずつという感じです。

まず、継続企業のほうに関して、これは全体として方針に違和感がないというか、国際基準と整合させるということであり、構わないと思います。実質的な評価の期間というものをしっかり持とうという趣旨には賛同します。ただ、あまり御説明がなかったんですけれども、これを変えることによって実務的な影響があるのか、ないのかというところをちょっと教えていただければと思います。実務というのは、企業側もそうですし、監査人、監査法人の実務等に何か影響があるのかないのかというところを教えていただければありがたいと思います。

コメントは、不正のほうなんですけれども、結論から言えば、不正リスク対応基準であり、さらにKAMの記載があり、手当てがされているので、監査基準や不正リスク対応基準の改訂の必要はないという事務局の方針で私はいいのかなと思っております。

ただ、かつて不正リスク対応基準なりKAMなりの議論に当時監査部会の委員として加わった者として恥ずかしいんですけれども、こうしたものがどのように運用されて、会計不正発見などにどう貢献してきたのかというところについて実はあんまり私は情報を持っていません。自分の努力不足を棚に上げて申し上げれば、例えば今般話題になっているニデックでしたか、長年にわたる会計不正がいろいろ指摘されておりますけれども、不正リスク対応基準に沿ってこの当該企業に対してどのような監査が行われていたのかとか、あるいはKAMにはどんな記載がされていたのかといったあたり、予兆を把握していたのかどうかといったあたりについても、実例に即した状況を知りたい。直近起きたことで教えてくれと言っても無理なことは分かりますので、金融当局としても、制度をつくっておしまいというのではなくて、それがどのように運用され、どのように活用されているのかというあたりについてフォローアップをして、情報発信あるいは啓蒙と言ったらいいんですかね、そうしたものに努めてほしいという、私からの要望です。

以上です。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。ただいま、御質問が1点、それからコメントが1点ということでございますので、御質問につきまして、ゴーイングコンサーン規定改訂についての実務への影響について、まず事務局から概括的なところを御説明いただいて、必要に応じて、監査する側、それから企業サイドからもし御意見等があれば頂戴したいと思います。

【反町開示業務室長】

御質問ありがとうございます。評価期間の起算日を見直すことに伴いまして、評価期間自体は1年間ではございますが、例えば3月から6月の3か月間の状況も踏まえるということで、実務的には評価期間がより長くなるということが考えられると思います。ただ、この点について、実務面での影響は限定的ではないかと考えておりますが、混乱がないように、関係機関と連携の上で進めていくことが重要と思っております。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。もし会計士の先生か、あるいは企業サイドから、実務への影響というのは、監査基準は実務に落とされて初めて意味がありますので、もし御意見、御発言等があれば頂戴したいんですけれども、いかがでございますか。

金子先生、どうぞ御発言ください。

【金子委員】

御指名ありがとうございます。継続企業の前提を判断するときに、重要な不確実性があるかないかということの影響は大変大きいわけですけれども、これは企業の実態に即して結論づけるという、まさに実態をどう見るかということですので、非常に判断が難しいという面があります。

したがって、経営者の評価を監査人がどういうふうに検討して結論づけたかを開示するということは非常に意味のあることと考えます。私の周りで見聞きしたことから申し上げますと、注記を付すタイミングともに、注記を外すタイミングもなかなか判断が難しく、会社はなるべく早く注記を外してほしい、監査人のほうはもっと慎重に判断すべきと考えるような状況が起こりえます。そうしたときに、当初、監査人が経営者の評価をどのように検討して重要な不確実性があると判断したかが記載されていると、こうしたことが本当に解消されたのかが判断しやすくなりますので、両者の納得感を高めることにもつながり得ると考えます。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。企業サイドから何かございますか。

小林先生、どうぞ。

【小林委員】

小林です。よろしくお願いします。今御発言いただいたことに趣旨としては全く同意でございます。会社側として1点気にしておりますのは、今回、先ほど町田先生からもコメントありましたように、今まで経営者側に明確に継続企業の前提の評価を強く求めてこなかったという事情があり、今回初めてASBJのほうでそれを反映するのを見直すというところで、もちろん暗示的には経営者は必ず継続企業の前提を確認しているというところがございますが、今回新たに入るところで、適切な経営者側の実施、あと監査側の監査プロセスというところの過度な負担とならないような、充実した実務ガイダンスが出ることを期待しております。

以上でございます。

【堀江部会長】

ありがとうございました。では、お待たせいたしました。小倉先生、どうぞ御発言ください。

【小倉委員】

小倉です。継続企業のほうの基準については、評価期間を決算日から財務諸表の承認日に見直すということは、国際基準との整合性もありますし、監査の信頼性確保という観点からも必要なことだと考えております。ただ、その場合、公表承認日については、まさに今、法制審議会の会社法制部会で議論されているとおり、日本は事業報告と有価証券報告書の二元的な開示が行われていますので、開示の一本化、監査の一元化ということを進めていかないと、2回評価をしなければいけなくなるのではないかというところがちょっと懸念があります。それは意見です。

その関係で、紙谷さんが御説明していただいたスライドの3ページのところに、継続企業の前提の評価期間について、財務諸表の公表承認日というところと、会社法の場合は確認日ということが書いてありまして、確認日については脚注がしてあるんですが、この脚注を読んでも会社法のほうは一体いつなのかが少し分かりづらいので、これは一体いつなんでしょうかというのが質問でございます。

もう1点は、不正、ISA240について、この改訂を踏まえて監査基準や不正リスク対応基準の改訂を行わないというところは同意いたしますが、240については、会計士協会のほうで監査基準報告書の改訂はしなければいけないとは理解をしております。570もそうなんですけれども、監査人の実務では非常に重要なテーマですし、影響が非常に大きいと思います。

我々、先ほども御意見ありましたが、不正による重要な虚偽記載の看過というのは監査の信頼性における最大のリスクと考えていますので、不正リスク対応というのは非常に注意を払って監査業務を実施するテーマです。そういったところでISA240を日本に取り入れるというのは実務への影響は非常に大きいので、一体これをいつから改訂するのかとかその辺りについては本当はこういった場で御議論があってもいいのかなと思ったところです。継続企業も同様です。

以上です。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。紙谷先生、度々振って申し訳ないのですが、先ほどの会社法上の確認日に関して御質問をいただきましたので、簡単にお答えいただけますか。

【紙谷委員】

ありがとうございます。後発事象の会計基準を開発するときに、国際的な会計基準では「財務諸表の公表の承認日」という言葉が使われていまして、同じコンセプトを我が国の基準にも取り込むということで議論したんですけれども、金商法に関しては我が国の制度との関係でも割と導入しやすかったところなんですが、計算書類につきましては、会計監査人の監査報告書が出てから監査役会の監査があって、取締役会において経営者が承認するという流れの中で、財務諸表の公表の承認日というのは会社法ではどの日になるのかということについて議論したとき、取締役会の承認日になると解釈される可能性があるとすると順番が前後してしまうということなので、財務諸表の公表の承認日を会社法の計算書類のほうではちょっと使いにくいというところです。

あと、実務においては、今までは監査人の立場でしたので監査報告書の日という言い方をしていたんですけれども、主語が企業の場合は監査報告書の日というのは使えないため、企業を主語としたときの代替案として出てきたのが、経営者確認書の日になります。ここで、経営者確認書の日をどのように表現するかというところで、監査約款の言葉を用いながら書き下したところですので、これだけを見てもなかなか分かりにくいという御指摘はそのとおりです。

趣旨としては、会計監査人が設置されている会社におけるということを考えますと、経営者確認書が実務上必要になりますので、実際には経営者確認書日とほぼ同義と御理解いただけると大変ありがたいと思います。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。小倉先生、今の御説明でひとまず御勘弁いただいて。

あと、適用時期については、反町室長お願いできますでしょうか。

【反町開示業務室長】

適用時期につきましても、公認会計士協会をはじめとする関係者の皆様とよく議論かと思っておりますが、基本的には改訂ISA240に関する適用は2027年4月の事業年度からと考えております。引き続き、関係者の皆様の御意見を踏まえながら検討していきたいと思います。

【堀江部会長】

それに間に合うように部会をまとめていかないといけないので、よろしくお願いします。

では、井口先生、どうぞ御発言ください。

【井口委員】

御指名ありがとうございました。あと、資料の説明ありがとうございました。最後の御議論いただきたい事項に沿って意見を申し上げたく思います。

最初の継続企業の前提について賛同したく思います。継続性に重要な疑義等がある場合で、継続企業を前提に財務諸表が策定され、そして監査が下りている場合というのは、監査人の方が継続性を認めているということの推察はつくんですが、事務局資料の4ページの事例にありますように、継続企業の前提に関する検討内容と、その判断が示されることは、利用者から見ると、監査の信頼性がより増し、監査報告書の情報の有用性が高まることにもつながると思っております。また、重要な疑義がない場合でも、その適切性が示されることにも同様の効果があると考えております。

2つ目の不正に関してですが、ISA240の改訂につき、日本では既に資料に御記載あるように不正対応リスク対応基準があるということは認識いたしましたが、KAMを通じてこのリスクが開示されるということも重要と考えています。ただ、現状、減損リスクあるいは収益認識についてのKAMというのはよく見ますが、これは統計を取ってもそうだと思うんですが、一方、内部統制あるいは経営者の統制とか、そういったことに関するKAMは非常に少なく、見ることはほとんどないと思っております。

最近も、いくつかの不正がありましたが、多くの場合、企業不正は、内部監査部門の機能不全、内部統制の不備あるいは経営者の意図的な関与ということが原因になっているケースが調査報告書から見ると明らかに多いと考えております。経営者が隠蔽するケースも多くて、会計士さんが全てをカバーするということも難しいのかもしれませんが、こういったことを考えると、ルール改正に加えて、金融庁様あるいは公認会計士協会様の御指導で、このような不正に関するKAMが開示されるように働きかけていただくことも、これは林田委員がおっしゃっていたことと近いかもしれませんが、そういうことがあって初めて成立すると思っていますし、そういったことは資本市場にとっても非常に大きなプラスになると考えております。

以上でございます。ありがとうございます。

【堀江部会長】

大変貴重なコメント、どうもありがとうございました。それでは、進めさせていただいてよろしいでしょうか。事務局から何かあればですけれども、よろしいですか。

では、藤本先生、どうぞ御発言ください。

【藤本委員】

御指名ありがとうございます。藤本です。資料を御説明いただきまして、大変ありがとうございました。全般的には、国際基準との整合性をとるということですので、大くくりでは賛同しております。ただ一方で、実務の混乱が生じないようにという観点で幾つかコメントさせていただきたいと思います。また、会計士協会のほうで検討を進めている状況についても御報告したいと思います。

まず、継続企業の前提に関する1点目ですけれども、監査報告書の記載内容を充実化するということでございます。事務局説明資料の3ページ目に掲げている方向で、会計士協会の説明でも既に御紹介ございましたけれども、監基報の570「継続企業」の改正について、公開草案を昨年12月に公表してございます。

この3ページ目の中で、1つ補足というか留意をしなければいけないという点がございます。この右下のボックスの中で、重要な疑義あり・重要な不確実性なしのところで、上場企業の場合には開示、監査報告書上記載をするということになりますけれども、この中に1つ目のポツで「財務諸表に関連する注記がされている場合には、当該注記への参照」というふうに書かれております。財務諸表の注記がある場合ということですが、現行の定めにおいてはこの部分は財務諸表の注記は求められておらず、通常のケースですと、有報の事業等リスクに記載することが多いのではないかと認識してございます。

そうなってきますと、監査報告書に記載するという前提においては、やはり企業さんのほうで適切な情報開示が行われているということが前提になると思っておりますので、この570の改正に当たっては、開示側の手当てが必要ではないかということを改めて検討いただく必要があるのではないかと考えております。具体的には、事業等のリスクの開示においては、開示府令の内容が適切な内容になっているのか、あるいはもちろん会計基準で手当てするという方向性も考えられると思いますので、その点について御検討いただきたいと考えております。

それから、先ほど来、出ております、2点目の評価期間を決算日から財務諸表承認日に見直すことについても賛同しておりますし、こちらも先ほどの公開草案の中では、会計士協会のほうで出している監基報の公開草案でも改訂をする予定でございます。ここでも5ページ目で記していただいているように、「財務諸表の承認日」というのと、先ほど紙谷委員からも御説明があったように、会計基準では「財務諸表の公表の承認日」という言い方をされています。これは一応類似の概念ということで同じ日を指しているとは思っておるんですが、少し言葉が違ったときに実務的な混乱がないかどうかという意味で、改めてこれは同じ日を指していることについては確認をさせていただきたいと思っております。

それから最後に、不正に関しましては、先ほど来お話が出ていますとおり、既に不正リスク対応基準も制定されておりますし、特に今回、監査基準や不正リスク対応基準そのものを改訂する必要はないと考えております。また、会計士協会では、このISA240の改訂を踏まえまして、現在、監基報の改正も予定しておりまして、先ほど改正の主な改訂内容として触れていただきました、不正または不正の疑いが識別された場合の要求事項の新設、それから、KAMの要求事項の追加についても取り組む予定でございます。

私からは以上でございます。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。これから魚住先生にまず御発言いただいて、その後、金子先生、それから、オンラインで御参加の後藤先生、最後に町田先生、この順番で進めていきたいと思います。

それでは、魚住先生、よろしくお願いいたします。

【魚住委員】

ありがとうございます。経団連の魚住です。

今、皆様御議論いただいておりますとおりだとは思っておりますので、見直しの方向性自体は賛同させていただきます。一方で、リスクの多様化や激甚化の中での市場からのニーズは理解しつつも、実務の企業側の立場でいきますと、やはり開示事項のサステナビリティの開示情報の追加や、有報の早期開示という要請へ応えていく中で、新たに実務負荷が高まっていくことが懸念されますので、そういったところへの御配慮をぜひお願いしたいと思っております。

例えば、周知徹底の努力は欠かせないのかなと思っております。先ほどの藤本委員の御指摘のように、同じことを指していながら違う言葉が使われるということは大いに混乱を招く部分もあろうかと思いますので、そういったところを含めて実務が円滑に回るようにしていただきたいということと、作成者だけでなく監査人側あるいは利用者側との期待と実務のギャップがあまり大きく出ないように、そういったことへの関係者の皆様への御配慮、御協力をお願いしたいと考えております。

ISA240につきましては、お示しをいただいておりますような方向での御対応でよろしいのではないかと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

【堀江部会長】

大変コンパクトにおまとめいただいて、ありがとうございます。

それでは、金子先生、御発言をお願いいたします。

【金子委員】

ありがとうございます。継続企業の前提につきましては、基本的に事務局案に賛成です。その上で、財務諸表の承認日を分かりやすく定めていくことが重要と考えます。

今、魚住さんから開示の話がありましたが、継続企業であるか否かは、財務諸表作成の前提となる非常に重要な評価ですので、企業の側でしっかりと評価して説明していくことが重要であると考えます。

それから、不正についてですけれども、先ほど林田先生から最近大型の不正が起きており、監査基準の有効性などのフォローアップも必要ではないかというお話がありました。監査において会計不正を発見するのは非常に大きな役割であるということは重々承知しております。ただ、それらの会社の調査報告書を読みますと、原因として、実現不可能な目標設定、その実現への強いプレッシャー、子会社に対する牽制や監査機能の弱さ、こういうことが指摘されています。まずは大前提として企業の側で企業風土を改善する、そしてガバナンスをしっかり作っていくことが重要であると考えます。

これは監査部会の範疇を超えてしまうかもしれませんけれども、これまでの日本は、どちらかというと性善説に立って内部統制などが構築されていたのではないかという気がします。不正は発生することを前提に、より精緻な企業の側でのリスク認識、そしてさらにしっかりした内部統制を整備することを企業に促すことができないだろうかと考えます。さらには、経営者の責任を重くするということも必要ではないかと考えております。

以上です。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。それでは、オンラインの後藤先生、お願いいたします。

【後藤委員】

まず、基本的には事務局の対応方針に賛同いたします。ISA570関係も、国際基準との整合性あるいは透明性の向上という観点から、この充実化に賛同するというところでございます。

先ほどから御意見がありますけれども、財務諸表の承認日の定義等、これについては実務に混乱が生じないように明確に定めるということが必要かと思います。

それから、ISA240のほうですけれども、これにつきましても、不正リスク対応基準でかなり広く詳細に規定がございまして、これは改めて何か新設を行う必要性には乏しいのではないかと思います。

あと、先ほど、KAMに関して不正リスク関係が取り上げられることがあまりないのではないかというような御指摘もあろうかと思いますけれども、KAMに関しましては、監査の過程で監査役等と協議した事項の中から決定するとされているわけで、監査役とのコミュニケーションが非常に大事になるところですけれども、これにつきましても、不正リスク対応基準の中で既に、監査人は監査役等に不正リスクに関連して把握している事実を質問しなければならないとか、監査人は監査の各段階において不正リスクの内容や程度に応じ適切に監査役等と協議するなど監査役等との連携を図らなければならないと、そういった規定もいろいろございまして、現状の規定できちんと運用ということになれば、当然KAMの中にも取り上げられていくということになろうかなと思いますので、特に改訂の必要性はないのではないかと考える次第です。

以上でございます。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。それでは、町田先生は2回目になりますので、もし、本日御参加の先生で御発言いただいていない先生、もしどうしてもということがあれば今お受けいたしますが、よろしゅうございますか、オンラインの先生方。ありがとうございます。

では、議事進行がちょっとうまくいきませんでしたので、5分程度の延長をお認めいただければと思います。それでは、町田先生、お待たせいたしました。よろしくお願いします。

【町田委員】

すいません、申し訳ありませんが、不正のことについて1点と、もう1つゴーイングコンサーンのことについてテクニカルなことを申し上げたいと思います。

不正に関しては、金融庁として、この監査部会で特段の対応を行わないというふうに述べられていて、皆さんそれで賛同している中で申し上げるのはなかなか難しいのかもしれないんですけれども、先ほど名前が挙がった会社も含めて、現在わが国では大小幾つかの会計不正の問題が起きていて、そして報道で知る限りですが、政府・与党においても不正の問題に対応する提言を取りまとめられるというようなことを伺っています。

2011年のオリンパスの会計不正のときには、実は、オリンパスの一部の経営者だけがやっていたような事例だったんだけれども、国際的に喧伝されたこともあったし、監査人は監査基準に準拠した監査を実施したというけれど、もう一度同じようなケースがあったときに、また「見つけられませんでした」とならないように、ということで不正リスク対応基準までたどり着いたんだと思うんですね。

そうしたことを前提に考えると、今の状況で、幾つも幾つも不正があったり、あるいはコロナの後だということもあるのかもしれませんけれども、不正リスク対応基準の後も監査人の処分が起きているときに、何も対応しないということでいいんだろうか、と。先ほど金子先生がおっしゃったように、経営者の責任を重くするような話に帰着するということも必要だと思うんですけれども、監査のほうで何も対応しなくて大丈夫なのか、と思うんです。

2013年に不正リスク対応基準をつくったときには、日本の基準はかなり先進的だったのかもしれません。だから、今回ISA240の改訂のときに、日本の基準やオーストラリアの基準が参照されたわけです。だけど、先進的な基準を持っているから、不正リスク対応基準を持っているからというだけでいいのか。その基準の下で、実際には何件も不正が起きて発見できていないわけですね。だとしたら、例えば適用方に何か不十分なところがあるんじゃないかといった見直しは最低限必要なんじゃないかと思っています。

もう1つ例を挙げると、例えば今回のISA240でいえば、115項のFというところに、findings監査人の発見事項をKAMに記載しようという話が出てきます。これは金融庁では2022年と23年に、私も参加しましたけれども、「KAMの特徴的な事例と記載のポイント」という資料を公表しています。そこでは、KAMにおいて監査人が発見した事項や監査人の判断を記載していく方向が望ましいという意見もあったわけですけれども、日本では、公認会計士協会をはじめとして、それに対して抑制的な実務対応が図られているという状況にあります。これを今回、不正の問題に関連して何らかの形で日本はこれに取り組むというふうな方針をとってもいいんじゃないかと私は思います。ISA240の規定ではやってもいいという形で実務に委ねる形になっていますけれども、そこをもう少し促進するような形をとってもいいのではないか。先ほど井口さんがおっしゃったように、監査人は弱い立場にいますから、何か基準とかで後押しをして実施を促進するということも、ときに必要なんじゃないかと私は思っています。

あともう1点、ゴーイングコンサーンについてちょっとテクニカルなことを申し上げます。ゴーイングコンサーンも、2009年の基準のときに、それまで日本の基準は、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況についても何でもかんでも注記・追記していたんですね。けれども、2009年改訂ではそれを少し絞り込んでいこうという話になりました。あのときは金融危機対応で、日本の非常に大きな企業において、財務制限条項の問題があって、アメリカではGC注記・追記がついていないのに、日本でGC注記・追記がついてしまうということで、急遽監査基準が改訂されて、GC注記・追記をつける範囲を絞り込んだんですね。けれども、そのときにアナリストの方々から意見があって、単に絞り込むだけでは開示が後退してしまうということで、今、有価証券報告書の「事業等のリスク」のところに「重要事象等」を開示するというのが開示のガイドラインで示されているわけです。

事務局資料の3ページのところに、「重要な不確実性なしと結論づける際に、経営者による重要な判断が行われている場合、そこで財務諸表に関連する注記がされている場合には・・・」とあるんですけれども、これは国際基準では「財務諸表に関連する注記がされている場合には」という仮定の世界なんですけれども、日本は違います。日本では、close-call、重要な不確実性まではいかないけれど、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況がある場合には必ず有価証券報告書の事業等のリスクのところに「重要事象等」として記載されているんです。そういった開示を前提にして我々は考えなくてはならないと思います。

国際基準では、同じような状況にあっても、注記されるか、されないかというのは経営者に任されているんですけれども、日本は2009年のときにそういう開示規定を入れた。今から見ればこれはとても先進的だったんですね。正直言えば、ゴーイングコンサーンに関しては、先ほどこの部会の最初に申し上げた会計基準のIAS1のことを除けば、経営者による評価を会計基準で要求しているかどうかという点を除けば、監査の規定としては、あるいはディスクロージャーの枠組みとしては、国際的に見ても充実した制度になっていると思うんです。そこの制度をベースに議論しなくて、ただ単に国際基準を翻訳して日本の公認会計士協会の実務指針に落とすだけでいいのかという問題はあると思うんですね。

ですから、丁寧な言い方をすると、日本では、有価証券報告書の事業等のリスクのところに重要事象等が開示されていますが、それを前提にした上で、国際基準において、監査人が経営者の評価をどのように検討したかの説明とか、注記への参照とされている部分をどう捉えるのかということが検討すべき課題だと思います。すいません、延長していただいて、ありがとうございました。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。この不正の問題について大変重い御意見をいただきましたので、こちらのほうで少し検討させていただきたいと思います。

それでは、髙田先生、松元先生、もし何か御発言があれば、今、お受けいたしますが、いかがでございますか。

【髙田委員】

神戸大学の髙田です。簡単に発言の機会ということで申し上げさせていただきたいのは、モニタリングについて御意見が幾つかあったと思います。それにつきましては、私のほうもこれまでも何度か、適用後レビューみたいなものをきちんとされたほうがいいのではないかというお話をさせていただいていたと思います。この点につきまして、これまでもKAMについては、金融庁で一定の開示状況を中心とした調査がなされていたと思います。今回のような意見も踏まえまして、開示だけではなくて、結果といいますか、KAMの開示によってどんなことが起こっていたのかということを、学術研究も踏まえるような形で関係者が集まりながら評価をするというような機会を設けるというようなことを御検討されてもよいのではないかと思いました。

以上、コメントになります。ありがとうございました。

【堀江部会長】

どうもありがとうございました。大変失礼いたしました。

松元先生もいかがでございますか。御発言等あれば、今、お受けいたしますが。よろしゅうございましょうか。

それでは、本日は様々な御意見をいただき、誠にありがとうございました。本日いただきました御意見を踏まえまして、次回以降の監査部会では、もう少し具体的な議論ができますように監査基準の改訂案をお示しさせていただいて、それに基づいて御意見、御質問等を伺ってまいりたいと考えております。

それでは最後に、次回の日程等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【反町開示業務室長】

今後の日程につきましては、皆様の御都合を踏まえた上で最終的に決定させていただきますので、御案内をお待ちいただければと思います。

【堀江部会長】

それでは、以上をもちまして、監査部会を終了させていただきます。時間延長してしまいましたことを深くおわび申し上げます。どうもありがとうございました。

以上

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