平成13年4月11日
金融庁

企業会計審議会第6回固定資産部会議事録について

企業会計審議会第6回固定資産部会(平成13年3月16日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第6回固定資産部会議事録

日時:平成13年3月16日(金)午後4時00分~午後5時58分

場所:中央合同庁舎第4号館10階共用第一特別会議室

○辻山部会長

定刻になりましたので、ただいまから第6回固定資産部会を開催させていただきます。

本日は、皆様方には、お忙しいところ御参集いただき、ありがとうございました。

それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。

前回は、減損の兆候、減損会計の対象資産、減損損失の戻し入れ、減損に関する会計処理、表示、注記をどうするかという問題について、ヒアリング及び意見交換を行いました。本日は、お手元の議事次第にございますように、まず、岩田委員から、投資不動産の問題について御報告いただき、意見交換をしたいと思います。

次に、伊藤委員から、同じく投資不動産の問題について御報告いただき、意見交換をしたいと思います。

さらに、荒木委員から、米国における減損会計の実例等について御報告をいただき、意見交換を行います。

最後に、荒木委員から、のれんの会計処理に関する米国の動向について御報告をいただきたいと思います。

それではまず、岩田委員から、投資不動産の問題について御報告をいただき、意見交換をしたいと思います。岩田委員、よろしくお願いいたします。

○岩田委員

三菱地所の岩田でございます。投資不動産について、実務的な立場から意見を述べさせていただきます。

本日は、投資不動産の範囲と評価について、主に論述させていただきます。論点整理における検討課題につきましては、既にこの2点が主にあったかなというふうに捉えております。今の投資不動産の範囲でございますが、IAS40号によりますと、投資不動産とは、賃貸収益もしくは資本増価、またはその両方を稼得するために保有される不動産を言うということでございまして、この規定で、投資不動産を規定していくことはなかなか難しいのではないかというのが結論でございます。

現状でございますけれども、IAS40号で定義されている投資不動産という定義は、現在、我が国では、市場販売用不動産というのがありますけれども、多くは、有形固定資産に分類されるのではないか、投資不動産として特に区分されている状況ではないというふうに思っております。

投資不動産という範囲でございますけれども、我が国における、私どもがやっておりますビル賃貸業におきましては、30年以上とか、そういった長期の保有を前提としておりまして、また、事業者は、グループ会社等を使いながら、管理業務などを提供している、そういったサービスを提供している場合が大半でありまして、IAS40号で規定されている投資不動産とは、形態は似ておりますけれども、その歴史的な背景とか、今まで経済に寄与してきた役割を考えますと、投資不動産に分類することはできないのではないかという、そういう立場をとっております。

欧米では、私どものような総合不動産業というのは余り存在していないかと思いまして、やはりブローカーとか、それぞれのマネジメントとか、プロパティ・マネジメントとか、それぞれの分野に分かれておりまして、私どものように長期保有を前提とした会社というのは、他国にはなかなか例はないのではないかと思っています。

また、経済界全般におきまてしも、固定資産につきましては、有価証券のように、誰が保有しても、同じ価値で容易に換金できるということではございませんので、国際会計基準に見られるような投資不動産の時価会計の導入は時期尚早である。これは、経団連なんかも言っておりますけれども、市場の慣行や整備の状況を考えた上で、会計基準の整備を進めるべきである、そういう主張もしております。

本来、減損会計とか投資不動産の件につきまして、資産流動化やそのための評価基盤、時価の問題とか、そういった問題がセットで整備されてこなければ、なかなか難しいのではないかということで、現在の市場整備を踏まえれば、投資不動産に対する時価会計導入は現時点ではなかなか賛同できないのではないかと思っております。

ただ、そうは言いましても、昨今、土地流動化にかかわる法整備を受けて、証券化とか、SPC法とか、随分整備されてきたわけでございますが、全く譲渡を予定しない賃貸不動産と、中長期的には、本年4月以降登場してきます不動産投資ファンド、いわゆるJREITと呼ばれているものでございますが、こういうものに対して売却して流動化するという不動産、そういったものの差異化が進むのではないかと考えております。要するに、長期に本当にずっと保有しながら賃貸収益を上げていくものと、不動産投資ファンドなどに売却していく売却目的のものが出てくるのではないか、そういうことが、現在出てきているということでございます。

減損会計の導入等に伴いまして、企業サイドとしても、いろいろな意味での流動化計画が出てくるわけでございますが、そういった中で、事業再構築を進めることは容易に想像できるわけでございまして、減損会計の円滑な導入のためにも手当てがここで必要ではないか。

不動産業界の企業の中には、賃貸不動産のうち、流動化が取締役会の決議等で事実上決まったものを、限定的にですけれども、非常に範囲を区切った中で、投資その他の資産、不動産として、減損会計の導入と同時に、選択的に時価評価をして減損に備えるということも検討する必要があるのではないかという主張もございます。こういったことからも、減損会計の導入とか投資不動産の時価評価につきましては、資産流動化市場の十分な整備が前提となるのではないかと思っております。

また、ちょっと前に述べましたけれども、JREITにつきましては、この景気の非常に悪い中で、経済浮揚の起爆剤、特に株価なども下がっておりますし、なかなか投資対象としていいものがないわけでございますが、そうした中で、官民の大きな期待と不安の中で、JREITが登場してくるわけでございますけれども、これが投資不動産という範疇に入れ込まれまして、それが時価会計の導入ということになりますと、非常に大きな発展に対して阻害要因になるのではないか、そういうふうに考えております。

JREITにつきましては、御存じのとおり、利益のほとんどを配当に回すため、当然ながら内部留保等がないわけでございますが、そういうわけで、規模を拡大していく――一応3兆円市場とか10兆円市場とか言われておりますけれども、そういった規模の拡大をするためには、上場するか、上場後の増資、それから資産の入れ換えなどの売却によって、そういった原資を獲得していくのが前提となっております。

したがって、時価会計によりまして、そうした利益を損益計算書に反映させていくということがもし仮に起こるのであれば、それは当然配当可能利益となるわけでございまして、JREITはそのままそれが配当してしまうと、なかなか拡大は望めないのではないか、また、公正価値の状況によって、経営が不安定になるということも予想されるわけでございまして、そういう事態になりますと、JREITに投資しようという人もいなくなる、そういった事態も想定されるわけでございます。こうしたことから、投資不動産の範囲につきまして、十分な慎重な考えを持ってやるべきではないか、そういうふうに考えております。

次に、投資不動産の評価でございますが、IAS40号の方では、公正価値モデルか原価モデルかということで言っておりますが、これは、前に述べましたとおり、時価会計につきましては、評価につきましては、投資不動産に対する考え方自体が、私どもとしては賛同しかねるんでございますけれども、その流動化計画とかそういった関係で、今後、長期保有するものとそうじゃないものが出てきて、限定的に、先ほど申しました取締役会とかそういった決議の中で、そういったものが出てきた場合のことでございますが、その評価モデルとしてどちらを採用するかということを考えた場合、これにつきましても、企業の方針で決めて、選択適用の立場をとるべきではないかなというふうに思っております。

公正価値モデルと原価モデルと2つあるわけでございますけれども、公正価値モデルでございますが、現状では、有価証券のような市場が存在しないわけでございます。そういうことで、公正価値を算出するのは困難であるということで、時価につきましては、私どもが以前に発表させていただいたとおり、普通の公的な価格でもいろいろな対象があり、収益還元法とか、そういう方法もございますけれども、なかなか公正な価値を算出するのは難しいというふうに考えております。

ただ、JREITの市場が拡大していきますと、不動産インデックスの問題とか、そういったのはかなり整備されますでしょうし、それから、収益還元法につきましても、かなり洗練され一般化していくのではないかというふうに想像されます。ですから、ある程度やり方等が一般化してくるのではないかということも予想しておりますが、それまでは、第三者の鑑定士による鑑定が、もし公正価値モデルということで時価を算出する場合は適当ではないか。当然流動化ということを取締役会等で決定しているわけでございますから、第三者である鑑定士をきちっと決めて、その中で鑑定価格を算出してもらうということであれば、それを損益計算書に反映しても問題ないのではないか。

こうした見直しにつきましては、毎年やるということはかなり現実的ではないのではないか、実務的にでございますけれども、現実的ではないのではないかということもございまして、3年から5年ぐらいの間隔を入れながら行ってはどうかということでございます。

原価モデルにつきましては、流動化による公正価値を注記するというところで、これはどちらにしましても、企業の経営方針の中で決めていく。企業は、今いろいろなアナリストとか、そういった人たちの中にもまれておりますので、当然不正なことはできませんし、そういった目もありますので、何かそうした疑問を抱かれるような行動を起こすと、一番困るのは企業本体でございます。そういった形で、ガバナンスの問題が最近いろいろ言われておりますけれども、今後、そうした外部からの要因に対しましても、抑制が非常にきくのではないかと思っておりますので、この辺も企業の経営方針をベースにいろいろなものを構築すべきではないかなというふうに考えております。

以上でございます。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの岩田委員の御報告に関しまして、御意見、御質問のある方は御自由に御発言いただきたいと思います。

○秋葉委員

中身に入る前に、お話の分について確認させていただきたいんですが、2枚目のところの真ん中あたりから以下の部分なんですが、例えば「経済浮揚の起爆剤として」という以下の文章のところ、ここら辺の文章のところは、REITそのものの会計処理をお話しになっているような気がするんですけれども、そういう理解でよろしいのかどうかという点を1点確認したい。

あと、一番最後、3ページ目ですね。公正価値モデル、原価モデルの選択適用というお話をしたときの公正価値モデルは、会社そのものの話をされていらっしゃるのか、JREITも含めたようなお話をされているのか、そこの部分を最初に確認させてください。

○岩田委員

JREITの会計の話をしているつもりでございまして、それとあと、公正価値モデルにつきましても、当社と、例えば不動産会社と、JREITで余り変わりがないのではないかと思っておりますので、それについても同じように考えています。

○秋葉委員

そうしますと、公正価値モデルをとると言われているのが、この2枚目の真ん中ぐらいのあたりですと、賃貸不動産のうち、流動化が取締役会の決議等で事実上決まったものというふうに限定されてお話しされているのは、これはREITも、通常の会社も同じものを指していて、その場合については、こういう公正価値モデルと原価モデルの選択適用がどうか、そういうようなお話でよろしいですか。

○岩田委員

はい、結構です。

○秋葉委員

そうすると、次によくわからなかったのが、流動化等が決議で決まったものを限定的にというときに、なぜ決議で決まったことで時価評価するのか、つまり、決まったのであれば、しかるべくすぐに、売却、流動化されるということだと思いますが、その時点まで待つといいますか、その時点ではなぜだめなのかということと、もし、そういうふうな限定的にというようなお話をするときに、そもそも販売用不動産なんかの評価の問題とか、そことの関係というのはどういうふうに説明されるのかを教えていただければと思います。

○岩田委員

販売不動産との関係でございますけれども、これは、販売不動産の方に振り替えますと、今評価減という話で、評価の話と、どちらかというと、損だけのような議論かなと思いますので、これは、時価評価ということであれば、益も実はぶつけられるのではないかという考え方でございます。

それから、期間の問題ですけれども、流動化が決定しても、すぐに売却ができないのではないか、すぐに収益を出してできないのではないかということがありまして、それで一応分けたらどうかということでございます。

○秋葉委員

そこら辺が、販売用不動産、それから、流動化の決定、それから、賃貸用不動産の保有というのが、総合的に考えると非常によくわからないところがございまして、販売用不動産で流動化を決定した、すぐに売れないかもしれないというものを時価評価するのであれば、販売用不動産は最初から売ることが決まっているわけですから、最初からそれは時価評価するという話に持っていかないと、非常におかしなことになるのではないかということが1つ。

それから、流動化を決めてしまえば、時価評価、特にアップサイドの評価益も認識するということができるということは、結局、投資不動産の中で、経営者の意思決定といいますか、目的によって、有価証券と同じように、例えば売買目的有価証券、その他有価証券というふうに分類されたのと同じように、そういう意図を入れるということだと思うんですけれども、それはそれで1つの考え方があると思うんですが、少なくても流動化そのものの話、それから、販売用不動産そのものの話も、評価益もそうですし、売却、この話も、そもそも論として、不動産の売却の認識、これは、論点整理のその他にも挙がっているかと思いますけれども、そこら辺との関係もちょっとよくわからない部分がございまして、済みませんけれども、もう少し教えていただければと思います。

○岩田委員

基本的にその辺の整理が、そういう意味で私としてはついているつもりで来たんですが、今の固定資産の中で、あるものについて、発端は減損に対してどういう対応があるかなということもありまして、そういった中で、損ばかり出るのも困るということもありまして、それで、その中で、いろいろ実際固定資産の中で、下げる早々売却するものと、そういうものがどんどん出てきましたので、その中で、まず分けたらどうか。それから、販売用不動産の場合は、販売用不動産の中でも、棚卸資産と流動化の問題もあるんですけれども、ある程度時期が、もしかすると、非常に長期にわたる場合もあるわけですから、そういう中でそういう分け方をしてはどうか。

それで、長期になった場合、例えば、原価モデルにしておけば、注記はするものの、償却もとれるんではないかなというところもありまして、そういう考え方も含めて、分けた次第です。

○辻山部会長

今の御説明で、大体解決はつきましたでしょうか。

○秋葉委員

私の理解としては、昨今の状況を見れば、流動化したものでさえも、売却益として認識していいかどうかというのが、ここ数年のマーケットでの状況かと思いますので、流動化してさえも益を認識していいかどうかという問題があるにもかかわらず、流動化をすることを決定しただけで益が出る、しかも、販売用不動産との関係で言えば、そちらの方なんかも、もっと売却が決まっているわけですし、短期で売れますのに、そことの整合性は全くないし、そこら辺の説明というか考え方がちょっと理解できないんです。

○辻山部会長

今の秋葉委員の御質問ですけれども、1つは、従来の賃貸用不動産について、これがペーパーの2枚目にありますように、流動化が取締役会の決議で事実上決まったという、その段階で、時価モデルにできるという選択肢を考えるということは、販売用不動産について、販売用不動産の時価評価というものを認めていない状況で、それとの整合性をどういうふうに考えるのかということなんですが、その点はいかがでしょうか。

○岩田委員

それは、整合性をとるべきものであるというんであれば、考えなくてはいけないのかもしれませんけれども、固定資産という中で、要するに、賃貸とかそういうことに限っているわけでございますので、そもそも長期的保有を考えながら、その中で、いろいろな状況の中で、流動化しなければならないということもありまして、本来の最初から目的を持っていた販売用不動産とは異なるのではないかなという考えでございます。

○秋葉委員

全然違いますけれども、言われていることは一応承りました。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。また、次の伊藤委員の御報告も、投資不動産に関するものですので、ひとまず伊藤委員の御報告に進ませていただいて……。

○品川委員

今の御質疑と若干関連するんですが、2枚目の真ん中辺に、「このことからも減損会計の導入や投資不動産の時価評価は」、先ほど来の流動化が前提になっている、こういうふうな御報告なんですけれども、この場合、減損会計の導入と時価評価というのは一緒なんですか。同じ問題として捉えているのであると、ちょっと問題であるように思われますし、また、こういう言い方をしますと、固定資産については、減損会計の導入それ自体が無理だというふうにも理解できるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○岩田委員

今までの議論の中で、減損会計につきましては、かなり範囲を限った、減損の兆候とかそういった問題の中で、十分配慮していただくということで、そういったことと、投資不動産について、こういうふうに分けて考えるということがある程度選択的に適用できることを加えてほしいということなんです。

○品川委員

そうしますと、減損会計と投資不動産の時価評価というのは、同じ概念で捉えて議論されているんですか。

○岩田委員

賃貸とか、それに関する例えば土地建物については、ある程度同じような形になろうかなというふうに思っております。

○辻山部会長

今の品川委員の御質問ですけれども、減損会計というのは、ある意味では、簿価の切り下げだけを対象にしておりまして、投資不動産の時価評価は、文字どおり、時価評価モデルということですので、この関係をどういうふうに捉えていらっしゃるのかという御質問でもあるわけですけれども、岩田委員、いかがでしょうか。

○岩田委員

ですから、益も認めてほしい、一緒に考えたいということなんです。減損は、それで、グルーピングとかいろいろなものについて、損が出てくると思うんですけれども、その中で、投資不動産のものについては、そういった流動化が決まったものについては、益も認めてはどうかという話なんですが、おかしいですか。

○辻山部会長

減損会計と投資不動産の評価は、一応別個のものと考えているけれども、その前提として、流動化の市場の十分な整備が前提となるという点が共通しているという、こういう御発言というふうに承ってよろしいですか。

○岩田委員

はい、それで結構です。

○小宮山委員

余り不動産業界の方の意見を聞く機会というのは、数回に1回しかないので、ちょっと伺いたいんですけれども、ここで言われていることというのは、一般事業会社でも流動化の要請はあるんですけれども、不動産業特有の会計処理として、こういう方法があるというふうにお考えなのか、それとも、一般事業会社を含めた問題としてこういうふうにお考えなのかというのが、1つわからない。

もう1つは、益も相殺したいという考え方で、最後まで時価法を考えられているのか、低価法を考えられているのかというところが、いまいちよくわからないんですけれども、また、低価法を考えられているんだとすると、昔、特金ファントラで、バスケット低価法という例えば1くくりの中で、どっちか高い方、どっちか低い方の評価をつけるというやり方がありましたけれども、ああいうレベルのことで対応したいと考えられているのか、その辺が知りたいんです。

○岩田委員

私は、今回、不動産業の考え方をメーンにお話しておりまして、一般的な議論はちょっと詳しいところはよくわからないものですから、それは私の会社を中心とした考え方であるということです。

バスケットの関係が私はよくわかりませんので……。

○小宮山委員

恐らく振り替えたときに、損が出るものだけ評価損というのは、何となくおかしいなという感覚だろうと思います。ただ、恐らく損の出るものだけをまとめて損益計上するというケースもあるんでしょうし、全部流動化するときに、損益チャラぐらいの形で流動化されることもあるんでしょうし、そういうときは、ある程度バスケット低価法的な考え方でも、何となく目的は達成できるのかなという感じはしないでもないんですけれども、そんなイメージなんでしょうか。

○岩田委員

済みません、バスケット低価法がよくわかっていないんですが、前段のお話については、大体そんなイメージなんです。

○小宮山委員

要するに、時価の総額と帳簿価額の総額を比較して、例えば、流動化する分がこれだけあります、時価の総額が、例えば1,000億円で、帳簿価額が例えば800億円、こういうときは評価減が出てこない、逆のときは出てくるというふうな、バスケット低価法は、目的の全体のくくりで考えようみたいな発想なんだろうと思います。

○辻山部会長

ほかに御質問がなければ、先ほど申し上げたように、伊藤委員の報告の後に、もう1度投資不動産全体について質疑を行いたいと思います。

それでは、伊藤委員、御報告をお願いします。

○伊藤委員

それでは、御報告させていただきます。

最初にお断りをしておきたいんですが、私は、恐らく会計士協会の代表ということでこの場にお呼びいただいたと思うんですが、書いていますのは、私の個人的な意見を書き過ぎておりまして、そういうことで、最初に会計士協会としての立場を確認させていただくということで、投資不動産の評価ということを書いております。今回は個人的な意見を書きましたのは、会計士協会の中で、正式に投資不動産について審議を行っておりませんものですから、私あるいは私の友人の意見を入れて、議論した中をこういうふうにまとめさせていただきました。

1ページ目の投資不動産の評価の会計士協会の意見でございますが、これは、論点整理について、平成12年8月18日に、企業会計審議会に提出した意見に記載されている部分であります。

最初の全般的事項の中に、協会としまして、「論点整理において減損会計を取り上げることとし、また、投資不動産の会計についても検討することとしていることは、我が国の会計基準を国際的調和化に向けてさらに進めるものであり、当協会として全面的に賛同し、その作業に敬意を表するものであります」ということで、方向的には御検討いただきたいという、そういう意思表明をしております。

具体的に私の私見を述べさせていただきます。「投資不動産を投資信託等に組み入れて、専ら短期の投資対象として所有するものと、従来からの主に不動産の賃貸等のために所有するものに区分し、前者については時価評価する。しかしながら、後者の投資不動産については、時価評価を導入することは次の理由から時期尚早と考えられるため、従来どおりの会計処理を継続することが適当と考える」、私自身はそう思っております。

賃貸用の投資不動産について時期尚早と判断する理由としましては、3つありますが、1つには、「我が国においては、投資不動産の売買市場や公正価値の計算手法等が未整備であるため、すべての投資不動産について、タイムリーに適切な公正価値を把握し、時価モデル等を採用することは、現時点では実務的に困難と考えられる」。

2つ目としまして、「我が国の現状においては、賃貸用不動産は通常長期間にわたり賃貸収益を獲得することを目的として保有されており、将来売却することを目的としていないため、公正価値に換金されることは少ない。したがって、実現する可能性の少ない公正価値による時価評価を上述1のような状況にある我が国において、相当の困難さを伴いつつ公表しなければならないほど、利害関係者にとって特に有益な情報とは思われない」。

3番目が、「IASと英国以外では採用されていない投資不動産に対する会計を上述1、2のような状況にある我が国が、諸外国に先行して導入する必要はないのではないか」と思いました。

なお、近い将来、すべての投資不動産に関して新たな会計制度が導入されることは、方向的には間違いないと思いますので、当然の要請だと考えられますので、上述の取り扱いとは別に、直ちに公正価値の計算手法の確立等、時価評価のための環境整備に着手する必要があると考えています。

3番目が、私自身の意見ではないんですが、仲間と相談したときに、代替案としてあるんではないかということがありましたので、代替案として提案させていただきます。

「代替案としての注記方式。一方、現時点における我が国の状況は理解できるが、我が国の会計基準を国際的な基準と調和化する方向性と意思は、国の内外に明確に表明する必要があるのではないかとする意見もある。この場合には、投資不動産の公正価値評価等に関する情報を財務諸表に注記することとしてはどうか。しかし、その導入時期は、投資不動産の売買市場や公正価値の計算手法の開発等の環境整備が完了したときからとすることはどうか」ということでございます。

その場合に、注記する例示としましては、IASの開示情報がありましたので、それを検討しまして、例えばということで列挙しました。投資不動産の概要、それから、投資不動産の公正価値、公正価値を決定するために適用した方法と重要な前提、損益計算書に含まれている金額、投資不動産の収益または売却代金の送金に課されている制限の存在及び金額、実現可能性についての記述、それから、投資不動産の購入・建設・開発、または修理等に関する重要な契約上の債務、この項目を注記することはどうだろうかと考えました。

3ページにありますのは、時価モデルと原価モデルの選択適用はできるのかという御意見がありましたので、それについて考えてみました。「我が国の投資不動産を取り巻く経済的、会計的な環境と影響を考慮すると、現時点においてすべての投資不動産に時価モデルを導入することは時期尚早と考えられるため、主に賃貸用の投資不動産に関しては、従来どおりの会計処理を継続することが適当と考える」。

「しかしながら、個別企業が会計基準の国際的調和化のために自主的に時価モデルを先取りして適用することは、その会計処理の概要を財務諸表に開示すれば会計上は差し支えないものと考える。ただし、商法上投資不動産の時価評価が認められるか否かは別途検討を要する」。結論はよくわかっておりませんが、若干疑義はあるのかなと思います。

それから、投資不動産の範囲について説明させていただきたい。投資不動産の定義ということですが、基本的には、国際会計基準に準じて定義しております。投資不動産としまして、「賃貸収益もしくは資本増加、またはその両方を獲得する目的で保有する不動産で、下記以外の不動産。さらに、短期の投資対象として所有するものと、賃貸のために所有するものに区分する」。

除外しますのが、棚卸資産、販売用不動産としまして、「通常の営業過程において、そのまま、あるいは開発工事完了後販売する目的で保有する不動産」。

それから、自己使用の資産としまして、「事業の用に供する目的、すなわち物品の製造もしくは販売、またはサービスの提供あるいは経営管理目的のため、自らが使用または利用する目的で保有する不動産」。この2つを除いたものが投資不動産になるのかなというふうに思います。ただ、おっしゃるとおり、実務的には、販売用不動産あるいは自己使用不動産等と、投資不動産の区分の難しいところはあるんだろうと思います。

4ページ目でございますが、保有目的が混在する場合の投資不動産の範囲の個別判断というのを幾つかのケースで御示唆をいただきましたので、検討してまいりました。

「自己使用部分と賃貸部分が混在している不動産の取り扱い。自己使用部分と賃貸部分が混在している不動産は、不動産への投資金額の割合で、取得原価を自己使用資産と投資不動産に案分する。なお、保有期間の途中から、使用目的の変更があった場合や、投資金額を両者に案分することが困難な場合には、使用面積等の割合で案分する。ただし、使用目的の一方の割合が他に比較して僅少な場合には、主たる使用目的の不動産として取り扱うことができる」。

2つ目としまして、「投資不動産の賃貸業務に関連して、賃借人に対して管理業務などの付随的サービスを提供している場合の取り扱い。当該不動産の取得目的が賃貸利用も行うためのものであり、主たる業務が賃貸業務の場合には、すなわち、一般的には賃貸業務収入が管理業務収入を大幅に上回るため、原則として投資不動産として取り扱うこととする」。

それから、3番目が、連結グループ内で賃貸している場合の取り扱いでございますが、「IAS第40号第14項では、投資不動産に該当するか否かは、個別財務諸表ベースで判定することとされている。しかしながら、我が国においては、連結主体の開示情報との整合性を保つため、連結グループ内で賃貸している場合には、その経済的な実態にかんがみ、自己使用資産として取り扱い、投資不動産に重要性がある場合には、その旨を個別財務諸表に注記することが適当と考えるがどうか。ただし、賃借しているグループ会社がほぼそのすべてを他の第三者に賃貸している場合には、投資不動産として取り扱うこととする」。

4番目としまして、投資不動産として使用することを目的に建設または開発途中の場合の取り扱いでございますが、「投資不動産として使用可能な状態等にするため、建設または開発途中の不動産は、建設仮勘定と同様に会計処理し、建設または開発工事が完了したときから投資不動産として取り扱う。ただし、建設または開発途中の投資不動産であっても、資本増価のために、建設等の途中で売却する方針が明らかになった場合、意思決定したときには、その時点から投資不動産として取り扱うものとする」。

5番目としまして、「現に自己使用として使用中であるが、将来売却することとなった場合の取り扱い。使用目的の変更を意思決定した時点で、自己使用の終了時までに負担することとなる減価償却費相当額を控除した残額を使用目的に応じて自己使用資産から投資不動産あるいは販売用不動産へ振り替える。なお、IAS第40号第51項では、用途変更時、自己使用の終了のときに、対象資産を振り替えることとされているが、使用目的の変更を意思決定したときに、対象資産を振り替える方法を採用する方が、会社の意思に従って適時に損益を認識することになるものと考えるがどうか」。

6番目としまして、使用目的が未定の場合の取り扱いということで、未定の不動産は、「健全性の観点から、時価情報を利害関係者に開示するため、とりあえず投資不動産として取り扱うこととする」。

それから、3番目としまして、投資不動産の時価について検討しました。(1)としまして、「投資不動産の時価の定義。IAS第40号では、投資不動産の時価を公正価値(Fair Value)で評価することとされている。投資不動産の公正価値は、信頼を持って継続的に測定できるという反証可能な前提が必要である。すなわち、市場で決められた客観的な外部情報で公正価値を見積もることとなる」。ただ、例外がIASにもありますので、その例外をここに記載しております。

なお、IASの第36号「資産の減損」において、回収可能額を把握する場合に利用する使用価値という概念がありますが、ここにおける公正価値とは異なる概念である。使用価値とは、経営者が内部情報によって自らの判断で見積もった価値であり、それは資産の継続的使用と耐用年数の最後における処分によって稼得されると予想される将来キャッシュ・フローの割引現在価値であるとされているということで、解説できるほどの能力は無いのですが、一応書いてみました。

それから、(2)で、英国における投資不動産の時価の定義ということですが、英国においても、時価は公正価値によることとされている。英国において、公正価値の評価方法についての特段の基準はないが、通常、専門的知識を有した鑑定人が近隣の投資不動産の価格や将来キャッシュ・フローの割引現在価格をもとに公正価値を算出しているという、この前のこちらで説明を受けました。

それから、(3)番目としまして、我が国における投資不動産の時価の定義ということで、提案でございますが、我が国における投資不動産の時価の定義としては、次の理由から、投資不動産の正味売却価格――販売価格から販売費用を引いた金額――と、将来キャッシュ・フローの割引現在価値のどちらか高い方をもとに、公正価値を算出し、これを時価とする方法はどうか。

理由としましては、諸外国と異なり、我が国においては、土地には希少価値としての意味合いもあるため、将来キャッシュ・フローの割引現在価値等だけを基礎に、不動産の所有や価格形成がなされているわけではない、したがって、正味売却価格と将来キャッシュ・フローの割引現在価値のどちらか高い方を公正価値とすることを認めることとしてはどうかと考えました。

それから、(4)番目に、時価評価を行う者の要件が何かあるかということなんですが、投資不動産に公正価値モデルを採用した場合、投資不動産を保有する会社のすべてが、毎期公正価値(時価)を評価することとなるため、これに備えて時価評価の基準を明確化し、原則として、各会社がこの基準に従って独自に投資不動産の公正価値評価を行える環境とすることが合理的である。

なお、このような環境下であっても、会社にとって重要な投資不動産については、不動産鑑定士によって公正価値評価を行うことが望ましいと思います。

時価の算定方法でございますが、提案としましては、正味売却価格の算定方法ということで、これは実は、販売用不動産の強制評価減を検討したときのそれが使えると思いますので、ほとんどそのまま持ってこさせていただいています。したがいまして、正味売却価格は、投資不動産の販売見込額から販売経費見込額を引いたもの。

販売見込額としては、不動産鑑定士による鑑定評価額もありますし、近隣の取引事例から比準した価格、そのほか公示価格等々、当該投資不動産を取り巻く状況を考慮して、会社が最も合理的と判断したものを選択することができることとするということであります。

販売経費見込額として控除しますのは、販売手数料ですとか、既存設備等の撤去費用等があれば、それも含めて処理するということであります。

それから、もう1つの比較するものとして、将来キャッシュ・フローの割引現在価値額の算出方法というのは、これは特段私自身はアイデアはございませんので、通常の将来キャッシュ・フローの割引現在価値で公正価値を算出する方法でよろしいんではないかと思います。

それから、(6)番目に、時価算定における処分費用の取り扱いというのがございまして、IASの第40号第30項では、公正価値の把握時に処分費用は控除しないで計算することとされているが、不動産の処分費用は金融商品の処分費用とは異なり、状況によっては多額の処分費用が発生する場合が考えられるため、時価算定に際しては、処分費用が少額と見込まれる場合を除き、投資不動産の処分費用を控除することとしてはどうか。

以上でございます。

あと、ここに書類がございませんが、1つ口頭で御報告したいのが、今日、日経新聞に、不動産投信に対して、不動産の時価評価の新聞記事が出ておりまして、投信協会は、今日、理事会の承認をされるようですが、その中で、保有不動産の時価の算定が幾つか提案がありますので、御参考までに読ませていただきます。大体こちらと似ているんですが、5つの評価の方法がございまして、その中から、投資信託約款というのがありますが、それで適当と考えられる方法をそれぞれの資産の種類ごとに定めることになっております。

1つは、不動産鑑定士による鑑定評価に基づいた評価額。

2つ目は、近傍の類似物件の取引事例に基づいた評価額。

3番目が、当該物件を当該時において再調達した場合に要すると想定される額を減価修正した額。これは、建物の場合ですが、そういうものになっています。

4番目としまして、収益還元法により求めた価格。

5番目として、上記1から4に掲げる方法を組み合わせた方法ということで、大体こういうことになっております。

以上でございます。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。それでは、ただいまの伊藤委員の御報告に関しまして、御質問のある方は御自由にお願いいたします。また、先ほどの岩田委員の御報告の質疑が途中でしたけれども、この点に関しましても、併せて御自由に御発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○中島部会長代理

伊藤委員の最後の点で、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、今おっしゃった時価というのは、不動産投信のファンド自体の評価のときに、時価評価をするということなんでしょうか。それとも、何か公正価値で評価したものをディスクローズするという意味なのか、そこを教えていただきたいのと、それから、先ほど岩田委員がおっしゃった方の話は、お話を伺っていると、取得原価で評価して、JREITの方では時価でおやりになるというふうにお聞きしましたけれども、それでいいのかどうか。

○伊藤委員

投信というのは2つあるようでして、不動産投信の場合と、それから会社型の投信の場合があって、会社型の投信の場合は、会社が不動産をお持ちになっていて、その会社が上場するということになった。この新聞ですと、会社型投信の場合は、市場で取引が成立する価格とは別に、今おっしゃっています不動産の評価額などを参考値として、時価を参考値として出す。会社型というのは継続しますから。会社型ではないものについては、この規則を見ますと、時価評価をする。そういうふうになっていると思います。

○秋葉委員

2つ確認させていただきたいんですけれども、今のところと関係するんですが、1ページ目の(2)の1行目のところで、投資不動産を2つに区分されておりまして、前者の方は、投資信託に組み入れて専ら短期の投資対象として所有するものということで、これについては時価評価とお話しされたんですが、これは今のJREIT的なことの話で、保有している会社の方ではなくて、そういう不動産信託の話をされているのかどうかという点が1つ。

あと、後ろの方、5ページ以降、日本の場合ですと6ページの(3)になりますが、不動産の時価の定義というところの御説明は、会計処理の問題なのか、注記の問題なのか。注記を代替案ということでお話しされているので、ここの部分は、会計処理の場合も、注記の場合も、時価については同じように考えるんだという御主張なのかどうかというのを確認させてください。

○伊藤委員

確かに投資信託という話をしますと、別法人あるいはそれだけを持っている法人のケースがあり得るんですが、我々の中の話としましては、将来的に、短期間に売買をするようなもの、投資信託というのはそれが一番はっきりしているし、流動化して、それをいつでもその価格で売るという状況にあるんだろうと思うんですが、そういうものについては、時価評価というのは趨勢としてあり得るんではないか。ほとんどの資産というのは、長期に持っているということなんですが、会社として、そういうふうな意思決定をし、そういう状況で運用する、経営している場合は、時価評価する部分もあり得るのではないかということで、確かに投資信託という言葉を――「等」にはなっていますが――特定し過ぎているかもしれませんが、そういうケースもあり得るんではないかということでした。

定義の方は、おっしゃるとおり、注記する場合も、私は、注記だけであれば、もうちょっと簡略化したものというのもあるのかもしれませんが、一般的な時価を出すときの1つの基準としては、こういうのがよろしいんではないかと思います。もうちょっと簡便な方法も実際にはあるかなという気はしますが、そういう感じです。

○小宮山委員

先ほどの岩田委員の報告と伊藤委員の報告を見ていると、岩田委員の報告の一番最初のところは、投資不動産というのは区分するのはちょっと事情が違うという話があったと思うんです。それと、伊藤委員の説明のところは、どちらかというと、投資不動産イコール賃貸不動産と考えて議論を進めているんですが、両方の範囲が同じものなのかどうかが1つわからない。

あと、たまたま今回のテーマは、投資不動産の評価の問題だけなんですけれども、これは、原価モデルを使って時価評価をするということなんですが、そうすると、それ以外の不動産については、時価開示というのは一切要らないというふうなお立場をとっていられるんですか。何となくトータルでわかった方がいいという感覚はあるんですけれども……。

○伊藤委員

最初の話なんですが、私は、前のお話をお聞きしていたときに、流動化するものというのは、必ずしも販売用不動産ではない。例えば、事業用のビルとして使っていたのは流動化というのはありますから、どちらでも出てくるんだろうと思うんですが、おっしゃるとおり、投資不動産を賃貸用だけと限っているわけではないんですけれども、よく区分をしていますと、資本増価のために使うものというのは、自己使用資産からも出てくる可能性もあるし、棚卸資産から出てくる可能性はないと思うんですが、もともと販売を目的でやっていますから、自己使用資産と資本増価のためのものという区分は、確かに私もちょっとよくわからないところがあります。反対に言うと、棚卸資産を除き、自己使用資産を除いて、それ以外のものは投資不動産という区分になると思いますから、何とかできるのかなと思います。

それから、時価の注記のことなんですが、これをやっていますのは、もともと国際的調和化のために、投資不動産の時価評価というのが議論になっていると思いますから、とりあえず国際的な調和を図るということであれば、投資不動産について、情報不足にならないように情報を開示すればいいんではないか。ほかの固定資産について、減損を除けば、特に時価を開示する必要は、今のところないんではないかと思います。

○小宮山委員

金融商品で言うその他有価証券みたいな区分が難しいんだろうと思うんです。投資不動産とそれ以外の区別が曖昧なもののくくり方ができないから、それで、情報を補完する必要があるんじゃないかなというふうに私は考えているんです。そういう意味で、投資不動産を原価モデルでやって時価評価の開示をするということはいいんですが、もう少し範囲は広げるべきなんじゃないかなというふうに思います。

○辻山部会長

ただいまの小宮山委員の御発言で、投資不動産とその他の不動産の区分が難しいといった場合に……。

○小宮山委員

金融商品は、満期、売買、その他と分けますね。ところが、その他はよくわからないから1くくりにしているんですけれども、そういうくくり方がこれについてはちょっと難しい境目があるんじゃないかなという感じがしているんです。例えば、自己所有、販売、賃貸用というふうに分けるんですが、境界線上のものが非常にたくさん出てくるような感じがするんです。

○辻山部会長

ただいまの御発言の中で、例えば自己使用の完全に事業用に使っている固定資産、これについても同じような扱いというイメージの御発言なんでしょうか、どうでしょうか。

○小宮山委員

そう考えているんです。

○辻山部会長

注記で時価開示をするとした場合には、不動産一般について、注記もあり得るのではないか、そういう御発言ですか。

○小宮山委員

BSの表示科目をどうするかという問題も関係していると思うんです。賃貸用不動産という科目で表示してあれば、それはそれなんですけれども、そのこととも関係があるのかなと……。

○品川委員

7ページの最後のところで、時価の算定方法ということで、正味売却価格が、不動産の販売見込額云々ということで、販売見込額とは、ここに幾つか候補を挙げていて、合理的と判断したものというふうに書いてあるんですが、ここに書いてある価格というのはそれぞれ格差がありますし、評価の時点もそれぞれ違うので、この辺はもう少し、何が客観的に合理性があるのかということを検討する必要があるように思いますし、もう1つ、マル2のこれはここだけの問題ではなくて、公正価値とは、将来キャッシュ・フローの現在価値だという場合に、特に疑問に思うのは、ある賃貸物件が耐用年数が過ぎたときに、それを処分してキャッシュ・フローが得られる。N年後の処分価格というのは、そもそもどういうふうにしたら測定できるのかということについて、これは非常に疑問に思えるんですが、その辺について特に御意見はございますか。

○伊藤委員

価格をもっと絞ったらどうかという御発言なんですが、不動産鑑定価格というのは、恐らく大きなものについてやるだろうというふうに思います。それから、取引事例というのも、例えば的確に、去年とか一昨年とか、近い過去に事例が発生したときに使えるものだろう。公示価格とか基準値価格というのも、私は全部よく存じ上げませんが、すべての場所にあるわけではないようなんですね。どうもこの中であるのは、固定資産税評価額というのはどこでもあるみたいですが、すべての土地を評価するときに使えるものというのは、それほどないということですので、その会社の状況によって、一番適当と思われるもので評価するしかない。例えば公示価格によるというふうにしますと、それがとれないところがあるということですので、この中で、ある一定の枠には入ると思いますので、それは選択させてもやむを得ないのかなと思います。

○品川委員

そうしますと、これは全部が採用可能な場合には、優先順位というのがあるんですか。この評価方法が全部とれる場合がかなり考えられるんですが……。

○伊藤委員

その場合は、正味売却価格に一番近い、実際に売ったとしたら、幾ら一番稼げるかというのに近いものをお使いになるということだと思います。

それから、将来キャッシュ・フローのN年後のお話なんですが、私自身、こういう評価をしたことはありませんが、解説とかあるいは人の話によりますと、大体のケースは、N年後というのは、今の時価と同じ時価を使っている、そういうことになっているようでございます。

○品川委員

そうすると、地下が下落しているとか、上昇しているとか、そういうことは一切無視するわけですね。――わかりました。

○秋葉委員

2つほどお話しさせていただきたいんですけれども、1つは、今の時価にかかわることなんですが、時価の概念を6ページのところでは、今お話のあった正味売却価格と、それから将来キャッシュ・フローの現在割引価値のどちらか高い方というふうなことをここでは示されているんですけれども、今の御質問のような実務的な話もあるわけですけれども、概念的な話からすれば、公正価値の場合、正味売却価格が算定できるというか、入手できれば、それが、まず一義的に公正価値、時価になって、それが算定できない場合に、将来キャッシュ・フローの現在割引価値というふうに優先順位がつくのではないか、ないしは、一般的にはそういうふうにつけて、ほかの部分でも議論されているのではないかなと思いますので、正味売却価格が算定できれば、それで終わりかなと思いますし、その辺のところが、私自身は理解できないかなというところが1点ございます。

それと、もう1つは、先ほどの岩田委員の議論とも関係するんですが、そもそも時価評価の話が、1ページ目から2ページにかけて、時期尚早というふうなコメントがございまして、特にマル2番のところのコメントでは、なぜだめかというときに、長期間にわたって賃貸収益を獲得することを目的として保有されており、将来売却することを目的としていないため、公正価値に換金されることは少ないというふうに、2ページ目の一番上のところではコメントされておりまして、これは、前のページの1ページ目の一番下のマル1とかにあるような、技術的な問題で時期尚早という話ではなくて、いつまでたってもこの問題は続くわけですから、どんな時期になっても、これは理屈としてある。

そうすると、時期尚早の問題ではなくて、根本的にいつまでたっても時価評価する余地はないというふうにマル2番のところからは理解されるわけですけれども、ただ、後半の方の御主張といいますか、お話では、時価評価モデルということをお話しされているので、そこの部分がちょっとよくわからなかった。つまり、2ページ目のマル2のところの理由からすれば、先ほど小宮山委員の方からもお話がありましたように、自己使用資産も同じなわけですよね。将来的には売るかもしれませんが、当分の間は、当然事業目的に使っており、それでもって、違う意味のキャッシュ・フローを挙げています。ただ、売らないこともないわけで、そうすると、ここで言う賃貸用不動産という長期の保有目的のものと自己使用資産の区別が非常にわかりづらいという先ほどのコメントにも通ずるところがあると思いますので、その2点について確認させてください。

○伊藤委員

6ページの今の投資不動産の時価の件なんですが、確かにおっしゃるとおり、公正価値と正味売却価格ということになりますと、客観的なのは、正味売却価格が出ればそれになると思いますから、そういう面では、正味売却価格が高い場合にはそういうふうにするというのが、このストーリーとしては一番正確であったかなというふうに思います。

それから、理由のところですが、これも、おっしゃるとおりなんですが、私どもとしては、今日本の会社の不動産を所有する姿勢といいますか、あるいは不動産の売買に対する姿勢というのは、前とは大分変わってきているような状況にあります。総資産効率を上げるために、ただ持っているということではなくなっているような状況もありますので、その投資姿勢が変われば、こういうことが与える害が少なくなるということも考えられますので、当面今のところ、まだそこまで動いているとは思えませんので、一応理由として挙げております。

○岩田委員

もともと今まで私どもがやってきた賃貸業というのは、本当に売却するということはゆめゆめ考えないようなやり方をしていまして、というのは、期間回収法という、そもそも投資意思決定をするところからスタートしていますと、大体余り売却ということは考えていなかった。ですから、何年間で黒転して、それ以後、建て替えのときまでどうするかという考え方でずっとやってきていました。

ただ、昨今、環境がいろいろ変わっておりまして、不動産会社とて、資産効率の問題とか、いろいろな環境にさらされているということがございまして、その辺の考え方が少し変わって、悪いものについては売却とか、そういった流動化を――我々が持っているよりもほかの人たちが持っていた方がいいという場合も出てくるわけでございまして、そういった意味で、流動化を会社が決定した場合、非常に限られた範囲になるとは思うんですが、そういった場合、時価評価をしている――収益還元法とかそういう考え方を持ちながら、いろいろここにありましたけれども、取引事例とか、鑑定士とかというやり方がありますけれども、その中で、ある程度の価格は決定しているということでございますので、そういう意味で、環境が変わってきて、今後も、今の我々としても、このまま続くとはなかなか思いづらいんですけれども、でも、そうは言いながらも、主体となる賃貸業としての部分は、ベースは長期保有を前提としてサービスを提供していくということではないかなというふうに思っております。

○都委員

私の方から、伊藤委員に質問なんですが、投資不動産の定義で、賃貸収益もしくは資本増価ということで、こういった不動産は投資不動産になるということなんですが、例えば一般事業会社の場合、不動産業を専ら業とする会社ではなくて、一般事業会社、例えば我々の製鉄所のようなところでは、単に自分のところの製造工場があるだけではなくて、そのために、例えば原料の前処理をする工場だとか、あるいはできた製品を加工するメーカーだとか、そういうのが一体としてコンビナートを形成しております。ただ、敷地全体は、通常は当社自身が持っております。

我々としては、貸している部分は専ら賃貸収益を得ることを目的にしているんではなくて、そこで鉄鋼業を営むことで、そういった会社が入っていたことは、全体として最も効率的であるというふうに考えてやっております。その場合は、もちろん、ここである連結グループの会社というのが多いんですが、場合によっては、全く資本関係のない、ユーザーに近い会社とか、あるいは原料を前処理する会社とは、直接は資本関係がない場合があります。このような場合に、ここで言う投資不動産に当たるんでしょうか、当たらないんでしょうかという、1つは、質問なんですが。

○伊藤委員

難しい話だと思うんですが、今回、私のテーマの中で、賃貸用設備を持って、それに付随する主たる収入から比率が低い場合はというのがありますから、それを類推しますと、確かに鉄鋼の最適稼働のために、そういう用地をお使いになっているのかもしれませんが、現実の対応としては、どちらかというと、私は投資不動産に該当するんではないかと思うんですが。子会社が使うとなると、一体だということにしますと、自分のものになりますから、ちょっとよくわかりませんが、投資不動産に該当するんでは。棚卸資産でもないし、自己使用の資産でもない。連結でなければ、スルーで自己資産でもないですから、結局、投資不動産に該当するんではないかと思います。

○都委員

続けてさせていただきますと、1つは、そういう意味で、我々としては、たまたま資本関係があるかないかと、目的は全く同じなのに、こちらは投資不動産でこちらは事業不動産というのは、経営の感覚から言いますと、非常に離れたことになると思います。これが1点です。

それからもう1つは、先ほど投資不動産だけでなく、不動産そのものの時価の注記の話が出ましたけれども、例えば、割と小規模で、いつでも一般に売却できるような工場用地とかそういったものは、あるいは賃貸のビルとかそういったものは可能かもしれませんけれども、大規模な工場用地となりますと、実際問題、値段をつけるのは非常に難しい。もちろん、そういった値決めをする工夫あるいは考え方をこれから整理するにしても、なかなか難しい。

と申しますのは、例えばまた自分のところの例で恐縮ですが、製鉄事業だと、製鉄所というのは、大体1,000万平米ぐらいがあるわけです。そうすると、こういったものを値段を決めるというのは非常に難しい。近隣の住宅地とかそういったものを参考にしても、実際に1,000万平米をその値段で買う人なんかはいないし、しかも、仮にということで仮定しましても、実際、これを売るとなると、恐らく港湾計画とか、都市計画とか、ありとあらゆるいろいろな規制等がございますので、極めて長期的な対応が必要だということで、なかなか値段が難しい。その中で、ある値段を持ってきて注記するというのは、非常にミスリーディングかなと思っています。

○辻山部会長

ここで、先ほどの秋葉委員の御質問にも関連するんですけれども、今日の岩田委員、伊藤委員の御報告の中で、投資不動産全般について、BS上で時価評価するのは時期尚早だという御発言が共通していたように伺ったわけなんですけれども、その中で、投資不動産全般ではないけれども、その一部について時価評価するということがあり得るんだという御発言、この点も共通していたように承ったんです。

ただ、その場合に、3種類、伊藤委員のペーパーで言いますと、3ページにありますように、投資不動産と棚卸資産、自己使用資産、この3つ、不動産を3区分した場合に、棚卸資産、自己使用資産は、それぞれ時価評価モデルというのが今俎上に上っていないわけです。そうしますと、そういった中で、投資不動産全般について、原価評価した上で、その一部について、例えば流動化であるとか、販売の意思決定がなされたというその段階で時価評価するという、この理屈というんですか、それは、一般にはIAS40号の理屈で言いますと、有価証券に準じた、金融資産に準じた資産だという解釈がございます。この辺は、なぜ流動化あるいは売却というふうに意思決定された瞬間に、その部分だけ切り離して時価評価するということになるのか、この辺のお考えはいかがでしょうか。

○伊藤委員

私の場合は、販売用不動産に振り替えたということではなくて、会社によって、自分の持っている会社がそれを投資信託として組成する、信託財産を組成して、もしかすると、信託財産を組成すると、簿外になるかもしれないんですが、信託財産を信託財産として組成された投資不動産は時価評価をする、それは時価で現実に取引されると思いますから、投資信託として組成された投資不動産は時価で評価する。そういうことのつもりなんです。

ただ、販売用というのは、言葉がそういうふうに言ったかもしれませんが、基本的に、販売するというのは、販売用の棚卸資産になりますから、それを時価で評価するというつもりはないんです。

○岩田委員

私の方も、販売不動産と棚卸資産を分けたのは、既にある1つの中で、キャッシュ・フローとかそういうものが確定して、それなりの価値があるのではないか。そういうことで、棚卸資産とはちょっと違うのではないかなという、そういう認識でございます。

○秋葉委員

そこのところなんですけれども、流動化を決めたとか、販売用に意図している価値のある賃貸不動産ということで、どうして売却したときに利益を計上するということではだめなのか。その意思決定をしたときということであったとしても、実際にそれでキャッシュが入ってきて、利益が計上できるということについては、マーケットがある、なしというのは非常に大きいですけれども、それは不動産に限らず、ほかのものについても同じことが言えるわけで、どうして売却したときではなくて、しかも、賃貸用不動産の一部のものだけがその意思決定をしたときに利益が出るのかというのがいまだにわからないということで、これは、利益の意味が全然違ってくる話になるんじゃないかと思うんです。

ただ、先ほどから出てきますように、注記として時価が幾らぐらいかというのは有用な情報なので、これは考える必要があると思いますし、その際に、別にそれは長期保有の投資不動産に限らずに、自己使用であっても、それは有用だという意見は先ほども出て、賛成、反対はありますけれども、有用かと思いますので、あとは、どういうコンセンサスで出すかということは1つの考え方じゃないかというふうに思います。

○伊藤委員

今の意思決定したときという話なんですが、別に取締役会で決めればいいということではなくて、意思決定するというのは、意思決定をしてそのとおり合理的に実行できると予測されるというのが当然の前提として入っていますから、流動化ができるという、それが前提に入っています。

○秋葉委員

それが、すなわち販売した、売れたというときだと思いますので、流動化の計画を立てて、これもマーケットの進展によるかと思いますけれども、実際にやってみて、初めて売れた、キャッシュになったという話になりますので、それでまた、すぐにできるんであれば、その時点まで引っ張っても、タイミングとして全然――さすがに、数カ月とかずれるかもしれませんけれども、逆に言えば、しょせんそのぐらいの差なのに、どうして前倒しで、一般的に言われているような販売という時点まで持っていくことができないのかというのがちょっと理解できないんです。

○伊藤委員

前倒しということではなくて、物事を決めて行動に移すために、当然の余裕の期間があると思うんですが、財務諸表というのは会社の意思の表明だろうと思いますから、会社はそのように意思表示をしたら、あるいは意思決定をしたら、それに沿った会計処理をするというのが、もちろん、実現主義という問題がありますけれども、物の評価のものとしては、会社がその意思決定をすればそれでいい。例えば工場設備を廃棄するという意思決定をすれば、別に廃棄したときではなくて、そのときに、その損失を認識してもいいと同じような、私はどちらかというと、会社が意思決定して、合理的なときに処理をする、それが一番適切ではないかと思います。

○小宮山委員

1点だけですけれども、4ページ目のマル3の連結グループ内で賃貸している場合の取り扱いというところです。私が記憶している限り、また理解している限りでは、IASの40の14項というのは、個別と連結で扱いが違う場合があり得るよというふうに言っていたと思うんですけれども、個別財務諸表で判定するんじゃなしに、個別では投資不動産だけれども、連結では投資不動産ではなくなるというケースがあり得ると書いてあったと思うんで、結論的には、個別財務諸表と連結財務諸表の整合性という意味で、ここで言われていることは賛成なんですが、ちょっと誤解を与えているのかなという気がしました。

○伊藤委員

調べてみます。

○逆瀬委員

今までの御議論の中で、これから詰めて議論していっていただきたいなと思った感想ですけれども、投資不動産というもののくくりをどのように合理的に定義できるか。今、都委員からも御紹介がありましたけれども、とても我々としては、今、議論があったような仕切りではできないような事例を紹介されたわけです。そういうふうにどういうものが投資不動産なのかというのは、きちっと議論しなきゃだめだというのが1点。

我々、いろいろ実務をやっていますと、公正価値の見積もりというのが、子会社を買ったり、いろいろしたときに出るんですけれども、収益還元法にしろ、何にしろ、これがいかに幅のあるものかというようなことですね。仮定のオンパレードなわけですよね。これを会計上の測定として、真に認知できるかどうかという問題ですよね。損に落とすときは、まだ何となくわかるんです。上に上げるときに、本当にそれが妥当なものとして、皆さんの、関係者の理解を得られるものになるかどうかというのは、また別の議論をやる必要があるだろう。実務の経験では、よほど限られたケースじゃない限り、評価の仕方は大きく分かれるんです。

特に将来のキャッシュ・フローを用いて算定する場合に、これを監査の手続で確認した上でやるということになるんですけれども、そういうときに、今やられている第三者のいろいろな、不動産とは限りませんけれども、不動産も、これをやりますと、いろいろ事業の持ち方によってキャッシュが変わってきますから、同じことだと思うんですが、そのときに、今実務では、証券会社の皆さんとか、いろいろサービスをやられますけれども、彼らはそれを責任を持つのかということです。

それは、日本の年金会計と同じように、アクチュアリーの報告書はcertificateでないとなっているのと同じように、会計士さんの評価さえあればいい、会社はそれで正しいと思うかもしれませんが、会計士さんの評価としても、それは正しいというのが本当にいいんだろうかなと。今、評価を切り上げる議論もありますし、その辺が大変疑問に思った次第です。

以上です。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。ちょっと確認なんですけれども、伊藤委員のペーパーの6ページなんですけれども、公正価値をめぐって割引現在価値という手法が使われるわけですけれども、使用価値を決める場合にも、割引現在価値というのが使われて、同じ割引現在価値でも意味が違うという、先ほど御指摘がありましたよね。ちょっと確認なんですけれども、上の方の割引現在価値というのは、そもそも割り引かれる対象になる将来キャッシュ・フローが、企業の期待、それからリスク、これが織り込まれたものであると、その割引現在価値というのは、企業にとっての使用価値という意味で、一般にのれん価値が含まれるということだと思うんです。

これは、先ほど伊藤委員もそういう御発言があったと思うんですけれども、それに対して、公正価値を導く場合に用いられる割引現在価値は、同じ将来キャッシュ・フローの割引現在価値ですけれども、その将来キャッシュ・フロー自体が市場の平均的期待ということが織り込まれているわけですよね。

そうしますと、そこには割引対象となるキャッシュ・フローそのものが違うので、同じ割引現在価値だけれども、のれんの含まれている価値と含まれない価値、含まれない方を公正価値の代替として使っているわけですね。そうすると、6ページの理由のところ、先ほど秋葉委員からも御質問がありましたけれども、もし、土地が会社独自で特殊な価値があるとしたら、それは、その割引現在価値はもはや公正価値ではないということなんですが、先ほど理由のところに書かれている意味ですね、これがちょっとよくわからなかったので、その辺はどういうふうに捉えていらっしゃるのかということなんです。

○伊藤委員

2つの意味がありまして、現実に、物として売れている――ただ、割引現在価値というのは、ここで考えているのは、公正価値としての割引現在価値を考えています――通常の物の評価ということで、今キャッシュ・フローで割引現在価値で算出していますが、それだけでは算出できない土地の価格の高さというのが、日本ではあるんではないか。それというのは、言ってみれば、割引現在価値によらない近隣の価格ですとか、そういうものが出てくるのかなというつもりで書いています。そういうつもりです。

○辻山部会長

わかりました。そうすると、ここで言っている売却価格というのは、理論値とかなり外れている場合でも、そちらでいいという、そういうお話ですか。

そのほか、御発言ございますでしょうか。

それでは次に、荒木委員から、米国における減損会計の実例等について御報告をいただきたいと思います。では、荒木委員、よろしくお願いいたします。

○荒木委員

今回は、資料としましては、資料3-1に従って御報告したいと思います。

テーマは、減損会計の実務への適用ということで、以前の部会で、作成者あるいは監査人の立場から、減損会計を実務に適用した場合にどういう問題点があるかというようなお話を報告していただきましたが、今回は、米国において実際に減損処理としてどのような処理が行われているかということについて、非常に限られた資料からですが、まとめてみましたので、御報告したいと思います。

御報告する材料としましたのは、AICPAが企業会計の開示事例をまとめたアカウンティング・トレンドという資料集があるのですが、それを材料としました。その中から、23件の事例をピックアップしまして、資料の次のページ以降にまとめました。

この資料集の中では、減損損失という項目自体はありませんので、資産の評価減あるいはリストラ費用という項目の中に入っております固定資産の減損処理に該当するものをすくい上げております。したがって、適用する基準としましては、FASの121号が適用されているかどうかについては、適用規定が書いてあるものもあるんですが、書いていないものもあるということでございます。

この23件という限られたサンプルの中からですが、時間の関係もありまして、最初に、調べてみて、アメリカの減損処理の特徴として挙げられる点を御報告したいと思います。

まず、第1番目としましては、工場の閉鎖だとか、統合、あるいは事業の売却等のリストラに関連して減損処理されることが多いのではないか、そのような事例が多いということ。2番目としましては、のれんについて、多額の減損を計上している例が幾つかある。それは、のれん自体の減損ということもありますし、リストラに関連して、その他の資産を減損処理する際に、関連するのれんを一緒に減損しているという例もあります。

それから、資産のグルーピングについては、注記に詳しく書いてある例もありますし、書いていない例もあるんですが、書いてあるものでは、店舗あるいは工場の単位が多いのではないかと思いました。したがって、事業別のセグメントよりは、かなり小さい単位ではないかと思われました。

それから、米国基準では、使用を継続する資産については、公正価値まで引き下げるということになっておりますが、具体的にどういうふうに公正価値を計算するのかという点に関しまして、比較的多いものは、将来キャッシュ・フローの割引現在価値、これを公正価値として用いているというものが多かったように思います。

それでは、具体的に23の例をすべて御報告することはできませんので、その中から幾つか選んで御報告したいと思います。

資料の次のページを開いていただきまして、この資料としまして、一番左側に、会社名と決算期が書いてございます。まず、Noが振ってあるんですが、これの次のページ、2ページ目のNo3から御報告します。

これは、MANPOWERという会社ですけれども、人材派遣の会社でして、売上高88億ドル、98年12月期の売上高ですが、これは何を減損処理したかといいますと、北米部門の事務管理請求、それから給与計算などの情報システムについて、数年間にわたって開発を行ってきた。ところが、フィールドテストの結果、会社の意思決定として、98年12月、これは決算の月ですけれども、このときに、システムの技術的構造を大幅に変更することが必要であるというふうに決定した。

その結果、開発中のソフトウエアであるとかハードウエア、それから、ソフトウエアのライセンスを廃棄することになったということで、減損処理の対象資産としましては、この情報システムの開発にかかるソフトウエアの原価、あるいはハードウエア、それからネットワークの整備原価、こういったもので、金額としましては、9,200万ドル、かなりの金額を計上しております。

この例を考えてみますと、こういう処理は日本の今の基準でもできると思うんですが、日本では、かなり税務の方の処理に引っ張られまして、例えば、ソフトウエアのライセンスがこの決算日時点で、これは取締役会で廃止するということを決めただけですので、権利自体はまだ残っているという状況になりますので、そういったものが税務上損金とできるのかというような問題が出てくると思います。したがって、そういう税務に引っ張られる処理になりますと、この意思決定した期ではなくて、翌期以降に繰り越すという処理も行われているのではないかと思われます。

それから、同じページですけれども、次の4番目のPENN TRAFFICという会社です。これは、食品流通関係で、小売業をやっている。これが、28億ドルの売上高ですけれども、かなりの損失を出しているという会社です。減損に至った経緯ですけれども、この会社は、121号にしたがって、定期的に回収可能性をレビューしている。第4・四半期に行った長期性資産の包括的レビューに基づいて、スーパーマーケット14店舗の評価減を行っている。

次に、これは第2・四半期になると思うんですが、98年の6月に、Bi‐Lo店という店舗の売却を決定したと公表したということで、評価減をしております。減損の対象としましては、スーパーマーケット14店舗の資産、これにはのれんを含むということですが、これで5,200万ドル、それから、売却を公表した店舗につきまして、これも減損損失9,100万ドルを計上しております。

次に、3ページのNo7ですけれども、JOHNSON CONTROLSという会社ですが、これの97年9月期の決算で減損を出しております。この会社は、自動車部品の関係の会社ですが、これは国際的に展開している会社のようでして、ベルギーの工場の閉鎖、それから、ポルトガルの工場の品目の変更等のリストラ策をやったということで、損失を計上しております。減損の対象としましては、閉鎖される4つの工場、それから、業績が悪くて廃止される事業に関連する資産を減損処理しております。

それから、次の4ページ、No10です。ELI LILLYという薬品会社です。これの97年12月期ですが、これは売上高が85億ドルというかなりの大企業だと思うんですけれども、のれんの減損を処理しております。まず、減損に至った経緯ですけれども、94年に、略称ですけれども、PCSという会社を41億ドルで買収しております。このほとんどがのれんであるということです。

ここのPCSという会社の売り上げとか利益に関しては伸びているわけなんですが、買収以前のレベルと比べて、著しくふやすことができなかったということで、評価減を行っております。減損会計の対象としましては、子会社であるPCS社のヘルスケア・マネジメント事業の長期性資産、これは主にのれんですけれども、減損損失24億ドルを計上しております。

それから、見積もり公正価値の算定について少し触れておりますが、一番右の欄の下ですけれども、見積もり公正価値は包含するリスクに相応した割引率を用いて割り引かれた予想将来キャッシュ・フローに基づいているというふうにされております。

次の5ページをお願いいたします。5ページの一番上のNo11ですけれども、UNISYS CORPORATION、これも、のれんの減損を行っておりまして、この会社については、97年度から、のれんの減損の測定方法を変更しているということで、変更前は、のれんの未償却残高と予測される割引前の営業成績を比較して測定しておりましたが、新しい方法では、そのリスクに相応した割引率を用いて、キャッシュ・フローを割り引くことによって、減損を測定したというふうに書かれております。具体的な減損の対象としましては、Burroughsという会社とSperryという会社の買収に関連するのれん、合計で8億8,000万ドルの減損損失を計上しております。

次に、6ページのNo16、THE NEW YORK TIMESですけれども、売上高26億ドルの会社です。この会社については、これは抽象的な書き方しかしていないんですが、会社の戦略的レビュー過程の結果として、長期性資産に減損があるかどうかを判定したが、その判定基準に当てはまる資産があったので減損を認識したということになっております。

具体的な減損会計の対象としましては、ニュースペーパーグループに含まれる3つの小規模地方新聞、それから、それらに関連する配送部門であるとか、印刷施設ということなんですが、ここで、恐らくセグメントでいきますと、新聞部門ということになるんだと思うんですが、その新聞部門全体で見るのではなくて、そのグループの中に含まれるそれぞれの地方新聞ごとに、減損を認識しているということになると思います。減損損失としまして、1億2,600万ドルの損失を計上しております。

次に、8ページをお願いいたします。8ページのNo22の会社ですけれども、WOOLWORTHという小売の会社です。この会社は、96年1月期ということで、この期に初めてFASの121号を適用したようなんですが、121号では、資産のグルーピングというのは、他の資産グループのキャッシュ・フローからおおむね独立した識別可能なキャッシュ・フローがある最低のレベルで行うということになっておりまして、このため、会社の以前の会計方針におけるよりも低いレベルでグルーピングするということになったということを減損損失計上の理由として挙げております。

対象となる資産のグルーピングについては、個々の店舗のレベルで行うと書かれておりまして、不動産であるとか、店舗の備品、賃借資産の改良費、それからのれん、無形資産等の評価減を行いまして、合計で2億4,100万ドルの減損損失を計上しております。

具体的な公正価値の評価方法としましては、投資案を評価するために、会社が用いている率によって、将来キャッシュ・フローを割り引くことによって算定するというふうに書かれております。

アメリカの事例については以上です。

それから、10ページ以降は、これはIASの例を、IASの場合実例というのがありませんでしたので、基準の中で説例として挙がっているものを資料として添付いたしました。こちらの説明については、省略させていただきます。

以上でございます。

○辻山部会長

ありがとうございました。ただいまの荒木委員の御報告に関しまして、御意見、御質問のある方は御発言いただきたいと思います。

○川村委員

この事例の中で、最初に冒頭御説明があったように、リストラ関係の減損の損失の認識が多いという話だったんですが、減損が生じた前後で、実態が変わらず使用しているという資産について損失を計上するというのが、ある意味、本来の減損だったような気がするんですけれども、用途が途中で変わっちゃったようなものについて、減損の枠組みで考えていくのか、それとも、ある種の売却を仮定して、むしろ減損というよりは、売却の処理として考えていくのがいいのかという問題が出てきているような気がするんですが、ある意味、アメリカの企業の開示実態も、その点、ごっちゃになっているようなところがあるような気がするんですが、もし、何かお気づきの点があったら教えていただければと思います。

○荒木委員

確かにそういった傾向はあると思うんですが、減損会計の121号が適用される以前から、売却なり処分する予定のものについては、処分によって入ってくるキャッシュの金額まで引き下げるという実務がかなり蓄積されてきた上で、それに追加するような形で、121号が基準として決められてきたんではないかなと、私はそういう印象を持っております。

○辻山部会長

川村委員、よろしいですか。きょう御紹介いただいた実例は、121号の適用事例というふうに理解してよろしいですか。

○荒木委員

121号の適用というふうにはっきり注記の上で書かれているものもありますし、それ以外に、どの基準によっているかということが書いていないものも含まれております。

○辻山部会長

ですから、川村委員の御質問は、減損の適用事例なのか、それとも、その他のものがあるいは含まれていないか、そういう御質問です。

○川村委員

私がそういう御質問した理由といいますか、1つのメッセージとして、用途が変わったときにどういうふうな会計処理をするのかというような問題は、ある意味、フレッシュスタートを仮定してあげればいいわけで、時価、公正価値で評価するという話に多分結びついていくんだろうなと思うわけです。そういう問題まで減損の枠で考えるのか、それとも、減損する前後で、使い方、実態は全然変わらないんだけれども、収益性が落ちちゃっている、そういうとき、使用価値でやるというのは、この部会での1つの方向性だと思うんですけれども、そういう結論が片方にあって、その点、整理しておかないと、ケースによって公正価値でやったり使用価値でやったり、ごちゃごちゃになっちゃうんじゃないかなという心配があったものですから、質問させていただいた次第です。

○辻山部会長

そのほかの御質問ございますでしょうか。もし、ございませんようでしたら、次の荒木委員の御報告に進ませていただきまして、後ほど、また御意見等をいただきたいと思います。

それでは、荒木委員から、のれんの会計処理に関する米国の動向について、簡単に次に御報告をいただきたいと思います。

なお、この問題につきましては、先週開催されました第一部会においても報告されたところでございます。

では、荒木委員、よろしくお願いいたします。

○荒木委員

それでは、最近の米国企業結合会計の動向ということで、主にのれんの減損に関する変更点に焦点を絞りまして、ごく簡単に御報告したいと思います。

まず、最近の動向に入る前に、現行のアメリカの基準の規定によるのれんの減損処理について、簡単に触れたいと思います。

まず、現行の規定では、2つに分かれておりまして、FASの121号、それから、APB意見書の17号、これはかなり古い基準ですけれども、2つに分かれて規定されています。

121号では、長期性資産の減損をテストするときには、その資産と関連するのれんを資産の帳簿価額に合算してテストするということになっておりまして、その場合に、のれんについては、長期性資産の帳簿価額を減損する前に消去するというふうになっております。

それから、APBの17号の方では、121号で引用しているわけですけれども、減損した資産に関連しないのれん、これについては、APB意見書の17号によって減損処理をする、ただし、具体的な減損損失の測定方法であるとか、認識基準については、細かく定められていないということになっております。ただ、SECの職員会計広報100号において、市場価値法、割引前キャッシュ・フローによる方法、それから、割引キャッシュ・フローによる方法があるというふうに書かれております。

次に、最近の動向ですけれども、これは、御存じのように、99年9月に、公開草案「企業結合及び無形資産」が公表されております。内容をごく大ざっぱに申し上げますと、プーリング法の使用を禁止する、のれんは20年以内で償却する、それから、のれんの減損については、FAS121号に従ってレビューするということで、基本的には、資産に配賦するような形でレビューする、ただし、兆候の例示については、のれんの減損の兆候の例示を独自に追加するということになっております。

ところが、2000年4月から、この公開草案について再審議を開始しまして、去年の12月ですけれども、のれんに関する規定を変更しております。この内容については、まず、のれんは償却しないということを決めておりまして、また、のれんの減損のレビューについては、121号ではなくて、他の資産と異なる方法でのれんの減損をテストすることを決めております。

それから、ことしに入りまして、1月ですけれども、プーリング法の禁止を再び確認しております。

それから、2月に入りまして、こういうような内容を織り込んだ改訂公開草案、これは、のれんのところだけを改訂したものですけれども、「企業結合及び無形資産――のれんの会計」を公表しております。

次に、この2月に公表されました企業結合の改訂草案の概要を、のれんの減損の手順に従って、その部分に限って簡単に御説明したいと思います。

まず、のれんの減損のグルーピングの単位としまして、報告単位というものを設定しまして、これは、事業として最も低いレベルであるというふうに決めております。これは、詳しい説明を見ますと、セグメントよりは低いレベルだけれども、121号で言っている資産グループよりは高いレベルであるというふうにされているようです。

次に、手順としましては、のれんと買収された企業のその他の資産・負債、これをグルーピングの単位であります報告単位に割り当てるということになっております。

それから、3番目としまして、ベンチマーク・アセスメントというのを行うということになっております。これは、少し独特なところだと思うんですが、この(1)から(3)の手続というのは、結局のれんの減損を調査するときではなくて、例えば買収を行った時点で、あらかじめ報告単位であるとか、のれんの割り当てを行っておく。そのときに、ベンチマーク・アセスメントを行う。つまり、その割り当てが適切であるかどうか、それぞれののれんの割り当て方法、それから、公正価値の算定方法についてどういうモデルを使ってやっているのか、会社の意図するところはどういうことなのか、買収する目的はどういうことなのかというようなことを一応買収の時点で確認しておいて、後日ののれんの減損のレビューのときの資料とする、その内容を文書化して残しておく、そのような内容のアセスメントをやるということが書かれております。

実際の減損のテストについては、(4)以降なんですけれども、報告単位ののれんが減損している兆候があるときに、減損のテストを実施するということで、この兆候があるときにテストを実施するという点では、121号と全く同じということになります。

それから、具体的なのれんの減損損失の認識と測定については、のれんの公正価値というものを計算しまして、これが帳簿価額を下回るときに、減損損失を認識する。のれんの減損損失の測定ですけれども、これは、のれんの帳簿価額と公正価値の差額であるということなんですが、それでは、のれんの公正価値というのをどうやって計算するかということになりまして、これは、報告単位というグルーピングの単位の全体の公正価値、そこから報告単位の認識された正味資産の公正価値を引いたものがのれんの公正価値だというふうにされております。

つまり、減損のレビューをやる時点で、この報告単位を買収したら、のれんの金額としてどれだけの金額が計上されるのかという金額を出しているというものだと思われます。

次に、(6)番目ですけれども、この報告単位の処分とのれんの関係ということで、報告単位は1つの事業ですけれども、この事業を一体として処分する場合には、報告単位ののれんもその処分の原価に含めた上で処分の損益を算定するとされております。

それから、報告単位を一体として全部処分するのではなくて、その中の重要な部分を処分するという場合には、残った部分について減損のテストを行う。その結果、のれんの帳簿価額が公正価値を上回る金額は、それは減損損失ではなくて、処分に関する原価だということで、処分損益を計算するときに、処分原価に含めるというふうにされております。

4番目の報告単位、ベンチマーク・アセスメント、兆候、それから、報告単位の公正価値については、少し長くなり、また、今まで述べたようなことを詳しく書いたものですので、説明の方は省略させていただきます。

以上でございます。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。それでは、ただいまの荒木委員の御報告、資料4-1でございますけれども、この点に関しまして、御意見、御質問のある方はお出しいただきたいと思います。

○都委員

のれんの件について、ないようでしたら、私の質問は、先ほどの資料3-1の方なんですけれども、これは、事例を見させていただきますと、不動産関係の業界の減損というのがないようなんですけれども、この辺について、もちろん、この間、アメリカ経済は右肩上がりなんで、不動産が下がったということはないと思うんですが、一方で、日本の不動産会社が、当時アメリカから撤退して、売却して、相当損を出したという記事が散見されましたから、そういう意味では、個別には結構大型の不動産案件が下がっていることもあったと思うんですけれども、こういったものが事例として出てきていないのはどういうふうに考えたらいいのか、ちょっとお伺いしたいなと思いました。

○荒木委員

米国で不動産関係の減損の事例がないのかということなんですが、とりあえず本日は、入手できる資料の範囲内で御報告させていただいたということで、たまたま参考にした資料の中には、不動産関係の減損はなかったということでございます。

○辻山部会長

そういうお答えでよろしいでしょうか。

○都委員

そういうことであれば結構なんですが、できれば、もし、機会がありましたら、アメリカの方で、不動産についてのそういう事例があれば、また別の機会に教えていただきたいと思います。

○辻山部会長

では、宿題にさせていただきます。

○品川委員

資料4-1に戻りまして、1ページのところで、最近の動向の中の2000年12月に、のれんは償却しないという御説明があるんですが、これは、定期的な償却をしないという意味でよろしいのかということと、なぜ、そういうことを廃止したのかということについて、御説明いただければと思います。

○荒木委員

のれんの償却をしないというのは、品川委員のおっしゃるように、定期的に、毎年毎年の償却はやらないということでして、それとは別に、減損のテスト、減損による評価の引き下げというのはやるということになっております。

○辻山部会長

この背景について、川村委員、何か意見がございましたらお願いします。

○川村委員

一般的によく言われているのは、とにかくプーリング法はやめさせたい、パーチェスだけを認めるという形になったときに、のれんががっぽり出てくるんで、これを今までどおりに償却させたんでは厳しいので、のれんは償却しない。プーリングを認めないかわりに、のれんの償却はしなくていいということの引きかえになっているという説明と、あとはもう1つは、理論的に、のれんの償却額を利益から引くと、かえって利益の情報が有用性が低くなってしまう。つまり、アナリストは、逆にのれんの償却後の利益にのれんの償却額を足して、戻して、それで企業の価値を分析しているなんていうのが実際の実務なようなんで、会計上、そののれんを償却するということは、かえって余計なことをすることになっちゃうというのが2つ目の理由なような気がしております。

○品川委員

もう少しあれですけれども、減損を認識する方がはるかに困難で、定期的な償却の方が実務的には極めて簡便だというふうに考えられるんですけれども、その辺の議論は、特にあったのですか。

○川村委員

全くそのとおりなんですけれども、のれんの償却をしないということの1つの理由は、収益性が維持されているのであれば、別に資産を減らす理由というのは全くないわけで、収益性が下がってくれば、資産は価値を減らすという単純な発想なんだと思うんです。ですから、買収して、その結果、収益性がずっと維持されるんであれば、その資産の価値は永続する。ですから、確かに無形の資産なので、いつまでも乗せておくのはいかがなものかという感覚的な議論はあるんですけれども、今、そういう形で変えようとしております。

○辻山部会長

一応表面的に説明されているところによれば、のれんは一種の永久資産である、土地に準じた扱いをするという、表面的な説明はされているようでございます。

○品川委員

理屈の上では理解できるんですけれども、実務的に一々減損を把握するよりも、従来のような定期的な償却をした方がわかりやすいという、簡便であるというふうにも考えられます。あとは、税務的な調整との問題をどうするのかなというのが気になっていたものですから、以上でございます。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。そのほかございますでしょうか。あと数分ございますので、もし、ございましたら、お願いしたいと思います。

本日は、特に投資不動産の問題について、集中的に質疑を行ったわけでございますが、それでは、御質問等ございませんようですので、そろそろ予定の時刻も参りましたので、本日の部会はこれで終了とさせていただきます。

なお、次回の当部会の日程ですが、4月13日金曜日の午後3時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。正式には、改めて事務局から皆様方に御連絡をさせていただきたいと思います。

本日は、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

これにて散会とさせていただきます。

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