企業会計審議会 第16回企画調整部会議事要旨

1.日時

平成21年6月11日(木)17時00分~18時05分

2.場所

共用第1特別会議室(中央合同庁舎第7号館13階)

3.議題

  • 「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」(案)について

4.議事内容

  • 資料1~5に基づき事務局より説明

  • 意見交換

  • 主な意見等は以下のとおり。

  • 強制適用との関係で、中間報告の位置付けを教えていただきたい。最終報告はいつになるのか。

  • →(事務局)

    中間報告(案)では、強制適用について2012年を目途に判断することとし、強制適用する場合には2015年又は2016年に開始することとしている。こうしたことを踏まえて「中間報告」としているもの。

  • (1)資料3の16頁に、別記事業について「別途の検討が必要である」との記載が追加されたことに賛成。

  • (2)15頁に、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)等において、我が国における個々のIFRSの適用を認めるための適切な規定を整備する必要がある」との記載があるが、意味内容を確認したい。

  • (3)文言上の指摘をしたい。

    • 6頁に、「必要に応じ、我が国会計実務界として適切な『インプットをしていく』ことが不可欠である」との記載については、『意見を具申し、反映させていく』などとしてはどうか。

    • 15頁に、「時価総額その他の基準により段階的に」との記載があるが、丁寧に書くと、「時価総額その他の基準により上場企業を分類して段階的に」ということではないか。

    • 16頁に、「個別財務諸表をベースに作成しており」との記載があるが、「・・・作成されており」とすべきではないか。

    • 同頁に、「企業の財政状態及び経営成績を表す基礎となる利益計算に基準が異なることにより違いが・・・」との記載があるが、例えば「・・・基準が異なることによる違いが・・・」と記載してはどうか。

    • 同頁の「非上場企業への任意適用の取扱い」で、「上場企業の子会社や連結財務諸表を作成する非上場企業」との記載があるが、「及び近い将来上場を計画している非上場会社」を追加してはどうか。また、「IFRSに基づく連結財務諸表の」との記載については、IFRS版の個別財務諸表を上場前の段階で作っていることも考えられるため、「・・・連結財務諸表等の」としてはどうか。

  • →(事務局)

    連結財務諸表規則の素案については、資料4の4頁をご覧いただきたい。

    また、文言上のご指摘については、部会長と相談の上で修正を検討したい。

  • (1)資料4の4頁で、米国基準により財務諸表を作成する場合について、現行の95条は「日本語をもって記載しなければならない」と規定しているが、国際会計基準により財務諸表を作成する場合について、改正案でその旨の記載がないのはなぜか。

  • (2)米国基準を認めていることと国際会計基準の任意適用を認めていくこととの関係について、どういうことを想定しているか。

  • (3)国際会計基準を告示で指定する案が示されているが、IFRS、IASのほか、IFRIC等もあるが、これは指定しないのか。

  • →(事務局)

  • (1)日本語をもって記載との規定については、現行の93条はSECが定めた様式によることができるとしており、当該様式は英語であるため、95条で日本語によることを求めているもの。これに対して、改正案の93条は、原則に戻り日本語をもって記載すべきものとの考え方による。

  • (2)米国基準による連結財務諸表については、附則において、当分の間、引き続き米国基準により連結財務諸表が作成できるよう措置することを検討している。今後、新規では米国基準による連結財務諸表の作成を認めない方向で考えている。これも、比較可能性の観点から、我が国に並存する会計基準を増やすのは望ましくないと考えられるからである。

  • (3)告示の別表には、とりあえず、基準と言われているIFRS、IASを掲げている。IFRICは解釈指針ということでこの案では掲げていないが、今後考え方を詰める予定である。

  • 資料4の4頁の連結財務諸表規則改正案では、米国基準による連結財務諸表に係る規定が削られているが、米国基準による連結財務諸表については、附則により、当分の間認めるように措置することを検討しているとの説明があった。しかし、将来IFRSを強制適用することになるとしても、それまでにはまだ何年かある中で、このことが米国基準の財務諸表により海外で資金調達することを阻害することにはならないか懸念される。また、将来的に米国で米国企業にIFRSが強制適用されないこととなるリスクもあるのではないか。

  • →(事務局)

    これまでは、米国市場に上場する場合、米国外企業は米国基準で財務諸表を作成しなければならなかった。しかし、一昨年に米国企業以外の企業はIFRSで作成可能となった。新規に上場する場合には、米国基準でないと米国のマーケットにアクセスできないという状況は解消されている。このため、我が国では、比較可能性の観点から、更なる基準の並存は避けた方がいいのではないか。

  • 米国基準を使って新規の資金調達を行うことはできなくなるのか。それがいつできなくなるのかスケジュール感を教えてほしい。

  • →(事務局)

    施行時期については、周知期間等も踏まえ、実務を混乱させないような対応を考えている。

  • 強制適用の時期が明確になり、段階的な適用や個別財務諸表の簡素化についても検討することとされており、結構だと思う。

    その上で2点申し上げたい。

    • (1)資料2の1頁に、任意適用の対象となる企業等の範囲について、「『国際的財務・事業活動を行っている企業』の連結財務諸表(及びその上場子会社の連結財務諸表)」との記載があり、上場関連会社が含まれていないようだが、これを含めることは考えられないか。例えば「上場子会社等」と記載することはできないか。

    • (2)2頁に、「コンバージェンスの継続の必要の強調」との記載があるが、あえてこの段階でコンバージェンスの必要性を強調する必要があるだろうか。

  • →(事務局)

    • (1)第1点目の子会社以外の関連会社については今後の検討課題としたい。

    • (2)第2点目のコンバージェンスについては2つ申し上げたい。

      • EUによる同等性評価は終わったわけではない。ホーリスティック・アプローチに基づいて現時点では差異があるものの、今後ともコンバージェンスにコミットしていることを前提に同等と評価された。したがって、コンバージェンスを進めることは不可欠。

      • IASB、FASBとどう向き合っていくか。発言力を持つ必要がある。そのためにも、我が国として国際会計基準を凌駕するような日本基準を作って発言していくことが必要。

  • 資料3の16頁で、別記事業については「別途の検討も必要」との記載があるが、これはカーブアウトをすることを想定しているのか。それとも、適用時期を検討することを想定しているのか。

  • →(事務局)

    カーブアウト等を念頭に置いているのではなく、強制適用に向けて関係当局と前広によく議論する必要があると考えている。

  • 同頁で、IFRSによる個別財務諸表の取扱いについて記載があり、監査については言及がないが、13頁では「監査を受けたIFRSによる個別財務諸表」と記載されている。当然監査は受ける必要があるということでよいか。

  • →(事務局)

    いずれの場合も監査済であることを念頭に置いている。

  • コンバージェンスとの関連で申し上げたい。

    先ほど事務局より我が国の発言力について言及があった。これについてはそのとおりだと共感する。

    ただ、同等性の評価については努力目標ということにしていただきたい。同等性の評価についてはEC議会がすべて握っているような話であり、無理が出てくる。

    コンバージェンスにおいては、今後も中・長期プロジェクトについて日本から情報発信をしていく必要がある。例えば金融商品の測定区分の見直し等の問題がある。日本としても相当主張していかなければならないと考えている。同等性評価の維持という結果だけを目標にすると、発言力を保てなくなるのではないかと思う。

  • 資料3の16頁で、「非上場企業の任意適用の取扱い」について記載があるが、中小・中堅企業の実態を踏まえた上で記載されており、共感できる。

    その上で、

    • (1)中小・中堅で非上場の企業は内需型が多いので、金融商品取引法の開示対象企業はもちろん別としても、それ以外の中小・中堅企業に対しては国際会計基準の強制適用を除外していただきたい。

    • (2)中小・中堅企業が心配しているのは税と会計の関係である。個別と連結は区分した形での対応が必要。

  • 資料3の8頁で、実務補習の内容の見直しについて記載があるが、いつの時点からの見直しを意図しているのか。

  • →(事務局)

    準備の必要もあると考えられるため、このような記載としている。

  • →(部会長)

    以上のような意見等も踏まえ、中間報告(案)については基本的に示された内容で合意がなされたものと思う。今後、所要の修正を行った上で、企業会計審議会総会に報告することとしたい。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局 企業開示課
(内線3672、3656)本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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