企業会計審議会総会議事録

1.日時:平成23年2月24日(木曜日)14時06分~16時06分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

○安藤会長

それでは、ただいまより企業会計審議会総会を開催いたします。

皆様にはご多忙のところご参集頂き、誠にありがとうございます。

また、本日は、自見金融担当大臣にご多忙のところご出席を頂いております。後ほどごあいさつを頂きます。

申し遅れましたが、私は本年1月16日付で企業会計審議会令第4条の規定に基づきまして、企業会計審議会会長に再任されました安藤でございます。皆様には引き続きよろしくお願い申し上げますとともに、ご協力のほどをお願い申し上げます。(拍手)

まず、会議の公開についてお諮りいたします。従来と同様、本日の総会も企業会計審議会の議事規則に則り、会議を公開することにいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○安藤会長

ご異議ないということで、そのように取り扱わせて頂きます。

議事に入ります前に、昨年11月15日に開催しました総会以降に委員の異動がございましたので、私からご紹介いたします。

1月15日付で、竹内佐和子氏、友永道子氏、平松一夫が委員を退任されました。また、1月16日付で関根愛子氏、根本直子氏、脇田良一氏が委員に就任されておりますので、ご紹介いたします。

順番に、まず、関根委員でございます。

○関根委員

関根でございます。よろしくお願いします。

○安藤会長

よろしくお願いします。

次に、根本委員でございます。

○根本委員

根本でございます。よろしくお願いします。

○安藤委員

よろしくお願いします。

次に、脇田委員でございます。

○脇田委員

脇田でございます。よろしくお願いします。

○安藤会長

よろしくお願いします。

委員名簿をお手元にお配りしておりますので、ご参照ください。

次に、監査部会長の指名を行います。資料1をご覧ください。企業会計審議会には、企画調整、監査、内部統制の3つの部会が設置されておりますが、昨年3月に、それまで監査部会長を務めて頂きました友杉委員が公認会計士・監査審査会の会長に就任されましたことに伴い、委員を退任されております。現在、監査部会長が空席となっておりますが、企業会計審議会令では、部会長は会長が指名するということになっております。ついては、脇田委員に監査部会長をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、ここで本日ご出席頂いております自見金融担当大臣に一言ごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○自見大臣

ご紹介を頂きました金融担当大臣を拝命しております国民新党の副代表でもございます参議院議員の自見庄三郎でございます。本日は企業会計審議会の総会でございます。本当にお忙しいところをお集まり頂きまして、担当大臣として心からお礼を申し上げる次第でございます。

安藤会長については、再び会長の重責を担って頂けるということでございまして、心からお礼を申し上げると同時に、新たに関根様、根本様、脇田様、こういった新しい委員の方に国家のためにご尽力頂くわけでございまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。

それでは、一言ごあいさつを申し上げます。

会計・監査をめぐる諸課題の対応に当たって、委員の皆様方には格段のご協力を頂いております。まず、改めて深くお礼を申し上げます。

また、会計監査と申しますと、専門的、技術的な問題ととらえられがちでございますけれども、会計・監査は、資本市場のインフラとして投資家や企業の行動に大きな影響を与えるものでございます。我が国における会計・監査制度のあり方について考えていくに当たっては、透明性の高い情報を投資家等に対して適切に開示していくという観点が重要となりますが、併せて、よくご存じのように、国際化の時代でもございますので、国際的な動向も踏まえつつ、我が国資本市場や企業のあり方に配意した戦略的な論議を行っていくことが求められていると考えております。

今日、会計・監査をめぐる国際的な競争は、米州、欧州、アジア・オセアニアの三極を軸に進展してきております。その中で、今般、東京に、おかげさまで国際会計基準審議会の支部、サテライトオフィスでございますが、設置されました。今後、この三極の1つを代表し、東京を通じてアジア、オセアニア地域の情報発信をより積極的に行っていくことが重要になってきていると考えております。

会計・監査制度に関する審議・検討の重要性が高まる中、委員の皆様方におきましては、引き続きよろしくご高配、またご指導を賜りますように心からお願いをいたしまして、改めて安藤会長をはじめ、すばらしい学識経験、専門的知識を持って国家のために引き続き審議会委員としてご貢献を頂くことを、本当に心から担当大臣としてお礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

自見大臣には、この後、ご公務がおありとのことでございますので、ここで退席されます。どうもありがとうございました。

○自見金融担当大臣

どうもありがとうございました。

(自見金融担当大臣退席)

○安藤会長

それでは、議事に入ります。

事務局から、本審議会の審議事項について、まず説明をお願いします。

○古澤企業開示課長

お手元の資料2をお開き頂けますでしょうか。企業会計審議会の審議事項を部会別に整理しております。企画調整部会ですが、会計をめぐる国際的な動向や「我が国における国際会計基準の取扱い(中間報告)」等を踏まえ、我が国における国際会計基準の取扱い等について、必要な審議・検討を行う。監査部会ですが、今後の国際的な監査基準の改訂等を踏まえ、監査基準の改訂について必要な審議を行う。また、監査基準をめぐる国際的な動向を踏まえ、我が国における国際的監査基準の取扱いについて検討を行う。内部統制部会ですが、財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準の見直しや更なる明確化等について、必要な審議・検討を行う。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

ただいま説明がありました本審議会の審議事項につきまして、何かご質問、ご意見等がございましたら、ご発言をお願いします。

よろしいでしょうか。

それでは、これを本審議会の今後の審議事項とさせて頂きます。ありがとうございました。

続きまして、昨年11月15日に開催しました前回の総会では、関係者の方々から、近時の会計監査をめぐる動向につきましてご報告を頂きましたが、本日は新メンバーによる初めての総会でございますので、前回の総会以降の動きを中心に、事務局から会計監査をめぐる動向について説明して頂きたいと思います。

○古澤企業開示課長

お手元の資料に沿いまして簡単にご紹介させていただければと思います。

お手元の資料3-1でございますが、前々回の総会における安藤会長の総会におけるご発言の骨子ということで、去年の8月3日の会長発言をつけてございます。

ご案内のとおり、まず1つ目の○でございますけれども、連結の会計基準については、同等性評価を踏まえ、東京合意に沿ってコンバージェンスを着実に実施。

その次でございますが、連結と単体の関係についてということで、考え方のご整理を頂いた上、3つ目の○でございますけれども、ASBJの基準策定プロセスについて、単体のコンバージェンスの程度をより広い見地から判断するため、幅広く、産業界などのステークホルダーの声を反映すべきとの意見が聞かれたということでございます。そこで、3つ目の段落でございますけれども、公益財団法人財務会計基準機構の理事長より、ASBJが、引き続き、連と単の双方の日本の会計基準の策定主体であるべき。今後、会計基準設定主体の独立性を確保しつつ、基準策定企業の強化及びそのためのステークホルダーによるバックアップ強化のための方策を検討し、審議会にご報告したい旨の発言を頂いたところでございます。

具体的には、次のページでございますが、「単体財務諸表に関する検討会議」の設置ということで、その次のページでございますけれども、萩原議長、増田副議長以下、現在ご審議を頂いているというふうに承知してございます。

それから、その次は、先ほども少し出てまいりました当審議会でとりまとめていただきました平成21年6月30日公表の中間報告の概要がつけてございます。ポイントだけ若干ご紹介させて頂きたいと思います。

特に、この審議会でも議論になるかと思われます強制適用の問題についてでございます。少し資料が飛んで恐縮でございますけれども、資料3-6の後ろに、中間報告そのものを配付してございます。今の強制適用の部分は、13ページ~15ページでございます。ご案内の方も多いと思いますので、簡単に、どういうことが書いてあるか、15ページでご紹介させていただければと思います。

「参考」とございます6月30日の中間報告の15ページですが、まず、時期については、「これらを総合的に勘案すると、前記の様々な考慮要素の状況次第で前後することがあり得ることに留意する必要がある」という留意をつけた上でございますけれども、「IFRSの強制適用の判断の時期については、とりあえず2012年を目途とすることが考えられる」ということでございます。

それから、強制適用の対象、方法でございます。特に、昨今議論が出てまいりますのが、その準備期間の議論でございます。15ページのちょうど真ん中ぐらい段落で、「また」というところございます。「また、強制適用に当たっては、実務対応上必要な期間として、強制適用の判断時期から少なくとも3年の準備期間が必要になるものと考えられる(すなわち2012年に強制適用を判断する場合には、2015年又は2016年に適用開始)。」ということでございます。そこの趣旨でございますが、適用の判断以降、十分な準備期間を取るということがこの中間報告でも整理されているところでございます。昨今ご案内のとおり、強制適用の開始時期が2015年、16年なので、すぐに準備を始めなければ間に合わないといったアドバイスなりコンサルテーションがあるというような動きも耳にしているわけでございますけれども、まさに15ページにあるようなことでございまして、十分な準備期間を取るということがこちらの中間報告でも触れられているという点に言及させて頂きたいと思います。

それから、その次の資料でございますけれども、資料3-2は国際的な動向ということで、最近のモニタリング・ボードのガバナンス改革の資料でございます。これにつきましては、担当の長岡室長より触れさせて頂きます。

あとは資料の紹介を中心にいたしますが、資料3-3でございます。国際会計基準のコンバージェンスの動きにつきまして、EUの同等性評価からの動きを整理しているところでございます。ここにつきましては、資料のご紹介だけにとどめさせて頂きます。

それから、その次に資料3-4でございます。資料3-4につきましては、IFRSを巡る国際的動向ということで、日本につきましては、2010年3月期からIFRS任意適用、それから先ほど見て頂いた2012年ごろに採用の是非を決定予定、それから大臣のごあいさつにもございましたサテライトオフィスの設置の話というのが出てまいります。中国は2011年までに完全コンバージェンス、韓国はこの2011年からIFRSを単体も含めて採用している。インドにつきましては、2011年までに一部を除き自国基準をIFRSに共通化し、この4月からというふうに伺っていますが、順次適用を開始するという状況でございます。

それから、米国についてだけ一言申し上げますが、採用の是非を2011年中に決定予定ということで、今年、米国につきましては、この議論がさらに引き続き行われるものというふうに承知しています。

資料3-5につきましては、内部統制と成長戦略について触れているものでございます。一言だけ触れさせていただきますと、昨年の春からでございますけれども、内部統制部会のほうで、内部統制報告制度の見直しというのをご議論頂いています。昨年の11月15日の総会でも報告の見直しの方向というものをご紹介頂き、今月も内部統制部会が開催されたところでございます。3月、年度内には方向性を取りまとめたいということで、ご議論を頂いているところでございます。四半期につきましても、ASBJを中心に会計基準の見直し、それを踏まえた内閣府令等の制度の見直しを準備して頂いているところでございます。

私のほうからは以上にさせて頂いて、先ほど飛ばさせて頂いた資料3-2につきまして、長岡室長のほうから紹介して頂ければと思います。

○長岡国際会計調整室長

国際会計調整室長の長岡でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、資料3-2に基づきまして、IFRS財団モニタリング・ボードが行っておりますガバナンス改革につきまして、簡単にご説明させて頂きたいと思います。

資料3-2でございますけれども、資料が4種類一括させて頂いておりまして、概要が1枚紙、それから現在のガバナンス体制のポンチ絵1枚紙、2月7日に公表させて頂きました公開草案の抜粋版、それからそのときのプレスリリースということでございます。

まず、お手元の資料の2ページ目をご覧頂ければと思いますけれども、こちらが現在のIFRS財団のガバナンスの構造でございます。ご案内のとおり、いわゆる3層構造という形になっておりまして、まず、財団の中で具体的に国際会計基準をつくっておりますIASB。こちらにつきまして、評議員会がメンバーの指名、資金調達、デュー・プロセスの確保といったような形で、財団の内部で一義的なガバナンスを確保しております。それに対しまして、財団の外に、公的な観点からの監視を行うということでモニタリング・ボードというものが設置されております。このモニタリング・ボードが、評議員会のメンバーの承認であったり、評議員会の業務遂行に関する監視・助言を行ったり、それから頻繁に意見交換をしたり、会合を開催したりというようなことで、IASB、すなわち基準設定主体を評議員会がまず一義的に監視いたしまして、それに対する外部的な監視ということでモニタリング・ボードがあるということで、3層になっているということでございます。

このモニタリング・ボードですけれども、設立当初から現在に至りますまで、メンバーが5つの当局から出ておりまして、世界の主要市場を管轄しているということで、米・欧・日の3ヵ国の当局、それから証券市場当局の国際的な機関でありますIOSCOから、先進的な市場を代表するものとして専門委員会、新興市場を代表するものとして新興市場委員会、それぞれの代表が出てきておりまして、これで5つということでございます。これにオブザーバーとしてバーゼル委員会が参加するという形になっております。

今回のガバナンス改革ですけれども、こういった現在のガバナンスの構造が、国際会計基準を設定している財団、IASB、これらの目的に沿った業務遂行というのをしっかりと支える形になっているのかどうか、それをより改善するためにはどうしたらいいのか、そういった問題意識で行われているということでございます。

では、1枚目にお戻りいただけますでしょうか。そのような問題意識に則りまして、昨年の4月に行われましたモニタリング・ボードの会合におきまして、モニタリング・ボードのメンバー構成、先ほど申しました5つの当局から構成されるというこの構成の見直しを含みますガバナンス構造の見直しということが決定されました。それを踏まえまして、昨年の7月にモニタリング・ボードのもとにガバナンス改革ワーキンググループというものが設置されまして、それ以降検討が行われてきたということでございます。なお、こちらのワーキンググループですけれども、議長に当庁の河野総括審議官が就いております。

それで検討の結果でございますけれども、去る2月7日に「市中協議文書」というものを公表いたしました。これはパブコメにかけるということで、60日間、2ヵ月のパブコメ期間を取りまして、パブコメの最終日が4月8日までということで設定されております。

この市中協議文書の中身ですけれども、モニタリング・ボードとしての提言であるとか、提示されるべき選択肢、それぞれに関します具体的な質問項目というものを掲載しております。具体的には、そこの下に列挙してございますような観点からの提言ないし選択肢等が提示されているということでございます。

まず、IASB、基準設定主体そのものにつきまして、ボードメンバーの構成であるとか人事プロセス、こういったものについて改善の必要性があるのではないか。それから、現在IASBの議長とファウンデーション、財団のCEOというのが兼任する形になっておりますけれども、それが果たしていいのかどうかというふうな観点から、IASB議長、また、その下におりますIFRS財団のスタッフの職責とか役割といったものを明確化する必要があるのではないかといったようなことが書かれております。

続きまして、それを一義的に監視しております評議員会でございますけれども、こちらにつきましても、評議員会のメンバー構成であるとか人事における改善の必要性がないかどうか、評議員任命プロセスに対するモニタリング・ボードの関与の拡大の必要性がないのかどうか。

ちなみに、この評議員会につきましても、ここ数年でメンバー構成に多様性を持たせるというような改革が進められてきておりまして、それ自体はモニタリング・ボードとしても評価しつつ、それをさらに進めていく方策があるかどうかというような観点でございます。

3つ目の大きな項目ですけれども、モニタリング・ボードそのものにつきましてでございます。モニタリング・ボードのメンバーの拡大の必要性。先ほどの5つというメンバー構成では足りないのではないか、不十分なのではないかという問題意識でございます。特にIFRSの適用、活用というものが世界100ヵ国を超えるというような中におきまして、果たしてその5つの当局だけでこのモニタリング・ボードというものを構成することが妥当であるのかという問題意識が、多方面から出されているということに対する回答でございます。

それから、モニタリング・ボードの意思決定方法の変更の必要性。これは、今までモニタリング・ボードというのはコンセンサスベースの決定方式をとってきたのですけれども、果たしてそのままでいいのかどうかという問題意識を提示するというもの。

それから、モニタリング・ボードとその他の組織との関係拡大の必要性。モニタリング・ボードを構成しております当局というのは各ジュリスディクションで、財務報告の形であるとか、内容であるとか、そういったものを管轄している、そういったものに責任を持っている当局の集まりでございまして、そういったものを中心に先ほどのメンバーの拡大というものも考えておりますけれども、それ以外の当局、公的な役割を担っております当局との関係というのをどうしていくべきかというものでございます。

それから、モニタリング・ボードの透明性拡充の必要性ということですけれども、こちらはモニタリング・ボード自体がどういうことをやっているのかということをより積極的に発信していく必要があるのではないかという問題意識でございます。

モニタリング・ボードの機能・役割の変更・拡充の必要性というところでございますけれども、今現在、モニタリング・ボードとしては、先ほどご覧頂きましたように、評議員会の評議員の任命であるとか、評議員会に対する意見具申であるとかいうことをやっているわけですけれども、果たしてその役割で十分なのか、より広い範囲での役割分担というのが必要なのではないか、そういったような問題意識からの議論でございます。

その他のところにございますのは、国際的な会計基準を設定するという基準設定プロセスにおきまして、果たして幅広い関係者の意見というのがしっかりと反映されるメカニズムになっているのかどうか。また、公共政策目標(パブリック・ポリシー・オブジェクティブ)の反映というのがどういうふうに確保されるのか、そういうような問題意識から、それに対するご意見を伺うということ。それから、最後のところは、ガバナンスに関する定期的な見直しの必要性ということですけれども、今回このガバナンス改革ということを検討いたしまして、今後、これの具体的な対応をしていくわけなのですけれども、一回のみで終わらせるのではなくて、それの見直しというのをしっかりと組み込んでいってはどうかという提言でございます。

こういったものにつきまして、それぞれ具体的に質問項目を並べ、それぞれに一般の関係者の方々からお答え頂きたいというものでございまして、それを4月8日までパブコメにかけていくということでございます。

最後のところに「今後の作業予定」というふうにございます。この市中協議の期間中なのですけれども、アジアで2ヵ所、欧州、米州、計4ヵ所で関係者との間の公開の円卓会議(ラウンド・テーブル)というものを開催するということを予定しております。ちなみに、アジアの2つというものの1つは東京で、もう1つはクアラルンプールを予定しておりますが、東京につきましては3月下旬を今念頭に準備を進めさせて頂いております。こういった情報につきましては、すべてタイムリーにモニタリング・ボードのWebサイトのほうに掲載するということで、一般に情報開示をしっかりとしていこうと考えております。

それでパブコメは4月8日までなのですけれども、それ以降のお話としましては、いただいたコメントを踏まえまして、実際にどのような具体策をとっていくのかということで、アクションプランをつくりまして、これを今年の夏をめどに、第3・四半期の早い段階をめどに公表していきたいというふうに考えております。

括弧書きの中なんですけれども、今、同時並行で、IFRS財団そのものも戦略見直しというものを行っておりまして、それぞれ役割分担をして、最終的な具体策というのを2つしっかりと整合的にやっていこうということで、括弧書きをさせて頂いております。役割分担と申しますのは、モニタリング・ボードのほうのガバナンス改革では、主に制度的な面を見ていこう、財団のほうの見直しでは、主としてオペレーショナルな部分、実務的な部分を見ていこうということで分担をしております。最終的に、今年の夏にはそれを一本化するような形で、収斂させていくということを考えているということでございます。

簡単ではございますが、ガバナンス改革に関するご説明をさせて頂きました。ありがとうございました。

○安藤会長

ありがとうございました。

それでは、ただいま説明いただきました会計監査をめぐる動向につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、頂戴したいと思います。どうぞご自由にご発言ください。

武井委員、お願いします。

○武井委員

ありがとうございます。私からは3点ほど申し述べさせて頂きたいと思います。

1点目は、先ほど古澤課長からもご説明を賜りました我が国の開示制度の見直しについての議論でございます。従来から、私は、この場等も含めまして、我が国の開示制度は欧州等の諸外国に比べますと、やや過重な構造になっているのではないか、ぜひとも、いわゆる簡素化の方向に向けての見直しを行って頂きたい旨の発言を繰り返してまいりました。これはまた経団連からも、改めて同様の意見書が昨年の夏に公表されているところでございます。それ以降、金融庁やASBJなど、この問題に関連する各界の皆様方のご尽力により、精力的にこの問題についての検討が加えられてきておりまして、ご案内のとおり、四半期開示の見直し、それから内部統制制度につきましての見直し、これが先ほどお話しを賜りましたとおり、この3月を目途にファイナライズされるべく、細かい最終的な議論、あるいは検討が加えられていると、承知致しております。

今回の見直しにつきましては、現行の制度の枠内での見直しということで、制度論そのものについての議論はしかる後にということで、2段階に分けての議論ということは、私も十分理解を致しておるところでございます。まずは、現在の見直しの内容を来月に向けまして、予定通り、しっかりとお取りまとめ頂きまして、私ども実務に携わる部門の負担をできるだけ軽減して頂ければと考えておるところでございます。

また、残る課題でございます、いわゆる業績予想開示を含みます証券取引所の適時開示制度の見直し、さらには単体財務諸表制度の開示の廃止を含みます大幅な簡素化に向けましての議論、これにつきましても、引き続き鋭意ご当局等を中心にご検討を賜りたいと考えておるところでございます。

2点目は、連結財務諸表と単体財務諸表との関係にかかわる議論でございます。これは先ほどもお話し頂きましたとおり、この審議会での議論を受けまして、私もメンバーの一員として参加させて頂いておりますFASFにおきます単体検討会議で、精力的に検討させて頂いております。私も加わって議論を拝聴致しておりますと、やはり、産業界の委員の何人かの方から、単体財務諸表の取扱いにつきましては、会社法とか税法とかについて、比較的我が国に類似の構造を持っているドイツとかフランスとかの諸外国の実情の調査といいますか、この問題に対してどう対応しているのかとか、あるいはそもそも基本的な考え方、一体どういう考え方にその国々が由来するのかといったようなところまで、深く掘り下げて私どもとしては把握し、それを今後の議論の中で参考にしながら、生かしつつ、議論をする必要があるのではないか、こんな意見が何名かの委員から出されており、私も全く同様に感じております。それぞれの国の基本的な由来するところを把握するというのは、非常に難しい問題があろうかとは思いますけれども、やはり大事な議論が今後に控えている中で、それぞれの議論、議論の中で、納得感というものを付与するためには、これはどうしても欠かすことのできないアイテムかと思いますので、よろしくお取り組みをお願い申し上げたいと思います。

3点目でございますけれども、IFRSのアドプションに関する問題でございます。先ほどもお話し頂きましたとおり、早ければ2015年にも強制適用になる可能性があるということだけが実は実務界をひとり歩き致しておりまして、多くの企業がこの問題への対応ということで非常に不安感等々を抱きながら、苦慮していると私も伺っているわけでございます。この問題につきましては、既に金融庁におかれましても、昨年の春「国際会計基準に関する誤解」という文書をお取りまとめ頂きまして、公表して頂いておりまして、そのご尽力につきましては十分に承知致しているところでございますが、できましたら、このタイミングで早急に、もう少し一歩踏み込んだ形で、例えば、2012年を目途に予定されている強制適用の判断を待って準備を開始したのであっても十分に間に合うくらいの準備期間を設ける旨の明確なメッセージを、世に発信をしていただけると大変有り難いと、また、落ちついて準備作業とか対応ができるのではないかと思っております。従いまして、対応を、ぜひ、ご検討して頂きますようお願いを致したいと思います。

また、今後、2012年の強制適用の判断に向けた議論を引き続きご当局を中心に進めていくわけでございますけれども、ご案内のとおり、これは大変実務には大きな影響を及ぼす問題でもございますので、米国等、諸外国の状況を十分に踏まえて頂きながら、ぜひ慎重に議論を進めて頂きたいと、考えております。

私からは以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、永井委員。

○永井委員

今の武井委員のお話と重なりますが、強制適用するかどうか、来年をめどに判断されるということで、大手企業の多くが強制適用を前提にして準備を進められていると思います。こうした方々の話を伺いますと、適用となった場合に、その年度から作成すればいいのか、それとも遡及が必要なのか、そういった点も判然としないので、非常に対応に苦慮しているという話もあります。いろいろご都合もおありかと思いますが、やはりなるべく早くスケジュール感、それを示してほしいと聞きますので、その点、十分にご配慮を頂きたいというのを私から、余計ではありますが、一言申し添えさせて頂きたいと思います。

○古澤企業開示課長

遡及の点でございますけれども、遡及というお話の前に、仮に、2012年に決定して2015年から適用ということでございますと、2015年の比較情報が必要でございます。すなわち、まず2014年の準備があるので、2014年、2015年をどうするか、恐らく実務で今苦慮されている点であり、武井副社長からお話があったのも、その点かと思います。遡及というよりも、比較情報の問題があるので、1年前からというのが、恐らく先生のお耳に入っている実務の声なのかなという気がいたします。いずれにせよ、必要な準備期間を十分確保できるようにしていくことが基本かと思います。

○安藤会長

よろしいでしょうか。まだご質問はありますか。

○永井委員

特につけ加える点はありませんが、やはり作成者の方々は、内部統制報告とか、四半期の報告とか、非常に大変な作業を担っているということを耳にいたします。大まかな枠でいいので、なるべく早く、十分な期間とは一体どのくらいの期間なのかを示していただきたいと存じます。

以上です。

○安藤会長

ほかにいかがでしょうか。

では、私の発言予定にはありませんでしたが、参考資料の「中間報告」について発言させていただきたいと思います。強制適用に関しては、先ほど古澤課長から15ページを紹介して頂きましたけれども、先ほど発言のございました、13ページから始まっている内容で、13ページの下に「将来的な強制適用の検討」、14ページにも「強制適用の判断の要素」という内容がございます。先ほど委員の中からご発言があったようなことも、例えば14ページのマル1のイの最後のほうに書いてございます。それから、先ほど古澤課長が言われた15ページの上というのは、その前の14ページの文章を受けて書かれております。ですから、これが事実で、本審議会で決めた内容でございます。

それから、個別についても16ページにございますので、もしも時間がおありでしたら、この辺をぜひ読んでおいて頂きたいと思います。こう申しますのは、これはダイジェスト版をつくるときにどうしてもバイアスがかかってしまうのです。「中間報告」をお読みいただければ大体わかると思います。

では八田委員、どうぞ。

○八田委員

時間がおありだということですので、少しだけ発言させて頂きます。

先ほどの武井委員と永井委員のお話のご意向につきましては、私もよく現場の方とお話をするときに耳にする意見と同様なのですが、1つ大きな問題というのは、企業の業種、業態、それから置かれている環境はみな異なっており、とりわけ海外を拠点に企業活動をさらに活性化させなければならない日本の状況を考えたときに、日本の独自の意向といいますか、特定の状況についての判断だけでは十分ではなくて、海外拠点での対応も必要だということです。それらを全部勘案した上で、上場企業たるものはおよそこうだから、このような時間的余裕とこのような手順を踏めということを、一律に示すことはできないと思います。私も実際に内部統制の制度にかかわったときに、内部統制基準に係る報告書の前文のところに記述のあるとおり、一律に示せないということも書き込まれていて、こうした考えについての理解を求めるんですけれども、なかなかそれがうまくいっていない。

いわんや、今後、IFRS時代というものを念頭に置いたときに、必ずまくら言葉で使われる言葉は原則主義ということです。これもわかったようで、わからないような理解がされているのですが、私は基本的には企業の経営にかかわる、いわゆるトップマネジメント、あるいはそれを取り巻く責任ある立場の方々は、みな自分の意思で主体的に判断し、活動し、行動する必要があるということ。ただ、その場合に若干の裁量の余地があるので、それは倫理的な思考、あるいは誠実な判断を持って、自分勝手の、得手勝手の形でそれを利用するのではないという、こういう視点が関係当事者にやはり根づいていかないと、必ずイタチごっこのように、これは重要性はあるんですか、ないんですか、あるいはこれは時期はいつですか、こういうことを一律に求めてくるでしょうが、恐らく金融庁はそれを示すこともできないし、示すことはかえって害毒になるという気がします。したがいまして、IFRS自体についてもう少し理解を高めるような視点でのメッセージを何か出すということは、私も重要だと思っています。

画一的とも受け取れるようなご発言がありましたので、全面的に否定するものではないんですが、たまたま内部統制の制度との絡みで、ずっと私自身も考え、悩みながら、よりよい制度対応を願ってお話をしてきているということ、ただ、実際にマーケットにかかわる方々がそれを実践して頂くことが最も重要なのであって、それを理解してもらいたいということで、発言させて頂きました。

○安藤会長

ありがとうございました。

引頭委員、どうぞ。

○引頭委員

2点ございます。まず、今の八田委員のご意見ですが、利用者側といたしましてもやはり同じような思いを持っております。といいますのは、今の八田委員のご発言では多分抑え気味に、IFRSは原則主義なので、経営者の方々には若干の裁量の範囲があるとおっしゃっていましたが、率直に申し上げますと、利用者からみると、かなりその範囲が広いのかなということが、IFRSを勉強するにつれ徐々にわかってまいりました。そうした中で、企業の方々が今までの会計基準の考え方とIFRSは全く違うものであるという認識のもとに、確たる信念を持って、会計に対する自社としての基準、あるいは指針が確立できるかどうかということが非常に重要になってくると見られます。これができるかどうかによって、日本企業に対する外国からの評価というのも随分変わってくる可能性もあるのではないでしょうか。

もう1点ですが、個人的には、このスケジュール、すなわち、2012年に判断し、2015年、もしくは2016年に本格導入するというものですが、これが本当に可能なのかということを正直大変心配しているところであります。当該スケジュールを策定したのは今からちょうど2年前で、その後、具体的なIFRSの新しい会計基準がいくつか提案されています。私どもアナリスト協会のほうでは、一生懸命そのパブコメに答えていますが、答えれば答えるほどIFRS基準は大変だということを正直実感しております。IFRS導入の準備期間について、作成者の方々、あるいは監査の方々が大丈夫だとおっしゃるのであれば、それを信じるしかございませんが、利用者としては、やはり正しい財務諸表を使いたいということが願いでございます。すでに策定してしまったスケジュールを今から見直せと言えるのかどうかはわかりませんが、場合によっては、現在の社会環境、国際環境、そして日本が置かれている位置を考えて、もう少し考えてもいいのかなと思っております。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

今までのご発言に事務局から何かありますか。特によろしいですか。

今の引頭委員のご発言は、私なりに整理すると、まず2012年という判断時期について、場合によってはもう少しずらしてもいいのではないかという含みと、もう1つ、2012年に決めた場合に3年の準備期間も短いという含みに取りましたけれども、いかがでしょうか。

○引頭委員

まずは、3年の準備期間だけで十分かどうかということがポイントでございまして、その次に、2012年の判断時期についてはサブと考えております。

○安藤会長

私の理解はそれほどずれていなかったですね。

初めての委員の方も3人おられますけれども、わからないことも、今までのことでも結構ですから、この機会によろしければご発言してください。

特によろしいですか。

審議会によっては議長が指名するところもあるようですが、私はそういうのはどうも嫌いで、苦し紛れの発言はよくないと思っています。

五十嵐委員、どうぞ。

○五十嵐委員

先ほど述べられました原則主義に関連して、判断の内容について若干述べさせていただきます。IFRSが導入されると、財務諸表は原則主義に基づいて作成されると理解されています。私の理解では、アメリカにおけるSECのアドバイザリー・コミッティの財務報告改善の報告書の中で原則主義に基づく判断の考えが議論されていまして、判断について2つの視点が示されています。判断は、主として企業と監査人と規制当局の役割があり、その中でも最終的には規制当局の視点が重要であると思います。当該報告書はそうした視点に基づき述べております。この判断は、財務諸表作成における判断の対象と判断の合理性を評価する場合の要素等を例えば判断の方法につきましては、複雑な取引への会計基準の選択、会計基準の不在の時の考え方、十分な証拠の評価などが含まれ、判断の合理性の評価には代替的な会計処理の検討、取引の実質と企業のビジネスの目的の判断等約10項目挙げられており、判断の基礎を提示しています。したがいまして、原則主義に基づく判断は、抽象的な議論でなくて、より具体的に原則に基づく判断の内容を記述又は議論することが必要なのではないかと思っています。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

関根委員、お願いします。

○関根委員

初めての委員の方もというお話がございましたので、感想になりますけれども、少し述べさせて頂きます。

先ほどの議論の中で、皆さんご心配されているというお話がありましたが、初めてのことですから心配するのは当然のことかと思います。また、企業によって規模とか、複雑性とかいろいろな違いもありますので、確かに3年というのはここで出ていますが、時間が経っていろいろと考えていくと本当に十分なのかと改めて考えるということもあると思います。とはいえ、何年だったらいいかというのを示すのも非常に難しいかと思います。また、もう1つは、今、五十嵐委員から原則主義の議論が出ましたけれども、やはり原則主義に慣れていないというか、どこまでどうやったらいいのかというのは、頭の中ではわかっていても、皆さん、私も含めてですけれども、具体的なところについては今いろいろ悩んでいらっしゃるところかと思います。

そういう意味で、2年前につくられた中間報告が、これでは短いとか、長いとか、そういう話だけではなくて、近づいてきましたので、徐々にIFRSのことが皆さんわかってきているところもあると思いますので、もう少し具体的なことを議論するというのもあるかというふうに思っています。そういう意味では、準備期間というのは、慣れるということと実際につくるということの両方の面で、そのあたりの議論というのもあってもいいのかというふうに思っております。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、斉藤委員、お願いします。

○斉藤委員

いろんな意見があっていいと思うんですけれども、何のために我々はこのIFRSをやろうとしているかという原点に戻って考えるべきだと思います。最初からこの会議でいろいろやっていて、やはり国際比較ができるか、できないかというのは結構大きな要素です。したがって、相手がどう動くか、外がどう動くかということも非常に重要な要素であることは否定できないと思います。日本だけが単独で、べき論で走る必要はないと思いますけれども、同時に、世界が動いているときに、国内だけの論議を繰り返して進まないということは、結果的には国家・国民の富を喪失するということになるわけであります。現実に、例えば今でも海外の投資家、あるいは海外の機関・企業のIPOが日本になぜ来ないかというような理由の一つに、比較性ができない、欠けているとか、すべてではありませんけれども、透明性が十分でないとかいう理由もあるわけです。我々は、何のために、だれのためにこれをやるのかというと、株式会社に対してリスク資本を出している株主、それだけではありませんけれども、まずはそこへ企業の実態を報告したいという誠意を持ってやるべきだと思います。それによって企業は投資家のバリューエーションを受け、その結果としてM&Aがあったり、戦略が生まれてくる。それは国内だけではなくて、インターナショナルベースに今変わってきているということを我々は既に受けてやろうとしているので、時間の問題だとか内容の問題というのも、周りとのアジャストメントだと私は思います。何年、何期間置くのが正しいとか、正しくないとか、そのような問題ではなくて、もっとプラグマティックな問題だと思います。

IFRS適用に関するアメリカの決定が少し遅れるとかいう話もありますが、それでも一説によると12月までにはやりますよという意見もある。それに伴って、US-GAAPをどうするかという論争がアメリカでは行われている。やはり二頭立てになるかどうかということも聞いております。そうであればあったで、やはりアメリカと日本と韓国とヨーロッパとインドと中国というものをどう比較するかということのテーマになってきているので、我々はある程度トーンを合わせていけばいいのではないか、このように思っております。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

柴田委員、どうぞ。

○柴田委員

モニタリング・ボードによるガバナンスですが、もともとはIASBが独走するのではないかということで、それをさせないために、世界の監督当局がしっかり監視の箍(たが)を入れよう、それがこのモニタリング・ボード設立の主旨だったと思います。本日の報告では、その場での議論として、モニタリング・ボードの参加者を増やそうという議論の方向性は見えます。ただ本質的な面で、感想程度で結構ですから、モニタリング・ボードが本当にワークしているのか、モニタリング・ボードがあってよかったということがあるのか、これをお教えいただきたいと思います。

○安藤会長

よろしいですか、長岡室長。

○長岡国際会計調整室長

モニタリング・ボード自体がつくられたのが一昨年の1月ということで、4月以降、いろいろと会議を実際に開催しているということで、潜在的にどこまで求めるのかというところと比べて、どれだけできているのかという評価をするのは、ちょっと難しいとは思いますけれども、例えば評議員会の中でのバランスをしっかりととって、地域的バランスであったり、それぞれの評議員の方々のバックグラウンドのバランスをとってきたり、例えばボードのチェアはどういう人が適切なのかというような相談にあずかったりというようなことで、実質的な関与はしてきておりますので、想定、エクスペクテーションをどこまで持ってくるかという感想になってしまうと、ちょっとお答えするのは難しいですけれども、当局として一定の関与はしっかりとしてきているということは言えると思います。ただ、それで十分であるかどうかというのは、もっとできるだろうということでガバナンス改革を行うということにもなっておりますので、今後ともしっかりと発揮できるように進めていきたいとは思っております。

○安藤会長

どうぞ、三國谷長官。

○三國谷長官

このモニタリング・ボードの機能というのは、ある程度3層構造の中での相関であるという要素もあると思います。IASBというものの当初の時点の印象と今の印象はまた相当変わってきていると思います。その間にどういうことが行われたかというと、やはり当局もこういったことに対して大変大きな関心を持っていることが明確になった。また、こういったガバナンス構造というものをこしらえていく中で、少なくともここに至るまでの過程におきまして、日本の実情あるいは考え方、これも相当反映されてきたということは言えると思うのです。

私は、別にこれに限らず現在の国際会議というのは、あらゆる国が単に個々の利益ということではなくて、いろいろな考え方がありますが、それぞれの考え方が100%通るということになると、これは会議としては成り立たないわけでありまして、必ずそこに最大公約数というものは何なのか、あるいは最小公倍数は何なのかという議論が行われます。その過程におきまして、このIASBに対しましても、EUという極とアメリカという極と日本、あるいはアジアという極は、それぞれスタンスは相当違うんですが、そこでの相当の意見の調整が行われるということも間違いない事実だと思います。

かつ、この会計というのは2つの要素がありまして、常に100人の投資家があれば100人の目線、100の作成者があれば100の目線というのがあるわけですけれども、だからと言って100の基準をつくるといったら、これは会計基準ではない。パレートは何かということで真摯な議論をしてきている。もう1つの機軸は、バーゼルも含めてすべてのところに共通しているわけでありますが、過去であれば、日本のジュリスディクションの中で物事は完結した時代があったかと思います。事実、金融危機以降、日本は日本のジュリスディクションの中でいろいろな制度改革をしてきた。ただ、今次のリーマンショックというのは、実はインターナショナルに起きたので、どうしてもルールが国際協議型になってきている。したがって、我々は組織的にもそれに対応してきているつもりではありますけれども、この状態において、国内の事情といろいろな背景、文化と国際的なものを、私はこれを縦と横と言うんですが、縦と横をどううまく織りなすかという課題に来ていると思います。

引き続き、私どもといたしましては、横の世界でできるだけ私どもの考え方を発信していくという作業と、縦の中で最大値をどこに求めていくか。しかも、それも短期の視点ではなくて、ある程度中・長期的に、かつ今斉藤さんがおっしゃいましたように、プラグマティックにやっていかなくてはいけない、こういった視点も兼ね備えていく必要があると思います。

このモニタリング・ボードをどう評価するかというのは、いろんなことがありますが、少なくともこの3層構造で当局が入ったということは、大きな意味を持っていると思います。ガバナンスというのは、その延長線上に、最初のこれは実はEUと日本とアメリカの3極で主導したので、この3極だけで事実上中心に走ったということに対して、やはり事の成り立ちからいって、もう少しメンバーを拡大したほうがいいんじゃないかという中で行われているわけでありまして、この改革は改革で、モニタリング・ボードはモニタリング・ボードということで、一生懸命頑張っていきたいと思っています。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにご発言はありますでしょうか。

それでは、一応ご発言はここで尽きたというふうに判断させて頂いて、次に進めさせて頂きたいと思います。

今後、当審議会におきましては、特に我が国における国際会計基準取扱い等につきまして、詳細な審議・検討を行っていく必要があると考えております。その際には、必要に応じて関係者の方々に加わって頂き、議論を行っていくこととしたいと考えております。

今後の審議会の予定につきまして、事務局からお願いいたします。

○古澤企業開示課長

次回以降の日程につきましては、改めまして事務局よりご連絡させて頂きたいと考えております。

○安藤会長

本日はこちらに東金融担当副大臣がご出席くださっておりますので、本日の総会の閉会に際しまして、ごあいさつを頂ければと思います。

○東副大臣

皆さん、こんにちは。紹介頂きました東祥三でございますが、この審議会において、会計、そして監査、さらにまた内部統制という極めて難しい、また技術的な問題に対して活発なご議論を頂きまして、本当にありがとうございます。

極めて緊迫した、そしてまた重要な点についての審議が深まっているなという印象を持ちました。先ほど来ご指摘がありますとおり、2012年を目途に国際会計基準の適用の是非についての判断が迫られているわけでありますが、長官からもお話がありましたとおり、大きく世の中が変わっているということはだれもが認識できる状況ではないかというふうに思います。日本国内の経済状況を見ても、本当にこれでいいのかという、そういう本質的な問題がありますし、世界の動向を見れば、何となく日本だけが取り残されていってしまっているなという、専門外の人が見ていたとしても、そういう空気が漂ってきているのではないのか。そういう状況の中で、モノ・カネ・ヒトあるいはまた土地すらも、私が学生のときは広がらないと言われていたものが、ある意味で角度を変えて見るならば、それは広がっているという視点でとらえるならば、文字どおりグローバル化した時代に入ってきている。

そういう状況の中で、極めて重要な審議がここで行われている。そういうことを思ったときに、そこから新しい時代に向かっていかなくてはいけないわけであります。本審議会におけるメンバーの方々を見ても、会計の専門家がおり、あるいはまた企業の財務諸表を作成しなければならない当事者もおり、またその財務諸表を見ながら、企業の実態を利用して投資をされるという方々もいらっしゃるわけでありますから、多分、ここで議論されていることは、そういう方々がある意味で一致団結してといいますか、一つの方向に向けて進んでいかなくてはいけない極めて重要な問題について議論して頂いていると思いますし、また確信をいたします。

今後とも何とぞよろしく活発なご議論をして頂いて、文字どおり国際社会の中で、ともすれば日本というのは、アメリカがつくればそれに追随していけばいい、EUがつくればそれに追随していけばいい、国際交渉の最も下手な民族だというふうに思っておりますが、そういう中で基本原則を議論していくとするならば、その原則についてもきちんとした準備をした上で、そういう議論が展開していける日本に育っていかなくてはいけないとも思っております。そういう意味で皆さん方の審議がさらに深まっていくことを心から祈念いたしまして、あいさつに代えさせて頂きたいと思います。

本日はどうもありがとうございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

それでは、時間を余しておりますけれども、これをもちまして本日の総会を終了いたしたいと思います。

皆様には審議にご協力頂き、誠にありがとうございました。

これにて閉会いたします。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3672、3656)

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