企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議議事録

1.日時:平成25年6月12日(水曜日)16時30分~18時00分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議

平成25年6月12日

○安藤会長

定刻になりましたので、これより企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議を開催いたします。皆様にはご多忙のところご参集いただき、まことにありがとうございます。

まず、会議の公開についてお諮りいたします。従来と同様、本日の合同会議も企業会計審議会の議事規則にのっとり、会議を公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○安藤会長

ご異議ないということで、そのように取り扱うことにいたします。

それでは議事に入ります。前回の会合におきまして、国際会計基準への対応について、当審議会として当面検証すべき具体的な課題としまして、1、IFRSの任意適用要件の緩和。2、IFRSの適用の方法。3、単体開示の簡素化の3点につきまして、ご議論を行っていただきました。本日は、前回も申し上げましたとおり、前回の合同会議を含めまして、これまでのご議論を整理させていただいた文章をお示しさせていただき、取りまとめに向けたご審議を行っていただきたいと考えております。

まず、当合同会議におけるこれまでの論点の整理につきまして、事務局より説明お願いします。

○栗田企業開示課長

それではお手元に配布させていただいております、「これまでの議論の整理」と書いてある資料に基づいてご説明させていただきます。表紙をめくっていただきまして、1ページ目でございます。我が国のIFRSへの対応に関する基本的な考え方でございます。ここは、4月に提出させていただきました資料から、それほど変わっておりません。4月のときには、ここについてはあまりご意見が出なかったということもございまして、ほとんど変えておりませんが、もう一度確認のため読ませていただきます。「2008年のワシントンサミットの首脳宣言における、単一で高品質な国際基準を策定するという目標がグローバルに実現されていくことは、世界経済の効率化・活性化を図る観点から有効であり、また、我が国においてこの目標を実現していくことは、日本の企業活動・資金調達に有益であるとともに、日本市場の国際的競争力を確保する観点から重要ではないか。日本の会計基準はこれまでのコンバージェンスの結果、高品質かつ国際的に遜色のないものとなっており、欧州よりIFRSと同等との評価も受けているが、引き続き、会計基準の国際的な調和に向けた努力は継続する必要があり、日本基準を高品質化するような会計基準の変更については前向きに対応し、高品質な日本基準を維持していくことが重要ではないか。IFRS策定への日本の発言権を確保するため、IFRS財団モニタリング・ボードのメンバー要件である『IFRSの使用』を勘案しながら、日本のIFRSへの態度をより明確にすることを検討していく必要があるのではないか。その際、現在のIFRSの内容については、基本的考え方として受け入れがたい項目や、日本の経営、事業活動の実態にそぐわず、また導入コストが過大であると考えられる項目が存在し、また、開発中の項目も存在することを念頭に置く必要があるのではないか。また米国の動向など、国際情勢に不確実性が存在することを十分に勘案する必要があるのではないか。国内企業においてIFRSの適用を検討する前提を明確にするために、各企業における資金調達手段や事業展開の範囲等がまちまちであることを考慮しつつ、日本のIFRSへの態度をより明確にすることにより、企業の予見可能性を高める必要があるのではないか。以上の状況を勘案し、当審議会としては、当面の対応として、任意適用要件の緩和、IFRSの適用の方法及び単体開示の簡素化について整理することとしてはどうか」ということでございます。

続きまして各論でございます。論点は3つでございまして、まず第1が任意適用要件の緩和ということでございます。これは繰り返しになりますが、現行制度のもとでは、上場していること、IFRSによる連結財務諸表の適正性確保への取り組み・体制整備をしていること、国際的な財務活動または事業活動を行っていること、といった全ての要件を満たした会社のみがIFRSの任意適用ができるということになってございます。この点についてどう考えるかということでございますけれども、前回までの審議会におけるご議論の中では、この任意適用要件を緩和するということに関しましては、特段の反対意見はなかったというふうに認識してございます。主な意見は2ページ以降、左側に書かせていただいておりますが、それを踏まえまして議論の整理をすると、右側にあるようになるのではないかということで、その部分について読ませていただきます。

「IFRSの任意適用に関しては、IFRSに基づく適正な財務諸表を作成する意欲と能力がある企業がIFRSを適用できるような制度上の改善を図ることが考えられるのではないか。このことは、我が国として単一で高品質な会計基準を策定するという目標に向けて着実に歩みを進めていることを示す意味でも有意義なことではないか。任意適用の要件を緩和することにより、IFRSを任意適用する企業数が増加することが見込まれ、国際的にも、IFRS策定への日本の発言力の確保等に資することになるのではないか。上場時からIFRSの適用を希望するIPO企業の負担が軽減されるなど、新興市場の育成という観点からも有用と考えられるのではないか。IFRS任意適用企業が増加することで、国内企業間の比較可能性よりも、外国企業との比較可能性が高まることのほうが重要ではないか。我が国においてIFRSを任意適用する要件としては、上場していること、国際的な財務活動・事業活動を行っていることが求められているが、これらの要件を撤廃することにより任意適用要件を緩和したとしても、IFRSによる連結財務諸表の適正性確保への取り組み・体制整備が行われていれば、財務諸表の質が低下することはないのではないか。以上を踏まえると、IFRSの任意適用の要件のうち、IFRSに基づいて作成する連結財務諸表の適正性を確保する取り組み・体制整備の要件は残すこととし、上場企業及び国際的な財務活動・事業活動の要件は撤廃することとしてはどうか」というふうに、ここでは書かせていただいております。

続きまして、2つ目の論点でございます、IFRSの適用の方法でございます。現行制度につきましては指定国際会計基準という仕組みがとられているわけでございますけれども、指定国際会計基準を定めるに当たっては、一部の基準を指定しないことも可能な枠組みとなっておりますが、一部の基準を修正する手続を念頭に置いた規定とはなっておりません。なお、現時点では、IASBが策定した全ての基準が指定されているということでございます。

この論点につきましては、前回、前々回、さまざまな意見が出されたと認識しております。それもございまして、これまでの主な意見のところは長くなっておりますけれども、確認の意味も含めまして、もう一度そこのところについて読ませていただきます。「最終的に日本として受け入れ困難となるIFRSについては、日本国内での取り扱いプロセスを明確化していく必要がある。」「我が国としてもエンドースメントプロセスを入れて、一部の基準をカーブアウトしたIFRSの任意適用を認容する制度を保持していくことは、意味ある試行ではないか。」「現行の指定国際会計基準は、当初からエンドースメントプロセスを含意していたのではないか。IFRSの全ての基準が安易に指定されてきたことが問題ではないか。」「エンドースメントを行うことは、個別基準を一つ一つ採択するということであり、現在の指定手続の強化につながることになるのではないか。」「ピュアなIFRSは未完成であり、改善の余地がある。IFRSそのものの改善に向けた意見発信を行ってほしい。また、あるべきIFRSを外に向けて発信していただきたい。そのためのエンドースメントであれば大いに意義がある。」「グローバルな基準策定への貢献や、我が国としての特殊事情をIFRSに反映させるような、積極的な意見発信につなげることで、機動性、比較可能性を含めたIFRSの有用性等が増す可能性があるのではないか。」「米国基準、IFRS、エンドースメントIFRS、日本基準という、4つの基準が並び立つというのは非常にわかりにくく、財務諸表の比較可能性という観点からも懸念がある。」「会計基準がまた一つ増えるのかという懸念があるかと思うが、これはIFRSについて改善要求していく中での経過的な取り扱いであり、IFRSから出発するということに意義がある。」「現行のピュアIFRSと、一部カーブアウトしたIFRSが併存するということになると、国際的にこれをどう説明するのかという新たな課題が発生することになる。」「中間的なIFRSを導入する場合、IFRS移行企業が増えるかどうか、ある程度見極めた上で実施しても遅くはないのではないか。」「エンドースメントIFRSについて、早期に方向性が示されれば、今任意適用をしようとしている会社は大変助かるのではないか。」「十分なニーズがあれば4つや5つの基準が併存してもよいとは思うが、一部の基準をカーブアウトしたIFRSを使える状態にしておくというのは、一部強制適用の方向を決めたわけではないのに、なし崩し的にその方向に進めるということになりかねない。」「エンドースメントIFRSの導入により、日本基準をローカル化させることになるのではないか。」「まずは日本基準の体系整理を進めながら、日本基準とIFRSの差を埋めていくことが必要。そのためのエンドースメントIFRSであろう。日本基準とIFRSの間を縮めていくことが、ある意味では日本の貢献の一つではないか。」

それから、エンドースメントの主体・手続に関しましては、「我が国で使用される会計基準は当局の責任によって決定されるべきであり、その前提としてASBJが議論するということではないか。」「アジェンダ・コンサルテーションに関する協議会のような場で審議・諮問することも考えられるのではないか。」「エンドースメントについて、ASBJが個別基準を一つ一つ検討し、さらに当局が指定する手続が妥当ではないか。」という意見をいただいております。

それから、エンドースメントに関する判断基準につきましては、「カーブアウト項目が多いとIFRSとして認められなくなるので、IFRSの改善要求と合わせて、国際的に合理的な説明ができる範囲で行っていくべきである。」「日本基準をコンバージェンスして、IFRSのレンジに入るということではなく、エンドースメントIFRSは、ピュアなIFRSから若干引いたものとすべきである。ピュアなIFRSとエンドースメントIFRSを将来統合できる形にしなければ、エンドースメントIFRSをつくる意味はない。」というようなご意見をいただいているところでございます。

これらのご意見を踏まえまして、もう一度整理させていただいたのが、4ページ目の右側でございます。まず、エンドースメントについてでございますけれども、「IFRSの取り込み方法は各国様々であるが、多くの国・地域でエンドースメントプロセス(自国基準へのIFRSの取り込み手続)を導入している。現行の指定国際会計基準については、ピュアなIFRSを適用する意図で既に任意適用している企業が存在することなどを踏まえると、事実上ピュアなIFRSとして維持する必要があるのではないか。その上で、IFRS任意適用企業の増加を図る中で、多くの国々で採用しているエンドースメントプロセスを取り入れることは、非常時の対応など、我が国の国益を確保する観点から有用であると考えられるのではないか。現行の指定国際会計基準は、一部の基準を指定しないことも可能な枠組みになっているという点では一種のエンドースメントであるといえるが、一部の基準を修正する手続を念頭に置いた規定とはなっておらず、実質的にピュアなIFRSのアドプションとなっていることから、一部の基準を修正することができるという意味でのエンドースメントの仕組みが必要なのではないか。エンドースメントされたIFRSは、日本が考える、あるべきIFRSを国際的に示すこととなることから、今後引き続きIASBに対して意見発信を行っていく上で有用であると考えられるのではないか。エンドースメントされたIFRSは、ピュアなIFRSと現行日本基準との中間に位置するものである。現行日本基準がこれまでのコンバージェンスの努力によって欧州での同等性評価を得るなど、ピュアなIFRSとの相違点がかなり解消されていることを踏まえれば、財務諸表の比較可能性に重大な支障をもたらすものではないと考えられるのではないか。会計基準の国際的な調和を図る観点から、エンドースメントIFRSが前向きな取り組みであるということについて、国際的な理解を得ながら進めていく必要があるのではないか。今後、IFRS任意適用の検討を行う企業にとって、エンドースメントIFRSが有用であるよう、利用する企業のニーズも踏まえた上で検討する必要があるのではないか。エンドースメントIFRSは、強制適用を前提としたものではなく、あくまでも任意適用企業を対象としたものとして位置づけるべきではないか。現行の日本基準については引き続き、これを高品質化するよう、前向きに対応することが重要ではないか。」ということでございます。

続きまして、エンドースメントの主体・手続についてでございますけれども、「エンドースメントの手続については、まず、会計基準の策定能力を有するASBJにおいて検討を行い、さらに、現行の日本基準と同様に、ASBJが検討した個別基準について、当局が指定することが適当であると考えられるのではないか。」

それから、個別基準のエンドースメントに関する判断基準でございますけれども、「IFRSの個別基準をエンドースメントする際の判断基準としては、公益及び投資者保護の観点から、例えば、以下の点を勘案することが考えられるのではないか。会計基準に係る考え方。実務上の困難さ。周辺制度との関連等。他方、カーブアウトや修正項目の数が多くなればなるほど、国際的にはIFRSとは認められにくくなり、IFRS策定に対する日本の発言力の確保等へ影響が生じる可能性があるのではないか。このため、我が国の国益も勘案しつつ、単一で高品質な会計基準の策定という目標を達成する観点から、カーブアウト又は修正する項目は合理的に説明できる範囲に限定すべきではないか。」ということでございます。

続きまして、3つ目の論点でございます、単体開示の簡素化でございます。これも現行制度は、前回ご説明しておりますとおり、金商法及び会社法に基づく財務諸表、計算書類がそれぞれ連結・単体ございます。金商法に基づいて作成する財務諸表では、連結財務諸表を主たる財務諸表、単体財務諸表を従たる財務諸表と位置づけておりますけれども、会社法に基づいて作成する計算書類では、(単体)計算書類は全ての会社が対象である一方、連結計算書類は大会社かつ金商法対象会社にのみ義務づけられているということでございます。

この論点につきましては、賛否両論のご意見が出されていたかと思います。それについて議論を整理させていただいておるのが右側でございます。「金融商品取引法における開示制度では、連結財務諸表と単体財務諸表の両方の開示が義務づけられているが、連結財務諸表の開示が中心となっている現在においては、単体開示の簡素化が必要ではないか。金融商品取引法適用会社は、会社法においても、連結計算書類と(単体)計算書類の両方の作成が義務づけられているが、金融商品取引法において、会社法の要求水準を超える単体財務諸表の作成を求めることは、二重の負担になるのではないか。他方、金融商品取引法による単体財務諸表は、連単倍率の低い企業や親子間取引が多い企業などにおいて連結財務諸表と同様に重要であり、簡素化を図るに当たっては、個別の項目ごとに慎重な検討が必要ではないか」ということでございまして、以上を踏まえて、例えば以下のような単体開示の簡素化を考えてはどうかということでございます。「本表(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書)に関しては、経団連モデルを使用している場合など、会社法の計算書類と金商法の財務諸表とでは開示水準が大きく異ならないため、会社法の要求水準に統一することを基本としてはどうか」ということでございます。

その次のページの(注)でございますが、これは前回、委員の方から、経団連ひな型がどの程度普及しているのかというご質問がございましたので、当方で調べたものでございます。上場企業の大手はほとんどが経団連の加盟会社ということで、経団連ひな型を使っておられるわけでございますけれども、ここでは、逆に、上場会社のうち、時価総額の下のほうの200社を対象に調べてみました。外国会社1社を除く199社についてどうかと申し上げますと、貸借対照表については経団連ひな型、あるいは同等のものを使っている企業は196社。経団連ひな型にほぼ準拠している会社が2社。損益計算書ではそれぞれ187社、4社。株主資本等変動計算書については、全部の会社が経団連ひな型、あるいは同等のものを使用しているということでございました。

この結果を踏まえますと、時価総額下位の、比較的小規模な会社でも、ほぼ全てが経団連ひな型を使用または準拠しており、経団連ひな型というのは広く普及しているのではないかというふうに考えております。

それから「注記、附属明細票、主な資産及び負債の内容に関しては、会社法の計算書類と金商法の財務諸表とで開示水準が大きく異ならない項目については、会社法の要求水準に統一することを基本としてはどうか。また、金商法の連結財務諸表において十分な情報が開示されている場合には、金商法の単体ベースの開示を免除することを基本としてはどうか。上記以外の項目については、その有用性、財務諸表等、利用者のニーズ、作成コスト、国際的整合性等を斟酌した上で、従来どおりの開示が必要か否かについて検討することとしてはどうか。その際、単体開示の情報が少なくなることへの懸念に対応するため、例えば、連結財務諸表におけるセグメント情報を充実する方法や注記等の記載内容を非財務情報として開示する方法などについて検討してはどうか。」

それから「単体開示のみの会社については、連結財務諸表の作成負担がなく、単体の簡素化に伴い代替する連結財務諸表の情報もないため、仮にこういった会社に対してまで簡素化を行うとした場合には、連結財務諸表を作成している会社との間で情報量の格差が生じてしまうおそれがあることから、単体開示のみの会社については、基本的に見直しを行わないこととしてはどうか。」

規制業種については、「所管省庁が政策目的を達成する観点から、法令において必要な財務情報の作成及び報告を義務付けている。一方、財務諸表等規則においては、各業法に基づく開示が当該業種の実態を理解する上で有用との観点から、規制業種を別記事業と位置付け、各業法で要求している内容を優先して適用することを定めている。また、規制業種については、特に単体の有用性が高いとの意見もある。このような点を踏まえ、所管省庁の意見も聴取し、慎重に検討を行う必要があるのではないか。」ということでございます。私からは以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明をもとに、ご質問、ご意見等を伺ってまいりたいと思います。ご意見、ご質問のある方は挙手をお願いいたします。なお、ご発言に際しましては、この資料の該当箇所、ページを示していただければ助かると思います。それから論点は、任意適用要件の緩和、IFRSの適用の方法、第3が単体開示の簡素化と、3つにわたっているんですけど、これ一々仕切らないで、どれについてご質問、ご発言されても結構です。そういう形でご発言をお願いしたいと思います。それではどうぞ。釡委員、お願いします。

○釡委員

IHIの釡でございます。ご指名ありがとうございます。私は経団連で企業会計委員長を務めておりまして、今般、提言を公表いたしましたので、少々お時間をいただいて概要を説明させていただきたいと思います。

お手元に配布してございます提言の表紙をめくっていただきますと、概要がございますので、こちらをご覧いただきたいと思います。2のIFRSを巡る動向では、皆様ご高尚のとおりの現状認識を示しております。IASBがバイの関係からマルチの関係重視へと変わりつつあること、日本はASBJのご努力もあり、IASBで評価を受けていること、米国の動向をはじめ、国際的な動向は依然不透明であることなどを説明しております。

このような現状を踏まえ、3で基本的視点を5つ示しております。まず、国益の観点から、国際競争ある市場を構築するために、あるべき会計制度を考える必要がございます。同時に、会計基準は企業の経営基盤でもありますので、個々のニーズを満たすものでなければなりません。このような観点からすれば、国際的に高品質で同等と認められる会計基準については、複数が併存することを容認する必要があると考えます。高品質な日本基準の維持、国際的な基準開発に対する貢献や発信力強化は言うまでもありません。

そこで、次の4に示すような対応が必要と考えております。一言で申し上げるならば、「現行の枠組みを維持しながら、任意適用を円滑に拡大していく施策を講じる」ということになろうかと思います。第1に、日本基準については、是々非々のコンバージェンスを継続し、品質を維持・向上させること、第2に、マルチ重視の中で、IASBとの関係をこれまで以上に強化することが重要です。第3に、国内制度としては、現在の国際情勢においては現在の枠組み、すなわち日本基準、IFRS、米国基準の特例という基準適用の枠組みを維持するということを審議会として明確化していただきたいと存じます。同時に、IFRSの任意適用を円滑に拡大する策として、ASBJがIFRS適用に係る国内指針を作成すること、監査法人には適用の際の柔軟な対応をお願いしたいこと、実際の適用実務を共有化すること、IFRSの任意適用の要件を緩和することを掲げております。第4に、前回の審議会でも話題となりました、IFRSの受け入れ手続の明確化を掲げております。市場関係者の議論を経た上で、IFRSの受け入れの可否を検討するようなプロセスが必要と考えます。第5も、前回の審議会で議論となったところですが、産業界の長年の要望といたしまして、金融商品取引法開示の連結ベースへの一本化をぜひ実現していただきたいと考えております。単体情報については、会社法の計算書類を活用する仕組みとするなど、開示内容の簡素化、効率化を図るべきであると提言いたしております。

この提言につきましては、今月10日に公表の上、関係各方面に働きかけを始めたところであります。この審議会の取りまとめにあたりましても、ご配慮いただきたいと存じます。長くなりましたが、私からは以上でございます。ありがとうございました。

○安藤会長

ありがとうございました。はい、斉藤惇委員。

○斉藤(惇)委員

3つの課題について、簡単にお話をさせていただきたいと思います。まず、任意適用につきましては、大体ここにまとめてあるとおりのことをお願いしたいと思います。おかげさまでIPOも増え始めましたけれども、この経営者の方々と話すと、IFRSの適用を希望する方が非常に多い。そして現実に、我々の会社、日本取引所グループは、今回上場したのでありますけれども、まさしくこの資本金20億円以上の海外子会社はありませんので、IFRSを適用したくて仕方がないのですが、できないのですね。ところが、アメリカを除く世界の主な取引所はIFRSで財務報告をしておりまして、いろいろ比較し、あるいは経営戦略というのは、彼らのデータを見ながら我々はどこをどう狙うかというようなことをやっているわけでありますけれども、やはりIFRSで、我々も一緒にやらせていただきたい。

また、海外の株主が株式を持っている国内企業がものすごく増えてきています。特に、30パーセント前後を持っている企業が増えております。ところが、このような企業が先ほどのルールによりIFRSを適用できないという状態でありまして、比較可能性から考えると、やはりこういう企業にもIFRSの任意適用を認めたらどうかと思います。

2番目の問題も、その適用方法について、基本的にはまとめてあるお話でよいと思うのですが、以前、当審議会の方でIFRS適用国へのアンケート結果を出していただきましたが、それをさらに分析してみますと、海外で7割の国がエンドースメント手続を導入して、その半分の国がカーブアウトを行っているという図が出てまいります。また、アンケートへの回答があった88カ国の中で、エンドースメント手続を導入しているのが61カ国ぐらいでしょうか。そしてその中でカーブアウトをしている国が39カ国ぐらいになっております。そういう意味では、我々もここで論議しているように、エンドースつきのカーブアウトを使用した任意適用を目指していくという図になってくるのだろうと思います。

ところが、IFRSを任意適用している国は5カ国でありますが、そのうちエンドースメント手続きを導入しているのは2カ国であります。スイスとニカラグアであります。そういう意味では、日本がエンドースメント手続きを導入し、そして任意適用ということでいきますと、スイス、ニカラグアの仲間に入ることになります。つまり、世界の図で見ますと、61カ国ぐらいがエンドースメント手続きを導入し、その中で22カ国がピュアIFRSを導入しているのに対し、カーブアウトをしているのは、先ほど言いましたように39カ国であります。そのような大きな図の中からぽんと離れて、我々は任意適用を入れながらエンドースメント手続きを導入し、カーブアウトも行うという形でいきますと、ずっとここにいるのは、どう考えても、国際的に発言力を高めるだとか影響力を及ばすという、言葉だけのことになりまして、現実の戦略、世界的な論争の中ではどうしても位置づけは弱くなると思います。

最終的にはいろいろな方法があると思います。しかし最終的には、このエンドースつきカーブアウトをして適用、アダプションをやっている、少なくとも39カ国、オーストラリアやイタリア、イギリス、フランス、ドイツ、トルコ等々入っておりますが、ここのところへ日本も早く入っていったほうが、少なくとも日本の国益になると思います。

3番目の単体の問題は、主にここにまとめられているとおりでありますが、我々から見ますと、上場会社で単体だけ出しておられる会社というものがあります。これが連結を金商法で出しておられれば、単体は簡素にされても、十分情報が投資家に与えられていると思いますけれども、単体のみでやっておられるところはやはり金商法に基づいたようなデータを出していただかないと、資料にもありましたけれども、情報量の格差というのが出ますし、十分投資家に対してバリエーションのデータを出せないということがありますので、上場会社について申しますと、単体のみの会社は金商法上の報告がよろしいのではないかと思います。以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。はい、谷口委員。

○谷口委員

先ほど、釡委員から経団連のお話があったので、それも含めてお話を少しさせていただきたいと思います。今、斉藤委員からお話がありましたエンドースメントですけれど、例のモニタリング・ボードのメンバー要件のところで、顕著な適用だけえらく取り上げられていますが、そこでIFRSの同等性範囲――本質的に何までが一緒なのかという定義も併せてされています。そこでは、その国のやってきたことはある程度容認しようと読める規定が入っているわけですね。ただ、その例外規定的なものがどれほど扱われるのかが勝負になっていくと思います。

したがって、IFRSからJ‐IFRSをどうやってつくるのかといったときに、ある程度マイナーな引き算しかできないということなんでしょうけれども、例外規定の範囲内では、本質的に同じものだと認められると書いてあるわけですから、そこの範囲についてこれから議論しないといけないと思います。そういう意味では、エンドースつきカーブアウトが全くだめだと私個人は思っていなくて、本質的に同等の範囲に入っていれば、それは同じIFRSと扱われると思っています。

それから経団連提言では、現状は内外ともに、過渡期的な状況と思っています。逆に、ここから二、三年というのは極めて大事な時期に当たるとも思っております。これはIASB側では、まさに概念フレームワークは2年で決着させるとか、いろんなことが加速度的に進もうとしていますし、逆に日本におきましても、経団連では是々非々のコンバージェンスと言っておりますが、日本基準そのものも変えて行く時期に当たると思います。したがって、内外ともに、歩みをとめられない二、三年が続くのではないかという認識をしております。そういう認識の中での提言だということでございます。

それから、J‐IFRSというものについて企業サイドにニーズがあるのかというご質問がございました。IFRSそのものは日本基準と考え方が違うところとか、使いにくい点があるとかありますので、それがアジェンダ協議の指摘事項につながっているという理解をしております。アジェンダ協議で指摘した基準の見直しなどがまず第一ではありますが、そこに至らない場合に、J‐IFRSをIFRSから引き算をして、これをつくっていただきたいという企業側の強いニーズがあります。これは連単分離の中で、日本基準で単独決算実務をやり、そこからスムーズに、むだなコストアップを回避しながら、連結決算をIFRSでやっていくためには、J‐IFRSにして頂きたいということでございます。

それから金融庁のご説明にもありますように、日本から見たIFRSのあるべき姿を示すことにつながると思います。

それから、私どもは3年前の単体財務諸表の検討以後、いろいろな検討をやってきておりますが、前回、西村委員からご発言ございました様に、私どもの会社としても、J‐IFRSというものが成立すれば、連結決算に採用したいと考えてございます。

それから開示の点ですが、先ほどご説明あった資料の一番最後ですが、監督官庁の意見を聞いて慎重に検討を行う必要があると書いてありますが、コンサバティブに読めます。まさに今、民間活力をどうやって引き出して成長軌道に乗せるかが非常に大事な施策になっておりますし、経団連の中の議論でも、規制業種について相当開示が重たいという意見が出ておりますので、ここは慎重に検討というよりは、前向きにぜひ簡素化の検討をしていただければと思っています。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○安藤会長

ありがとうございます。それでは水口委員、どうぞ。

○水口委員

ありがとうございます。前回発言させていただいたことの繰り返しになるところもありますが、IFRSの比較可能性の確保に向けて、ピュアIFRSとエンドースメントIFRSとの差異を縮小すべく、グローバルに受け入れられるような論理的な説明をもってエンドースメントIFRSが示されて、海外の関係者などとも付加価値のある議論が行われることを期待するところです。

グローバルに受け入れられるような理論に裏づけられた概念フレームワーク、基準の考え方を整理して、グローバルな基準策定などへの貢献や、我が国の特殊事情などもピュアIFRSで読み込むことが可能となるような積極的な働きにつなげるといった形で、日本の発言力が確保されて、その結果として、カーブアウトや修正項目が限定的になることを望むところであります。

事務局資料でお示ししていただいているように、日本基準について、コンバージェンスの努力によってピュアIFRSとの相違点が解消される方向にあり、それが財務諸表の比較可能性に問題がない状態につながっているということであれば、最終的には、できるだけ早い段階で、日本基準がエンドースメントIFRSに収れんすることを期待するところです。

こうしたことを踏まえて、ASBJをエンドースメントの主体と位置づけて、ASBJがエンドースした基準について、さらに当局が指定することが妥当であろうと考えます。

単体開示の簡素化についてですが、事務局にお示しいただいた本表、注記事項、附属明細表、主な資産負債の内容の取り扱い及び、金商法の連結の財務諸表において十分な情報が開示されている場合などの取り扱いについて、セグメント情報についても言及していただいておりますし、非財務諸表等のあり方についても触れていただいているといったことで、この内容についておおむね妥当であると考えます。

それ以外の項目については、前回の繰り返しになりますが、財務諸表ユーザーのニーズを踏まえて、今後の開示のあり方について検討していただくということが妥当だと考えております。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。川島委員、お願いします。

○川島委員

ありがとうございます。私は10ページ目、(3)の単体開示の簡素化について何点か意見を申し上げたいと思います。前回、この単体開示、単体の情報について、私どもが重視しているというお話は申し上げました。繰り返しになりますけれども、単体開示の簡素化については否定するものではありませんが、具体的な検討に際しては、この単体情報から得ることができるユーザーの便益が損なわれないことに十分配慮した、慎重な対応が必要だと考えております。

そうした点から、今回事務局が示されました、この議論の整理の内容については、一定のそうした配慮なども窺えるのではないかと思っておりますが、私の思い違いがないようにということで3点ほど確認させていただきたいと思います。まず、10ページ目の一番下の丸、本表についてでございます。会社法の要求水準に統一することを基本としてはどうかと、記述がございまして、このことについては現在、会社法の計算書類の作成に当たってほとんどの会社が経団連のひな型を使用することによって、会社法と金商法とで、ほぼ同等の開示水準になっていると。そのことを前提としたものと受けとめております。

ただ、一方で、この会社法には統一的な様式ですとか、項目、区分掲記に関する規定がないということですので、この要求水準を統一する具体的な方法として、例えば金商法に係る企業内容の開示に関する内閣府令など、そうしたものを経団連のひな型を下敷きにして見直すということも一つ考えられると思ったのですが、そのような理解でよろしいか、確認をしたいというのが1点でございます。

同様に、11ページ目の中段の丸「注記、附属明細表、主な資産及び負債の内容」に関してでございますが、ここにつきましても、会社法の要求水準に統一することを基本としてはどうかとありますので、一つの方法として、先ほど申し上げたような見直しと同じような考え方でよろしいかということを確認したいと思っております。

最後、3点目でございますが、この第2段落目にあります、金商法の連結財務諸表において十分な情報が開示されている場合にはという、この十分な情報という意味合いでございまして、ここは連結財務諸表を見ることによって、形は変われども、単体についてほぼ同等の情報が得られると。言いかえますと、連結で代替できない情報については開示を求めると。このように受けとめたのですが、そのようなことでよろしいか、確認したいと思っております。

最後になりますが、12ページ目の一番上の丸にある、その他の項目について、開示の要否ですとか、セグメント情報の充実といった代替法などの検討に当たりましては、企業や多様なユーザー、それぞれの立場からの意見を幅広くまた十分に踏まえるといった丁寧な対応を行う必要があると思っておりますので、その点、申し上げておきます。以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございます。今、質問があったので、事務局から答えられますか。

○栗田企業開示課長

まず、質問の第1点目、10ページの一番下のところにあります、貸借対照表等の本表を会社法の要求水準と統一するという方法についてでございますけれども、これはご指摘のように、会社法では具体的な開示項目、ひな型みたいなものはございません。これはおそらく会社法のカバーする会社の範囲が非常に広くて、上場大企業から、1人、2人の個人企業というようなところまでカバーしているということもあって、実際問題として難しいのかなと考えております。

逆に、金商法の世界であれば、上場企業、あるいは上場企業に順ずるような企業が対象になるということで、ある程度のレベルがそろっているということもありますので、ある程度の内容を内閣府令で書くことによって一定の水準を維持するというやり方は、考えられる方法の一つだと考えておりまして、いずれにしても、今後詳細を検討する中で検討させていただきたいと考えております。

それから、注記・附属明細表等についても同様でございますけれども、これは今でも金商法に細かく書いてあって、それが細か過ぎるというのが作成者サイドのご指摘だと思いますけれども、これをある程度簡素化するにしても、当然その簡素化する範囲でどういうものを書くかというのは残りますので、ここは、一定のものは内閣府令で必ず書かれるということだと思っております。

それから、連結財務諸表において十分な情報が開示されている場合ということでございますけれども、この点につきましては、もし単体をなくしたとしても、ユーザーとして十分やっていけるといいますか、今と同等の分析等ができる水準のものが連結にあるのであれば、それは単体であえて開示を求める必要はないのではないかということでございます。そうでない単体情報については、その下にありますように、それぞれの項目について個別に検討していく必要があるのではないかと考えております。

○安藤会長

ほかにご質問、ご意見ございますでしょうか。佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員

ご意見申し上げます。IFRSの適用の方法に関しましては、前回の企業会計審議会でも申し上げましたが、1つは、ピュアIFRSとエンドースメントIFRSとの関係につきまして、双方、並列で適用するかどうかという論点が依然として残っていると思います。日本基準、米国基準を含めて、4基準が併存するという状況は、やはり国際的にはネガティブに受け取られるリスクがあるだろうと思いますので、私はエンドースメントIFRSを導入したならば、ピュアIFRSは原則として選択できないようにしたほうがよいのではないかと考えています。

ただし、現在の指定国際会計基準のもとでピュアIFRSを採用した企業がございますので、こういった企業には継続的に適用を認める措置を講ずる必要があろうと思います。

次に、7ページに、エンドースメントの主体・手続の説明がございますが、前回も申し上げましたとおり、ASBJで検討するのが適切であると思います。しかし、ASBJとしてどう対応するかという点ではかなり悩ましいところがあろうかと思いますので、できればアジェンダ・コンサルテーション協議会のような、企業の経営や経済の影響という、広い視点から判断できるメンバーで構成された検討の場を設けることも必要ではないかと思います。

それから単体開示の簡素化につきましては、先ず今後のスケジュール感を明確にして、経済界と連携する形で進めていく方向性を打ち出していただきたいと思います。現在、経済産業省の企業財務委員会の分科会においても集中的な検討を行っておりますので、連携をとっていただければ、実務的な部分も含めて貢献できると思います。ご配慮いただければと思います。

あと、細かい点ですが、12ページ、右上の○ですが、単体開示の情報が少なくなることへの懸念に対応するため、例えば、連結財務諸表におけるセグメント情報を充実する方法というような表現がございます。ご承知のとおり、セグメント情報については有報上でもかなりいろんな情報を出しておりますので、これはバーターの関係で表現されていますが、セグメント情報と単体開示の簡素化とはあまり関係ないと思いますので、この表現は修正していただきたいと思います。以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。八木委員、どうぞ。

○八木委員

3点につきましては、前回、それぞれにはコメントしたつもりですので、今日はいわゆるJ‐IFRSのところについてのみコメントさせていただきたいと思います。

結果的にはどのようなものがJ‐IFRSになるかということが重要だと思います。私は前回も申し上げましたように、ピュアIFRSから、リサイクリングを含めて若干の修正をするところぐらいではないかと思っております。これも例えが悪くて、また怒られそうですが、今、英語共通語化なんていっていますけれども、それぞれの国によって“方言”は若干残ると思います。ただ、“方言”があり過ぎると英語じゃなくなってしまうということがありますので、J‐IFRSも基本的には若干の“方言”は残るとしても、むしろ“提言”といいますか、本来、IFRSがこうあってほしいということもその中に組み込んでいくというのが、J‐IFRSの姿勢ではないかなと思います。ピュアIFRSから引くだけではなくて、まさにIFRSがこう変わるべきだということを我々が先行してJ-IFRSに入れ込むということも、必要ではないかなと思っております。

ピュアIFRSを任意適用した会社が、隣のJ‐IFRSを見たら、みっともないからやめてくれと。こんなものをJ‐IFRSといわれたら俺たちは迷惑だというようなものをつくるということは、本来あり得ないと考えます。本日の資料の中に、日本基準とピュアIFRSの――中間とか、折衷案とか、というのは、J-IFRSの検討プロセスには全く似合わない言葉ではないかなというふうに思っています。

個人的に言うと、これまたちょっと問題発言なのですけれども、J-IFRSは米国基準とピュアIFRSの間にあるぐらいの基準になるのではないかと思っています。J-IFRSはピュアIFRSと現日本基準の中間的という表現は、これからの検討のプロセスとしては、使うべき言葉ではないと感じております。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。五十嵐委員、どうぞ。

○五十嵐委員

ありがとうございます。5ページと6ページに関連したところでございますけれども、4つの基準が記述されておりますけれども、実際に資本市場に開示されている財務情報は5つと理解しています。米国基準の場合ですと、SEC RegistrantとSEC Registrant以外の財務諸表情報の開示は異なっております。SEC Registrantの場合は、SEC Regulation S‐Xで規定している、コンプライアンス・ディスクロージャーを開示しなければSECにファイリングできませんが、他方、SECレジストラント以外の企業の米国基準に基づく財務情報には、こうした情報は開示されません、従いまして、米国基準の財務情報は異なる2つの情報が開示されているということになります。結果として、資本市場に開示される財務情報は5つになります。

こうした事を前提にしますと、エンドースメントIFRSにおけるIFRSで規定している会計基準またはその条項は、極めて例外的なものに限定すべきであると考えます。つまり、会計基準に基づく財務情報は、多様なステークホールダーに開示され、このステークホールダーを通して、適正な資源配分を行うことも、会計基準の目的の一つになっていると私は理解しております。

したがいまして、会計基準が多様な採用を容認すれば、制度として適正な資源配分という目的を達成しない可能性も残ると考えます。欧州のカーブアウトの事例では、財務諸表の目的である広範囲な利用者が経済的意思決定を行うに当たり、企業の財政状態、業績及び財政状態の変動に関する有用な情報を提供することが適切に表示できなくなるような状況の場合、また、財務諸表において経営者の受託責任、または会計責任を評価するための情報の評価する目的を達成できなかった場合には、カーブアウトが容認できると理解しています。制度設計として、国際的な基準の採用を考慮する時にこうした内容も考慮することが必要と思います。

第2番目の項目ですが、もし4つまたは5つがあるとしましても、将来的に1つ、または2つになるとした場合、現在の状況を基盤として、国際会計基準採用の将来のビジョンも明らかにされたほうがよろしいと思います。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

ありがとうございます。任意適用の緩和と単体の簡素化については妥当であると思っています。それからエンドースメントIFRSについては、受け入れがたいものをはっきりさせるという観点からは意味があると思っています。ただ、今回の一連の議論の中で、私が感じたことを申し上げます。

何が企業経営の重大な意思決定に影響を及ぼすのかということを考えたとき、一番大事なことは、それぞれの企業の競争力を阻害する要因というのがあるとすれば、それは何なのか。会計上それが上場企業の経営にとって受け入れがたいものであるとすると、投資家は、そういうことをよく知りたいということになります。そこの議論が必ずしも明示的に触れられてない。これは私がこの議論に参加したときからの、当初からの論点であったわけですけれども、それがはっきりしていないということです。

そこには2つの観点があると思います。1つは、課題はいろいろあり、特に明示的に触れなくても、大体わかっているという見方です。今までいろいろ議論されてきた。課題というのは企業によって受けとめ方が異なる。つまり違いがあるということですから、違いはそれぞれの企業が受けとめて、対応していけばよいとなるのかもしれません。

もう1つは、会計というのは物差しであると理解していますが、それによって企業経営の本質が変わるものではないということかもしれません。私自身の考え方は、本質は変わらないけれども、物差しの変化というのは企業の意思決定に影響を与える場合が多いと思っています。それによって企業価値創造の仕組みが変化し、ひいては、投資家の投資行動にも変化をもたらすというようなこともあります。その点からは、今回の議論は一歩前進したとは思っていますけれども、まだ不十分な面があったと認識しています。

それはどういうことか。もう一回繰り返して言いますと、IFRSがある、日本基準がある、エンドースメントIFRSが出てくる。それをこれから議論すると思いますが、投資家、あるいはアナリストという立場から見た場合、引き続き多大な努力をしながら、それらの違いを見極めながら企業価値創造、経営の中にある本質を見抜いていく、こういう作業を続けることが必要になってきます。そこをできるだけ、もう少しわかりやすくしてほしいと感じる次第です。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。川村委員、手を挙げておられましたので。

○川村委員

ありがとうございます。この任意適用要件の緩和というのは、まさにここで議論の整理として、2ページから3ページにつきましてお書きいただいているとおりだということでありまして、非常にすんなりと来ます。

それで、2番、ページでいうと4ページ以降の、IFRSの適用の方法のところは、小委員会のいろいろご指摘があるところでありまして、これはまさに過渡的というんでしょうか、いわば途中経過でどう妥協していくかみたいなところの色彩がかなり強いのだと思うのですけれども、ちょっと気になりますのは5ページの、先ほどから何名かの委員の方からもご指摘のある、複数の、それが4つなのか、5つなのか、いろいろなとらえ方があるんだと思うのですが、こういうものが併存していく中で選べるといったら、この書きぶりとして、これ前々回ですか、私もちょっとつまらないことを申し上げましたけれども、大して違わないからいいじゃないかというような書きぶりにも見られ、それはそれで、現実の対応としてはやむを得ないのかなと思うのですが、やはりその先にあるゴールというものの方向がどうあるのか。

特にピュアIFRSというものを、現実に数少ないとはいえ、相当な努力と、先人的に導入している日本の企業もあるわけでありまして、そういう中で、いつまでも複数のものが併存していく状況はまずいという認識は多分共通なんだと思うのですが、同時に、どっちの方向を目指していくのかという、ある種ターゲット、理念というものを明確にしていく必要があるんだろうなと思います。

それから単体開示についても、前回のご議論の中でも、マジョリティーとしては、基本的に簡素化なんだというふうに私は承知しているのでありますが、ただ、その中でも、実際投資分析等においては、特にこの12ページの3つの丸ですね。それぞれ配慮されている点、このような書きぶりになっていることは大変、私としては、いわば確認的なこと、単純に簡素化一本やりじゃなく、こういう留意すべき点もあるということをお書きいただいているのは大変ありがたいと思います。

最後、特に簡素化の中の、規制業種と所管官庁の意見云々というところでして、これは確かに、今これだけ市場であり、民でありで、そういう成長戦略の中で若干気にならないことはないのですけれども、一番、一義的に多分情報を持っているのは所管官庁であるし、それぞれの政策目的によって当該企業分が一致しているという部分もあるので、ちょっとそれは民間活力を損なうというような観点からの理解ではなく、一番情報を持っていて、現にその業種について法制度として所管しているという事実を見てという、そういう理解を私はこの読み方からしております。

○安藤会長

ありがとうございました。辻山委員、どうぞ。

○辻山委員

ありがとうございます。これは前回の審議会でも申し上げたことですけれども、IFRSのエンドースメントに関する議論というのは、IFRSをどのように日本基準の中にインコーポレートしていくのか、組み入れていくのかという問題で、アメリカでもずっと議論されていますけれども、インコーポレートの仕方に関する問題だと思います。

したがいまして、現在の指定国際会計基準についてきちんとしたエンドースメント、これは最初からあるべきだったというふうに思っておりますけれども、この議論がやっと始まったのかなと思います。この手続が整っていれば、本来は、それがいわゆる、今日J-IFRSという呼び方もありましたけれども、そういう意味での、日本基準としてエンドースメントされた基準である。つまり、指定国際会計基準というのは、結果論として、ピュアIFRSであるかどうかにかかわらず、本来日本基準の中にインコーポレートされている基準であるはずだった。したがいまして、それを任意適用したい企業については、限定しておく必要はないという議論であれば、これは支持いたしますし、理解できると思います。

一方、これが結果論ではなく、あくまでもロンドンで作成されているピュアIFRSといいますか、それを問題にしているのであれば、ちょっと話は違うと思います。それは日本以外の機関に基準の設定そのものを委ねてしまっているわけですから、その場合のIFRSというのは、日本基準の中にインコーポレートされている基準ではない。したがって、現在の米国基準適用会社と同じように、この米国基準適用会社は連結財規によって要件が決められておりますので、それと同じような意味で、この適用企業については一定の要件が課されてしかるべきであろうと思います。

このような観点から見ますと、前回の審議会の議論というのは、ピュアIFRSという表現が用いられて、その適用企業を広げようという第1議題と、エンドースメント手続を整えたIFRSを作成するという第2議題が、一度に議論されておりましたので、両者の関係が必ずしも明確になっていなかったと感じております。つまり、第1議題と第2議題は極めて密接に結びついていることですから、そのことが必ずしも明確に意識されて議論されないことは、今後混乱を招くことにもなりかねない。

繰り返しになりますけれども、今後IFRSのエンドースメント手続を明確にして、きちんと整えていくということであれば、その手続を経て承認されたIFRS――これヨーロッパなんかも全部そうですけれども、そういったIFRSが本来の指定国際会計基準になって、一方で、ピュアIFRSと呼ばれるもの、もしIASBで策定された基準そのものを念頭に置いたものであるとしますと、これを適用する企業が全部オープンにされていいのかということについては、若干疑問を持っているところでございます。

もともとエンドースメントを前提としたスキームで取り入れられたIFRSを、ピュアIFRSと呼んでいること自体が、論理矛盾ではないかと考えています。以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。永井委員、どうぞ。

○永井委員

ありがとうございます。主に1ページ目に関する、全体的な感想と質問を申し上げたいと思います。主に今後のスケジュール――毎回毎回、しつこくて申しわけありませんが――について、お尋ねしたいと思います。1ページ目の項目に関しては、1点1点そのとおりだと思いますし、特に、下から2つ目の、企業の予見可能性を高める必要があるというのは、多くの企業が願っていることだと思います。しかし、最後に、当面の対応として、「3つの各論を整理する」で終わっているのが、個人的にはやや肩透かしな感じを受けました。

現在、日本は、IFRSに関して任意適用の積み上げを図るというスタンスで、それについては異論はございません。しかし、IFRSに対するスタンスを決めかねている企業も少なくないと思いますので、事務局にはもう少し、できましたらはっきりとした方針を示していただきたいというのが正直な気持ちです。

といいますのも、いろいろな企業があると思いますが、企業には、今は任意と言っているけれども、また何かの拍子で風向きが変わって、強制と言い出すのではないかとか、あるいは、限りなく強制に近い任意になっていくのではないかといった懸念もくすぶっているかと思います。会計制度の全体像がわかりませんと、企業としては方針を決められませんし、予算のつけようもないと思います。

駆け引き上、今スタンスを明らかにすべきではないという考えもあるかと思いますし、それにも一理あると思いますが、ただ、漠然とした形でもいいですから、大枠を示していただければと思います。来週も審議会が開かれますが、そこでは一体何を話し合うのかというのを存じ上げておりません。前々回の審議会で、近いうちに区切りをつけるとおっしゃいましたが、今回の一連の審議会、割と立て続けにありましたが、それは各論の討議であって、任意適用の要件緩和などで一旦終了して、また、数カ月か半年後に世界の情勢を見て審議を再開するということなのか、差し支えない範囲で教えていただければと思います。失礼しました。

○安藤会長

ありがとうございました。事務局で答えられることはありますか。

○栗田企業開示課長

目標といいますと、やはり、単一で高品質な国際基準ということが、日本もコミットしているサミットの宣言であるということでありますので、そこを目指すということになるわけですけれども、それでは足元でどうかということでございます。一番問題になってくるのは、強制適用をどうするかということだと考えておりますけれども、これは、これまでの1年、2年にわたるご審議でもそうでしたけれども、ご意見が分かれるところだと考えておりまして、今すぐにこういう方向ですという結論が出るような状況ではないのかなというのが正直なところでございます。では、それだったら何もしないでいいのかというと、そうではなく、やはり足元でやるべきこと、やれることはあるのではないかということで、まず当面の対応として、こういうことをやっておいてはいかがかということで、幾つかの論点をお示しさせていただいたということでございます。

強制適用の是非の論点についてはここでは触れておりませんけれども、もしでき得れば、次回は報告書の形でご議論いただきたいと思っておりますが、その際には、何らか、強制適用の話も書かないわけにはいかないと思いますので、そのときにまたご議論を賜ればと考えております。

○安藤会長

辻山委員、どうぞ。

○辻山委員

私は、永井委員のおっしゃることは非常にもっともなことだと思います。よく新聞報道等で、IFRS強制適用延期というような報道がときどきなされますけれども、これは強制適用は決まっていて、それが延期されたという、一般の方はどなたもそういうふうに読まれると思うんですね。これは、意図的かどうかはわかりませんけれど、非常にミスリーディングな表現であると思います。強制適用するかどうかは決まっておりませんので、それを延期という表現は、ぜひやめていただきたい。企業がものすごくこれで混乱をしているという事実がございます。IFRSの強制適用が決まりましたら、これはどの国でも、直ちにメッセージを出すと思うんですけれども、決まらない限りは、これはずーっと判断が猶予されている状況が続いていくわけですね。そういう場合に、例えば強制適用を4,000社やるのかという議論が、まだ残っているのかどうか。遠い将来にはわかりませんけれども、そのような判断はなされていないということを確認したいのが1つ。

それから、もし万一判断をした場合でも、やはり十分な準備期間がとられるんだということなら、企業が浮き足立たないといいますか、無用な悩みがなくなると思います。その辺をぜひ、将来のことは誰もわかりませんが、準備期間が十分であれば、その判断がなされたときから準備をすればいい。そういうメッセージをぜひ出して頂きたい。少なくともアメリカなんかでも、準備期間については長くとるというメッセージは出ておりますので、その辺をこの機会に少し明確にしていいただきたいと思います。

○安藤会長

ありがとうございました。泉本委員、どうぞ。

○泉本委員

ありがとうございます。単体開示について、監査人の視点からの要望です。11ページで、注記、附属明細、主な資産・負債の内容に関しては、会社法の計算書類と金商法の財務諸表で、開示水準が大きく異ならないように内閣府令等で一定の水準のところにそろえていくものをおつくりになる、というご発言でしたが、会社法で一番問題なのは、多分、注記の内容だと思います。11ページの上の表で、約200社の実績が出ていますけれど、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書と、この計算書類の形はあまり違いがないのは当たり前でございまして、ばらつきはないと思います。

会社計算規則はかなりアバウトな注記の規定になっていますので、この辺の水準を一定のものというところをしっかりしていただきたいということのお願いです。また、四半期の簡素化の時に、実務的に混乱があったのは、規定で要求をしているものだけを書けばよいのか、改正後に要求していないが以前は書いていたので任意で書くときはどのように扱えばよいのか、ここのところが監査上はややこしくなります。簡素化にあたり、財規、内閣府令を整備していただくときにご留意いただきたいというのがお願いでございます。

それから、単体開示の簡素化といわれますけれども、会社法の開示から有報の単体開示のところで、開示の手続が確かに簡素化されるのかとは思いますが、連結財務諸表そのものは個々の会社さんの積み上げであり、連結の注記についても、個々の会社さんの積み上げでございますので、監査人の立場からすると、監査の工数はあまり軽くならないと思います。そこのところだけは申し上げておきたいなと思いました。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。関根委員、どうぞ。

○関根委員

すみません、お先に失礼します。まず、最も議論になっています適用の方法については、前回発言させていただいて、それも踏まえて今回まとめていただいたと理解しておりますので、今回は繰り返しませんが、それに関連したところで1点コメントさせて頂きます。

前回、経過的な取扱いと思っているということを申し上げましたが、今回提示頂いた最初のページについて、4月のときにはあまり意見は出なかったということでしたけど、改めて読んでみると、経過的という意味から目指すところについてもう少し前向きのニュアンスが出ないのかと思っています。具体的な文章までは持ち合わせていませんが、まとめをするときにそのあたりのニュアンスをもう一度、全体として再確認していただければと思っております。

もう一つ、2点目は、実務上の取り扱いということで、単体開示の簡素化について少し確認をしたいと思っております。単体開示についてはいろいろな意見があって、これから実際に、ここに書かれていることをもとに検討していくのかと思いますが、その際には関係者からの意見、実際にこの開示を簡素化したらどのようになるかというのを、慎重に検討していただきたいと思っております。

と申しますのは、例えば、開示の簡素化の仕方によっては、監査上の取り扱いにも影響する可能性があります。例えば、本日の資料に記載されている方法の中に、非財務情報として開示する方法などについても検討してはどうかとありますが、実は、その場合には、全く開示しない場合とは、監査上の取り扱いが異なるということがございます。具体的には、監査した財務諸表との重要な相違を識別するため、監査した財務諸表以外のその他の記載内容を通読しなければならず、重要な相違を識別した場合、監査した財務諸表、またはその他の記載内容を修正する必要があるかどうかを判断しなければならないという、そういった規定もございます。

したがって、監査上、非財務情報についても、一定の手続が求められており、そのほかにも、先ほど泉本委員から若干話がありましたけれども、任意の取り扱いにした場合、監査上どうなるのかといった検討が必要になることもございます。ですので、具体的な対応の検討にあたっては、監査人を含む関係者の意見も確認しながら、後で、実務上対応が難しいといったことにならないように対応いただければと思っております。私のほうからは以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。西川委員、どうぞ。

○西川委員

本日の議論をお聞きしておりますと、エンドースメントIFRSに対するニーズがあるというお話であるとか、そもそも、エンドースメントIFRSを支持される理由のところに、ASBJにその策定能力があるということを前提にされているようなところが聞かれますので、私どもは、もちろん、エンドースメントの作業をしたことはないのですけれども、これまでの基準開発であるとか、IASBに対する意見発信をしてきた作業と関連して、過去に2回ほど、エンドースメントの前提となるような日本基準とIFRSの差異を分析して、それに軽重をつけるような作業を過去2回ほど行っております。またそのときの観点が、8ページにございますように、会計基準に係る考え方など、ここに書かれていることと同じような観点から分析したことがございますので、それについて簡単にお話しさせていただければと思います。

最初は、CESRの同等性評価のアドバイスが出たのが2005年ですから、そのおそらく1年前の2004年くらいだったと思いますけれども、同等性評価への直接的な対応ということで、CESR-Finの方々が日本に来て、我々と意見交換をしたということがございました。そのときの我々の分析では、両基準の最大の差異は、のれんの償却・非償却ではないかということで申し上げた記憶があります。結果的に彼らの26項目の補正措置項目には、それが入らず、その理由はわからないのですけれども、その時点では、我々はそれが最も大きいと認識していました。

OCIリサイクルの問題は、その段階ではノンリサイクルは再評価ぐらいしかなくて、再評価自体選択処理ですから、強制的にノンリサイクル処理を使わざるを得ないというのは、その時点ではなかったかと理解をしております。

2008年の短期コンバージェンスプロジェクトというのは、同等性評価を意識したものだったのですけれども、差異を無理なく合わせられるようなものを選んだということがあります。それからこれは大変マイナーなものですけれども、実務対応報告の18号というのがあって、そこでは、海外子会社を親会社の会計処理と合わせるために、どうしても日本基準に直させるという項目を幾つか選んだということがございまして、これはマイナーな実務対応報告ですので、詳細は省略しますけれど、そういう作業をしているということがございます。

2度目が、2011年のアジェンダ・コンサルテーションに対するASBJとしてのコメントをまとめたときに、差異分析をしております。アジェンダ・コンサルテーションに関する協議会等を通じまして、日本の意見をまとめていったのですけれども、その前提として、差異について相当分析したということでございます。この段階では、IFRS9号とか、IAS19号の改定とかがなされておりまして、既に、強制的なノンリサイクル項目が出てきたという段階でございましたので、リサイクル、あるいはノンリサイクルというのが一番突出した大きな問題であるという認識であったと思っております。

それ以外にも、幾つかの論点があるということで、コメントしているわけですけれども、このOCIのリサイクル問題については、現在IASBの概念フレームワークの議論でも議論されているところで、そこで意見発信をして、ある意味、闘っているところですけれども、そのところで彼らを説得できるかどうかというのは、結論が出るまでわからないですけれども、レレバンスだけで議論していくと必ずしも説得できるかどうかわからないという面があります。一方、国内の議論になりますと、これはOCIをリサイクルさせて取引を完結させるというような説明に対する理解というのは、相当強いのかなと思っていて、何人かの方がおっしゃっているような、これが最初に議論すべき問題ということは考えているところです。

最後に、ニーズに関連してですが、おそらくニーズとおっしゃるときに、いつぐらいに必要かということも含意されていると思います。5年も10年もかけてやれという話でもないのかもしれないですけれども、どのくらいのスピード感が期待されているのか。基準をつくるように作業したら、ほんとうになかなかできないわけで、過去に分析した知見とかを生かしながら作業せざるを得ないかと思っていますけれども、そういうニーズの中に、どれくらいの期間でと考えられているのか。ある期間を超えてしまうと、ニーズがしぼんでしまうとか、そういうことがあるのかないのか、そのあたりについてはご見解をお聞きしたいなと思っております。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。黒川委員、どうぞ。それから小宮山委員にいきます。

○黒川委員

ありがとうございます。来週、私は本務校の学事の用事がありますので、少し長くなっても2回分だということでお許しいただきたいと思います。一般的に意見の違いがあり、それがなかなか収れんしないという場合には、相互に理解が不足しているという状況がまずあります。そういう理由であれば、理解が深まれば、何とか意見が収れんしていくということが期待できます。しかし、相互理解ができていても、意見が一致しない場合がある。その要因として考えられるのは、第一に、それぞれの立場の状況・環境が違うこと。状況・環境が違うと、意見は収れんしない。それから2番目は、あるべき基準の姿、理想というものに対する価値観が違う。こういう理由だと、ずっと意見は収れんしない。さて、この10年間、この国際会計基準をめぐる状況を見てきますと、特にMoU項目ですけれども、それぞれの長所短所みたいなものは明確になり、かなり議論は尽きているのではないか。したがって、相互理解が深まってないからということではなくて、環境・状況が違うのか、あるいはあるべき価値観が違うのかという状況になっているのではないかと思われる。そうなると、今のこの膠着状態が早急に急転して、何か一本にまとまるというふうに考えるのは楽観的過ぎるのではないかと思います。

さて、そこで、環境・状況の違いか、価値観の違いかを今回審議している4つの基準問題にあてはめると、まず、日本基準の存在可能性ということですけれども、これは3年ぐらい前までの議論で、上場会社全ての企業に対してIFRS強制なんていうような意見もあったと思うのですけど、そのときにも私が言っておりましたのは、日本の場合、上場会社といっても、いろんな会社がある。一方、国際会計基準が求められているのは、企業行動が国際的であるのか、あるいは投資対象として、いろんな投資集団がその企業に対して――海外の投資集団も投資している企業なのか、こういう会社に関してはIFRS適用のニーズがあるのかどうかということだったはずなんですね。

そこで、日本の上場会社全てがそういう企業ではなくて、日本の場合、数百社なのか、1,000社なのかもしれませんけれど、いわゆる国境を越えて活動、あるいは投資活動がなされているような企業についてはIFRSの問題が出てきていて、そうじゃないような上場会社についてはとりあえず、日本基準でいいのではないかということに、最近の議論は落ち着いたのではないかと思っています。

ですから、日本基準の存在可能性はそこにあると思っているんです。これは環境の問題です。

さて、次に、国際的な活動をしている、あるいは国際的に投資されているような会社について、1つの基準なのかどうなのかという問題について考えてみると、1つにまとめるべきだという意見もある程度理解できる。しかし、ここで問題になってくるのが、先ほど言った価値観の問題です。前回の資料でも、国際的に見て、エンドースメントのカーブアウトつきという国もあるわけですね。それぞれの国で考えているところの価値観が違う。だからロンドンで決めたものをそのままそうだなと思う国もあるだろうし、そうではないのではないかというような価値観を持っている国もあるのではないかと思う。したがって、ロンドンで決めたIFRSと、各国がこうあるべきというふうに、少しカーブアウトしたような基準が併存していく状況というのは、今後も続いていくのではないかなと私は見ています。

我が国は、辻山先生や皆様もおっしゃったように、かなり価値観の部分でIASBと意見が違っている。意見の違いという理由だから、エンドースメント手続を入れる。たとえIFRSであったとしても、我が国の考えるIFRSはこういうものだというような積極的な意味で発信するということは、私が今話してきたことからすると、ある程度理解できると思っております。

それから前回言いましたように、強制適用の危険性というのは、今日も意見が出ていますけれども、その可能性はある。しかも、それは上場会社全ての会社への強制適用ではないということです。初めに言いましたように、状況が違っていますから、国際的な会社、国境を越えているような会社について何らかの基準を決めて、これらの会社には強制的にIFRS基準にするという議論が将来出てくる可能性は十分あると思っています。

だからそのときに、価値観というものが我が国では違っており、会計基準のあるべき姿というものが違っているとするならば、やはりエンドースメント手続で、我が国の価値観はこうだというものを入れ込んでおくという、その必要性があるということです。

○安藤会長

ありがとうございました。では、小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

ありがとうございます。オーバーランしていますので、手短に2つだけ申し上げます。最初にIFRSの適用の方法ということなんですが、おそらく近い将来、4つの基準が存続するということで、前回のペーパーですと、その中の乗りかえが認められるのかどうかという論点が入っていたと思うんですね。それをたしか、会計方針の選択の問題と扱っていたと思うので、たしか弥永委員からご質問あったのが、今回消えているんですが、おそらく会計方針の選択の問題と考えると、かえることに正当な理由が要りますので、おそらく正当な理由は書けないと思うんです。このケースでは、おそらく制度間の乗りかえと考えないと、議論は成立しないというふうに私は思いますので、次回の最終ペーパーに書き込まれるときは、この辺を慎重に検討いただきたいというのが1点です。

それからもう一つ、さっき12ページのところで注記の話が出ていましたけれども、これは、注記、附属明細表、それから主な資産負債の内容というふうに、全部、3つ項目を一緒に考えていますけれども、私なんかの発想ですと、注記というのは財務諸表の不可欠の一部であるとずっと教えられてきましたので、これ切り離して考えるという発想は理解しがたいんですね。少し検討の際に、その辺を踏まえていただきたいと。

もう一つは、単体の開示を全てやめていいのかと。財務諸表だけでいいかということになると、今IFRSを採用する会社というのは、おそらく単体だと、日本基準で作成することになります。それから、連結で日本基準を採用している会社でも、連単分離というのが、どうもこの会議に出ていると、明確に出ています。するとやはり、注記もない、単体の財務諸表だけでいいのか、誤解を与えないのかという観点もあると思いますので、それも今後の検討で踏まえていただきたいと。以上、お願いです。

○安藤会長

ありがとうございました。それでは山崎委員、どうぞ。

○山崎委員

最後に簡単に申し上げたいと思います。最初のペーパーに書いております、2008年のサミットのことがあるのですけれども、ペーパーにはG20と記していないですが、2008年だけではなくて、ほぼ毎年のG20で日本は、単一で高品質な会計基準をつくることに努力をすると、コミットをしているわけでございます。その中で我々はこの議論をしていることを、もう一度よく考えなければいけない。

それと、IFRSはロンドンでつくられるという議論があるのですが、これは少なくともロンドンでつくっているのではなくて、我々日本人も参加してつくっているということで考えなければいけない。そういうことで、現状を固定的なものとしてとらえるのではなくて、4つの基準の併存という議論もありますけれども、これはあくまでも過渡的なものであると。日本としての苦心の、苦労の経過であるということで言っていかないと、日本は違った価値観で動いている国かというふうにとられたのでは、これは全く、この議論が意味のないものになってしまう。細かい技術的なことを言っていくといろんな議論が出てくるのですが、あくまでも過渡的なものとして、日本の苦心の過程であるというふうなことは、はっきりと言わないといけないと思います。

エンドースメントについても、日本は特別な事情にあるということを言い出すと、じゃ日本は勝手にやりなさいというふうな話になりますので、ほんとうに理論的に、どの国でも、ああ、そうだねということでなければ、エンドースメントの例外というのはつくれない。現在、先進国でエンドースメント、あるいはカーブアウトをしているのは主にはヨーロッパのヘッジ会計だけでございますので、途上国でやっているところはともかくとして、世界が背景を理解できるようなエンドースメントの例外規定というものでなければいけない。日本だけの硬直的な議論になることには、私は非常に、日本の経済のために心配をしております。

○安藤会長

ありがとうございます。時間が過ぎておりますが、若干まだ構わないと聞いております。特に、今まで出ていないご意見で、ぜひここで述べたいという方がおられたら、1人や2人はいいかと思いますけれど、いかがでしょうか。よろしいですか。そう言われてしまうとしゃべりづらくなるかもしれませんね。わかりました。ご協力いただきましてありがとうございます。

それでは時間が5分過ぎました。本日の審議はこのあたりにさせていただきたいと思います。国際会計基準への対応について、当面検討すべき課題につきまして、3月から4回にわたってご審議いただき、委員の皆様からさまざまなご意見をいただいてまいりました。ついては、本日のこれまでの議論の整理をもとに、本日いただいた意見等も加味して、当合同会議としての、当面検討すべき課題を中心とした取りまとめ案を事務局につくっていただき、次回会合で審議をいただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは次回の日程について、もう承知をされていると思いますが。

○栗田企業開示課長

次回の日程につきましては、1週間後の6月19日、水曜日の16時半からを予定しておりますので、よろしくお願いしたいと存じます。

○安藤会長

それでは、本日の合同会議はこれにて終了いたします。委員の皆様には審議にご協力いただきまして、まことにありがとうございました。これにて閉会いたします。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3672、3656)

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