企業会計審議会総会・第24回監査部会合同会合議事録

1.日時:平成22年3月26日(金曜日)9時31分~11時47分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

○安藤会長

おはようございます。

定刻になりましたので、これより企業会計審議会総会・第24回監査部会の合同会合を開催いたします。

皆様には、ご多忙のところご参集頂きまして、誠にありがとうございます。

なお、本日の合同会合も、企業会計審議会の議事規則に則り、公開することにしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○安藤会長

それでは、異議がないということで、ご了解頂きました。そのように取り扱わせて頂きます。

それでは、最初の議題であります「監査基準の改訂について」でございます。前回の監査部会におきまして、今般、国際的な監査の基準である国際監査基準が、規定の明確化を図るとの観点から全面的に見直す改正が行われ、我が国の監査基準との間には一部に差異が生じることになったことから、我が国の監査基準を改訂し、その差異を調整してはどうかということで審議が行われたところです。

つきましては、この議題について、監査部会の友杉部会長に進行をお願いしたいと存じます。

また、私としましては、この監査基準の改訂につきまして、これを総会としてご審議頂き、とりまとめました上で、意見書を後ほど田村金融担当大臣政務官にお渡しさせて頂きたいと思いますので、ご協力方よろしくお願いいたします。

それでは部会長どうぞ。

○友杉部会長

監査部会長の友杉でございます。

それでは、私と関係者の方から監査基準の改訂に係る基準等の内容及び考え方などについて説明させて頂きます。

まず資料1をご覧ください。「「監査基準の改訂について」(公開草案)の公表について」という資料でございます。

只今、安藤会長からもご説明のありましたとおり、国際監査基準がクラリティ・プロジェクト、いわゆる明瞭性プロジェクトと呼ばれる基準の明確化を図る観点からの改正が行われた結果、改正後の国際監査基準と我が国の監査基準との間には一部に差異が生じることになったわけであります。

今月2日に開催されました監査部会におきまして、我が国の監査基準のあり方についての検討を行った結果、監査報告書における監査人の監査意見表明の内容等を規定している報告基準について、国際監査基準との差異を調整する改訂基準案を、2ページ目以降ですが、公開草案として公表し、意見募集をすることにつき了承され、今月19日まで意見を募集いたしました。

改訂案について寄せられたコメントや、コメントを踏まえての修正案についてこれからご説明したいと存じますが、本日は3月2日の監査部会に出席されていない委員の方もいらっしゃいますので、まず、日本公認会計士協会副会長でもいらっしゃる友永委員から、クラリティ・プロジェクトについてごく簡単に説明をして頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○友永委員

友永でございます。資料の2をご覧頂きたいと思います。

クラリティ・プロジェクトといいますのは、従前の国際監査基準がブラック・レター、グレー・レターという書き分けをしていたところの要求事項が明確でない、あるいはその要求事項自体も十分ではないのではないかという批判がございまして、2004年から新たな起草方針に基づいて、全てのISAの見直しをしていたところでございます。

このクラリティ・プロジェクトは2009年の3月に完了をいたしまして、クラリティ版のISA36本と国際品質管理基準第1号の合計37本が公表されております。2009年の6月には、証券監督者国際機構が「国際監査基準に関する声明」を公表し、各国の証券規制当局に対し、クロス・ボーダーでの公募及び上場におけるISAに基づく監査の受入れや国内向けの監査基準設定に当たってのISAの考慮を促しております。

クラリティ版の特徴といたしましては、要求事項とそうでないものを明確に区分するということで、「要求事項」と「適用指針及びその他の説明資料」を書き分けております。また、各基準に「目的」を記載いたしまして、個々のISAの目的を明確にしております。

次に、日本公認会計士協会の対応でございますが、監査基準委員会報告書の新起草方針を策定し、これに基づいて改訂版の公表を進めているところでございます。

クラリティ版ISAと同様に、「要求事項」と「適用指針」とに区分をする、各報告書の目的を明確化するといった方針に基づいて現在取り組んでおるところでございますけれども、監査基準委員会報告書第27号以降は既にISAとほぼ同様の内容でございまして、新起草方針に基づく改定版への書き換えも内容に大幅な変更はございませんが、それ以前の監査基準委員会報告書については、書き換えることにより大幅な変更となる場合がございます。

適用時期でございますが、クラリティ版ISAは2009年12月15日以後開始する事業年度から適用されるということになっておりますが、各国の適用時期はそれに合わせてのもの、あるいは1年延長するもの、色々とございます。ただし、ISAは個別に適用をするのではなく、全てのクラリティ版を一定時点に一斉適用するという方向で各国進んでおります。

日本の各監査基準委員会報告書は、2011年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用することを現時点では予定をしておりまして、起草作業の進捗状況や各国のクラリティ版ISAの取組み状況によって判断をしていこうということで、現在未発効としておりまして、発効及び適用については、別に将来常務理事会において定めることとしております。また中間報告という位置付けをしておりまして、クラリティ版ISAとの整合性あるいは基準委員会報告書間の整合性を、ある程度の量の改訂版ができた時点で全体的な調整をとることにしております。

以上でございます。

○友杉部会長

どうもありがとうございました。

それでは、時間の関係がございますので、私のほうから資料3-1に基づいて簡単に説明させて頂きます。

改訂基準案に対しまして、4団体、1個人からのコメントを頂きました。コメントの概要はご覧のとおりでありますが、内容の大幅な修正を求めるものはないものと考えております。

寄せられたコメントにつきまして、私と監査部会に所属されています何人かの委員の方々と検討させて頂きました。そこで修正したほうがよいと思われる部分を修正したものが資料3-2、3-3にございます。公開草案からの修正箇所を、見え隠し線と二重線であらわしております。

なお、監査部会に所属されておられる委員の皆様には、事前に修正案をお送りし、ご意見を承っております。

それでは、時間の関係で全てではありませんが、主なコメントに対応した修正箇所及びコメントへの考え方についてご説明いたします。まず、新旧対照表であります資料3-3をご覧ください。

その3ページの上から2段目の二の「監査報告書の記載区分」そこの2番目、2項でございますが、監査人が説明することが適当と判断した事項について、監査意見とは区分して追記するのですが、そうしたケースは必ずしも適正意見の場合に限られないとのコメントを頂きましたので、見え隠し部分を削除しております。これは資料3-1の2ページの6の1番目のコメントに対してであります。

次に、5ページの四、一番下ですが、「意見に関する除外」と、その後の6ページの五「監査範囲の制約」についてですが、資料3-2の2ページの一番下でありますけれども、我が国の監査基準では重要な影響として一括して扱っていた「重要性」と「広範性」の概念について、国際監査基準では2つの要素に明示的に示すことになったことに対する対応としての考え方を示しております。これに合わせて資料3-1の基準案の財務諸表全体への影響があったかどうかの判断要素として加える改訂を行っております。

次に、資料3-3の9ページですが、そこの七「追記情報」のところですけれども、この追記情報の例示として記載されている4つの項目のうち、(1)の「正当な理由による会計方針の変更」については、会計方針の変更は確かに追記情報になるわけですが、これまでのように必ずしも正当な理由による場合だけには限られないということから、「正当な理由による」という部分を削除しております。

それから、資料3-2を見て頂きたいのですが、2ページの下の二重線の箇所は先ほど説明いたしました。3ページの上から3行目にあります(2)の「追記情報」の箇所は、4つの項目は限定ではなく例示であるということをより明確にしたものであります。

その下の3の二重線部分を、コメントを踏まえて、後発事象について日本公認会計士協会が実務指針を定める場合の留意事項として、単純に国際監査基準に合わせるだけではなく、国際監査基準を参考に検討するということが必要であるということを明確にしたものであります。

それから、次のページの4ページの真ん中の(2)「監査意見の表明」のところの削除部分は、公開草案時に比べてより簡潔に修正してあります。

行ったり来たりで恐縮ですが、次の資料3-1のコメントのうち、修正していないものが多くあります。これについては、これまでと同様に、日本公認会計士協会の監査実務指針において定めることが適当と考えられるものであります。

最後に、資料3-1のコメント番号8、2ページの8の一番下をご覧ください。監査報告書における独立性に関する記載についてのコメントであります。我が国の監査報告書には、諸外国のようにタイトルではなく、本文で独立性に関する記載をすることが求められております。この点は法令とも関係することでありますので、今後コンバージェンスの観点から検討を行うことが適切であるというふうに考えます。

簡単ではありますが、以上、主な修正箇所であります。その修正箇所を反映させたクリーン版が資料3-4ということになります。

以上がご説明です。

それでは、只今から、今までの説明に基づきまして皆さんからご意見を頂戴したいと思います。どなたからでも結構でございますので、ご発言頂ければと思います。その際、挙手をお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。

よろしいでしょうか。意見がないということは、これで了承されたということだというように理解いたします。どうもありがとうございました。

それでは、この後は安藤会長に引き継ぎをさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○安藤会長

ありがとうございました。

ご審議いただきました「監査基準の改訂に関する意見書」(案)につきまして、ご承認を頂くということでよろしいでしょうか。これは総会としてでございます。

(「異議なし」の声あり)

○安藤会長

それでは、ご異議ないということで、承認を頂いたとさせていただきます。つきましては、お手元の意見書(案)の、(案)の字を取って頂きたいと思います。

後ほど、田村政務官に、只今ご承認頂きました意見書をお渡ししたいと存じます。

それでは、次の議題に移らせて頂きます。

近時、会計・監査をめぐっては、国際的にも国内的にも大きな動きがございます。つきましては、会計・監査をめぐる近時の動向について、関係者の方々からご報告を頂き、質疑や意見交換をさせていただければと存じます。

最初に、只今「監査基準の改訂に関する意見書」をご承認いただきましたので、関連して、国際監査基準をめぐる動向について、ご報告、意見交換をさせて頂き、その後、我が国の会計基準をめぐる動向についてご審議頂ければと考えております。

それでは最初に、国際監査基準をめぐる動向につきまして、本日は、国際監査基準を策定している国際監査・保証基準審議会(IAASB)の委員になられている関口企業会計基準委員会研究員に参考人としてご出席頂いておりますので、ご報告をお願いいたします。

なお、国際監査・保証基準審議会にオブザーバーとして参加頂いておられる五十嵐委員から、補足等がございましたらお願いいたします。それではどうぞよろしく。

○関口参考人

国際監査・保証基準審議会のメンバーを務めさせて頂いております関口と申します。本日はよろしくお願いいたします。

私の方から、本日、「国際監査・保証基準審議会における最近の取組について」という、お手元の資料4に基づきましてお話させて頂きたいと思います。

それでは、1枚おめくり頂けますでしょうか。「国際監査・保証基準審議会とは?」というのがございます。英文ではInternational Auditing and Assurance Standards Boardと申しまして、その頭文字を取ってIAASB、Aが2つなので、アイ・ダブル・エー・エス・ビーと通常呼ばれております。

このIAASBですが、国際会計士連盟(IFAC)の中に設置されております基準設定主体でございまして、主に国際監査基準などを策定している機関でございます。また、18名のメンバーから構成されておりまして、金融庁、アメリカのPCAOB、それから欧州委員会等がオブザーバーとして出席しております。

通常の基準設定プロセスを下の方に書かせて頂いております。

初めに、3年ごとに戦略を策定しておりまして、その戦略、これはパブリック・コンサルテーションを通じて策定されるのですけれども、この戦略に基づきましてプロジェクトが開始決定されております。

その後、数名のメンバープラス外部の専門家から成りますタスクフォースが構成されまして、そちらで起草がされます。そのタスクフォースによって起草された基準案につきましてボードにおいて審議がされまして、その後、協議文書あるいは公開草案という形でパブリック・コメントの手続きを経ていくことになります。

下のところで諮問助言グループというのがございます。これはConsultative Advisory Groupと申しまして、頭文字を取ってCAG(キャグ)と呼ばれております。IASBのSACに相当するものでございますけれども、IOSCO、バーゼルなどの国際的な規制当局等がメンバーとなっておりまして、日本からは日本証券業協会、それから金融庁がメンバー、オブザーバーとして参加されております。

次のページに行って頂けますでしょうか。先ほどISAなどを定めていると申し上げましたけれども、ISAのほかに以下のような基準等を定めております。

まず1点目がレビュー・エンゲージメント、レビュー業務に関する国際基準でございまして、これがISREと呼ばれております。

次に、アシュアランス・エンゲージメントの国際基準でございまして、こちらがISAEと呼ばれております。

次に、リレーテッド・サービス、関連サービスに関する国際基準でありますISRS。

次に、クォリティ・コントロール、品質管理に関します国際基準でありますISQC。

最後に、プラクティス・ステートメント、これはどちらかといいますと国際監査基準の実務的なステートメント、実務的な指針のようなものでございまして、このようなものを我々は開発しております。

次のページをお願いします。このページでは、ご参考までにIAASBのメンバー構成を書かせて頂いております。左側のほうでメンバー、右側のほうでオブザーバーを書かせて頂いておりまして、メンバーは各国あるいは世界的な監査法人から選ばれております。オブザーバーには、先ほど申し上げましたとおり、欧州委員会、金融庁、PCAOB、それにプラスしまして、一番上ですけれども、IAASBのCAG、先ほどの諮問助言グループの議長を務めておりますダマント氏が出席しております。

次のページに行って頂けますでしょうか。IAASB、先ほど申し上げましたとおり民間の基準設定主体でございまして、基準設定プロセスにおけるガバナンス、デュー・プロセスが極めて重要だと考えております。こうした観点からIAASBでは、PIOB、こちらは金融規制などに高い見識を持っていらっしゃる世界の方々に10名お集まりいただいておりまして、こちらの方にオンサイド・ベースでの監視をして頂いているところでございます。日本からは早稲田大学の北村先生にご参加いただいております。このPIOBによる監視を受けつつ、右のほうのCAGから技術的な助言を受けるという形で基準設定が進んでおります。

このPIOBのメンバーはモニタリング・グループと申しまして、国際的な規制当局、IOSCO、バーゼル委員会、それから保険監督者の国際機構でありますIAIS、それから世界銀行、欧州委員会、それからFSB、これらから成りますモニタリング・ボードによってPIOBのメンバーが指名される、こういう手続きになってございます。

次のページをお願いします。「最近の取組」でございますけれども、IAASBでは、2009年3月までにISAを大幅に置き換える明瞭性プロジェクト、クラリティ・プロジェクトを実施・完了しております。この関係もありまして、2010年度以降、多くの国でISAの適用が開始されようとしております。注書きのほうに書かせて頂きましたが、2010年度からはイギリス、オランダ、カナダ、オーストラリア、ブラジル、ニュージーランド等、2011年度からはEUとして一括して採用することも予想されているということでございまして、2010年、11年、12年ごろには、アメリカを除きます多くの国で基本的にはISAないしはISAをベースにした基準によって監査がされてくるのではないかというふうに考えております。

そういった状況を踏まえまして、IAASBでは、右の方に書いてありますとおり、ISAの適用状況のレビュー、それからISA以外の基準開発に作業の力点をシフトしております。

このISAの適用状況のレビューでございますけれども、下の方にちょっと書かせて頂いております。ISAの適用状況を調査し、基準が意図したとおりに適用されているか、改善点がないかどうかについて検討することとされております。こちらの方は大手の監査法人ですとか各国の会計士協会、それから監督当局と連携しながらやっていくことを予定しております。

次のページをお願いします。先ほどISA以外の基準開発と申しましたけれども、具体的にはこうした基準を開発しております。

まずマル1番で、昨今の地球温暖化問題、それから排出権取引など、そういったことの進展を踏まえまして、「温室効果ガス情報に対する保証業務」、この基準の開発をしております。

それから、EUの目論見書指令規則でプロ・フォーマ財務情報に関して保証が求められているということがございまして、こちらの方で「プロ・フォーマ財務情報の調製プロセスに対する保証業務」を開発しております。

それから、中小企業の方から、監査よりはちょっとレベル感が低くていい、ただコストが少し安い基準があるといいというふうな要請もございまして、「財務諸表のレビュー業務」それから「財務諸表の調製契約」などという基準も改訂をしております。

下に行って頂きまして、マル2番で「実務ステートメントの開発」ということがございます。ISAは基本的にはプリンシプル・ベースで起草されているのではございますけれども、昨今の金融危機を踏まえまして、例えば公正価値の評価に関する監査につきましてもかなりいろいろご批判を頂いたりしているということもございます。このため、IAASBの方ではIAPS1012というもの、「複雑な金融商品の監査」という実務ステートメントを開発しております。

それからマル3番で「監査基準の改訂」というところがございます。基本的にはISAの基準改訂は中断しているところなんですけれども、将来公表することを見越しまして、幾つかについて見直し作業を進めているところでございます。具体的にはISAの610番、これは内部監査機能がかなり昨今充実してきているのではないかということもございまして、「内部監査機能による業務の利用」、それから財務諸表外の開示が充実している、そういうことに対する監査あるいは監査人の役割がどうあるべきかということで、「監査済財務諸表を含む書類におけるその他の情報」に対する監査人の取組み、こうした基準の改訂を進めております。

次のページをお願いします。このページは「最近の公表物」をまとめてございまして、6点書かせて頂いております。

1点目が、2009年1月、金融危機の状況のもと、多くの国におきまして企業の継続可能性ということが問題視されてきました。こういったことを踏まえまして、「ゴーイング・コンサーンに関する監査上の留意事項」というものを発表しております。

それから、下の方で、2009年8月、ISAはプリンシプル・ベースで開発されているとはいえ、かなり厳しい、上場企業監査用に作られているのではないか、こういったご批判もございます。そういったことを踏まえまして、「中小企業等の監査に関するISAの適用について」、これは基本的にQ&Aのようなものを開発しております。

それから2つ下に行って頂きまして、2009年11月に、これも金融危機の中、例えばマドフ事件のときに、ファンドへの外部残高確認が十分ではなかったのではないかとか、あるいはITの技術がかなり発達してきまして、外部確認の方法というのが変わってきているのではないか、こういったご指摘もございまして、「外部確認」というスタッフによる注意喚起文書を公表しております。

次のページをお願いいたします。IAASBでは、今後新たに以下のプロジェクトに取組む予定ということで、6点また書かせて頂いております。

まず2つ目のところで「持続可能性(Sustainability)報告に対する保証」に関する基準の開発というのがございます。こちらは環境問題ですとかエネルギー問題などを踏まえまして、サステイナビリティ・リポーティングというのがかなり注目されてきている。そういった状況を踏まえまして、この保証業務の基準の開発をしようとしているところでございます。

それから次へ行きまして、次はIT技術がかなり発展してきている。そういう中でXBRLというツールがかなり注目を浴びているということもございまして、「XBRLを用いた財務報告への保証業務」についても基準の開発を検討しております。

最後に、一番下のところで「財務諸表の注記情報に関する監査の検討」というのがございます。こちらの方は、財務諸表におきまして、従来のいわゆる会計システムから得られる財務数値の検証というものから、例えば感応度分析等のように、財務システムから得られないデータあるいは定性的情報が増えてきている、こういった状況がございます。こうした状況変化を踏まえまして、この注記情報に対する監査のあり方について検討することを予定しております。

最後に、監査・保証業務の基準、会計基準に比べて皆さんなじみが少ない分野ではあると思うのですけれども、こちらでもグローバルなコンバージェンスというものが進んでございます。それとともに、環境変化に対応して、新たな基準が色々開発されようとしているところでございます。そうした状況を踏まえまして、ぜひ日本の関係者からも積極的な意見発信をお願いしたいというふうに考えております。

以上でございます。

○五十嵐(則夫)委員

五十嵐でございます。

それでは、関口さんからお話いただきましたことに加えまして、1点だけお話しさせて頂きたいと思います。

2010年でございますけれども、IWSBでは、2012年から2014年のストラテジイのコンサルテーション・プランの議論が現在開始されておりまして、2010年度におきまして、様々なステークホルダーからコンサルテーションが行われる予定になっております。

そのステークホルダーには、IFACの関係者に加えまして、IFIAR、バーゼル・コミッティ、ファイナンシャル・スタビリティ・ボード、IOSCO、INTOSAI、ワールドバンクといった機関が含まれております。このように、皆さんのご意見をお伺いしまして、2012年から始まるIWSBのストラテジイのコンサルテーション・プランを作るという予定になっておりまして、こうしたコンサルテーションに基づきまして将来のIWSBの基準のあり方等が考えられることになります。

○安藤会長

ありがとうございました。

それでは、只今のご報告につきましてご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

ご報告等にもありましたように、国際監査基準につきましても、その動向を注視するとともに、我が国からも積極的に意見発信を行っていく必要があると考えますので、当審議会といたしましても、しっかりと対応していきたいと考えております。

次に、我が国の会計基準をめぐる動向について、ご報告、意見交換等を行いたいと思います。

昨年6月、当審議会は、「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」を公表したわけですが、近時は、やはり、国際会計基準への対応ということが、最も大きな動きであろうかと思います。

最初に事務局から、昨年6月の中間報告後のIFRSをめぐる動きについて報告してください。

○三井企業開示課長

それでは、お手元の資料5という、少し厚い資料で恐縮ですが、お取り出し頂ければと存じます。表紙が金融庁のホームページになっているものでございます。

昨年6月の企業会計審議会におきまして、連結財務諸表規則の素案を参考資料として提出させて頂きました。その後、総会における中間報告の承認後、この案をパブリック・コメントに付させて頂いたわけでございます。その結果、いくつかのコメントを頂きまして、その中身に若干の修正をしております。

ごく簡単にご報告をしたいと思います。ちなみに、これは12月11日にウェブページに掲載させて頂きまして、既に公布されております。

3ページでございますが、企業会計審議会の中間報告でご提言頂きました任意適用の対象等については特段変更はございません。並行開示につきまして、3.ですけれども、主要な差異について概算額でよいとか、それから4.ですが、四半期報告の取扱いについて簡素化をしてございます。この提出期限でございますけれども、この2010年3月期の年度から、それから2010年6月の第1・四半期からという2つの方法に加えまして、IFRS上は3月末の年度からIFRSを適用するのだけれども、提出は第1・四半期報告の提出期限である8月14日までに、初めてのIFRSの財務諸表を出せばいいような仕組みがございます。法令上は四半期報告は参考資料として出すわけですが、IFRSの基準上は初めてのワンセットのIFRSの財務書類というのが今年度末、10年3月末のものという、そういう位置付けのものでございます。

それらについて図示したものが次から並んでございますが、今日は時間の関係で省略させて頂きます。

そこからしばらく条文をそのまま掲載してございます。細かい条文は割愛させて頂きますが、少し先に進みまして55ページをお開きいただきたいと思います。

IASBから、この府令公布に関しましてウエルカムのステートメントが出てございます。ちょっと調べたところですと、1つの国のIFRSの適用についてウエルカムのステートメントが出たのはかなり珍しいものでございますので添付させて頂いております。

それから、57ページでございまして、最初の連結財務諸表規則は、パブコメに付させていただいたのが昨年の6月30日でございましたので、その時点でのIFRSを全てカーブアウトすることなく、そのまま任意適用の対象となる国際会計基準として掲げておりました。その後の半年間に公表確定したものについて追加するというものの公布でございます。ご高承のとおり、IFRS9号という金融商品会計が既に公表確定されておりますので、それらを含む3つの基準等についての追加でございます。

それから、68ページに進ませて頂ければと存じます。今年の2月24日、アメリカの証券取引委員会(SEC)から国際会計基準についての声明が出ております。一昨年に、前のコックス委員長時代にIFRSの米国企業への適用に向けてのロードマップ案が出されておりました。長らくその後の議論が見えてなかったわけですが、ここに書かれたような議決がされております。5人の全コミッショナーの一致した意見であるというふうに承知してございます。

当初のロードマップ案にありました2011年をデシジョンメーキングのタイムテーブルにするというという点については変更がありませんが、いくつかワークプランといいますか、作業計画を作って、それをこの18カ月間でよくスタッフからの報告を求め議論していくということが書かれてございます。

ちなみに、最初のロードマップ案にありました任意適用というのは、この時点では熱意を持って追求しないというふうな文章がありまして、この時点で直ちに任意適用を認めるということにはなってございません。

それから、次の70ページでございまして、ここからしばらくモニタリング・ボードについての活動状況について報告させて頂きます。

少し前回の説明の繰り返しになるかもしれませんが、国際会計基準審議会は純粋な民間の団体でございまして、どの政府とも直接の監視監督あるいは連携関係にはございませんでした。それに対して、国際会計基準は国際的に使用が広がっているということで、主要な証券市場規制当局、レギュレーターによるフォーマルな、正式な連携関係、フォーマル・リンクというふうに言っていますが、を構築するということが、パブリック・アカウンタビリティ、マーケット参加者に対する説明責任の観点から大事であるということから、2007年の秋に東京でIOSCO(証券監督者国際機構)の専門委員会の世界大会があった際に、日米欧の当局で共同提案をしたわけでございます。

その後、関係当局、関係国との調整を経まして、2009年1月のIASCF(国際会計基準委員会財団)の定款変更の決定を経まして、また各規制当局とこのIASCFがMOUに署名して正式に発足しております。EU、ヨーロピアン・コミッション、欧州委員会の正式な署名が若干遅れておりましたが、これも先般正式な署名をして、正式メンバーとして参加に至ってございます。

第1回目の会合が、ここにありますように昨年の4月、2回目が7月にございまして、次回は間もなく、来週でございますが、4月1日、ロンドンで開催予定でございます。日本からのメンバーは、金融庁長官でございます。いずれも各レギュレーターのトップが参加する、こういう会議になってございます。

前回の昨年6月の審議会の頃からの活動状況でございますが、次のページ、6月8日でございます。このころにはG20の首脳会議がこの金融危機後頻繁に開催されておりました。こうしたことを受けて、1つはこのIASCFの対応について、そのモニタリング・ボードとして1つの声明を出しているということでございますが、この背景には、もう一昨年になりますけれども、10月に国際会計基準審議会が突然、デュー・プロセスを経ずに金融商品会計基準の一部を改訂するという事態がありました。この背景には、欧州の首脳による政治的な圧力といいますか、首脳による共同声明というかなり強烈な動きがあって、それが背景となってデュー・プロセスのない基準改訂が行われたということ、そしてその後、欧州の政治的な圧力が続いていたということから、グローバルな会計基準設定主体として世界の各地域に対し中立的に活動して頂く必要があるという観点から、累次にわたってモニタリング・ボードとして声明を出した経緯がございます。

そうした流れの中で、この6月の次には7月7日、それからその次は、78ページですけれども、9月22日にステートメントを出しております。

こうした議論は依然として今でもいろいろ続けられているという状況でございまして、それからもう1つ、87ページ、11月11日でございます。こうしたところについては、日本からの意見発信、そして日本以外のアジア・オセアニア、あるいは世界各国からの意見発信、そしてそれらをしっかり踏まえた、そしてしっかりしたデュー・プロセスを経た基準設定というものが大変重要であるという観点から、引き続き積極的にモニタリング・ボードの活動に、金融庁長官以下参画していきたい、このように考えている次第でございます。

それから、少し話題が変わりますけれども、89ページでございまして、企業会計審議会の場におきまして、一昨年から昨年にかけまして、いわゆる連結先行という、連結の財務諸表に係る会計基準と単体の財務諸表に係る会計基準について、従来は全く同一であるということを大前提としていたことについて、いわゆる連結先行ということで、若干時間的なずれを容認するということをここの場でご議論頂きました。

この考え方の資料には少しダイナミック・アプローチという言葉をつけてございます。これは、連結先行そのものの考え方を変えているわけではございませんが、その後、その後といいますのは、企業会計審議会でその議論があった後のIASBの基準設定活動を拝見しておりますと、それまではどちらかというとコンバージェンス、EUによる同等性の評価を目指したプロセスのちょうど終わりごろでございましたので、建前としては当然のことながら、日本基準、そして国際会計基準、米国基準の間で議論して1つの基準に収斂させていく、こういうふうな活動でございますけれども、相対的には既にアメリカと国際会計基準が同じ考え方で、日本基準だけが違うようなケースでは、なかなかその選択の余地がない部分もあったかと思います。他方、日本と米国基準が同じ考え方で国際会計基準が違うという場合には、これはいろんな動きがあったということでございますが、直近の動きを申しますと、ご案内のとおり、今ある基準というものをとりあえず、スクラップするというと言葉が悪いのですけれども、それはそれでガラガラポンといいますか、新しい考え方で新しい基準を作っていく、こういうものがあります。収益認識など、かなり古い時代にできたものは現在のIASBのフレーム・ワークとはかなり違う考え方に立っているということもありまして、ガラガラポンして新しい基準を作っていくというプロセスの中では、日本あるいは欧州、米国、それぞれ、あるいは各地域から自分なりの考え方を出し合って、そして新しい基準作りになっていくプロセスにあります。

○安藤会長

ちょっと途中ですが、ここで、政務官がお見えのようですから中断して頂けますか。

間もなく田村政務官がお見えになられるようですので、ここで一旦審議を中断いたします。説明の途中ですけれども、また後ほど続けて頂きます。

ここでカメラが入りますので、少々お待ちください。

(報道関係者入室)

(政務官入室)

○安藤会長

それでは、先ほどご承認いただきました意見書を田村政務官にお渡しし、ご挨拶を頂きたいと思います。

それでは、意見書でございます。

○田村金融担当大臣政務官

どうもありがとうございます。

(安藤会長から田村金融担当大臣政務官に「意見書」を手交)

○田村金融担当大臣政務官

皆様お早うございます。

本日もお忙しいところお集まり頂きまして、誠にありがとうございました。そして今、私がお受け取りをさせて頂きました。この審議会におきまして皆様に非常に大変貴重なご意見を頂いた上で、監査基準の改訂に関する意見書をとりまとめて頂きました皆様のご尽力に対しまして、心より感謝を申し上げる次第でございます。誠にありがとうございました。

本日もまた有意義なご意見を色々と頂けたらなというように思っております。

若干正直なところを申し上げますと、今ご案内のように、政権が代わりまして、いわゆる審議会、広い意味での審議会をいかにより有効な形にしていくかということは、政権全体で、各省庁で考えているところでございまして、この審議会とは性格が違いますけれども、ご案内のように、金融審議会に関しては事実上ほとんど凍結をして、必要な場合には副大臣が座長になる懇談会を設けたりとか、あるいはいろんな形で、政策を決めるに当たってどのような形がいいか、それぞれ考えながら枠組みを作っているところでございます。

この企業会計審議会は、ある意味では性格がかなり違うものであるというのは十分に承知をしておりますので、さらにどういった形が今後にとっていいのか、審議会あるいは、例えばこの監査基準の改訂についても、どのように決めるのが一番いいのかというのは、ぜひとも今後、どうすべきだという個人的ご意見を色々と頂いて、今後必要があれば、やはり今のほうがベストだということであればそのまま続けるということになりますし、やはり変えたほうがいいということがあれば、そこは喜んで変えさせていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひそういったご意見もこの場でいただけたら幸いでございます。

私はちょっとこの後、委員会がありまして退席をさせて頂きますけれども、後でしっかりと議事録を拝見させて頂きますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

誠にありがとうございました。

○安藤会長

ここで報道の方が退出いたしますので、そのまま少々お待ちください。

(報道関係者退出)

○安藤会長

それでは、先ほど三井課長の説明、途中で中断いたしましたが、続けてください。

○三井企業開示課長

恐縮でございます。

ということでございまして、基準の作り方が少し変わってきているということから、既に存在している国際基準に日本基準を自動的に合わせるというニュアンスなり受けとめ方がされる恐れのある「連結先行」の言葉に代えて、むしろ、「ダイナミック・アプローチ」という言葉をここで提案させて頂いております。

それから90ページについては、この金商法の適用区分あるいは会社法の大会社その他の区分と、それから連結と単体を図示したものでございます。

最後に、91ページ以降でございますけれども、G20サミットを始め、国際的に会計基準についての議論がございます。主にはここでの議論がIASBに対して向けられたものであるということで、国際的にもこの金融危機を背景に世界の首脳が国際会計基準というものを、会計基準ということを議論する際に国際会計基準を念頭に置いてグローバルな議論が行われているといった状況にございます。

これとの関係で、詳細はむしろ基準設定主体の方にご説明頂くのが適当かもしれませんが、92ページ以降にそこでの議論になったもの、あるいはIASBのボードの議長ないしメンバーが日本に来られた際に金融庁長官からも申し上げたことについての現在の基準改訂の状況といいますか、議論の状況について、金融商品関係、それから退職給付会計についての資料を添付させて頂きました。

私の方からは以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

なお、ご質問、ご意見等は、この後のほかのご報告の後にまとめてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

次にIFRS導入に関する諸課題への対応ということで、IFRS対応会議議長であられます萩原委員からお願いいたしたいと思います。

○萩原委員

IFRS対応会議の議長及び財務会計基準機構の理事長として発言させて頂きます。

財務会計基準機構では、昨年の6月の本審議会による「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書」、いわゆる中間報告の公表を受け、IFRSの導入に向けた課題を特定し、解決していくための推進母体が必要になると考え、関係団体等に呼びかけ、皆様からのご賛同を頂き、昨年7月にIFRS対応会議を発足させております。

このIFRS対応会議は、資料6の1ページの図にありますように6つの会議体で構成されております。具体的には、IFRS導入に当たって様々な重要課題について戦略的方向性を検討するIFRS対応会議、また主としてIASBとの関係から、具体的な戦略や行動、国際広報などを検討する国際対応委員会及びIFRSに関する実務面の課題である教育・研修、日本語への翻訳、個別財務諸表への適用、国内広報を検討する4つの実務対応委員会となっております。

IFRS対応会議の活動状況につきましては、資料の2ページに整理いたしましたように、IASBの基準作りに対する我が国市場関係者による意見発信のベクトル合わせや国際対応の体制の強化などについて検討を進めてきております。

さらにIFRS対応会議では、IFRS導入のための環境整備の一環として、非上場会社の会計基準のあり方を早急に検討するため、関係団体や関係各省庁が参画する懇談会を設置する必要があるとの提言をとりまとめました。

この提言を踏まえ、去る3月4日に、非上場会社の会計基準に関する懇談会が発足いたしました。本懇談会につきましては、後ほど安藤会長及び島崎委員よりご説明いただけるものと存じます。

また、IFRS対応会議傘下の各委員会の活動状況につきましては資料の3ページをご覧いただきたいと思います。それぞれ活発な活動を展開してきております。

なお、国際対応委員会の活動につきましては、後ほど島崎委員からご説明があろうかと存じます。

最後に、今後の活動について少し触れておきたいと存じます。

第1は、我が国からのIASBに対する意見発信の強化であります。2011年6月に向けてIASBは米国財務会計基準審議会(FASB)とのMOUプロジェクトなど、基準開発を加速化させております。これらの基準には、我が国にとっても極めて重要なものが多く含まれておりますことから、国際的な議論の状況を十分に見極めながら、我が国として可能な限りオールジャパンかつワンボイスでIASBに対し意見発信をしていくことが大事になります。

また、IASBとの関係では、海外の関係団体や会計基準設定主体との連携にも力を入れていく必要もございます。この面からも、9月に東京で開催するアジア・オセアニア会計基準設定主体グループ(AOSSG)会議はぜひとも成功させなければなりません。

さらに、アジア・オセアニア地域で我が国がリーダーシップを発揮するためにも、IASBのサテライト・オフィスの東京誘致にも積極的に取り組んでまいる所存であります。

第2に、今後我が国においては、IFRSを任意適用する企業が増えていくと予想されますが、そうなりますと、ますます企業の実務対応の問題や監査の対応の問題が出て参ります。これらの問題に迅速かつ的確に対応していかなければなりません。

第3には、IFRS導入に関わる様々な活動をリードしていける会計人材の発掘・育成も差し迫った課題であります。

我々しては、以上のような問題意識を持ちながら、引き続きIFRS対応会議並びに財務会計基準機構、企業会計基準委員会の活動を展開して参りたいと存じます。関係者の皆様のご協力をぜひともお願いしたいと存じます。

以上であります。

○安藤会長

ありがとうございました。

次に島崎委員から、只今の萩原委員のご報告に関連してご報告をいただければと思います。

なお、島崎委員は、国際会計基準委員会財団(IASCF)のトラスティでもいらっしゃいますので、トラスティとしてのご意見がございましたら、合わせてお願いいたします。

○島崎委員

それでは、資料7の1枚紙に沿いまして説明させていただきます。

私は日頃、この審議会では経団連の立場で発言させていただいていますが、今会長の方からお話がありましたように、国際会計基準委員会財団のトラスティ、あるいはIFRS対応会議の国際対応委員会委員長という立場で今日はご説明させて頂きます。

お手元の資料をご覧いただきたいと思います。

まず、国際対応委員会は、昨年の7月に、IASB対応会議のもとに、主にIASBに対する意見発信を行うことを目的としまして、IASB対応検討委員会を立ち上げて活動を開始いたしました。本年の1月に、これを発展的に国際対応委員会という組織に改組したものでございます。

当初決めたIASB対応検討委員会の役割といたしましては、ここに書いておりますとおり、IFRS採用を見据えて、IFRSの個別基準の動向について誤解のない共通の認識を得ることによって、我が国会計関係者からIASBに意見発信する際に、可能な範囲で整合性を確保して、意見発信力を強化するというものが目的でございました。

ここで重要なのは、誤解のない共通の認識という部分でございます。IFRSは今まさに開発途上でありまして、内容そのものがビジネスモデルの変化に対応して見直されております。そのため、基準開発の過程の中で基準案そのものがオリジナルから変わっていくということを十分頭に置いて色々議論していかなければならないということであります。

我々がまずやらなければいけないことは、このIFRSの基準改訂の意図、目的などにつきましてタイムリーに正しく理解することと、それを関係諸団体で共通の認識として共有することでした。そういったベースなしにオールジャパンの意見発信などはあり得ない、こういう認識であったわけです。

IASB対応検討委員会では、まず手始めに、IAS39号の金融商品会計基準の改訂に当たって、何が妥協できて何が妥協できないのか、日本として最低限守るべきは何なのかについて、各団体が同じテーブルについて意見交換をいたしました。

話し合った結果、戦略投資株としてOCI処理する株式であっても、配当はPL認識できないとこれは呑むことはできないということで意見が一致しまして、各団体から意見発信をする際に最低限それだけは織り込んで頂きました。従来から日本が主張しておりましたリサイクリングの問題等々につきましても、当然それは守るべきであるとの意見発信した団体もあり、この辺のところについては各団体で多少意見が分かれるところでありましたが、配当の処理については統一した意見ということで発信しました。

後ほどIASBの関係者から聞いた話ですけれども、日本の各団体から同じ意見が寄せられて、その重要性が伝わったということが、今回の見直しで日本の意見を配慮するということにつながったということでした。重要なことについては日本の多方面からあらゆるレベルであらゆるチャネルを通じてワンボイスで訴えるということが大切だ、こう思います。

日本がIFRSをスムーズに適用するためには、日本にとっての不都合をできるだけ早く取り除かなければいけません。そのためには、今のIFRSのどこに不都合があるのかを具体的に発見して指摘することが必要だと思います。

そこで日本公認会計士協会と経団連が主体となって、IFRS導入準備タスクフォースを立ち上げました。このタスクフォースで抽出しました実務的な問題点につきまして、ASBJが基準改訂の観点からさらに検討を加えまして、IASBに対して具体的に提言していく、こういう仕組みを作りました。今まさにそこで検討しております。

先ほど萩原さんからもお話がありましたが、非上場会社の会計基準の懇談会の設置といったことも、このIFRSの導入に絡めて提案いたしました。提案した趣旨は、非上場会社、非上場企業につきましてはIFRSの影響はありませんといったようなことをできるだけ早い段階でしっかりとアナウンスする、これが必要だということです。IFRSに対する無用の誤解あるいは混乱というものを未然に防ぐこと、結果的にそれが日本におけるIFRSのスムーズな導入につながっていくのではないか、こういう認識であります。

IASB対応検討委員会では様々な手を打ってきましたが、どちらかというと日本の立場からの意見発信というレベルでの発想でありまして、ただこれからは日本がIFRSの基準開発の一翼を担っていくという観点で発信をし、貢献していくということを考えなければいけない、そういうステージに入ってきたのではないかと思っています。そういうこともありまして、今回国際対応委員会という形に改組して、さらにこの国際的な発信力を強めていこう、こういうことを考えたわけでございます。

この委員会としましては、国際的な日本のプレゼンスをさらに向上させる、国際的な組織への働きかけ、国際会議に対する支援とか、国際的な会計人材の育成、国際的な広報などを検討していこうということであります。

これまでの経験で申し上げますと、グローバルなリーダーシップを国際的に発揮していくには、閉鎖的な姿勢ではなくて、国際的な信頼関係を築いて連携していくという姿勢が非常に重要ではないのかなと思います。そういったことをインテンシブに今考えていきたい、これが国際対応委員会の役割と考えております。

そこで国際対応委員会の活動実績と活動予定ですが、まずはここに書いておりますサテライト・オフィスの件であります。IASCFの事務局では、アジア・オセアニア地域と米国にそれぞれサテライト・オフィスを設けることを検討しております。我々といたしましては、ぜひともこのアジア・オセアニアのオフィスは日本に招致したいと考えております。ただその際に、アジア・オセアニアの地域にとって日本がベストであるということを、この地域の他の有力国に賛同いただけることがまずは一番重要であると思っております。そのためにも、このアジア・オセアニア諸国との緊密な連携、中でも有力国との関係をさらに強めることが必要であるとの認識のもと、そのための活動を精力的に行ってきました。

昨年の9月には、公認会計士協会、財務会計基準機構、経団連でデレゲーションを組みましてオーストラリアを訪問しました。日本より先にIFRSを導入しているオーストラリアの事例は日本で参考になるところが多いのではないかということと同時に、オーストラリアと緊密な関係を構築するということで1週間ほど出張してきたわけであります。

また、この2月には、同じ団体でインドにも訪問いたしました。インド企業省の大臣以下、諸官庁、会計関係者と面談を重ねてきました。ここで分かったことは、インドはIFRSの導入については日本と非常に良く似たポジションにあるということでありました。IFRSを採用していく方向性については合意が取れておりますが、具体的な方法とか、今ある国内制度との整合性などにつきましてまだまだ調整する必要があるということで苦しんでいるようであります。

インドとは今後も定期的に協議することで合意が取れまして、これは日印フォーラムとして、日本とインドの資本市場とIFRSの導入に関して議論をさらに続けていく場を作ろうということで考えています。

今年の7月に第1回目の日印のフォーラムを日本で開催する予定ですし、また、6月上旬には中国にミッション派遣を予定しています。FASFの理事長である萩原さんを団長に会計ミッションを中国に派遣して、中国とも関係を構築していきたいと考えます。

また、新たな基準改訂の動きに対しましても、重層的でかつ迅速に対応していかなければいけないと痛感しています。いわゆる公開草案が出た段階で色々言っても、もうこれはツー・レートでありましてIASBの中で議論しているときに意見を言っていくということが必要であります。

ここで重層的というのが非常に重要でありまして、例えば先ほど三井さんからお話がありましたが、この4月1日にロンドンで開催されるモニタリング・ボードに長官がご出席されますけれども、そういう機会を捉えて日本の意見を発信する。あるいはASBJとIASBとの定期協議ですとか、経団連とのミーティング、あるいはラウンドテーブル、ワークショップ、アウトリーチといったように、いろんな接点があるわけであります。政府のトップから実務の担当に至るまで、あらゆるレベルでのアプローチ、議論が必要だろうと考えております。

喫緊の課題としては、退職給付会計あるいはIASの37号の引当金の会計処理、それからキャッシ・フロー計算書などがこれから出てくる案であります。公開草案が出る前に、できれば日本の意向を伝えてそれを踏まえたものを案として公開頂く、こういうアプローチが必要だろうと思っています。

最後に、IASCFのトラスティとしての活動について触れさせていただきたいと思います。

私は2009年1月から野村証券の氏家さんの後を受けまして、藤沼先生と一緒にトラスティを務めさせて頂いています。トラスティにはサブコミットもございまして、その中のファイナンス・コミッティという金集めのコミッティに、私も産業界だということでこのメンバーになっているのですが、ここでの話を少しさせて頂きたいと思います。

IASCFの財政状態についてお話させて頂きます。2009年のIASCFの経費はちょうど2,000万ポンド、日本円では約30億という規模でございます。これをカバーする資金拠出あるいはコントリビューションを各団体等から受けておりますが、まずアメリカのビッグ4会計事務所からの拠出金とか世銀からの拠出金及び出版物などの収入などで賄っているものを差引きますと、約1,100万ポンドになります。逆に900万ポンドがそういうところから賄われている。1,100万ポンド、日本円で約22億が各国からのコントリビューションということであります。GDP比とパー・キャピタルを勘案して決めております。日本からはドル拠出をしておりまして、約280万ドル、円にしますと約3億円弱を拠出しております。

2010年度は、MOU対応の加速化などもありまして、経費が2,400万ポンドに増える見込みでございますが、議論の末、かなり思い切ったコストの削減を徹底して、これを2,200万ポンドまで絞り込む予定です。これをGDP比でお願いするということであります。

歳入の方につきましては、リーマン・ショック以降の金融危機で、特にアメリカからの拠出が大幅に減る可能性がありまして、今の時点ではかなり大きなギャップが見込まれます。日本といたしましては、280万ドルの拠出を堅持することによって、相対的に資金の貢献度を高めております。この点につきましては強くアピールすると同時に、拠出がはっきりしてない国ですとか、フリーライダーになっている国に対して、フェアな資金負担を強く求めると同時に、公平で安定した課金の仕組みを訴えていきたい、こう思っています。

日本におきましては、先ほど申し上げました3億円弱をボランタリー・ベースでご負担いただいております。まずはオーディット・サイドということで、日本公認会計士協会さんにとりまとめをお願いしていますけれども、各監査法人から3分の1、財務諸表の作成者である日本経団連加盟の企業から約3分の1、その他財務諸表の利用者であります銀行協会、証券業協会、生保協会、東京証券取引所などから3分の1ということで、この3グループから3分の1ずつ、安定した拠出を頂いておりまして、お金の拠出という点では日本は一番安定した拠出をしているということであります。

今後は、財務会計基準機構のメンバーから拠出頂くということに変えることによって財政基盤を安定させていきたい、こう考えております。

今般、金融庁、東京証券取引所、大阪証券取引所などのご配慮もありまして、財務会計基準機構への拠出を促すようなインセンティブを企業に与える仕組みを作って頂きました。この点につきましても、この場を借りまして改めて御礼を申し上げたいと思います。

財務会計基準機構の会員になると、何らかのメリット・インセンティブがあるというようなことが必要であろうと思います。最後に書いていますが、FASFの会費に見合ったサービスをFASF、ASBJから行っていくという意味で、先日EFRAG議長の来日の機会をとらえ、ASBJがセミナーを開きまして、FASFのメンバーに無料、割安で招待するというようなことを企画致しました。FASFは皆さんの財団であり、日本の会計基準設定主体を支える財団であるということを更にご理解頂きまして、会員の数もさらに増やしていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○安藤会長

ありがとうございました。

島崎委員と同じくIASCFのトラスティでいらっしゃる藤沼委員から、トラスティとしてのご意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

○藤沼委員

藤沼でございます。よろしくお願いいたします。

今トラスティとして最大の関心のあるテーマは、IASBの議長の交代です。IASBのボードメンバーは定款上では任期は一期5年で2期10年間までということで、2001年にIASBが設置されてからちょうど10年になるわけで、2011年の6月に現在のデイビット・トゥイーディー議長が退任することになります。昨年の秋頃から徐々にIASBの議長の後任候補を探し始めました。これは非常にオープンなプロセスを経なくてはいけないということで、現状を報告させて頂きます。

最初に選任に当たっては、我々トラスティの中での推薦委員会が主な活動をします。私もノミネーティング・コミッティの委員なんですけれども、この推薦のプロセスを助けるということで専門のヘッド・ハンティング・ファーム、スペンサー・スチュアートというところと契約をして、我々トラスティーからの推薦者の名前、あるいはスペンサー・スチュアートが持っている彼らの登録リストの中から、これがふさわしいという人たちをまずリストアップしてもらう、そのリストの中から適当と思われる人をショートリストに絞っていくということをやっております。

それと同時に、各国の会計基準設定者等の意見を聞くということも大事だということで、これは主にノミネーティング・コミッティのチェアマンが、昨年の9月にナショナル・スタンダード・セッターの会議がロンドンで開かれたときに、各国の基準設定機関の議長に、IASBの議長としてどういう人が望ましいのか、具体的に候補は頭に入っているのか、あるいはどういうような地域から出た方がいいのかなど、いろんなことを個別にヒヤリングをしております。

その後、現在のボードメンバー、それと過去ボードのメンバーであった人たち、あるいはテクニカルのスタッフの人たち、そういう方々にも、どういう人がふさわしいのか、適切な人がいるかなどの質問をして、いろんな角度からの情報を集めております。

昨年の12月に、公式にIASBのチェアマンを募集するということを広告する必要があることからジョブ・ディスクリプションを作成いたしました。どのような仕事をチェアマンとしてやらなくてはいけないのか、どういうスキルが望まれるのか。スキルという面では会計基準についてのエキスパートであるということは当然ですけれども、国際的な組織の議長ですからそれだけでは十分ではない。当然ながら、日本語的に言うと難しいのですけれども、ポリティカル・スキルというのも必要だとか、あるいはカルチャラル・センシティビティ、いろんな方がメンバーになるわけですから、文化に対する国々の多様性についての理解のある人でなくては困る。また政治的にかなりプレッシャーが掛かる仕事ですので、それらについてある程度的確に反応できるようなポリティカル・スキルも求められるだろう。同時に、IASBのボードメンバーと話をしてまとめていくわけですから、リーダーシップ・スキルというのも当然ながら出てくるだろうというようなことで、いろんな条件があるわけです。今年の1月にエコノミスト誌、あるいはIASBのウェブサイトに公表、いわゆるチェアマン募集の広告を出しまして、結果的に200人を超えるような名前が上がってきております。

○安藤会長

ちょっとすみませんが、時間の関係がございますので手短にお願いします。

○藤沼委員

はい。現在は最終的に絞り込んだショートリストを作っておりまして、できればこの6月にインタビューをして、7月のトラスティの会議で決定したいと思っておりますけれども、そこまでに決まるかどうかというのがちょっとまだ分かりませんが、今そういう状況でございます。

あと、IASBノボードメンバーである山田辰巳さんも来年の同じ時期に交代するわけですけれども、その選考作業につきましては多分チェアマンの選考が終わった後にスタートするという形になると思います。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。まだ5~6人の方のご報告がありますので、失礼いたしました。

次に、IFRS導入に関する諸課題への対応ということで、監査人の立場から増田委員にお願いいたします。

○増田委員

日本公認会計士協会の増田でございます。

資料の8ですけれども、IFRSの導入に関しまして、監査人側の対応ということで簡単にご紹介したいと思います。

ページを開いていただきまして、2ページですけれども、「IFRSに基づいて作成された財務諸表の監査」ということになりますが、それについて基本的な考え方といいますか、日本におけるIFRS導入の意義というのは、我々も、こういう国際市場に日本企業がどんどん出ていっている、貿易立国をコアにしておりますので、こういう展開、IFRSの導入自体は不可避だというように考えておりまして、前々からそういう対応を考えてきております。

それから、対象企業だとか対象の財務諸表ですけれども、ご承知のように上場会社の財務諸表の投資家向けのものは、連結財務諸表が基本であるということ、そういうことなんですけれども、連結財務諸表というのは個別財務諸表の集合体ということでございますので、個別についても同時にIFRSの導入ということは本当は望ましいわけですけれども、これは税の問題だとか配当の問題等ございますので、今後の検討が必要だろうというふうに思っておりますけれども、できるだけ効率的な、これは作成する側もそうだと思いますが、監査する側も同じ基準で作成されたものがいいというふうに思っております。

それから3番目の原則主義ということなんですけれども、これが監査にどういう影響を与えるかということなんですが、作成する側はもとよりですけれども、当然監査する側もそれについては大きな影響が出てくるわけで、これについては監査人側についても、より十分な教育だとか研修が必要だろうということで、そうなりますと、今まで以上に企業の実態を見ていくということが必要なんだろうというふうに思っております。

それから、4番目の日本基準に基づいて作成された財務諸表の監査ということですけれども、少なくともこれからも日本基準は残りますし、また連結先行ということなんですけれども、個別財務諸表の監査というのが残るわけですから、コンバージェンスが進むといっても、こちらについても解釈の幅が出てくるだろうと思いますので、監査上の取扱いについてより検討が必要だろうというふうに思っております。

それから、次の3ページ目をちょっと開いて頂きまして、会計士協会の対応なんですけれども、まず1番目の「IFRS導入に伴う監査上の問題への対応策の検討」というところなんですが、これにつきましては、IFRSで作られました財務諸表の監査の際に必要な実務指針等の見直しだとか、あるいは委員会報告等の見直しのための専門委員会を設置するということを考えております。

ここでは、現状の監査・保証実務委員会だとか監査基準委員会だとか、あるいは会計制度委員会、こういった実務指針を作っております日本公認会計士協会の中の委員会があるわけですけれども、そこの委員の方に参加していただきまして、横断的な専門委員会を作ろうというのがいいのかなというふうに思っております。

それから2番目の、先ほど関口参考人の方からお話がございましたけれども、「ISAクラリティ版を踏まえた実務指針の改正」というのが必要だろうということなんですが、これにつきましては先ほどご紹介がございましたが、ISAのが36本、ISQC、これは品質管理基準なんですけれども、これが1本ございまして、これを6月にIOSCOのISA受入れの推進がありまして、協会ではさらに、こういったISAのクラリティ版を踏まえた実務指針の改正ということを行っていくというところでございまして、現状も行っておりますけれども、これも進めていきたいというふうに思っております。

また、3番目の「教育研修の充実に向けた支援」というところですけれども、これにつきましては会計士協会が中心になりまして、経団連等の関係者のご協力を得まして、一般財団法人の会計教育研修機構というのをつくりました。こういったところでもIFRSに向けたセミナーの実施等を行っていきますけれども、監査人側としましては、ビッグ4と言われている大手法人は自前でできるのですけれども、中小監査法人あるいは個人事務所等について、やはり特別に研修プログラムを準備しまして、そういったIFRSの情報を提供していくということが必要だろうと思っておりまして、現実に一部始めておりますけれども、そういったことを強力にやっていきたいというように思っております。

それから、4番目の「IFRSデスクの設置」というのは、これは会計士協会の中に、先ほどちょっとご紹介しましたけれども、教育研修の企画だとか、あるいは情報の収集・発信、そういったことをやるということで、特別に昨年の4月にIFRSデスクというのを設けまして、こちらのほうで一元的に対応しようというふうに思っております。

また最後の「IFRS導入に向けた各界との協力、意見交換」ですけれども、先ほど島崎委員からも、あるいは萩原委員からもお話がありましたが、関係者と、そういったIFRS導入に向けた対応会議にも出席して、我々も意見を述べながら、あるいは委員を出しながら協力をしていくということで対応していきたいというふうに思っております。

非常に足早でしたが、会長の要請に沿うように短く説明させて頂きましたので、よろしくお願いします。

○安藤会長

ありがとうございました。

次に、IFRS導入に関する諸課題への対応について、財務諸表の利用者の立場から、引頭委員にお願いいたします。

○引頭委員

大和総研の引頭でございます。利用者の視点からということで、日本証券アナリスト協会の活動についてお話させて頂きます。

ちなみに、ご案内のこととは存じますが、日本証券アナリスト協会は、アナリスト教育試験制度を運営する非営利団体でございまして、約2万3,000名の検定会員が所属しております。

お手元の資料の9でございますが、こちらは3部構成になっておりますが、1ページから3ページ目にありますように、日本証券アナリスト協会では、IASB、ASBJ、SEC、企業会計審議会、こちらの方等々、様々な関係諸団体に対して多くの意見書を提出させていただいております。これまでは主にパブリック・コメントの募集にこたえるという形で活動して参りましたが、この3月19日、先週の金曜日ですが、初の取組みといたしまして、独自の意見書というものを発表させて頂きました。内容は「個別財務諸表等の開示について」というものでございます。

こうした意見書を発表させて頂きましたのは、私どもがいわゆるパブコメを提出させていただいております様々な関係諸団体の方々に、実際にアナリスト、投資家、格付機関、そういったところが個別財務諸表における各勘定科目あるいは注記等に関しまして、それらをどのように分析に活用しているのか、それらの項目の重要性をどのように考えているのか、そうしたことについてぜひご理解賜りたいというふうに考えたのが背景にございます。

私どもでは、個別財務諸表は信用リスク分析と損益分岐点あるいは限界利益の分析、こうしたものにおいて特に有用性が高いと考えております。ですので、基本的には個別財務諸表の大幅な簡素化あるいは廃止ということに関しましては、拙速な結論を下すのではなく、十分な議論を重ねた上でご検討をお願いしたいと思っている次第でございます。

お手元の資料の4ページから6ページ目がそちらの意見書のプレス・リリース、そして7ページ目以降が本編というふうになっております。4ページ以降のプレス・リリースに基づきまして、その内容をご紹介させて頂きたいと思います。

4ページの真ん中の方に「意見書のポイント」というものがございます。IFRSの採用機運が高まる中、一部に先ほど申し上げたように個別財務諸表の大幅な簡素化・廃止を要求する声があるのは承知しております。世界的に1つの会計基準の採用というのは、財務諸表の比較可能性の飛躍的な向上を意味し、アナリスト協会といたしましては基本的に、IFRSの採用について大変支持しております。

IFRSは注記を含めますと、連結ベースでの財務情報の開示という点では、正直申し上げまして日本の今の会計基準よりも充実しているというふうには考えております。しかしながら、日本における強制適用の時期が未定であること、IFRSにも、先ほどご紹介賜りましたように開発中の重要な基準が複数ある中で、先ほど申し上げた個別財務諸表の是非につきまして議論するのはちょっと早いのではないかというふうに考えております。

一方、日本におきまして連結財務諸表と並んで詳細な個別財務諸表が開示されているというのは、これがガラパゴスかどうかは置いておいて、諸外国には例を見ない伝統的な優れた制度ということで、逆に温存されるべきではないかというふうに考えております。

IFRSは、固有情報、例えば売掛金の相手先の開示というものには非常に弱いのですけれども、これをキャッシュ・フロー情報とか時価情報とか全体情報、つまり例えばですけれども、貸倒れの経年変化、こうしたもので補おうとしているように思います。

一方、日本の個別の財務諸表というのは、キャッシュ・フロー情報や時価情報といった全体情報の不足というのを固有の情報で補おうとしているように見えます。財務諸表の利用者にとっては、IFRSベースでの連結財務諸表と日本基準ベースの個別財務諸表の組合せが実は最強のペアといいますか、分析ツールとしては非常に有用だというふうに考えております。

個別財務諸表の大きな問題として、持株会社化などによって、親会社情報の意味というのが乏しくなっているということも確かにございます。企業分析を行うに当たりまして、従来の親会社情報の開示に加えまして、連結総資産あるいは連結売上高に占める比率などの基準によって、実質的な中核子会社の財務諸表の追加開示というのも実は必要なんじゃないかというふうに考えております。

5ページ目をめくって頂きまして、簡単に、個別の勘定科目について少しだけご紹介させて頂きます。

まず、1の貸借対照表の中で棚卸資産なんですが、これはやはり製品、原材料等、中間在庫の開示というのが必要だということが書いてございます。

それから有形固定資産の方では、こちらは建物・構築物は1個でもいいのではないかとか、こんなことを言っております。

投資その他の資産に関しましては、やはり信用リスクを見る上で、単体の投資有価証券、長期貸付金の金額を把握できることは極めて重要でありまして、連結の貸借対照表での開示と同じように必要性が高いというふうに考えております。また、関係会社株式、関係会社社債、関係会社出資金、こうしたものはグループ内の資源配分というのが見えますので、これも非常に重要だというふうに考えております。

信用リスク分析では、返済期限のある有利子負債で調達した資金が返済期限のない投資に投入されているのではないかというのを確認するため、資本の合計とその関係会社株式、関係会社出資金という個別貸借対照表上の勘定科目で比べましてバランスを確認しているという現状もございます。

2番目の損益計算書でございます。売上高、利益に関しましては、いずれも損益分析には必須項目でございます。

下のパラグラフの販管費でございますが、やはり限界利益分析を行うにはこの内容が詳細であれば詳細なほどよろしいということを言っております。

次のページの6ページ目でございます。アナリストが一番知りたいのは、連結ベースの販管費の細かい内訳ということなのですが、それが今ないので個別財務諸表で代替しているというのが実態でございます。

3番目の製造原価明細書でございます。これも連結では開示されてないということがありまして、単体で代替的に使っているので非常に必要だということでございます。

4のその他本表、付属明細表などというところでございますが、ここにありますように、株主資本変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、連結の有価証券の明細表、あるいは借入金の明細表、これは単体の分ですけれども、こういったものが非常に重要だというふうに判断しております。

その他、5番目になりますが、これは監査対象外のものになりますけれども、受取手形、売掛金の相手先別、あるいは支払手形、買掛金の相手先別というのは、むしろ期日とか滞留条件の明細といった定量データよりも、だれから借りているのか、だれに売っているのかというような、大口顧客あるいは大口仕入れ先、こうした情報が非常に有用に使わせていただいている、そういうものでございます。

以上、個別財務諸表等の開示についての意見書の概要をご説明させて頂きました。

先ほどご紹介いたしましたように、本編にはさらに詳しく各個別勘定科目ごとに、利用者側から見た考え方が記載されております。私の記憶が正しければ、このような形で財務諸表の各開示項目につきまして、どのように実際利用者が活用しているかというのをまとまった形で出させて頂いたのは本意見書が初めてであるというふうに思います。どうぞお時間がありますときに本編にもお目通し頂ければと思います。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

次に、IFRS導入に関する諸課題への対応について、会計基準設定主体の立場から、逆瀬委員にお願いいたします。

○逆瀬委員

それでは、お手元配布の資料10と資料13を用いまして簡単にご説明いたします。資料10を中心にご説明申し上げます。

資料10の表書きの1番でございますけれども、IASBにおける開発状況ということですが、ご案内のとおり、2011年6月をターゲットとしまして、いわゆるMOUの9項目などの開発が進められております。また昨年11月には、そのコミットメントを再確認するとともに、作業計画も更新したところですけれども、さらにIASBの作業計画は今月の1日に更新が行われてございまして、その内容は資料10の後ろ側に別紙として添付してございます。

昨年11月のものから大きな変更はないと理解しておりますけれども、その後の話として、一番下の引当金ですけれども、これにつきましては、いわゆる非金融負債のプロジェクトというのが正式の名称だろうと思いますが、これにつきましては先週末のIASBのボード会議で、正月に公表されました測定部分に関する再公開草案についてコメント期限を4月から5月19日まで延伸するということが決定されておりまして、このファイナル基準も、先ほど申し上げた今月1日の作業計画では前倒しされているわけです。お手元の別紙のとおりですが、さらにまた後ろに倒れるというふうなことが予想されております。非常に動きが急でございますけれども、こういった動きを受けまして私どものプロジェクト計画表の見直しも今検討をしております。

先ほど申し上げました資料13をちょっと見て頂きますと、表が書いてありまして、主な私どもの検討テーマについての現時点での事務局の検討スケジュールの見直し案でございます。未定のものでございますけれども、近々公表する予定でございます。

それから、この資料13の2ページ目の2項としまして、「上場会社における個別財務諸表の取扱い(連結先行の考え方)」を掲げてございます。私どもの個々のテーマ開発における議論におきまして、最近、連結先行という考え方の具体的な適用に関する関心といいますか、ご意見というものが非常に増えているというようなことがございますので、関係者とともにその具体的なあり方について検討を行うべき時期だと判断したものでございます。ASBJ内にその検討の場を設けましてその議論を深めていきまして、もってコンバージェンスの加速化に資するものにしようとするものでございます。

資料10の方へ戻って頂きまして、2の「IFRS開発への貢献及び意見発信の強化等」でございます。

私どもはIASBの開発により大きな貢献を行うとともに、開発する新しい基準が我が国において受入れ可能となるような作業を進めているところでございますけれども、このような観点から次に示しましたような対応を行っております。

マル1のIASB共同会議の実施、これは年2回行っているものですけれども、今年は書いてありませんが、来月の27、28日に東京で第11回目の開催をいたします。

それからマル2ですけれども、IASBがグローバルに行っております円卓会議であるとかアウトリーチであるとか、関係者からの意見聴取の場面がございますが、こういったものが東京で開催される場合には、積極的な支援を行っております。引き続き協力をしていきたいということでございます。

次のマル3ですけれども、先ほどからも話が出ておりますIFRS対応会議との連携を図った上で色々と活動をしていくということでございます。

それからマル4ですけれども、各国の設定主体との連携ということなんですが、これまでにない新しい切り口であります。MOUの議論が展開する中で、海外の有力な基準設定主体と私どもとでその内容について意見を共有できる部分があるというようなことも分かってきております。今年の正月には英国のIASBの議長等と当方で会議を開催しておりますけれども、検討中のMOU項目について設定主体として意見共有ができるものはIASBに対して発信できる工夫はないのだろうかといったようなことを話し合った経緯もございます。今後の課題でございます。

最後のマル5のAOSSGですけれども、これは先ほどちょっとお話がありましたけれども、昨年4月に日本、中国、韓国3ヵ国が主導して準備会合を開催いたしまして、第1回総会を昨年11月、マレーシアで開催いたしました。21カ国が参加して、約100名の大会議でありました。具体的なテーマについて9つのワークグループが現在設けられておりまして、日本はイスラム金融を除いた全てのワークグループに参画し、一部については、例えば収益認識についてはリーダー国を務めております。9月の第2回総会は、東京開催であります。議長国でございますので、存在感のあるリーダーシップを発揮していこうということで、目下、準備を行っている最中でございます。

続きまして、2枚目の3ですけれども、「IFRS導入に向けた企業会計基準委員会の対応」ということでございます。

まず(1)は翻訳でございます。IFRS対応会議傘下の委員会とも連携しながら、私どもはこのマル1にありますように、機構内に翻訳のためのグループを設置しまして、各種翻訳業務を統括する機能を強化いたします。2009年版のバウンド・ボリュームについては、予定どおり翻訳を終えまして発行したということでございます。

それからマル3ですけれども、これは任意適用がすでに始まっているということがございますので、IASBが公表しますファイナルの基準のほか、討議資料であるとか公開草案につきまして、適時に日本語訳を行い、随時ホームページに掲載することを通じて、市場関係者に対して情報提供を行おうとしております。

また、いわゆるXBRL、タクソノミーIFRS版についても対応するということで動いております。

それから(2)ですけれども、「市場関係者に対する教育・啓蒙」、これも重要な活動だと理解しております。

マル1にございますように、最新のIASBにおける基準開発動向を的確に日本の市場関係者にご紹介するために、今年度からは新しくASBJオープン・セミナーと銘打ったものを開催していこうということでございまして、上の●にありますように、3月の初めにはEFRAGの議長並びに副議長を招いてセミナーを開催しております。また4月には、デイビット・トゥイーディーIASB議長を招いてのセミナーも予定をしてございます。そのほか、東京以外のところでも、あわせて同じような情報提供をするためのセミナーを予定しております。

なお、マル2に示しましたように、私どものホームページ上のものとして、いわゆるASBJWebセミナーというものを昨年5月から継続して実施しているところでございます。

それから、一番下の(3)ですけれども、「IFRS実務対応グループの設置」ということでございます。

先ほどもご紹介ございましたけれども、昨年設置いたしまして、我が国の企業がIFRSを任意適用するに際しまして、日本の固有の会計事象に係る解釈問題等がございます。こういうものに対して、任意適用会社を支援するために設置したものでございます。後ほどもご紹介があるかも分かりませんが、IFRSの導入準備タスクフォースと連携しまして、ここで認識された解釈上の問題点等を中心に、重要性の高いものについてはIASBのシニア・メンバーを窓口とするルートができておりまして、ここに対して照会活動を行うということでございます。

私からは以上のとおり報告申し上げます。

○安藤会長

ありがとうございました。

次に、IFRS導入に関する諸課題への対応について、経団連としての取組み等につきまして、久保田委員にお願いいたします。

○久保田委員

経団連の久保田でございます。私からはIFRS導入準備タスクフォースについて簡単にご説明いたします。資料11として1枚物をお配りしてございますのでご参照頂ければと思います。

経団連では2010年3月期から始まる上場会社連結財務諸表へのIFRSの任意適用に向けまして、企業における円滑な導入のサポート及び不必要な導入コストの抑制を目的としまして、このIFRS導入準備タスクフォースというのを立ち上げております。現在企業21社と監査法人ほか関係者が協力しながら検討に当たっているというところでございます。

IFRSの特徴の1つとしまして、いわゆる原則主義の会計基準であるということが挙げられておりますけれども、そういった中では、現行の我が国の会計基準のように細かい数値基準等が書かれていないということがありまして、経営者としては原則に照らしてどのような判断をしたのか、ステークホルダーにきちんと説明するというようなことが求められております。

また、監査上の問題以外につきましても、任意適用の段階では、作成者、監査法人、基準設定主体、証券取引所、規制当局の全てにとって初めての取組みになるということから、色々な混乱が生ずるという可能性もございます。そういったことにならないように、任意適用に先立ちまして、企業が経理の現場で直面するIFRS適用に係る実務上の問題点を抽出、整理しまして、適切に理解、共有するということが重要であろうというふうに考えております。

これまでタスクフォースは5回開催しておりまして、初度適用、固定資産に関する検討が終わり、今は収益認識についての検討を行っているところでございます。

タスクフォースでは、監査上の取扱い、ましてや、各企業の個別の監査の取扱いについて議論するのではなくて、あくまでも一般論としての課題の抽出を行う場でございます。また各監査法人はタスクフォースの議論に拘束されない、こういうことでございます。

議論を通じて提起される基準の解釈問題については、逆瀬委員からご説明がございましたように、ASBJが設置しているIFRS実務対応グループにてさらに検討を進めていただくというようなことで連携を図っているということでございます。

経団連としては、引き続き実務上の課題を総合的に整理しまして、IFRSの円滑な導入に向けまして貢献していきたいと考えております。

私からは以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

一応IFRS導入に関する諸課題への対応ということで、これは国際化への対応ということで、外へ向いたような話ですが、次は、国際問題は国内問題を引き起こすという、そのルールどおりだと思うのですけれども、国内の、一言で言えば金融商品取引法会計が適用にならない企業の会計はどうあるのだという動きがございます。つまり我が国の会計基準をめぐる動向といたしまして、非上場会社に関する会計基準という議論がされております。

それで非上場会社に関する会計基準の検討につきましては、私が関わっている場合が多いことから、恐縮ですが、私の方からご報告させて頂きたいと思います。資料の12をご覧頂きたいと思います。

これまで、非上場会社といいますか、中小企業が計算書類を作成するに当たり、依ることが望ましい会計処理などを示すものとして、中小企業の会計に関する指針がございます。これは資料12の1ページ、今から約5年前に検討委員会を設置したときのプレス・リリースでございます。これは読み上げることはいたしませんが、この中小指針と略称いたしますけれども、これが平成17年8月にできました。3ページの上のところに、設定が17年8月で、大体毎年1回、4月か5月ごろに改正を重ねております。現在も改正作業中で、今パブコメに付しているあたりかと思いますが、ここに経緯が書いてございます。

それから、関係している4団体、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会という民間4団体が共同でというか、連名で公表しているものでございます。

そして、これは直接の契機というのが、平成17年の会社法において会計参与制度が創設されまして、この会計参与設置会社を主たる対象企業ということにしてやっております。もちろん、それに限られませんで、この通し番号の5ページに対象会社を書いてございます。

こういうことで、公認会計士監査が入らない会社ということになっていますが、やはり中心は会計参与設置会社を念頭において作られているということでございまして、何のはずみか私がここの委員長ということでずっとやらせて頂いているところでございます。時間の関係で、後で総論のところをお目通し頂ければと思います。

今日はちょっと討論時間を設定する必要がございますので、予定の11時半よりは10分か15分延長する可能性がございますので、時間のご都合のつく方はぜひご協力をお願いしたいと思います。

もう少しこれについて、6ページをご覧ください。「指針作成に当たっての方針」というのが書いてございます。これについては、会計情報の利用者が中小企業の場合限定されているということから、コスト・ベネフィットの観点から会計処理の簡便化や法人税法で規定する処理を認めるという、そういうスタンスで作られているということでございます。

続きまして、次は同じ資料12の9ページに関してでございますが、「非上場会社の会計基準に関する懇談会の設置について」ということで、今までのご報告の中にもこの名前は出てきたところでございますが、日本の会計基準が国際的な会計基準とのコンバージェンスを進めている過程で、国際的な資金調達の必要性の低い非上場会社から、今後日本の会計基準の国際化を進めるに当たって、非上場会社への影響を回避または最小限に止める必要があるなどの意見がございまして、これを受けて非上場会社に適用される会計基準のあり方について幅広く検討を行うことを目的として、この非上場会社の会計基準に関する懇談会が設置されました。そしてこれも、座長を私が承っております。

そして、3月4日に第1回会合が開催されまして、対象とする会社の分類、適用される会計基準、個々の会計基準を作成する主体などについて意見交換が行われております。今後議論を重ねて、6月ないし7月を目途に基本方針をとりまとめられればと考えております。

私といたしましては、我が国の会計基準の国際化が進展する中、非上場会社について、この実態に合った実用的で高品質な会計基準の検討が行えるよう努めていきたいと考えております。

これについては10ページに懇談会の名簿、それから最初の3月4日の会合の議事概要が載っておりますので、ご参考にして頂きたいと思います。

昨今、非上場会社の会計基準のみならず、当審議会の打ち出した連結先行の考え方、またより国内諸制度との関係性の深い個別財務諸表のあり方について、今後の会計制度、会計戦略といった観点から、大きな視点で議論をしたいという声がございます。本日のこの審議会の会議を見渡しましても、当審議会は学界、経済界、産業界、金融界、会計士界、投資家、会計基準設定主体、そして金融庁、法務省という会計制度についての権限ある当局という、会計に関する関係者が過不足なく一堂に会した場であるという思いを新たにいたします。

戦後間もなく、当審議会の前身とも言うべき経済安定本部企業会計制度対策調査会が企業会計原則という大方針を打ち立てて以来、国内会計基準のビッグバン、国際会計基準とのコンバージェンスの方針や直接的な適用の議論をして参りました。もちろん個別の会計基準はASBJで策定して頂くものでございます。ASBJをサポートする意味でも、この場で会計について深度ある議論がしてみたいという思いを個人的には深めております。

以上で大体予定した報告は終わりましたので、ここで、今までの報告につきましてご質問、ご意見等ございましたらご自由にお願いしたいと思います。辻山委員どうぞ。

○辻山委員

議長ありがとうございます。

今日の議論に関連して、2つコメントさせていただきたいと思います。

1つは事実確認ですが、ご承知のようにIASBの定款が3月に改訂されておりまして、旧IASC財団はIFRS財団に変わっています。今後の対応のためには事実を正確につかまえておく必要があると思いますので、小さいことですが指摘させていただきます。

それから、先ほどご指摘がありましたように2月にSECが声明を出しまして、それを見ますと、アメリカは早期適用を停止する、いわゆるパイロット・スタディを一たん停止するということになっています。この声明の内容を詳細に読みますと、かなりステップビハインド、少し引いてみましょうという姿勢になっていると思います。昨年のこちらの中間報告案の大きな骨子というのは、アメリカの動向を見極めましょうということが合意だったと思います。従いまして、アメリカが2011年にその動向を決めるということがもう目前に迫っているわけですから、やはりアメリカの動向をもっと踏まえる必要がある。

アメリカの去年公表されたストラテジック・プランと今回の声明を見ますと、オン・ゴーイング・コンバージェンスという表現になっていて、アメリカのスタンスがかなり色濃く出ているというふうに思います。つまりアドプションの方向性は読み取れない。これは事実じゃなくて私の読み方ですけれども、それを冷静に分析する必要があるのではないか。

それから中国につきましては、ご承知のようにコンティニュアス・コンバージェンスということで、アダプションではないということになっています。これはIASBがホームページのデータ・ソースとして使っておりますデロイトトッシュのホームページで、中国はIFRSはノットパミッテイド(not permitted)というふうに明記されていますので、これはアダプション国ではない、コンバージェンス国だということになります。

そういう世界の動きの中で、日本がどういうふうに市場のニーズと国益に合ったIFRS導入を考えていくのかということについてのタイムスケジュールですが、2011年にアメリカで結論が出るということになっていて、こちらの中間報告でも2012年にそれらの世界的な動向を勘案して、日本のニーズ、それから国内的にドメスティックに展開している企業のコスト負担も考えて判断しましょうということになっていましたね。

ですから、もう早くやらないと遅れるのだとか、もう決まったのだとかいう論調は、私はこの審議会の前回の中間報告とはちょっと違うのではないかと思います。要するに、2011年のアメリカの動向、2012年の当審議会の最終的な意見、そういうものを踏まえて、そしてその後に十分間に合うようなタイムスパンでそのIFRS導入に取り組んでいったらいいのではないかなというふうに思います。これが第1点目です。

それから学界からの立場ということで、制度の中身につきまして時間がないので1点だけ申し上げますけれども、IFRS9号というのが今回もう既に任意適用のところには適用されるというふうに日本ではスタンスを取っていますけれども、ご承知のようにECではこれはカーブアウトした、現状はまだ入れてないということです。将来的に基準の1つひとつの検討を実際どこでやるのか。今日の議論はどちらかというとIFRSが確定する前の意見発信ということに集中していますけれども、もし仮に一部の企業でもIFRSが導入された場合には、その導入されるIFRSの中身について、どこがどういうスキームでチェックしていくのかということをきちっとしておかないと、ECはカーブアウトして日本だけどんどん入ってきて、日本企業に多大なコスト負担を負わせることになると思います。

今日は時間がないのでちょっと早めに言っておかないと、後では時間がないと思いましたので、失礼しました。

以上でございます。

○安藤会長

大変有益なご意見だと思いますけれども、後の方については金融庁の方から何か説明ができるのではないですか。

○三井企業開示課長

先程は説明を割愛しましたけれども、資料5の中にありますように、現状の規則では、全てIFRSが自動的に日本で適用される仕組みとはしてございません。指定国際会計基準という単語を使わせて頂いておりますけれども、告示に追加しないとこの適用対象にならないという仕組みになってございます。それで、フォーマルな手続きとしては、最終段階ではパブコメに付して、そのコメントを踏まえて告示に最終掲載される、官報掲載されるという形になります。

従いまして、そこはファイナルなフォーマルな手続きということになりますので、その前段階で関係者がどのような場でどのように、実質的にフォーマルな面も含めて議論していくかという点は当然あろうかと思います。このパブコメに出させて頂く前には、金融庁としてもASBJ初め各関係団体のご意見をお伺いして、またパブコメ後も様々な関係者にはお話をお伺いしてございます。

今回のIFRS9号ということでいうと、実務の方からは、この基準自体が任意適用で、IAS39号と選択適用になっているということや日本の主張も採り入れられていること等を理由に、このパブリック・コメントでも特段の反対はございませんでした。むしろ関係者の中にはポジティブに、非常に積極的に評価している方もいらっしゃいました。

ただ、保険会計の帰趨がよく分からないということで、資産、負債のマッチングの観点から、保険負債、その計上時点で改めてその資産、負債のマッチング度合いを見たい、こういったご意見もあったのは事実でございます。

今後、さらに国際会計基準の動きが予想されますので、関係者から十分ご意見を賜りたい、こういうふうに思っております。また仕組みにつきましても、もしご意見があればぜひお寄せ頂ければありがたいと思います。

○安藤会長

ありがとうございました。

他の委員の方からご意見、ご質問を承ります。阿部委員どうぞ。

○阿部委員

意見というかお願いなのですが、安藤先生からご説明がございました中小企業向けの会計基準の議論でございますが、今回このような形で、私どもも協力させて頂きまして、懇談会ができまして議論が始まりましたので、もともと監査対象でもない、金商法対象でもない会社の議論でありますので、少し金融庁として温かく見守っていただきたいということであります。

○安藤会長

ありがとうございました。

他の委員の方いかがですか。黒川委員どうぞ。

○黒川委員

私からは確認でございます。

三井課長の資料5の90ページのダイナミック・アプローチについて、この網目とか斜め線とか、色も分けてあるところの意味と、それからダイナミックという言葉の含意、内容はこれから各関係者で詰めていくのかもしれませんけれども、今のところ考えていらっしゃる内容について、もう一度説明をしていただきたいと思います。

○三井企業開示課長

まず、前の89ページの資料は、連結先行という表題で、その絵自体は企業会計審議会のこの場にお諮りしたものでございます。その意味ではその趣旨は変わってございません。既存の基準に日本基準を合わせるという局面でなくなったということに伴う言葉の変更でございまして、恐らくそのご質問の一番の骨のところは90ページかと存じます。

それで、会計基準の中身そのものに関わりますので、規制当局あるいは政府があまり差し出がましいことを申し上げるのは僭越だと思うのですが、ここでの試みの話としまして、まず連結と単体のダイナミック・アプローチということで、連結を単体ベースに作成するので、全くこれが連結財務諸表を作るに値しない単体の財務諸表であるとすると、連結自体に財務諸表としての信頼性が失われる。こういうことから、整合性は必要である。前回、前々回の議論でも、会社がスピン・アウト、スピン・オフをして連結子会社を作ると、単体の会社が連結子会社を有する連結グループとしての会社になる、また、その連結子会社を吸収合併すれば、連結を持っている会社が単体だけの会社になる、こういうことで、連結と単体、全く違う会計基準であるとすると、企業再編だけで適用される会計基準が変わるということから、全く違うというのはおかしい、こういう議論があったと思います。

そういうことを前提としつつも、コンバージェンスの局面では、連結と単体が時間的にずれるということはあり得るでしょうし、また時間の長い、短い、あるいは差の大きい、小さいというのは、個別の会計基準によっていろいろな見方なり判断が必要になるということから、会計基準設定主体が会計基準を作っていく際にここのところを判断する、こういうことだったと思います。

その上でこの90ページでございますけれども、ここで書いていますのは、やや単純化し過ぎてございますけれども、金商法適用会社には、上場会社、今店頭登録というのがありませんので、上場会社と大きく分けると、それ以外の、公募による資金調達をしたか外形標準に該当する会社の、大きく分けてこの2種類がございます。実はこの中にもいろんなバリエーションがありますので、細かく見ると色々あるかと思います。この中で国際会計基準の直接適用が念頭に置かれているのは、単体ではなく連結だけでございますし、上場会社だけでございます。

そうしたときに、非公開の会社というのは、一般的にではございますけれども、資金提供者というのでしょうか、会社が財務報告をする対象としての資金提供者の範囲が相対的にはインナー・サークルである、パブリックではない。債権者は、上場会社の株主のように日々取引の対象とされて日々交代するものではない、比較的長期安定的にリレーションシップが確立している説明相手であるという点から、上場されているという意味での上場会社と非上場会社、とりわけ閉鎖会社では、同じ財務報告をするに当たっても、その説明を受ける人と説明をするリレーション、関係が少し違うということ、それからもう1つは、投資家、取引所で取引されている投資家は極めて会社との関係が希薄で、上場会社の株主・投資家は、会社に対するバーゲニング・ポジションが必ずしも強くないという特色があります。これに比べて閉鎖会社というのは比較的長い関係があったりとか、資金提供者は銀行であったりとか、あるいは一族、創設者、オーナーといった、比較的バーゲニング・パワーがある場合が想定されます。

こういったことから、財務報告をする場合にも、パッシブな財務報告の提供を受ける方と、ポジティブな立場で財務報告の提供を受ける方といった、そういった違いを考えると、この財務報告の仕方、中身については一定程度の差があり得るのではないか。

片や全く両者が矛盾してしまっていていいかどうかといいますと、例えば新興企業が大きくなって、IPOをかけて上場する。あるいはMBOでそれをまた非公開化する、あるいは上場会社の子会社には非公開会社がある。その連結財務諸表を作る際には子会社の情報が必要であるといったことから、全くばらばらというわけにもいかないのだと思うのですが、先ほど阿部委員からもありましたように、ここは上場会社そのものに要求されている会計基準と若干違うということは十分想定され得るのではないかということから、試みにこの絵を描いてみたものでございます。

そういったことをこの議論のトリガーとして、実際に設立された懇談会、あるいはこの企業会計審議会、あるいはASBJにおいてその議論をいただけると非常にありがたい、こういった趣旨でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

他の委員の方から、もう一方ぐらいが限界かと思うのですが、藤沼委員どうぞ。

○藤沼委員

今、辻山委員がIASCFの名前の変更について、IASCファンデ-ションからIFRSファンデーションに変わったはずだけれども、どうしてその名称に変更していないのかという質問がありました。実はIASCのファンデーションはアメリカのデラウエア州で法人登記が行われておりまして、現在名称変更のリーガル手続きをしておりますので、まだ正式には名前の変更をされておりません。時間の問題だということをお話しておきます。

○安藤会長

ありがとうございました。内藤局長。

○内藤総務企画局長

総務企画局長の内藤でございます。本日は会議に遅れてまいりまして、大変申しわけございません。

既に意見書の方は田村政務官の方にお渡しをして頂いたというふうに聞きまして、田村政務官の方からもご挨拶をさせて頂いたというふうに伺っております。

新しい内閣がスタートいたしまして、昨年の9月以降でございますけれども、この総務企画局にとって、政策立案というものはどういうふうにやっていくかというところは大きな1つの論点でございまして、その中で法案の作成につきましては、様々な検討のPTというようなものを立ち上げつつ、その中でかなり詰めて、それを法案化していく、こういう形で今、プロセスでやっています。

他方、会計基準といいますか、今日は監査基準がメインテーマでございましたけれども、これについては専門性が非常に高いということで、引き続き企業会計審議会でやって頂くという形でこういう場を設定させて頂いているということでございます。

本日、監査基準について改訂の意見書をいただいたわけですけれども、その他この会計の問題というのは私どもも最近非常に大きな問題、総務企画局の行政分野の中でも極めて大きな分野だというふうに認識をしておりまして、IFRSの任意適用が既にこの3月期からスタートしておりまして、昨年の中間報告以降、このための準備ということで、関係の皆様方にも非常にご協力を頂いているわけでございます。

その一方で、この国際会計基準というものをこれから導入し、さらにその強制適用については2012年に、その時点における諸課題の達成状況を勘案して、また是非を検討する、こういうことになっておりますが、他方、先ほど安藤会長からご説明がございましたように、中堅中小会社、非上場会社がこの流れの中でどういう対応ぶりにこれからなっていくのかということは、もう1つの大きな懸念材料になっておりまして、国会でもたびたび質問が出たり、私も答弁に立ったりということがございました。これは、今後、IFRSの動向によって日本基準そのものが影響を受けるという問題もございますし、もう1つはやはり、中堅中小会社にとって見ると様々な懸念が生じ、また、多大なコストがかかる。新しいことをやるということは必ずいろんな意味でのコストがかかるわけですけれども、そのコストと、それを含めても新しいことをやることのベネフィットという、その比較考量の問題だろうというふうに思いますけれども、コストがかかるということは否定できないわけでございまして、それをどういうふうに考えていくのかというところで、こういう非上場会社の会計基準のあり方について、財務会計基準機構を中心に、関係者に集まって頂いて検討を進めて頂く、これはまたこれで非常に有意義なことだというふうに思っております。

私どもとしては、これからいろいろ会計の問題、それはさらに、ご承知の方も多いかと思いますけれども、公認会計士の資格制度の問題、あるいはその質の維持あるいは向上という問題、これについても現在ワーキング・チームをつくって、政務三役のもとで今非常にホットな議論をして頂いております。そういう面で、会計基準、監査基準、あるいは公認会計士制度、様々な角度から会計の問題にかかる検討というのを、今同時進行型で進めておりまして、担当者は非常に大変な忙しさでやっておりますけれども、とにかく皆様方のご協力といいますか、ご理解を頂いておりますので、少しずつでも前に検討が進んおり、私どもとして非常にやりがいがあることだなというふうに思っております。

それから、やや蛇足になりますけれども、先ほどIFRS9号、金融商品会計の問題について若干ご指摘がございました。この点についても、この原案が出て以後、経済界、金融界、会計界、それぞれの皆様方の相当の努力があって、日本の実態というものをこのIASBの関係者にもよく理解をしていただいた。その結果としてああいう結論ができたというふうに思っております。今後の日本の対応として、日本の状況というものをいかに論理立てて説明していくかということがいかに重要であるかということを私自身も痛感をした次第でございまして、同時に関係者の皆様方にはお礼を申し上げたいというふうに思います。

簡単でございますが、ご挨拶といたします。

○安藤会長

ありがとうございました。

まだご発言をご希望の委員がおられるかと思いますけれども、時間がもう15分過ぎておりますので、この辺で閉めたいと思います。

会計・監査をめぐる動向につきましては、できるだけ最新の情報について、当審議会にご報告いただき、皆様のご意見をお伺いするようにしたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

それから、事務的なことですけれども、来月4月から6月の間に、議論の続きとして総会をもう一回開催する予定でございます。ご協力をお願いします。

なお、本総会でご承認いただきました意見書等につきましては、本日この後記者会見を行いまして、公表を予定しております。

委員の皆様には審議にご協力いただき、ありがとうございました。これにて閉会いたします。

以上

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総務企画局企業開示課
(内線3672、3656)

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