企業会計審議会総会・第6回会計部会議事録

 

1.日時:令和元年9月3日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

○徳賀会長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより企業会計審議会総会・第6回会計部会合同会合を開催いたします。会長の徳賀でございます。皆様には、ご多忙の中、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 
 それでは、まず、企業会計審議会議事規則にのっとり、本日の会議の公開についてお諮りいたします。本日の会議を公開することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 

(「異議なし」の声あり)

○徳賀会長
 ありがとうございます。ご了承いただきましたので、そのように取り扱わせていただきます。
 
 本日は、後ほど監査基準の改訂に関する意見書等を内閣府大臣政務官にお渡しするという重要なセレモニーがございまして、長尾政務官にご出席いただいております。意見書等を長尾政務官にお渡しする際にはカメラ撮影を行う予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 
 まず、議事に入ります前に委員の異動がございましたので、事務局からお願いいたします。
 
○井上企業開示課長
 事務局を務めております企業開示課長の井上でございます。よろしくお願いいたします。
 
 本年5月に小野行雄委員、平野剛委員、8月に湯川喜雄委員がそれぞれご退任されております。また、5月27日付及び8月28日付で新たに7名の委員がご就任されておりますので、順次ご紹介させていただきます。
 
 青克美委員でございます。
 
○青委員
 青でございます。よろしくお願いします。
 
○井上企業開示課長
 小倉加奈子委員でございます。
 
○小倉委員
 小倉でございます。よろしくお願いいたします。
 
○井上企業開示課長
 川村義則委員でございます。
 
○川村(義)委員
 川村です。どうぞよろしくお願いします。
 
○井上企業開示課長
 小賀坂敦委員でございます。
 
○小賀坂委員
 小賀坂でございます。よろしくお願いいたします。
 
○井上企業開示課長
 松井智予委員でございます。
 
○松井委員
 松井でございます。よろしくお願いいたします。
 
○井上企業開示課長
 村田啓子委員でございます。
 
○村田委員
 村田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○井上企業開示課長
 米山正樹委員でございます。
 
○米山委員
 米山でございます。よろしくお願いいたします。
 
○井上企業開示課長
 以上でございます。なお、事務局につきましては、お手元の配席図をもってご紹介にかえさせていただきます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、議事に入らせていただきます。まずは監査部会での審議の状況について、伊豫田部会長からご説明をお願いいたします。
 
○伊豫田委員
 監査部会長の伊豫田でございます。私から監査基準等の改訂につきましてご説明させていただきます。お手元の資料1-1をご参照ください。まず、審議の経過についてご説明いたします。本年1月に八田委員が座長としてご尽力されました「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」報告書が取りまとめられました。この報告書にも触れられておりますが、特に限定付適正意見の場合、監査報告書になぜ不適正意見ではなく、限定付適正意見としたのかについての説明が不十分な事例が見られる。監査人がみずから行った監査に関する説明を行うことは、監査人の守秘義務が解除される正当な理由に該当するが、そうした理解が関係者間に十分に浸透していないため、監査人が財務諸表利用者に対して説明する上で制約になっているのではないかとのご指摘がございました。
 
 また、昨年7月にご承認いただきました監査基準の改訂に関する意見書におきまして、監査上の主要な検討事項を導入すると同時に、監査報告書の記載内容について監査意見を冒頭に記載し、意見の根拠の区分を新設するとともに、監査役等の責任の記載を追加する変更を行いました。その際、中間監査基準及び四半期レビュー基準につきましても同様の改訂を検討することが必要とされました。これらの内容を監査基準、中間監査基準及び四半期レビュー基準に反映させるため、本年3月より監査部会を2回開催し、審議を行いました。そして、本年5月に公開草案を公表し、意見募集に寄せられたコメントを踏まえて所要の修正を行い、現状の案といたしております。
 
 続いて意見書の改訂案の具体的な内容についてご説明させていただきます。まず、限定付適正意見に関しましては、現行の監査基準では監査報告書の意見の根拠の区分に、意見限定の場合は除外した不適正な事項及び財務諸表に与えている影響、範囲限定の場合は実施できなかった監査手続及び当該事実が影響する事項を記載するとされております。今回の改訂案におきましては、なぜ不適正意見または意見不表明ではなく、限定付適正意見を表明するのかという理由の説明が不十分であるとのご指摘を踏まえまして、それぞれの場合に現在記載することとなっている事項を踏まえて限定付適正意見とした理由を記載するよう明確化しております。中間監査基準、四半期レビュー基準におきましても同様に改訂を行うことといたしております。
 
 また、守秘義務につきましては、公認会計士法において、その対象を業務上取り扱ったことについて知り得た秘密と規定しているところ、現行の監査基準は「業務上知り得た事項」と定めております。本来、守秘義務の対象は企業の秘密に限られるものですが、我が国におきましては一般的に企業に関する未公表の情報について、あらゆるものが守秘義務の対象になり得ると考えられる傾向があると指摘されていることから、監査基準における守秘義務の規定につきましては、公認会計士法との整合を図るため、業務上知り得た秘密を対象にするものであることを明確にすることといたしました。
 
 なお、監査基準設定当初から守秘義務は、監査人が企業から監査に必要な情報の提供を受けることを確保し、企業との信頼関係のもと監査業務を有効かつ効率的に遂行する上で必要な義務として定められております。この意義は今日におきましても変わるものではないことも確認いたしました。さらに中間監査報告書及び四半期レビュー報告書につきまして、監査報告書の記載内容と同様に、監査意見を冒頭に記載し、意見の根拠の区分を新設するとともに監査役等の責任の記載を追加することとしております。
 
 実施時期につきましては、監査基準は令和2年3月決算の監査から、また、中間監査基準は令和2年9月以後終了する中間会計期間に関する中間監査から、四半期レビュー基準は令和2年4月以後開始する事業年度に関する監査証明からそれぞれ適用することといたしております。
 
 監査部会におきましては、今までお話しした内容の改訂案を5月から7月にかけて意見募集を行いました。その結果、6の団体、個人から13件のコメントが寄せられました。コメントの概要につきましては、字句修正等の意見はございましたが、改訂案の内容におおむね賛同する意見が大宗であるため、監査部会といたしましては資料1-1から1-3のとおり、改訂をしたいと考えております。また、コメントに対する考え方につきましては、資料2で示したとおりとさせていただきたいと考えております。
 
 なお、監査報告書の透明化の際から議論を行っております財務諸表以外の記載内容であるその他の記載内容に対する監査人の対応につきまして、本年3月の総会、監査部会合同会合においてご議論いただきましたが、引き続き監査部会において議論を進めていきたいと考えております。
 
 私からは以上でございます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 ただいまご説明がありました監査基準、中間監査基準、四半期レビュー基準の改訂に関する意見書(案)につきまして、説明の内容のとおり取りまとめることとしてよろしいでしょうか。
 

(「異議なし」の声あり)

 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、ただいま企業会計審議会として取りまとめました意見書を長尾政務官にお渡しします。このたび「監査基準、中間監査基準、四半期レビュー基準の改訂に関する意見書」をこのように取りまとめましたので、よろしくお取り計らいをお願いいたします。
 
○長尾大臣政務官
 ありがとうございます。
 

(意見書手交)

 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、引き続き長尾政務官から一言ご挨拶をお願いいたします。
 
○長尾大臣政務官
 ご紹介いただきました内閣府大臣政務官の長尾敬でございます。ただいま徳賀会長から監査基準の改訂に関する意見書を頂戴いたしました。委員の皆様におかれましては、会長のリーダーシップのもと、お取りまとめいただき、審議をいただきましたこと、金融庁を代表して心から感謝、御礼を申し上げたいと思います。
 
 ご承知のとおり、財務諸表監査は企業の財務諸表の信頼性を担保する上で欠かすことのできない重要な制度でございます。監査の規範となる監査基準は財務諸表の作成の規範である会計基準とともに適正なディスクロージャーを確保するため、資本市場の重要なインフラであると考えております。ご承知のとおり、近年、不正会計事案の発生などを契機といたしまして、監査人が行う会計監査に関しては、その説明や情報提供の一層の充実を図ることが求められております。金融庁といたしましても、本年1月に会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会の報告書を公表するなど取組みを進めてまいりました。今回の監査基準等の改訂によりまして、関係者間でこうして新しい課題についても共通の理解が確立されまして、監査人の監査について監査報告書やそれ以外の場でより詳細に説明されるようになることを期待させていただいております。
 
 また、本日、この後、企業会計審議会で会計を巡る動向についてご議論をいただく予定と伺っております。中座をすることをお許しいただきたいのですが、6月21日に閣議決定されました政府の成長戦略の中で、関係機関と連携し、国際会計基準(IFRS)への移行を容易にするためのさらなる取組みを進めることにより、IFRSの任意適用企業の拡大を推進するとされております。本日のご議論を踏まえながら、引き続き会計基準の品質向上に向けた取組みを金融庁として進めてまいりたいと考えております。
 
 最後になりましたが、委員の皆様におかれましては、今後とも会計や監査を巡る諸問題につきまして、我が国としての適切な対応を確保するという観点から、ご審議を賜りますようお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 政務官は、これから公務のご都合により、ここでご退席されるということです。カメラの撮影もここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
○長尾大臣政務官
 どうもありがとうございました。
 

(長尾大臣政務官退室)

 
○徳賀会長
 それでは、次の議事に入りたいと思います。内部統制基準・実施基準の公開草案原案につきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。
 
○野崎開示業務室長
 開示業務室長の野崎と申します。どうぞよろしくお願いします。内部統制基準・実施基準の公開草案につきましてご説明申し上げます。先ほど伊豫田部会長からもご説明がございましたけれども、資料5-1、一の「経緯」の中ほどで記載しておりますとおり、昨年7月の監査基準の改訂におきまして、財務諸表監査における監査報告書の記載区分等につきまして、監査人の意見を冒頭に記載し、新たに意見の根拠の区分を設けるとともに、監査役等の責任を新たに追加するという改訂が行われまして、来年3月期決算に係る財務諸表の監査から適用されることとされております。これに伴いまして、原則として財務諸表監査報告書と合わせて記載するものとされております内部統制監査報告書につきましても、記載区分等について改訂する必要があるとの考え方のもとで、今回、公開草案の原案を作成しております。
 
 二の「主な改訂点とその考え方」の2段落目に記載してございますけれども、内部統制監査報告書に係る改訂内容としまして、以下の2点を掲げております。1点目としまして、監査人の意見を冒頭に記載する等の記載順序の変更及び意見の根拠の区分を新たに設けること。2点目は、監査役等の財務報告に係る内部統制に関する責任の記載を新たに求めることでございます。監査役等の責任につきましては、資料5-2の3ページの4の(3)で記載してございますけれども、現行の基準において「内部統制の整備及び運用状況を監視、検証する役割と責任を有している」という記載がございますので、その記載を踏まえまして、今回の改訂案におきましては、7ページ目の3のロでございますけれども、「監査役等には、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証する責任があること」を内部統制監査報告書の記載事項とすることとしております。
 
 このほか、前回の改訂以降、他の法令において改正されました監査等委員会制度の導入や、有価証券報告書の記載項目の変更といった内容を反映したものとなっております。事務局からは以上でございます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、ただいまの事務局の説明に関しましてご質問やご意見をお願いいたします。住田委員、どうぞ。
 
○住田委員
 どなたも発言されないようなので、一言申し上げたいと思います。今回、内部統制の基準の改正の趣旨は、今ご説明いただいたとおり、財務諸表に対する監査報告書の記載内容や記載順序と整合性をとるということと理解しております。財務諸表と内部統制の監査報告は1つの文書で出しますので、記載内容や順序をそろえるということは非常に利用者にとってもわかりやすい方向の改正ということで、改正の方向そのものにはもちろん賛成をさせていただきたいと考えております。
 
 ただ、一点、文言の問題ではあるのですけれども、申し上げます。今回、内部統制の監査報告においても監査役等の責任について記載するというご提案なのですが、今ご説明いただいたとおり、内部統制の基本的枠組みの中の文言を使って監査役等の責任の文章を策定されたというところはもちろん理解した上でのことですが、財務諸表監査報告のほうでは、財務報告プロセスの整備、運用における取締役の職務の執行を監視するという文言で監査役等の責任を説明しており、この文言と今お示しいただいている、内部統制監査報告の中で書く監査役等の責任の記載ぶりが違っているものですから、その意味が異なるということを意図しているのか、実質的には同じであるということを意図したものであるのかという点について確認をさせていただきたいと考えています。
 
 どちらの表現も日本の現行の法令に基づく監査役等の責任を前提にしていると思いますので、実質的には同じかなと想像しているところですが、昨年来の財務諸表の監査報告の改正の趣旨がなるべく利用者にとってわかりやすい監査報告をつくろうという趣旨のもとでの改正であると理解しておりますので、実質的に意味が同じであるのであれば同じ文言になるべく合わせるという方向もあってもいいのかなと思っております。
 
○徳賀会長
 ありがとうございます。
 
 住田委員の意見に対しまして、岡田委員、ご意見ございますか。
 
○岡田委員
 今の住田委員のご質問は、財務諸表に対する監査報告書の記載内容と内部統制基準の記載ぶりに違いを残す意味はあるのか、何か意図があるのかというご質問だったと思うのですが、私は読んでいて内部統制基準の表現に違和感はありませんでした。むしろ監査基準のほうに「検証」という言葉を入れるという選択肢はないのかと思いました。日本監査役協会の立場からしますと、監査役監査基準の中にもう既に監視と検証という言葉が使われていて、今までもそれで実務をやってきたわけです。
 
 さらに申し上げますと、英訳では監視はmonitor、検証はverifyとなっていて日本語と異なって表現が弱くなっている感じですけれども、私としては監査役等の皆さんに監視をすると同時に、重要なものであれば、特に検証するという姿勢は持っていただきたいと思います。できれば、これはそろえるということに異存はないのですが、検証という言葉を残す方向でお願いしたいと思います。もし、検証という言葉が適切でない、誤解されるというのであれば、今、特に良いアイディアはないですが、違う言葉にして統一して戴きたい。いずれにしても検証というニュアンスは残していただきたいと思います。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 八田委員、いかがでしょうか。
 
○八田委員
 内部統制基準をつくったときに役割を担いました。そのときのことを議事録も踏まえながら思い起こして発言しているのですが、内部統制基準における監査役等の役割と責任については、内部統制基準、この基準設定のときに日本監査役協会の監査役監査基準を受け入れる形で内部統制の整備及び運用状況を監視、検証するとしました。これは監査役監査基準の中で早い段階でそういうとらまえ方をして、実務浸透を図ってこられたということがありましたので、一応、内部統制の基準を設定するときも実務対応ではそれを尊重するという観点から、これを用いてきたわけであります。したがいまして、今回もこの改訂ではそれと整合性がある形で規定するということに対して、特に異論はないのではないかと考えています。
 
 ただ、この監査役等の責任の全体像については、本来はもっと議論すべきではないのかなと考えています。というのも、今は監査役等という形で一括りにしての議論になっていますが、会社法で規定されている、いわゆる監査役設置会社の監査役、指名委員会等設置会社における監査委員、それから、監査等委員会設置会社における監査等委員ということで異なる機関設計のものが混在しているからです。このうち監査等委員と監査委員は、実は、その前提は取締役だということです。それも若干度外視する形で、一応モニタリングする役割を有するということで、監査役協会のほうもすべてを束ねた形で監査役等と言っている。そこで、これについては十分に議論すべきものではないのかなという気がするのですが、一応、こちらの役割としてはこのままの状態を受け入れて、もう少し根源的な議論が必要ならば、今後議論していただきたいということを思っています。したがって、特に今回の改訂の文言に異存はありません。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 ほかにご意見等ございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、ご意見等ありがとうございました。今回の公開草案原案につきましては、おおむね皆様の合意が得られたのではないかと考えておりまして、私といたしましては企業会計審議会の名のもとで、早急にパブリックコメントに付したいと考えております。細かな表現と具体的な文言に関しましては、私にご一任いただければ幸いでございますが、ご異議等ございませんでしょうか。
 

(「異議なし」の声あり)

 
○徳賀会長
 よろしいですか。ありがとうございます。それでは、内部統制基準等の改訂に関する今後のスケジュールにつきまして、事務局からご説明をお願いします。
 
○野崎開示業務室長
 本日ご審議いただきました公開草案原案につきましては、会長ともご相談の上、文言の所要の修正を行った上で委員の皆様にメールで送付させていただくとともに、速やかにパブリックコメントに付させていただき、約1カ月間のコメントを募集したいと思います。
 
 以上でございます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、次の議事に入りたいと思います。会計基準を巡る変遷と最近の状況につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 
○井上企業開示課長
 引き続き資料6に沿って会計基準を巡る変遷と最近の状況についてご説明させていただきます。
 
 それでは、ページをおめくりいただきまして、1ページをご覧いただければと思います。会計基準を巡る変遷として2007年以降の主な出来事についてまとめております。まず、2007年の8月に企業会計基準委員会(ASBJ)と国際会計基準審議会(IASB)との間で東京合意を公表いたしまして、国際会計基準(IFRS)とのコンバージェンスの取組みを積極的に進めてまいりました。その結果、欧州委員会は2008年12月に米国会計基準と同様、我が国の会計基準がIFRSと同等であると最終決定したところでございます。こうしたIFRSを軸としたコンバージェンスの進展のほか、EUや米国におきますIFRSの適用に向けた動きも踏まえまして、企業会計審議会におきましても2007年よりIFRSの適用についてご審議いただきまして、2009年の6月に我が国におけるIFRSの取扱いに関する中間報告を取りまとめて公表していただいています。
 
 これを受けまして、金融庁において連結財務諸表規則等を改正いたしまして、2010年3月期から国際的な財務・事業活動を行っている上場企業の連結財務諸表にIFRSの任意適用が認められたところでございます。また、この中間報告では上場企業の連結財務諸表へのIFRSの強制適用の是非について2012年を目途に判断することとされておりましたけれども、2011年の金融担当大臣談話等も踏まえまして企業会計審議会でご審議いただきまして、2013年の6月にIFRSへの対応のあり方に関する当面の方針を取りまとめて公表いただきました。この当面の方針では、IFRSの強制適用の是非については当面判断を見送りまして、まずはIFRSの任意適用の積上げを図ること、次に日本が考える、あるべきIFRSについて対外的に意見発信すること、そして日本基準の高品質化を継続することが重要とされたところでございます。
 
 これを受けまして、金融庁において連結財務諸表規則等を改正いたしまして、IFRSの任意適用が可能な会社の要件を緩和いたしました。また、我が国におけるIFRSに対する意見発信の一環といたしまして、ASBJにおいて修正国際基準(JMIS)が作成・公表されたことを受けまして、金融庁において連結財務諸表規則等を改正いたしまして制度上もJMISの適用を可能としたところでございます。その後2014年の6月に閣議決定されました「日本再興戦略」改訂2014におきましてIFRSの任意適用企業の拡大促進に努めるものとされ、それ以降の成長戦略においても関連する施策が継続的に盛り込まれているところでございます。
 
 では、次のページをお願いいたします。以上の会計基準の変遷を踏まえまして、今後の課題といたしましては、1つ目がIFRSの任意適用企業の拡大促進、2つ目がIFRSに関する国際的な意見発信の強化、3つ目が日本基準の高品質化、4つ目といたしまして国際的な会計人材の育成という4つの課題を認識しているところでございます。これらの4つの課題につきましては、企業の財務情報が企業活動を適正に反映したものとなるよう、我が国上場企業等において使用される会計基準の品質向上を図るために関係者と連携して取組みを進めているところでございます。このうち、事務局からは、このIFRS任意適用企業の拡大促進についてご説明させていただきまして、続きまして、青委員から「会計基準の選択に関する基本的な考え方の開示内容の分析」についてご説明いただいた後に、小賀坂委員から「IFRSに関する国際的な意見発信の強化」と「日本基準の高品質化」について、また、林田委員から「国際的な会計人材の育成」についてご説明いただきたいと思います。
 
 それでは、次のページへお願いいたします。これまで関係機関と連携して、取り組んできた結果、IFRSの任意適用企業数、これは適用予定企業数も含めてカウントしておりますけれども、これは2019年6月末時点で217社、これは全上場企業の時価総額の35.6%まで増加しております。次ページ以降に適用企業の一覧、業種別の状況について載せておりますけれども、時間の関係で割愛させていただきます。続きまして9ページに飛んでいただいて、海外のIFRSの適用状況について足元の状況をご説明いたします。自国基準を適用している法域ですとか、IFRSのアドプションまたはコンバージェンスの途上の法域を除きますと、IFRSを強制適用または任意適用している法域というのは、トータルで157法域となっておりまして、IFRSの国際的な適用が進んでいるというのがご覧いただけるかと思います。
 
 続きまして、次のページにお願いいたします。こちらは先ほど長尾政務官からもご紹介がありました今年の6月に閣議決定されました成長戦略の文言でございますけれども、「関係機関等と連携し、IFRSの移行を容易にするためのさらなる取組みを進めることにより、IFRSの任意適用企業の拡大を促進する」ということが盛り込まれているところでございます。
 
 最後に次のページです。先週の8月28日に金融庁から本事務年度の「金融行政のこれまでの実践と今後の方針」という文書を公表しております。この中で本事務年度の方針といたしまして、会計基準の質の向上に向けて以下の取組みを一体的に進めるということで3点述べてございます。まずは関係機関と協力、連携することでIFRSへの移行を容易にするため、IFRS適用企業の負担を軽減する等、更なる取組みを進めるとともにIFRSに関する我が国からの国際的な意見発信を強化すること、また、日本基準の高品質化に向けたASBJの取組みをサポートすること、そして、国際的な会計人材の育成に向けた取組みを推進することです。金融庁といたしましては、これらの取組みを一体的に進めてまいりたいと考えております。
 
 以上で事務局の説明を終わります。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 質疑は後ほどまとめて行いたいと思います。続きまして、青委員より東京証券取引所の活動状況についてご報告をお願いします。
 
○青委員
 ただいまご紹介いただきました青でございます。東証におきましては、2015年3月期の決算短信から会計基準の選択に関する基本的な考え方の開示を要請しております。2ページのとおり、「日本再興戦略」改訂2015の中で、東証が取りまとめるという趣旨のことが記載されてございまして、それを受けて私どもの方でその内容について分析、公表するという作業をしております。お手元の資料は、この2019年3月期の決算短信までの会計基準の選択に関する考え方の開示内容を集計したものでございます。
 
 その後のページは少し金融庁様からのご発表内容と一部重複しておりますので、そこは省略させていただきます。7ページは東証上場会社全社のIFRSの適用状況を示したものでございます。こちらの資料は、東証上場会社が対象となっておりますが、金融庁の資料は他の取引所を含むすべての日本市場の上場会社が対象となっており、若干ずれがございます。この円グラフの中の1と書いている青色の濃いところでございますけれども、こちらがIFRSの適用を実際にしている会社でございまして、198社になっております。それから、薄めの青色、2のところでございますけれども、こちらがIFRSの適用を決定した会社でございまして、16社ございます。
 
 それから、その右下の水色のところです。こちらが3のIFRS適用の予定会社でございますけれども、こちらは決算短信の中でIFRSに移行する予定がある旨を記載した会社でございまして、今年のところでは11社ございました。主だった会社としましては、ブリヂストン様、塩野義製薬様、マツダ様などでございます。ここまでの1から3までの合計した社数が225社でございまして、時価総額で申し上げますと220兆円で、東証の市場全体の時価総額605兆円の36%を占める規模になるに至っております。昨年が、33%でございますので、3ポイント増加したということで堅実にIFRSの適用会社は増加をしている状況にあるということが読み取れるかと思います。
 
 それから、緑色のところで、4でIFRSの適用に関する検討を実施している会社が189社ございまして、先ほどの1~3の会社とこの4を合わせますと、時価総額で5割を超える割合まで来ているところでございます。
 
 次の8ページに参りますと、こちらはJPX日経インデックス400で選ばれている会社の適用状況を示したものでございます。こちらの指数は全上場会社の8割程度の時価総額を占めておりますけれども、こちらを母集団にいたしますと1から3の適用済み、適用決定、適用予定の合計が44%となりますし、さらには4の適用検討を実施している会社も入れますと64%まで占めるというところでございます。全上場会社の状況と比較しますと、いずれも8%程度割合が増えているというところでございます。
 
 9ページ以降は業種別の会社の状況について記載をしておりますけれども、こちらは省略をさせていただきまして最後の16ページまで飛ばさせていただきます。こちらでは先ほどの緑色のところにございました適用に関する検討を実施している会社様が、どのような具体的な検討状況なのかということをまとめたものでございます。代表的なもので言いますと一番上のところで、マニュアルあるいは指針の整備でございますけれども、こちらは45社あるという状況でございます。マニュアル、指針の整備まで行っているということでございますので、IFRSの適用に向けた準備が相当進んでいる会社様が45社程度あるということでございまして、こうした会社様は今後IFRSの適用に向けて動かれる可能性が高いのではないかと見られるところでございます。
 
 私からのご報告は以上でございます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 続きまして、小賀坂委員から企業会計基準委員会の活動状況についてご報告をお願いいたします。
 
○小賀坂委員
 企業会計基準委員会の小賀坂です。企業会計基準委員会の活動をご報告させていただきます。
 
 資料8の、まずはスライド4ページをご覧いただけますでしょうか。今、中期運営方針の見直しを行っております。我々の中期運営方針は、おおむね3年おきに公表をしてきておりますが、直近のものとしましては2016年8月に出しております。そちらが3年間の基本方針ということでしたので、今、見直しを行っているという状況でございます。
 
 3年前のこの中期運営方針を策定したときには、IFRSの任意適用拡大によって日本基準とともにIFRSが我が国の資本市場での大きな役割を果たしているという、そういう認識のもと、こちらのスライドにありますように、我が国の上場企業等で用いられる会計基準の質の向上を図るということを掲げて、それを達成するために日本基準を高品質で国際的に整合性のとれたものとして維持・向上を図るということと、国際的な会計基準の質を高めることに貢献すべく意見発信を行っていくということを掲げております。
 
 現在、見直しを行っている中期運営方針では、先ほど金融庁と青委員からお話がありましたように、IFRSの適用企業がさらに増え、さらに重みが増しているということを確認した上で、基本的な方針については継続するということの方向で検討を進めているところでございます。
 
 続いて日本基準の開発の状況についてご説明いたします。まずは我が国の会計基準を国際的に整合性のあるものとするための取組みで、1つ目は収益認識基準でございます。ご案内のとおり、こちらにつきましては昨年の3月に会計処理について最終基準を公表しております。ただ、その表示及び注記につきましては先送りになっておりまして、現在、表示及び注記についてどうするかということを審議しているところでございます。審議の状況としましては、日本基準においても原則としてIFRS第15号の注記事項の全ての項目を求めるという方向で審議を行っております。ただ、その取り入れ方としては、いわゆるチェックリスト的に全ての項目を記載していただくということではなく、開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる項目については注記を省略するということで、開示目的に照らした判断を行っていくということを明確にするという方向で審議を進めております。
 
 続いては、公正価値測定に関するガイダンス及び開示でございますが、こちらにつきましては、今年7月に企業会計基準第30号、時価の算定に関する会計基準を公表しております。こちらの基準では、主として金融商品について時価の算定方法を国際的なものと整合性をとれるようにすると同時に、いわゆるレベル別開示も導入しているところでございます。
 
 続いてはリースでございます。こちらは国際的な会計基準と同様にオペレーティング・リースも含めて、全てのリースについて資産及び負債を認識する会計基準の開発に着手することをこの3月に決定しております。ちなみに、IFRS及び米国会計基準では、今年の1月1日より適用が開始されておりまして、四半期などの開示例が積み重なってきているところでございます。そちらを見ますと、業種によってはかなり大きな資産、負債が追加的に計上される例が国際的に見られております。この問題は、法律上、賃貸借であるものを会計上資産、負債に計上していくものであり、いろいろな意見が聞かれているところでございまして、こちらのスライドに記載しているような内容も含めて慎重に検討を進めているところでございます。
 
 続きましては、金融商品でございます。ご案内のとおり、金融商品会計基準は約20年前に開発されておりまして、それから抜本的な改正はされておりません。国際的には、リーマンショックの後にIFRSにおいても、米国会計基準においても改正が行われているところでございまして、それらを踏まえまして昨年の8月に適用上の課題と議論の進め方に関する意見募集を行っておりまして、現在、そのコメントを踏まえて会計基準の開発に着手するか否かということについて審議を重ねているところでございます。

 その他の会計基準の開発としましては、最近、開発したものとしては、実務対応報告18号について、2回改正を行って在外子会社においてIFRS基準や米国会計基準を採用している場合の修正項目に関する改正を行っております。現在開発している主な会計基準としましては、このスライドのとおりでございますが、この中で、一番下のこの金利指標改革については、いわゆるLIBORが廃止される可能性が高まっているということを踏まえて、その場合、ヘッジ会計等についてどういう影響が出るかなどについて議論をこれから行う予定でございます。IASB及びFASBでもこの検討が進められておりまして、それらをよく踏まえた上で基準開発を行っていく予定でございます。
 
 続きましては、国際的な意見発信についてご報告させていただきます。まずは、のれんの償却の問題でございます。ご案内のとおり、こののれんの償却に関する国際的な情勢については、この会計部会でも毎回報告をさせていただいており、我が国からは償却すべきという意見発信を続けているところでございます。2015年にIASBが検討を開始して以来、何度か償却の議論はもう行わないというような提案がなされてきたのですけれども、我々からは償却を選択肢から落とすべきではないとの意見発信を続けてきておりまして、昨年の7月にはこのスライドに映っておりますように、のれんの会計処理の簡素化の文脈で償却の再導入も検討するということを暫定決定しております。
 
 次のスライドで、本年6月のIASB会議においては、これからディスカッション・ペーパーが出てくるわけなのですけれども、その中にIASBに予備的見解を含めるということが議論されまして、審議の結果としましては、現行の減損のみモデルを維持するということを予備的見解にするということになっております。ただ、この決定に賛成しましたのは、14名のIASBの理事のうち8名のみでありまして、IASBの議長をはじめ、6名の理事の方は反対して償却を支持するという形です。かなり拮抗した状況でございまして、ディスカッション・ペーパーでは両アプローチが説明されるという形で今進んでおります。次のスライドにありますように、このディスカッション・ペーパーは本年中に公表される予定となっているところでございます。
 
 続いてFASBの審議の状況もご報告いたします。FASBにおきましては、非公開の営利企業において、既にのれんの償却の再導入がなされておりまして、10年またはそれより短い期間でのれんを償却することを選択できるという形の取扱いが非公開企業では入っております。この5月に非営利企業にその取扱いを拡大しておりまして、そうすると残るは公開企業ということですが、FASBでは、現在の減損のみアプローチについてベネフィットがコストを正当化していないのではないかというフィードバックを関係者から受けていることを踏まえて、のれんの事後の会計処理を変更すべきか否か、変更に当たっては実効可能な解決策があるか、検討を続けておりまして、この7月にはコメント募集「識別可能な無形資産及びのれんの事後の会計処理」が公表されております。
 
 その中では、最初のセクションでのれんの事後の会計処理を変更すべきかということが問いかけられておりまして、アプローチの最初にのれんの償却が出ております。さらに償却する場合に、その償却期間をどのように考えるかということについて、何個か案を出してかなり深堀した議論をしており、こういった項目について意見募集を行っているという状況でございます。ASBJとしましては、この両方について対応を図る予定で、まずはFASBにつきましては、10月上旬がコメント締め切りですので、どのようなコメントをするかについて関係者と協議を続けているところでございます。また、IASBについては年内にディスカッション・ペーパーが出てくるということを予定されていますので、関係者の意見を集約化した上で対応を図る予定でございます。
 
 なお、我々は、今まで多くのリサーチペーパーを出したり、ASAFの場でも意見発信をしてきているところなのですけれども、現在のIASBにおける議論を見ておりますと、意見が分かれていますのは、現在の減損のみモデルにおいて、のれんの費用処理が、いわゆるToo little too lateなのかどうかというところについての認識に大きな隔たりがあるように見えております。そういったものに対応するために、このスライドにありますように、3年前にのれんの定量的調査を行っているのですけれども、現在、それを更新する作業を行っているところでございます。
 
 国際的な意見発信の最後のスライドですが、国際的なリサーチ・プロジェクトとしては、仮想通貨と無形資産を行っております。仮想通貨につきましては、昨年の3月に日本基準の開発をしたこともあり、国際的にも議論をリードしたいと考えておりまして、リサーチを続けて各国の基準設定主体と議論を続けております。無形資産につきましては、最近の議論として時価総額と会計上の純資産にかなり隔たりがある事例が多く見られるということで、無形資産の認識を拡大すべきではないかという意見が国際的にあちらこちらで聞かれている状況でございます。ASBJとしては無形資産の認識を拡大するということについては、必ずしも賛成ではないのですけれども、国際的な議論にしっかりと参加すべくリサーチを行っているところでございます。
 
 最後に、もう一つ、今、対応をしっかりしなければいけないと思っておりますのは、このIASBの基本財務諸表プロジェクトでございまして、財務業績の計算書について比較可能性を高めるために3つの小計を導入するということとともに、経営者業績指標の開示を要求する大きな提案を今しようとしております。ディスカッション・ペーパーではなく公開草案がもう年内にも公表されるということが予定されておりまして、こちらについても非常に重要な案件でございますので、関係者の意見を集約した上で対応を図っていきたいと考えております。私の説明は以上でございます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、最後に林田委員から財務会計基準機構の活動状況についてご報告をお願いいたします。
 
○林田委員
 今年6月に財務会計基準機構の理事長に就任いたしました林田でございます。よろしくお願いいたします。
 
 国際会計人材の育成について簡単に資料9を使ってご説明させていただきたいと思います。スライドの2ページ目、国際会計人材の育成について当財団では2つの取組みを行っておりまして、まず、第1が国際会計人材ネットワーク、このネットワークはIFRSに関して国際的な場で意見発信できる人材及びIFRSに基づく会計監査の実務、これを担える人材の育成を目的としておりまして、2017年4月に組成いたしました。そこに記載したとおり、当ネットワークに本年5月現在、955名の方に登録をいただいております。
 
 次にスライド3ですけれども、前回の審議会でご報告をした以降のネットワークの活動を簡単にご報告させていただきますと、今年3月には第3回のシンポジウムを開催して、三井前金融庁企画市場局長にご講演いただくとともに、「国際的な会計・監査プロフェッションに向けて」と題したパネルディスカッションを行っております。パネリストの国際的な組織での経験とか、国際的な組織で活躍していくためにどのようなことを心がけていくべきかについての議論が行われました。また、登録者間での交流をより深めるために、50人程度の定例会を開催しておりますけれども、昨年2018年8月に湯浅富士通株式会社執行役員常務をお招きして、企業の登録者を中心として「企業における国際会計人材の育成」を議論いたしました。また、昨年12月には、あずさ監査法人の倉持パートナーをお招きして監査人を中心として「国際会計人材として監査人に求められる資質」に関して議論を行いました。
 
 現在、次回、今月、予定していますけれども、定例会の準備を行っているところですけれども、今後、これらのネットワークに登録されている方々のニーズを踏まえて、各分野の垣根を超えた交流が可能になるような機会を提供していきたいと考えております。
 
 スライド4ですけれども、もう一つの取組みとしては、会計人材開発支援プログラムでIASB等の組織の活動に直接参加して議論できる人材を育成することなどを目的としておりまして、2012年より行っております。昨年までに第4期を終えまして、プログラムの受講修了者は87名となっております。受講を修了された方々はスライドにありますように、役職につかれているほか、多くの方が会計基準の設定に関する活動の場で活躍をされており、成果を上げているものと考えております。
 
 続いてスライド5ですけれども、本年1月より第5期を開始しております。受講者を公募して選定して、13名の方々に受講をいただいております。ASBJの常勤委員やIASB関係者と意見交換を行っていただくことによって、会計基準を設定する際の考え方や会計基準を設定する業務が財務諸表の作成者、利用者、監査人の日常業務と異なる側面を有している点などを学んでいただいております。参加された方や所属されている企業、監査法人などから高い評価をいただいておりますので、今後もこの取組みを継続していきたいと考えております。
 
 私からは以上でございます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。

 それでは、先ほどの会計基準を巡る変遷と最近の状況についての事務局の説明、それから、東証、ASBJ、FASFからの活動報告につきましてご質問、ご意見等をいただければと思います。大体60分程度の時間がございますので、若干ご質問やご意見の内容をシンプルにしていただけましたら、委員の皆様全員の意見を聞くことができるのではないかと考えております。よろしくお願いいたします。石原委員。
 
○石原委員
 ありがとうございます。会計基準に関する最近の状況についてお話を伺ったわけですが、せっかくの機会ですので、特に情報開示に関しまして私の問題意識と今後ぜひ検討していただきたい点について申し上げたいと思います。
 
 最近の資本市場を見ますと、パッシブ、インデックスの投資の比率が増加しております。一方で、伝統的なアクティブ投資の比率は低下傾向が続いていると認識しております。これは世界的な金融緩和のもとにおける投資リターンの低下、それから、デジタル情報化の進展に伴う情報格差の縮小、こういったことに起因するのではないかと推察しております。すなわち、アナリストの皆さん等による個別企業のリサーチに立脚して投資判断を行う伝統的なアクティブの投資ではリサーチコストを上回る差別的なリターンを得るのが難しくなりつつある状況があるのではないかと想定しているところです。実際、長年にわたるIR活動を通じておつき合いのあったアクティブファンドのファンドマネージャーやアナリストの皆さんの退職の増加等、非常に肌身に感じます。
 
 仮にこうしたトレンドが続くとしますと、個別企業の競争力や収益力、あるいは成長性といった投資判断の基準の比重がどんどん低下し、結果的に投資を通じた企業の選別、最適資源配分といった資本市場が本来果たすべき役割が劣化して、経済全体の成長力を弱めることになるのではないかと個人的に大いに懸念しているところです。また、事業会社というミクロの立場からは、企業の持続的な成長、中長期的な企業価値の向上に向けた建設的な対話に関しまして、その相手、対話の内容、対話の方法等のありようも大きく変化していくのではないかという問題意識を持っているところです。
 
 そうした認識に基づきまして、特に開示に関して3点ほど具体的な課題感を申し上げたいと思います。第1点は四半期開示の任意化です。四半期報告書という制度開示資料の情報価値は、残念ながら先ほど申し上げた昨今の投資トレンドを踏まえますと、投資判断においては低下しているのではないかと思われます。そうであれば、例えば第1四半期、第3四半期の決算は任意とし、決算説明も任意の開示資料のみで十分ではないかと考えます。欧州、米国の動向も踏まえて、開示の後退とか無いよりはあった方がよいという捉え方ではなくて、投資家が投資判断を行う際の必要性、実際に活用されている程度という観点で評価、検討していただければと思います。
 
 第2は単体開示の簡素化です。単体開示の簡素化は、IFRSの任意適用の拡大と同時に方向性が定められていますが、その徹底をお願いしたいということです。投資判断におきまして、個別企業のリサーチの比重が低下し、ESG開示等の比重が高まるとすれば、グローバルスタンダードである連結主体の情報開示で必要十分であり、単体の開示は会社法との関係を考慮しつつ、基本的に必要最小限でよいということを徹底していただきたいと考えています。
 
 それから、第3は、IFRSを適用した際の有価証券報告書における日本基準とIFRSとの差異の開示、特に継続開示の廃止です。IFRS適用後に仮に日本基準を継続適用していたらという情報を並行して維持していくというのは、情報の信頼性担保も含めて多大な負荷がかかる一方で、投資判断における情報の有用性や活用度合いには疑問を持っています。また、IFRSの任意適用拡大にも障害となりかねないと考えます。ぜひこの3点についてご検討いただきたいと思っております。
 
 私からは以上であります。
 
○徳賀会長
 石原委員、ご意見、ありがとうございました。3点ほどご指摘があったと理解いたしました。まず、1つずついきたいと思いますが、四半期開示につきましては、事務局から回答を。
 
○井上企業開示課長
 四半期開示については、金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループでご議論いただいておりまして、昨年6月に報告いただいております。その報告も踏まえまして、アメリカ等の海外の動向も注視して今後も検討してまいりたいと思います。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 単体の開示につきましては、どうしましょうか。ASBJからご回答いただけますか。
 
○小賀坂委員
 単体の財務諸表の注記につきましては、これまで連結と一律同じこととしているわけではなくて、ご案内のとおり、その注記の重要性等に応じて、会計基準ごとに、連結と同じにするもの、連結と単体の内容が同じであれば単体は不要とするもの、連結があれば単体は不要とするものなどを使い分けてきているところでございます。ただ、必ずしもその方針が定まっているということではないという認識もございまして、なかなか難しいのですけれども、可能であれば何らかの開発方針のようなものを作成していければよいなとも考えているところでございます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 3つ目、差異開示につきましては事務局からまずお答えします。
 
○井上企業開示課長
 まず、継続的な差異開示について、補足させていただきますと、IFRS適用企業における差異開示につきましては、利用者の立場から見た比較可能性の観点と企業の負担・コストの観点の双方に配慮いたしまして、平成20年3月期より監査対象外の情報として、IFRS適用初年度に加えて翌事業年度も継続的に開示が求められているところでございます。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 この問題に関しましては、利用者から意見ございますでしょうか。どうぞ、水口委員。
 
○水口委員
 IFRS適用企業について、仮に適用2年目から有価証券報告書におけるIFRSと日本基準の差異の記載を省略したとしても、開示情報の有用性を大きく損ねることはないという見方もできるのではないかと思います。仮にIFRS適用企業で、適用2年目からIFRSと日本基準の差異の記載を省略することで企業の開示負担が減少するのであれば、その余力をもってグローバルピアと比較して遜色のない開示、例えば実質的な注記、有用な注記の充実などを図っていただけたらと思います。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 ほかの委員、いかがでしょうか。窪田委員、お願いします。
 
○窪田委員
 私も利用者の立場で今の石原委員のご発言に対してコメントします。まず、四半期開示が必要ないという意見には反対です。今、グローバルに技術革新とか、経済のいろいろな構造変化が起こりつつある中で、短期的な業績変動をチェックする目的ではなく、構造変化が四半期ごとにどう進んでいるかチェックするのは非常に重要です。四半期開示を簡素化する話ならば議論する価値がありますが、開示を任意化するのでは、開示をやめる企業が出てくる可能性があるので、全然話が違います。四半期開示をやめる企業があらわれると、アナリストにとっての利便性が大いに減ると同時に、企業にとっても情報管理上問題があると思います。
 
 企業は当然、管理会計で月次決算までやっているところがあると思います。四半期開示をなくしてくれという意見は、四半期ごとの業績管理が必要ないという意味ではないと考えられます。必要なので管理会計ではやっている。経営としては管理している。だけど、利用者への開示は勘弁してくれという話だと思います。私は、こういう議論が出るたびにいつも同じことを言っています。アナリストが知りたいことと経営者が知りたいことは同じですと。だから、アナリストのためだけに開示をしているのではなくて、その資料をつくることによって、アナリストが見ると同時に企業の経営者も利用しているということです。企業の経営者には報告をするけれども、アナリストへの開示は勘弁してくれという議論は時代に逆行する議論ではないかと思います。
 
 あと、単体の簡素化についても異論があります。アナリストには株のアナリストだけでなく、クレジットアナリストもいます。クレジットアナリストにとって単体の分析は極めて重要です。たとえば、連結のキャッシュと単体のキャッシュはクレジット分析において同じものではありません。連結で幾らキャッシュを持っているということだけの情報では当然足りません。単体のキャッシュがいくらあるか知る必要があります。また、株のアナリストにとっても連結のセグメント情報がまだ不十分なので、このまま単体簡素化が進むことには反対です。セグメント情報が十分になった暁に単体が簡素化されるならば理解できますが、セグメント情報が不十分な中で単体がどんどん簡素化されていくということがアナリストにとっての分析を難しくしているところが多々あります。それにも配慮いただきたいと思います。
 
 以上です。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、ほかに。どうぞ、川村義則委員。
 
○川村(義)委員
 学界の観点から申し上げますと、本日、とある学会でIFRS任意適用企業が適用初年度において日本基準による純利益とIFRSによる純利益の両方を開示している中で、どうやら株価に対する説明力は日本基準による純利益のほうが高かったというような研究報告がありました。想像するに、その後だんだんIFRSのほうに重点が移っていくのだろうとは思うのですけれども、少なくとも切りかえた直後の何期かは、むしろ、日本基準の純利益のほうが説明力が高いという話であれば、先ほどのどのタイミングで並行開示をやめるかということについては慎重に検討する必要があるのではないかと思った次第です。
 
○徳賀会長
 川村義則委員、ありがとうございました。
 
 ほかにいかがですか。川村雄介委員、よろしくお願いします。
 
○川村(雄)委員
 黙っていようと思ったのですが、感想的なことで四半期開示のこの頻度の問題、それから、内容の程度の問題については結構前から議論があって、私はむしろ、緩和というか、半期で、あるいは年2回でいいのではないかなと思っています。これは全く考え方が違う、四半期がいいんだ、もっと言えば八半期がいいんだ、極論すれば月次まで出せという議論が当然、立場上あるのは承知しております。ただ、ここは先ほど少し、四半期開示はぜひむしろ充実させるべきだというご意見の根拠として、アナリストと経営者が同じだという件については、私としてはガバナンスの観点から意見を異にいたします。コーポレートガバナンスをどう見るかによって、そこの考え方も違ってくると思うのですけれども、四半期開示を頻繁にする根拠として、アナリストと経営者と同じということには、私としては賛同できないという感じであります。
 
 その上で、四半期開示のほうの、これ、緩和と言うのか、簡素化と言うのか、実際にこのプロの分析者であるアナリストの皆さんと一般投資家と、特に最近、機関化現象、いわばプロ同士のマーケットになっているわけですね。私が40年前アナリストで飯を食っていた時代と、もう全く時代が違っています。あのころはアナリストというのは、どちらかというと個人投資家向けにあったのですけれども、今はもう全く時代が変わってしまっている。そういう中で、やはり長いトレンドの中で見てきたときに、私としては四半期報告をこれ以上細かくというか、多くする必要はないのではないかと感じています。これは感想、そこで大議論をしろという気はありませんが、そういう感想を持ちます。
 
 それと、むしろ逆に思うのは、内部統制報告書の監査について、順番を入れかえるというか、これはこれでそのとおり整合性を合わせていいと思うのですが、実はいろいろなディスクロージャーの中で、財務関係とか附属明細書とか、要するに有報の、あの辺は非常に細かく、この20年ぐらいで超速の進歩だと思うんです。ところが、内部統制についていつも思うのは、何かバラモン教の経文が数行書いてあるみたいなイメージがはっきり言ってあります。いろいろな各社の内部統制報告を見ても、何か木で鼻をくくったように問題なし、問題なし、問題なし、これ、内部統制、ほんとうどうなのみたいなのが正直あって、それを見るだけ無駄だぐらいの感じもします。
 
 一方で、事業会社からしてみると、この内部統制報告書をつくるのはかなり手間がかかっているんですよね。各部署に全部ヒアリングし、監査役は無論のこと、社外取締役等の意見も求め、それでつくり上げていくというものすごい手間がかかっているんだけれども、出てきたものを見ると何か極めてあっさりというのでしょうか、この辺は少し考えたほうがいいのではないかなと。逆に、これはもう少しわかりやすくというか、詳しくというか、そういう方向が必要なのではないかと思うんです。特にいわゆる不祥事的なことが発生してしまったような企業にとって、その不祥事発生後の内部統制がどうだったのかというレビューもその中でもあっていいのではないかという気はしています。
 
 3つ目は、これ、完全に素朴な質問なのですが、このIFRSの適用の世界地図を見たときに、これ、今後何が起こるのだろうかと。つまり、基本的にIFRSは日本も適用する方向でいこうという議論で、私もこの審議会に参加させていただいて、その中でガラパゴスルールを作ったり、いろいろ日本は苦労してきたわけでありますけれども、この地図を見たときに世界の2大経済大国、アメリカと中国、そしてそれに次ぐインド、東南アジアも実際に見ると、これはどうもIFRSを強制適用しているのはミャンマーとかカンボジアとかバングラデシュとかネパールなんですね。こう考えてくると非常に世界の、ざっくり言えばGDPの過半ぐらい占めるところが実はIFRS適用していない、強制適用していない。
 
 さて、今後、今、米中間とか、あるいはユーロの流動化とかいろいろ言われている中で、この日本企業のグローバル化の中で、これをどう考えていいのかなと正直悩むところです。つまり、今の議論の流れとしては、このIFRS任意を増やしていって、だんだん合わせていきましょうと、そのとおりなのだけれども、他方でこの地図を見てしまいますと、そう単純なのかなと。これは私も答えがわからないところで、何かヒントを教えていただければありがたいなと思います。
 
 以上です。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 まず、川村雄介委員の2つ目のご意見ですが、内部統制基準について恐らく実質的な見直しが必要ではないかというようなご指摘だと理解いたしました。これについては事務局からお願いします。
       
○井上企業開示課長
 内部統制に関しましては、先ほど八田部会長からもございましたように、色々なご意見があると思っております。この場でいただいたご意見も踏まえまして、事務局として今後の対応案について検討を進めてまいりたいと思います。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それから、3つ目はIFRSの適用に関する今後の展望のようなものを示せということだと思いますが、これも事務局でよろしいですか。
 
○井上企業開示課長
 これもご存じのとおりアメリカがどういうことになるかというのが恐らく最大の注目すべき点ではあるとは思います。ただ、資料6の9ページの下のほうの四角にもございますが、もともと2005年に欧州がIFRS適用開始したときは二十数カ国だったわけですけれども、現在、157法域まで増えているという、それだけIFRSが実際の基準として使われるようになってきていて、かつ日本でもマーケットキャップの35%を超える程度まで使われてきているということも事実であろうと思いますので、特にその米国の動向がどうなるかということについては、今後我々事務局としても注目してまいりたいと思います。
 
○徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、別の論点につきましてご質問、ご意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。どうぞ、窪田委員。
 
○窪田委員
 短く言いますけれども、4点あります。1点、IFRSの採用企業が広がってきていることは望ましい傾向だと思っています。けれども、業種に偏りがある。全く1社も採用していない銀行や建設とか、そういった業種があるのはなぜでしょう。それは業種ごとの事情によるものだと思うのですが、何がボトルネックになっているかをヒアリングする必要があると思います。1社も採用していない業界があるのが、IFRSの問題だったら仕方がないですが、そうではなくて日本特有の慣行がネックとなっているのならば、対処策を考える必要があります。建設ですと、収益認識基準が現時点で日本と異なる問題もあります。売上高によって受注が取れたり、取れなかったりすることもあるので、日本と異なる基準を採用しにくくなっているという問題があると思います。金融商品や収益認識基準に関して日本基準がIFRSに近づけば、銀行や建設で採用が進むのか、あるいはもっと別の問題があるのか、原因を明らかにして業種別の広がりをもう少し進めたほうがいいと思います。
 
 2番目、あるべきIFRSの内容についての意見発信の強化についてコメントします。これまでJMISを通じてフルリサイクリング、のれん償却という意見を国際的に発信してきたのは極めて意義のある活動だったと評価しています。今後、日本からの意見発信にもう一つ加えたらいいと考えていることがあります。それは、営業利益の定義です。アナリストが今非常にIFRSで困っていることとして、IFRSに営業利益の定義がないことがあります。日本企業がIFRSを採用すると、営業利益がいろいろな定義のものに変わってしまうので、これまで使っていた営業利益率の同業他社比較とか時系列比較とか、こういった分析ができなくなってきている。この問題につきましては、日本だけではなくて多分、世界中のアナリストが同じ問題意識を持っています。営業利益の定義を日本から意見発信することに意義があると思います。
 
 今、ASBJでは、IASBの基本財務プロジェクトのところで営業利益について意見を言っていく方針ですけれども、向こうがやっている会計方針に意見を言うだけでは、意見発信として弱いと思います。1つ日本から営業利益はこう定義したら良いというものをJMIS、あるいは何らかのレポートを通じて提案したらいいと思います。IFRSで営業利益の定義が決められない最大の問題は、日本には特別損益があるけれども、IFRSでは特別損益というものは原則認められていないことにあると思います。営業利益を定義するときに、特別損益的なものを除くべきという考えは欧米にもあります。ところが、特別損益的なものを除く調整後営業利益の作り方が企業によって全くばらばらです。そのばらばらのものをそのまま許容してしまっているのが現在のIFRSです。特別損益的なものを除いて作る営業利益的なものをどう定義していくかJMISを通じて日本の統一意見として提案できれば、世界のアナリストの共感も得られると思っています。
 
 次に、3番目ですが、見積もりの不確実性の発生要因に関する会計基準を現在、ASBJで議論しているところですけれども、同時に監査報告書でKAMの開示が始まっています。これが完成すれば監査報告書と財務報告書の両方で見積もりの不確実性に関しての開示が充実してくることを歓迎しています。ただ、1つ問題があります。現在、見積もりの不確実性の発生要因の開示について、引当金をゼロと見積もった偶発事象に関する開示は対象外となっています。今、グローバルに事業展開する企業に発生する制裁金などの偶発損失は年々巨額化していて、非常に経営にも影響が大きくなってきています。そうした偶発事象が起こっているところで引当金をゼロと見積もっている場合の開示が実質対象外になっています。監査報告書に開示されるKAMでは、当然、そういった偶発事象の開示も議論に出てくると思います。ここのところで議論がそろっていない。日本に今、偶発事象の会計基準がなく、そのために適時適切な開示が行われていなくて、開示方法も企業ごとにばらばらになっている問題が、日本公認会計士協会からの報告書でも指摘されています。偶発事象の会計基準について、もう一度検討することを考えた方が良いと思っています。
 
 長くなって済みません。最後、4番目の意見ですけれども、有価証券報告書と事業報告書の一体開示を進めるという議論が出ては消え、実施企業がなかなか増えません。株主総会の前に有価証券報告書を作って、事業報告書と一体開示することが、作成者サイドで技術的に難しいという理由で今まで断念されてきています。一体開示のために株主総会を後ずれさせるべきという意見もありますが、それはすべきでないと思っています。株主総会の時期を変えずに、一体開示を実現できれば利用者にとってメリットがあるだけでなく、作成者にとってもメリットがあると思います。別々に作ることでいろいろ二重の作業が生じますが、それがカットされるメリットもあると思います。一体開示実施に、何がボトルネックになっているかもう1回検討すべきと思います。例えば書類作成が求められているもので、ネットでの開示をもっと広く認めるなど、作成者の手間を省くことで、なるべく一体開示が実現するような検討努力を引き続きやっていくべきと思っています。
 
 以上です。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 まず、第1点目がIFRSの偏りに関するもので、これは事務局から説明いただけますか。
 
〇井上企業開示課長
 窪田委員の1点目につきましては、おっしゃるとおり業種によって偏りが見られるところだと思います。それはある意味、業種の中の有力な会社がIFRSを適用されると、それにほかの企業も引っ張られるという側面が1つあるということだと思います。あとは、銀行とか、ご存じのとおり別記事業という形になっておりまして、その業法上の会計が別にあるというようなところも1つの要因かと思っております。そこについては、銀行に関しては当庁が所管しておりますので、2017年に銀行法施行規則等を改正いたしまして、IFRSの任意適用ができるような制度にしております。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 2つ目の営業利益の国際的な定義がばらついているということでございますが、これにつきましてはASBJからご説明いただけますか。
 
〇小賀坂委員
 JMISの中で営業利益について意見発信したらどうかというご意見だったと思います。この点はJMISを2013年から15年ぐらいに最初に作ったときに、全てのIFRSの基準書をエンドースメントしておりまして、その中でこの営業利益についても議論をしております。その当時もやはり営業利益が定義されていないということの問題意識は聞かれたのですけれども、意見としては割れておりまして、営業利益を定義していくべきだという意見とIFRSのような形で当期純利益の中に入れていけばよいのではないかという意見がありました。JMISでこれを削除または修正するということになると、IFRSに強く改正を求めるということになりますので、のれんの償却なりリサイクリングの問題に比べると少し次元が違うのではないかということで、それ以上の問題視はしていなかったということでございます。
 
 この営業利益の問題は、IASBが基本財務諸表プロジェクトの中で、財務業績の計算書の表示を扱っておりまして、その中の小計の1つとして営業利益を出してきております。形式上の画一性は、これによって向上する可能性はありますが、こちらの営業利益のつくり方は、営業利益を定義するというよりは、投資なり財務から差し引いた残額のような形ですので、積極的に定義しにいっていない点を問題視しております。そのあたりにつきましては、先ほどご報告しましたとおり、IASBが公開草案を公表してきた段階で関係者の意見を集約した上で対応を図っていきたいと思っている次第でございます。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 3つ目が見積もりの不確実性に関する開示の問題、偶発事象の開示の必要性等に対するご意見であったと思いますが、こちらもASBJからご意見をいただけますか。
 
〇小賀坂委員
 先ほどご報告しましたように、日本基準の開発の中で見積もりの不確実性の発生要因に関する開示の検討を行っております。今、おおむね方向性はまとまってきておりまして、その文案を作っているところですけれども、基本的にはそのIAS1号と同じようなワーディングを用いるということを提案しております。そういう意味で、直接的には資産、負債を対象にした表現になっていますが、引当金などの偶発事象を対象外にして、全く検討しない、記載してはいけないという形にはなっていません。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございます。
 
 最後に4つ目の質問は、有価証券報告書と事業報告書の一体開示の問題です、よろしくお願いします。
 
〇井上企業開示課長
 有価証券報告書と事業報告書の一体開示につきましては、関係省庁、具体的には金融庁、法務省、内閣官房、経済産業省の間で議論を進めてまいりまして、それぞれ省令及び内閣府令等を改正した上で昨年の12月に実際何社かの企業にご協力いただきまして、一体的開示の実例、ひな形みたいなものを4省庁のホームページで公表しております。こういったものを利用していただけるように働きかけてまいりたいと思います。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、小倉委員、どうぞ。
 
〇小倉委員
 日本公認会計士協会の小倉です。私からは3点コメントさせていただきます。主に取組み状況でございます。
 
 1点目はIFRSへの移行の取組みへの関連としまして、本年11月29日に会計教育研修機構との共催でIFRSの理解の促進を目的としたセミナー開催を予定していることをご報告いたします。本セミナーでは、IASBからスー・ロイド副議長、鈴木理事をお迎えいたしまして、IASBが取り組む活動、プロジェクトの最新動向についてご講演いただくとともに、先ほどもご説明がございました、のれん及び減損をテーマとしてパネルディスカッションを行う予定としております。
 
 2点目は、日本基準の高品質化に向けた取組みでございます。時価算定会計基準の円滑な導入に係るご説明がございましたが、本基準の適用により金融商品のレベル別開示が行われることにより、財務諸表の利用者にとって財務報告の有用性が高まることが期待されています。日本公認会計士協会では金融機関の監査人向けの研修をはじめとする適切な運用に向けた取組みを実施してまいります。また、同様に企業の営業活動の成果の報告に直接関係する収益認識基準については、大宗の企業に影響する基準であり、2021年4月以降の適用に向けて準備が進められているところでございます。当該準備状況のヒアリングや研修等により監査人の支援、指導を通じて、適正な財務報告の実現に向けた取組みを実施していきたいと考えております。
 
 最後に3点目ですが、国際会計人材ネットワークに関して、当協会全体としては昨年の登録者数から約140名の増加になっておりますが、その要因はIFRS任意適用企業数が伸びていることに伴う監査の担い手が大幅に増えたことに起因するものと分析をしております。引き続き、この取組みについての周知を図っていきたいと考えております。

 以上でございます。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 小倉委員からは、日本公認会計士協会の最近の活動状況についてご紹介いただいたと理解いたしました。どうぞ、橋本委員。
 
〇橋本委員
 ちょうど今年は2009年の「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書」が公表されてから10年、また、2010年3月期からIFRSの任意適用が認められてから10期目ということで、最初は1桁ぐらいの任意適用会社が今では200社まで増えたということで非常に感慨深いものがあります。今回、国際会計人材ネットワークのほうで登録者数の目標1,000名というのが出まして、非常に具体的で数値目標としてわかりやすいと思いますので、このIFRS任意適用企業の積上げとか拡大促進も当初100社とか、300社、400社という数字が出ましたけれども、何か2020年に向けて何社という目標を掲げたりとか、あるいは移行経験の共有などというのも過去3年間ぐらいやっていますので、そこから移行した企業の好事例集、最近、好事例集があると、それを参考に検討する企業も多いと思いますので、そういうのを設けてもいいのではないかと思います。
 
 また、IFRS任意適用になることによって、かえって負担が増えるというのは、任意適用の拡大促進にとってやはり大きな障害ですので、先ほどの差異の継続開示の問題とか、あるいは私も過去、IFRSの個別財務諸表の任意適用を認めるべきだとか、いろいろな意見を言いましたけれども、何か良い方策がないかということを考えております。それと、4基準の併存という状態が大きな収斂の中での1つのステップということで長年続いていますけれども、これも何か証券市場のほうでマーケットを分けるなり、グローバル市場とか、IFRS市場というのがあると、比較可能性も高まっていいのかなとも考えています。その辺のところに関して何か取組みとかご検討をしていただければと思います。
 
 以上です。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
〇井上企業開示課長
 任意適用の積上げについての方策については、今いただいたご意見も参考にしながら検討してまいりたいと思います。最後、IFRSの市場という話をコメントいただきましたけれども、金融審議会において市場構造専門グループで、市場構造のあり方については現在議論が行われておりまして、その中でも国際会計基準の取扱いについてのご意見が出ていると承知しておりますので、そちらと歩調を合わせて検討してまいりたいと思います。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、熊谷委員、どうぞ。

〇熊谷委員
 国際会計人材の開発、育成の取組みでありますけれども、私自身がFASFの第1回の受講生でした。それ以降もFASF及びASBJから大変なご支援をいただきまして、国際的な意見発信にかかわっているわけでありますけれども、改めて御礼申し上ます。また、林田委員の資料の2ページ目を拝見していましても、残念ながら利用者から会計に関して意見発信できる人材というのは、監査人の方々ですとか、あるいは企業の方々、作成者から比べて非常に層が薄いというのが現状であると問題意識を持っております。
 
 私自身、今日はみずほ証券の立場で来ておりますけれども、アナリスト協会の企業会計部長というのも兼務させていただいております。今日ご紹介させていただきますのは、アナリスト協会ではなく財務諸表利用者の活動ですが、CRUFという組織がございます。Corporate Reporting Users Forumと申しまして、これは財務諸表利用者のグローバルな意見発信の組織です。CRUFは、メンバーが自主的に参加するネットワーク組織で、PwCさんに、事務局をしていただいております。日本ではPwCあらたさんに事務局をしていただいております。日本独自の取組みとしまして7月よりOpen CRUFという名前で、CRUFのメンバー以外のメンバーの方々にも開放する形で、財務諸表利用者の興味が抱けるような会計上の論点を選びまして、初回はPwCの監査人の方を講師に解説いただくというような取組みを始めたところでございます。
 
 財務諸表利用者は、なかなか会計基準に対する取っかかりというのがあるわけではなく、細かいところまで理解しているわけではありません。そこで、第1回Open CRUFでは、連結子会社、あるいは持分法適用会社、それ以外の会社に移行がある場合の会計処理について、利用者から見て分かりづらい論点について、解説していただきました。当日は、30名ほどの出席者があり、その中から国際会計人材ネットワークへの登録者も1名出るなど、初回にしては望外の効果が得られました。こういうことを始めました趣旨というのは、会計関係の審議会や委員会に、新しく利用者を委員に推薦しますときに、一本釣り的に対応していたのですけれども、アドホックにやっているのではなくて、システマティックに会計に興味を持って国内外において意見発信をしていけるような人材を発掘し、育成していきたいということでございます。
 
 そういう中から、FASFさんでやられております育成プログラム、こういったものへ送り込めるようなこともできてくるのではないかなと期待しているところであります。どうもありがとうございます。
 
〇徳賀会長
 熊谷委員、情報の提供、ありがとうございました。
 
 続きまして、岡田委員、どうぞ。
 
〇岡田委員
 意見を2つと、あとは全般的な感想です。

 1つは、個別財務諸表へのIFRSの任意適用についてです。私はついこの間まで三井物産にいましたが、連結財務諸表を作成するに際し、子会社それぞれが法域ごとにその法域で決められている会計基準に従って財務諸表を報告してきます。現在、140あまりの法域でIFRSが適用されているということは、ほぼ、ほとんどの国の子会社からIFRS基準に従った報告が来る。これは大変効率よいのですが、米国にしても、国内にある我々の子会社はIFRSで財務諸表をつくっていいということになっており、これもかなり効率が上がっています。ただ、問題は日本でございます。日本国内の子会社は日本基準で個別財務諸表を作成し、それをIFRSにする調整表を報告するという形になっておりますので、大変な手数がかかっている。個別財務諸表へのIFRS適用をお願いできればと思います。以前からこの議論はあり、難しい問題はあることは承知しているのですが、引き続き検討いただきたいということが1つであります。
 
 次に、先ほどIFRSの適用法域にこのブルーで色が抜いてある、かなりのGDPの比率の高いところが、自国基準でやっているじゃないかというご意見があったわけですが、これはアメリカ、中国、インドを指していると思いますが、それぞれに事情は異なることを申し上げたいと思います。アメリカは先ほど申し上げましたけれども、非上場子会社が海外の親会社に対してIFRS基準での報告することは認めていますし、米国で上場している500社あまりの外国企業の財務諸表はIFRS基準による提出を認めています。さらに言えば、米基準とIFRSは言ってみれば似たもの同士で、リース会計、金融商品会計、収益計上基準など細かいところで違いはありますが、ほとんど一緒だと私は思っております。
 
 中国の場合は、IFRSを完全に適用している状態ではないのですが、IFRSの全面適用を目指しております。IFRSに向けて、特に上場会社についてはIFRSが相当浸透しております。インドは残念ながらカーブアウトをかなりやっていまして、IFRS採用までは程遠い状況です。これら3つの法域を1つにくくって、IFRSに進むのがいかがという話になると元IFRSのトラスティをやっていた身としては、誤解を解いておきたいと思った次第です。
 
 最後に、監査基準の改訂、KAMの議論等、かなり進んだという実感をもっております。金融庁のご尽力のたまものと思っておりますが、この先まだまだ進まなければいけないところがあるのではないでしょうか。例えばKAMの試行、テストをやったときに、JICPAでいろいろまとめた結果を拝見すると、やはりKAMの内容についていろいろ議論があったのは、開示が遅れている日本基準適用の会社であったそうです。
 
 つまり、開示されていない情報がKAMで出ることに対しての経営陣と会計監査法人の議論が随分あったとのことです。まだまだ日本基準の開示の水準は国際的なものにはなっていないということではないかと思います。開示不足によって投資家、特に海外の投資家から、投資を敬遠されているようなことはないのか、あるいは逆に開示を充実させることによって投資を呼び込むことができるのか、このあたりを実証的に調査して企業に開示の充実を促すという方向に行けばいいのではないかと思います。
 
 それから、IFRSの会計処理についても、これは原則主義になっているわけですが、ルール主義であれば決まっていることをルールどおりやっていればよいのですが、原則主義というのは選択の幅がある話なので、原則主義の幅の中で都合のいいところを取っていくということも可能になってしまいます。この辺は企業の自己規律に頼らざるを得ないところであります。まだまだ会社数は増やしてほしいところではありますが、これからIFRSの質の高さというのも目指していくためにはどうしたらいいかという議論も大事ではないかと思います。
 
 以上です。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 4点ほどご意見をいただきましたが、2番目と4番目はご高説をいただいたということにさせていただきたいと思います。最初の単体へのIFRS任意適用について検討を進めるべきではないかというご意見につきまして、事務局からお願いします。
 
〇井上企業開示課長
 単体のIFRS任意適用については、これまでもいろいろと委員会でもご議論いただいたところではございますけれども、会社法の分配規制、あるいは税法にも影響いたしますため、関係省庁と連携して検討を進めてまいりたいと思います。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、3番目のKAMについてどなたかご意見ございませんか。どうぞ、水口委員。
 
〇水口委員
 ありがとうございます。岡田委員からもありましたようにKAMについて金融庁の方々によるご尽力を感謝するところです。ASBJのほうで見積りの不確実性の発生要因につきまして開示の整備も進めていただいていることも感謝しております。財務諸表利用者といたしましては、国際化、経済取引が複雑化・専門化などを背景に、会計上の見積りにかかわる不確実性が高まっていると認識しておりまして、その見積りの不確実性の発生要因に関する開示は非常に重要であると考えています。
 
 グローバルの潮流にも沿った動きはしていただいているとは認識しておりますが、KAMの導入の視点からも、先ほども申し上げたように、グローバルピアと遜色のない実質的な注記、有用な注記を期待するところです。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、その他の論点についてご意見等ございますでしょうか。どうぞ、川村義則委員。
 
〇川村(義)委員
 現在、IFRSを適用する企業が増えてきたという状況のもとにおいて、一方では、依然、日本基準を採用している企業もあるという事実にも目を向けなくてはいけないだろうなと思うわけです。そういう中で、例えばかなり大きな仮定ですけれども、IFRSがのれんの償却を強制するような形にもしなった場合に、今までIFRSを適用していた企業が日本基準に戻ってくるということがないわけではないと思います。そうすると、行ったり来たりを認めるのかとか、あとは逆に日本基準に切りかえるときの初年度の期首貸借対照表のつくり方に関するルールをどうするかとか、いろいろと考えるべきものもあるのではないかという気がいたします。
 
 また、先ほど注記の件ですが、IFRSでつくっている注記と日本基準でつくっている注記を横に並べてみると、やはり構成が大分違っていて非常に比較しづらいというのはよく感じるところです。本体は遜色のないフォーマットになっていると思うのですけれども、注記に関して項目立てや順序といったところをどこかのタイミングで整理していただけると非常によいのではないかと思います。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 最初のほうのこれまで制度的には想定されていなかった会計基準の変更等についても手続を考えておく必要があるのではないかということにつきまして、事務局からお願いします。
 
〇井上企業開示課長
 現時点では、そういったことは想定していないということではありますけれども、基本的にどういう会計基準を選ぶかというのは、それぞれ企業のご判断で、会計基準の変更に関する考え方もございます。若干私見にはなりますけれども、いわゆるスタンダードショッピングと言われるような形の動機での会計基準の変更というのは望ましくないものと考えております。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 それでは、その他の論点につきまして、八田委員からお願いします。
 
〇八田委員
 せっかくの貴重な時間ですので一言。先ほど井上課長もご検討をいただけるということを少しおっしゃっておられましたが、内部統制の基準は、今回、形式的な、特に監査報告書の部分や意見表明のところで公開草案が出ます。これは時宜にかなった話で当然やっていただきますけれども、せっかく金商法上2008年以降、この制度が導入されて10年超えたわけですから。もっと実質的な部分での見直しの議論を再開していただければと考えています。ただ、実際の開示内容を見てみると、学会などでも議論されておりますが、ほとんどの会社が特に問題はなく、内部統制は有効であると言っております。開示すべき重要な不備はないということです。ところが、全てが会計マターとは言わないですが、昨今、頻発する会計不正、あるいは不祥事、こういった問題が起きると必ず例外なく企業のほう、ないしはそこで組織された第三者委員会などが調査した結果の内容は、異口同音に内部統制が機能していないと言っております。そして、再発防止策とか是正策では内部統制を強化しますというのです。
 
 ところが、重要なのは、この内部統制の何がだめで、そして今後何をするのかという個別・具体的な部分はほとんど記載されていないのです。申し上げたいのは2点あります。まず、1点目は、実際に実務に携わっている、会計士の先生もそうかもしれないし、法律家、あるいは企業人が内部統制のほんとうの実態的な意味を十分に理解していない人が余りにも多いということです。と同時に、この国際会計基準もそうですけれども、原則主義をベースに、今、企業には自主性、あるいは主体性が強く求められていますが、その為には自己規律が非常に重要だということです。となってくると、自社の管理体制がどうであるかということに対して全面的な責任を負わなければならず、有効な内部統制を整備・運用することが極めて重要だということ、これが第2点目です。さらに会社法は外の目を入れろということから、社外の役員をどんどん形式的に増加する傾向にある。
 
 聞くところによりますと、今度、会社法は社外取締役については選任することを要求してくるようです。社外取締役の設置を義務化しても実質的に機能しなければ意味がないということです。ところが、一般的に、外部の人は社内に十分な情報を得るチャネルが必ずしもあるとは限らない。実際に不祥事が起きた企業を見てみると、ほとんどの場合、社外役員は機能していません。そして中には、そんな話は聞いていなかったのだとおっしゃる社外役員の方もいる。あるいは、こんな失礼な会社だから、私はやめるといって辞任されてしまう。とんでもない話です。つまり、そういうことのないために適時適切に情報が伝達されなければならない。あるいは共有されなければならない。まさにそれこそが内部統制の根幹にかかわる部分です。ということもありますので、ぜひ内部統制議論を全面的に見直していただきたいということであります。
 
 これはかつて私どもが内部統制議論にかかわったときにベースにしたのが、1992年のアメリカの基準でしたが、それから20年たって2013年、この報告書は大改正がなされました。別にそれに依拠しろというわけではないですが、現行の財務報告に係る内部統制という範疇を越えて、今では財務のみならず非財務、そして定量情報のみならず定性情報、これがディスクロージャーの根幹をなしていくということになっていますから、それにちゃんと信頼性を付与できるようなシステム、こういった視点を踏まえてぜひ内部統制の基準を見直していただきたいということを、声を大にしてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
〇徳賀会長
 ご意見、どうもありがとうございました。
 
 それでは、その他の点について、関根委員よろしくお願いします。
 
〇関根委員
 ありがとうございます。その他の論点というよりも、今日の皆様のお話全般をお聞きしておりまして、大きく2つ申し上げたいと思います。
 
 1つはIFRSについて。これは1年前のこの会でも申し上げた話なのですけれども、先ほど橋本委員でしたか、2009年からIFRS適用になって10年たったとおっしゃっていたかと思います。私も昨年、当面の方針を策定した2013年から5年たったという話をしており、今年で6年たったが、当面というのはいつまでなのかという思いがあります。そのときは非常に苦労してつくられたものであり、私自身も、そのときもメンバーでしたし、当時は適用会社が20社だったのが200社になったというように成果は出たのかと思っています。また、そのときにいろいろ議論をされたことには、これからも続けるべきことは当然あると思いますが、やはり20社の状態と200社の状態というのは異なるものであり、課題も変わってくるのではないかと思っています。
 
 先ほど例えば単体についても検討をしたらどうかとご意見がありましたが、これは、以前からも出ていた意見であったかと思います。しかしながら、6年前は、それよりまずは適用会社を増やしていくことが大切でしょうという話だったと思います。こうして1年に一度ぐらい、皆さんから意見をいただいて検討していくのも良いのですが、もう少し集中的にこの当面の方針をどうするのかといったことを議論する場を、もう少し持ったほうがいいのではないかと思っております。今、単体の例を挙げましたけれども、本日その他にもいろいろご意見が出ていて、ああ、そうだなと思っている方と、いやいや、そうではないと思っている方といろいろいらっしゃると思いますので、当局のほうでご検討いただくとともに、今後ヒアリングなどして必要と思われる点については、ぜひ議論をする場をつくっていただくとことが必要と思っております。
 
 それから、2つはIFRSではなくて、本日も時々出ていました開示全般についてです。日本人は非常にまじめにきちんと制度をつくって対応していくため、諸外国に比べて制度がたくさんあると思っております。先ほど、有価証券報告書と事業報告の一体開示についても出ておりましたが、これも2つのものを1つにするとシンプルになり良いものの、かえってそのように変えることが大変だということからあまり進んでいないのかもしれません。また、連結だけでいい、いや単体は必要という話についても、それぞれ役目があるとは思います。しかしながら、ある程度思い切って横断的に検討していく必要があるのではないかと思います。現在は、つくるのに精いっぱいで、実質的な開示をもっとしてほしいという声があって、作成者の方も確かにそう思ったとしても、非常に忙しくて大変だと思われているかもしれません。
 
 ですから、既に検討している部分、例えば私も以前参加していましたディスクロージャーワーキングなどで議論をしている部分もあると思いますが、開示制度と中身の全般について、全体的な枠組というのを考えて議論していかないといけないときに来ているのではないかと思っています。なお、こうした開示はおそらく、ワンパターンにしようとすると、企業の状況によって異なってしまうというところがあり、他方で、任意という形でいろいろ取り入れようとするとなかなか自ら他と異なった形でつくっていくことができないところがあるのかとも思っていますので、そうした仕組みも具体的に議論はしていく必要があると思った次第です。
 
 私からは以上です。
 
〇徳賀会長
 ご意見、ありがとうございました。
 
 検討させていただきます。ほかにいかがでしょうか。弥永委員。
 
〇弥永委員
 1点だけ発言させていただきたいと思います。IFRS適用会社が増えているというのは非常に喜ばしいことだと思うのです。また、今後さらに増えていくと期待されますが、そうなりますと、既に他の委員もご指摘になられていたと思いますが、その中でのレベルの差というものが出てくる可能性というのはやはりあるのではないかということが懸念されるところだと思います。
 
 ヨーロッパの場合には、IFRSを導入したときに、やはり各国間で差が出ることなどを防ぐために一定のエンフォースメントの仕組みというものを取り入れて、レベル感をそろえるということをおこないました。現在ですとESMAというところがその旗振りをやっているわけですけれども、そういったこともやはり、IFRS適用会社が増えていくときには考えなければいけないのではないか。また、もちろん日本公認会計士協会が監査人の方々に対して一定のコントロールはしてくださっているとは思いますけれども、それぞれの公認会計士、監査法人のレベルというのにも多少ばらつきがあるかもしれない。このように考えてみると、欧州のようなエンフォースメントの仕組みを検討することも、そろそろ今後の課題となってきているのではないのかなという感想を持ちました。
 
〇徳賀会長
 ご意見、ありがとうございました。 松井委員、お願いします。
 
〇松井委員
 もう既に複数の委員からご指摘があったかと思いますけれども、日本の上場企業というのは多様なレベル感のものを含んでおり、そこに任意適用で複数のスタンダードが自由に選べるという状況があることで、この情報を誰のためにどういう業種の情報、何の情報を誰が必要としているのかというのが、そのことについて企業がどう判断したのかというのがあまりわからない形で、結果的にある会社はIFRSを選び、ある会社は日本基準を選び、必要に応じて、もしかしたら動くかもしれないといったような曖昧な状況になっているのではないかなと思います。
 
 そういったことを減らしていくためにも、IFRSを例えばあまり採用していない業種では一体何が考えられているのか、あるいはその差異開示が負担であった場合に、なぜそれは全く必要とされていない情報なのか。その情報が誰のためのどういう理由で必要とされている情報なのかということを少し深堀する必要があるのかなと思います。それが財務分析の上で必要なのか、あるいは配当圧力とか、あるいは課税に関する判断とか、そういったこととの関係で必要になっているのかといったような切り分けも含めて課題になっているのではないかと思いました。
 
 以上です。
 
〇徳賀会長
 ありがとうございました。
 
 申しわけありませんが、時間のようでございますので、本日はさまざまなご意見をいただきましてありがとうございました。さまざまなお立場から、それぞれ貴重なご意見を頂戴したと思います。今回、審議を踏まえ、事務局において具体的な対応案というのを検討してもらい、会計部会において継続的に審議を進めたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 
 それでは、本日の議事をこれで終了させていただきます。本日は、お忙しい中、ご参集いただきましてありがとうございました。
 

以上

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