平成12年11月15日
金融庁

企業会計審議会第2回固定資産部会議事録について

企業会計審議会第2回固定資産部会(平成12年10月27日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画部企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第2回固定資産部会議事録

日時:平成12年10月27日(金)午後3時30分~午後5時20分

場所:中央合同庁舎第4号館4階共用第一特別会議室

○辻山部会長

それでは、定刻になりましたので、只今から第2回固定資産部会を開催させていただきます。

本日は、皆様方お忙しいところ御参集いただき、ありがとうございます。

前回は、論点整理に対しまして寄せられた御意見を事務局から将来していただき、意見交換をしていただきました。又、6月に公表されました長期資産の減損会計に関する米国基準の公開草案につきまして川村委員から御報告をいただき、質疑応答を行いました。さらに、伊藤委員から、日本公認会計士協会から7月に公表されました「販売用不動産等の強制評価減の要否の判断に関する監査上の取扱い」について御報告をいただき、意見交換を行いました。

本日は、固定資産の減損会計のうち、主として減損の認識及び減損損失の測定の問題についてヒアリング及び意見交換を行いたいと思います。

我が国の不動産等の取引実態や固定資産の会計処理、会計監査等の実務から見て、米国基準や国際会計基準などの国際的な減損会計基準を適用するとした場合にどのような問題が生じるのか、などについて関係委員に御報告をいただき、減損の認識や減損損失の測定などの問題について議論を深めたいと思います。

本日は、お手元の議事次第にもございますように、この問題について主に財務諸表作成者側からということで、都委員、岩田委員から御報告をお願いしたいと思います。

さらに最後に、議事の4番目でございますけれども、秋葉委員から土地の減損について御報告をいただき、意見交換を行いたいと思います。土地につきましては、土地が非償却資産であるということ、我が国では固定資産の中で土地の重要性が高いということから、特に御報告をお願いしてございます。

なお、本年6月に公表されました「固定資産の会計処理に関する論点の整理」における「その他の指摘事項」並びに論点整理に対するコメントとして新たに指摘された事項につきましては、本日開催されました企画調整部会におきまして第1回目の意見交換が行われました。今後、企画調整部会におきまして、この問題に関し何回か意見交換が行われることが予想されております。

又、お手元に参考資料として、本日の企画調整部会に提出されました関係資料、一番後ろのほうでございますけれども、企画調整部会の鳥飼委員のほうから御報告をいただいたものでございますけれども、これをお配りしてございますので、後ほどごらんいただきたいと思います。何かお気づきの点がございましたら、事務局のほうへ御連絡お願いいたします。

それでは、本日の議事に入りたいと思います。

まず、都委員から、主に製造用設備に関する減損の認識及び減損損失の測定について、実務的な観点から御報告をお願いしたいと思います。

では、都委員、よろしくお願いいたします。

○都委員

都でございます。それでは、お手元の資料に即しまして御説明をさせていただきます。

まず、資料1というところで御説明いたしますが、すみませんが、その資料1の3枚目を先におめくりいただきたいと思います。フローチャートが書いたものでございます。「当社(新日鐵)における製造用設備への投資の実務(概要)」ということで、これは高炉メーカー、高炉鉄鋼メーカーの例としてお考えいただければと思います。同じ製造業でもまた業種によっては異なることがあるかと思います。

それでは、このページでございますが、上から下へ時系列に書いてございます。通常、設備投資を行いますときは、これは設備投資といいますのはかなり長期にわたって稼働するものであり、かつ製造業にとって会社の構造を決めるものでございますので、単年度というよりはむしろ3カ年ぐらいでいろんな物事を決めていきます。当社では3年を一つのタームとした中期計画というものを3年に一度作りますが、その単位でまず投資額を決定いたします。この投資額は、もちろん積み上げ的なことも一方で行いますが、むしろ3年間の社の構造をバランスシート、あるいは収益性をどう見るかということの中から演繹的に作っております。

ちなみに、当社の現在進めております中期計画は、平成12年から14年の3カ年でございますが、この間のハードの設備投資を連結ベースで4,700億程度やろうと思っております。年間にしますと千五、六百億と、こういったレベルでございます。まず、こういったところを3年間で決めておいて、実際に個別の投資の意思決定をするのは毎年その枠の範囲内で決めております。

まず、次の括弧でございますが、年度の設備投資編成方針というものを考えます。これは、基本は3カ年計画に基づきますけれど、単年度ごとにやはり経済環境等変わっていきますので、それに応じた修正を行って、年度の投資枠を決めます。これは上の枠のほうから追っかける話でございまして、一方で実際に個別の設備投資の案件といいますのは、これは現場の製鉄所とか、あるいは販売のニーズであれば販売部門とか、あるいは研究開発のニーズであればそういった研究開発を持っている部門と、そういったところからそれぞれの投資を申請という形で、その設備投資を調整する部門に上げてまいります。ここにありますとおり、候補案件につき個別検討、審議ということで最終的に決定しています。

では、何を検討項目として検討して個別に決めていくかと、こういうことでございます。枠の中にはなから納まっていればそんなに細かな議論ということはないはずですが、本来、それぞれ製造業でございますから、いろいろ設備投資をすれば効果もありますから、当然枠よりも大きな申請が出てくるということでございます。従いまして、ここに書いておりますような項目をいろいろ比較を要しておるわけでございます。1つは、投資目的、必要性の検討。ある意味では当然のことでございます。それから、技術的な側面の検討ということで、実際は設備投資というのは作ってみなければという部分も一部ありますので、その技術的な信頼性の確かさとか、そういったことも検討いたします。それから最後に、やはりこれはお金にまつわりますので、投資額の妥当性がどうかと、こういったことでございます。そういった中で投資効果の経済的評価というものが出てくるわけでございます。

それから、右側のほうに行っていただきます。投資効果の経済的評価方法と、こうなります。ただ、ここで申し上げておかなくてはいけないのは、すべての投資が収益を直接的に生むわけではございません。生産販売をふやすとか、あるいは新しい品種を作ってそこで注文をとっていくとか、あるいは最近一番大きゅうございますのは、合理化のために資する案件ということで、省力化、省エネルギー、あるいは歩留、原単位を上げていくと、こういったもの、こういったものは収益性の投資でございますが、例えば福利厚生だとか、あるいは研究開発とか、あるいは最近では多うございますけれども、システム的な基盤整備、こういったものは収益を生みません。従って、必ずしも経済的な評価で決めるわけではございません。これはニーズそのものをそれぞれの視点から検討せざるを得ないということでございます。従って、ここにある経済的評価、つまり投資したものに対する回収をある観点からやるというのは、あくまで収益性の投資に関するものでございます。

我が社では、今申し上げましたように、最近多うございますのは、コストを下げる投資というもののウエートがやはり全体の中でも非常に多くなってございます。これは、鉄鋼業が置かれた――日本の製造業もまた置かれているんですけれども、国際的な競争の真っ只中にありますので、どうしてもこういう円高の状況ではコストをまず下げて、国際競争力をつけるということが一番になります。そういう意味では、コスト改善ということがどうしてもふえてくると、こういうことになります。

そのコスト改善案件について、どういった投資評価をしているかというと、回収年数法ということでございます。回収年数法というのはどういうことかというと、平たく言えば、投資した元金と利息を何年で返済できるかということでございます。従って、一定の割引率でもって――当然投資のほうがお金の支出は先行して、その後リターンが出てくるわけですけれども、そのリターンをある割引率で戻して、それで結果的に何年で回収できるかということを計算するということでございます。

この割引率というのは、本来いろんな観点からどう見るかというのはやや難しい問題だと思いますけれども、我が社では割引率絶対値そのものについての議論は実は余りしておりません。これは過去から、相当昔から同じ割引率を使っています。この割引率というのは、それ自身を一生懸命求めるとなかなか難しい問題になりますので、むしろ回収年数が何年か、要は一番短ければいいわけですから、その相対的な、個別案件ごとの相対的な評価をできればよいという観点から、余り割引率の議論をするよりもむしろ同じ割引率を使って何年で回収できるかという相対評価に重きを置いてこの計算をしております。

それから、もう一つは、ROI(rate of return on investment)ということで、投資による運用利回りを求める方法でやっております。コスト改善案件というのは、例えば製造ライン全体を打つとかそういうことよりは、むしろ製造ラインの一部を改造して従来よりもコストを安くしていくというような、ある意味ではマージナルな限界的な投資でございます。それに対して、どちらかといえばある程度新しいラインを打つとか大型の投資をする場合は、何年で回収するというよりはこれは当然むしろある程度長い期間でどの程度の利回りがあるかということを見たほうがよりなじむということでございます。限界的な投資よりもどうしても回収年数でいけばまた長くもなってしまいますので、同じメジャーで見るのはよくないだろうということで、今言ったROIというものを見ます。

このROIというのはどういう計算をするかというと、投資額に対して、当然翌年以降リターンが入ってきます。これを一応今は10年を目安にして、その間回収される金額が出てまいります。当然、投資額に対して年々の、その時々の時価で足していったリターンのほうが上回りますので、それを割り引くと投資した現在価値になります。そのときに、何%で割り引けば投資した額と一定になるかという、その割引率を求めることになります。当然、この割引率が高ければ高いほどその投資はよいということになるわけでございます。我が社である判断でちょっと数字を決めておりまして、これはハードルレートと呼んでおりまして、そのハードルレートを超しておればその投資はやろうと、こういうことになるわけでございます。

このレートはかなり高いところで設定しております。と申しますのは、当然のことですが、先ほど申し上げましたように、当社のお金を使う投資がすべて収益性投資ではございません。研究開発とか間接部門への投資とかそういうものもございますので、それは収益を生みませんので、収益性投資という部分についてはかなり高いリターンがなければ、社全体のお金を使っている投資としての一定のリターンが得られないということになるからであります。

ちょっと長くなりましたけれども、続けさせていただきます。

それで、個別案件ごとに投資が決定されましたら、次に実行ということになります。工事中の間は、当然のことながら、建設仮勘定に積んでいって、完成した時点で、我々は本勘定と呼んでおりますが、固定資産の勘定に入れまして、それと同時に減価償却を開始するということになります。

それで、その後、当然投資しっ放しではいけないわけでありまして、社として成果フォローというものをしてございます。これは言ってみれば、投資したものが初期の目的どおり効果を発揮しておるかどうかをフォローするサイクルでございます。これは、基本的には完成後1年目あたりでやります。従って、投資の意思決定をしてから完成するまで大体1年ぐらいかかります。その後また1年ということなので、意思決定をした時点から見ると2年後あたりに実際に完成設備できちんと所期の効果が得られたかどうかをチェックすると、こういう仕組みでございます。当然でありますけれど、所期の目的を経済的にも、又技術的にも果たしているかということをチェックするわけでございます。それが果たしておれば、基本的にはそれ以降また定例的にフォローするということはございません。もし所期の目的を果たしておらなければ、対応をさらに考えた上で追加的なフォローを行っております。これが通常の完成後の状況でございます。

これで何もなければずっと設備として償却年数を終え、又物理的な寿命を終えた時点で廃止されるわけでございますが、当然経済情勢いろいろ変わりますから、その途中の時点で設備を休止、あるいは廃止するというような事態も出てまいります。それがここに書いてあります休止・廃止ということでございます。申請というのは社内の手続のことでございますが、こういったことで事業廃止の経営判断を行うということでございます。通常こまこましたものは、新しい設備を投資するので、従来古い設備がまだ償却の途中であっても廃止というようなこともございます。これは定例的に結構新しい投資を打つときは必ず出てくるんですが、むしろライン一つどっととめると、そういう場合にどうしているかというと、ここにあります事業廃止等の経営判断というところでございますが、そのときは余り個別のキャッシュフローというよりは、もちろんそれも大事ですけれども、全社的な設備能力と経済情勢に基づいた全体の需要の関係といったこと、それから、将来見通しはどうしても、所詮将来のことですから分かりませんが、その不透明さのリスクといったようなことを総合的に判断して決定していると、こういうことでございます。

それで、休止と決定された場合は、もしそれが再稼働の予定が全くなければ、廃止と同じ会計処理をいたします。それが一番下の廃止決定設備というところでございます。廃止を決定しますと、一部は、例えばモーターとかそういったものは社内で転活用できますので、そちらへ持っていきます。一部は売る場合もあります。ただ、実際売るといっても、余り世の中で引き取ってくれるところはございませんので、この売却というのはポーションとしては非常に少のうございます。従って、大方のものは廃棄処分ということになります。廃棄処分になりますと、もちろん解体すればそれぞれスクラップに見直しをするわけですが、解体しない場合でもいわゆる有姿除却処理ということで、屑評価まで評価を落として除却損を計上いたします。

仮に、まだ設備が実際休止に至っていないということであっても、何年先に休止することが決定して、その時点で廃止するのであれば、その時点で出てくる損失を見込んで引当金を計上いたします。当社の事例が下に2つございますけれども、1つは最近決定したことですが、八幡のシームレス鋼管――これは油を掘るときに使うパイプを主に作っておるわけでございますが、この設備を一つは休止することを決定いたしました。実際にとめるのは平成12年度の下期末、来年3月なんですけれども、この上期に休止することを意思決定したので、来年3月に廃止し、除却した場合に見込まれる損失をこの時点で引当金として計上いたすことといたしました。

それから、下のほうはかなり古いんですけれども、昔、プラザ合意以降、日本の経済全体が少し低成長へ移行したときに、鉄鋼の需要も減るということで、主として高炉等を中心に設備を休止することを決定いたしました。実際に休止するのは平成の時代になってということで決めておったんですけれど、やはりこれも同じように昭和61年度に意思決定した時点で将来見込まれる損失を計上いたしました。これが過去の例でございます。

以上が投資の意思決定から成果フォロー、場合によって休止した場合の実務処理の例でございます。

それでは、ちょっと長くなりましたけれども、最初の1ページ目に戻っていただきたいと思います。

次に減損認識からということで、以下、項目立ては今回御案内いただいたベースになっておりますけれども、米国基準を用いた場合の具体的な判定方法ということで、では実務的にどういった問題があるんだろうかということを考えてございます。

ちょっと一つみていただきたいので、最後の4ページ目をめくっていただけますでしょうか。ここに鉄鋼業の高炉を持っている製鉄所の製造及び設備のフローを書いてございます。ごく簡単に申し上げますと、一番上から始まるんですが、右方上に高炉というものがあります。これは皆様方も何となく御存じだと思いますけれども、石炭や鉄鉱石から溶けた鉄を作る工程でございます。ただ、実際には、その以前に石炭とそれぞれ鉄鉱石を高炉に放り込めるような状態にするコークス、あるいは焼結工場といったようなものが実はございます。これも現場に行って見ていただければ分かりますが、非常に広大な敷地に大きな設備がそれぞれ建ってございます。それからずっと下に回っていただきまして、真ん中上の転炉で処理いたしまして、純度の高い鉄を作る。それからまたずっと左側下のほうに流れていきます。これである程度鉄の固まりができてきます。ここまでは非常に単一の素材でございます。ここがいろんな製品に形を変えて、だんだん最終製品に近いプロセスになっていくわけでございます。個別には時間の関係もあって説明いたしませんけれども、要は、鉄鋼業は一つは工程が非常に長いということと、特に前のほうの工程では、単一の素材で、将来収益計算ができるような製品の単位に対して、前のほうの工程は1対1で結びついておらないということですね。一つの素材からだんだん多数の品種がツリー状にできていくということでございます。ちょっと一つだけそこのところを御認識いただいた上で、もう一度1ページのほうに戻っていただければと思います。

ここに文章を書いてございますけれども、鉄鋼業の場合、今見ていただいたとおり非常にプロセスが長うございます。長くても最終製品と最初のほうの工程が1対1で結びついておればいいんですけれども、ツリー状になっているということでございます。従いまして、前のほうの工程では、設備はもちろんあるわけですけれども、これが幾ら回収できているかとか、幾ら収益を上げているかと、こういうことが一つは把握できておらないということでございます。実は、後ろのほうの工程に至りましてもいろんな品種を作っておりますし、相互の設備の間の品種のやりとりなどもございますので、なかなか設備と収益、設備とキャッシュフローというのが結びつきにくいと、こういうことでございます。もちろん、当然最終できたものの製品は原価計算をしておりますから、売値とぶつけて収益が計算できますけれども、設備単位でできにくいというのがここで言いたい点でございます。

それから次に、2番目の点のところでございますが、ここで言いたいのは、1つは将来キャッシュフローというものを計算するのはまだ、今申し上げたとおり難しいんですが、仮に最終製品のようなところはある程度製品の収益とぶつけて設備単位でキャッシュフローとか収益というものがぎりぎり計算、疑似的なものになりますけれども、できなくはない。ただ、そのときに、次に将来キャッシュフローというものを計算するときに、前提をどういうふうに置くかでまた結果が随分変わるということでございます。鉄鋼業の場合は、売上数量とか販売価格というものがかなり循環的なサイクルを描きます。その循環的なサイクルの中で、それによって非常に利益が出、黒字が出たり、場合によっては赤字が出る可能性があるということで、その幅で見るわけですけれども、その幅の置き方が非常に難しいということで、なかなか将来キャッシュフローが一義的には決められないということです。もちろん経営としては、その幅の中で下に触れても利益を確保できるようにということで3カ年計画なんかでは一生懸命合理化をするわけですけれども、なかなかそういったことは読みにくいということでございます。

あとは、先ほど申し上げたことと関連するんですけれども、キャッシュフローに基づいて減損を行うとしても、最終工程で例えば十分キャッシュフローが上がらないとしても、実際にはそれに前工程の設備も関与しているわけですけれども、それとどういうふうに減損を割り振っていくかというような難しい問題も出るということでございます。

一番最後は、だけど会社としては事業撤退、休止を決めることもあるのだから、当該設備の何かキャッシュフローなんかを見ているんではないかと、こういうことなんですが、もちろんそういうことも見なくはありませんけれども、むしろ社全体の能力と需要ということを考えていろんな総合的な判断をして、その中で限界的にはこの設備をとめていこうかというようなことを決めていくわけでございまして、なかなか1個の設備を見るというのは難しいということでございます。

次のページへ移らせていただきます。公正価値算定、公正価値というのは製造業の場合なかなか難しいと思うんですけれども、設備だけに着目しますと、これのマーケットがあるかというのは、当然のことながら、そういうものはございません。ほとんどその企業独自のものでございますので、何か売るということを考えた場合は、なかなか難しいことになります。今まである例としては、撤退したときに売れないかということでございますが、現実にはある一会社が撤退するような事業ですから、なかなか買い手も通常はあらわれてきません。結果としてはスクラップ価値からあんまり変わらなくなると、こういうことでございます。

それから、DCFによる事業評価をしておるかという設問でございましたが、これはDCFそのものではございませんけれども、先ほど申し上げましたようなROI評価といったようなことをやっております。

それからあと、公正価値と回収可能額の違い、具体的な算定方法、算定の難しさ、こういった設問でございましたけれども、これも公正価値は先ほど上記のとおり算定が難しいということで、なかなかこれに対する答えというのは書けておりません。

それからあと、回収可能額を考える際に、耐用年数の問題、これは今後考えていかなくてはいけないと思っております。と申しますのは、単純に減価償却の基礎となる年数をそのままでは使えないということで、実際に計算するとなるとここのところを研究しなければいけないと思います。

それからあと、資産のグルーピングということでございますが、新規設備というのは小さな単位からラインを一つ取ると、かつては製鉄所全体を取ると数千億の投資というような単位まで、いろんな単位で行われております。なお、損益管理というのは、先ほど申し上げましたように、設備というのは難しゅうございますので、品種単位、あるいはそれを生産している製鉄所全体とか、あるいは事業部といったようなもうちょっと大きなくくりの階層で行われております。

なお、全社資産とか共用資産というのは、極力はある品種にひもつけようとは思っておりますが、どうしてもそういったことが難しいので、実際にはフローの段階で各品種へ一定の基準に基づいてコストを配賦しているというのが実態でございます。

こういったことなので、減損を計算するとしたときに、設備の区分としては物理的な区分ではなく、先ほど言いましたように例えば高炉だけとか、転炉だけとか、コークス工場だけとか、こういうのは難しゅうございます。やはり経営実態に沿った区分で仮に減損をやるにしても考えていかなければいけないんではないかと思っております。会社によっては生産と販売を別会社にしているとか、そういったこともあると思いますので、これは場合によっては連結ベースで減損を考えなくてはいけない場合もあるかと思います。

それから最後に、米国基準、IAS等をどう考えるかということでございますが、今申し上げたような状況で、なかなかキャッシュフローを定例的に計算しているようなことはございませんので、どうしても減損の兆候ということを入り口の段階でチェックしていくということが必要であり、そういった場合には設備休止といったような明確な企業の意思決定がある場合に限るというのが我々の実務から見た実感でございます。

又、減損のテストということで、先ほど言いましたように、将来見通しは非常に不確定でございますから、やはり減損をチェックするときにいきなり割り引いてから入るのではなくて、米国基準のように割り引く前のものを累計するような形で一たんチェックしてみるというようなことが必要ではないかと思っております。

少々長くなりましたけれども、私からの説明は以上でございます。

○辻山部会長

ありがとうございました。

只今の都委員の御報告に関しまして、御意見、御質問のある方はどうぞ御自由に御発言ください。

太田委員。

○太田委員

1点確認させていただきたいんですが、資産のグルーピングに関して、損益管理は品種別ですとか事業別等々いろいろな形て行われていらっしゃるというふうなお話を伺ったんですけれども、私がたまに見かけます会社さんですと、損益管理は当然製品グループごとにやることが多くて、もちろん新日鐵さんのような会社はやられていると思うんですけれども、必ずしも資産のグループ化というのがその製品群とは違うくくりでなされているケースが割とよく、たまにというか、結構あるような気がしておりますが、その辺は御社の場合はどういう形になっているのか、最終的には配賦というような形で行うことになるのかという点について、御社のケース、あるいはほかの会社さんのケースで御存じの点があればお聞かせ願えませんでしょうか。

○都委員

そうですね、そういう意味では資産のグルーピングというのは、おっしゃったとおり計算は品種別にやります。資産のほうは、品種との関係で言えば、前工程から、上工程から流れるときは、やはりそのコストをある基準で次の工程に配賦しながら最終製品に集約していくということでございます。従って、何か品種と離れて資産をある程度グルーピングをして考えるということは現状はやっておりません。あくまでコスト計算をやっていく過程で、フローの世界で品種に結びつけていっていると、こういうことでございます。

ただ1点申し上げますと、最近、資産効率を上げるという、いわゆるROAですね、アセットに対してのリターンを上げていこうという動きがありますので、どうしてもフローだけに着目しますとアセットはとにかく大きく持てばそれなりにリターンを生みますからそちらは膨らむ傾向にありますので、リターンに結びつけてアセットもある程度、極力ひもつけて、リターンを大きく、アセットは極力小さくするのを責任者ごとに決めてやっていったらいいという考え方がありますので、今後はそういうことも考えていきたいとは思っております。

ただ、それにしても、例えばあるメッキの製品を作る人と鋼管を作る人、ここは例えば収益の責任者がやる。ところが、その大もととなる高炉は一つです。そうするとやっぱり、アセットを決めるにしても所詮は配賦等区分して、高炉は物理的には1個なんですけれども、3割はこっちの人、7割はこっちの人というようなことになってしまいますので、完全に1対1でひもつけるのは難しいということでございます。

○太田委員

そうしますと、例えば一つの製品群で見た場合には、一つの製品群が減損しているというような結論になった場合には、同じ高炉でも例えば3分の1について減損の処理をするとか、そういうことにならざるを得ないと、そういうようなことで理解してよろしいでしょうか。

○都委員

ええ、そういうことになります。ですから非常に難しい問題が出ると、こういうことでございます。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。そのほかに御意見、御質問ございましたら、御自由に御発言いただきたいと思います。

はい、どうぞ。

○中島部会長代理

今の太田さんの質問に関連してなんですけれども、この4ページに先ほど御説明いただいた図がありますね。これで言うと、これが一つのセグメントを成しているのか、それとも、この中からまた幾つかのセグメントに分かれているという感じになるんでしょうか。

○都委員

この4ページの右側のほうに、黒丸で出ているのが品種の単位と考えていただければと思います。上のほうから熱延鋼板とか錫メッキ鋼板とか書いてございますが、これが比較的一つのセグメントだと、鉄の中のセグメントだというふうに考えていただけばいいと思います。もちろん、我々が原価を管理したり、そういう単位は当然これよりも小さな単位でそれぞれ計算しておりますけれども、一つのある程度分かりやすい、比較的最終製品を作る設備にひもつけて考えると、これぐらいのセグメントになるということでございます。

○辻山部会長

辻前専門官。

○辻前企業会計専門官

ちょっと不勉強なので教えていただきたいんですけれども、今のこのページの一つの流れというのは、例えば1個の工場というか、一つの製鉄所ごとの単位というんですか、そういう単位のグループというか、大きいグループなんですけれども、そういうのもあるというふうに考えてよろしいでしょうか。

○都委員

これは一つの製鉄所ですべてのものを作っているわけではございません。例えば我が社は9つ製鉄所がありまして、そのうち4つの製鉄所には高炉があって、高炉がある製鉄所はほぼこのルートで通ります。ただ、一つの製鉄所だけを取り出すと、すべての品種を作っているかというと、このうちの何割かの品種を作っているということでございます。ただ、少なくとも高炉がございますところは、当然ですけれども、高炉から流れて転炉、それから鉄の固まりと先ほど申し上げました、このあたりまではそれぞれの製鉄所に皆ございます。

○辻山部会長

そのほかに御意見ありますか。

どうぞ、太田委員。

○太田委員

今のところに関連してしまうんですが、高炉から転炉に行って、その後いろいろな製品でいろいろな工程があって、最終的にはたくさんの製品、グループに分かれていくということではないかと思うんですが、例えば最初の高炉のところから転炉のところに行くような製品の振り替えは、内部振替価格で行われているのかどうか、もしそうであるとすれば、内部振替価格というのはどういう基準で決められているのかお教え願えませんでしょうか。

○都委員

基本的には、内部振り替えというよりは、むしろ実際にかかったコスト、それでどんどん後工程に送っていきます。

○辻山部会長

では、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員

今御説明いただきましたので、私の興味のあるところなので御質問したいんですけれども、当社の実務というフローの図なんですが、その図の一番最初の投資効果の経済的評価方法というところについて一つお聞かせいただきたいんですが、先ほどの話をお聞きしておりますと、基本的には将来のキャッシュフローを何らかの率でもって割り引いたものを基本にしているというふうに私は理解をしたんですけれども、そして一番目の回収年数法というのは、いわゆる割引回収年数法というような普通我々が俗に言っているものかなというふうに聞きました。それで、2つ目なんですが、ROIというんですが、これは将来のキャッシュフローの現在価値が投資額に等しくなるような割引率を求めるということで、普通言うところの内部利益率、また内部収益率と言われている、インターナル・レート・オブ・リターンと言われている率ではないかなというふうに考えたんですけれども、そう考えていいのかどうかということが第一の質問です。

それから2つ目は、そのIRRですね、ROIを求めた後でハードルレートと比較するというふうにお話をいただいたわけですが、このハードルレートとして普通財務の理論では加重平均資本コストを取るというふうに言われているんですけれども、そういった一つのハードルレートをとるのか、それとも投資案のリスクに応じてハードルレートを変えるというような、そういうポリシーをとっているのか、それについて非常に興味がありますので、お聞かせいただければと思います。

○都委員

まず1点目の御質問は、先生がおっしゃったとおりだと思います。念のため式で申し上げますと、設備支出、これは現時点で支出で終わりだと考えます。一方で年々の効果がずっと上がってきます。一応10年をタームにして、その間のそれぞれの効果をまずは一たんは年ごとに出た効果を合計していきます。それの年ごとの効果をある割引率でもってそれぞれ割り戻していったら、最初の支出額にイコールになるようにレートを求めると、こういうことでございます。だから、多分先生のおっしゃったとおりです。

それから2点目は、リスクをある程度考えるのかと。個別の応用動作としてはそういうことあると思うんですけれども、基本的には鉄鋼事業ということでございますので、多分そういうリスクはないと思いますので、私実は最近は直接そこにたずさわっていないので分かりませんが、多分基本的にはその辺の個別のリスクを余り大きくは差をつけて見ないで、もともと考えておったあるハードルレートを超えるかどうかと、こういうことでやっていると思います。

○大塚委員

ありがとうございます。そうしますと、今度はその後のフォローアップということになるわけですけれども、成果のフォローというときには、計画どおりに、計画されたキャッシュフローどおりに発生しているかどうかというような形のフォローアップなんでしょうか。ここではたしか完成後1年後というふうに言っているわけですけれども、本来であればフォローアップというのは常に行われていなければいけないような気がするんですけれども、その辺のところはいかがなものでしょうか。

○都委員

そういう意味では、実態でやっているところは1年後ぐらいということでですね、その後はまたいろいろな状況変化が出てまいりますので、その分だけを純粋に把握するというのはなかなか難しいものがありますので、本来はおっしゃるとおり10年後たってみてどうだったかということもやる必要があるかと思いますが、それは定例的にはやっておりません。それは今度はむしろ品種別収益の収益とか、そういったところの中で全体としてうまく行っているかどうかを見ていると、こういうふうにお考えいただければと思います。

○大塚委員

そうすると、基本的には設備ごとに、例えば予定どおり行かなかったからそれが減損しているとか、そういう判断は一切しないと。要するに全体として、もう少し大きな形でもって判断するという、そういうところに今のお話は結びついてくるというふうに考えてよろしいでしょうか。

○都委員

そうでございますね、むしろ全体としてどうかと、こういうことだと思います。先ほども出てまいりましたように、昭和61年度も幾つかの高炉をとめることにいたしましたが、それはそのとめたところだけが将来キャッシュフローがなくて、残ったところが非常にあったとかいうよりも、全体としてその生産能力ですね、それが過剰かどうかという判断の中で、あとは限界的にどこをとめようと、こういった判断になるということでございます。

○辻山部会長

よろしいでしょうか。

それでは、また後でも少し質疑の時間が取れると思いますので、先に進めたいと思います。

次に、岩田委員から、主として不動産に関する減損の認識及び減損損失の測定につきまして、実務的な観点から御報告をいただきたいと思います。

岩田委員、よろしくお願いします。

○岩田委員

三菱地所の岩田でございます。資料2に沿って御説明申し上げます。

まず、不動産投資の実務ということで、土地を取得してビルなどを建てるのにどういう投資判断を行い、その後のフォローをどうしているかということでございますが、ここに書いてございますが、この1から7までの流れでやるということで、物件情報を収集し、調査、そこでいろいろ収支計算をして、投資の意思決定を行うということなんですが、その中でのどういった観点でやっているかということなんですけれども、投資利回りがどれくらいあるかとか、それから投資額、当社の場合、大体毎年の投資額は1,500億から2,000億の間ぐらいなんですが、その間でそういった新規投資に振り向けるものはどういったものかといった整合性を見つける。又、単体では、例えば単年度の黒字転換年度はいつだとか、累損解消年度がどうだとか、借入金返済はいつだとかいった数字を勘案しながら、又、最近では投資判定基準というものを設けまして、当然現在価値の割引とかいろいろあるんですけれども、その中でも当社としてはIRRとROAを今採用してございます。先ほどちょっと出ましたけれども、加重平均資本コストとの関係はまだ当社としては、非常に算出が複雑だということもありまして、それぞれの物件に対するリスクを見ながら、その判定基準に照らし合わせて投資意思決定を行っていくということでございます。一般的に30年以上の保有を前提にして意思決定を行うということでございまして、最近出てきました不動産の流動化の問題とか、米国などでやられておりますような出口戦略をあらかじめ想定したような、いわゆる5年ないし10年後に売却するといった考え方は考慮しておりません。そういう中で意思決定された中で物件を取得し、建物を建築していくと。

ただ、この間にいろんな要因がございまして、建物建築に支障が生じた場合は土地の売却を検討していくというところでございます。

建物竣工後、稼働させていくわけですけれども、土地は非償却資産でございますので、償却しない、設備は、毎期減価償却していくという形をとってございます。

損益単位は、ビルごとに損益を管理しております。ただ、事業部門としては、例えばホテルとか、そういったいろいろセグメント別に分けてやる場合もございます。

現行基準における不動産の評価減・減損処理でございますが、収益性低下時点では特段の処理は今行っておりません。実際、収益性など、バブルと言われた時代から比べますと、稼働ビルのほとんどは収益性は低下しているわけでございますけれども、実際は稼働ビルほとんど当社の場合黒字でございまして、一部新規に建てたものの中で償却が多いものでちょっと赤字のものもございますけれども、キャッシュフロー上は問題ないのではないかということで、バブル時から比べるとかなり収益性は低下しているんでございますけれども、そういった意味での処理はやっておりません。実際、最近販売不動産の強制評価減がございましたけれども、売却を意思決定したときに販売用不動産に振り替えて、評価減するものは評価減するといった形になっております。現在、固定資産は最初事業用として購入したときにも投資環境の変更によりまして実際の固定資産であっても、例えば当社の場合、仮に丸の内に集中投資を行うといった場合、ほかになかなか投資ができないということになりますとやはり持っていること自体が問題になりますので、そういった場合は販売に振り替えて、当然それを売却するといったようなことをやっております。

減損認識でございますが、ここで主に米国基準について言えと言われておりますが、将来キャッシュフロー及び割引率を――IASなどは割引率を使っておりますけれども、問題点としましては、現在価値の計算目的によってまず結果が異なる、それから不確実性が存在するという将来キャッシュフローの問題点、それから割引率につきましては、複数の割引率の存在があるということでございまして、又IASと米国基準を比較した場合は、我々のほうとしては非常に米国基準のほうが将来キャッシュフローを割り引かない分だけ不確実性が減少するということもありまして、実際の局面としては使いやすいのではないかなというふうに考えておりますが、アメリカの場合もキャッシュフローの中に入っているのかもしれないんですが、土地そのものの価値、その土地が持っている値段といいますか、価値がどういうふうに考えていくのかなと。例えば、仮にあるビルでキャッシュフローが出ないような建物があった場合でも、その土地が全く価値がない、ゼロだという議論もなかなか日本では成立しにくいのではないかなと。特に、事業用地では、まず必ず何らかの価値があると、土地代という形で価値があるということでございますので、この辺をどう考えるかというところではないかと思っております。

そこで、測定の問題でございますが、2ページ目に移らせていただきますが、これは私、前回の発表のときもちょっと述べさせていただきましたけれども、不動産評価方法としましては、公的土地評価としまして地価公示、都道府県地価調査、相続税評価、固定資産税評価と大体4つございます。そのほかに今度は不動産鑑定評価という価格もございまして、これについては正常価格、限定価格、特定価格、それぞれのいろいろな環境、それから要因によりましてそれぞれの価格が存在すると。又、方式につきましても、原価方式、比較方式、収益方式というものがございまして、それぞれ積算価格、比準価格、収益還元価格といったものがございます。それぞれ評価方法いずれも一長一短ございまして、全保有不動産につきまして一つの評価方法を適用して適正な結果を導くことはなかなか難しいのではないかなと。又、その評価方法を任意で選択できるようにすれば恣意的になるおそれがあるということで、これは実は販売用不動産の評価減の中でも幾つかの基準がございまして、これについて我々のほうでもどれをやっていくかということでかなり悩んだ経緯もございます。又、不動産鑑定士さんに頼んで不動産鑑定を取るということであれば、実際、費用的にも、実務上の負担もかなり大きいということで、そういった方法は避けたいというところが実情でございます。やはり、不動産鑑定評価を取るのは大体いつも土地の売買などが実際に行われるときで、それが土地代の原価に入っていくというような形でやるのが実際でございます。

それから、最近、不動産投資ファンドとか、SPC法を使った証券化というふうなことでございますけれども、この場合はディスカウント・キャッシュフロー法を使っているようでございます。それは現在価値法と、それから内部収益率といったのがかなり大きな判定方式ではないかなというふうに思っております。実際、私どもも今年度中に不動産投資ファンドを立ち上げる予定でございまして、そちらのほうにつきましても、こういった混合系でございますけれども、こういったディスカウント・キャッシュフロー法を用いた形で各物件の評価はしております。

ただ、不動産における公正価値と回収可能価額の相違点、算定の難しさというところでございますが、やはりパラメーターの値をかなり仮定しなければいけないということで、キャッシュフローの推定を行うについてかなり不確実性が出てくるということ、特に、その数字によっては楽観的であったり悲観的であったりということで、これはまた後で実例をちょっと述べますが、この辺の感応度分析などがかなり必要になるだろうと。それから、最初に決めるものでございますから、投資物件のいろんな投資実行後のいろんろオプションをなかなか考慮できないというところが一つございます。

資産のグルーピングでございますが、賃貸業に供している資産は、ほとんど物理的にはビルごとに区分されているわけでございますけれども、企業にとっては地域とかそういったものについてのセグメント別にポートフォリオを組んで配置された一体化した資産であるというところがございます。例えば、地域などで、当社の場合はみなとみらいで行っておりますけれども、ランドマークタワーでございますが、ランドマークタワー全体として――これはホテルとかショッピングセンター、オフィス、展望台、ホールといった、それぞれかなりものの違った、キャッシュフロー自体の発生の違ったものがございまして、これをそれぞれ個別になかなか評価していくと全体が逆に失われてしまうというところがございまして、こういった考え方もどういうふうに、仮にこの減損が適用された場合していかなければいけないかといったところが非常に我々としても悩ましいところではあるというところでございます。

その他、税務会計の乖離・齟齬を来さないための措置が不可欠であろうということでございます。

以上を踏まえた上で望ましい認識・判定基準でございますけれども、これは私どもが考えたところでございまして、まず時価会計という一つの流れがあると思うんですけれども、時価会計自体は時価の算定が容易であるということと、換価が容易であるということ、2つの条件が満たされなければならないと。特に市場があるとかそういうことになると思うんですけれども、有価証券とか販売用不動産につきましては、もともとそういった性格を所有しておりますので、その条件を満たすとは思うんですけれども、固定資産における不動産、特に我々がやっている賃貸業などは、販売を目的としているとは言えませんので、そういった保有を前提としたというところもございます。それから、実際そういったものの市場性が常にあるということではございませんので、それぞれ一律に判断することは難しいのではないかと。

それで、種別と性質に分けて5つを考察してみました。ただ、ほかのところはちょっとダブりますので、簡単にこの5つに分けまして、未稼働土地、建物建築中の土地、稼働中土地、未稼働建物、稼働中建物とその敷地とございますけれども、ちょっと問題になりますのは未稼働土地の考え方だと思うんですが、減損の兆候としまして、計画建物がいろんな状況で建築不能になった場合は、これは売却するのが通常でありますので、これは当然売却可能額まで減損を認識すると。こういう状態は仕方がないのかなというふうに思っています。ただ、市況の悪化により計画建物を建築しても想定した収益が期待できない場合でございますけれども、売却しなければならないほど、要するにもう建物を建てられないほどになってしまえば、これは当然aのケースと同じなんでございますけれども、たとえ土地が下がったとしても、建物について、その建物を建てたときに改めて減損が必要になるということで、これは時期が一つ問題になるだろうと。それから、cは土地の地価が下落している場合でございますけれども、これも先ほど申しましたとおり、地価が下がったからといって収益性が低下するということは、特にビルの場合は完全に連動するということは全くありませんので、そういう場合もないわけではないですが、実際には土地の土地が下落したからどうだということではないということです。

減損の認識のほうにまいりますけれども、結局、将来キャッシュフローを見積もる際にどういったことが問題になるかといいますと、見積期間と土地の回収額ということになるのではないかと。るる書いてございますけれども、一応そういうことでございまして、その見積期間を一体どういうふうに見るかということで4つに場合分けしてございます。又、土地回収額についても、どの価格を取っていくかということでそれぞれ議論があるところでございまして、その辺のことをベースに次のとおり書いてございますが、ちょっとこれは後で読んでいただければと思います。

5ページの中段でございますけれども、稼働中の建物とその敷地につきましては、環境の著しい変化により、減損の兆候でございますけれども、営業を継続しても従来の収益が期待できない場合に限り減損の認識が必要ということを考えておりまして、この環境の著しい変化というのは、例えば単純にちょっと収益性が低下したとかそういったことではなくて、それ以上の何か事業として成立しない――ビルが壊れるということはなかなかないんですけれども、もしくは何か物すごく環境が変わってしまったということ以外はなかなか考えにくいのではないかなというふうに思っています。

損失の測定のところでございますけれども、不動産の時価評価というものにつきましては、誤差が非常に大きいというふうに、評価法によって差があると。誤差というのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、差があるわけでございまして、例えば今回の販売不動産の強制評価減の際にも、同一の不動産の評価が、ある基準では評価益の生じる状態であるのに、別の基準を用いると50%を超す評価減が生じる結果となると。これはどういうことかと言いますと、例えば山林と住宅地がちょうど近くなっていた場合に、例えば路線価を採用した場合、山林のところにポイントがありますと路線価としては非常に低いわけでございますけれども、ところが住宅地があるということで、将来これは完全に住宅地として期待できるわけでございますから、そこで不動産の鑑定を取るとかなりいい評価が出てしまうということで、これも一定基準で、基準の問題については非常にそういった全く正反対の結果が出るという現状もございます。又、減損の認識と損失の関係も、一つの考え方を統一したものでないとなかなか難しいのではないかなということで、ここに「減損の認識と損失の測定はリンクしていることが望ましい」というふうに言えると。

最後に、6ページでございますが、以上からの結論でございますけれども、不動産の減損については、その類型を慎重に考慮すべきではないかと。特に、稼働中の土地建物については、国際会計基準及び米国流のキャッシュフローからの公正価値算出は、土地の価値がゼロかそれに近い考え方がやはり根底にあるのではないかと。こうした考え方が日本の今の土地に関する考え方についてなじむか十分な検討が必要であると考えております。

一般に妥当と見られております収益還元価額が、そういった公正価値として認識できないといった実務例は多々ありまして、実例を挙げますと、最近千代田区大手町で入札された物件では、各社キャッシュフローの見積もりによっては250億円から400億円ぐらい、380億円ぐらいだったかもしれませんけれども、それぐらいの差が出てしまうということでございます。最近、不動産投資ファンドの関係で、事業用地はかなりバブルに近い状況になっているところもあるんですけれども、その中でもやはり、例えば100億レベルのものでも80億から150億ぐらいの差があると。そういったぐらい見方、考え方ですね、例えばキャッシュフローですと賃料をどう取るかによっても全く違っているところでございますので、これをひとつどういうふうに考えるかというところではないかと思います。

ですから、減損の云々を調査する場合は、実務上の負担に考慮して、減損の兆候が存在する資産に限るべきであり、貸しビル事業などの減損の兆候を具体的に考えますと、賃貸料や稼働率の著しい変動、もしくはもともとそこにはビルが成立しないようなところに建ててしまったようなビルのような、全く回らなくなったという表現を我々は使うわけですけれども、そういったビル、建物が対象にされるべきものではないかと。そういうことで、減損の兆候のところをきちんと明確にすべきだろうということでございます。

その他としまして、減損会計の実施により、そういったものが経営に反映されたりするわけですけれども、そうした場合でも期間損益が不当に歪められることを回避するための処置が必要であるとともに、減損損失の計上時については、損金算入などの措置もしなければというふうに考えております。

以上でございます。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

只今の岩田委員の御報告につきまして御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。

太田委員。

○太田委員

1つ質問させていただきたいんですけれども、今の6ページの最後のところの結論の2番目なんですが、キャッシュフローを算定する際には土地の価格がゼロという考え方があるというお話しだったかと思うんですが、私この分野全く素人でございまして教えていただきたいんですけれども、普通に考えますと、例えば30年間の賃貸借をもって例えばキャッシュフローを算定した場合には、その30年後には土地を処分というか売却して、そこから上がるキャッシュフローはキャッシュフローのインとして見積もるのが一般的には普通のような気がするんですけれども、それは不動産の世界ではそういう算定はされないということでしょうか。

○岩田委員

日本の場合はキャッシュ総体としてどちらも当然入れて考えておりますけれども、アメリカの場合は土地が余り高くないわけですね。ですから、常にキャッシュフローのところの部分で考えておりますので、結果として余り土地代を見ないような議論の展開になっているのではないかということです。ですから、実際、日本の場合でも当然その土地代は入れて考えております。

○辻山部会長

そのほかございますでしょうか。

辻前専門官。

○辻前企業会計専門官

3ページのところで、以上を踏まえた望ましい認識・測定基準のところで、固定資産における不動産は販売を目的としている棚卸資産と異なるという御説明があったんですけれども、例えば製鉄所の敷地みたいなのは分かりやすいと思うんですけれども、賃貸用の不動産の敷地とかは何か容易に買い手が見つかるような気もするんですが、そのあたりは賃貸用も同じだというような御説明があったと思うんですけれども、ちょっと補足か何かしていただけますでしょうか。

○岩田委員

今のは、要するに工場用地が……。

○辻前企業会計専門官

岩田委員の御説明は、賃貸用の不動産も固定資産なので、他の資産である販売用不動産などとは性質に違いがあるという御説明だったんですけれども、私の理解だと、製鉄所の敷地みたいなものだったら分かりやすいんですけれども、賃貸用の不動産とかだったら市場があるような気もするんですが、そのあたりはいかがでしょうかという質問なんですけれども。

○岩田委員

工場用のやつは工場で、工場の敷地といいますか、工場は工場用の用地なわけですよね。それがないと工場として成立しないものですよね。工場をやめた後に、工場用地が最近住宅用地として出ているということをおっしゃりたいんですか。

○辻前企業会計専門官

全然別です。賃貸用の不動産についても固定資産なので、要するに棚卸資産である販売用の不動産とは……。

○岩田委員

賃貸用の不動産は、一応固定資産のほうに入れて考えてはいるんですけれども。

○辻前企業会計専門官

ですから、そのあたりがちょっとよく分からなかったというか、賃貸の不動産でも販売というか、売却とかは容易とは言いませんけれども、そういう市場みたいなものは考えられるのではないかなという気がしたものですから。

○岩田委員

実際そういうものはあるとは思うんですけれども、最初からどういうふうに考えて作っていくかといいますか、所有しているかによるのではないかなと思うんです。ですから、賃貸用ということでいって、それを売るということは、要するにもうそれは販売用にしてしまっているわけですよね。要するに、売ることを前提として賃貸しているというようなイメージになるわけですよね。そうすると、販売用不動産に本来は振り替えていくべきではないかと思いますけれども、そうではないでしょうか。

○辻山部会長

只今の辻前委員の御質問は、投資不動産との関係も恐らく念頭に置かれているのではないかと思いますけれども、使用固定資産と販売用という分け方で御報告あったと思うんですけれども、例えばIAS基準等では、投資不動産に賃貸用の不動産を入れるというような判断がありまして、その検討との絡みで只今の御質問があったんだと思いますけれども、お答えの趣旨は、実務の実感からすると、賃貸用不動産をいわゆる他の販売用不動産と同等に評価するということが実務的な実感と合わないという、そういう御趣旨で承ったんですけれども。

○岩田委員

そもそも賃貸用と言った場合は、長期保有を前提としているのではないかということなんですね。最初に持っているときにですね。ですから、それをもし売るということになりますと、当然それは販売用に振り替えて、目的が全然違いますから、賃貸を目的として、もしくはそれを事業としてやっているのではなくて、販売するということが目的になるわけですから、それは販売不動産として振り替えるべきではないか。

それから、投資不動産との関係で、これは不動産協会自体の考え方でもあるんですけれども、なかなかIAS40号の投資不動産の考え方における賃貸業の扱いはちょっとどうなのかなというところで、その辺はもう一度考えていただけないかなというところもちょっとありまして、あえてこういう表現をしております。

○辻山部会長

分かりました。どうもありがとうございました。只今のあれですと、販売用なのか使用目的なのかという分け方に対して、一方では投資不動産というくくりがありまして、そこに賃貸用の不動産の扱いをどうするのかという難しい問題がございますので、実務の実感は承ったということで、今後またこの問題については理論的な問題も含めて検討の対象となってくると思いますけれども、どうもありがとうございました。

そのほかに何か御質問、御意見ございますでしょうか。質疑の時間は十分ございますので、どうぞ御自由に御発言ください。

もし、特にこの段階でございませんようでしたら、秋葉委員の御報告も土地の減損の問題にかかわっておりますので、御報告をまずいただいて、岩田委員と秋葉委員の御報告についてあわせて質疑を行いたいと思いますので、よろしいでしょうか。

では、とりあえず、秋葉委員の御報告に進めさせていただきます。

秋葉委員、よろしくお願いいたします。

○秋葉委員

会計士の秋葉でございます。冒頭、部会長のほうから御説明ございましたように、お手元の資料の3の表題にあります「土地の減損について」の報告をさせていただきたいと思います。

ここの趣旨につきましては、先ほどお話しありましたように、この1枚のペーパーの2番、「今後の検討に際して」という見出しをつけておりますが、一つのこのポイントといたしましては、土地に関しては非償却性であるということと、それから固定資産の中で重要性が高いという2点の特徴があるのではないかという観点から、これまでの審議会でも議論をしていたというふうに理解はしておりますけれども、論点の整理の段階では固定資産一般を念頭に置いて触れていたということのようにもとらえられるので、もう少しこの面に着目して検討する必要があるのではないかというのがここでの趣旨でございます。

これに先立ちまして、その論点の整理について、各界からいただきましたコメントにつきまして、若干取捨選択しておりますけれども、特徴的なところをまず1番目のほうに並べておりますので、そちらについてからまず触れたいと思います。

幾つかのコメントのうち、まずテーマといたしまして、減損の認識について。これは、今の2人の委員の方のコメントにもございましたように、いわゆる確率基準と申しますか、減損の存在がある程度確実な場合にこれを、減損損失を認識するというようなコメントが多かったというふうに理解しております。これは、いわゆる国際的な基準の流れからすれば、IASよりもアメリカの基準のほうについての支持が多いというふうに理解されるかと思います。

さらに、ちょっとここでは触れておりませんが、測定の問題に関しましても、どちらかと言いますと、公正価値を用いたほうがいいんではないかというアメリカ基準を支持するコメントが多いように見受けられたと思います。

それから、(2)といたしまして、全社資産、それから共用資産に関するコメントなんですが、ここはまたきょうも御報告ございましたように、企業の判断に委ねたグルーピングを認めるべきではないかというコメントが多かったように思います。

さらに、ちょっと局面変わりますが、(3)といたしまして、意外とこの論点整理に対するコメントの多かった点といたしましては、土地再評価法との関係、これについて議論するべきではないかということのコメントが多かったように思います。そこにもございますように、土地再評価法を適用して評価替えを行った場合の取扱いを検討すべきというコメントが比較的多く見られたわけですけれども、特に会計的な処理との関係でいきますと、現在土地再評価法を適用して再評価差額金というのを資本の部に計上しているケースが見られるわけですけれども、これを取り崩した場合には、現状、剰余金の修正という形でとらえられて、P/Lではなく、すなわち当期純利益の下に計上するという形になっておりまして、そうすると、既に土地再評価法を適用した土地について減損損失を計上した場合に、その減損損失をP/Lに計上するということからしますと、取り崩しと、それから損失の計上が対応しないということのコメントが見られました。この辺については、審議の今後の過程で少し具体的な話ということで取り上げる機会もあろうかというふうに思います。

それから、(4)としまして、投資不動産の問題ですけれども、これもコメントを総括しますと、公正価値ないしは時価評価、これについては否定的なコメントが多かったというふうに思います。

このようなコメントを踏まえて、かつ冒頭に申しましたような土地に関する非償却資産である、それから事業性が高いということの観点から、このいわゆる土地の特殊性といいますか、さらにちょっと日本的な状況も考えて、これをどう扱うかというのが一つのポイントになるのではないかということで報告させていただいているという次第でございます。

特に、土地の問題についても、減損の兆候ですとか減損の認識、それから測定の問題と、いろいろな局面での問題があろうかと思いますけれども、きょうはこの3番目にありますように、土地の減損の認識に絞って問題といいますか、疑問として考えられる点を述べさせていただければというふうに思います。

問題の所在といいますか、一つの疑問といたしましては、先ほどのような論点整理のコメントを踏まえて、仮に確率基準というようなある程度減損の存在が確実な場合というような基準を減損の認識に適用して、これも画一的には決まらないと思いますが、アメリカの基準のように割引前キャッシュフローが簿価より低いというような基準で減損の認識を取った場合に、考え方のもとになりますいわゆる減損というものとの考え方がどうなるかと。これは、減損についての考え方は、従来からこちらの審議会のほうでは、この2行目にもありますように「収益性の低下により投資額が回収困難になった状況」ということで議論されておりますけれども、その概念に照らして、もしその減損の認識を割引前キャッシュフローが簿価より低いというケースを一つのバーにしたときにこの概念と合うのかどうかというのをここでは取り上げようということでございます。具体的に3つほど非常に簡単な例を挙げて、これがいわば一般的な常識と申しますか、感触とするところと整合するかどうかというのが私の疑問として挙げたい点なんですけれども、例えば(1)としまして、キャッシュフローを生み出す物件で、割引前のベースでは回収できる、従って、減損の認識はしていないというようなケースに当たったとしても、それを構成する土地の時価が著しく下落しているようなケース、これを本当に減損と考えなくていいのかどうか。具体的な例として非常に簡単なケースでありますけれども、イメージを持つために非常に仮定の数字ですけれども置かせていただきました。例えば、賃貸ビルなんかで簿価は100でありますが、この簿価も土地が70、それから建物は30という、比較的日本の不動産の中で、土地の割合が高いという中でも7割程度というのはちょっと高目かなという気はいたしますけれども、一応イメージを置くために70、30というような構成の賃貸ビルがあって、これが仮に年間利回りが3%で回っている。一応これも利用年数という概念は難しいですが、30年というようなことで考えた場合に、現状の時価が30であった。このまた時価の30というのをどういうふうに出すかというのが、今のお話にもありましたように非常に議論のあるところではありますけれども、特に収益還元的な発想をしますと、年利3%で回っている物件ですので、リターンを10%というふうに置きますと、逆算して時価は30というふうに、ちょっとここでは単純な仮置きでイメージを持たせておりますけれども、そういうようなイメージで時価が30。これもさらにその構成要素として、土地がかなり下がっている。70から2割程度の14というように落ちたような形で時価が著しく下がっているようなケースでも、念頭に置きましたような割引前のベースでのキャッシュフローでその減損認識を考えるということを単純に当てはめますと、年間3%の利回りで約30年使える。それで、土地の時価が14で、一応出口のバリューがそのまま割引しないということで加算しますと、総キャッシュフローは104というふうに計算されますので、簿価100で時価30というものの物件が、この例でいくと減損はしていないということになるんですが、これがこういうふうな考え方でいいのかどうかという点が少し疑問に持たれるというところであります。

それから、(2)と(3)は、例として近似しているものなんですけれども、グルーピングに焦点を当てております。(2)は一つの例としまして、土地の時価が著しく下落しているわけですけれども、この物件自体が直接キャッシュフローを生み出さないということで、グルーピングの対象にするということですが、このグルーピングによって判断した結果、割引前のベースでは回収できるというケースで、実態上も利用も十分されているというようなケース、これは減損の兆候のところの考え方でいくと、このようなものは具体的なグルーピングの対象にならないということも考えられますけれども、こういうものと、それから(3)のように、兆候のところで、その利用は十分されていないということでピックアップされましたが、同じようにグルーピングで判断すると割引前のベースでは回収できるというふうにされるようなケース。これも特に遊休の土地とか福利厚生施設等で、兆候の段階では利用されていないので、この減損の認識、テストの対象になったわけですけれども、割引前のベースで、グルーピングでほかのものと合わせると回収できるというケースについてどう考えるのかというのが具体的な問題として挙がるのではないかと思います。

ここのところではちょっと簡単な例を挙げましたが、いろいろな問題を議論していく中で、その論点整理に挙げたコメントとも関連させていきますと、投資不動産のケース、それからグルーピングのケース、それから土地の地価の算定の仕方、それからキャッシュフローの見積もり方という点が実はある程度複合的に問題の所在としてはあるのではないかというようなことが考えられると思いますので、この点について今後も念頭に置きながら審議していってはどうかというのが私からの御報告であります。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

それでは、只今の秋葉委員の報告、それから先ほどの岩田委員の報告も含めまして、御意見、御質問等いただければと思います。

どうぞ、太田委員。

○太田委員

どちらかというと秋葉委員のコメントにつけ加えさせていただくというようなことでコメントさせていただきたいんですが、土地の減損の認識の部分で、本社資産ですとか、あるいは研究開発センター、あるいは社宅とかそういうものをどうするのかというのは非常に大きな問題であるかと思います。極端なケースでは、例えば同じビルの中に本社と事業部が同居しているというようなケースなんかもございますので、場合によっては事業部の部分では減損認識せざるを得ない、本社の部分は全社で考えるとするとしなくていいという結論になるのだろうかとか、そういう場合には本当に同じ土地建物なのに、半分だけ減損認識するのかとか、その辺はちょっと具体的に議論を進めていかなくてはならないのかなというふうに思っております。

○辻山部会長

只今の問題については、お答えというよりは太田委員の今後のこの部会における議論のコメントということでよろしいでしょうか。

○太田委員

はい。

○辻山部会長

そのほかに何かございますでしょうか。

どうぞ、伊藤委員。

○伊藤委員

都委員の御説明にも関連するんですが、資産のグルーピング、企業の判断に委ねたグルーピングという御説明がありまして、恐らく装置産業ですと都委員の御説明だとほとんどすべてが区分不可能というふうになるように思うんですが、私の過去のいろいろな経験ですと、通常の会社というのは、例えばカンパニー制とか事業部制とか、あるいは部門別に損益管理をしておりまして、その中で幾らキャッシュフローがあり、利益があるかというのをやるんだと思うんですが、ちょっと御説明であったのは、部門間の移転単価を実際のコストでやられているということにすると、確かに部門別の損益というのは把握しにくいのかなと思うんですが、ただ、このペーパーの中に「損益管理は品種、製鉄所、事業部などの各階層で行われている」ということがありますので、例えば実際のコストでやったとしても、何らかの損益管理はされてますんでしょうか。

○都委員

損益勘定はもちろん品種別にすべてやっております。ただ、私が申し上げたかったのは、それを個々の設備一つ一つに結びつけるのが、製品と原価計算、支出収益計算するその個々の品種と、それからその設備が1対1で結びつきにくいということを申し上げたということでございます。

○伊藤委員

会社によっては装置別に今現実にやっている会社が結構あると思いますので、何とか製造設備という、たくさんの例えばコンビナートの中の一つの製造設備というのは、これは採算に合わないから廃棄しようというのはあり得るので、その部門別のくくりの指標を出せば、全社資産であっても実質的にツリーの状態になっていても私は区分できる可能性があるのではないかというふうに思います。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

そのほかに御意見、御質問ございますでしょうか。きょうは製造設備、それから不動産について実務の観点から、実務家の立場からいろいろ御報告いただいているので、さらに詳しく、今後の検討の参考になるような質問を出していただければと思いますが。

太田委員、どうぞ。

○太田委員

今の伊藤先生のコメントに対してなんですけれども、設備で内部振替価格を使ってほかの事業部に振り替えるないしは次の工程に振り替えるということは結構よくあるパターンなのかなというふうに思っております。ただ、その場合に、内部振替価格をどういうふうに決められているかということで、結構減損しているか、していないかという判断に、その内部振替価格を使った損益計算とかそういうB/S、P/Lを用いていく前提としては、内部振替価格がある程度妥当であるというのが前提になるように思いますが、その辺はいかがでしょうか。

○伊藤委員

一般的には、積み上げコストプラス適正利潤、適正利潤は社内でルールがあるんだろうと思いますが、そのときに当然管理しているのは時価を、その中間の状態の時価を十分考慮していますから、一番最後があり、真ん中がありということですから、ある程度確度の高い仕切り価格にはなっていると、そういうふうに思いますけど。

○辻山部会長

先ほど冒頭で太田委員からも御質問が出たことですけれども、製品といいますか、品種別の損益管理、それと資産ごとの減損認識、この辺の流れをどういうふうに仕切るのか、どちらから減損の問題にアプローチするのかということも一つ問題だと思いますし、そのこととの関連でグルーピングの問題も最終的な見通しに結びついてくるのかなという感じがしますけれども。

ちょっと御質問がないようで、時間を稼ぐという意味ではないんですけれども、質問をさせていただきたいと思いますが、岩田委員の御報告のところで、最終的な見通しのところで、一番最終のページですけれども、「減損会計の実施により企業の期間損益が不当に歪められることを回避する」という点と、「減損損失は計上時の損金算入が認められるべきである」という、ここのところはどういう関連があるのかということがちょっと先ほど理解できなかったのでお教えいただきたいと思います。

○岩田委員

何の関連といいますか、これは協会の中でいろんな意見が出ていました、そこがちょっとグルーピングできなかったものですから最後にちょっとつけ加えさせていただいたというだけなんですが。ですから、いろいろ減損会計を実施された場合、こういう点も考えていただきたいと、考えるべきだろうということで、確かに「不当に歪められる」という表現はちょっとあれなんですが、先ほど出ました会社の本社の扱いとかいろいろなものにつきまして、例えばそれが仮に時価とかいろいろなものが導入された場合、非常に損失が出たと。それで、業務的には非常に、事業的にはきちんと動いているのに、それによってその会社の価値がいろいろ左右されるというのは非常に問題ではないかということを言いたかっただけです。

○辻山部会長

分かりました。ちょっとこの2つの御指摘が相関連するものなのかなというあれがあったものですから、考え方によっては矛盾するような指摘であるようにも思いまして。期間損益が不当に歪められないように、減損会計が実施された場合であってもその損益の扱い、損益ではない扱いが考えられるのかなというのが第1の御指摘であって、続けて「減損損失は計上時の損金算入が認められるべきである」というふうに続いているものですから。

○岩田委員

ですから、損益として、要するに損失が出た場合ということですので。それから、減損会計をやった場合、例えばその減損のときはP/Lで損失が認識されるわけですよね。その中で、それを認識されたときには損金算入してくれということです。

○辻山部会長

分かりました。今後検討させていただきます。要するに、深い意味はないという……。

○岩田委員

失礼しました。

○辻山部会長

すいません、失礼しました。

○平松課長補佐

ここで損金算入と言っているのは、税務上のことをおっしゃっているんですね。

○辻山部会長

そうすると、前者は会計上の扱いであり、後者は税務上、そうであっても損金算入を認めると。

○岩田委員

そういうことです。

○辻山部会長

分かりました。どうもありがとうございました。

どうぞ、太田委員。

○太田委員

今のことに関連してなんですけれども、これは最初の部分はどちらかというと減損をものすごく認識すれば、後の損益計算はどちらかというとよくなるという側面がどうしてもありますので、そういう意味かなというふうにとったんですけれども、必ずしもそうではないということなのかということと、あと2番目は、これは税務上のことですので、会計上の処理とは切り離して考えて、特に繰延税金の会計がもう適用されておりますので、どちらかというとここでは決められないというか、税務政策的な部分がかなり大きいのかなというふうに思いますが、どうでしょうか。

○岩田委員

そういうお話、前から聞いておりましたので、そういう意味では税務の話はここではしないということのようではございますが、あえて入れさせていただきました。「そう言ってこい」という感じもちょっとあったものですから(笑)。

要するに、会計と税務は、実務的にはかなり齟齬というわけではないですけれども、なかなかつながらない部分もありまして、会計制度と税務が2つあるとなりますと、非常に実務的に煩雑だという話が常に出ておりまして、又、これ以上いろんな問題で煩雑になるともう堪え切れないという話もないわけではありませんので、そういうことでちょっとつけ加えさせていただきました。ここに入れるのはちょっと間違いだったかもしれません。もっと前で「税務との齟齬を来さないように」という表現がありますので、そこに入れておけばよかったと思います。すいませんでした。

○辻山部会長

分かりました。

では、小宮山委員から先にどうぞ。

○小宮山委員

今の減損損失の損金算入が認められるべきという話で、何となく税効果会計が採用されていればいいではないかというふうに簡単に片づけられるでしょうけれども、現実的にはいつ減損損失が税務上減算されるか分からないという問題があるわけで、そうすると、いつ減損がスケジューリングできるか分からない意見ということになると、繰延税金資産に資産性が認められないという可能性があるんですね。だから、やはり税務の考慮というのは、どちらの肩を持つというわけでもないんだけれども、するべきではないかと私は考えますけれども。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

それでは、斎藤委員。

○斎藤委員

どこで発言していいかちょっと分からない感じで、やや非体系的ですけれども、よろしゅうございますか。

○辻山部会長

どうぞ。

○斎藤委員

まず、実務界からの委員の方のお話は、私は企業経営という観点から承っていれば非常によく分かりました。特に、都委員がおっしゃられたお話で、内部収益率がハードルレートといいますか、カットオフ・レートを超えるかどうかでその意思決定をする、その後は、そのフォローアップとしては、キャッシュフローのチェックは1回程度であって、そこから先はどちらかというと、言ってみれば、その時点から先の将来のキャッシュフローを予測して、その投資を続けるかどうかという判断を多分しているだけだと思うんですね。その観点からすれば、基本的には過去の実績が当初の予定どおりであるかどうかとか、あるいは簿価が過大かどうかということは余り関係ないといいますか、どうでもいい問題であって、過去の投資はもうサンクコストでありますし、過去の実績を今さらあげつらってもしようがないわけですから、その点では都委員のお話は、企業経営という観点からすれば非常によく分かるお話であったと思うんですね。

ただ、それは企業経営という観点からのお話であって、会計基準の話というのはむしろ情報開示でありますから、現在までの利益計算とか現在の簿価が適切かどうかという話をどうしてもせざるを得ないというところで、多少違った論点が含まれるのかなと、そういう印象をまず一つ持ちました。それが第1点であります。

それから、これも順不同ですが、減損等を考える場合のグルーピングの話なんですが、これをフレキシビリティーを最大限認めて、言ってみれば自由にやるべきだというお話。これも、原則として私はそういう方向でいいんだろうと思うんですね。ただ、それは野放図であっていいかというとそうではなくて、仮に全社をまとめてグルーピングした場合には、私前にも一部会か何かで発言したことありますけれども、アメリカの伝統的な会計基準でありますと、やはりその準更生の問題と必ずバッティングいたします。そうしますと、これは減損の問題ではありません。利益の問題ではなくて、持分の修正の問題になりますので、そこはバッティングしないような配慮というのは当然必要だというのが2点目です。

それから、3点目で、きょうのお話で減損の兆候と認識という二本立ての議論で、その枠に乗ったお話が続いたわけでありますが、これは海外の基準がそうだから当然なんですが、それと同じ議論をすべきかどうかということも含めて検討したらいいんではないかと思うんですね。きょう特にお話し伺っていますと、減損の兆候としてかなり具体的なといいますか、例えば回らなくなったケースであるとか、あるいは設備休止等明確な経営の意思決定がある場合とか、非常に明確な基準がありまして、この上にさらに減損認識のテストを重ねるということにどれだけの追加的な意味があるかということは検討する必要はあるんだろうと思うんですね。それが3点目です。

それから、4点目で、秋葉委員の御報告で、土地について他の固定資産の減損とは別途の考慮が必要かもしれないというお話、私もそうだと思います。といいますのは、仮に将来のキャッシュフローを見積もる場合、設備等ですとターミナルのキャッシュフローがもうほとんどゼロか処分価格ぐらいなんですね。ところが、土地の場合にはターミナルで――ターミナルというのは計画期の一番最後ですけれども、そこでその土地を処分するキャッシュフローというものを当然見込まなければいけない。つまり、ターミナルでの土地の時価というのが重要な情報なんですね。そうすると、現在の時価というのは、将来の時価に対するベストエスティメイトであるというふうに考えますと、やはり通常の設備資産等とは違った論点を含み得る可能性があるということで、土地については別の要素も含めてきちんと、追加的な要素も含めてきちんと議論せざるを得ないだろうというのが4番目の感想です。

それから最後に、これは辻前専門官がおっしゃられたことでありますけれども、投資不動産の関連で、賃貸用不動産についてマーケットがあるかどうかという話でありますけれども、これはマーケットがある、なしの議論をすれば、あるとも言えるし、ないとも言えるんですよね。問題は、賃貸用でありますから、テナントがいるわけでありまして、そのテナントを追っ払ってといいますか、整理した上で売買するという状況を想定しているのか、そのテナントを置いたまま売買するという話をしているのかによって、実は問題はかなり違ってくる可能性があると思うんです。テナントを置いたままの売買ということですと、これはマーケットがある可能性はあると思うんですね。あると思うんですが、その議論をいたしますと要するに、例えば企業が、企業全体、あるいは企業の一部門が事業を継続したままでも売買する市場がありますから、そういう売買市場の市場価格というものをどう考えるのかと。それと、会計上の評価をどう考えるのかという議論にも発展いたしますので、テナントを置いたままの売買を想定しているのか、そうではないのかによって話は当然違ってくるだろうということを一つつけ加えたいと思います。

以上、ランダムですけれども、5点ほど並べておきました。

○辻山部会長

いろいろと貴重な御指摘ありがとうございました。

そのほかに何か御意見ございますでしょうか。

若杉会長、どうぞ。

○若杉会長

今の斎藤第一部会長のおっしゃった問題をもう少し突き詰めてみますと、例えば土地にしましても、建物なんかにしましても、テナントがいて、それが単純に――Aさんが所有者から借りている場合が一番単純ですけれども、AさんがBさんに貸して、Cさんに貸してというふうに貸借関係が非常に輻輳してまいりますと、それだけ売買に手間がかかり、それで売れる可能性が減っていくんではないかと思うんですけれども、そういうようなテナントの間での貸借関係が複雑な場合、どんなふうにその価値の減損を考えていったらいいか、そういうものも価値を低める働きを持つんではないかと思うんですけれども、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。

○辻山部会長

実務家として、そういう場合にどのぐらい価値が低まるのかという御趣旨でお答えいただければと思うんですけれども。

○岩田委員

いろんな意味で、例えば土地なんかでも権利関係がいろいろあるだけで、その価格は通常何もないものから比べると当然下がったり、多少低くなったりしますし、当然賃貸関係におきましても、その関係が複雑――余り複雑にしないようにしてはいるんですけれども、どれぐらい下がるかという議論はなかなかその場所によって違うとは思うんですけれども、そういう意味で、それが複雑になればなるほど価格は下がっていくのかなと。特に、最近例えば外資系が日本に来て、大分土地代が下がっているところへ来て、自分たちの資金に物を言わせて買っていくわけです、買おうとしているわけですけれども、買ってみると、やはりその辺のいろんな賃貸関係の複雑さとかそういうものに妙にコストがかかるということで、大分その辺をかなり慎重になってきたという事例もございますので、そういったことが考えられるのではないかなと思いますけれども。

○若杉会長

減損を触発するという働きですね。そう考えてよろしいわけですか。

○岩田委員

複雑になればなるほど、そういう意味での価値が下がるということは確かにあると思います。

○若杉会長

ありがとうございました。

○辻山部会長

ありがとうございます。先ほど斎藤委員から5点御指摘がありました最後の賃貸用不動産の考え方でございますけれども、価値が下がるということと減損認識の必要性が高まるということとはまた別のことで、例えばテナントがいる場合は、事業用資産との類似性が非常に高い。テナントがいない場合は、考え方によっては販売用、あるいは棚卸資産との類似性が高いという、そういう異なる性質を認識しなければいけないんではないかなという、そういう御指摘だというふうに承りましたけれども。

○斎藤委員

部会長が補足してくださったとおりでありまして、私が申し上げたのは、若杉会長がおっしゃられるほど難しいことを申し上げたのではなくて、テナントがいるままの売買であれば、これは事業の売買であると。事業の売買価格と、それから資産の売買価格というのは、会計上の議論としては性質が違うと。そこをきちんと分けて議論しないと、非常におかしな話に発展するのではないかということを申し上げただけでありますので、そのことと会長が心配された減損との問題は、一応また別に考えたいと思っております。

○若杉会長

私は減損と言ってしまいましたけど、価値を下げるという、そういう意味です。ですから、単純な1対1の貸借関係の場合と、それから先ほど言いましたように、貸借関係が輻輳してくる場合とで価値が下がるのではないかと、それです。減損と言ってはいけない問題だったかもしれません。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

そのほかございますでしょうか。

川村委員、どうぞ。

○川村委員

都委員の報告の中にあったかと思うんですが、キャッシュフローの不確実性が高いので、アメリカ基準による割引前のキャッシュフローでテストするのがいいというような表現があったかと思うんですが、キャッシュフローの不確実性が高くなると、本来ですと割引後の価値は逆に下がってくるわけで、むしろ割引前よりも割引後でチェックしたほうがそういう不確実性には対応できるのかなという感じがするんですけれども、実務的な感覚からちょっとずれているのかもしれませんが、コメントいただければと思います。

○都委員

理論的には確かにおっしゃるとおりだと思います。むしろ我々が申し上げているのは、所詮将来のことは分かりにくいんだと。分かりにくいところの入り口に入るものとして、いきなり割り引いたところでシビアに見るよりは、むしろ入り口に入るところは極力狭めるという意味でこの米国基準をというふうに申し上げた次第です。理論的に考えれば、おっしゃることはよく分かっています。我々の仲間で、実務界の仲間で話していても、米国基準は理論的にというよりも一種の生活の知恵のような形でこれが妥当なのではないかと、こういうふうに考えている次第です。

○辻山部会長

今の点も先ほど斎藤委員の御指摘の第3点目にかかわることだと思いますけれども、兆候、あるいは認識の入り口の問題と、それから具体的な減損の測定の問題。これはある意味では減損の定義に照らしてあるべき減損の測定値というのがあるとして、それをどの時点でトリガーを引くのかというのは全く別に、追加テストではなくて、トリガーから入っていくということについても少し検討を要するだろうという御指摘がありましたけれども、今の議論にも多少かかわりがあると思いますので、今後の審議の進め方については十分配慮したいというふうに考えております。

そのほかございますでしょうか。

○伊藤委員

岩田委員の御説明の中に、5ページなんですが、損失の測定の中に販売用不動産の強制評価減という、余り御説明することもないのかもしれないんですが、会計士協会の委員会報告の説明のようになっていますので、5ページの損失の測定という一番下のパラグラフでございますが、確かにこのケースの場合、ある基準では評価益が出、ある基準では50%を超す評価減が生じているということになっているんですが、もともとこの基準というのは、販売可能価格を推定してください。その場合に、一番会社の資産の状況に合った基準をお使いくださいということになっておりますので、例えば山林と住宅地に隣接した山林のときに路線価をお使いになるか、あるいはそれ以外の価格をお使いになるかというのは、我々のほうも別に路線価を使えということではありませんで、その会社が将来売るとした場合に一番可能性の高いその規格をお使いくださいということで、必ずしも販売用不動産の強制評価減の委員会報告を使った場合に、算術的には一時的には出るんだろうと思いますが、最終的には妥当なところに落ちつく委員会報告ではないかと思っていますので、ちょっと弁解をさせていただきます。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

特に、岩田委員から御発言ございますか。

○岩田委員

一応当社の会計士の方からこういうやり方でやりなさいという御意見を頂戴いたしまして、そのとおりやっているとこういった結果が出たということで、別に会計士協会として何か言うということではございませんので、そういう事実があったというところだけ。これは多分御認識いただけると思いますので、それ以上はありません。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

どうぞ、小宮山委員。

○小宮山委員

事業用設備と土地との区別はすべきではないかということはたしかなんだろうと思うんですね。そのとき、入り口と中身をどう決めるのかという話ですけれども、公正価値を取るのか割引価値を取るのかというところで、何となく割引価値の考え方というのは、資産の費用配分とか回収額とか、何かこの辺と関連している概念だなという気がして、さりとて土地はといったら、費用配分は全くされない資産ですので、別の考え方もできるんではないかなという感じもして、その辺もあわせて検討したらどうかなというふうに思っていますけれども。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

事務局のほうから御発言ございますか。特にはないですか。よろしいですか。

それでは、そろそろ予定の時刻も近づいてまいりましたので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと思います。

なお、次回の当部会の日程ですけれども、11月17日(金)午後3時半からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

次回は、固定資産の減損会計のうち、引き続き認識、測定の問題についてヒアリングさせていただき、意見交換をさせていただきます。さらに、英国等海外における投資不動産の会計処理につきまして、これもヒアリング及び意見交換をしたいと思っております。正式には改めて事務局から申し上げます。

本日は、皆様方にはお忙しい中御参集いただきまして、まことにありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。

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