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- 企業会計審議会第57回監査部会議事録
企業会計審議会第57回監査部会議事録
- 日時:
令和8年10月2日(金曜)10時00分~12時00分
- 場所:
中央合同庁舎7号館 13階 共用第1特別会議室
- 議題:
- (1)開会
- (2)事務局説明
- (3)討議
- (4)閉会
- 出席者:
- 【委員】
- 堀江正之(会長)、井口譲二、引頭麻実(オンライン)、小倉加奈子、金子裕子、林隆敏(オンライン)、青山朝子、魚住康博、後藤敏文、小林純、白川もえぎ(オンライン)、髙田知実(オンライン)、林田晃雄(オンライン)、藤本貴子、松本祥尚(オンライン)、弥永真生
- 【金融庁】
- 井上企画市場局長、田部審議官、小長谷企業開示課長、中島総務課長、園田開示業務監理官、倉持国際会計調整室長
- 【法務省】
- 宇野民事局参事官(オンライン)
- 議事録
【堀江部会長】
おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより企業会計審議会の第57回監査部会を開催させていただきます。皆様、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございました。
本日の会議でございますけれども、企業会計審議会議事規則にのっとり、対面とオンライン会議を併用した開催とさせていただきます。
それではまず、会議の公開についてお諮りいたします。企業会計審議会議事規則にのっとり、監査部会の審議について公開することとしたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。御了解をいただきましたので、本日の会議の模様でございますけれども、ウェブ上でライブ中継させていただきます。議事録は、後日作成の上、金融庁ホームページにて公開させていただく予定でございますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、会議を始める前に、事務局から留意事項等をお願いいたします。
【園田開示業務監理官】
事務局の開示業務監理官、園田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
留意事項を御案内させていただく前に、恐縮ですけれども、記者の皆様におかれては、以降の撮影はお控えいただくようによろしくお願い申し上げます。
では、留意事項でございます。本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としております。オンラインで御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際には、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上で部会長から御指名をいただきます。また、御発言される際には、冒頭にお名前をお願いいたします。
また、対面での御参加の委員におかれましては、お名前のプレートを立てていただければ部会長から御指名をいただきます。御発言後は、お名前のプレートを元にお戻しいただくようお願いいたします。
なお、金融庁の人事異動を受けまして、私含めて事務局のメンバーも若干変更はございますけれども、こちらのほうは紹介を割愛させていただきます。
私からは以上でございます。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。
それでは、議事に移らせていただきます。本日は、事務局におきまして、前回の当部会での議論を踏まえ、監査基準の改訂等に係る公開草案を準備いたしましたので、まず事務局からその内容について説明いたします。その後、皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。
それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
【園田開示業務監理官】
事務局から説明をさせていただきます。資料が大きく2つございまして、一つが「監査基準の改訂について(公開草案)」とされているもの、ホームページ上で資料1として公表しております。もう一つが監査基準の改訂案の新旧対照表、ホームページ上では資料2として公表しているものでございます。
まず、資料1「監査基準の改訂について(公開草案)」について、御説明をさせていただきます。今回御議論いただきますのは、これまで御議論をいただきました継続企業の前提に関する国際監査基準の改訂を踏まえた対応、それから不正に関する国際監査基準の改訂を踏まえた国内での対応という大きく2点でございます。こちらの資料1は、これまで御議論いただいた点を踏まえて、過去の基準改訂の経緯や今回の主な改訂点とその考え方などをまとめたものでございます。
1点補足させていただきますと、通常は監査基準の改訂にかなりフォーカスした形でこういった案は出させていただいておりますけれども、これまでの議論におきましては、かなり監査基準の枠を超えるような形でいろいろ御意見をいただいておりまして、会計基準とか監査制度全般、もしくはコーポレートガバナンスといった幅広いところについても御意見をいただいていたかと思います。全ての御意見を必ずしも取り入れられているわけではないかと思いますけれども、極力、皆様にこれまで御議論いただいた内容を反映するような形でこちらの前文、「監査基準の改訂について(公開草案)」のほうは事務局で作成をさせていただいているものでございます。
では、中身の説明をさせていただきます。大きく、経緯と、主な改訂点とその考え方、それから実施時期等の3点に分かれてございます。
まず、一 経緯のところでございます。継続企業の前提に関しましては、これまで国際監査基準の改訂も踏まえて、平成14年の監査基準の改訂で日本に導入されたというものでございます。その後ですけれども、平成21年に日本の監査基準のほうを改訂しておりまして、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在すれば、直ちに継続企業の前提に関する注記を要するとともに、監査報告書上の追記情報の対象と理解される当時の規定を改め、これらの事象または状況に対する経営者の対応策等を勘案してもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合に、適切な注記がなされているかどうかを監査人が判断することとしたとなっております。
要は、端的に言いますと、開示につきまして、これまで継続企業の前提に関する注記がなされてきた事例の一部について注記に至らない場合が生じることとなったということでございまして、こちらのほうの開示が少し少なくなるんじゃないかという懸念に対応するために、注記を行わない場合であっても有価証券報告書の事業等のリスクにおいて情報提供を行うという形で対応させていただいたというのが過去の経緯でございます。
もちろんでございますけれども、こういった重要事象等についての分析、検討内容、それから当該重要事象等を解消し、または改善するための対応策についても、具体的かつ分かりやすく記載されるということがこれまで求められているというものでございます。
その上で、国際的な動向でございます。ここ近年、世界各地で企業の破綻・不祥事等を背景として継続企業の前提に関する関心が高まっているところでございます。こういった状況から、国際監査基準のほうで継続企業の前提に関する基準が改訂されておりまして、継続企業の前提に係る重要な虚偽表示のリスクの識別と評価や、経営者による評価に対する監査人の検討手続の拡充、監査役等とのコミュニケーションの強化が図られるとともに、特に継続企業の前提の評価期間の見直しや監査の透明性向上に向けた監査報告書の記載事項の改正が行われているところでございます。
こうした国際監査基準の動向を踏まえて、今般、我が国においても、国際監査基準との整合性を確保しつつ、継続企業の前提についてより適切な対応を監査人に求めるとともに、継続企業の前提に関する説明及び情報提供の一層の充実を図ることが必要であると判断したというものでございます。ここまでが継続企業の前提でございます。
不正のほうでございますけれども、こちら、日本のほうでは既に、監査人の責任の明確化を強調する、それから重要な虚偽表示のリスクの識別と評価に係る監査手続の拡充、監査役等とのコミュニケーションの強化、こういったものは国際監査基準でも今般入りましたけれども、日本の不正リスク対応基準でもそちらの中核になるようなところは既に入っていたということでございます。
そういった経緯を踏まえまして、こちらの経緯のところでは、日本基準ではこういった国際監査基準で求められているものが既に入っているといったことを紹介させていただいた上で、近時、我が国においても不正会計事案が相次いだことを踏まえ、監査部会の審議においては、不正に関する監査の基準の適用状況等を改めて確認すべきでないかとの御意見や、財務諸表作成者である経営者の責任についても検討が必要ではないかとの御意見をいただいたというところも紹介をさせていただいたところでございます。
次に、二 主な改訂点とその考え方でございます。1 継続企業の前提については大きく2つございまして、1つ目が(1)継続企業の前提に関する監査手続でございます。これまでの我が国の状況としては、財務諸表等規則に従って継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が貸借対照表日において存在していて、当該事象または状況を解消し、または改善するための対応を講じてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合には、経営者は、当該事象または状況が存在する旨及びその内容、当該事象または状況を解消し、または改善するための対応策、それから当該重要な不確実性が認められる旨及びその理由を注記するということが求められてきたところでございます。
この点につきましては、日本の会計基準設定主体である企業会計基準委員会、ASBJでも会計基準の開発・検討が進められているところであり、いずれにしても経営者による継続企業の前提に関する評価及び開示についてASBJさんが御検討をされているところでありますけれども、継続企業の前提に関する評価期間については、期末日後少なくとも財務諸表の公表の承認日後1年を経過した日までとすることが検討されているというものでございます。
こうしたところを踏まえまして、我が国の監査実務のほうでも、経営者が行った評価及び対応策について監査人が検討すべき合理的な期間は少なくとも決算日から1年間とされているところでありますけれども、より将来の事象、それから状況を評価対象とすることで、監査済み財務諸表の意思決定有用性が高まるということに加えて、国際監査基準の改訂との整合性も踏まえて、少なくとも財務諸表の公表の承認日後1年間について評価を行うことを求めることとしたという形にしてございます。
なお、企業会計の基準によっては、この「財務諸表の公表の承認日」という用語が用いられていないということも想定されますので、財務諸表の公表の承認日について適用される企業会計の基準に定義がある場合にはその定義に従い、また、定義がない場合には監査人が適切に判断することが適当であるという形にしております。
継続企業の前提の2つ目が、(2)監査報告書における記載でございます。現行の我が国の監査基準では、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合には、継続企業の前提に関する事項が財務諸表に適切に記載されていることを確かめた上で、監査報告書に独立した区分を設けて継続企業に関する事項を記載するということが監査人に求められているところでございます。
こうした点につきまして、利用者に有用な情報を提供する、それから監査の透明性を向上させるという観点から、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合に、監査人が監査報告書に記載する現行の要件は変更しない。その一方で、国際監査基準の改訂も踏まえて、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められない場合についても、監査報告書に独立した区分を設けて継続企業の前提に関する事項を記載することとしたというものでございます。
端的に言いますと、これまでよりも記載するべき対象が増えるということでございまして、国際監査基準では、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる旨を監査報告書に記載する場合、または継続企業を前提として財務諸表を作成することは適切であり、重要な不確実性を識別しなかった旨を監査報告書に記載する場合において、経営者が重要な不確実性は認められないと結論づけるに当たり重要な判断を行っているときは、経営者の評価を監査人がどのように検討したか監査報告書に説明を記載するということが国際監査基準で求められておりまして、我が国においても同様の記載を求めることが適切と判断したというものでございます。
こちらにつきましては、経営者の評価を監査人がどのように検討したかについて、これをより意味のあるもの、有意義なものとするためには、財務諸表監査に固有の情報を記載するということが重要でありますので、こうした点につき、継続企業の前提に関する注記を参照して固有の情報を記載するということが期待されるというものでございます。
また、経営者が継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと結論づけるに当たり重要な判断を行っている場合についても、有価証券報告書の開示が求められておりますので、監査人は開示された情報その他の記載内容として通読し、検討しなければならないということで、端的に言いますと、幅広くいろいろと記載がなされているということですので、監査人として基本、全てに目を通してしっかり対応しなければいけないというところを書いているということでございます。
また、経営者のほうでございますけれども、経営者は企業に関する情報の開示に責任を有するということで、経営者につきましては、重要事象等や経営者の対応策について開示が求められる意義を十分に認識した上で、継続企業の前提に関する評価及び開示を行うことが重要であるとしております。また、監査人、監査役等、経営者といった各関係者において、改訂の趣旨を十分に理解した上で、監査人がどのように経営者の評価を検討したか利用者に適切に伝わるよう運用を図っていくことが重要である、ということで、まさに基準以外のところのもう少し運用的なところも含めてこちらのほうでもフォーカスして記載させていただいてございます。
長くなって恐縮です。次が2 不正対応のところでございます。(1)不正に関する監査手続でございますけれども、先ほど少し経緯のところで御説明しましたとおり、国際監査基準の改訂において不正または不正の疑いへの対応に関する規定が追加されるという形で改訂がなされているところでございます。一方、日本の不正リスク対応基準では、監査実施の過程において不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合には、不正による重要な虚偽の表示の疑義が存在するか否かを判断するために、適切な階層の経営者に質問して説明を求めるとともに、追加的な監査手続の実施を求めているというところが既に規定されております。
また、関連して入手した監査証拠に基づいて経営者の説明に合理性がないと判断した場合にも、当該状況を不正による重要な虚偽の表示の疑義として取り扱い、想定される不正の対応等に直接対応した監査手続を立案し監査計画を修正するとともに、修正した監査計画に従って監査手続を実施するということが求められております。端的に言いますと、こういった手続的なところは、既に日本の不正リスク対応基準でも改訂された国際監査基準と同様の対応が求められているということでございます。
また、監査上の主要な検討事項につきましても、これ自体は職業的専門家として特に重要であると判断した事項を監査報告書に記載するということで既に過去に導入されたものですけれども、監査の過程で監査役等と協議した事項の中から特に注意を払った事項を決定し、職業的専門家として特に重要であると判断した事項を絞り込んで決定するとなっております。こうした監査役との協議でも、不正リスク対応基準において、監査人は監査の各段階において不正による重要な虚偽表示のリスクの内容及び程度に応じ適切に監査役と協議するといった、こういうコミュニケーションといった要素も既に取り込まれております。
こうしたことを踏まえまして、当審議会では、日本の監査基準において、既に国際監査基準に先駆けて改訂された国際監査基準で新たに設けられた不正または不正の疑いが識別された場合の対応を取り入れていることから、監査基準の改訂は行わないこととした、としております。一方、こうした実務的なところにおきましては、今後、現行の監査基準の趣旨を踏まえて、実務の指針において対応することが適切でございますので、そのように判断した、という記載をつけてございます。
その上で、冒頭でも申し上げましたとおり、過去の議論におきまして、こういう基準の中身だけではなくて、より運用的な要素、それからこれに携わる関係者の心構え的なところをこれまで御議論いただいておりましたので、そういったところのエッセンスを次の(2)近時の不正会計事案を受けた監査の信頼性確保に向けて、のところで盛り込ませていただいてございます。
まず、不正に関しては、一義的には経営者が責任を負うということで、コーポレートガバナンスの在り方の検討も含めて幅広い観点からの取組が重要という形で記載をしてございます。
その後はファクトの紹介でございまして、これまでの監査部会での対応も含めまして、監査基準の改訂、それから内部統制報告制度の適用、監査法人のガバナンス・コードの策定、それから上場会社等の監査に関する登録制の導入といった対応を紹介してございます。また、昨年、新規上場に関連した不正会計事案が生じておりますので、それを踏まえまして、日本取引所グループ様、日本証券業協会様、それから日本公認会計士協会様のほうでも連携して対応策取りまとめておられるということも紹介する記載をしてございます。
その上で、監査人は、財務情報の信頼性の確保に関する社会の期待と関心を踏まえて監査の質の向上に向けたこうした様々な取組に基づいて対応することが求められる、不正対応について、監査人は上場会社等の監査のみならず全ての監査において、職業的専門家としての懐疑心の重要性を再認識しなければならない、とし、その上で、現行の監査基準等の趣旨を十分に理解し、適切に適用することで質の高い監査を提供するとともに、財務諸表等利用者に対して監査に関する説明及び情報提供を十分かつ適時適切に行うことにより、監査の信頼性の確保に向けてその職責を自律的に果たしていくことが求められる、という形で最後をまとめています。
また、最後、三 実施時期でございます。改訂監査基準は、令和10(2028)年3月決算から実施する。また、実務指針におきましては、日本会計士協会様のほうで関係者との協議の上、適切な手続の下で早急に作成されることが要請されるという形にしてございます。
また、資料2が実際の監査基準の改訂案の新旧対照表でございます。こちらは先ほど御説明したとおり、新たに監査報告書での継続企業の前提に関する記載が増えるということで、そこが分かるような形でしております。ただ、文章にするとちょっと読みづらいというところがありますので、(1)、(2)と場合分けをして、追加されるところがどこかというのがより分かる形で記載をしております。
具体的には、読み上げさせていただきますと、監査人は、継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であると判断した場合であって、(1)継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められないとき、又は(2)当該重要な不確実性は認められるが、継続企業の前提に関する事項が財務諸表に適切に記載されていると判断して無限定適正意見を表明するときのいずれにおいても、経営者の継続企業の前提に関する評価を検討した上で、継続企業の前提に関する事項について監査報告書に記載しなければならない、こういう改訂案とさせていただいております。
長くなって恐縮ですけれども、事務局からの説明は以上でございます。
【堀江部会長】
それでは、ただいまの事務局からの御説明、これを踏まえまして、今後議論すべき論点につきまして、幅広い観点から御質問、御意見等を頂戴できればと思います。限られた時間ではございますけれども、5分以内で御意見等をいただければ幸いでございます。
なお、本日の会議では、経過時間をお知らせするため、御発言から5分を経過したタイミングで、先生方のお手元に事務局よりメモを差し入れさせていただきますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
加えまして、御発言の順番につきましては、オンラインで御参加の委員の先生もおられますので、若干前後する可能性があるかと思います。この点もあらかじめ御了解いただければ幸いでございます。
なお、本日欠席の町田委員から意見書の提出がございましたので、まず、事務局から町田委員の御意見について御紹介をお願いしたいと思います。
【園田開示業務監理官】
ありがとうございます。再び事務局でございます。町田委員からの意見書につきまして、正確性を期するために読み上げさせていただきます。ホームページ上では資料3として公表されているものでございます。
所用のため、企業会計審議会第57回監査部会を欠席いたしますので、以下のとおり、書面にて意見を提出させていただきます。
第1に、継続企業の前提(GC)についてです。2002年及び2009年の監査基準改訂時には、米国には経営者にGCについての評価・注記を求める会計基準がありませんでした。しかし、FASB――注でございますけれども、こちらFASBというのはアメリカの会計基準設定主体でございます――FASBは2014年にASU2014-15「Presentation of Financial Statements-Going Concern(Subtopic205-40)」を公表し、ASC205-40-50-1において、経営者自身にGCに関する評価を求めるとともに、ASC205-40-50-12及び50-13において、その評価結果に応じた財務諸表注記を求めています。FASB自身も、この改訂以前の米国会計基準には、経営者がGCを評価し、関連する注記を行う責任についてのガイダンスが存在しなかったことを明確にしています。
重要なのは、従来から財務的困難や資金繰り等に関する情報がMD&Aその他の箇所で開示され得たとしても、それと、会計基準において経営者自身にGCの評価責任を課し、その判断を財務諸表注記として開示させることとは同じではないという点です。Wang(2022)は、ASU2014-15の導入後、経営者がGCについてsubstantial doubtがあると判断した場合に市場が優位に反応するようになったこと、また、経営者によるGCの結論がその後の企業の破綻をよりよく示すようになったことを報告しています。これは、経営者によるGC評価を会計基準上の明示的な責任とし、その結果を財務諸表注記として開示させることに一定の情報的意義があることを示唆しています。
現在では、IFRSのみならず米国基準も、経営者によるGCの評価と開示を会計基準として明確に規定しています。したがって、主要な会計基準の中で、このような経営者の評価責任を会計基準上明確に位置づける枠組みを持たないのは、日本だけと言ってよい状況です。今回、監査側のGCに関する責任を国際基準に合わせて見直すのであれば、財務諸表作成者である経営者側についても、国際的な会計基準と整合した形でその評価・開示責任を会計基準上、明確にすることが不可欠であると考えます。
なお、日本では財務諸表等規則第8条の27に継続企業の前提に関する注記が規定されています。しかし、財務諸表等規則に注記規定があるからといって、会計基準がなくてよいということにはならないと考えます。財務諸表の作成については経営者が責任を負い、監査人はそれを監査するという二重責任の原則から見ても、経営者がGCを評価し、その結果に応じて必要な注記を行うことを、財務諸表作成の基準である会計基準において明確に定めることが必要不可欠です。
この点について、前回の部会で私は、企業会計基準委員会(ASBJ)が国際基準との整合性を図るのであれば、それこそまずはIAS1号をやるべきであり、日本も国際会計基準や米国基準に相応するGCに関する会計基準の枠組みを持つべきであると申し上げました。これに対して紙谷委員からは、「評価と開示両方を含んだ形で会計基準を開発する」とした上で、「町田先生御指摘いただいた方向で今議論していると御理解いただければと思います」(議事録ママ)との発言がありました。
私は、この発言から、国際会計基準(IAS)第1号や米国基準と同様、経営者によるGCの評価と開示を会計基準上明確に求める方向で検討が行われるものと理解していました。しかし、現在ASBJが公表しているプロジェクトの説明では、「日本公認会計士協会が公表した実務指針等のうち、会計に関する指針に相当すると考えられる記載の移管を行うことに焦点を当てて、継続企業に関する会計基準の開発を行っています」とされています。
そうであるとすれば、前回の説明から私が理解した方向とは異なります。今回GCに関する監査基準を国際基準に合わせて改訂するこのタイミングにあって、会計基準側が従来の枠組みを実質的に維持するだけでは不十分と言わざるを得ません。公開草案では「ASBJにおいて継続企業に関する会計基準の開発が進められている」とされていますが、単なる既存の規定の移管ではなく、国際的な会計基準との整合性を踏まえた実質的な対応をASBJに求めることを、今回の改訂の前文に来て明記していただきたいと考えます。
この際、取り得る方針は2つしかないと考えます。一つは、監査基準の前文において、または、金融庁から別途ASBJに対して要請し、国際的な基準と整合するGCの会計基準を整備するよう強く求めることです。もう一つは、最終的にASBJが対応しない、あるいは対応できないというのであれば、企業会計審議会においてGCに関する会計基準の策定を検討することです。
2026年現在、グローバルな視点に立てば、日本だけがGCについて国際的に見てガラパゴスな状態にある会計基準を維持する必要はないと考えます。ASBJが国際的な基準とは異なる独自の方向を取るのであれば、なぜ日本だけそのような取扱いを維持するのか、その理由を明確に説明すべきです。その説明に十分な合理性が認められないのであれば、金融庁としても、そのような基準を我が国の企業会計の基準として受け入れることについては慎重であるべきと考えます。
第2に、不正についてです。改訂ISA240を受けてJICPAから実務指針の公開草案が公表され、新聞等でも報道されていますが、一部に監査上の主要な検討事項(KAM)に関して誤解が見られるように思います。今回のISA240の改訂によって、いわゆる不正KAMの記載が一律に義務づけられたわけではありません。今回の公開草案も、「監査報告書に不正に関連する『監査上の主要な検討事項』を記載する場合」としています。不正KAMが今後当然に、または通常の対応として記載されるかのような理解をそのままにすれば、監査実務と社会との間に新たな期待ギャップを生じさせるおそれがあります。今回の改訂によって何が求められ、何が求められていないのかを、監査基準の前文及びJICPAの実務指針等において明確に説明することが必要であると考えます。
他方、このことを理由にKAMの活用に過度に抑制的になることも適切ではありません。JICPAには、不正に関連する事項についてKAMを積極的に活用し、監査報告書の透明性と情報価値を高めようとする国際基準の方向性に対して抑制的な態度で臨むのではなく、利用者に対する情報提供というKAM本来の趣旨を踏まえ、必要な場合には積極的に活用していく方針を明確に示していただきたいと考えます。
以上でございます。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。それでは早速、委員の皆様方から御意見、御質問を頂戴できればと思います。どなたからでも結構でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、小倉委員、よろしくお願いいたします。
【小倉委員】
小倉でございます。御説明ありがとうございました。
まず、継続企業の前提についての改正についてですが、決算日から1年間という現行の実務を、財務諸表の公表の承認日後1年間とすることに賛成いたします。こちらは、例えば有価証券報告書の提出期限が延長されているようなケースにおいて意義を持ってくると理解をしているところでございます。
また、経営者が重要な不確実性は認められないと結論づけるに当たって重要な判断を行っているときは、継続企業の前提に関する経営者の評価を監査人がどのように検討したかについて監査報告書に記載をすることに改正する点についても賛成をいたします。
ただ、意見書の142行目からまた書き等で記載をされているところは、財務報告フレームワークとしては日本基準を前提とした記載になっていると理解をしたところです。今やIFRS適用企業は300社、時価総額で過半に近いということになっておりますので、監査人は監査の実施に当たっても、まず、監査先企業の財務報告フレームワークが何なのかということを理解した上で監査を実施するということが監査の実務になっておりますので、IFRSについても言及する必要があるのではないかと考えたところでございます。
この点、IFRSは、継続企業の前提について日本基準と基準差があるのではないかと認識しております。いわゆるクロースコールと言われているところについての差異ですね。そういったところがありますので、その点についても触れられるということも考えられるのではないかというのが1点目でございます。
2つ目、不正に関する監査手続についてのコメントです。175行目から176行目のところに、我が国の不正リスク対応基準については、改訂された国際監査基準と同様の対応が求められていることなどから、監査基準等の改訂を行わないこととしたとされております。他方、改訂版のISA240では、今回、ガバナンスに責任を有する者とのコミュニケーションが強化されたということが解説等にも記載されております。背景は、単に監査手続を増やすだけではなく、近年の大規模会計不正事案において、取締役会や監査委員会等が不正リスクを十分に把握・監督できていなかったとの反省にあるということがあります。海外においても幾つか大きな会社の不正事案がございました。
我が国でも、今日御説明いただいたとおり、二の2の(2)のところで少し背景的なところを入れていただいたというところですけれども、私としては、この入れていただいた特に210行目から217行目、「監査人は」ということで、一義的な責任は企業にあると言っていただいているのですけれども、「監査人は」だけになってしまっていますので、監査委員会等を巻き込んで不正リスク対応していくことが重要なのだという点をぜひ追加をしていただきたいと考えております。
私からの意見は以上でございます。
【堀江部会長】
どうも御意見ありがとうございました。2点、御意見をいただきました。基準の前文の修文ですね。追加したらどうだということでございます。1つ目は、会計基準について、142行目辺りから。これについては、先ほど町田先生からもこの会計基準等についての御意見がありました。これからもまた委員の先生方から御意見等が出てくるかと思いますけれども、会計基準の問題につきまして、会計基準はこうあるべきだということについて積極的に監査基準の中で書き込むということについては、事務局と事前に相談させていただいており、そこはちょっと避けるべきだということになりました。ただ、小倉先生の御主張は、ちょっと趣旨が違いますので検討させていただきますけれども、会計基準云々の問題につきましては、私からも事務局に対して、監査基準は監査人の行為規範でもございますので、あまり詳しく書き過ぎないようにというふうな、こういうお願いをしておりましたので、御理解いただければと思います。
2点目でございます。不正対応につきまして、ISA240で、ガバナンスに責任を有する者とのコミュニケーション、ここが強調されております。これは確かに御指摘のとおりでございまして、この辺りも踏まえまして、一応、事務局から前文でいろいろ書いていただいたのですけれども、この辺りについて、もし追加で、特にもう少しこの辺りを強調してというふうなことがあれば別ですけれども、そうでなければ、その思いも当然含めて書かれているつもりでございますので、この点についても御理解いただければと思います。
この不正対応につきましては、今回、基準の本文は触っておりませんが、前文で、特に一番最後、小倉先生に御指摘いただきました点に関し、やはりもう監査人の対応だけでは必ずしもこの不正問題については十分な対応ができないのではないかと、こういったようなこともあって、それでこのような書きぶりにさせていただいているわけでございます。
ただ、主語が、210行目から「監査人は」となっていますので、この点については、前のパラグラフとのつながりで御理解いただければ幸いです。監査人の行為規範でございますので、主語は監査人というふうな形にせざるを得なかったというのが正直なところかと思います。先生の御趣旨はこの前のパラグラフで書かれているかと思いますので、いわゆるエコシステムのようなものを前提とした対応がこれからは必要だということについて、メッセージとして送らせていただいたと御理解いただければと思います。
これでよろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。それでは、引き続き、御意見等いただければ幸いでございます。
それでは、オンラインで御参加の林田委員、御発言いただけますでしょうか。
【林田委員】
ありがとうございます。遠いところから失礼いたします。
一つは、監査基準の新旧対照表なんですが、この新しいほう、改訂案のほうがあまりに文章が長くて読みにくいなということを事前に事務局の方に申し上げたところ、(1)、(2)というのを多分入れてくださったのかなと思って、これがあるだけでも大分読みやすくなるなと感謝いたします。
ただ、構文上、(1)のところは、「認められないとき」、点切れといって、(2)が何々のときの「いずれにおいても」とつながってしまったので、「とき」で点で後ろのほうも切って、「のいずれにおいても」の「も」の後の点はなくて、「のいずれにおいても……検討した上で」で切れて、下にと続けたほうが、(1)は何々とき、(2)は何々のとき、それについてこうするとなるのかなという気はいたしました。新旧対照表はそれだけです。
それから、全体の話なんですけれども、ゴーイング・コンサーンに関わる国際基準の改訂に伴う監査基準の改訂については、町田先生からは専門的な観点からいろいろ御指摘があるようですが、その辺りは専門家の先生の議論にお任せするとして、私としては特に異論はなく、了としたいと思います。
一方、公開草案のほうを読ませていただきました。私の関心事は主に不正ですけれども、大ざっぱに頭の中で要約をさせていただきますと、会計の不正事案が相次いだことを受けて、監査部会から前回いろいろと指摘が出ましたよね。監査の基準等が適正であるのかどうか確認すべきではないかなどという意見が出て、それで事務局としてもいろいろ検討しましたが、大体のことは現行の基準で対応済み、国際基準並みになっている、あるいは先取りしている。それから、近時のものについてもおおむね行われている。したがって、基準等の改正は必要ない、行わないことにしましたという内容ではないかというふうに受け止めました。
確かに、国際基準に関わる部分につきましては、事務局が提示された案で結構だと思うのですけれども、不正の続発を受けた部分に関しては少々を申し上げたいことがあります。一つには、やはり現実問題として、不正リスク対応基準が出来てから、名前を挙げるのはどうかとは思うんですけれども、例えば東芝とか、最近はニデックとか、様々な有名な企業の中でいろいろな問題が起きていると。さらには、直接の会計不正ではありませんけれども、企業の言わば存続を危ぶませかねないような、例えば試験データの不正とか、そういう業務に関わる不正が名立たる電機大手、自動車、素材産業等で続発をしております。
そういった世の中の事実を踏まえて、私が知りたいと思ったのは、不正リスク対応基準の現行の取決めで、ここにはそういうことはちゃんともう書いてあるんですよ、やることは書いてあるんですということは書いてあるんですが、そういうことではなくて、実際に起きた不正のときに監督当局としてどのような検証をしたのかというのは全然お話として出てこないんですね。不正のファクトに関して金融庁がどのように把握をして、それに基づいて、今回不正リスク対応基準を近時の例を踏まえても改正が要らないと言ったのはどういうファクトに基づいて判断されたのかというのをしっかりと示していただきたいということです。これを書き換えろというよりは、この公開草案を変えろというよりは、実際に物事が起きたときに、やっぱり金融庁、監督当局としての判断をちゃんと示してほしい、見解を示してほしいということです。
長くなってすみません。それから、不正リスク対応基準のそもそも決めたときの議論にも私は加わらせていただいたんですけれども、大分前のことなので記憶が曖昧な点もありますけれども、当時の事務局の方が物すごく野心的な案を最初に出されまして、例えば監査法人のローテーション制の問題とか、引継ぎをする際にはしっかりと全部の資料を引き継いでやれとかいろいろ、当初案は非常に野心的だったんですね。しかし、こもごもの反対がありまして、それがお蔵入りになったということがあります。たしかなんですけれども、それぞれの監査法人にはそれぞれ監査のノウハウのようなものがあって、資料を全部引き継げば、それがみんなライバルに知れてしまうみたいなことも、見送られた理由の一つだったように思います。
私の頭の中では、不正リスク対応基準というのは、1回決めてもうそれで完成形というのではなくて、当時もいろいろな宿題が残った基準であったというふうに理解をしています。今回いろいろと不正がここ何年にもわたって続発していることを受けて、ちょっと宿題を棚卸はできないかということを考えています。
例えば、ローテーションも、現行のパートナーローテーションはありますけれども、監査法人ローテーションというのは検討する余地はないのか。あるいは、引継ぎの問題に関しても、創薬とかITとかいろいろな技術の世界ではもうオープンソースの時代に入っていますので、監査法人だけで不正を見つけるのは難しいとおっしゃるのであれば、監査法人それぞれが持っているノウハウを皆で共有して、よりよい監査技法に高めていき、質の高い監査を日本全体として行うというふうに発想の転換をしていただけると、私のような者としても安心だなと思います。何か話がまとまらなくてすみませんが、そのようなことを感じました。
以上です。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。私のほうから1点、基準の本文、ここは大事な箇所ですので、林田委員にちょっと確認させていただきたいんですが、継続企業の前提の、新しい改訂案の下から3行目、この「とき」と「の」の間にカンマを入れるべきだと、こういう御提案でよろしいでしょうか。
【林田委員】
読点を入れるということですね。点を入れる。
【堀江部会長】
実は数日前に、事務局で作っていただいた案は、ここに点が入っていたんです。私のほうから、平仮名の間に点を入れるのは、見た目が不自然な感じがするので、ちょっと御検討いただけないかと。これは法律の条文ではございませんので、この辺りは工夫の余地があるかと思うんですけれども、これまでの基準の書きぶり等を含めて検討していただけないかということで、最終的に、カンマを取った形で御提案をさせていただいたところでございます。
【林田委員】
私が申し上げたのは、文章の雰囲気というよりは、(1)と(2)はそれぞれ独立させて表現しないと、どこまでが(2)なのかが分からないのではないかと。読み手をちょっと戸惑わせてしまうのではないかと。
【堀江部会長】
そうですね。確かに。それでは、林田委員、一度、私のほうで預からせていただいて、再度、事務局とすり合わせをさせていただくということで御了解いただけますでしょうか。
【林田委員】
結構です。その後、付け加えて言えば、「のいずれにおいても」の後の点はなくてもいいんだと思うんですね。「いずれにおいても……評価を検討」するってこれで一つながりの文章なので、ここで点で切る必要は多分ないんだと思うんですね。「の」前に、「とき、そのいずれにおいて」と「そ」を入れる手もあると思うんです。
【堀江部会長】
どうも貴重な御提案ありがとうございました。
【林田委員】
そこは修文はお任せいたします。ただ、「とき」というもので上が切れていて、下が切れていないと、おやおや、どこまでだというふうに一瞬目が前へ行ったり後ろへ行ったりしたものですから、それだけです。失礼しました。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。基準の前文につきましては、またちょっと検討させていただければと思います。
また、最後に、不正リスク対応基準につきまして一度棚卸してみたらどうかという、貴重な御意見もいただきました。どうもありがとうございました。
それでは引き続きまして、引頭委員、御発言お願いいたします。
【引頭委員】
ありがとうございます。まず、全体として、方向性といいますか、事務局の御提案のとおりで私はよろしいかと思います。その上で、1点コメントと1点確認事項がございます。
まず1つ目ですが、4ページ目の124行目以下に書いてある部分です。今回の継続企業の前提に関する改訂の重要なところは、重要な不確実性がもし認められなかったとしても、監査報告書に独立した区分を設けて、継続企業の前提に関する事項を記載する、ということだと認識しております。さらに142行目を見ますと、重要な不確実性が認められないと経営者が判断するに当たり重要な判断を行っている場合についても、きちっと有価証券報告書の事業等のリスクなどに開示が求められるとそういうふうに記載され、その記載事項について監査人も確認する、とされています。
今後、こうした開示がより充実していくことを期待するばかりではありますが、一方で経営者側から見ると、どの程度の記載ぶりあるいは情報提供が求められているのかというのが少し悩ましい問題になってくるのではないかと思われます。その結果、一歩間違うと、有価証券報告書への記載ぶり等がボイラープレート的な記載にもなりかねないというおそれも感じております。
私としては、今回の基準改訂において、その後すぐに100%正しい記載ぶりを求めていくということよりも、期を追うごとに、どういうものが本当に求められているのかというのを実務的な観点からブラッシュアップされ、充実度が増していくというようなそうした形もあるのではと思っております。
その上でということですが、今回の基準改訂は、文字数的には大幅なものでありません。ですが、その本質あるいはその背景というのはまさに、これは147行目に書いてあったと思いますけれども、経営者の方々に御理解いただくというのが大変重要なのではないかと思っております。本質や背景が分からなければ、なかなか取り組み姿勢も変わってしまうのではないかという思いから申し上げた次第です。お忙しいところ恐縮ではございますが、金融庁もしくは公認会計士協会におかれましては、理解を深めていただくための経済団体等への働きかけ、こちらをぜひお願いしたいと思います。
2点目ですが、これは確認事項です。149行目から152行目に関してのところでございます。監査人、監査役等、経営者、そういった各関係者において今回の会計の趣旨を十分に理解した上で、という記載があり、これは先ほどの最初のコメントにあるように大変よい一文であると思っております。ですが、一方で、各関係者として記載されている範囲は果たして十分なのかと思った次第です。
経営者といえば、どうしても執行側というふうなイメージをしてしまいますけれども、継続企業という大きな問題になってきますと、今、数が増えている社外取締役も含めた社内・社外の取締役の方々にも当然ながら関心を持っていただきたいところでもあります。文章を何か修正してくださいということではないんですけれども、公開草案の中には「監査役等」という言葉が入っていて、これは監査役と監査等委員と監査委員ということだと思いますが、それ以外の取締役の方々、こうした方々も当然ながら継続企業の前提という大きな会社全体の課題に関して関係者として含まれているということについて、あえて確認させていただきたいということでございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
【堀江部会長】
どうも貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、事務局から、只今の先生からの御意見に対してコメントをさせていただきます。
【園田開示業務監理官】
引頭委員、ありがとうございます。
1点目の、経済団体等も含めた主要なところへの働きかけというところは、御指摘のとおりかと思いますので、我々も心して関係者とも連携して対応させていただければと思ってございます。
それから、2点目の、経営者に取締役、社外も含めて取締役も入っているのかどうかというところの御確認ですけれども、こちらは当然、経営者には一般的に取締役全般も含まれ得るということで理解をしております。その上で、過去のこういった監査部会の文書でも、基本的に「取締役」ということであえて特出しはしておりませんで、「経営者」という表現で包括して用いておりましたので、過去の事例に倣って広く「経営者」という形で表現をさせていただいているというものでございます。
以上でございます。
【引頭委員】
確認させていただき、ありがとうございました。以上です。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。それでは、井口委員、御発言いただけますでしょうか。
【井口委員】
御説明ありがとうございました。あと、前回の議論に基づいて監査基準の改訂について策定いただき、ありがとうございます。原則、当案に賛同いたしますが、2点意見を申し上げたく思います。
1点目は、継続企業の前提に関する手続で、ちょうど142行目から146行目辺りとなります。前回の会議で町田先生が御指摘されたように、重要な不確実性が認められない場合の取扱いも重要になると思っております。この点、先ほど小倉委員から会計基準の話がありまして、重要なポイントだと思いますが、ただ、日本基準とかにおいては必要になると思いますので、「その他の記載内容」として通読し、検討しなければならないとしっかりと明記していただいたということは大変重要だと思っております。ありがとうございます。利用者に非常に大きな影響を与える事項ではありますので、この取扱いについてしっかり運用されるように、金融庁様、それから協会様もしっかりオーバーサイトしていただければと思っております。
2点目は、不正に関する監査手続となります。御記載の案に賛同いたします。不正のKAMにつきましては、前回申し上げましたように、現実的に策定されて、監査報告書に開示されるということは、そんなに多くはないのかもしれないとは思っております。ただ、こういったことが協会様の実務指針に明記され、あと、今回のような大きな不正が起きたにもかかわらず、KAMが事前に策定されていない場合の監査人への資本市場の厳しい声、こういったことを背景に、不正の兆候があった場合に、監査人と、あと監査役等が相談されて、事前に会計不正を押さえ込む効果、その結果、実際に会計不正が減少するといった効果、こっちのほうを期待しておるという次第です。したがって、そういう意味でこの不正のKAMの導入については期待しておるということになります。
以上でございます。ありがとうございます
【堀江部会長】
貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、金子委員、御発言お願いいたします。
【金子委員】
ありがとうございます。私も全体として、今回の改正内容に賛成です。前回の議論をしっかり反映していただき感謝しております。継続企業と不正について、若干細かい点で意見を申し上げます。
まず、継続企業の前提について、評価期間を延長する点について賛成します。我が国の場合は、諸外国に比べますと期末日から公表日までの期間が比較的短いので、先ほど小倉さんがお話しされたように、有報の提出が延長されるような場合を除いては、影響はそれほど大きくないかもしれませんが、なるべく財務諸表の利用日に近い日まで評価していくということは非常に有益なことと考えます。
それから、監査報告書における開示について、継続企業であることは、一般に公正妥当と認められる会計基準を適用して財務諸表を作成する前提ですので非常に重要です。したがって、経営者がしっかりと評価をして開示していくことが大事だと考えます。ただ、継続企業の前提を検討するような状況は、経営状況が非常に厳しく企業の側も必死ですし、事実認定の困難さや将来予測の困難さ、判断が微妙で難しいケースもあります。したがいまして、監査報告書に結論とともに、どういう検討をして結論にいたったかを記載することは非常に有益であると考えます。
承認日については、我が国の場合、会社法と金融商品取引法の2つの法律に基づいて異なるタイミングで財務諸表が公表されるという独特な制度になっておりますので、承認日の考え方については会計基準等で明確にして、実務の混乱をもたらさないようにしていただきたいと考えます。
先ほど町田先生の御意見が読み上げられましたが、町田先生がおっしゃるように、継続企業の評価を会計基準の中で経営者の責任として、しっかり位置づけることは重要なことだと考えます。今後、ASBJで検討されることを期待します。ただ、監査基準において会計基準へ直接的な言及をすることは控えたいという事務局の御説明も理解できますので、監査基準としてはこれで結構だと思います。
それから、不正につきましては、我が国においては不正リスク対応基準が既に策定されており、国際監査基準のエッセンスは既に取り入れられているという御説明のとおりと理解しています。最近においても大型の会計不正が報道されており、そうした中で監査の品質を継続的に向上させていくということは非常に大事なことであると思います。ただ、これは監査基準を改訂すれば解決できるということではないと考えます。
会計不正の調査報告書などから得られる示唆として、まず経営者や取締役会、監査役等が企業ガバナンス体制をしっかりと構築をしてモニタリングをしていくことが重要と考えます。その上で、監査人が監査基準に従った監査を十分に実施できるように、必要な監査時間の確保や、懐疑心の保持、監査人の教育などの環境整備をしていくべきと考えます。こうした点は前文でしっかり記載していただいておりますので、監査基準における変更は行わないという方向に賛成いたします。
以上でございます。
【堀江部会長】
どうも貴重なコメントありがとうございました。
それでは、魚住委員、よろしくお願いいたします。
【魚住委員】
ありがとうございます。今回の御議論につきましては、やはり継続企業の前提と不正対応というところで世間の関心も高まっている状況かと思いますので、このように適切に対応していただくということについては賛同いたします。その上で、2点、意見させていただければと思います。
1つ目が、継続企業の前提の部分につきまして、明らかに継続の前提に問題がないような企業、健全な企業につきまして、いたずらに監査手続が増えるとか、企業側の対応が追加されるというような負担が増えるものではない、従来どおりやっていればそこは特段問題がないというものであろうかと理解をしておりますので、そういったところの誤解が生じないようにしていただきたいというのが1点目でございます。
また、2点目もこれに関連してでございます。先ほども御議論がございましたけれども、なかなかこの日本語が非常に読み取りづらい、難しい書きぶりをしなければいけない、基準上でもそのような表記になっているかと思います。そういった意味からも、企業側、監査人側、利用者側、あるいはもしかしたら報道する皆様かもしれませんけれども、そういった方々への誤解がないように周知を徹底いただければと考えてございます。先ほど経済団体へという御指摘もあったかと思いますので、我々としても御協力できる部分はさせていただければと思っております。ぜひそのような実務の運用がスムーズにいくようにということの御努力もいただければと考えております。よろしくお願いいたします。
【堀江部会長】
どうも貴重な御意見ありがとうございました。確かにこれはおっしゃるとおり、先ほど林田委員からもありましたけれども、文章が専門用語を含む難しい表現になってしまいますので、先生おっしゃるとおり、周知徹底というのはとても大事なことだと思います。委員の中に国語の先生を入れたらどうだと思うくらいであります。
それでは、後藤委員、御発言いただけますでしょうか。
【後藤委員】
御説明どうもありがとうございました。
今回の公開草案、事務局の案に賛同いたします。特に不正のところでは、いろいろ御議論ありましたが、既に不正または不正の疑いが識別された場合の対応等を取り入れているということで監査基準等の改訂は行わないという考え方にも賛同するところでございます。金子委員からもございましたように、基準やルールを変えれば不正がなくなるというものではなくて、やはり実効性や実務の運用を高めていくというのが重要かなと思いますので、それに注力していくことが必要かと思います。そう考えますと、まず、継続企業の前提の記載のところも、監査人、監査役等、経営者といった関係者が十分に理解した上で運用していくことが特に大事であると考えます。
あるいは、不正に関しても、小倉委員からもありましたように、ガバナンスに責任を有する者とのコミュニケーション、そういったものがさらに重要になってくるということもございますので、監査役等としても従来以上に監査人との連携を深めていく必要がありますし、できる御協力や努力は我々もしていく必要があるだろうなと考えているところでございます。
以上です。
【堀江部会長】
貴重な御意見ありがとうございました。ぜひご協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは引き続きまして、小林委員、御発言いただけますでしょうか。
【小林委員】
ありがとうございます。事務局の方々にも御説明いただき、ありがとうございます。今回の改訂案については、継続企業の前提、不正の監査手続に関しても異論はございません。同意しております。ただ、2点、私からコメントさせていただければと思います。
1点、継続企業の前提のところですけれども、魚住委員からもコメントがありましたとおり、継続企業の前提について記載を拡充するということに関しては、透明性を確保するという観点から非常に大事なことだと考えておりますが、これまで重要な疑義がない会社に対して監査人並びに企業に対して過度の負担を求めるものではないというところは、運用の観点から周知していただければと思いますというのが1点目でございます。
もう1点目が、不正対応のところについてでございます。今回かなり前文に、「近時の不正会計事案を受けた監査の信頼性確保に向けて」と別に章立てをされて記載されていたところがそうかなと思いますが、今回監査基準等の改訂を行わないというのは、決して部会として近時の不正会計事案について問題視していないということではなく、やはり適用において不十分なところがあるというところは共通認識としてあるかなと思っておりますので、それを今回の部会でも確認させていただきたいと思っています。
また、今回、公開草案がJICPAから出ているかと思います。そちらのほうも拝見させていただきましたが、やはり監査役へのコミュニケーションの拡充とか、監査手続についてもその範囲が拡充されるということで、これは不正等が財務諸表に重要な影響をもたらす前にその前に摘み取るという観点で非常に重要なことかと思いますが、これは監査を受ける企業側にもやはり一定程度の影響を与えるものでございますし、その目的としては、形式的にコミュニケーションをすればよいというものではなく、経営者並びに監査人それぞれの立場から、こういった重大な不正が起こらないようなガバナンス、内部統制を構築するということが最大の目的かと思いますので、その点が十分に実施されるように、当局あるいは関係各所のほうでも周知徹底していただければなと思っております。
以上でございます。
【堀江部会長】
貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、藤本委員、お願いします。只今、魚住委員、小林委員から、GCの問題について、監査手続上、企業への過度な負担が生じないようにというコメントもありましたので、その点もできましたらちょっと言及していただいて、御意見、御質問等をいただければ幸いです。
【藤本委員】
ありがとうございます。藤本でございます。まず、今般、取りまとめをいただきまして、大変ありがとうございます。前回の監査部会の皆様の御意見を十分に御検討いただいて反映いただいていると認識してございますので、前文や新旧の文案に関しましては賛同いたします。
幾つか御指摘もいただいている点も含めて、それぞれについてコメントさせていただきたいと思います。
まず、継続企業に関しましては、監査報告書においても、継続企業の前提に関する記載内容の充実化が図られるということでございます。また、その前提としては、企業において適切な情報開示がなされるということが前提であるということを前回も発言させていただいたところでございます。今、前文の中でも、皆様から御指摘いただいている事業等のリスクの開示、142行目以降のところ、また147行目の辺り、経営者が当該開示が求められている意義を十分に認識した上で継続企業の前提に関する評価及び開示を行うことが重要であるということを、明記をいただいたと考えております。
監査人としましては、これまでもこうした内容について、その他の記載内容として通読・検討するということが求められてきましたが、今回の基準の改訂の趣旨を踏まえて、経営者の方々、それからガバナンスの方々とは十分にコミュニケーションを取って、十分な開示を経営者の方にしていただいた上で、かつ監査人が適切な開示をしていくということになっていければよいと考えております。
企業側の御負担という意味では、皆様からもコメントいただいているように、コミュニケーションがまず非常に重要だと考えております。それをすることによって、企業の方がどのように開示をすることが、投資家や利用者の方々にとって望ましいのか、また、監査人にとりましても、そのような内容を踏まえて適切な情報開示を監査報告書の中で実施ができるのかということでございますので、もちろん企業の御負担も踏まえて十分に配慮しながら、監査手続の実施、それから監査報告書での開示をしていくということが望まれていると理解しております。
それから、不正に関しましては、前文にも御記載いただいているとおり、国際基準に先駆けて不正リスク対応基準というものが設けられていると思いますし、皆様からも御意見を頂戴しているように、これは基準の問題ではなくて運用の問題であり、関係者の皆様が、そういったことが起きないように十分にそれぞれの役割を果たすことによって不正を回避していく、予防していくということが大事なのではないかと考えております。
また、不正に関しては、KAMとして記載をすることに関して町田委員からも御指摘がございましたけれども、十分に皆様からも適切にこの内容について御理解をいただけるように、我々としても研修や周知の活動をしっかりしていくことで、全てのケースでKAMが記載されるというような御理解にならないように十分に努めてまいりたいと考えております。
あと、先ほど小林委員からもありましたけれども、日本公認会計士協会からは既に継続企業に関して、また不正に関しても、監査基準報告書の改正公開草案を出しております。こちらは、企業の方々も含めてということでございますけれども、できるだけ早いタイミングで内容を十分に御理解いただいた上で監査を実施していただく必要があるということで、少し早めのタイミングで公表させていただいております。本日の御議論とか金融庁でお取りまとめいただく内容を踏まえて最終化をするとことを考えておりますので、引き続き運用のところをしっかりやってまいりたいと考えております。
私から以上でございます。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。
それでは、青山委員、どうぞ御発言ください。
【青山委員】
せっかく出席したのに意見を言わずに帰るのも何かと思いましたが、基本的には事務局の皆さんがまとめていただいた2点について賛同いたします。
一番最初に説明を受けたときにも、理解は、過度に何か手続を増やすということではなく、きちんとこの継続企業に対する考え方、それから不正に対する考え方について理解を深めるような前文を御準備いただいたと認識しておりますし、やはり今、藤本委員もおっしゃっていたような、コミュニケーションが今後さらに重要になっていくというところは非常に賛同するところであります。
その中で147行目、それから198行目にあります、やはり企業側の責任というところに関して言いますと、経営者という立場からきちんとこういったことに対して責任を持つ意義がこの前文の中に込められていると理解をしておりますし、そこは変わらないと思っています。その上で監査人の皆さんが健全なコミュニケーションにのっとって、こういった継続企業の前提についてきちんと表明していただくということが重要だと思っておりますので、今後ぜひ、我々も企業側としてもちろんこの認識を改めて持つとともに、社外取締役、それから社内取締役ももちろん経営者の一員ですから、そういったところでこういった認識を深めてまいりたいと思います。
以上です。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。
それでは、弥永委員、どうぞ御発言ください。
【弥永委員】
ありがとうございます。今回の事務局提案には基本的に賛成なのです。けれども、町田委員が出されている意見書などを拝見するとやはり懸念もございます。
すなわち、まず、我が国においては、監査人の方々も企業の方々も、やはり会計基準などで明示的に注記が要求されていないと、追加情報の注記をなさることが結構少ないわけです。そういう状況の下で何も手当てをしないで大丈夫なのかというのは、本当に私も懸念しております。
たしかに、これは会計基準の問題ですので、監査部会の検討対象ではありません。けれども、やはり監査部会としては、二重責任の原則というものをKAMの議論のときに私の記憶ではかなり潔癖に行っていたように思うわけです。これまでの考え方ですと、監査人が第一次的な情報提供者になるのは好ましくないという考え方をとってきた。これを維持するというのであれば、会計基準が対応しないときには、非上場会社の中間連結財務諸表・中間財務諸表と同様、財務諸表等規則とか連結財務諸表規則で一定の注記を求めていただくということにしないと、従来の理解とは食い違ってくるんじゃないかという懸念を持っております。もちろん、この監査部会として、いや、従来の理解よりも緩めて考えてもいいんだというコンセンサスが得られるのであれば、それも一つの方向ではあろうかとは思っております。
いずれにしましても、この二重責任の原則との整理というのは過去の議論の蓄積がありますので、もし、いかなる形でも財務諸表における開示としては要求しない、単に有価証券報告書の一種の非財務情報として、事業等のリスクとして開示されていればそれで監査人は構わないという、こういう整理をするときには、二重責任の原則、こちらとの整合性をちょっと考えなきゃいけないと思います。
もう一つは、やはりIAS1号、今度はIAS8号になるんですけれども、このIAS8号の下で開示されている、つまり、指定国際会計基準適用会社の場合ですと、注記されている、それに監査人は言及できるわけですけれども、果たしてそうでない会社について、日本の基準で注記における開示を要求しないということになったときに、監査人は有価証券報告書の非財務情報の部分の事業等のリスクをリファーして監査報告書に記載することにするのか。これもまたちょっと不自然な気がいたします。したがって、もし会計基準でも連結財規・財規でも注記を要求しないというときには、監査部会としてはぜひ、今申したこの2点、つまり、二重責任の原則との関係をどう考えるのか、そして監査報告書の上で国際会計基準を適用なさっている会社と違った扱いになるときに、どういうふうに報告書で対応すべきなのかという辺りを御検討いただけると、ちょっと将来的な課題かもしれませんけれども、よいのではないかと思った次第です。よろしくお願いいたします。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。先生おっしゃるとおり、この二重責任の原則の問題は、先ほどから町田先生、小倉先生からも会計基準との関係について様々御示唆いただいておりますので、この点について、本日ASBJの紙谷委員が御欠席でございますので、そちらも通じてお話をさせていただくということで御容赦いただければと思います。どうもありがとうございました。
それではあと、オンラインで御出席の先生方、御発言ございますでしょうか。
松本委員、どうぞ御発言ください。
【松本委員】
堀江先生、ありがとうございます。園田さんも、詳細な御説明をありがとうございました。
私からも基本的には賛成、この両方、継続企業の前提に関する監査基準の改訂と不正リスク対応基準の改訂をしないということに関しての賛成を表明させていただきます。
その上で2点ほどです。改訂案、横置きのほう、監査基準本体の改訂の部分に関しまして、2つ、(1)と(2)があると御説明いただいております。(2)は、財務諸表注記に対して今はGCの監査報告書の記載区分で対応している部分と理解しております。(1)が不確実性が認められないときですので、これは当然のことながら、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しているけれども、経営者が対応策を講じることによって当該前提に関する不確実性は認められなかったという、いわゆるクロースコールとしてこちらで対応することになっていると理解しております。ですので、クロースコールに対応する部分と重要な不確実性に対応する部分が十分に盛り込まれた規定ぶりになっていると私は理解しております。
ただ、唯一危惧しますのは、いずれの場合も、監査人は経営者の評価結果を検討するということになっておりますが、その評価の仕方と結果について監査報告書にどのように記載するかに関しましては、先ほど引頭委員がおっしゃいましたように、テンプレート化しないような書き方を十分に御検討いただきたい、具体的には、強調事項のような財務諸表の注記を書き写すのではなく、監査人独自の検討結果の記載がなされるように実務指針として御検討いただきたいと考えております。それが1点目です。
2点目の不正リスク対応基準のほうです。こちらは日本が国際基準に先行して不正リスク対応基準として2013年に設けていたものが国際基準のほうでも取り入れられたと私のほうでは理解しておりますので、珍しくと言ったら語弊がありますが、日本基準のほうが国際基準よりも先行したというふうに理解しております。
ただ、これも1点懸念するところがあります。212行目で、不正対応につきまして、「監査人は上場会社等の監査のみならず全ての監査において」と前文では言及していただいているんですが、不正リスク対応基準を2013年に導入した段階で、前文のほうで、上場会社に限定した適用としております。ですので、最近でいえば、大阪の非上場の大会社でも大きな不正がありましたとおり、大会社の場合、公共の利益に対する影響が非常に大きいですから、今後、上場会社に限定せずに、大会社にも適用することを御検討いただけるような方向で考えていただければと考えています。
特に、そうでないと、今、会計士協会さんから監査基準報告書240の公開草案が出ていますが、非上場会社に対する240の適用と上場会社に対する240の適用が異なった形で適用されることになっています。実務指針の場合、これは自主規制ですから、エンフォースメントの観点からすると、大会社監査において不正リスク対応が監基報240に準拠しなかったとしても金融庁の処分対象にはならないことになります。したがって、監査の質を確保するためのエンフォースメントを考慮すると、公共の利益に影響するような大会社に対する適用も御検討いただくほうがいいのではないかなと考えます。
以上です。すみません、声が出にくくなってきましたので、ここでやめさせていただきます。すみません。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。では、事務局のほうからちょっとコメントをさせていただきます。
【園田開示業務監理官】
松本委員、大変ありがとうございます。不正リスク対応基準につきましては、御理解のとおりといいますか、もう釈迦に説法ですけれども、当時いろいろ議論がありまして、対象は上場会社に限定するという形になったところではございます。ただ、おっしゃるとおり、大会社においても、上場していなくても大会社においても直近いろいろと事案があったというところも御指摘のとおりかと思いますので、今この場で結論を出すというわけにはいきませんけれども、御指摘いただいた点はしっかり我々としてもテイクノートしておきたいと思います。
以上でございます。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。
それでは、オンラインで御出席の先生方、ほかに御意見等ございますでしょうか。
それでは、髙田委員、どうぞ御発言ください。
【髙田委員】
ありがとうございます。私からも原案に関して反対する意図は全くございませんでして、賛成ということをまずは発言させていただきます。失礼しました。神戸大学の髙田です。
ただ1点、毎回同じようなことを申し上げていて恐縮なんですけれども、基準が変わるということは何らかのインパクトを伴うということが当然予想されていると思います。こちらにつきましては、今回少し具体的に発言させていただければと思いまして、今回発言を希望しました。
今回の改訂というのは基準上の修正はごくごく限られたものにはなりますけれども、また、開示される情報の充実と、意思決定有用性というところも往々に加味されているところかとは思います。ただ、今回の改訂によって、あるいは基準の改訂に係る前文での書かれ方の見方によっては、監査人にとって、法的あるいは社会的な自分たちに向けられる目について、よりリスクといいますか、厳しい目線が向けられることになるということを認識するようになるのではないかと思います。
こちらについて、よい悪いということではないんですけれども、基準が意図しない形でインパクトがもたらされる、近年ではそういうものをリアルイフェクトとかリアルインパクトと呼ばれるようなこともあると思うんですけれども、そういうことが生じたとして、それが日本の監査市場においてどのような影響になるのかということも含めて検証することが、監査基準の策定とエンフォースメントにおいて求められるところなのではないかなと感じます。
例えば、海外のものにはなりますけれども、実証研究等における蓄積を鑑みますと、監査人の法的な責任とか社会的にレピュテーションというものがインパクトを受けやすい状況になったときには、やや過度にといいますか保身的な行動をとるということがよく知られています。例えばクライアントの選別において、リスクが極めて低いようなクライアントを意図的に選別するようになったりということが例として挙げられるかと思います。
そういったインパクトが生じ得る可能性があるような基準の改訂かなとも感じるところですので、基準が意図した形で機能したかどうかということだけではなくて、このような形で、予期せぬ帰結とかリアルエフェクトというものが生じているかどうかということも含めて事後的な検証をぜひ行っていただきたいということ、それを行う主体が基準設定主体であるのか、それとも私が属しているようなアカデミアであるのかというのはまた別の論点としてあろうかとは思いますけれども、そういった観点での事後検証も含めて御検討いただきたいというのが私が申し上げたかったことです。
以上になります。
【堀江部会長】
貴重なコメントどうもありがとうございました。
それでは、ほかにいかがでございますか。
林委員、御発言ください。
【林委員】
ありがとうございます。事務局の御説明もありがとうございました。本日のこの会議でのここまでの議論も踏まえて、原案に賛成です。
ただ1点だけ、繰り返し議論になっているんですけれども、継続企業の前提の評価と開示に関する会計基準の整備というのは、このGC問題が2002年に導入されて以来の課題だと思っていますので、ぜひこの機会に、国際会計基準あるいはアメリカの会計基準と同等の基準になるように金融庁から働きかけていただければと思います。
以上です。どうぞよろしくお願いします。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。林先生、監査基準の本文のほうの記述に、特にコメントはございませんか。これでよろしゅうございましょうか。特にクロースコールの扱いですが。
【林委員】
先ほど松本委員が、(1)がクロースコールを意味しているということを確認されたので、それで結構かと思います。ありがとうございます。
【堀江部会長】
どうもありがとうございます。林田委員のご指摘とも関係するのですが、ここの書きぶりにちょっと悩ましいところがありましたが、専門家お二人のお墨つきが得られましたので、このような形で進めさせていただきたいと思います。
それでは、ほかいかがでございましょうか。
オンラインで御出席いただいております白川先生、何かコメントございますでしょうか。
【白川委員】
ありがとうございます。発言の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。私、弁護士をしておりまして、キャピタルマーケッツなどでこのような手続基準の前提などをつけられている企業のオファリングなども時々担当しておりますけれども、まず前提といたしまして、今回の改訂に賛成でございます。
一つだけ少し気になっているのは、これを使う企業にとって過度な負担にならないかなということだけは気になりました。私はそれはどうしてそう思ったかというと、社外取締役として上場会社の監査委員としても入っているからということではございますけれども、事務局の皆様にお話を最初にお聞きしたときに、こちらについて実務界、すなわち企業の方々からはあまりその意味での懸念というのは示されていないということ、それから今回GC注記をつける必要がないということについての判断に関する開示もなされるということになったということで、これは投資家から見たら大変歓迎すべきことでございますので、その意味でもこちらに賛成しております。
すみません、本日遅れまして大変失礼いたしました。以上でございます。
【堀江部会長】
どうも貴重なコメントをありがとうございました。
本日これで一応全ての委員の先生方からの御質問、コメント等を頂戴いたしました。
ゴーイング・コンサーンの問題につきましては、複数の委員の先生から御指摘がありましたとおり、会計基準との関係なんですね。ここはとても悩ましいところでありまして、実は当初の文案ではASBJという言葉がこの前文の中に複数回出てきまして、きちんと説明すべきと思いつつも、あまりにも会計基準のことに踏み込み過ぎていませんかというコメントを私もさせていただいたりしましたが、一応このような形で落ち着かせていただければと思います。
また、不正対応につきましては、監査基準の本文、これは改訂いたしませんが、前文の中で、複数の委員の先生方からコメントがございましたが、前文の一番最後に、これまでの制度上の対応とか、あるいは監査人と関係機関との協調を通じて、監査のより一層の信頼性の向上に努めてもらいたいと、これを本部会からのメッセージとして公表させていただければと思います。
本日も様々貴重な御意見を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。まだちょっと時間はございますけれども、本日の審議はこれで終了させていただきたいと思います。
今回の草案の中身につきましては、おおむね委員の先生方の合意が得られたのではないかと考えております。一部、修文の御提案も、小倉先生はじめございましたので、再度見直しはかけさせていただきますが、おおむね合意が得られたと考えておりますので、本日いただきました御意見を踏まえ、必要な場合には所要の修正を行わせていただき、早急にパブリックコメントに付すこととさせていただきたいと思います。
したがいまして、修文提案をいただきました部分につきましては、私に御一任いただくということで御異議ございませんでしょうか。
【堀江部会長】
どうもありがとうございました。
それでは最後に、本日は井上局長がお越しになられておりますので、一言お願いいたします。
【井上企画市場局長】
委員の皆様、部会長の堀江先生、これまで様々な御議論をいただき、監査基準の改訂等意見書案についてまとめていただきまして、誠にありがとうございました。金融庁といたしましても、いただいた御意見を踏まえて、パブリックコメントに付した上で、早急に総会に上程できるように準備を進めたいと考えております。
また、いただきました御意見の中で、会計監査基準のみならず、制度全体についての御意見もいただきましたし、また、運用が大事という御意見もいただいておりますので、その点についても関係機関と連携してしっかり対応してまいりたいと思います。
誠にありがとうございました。
【堀江部会長】
本日はどうもありがとうございました。
それでは最後に、今後のスケジュール等につきまして、園田監理官のほうから簡単に説明をさせていただきます。
【園田開示業務監理官】
事務局でございます。
まず、本日御審議をいただきました文書につきましては、先ほど堀江部会長からお話がありましたとおり、部会長とも相談させていただき対応した上で、委員の皆様にメール等で送付させていただいて共有させていただくとともに、速やかにパブリックコメントに付させていただきたいと思います。大体1か月ぐらいコメントを募集した後に最終化に向かうという段取りを考えてございます。
また、今後の企業会計審議会監査部会の日程でございますけれども、こちらは今現在決まっているところはございませんので、改めて事務局から御連絡をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【堀江部会長】
それでは、以上をもちまして、監査部会を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
以上
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