平成14年7月1日
金融庁

企業会計審議会第23回固定資産部会議事録について

企業会計審議会第23回固定資産部会(平成14年5月31日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第23回固定資産部会議事録

日時:平成14年5月31日(金)午後2時00分~午後3時37分

場所:中央合同庁舎第4号館9階金融庁特別会議室

○辻山部会長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから第23回固定資産部会を開催させていただきます。本日は、皆様方にはお忙しいところご参集いただき、ありがとうございました。

審議の再開に当たりまして、まず、今後の当部会の運営についてお話したいと思います。

前回の部会以降の経過を簡単に確認しておきますと、4月19日に公開草案を公表いたしました。公表に当たり、コメントの締め切りは5月21日とさせていただきました。公開草案に対して寄せられたコメントにつきましては、皆様方のお手元に本日お配りしてございます。本日は、これらのコメントを参考にご審議をいただきたいと思います。

次回以降でございますが、公開草案に対して寄せられた意見も参考にしつつ、固定資産の減損会計に関する基準の設定についてさらに審議を進めていくことになります。

先ほど申し上げましたように、本日は、公開草案に対して寄せられたコメントを説明していただくとともに意見交換をしていただきたいと思います。お手元にお配りしてございますように、コメントは27件ありました。これからその内容を紹介させていただきます。まず、事務局からコメント全体について簡単にご説明いただき、当部会の委員に関係の深い団体からのコメントにつきましては、関係委員からもご説明をいただきたいと思います。

なお、お手元の資料集、黒表紙の中に公開草案並びに公開草案を公表した際の関係資料がつづり込まれておりますので適宜ご参照ください。

それでは、まず、公開草案に対して寄せられましたコメント全体について事務局から項目別にご紹介いただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○平松課長補佐

それでは、私の方から簡単にご説明をさせていただきたいと思います。

まず、コメントの本体と申しましょうか、そのものにつきましては資料1の方でまとめさせていただきました。資料1の最初のページに提出者のリストがございまして、先ほど部会長の方からご説明ありましたように全部で27件ございました。官公庁が1件、それから産業界関係、各団体が6件、金融界関係が2件、それからその他の各種団体が6件、それからその他ということで、個人の方等で12件、以上で27件という状況でございます。

大変分量的に多いものですから、事務局の方でまとめたものをご用意させていただきましたので、それに基づいて説明したいと思います。資料2という方でございます。

これは、審議を効率的に進めるというような観点から事務局の方の責任で適宜要約をしたというものでございます。それではご説明させていただきます。

まず、資料2の1の基本的考え方に関する部分からでございます。

これは埼玉大学の梅原先生からのご意見でございますが、「現行の会計基準では、原価(投資額)の配分という操作によって各勘定に集計された「帳簿価額」をもとにルールが適用されるのであって、包括的な「投資額」をルールの適用単位とすることはない。「投資額」を基礎とした減額修正を前提にするにしても、「過年度の回収分」とはどの部分を指すのか、また固定資産以外の勘定まで修正するのかどうか、「基本的考え方」において明らかにすべきである。」。

2.対象資産関係でございます。

まず、日本公認会計士協会でございますが、「個別財務諸表上、子会社株式又は関連会社株式の取得価額に含まれるのれん相当額については事業投資そのものとして「固定資産の減損に係る会計基準」が適用されるのか、又はあくまでも金融資産として「金融商品に係る会計基準」、「金融商品会計に関する実務指針」が適用されるのか、取扱いを具体的に明記すべきである。」。

それから、先ほどの梅原先生ですが、「対象外の資産を示すために、「例えば」という表現が使われているが、例示列挙的な表現は避けるべきである」というご意見がございました。

それから、減損の兆候に関してでございます。

まず、日本鉄鋼連盟から、「経営実態を踏まえた上での「兆候」の認識が認められるべきである。具体的に言えば、(基準の)マル1マル3を判断するに際しては、過去からの継続的な赤字計上等の画一的な形式基準ではなく、経営実態を反映した将来事業計画をも反映することが認められるべきと考える。またマル2で指摘される「資産の回収可能価額を著しく低下させるような変化」とは、事業の休廃止や売却処分の計画が経営により意思決定された場合と考えるべきである。なお、マル4の「資産の市場価格の著しい下落」とは、販売用不動産の評価減に準じ、時価が帳簿価額を50%以上下回った場合に限定されるべきと考える。」。

それから、日本不動産鑑定協会の意見でございます。「少なくとも会計上重要性の高い固定資産(不動産)については、定期的な、不動産鑑定士による精度の高い不動産鑑定評価を必要とすべきである。」。

次のページでございます。

日本租税研究協会。「「資産又は資産グループの市場価格の著しい下落」の判断基準(例えば、概ね時価が帳簿価額を50%以上下回った場合)を実務指針において明示して頂きたい。」。

4.減損損失の認識についてでございます。

まず、生保協会でございます。「「意見書」で示された減損損失の認識方法・測定方法の考え方について賛成する。」。

次は東京証券取引所。「過去に稼得したキャッシュ・フローを考慮して今後の収益性が著しく低下した資産を評価替えせずに止めておくことは、財務の健全性の観点から好ましいものではないと考えます。したがって、前文の「減損に関する本来的な意義を踏まえれば……」以下の段落は削除したほうがよいと考えます。」。

これは個人の方、山下さんという方ですが、「「簿価-回収可能価額=減損」となるが、たとえば、10%以上は減損対象とする等の考え方もあると思うがどうか。」。

また、東証でございますが、「減損の兆候が認められても、減損損失が認識されない場合においては、米国基準や国際会計基準と同様、企業の経済的な実態開示の観点から、資産の残存耐用年数や残存価額などの減価償却にかかる会計方針を再検討する必要がある旨を明記すべきであると考えます。」。

5.測定関係でございます。

まず、日本不動産鑑定協会から、「減損の測定における不動産の「時価」の判定には、不動産鑑定評価を採用すべきである。」。

続きまして日本租税研究協会。「減損損失を判定する際に参照する土地の時価については、公示地価を原則とし、公示地価のない地点は相続税路線価を80%で割り戻した数値によって評価することが可能となるように実務指針において明示していただきたい。」。

それから山下さん。「土地については、あくまで売却可能価額とすべきである。」。

それから梅原先生。「正味売却価額の定義に当たっては、「時価」ではなく、「資産の売却から得られる金額」と明確に定義すべきである。」。

次に高木さんでございます。「「(使用価値やのれんを含む資産価値)-(負債の時価評価)」が、株式時価総額を下回ったことが判った場合、資産評価方法のどこかに誤りがあったとして、評価し直すこと等必要でしょうか」ということでございます。

6番目、将来キャッシュ・フローでございます。まず、割引前将来キャッシュ・フローの問題でございます。

経団連の方から、「減損損失の認識の要否判定のための将来キャッシュ・フローの見積もりに関し、資産又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超える場合等には、21年目以降に見込まれる将来キャッシュ・フローに基づいて20年経過時点の回収可能価額を算定し、加算できることが前文において明らかにされている。この点に関し、会計基準又は注解においても明記すべきである。」。

続きまして日本公認会計士協会、「前文四、2.(4)将来キャッシュ・フローマル8は削除すべきであると考える。」。

次に、中央青山監査法人でございます。「資産グループ中の主要な資産以外の構成資産の経済的残存使用年数が主要な資産の経済的残存使用年数を超える場合、その超過期間に対応するキャッシュ・フローは、回収可能価額ではなく正味売却価額で算定すべきであると考える。減損の認識の判定に使用するキャッシュ・フローを見積もる期間は資産(又は資産グループ中の主要な資産)の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方とされているが、この20年という制限は削除すべきと考える。(注5)で、「主要な資産」とはグループの中の償却資産であり、土地などの非償却資産は「主要な資産」にはならないことを明記すべきと考える。減損損失を認識するかどうかを判定する際に用いる割引前将来キャッシュ・フローの算定においては、見積値から乖離するリスクを反映させない方法に統一するとしているが、統一する必要はないと考える。」。

次に東証でございます。「キャッシュ・フローの見積期間を最大20年とすることは長すぎると考えます。もう少し短縮した年数とし、その上で、合理的に立証可能な場合には見積期間を延ばすことができるようにすべきであると考えます。「経済的残存使用年数」については、会計基準注解(注1)の用語の定義で内容を明記し、減価償却資産の減価償却に関わる「残存耐用年数」との関係を明確にしていただきたいと考えます。」。

それから、キャッシュ・フローのその他の関係でございます。

「前文四、2.(4)マル5に、以下の文言を追加することを提案する。」。これは中央青山でございます。「ただし対象となる資産グループに共用資産を含めないで減損を認識する場合は、本社費等の間接的支出は将来キャッシュ・フローの見積に含めないこととする。」。

次に内田さんでございます。「将来キャッシュ・フローの見積金額は、最頻値のみにするか、最頻値と期待値の両方採り得るとしても、最頻値によることを原則とすべきであると考えます。ただし、割引前将来キャッシュ・フローの算定に際しては最頻値のみにするのが望ましいのではないかと考えます。」。

日本租税研究協会。「「合理的で説明可能」な範囲内で、経営者の改善努力等の判断が考慮されるよう柔軟性は確保すべきである。」。

吉川さん。「企業における見積を前提にされるものと承知しておりますが、その実務上の取扱いについては、合理的な見積根拠、手続き的抑制が不可欠なのではと愚考いたします。」。

7.使用価値の算定に際して用いられる割引率に関してでございます。

まず、日本租税研究協会。「「将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクを将来キャッシュ・フローに反映されていない場合には、当該リスクを割引率に反映させる」とは、具体的にどのように行うのか実務指針において明確にする必要がある。」。

尾崎さん。「ある程度簡便な方法は検討していただけないでしょうか。」。

8.資産のグルーピング。

(1)グルーピングの単位。

不動産協会。「実務指針の策定に当たっては、各業種の実態を十分に把握することが必要である。」。

次も同じく不動産協会でございますが、「企業の継続的な経営判断に基づき、事業としてのシナジー効果を前提に保有・営業・管理を行っている実態が明確な場合には、これらをグルーピングして処理することが適当と思われる。したがって、グルーピングの単位を、「合理的で説明可能な地域または用途でキャッシュ・フローが概ね独立している単位」とすることが(管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の単位等を考慮するという)指針に沿うものと考える。」。

鉄鋼連盟。「資産のグルーピングの定義であるキャッシュ生成最小単位とは、管理セグメント単位等経営意思決定単位であると考えることが妥当である。」。

全国地方銀行協会。「各業種・各企業の経営実態を適正に反映するようなものとするよう配慮いただきたい。地方銀行の場合、店舗ネットワーク全体を一つのグルーピング単位と考えることが現実的であり、こうした経営実態が資産のグルーピングに反映される必要がある。」。

同じく地方銀行協会。「公開草案では、「管理会計上の区分(中略)等を考慮してグルーピングの方法を定めることになると考えられる」としているが、管理会計は各企業の経営環境の変化や経営戦略の変更に応じて柔軟に見直されるべきものであり、すでに行った資産のグルーピングが逆に各企業の経営戦略の足かせになることは避けていただきたい。」。

民営鉄道協会。「資産のグルーピングについて、投資の意思決定を行う際の単位を基礎とすることを明確に定めていただきたい。」。

公認会計士協会。「「個別財務諸表における資産のグルーピングの単位は、連結財務諸表においては、連結グループの見地から見直される場合がある。」との記述の趣旨は、「個別財務諸表の単位で減損が生じている場合には、たとえ連結グループの単位で減損が生じていないとしても、最小の単位が減損を生じているのであるから個別財務諸表では減損処理し、逆に、個別財務諸表の単位では減損が生じていない場合であっても、連結グループにおける最小の単位で減損が生じている場合には、連結財務諸表では減損処理する」ことであると当協会は解釈している。しかし、解釈の仕方によっては誤解を生じさせるおそれがあるため、この趣旨を明記する必要がある。」。

日本租税研究協会。「資産のグルーピングについては、個々の事情に照らし事業者が合理的に判断できるようその基準を(各企業の経営判断に基づく合理的な見積もりが反映できるように)明確にしていただきたい。また、具体的な例示も掲げて頂きたい。」。

それから(2)としまして、資産グループについて認識された減損損失の配分。

まず、アナリスト協会ですが、「資産グループについて認識された減損損失の配分について、共用資産に関する(注7)と同様に、正味売却価額が求められる資産については減損損失の配分額は正味売却価額に達するまでを限度とし、それを超える額はその他の資産に配分することを提案する。」。

それから民鉄協ですが、「減損損失を明確に個別の構成資産に配分することができる場合を除き、資産グループにおける減損損失は資産グループ全体に対して計上する処理とすべきである。」。

9.共用資産の取扱い。

アナリスト協会ですが、「市場価格の著しい下落があり、かつそれが減損損失として認識されない不動産については、市場価格ないし正味売却価額と帳簿価額の差額を開示することを提案する。」。

同じくアナリスト協会ですが、「「7.共用資産の取扱い」およびこれに係る(注6)(注7)は理解が難しい。より詳しく具体的な基準とするよう要望する。」。

10.のれんの取扱い。

公認会計士協会。「のれんを認識した取引において取得された各事業にのれんの帳簿価額を配分する方法(ボトムアップ・テスト)を原則とすべきであると考える。また、同様に共用資産についても、帳簿価額を配分する方法を原則とすべきであると考える。」。

日本租税研究協会。「具体的な指針は、実務面に配慮して策定されることをお願いしたい。」。

11.減損処理後の会計処理。

内田さん。「使用価値の算定に際して残存使用可能期間や残存価額等について検討することとなり、その結果、対象資産あるいは資産グループの当初の見積もりを変更する必要が明確となった場合には、減損処理後の減価償却についても考慮する必要があることとなります。」。

東証でございます。「(減損損失の戻し入れを行わないことについて)「事務的負担を増大するおそれがあること」を理由にするのは不適当であると考えます。なお、減損損失の戻し入れを行わない方針には賛成します。」。

民鉄協ですが、「減損の兆候と同様に、使用範囲または使用方法の著しい変化等、見直しの要件を明確に定めた上で、減損の戻し入れを認めることとすべきである。」。

12.ファイナンス・リースの取扱い。

東証。「「リース資産に配分された減損損失は負債として計上」することとなっていますが、本基準において具体的な科目を明示しておくべきであると考えます。なお、ファイナンス・リース取引に係る会計処理について、早期に売買処理のみとすることが望まれます。」

続いて東証でございますが、「ファイナンス・リース取引の借手側が賃貸借処理を行う場合に求められる注記に加え、マル1リース物件の取得価額相当額から控除することとなる減損損失に係る債務額、マル2未経過リース料期末残高に含まれる減損損失に係る債務の金額等の注記を求めるべきであると考えます。」。

公認会計士協会。「減損会計の適用に際し、注記事項の見直しが必須になると考えられるため、当該基準の見直しの必要性についても明確に言及し、今後の開示実務に混乱をもたらさないようにする必要がある。」。

金沢さん。「ファイナンス・リース取引の取扱いについて、これを機会に賃貸借処理を認めず、売買処理にするべきである。」。

13.財務諸表における開示。

(1)減損処理を行った資産の貸借対照表における表示。

東証。「間接控除方式(特に、減価償却累計額に含める処理)は認める必要はないと考えます。」。

公認会計士協会。「例外的に間接控除方式により表示することを認める場合には、減価償却累計額に含められた減損損失累計額の注記を求めることが必要と考える。」。

内田さん。「間接控除方式の場合には、減損損失累計額と減価償却累計額を合算する場合を規定しているが、減損損失と減価償却とは概念としては明確に異なるものであるため、当該取扱いは少なくとも基準として規定するのは望ましくないのではないかと考えます。」。

(2)損益計算書における表示。

生保協でございますが、「「減損損失は、原則として、特別損失とする」等、意見書で示された考え方に賛成する。」。

(3)注記事項。

アナリスト協会ですが、「「回収可能額の算定方法」に、「(将来キャッシュ・フロー見積もりの仮定及び予測を含む)」と挿入することを提案する。」。

内田さんですが、「等という曖昧な表現を基準の中でするのは好ましくないのではないかと考えます。」。

14.実施時期等。

(1)適用指針等について。

これは日本貿易会ですが、「2002年中を目処として、早期に府令及び適用指針を整備願い、以下の諸点につき、具体的な例示、数値基準などを明示頂きたい。(1)減損の兆候、(2)将来キャッシュ・フローの見積方法、(3)回収可能価額の算定方法、(4)資産のグルーピングの方法、(6)共用資産・のれんの取扱、(6)中間決算における取扱」。

鉄鋼連盟。「詳細は今後の企業会計基準委員会による「実務指針」の策定に委ねられると考えられるが、その際には実務に配慮した手法の採用を願いたい。」。

経団連。「適用指針を検討する際には、企業の実態が適切に反映される指針となるよう、十分な審議が必要である(特に資産のグルーピングについて)。また、正味売却価額の見積方法に関し、土地を含む固定資産の時価の算定のあり方を明確化することが、減損会計のみならず、わが国会計基準にとっての重要課題である。」。

それから生命保険協会。「適用指針の策定にあたっては、以下の点にご配慮いただき、日本の不動産市場や企業の実態を踏まえ検討を行っていただきたい。a.減損の兆候・認識・測定それぞれについて、企業実務を反映した極力簡便かつ対応可能な手法とすること。b.将来キャッシュ・フローの見積もり、割引率の設定、本社ビル等共用資産等の取扱いについては、標準的なモデルを提示した上で、各企業の経営判断に基づく合理的な見積もりが反映されるようにすること。また、資産のグルーピング方法、共用資産の取扱いについては、業種の特性・企業の実態を踏まえた取扱いが可能な枠組みにすること。c.実務家である産業界の意見を十分に聴取し、その検討内容を、例えば、中間段階であっても、できるだけ早期に公開し、企業の実務対応・準備が円滑に行われるようにすること。」。

東証でございます。「「具体的な指針等については、今後、企業会計基準委員会において適切に措置している」としていますが、その際には以下の内容についても整理していただくようお願いしたいと思います。減損の兆候の4事例における「著しく」の判断指標、開示の注記事項における「重要性」の判断指標及び注記事項に係る具体的な記載事例。」。

日本建設業団体連合会。「(企業会計基準委員会において適切に措置していくことが適切であるとされている)事項については、適用指針において具体的かつ明瞭に規定されたい。」。

同じく日本建設業団体連合会。「企業会計基準委員会によって作成されると見込まれる実務指針の作成に当たっては、産業界からの意見も反映されるよう、構成委員の選出等にご配慮願いたい。」。

高橋さん。「本草案の会計基準は、近年採用の「金融商品」や「税効果会計」に関するそれと比較し、基準の内容が余りに曖昧・漠然とした事項が多く、解釈や実際の適用に当たって恣意的方法採用の余地が広く、企業会計原則や企業の実態把握の観点から見ても有意の結果を保証する会計処理方法とはほど遠いように思われる。本草案を下敷きにして実務指針案を策定し、それに対し広く意見を求める方が、納得性の高い同意を得られることになると思うものである。」。

(2)実施時期。

鉄鋼連盟。「導入時期を2005年度からとした判断については、企業側の受入準備や準備作業の必要性に配慮したものであり、かつEUが減損会計を含む国際会計基準の導入を予定している時期との整合性の観点からも妥当なものと考える。」。

生保協。「実施時期については、我が国不動産市場ひいては日本経済に与える影響、並びに産業界の実務への影響を慎重に検討したうえで、決定すべきであるという立場から、意見書で示された考え方に賛成する。今後も、「適用指針策定から実務への適用までに十分な期間を置く必要がある」という点に引き続き配慮願いたい。」。

公認会計士協会。「減損会計導入の趣旨にかんがみ、早期に適用することが望ましい。」。

地方銀行協会。「平成17年4月1日以後開始する事業年度以前の本基準の適用については、その時点で関係府令および具体的な指針等が設定されていることが前提であることを確認しておきたい。」。

(3)その他の事項でございます。

これは経済産業省、「早期適用を希望する企業が本基準を円滑に導入できるよう、企業会計基準委員会において速やかに指針等が作成されるべきであるとともに、早期適用しない企業に関しても、減損会計の適用が将来における企業の財政状況等に大きな影響を与えるおそれがある旨の開示等、注記を含めた開示のあり方についても十分な検討がなされるべきである。」。

15.投資不動産。

生保協。「「会計処理については、原価評価を継続し、他の固定資産と同様に減損会計を適用する。時価情報の注記については、今後の課題とする。」という意見書の考え方に賛成する。」。

不動産協会。「現時点で時価情報の注記を制度化することは適当ではないと思われる。」。

日本貿易会。「時価の注記は適当ではない。」。

経団連。「時価情報の注記は今後の課題とされているが、開示は適当ではない。」。

山下さん。「市場の成熟を待って、当分、時価開示はさけるのがよい。」。

不動産鑑定協会。「有用な投資情報として時価(公正価値)を注記すべきである。」。

それから民鉄協でございますが、「投資不動産の範囲を明確にし、売買・換金を行う上での事業遂行上の制約の有無や客観的な時価の有無等の観点から投資不動産を分類した上で、時価を注記することが適切な不動産については時価を注記することとすべきである。性急に結論を出すことなく、さらなる議論を踏まえて対応していただきたい。」。

東証でございます。「投資不動産について、国際会計基準上の定義についてはふれられていますが、本基準としての定義は不明確であります。本基準の中で、明確に規定していただきたいと考えます。」。

公認会計士協会。「投資不動産についても減損会計の適用対象となることを明確にするため、前文の「対象資産」の項及び基準本文において具体的に明記すべきである。」。

16.その他。

(1)税法・商法との調整。

不動産協会。「「減損の存在が相当程度確実である」と見込まれる場合に限り、減損損失を計上することになるので、税務上も損金認識することが妥当である。税務上の取扱いについて、導入前に十分な検討がなされた上で確定されるよう関係当局と調整していただきたい。」。

日本貿易会。「会計と税務の取扱の整合性について、十分配慮頂き、関係先との意見調整を実施願いたい。」。

鉄鋼連盟。「税制においても減損損失の損金計上が認められるよう税務当局と調整していただきたい。」。

地方銀行協会。「減損損失の税務上の取扱い等を早期に整備するよう関係方面との調整をお願いしたい。」。

あと、民鉄協も同じような意見でございます。

それから、生保協会は、「税法・商法との整合性については、会計基準の適用開始前までに明確となるよう関係当局との連携に配慮願いたい。」。

それから日本租税研究協会も同じ意見でございます。

それからその次も同じ意見だと思います。

それから、日本租税研究協会の最後のものは、「臨時償却と減損を区別しないで同じ扱いにしても実務上大きな支障はないとあるが、その場合は、必ず税務当局と調整を図るべきである。」。

(2)土地再評価法により再評価を行った土地の取扱い。

まず不動産協会ですが、「土地再評価法により再評価を行った土地については、再評価後の帳簿価額に基づいて減損会計を適用することの考え方を基準にも明記すべきである。実務指針の策定に当たっては、同法を適用し、再評価差額金を計上した土地については、その土地の再評価差額金を取り崩し減損損失を相殺することを認める方向で検討されたい。」。

それから生保協会、日本租税研究協会ですが、「土地再評価法による再評価を行った土地について、再評価後の帳簿価額に基づき減損会計を適用することを明記していただきたい」と、同じような趣旨でございます。

それから地方銀行協会ですが、「土地再評価法により再評価を行った土地について減損損失を認識した場合には、再評価差額金の取り崩しが認められることを明確化するとともに、適正な損益計算の表示を行うため、対応する関係にある再評価差額金の取崩益と減損損失の相殺表示を認めていただきたい」という意見でございます。

それからその他の意見でございますが、まず経団連。「すでに企業会計基準委員会の検討課題とされているが、税務上の損金経理要件の撤廃を含め、企業会計上の減価償却のあり方について検討を進めるべきである。」。

地方銀行協会。「本会計基準については、実務指針と一体のものとして両者を同時に検討し公表していただきたい。」。

公認会計士協会。「企業会計審議会による従来の会計基準と同様に、用語の定義については基準本文に記載することが適切であると考える。」。

梅原先生。「減損ないし減損損失について、「帳簿価額が回収可能価額を超過する額」と明確に定義する必要がある。」。

公認会計士協会。「廃止事業又は事業再編費用(リストラクチャリング・コスト)に係る会計基準設定の必要性について言及する必要があると考える。」。

嶋田さん。「美術品も時価評価価格が基本となるべきものと思料します。百歩譲っても、所有美術品の時価を貸借対照表の注記欄に特記させることを義務づける必要ありと思料します。」。

それから、パブリック・コメントとは別に、共同組織金融機関の団体から、減損会計の検討に際しては、共同組織金融機関の特性や実態等を十分配慮いただきたいという旨の意見が事務局の方に寄せられたことを最後に申し上げておきます。

以上です。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

それでは引き続きまして、個々の関係委員の方々からご説明いただきたいと思います。

まず、産業界のご意見につきまして追加的にご説明をいただきたいと思います。最初に経団連のコメントについて、逆瀬委員から追加的にご説明をお願いいたします。

○逆瀬委員

経団連の意見、コメントは資料1の頭から2枚目ですね。上の右隅に2と手書きしているコメントでありまして、このページと次の右肩に3とある1.5ページしかない短いものであります。

それで、まず1点目に具体的に記載しておりますのは、「将来キャッシュ・フローの見積もりについて」ということでございます。この点は、草案の意味内容そのものについての話ではございませんで、この20年を一つの基準としてそれを超える場合に、21年目以降に見込まれるキャッシュ・フローをどうするかということについて、先ほどもちょっとご紹介ありましたけれども、これは前文の中にあって、基準ないし注解のところにはないので、入れていただければありがたいといったような要望であります。

それから、2点目は、投資不動産の時価情報の注記であります。これは、草案の前文六の2において「今後の課題」と表現されているところでありますけれども、経団連としては、注記開示そのものに、時価把握の困難性だとか有用性の観点から、財務情報、あるいは非財務情報としても、適当でないという認識のもとにそのようにコメントしているものであります。

それから、3点目は適用指針についてであります。減損会計につきましては、新しい要素が幾つも入っているということで実務的には容易ではないということが想定されますので、あるいはまたその影響もケースによっては甚大だという場合もあるということでありまして、したがって、特にこのグルーピングの実務の基準に際しては、経営並びに経営管理の実態がそこに反映されるような柔軟な設定ができるような、そういう適用指針の策定をお願いしているものであります。

それから、もう1点ここで触れていまして、特にこの正味売却価額に関連しましては、土地などを含む固定資産の時価算定のあり方を明らかにするということにつきましては、ここでは「我が国会計基準」とちょっと大きく表現してありますけれども、例えば企業結合会計などの場面でこういうものの時価評価のステップが現にあるわけですけれども、それとの関連からいっても大変大きな意味というのがあるだろうということであります。

それから4点目は、そのエッセンスは税との関係であります。基本的には、減価償却そのものの問題として損金経理要件の撤廃ということが課題だということであります。減価償却そのものにつきましては、企業会計基準委員会で既にテーマアップされておりますけれども、そこでは企業会計上の減価償却のあり方の検討を進めるようお願いしているものであります。経団連としましては、税制の視点から具体的に確定決算主義の撤廃というものを既に文書で公にしておりますし、あるいは耐用年数の短縮、簡素化、あるいは償却可能限度額等も含めて要望として文書で明らかにしているところであります。つい今月にも税制抜本改革にかかわる緊急提言として関係方面に明らかにしたところであります。

ちょっと離れまして、減損会計が存在しない前提で税制上の陳腐化償却とか、あるいは評価損といったような仕組みがあるんですけれども、そういうものについても減損会計が企業会計上導入された前提ということではさらに調整が必要になるということもあるだろうというものを含意したコメントであります。

以上であります。

○辻山部会長

ありがとうございました。

それでは、この次の4ページからでございますが、日本鉄鋼連盟のコメントにつきまして都委員からご説明お願いします。

○都委員

私は今企業会計基準委員会の委員でございますので、そういった意味でこの作成にはかかわっておりませんが、状況についてはよく承知しておるであろうという意味でコメントをさせていただきます。

4ページから2ページにわたっておりますが、基本的なところにつきましてまず減損会計の導入については、これは前回の経過報告の時もそうでございましたけれども、理解できるということでございます。具体的な会計処理の基本的な部分で、特に導入時期について、これも従来国際的な歩調をということで意見を出しておりましたが、ちょうど2005年度ということなので、実務面も対応が可能であるし、かつ今申し上げた点に関しましても、EUが国際会計基準の導入を予定している時期と期を一にするという意味で妥当なものであると、こういうことでございます。

そういう意味では、基本的なところは公開草案に沿った考え方でよいということなんですが、他の多くのコメントと同様に、今後の企業会計基準委員会で検討される実務指針において特に実務に配慮した手法の採用を要望したいということでございます。

その中で、次に各論として何点か要望を挙げております。

そのうちの一つが、例えば各論の1のところですが、減損の兆候におきまして、営業活動から生ずる損益とかキャッシュ・フローが継続して赤字になっていることを一つ例示として挙げておりますけれども、例えばこういったものも企業がたまたま立ち上げの状況にあるとか、そういった経営実態等も当然踏まえた形で将来事業計画等を反映したもの、そういった実態を踏まえたものにしていただきたいということでございます。

2番目の資産のグルーピングにつきましては、これは公開草案にほぼ沿った形の確認に近い意見でございます。グルーピングの定義である生成単位は、管理セグメント単位等経営意思決定単位であると考えることが妥当であるということでございます。

それから、最後に税制での損金化を要望してございます。会計だけでなくて、やはり税制面でも減損損失の損金計上が認められるよう税制当局と意見調整を図っていただきたいということでございます。

以上です。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

それでは、次に不動産協会のコメントにつきまして、岩田委員からご説明いただきたいと思います。

○岩田委員

6ページ、7ページ、2枚でございます。

不動産協会としましては、公開草案の基本的な考え方については概ね異論がないという議論でございまして、今回4点ほど、特に貸ビル業といいますか、不動産賃貸業の方をベースにしてコメントさせていただいております。

1点目が資産のグルーピングでございまして、例えば1棟のビルとか、そういったところで、損益が、あるいはキャッシュ・フローがという議論になっておるわけでございますけれども、昨今、エリアマネージメントとかそういった議論、それからロジステッィクの共同化とかいろいろかなり広い範囲でシナジーがあるような形態もありますので、その辺の資産のグルーピングについて柔軟性を考えていただきたい。表現は今回の公開草案と同じような表現を使っておりますけれども、意味としてはそういうことでございます。

それから、2点目が税務上の取扱いについてということで、減損損失の損金認識といったものも含めて、全体として、この会では税務については扱わないということでその辺は認識しているわけでございますけれども、あえてちょっとここでコメントさせていただいているということです。

それから、土地再評価法を使った土地の問題でございますが、昨今やはり当業界もかなり土地再評価法による再評価を行っておりまして、これについて、土地再評価差額金についても取り崩しを減損損失と相殺することを認めてほしいということを明示しております。

それから、4番目の投資不動産の時価情報の注記につきましては、これを制度化するのは適当でないということで、以上4点でございます。

今後の適用指針につきましても、実務に十分配慮され、なるべく負担のかからない形でやっていただければと、そういう要望も出ておりました。

以上でございます。

○辻山部会長

ありがとうございました。

最初にお配りいたしましたように、資料1にいただいたコメントの一覧表というものがついてございます。産業界関係では、次に日本建設業団体連合会からもコメントをいただいておりますが、きょうは委員の高野委員が急用でご欠席でございます。その他こちらにございますような団体からご意見をいただいております。

コメントはいただきませんでしたが、本日清水委員に産業界からご出席いただいておりますので、清水委員からもし何かありましたらご意見賜ればと思います。

○清水委員

資産のグルーピングについて特に気にしているところですが、ここでこの草案に対しての意見として出ておりますので、特にございません。

○辻山部会長

ありがとうございました。

産業界からいただきましたコメントについて概ねご説明したとおりでございますが、まず、この産業界関係のコメントにつきましてご質問等ございましたら、あるいはご意見、反論等ございましたらお出しいただきたいと思います。

品川委員、どうぞ。

○品川委員

先ほど経団連の説明の中で、税務上の損金経理要件の撤廃を要求しているということでご説明があったわけでありますが、この問題は法人税法が採用している確定決算基準の廃止を求めていることだと思うんですが、あわせて、この企業会計審議会が長年検討して税務に要求して立法化された法人税法22条4項という規定があって、法人税法22条4項には一般に公正妥当といったような会計処理の基準によって損金益金の計算をしなければならないという規定があるんですが、当然その廃止も求めるという、こういうことでよろしいわけですね。そうでないとちょっとつじつまが合わないように考えられるんですが、そこのところをちょっと確認したいんですけれども。

○辻山部会長

逆瀬委員、いかがでしょうか。

○逆瀬委員

条文云々というような話でしたけれども、減損会計の実務を考えた時に、減価償却というまずその資産会計の基本のところが別表だけでなきゃだめですよという論理ではもともと合わないということがありますので、作成者側としてごく自然な要望をしていると思っております。

したがって、法律改正は、必要であれば当然法律改正も求めていくというスタンスで動いているところであります。

以上です。

○品川委員

私の質問がちょっとご理解していただけなかったようですが、説明が悪かったのかもわかりませんが、この種の主張をする場合に、部分的に産業界にとって都合のいい部分はよく主張するわけですが、税法とこの会計の全体像の中で、この22条4項の規定自体はむしろ会計側から強い強い要望ででき上がった法律であって、そのことは税法とその会計とリンクされた問題であるので、確定決算基準という趣旨もそこにあるわけで、部分的に都合のいいところだけ廃止せよという要求は全体とのバランスを失しているようにも考えらるんですけれども、その問題について、全部この確定決算基準それ自体を廃止するということになると、会計側にとって都合のよい部分も意味がなくなるんだということを承知しておかないとその主張の論理が一貫性がなくなるのではないかと、それをちょっと懸念して申し上げたわけですが。

○逆瀬委員

当然そういうことも一つの前提としてわきまえるべきだというふうに今改めてまたありがたく拝聴いたしました。

○辻山部会長

ありがとうございました。

そのほかございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、次に金融界関係の団体からもコメントをいただいておりますので、そちらの方の補足的な説明をいただきたいと思います。

まず、生命保険協会のコメントにつきまして、笠間委員よろしくお願いいたします。

○笠間委員

生命保険協会の意見ですけれども、資料15ページ、16ページになります。今まで事務局の方からもご説明がありましたので、簡単にお話いたします。

総論として、意見書で示された枠組みに賛成するということでございまして、1で減損損失の認識方法、測定方法について、2で財務諸表における開示について、4で実施時期等について、一番下のところ、投資不動産の会計処理と時価情報の注記について、意見書の考え方に賛成するということでございます。

その他意見書に対する直接の意見ではありませんけれども、会計基準導入の周辺環境整備に種々ご配慮いただきたいという観点から、1のところで適用指針の策定に当たってご配慮いただきたい事項を、それから5で税法・商法との整合性についてのご配慮をお願いするという形にしております。

適用指針につきましては、15ページの下のところで3点挙げておりまして、aは、減損の兆候・認識・測定それぞれについて、企業実務を反映した極力簡便かつ対応可能な手法としていただきたいと。bは、新たな会計手法でございますので、標準的なモデルを提示したうえで、各企業の経営判断に基づく合理的な見積りが反映されるように、また、業種の特性・企業の実態を踏まえた取扱いが可能な枠組みにしていただきたいということでございます。cは、これも実務家である産業界の意見を十分に聴取していただきまして、その検討内容を、例えば中間段階であってもできるだけ早期に公開し、企業の実務対応・準備が円滑に行われるようにしていただきたいということでございます。

もう1点、3の土地再評価法による再評価を行った土地に係る取扱いでございますけれども、これは経過報告に再評価後の帳簿価額に基づきということが明記されておりますけれども、意見書本体に記載していただきたいという意見がございましたのでお願いできればということでございます。

以上です。

○辻山部会長

ありがとうございました。

そのほか金融界関係ということで、本日、田辺委員ご出席でございますので、コメントはいただいておりませんけれども、もしご意見があればお願いいたします。

○田辺委員

全国銀行協会といたしましては、今般公開草案で重要な項目と考えています資産のグルーピングですとか、土地再評価を行った土地の取扱い等は、適用指針に委ねられてASBJの方で審議されることとなりましたので、今回会計基準の公開草案そのものについては意見書は提出しておりませんけれども、適用指針の問題を含めて要望を申し上げれば、既にお話の出ていることでございますけれども、資産のグルーピングにつきましてやはり各社の経営実態に応じて柔軟な取扱いを認めていただきたいということでございます。

グルーピングのルールを硬直的なものにしますと、減損会計のグルーピングによって経営戦略の方が縛られるというようなことが出てくるおそれがありますので、そのような点に配慮していただきたいということです。

それからもう一つは、土地の再評価を行いました土地に対する減損の取扱いですが、これについても適用指針に委ねられておりますけれども、減損損失が生じた場合に、それに見合った金額の再評価差額金の取り崩しが可能となるという手当てをしていただきたいということと、それから再評価差額金の取崩益と、減損損失との間で期間損益が適正に表示されるように配慮していただきたいということでございます。

また、3点目は、これもまた今までも出ておりまして必ずしもこの場で申し上げる性格のことではないというのは承知しておりますけれども、税制との調和でございまして、減損損失の税務上の損金算入についてご配慮、調整の方をお願いしたいということでございます。

以上です。

○辻山部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの金融界関係のコメントにつきまして、ご質問、ご意見ございましたらお出しいただきたいと思います。

それでは、その他の団体からいただきましたコメントにつきまして補足的にご説明をお願いしたいと思います。

まず、日本公認会計士協会からのコメントにつきまして、伊藤委員お願いいたします。

○伊藤委員

19ページにございますが、ご説明させていただきます。

当協会では、公開草案につきましては、基本的に全体としては賛同しておるところですが、幾つかの点でご意見を述べさせていただきます。

最初の1でございますが、「将来キャッシュ・フロー」、四の2の(4)のマル8というのは、経済的残存使用年数が20年を超えた場合の取扱いなんですが、その取扱いは削除すべきではないかということについて4つの理由をつけておりますが、まず、見積期間として最長20年という限定をしていながら、さらに20年を超過した場合のことを想定するというのはある種矛盾があるのではないかというのが1つでございます。

それから、21年目以降の見積期間については制限をつけておりませんので、かえって恣意的に利用される余地があるのではないか。

3番目の方は、割引前の価額を使うということになっているんですが、21年以降は割り引いた後のを使うということで理論的に矛盾している部分があるのではないか、それから、割引前のキャッシュ・フローを使うというのは、割引計算の困難性ですとかその負担の軽減を図るのが目的だと考えられるんですが、マル8のような計算をしますとこの趣旨に反するのではないかというのが1つその理由であります。

最後の20年経過時点の回収可能価額としては、現時点で予想される処分価額でも認識の測定をする場合に十分目的は達成できるのではないかという趣旨でございます。

それから、2つ目の「資産のグルーピング」の話ですが、これは連結グループからの見地から見直される場合があるということで、趣旨をはっきりさせるためにこのような記載で、理解でよろしいですかということでございます。

ちょっと補足させていただきますと、下から3行目をちょっと読みますと、「個別財務諸表の単位で減損が生じている場合には、たとえ連結グループの単位で減損が生じていないとしても、最小の単位が減損を生じているのであるから個別財務諸表では減損処理し」ということで、追加しまして、「ただし、連結財務諸表上は連結修正仕訳によって戻し入れる」という考えを持っております。ちょっと文章が足りないかもしれませんので補足させていただきます。

それから次のページの話でございますが、のれんの取扱いにつきまして、基本的には、のれんはそれ自体では独立したキャッシュ・フローを生まないということになりますと、他の資産と帰属する事業から得られるキャッシュ・フローでしかその把握が困難ではないのかと。したがいまして、のれんを認識した取引において取得される各事業にのれんの帳簿価額を配分する方法、関連する事業に配分した方法を原則とすべきではないかという意見でございます。

それから、4番目のファイナンス・リースは、これは注記の方が、今リース取引会計基準が会計処理と注記がセットになっておりますので、注記の見直しがありますよということをアナウンスしていただければよろしいんではないかと。

それから、5番目の実施時期等につきましては、導入の趣旨にかんがみ、早期に適用することが望ましいのではないかという意見を持っております。

それから、6番目の投資不動産ですが、これはよく質問があるところなんですが、我が国には投資不動産という概念がないということ、あるいは投資不動産については適用対象になるということを必要な箇所で明記すべきではないかということであります。

それから、7番目の方は、直接控除方式は公開草案と同じように望ましいと思っていますが、間接控除方式にした場合には、減損損失累計額の注記を求めることとしてはどうかということであります。

それから、最後の用語の定義というのは、過去における審議会の意見書と同じように本文の方に記載していただいてはどうかということがあります。

それから、最後の9番の「その他」でございますが、減損に関係するといいますか、減損と同じような領域のものに廃止事業なり事業再構築費用の処理というのがありますので、そのような基準の必要性についても言及する必要があるのではないかというのが一つあります。

それから(2)の個別財務諸表上、子会社株式又は関連会社株式の取得価額にのれん相当額が含まれる場合の認識としまして、減損会計に係る会計基準が適用されるのか、金融商品に係る会計基準が適用されるのか、協会の中でも意見が分かれておりますのでその取扱いを明記していただいたらどうかということであります。

以上でございます。

○辻山部会長

ありがとうございました。

それでは、次に日本不動産鑑定協会のコメントにつきまして、奥田委員からお願いいたします。

○奥田委員

日本不動産鑑定協会から今回ご提出させていただきました意見につきましては、前回の経過報告でお出ししたものとほとんど同じでございますので簡単に述べさせていただきたいと思います。

まず、総論的意見でございますけれども、固定資産の減損について不動産評価の活用をお願いしたいということです。

ちょっと読ませていただきますが、「表記公開草案においても述べられているように、「将来キャッシュ・フロー」の測定だけでは主観的な測定がならざるを得ず、減損会計処理を「将来キャッシュ・フロー」の見積もりに大きく依存させることについては、疑問がある。事務的負担の著しい増大を避けるという点について考慮したとしても、少なくとも会計上重要性の高い固定資産については、財務諸表の社会的信頼性を得るように「減損会計処理」の適切な運営、判断の妥当性についての客観性を確保するためにも、定期的な、不動産鑑定士による精度の高い不動産鑑定評価を必要とすべきである。」ということでございます。

投資不動産については、時価評価ということがいろいろ批判は出ておりますのが、私どもといたしましては、商業用不動産の評価手法というのはかなり確立されておりますし、一般の市場動向から判断しても時価の把握は困難なものではなく、また、有用な情報として投資家に開示すべきものと思われますので時価を注記すべきであるという形で述べさせていただきました。

次のページにございますのは、これは各論ということでございまして、会計上重要性の高い固定資産について鑑定士による鑑定評価を必要とすべきであるという理由について何点か述べたものでございます。

以上です。

○辻山部会長

ありがとうございました。

それでは、ちょっと飛びますけれども、27ページ以降に日本租税研究協会からご意見をちょうだいしています。品川委員からお願いいたします。

○品川委員

租研の意見に関しましては、日本租税研究協会の構成員が既にご意見を申されました各産業界と重複しておりますので、そういう意味で共通する意見が出ているかと思いますが、ただ、税務的な観点から問題を性格づけたということで若干コメントさせていただきますが、既に税法との調整についてはこの席で私も申し上げましたが、若杉会長からのご回答もいただいております。その後、いろんな変化等に関して2点ほどちょっと追加させていただきたいということで、先般の若杉会長のご回答については多くの方が注目をしておられたようで、ただ、要するにもう税との調整をとらないということに関しては非常に多くの人が失望しているということだけは一言お伝えしておきたいと思います。

それから、28ページのところにも書きましたが、要するにこの企業会計審議会、あるいは今後この企業会計基準委員会で策定されるその会計基準に関して、中小会社ではほとんどというか、余り役に立たないのではないかという危機感があって、既に中小企業庁と日本税理士連合会で、中小会社のための会計基準委員会を設定しておりまして、3月から既に検討を始めております。たまたま私もいずれの研究会のメンバーでもありますので、そちらの方からいろいろな問題提起がされておりまして、今後その企業会計基準委員会で我が国の会計基準を設定する場合に、現在250万もある会社のうち上場会社の0.1%、あるいは資本金1億円を加えてもせいぜい1%強の会社をその会計基準の対象にするのか、あるいは残りの99%の中小企業に対する指針をどうするのかという、そういうことに関してぜひご検討をいただきたいと思います。

中小会社の方は、この会計基準が強制されるのは、どうしても税法の規定に影響されるわけでありますので、それらとのバランスについてぜひ、こちらの企業会計審議会でもう審議が終わったというのであれば企業会計基準委員会でぜひご検討いただきたいと思います。

それから各論の関係で、これは資料2の方にも盛り込まれなかったんですが、激変緩和の措置として、これもある業界からの意見なんですが、この臨時巨額損失として繰延経理ができないのかという意見もありましたので、こういう方法が無理なら無理というふうにご検討いただければそれは結構であります。

それから、土地の再評価に関する法律の問題に関しては、これはこの法律を適用した企業と適用しなかった企業で減損処理をする場合にいろいろと齟齬が生じるというか、アンバランスが生じる。そのバランスをどういうふうに考えていくべきかということについて整合性のある対応が必要ではないか、場合によってはこの土地の再評価について再度適用する余地を検討してもいいのではないかというご意見がありましたのでつけ加えさせていただきたいと思います。

それから、土地の評価等に関して、先ほど不動産鑑定協会からそれぞれ個別に評価すべきだというご意見もありましたが、租研のメンバーの方はもっと便宜性を重視してほしい、公示価額については既に不動産鑑定士の評価は得ているわけであるし、相続税評価額は全国的に統一的な評価が行われていて、しかも8掛けであるということが閣議決定で指示されて公にされているわけであるので、その路線価を8で割り戻しても本来の不動産鑑定士の評価に準じた評価ができるのではないか、それはいわば評価上の便宜性とコスト面を考えてぜひこういう簡便的な方法を採用していただきたいと、そういうことの意見であります。

以上です。

○辻山部会長

ありがとうございました。

この件について、会長からご発言のご要望がありますのでお願いいたします。

○若杉会長

ただいま、私が会長として調整の必要はないと言ったと言われたんですけれど、この審議会には企画調整部会があることはもちろんご存じだと思います。品川委員が調整はどうなんだろうかと言われた時に、企画調整部会に諮ったわけでもありませんので、今の法律規定の関係からこんなふうに言えるんではないかという私の個人的な意見を述べた次第です。その時の議事録で私が言ったことを正確に表現できるようにしておきましたのでご覧いただきたいと思います。

それは法人税法第22条第4項の規定、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に云々」というところですね。この規定は、前に税法と企業会計原則との調整に関する意見書などが出た時代にはなかった規定で、当時は企業会計と税法の会計を結びつけるパイプがなかったものですから調整を積極的に行う必要があったわけです。その後あの規定ができましたので、法規定の構造上企業会計と税法の会計とがあそこでしっかりとつながったという理解ができると思うんです。

それからもう一つは、企業会計の基本的な理念と、法人税法の理念は明らかに違うわけで、企業会計では企業の当期の経営成績や財政状態を明らかにし、そして商法会計では、エクイティー・アカウンタビリティーの関係を前提として株主や債権者に企業の状況を説明するんだと。

それから証取法会計では、証取法の第1条にありますように、投資者保護という観点から必要な情報を開示する、そんなふうになっておりますのに対して、税法はやはり国家財政収入の重要な財源である法人税の徴収ということを重視しておりますと同時に、経済政策の一環としてのくくりつけの安定装置すなわちビルトイン・ステイビライザーと言われますような機能を持っております。このように基本理念を異にしておりますので、企業会計と税法の会計とがすべての点で一致することは無理だと思うんです。

このような関係からすると、調整を特にしなきゃいけないという必要性は、食い違いの軽微な段階では、今言ったような法規定の関係から調整ができるんではないかと考えられます。ただしその食い違いが非常に大きくなっていけばこれはまた別ですから、その時にはやはり調整の必要性が起こってくると考えられます。

それはその時の状況判断次第だと思うんです。このように私考えておりますので、品川委員のご質問に対して私の個人的な意見としてあのように申し上げたわけなんです。ですから、審議会として私が代表的な立場で述べた意見であるとご理解していただきたくないと思います。

○品川委員

よくわかりました。

ただし、会長が個人的ご見解だということであれば、私も委員の一人として個人的見解を若干申し上げさせていただきますと、おっしゃるように各制度会計の中には当然目的観の違いがあって、最終的に全部が一致するということはあり得ない話でありますが、ただ、それぞれ企業のその成果計算を行うという土壌においては共通部分が非常に多いわけですね。確定決算基準とか22条4項の問題は、その共通部分をできるだけすり合わせようという、そういうことに理念があろうかと思いますけれども、その共通部分は何かということについてもう少しその意見調整があっていいのではないか。

従来、昭和42年にこの22条4項ができる前後までは、それぞれこの棚卸資産の評価方法であるとか減価償却の評価方法等に関しては、それはその共通部分だろうということで共通的な調整がそれぞれ図られてまいりましたが、今ここ数年の金融商品に関する会計基準とか退職給付会計基準にしても、ある意味では共通部分もあるんですけれども、この減損会計自体は、1つは資産の評価損の問題と臨時償却の問題という我が国の既存の会計制度をどういうふうに制度替えするかという問題でありますので、そこは私が申し上げる共通部分というのは当然あると思うんですね。

よって、その共通部分でないというふうに認識するかしないかという問題も含めて税務との調整というのは当然議論の余地があるように考えられますし、これは租研だけ、あるいは私の意見だけではなくて、先ほど来各業界からのご意見の中でほとんど税法との調整について意見提起があったということにある程度裏づけられるのではないかというふうに考えておりますが、ただし、こちらの審議会の性格とか、あるいはいろいろとこの方法論等においてもうこういう問題は取り上げないと言うのであればそれはそれで納得できる話でありますけれども。

以上です。

○辻山部会長

会長どうぞ。

○若杉会長

先ほど申しましたように、法律に機構的にそういう機能が組み込まれているという意味で言ったわけですから、大きな変化が起こった時には、必要があると判断されれば、当然調整の問題が起こると思うんです。

それから、確定決算基準ということからしましても、企業会計と税法会計とで全く異質な処理が行われるようなことがあってはうまくないと思います。ですから、固定資産の減損会計について私は調整の必要なしと決して言っておりません。現在たしかに重要な問題が起こっており、それで業界からも税務的にいろんな要望が出てきているのだと思われます。そういう意味で現在調整の必要が生じているという見方もできるかもしれません。その道を閉ざすことは決してよくないと考えられますので、調整する必要があるかどうかという時には企画調整部会などを開いて諮る必要がある場合もあるかも知れないとは思います。

○品川委員

わかりました。

○辻山部会長

ありがとうございました。

ただいまのご意見はご意見として承ったということでよろしいでしょうか。

それでは、ちょっと前後いたしますけれども25ページに戻っていただきまして、日本証券アナリスト協会からもコメントをちょうだいしております。よろしければ増田委員、補足的にございますでしょうか。

○増田委員

細かい技術的な問題で、共用資産の振り分けが非常に文章としてわかりにくいから例示してくれというようなことについては特にコメントすることはないと思うんですが、やはりここで一番重要なことは、財務諸表の主要な使用者である株式投資家にとって何が有用な情報か、何が有用でない情報かということを企業の経営者なり公認会計士なりの方々に前もって決めていただいては困る、株主にとって何が有用な情報か、何が有用でない情報かというのは株主自身が決めることであるから、そのための基礎的な資料というのは出していただきたいという、そういう趣旨が一番重要なポイントだと思います。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。

それでは、この目次にございますその他の団体、日本公認会計士協会以下ただいまご説明いただきました伊藤委員、奥田委員、品川委員、それから増田委員のご説明に関してまして、ご質問等ございましたらお出しいただきたいと思います。

いかがでしょうか。特に日本公認会計士協会からのご意見の中で、特に19ページでございますが、「20年経過時点の回収可能価額を算定するために、21年目以降の将来キャッシュ・フローを割り引くことを」という、これには問題があるというご指摘がございました。この点につきまして特に委員の中からご発言ございますでしょうか。

都委員、どうぞ。

○都委員

今の点について若干意見を申し上げさせていただきます。

もともと日本のこの基準が減損を認識するかどうかの際に計算する将来キャッシュ・フローで一たん割引前を採用しようと言った時に、本来、国際的に調和するのではあれば基本的にはそれぞれの経済的耐用年数をそのまま採用するということにすればよかったんですが、一方で土地の重要性にかんがみて土地を主要資産として入れると、永遠無限になってしまうのでどこかで切ろうというのがもともと20年で切った経緯だと思います。

その時に、当然20年ではなくてもっと40年、50年と持つその建物等の償却資産をベースにした資産で商売される企業もあるわけで、そのことについては当然20年で切った時に何らかの措置が必要だということはある程度皆さんご理解いただいておったんだと思います。

そういったことで経緯を考えますと、単純に20年までが割引前でこっちが割引だからちょっと矛盾が生じているというんではなくて、むしろ今のような経緯にかんがみれば、やはり20年以降についてちゃんと経済的耐用年数があって、かつ将来キャッシュ・フローが具体的にある程度提示できるのであれば、そこを割り引いて21年目のターミナルバリューとするということは私は極めて妥当な判断であったというふうに思っております。

○辻山部会長

ありがとうございました。

そのほかございますでしょうか。

斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員

ちょっと私、今の部分を読んでよくわからなかったんですが、21年目以降のキャッシュ・フローを割り引いたり考えたりしてはいけないという文章の後に、(4)に、20年経過時点での処分価額を現時点で見積もって使えばいいと書いてありますね。これは、20年たった時点の処分価額というのは20年到達時点のターミナルバリューであって、それは20年経過した後のキャッシュ・フローの割引価値と同じ性質を持っているんではないのかなと思うんですが、その意味でちょっとこの(4)があるにもかかわらず(3)の文章が出てくるという意味がちょっと私よくわからなかったんですが。

○辻山部会長

この点、伊藤委員いかがでしょうか。

○伊藤委員

大変申しわけない、直接担当していないんですが、議論の話からすると、これは減損損失の認識をするかどうかの判定であるので、20年後の処分価額ですか、正味売却価額とか、そういうものでも十分使えるんではないかという趣旨ではないかと思います。21年後のその割引キャッシュ・フローを計算してその割引率をまた予測するというのは、実際問題大変な話なので、その時には予想される処分価額、確かに先生のおっしゃるそのキャッシュ・フローから組成されることもあるでしょうし、あるいは正味売却価額もあり得ると思うんですが、その金額でも十分目的は達成できるのではないかという、そういう意見だったように思います。

○辻山部会長

斎藤委員、よろしいでしょうか。

ただいまのご説明は、この処分価額というものをもし売却価額に限定すれば意味は通っているんだというご説明のように承りましたけれども、処分価額にさまざまな算定方法があるということであれば、3で言っていることと4で言っていることの意味がよくわからないというご指摘だったと思いますが、それについては4の方で言っている処分価額というのは売却だけを想定しているというのが伊藤委員の今のご説明ですね。

○小宮山委員

ややその公開草案の文章が、残りのキャッシュ・フローというとらえ方が読みづらい部分があるんだろうと思うんですね。どうも読む人によって違うようにとらえる、事業活動から出てくるキャッシュ・フローの残りを見積もるというふうに読んでしまう人もいるし、単純にその処分可能価額みたいに不動産みたいなイメージで考えられている方もいるし、どうも読み方によって違うので、その辺ははっきりしてくれということなんだろうと思うんですけれども。

○斎藤委員

別にコメントいたしません。

○辻山部会長

あと、ついででございますが、公認会計士協会からのコメントにつきまして次のページ、「投資不動産」でございますけれども、これは投資不動産について、先ほどのご説明ですと概念がはっきりしないと、ですから固定資産の中に入っているということを何か基準に含めて明確にすべきだというお話だったんですけれども、この部会での議論は、投資不動産という範疇並びに概念がはっきりしないということは、すなわち固定資産の中に包摂されているという理解でありまして、したがいまして、別の区分ではないので対象資産というところにも出てこないしその処理についても出てこないと、当然のことながら固定資産の一部として減損会計が適用されるという議論だったと思いますが、この6の意味はどういうことでしょうか。

○伊藤委員

私も議論をお聞きしていますので、部会長のおっしゃるとおりの理解はしているんですが、ただ、従来やはり投資不動産についてテーマに上って検討していましたので、投資不動産について何らか出るものだという皆さんが理解をしているように思います。

ですから、文章をずっと読んでいけば投資不動産は当然区分がわからないから固定資産だよというのはわかるんですが、投資不動産はどうなるんですかというふうにいろいろの方からよく質問をされるんですね。だから投資不動産という分類はないんだというのを何か、確かに含まれるんだから書きにくいというのはあるのかもしれませんが、ちょっとあれだけテーマで取り上げていましたのでどこかに書いていただいた方が誤解は除けるのではないかと、そういう意味だと思います。

○辻山部会長

ありがとうございました。

伊藤委員は、一応部会での議論を踏まえればよく理解していると、そういうお話ですか。

○伊藤委員

しているつもりでございます。

○辻山部会長

そのほかございますでしょうか。

太田委員、どうぞ。

○太田委員

今の投資不動産に関してのことなんですが、私もこの基準について聞かれた中で、投資不動産のところで、たしか必要があれば減損処理を行うみたいな表現がございまして、じゃあ何か別のやり方があるんですかみたいな聞かれ方を何度か違う方から受けましたので、その辺もう少し書き込むというか、そういう考慮が必要なのかなというふうに思います。

○辻山部会長

ありがとうございました。

投資不動産の方でその旨誤解のないように書き込むということですね。わかりました。

そのほかございますでしょうか。

秋葉委員。

○秋葉委員

今の公認会計士協会のコメントの、そのページの3番目で「のれんの取扱い」ということのコメントをいただいているんですけれども、ここではボトムアップ・テストということでのれんの帳簿価額を配分する方法を原則とすべきであるというふうに意見されておりまして、共用資産も同様ですと。

現状では、公開草案はいわばトップダウンといいますか、より大きな単位で判定するという方法をとっておりまして、これを配分する方法が妥当だというふうに意見されているので、主従関係が逆転しているわけですけれども、その理由がこのパラグラフを拝見しますと、のれんというのは回収とか減損の兆候というのを事業ごとに把握されるので、事業に区分して行うべきであるというふうなことが書かれておりますが、一応現状の公開草案でも取得の時点の各事業にのれんを配分してそれを見るというふうになっておりますし、この公開草案でいっているところのその配分する方法というのは最小のキャッシュ・フローの単位ということで、要はキャッシュ・ジェネレーティング・ユニットごとに配分するということなので共用資産についてもまた同様にこの原則とするということになると、事業という単位とキャッシュ・ジェネレーティング・ユニットという単位が違うわけですから同様にもならないと思うんですけれども、ちょっとこの辺のお考えを確認させていただきたいと思います。

○辻山部会長

この点いかがでしょうか。

○伊藤委員

この議論の出発は、のれんに減損の兆候がある場合というのが、そういうのがわかるのかなという、のれんだけでのれん減損の兆候があるのがわかるのかなということで、それは、やはりのれんというのはそれの関連する事業から得られるキャッシュ・フローでなければ全体として認識できないのではないかと、ですからそれが原則的な方法にしたらどうだろうという説明を受けました。

○辻山部会長

ただいまの秋葉委員のご説明ですが、2つのことを少し分けて考える必要があるのではないかというのが秋葉委員のご指摘で、まず事業という単位ですが、その大きさにもよりますけれども、のれんを取得する、その際に事業が複数あって、そういうその区分できる事業がある場合には、現在の公開草案ではのれんについてはまず区分しなさいと、そこから出発してございます。その後にトップダウンになるのかボトムアップになるのかという、2段階目からはこの共用資産と同じようにキャッシュ・ジェネレーティング・ユニット単位に配分するのか配分しないのかということを議論しているので、ここで指摘されているのが、その事業に配分しなさいということなら、現在の公開草案ではすでにそのようになっておりますので、もしそのご指摘であれば公開草案がそうなっています。

あるいは、ここでいう事業がキャッシュ・ジェネレーティング単位を指しているのであれば、今の公開草案とは主従が逆転するご提案というふうになるんですが、その辺はいかがでしょうかということだと思います。事業の大きさの問題ですね。

小宮山委員はいかがでしょうか。

○小宮山委員

同じ会計士協会が出しているんですけれども、おそらく言ってることは同じだと思うんですよね。基準で考えたことと会計士協会で言っていることというのは基本的に同じことを言っていると思うんですが、どうもそれが反対しているように見えるので何と説明したらいいのかよくわからないんですけれども。

○辻山部会長

事業とキャッシュ・ジェネレーティング・ユニットのとり方が、キャッシュ・ジェネレーティング・ユニットを束ねたものが事業だとしますと、既に事業についてはのれんは最初に配分しなさいというのがご提案でございます。ですから、むしろそのとおりでいいんだよというふうにも読めるし、ちょっとよくわからないところですね。

○伊藤委員

確認します、申しわけありません。

○辻山部会長

そのほかございますでしょうか。

平松委員、どうぞ。

○平松委員

減損に限らず、先ほどの品川委員からのご発言に対してちょっとお教えいただけたらという趣旨での発言なんですが、経団連の方の意見で損金経理を撤廃しということ、これは減損に限らず一般的に私自身は個人として賛成なんですけれども、その時に、品川委員からそれは法人税法第22条の4とか確定決算主義という会計サイドのメリットを失うことになるというご発言で、少しそのところは私理解できなかったので再度確認なんですが、私自身は損金経理を撤廃し、もし税法上必要であれば申告調整を求めればいいのではないかという考え方をしております。そのやり方をとって、例えば法人税法第22条の4、あるいは確定決算主義というのが失われるんだろうかということをお教えいただければと思うんです。つまり、損金経理を撤廃して申告調整にするということは論理的には無理なんだろうかということをお教えいただければと思います。

○辻山部会長

品川委員、お願いいたします。

○品川委員

ちょっと説明させていただきますが、確定決算基準がいわゆる法人税法74条に基づいて、確定した決算に基づいて確定申告を行いというのは形式的な意味の確定決算でありますが、実質的には、要するに表示上採用された会計処理が妥当なものであれば、税務上それを変更してはいけないというのが実質的な意義の確定決算基準であるわけで、それは定着した考えでありますが、そういう表示上の会計処理を税務上変更を許さないという一つの手続きとして損金経理を要件にしているわけであって、この件については、その減価償却のような共通性のある部分については損金経理で拘束し、あるいは特別償却のような共通性のないものについては利益処分の積立処理が、これは昭和40年代にその会計と税法との調整ですべて調整済みでありますから、一応は損金経理による拘束、あるいは税法による逆基準制というのは非常に少なくなっているというかほとんどないはずなんですね。減価償却であっても、本来表示上100万計上しなければならないけれども税務上は80万である場合には、100万損金経理しておけば後は申告調整すればいいだけの話であって、ただ、80万許されることについて60万しか損金経理をしなければせっかくの20万の枠を放棄するというだけなんですね。

よって、表示上と税務上のこの会計処理の共通性を否定してすべて申告加算、申告調整をやればいいということになりますと、そもそも確定決算基準は要らないということになってくるわけでありまして、22条4項が設けられた経緯におきましても、これはこちらの審議会の多くの議論、直接は昭和41年でしたか、こちらの税法と企業会計との調整に関する意見書に基づいて税制調査会の答申を受けて22条4項が昭和42年に制定されたわけでありますけれども、それはそれぞれの共通な会計処理をできるだけ保証しようという、そういう制度で設けられているわけでありますので、その一部損金経理が邪魔になるから全部外せということは、ひいてはそもそもその確定決算基準についてはもう使命が終わったから要らないというところまでいくのかどうか、もしそこまでいくということであれば、かつて22条4項が制定された経緯から見て、そもそも22条4項自体も存在意義を失ってしまうのではないか、そういうふうに申し上げたので、この確定決算基準とは何かということについては各文献を見ていてもかなり同床異夢的な議論が行われていて、どちらかというと馬の足をとらえたらしっぽをなでたり、胴体をなでたりというような感じがなされているように思えてしょうがないんですが、私自身はちょっとライフワーク的に税法と会計との関係をずっと追っていたものですから、そういう点では非常に、最近の議論については少し寂しいというか、私自身は会計の専門家ではないけれども、個人的には会計のファンであるので、ちょっと残念だなという感じがしているということで申し上げたんですが。

○平松委員

わかりました。

ただ、私個人は確定決算主義はこのまま置いておく必要があるだろうと、特に中小企業のためにも置いておく必要があるし、今ちょっとご意見承った限りちょっとまだ研究しないといけないことがたくさん出てきましたのでさらに個人レベルでは研究させていただきますが、なお、損金経理はやはり撤廃したいというふうに考えておりますという意見だけ述べさせていただきます。

ありがとうございました。

○辻山部会長

ありがとうございました。

いかがでしょうか。減損会計、この公開草案につきまして本日コメント全般についてご説明したわけでございますが、この機会に特にご発言ございますでしょうか。あるいは今後の会計基準の確定作業につきまして特にご意見ございましたらお出しいただきたいと思います。よろしいでしょうか。

それでは、予定の時刻より少し早いわけですが、本日の部会は以上で終了とさせていただきたいと思います。

なお、次回の当部会の日程ですが、6月14日の午後4時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。正式には改めて事務局から皆様方にご連絡をさせていただきます。

本日は、皆様方には大変お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

これにて散会とさせていただきます。

ありがとうございました。

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