平成14年2月18日
金融庁

企業会計審議会第19回固定資産部会議事録について

企業会計審議会第19回固定資産部会(平成14年1月25日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第19回固定資産部会議事録

日時:平成14年1月25日(金)午後4時00分~午後5時53分

場所:中央合同庁舎第4号館9階金融庁特別会議室

○辻山部会長

定刻になりましたので、ただいまから第19回固定資産部会を開催させていただきます。

本日は、皆様方にはお忙しいところご参集いただき、ありがとうございました。

前回でございますが、固定資産の減損会計に関しまして今後必要と考えられる幾つかの事項につきまして、荒木委員、川村委員に設例を作成していただき具体的な議論を行いました。

また、意見書、公開草案のイメージにつきましての資料をもとに、さまざまな論点について皆様にご自由に議論していただきました。

そこで、本日は前回までの議論を踏まえて公開草案のうち特に基準や基準注解となる部分について、起草委員の方々と共同して事務局にたたき台となるものをご用意いただきました。また、前文でございますが、こちらにつきましてもその骨子を箇条書きにした資料を起草委員の方々と共同して、前回の議論を踏まえまして手直ししたものを事務局で作成していただきました。これらの資料を材料にいたしまして、本日はさらに議論を進めたいと考えております。

なお、都委員が財団法人財務会計基準機構の企業会計基準委員会におきまして、減損会計の適用指針の担当委員となられましたので、当部会におきましても起草委員に加わっていただくことといたしました。この点、ご紹介させていただきます。

それでは、基準並びに基準注解のたたき台及び前文の骨子につきまして審議に入りたいと思います。

では、事務局から資料の内容をご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○平松課長補佐

それでは、簡単にご説明させていただきたいと思います。

お手元の資料1が会計基準のたたき台でございまして、会計基準とそれから注解につきまして記載をさせていただいております。それから、資料2の方が前文の骨子ということでございます。

前回、イメージということで前文、それから基準案につきましてイメージをご紹介させていただいたんですが、さらに中身を整理いたしまして、特に基準の方につきましては、基準の姿に近づいたようなものを用意させていただきましたので、きょうは基準の方を中心にご説明をさせていただきたいと思います。

資料1を基本的にごらんいただきながら、逐次資料2を参照していただきたいというふうに思います。

まず、資料1の方でございますが、第1といたしまして対象資産でございます。

本会計基準は、固定資産を対象に適用する。ただし、他の会計基準に減損や評価に関する定めがある資産、例えば、「金融商品に係る会計基準」における金融資産、「税効果会計に係る会計基準」における繰延税金資産、「退職給付に係る会計基準」における前払年金費用については、対象資産から除くことといたしますということでございます。

それから注解の1でございますが、「本会計基準における用語の定義は以下のとおりである」ということで、用語の定義を現状5項目なんですが、こちらに置いてはいかがというご提案でございます。

まず、回収可能価額とは、資産又は資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額をいう。

2番目といたしまして、正味売却価額とは、資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される金額をいう。

3、時価とは、公正な評価額をいう。通常、それは観察可能な市場価格をいい、市場価格が観察できない場合には合理的に算定された価額をいう。

4、使用価値とは、資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値をいう。

5といたしまして、共用資産とは、複数の資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの生成に寄与する資産をいい、のれんを除く。

とりあえずこの5つについて、用語の定義を注解によってしてはどうかということでございます。

続きまして、減損損失の認識と測定でございます。

1といたしまして、減損の兆候。

「資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象がある場合には、当該資産又は資産グループについて、減損損失を認識するかどうかを判定するための調査を行わなければならない。減損の兆候としては、例えば以下の事象が考えられる」ということで、例示列挙をしております。

次のページでございます。マル1といたしまして、資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続して赤字となっているか、あるいは継続して赤字となる見込みであること。

マル2といたしまして、資産又は資産グループが使用されている範囲又は方法について、当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させるような変化が生じたか、あるいは、生ずる見込みであること。

ここに注2というのがございまして、前のページに戻っていただきたいんですが、「資産又は資産グループが使用される範囲又は方法について生じる当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させるような変化とは」ということで、4つ例を挙げております。

まず第1といたしまして、資産又は資産グループが使用されている事業を廃止又は再編成すること。2番目に、当初の予定よりも著しく早期に資産又は資産グループを処分すること。3つ目に、資産又は資産グループを当初の予定と異なる用途に転用すること。4つ目に、資産又は資産グループが遊休状態になったこと。以上4つを例示しております。

続きまして、基準の方のマル3でございます。資産又は資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したか、あるいは、悪化する見込みであること。

注3がございまして、右側でございますが、「経営環境とは、技術的環境、市場環境、経済的環境、法律的環境等をいう」という注をつくってございます。

マル4といたしまして、資産又は資産グループの市場価値が著しく下落したことでございます。

次に、2番目の減損損失の認識でございます。

資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識しなければならないということでございます。

ここで資料の2の方の2ページ、「減損損失の認識」をごらんいただきたいんですが、一番下のところでございますが、そこにはただいま基準でご紹介しました点に加えまして、そもそもの考え方として、減損の存在が相当程度に確実な場合に限って減損損失を認識する考え方、いわゆる確率基準を採用すること、さらに、減損損失は臨時償却を行う前に認識しなければならないこと、この2点につきましては、前文の方で記載をしてはどうかということでございます。

それから資料1の方に戻っていただきまして、減損損失の測定でございます。

減損損失を認識すべきと判定された資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額は当期の損失として処理しなければならないということを基準化してはどうかということでございます。

ここでまた資料2の方、3ページの「減損損失の測定」のところ、上段の方でございますが、そちらに下線が引いてあるところが4項目ございます。これは先ほど注解の1というところで紹介されておりました用語の定義のことなんでございますが、こちらの方で記載することになるのではないかということで、中身は同じでございますが、紹介させていただきます。

それからまた資料1の方に戻っていただきたいんですが、4番目の将来キャッシュ・フローでございます。

(1)といたしまして、減損損失を認識するかどうかの判定に際して見積もられる将来キャッシュ・フロー及び使用価値の算定において見積もられる将来キャッシュ・フロー、2つのキャッシュ・フローでございますが、いずれも企業の固有の事情に照らして、合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて見積もらなければならないということでございます。

さらに注4といたしまして、減損損失を認識するかどうかを判定する際に見積もられる割引前将来キャッシュ・フローの算定においては、キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクを反映させてはならないということでございますが、これについては注解で規定をしてはどうかということでございます。

(2)将来キャッシュ・フローの金額は、最も生起する可能性の高い単一の金額又は生起しうるキャッシュ・フローをその確率で加重平均した金額とするということを規定してはどうかということでございます。

(3)といたしまして、資産又は資産グループの使用に関連して合理的に配分される間接費用――これは本社費等でございますが――につきましては当該資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの見積もりに際して控除するという規定をしてはどうかということでございます。

それから3ページ目でございます。将来キャッシュ・フローの見積もりは、資産又は資産グループの使用状況等に基づいて行うということでございます。

注5といたしまして、将来キャッシュ・フローの見積もりは、資産又は資産グループの現在の使用状況等に基づいて行わなければならない。例えば計画されていない将来の設備の増強や事業の再編の結果として生じるキャッシュ・フローを見積もりに含めてはならない。また、遊休資産については、現時点で実現の可能性が高いと見込まれる利用計画等に基づいて将来キャッシュ・フローを見積もらなければならないということでございます。

ここは以前イメージの議論をしたときやや簡略な形でご紹介させていただいたと思うんですが、注として詳しくさせていただいております。キャッシュ・フローの見積もりは、なかなか重要なポイントだと思いますのでご意見をいただければと思います。

それから(5)でございます。将来キャッシュ・フローには、利息の支払額並びに法人税等の支払額及び還付額を含めないということでございます。

(6)減損損失を認識するかどうかを判定するために見積もられる割引前将来キャッシュ・フローの見積期間は、資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方を超えてはならないということでございます。

この点に関しましては、前回イメージの議論をしたときに、例えば10年というようなことでそういったようなことを記載した資料をお出ししたんですけれども、米国基準等に比べてやや厳格ではないのか、米国には特に年数的な制限はないわけなんですけれども、そういった指摘も踏まえまして起草委員会で議論したわけでございますが、今回は20年というのを一つの考え方として打ち出しております。この辺についてもご議論をいただきたいと思います。

それから注6といたしまして主要な資産でございますが、主要な資産とは、当該資産グループのキャッシュ・フロー生成能力にとって最も重要な構成資産をいうということでございます。

それから5番でございます。使用価値の算定において用いられる割引率。

使用価値の算定において用いられる割引率は、貨幣の時間価値を反映した税引き前の利率でなければならない。資産又は資産グループに係るキャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクについては、将来キャッシュ・フローの見積もりと割引率のいずれかに反映させなければならないということでございます。

それから6番目といたしまして、資産のグルーピングでございます。

(1)といたしまして、グルーピングの方法。減損損失を認識するかどうかの判定と減損損失の測定において行われる資産のグルーピングは、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行わなければならないということでございます。

それから、資産グループについて認識された減損損失の配分についてでございます。資産グループについて認識された減損損失は、資産グループの各構成資産の帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、資産グループの各構成資産に配分するということでございます。

この点に関しましては、検討をお願いしたい事項がございます。資料2の4ページでございますが、右側の欄に、減損損失を配分することによって、資産グループに含まれる個別資産又はより小さな資産グループについて見積もられる正味売却価額又は使用価値――これが容易に算定できる場合に限るわけですが――を下回る金額まで帳簿価額を減額してはならないということが国際会計基準に示されているわけですが、そのようなことにつきまして注解等におきまして規定するかどうかにつきまして検討する必要があるではないかということでございます。

続きまして、4ページでございます。7番目の共用資産の取り扱いでございます。ここにはご案内のように大きな単位で行う原則的な方法と、それから配分できる場合には小さな単位で行うという例外的な方法があるわけですが、そのことにつきまして両方書いているわけでございます。

まず、大きな配分の方法の方でございますが、共用資産に係る資産のグルーピングは、共用資産が関連する複数の資産グループに共用資産を加えたより大きな単位で行う。さらに、共用資産を含む資産グループについて減損損失を認識するかどうかを判定するに際しては、共用資産を含まない個々の資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額に共用資産の帳簿価額を加えた額と、割引前キャッシュ・フローを比較する。この場合に、共用資産を加えることによって算定される減損損失の増加額は、共用資産に配分する。ここまでが大きな単位で行う方法の説明でございます。

続きまして、共用資産の帳簿価額を当該共用資産に関連する資産グループに合理的な基準で配分することができる場合には、共用資産の帳簿価額を各資産グループに配分した上で減損損失を認識するかどうかを判定することができる。例外的な方法でございます。この場合に、各資産グループについて認識された減損損失は、共用資産の配分額を含む各資産グループの構成資産の帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、当該資産グループの構成資産に配分するということでございます。

この共用資産の取り扱いにつきまして、注7がございます。共用資産に係る資産のグルーピングを共用資産が関連する複数の資産グループに共用資産を加えたより大きな単位で行う場合、減損損失を認識するかどうかの判定と減損損失の測定は、まず、資産グループごとに行い、その後、より大きな単位で行うものとするということでございます。

それから8番目、のれんの取り扱いでございます。

のれんに係る資産のグルーピングにおいては、のれんの帳簿価額を関連する資産グループに合理的な基準で配分できる場合は、その帳簿価額を配分しなければならない。帳簿価額を配分しなかったのれんについては、のれんが関連する資産グループにのれんを加えたより大きな単位でグルーピングを行うということでございます。のれんを含む資産グループに生じた減損損失は、のれんに優先的に配分するということでございます。

のれんの問題に関しましては、前文の5ページの方に検討をお願いしたい事項を書かせていただきました。資料2の5ページの中段です。「のれんの取り扱い」の右側の欄でございますが、のれんの帳簿価額を配分する資産グループの単位についてはさらに検討するということで、現状では小さな単位、大きな単位というようなことになっておりまして、さらにその単位というのはどういう単位かということでございますが、事業単位なのか、さらに小さい単位なのかといったような議論でございます。

それから9番目でございますが、減損処理後の会計処理でございます。

(1)といたしまして、減損損失認識後においては、減損処理を行った資産について、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行わなければならないということです。

それから(2)といたしまして、減損損失の戻し入れは行ってはならないということです。

大きな3番でございます。財務諸表における開示の問題です。

1、貸借対照表における表示でございます。

減損損失は、原則として、取得原価から直接控除し、控除後の金額を取得原価として表示する。ただし、減損損失累計額を取得原価から控除する形式で表示することもできるということでございます。

ここは直接控除方式を原則とし、間接控除方式もまた認めるということを表現しているということです。この場合、減損損失累計額を減価償却累計額に合算して表示してもよいということで、国際会計基準においてもこのような方法がとられている、ないし認められているようでございます。

2、損益計算書における表示でございます。

減損損失は、原則として、特別損失に表示しなければならないということでございます。

それから注記事項でございます。

重要な減損損失を認識した場合には、減損損失を認識した資産、減損損失の認識に至った経緯、減損損失の金額、資産のグルーピングの方法、回収可能価額の算定方法等の事項について注記をしなければならないということで、この内容につきましても国際会計基準、米国基準等を参考にしてつくらせていただいております。

それから注8でございます。注8については、いわゆるファイナンス・リース取引の取り扱いでございます。

ファイナンス・リース取引により使用している資産については、賃貸借に係る方法に準じて会計処理を行っている場合、リース賃借資産又はリース賃借資産を含む資産グループの減損を検討するに当たっては、当該リース賃借資産の未経過リース料の現在価値を、当該リース賃借資産の帳簿価額とみなして、本会計基準を適用する。ここまで、要するに現在価値を帳簿価額として本会計基準を適用するというところでございます。

ただし、リース賃借資産の重要性が低い場合においては、この取り扱いを行わないことができる。また、未経過リース料の現在価値に替えて、割引前の未経過リース料を、リース賃借資産の帳簿価額とみなすこともできるということで、重要性の問題と、それからやや簡便法の問題が記載されているということでございます。

2、前項に従いリース賃借資産に本会計基準を適用した場合、リース賃借資産に配分された減損損失は負債として計上し、リース契約の残存期間にわたり規則的に取り崩さなければならない。取り崩された金額は各営業年度の支払いリース料と相殺するということでございます。

基準としては以上でございます。

それからさらに、前文固有の事項というんでしょうか、資料2をごらんいただきたいんですが、下線を引かせていただいた部分が前回のお出ししましたイメージにつけ加えた部分ということでございます。その中で、ただいま基準を紹介する過程で説明できなかったことをちょっとご紹介いたします。

まず1ページ目でございますが、前回ご議論が少しありましたけれども、過去にさかのぼるキャッシュ・フローの問題、それは起草委員会の内部では認識のところをそういう取り扱いについてはとりあえず基準としてはとったらどうかというような方向になっておりまして、その点につきましてむしろ前文の方でさらに考え方を整理しなくてはいけないというご指摘も踏まえましてご用意させていただいたところが1ページ目の下線の部分でございます。

まず最初のところでございますが、「我が国では過年度修正は修正年度の損益とされている。減価償却などを修正して帳簿価額を回収可能な水準まで減額させる過年度修正による損失も、減損による損失も、遡及修正が行われなければ、認識された年度の損失とされる点では同じであるため、回収を見込めない帳簿価額を一纏めにして、減損の会計処理を適用することとしたこと」、これとほとんど同じ文章が経過報告にありまして、まずそれをここに入れさせていただいて、さらに2つ目の文章で「将来、減価償却の過年度修正に対して遡及修正が行われるようになった場合には、本基準において減損損失に含められているもののうち、減価償却の過年度修正に該当する部分については、減価償却の修正として処理される必要があると考えられること。また、この場合には、減価償却の修正前に減損損失を認識することについて、再検討される必要がある」。これは前回の部会におけるご意見を踏まえまして起草委員会の方で検討いたしまして、このような文章ではいかがということで書き加えさせていただきました。

それから資料2の6ページ目でございますが、前回、経過措置についてのご議論がございまして、経過措置の問題というのはもちろん適用時期の問題とも絡むんですが、起草委員会としては、特段の経過措置は必要ないんではないかという考え方になっているわけなんですが、前回ご意見もございましたので経過措置について検討する必要があるかどうかという意見があるかどうかということでひとつ提議をさせていただいております。

それから7ページ目でございますが、適用指針の問題です。適用指針に委任するという問題をそこへ具体的に書かせていただきました。将来キャッシュ・フローの見積もり方法とか割引率とかグルーピングの問題とか共用資産の問題等々、そこに書いているような問題につきまして例示列挙をしてはどうかということでございます。

それから最後、投資不動産についての説明なんですが、前回は経過報告を踏まえというようなやや抽象的な表現だったんですが、今回少し文章化をしてみました。「投資不動産については、他の有形固定資産と比べて、比較的容易に時価によって換金することが可能であること等から、一部の金融商品と同様に時価評価を行い、評価差額を損益計上する会計処理が適当であるという考え方がある。しかし、ほとんどの投資不動産は事業用資産としての性格を有していること、また、純粋に投資目的で保有する資産と事業用資産の性格を有している資産を明確に区分することが困難であること等から、投資不動産についても、事業用資産である他の有形固定資産と同様に取得原価基準による会計処理を行い、必要があれば減損処理を行うことが妥当である」ということ。

それから、以下に書いていることは前回と同じでございます。

以上でございます。

○辻山部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からのご説明を踏まえまして議論を深めてまいりたいと思います。

本日お示ししました前文のイメージそれから会計基準でございます。いずれも公開草案として今後固めていくわけでございますが、大分最終的な局面にも来ておりますので、十分にご意見をお出しいただきたいと思います。

まず、ただいまの事務局のご説明に対してご質問、確認等がございましたらお出しいただきたいと思います。

岩田委員。

○岩田委員

3ページの(6)の割引前将来キャッシュ・フローの期間と見積もり方法なんですけれども、ターミナル・バリューは一応入るというイメージでよろしいんでしょうか。

○辻山部会長

それは何度も数値例で出ておりますように、ターミナル・バリューは含まれるということでございます。

奥田委員、どうぞ。

○奥田委員

3ページの(4)にあります「使用状況等」という「等」は具体的にどういうものが含まれるというイメージでしょうか。

また、注5にあります「利用計画等」の「等」というのも、例えばどういうものが入るということでしょうか。

○辻山部会長

これは今具体的なことは決まっておりませんのでこの段階で「等」というふうな表現になっているという理解でございますが、具体的なことにつきましては今後適用指針等で、あるいは場合によっては「等」ということで実質的な判断はその企業ごとに決まってくるということで「等」というのがついているということでございます。

どうぞ、太田委員。

○太田委員

3ページの(6)の部分で、「将来キャッシュ・フローの見積期間は、経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方を超えてはならない」とありますが、この20年についての何か根拠というものは、特にはないというふうに理解してよろしいでしょうか。

○辻山部会長

例えばということでこれまでの議論の中で10年というのも出ていたと思います。実際の話の整理としましては、これまで起草委員会の方の数値例等でご説明がございましたけれども、まず割引前キャッシュ・フローというものを考えたときに、これが無限になるといずれも減損に該当しないということになりますので、アメリカの144号においては主要資産の耐用年数に合わせる、しかも、その主要資産は有形固定資産もしくは無形資産の償却資産に限るということで、土地を除外するような構造になっております。日本の場合には、主要資産の中から土地を除くというのが一つ案として考えられるわけですけれども、それは日本の経済実態に照らして取れないのではないかということかございます。そうしますと、土地を主要資産に用いることができる場合には、一定の年限で切らざるを得ないということですね。その場合に、土地だけある年限で切って、主要資産が土地以外の資産になった場合には、その主要資産の耐用年数に合わせるというのがもう一つの考え方ということで検討されたわけでございますけれども、その場合には実務的に、主要資産が土地になるのか建物になるのかによってかなりドラスティックに割引前キャッシュ・フローの見積期間が20年から一気に40年に飛ぶというようなことについての措置をどうするのかという日本固有の事情ということです。この20年という期間を切るということが非常に厳し過ぎるというご指摘、前回の委員会でもございましたけれども、土地が入るということで期間を区切らざるを得ない、10年にしても20年にしてもですね、そして土地だけではなくて全体について上限を設けるというのはそのような考え方から入ってきたということだろうと思いますけれども。

では20年は何かというのは、種々20年の妥当性については議論がございましたけれども、これはここでご紹介するようなものでもないというふうに思います。ただ、10年からいきなり20年にしたということではございません。いろいろなことで検討した結果、20年というのがご提案になっているということでございます。

斎藤委員。

○斎藤委員

非常に細かなことで余り重要ではないんですけれども、一番最後のページの注8です。ファイナンス・リース取引のケースで、その下の方に「また、未経過リース料の現在価値に替えて、割引前の未経過リース料を、リース賃借資産の帳簿価額とみなすこともできる」と。これは専ら簡便な取り扱いを想定したものと思いますけれども、このケースで仮に減損が認識されたときの減損の測定というのはどうなるんでしょうか。割り引くんでしょうか、割り引かないんでしょうか。

○辻山部会長

この点について荒木委員、特にご発言ございますか。

○荒木委員

この点については、基本的には未経過リース料を割り引くということが原則で、あくまで簡便法ということです。その場合も減損の認識、測定に関しては将来キャッシュ・フローを割り引くということになるんじゃないかと思います。

もう一つ、その根拠としまして、ファイナンス・リースのリース資産だけでキャッシュを生み出すというケースは実務的には余り多くない。そうしますと、リース資産とその他のオンバランスされている固定資産がありまして、これが一体となってキャッシュ・フローを生み出すというケースが実際的には多いのではないかと思われます。そうしますとそのオンバランスされている資産の減損の測定との整合性を考えますと、簡便法をとった場合だけ違う測定方法をとるということは少なくとも実務的には少し難しい面があるなというふうに感じております。

○辻山部会長

どうぞ、斎藤委員。

○斎藤委員

おっしゃるとおり、ここに減損を検討するに当たっては、本会計基準を適用すると書いていますから、今のようなお答えでないと困る仕組みになっているんですけれども、そうしますと簡便な措置といってもどのくらい簡便になるんでしょうかね。減損を評価する場合の簿価といいますか、それを単に割引前で考えていいという程度の簡便さということなんですね。それに意味があるというんだったら私は別に何も意見はありません、それで結構です。

○辻山部会長

なぜこれが入ってきたのかということは主として産業界からのご要望がございまして、特に弊害というか重大な問題がないのでとりあえず認めましょうということになっているわけですが、小宮山委員、何かございますか。

○小宮山委員

この部分なんですけれども、多分何か一つ前提があると思うんですね。今のリース会計基準で利子抜き法というのが認められているケースというのは重要性がない場合になっていますね。固定資産の残高等との比率で10%基準、5%基準という基準があって、それ以外の会社は最終的に利子を抜いた割引価値で評価されていますので、そういう会社は当然重要性がないだろうからそれでもできますよ、その辺は余り減損損失のところで割り引く、割り引かないというのは影響しないんだろうという割り切りをしているということですね。どういう会社がこれを使えるかという前提がひょっとしたら書き抜けているのかなという感じがちょっとしますけれども。注記の方式で利子抜き法を採用しているか、利子込み法を採用しているかで多分適用の結果が分かれるんだろうと思うんですね。

○辻山部会長

おっしゃることは、ここの表現でいきますと、重要性が低い場合というのは重要性が金額的に低いということではなくて、会社によって違うというお考えですか。そこまでは議論はされていなかったと思うんですが、ご意見として承っておきます。

そのほかございますでしょうか。品川委員、どうぞ。

○品川委員

1ページの注1の関係の用語の定義のところですが、時価とは市場価格が観察できない場合には合理的に算定された金額。合理的な算定方法というのは、これは特に適用指針のところにも例示になっていないんですけれども。実務的にはこれが一番問題ではないかと思うんですけれども、これについて一切議論しないのか、あるいは適用指針にそのままお任せするのかその辺が1つ。

もう一つ、4番の使用価値に関して将来キャッシュ・フローの問題について、ターミナル・バリューを計算する場合に市場価格が観察できない場合にはどういうふうに計算するのか。

結果的には使用価値と正味売却価額の異同についてどう理解すべきなのか、3点についてちょっとご説明をいただければと思います。

○辻山部会長

まず、第1点目でございますが、合理的なというのをここで議論しなかったかというと必ずしもそうではございません。

○品川委員

ここで明らかにするかどうかですね。どこで明らかにするのか、あるいはしないのかという。

○辻山部会長

その点について、適用指針の委任条項に入っていないからそこから除くという意味ではございませんので、場合によっては適用指針の方で議論される場合もあるし、されない場合もある。この段階では合理的にというのが基準として規定できる範囲ということでこのような表現になってございます。

それからターミナル・バリューの問題ですけれども、ターミナル・バリューが必ずしも市場価格かというとそういう合意はございませんで、むしろそうではない場合がある。品川委員のご指摘は、ターミナル・バリューは市場価格である、したがって、市場価格が観察できない場合はどうなんだというご質問というふうに承ったんですが……。

○品川委員

もしそれでしたら、ターミナル・バリューの評価方法というのはどうすればいいんですか。そこでまた使用価値というわけにはいかないですよね。

○辻山部会長

ターミナル・バリューを考える場合、そこで必ず売るという前提で上限を切るという理解をお持ちでしたら、まだ合意はそこまではいっていないわけですね。

前回か前々回、川村委員の数値例のときにも議論になりましたように、ターミナル・バリューでその年度以降のキャッシュ・フローを割り引いたターミナル時の使用価値を使うということも考えられるということでございますが。

○品川委員

そうしますと、使用年数を20年と一応切ることにしているわけですね。そうすると、20年後のその資産の価値はどう測定するかという問題があるわけで、そこでまた使用価値を計算するとなったら20年で切る意味がないではないですか。

○辻山部会長

そのターミナル・バリューは割り引かれているわけです。

○品川委員

そこでまた20年計算するんですか。

○辻山部会長

ですからその場合にターミナル時に売るという話と、そのときの使用価値をとるという話は全く違うものではございません。要するに20年で切って、それ以降のものについては20年まで割り引いた使用価値を足すか、20年後の処分価格を足すは、状況によって判断されるわけですね。今は割引前キャッシュ・フローの議論をしております。

○品川委員

20年後のターミナル・バリューはどう計算するんですか。

○辻山部会長

それについてはまだ具体的な話は出ておりませんけれども、少なくとも、20年後に必ず売るということでターミナル・バリューを出すという合意ではございません。

○品川委員

わかりました。

○若杉会長

資料1の2ページの本文の欄の一番上の囲みのマル4「資産又は資産グループの市場価値が著しく下落したこと」。1ページの注解の欄の注1でグロッサリーがついていて5つの項目について説明があるんですけれども、この中に「市場価値」という言葉がないんですよね。ただ、3の時価のところで「市場価格」という言葉がありますね、「観察可能な市場価格」とか。「市場価値」という言葉がここに使われているとちょっと何か定義がないと戸惑うんじゃないかと思うんですけれども、いかがなものですかね。

○辻山部会長

特に意味はないと思うんですけれども、市場価値の中に市場価格が含まれるという理解で、もし明確にした方がよろしいということであれば検討させていただきます。

○若杉会長

要するに、これを見る人が理解できればいいんですけどね。

○辻山部会長

わかりました。

特に起草委員の方々、今の件についてご意見、よろしいですか。

それでは、ただいまご意見、ご質問をいただきましたので、先ほど事務局の方から要検討事項として指摘させていただいたことにつきまして、まず先行してご議論いただきたいと思います。

前文のところでございますが、4ページでございます。資産グループについて減損損失が認識された場合には、次にその資産グループを構成する構成資産に減損損失を配分するわけでございますが、これにつきましては一応基準上は帳簿価額に基づく比例配分というのが原則になっておりまして、その他合理的な方法により配分する。配分の結果、減損を引き受けた結果の構成資産の帳簿価額がここでいっております回収可能価額を――回収可能価額というのはグループ全体で判定しますけれども、正味売却価額はいわゆる時価でございますが、ちょっと矛盾しているんですけれども、使用価値を個別に判定できたとして容易に判定できる場合ということですけれども、――それを下回ってもよろしいのかどうかという点につきまして特にご意見ございますでしょうか。

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

実務的な手間を考えますと、グルーピングしなければ時価がわからないもので、その中にたまたま時価がわかるものがある、その時価を下回ることがどうかというのは余り実務的ではないような、特にこれがあるからといって固定資産の全体的な体系が変わるわけではないのでここまで詳細なのは要らないんではないかと思うんですが。

○辻山部会長

実務的なことは別にして、個々の資産の時価はわかるわけです。今わからないのは、使用価値はグルーピングした上で見なければならないということなので、一方の時価については切り売りした場合はいかがかというところで、それは出るということが前提になっておりますが、それでもやはり――後段の使用価値というのを除いて――時価と減損後の帳簿価額を比べて一々判定する必要がないと、こういうご意見というふうに承ってもよろしいでしょうか。

○伊藤委員

時価にしますと、例えば製造装置をイメージしますと、通常の時価というのはほとんど余り役に立たない単品のものだと思いますね。ですから確かにたまたま容易にできるんであれば注意はあってもいいのかもしれないですけれども、大きな方針としてそれほど重要ではないんではないか、あるいは実務上は結構困難ではないかと思うんですが。

○辻山部会長

わかりました。

その必要はないということですね。このご提案は、グループ全体で減損額というものが測定できました。それは使用価値で見る場合にはキャッシュ・フローとの対応で見るわけですけれども、その結果固まった減損損失を帳簿価額によって各資産に配分したその結果、今おっしゃるような機械装置を切り売りする場合の時価、それを下回るような帳簿価額になってもよろしいのかという質問なんですが、それもいいでしょうというふうなことで承りましたが。

○伊藤委員

割り切りだと。

○辻山部会長

わかりました。

そのほかいかがでしょうか。荒木委員、どうぞ。

○荒木委員

今の件ですけれども、少し実際の例を考えてみますと、例えば1つの工場全体を資産グループとして減損を認識したというような場合に、その工場の中には例えば別の場所に工場従業員の方の社宅であるとか倉庫が別にあると。そういったものも一緒になって独立したキャッシュ・フローを生み出すということで一つの資産グループになっているというような場合を考えますと、例えばたまたまその資産グループの中に含まれている倉庫だとか社宅というものが非常に安いときに買ったもので時価が簿価より高くなっているというようなケースもありますので、そういう資産にまで減損損失を配分するということになりますと、さらに帳簿価額が下がってしまう。例えば先ほども部会長の方からお話があったように、その資産を切り売りをするということになりますと、減損をした資産なのに切り売りしたときには利益が出てしまうというふうになってしまいますので、この規定は残しておいた方が実際そういう不都合を防ぐためにも必要ではないかというふうに思います。

また条件がついておりまして、容易に算定できる場合に限ると書かれておりますので、恐らく個々の機械について時価を算定して必ずそういう時価を調べなさいという趣旨ではないと思いますので、実務的にもそれほど負担になるようなことはないのではないかというふうに考えます。

○辻山部会長

ただいまの件、特にほかの方からのご意見ございますでしょうか。

どうぞ、増田委員。

○増田委員

今のお話を素直に聞いていますと、何となくグルーピングで時価が測定しにくいものについての減損分を控え目に出すという道具に使われているんではないかという懸念を招く表現だと思うんです。つまり、時価が測定しやすいものについて、その時価以下の減損分を帳簿価額の按分比例で割り振ったりしたらその分だけ時価が測定しにくいものについての価値の減損を控え目に表現したということになるんではないでしょうか。つまり、こういうグルーピングをしたものについては帳簿価額の按分比例をするにしても、個別に見ていって時価が測定しやすいものについてはその時価で減損分をとめておいて、時価が測定しにくいものだけについて按分比例をするという発想の方が素直に私には聞こえるんですけれども。

○辻山部会長

ただいまの件はむしろ逆でございまして、減損額がまずグルーピングされた資産グループについて確定しております。その結果、帳簿価額に比例して配分した結果、ある特別な資産については時価以下になってしまうような事態になった場合に、その資産については帳簿価額で配分された減損額を配分せずにその一部を他の資産に減損配分するということですから、むしろその結果、時価が容易に算定できない資産については減損額が大きくなるということになると思いますけれども。

○増田委員

検討の対象とその前の段階とを完全に反対に考えておりました。

○辻山部会長

いずれにしても、両論今ご意見が出ましたけれども、そのほかいかがでしょうか。そこまで細かくする必要はないんではないかというご意見、それから残した方がいいというご意見なんですが。

清水委員。

○清水委員

下回る金額まで減額してはならないとしない、要するにどちらでもいいというか、することができるというか……。要するにしなければならないとなると、容易にできるものは時価を必ず算定しなければならないということになるわけですよね。ですから個々のものが容易に算定できないから比例配分によってそれを合理的とみなしてやるんですから、理屈の上でわかるものはそれに決めちゃって、それ以外のもので配分するのが正しいと思うんですけれども、してはならないとやるとちょっと抵抗が実務的にあるかもしれないなという気がしますけれども。

○辻山部会長

わかりました。ただいまのご意見は、合理的という表現が本則に入っていればこの右側のことを特に規定しなくても、ねばならないということでなければ構成され得ると、そういうご意見ですね。

太田委員、どうぞ。

○太田委員

これをつけ加えるか否かのときに考えることなんですが、先ほど話が出たような例えば工場の機械設備ですとか、そういうものにまで時価があるかどうかということを調査することは想定していないんではないかという気がしているんですが。

例えば、言ってしまえば土地ですとか、そういうものについて、配分してみたらそれを個別に見たときの時価よりも相当下回るところまで下がることになってしまった、というような不合理さを排除するという意味では残してもいいんじゃないかなというふうに思います。

○辻山部会長

斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員

この時期に大変プリミティブな質問で恐縮なんですけれども、念のためですが、ここで言っている正味売却価額はともかくとして、使用価値がわかる場合に、減損の結果、簿価がそれを下回ってはならないということですね。仮にすべての資産の使用価値がわかるとしたというときに、簿価が使用価値を下回ってはならないというのは何か減損を考えたときと議論が逆ですよね。それはどういうふうな脈絡で考えたらいいのでしょうか。

○辻山部会長

私が冒頭ご紹介しましたように使用価値に限っては少し矛盾がございまして、グルーピングというのはキャッシュ・フローの最小単位でやっているはずですから、本来その中の特定の資産の使用価値というのは別途計算できないはずだというのが私の理解なんですけれども、そういう場合があり得るというのがここでは想定されているのではないでしょうか。

○斎藤委員

どういう場合かというよりも、考え方の問題として、簿価が使用価値を下回ってはならないという考え方は、減損というのはそもそも簿価が使用価値を上回っているときに下げなさいという話だったんですよね。下げた結果下回ってはいけないということになると、表面だけを考えると、何のためにということがちょっとよくわからないんですけれども。

○辻山部会長

ですから冒頭説明しました、使用価値の方は多少留保させていただいて、時価の方ですね、その資産の構成の中に時価が容易に判定できるものがあったとしてという議論というふうに個人的には理解しております。

荒木委員、どうぞ。

○荒木委員

これはこういう処理をやることによって帳簿価額よりも高い評価をするということは意味しておりません。減損損失を配分することによってこういう使用価値なり時価より下げてはいけないということですので、要するに帳簿価額と例えば時価とのいずれか低い方よりも下げてはいけないという意味で、これは特に問題はないんじゃないかと思うんですけれども。

○辻山部会長

ただいまのご質問は、そもそも使用価値というのはどうやって計算するんでしょうかという今議論をしているときに、全体の枠組みの中で使用価値というのはキャッシュ・フローから導き出されますので、キャッシュ・フローを考える最小の単位がまず資産のグループというふうに考えられているわけですね。ですからそこでの使用価値というのは決まるけれども、その中の個々の資産の使用価値が決まるというこの議論自体がいかがなものでしょうかというそういうご質問なんです。

しかも、そのときにそれ以下に下げてはいけないという議論をすること自体が、減損の枠組みの中で逆転していると、そういうご指摘だと思いますが、これは使用価値が個々に決まるということ自体が矛盾しているというご指摘はないんでしょうか。

○斎藤委員

それについては別に私は今問題にしていません。もちろん別途に問題にすることは可能ですが、それを問題にする前に、今のような減損という議論をする前提条件があって、要するに簿価の回収可能性を問題にしたわけですね。回収可能額を仮に使用価値でとらえるとしたときに、使用価値を上回る簿価がいけないと言っているときに下回ってはいけないということは一体どういうことかという非常にシンプルな話なんです。

○辻山部会長

結局細かいことを置いておきますと、下回ってもなぜ悪いのか、そういう結論になりますでしょうか。

ここで恐らく問題になっているのはむしろ使用価値のことは一応置いておいて、正味売却価額というものが構成資産の中でたまたま高いものもあった。そこに簿価による比例配分をしたときに、時価よりもかなり低い帳簿価額がつきます。その後にそれを切り売りしたときに売却益が出るような事態でよろしいのかと、そういう問題意識だと思うんですけれども。ですから、使用価値が入ってくると多少話が混乱いたしますけれども。

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

今社宅の例が出たんですが、社宅の例は意外と理解できるんですけれども、一般的には幾つかの資産があって一体でなければ動かせない。その中で1つだけ売れるのか、価格がわかるから売れるのかというのがあるようになっていますから、やはりグループというのはグループ一体の資産でしか運用できないものでしょうから、その中の1つの時価が、全く離れています社宅ですとそれは販売できるのかもしれないんですが、ちょっとその事業の遂行上実際に売れるのかどうかというのがあるような気がします。

○辻山部会長

この点、また次回起草委員会でさらに詰めていただいて、本日の意見を踏まえてまた検討させていただきたいと思います。

それでは次のものですけれども、これは大きな問題だと思いますが、のれんの取り扱いでございます。

のれんについてはこちらで第1部会との関係について言及するということになっておりますが、もしこちらの減損会計の枠組みの中で処理するといたしまして、こちらは共用資産と原則例外が逆になっております。特にのれんの方の経過報告における書きぶりは、配分できる場合には必ず配分しなさいと、そういう表現になっております。この配分しなければならないという配分の対象は、一応現段階では資産グループということになっておりますが、ここで言っている資産グループの単位というのは何が想定されているのかということについてでございますが、この点についてご意見ございますでしょうか。

それでは小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

資産グループと同じ表現を使っているんでしょうけれども、基本的には買ったときに評価した事業の単位だろうと思うんですね。のれんもそれに従って出てくるというふうに考えられますので、恐らく減損の認識をするときもそれをそのまま引き継ぐということじゃないかと思うんです。単一の事業を買ったというふうに認識しているものをわざわざ分けなさいということを要求しているんではない。その辺をどうやって文章で表現するかという問題は残っているのかなというふうに思うんですけどね。

○辻山部会長

わかりました。

そのほかのご意見、いかがでしょうか。文章を読みますと逆のようにも読めますけれども、そもそもの前提が、のれんをまず配分するといったときのその配分は、共用資産でいう場合の関連する資産、関連する複数の資産グループというその資産グループに分けなさいということを言っているわけですから、結果的には共用資産と同じことを言っているというふうに読めるわけですが、この点はそういう理解でということでございますね。

そのほかのご意見ございますか。

秋葉委員、どうぞ。

○秋葉委員

今のところなんですが、仮に事業単位、評価単位ということでのれんを合理的な基準に配分するというふうに考えたときに、経過報告では取得時の資産グループの時価の比その他合理的な方法ということで、取得時のという時点を明示しておったんですが、ここでは特に明示していない。ちょっと基準の方でも時点は書いていない。ただ合理的な基準ということなんですが、もしその合理的な基準が今の理屈で考えれば、買収等をしたときの時点での評価単位ですから、やはり取得の時点だろうと。そうすると現実的に3年前、5年前、場合によってはもっと前の時点で割り振るということが、その後の事業のあり方とか何かも含めて難しいところがあると思うんですね。ですからそこら辺はそもそもどうするかなという心配と、あとはのれん自体が先ほど部会長のように第1部会との関係があるわけですが、それをちょっと突き詰めると、もともと償却をするか否かというのがちょっと国際的には論点になっていますが、仮にですけれども、そういう取得の時点でいろいろな事業単位、評価単位に分けるということが考え方として正しいとすればちょっとこの部会の話ではないんですが、のれんについてもその事業単位ごとにもともと按分して、例えば償却年数ものれんの事業単位ごとに変えるとかそういう話も、できるかどうかあれですけれども、なかなか言うはやすしでやるは難しいという行う形というところがあるので、その辺経過報告からここまでの部分について考え方で変えた点があるか、変えなくてもいいのか、今後さらに検討するのかということが若干気になったところなんですけれども、どうでしょうか。

○辻山部会長

この点について特にご意見のある方いらっしゃいますでしょうか。

今の議論ですけれども、もう一度確認させていただきますと、経過報告の段階ではこのような表現になっておりましたけれども、突き詰めて考えますと、共用資産の取り扱いとのれんの取り扱いというのは原則的な取り扱いは整合的といいますか同じであると。ただし、共用資産についてはもともと関連するグループというところがありますので、そこの大きなグループで判定をする。それに対してのれんというのは、その事業が複数ある場合のその上に乗っかっている場合があると。ですから最初に配分というのは、前に表現上出ております必ずしも最小のキャッシュ・フロー単位がまとまった資産グループを指しているわけではなくて、より大きな、のれん発生時の、のれん取得時の事業、関連する事業がもし複数あれば複数には最低限先に配分しなさい、あとは共用資産と同じような扱いになるということがまずあります。その後の細かい配分になったときには今度は共用資産と違って、最終的には生じた減損はのれんにまず優先的に配分していくと。各資産グループの中で、最小の資産グループの中で発生した減損は資産グループで持ちますけれども、のれんを含めたより大きな資産グループのところで出てくる減損についてはのれんに優先的に配分すること。この優先的というのはそういう意味であるということの確認でございます。ですから、共用資産とのれんの取り扱いは基本的には同じ枠組みで、違うところは複数の事業にまたがるような場合にはそこに配分しなさいというのが第1段階でのれんの方で入る。それから配分の一番最後のところでは、のれんに優先的に配分するというところが共用資産と異なると、こういう理解でございます。

この点について特にご意見ございますか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員

先ほどの資産グループというのは、結局は、事業単位、その資産グループを取得したときにどういう事業に使うためであったかということとほぼイコールという話なんですが、ということは、例えば減損の兆候を認知する理由が、当該事業会社が事業を再編してその事業単位をなくしたことに由来するというときには、のれん代はすべてゼロまで減価するということでいいんでしょうか。

○辻山部会長

今のなくすというのはどういう意味でしょうか。

○増田委員

つまり、そののれんを使ってやっていた事業分野を完全に部門として撤廃してしまうときには。

○辻山部会長

そういう結果にならざるを得ないと思いますけれども。

品川委員、どうぞ。

○品川委員

のれんに優先的に配分するというのは、減損の理由それ自体がのれんの価値をなくしているからというそういう意味。それ以外にも減損の理由というのがあるので、それ以外の場合にはのれんを優先的になくしてしまうということについては理論的根拠に欠けるように思えるんですが、そこは減損の理由を問わず、とにかく無形資産だから早くなくしてしまえというそういう保守的な要請でこういう優先配分を決めるんですか。

○辻山部会長

無形資産ということは大いにあり得ることで、ですからのれんにまず優先的に配分し、残りは各構成資産に配分するというのが経過報告で言われていたことであるということを今確認しているわけです。

○品川委員

その理論的根拠が外部に対してうまく説明できるかなとちょっと今疑問に思って、今ごろ疑問に思うのはおかしいのかもわかりませんが。

○辻山部会長

この件につきまして特に小宮山委員、今のことにつきましてご意見ございますか。

○小宮山委員

差額で出てくることは確かなんだけれども、一応超過収益力と考えているから、その分がなくなったというときに優先的にそこから減らすというふうに考える、割り切りだろうと思うんですけどね。

○辻山部会長

通常はそういう理解ですけれども、今の品川委員のご質問は、それ以外の原因もあるということがなぜ否定されるのかということなんです。

○品川委員

例えば機械が陳腐化して全体の使用価値が下落している場合、のれんそのもの自体は健全であるけれども、構成財産が下落している場合は、別にのれんを真っ先につぶさなくてもいいではないかというふうに言われたときに、どう対応するのかなとちょっと疑問に思っただけ。

○辻山部会長

実際にそういうことがあり得るんでしょうか。事業全体でのれんがある場合に、機械が著しく減価しますと、まず超過収益力がなくなる。のれんは健全であって機械だけが陳腐化するというイメージがよくわからないんですけれども。

○品川委員

何がのれんかというのはいろいろな議論のあるところでしょうけれども、いわばかつての名声とかそういうことがそのまま継続できる。ただ、たまたま工場の機械が非常に経済的に機能が陳腐化して、それを全部入れかえなければならない。しかし、代々持っていたのれんというか名声は依然として超過収益力をまだ生む状況にあると、そういうことが想定できないのかなと思っただけ。

○辻山部会長

通常考えますと、今考えておりますのはキャッシュ・フローで判定いたしますので、機械が非常に効率が悪くなった、したがって、機械だけが陳腐化し機械を差しかえるという場合には、今減損は収益力が低下している場合を議論しているわけですから、のれんの減損テストにはひっかからないことになるのではないでしょうか。個別の機械の陳腐化は収益力の低下とは別の話ですね。

○品川委員

でも、機械の稼働が低下すれば稼働力が弱るわけですからキャッシュ・フローも下がってくるわけじゃないですか。

○辻山部会長

ですから今ご指摘のようにのれんが健全であって、機械だけが稼働が落ちてきた場合には機械を差しかえて、のれんが健全であるということはキャッシュ・フローが確保できるブランド力なり超過収益力が落ちていないという事実ですね。ですから今減損は収益力が落ちたという事象をとらえていますので、それはまず超過収益力の方にその減損分を張りつけるというのが、先ほどの小宮山委員のご発言はそのようなご発言だったと思うんですけれども。先生がおっしゃっているようなケースはちょっとイメージしにくいですね。

○品川委員

ご趣旨はわかるんですけれども、ただすべてのれんを優先的になくすということが果たして理論的にすべて正しいかどうかということについてちょっと疑問があったものですから。ほかの方がそういう疑問はないということであれば特に固執しませんけれども。

○辻山部会長

特に品川委員のご発言は、のれんに優先的に配分することについて反対であるということではなくて、その理論的根拠が不明確なのではないかということですね。

○品川委員

すべてがこれに該当するかということについてちょっと疑問が残ったというだけで。

○辻山部会長

わかりました。その理由についてはただいまご紹介したようなことですけれども、少し検討させていただきます。

秋葉委員、どうぞ。

○秋葉委員

今のケースは例えばこういうふうに考えるとわかりやすいと思うんですが、品川先生のような設例の場合であれば、多分機械の部分が最小のキャッシュ・フロー単位として考えられていて、その上の複数の資産ないしは資産グループをまたがるのれんはぴんぴんしていますが、機械の一部分が陳腐化したということは、逆に言えばその機械をベースにしている部分がキャッシュ・フローの最小単位と考えて、ですからその部分がキャッシュ・フローが小さくなったということで減損の考え方になじむかもしれませんが、それを横断するようなのれんは大丈夫であると。

ですからさっきののれんの配分にもありましたが、個々の資産または資産グループという単位と事業単位という区分が、特にのれんの場合ですと事業単位で考える方が妥当ではないかという潜在的な意識がある部分と、その資産グループというところが、多分のれんの方が大きなくくりでもって考えているところがあるので、同じ資産グループというここの使い方にも先ほどご指摘のようなそもそもの問題があって、だからアメリカの場合に新しい基準ですと、レポーティングユニットとかという言葉を使っているようですけれども、できるだけ違うまた考え方を入れると非常に複雑になるという懸念もあるので、多分この作成のところでは懸念していると思うんですが、今のようなグルーピングの問題にかかわって考えるとご理解いただきやすいのかなというふうに思いました。

○品川委員

おっしゃるとおりで、ただ一たんグルーピングすると、機械のさらにグルーピングを小区分するかしないかというのは、では常に変動があり得るというふうに考えておけば今のご説明に納得できるんですかね。

○辻山部会長

まずもう一度仕組みを再確認させていただきますと、ここで言っている資産のグループというのは、用語の定義には出てまいりませんけれども、基準案でございますが、他から切り離すことが可能であるキャッシュ・フローの最小単位、そのキャッシュ・フローにかかわる資産をまとめたものを資産グループというふうに呼んでいるわけですね。ですから最小のキャッシュ・フロー単位というのを資産グループ、そこに含まれる資産グループですね。今のれんは、この資産グループを複数束ねたその上にのれんというものがあるわけです。

ですから、品川委員がご指摘の、ある機械、そこがもしキャッシュ・フローを別に切り分けられるんであれば、そこの減損というものは別に考えられるわけです。今問題にしているのは、全体を含めたのれんの減損判定時にのれんに減損ありというふうな判定が下った場合の、その減損はのれんに優先的に配分するという議論なんですね。ですからそもそも機械にキャッシュ・フローが固有にある場合には、資産のグループのそこの減損判定のところで既に減損が出ているということです。それはまた別途の問題で、それをのれんに張りつけなさいという議論ではありません。

逆瀬委員。

○逆瀬委員

今の議論ですけれども、そうしますと減損の実務を考えたときの一番の眼目は、資産のグルーピングだと思いますけれども、そのときに結局キャッシュ・フローの見積もりができる管理体制が整っているという前提がないと実務はうまくいかないんですけれども、そのときに今のように個々の装置の、あるいは個々の資産の細かいところにまで立ち至って、今の事例の厳密な定義がよくわからないので確たることは言えませんけれども、そういう細かいところまで落とし込むようなことがグルーピングの前提なんだという認識ではなかったんですね。もう少し大きな単位で管理上合理的なキャッシュ・フローの見積もりができるようなものというつもりで理解しておりましたので、そういう細かいところまで議論が及ぶとちょっと実務がついていかないケースが出てくる。そこまで広げますとね。枠組みはもう少し違うんじゃないかと思うんです。

○辻山部会長

資産のグルーピングというのは大小ありますけれども、一応定義上は他から独立しているキャッシュ・フローが判定可能な単位ということですから、それは非常に大きい場合もあるし、小さい場合もある。

今のご質問は、のれんの判定をする場合に、陳腐化等で個々の資産にかかわるような、そして、その陳腐化が収益性にかかわるようなものであれば、その場合には仮定上その資産が一つの最小の資産グループになるでありましょうと。今品川委員のご質問がもしそうであればそれが資産グループに、そうでないんであれば全体が資産グループになっているからという趣旨なんですね。ですから細かく資産グループを分けなさいということではなくて、資産グループの定義というのは、他から概ね独立した最小のキャッシュ・フローの単位ということはもう基準上うたわれているわけですから、それは事業の場合もあるし、場合によっては個々の機械ごとにそういうことが本当に可能なのであればそれが資産グループになると。

今の品川委員のご質問は、その後者の方のイメージとのれんとの関係を言っているのでそういう整理が可能でしょうと。

○品川委員

ちょっと錯綜していると思うんですけれども、それは先ほどのご指摘のように工場なら工場をグルーピングするわけですよね。それが適正なキャッシュ・フローを生み出す一つの単位として考えられるとして。そこに当然その配分を受けるのれんの帳簿価額があるわけですから、工場全体の帳簿価額を減額するとなると。ただ、工場のキャッシュ・フローの低下が、のれんというのはもっと別な工場も含むかもわかりませんし、別にのれん自体は全体として健全であるにもかかわらず、たまたま機械を総入れかえしなければならないとか、あるいは新しい機械が出てきて全体に操業度が低下したとか、そういうような減少がある場合にはすべてのれんを巻き込むということが優先されるということに対して若干疑問が残る。また、そのところでまたグルーピングを小分けにするなんていうのは実務的にいささかちょっとむしろ問題が残ると思うんですけどね。

○辻山部会長

小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

考え方のステップの問題なのかもしれないんですけれども、この中で減損が優先してその後に臨時償却を行うという考え方になっていますね。今のようなケースで機械をすべて入れかえなきゃいかんということは、設備投資を行うということがキャッシュ・フロー上明らかなんだろうと思うんですよね。そうすると、それの時点ではのれんは毀損していないという話になるわけですね。ただ、それ以外に陳腐化の臨時償却というのが別に起きてくる。減損の問題ではなしにそれは評価されるということなんじゃないですかね。

○品川委員

機械の陳腐化や何か減損との区分をどうするかというのは資料の1ページにまた残っていますけどね。前回までの議論ですと、優先的に減損の方に持っていこうということでやっておられたようなので、よって減損の原因を問わずすべてのれんの方にしわ寄せさせることが、実務的な要請であるということは理解できるにしても、すべて理論的に説明がつくかどうかということについて若干の疑義があったということで、これ以上は結構です。

○辻山部会長

1つだけ確認させていただきますけれども、のれんに減損を持っていくかどうかということと、細かく機械を資産のグルーピングにしなさいということは私一度も申していないので、その点だけちょっと誤解があるといけませんので確認させていただきます。

そのほかこの点、よろしいでしょうか。

それでは6ページに参りまして、前回ご意見が出まして、これまでの経過報告、あるいはこの部会での議論では、特段、経過措置についての措置は必要がないという意見が大勢であったように思いますけれども、経過措置について前回の部会で数人の委員からご指摘がございましたので、この点について再度もしご意見がございましたら承りたいと思います。

太田委員、どうぞ。

○太田委員

ちょっと前回私の説明不足だったかと思うんですが、私は経過措置自体については必要ないんだろうというふうに思います。ただ、減損の会計基準を適用する年に、その年の状況の変化で生じてきたその期の理由による減損なのか、あるいは過年度から存在していた減損なのかということを分けて損益計算書上区分する必要があるかないかという点を、ご検討いただければというふうに思います。ちょっと話がずれて申しわけないんですが。

○辻山部会長

この点についてご意見ございますでしょうか。

奥田委員、どうぞ。

○奥田委員

実際に例えば私たちが市場価格を評価する場合であっても、価格時点というのを決めまして、評価時点を明確にして、その時点において明らかになっている事項においてその時点の価格を出すという形をとっていますので、例えば期末時点における減少とかということになりますと、実際にはその前から準備をしなければいけないにもかかわらず、期末時点まで状況を待たなければいけないということになってしまいますので、例えば期末処理をする場合であってもそのずっと前の時点に明らかになっている事項に基づいて評価をするとか、そういう何か時期を決めないとやはり実務上混乱するんじゃないかなというふうには思います。

○辻山部会長

今の奥田委員のご意見は、太田委員のご指摘を受けてのお話でしょうか。太田委員は、適用初年度についてのお話ですね。

○奥田委員

適用初年度もそうだと思うんですが、適用した後も、例えば期末の時点で大きな変化が起こって、それを直ちに期末時点に反映させなければいけないということになると極めて大変なことだと思いますので、その何カ月か前の時点でわかっている範囲で予測してもいいとか、何かそういうものがあった方が評価しやすいんではないかと思いますけれども。

○辻山部会長

わかりました。2つ、太田委員は適用初年度の措置について、奥田委員は実務上の判定の時期の問題をクリアにしておいた方がよろしいんではないかという御指摘ですね。ありがとうございました。

そのほかございますでしょうか。

例えば太田委員のただいまのご指摘についてですけれども、適用初年度については、制度がなかったということで減損処理をしていなかったものについて、特に別途措置する可能性かあるやなしやと、こういうご意見ですか。

○太田委員

いえ、単純に損益計算書上に過年度にもう既にあった減損損失と、それから当年度に生じてきた減損ということで区分するということが必要なのか、あるいはもうそれはいいから期末時点か――ちょっと時点はまた別途議論なんですけれども――ある時点で適用の期に必要になってくる減損を一括でバンと表示していけばいいのかという、そういう単純な論点でございます。

○辻山部会長

わかりました。

秋葉委員、どうぞ。

○秋葉委員

今のご指摘なんですけれども、結局過年度の分と当期の分を分けるということができるということであれば差し支えないと思うんですが、いずれにしろP/L上、特別損失の中でことしの減損損失と過年度の減損損失とを分けるということかと思いますので、財務諸表に与える影響は同じかと思うんですが。ただそれを初年度に強制しますと、結局過年度の分を算定するには期首に必ずやらなければいけないという話になりますので、これは実施時期のところが、通常、会計年度確かに左側にありますように例えば3月決算で言えば4月1日以降なんですが、実務的にやはり早くても中間とか、遅ければ年度末に向けていろいろ考えようかという話になろうかと思うんですね。それがP/L上過年度の分であれ区別するということを仮に強制するとすると期首に全部行うということを要求するので、早期適用も含めて全部1年前倒しという可能性があるので、できるということはあり得ると思うんですが、強制すると実務上の導入に関して極めて影響が大きいかなというふうに思います。

○辻山部会長

この点、特に作成者、産業界からのご意見はございませんでしょうか。

髙野委員、どうぞ。

○髙野委員

ただいまのお話と同じような形になりますけれども、実務的にはやはり減損の測定とかは結構手間がかかるかと思いますので、初年度にこれですと2回やらなければいけない形になるかと思いますので、初年度に前期までの分というのはあえて計算し直す必要はないんではないかと思います。

○辻山部会長

わかりました。

小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

この実施時期で早期適用もできるというふうになっていますよね。何か、注記は要件なんでしょうか。金融商品のその他有価証券とか、退職給付という場合には、実際出せないですよ、恐らく計算しないんでしょうが、注記を条件に1年遅らせることができるという決めになっていましたよね。きょうの総会で監査基準が改定されましたけれども、あの中でより実質的な会計基準の適用というくだりがありまして、この経過期間が何年あるかわかりませんが、その間非常に宙ぶらりんになるような感じがしまして、その辺の手当てはどうなるのかなというのはちょっと思っているんですけれども。

○辻山部会長

わかりました。検討させていただきます。

それでは基準の方でございますが、少しこちらの方でご意見をいただきたいと思います。

注5の表現が若干変わっております。3行目「例えば、計画されていない将来の設備の増強や事業の再編の結果として生じるキャッシュ・フローを見積もりに含めてはならない」ということでございまして、これは論点の整理のところでも議論されておりまして、経過報告でも議論されまして、将来の資本的支出は除くんだという表現が、資本的支出というのは非常に狭い意味、あるいは特殊な表現なので設備投資ということになっておりました。ただ、検討の過程で設備投資ということになりますと、例えば通常のさまざまなその表現に合致するもので具体的な実務的にはひっかかってくるものがあるということで、一応意味を明確にするために、将来の設備の増強ということにしております。ですから増強に当てはまらないもの、これは現在の使用状況の延長として考えてもよろしいんではないかというのがこの含意でございますが、この点についてご意見いかがでしょうか。

都委員、何かこの点についてご意見ございますか。

○都委員

私はこのとおりでよろしいかと思います。

私のこの文章の理解は、要するに主要設備ではなくて、その主要設備に対して附帯的な設備が当然その主要設備、主要な資産の価値を維持するために当然更新されていくと。それは当然、その主要な設備を投資したときに、何年かに一度は更新なりリニューアルしていくことは当然想定されている。ただし、それは具体的な投資計画としては決定されていないと。そういったものも当然こういうキャッシュ・フローを入れる中では織り込むべきだということで理解している。

それからもう一つは、主要な資産の中でいずれ議論されると思うんですけれども、例えば土地が主要な資産であった場合に、そうでない償却資産が附帯的なものの場合は、やはりある程度具体的な投資ではないけれども、当然のこととして継続的に利用されていく、増強とか事業の再編の結果、相当程度現状よりも利益が大幅に上がるということは別にして、当然そういったことが経営の中では想定されているというような意味でこういう表現でよろしいかと思います。

○辻山部会長

斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員

部会長が出された問題と少しずれてしまうんですけれども、この表現を見ていて多少気になりますのは、まず最初にある現在の使用状況等に基づいて行わなければならないということと、その後に続いてある「計画されていない将来の設備の増強や事業の再編の結果」云々、この間があいているわけです。実際その2つがつながっていないわけですよね。多分その間に来るものの一つの例が、その後に書いてあるような「遊休資産について、現時点で実現の可能性が高いと見込まれる利用計画等」、これは現在の使用状況ではないけれども、見積もりに含めてはならないような計画されていない将来の問題でもないケースをここに書いてあるわけですね。そうすると、むしろ純粋な書き方の問題ですけれども、「資産又は資産グループの現在の使用状況等」の後に、もしくは「現時点で実現の可能性が高いと見込まれる利用計画等に基づいて行われなければならない」、そこで切ってしまって「計画されていない将来の設備の増強云々は含めてはならない」という書き方の方が何となくわかりやすいような感じもするんですが。私の全くそれは感想です。

○辻山部会長

ありがとうございます。

含めてもいいものを先に述べて、含めていけないものは後に出しなさいと、こういうご意見ですね。ありがとうございました。

そのほかございますでしょうか。

それでは先ほどは後で残る時間がわからなかったものですから、先ほどターミナル・バリューの問題についてご指摘がございました。この問題については、今後かなり、いろいろな面で問題になってくると思いますけれども、まず割引前キャッシュ・フローを見積もる場合のターミナル・バリュー。これは20年で切ったときのターミナル・バリューをどう考えるか。それから、使用価値を見積もる場合のターミナル・バリュー、この2つが同じことを指しているのかどうか、この辺も含めて既に川村委員から何回か数値例で検討していただきました。この点について、混乱があるといけませんので、もしよろしければ川村委員の方からもう一度、きょうも何回か質問が出ておりましたので、再確認の意味を含めてご説明いただけませんでしょうか。

○川村委員

今部会長のお話があったように幾つか議論を分けてまずお話ししないといけないかと思うんですけれども、例えば30年、40年もつ資産を20年で切るというときのターミナル・バリューについてでございますけれども、このとき20年で切った段階で売却を必ずしも予定する必要はないというお話でした。その点はまずご確認いただきたいと思うんですが、例えば21年目、22年目に市場平均のキャッシュ・フローと違うキャッシュ・フローがまだ継続的に得られるという見積もりをしているのであれば21年、22年、23年のキャッシュ・フローは市場平均よりも高いキャッシュ・フローで見積もっても構わないわけで、ただそのときには割り引かないでそのままというわけにいきませんので、20年時点まで割り引いて、それを全体に足し込むという形になります。したがって、割り引かないでほうっておくという形に比べれば、20年で切った場合には金利分だけ小さくなるという違いが出てきます。まずこれが第一のケースだと思います。すなわち、20年で切ったときのターミナル・バリューは20年のときの使用価値という場合もあり得るという点がまず1点。

あと、例えば10年で終わるプロジェクトについてキャッシュ・フローの見積もりが大体予想できるのが3年ぐらいで、もう3年で切ってしまって、残り7年分は全部ターミナル・バリューで見てしまおう、こういうのも実務の中では可能であります。その際に、これも3年後の状況をどういうふうに考えるかでありますけれども、現時点で持っている高い収益力を3年経過時点でも見込めるのかどうか、3年経過時点でもう当社は並の企業になってしまうというのであれば市場平均のキャッシュ・フローで見て、場合によってはそのときの時価、売却価値で見てしまうということも可能です。また、3年経過時点でもある程度の高い収益性をずっと維持できるというのであれば、市場平均のキャッシュ・フローよりも高いキャッシュ・フローを4年目、5年目、6年目と見込むことができますので、やはりその時点での使用価値というのもあり得るということだと思います。

ですからこれはケース・バイ・ケースでありまして、必ずターミナル・バリューは時価というわけにはいかないと思いますが、ただ反面、常に甘く見積もれるというわけでもないので、その辺を実務的に詰めていかなくてはいけない問題はたくさんあるというふうに思います。

以上です。

○辻山部会長

品川委員、先ほどのご質問との関係でいかがですか。

○品川委員

20年たっても部分的な使用価値を使って評価するというその点は理解できたんですが、もう1点、これは既に今までも議論したところですけれども、土地や何かは20年後の地価は普通はわからないわけで、それは現在価値で一応評価する、地価の下落傾向とか上昇傾向は一切無視するということでしたね。

○川村委員

原則そういうことになります。

○辻山部会長

本日、事務局の方で委員の先生方のご意見を特にいただきたいところというのは、ほぼ議論が出たところでございます。

そのほかにつきましても、繰り返しご説明しておりますように徐々に案が固まってきておりますので、ご意見がありましたらこの機会にぜひお出しいただきたいと思います。

○笠間委員

今の20年の話でございますけれども、20年で区切るという趣旨はわかるんですけれども、もともと認識基準として割引前キャッシュ・フローを採用しているのは、減損の可能性が相当程度高い場合に認識を行うということで、実務負荷の軽減に一定の配慮をしたものという考え方だったと思うわけですけれども、そういう点から20年後のターミナル・バリューについて割引の概念とか市場平均の概念というものを持ち込むということが実務上非常に難しい面もある場合が出てくるんではないかというふうに思います。そういうところが実務指針、適用指針という検討に当たって、そういう見積もりがある程度容易にできるということであれば理解はできるわけですけれども、今概念的な話では、非常に実務の方が難しくなる懸念が少しありまして、実務上の検討を行う前に一律20年ということをここで決めてしまうことについてどうかというふうに思っております。

以上です。

○辻山部会長

ありがとうございました。

ただいま20年ということについて再検討の必要ありというご意見でございますが、そのほか特に。

奥田委員、どうぞ。

○奥田委員

ちょっと確認なんですが、国際会計基準の中ではキャッシュ・フローは原則5年で、6年目以降は逓増とか逓減とか一定率に基づく予測かと思うんですけれども、それは普通収益予測というのは5年ぐらいまでしかできないんじゃないかという考えからかと思うんですが、例えば今回20年にした場合にも、そういうような形で5年までは個々にかなり細かくやるけれども、6年目以降は一定率でいいとかそういう考え方なのか、それともやはり、20年間事細かく収益を、一定率ということではなくて細かく予測していくという考え方なのか、そこのところを確認したいんです。

○辻山部会長

2つあると思うんですけれども、1つ、国際会計基準はいわゆる確率基準をとっておりませんので、今言っている5年というのは使用価値の見積もりの期間が5年であってそれ以降はターミナル・バリューという考え方。今言っている20年というのは、割引前キャッシュ・フローを20年で切るというその議論ですのでちょっと次元が違うのかなと思います。

20年で切るということを前提にして考えた場合に、その計算の仕方については適用指針の方でもうちょっと具体的に詰まるのかなという感じですけれども。国際会計基準の使用価値を前提にした計算の仕方と、今の20年で切るという話は、計算の方法を言っているんではなくて、つまり20年間厳密にやりなさいということではなくて、割引前キャッシュ・フローの算入期間を20年にしますよという意味なので、ちょっと意味が違うのかなという感じがします。

○奥田委員

そうすると、計算方法については今後の実務指針で。

○辻山部会長

そういうことだと思います。

品川委員、どうぞ。

○品川委員

私は20年で切ること自体は特に反対はしませんけれども、ただ理論づけをうまく考えられたらいいかなと思うんです。

例えばこの間、石原行革大臣の説明の中で、道路財源を50年を30年に短縮する考え方の中に、30年というのは一つの人間のライフサイクルの年数を区切って、そのライフサイクルの中できちんと管理できる年数という判断をしておりましたし、この場合の20年というのは20年後のすべてのキャッシュ・フローの現在価値が、これは兆候を見る場合には割引前ですから、割引前と後でどのぐらいの価値相場が出てくるのか、その点がある程度予測できれば、例えば使用価値が50%を下回る場合に割引前のキャッシュ・フローが 100%ぐらいになるからというふうな、ある程度の理論的な根拠づけができれば20年ということについて胸を張って説明できると思うんですね。何かそういうことが言えるのかどうか、あるいは全く検討しないでただ何となく20年というだけでは外に対する説得力がちょっと足りないように思えるんですけれども、いかがでしょうか。

○辻山部会長 この点、特にご発言ございますでしょうか。

秋葉委員、ご発言ございますか。

○秋葉委員

2つあって、2つというのは、品川先生の前に笠間委員のお話で、もう少し実務の状況を見て、ここでは決めない方がいいんではないかというご意見だったと思いますが、私は少なくとも審議会の場で決めていただくほうがいいと思います。そうでないと、これまで退職給付会計とか金融商品のところで、いろいろちょっと幅があるような表現で残しますと、実務上の配慮をして決定するというよりも、その部分をめぐって非常に、また第2ラウンド、第3ラウンド的な、そして最終的には審議会の趣旨を変えたというところまで言われる可能性かあるので、審議会で決めるべき話だと思います。

その次に20年でも何年でもあれですけれども、今品川先生からお話があったように、理論的というにはちょっと心もとないところがありますが、確かに何らかの理屈はあった方が、胸は張れないにしても一応の考えていることが世の中に伝わるというふうに思いますので、そのようなことは、多分起草委員会の中では、先ほどの部会長のお話のように単純に10年から20年に延ばしたわけではないわけですので、いろいろな議論があるわけなのでそのようなニーズがあればそのようなことは検討してもよろしいというふうに思います。

○辻山部会長

都委員、どうぞ。

○都委員

この20年についてなんですが、私は本来経済的な残存年数でやるということで、どこかで区切るということは反対なのでありますが、一方で土地とかそういうことを考えますとやはりどこかで区切らなくてはいけないということと、やはり将来のキャッシュ・フローというのはどこの程度まで確実に見えるかということ等を考える中で、一つ線を引くとしたら、通常例えば機械装置とかそういったものというのはある程度確実性においてキャッシュ・フローをある程度は見積もれるだろうと。そうすると、概ね多くの機械装置を中心とする資産、構築物とか建物を除けば、その多くは大体20年以内の償却年数ですから、それらがカバーできる、それを超えたところでどこかで線を引くということになれば一つの目安として20年というのがあるかなというのが私の理解です。

それ以上、逆にこれから詰めていくと、どこかで線を引くということの、だれもがなるほどそれは正しいという線がどこまで出てくるかなというのはちょっとはかりかねるような気がします。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

そのほかご意見ございますでしょうか。川村委員、どうぞ。

○川村委員

非常に単純な一つの見方なんですけれども、例えば今帳簿価額が100で時価が30まで落ちている、その30のものを20年後のターミナル・バリューに加算できると。そうしますと70を回収すればいいわけですけれども、いわば話を単純にしていますけれども、70の含み損を20年間のキャッシュ・フローで回収できるかできないかという問題になってくるかと思うんですけれども。その20年で回収する、しないというのもかなり甘い話だと感覚的には思うんですが、さらにそれを超えてとなると、それが減損でなくて何が減損だというぐらいのレベルまで来てしまうような気がしますので、一つの説明できる限界のような気が個人的にはしております。

○辻山部会長

ありがとうございました。

ご参考までに、品川委員のご見解では何年ぐらいが適当で、かつその論拠というのは何かございますでしょうか。

○品川委員

私はターミナル・バリューの測定許容範囲といったら、10年ぐらいじゃないかと思うんですね。ただ、先ほどの使用期間という問題を考えれば、あるいは30年とか40年とかという償却資産があるわけですから、もちろんもっと長い50年まであるわけですから、そういう意味では20年というのも一つのコンセンサス、一つの解決策だとは思うんですけれども、実際測定できる期間というのはせいぜい10年――先ほど5年という話もありましたけれども――だからそういう点と耐用年数等を考えれば20年がいいところだろうとは思うんですが、なお積極的な理論的根拠が見つかればいいなという願望でございます。

○辻山部会長

ありがとうございます。

そのほかご意見ございますでしょうか。

どうも本日はいろいろご意見をいただきましてありがとうございます。そろそろ予定の時刻も参りましたので、本日の部会はこれで終了させていただきます。

次回でございますが、起草委員と事務局で本日の議論を踏まえまして、基準の本文、注解部分をさらに検討したものを用意し、また前文についてもなるべく文章化したもので次回ご検討をいただきたいと思っております。

なお、本日発言できなかった方の中でご意見がなおある方は、後日、事務局の方にご意見をお寄せいただければと思います。

最後に次回の部会でございますが、2月15日金曜日の午後4時からを予定しておりますのでよろしくお願いいたします。正式には改めて事務局から皆様方にご連絡をさせていただきたいと思います。

本日は、皆様方には大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。これにて散会とさせていただきます。

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