企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議議事録

1.日時:平成24年2月29日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議

平成24年2月29日

○安藤会長

定刻になりましたので、これより企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議を開催いたします。皆様には、ご多忙のところご参集いただき、まことにありがとうございます。

まず会議の公開についてお諮りいたします。従来と同様、本日の総会も企業会計審議会の議事規則にのっとり、会議を公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○安藤会長

それでは、ご異議ないということで、そのように取り扱います。

議事に入ります前に、委員の異動がございましたので、ご紹介させていただきます。

辻山委員がこれまでの臨時委員から委員に就任されておりますので、お知らせいたします。

また、勝尾裕子氏が新たに臨時委員に就任されておりますので、ご紹介します。

○勝尾委員

勝尾でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○安藤会長

どうぞよろしくお願いいたします。

本日の合同会議は、自民金融担当大臣にご出席をいただいておりますので、最初に自見大臣よりごあいさつをいただきたいと思います。

○自見大臣

ご紹介をいただきました金融担当大臣の自見庄三郎でございます。本日は朝から雪が降っておりまして、こういった寒い中、本当に各界の皆様方にご参集いただきまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。一言ごあいさつをさせていただきます。

企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議の開催に当たり、ごあいさつを申し上げます。

委員の皆様方には、格段のご協力をいただいておりまして、改めて深くお礼を申し上げる次第でございます。

特に今月は、17日の会合に続き2回目の開催ということで、委員の皆様方には精力的なご審議をお願いして、重ねて厚くお礼を申し上げる次第でございます。

前回の会合では委員の方々に行っていただいた海外調査についての結果のご報告をいただきました。特に、調査に行かれた委員の皆様方から、報告書には表われてこないご感想や印象などを伺うことができましたことは、大変有益であったと考えております。改めまして、深くお礼を申し上げる次第でございます。

安藤会長からもお話がございましたが、この海外調査報告は、当審議会の今後の審議に当たりまして、大いに活用していただければと考えております。

次に、本日の議題についてでございますが、経団連が実施をされましたIFRSに関するアンケート調査の結果につきまして、ご説明をいただけると伺っております。

また、本日は、IFRSの特徴の1つであると言われております原則主義につきまして、そのメリット・デメリットについてどのように考えるのか、仮に原則主義に基づく会計基準を用いる場合には、各会計関係者に対して、具体的に求められる事項は何か、などの論点について、検討していただきたいと考えています。

委員の皆様方におかれましては、引き続き活発なご論議をいただくことを重ねてお願いをいたしまして、私のお礼とごあいさつとさせていただきます。

ありがとうございました。

それから、最後に、恐縮でございますけれども、本日は3時から各党首間のクエスチョンタイムという党首討論がございますので、恐縮でございますけれども、私も、陪席でございますけれども、国務大臣として出席せねばなりませんので、2時45分ぐらいにご退出させていただければありがたいなと思っています。

本日は本当にありがとうございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

それでは、審議に入ります。

経団連では、昨年IFRSに関するアンケート調査を実施され、その結果が整理できたとのことでございますので、ご説明いただきたいと思います。

経団連の企業会計委員会委員長である廣瀨委員、同委員会企画部会部会長である谷口委員からご説明をしていただきたいと存じます。

よろしくお願いいたします。

○廣瀨委員

それでは、今ご紹介いただきました経団連の企業会計委員会の委員長を務めさせていただいております廣瀨でございます。

お手元の資料1、「国際会計基準(IFRS)に関する調査結果の概要」を報告させていただきます。

我が国におきましては、2009年の6月に金融庁の企業会計審議会が取りまとめられました「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」に基づきまして、2012年を目途にIFRS強制適用の是非の判断を行うこととされております。その判断に当たりましては、国際的な流れに十分配慮するとともに、日本の国益、国情に合致した対応を幅広い関係者の納得を十分に得ながら進めていくことが求められておりまして、IASBが進める中長期プロジェクトの議論の方向性や国際的な発言権の維持など、仮にIFRSを採用する場合にも、そのための前提条件となる諸課題につきましてしっかりと検討をしていくことが必要であると考えております。

経団連では、企業会計委員会企画部会におきまして、今後の検討の参考とさせていただくべく、関連の主要企業及び各業界における課題や懸念事項についての調査を実施した次第でございます。

本調査内容は、昨年8月の企業会計審議会で挙げられました、検討が必要であると考えられる11の主要な項目及びIFRSの各基準の中で特に問題があると考えられるものに関しまして自由記載をしていただくという形式をとっております。

この調査は、昨年9月に企画部会委員会会社及び業界団体を対象に依頼いたしまして、10月に43社31団体から意見を受領したものでございます。回答率といたしましては77%でございました。

アンケート結果につきましては、本年1月16日に経団連の企画部会におきまして、主要なポイントにつき意見紹介を行った上で整理いたしまして、一昨日、2月27日の経団連の企業会計委員会にて報告し、了承を得たものでございます。

なお、この調査結果の概要は、調査時点における主要な項目につきまして多くの企業から寄せられた意見を整理したものでございまして、アメリカによる2011年中のIFRS導入の是非の決定が延期されたことなど、調査時点以降に発生いたしました状況の変化については反映されていないことをご承知おきいただきたいと思います。

改めて申し上げますが、この調査結果は、経団連の企画部会で何らかの方向性を示すために実施したものではなく、あくまでも関係の皆さんから受領した意見を客観的に整理したものでございます。一部には、確かに連結と単体の関係など、少し方向性が絞られたものも出てきておりますが、その一方で、IFRSの適用のあり方など、多くの幅広い意見が出されているのが実態でございます。このような幅広い意見は決して意見が現在割れていると考えていただくものではございません。今後経団連としての意見形成に向けて、さらに議論を深めていくための整理でございまして、中間的な位置づけのものであると考えております。

それでは、この結果の詳細内容につきまして、経団連企業会計委員会企画部会の谷口部会長から具体的なご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○谷口委員

では、資料1をご覧いただきたいと思います。ここではかなり大部のアンケートを一応5点に絞ってまとめてございます。

最初に、「全般」と書いてあるところ、黒丸が2つございますが、ここでは、第1点目、各社が構築してまいりましたIFRSの検討体制というのがございます。これは業界団体であったり、各企業であったりいたしますが、今回方向が一部出されたことに対して、結果として検討体制をどうするんだということが、社内的に、あるいは業界団体的にも問われるということでございます。そういうこともありますので、我が国が米国の動向を注視しながらも、2012年中にはその検討についての方向性をある程度明確にしていただきたいと、こういう要望がかなり多く出されております。

それから、2つ目については、まさにIFRSの適用方法を判断するに当たってということにもなりますが、まさに国際的なプレゼンスということになりますけれども、日本がIASBに対する影響力を保持・強化し得るものであるということが非常に重要であるという理解でございます。

それから、先ほども少しご紹介がありましたIFRSの適用方法が2番目でございます。

まず1つ目の黒丸に書いてございますように、連結と単体についてでございますが、その対象の範囲、IFRSの対象の範囲を連結財務諸表に絞るべきであるという意見が多数寄せられております。その理由が矢印のところに書いてございますけれども、単体への導入の関係につきましては、関係諸法規との関係があるのではないか、あるいは、原価計算への影響が大きいのではないかというような意見がそのベースにございます。

それから、あと3つ矢印がございますけれども、それとまた若干異なる意見も出されております。

それから、一番下のところに出てまいります単体開示の廃止を含めた開示制度の全般のあり方についても見直していただきたいということについて、これはかなり多くの企業から話が出されているということでございます。

それから、次の黒丸、適用のあり方でございますが、これにつきましては、先ほどもご紹介ございましたように、かなり幅広い意見がございます。1つは、任意適用を継続すべきだというご意見、それから、当面任意適用を継続して、状況の変化を見きわめるべきであるというご意見、それから、強制適用を行うとしても対象企業をある程度限定して行うべきではないのかという意見がございました。

これも各社、いろいろな微妙にニュアンスが違う意見がたくさんありまして、すべてを挙げておりませんけれども、その次の矢印から何点かご覧いただければと思います。

ただ、全体を通しておりますのは、先ほども少しご紹介いたしました国際的なプレゼンスを日本としてしっかり維持していくということに重点を置きながら、どういうふうにやっていくのかという意見に幅があると個人としては受けとめております。

ご覧いただきますように、いろんな意見が各社から出されているということでございます。

それから、3点目でございますが、日本基準とIFRSの今後のコンバージェンスのあり方でございます。今までコンバージェンスをずっとやってまいりまして、同等性評価を今いただいているということでございますが、今後はどうするんだということでございまして、ここでは、是々非々の主体的なコンバージェンス、これは日本基準として主体的なコンバージェンスを行うべきであろうということが出されております。

ただ、その際に、2つ目の矢印にございますように、現在同等性評価を得ているわけでございますので、是々非々だけでいきますと、そこから乖離してしまうリスクもあるので、そこは慎重に考えてほしいという意見も出されてございました。

それから4番目でございますが、本日ご議論があると伺っております原則主義への対応でございます。ここもかなり関心の高いアイテムでございました。今後いろいろ実施をしていく中で、議論がございました減価償却費の扱いの問題、あるいは基準の解釈等をめぐって混乱が起きる懸念もあるということで、企業サイドとしては、監査人の皆様には企業の会計方針や判断を尊重しながら適切に対処していただきたいと、こういうことを申しております。3つそこに矢印がございますけれども、こういうような意見が出ているということでございます。

それから、懸念がある基準というのを挙げてほしいということを申しまして、一番下にあります矢印から次ページにわたってたくさん書いてございますが、ここに挙げられております基準につきましては、IASBにアジェンダ協議の意見書に取り上げられている項目、これが大宗でございます。今後やはりこの基準については相当いろんな意味でIASBと議論をしていかなければいけないと考えておりますし、そこに今後のコンバージェンスやカーブアウト、運用面の検討の際に対象になるんだと、こういうふうに書かれておりますが、まさに例としては、利益概念であるとか、注記、開示、従業員の給付、それから開発費、のれん、外貨換算等々ございます。それから、一番下にリースがございまして、これもかなりいろいろな団体・会社から懸念のあるアイテムとして上がっております。

先ほども委員長のほうから話がございましたけれども、このアンケートをベースにしながら、経団連として今後意見をまとめていくということで、意見形成に向けてさらに議論を進めていきたいと思っておりますので、ぜひご協力、ご理解いただければと思っております。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、お伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

今お伺いした中で私が感じるところを述べたいと思います。1つは一定の存在感、もう一つは、IASBへの発言力の保持というところです。基本的には東京マーケットのグローバル化をどう考えていくかということに結びつきます。私自身としては、将来1,000社ぐらいの企業がIFRSを採用するようになればいいと思っているわけです。それはどういう意味かといいますと、今アナリストカバレッジがついている会社が1,000社ぐらいありますから、そのぐらいの会社は、将来みんなが使えるようなIFRSになった暁には、それを採用していくのがあるべき姿であろうと考えます。

ただ、当面のKPIとしては、2つ考える必要があります。1つは数と量、もう一つは今のIFRSが持っている中身、内容に対する見識です。数と量に関しましては、TOPIXの時価総額のどの程度がカバーされるのが、その存在感にとっては大事かということです。時価総額を見ていきますと、100社で時価総額全体の5割、200社で3分の2、300社で4分の3を占めます。すぐにIFRSになじまない大手の企業もあるかもしれませんが、東京マーケットの時価総額の半分を超える会社が採用することになる。期間は相当長くとる必要がありますが、これが1つの指標です。

もう一つの内容、見識に関しては、やはり日本の経営実態を反映すること、競争上不利にならないようにすることです。それから、企業の価値創造が阻害されないように、もう少し別な言葉で言いますと、サステナブルな企業価値創造の促進に結びつくような形で議論が展開されていくのであれば、意義は大きいと思います。そのためのインセンティブとか、仕組みづくりを考えていくことが大事であると、アナリストの経験から感じる次第です。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

経団連の調査結果の中の1ページ目のIFRSの適用のあり方に関して一言ご意見を申し上げたいと思います。

私自身は、我が国のIFRSの受け入れに関しましては、現行の任意適用の継続が自然体で、最も合理的だと考えております。まず、任意適用継続という考え方と、限定された企業に強制適用という考え方があるわけですが、その判断基準の第一は、米国の動向だと私は思います。経団連の調査結果の中でも、米国の動向も十分注視する形で慎重に検討すべきというような表現もございますが、米国は、ご承知のとおり、SECのスタッフペーパーの最終報告が3月から6月に発表されると仮に想定しても、おそらく米国の方針決定は早くて夏から秋口にかけて、場合によっては年内いっぱいかかる可能性もあるのではないかと見たほうがよいかもしれません。いずれにしましても、この間、我が国としては任意適用企業を増やす努力をすればいいのではないかと私は考えております。

それから、限定された企業を対象とした強制適用の考え方については、果たしてこのような考え方がグローバルに一般的かどうかという点であります。改めて欧州の運用状況を見ますと、欧州はあくまでもマーケットを対象に強制適用か任意適用かを決めており、IFRSで開示する規制市場とIFRSを強制しない非規制市場の選択は、原則的には企業の自由であります。また、それぞれの市場からの退出と変更も、一定の条件のもとで自由であります。いわば企業から見ると、日本の任意適用に近い形で運用されているのではないかと私は見ております。

企業を対象とした強制適用の場合は、当然対象企業の合理的線引き、これは企業のコストとベネフィットの関係も考慮しつつ、大変困難を伴うのではなかいと考えられますし、また、法的な立てつけにもよりますが、対象となった企業は強制となりますので、例えばIFRSから日本基準へ変更したいというような企業が出た場合、果たして企業の選択の自由が保障されるのかどうか、これも定かではありません。

このような状況を考えた場合に、企業を対象とした強制適用というのは、グローバルに一般的ではないし、問題も多いのではないかと、私は考えております。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

島崎委員、どうぞ。

○島崎委員

資料1の経団連説明の中で谷口委員から話があった、日本の2012年での決断に際して、IASBに対する影響力を保持・強化すること、すなわち日本のプレゼンスをいかに維持し高めるかが1つポイントとして大事だというのはその通りだと思います。IASBだけではなくて、IFRS財団や、それを監督しているモニタリングボードなどに対する影響力の保持・維持ということも大事なことだろうと思います。

影響力を保持・強化するためには、いろんな方法があろうかと思いますが、一番大事なのは、今、日本から各組織体に出ている代表のシートを失わないようにしなければいけない。欧米ではブラフをかましていろいろと揺さぶってくるということを言う意見もありますが、前回の審議会で事務局より報告があったIFRS財団の戦略レビューの中では、IFRSを使っている国が中心となって議論をしていくんだという話が出ているわけです。更にもう一つ、モニタリングボードのIFRS財団のガバナンス改革に関する報告書というのが公表されています。これは金融庁のウェブにも日本語訳がアップされているわけですが、この中にモニタリングボードのメンバーになるための要件というのがありまして、各地域内の市場におけるIFRSの使用をしている国と言われています。

具体的には、これから議論になると思いますが、これらの動きも考慮しつつ日本がどういう判断をしたらよいのかということです。今、佐藤委員のほうから任意適用の話もございましたけれども、日本での任意適用とか、アメリカが現在認めているアメリカ市場での外国上場会社に限った任意適用ではIFRSを使っている国になるのかどうかということです。こういうあたりも慎重に議論した上で判断していく必要があるかと思います。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

八木委員、お願いします。

○八木委員

私は経団連の委員会に今回初めて参加させていただきました。先程のご説明の内容はよくわかりました。

我が国のIFRSへの取り組みを、(ゴルフに)例えて言いますと、今までずっとIFRSというグリーンに向かって堅実にアイアンを刻んできました。そして今やグリーン周りに来たということで、IFRSとの同等性評価をもらったのですが、これは単にグリーンのそばに来たから同等性をもらったのではなくて、これから着実にパターでアプローチをする意思を示したから同等性評価をもらったと私は理解しております。ただ、大変難しいパターを残しているということで、この2年間、コンバージェンスという形のパターは一度も振られていません。

パターを打てない理由は芝目の難しさの他に3つあります。

一つ目は、連単(単体の扱い)をどうするかという問題を決めないとパター(コンバージェンス)が打てないということです。二つ目は、適用をどうするか(強制適用か任意適用か)を決めないとパターが打てないということです。三つ目は、本当にカップインさせるつもりなのか、それともピンそば1メーターに寄せてオーケーもらおうとしているのかを決めないとパターで寄せられません。誰にオーケーを出してもらえばいいのか、私もわからないのですけれども。私は、ピンそば1メーターぐらいに寄せてオーケーをもらうのがいいのではと考えております。(J-IFRS)某国のようにグリーンにオンしたのかしていないのかわからない状態で、自分でオーケーを出す国もありますから。

結論がカップインするということであれば、なかなか強制適用を広げることは難しいと私は考えております。ピンそば1メーターぐらいのところでオーケーをもらう方向であれば、強制適用ないしは任意適用の範囲も広がってくるのではないかと考えております。

この問題を先に決めないと、単純に任意か強制か、強制の場合どこまでを限定するかなどということを議論しても解がないように思えます。IFRSは、カップ自体がムービングだというところもありますけれども、我が国として、ボールをどこへ持っていくかということの

イメージがないと、具体的な結論が出ないのではないかと考えています。

原価計算等を維持するためには単体決算が守られていればいいという意見(連単分離)もありますが、投資家は基本的に連結しか見ませんので、連結の利益をどう表現するかということは極めて重要です。

IFRSの中で今回ASBJがいろんなコメントを出していますが、少なくとも退職給付会計については、オンバランスは適用しますが、リサイクリングをして、きちっと純利益が担保できるということが重要です。

この点を決めていくプロセスが、これから必要ではないかと思っています。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、次のテーマでございます「原則主義のもたらす影響について」に移りたいと思います。当審議会における検討が必要であると考えられる主要な項目の1つであります原則主義のもたらす影響についてご審議をお願いします。

この検討項目につきまして、お手元に資料2としてお配りしております討議資料(4)に基づいてご審議をお願いできればと存じます。まず討議資料(4)につきまして、事務局から説明してください。

○栗田企業開示課長

それでは、お手元に配付させていただきました資料2「国際会計基準に係る討議資料(4)」に基づきましてご説明をさせていただきたいと思います。

まず、原則主義はどういうことかということでございますが、そこに書いてございますように、原則的な会計処理の方法のみが示され、数値基準を含む詳細な取り扱いは設けない手法というふうに言われてございます。この原則主義のもとでは、適切に把握された実態に沿って原則的な方法を適用して会計処理を行っていくことになるということでございます。

この原則主義に対比される考え方が、細則主義とか、ルールベースとかいうものでございまして、こちらのほうは、広範にわたって会計処理のための詳細な判断基準や数値基準を示して、それらに従って会計処理を行っていく手法であるというふうに言われております。この細則主義のもとでは、細かい定めがあります基準書とかガイダンスの中から適切な取り扱いを見つけてきて、会計処理を行っていくことになるということでございます。

ちなみに、参考のところに、昔IASBの議長であるトゥイディー氏が講演で報告をされていますが、国際会計基準における原則主義のエッセンスとはどういうことなのかということで、6点ほど挙げておられます。例外規定をなるべく認めないこと。核となる原則が明確であること。各会計基準間に不整合がないこと。概念フレームワークと規定が結びついていること。作成者と監査人に判断がゆだねられており、その判断が重要であること。それから、不必要にガイダンスを多く設けることはしないこと、というようなことが挙げられております。

このような国際会計基準の原則主義に関しましては、さまざまなメリット、デメリットが指摘されておるわけでございますけれども、まず、メリットといたしましては、そこに3点ほど書かせていただいております。1番目として、各企業の判断で会計方針を作成し、経営の実態をより適切に反映した会計処理が可能になるということが言われております。それから、企業として会計に対して受け身でない、しっかりとした方針の作成を促進することになるということで、企業が自分自身できちんと考えるようになるのではないかということが言われております。

それから、2点目、3点目は、どちらかといいますと、細則主義のデメリットを裏返しにしたようなことでございますけれども、2番目としましては、あらゆるケースを想定して基準を用意することには限界があるので、作成されたルールを適用することで、実態に適合しない処理になってしまうということが原則主義の場合は避けられる。それから、細則主義においては、数値基準などを悪用し、ルールを潜脱するような行為が行われやすいんですが、そういうことが抑止できるということがメリットとして指摘されております。

逆に、デメリットのほうでございますけれども、こちらも3点書かせていただいております。1点目は、原則主義の会計基準で、形式的には統一が達成されたとしても、その適用においては解釈の幅が広過ぎたり、選択できる処理が複数あるということから、企業において恣意的な処理が行われる可能性があるということとか、実質的な比較可能性が損なわれる可能性があるということが指摘されております。

それから、2番目といたしまして、作成者においては会計処理の適用についての判断、及びその判断の根拠を示す必要がございますので、そのためにどうしても一定の作業が生じるということが挙げられております。

それから、3点目といたしましては、作成者、監査人、当局間において見解が相違する可能性が大きくなるということでございまして、そのための調整のための負担が増加する。あるいは、事後的に財務諸表が修正されるというリスクがあるというようなことについて懸念する声がございます。

それから、アメリカにおいては、これはかなりアメリカ固有の事情によるところだと考えておりますけれども、財務諸表の虚偽記載に係る訴訟が増えるのではないかというような懸念も聞かれているところでございます。

次に、各会計基準の特徴ということですが、国際会計基準は基本的に原則主義の考え方をとっておるというふうに言われております。ただ、近年では、特に米国との共同プロジェクトなどにおいて、かなり詳細な基準を開発しているというふうに言われておりまして、例えば注2にありますように、企業結合などは相当程度細かい基準になっています。それから、先般の海外調査でも、既に国際会計基準を導入した国の企業からは、国際会計基準というのは原則主義と言われているけれども、実際には詳細なルールがあって、それほど原則主義的な傾向は強くなかったというような指摘もなされているところでございます。

一方、米国基準のほうは、基準書等が数万ページに及ぶと言われておるほど分量が非常に多いということで、業種別の規定や数値基準もたくさん設けられていて、細則主義であるというふうに言われているところでございます。

翻って我が国の会計基準はどうかということでございますが、その中間に位置するのではないかと書かせていただいております。我が国では企業会計原則やその会計慣行に基づいて実務が行われてきた、その後に多くの基準が開発されてきたということがありまして、例えば収益認識など、比較的原則主義的なアプローチが採用されている部分もありますし、繰延税金資産の回収可能性のように、かなり細かいルールが定められているところもあるということでございます。

1ページめくっていただきまして、諸外国における適用・執行上の対応はどうなっておるかということでございますが、この点につきましては、前回の海外調査報告をまとめたような形になってございます。まずIASBにおける取り組みということでございまして、IASBにおきましては、基準の解釈につきましては、IFRS解釈指針委員会、昔IFRICと言っておりましたが、ここの名称が変更されたものでございますが、こういうものが設置されておりまして、これまでに幾つかの解釈指針が公表され、現在25個の解釈指針が有効になっているということでございます。

さらに、解釈指針委員会における公式の解釈指針ではないんですけれども、例えば教育文書というようなものが出されることがございまして、これも例えば減価償却に関しましては、我が国のほうから、国際会計基準においては減価償却は定額法と決められているといったような誤解があったというような状況を受けまして、IASBに話をして、教育文書を出してもらった。そこにおいては、国際会計基準においては、定額法のみということではなくて、定率法も同等に使用できるということが書かれているということでございます。

それから、IASBの基本スタンスといたしましては、その下のパラグラフでございますが、IFRSの適用に関し、各国固有の問題に関してのみガイダンスを作成することを認めており、それ以外の国際的に幅広く起こるような問題に関しては、各国ごとのガイダンスを作成することは認めていないと、そういう趣旨のペーパーが出されております。

このような状況に関しまして、いろんな国からいろんな意見があるわけでございますが、特にIFRSICにつきましては、そもそも解釈指針の数が少な過ぎるという声とか、また結論を出すのに非常に時間がかかるというような声がございまして、実際に国際会計基準を適用する場合には必要に応じて各国でガイダンスを用意して、レギュレーションを確保する必要があるという指摘がございます。

他方で、各国がガイダンスを出すと、あるいはIFRSIC自身がガイダンスを出すとしても、あまりに多く出し過ぎると、それは細則主義になってしまって問題であるというような指摘も聞かれるところでございます。

それで1ページめくっていただきまして、ここからは、各国における原則主義への対応はどうなっておるかということを書かせていただいております。

まず、ヨーロッパでございますけれども、欧州証券監督機構、ESMAによりまして、まずガイダンスが発行されております。さらに、ESMAにおいては、執行事例データベースの公表が行われております。この執行事例データベースと申しますのは、EUの各国の規制当局が行った執行の決定とその背景にある根拠というようなものをデータベース化して、定期的に公表しているものだというふうに承知しております。ESMA自体は、これはガイダンスではないと言っておりますけれども、例えば監査法人などはみずからの監査法人内のガイダンスと照らし合わせて、齟齬がないかをチェックしているというような話も聞かれておりまして、実質的にはかなりガイダンスに近い役割を果たしているようなものだと承知しております。

それから、各国、例えばフランスやドイツにおきましては、基準設定主体とか会計士協会がガイダンスを公表しているということでございまして、その数はそんなに多くないとは言われておりますけれども、幾つか出されております。

それから、規制当局が特定の会計処理が認められるものかどうかという作成者の疑問に答えるというようなシステム、事前質問制度とか、プリクリアランスとか言われておりますけれども、そういう制度が実施されております。これはフランスにおいても、ドイツにおいても行われておりまして、これもそれほど利用件数は多くないというふうに当地の関係者は話しておりましたけれども、そういう制度が存在するということでございます。例えばフランスでは、共同監査人である監査法人の意見が分かれるような場合にはこの制度が使われるというようなことが言われております。

それから、作成者自身として自社特有の適用指針を国際会計基準に加味したもの、そういう社内アカウンティング・マニュアルというようなものが作成されているようでございます。これはヨーロッパにおけるヒアリングにおいても、かなり評価が高いといいますか、積極的に評価されているようでして、監査人もこの作成段階には関与するということで、事後的なトラブルを減らす効果もありますし、企業の会計担当者の理解を深めるという意義もあったと言われております。それから、さらに経済団体における情報交換なども行われているということでございます。

それから、監査人の対応といたしましては、監査法人の見解をまとめたガイダンスが作成、公表されておりまして、これは監査法人ごとにつくられておるということでございます。

それから、中国でございますけれども、中国では財政部当局がガイダンスをかなり出しているようでございまして、中国におけるヒアリングでは、例えば国際会計基準のガイダンスがIASBから出された場合には、それをうのみにせず、中国の実態に合うものにする必要があるというようなことを言っておりまして、かなり独自色の強いガイダンスが提供されているということでございます。

それから、さらに中国証券監督管理委員会による監督ということで、これも前回ご紹介させていただきましたけれども、年次報告書の作成から開示まで全過程において監督が行われているということで、手取り足取り指導が行われているということのようでございます。それから、同じCSRCによるQ&Aの制度があるということ、それから、取引所が財務報告書の審査をしているというような対応が行われているということでございます。

それから、韓国でございますが、韓国のほうでは、まず国際会計基準を導入する際に、その理解促進のために相当な説明会、研修会を実施したと言われております。さらに欧州をモデルとして、質疑応答制度、プリクリアランスが設けられているということでございます。他方、ガイダンスというものは発行されておりませんようで、一応K-IFRSの制定されたときのルールによりますと、必要に応じて韓国の実情を反映するためのガイダンスを発行できるというふうにされているようでございますけれども、当地の会計基準委員会などは、IASBの発行するIFRSを適用することを決めたという意義が薄れることになるので、韓国独自のガイダンスの発行は行わないようにしているというようなことを述べております。

それから、カナダでございますが、カナダはIASBとか解釈指針委員会によるガイダンスの必要性は主張しておりますが、これも国際会計基準に修正を加えないという方針を国として持っているということで、自国固有のガイダンスの発行は行わないというような説明をしております。ただし、IFRSICとかに対する働きかけは積極的に行っているということのようでございます。

それから、米国は国際会計基準を採用しておりませんので、あくまで参考ということでございますけれども、米国では細則主義でずっとやってきて、それがある程度実務でも定着し、企業からも評価を受けてきたということでございまして、細則主義がある意味訴訟の多いアメリカではセーフハーバーの役割を果たしていたというような意見もあったところでございます。しかし、2002年のエンロン事件の際に、細則主義の裏を突くような会計不正が行われたということで、細則主義に対して、基準に書いてなければ何をやっていいのかというような問題点が指摘されておりまして、SECから議会に対して、目的指向型というような考え方を持ち出して、この細則主義の傾向を修正するというような方向性が報告をされております。ただ、その後の基準の開発とかを見ていると、必ずしもそういうふうにはなっていない面もあるという指摘もございます。

それから、昨年の5月に公表されましたSECのスタッフペーパーにおきましては、コンドースメントアプローチの中で、ガイダンスの作成が米国企業にとって必要あるいは適切な場合には、その決定する最終的な権限を当局に留保する可能性があるというようなことが書かれておりますし、基準設定主体でありますFASBも、この点については同じような意見を持っていたというふうに承知しております。

以上のような概略でございますが、6ページ目に本日議論していただきたい論点として4つ掲げさせていただいております。

1番目は、原則主義のメリット、デメリットについてどのように考えるか。仮に原則主義に基づく会計基準を用いる場合に、原則主義のデメリットに関しては具体的にどのような対応策が必要と考えられるか。

2番目といたしまして、各会計関係者に対して具体的に求められる事項は何か。例えば作成者においては、基準の内容を十分に理解した上で、会計方針を適切に作成し、グループ全体に浸透させていくことが重要ではないか。監査人においては、作成者との協議等を通じて、その実態を適切に把握し、それに適合する形で原則を適用し、監査する体制を整備する必要があるのではないか。それから、当局においては、適切なエンフォースメントを確保するため、基準の解釈、判断について予見可能性を確保する方法等を考えていく必要があるのではないかということを挙げさせていただいております。

それから、3番目といたしまして、諸外国では原則主義的なアプローチを効果的に活用した上で、それだけでは適用・執行が機能しない部分について、IFRS解釈指針委員会に対する積極的な働きかけを行う、適用・執行のためのガイダンスを作成する、事前質問制度を実施する等の対応がとられているが、どのように考えるか。

それから、以上のほか、原則主義のもたらす影響について論点とすべき事項はないかということでございます。

私からは以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

それでは、委員の皆様からご意見を伺ってまいりたいと存じます。ただいま事務局から説明のありました資料2にございます討議資料(4)のご議論いただきたい論点、6ページを中心にご意見をお願いしたいと思います。また、事務局の説明に対するご質問がございましたら、あわせてお願いいたします。

それでは、どうぞご意見等ございます方は、挙手をお願いいたします。

山崎委員、どうぞ。

○山崎委員

質問なんですけれども、5ページのマル2の「当局においては」のところですけれども、「基準の解釈・判断について、予見可能性を確保する方法等を考えていく必要がある」と。この点もう少しご説明いただけるとありがたいんですけれども。

○栗田企業開示課長

ここは念頭に置いておりますのは、例えば当局においてプリクリアランス制度のようなものを運用するとか、そういうようなことが考えられるのかということでございます。

○安藤会長

よろしいですか。

○山崎委員

はい。

○安藤会長

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

1点ご意見申し上げます。以前審議会でも一度申し上げたことがありますが、原則主義のデメリットとして、記載されております、財務諸表の虚偽記載にかかわる件でございます。公正価値会計や見積もり予測機能を重視していますIFRSにおきましては、資産、負債の評価額とか費用の見積額に関しまして、困難を伴う事案も発生することが予想されます。例えば今回の欧州金融危機におけるギリシャ国債の評価の問題も事例の1つだと思いますが、このようなケースで、故意でなく、結果的に財務諸表の虚偽記載と認識されるようなケースが起こったときに、企業、法人、経営者、監査人の責任関係は現状のままでよいのかという点であります。現行の法の立てつけは、財務報告の虚偽記載に関しまして、企業は「無過失責任」即ち、結果責任を問われるリスクがあるというような立てつけになっておりますので、原則主義のもとでの企業リスクに対する法的セーフティーネットをどう考えるのか。理不尽な責任問題が発生しないような対応が必要でないかと考える次第であります。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。永井委員、どうぞ。

○永井委員

ありがとうございます。前回の韓国の視察のご報告でも申し上げたので、簡単に述べさせていただきたいと思います。繰り返しになりますが、昨年12月の韓国視察でお話を伺った限り、原則主義は企業間の比較可能性を低下させているという印象を強く受けました。前回も申し上げましたが、韓国の大手証券のアナリストに伺った話では、造船業だけでも為替差損益の処理で4つ出てきたということでありますし、私自身も業務で韓国のメーカーの財務諸表の分析を行っておりますが、営業損益の区分基準も開示されておりませんために、非常に思いもかけないような項目が営業損益に入っていたりします。結局、自分で何らかの線引きをして、計算し直すしかないわけです。

さらに問題だと思いますのは、どうすれば比較可能性を向上させるかということに関しまして、これといった解決策も思い当たらないということであります。視察で伺ったときには、アナリストの方から、時間がたてば業界ごとに会計処理が収斂していくのではないかというご意見を伺ったわけですが、実際にはどの企業も自社の実態に合わせ、自分に都合のいい会計処理を選択しているわけでありますから、簡単に収斂していくとは考えにくいわけです。

一方、企業に対して当局がこの会計処理を選べと言ってしまえば、それは原則主義ではなくなってしまうわけで、このままでは少なくとも、韓国の例を見た限り、利用者はせっせと足し算、引き算をし続けなければならないということで、利用者から見ますと、原則主義はデメリットのほうが大きいし、解決策は何なのかよくわからない。

あと、もう一つ、伺ってよろしいですか。本日、原則主義を討議内容とされるということですが、先ほど配布された経団連資料の全般というところにある「2012年中にはIFRSの適用方法、適用時期等の方向性を明確化すべきである」と。私もそれが妥当だと思うわけですが、前々回の審議会での栗田課長からのお話では、昨年8月に配布された資料の中の論点11のうち、今3項目目を議題にしているというお話で、これは今後もそういうふうに順番に討議していく方針ということで間違いないしょうか。私自身、見直しましたところ、審議会で議論する必要があるのか、よくわからない項目が入っておりまして、全部を議題にすると相当時間がかかると思うわけですが、その方針はお変わりないのかどうか、お伺いしたいと思いました。

○栗田企業開示課長

8月に示させていただきました主要論点項目について一通り議論をさせていただくという方針には変わりはございません。現在、原則主義のところで6項目目というふうに認識をしておりまして、これまで半分過ぎてまいりました。今後も残りのものをやっていきたいと考えております。

○安藤会長

ほかにいかがでしょうか。

久保田委員、お願いします。

○久保田委員

時間があるということで、少しご紹介させていただきたいと思います。原則主義は、実務において非常に難しい問題に直面する場合があるとのことから、経団連とJICPAでIFRS導入準備タスクフォースをつくり、ASBJにもご参加いただきまして、個々の基準をどのように実務に落としていくのかという解釈について、これまで、関係者の間で大分議論してきました。また、必要に応じてIASBのほうにも働きかけることもしてまいりまして、これは一定程度の効果があったのではないかと我々は考えています。原則主義のデメリットもいろいろあると思いますが、このような形で少しずつ日本において適用できるような努力というのは今後も引き続きやっていく必要があるのではないかと考えています。

○安藤会長

ありがとうございました。

西川委員、お願いします。

○西川委員

栗田課長のほうから先ほど減価償却に関する教育文書の話が出ましたので、ASBJの活動の紹介という趣旨の発言ですが、少しお話をさせていただきたいと思います。

今、久保田委員からお話がありましたように、経団連の中で会計士協会も交えてIFRSの解釈について論点を整理しているということがございますけれども、それを受けまして、ASBJサイドでは、2009年の秋ごろからIFRSの解釈問題に取り組んでおります。それは、作成者、監査人、それぞれ4名を構成員とする実務対応グループというものでありまして、経団連で挙げた論点をASBJで把握するとともに、IASBとも議論をしております。その1つの成果が、先ほどありました減価償却の教育文書であるということでございます。これについては、欧米の実務がほとんど定額法であるということは事実としてあるわけですけれども、基準の趣旨は全くそういうこととは別に、何ら優劣がつけられずに定率法があるということが明確になっているという内容と思っております。

IFRICで取り上げていない内容について、IASBに解釈を求めていくというのは容易でないところもありますけれども、今後もこういった取り組みを続けて、関係者の理解に役立てたいと思っております。

○安藤会長

ありがとうございました。

斎藤静樹委員、どうぞ。

○斎藤(静)委員

6ページの「議論していただきたい論点」に対して直接お答えするという格好ではなくて申し上げますけれども、そもそも原則主義か、細則主義かという議論をすると、大体アメリカの人が怒るのですね。というのは、アメリカの基準は原則があって、その上で規則がある。したがって、彼らからすると、原則と規則の両方か、原則だけかという、そういう違いの議論と受けとめている。あるいは、原則と規則の両方という立場と原則だけという立場との、その両者を両極端とした程度問題だろうと考えていると思うのです。この問題をどう考えるかは、会計基準がそれぞれの社会の中でどういう役割を果たしているかということによるわけであります。つまり、先進的な資本市場を持つ国ほど会計基準は市場規制の中に深く組み込まれていて、主義がどうであっても、ルール化される傾向が強い。それだけ細部に至るまで周辺の制度や規制とかみ合っているわけです。会計基準というのは本来規制以前の社会規範として生まれるものですけれども、その適用に当たっては、それぞれの社会での規制のあり方に応じてルール化されざるを得ない性質を持っていると私は思います。

前回の会議の最後に、韓国の話でしたでしょうか、IFRSへの適応というのは国家プロジェクトであって、関連する制度の改革も同時に進めているのだというご発言がございました。そういう体制がないのに、会計基準だけをほかの国に合わせようとしても難しいという趣旨であったと思われます。それはもう全く当然のご指摘でありまして、逆に言うと、周辺の制度、必ずしも税法や会社法だけじゃなくて、金融規制をはじめとして各種の業界規制を含むわけですけれども、そういう周辺の制度を一体として同時に変えていくという見通しがないままに、会計基準だけを取り出して、国際基準の内容はどうであれ、それに合わせようというのは、いささか無責任な話ではないかと私は思います。

これは釈迦に説法になりますけれども、さまざまな不完全性があるときに、その一部だけを除いても、社会的な厚生、ウェルフェアが改善される保証はないわけでありまして、むしろ、不完全性を前提にして、セカンドベストを模索するのが制度改革であろうと思います。会計基準だけでなく、周辺の制度、規制もすべてIFRSに合わせて入れかえてしまうのが仮にファーストベストだとしても、それができるぐらいならとっくにそうしているわけであって、そうなっていないのは、実現できる見通しがないからだと思うのですね。とすれば、少なくとも中期的には、すぐに変えられないものを前提にして、会計基準改革のセカンドベスト解を追求するのが私どもの任務だろうと私は思います。

こんな大学に入ってきたばかりの学生に言うようなことを申し上げて大変恐縮なのですけれども、会計基準しか目に入らないような視野の狭い議論でこの問題を片づけてはいけないと私は思います。原則主義の問題もその一環でありまして、会計基準とかみ合った規制を、どのくらいのタイムスパンで、どこまで変えられるかということを同時に考えて議論しない限り意味がないだろうと私は思います。言葉だけ原則主義を唱えても、その解釈を当事者がどこまで決められるかについて、私自身はASBJ委員長としての6年間の経験に照らして非常に懐疑的であります。私がいくらプロフェッションの判断にゆだねようとしても、判で押したように、何か決めてくれないと動けないということを言われ続けた経験がございまして、そういうことを特に申し上げておきたいと思います。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

八木委員、どうぞ。

○八木委員

斎藤先生のご発言の後はだれも発言しづらいと思いますので、ちょっとまたレベルを下げたところからお話ししたいと思います。

国際会計基準ですので、IFRSが原則主義であるということは基本的にやむを得ない(必然だ)と思います。具体的な細則を決めてグローバルに展開するということはほとんど不可能に近いわけですから、今日の審議していただきたい事項は、原則主義を我が国で展開するときにどういう形の運用の仕方をするかということが趣旨ではないかと思います。

IFRSが原則主義だからダメという議論はないと思いますが、先ほど佐藤委員からもありましたように、我々は日本で会計処理をしておりますので、当然当局から裁かれるのも我が日本の法律ですし、守ってくれるもの我が国の法律だと思っていますので、導入に当たっては適切な法的対応をしていただきたいと思います。

原則主義のメリットは、これは本当に実務的な話になりますが、取引の実質に基づいて会計処理の判断をするということで、会計人のマインドアップにつながってくるだろうと思います。

細則主義というのは、あえて極論的な言い方をしますと、会計の担当者は、形式基準をクリアするという範囲の中で、有利な会計処理に持っていこうとできるのが、自分のスキルだというふうなところがあります。有利というのは、ある時は利益を出したり、ある時は利益を出さなかったりということになるわけです。弊社がやっているという意味ではありません。(極論的一般論)この意識が悪いほうに展開すると不正会計になるということではないかと思います。

原則主義のデメリットはこれ一点です。統制が効かないということです。これが最大のデメリットだろうと思います。悪く考えれば、理屈は幾らでもつくることができますし、幾らでも解釈することができます。これが原則主義の怖さだろうと思います。

先程ご発言の在りました、比較可能性が難しくなることについては、投資家の方に諦めていただきたいと思います。(注:マクロの比較可能性は上がるが、ミクロでは劣化する可能性がある)原則主義であれば、具体的な会計処理は、個々の会社が判断することになりますので、個社間の単純な比較可能性を期待されるということは本末転倒だろうと思います。

話を戻しまして、原則主義では統制の弱さが一番大きな問題であります。この点は、論議していただきたいところの2のところに、まさにそのとおりに指摘されています。

まずは、企業側と監査法人のスキルのレベルアップということが大前提ですし、それから、会計に対するコンプライアンス意識が高くなければ、大変危険だろうと思います。私自身が限定的強制適用と申し上げている最大の理由は、ここに対するリスクを感じているからであります。対応としては、企業会計としては会計処理の意思決定プロセスに対する内部統制を強化するということが重要だろうと思います。

監査法人には、担当会社の会計データだけではなく、会社の実態のプロセスを理解していただくということが極めて重要だろうと思います。それは幾ら言ってもなかなか実現性がないということであれば、IFRSの本部からは怒られるかもしれませんけれども、この弱点を補完するために、IFRSの範囲内で、我が国独自のガイドラインを作るということしかないと思います。強制力がなくてもいいのです。(原則主義では強制はおかしい)作るだけで構いません。それが結果的には実質的な影響力になりますので、そういう形で進めるしかないと思います。

先般、欧州の調査に行っていただいておりますが、ドイツとかフランスがやられていることを学ぶべきだろうと思います。

本日いただいている資料の23ページに、ドイツの会計基準設定主体のことが書かれています。監査法人等から解釈に関する質問を受けると、それを国際的な問題とドイツ固有の問題に分類して、前者はIFRSの本部に照会し、後者は自ら解釈指針を出すということが書かれています。これは強制力がないかもしれませんけれども、実質的にはこれが出ればうまく機能するのではないかと思っております。

それから、先ほどの経団連のご報告の中に、監査法人と企業側が対立したときにどうするかという問題がございました。別の世界の法曹界で見れば、法曹三者ということで、弁護士と検察官と裁判官がいることで大体まとまるわけです。弁護士と検察官しかいなければ、結論を出すのが難しい。会計の世界でも、法曹三者のように、何かあったときに中立的な機関がジャッジメントするということをしないと、結果的に決算が終わった後、後づけで修正が入るようなことになりかねません。コンフリクトが起こった場合には、どこかが調停をしていくということが極めて重要だろうと思っております。

最後に、弊社ではIFRSに即した会計処理の準備を進めてきましたが、現在自見大臣のご発言で一旦作業をとめております。実務担当者からは、業務プロセスを勉強しながら、そこから会計処理を詰めて、監査法人に相談しながら一つ一つ決めていくということで、現場では混乱は起きていないこと、大変ではありますけれども、大変やりがいのある作業をしているとのコメントが出ております。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがですか。

山崎委員、お願いします。

○山崎委員

ありがとうございます。原則主義、細則主義という話なんですが、これは原則主義も細則主義も対立した概念、あるいは全く別なものとしてあるわけではございませんで、例えば日本の昔の企業会計原則と連続意見書というのを見ると、これはまさに原則主義だというふうに言えますし、アメリカでもAPBオピニオン、それから、FASBのつくっている基準の最初のころのものを見れば、原則主義なんです。先ほどの斎藤先生の話ではないんですけれども、成熟している資本市場では、原則主義で会計基準の枠組みを決めてもだんだんだんだん細則的になっていく、いろんなルールが必要になっていくというのが現実だろうと思います。今、新しい会計基準を適用するかどうか。全く新しいとは私は思わないんですけれども、一定の違う基準を適用するという議論をしているときに、原則主義だからどうだ、細則主義だからどうだという議論ではなくて、当然のことながら、新しい基準を採用していけば、先ほどのお話ではないんですけれども、企業、それから監査人、それから多分会計基準設定主体だろうと思います。そういうところで十分な議論をして解釈というものを考えていかなければいけないということが必要なんだろうと思います。経団連と会計士協会がつくっていますいろんな議論の場というのもございます。そういう似たような議論を積み重ねていくことによっていろんな懸念が払拭されていくのではないかと私は考えます。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

島崎委員、どうぞ。

○島崎委員

論点マル2の例示がございますけれども、これについて「作成者においては」と「監査人においては」のところについて意見を述べさせていただきます。日本基準及び米国基準と原則主義であるIFRSは、ここ数年かけたコンバージェンスによって相当差がなくなってきていると思います。問題は、IFRSを企業が使っていく場合に、企業としてはいろいろ細かいところを決めていかなければならないということです。ここに書いてある、企業あるいはグループとしての会計の処理方針の決定やマニュアルの作成という実務への落し込みの段階で解決していかなければいけない問題です。その際に、細則主義であれば、ここにこう書いてありますとか、過去こういう事例がありましたということで判断しやすいのに対して、原則主義の場合では一定の幅の中で経営者が最適と思われる処理方法を決めてルール化し、それに対してオーディターが適切かどうかを判断することになります。オーディターと会社経営者との間での議論が行われることになりますが、その議論が原則主義のほうが細則主義より多くなるだろうと思います。ですから、先ほど経団連の久保田委員がおっしゃったような形でのケーススタディーというのも必要だと思いますが、もう少し実務処理のベースに落とした考え方、ガイダンスというか、ベストプラクティスというか、そういうものができてこないと、個々の企業での手間が結構かかるかなと思います。

更にいろいろと聞いてみると、監査法人には、監査法人としてのマニュアルがあって、それをベースにして企業が考えている実務処理との議論になっている。監査人と作成者側とで合意した様な実務に照らしたベストプラクティスのようなものが必要になってくるのではないかと思っています。そういう実務処理マニュアルまでつくってしまえば、原則主義であっても、企業の会計実務処理細則が決まっていて、それに基づいて一つ一つの取引について伝票を起こして帳簿に記帳するという現在のプロセスとは大きく変わらないのではないかと思います。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

大武委員、お願いします。

○大武委員

途中から入れていただいたので、また原則の話に戻るかもしれないんですが、そもそもこのIFRS自体、多分世界の投資家が日本の市場に投資するときに、あるいは世界の市場に投資するときのいわば透明性、共通のいわば投資家に対する比較可能性というのを求めてつくられていこうとしていたのではないかと思います。そういう意味から言えば、本来は各国の、それこそ調査いただいたように、国により、地域により、法制度も企業実態も非常に違う。その中で、本当はきちっと細則主義で決めてしまえば、これは本当に比較できるんだと思うのですが、現実はそれぞれの国が多分法制度も歴史も企業の実態もすべて違うし、中国を見ればわかるように、国益を考えた運用をしたとしたら、細則主義はうけいれられるはずがない。そうなると、結局世界の基準にある程度合わせていこうとすれば、今この中に出されたように、議論していただきたい論点と書かれているように、原則主義しかないというのが結論だとは思います。

しかし、そもそもこういう原則主義で、本当にIFRSというものを強制適用という話になると、どこまで意味があるのか。自分は任意適用で十分だと思いますが、そういういわば強制か任意かによって、実は細則主義に行くか、行かないかも決まってくるように思います。自分が任意適用で、IFRSに入りたいというのならば、細則まで決めてしまっていいんじゃないかと思っています。そうではなくて、強制だよとなった途端に、これはもう原則主義以外にあり得ないと思います。しかし、そのときはまた原点に戻って、IFRSをつくる意味はどこまであるのか。多分先ほどのお話のように、各企業は相当工夫し、比較可能性という点ではわかりにくくなるに決まっていますから、そのあたりをどのように考えるかというところにこの問題は行き着くのではないかなと、思った次第です。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、勝尾委員、お願いします。

○勝尾委員

先ほどの永井委員のご発言に関連いたしますが、私からは、原則主義という項目の取り上げられ方自体について意見を申し上げたいと存じます。

本日の会議の議題である原則主義は、平成23年8月の会議におきまして国際会計基準について議論するに当たり検討が必要であるとされた主要な項目,として挙げられたもののうち、4番目に該当する検討項目でありますが、そもそもここで挙げられた11項目が,国際会計基準に対する取り組みを決定するために,必要十分な検討項目であるかどうかについて,十分な議論はなされていたのでしょうか。事前に必要十分な検討課題をすべて挙げてから検討に入るというようなやり方は現実的ではないにしても、ある程度,事前にその適否を確認するとともに、議論の中途段階においても、検討対象項目の適否について確認作業を行うことが必要であると考えます。この11項目が,国際会計基準に関する何らかの方向性を明確にするために本当に必要十分な検討課題であるかどうかについて、適切なタイミングでの十分な検討が行われることが必要であると考えます。

また、これまで昨年10月17日から順次,各項目について検討が行われてきていますけれども、さまざまなご意見が見られる中、こうした自由討議に近いかたちで各項目の検討を進めていても、審議会としての一定の見解を示すことのできる見通しが立つのかという危惧もございます。

私自身は、議論すべきことを十分検討した上で、国際会計基準導入の方向性を検討すべきと考えておりますが、その意味で、中間報告にございます,2012年をめどに適用の是非を検討するという内容にのっとり、議論してまいりたいと考えております。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

小宮山委員、お願いします。

○小宮山委員

原則主義と細則主義って、先ほども何人かのご意見に出ているんですけれども、対立する概念ではなしに相対的なものだろうと思います。もっと正確に言うと、原則だけでも通用するような会計基準と、細則を補わないとなかなか通用しづらい会計基準があるということなんだろうと思います。日本の実務を考えてきても、おそらく収益認識とか引当金というのは企業会計原則の規定以外に実はほとんど何もなかったんです。実務的にはそれで運用してきてしまった。ただ、そういう表現が適切かどうかわかりませんけれども、目に余るものがあると、今までは日本公認会計士協会で監査上の取り扱いなるものを出して、何とかかんとか対応してきたということなんだろうと思います。細則主義というか、細則が必要なものというのはある程度領域は限られていて、例えば金融商品とか企業結合なんかは典型的だろうと思います。本日の資料でもご紹介ありましたけれども、企業結合とか金融商品というのはかなり、IFRSの適用ガイダンスを含めると、細則主義的に実はなっています。だから、それでも十分かどうかというのは、個別に検討してみないとわからないことだろうと思いますし、それから、最近のIASBで検討している基準を見ていると、やたらに期待値が出てきたり、やたらにビジネスモデルというよくわからない概念が出てきて、本当にこれで使えるのかいなというのが、今進行中の基準にかなりあるだろうと思います。やはり解釈の指針を何かの形で出す。それがどこがやるのか、会計士協会がやるのか、金融庁がやるのか、ASBJがやるのかわかりませんけれども、何かの形で補っていく必要がおそらくあるんだろうとは思います。

○安藤会長

ありがとうございました。

河崎委員、どうぞ。

○河崎委員

ありがとうございます。私も原則主義について意見を述べさせていただきます。今小宮山委員がおっしゃられましたように、基本的には原則主義、細則主義という考え方は相対的な概念であって、先ほど斎藤先生、それから山崎委員もおっしゃられたように、どちらかという形で対立する概念ではないように思います。我が国でもこの説明書の2ページのところに書いておりますように、企業会計原則、そして企業会計原則の一般原則という、ある意味で概念フレームワークのようなものがこれまでもありました。そこで一番重要だったのは、会社法の今の規定でいうと、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行であり、これまでは伝統的には何らかの形で、例えば審議会などの権威あるところが支持を与えることによって基準づくりが行われてきました。

ところが、今問題になっている国際会計基準、IFRSの導入問題で一番大きな問題は、公正価値会計の問題ではないかと思います。特に見積もり要素が中に入り込むことによって、確定的な形でこういったものが一番合理的な方法だということがなかなか言えない。そのため、選択の幅を広げて判断を今度は企業側に任せてしまっているというところに大きな問題があるように思います。そのための解消方法として、検討事項のマル3のところにあるように、プリクリアランス制度といったようなものを設けることによって実務的には解消できるのではないかと思います。

しかし、我が国の場合には、こういった完全に企業側に判断をゆだねて、最も妥当な評価を自ら考えなさいという会計風土に馴染んでいない。それに対する懸念というか、不安感というのが、おそらく原則主義という考え方に対してちょっと抵抗感があるということになっているのではないかなという気がしております。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

辻山委員、お願いします。

○辻山委員

時間が余っているということですので、議長にちょっと協力させていただきます。

原則主義について、本日いただいたペーパーの最後のところで、論点とすべき事項とございますので、その点に関連して、原則主義について議論する場合に、併せて念頭に置かなければいけないと思う点について、4点ほどあるのではないかなと思っております。

原則というのはプリンシプルで、細則というふうにここで言われているのはルールですから、そのどちらだけということはあり得ないということはこのとおりだと思います。原則があって、どのぐらい細則を細かく決めていくのかというのは、またいろいろな議論があると思いますけれども、原則主義というものを仮に受け入れる場合に、やはり押さえておかなければならない1つの点というのは、真実かつ公正な概観という、原則の中のさらに原則です。そのトゥルー・アンド・フェアビューという考え方について、みんなが共通認識を持って、そしてこの原則に照らして、各基準を適用する現場において判断を下していく。

その場合に、IFRSの場合には、離脱規定がございますので、個々の基準がもしトゥルー・アンド・フェアビューというか、投資家に対して誤った影響が出るという場合には、現場でそこから離脱することも、まれなケースですけれども、認められているということがございます。ですから、真実かつ公正な概観ということと離脱規定というものと相まって原則主義が機能しているということを押さえておく必要があるのかなと。

それから、先ほど佐藤委員がおっしゃっていましたけれども、それとともに、離脱した場合や、現場の判断のその後の顛末ですけれども、やっぱりセーフハーバールール、免責規定というのもきちっと整備されていないと、そういった現場での判断というものができないわけです。

その辺を全部勘案しますと、監査というものとセットで考えないと、会計基準が原則主義か、細則主義かということだけではこの議論というのは決着がつかないのかなと思います。監査のあり方、監査人がどのぐらい、規定や法規だけに照らして判断しないで、原理原則に戻って判断できるのかという、監査の成熟度とも密接にかかわっていると思いますので、その辺の議論も、日本がこれを受け入れていく場合には、きちっと議論を詰めておく必要があるのかなと思います。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

黒川委員、お願いします。

○黒川委員

ありがとうございます。それでは、私も協力させていただきます。今、辻山委員から、トゥルー・アンド・フェアビューの観点ということと、それから監査という観点が出てきたものですから、もう一つ追加して、訴訟、裁判の問題というのもあろうかと思います。これについて、最近、私どもの研究会で報告をしてもらったのですけれども、長銀とか日債銀の裁判事例を皆さんご存じだと思います。あのような金融資産の評価をする状況になったときに、どの規則が適用されるのかということが争点になります。それから、裁判官がどの基準あるいは細則が、そのときに存在し参照されるべきルールと考えるかということも争点になるわけです。そうすると、IFRSが原則主義とされ、特にフェア・アンド・トゥルービューと離脱規定を持っていることから、IFRSという基準をどのように裁判上考え、その判断の根拠としていくのかということを考えると、空恐ろしいというか、想像ができない、我が国においては、そういうような問題もあろうかと思います。

ですから、結論としては、何らかの形で日本で運用する場合には、日本の裁判の状況、裁判における裁判官の判断志向とか、そういうようなところの状況も含めて考えていかないといけないのかなと思います。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがですか。

関根委員、お願いします。

○関根委員

ありがとうございます。私も、皆様から幾つか出ていましたように、原則主義、細則主義というのは、対立する概念ではなくて、相対的なもので、原則があった中でどこまでルールをつくっていくかということかと思っております。ですので、IFRSは相対的に原則主義であるということはあるのかとは思うのですけれども、では、今のIFRSを実際に適用するに当たって検討し、やはり何らかのガイダンスもしくはルールがないとできないのかどうかというのを一つ一つきちんと考えていくということが結局は必要なのかと思っております。実際、海外調査などでもかなり細かいところもあるという話なども聞かれていますし、いや、そうではないという部分もやはりあるとも思います。そのあたりは、先ほども話が出ておりましたけれども、いろいろと議論をして、本当にガイダンス等が必要なのかどうかというのを考えていく必要があるのではないかと思います。

そういう意味では、前回、海外調査ということでご紹介しましたけれども、ほかの国でそういった議論をしている例というのも、私はカナダに行って、カナダの例というのを聞いてきましたけれども、そういったものを参考にして、もちろんカナダと日本では違うので、そっくりそのまま入れるということはできないのかもしれませんけれども、ガイダンスのようなものが本当に必要なのかどうか、特に、日本のいろいろな今までのバックグラウンドから日本にとって必要なのか、それとも世界全体にとって必要なのか、他の国も同じような状況があるのか、といったことを見きわめることが必要ではないかと思っています。

また、先ほど、議論をしていくのには時間がかかるという話があったと思います。これは相対的に原則主義かどうかということは別としても、会計基準の会計方針を決めていくというのは時間がかかるものということもあるかと思います。そういった点については、日本でもし適用する場合には、時間をかけて、皆同じことを個別に考えていくのが本当に効率的かとかいったことも考えて、何らかの形で全体で議論をしたりとか、関係者、例えば業種別に議論をしたりとか、そういったことも含めてやっていくのがいいのかと思っております。

それから、先ほど来、監査人の対応という話が出ておりまして、経団連のアンケートの結果の中でも、原則主義への対応において監査人について触れていらっしゃって、非常に注目していただいていると理解していますけれども、原則主義、IFRSへの対応については、監査人の対応というのも非常に重要だということは理解しております。やはり初めてのことということで、現場ではいろいろな場面が生じているのかとも思っておりますけれども、きちんと対応していかなければいけないと考えております。本日のテーマとは別に、たしか11項目の中に監査法人における対応というのがございますので、まだこれからこちらでも検討していきたいと思っていますけれども、そこでどうやって考えて取り組んでいるのかなどをご説明させていただければと思っております。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

五十嵐委員、どうぞ。

○五十嵐委員

有難うございます、本議題に関する内容で数点述べさせていただければと思います。

会議資料の6ページに記載の原則主義の考え方ですけれども、原則主義の考え方は、最近ではアメリカでの会計不祥事などを契機として、財務報告制度構築の変革の中で、原則主義対細則主義の議論が出てきたと理解しています。

この議論は、会計の基盤は、原則に基づいて会財務諸表は作成されるのか、細則に基づいて作成されるのかと理解しています。私の理解では、この課題は、数十年以上前から議論されており、その中で、原則とは何か及び基準とは何かといった討議があり、一つの方向性が決定されてはいなかったと思います。最近の議論の内容は、こうした背景を持って、再度、検討されていると思います。米国では、基準設定主体などが一つの方向性を提案しています。こうした状況の中で、原則主義の議論は、会計事象をどのように判断するかということが重要になってきます。会計の枠組みにおける判断は、多様な要素から構成されますので、一概に述べることは困難ですけれども、例えば、米国のCIFiRが、会計上の判断の分類と判断の合理性の評価の要素について述べておりますので、原則主義の判断の思考様式について参考になるように思えます。規制当局も関与されていたように記憶しています。

最後に、IASBとIAASBは財務諸表の監査可能性についての視点からの定期的な協議の開催についてご承知の方も多いと思いますが、特に、金融商品、退職給付及び減損の会計などが議論の対象に含まれています。その議論の視点は、財務諸表項目そのものに将来の情報が含まれるとか、またはモデルが含まれることにより、会計基準が作成された場合に、財務諸表の監査可能性の方法・考え方への影響を思考することが課題であり、定期的に協議がされています。

要約しますと、原則主義の考え方は、財務報告制度の中でどのような位置付けを持つかを総体的に考える必要があることと、原則と基準とは違うということ、それと、原則主義の考え方について、一つの考えですが、アメリカでのCIFiRの考え方も参考になる可能性があること、最後に、財務諸表項目の監査可能性も財務報告制で度は非常に重要な問題ですので、これとも平仄をとって話し合う必要があるのではないかと思います。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがですか。よろしいですか。

それでは、本日の審議は、ちょっと時間が余りましたが、このあたりにさせていただきたいと思います。

当審議会では、次回以降も引き続き、今後の議論、検討の進め方として提示させていただいた主要項目について順次ご議論を進めていただきたいと思っております。

最後に、次回以降の日程等につきまして、事務局より説明してください。

○栗田企業開示課長

次回の日程でございますが、次回は3月29日、木曜日の午前9時半から11時半で開催させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと存じます。

○安藤会長

それでは、本日の合同会議はこれにて終了したいと思います。本日はご協力いただき、ありがとうございました。

以上

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総務企画局企業開示課(内線3672、3656)

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