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金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第4回)議事録
日時:
令和7年10月22日(水曜)10時00分~12時30分場所:
中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室 ※オンライン併用
【森下座長】
それでは、ただいまより暗号資産制度に関するワーキング・グループの第4回会合を開催いたします。
皆様、御多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
最初に事務局から冒頭御案内のとおり、今回は紙媒体での資料配付に代えて資料を格納したタブレット端末を配置しております。御不明な点がございましたら、お近くの事務局職員にお声がけください。
また、前回の岩下委員からの御指摘を踏まえ、今回から消費者庁にオブザーバーに加わっていただいております。消費者庁を加えたメンバー名簿を資料1として配付しておりますので、御確認ください。
それでは、議事に移ります。初めに、事務局より、暗号資産のセキュリティ確保に向けた対応について御説明をいただきます。続けて、日本暗号資産等取引業協会より、今回の規制見直しを踏まえ、協会の体制強化に向けた取組みと適時情報提供の現状について御説明をいただきます。最後に事務局より、今回御議論いただきたい事項について御説明をいただきます。その後、メンバーの皆様に御討議をいただくという流れで進めさせていただきます。
それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
【今泉暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官】
それでは、事務局より、暗号資産業界含め、金融庁におけるサイバーセキュリティに関する取組みについて、資料2に沿って御説明させていただきます。
金融庁では、2015年の金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針なども含め、ガイダンスの提供、モニタリング、それ以外の公助の取組みなどを進めてきております。
ガイダンスの提供といたしましては、例えば、各業態向けの監督指針や、業界横断的なものとして金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドラインを策定しておりますほか、脆弱性に関する事案については、内閣官房などとも連携しながら各業界に対する注意喚起を行い、あるいは、各種事案に対しては事業者に要請を行うなどの取組みを行っています。また、グローバルな取組みとしては、G7サイバーエキスパートグループに、2015年の設立当初から参画して議論に貢献しております。
モニタリングといたしましては、暗号資産業界も含め各業態に対しては実態把握、オン・オフの検査、モニタリング、あるいはシステム障害などが起きた場合の対応、こうしたものを重ねてきております。
また、ガイダンスの提供、モニタリングといった一般的な監督とはまた別の公助の取組みとしては、①今年で10回目になりますDelta Wallという業界横断的な演習を進めておりますほか、②サイバーセキュリティセルフアセスメント(CSSA)として、各金融機関の皆さまにアンケートをお渡しして自己点検をしていただく、あるいは、③TLPTという、脅威ベース・攻撃者目線でシナリオをつくってホワイトハッカーが各金融機関のシステムを攻撃していき脆弱性を洗い出し、結果を還元するという取組みを地域金融機関を対象として、予算を取って実証事業をしたこともございます。
また、これらの取組みについては、レポートということで、水平的に分析した結果を還元させていただくといった取組みを進めてきておりまして、2025事務年度の金融行政方針におきましても、地政学的な緊張も背景としてサイバーリスクが高まっているということで、横断的なサイバーセキュリティ演習も含め、取り組んでいくことを記載させていただいております。
特にDelta Wallについては、今年度の実施では、暗号資産業界に対し、暗号資産業界特有の、暗号資産の流出事案を念頭に置いたシナリオで実施することにしていると聞いております。
2ページにあります金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドラインについては、暗号資産業界に限らず、業界横断的なものとして、昨年の10月に各業態の監督指針などとは別に、サイバーセキュリティに特化したものとして策定しております。暗号資産交換業に関するガイドラインなどにおいても、サイバーセキュリティガイドラインを適宜参照しております。
金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドラインでは、サイバーセキュリティ管理態勢として、管理態勢の構築、リスクの特定、防御、検知、インシデント対応及び復旧、そして、金融業界では特に重要になってくるサードパーティリスクの管理、こういったものを入れております。
これらの思想としては、金融機関によっては当然それぞれシステム、リスクも異なりますので、一律のものではなく、リスクベースアプローチ、かつ、自助・共助・公助、これらを組み合わせて対応していくということで、暗号資産業界に対するモニタリングにおいてもこれをベースに取り組んでいるということになっております。
次に、3ページで、暗号資産を巡るサイバー攻撃の状況について説明いたします。大変残念ながら、ビットコイン誕生以降、日本に限らず全世界で暗号資産の流出に繋がるようなサイバー事案が数多く発生していると思っております。
例えば、Mt.Gox社の2011年に発生した流出事案においては秘密鍵の盗難が原因ではないかと指摘されておりますが、他方で、直近の事案では、こうした直接的なものだけではなく、ソーシャルエンジニアリング、様々な人的なものに対する関わりを用いた攻撃なども増えてくるなど、手口がより巧妙化してきていると考えております。
直近の大規模な攻撃事案に関わる各種プレスリリースを掲載しております。左側は自主規制機関が出したものです。これに対して真ん中の警察庁が出したものでは、より具体的な攻撃者なども含めて、解説されております。こうした取組み、動きについては、右側の公安調査庁が出しております「サイバー空間における脅威の概況」の中でも、一部の国が大量破壊兵器開発の資金源として暗号資産の窃取をしているのではないかといったことも指摘をしておりますので、攻撃者が、個人などではなくて、国家単位などで攻撃をしてくるという状況になっております。国内外の投資家において暗号資産が投資対象の一つに位置づけられつつある状況を踏まえますと、業界個社のサイバーセキュリティ体制の継続的な強化に官民で対応していくことが不可避ではないかと考えております。
4ページにありますように、直近の大規模な流出事案を踏まえまして、以下のような対応をさせていただいております。金融庁としては、まずは、様々な特殊な手口が出てきているということを注意喚起させていただいた上で、自主点検を要請しております。
その中では、経営陣の認識・関与、そこのリテラシーが最も必要であるということを指摘しつつ、暗号資産の管理態勢としては、もちろん態勢構築だけではなくて、実際に3線管理の体制が有効に稼働するかといったことも含めて、点検していただくことが必要ではないかといったことを指摘しております。
また、今回の不正流出事案においては具体的なソーシャルエンジニアリングの手法が使われたということが分かっておりますので、こうした手口の例などを示した上で注意喚起を、金融庁だけではなくて、警察庁や内閣サイバーセキュリティセンターとの連名で行った上で自主点検をお願いし、また、フォローアップもしながら、当庁としては継続的なモニタリング・監督対応を今後も行っていく必要があると考えております。
最後に、5ページですが、先ほど自助・共助・公助ということも申し上げましたが、行政のモニタリングだけ、あるいは個社の取組みだけで足りるものではないと考えております。そうした観点からは、サイバーセキュリティガイドラインで触れているように、共助の取組みということで、銀行、証券、保険などの金融分野では、金融ISACという共助の機関がワークしております。技術的な課題への対応、ベストプラクティスの共有、そして最新のサイバー攻撃の動向や脆弱性情報の分析などの知見、こういったものが金融ISACなどを通じて共有されていることは重要だと考えております。
また、日本暗号資産等取引業協会の自主規制の中でも、情報共有機関を通じた情報収集、情報共有体制といったものも加えていただいております。
サイバーセキュリティにおきましては、攻撃に対応できるよう、各社においてセキュリティの観点を盛り込んでシステム設計するとか、そこで働く方、あるいはサードパーティーをといった社会とのつながりを通じた攻撃に対する防衛策を講じる、あるいは、ログや活動記録を常時観測することで予兆をしっかり見ていくということ、そして、インシデントらしきものを見つけた際には、現場が責任追及などを恐れて報告・相談しないということがないよう内部での態勢・環境をきちっと整えていただくということ、発見されたインシデントに対しては、ビジネスを遂行されている経営陣が責任を持って、その影響を評価していただきながら、私どもも含めた内外との連携を進めて対処していくということが重要であると考えております。
こうした自助にしっかり取り組んでいただいて、堅牢なシステムを構築し、それによって利用者の信頼を得るということで、他社から選ばれていくという意味では、これは間違いなく競争領域の一つであるということは理解しておりますが、他方で、現在のサイバーセキュリティ対策においては、脆弱性情報を含め、攻撃者側の情報に関しては、日々の動きについての情報収集も重要になってきます。そうした観点では、必ずしもこれは競争領域ではなくて、業界横断的に、あるいは業界をさらに超えたような形で共同戦線を張っていくということが極めて重要であると考えております。
そうした点では、多くの重要インフラにおいても、他社間で協調していくべき環境では協調していくというISACのような取組みは進んでおりますので、暗号資産業界においてもこうした取組みは今後深まっていくことが大事だろうと考えております。私ども監督当局としても、こうした取組みについて必要に応じて後押しをしていくということが求められますし、実際にやっていきたいと考えております。
私からは以上でございます。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、続きまして、日本暗号資産等取引業協会より御説明をお願いいたします。
【日本暗号資産等取引業協会(小田会長)】
それでは、日本暗号資産等取引業協会より説明させていただきます。本日、暗号資産情報の確認体制、日本暗号資産等取引業協会の態勢強化の2点に関して説明をさせていただきます。
まず、1点目、暗号資産情報の確認体制についてです。第3回ワーキング・グループでIEOに関する情報を説明させていただきました。実際にIEOに関するどういう情報、内容が適時開示されているのかという点を4ページ目にまとめさせていただきました。
このページを見ていただいて分かるとおり、比較的情報の変更内容がたくさんある銘柄、PLTに関しては、全部で9つほど情報開示、適時開示されておりますが、それ以外、あまり適時開示情報がない銘柄に関しましては、情報開示がない、あるいは1つないし2つとなっていることが確認できるかと考えております。
5ページ、IEO案件以外の情報開示です。どういったものが情報開示、適時開示されているかという点ですが、主に暗号資産が、ハードフォーク等でブロックチェーンが変わるもの、ブロックチェーンが分岐するもの、またはそれに関連する内容で、暗号資産の送付、移転に制限がかかる情報に関しまして、適時開示として情報を発信していただいております。
日本暗号資産等取引業協会においては、IEO案件に関しましては、該当するものについては会員企業に対して適時開示を促すとともに、それ以外の銘柄に関しましても、グリーンリスト、CASC制度といいまして、一定の暗号資産審査が自社でできる企業に関しては、3か月に1回、適時開示情報があるかのモニタリングをしております。
6ページ目です。協会から暗号資産の会員企業に求めているものです。「暗号資産の取扱いに関する規則」に基づきまして、原則として、2線担当部署、つまり、コンプライアンス部門が独立して、取扱暗号資産に関してチェックをするという態勢を求めております。
また、適時開示に関する態勢等に関しまして、取扱リスク、また暗号資産の価格に影響を及ぼすおそれのある情報に関しては、情報の収集または公表に努めなければならないとされておりまして、会員では、モニタリング担当部署を設置していただいております。こういう態勢で暗号資産情報を確認しているということを共有させていただきます。
続きまして、日本暗号資産等取引業協会の態勢強化に関して説明をさせていただきます。8ページを御覧ください。これまでの5年間の日本暗号資産等取引業協会の収入、支出の状況等を記載させていただいております。見ていただいて分かるとおり、当協会、現状で会員数が32社でございます。会員数がまだ限定的ということもありまして、決して収益状況、財務状況、順調ではなく、収益に関して収支均衡という状況が続いております。
現状で会員企業が32社ということもありまして、収支均衡するために、この下のほうのポツの一番上の通り、暗号資産交換業等取引業務の年会費720万円、デリバィブも行う場合は960万円と、他の業界団体と比べても高い金額をいただいているという状況でございます。
年会費が収益の中心になっておりますが、別途、暗号資産審査をする際、例えばIEO銘柄に関しては1銘柄300万円、日本初銘柄を扱う場合に関しては1銘柄100万円等、を課金させていただきまして、協会の運営費等を賄っている状況でございます。
仮に今後、会員企業が増えていくという流れになった場合には、もう少し収入が入ってきまして、より安定した協会活動ができるのではないかと考えております。
9ページ、参考までに協会がどういった体制で運営されているのかということをこちらの表にまとめさせていただいております。
10ページです。これまでのワーキング・グループでも様々なご指摘をいただいたと認識しております。日本暗号資産等取引業協会のほうで大きく5つほどの点を特に重要な点と認識いたしまして、これまで対応してまいりました。セキュリティ関係、金融犯罪対策、この2つが特に重要な点と認識をしております。
それ以外にも、暗号資産審査、不公正取引の監視、利用者保護も当然重要な点としてこれまで対応してまいりました。
セキュリティ関係、金融犯罪対策に関しましては、次のページ以降で詳細に説明をさせていただきたいと存じます。11ページです。恐らくしっかり対応しているのは日本だけと考えておりますが、現状で日本の暗号資産交換業者はまず前提として、お客さんの資産を100%分別管理しております。
その上で、お客さんから預かっている暗号資産に関しては、実質100%コールドウォレット、つまり、インターネットにつながっていない状態で管理をしているという状態を取っております。残念ながら、昨年、また大規模なハッキングが発生してしまいましたが、一方で、コールドウォレットで管理しているということによって、ほかの国に比べて一定以上のセキュリティ対策、体制を取っているということ。この点に関しましては、改めて皆さんにも共有をさせていただきたいと考えております。
続きまして、12ページ、マネー・ローンダリングです。マネー・ローンダリングの対策も最重要事項の1つとして考えております。2023年、改正犯収法が施行されたことを踏まえまして、FATFのガイドラインに基づくトラベルルールに暗号資産業界で対応を実施しております。
13ページ目です。暗号資産というと、簡単にどこにでも送ることができると考えていらっしゃる方が多くいらっしゃるかと思いますが、実際に日本国内の暗号資産交換業者に関しましては、簡単にどこにでも送れるというわけではなく、あらかじめここに送りますということをお客さんに設定、登録していただいております。その送付先が、いわゆる問題あるところでないか、ブラックリストに登録されてないかという点を暗号資産交換業者のほうでしっかりとモニタリングをして、問題ない先にしか登録、送付ができないという形で、暗号資産交換業者のほうは、こういう対応をしてマネー・ローンダリング対応をしているということ、この点を共有させていただければと存じます。
14ページです。これ以外の取組みとしても、様々な取組み、暗号資産業界とは対応を取っております。先ほどFATFトラベルルールの紹介もさせていただきました。こちらは2023年6月に施行されましたが、その前に、業界としてしっかりと対応していこうという形で、法令改正前にこれに対応するという取組みをさせていただきました。
また、それ以外にも、当局と連携していきながら、いわゆる暗号資産をかたる不正案件、投資詐欺案件等に関して、情報発信、注意喚起をしていく等の対応をさせていただいております。
また、警察庁とも連携して、不正アカウントの凍結フロー等の構築の対応を現状で行っております。
15ページです。先ほど金融庁のほうからも御指摘ありましたが、セキュリティ強化に関しましては、協会セキュリティ委員会を中心として以下の取組を実施しております。
まず1点目、第3回のワーキング・グループで松尾委員のほうからも提言ありましたけども、JPCrypto-ISACと連携していく。これに関しましても、日本暗号資産等取引業協会セキュリティ委員会における議論の取組として、こういったJPCrypto-ISACをつくっていくことが必要ではないかという提言をさせていただいて、設立に至っております。
2点目、安全管理標準。こちらは非常に大事なところだと思っております。先ほども当局のほうから、昨年のハッキング事案に関して少し説明がありましたが、ただコールドウォレットで管理するだけでは十分ではないと考えておりまして、どういった対応を取るべきか、管理態勢だけではなくて、どうオペレーション、運用していくのか、こういう点を含めて、安全管理標準を常に見直しております。こういう点を含めて、業界として安全管理標準、安全管理のレベルを高めているということ、これも共有させていただきます。
3点目、当協会のほうに様々な情報が集まってまいりますので、当協会の情報管理、セキュリティ管理にも引き続き高いレベルで対応していこうということ。
この3つをセキュリティ対応に関しましてはさせていただいていることを私のほうから改めて御案内、紹介させていただければと思います。
当協会からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、続きまして、事務局より御説明をお願いします。
【齊藤市場課長】
資料4に沿って説明させていただきます。目次でございます。
今回は業規制の各論、また、それに関連する無登録業者への対応、海外業者・DEXの取扱い、そして不公正取引規制の各論、最後に暗号資産投資に係る金融リテラシーの向上について取り上げさせていただいております。
2ページです。業規制に関するこれまでの議論です。第2回のワーキング・グループにおきましては、以下の基本的な方向性についてはおおむね賛同いただいているものと考えております。
まず、基本的に第一種金商業に相当する規制を課すこと。次に、金商法では法令レベルで定められている規制が自主規制で義務づけられているものにつきまして、普遍性の高い規制は法令レベルに引き上げること。また、暗号資産の安全管理措置等に関する特別の規制については、引き続き同様の規定を整備していく。そういった内容でございました。
また第2回のワーキング・グループにおきましては、以下に記載のような御指摘があったものと整理しております。
3ページです。業規制の整備の基本的な方向性です。基本的に第一種金商業に適用される規制と同様の規制を適用することとし、第一種金商業には相当する規定がない現行の資金決済法に設けられている暗号資産の性質に応じた規制については、金商法に新たに設けていくといった考え方で整理させていただいております。その下から次のページにわたってマル・バツを書いておりますけれども、いずれもマルの方向で規制していくということでどうかということにしております。
5ページから業規制に係る個別の論点を何点か説明させていただければと思います。
まず、兼業規制についてです。第一種金商業では、他業での失敗が経営の基礎を危うくすることのないようにするなどの観点から兼業規制が設けられております。これは、業務の範囲を一定の範囲内に制限するということではなく、他業を営んでも問題がないかということを確認するといった趣旨でして、具体的には、付随業務、届出業務、承認業務といった分類がなされております。本業からの関連性に応じて規制が設けられておりまして、例えば承認業務は事前に承認を受けることを要することとしております。
暗号資産交換業者につきましては、現行法上、兼業規制は設けられておりません。このため、金商法で規制する場合に現行と同様に兼業規制を設けないということも考えられますが、利益相反の観点も含め、他業のリスクによる投資者に不測の影響が生じることのないよう、行政による一定の事前チェックを行うことが適当ではないかとさせていただいております。
例えば、暗号資産交換業では、第一種金商業の場合と比べまして、これを本業としない業者の参入も想定されることを踏まえ、特段の手続を経ずに行える付随業務として法令上に列挙した業務以外は、事前承認ではなく事前届出を求めることなどが考えられるかとしております。
また、一番下の※です。第一種金商業者など、暗号資産交換業以外の業務を行う金商業者が暗号資産交換業を行おうとする場合には、変更登録を要するといったことが考えられるのではないかとさせていただいております。
7ページ、利用者財産の管理についてです。現行の資金決済法では、流出リスクを低減させる観点から、顧客の暗号資産を原則としてコールドウォレット等で管理し、ホットウォレットで管理する顧客の暗号資産については、別途見合いの弁済原資を履行保証暗号資産として保持することが義務づけられています。また、現行の資金決済法では、情報の安全管理のために必要な措置を講じる義務が設けられています。
他方で、先ほど来説明がありましたように、最近の流出事案ではソーシャルエンジニアリングが用いられるなど手口がより巧妙化しているということで、こうしたことへの対応をするという観点から、新たに法律上の義務として 利用者財産の安全管理義務を定め、サプライチェーン全体を含めたより包括的なセキュリティ対策の強化を求めることとしてはどうか。その際、具体的な対策については、技術の進展等を踏まえて柔軟に対応できるようガイドライン等で定めることが適当ではないかとしております。
その下の※でございますけれども、事業者が利用者の暗号資産の移転をするために必要な秘密鍵の一部を預かるといったサービスも現状提供されているものと承知しております。この場合、暗号資産の管理を行っているものではないため、暗号資産交換業の登録は不要とされておりますが、仮に秘密鍵の紛失が生じた場合には移転できなくなるリスクがございます。
現状では、一般投資家は国内の暗号資産交換業者が提供するウォレットを利用することが中心と思われますので、そうしたサービスについて直ちに規制を設ける必要性は低いと考えられますが、当該事業につきまして、暗号資産交換業の対象とすることは、規制が過重なものとなり得るとの指摘もあることを踏まえ、どのように規制をしていくべきか、将来的な課題として検討していくことが適当ではないかとさせていただいております。
9ページ、責任準備金についての論点です。金商法では、第一種金商業者に対し、証券事故発生時の顧客への賠償金の支払いを円滑にするために責任準備金の積立てが義務づけられております。そして、業者側の違法・不当な行為について損害を補償する場合以外には、個別に行政の承認を受けなければ使用できないこととなっております。
暗号資産交換業者に対して、現行の規定をそのまま適用することになりますと、ハッキングにより顧客の暗号資産が流出したとしても、業者の違法性・不当性がない場合には個別に行政の承認を受けなければ補償を行うことができないということになります。こうした点に鑑みて、ハッキングによる顧客暗号資産の流出事案に備え、過去の流出事案の発生状況等を踏まえ、一方で過度な負担とならないようにも配意しつつ、適切な水準の責任準備金の積立てを求めることが適当ではないかとしております。
また、流出事案の原因究明に時間を要して迅速な顧客対応を損なうことのないよう、行政の個別承認を受けずに責任準備金による補償を可能とすることが適当ではないかとさせていただいております。
なお、ホットウォレットで管理する暗号資産については、履行保証暗号資産として保持することが義務づけられておりますので、これはコールドウォレット等で管理する暗号資産についての流出リスクに対応するものとすることが想定されます。
また、補償の原資を確保するための選択肢を拡充・拡大する観点から、責任準備金の積立てに代え、またはその積立てと併せて、保険加入による補償原資の確保を認めることとしてはどうかとさせていただいております。
11ページ、業務管理体制の整備についてです。現行の資金決済法では、利用者の保護を図る、そして暗号資産交換業の適正かつ確実な遂行を確保するために一定の必要な措置を講じることが義務づけられております。
金商法では、業務の類型ごとに金商業を的確に遂行するための業務管理体制の整備が義務づけられております。暗号資産交換業者にも業務管理体制の整備を義務づけ、現行の資金決済法で義務づけられている措置を講じることに加えまして、顧客保護の観点からより一層の体制整備を求めることが適当ではないかとさせていただいております。
例えば、取り扱う暗号資産の審査体制、顧客がリスク負担能力の範囲内で取引を行うことを確保するための確認を行う体制、売買監視体制、暗号資産の発行者が情報提供規制に違反した場合には当該暗号資産を取り扱わないようにするための体制、こういった体制の整備を求めてはどうかとさせていただいております。
13ページ、業者の退出時における顧客財産の適切かつ円滑な返還についてです。金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」におきまして、現在、顧客財産の預託等を受ける金商業者全般につきまして、退出時における顧客財産の適切かつ円滑な返還を確保する観点から、現在の経営陣には適切な業務運営が期待できない場合に、行政において管理人を選任し、当該経営陣に代わって業務及び財産を管理すること等を可能とする仕組みの導入が検討されております。
暗号資産交換業者が破綻した場合等の業者の退出時において、履行保証暗号資産の返還も含め、顧客財産の移管や返還が適切かつ円滑に行われるよう、暗号資産交換業者もこうした仕組みの適用対象とすることが適当ではないかとさせていただいております。
17ページ、仲介業の規制に関する論点です。本年の資金決済法改正におきまして、電子決済手段や暗号資産の取引の媒介のみを行う事業者によるサービスの提供を行いやすくする観点から、電子決済手段・暗号資産サービス仲介業の類型が創設されております。この仲介業につきましては、金商法上の金融商品仲介業と基本的な規制の立てつけが共通しているところ、暗号資産取引を金商業規制の対象とすることに併せて、暗号資産取引に係る仲介業も金商法上の仲介業規制の対象とすることが適当ではないかとさせていただいております。その場合、必要な経過措置を設けた上で、基本的に金融商品仲介業に適用される規制、例えば外務員制度などについて、同様の規制を適用することが適当ではないかとさせていただいております。
こちらで一旦説明者を交代させていただきます。
【横山信用制度参事官】
続いて私から銀行・保険会社における取扱いについて説明させていただきます。
19ページは現行の整理です。銀行・保険会社本体及びグループが暗号資産交換業を営むことについては、マネー・ローンダリング等に利用されるリスク、暗号資産の管理等にかかるシステムリスク、保有に伴う価格変動リスクのほか、これらのリスクが顕在化した場合のレピュテーショナル・リスク等が想起されるため、現行では許容されてないということでございます。
それから、銀行が暗号資産を取得・保有することは、法令上は禁止されておりませんが、監督指針において、取得・保有は必要最小限度の範囲にとどめ、投資目的の保有は禁止するといったことが記載されております。
次のページで見直しの方向性について整理しております。まず、銀行・保険会社本体における取扱いです。(1)が暗号資産の発行・売買等でございますが、過去の整理における懸念点で挙げられた各種リスクについては、一定の規制・監督対応はなされておりますけれども、これらの懸念点は引き続き残っている、払拭はされてないのではないかということでございます。
特に、銀行・保険会社本体が扱っている商品であることをもって、暗号資産のリスクや自らのリスク許容度を精査せず取引してしまう顧客は一定数生じてしまうおそれがあることから、まずは今般の規制の見直しによって、投資商品としての規制をきちんと整備することで、投資者保護の充実が図られ、健全な取引環境が整備されることが先決であって、その後に対応を検討すべきではないかとさせていただいております。
こうしたことで、銀行・保険会社本体による発行・売買については慎重な検討が必要ではないかと考えております。
(2)が暗号資産の仲介でございまして、仲介業の場合は、銀行・保険会社の本体に与える財務の健全性に与える影響は限定的なものと考えられますが、先ほど申し上げた顧客による誤認取引といったリスクは変わらずに存在しているということでございますので、こちらも慎重な検討が必要だと考えております。
次のページが暗号資産の保有についてです。現在、投資目的での保有は禁止されておりますが、こちらについては、今回、暗号資産が金商法の規制対象となることを踏まえ、市場の醸成とともに銀行・保険会社に分散投資の手段を提供する観点から認めることとしてはどうかと考えております。ただし、その場合は、十分なリスク管理・態勢整備等が行われていることが前提であると考えられます。
それから、投資運用業を行うことについては、現在は投資対象の種類にかかわらず一律禁止されていることを踏まえ、暗号資産についても同様に禁止すべきではないかと考えております。
以上が本体における取扱いでございまして、次にグループ会社の取扱いでございます。銀行・保険会社の子会社については、もともと本体よりも業務範囲が広いことや、先ほど御説明しました誤認取引のリスクも限定的ではないかということ、それから子会社については、本体との関係で一定のリスク遮断が図られるということで、取扱いを認める余地はあるのではないかと考えております。
具体的には、子会社である金融商品取引業者に暗号資産の発行売買及び仲介を認めることで一般の金融商品取引業者とのイコールフッティングを図ることが適当ではないかとさせていただいております。
投資運用業についても同様に認めることが適当ではないかと整理させていただいておりまして、兄弟会社、関連会社についても同様の取扱いとすることが適当ではないかとさせていただいております。
【齊藤市場課長】
また、私のほうから御説明いたします。次に、無登録業者への対応についてです。23ページはディスカッションペーパーの記載と金融庁の利用者相談室における苦情相談の状況をまとめたものでございます。
24ページ、無登録業者への対応でございます。まず、無登録業者による違法な勧誘を抑止するため、暗号資産の売買等について金融商品取引業の対象とすることにより刑事罰を強化することが適当ではないか。また、金商法上整備されている無登録業者による金商業を行う旨の表示等の禁止の規定や、裁判所による緊急差止命令、証券取引等監視委員会による緊急差止命令申立権限とそのための調査権限を、暗号資産に係る無登録業者に対しても整備していくことが適当ではないかとさせていただいております。
注でございますけれども、金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」におきまして、無登録金商業と不公正取引の複合事案への適切な対応等の観点から、無登録金商業について証券取引等監視委員会による犯則調査の対象とすることが検討されております。
次の四角です。株式等につきましては、無登録業者などによる未公開株式等の売買契約等は暴利行為に該当するものと推定し、売買契約等を原則として無効とする、いわゆる民事効規定が設けられているところでございます。暗号資産につきましては、海外の業者との取引もある中で、一律に暴利行為に該当するものとして推定してよいかにつきましては慎重に検討する必要がありますが、一方で、無登録業者による詐欺的な勧誘等による投資者被害が生じていることも踏まえながら、民事効規定を創設することが適切か否かを検討すべきではないかとしております。
また、投資運用等に係る不適切行為への対応として、暗号資産の投資運用や投資アドバイスについても投資運用業・投資助言業の対象とすることで、業務の適切な運営を確保することが適当ではないかとしております。
25ページ、その他の暗号資産をめぐる利用者被害への対応です。前回のワーキング・グループにおいて、最近のトラブル事案への対応を行っている専門の方のお話も伺いながら対応を考えるべきではないかとの御指摘がありましたことを踏まえまして、事務局においてヒアリングを実施し、それに基づくスライドを用意しているものでございます。
最近のトラブル事案では、無登録業者による暗号資産投資勧誘のほか、何らかの詐欺的な投資商品勧誘に伴う支払手段として暗号資産が利用されるケースが増加しているということでございます。こうしたケースでは、交換業者に口座を新規開設・入金して、暗号資産を購入させ、そして加害者側のアンホステッド・ウォレットに暗号資産を移転するといったケースが多いことが指摘されております。
現状では、一部の暗号資産交換業者では、例えば、新規口座開設や取引時に不審な点がある場合や顧客が高齢者である場合には、新規口座開設や取引の動機等をヒアリングする対応や、新規口座開設・入金から一定期間は暗号資産の移転を制限する対応、海外の無登録業者も含め、登録業者以外への送金を全面的に禁止する対応などが行われているものと承知しております。
暗号資産が支払手段として詐欺的な投資勧誘において利用されることを未然に防止するため、暗号資産交換業者に対し、金商法における法令上の義務として、顧客がアンホステッド・ウォレットや無登録業者のウォレットに暗号資産を移転する場合に警告を行うことや、移転目的の確認、取引モニタリングの適切な実施、新規口座開設直後及び新規ウォレット先への移転について一定の熟慮期間を設けるなどの対応を求めることが適当ではないかとしております。
また、この後に出てきますが、海外の無登録業者への対応も講じていくべきではないかとしております。
29ページ、海外の無登録業者への対応です。いわゆるクロスボーダー取引に対する金商法の業規制の適用につきましては、行為の一部が国内で行われれば金商法令を適用するという考え方、いわゆる属地主義を基本としつつ、金商法令の目的が十分に達成できない場合には、国外でなされた行為が国内に一定以上の効果を及ぼす場合にも金商法令を適用するという、いわゆる修正効果主義の考え方がございます。
海外所在業者であっても、日本居住者のために、または日本居住者を相手方として金融商品の取引を行う場合には、原則として金商法上の登録が必要と考えられます。登録を受けていない海外所在業者がインターネットに日本語ホームページを開設する等により、勧誘を行っていることが確認される場合には、行政において警告を行うとともに公表を行っております。
クロスボーダーの暗号資産取引については、現行の制度運用上、無登録の外国の事業者が日本語のウェブサイト等により本邦居住者向けに暗号資産取引等の勧誘を行っている場合には、警告・公表やアプリストアへの削除要請といった対応を行っております。
欧州のMiCAでも、EU域外の事業者によりEU域内の顧客に勧誘が行われる場合には規制対象とされております。
こうしたことも踏まえ、引き続きこうした対応を行うとともに、無登録業者への対応や外国規制当局との調査協力といったものの強化を講じていくべきではないかとしております。
下に※で書いているところでございますが、金商法上は、外国証券業者が勧誘をすることなく国内の顧客の注文を受けて売買等を行うことは認められておりまして、暗号資産取引についても同様のルールを整備することで、規制の適用関係を明確化してはどうかとさせていただいております。
続きまして、32ページ、DEXについてです。DEXは一般的に以下の性質を有することが指摘されております。従来の中央集権型取引所のように取引所運営者が管理・仲介するのではなく、利用者同士がスマートコントラクトを通じてP2Pで暗号資産の交換を自律的に実行することができる。あるいはガバナンストークンの保有者による投票を通じて運営方針を決定しており、中央集権的な管理者がいない、または特定し難い。一方でDEXと称するサービスの中には、実際には中央集権的な性質を維持している場合もあることが指摘されております。
33ページ、DEXへの対応としまして、DEXに係るプロトコルの開発・設置は、利用者に暗号資産同士の交換を可能とするものであり、その点では暗号資産交換業への該当性が論点となり得るというところではございますが、自らは顧客への勧誘は行わない、あるいは開発後はプロトコルでサービスが提供され人為的要素が少ない等の特徴があり、欧米におきましては一定のDEXについて規制の対象外との整理がなされているところでございます。
一方、DEXには、プロトコルの不備等により利用者が不測の損害を被るリスクがあるほか、マネー・ローンダリングに利用されるリスクも存在しております。
これらを踏まえ、現状ではDEXについて明確な規制の手法が確立されていないところではございますが、現在の暗号資産交換業に対する規制とは異なる技術的性質に合わせた過不足のない規制のあり方について、今後、各国の規制やその運用動向も注意しながら継続して検討を行うことが適当ではないかとしております。
なお、適切なマネー・ローンダリングの対策のあり方等の論点を中心に国際的な議論を行っていくことが考えられるかとさせていただいております。
次のページ、DEXに接続するユーザーインターフェースを提供する事業者への対応です。そうしたユーザーインターフェースの提供により、利用者がDEXでの暗号資産の交換を行うことを容易にする事業者も存在しているところでございます。国内の利用者は、基本的にUI、ユーザーインターフェースを通じてDEXに接続すると考えられます。このため、利用者保護を確保する観点から、DEXに接続するUIを提供する事業者についても、今後の検討次第では一定の行為規制を求めることも考えられるかとさせていただいております。
その際、接続先に係るリスクについての説明義務や、犯収法上の本人確認義務を含むマネー・ローンダリング等の対策といったリスクに応じた過不足のない規制を課すことを念頭に、各国の規制動向を注視しながら、まずはかかるサービスの実態把握を深めていく必要があるのではないかとさせていただいております。
なお、足元の対応としては、DEXを含め、日本で登録を受けてない業者での取引を行う場合に、利用者が不測の損害を被るリスクを行政や暗号資産交換業者等において十分に周知することが適当ではないかとさせていただいております。
37ページ、不公正取引についてのこれまでの議論です。第3回ワーキング・グループでは、暗号資産に係る不公正取引規制を整備する方向性についておおむね賛同いただいているものと承知しております。
また、主に以下に記載の御指摘があったということで整理させていただいております。
38ページ、インサイダー取引規制の検討の方向性についてです。国内の暗号資産交換業者の提供する取引の場の公正性・健全性に対する投資者の信頼を確保するという保護法益を確保するためには、対象暗号資産について、重要事実に接近できる特別な立場にある者が、当該事実の公表前に、取引の場に対する投資者の信頼を損なうような売買等を行うことを禁止する必要があるのではないかとしております。
その際、規制の明確性が重要かと思います。そうした観点から、上場有価証券等のインサイダー取引規制の枠組みをベースにしつつ、暗号資産の多様性等から、その性質を踏まえて規定ぶりを調整することが適当ではないかとしております。
以降、それぞれの論点について整理しております。
41ページ、まず、対象とすべき暗号資産についてです。先ほど申し上げたような保護法益を考えますと、規制対象の暗号資産は、国内の暗号資産交換業者において取り扱われる暗号資産としつつ、上場有価証券等と同様に、暗号資産交換業者の提供する取引所での取引か否かを問わず、いわゆるDEXでの取引やP2P取引を含めて、インサイダー取引規制の対象とすることが適当ではないかとしております。
また、国内の暗号資産交換業者で取り扱われる前でも、以下の理由から、その取扱いの申請がなされた暗号資産については規制の対象に含めることが適当ではないかとしております。
まず、有価証券との比較として、非上場株式等よりも流動性が高いということ。海外で、暗号資産交換業者の取扱い前の情報に基づいて、インサイダー取引規制違反として執行している事例があること。また、海外のMiCA等の法制においても、承認申請がなされている暗号資産についても規制対象とされていること。そういったことを踏まえますと、取扱い申請がなされた時点で規制対象に含めることが適当ではないかということでございます。
また、一番下ですが、規制対象を明確にする観点から、どの暗号資産が国内暗号資産交換業者で取り扱われているかにつきまして、日本暗号資産等取引業協会において一覧性を持った形で分かりやすく情報提供することが適当ではないかとしております。
44ページ、重要事実についてです。上場有価証券等のインサイダー取引規制では、「重要事実」につきまして、発行者内部の情報と外部の情報の両面から規定されております。そして内部の情報につきましては、できるだけ個別列挙し、バスケット条項で補完している状況でございます。
暗号資産につきましては、重要事実に該当する事象の蓄積が現状では十分にない一方、規制の予見可能性・透明性を確保する観点から、上場有価証券等のインサイダー取引規制も参考に、重要事実に当たることが明確なものを個別列挙した上で、バスケット条項で補完することについてどう考えるかとしております。
具体的には、以下の3つの類型について重要事実に当たることが明確なものを個別列挙しつつ、バスケット条項を規定することが適当ではないかとしております。
まず、【1】としまして、中央集権型暗号資産(類型①)の発行者の業務等に関する重要事実。これにつきましては、例えば発行者の破産ですとか、重大なセキュリティリスクの発覚等があると思いますが、どのような重要事実を列挙することが考えられるか、御議論いただければと思います。
【2】としまして、暗号資産交換業者における暗号資産の取扱い等に関する重要事実。暗号資産の新規上場・上場廃止、また暗号資産の流出等を個別列挙することが考えられるか。
【3】としまして、大口取引に関する重要事実。暗号資産の価格等に著しい影響を与える取引の決定、またはその中止の決定を重要事実とすることが考えられるかとしております。その場合の大口取引としてどのような線引きが考えられるかということでございます。例えば、企業会計上持分法が適用される影響力基準等も参考に、発行済暗号資産の20%以上の売買等が考えられるかということを書かせていただいております。
なお、これは公開買付け等に関するインサイダー取引規制と同様に、大口取引を行う者自体を規制対象とするのではなく、その関係者が、大口取引が行われることを知って取引することを規制するということであることに御留意いただければと思います。
48ページ、規制対象者についてです。上場有価証券等のインサイダー取引規制は、内部情報を知り得る特別の立場にある者が、当該特別な立場にあることに起因して内部情報を知った場合を規制対象としております。
暗号資産につきましても、同様に、重要事実に接近できる立場にある者が、その特別な立場にあることに起因して内部情報を知った場合を規制対象とすることが適当ではないかとさせていただいております。
また、以下の【1】から【3】のような規制対象者が考えられるのではないかとしております。
51ページ、公表措置についてです。上場有価証券等のインサイダー取引規制では、個々の取引が処罰等の対象となるか否かを明確にする観点から、重要事実の「公表」につきまして、重要事実に応じて、特定の主体の公表措置によることとしております。
暗号資産につきましても、同様に、以下に記載のとおり、重要事実に応じて公表主体を定めることが適当ではないかとさせていただいております。
公表方法につきましては、投資判断に資する情報がSNSを中心に発信されているケースもあるものの、様々な種類のSNSがあり、投資者が把握できるとは限らないこと、発信された情報の削除・改変が容易であること、発信主体・発信内容の真実性が確保されていないこと。そうしたことを踏まえると、SNSを公表方法に含めることには課題があるのではないかと考えられます。そのため、暗号資産交換業者や日本暗号資産等取引業協会のウェブサイトを用いた公表等に限ることが適当ではないかとさせていただいております。
52ページ、禁止行為についてです。上場有価証券等につきましては、「売買等」を禁止行為として規定し、売買・交換・現物出資等の所有権を移転する行為を規制対象としている一方、会社法の諸規定により投資家保護が図られているため、新規発行に対応する原始取得は禁止行為に含まれておりません。
暗号資産につきましては、上場有価証券と同様に、「売買等」を禁止行為とするとともに、会社法と同様の規制がないということも踏まえまして、暗号資産の新規発行とそれに対応する原始取得も禁止行為に含めることについてどう考えるかとさせていただいております。
適用除外につきまして、上場有価証券等のインサイダー取引規制では、未公表の重要事実を知って取引した場合を規制対象としつつ、保護法益に鑑みて規制対象とする必要性がないと考えられる取引の類型が具体的に適用除外として列挙されております。暗号資産につきましては、保護法益に鑑みて規制対象とする必要がないと考えられる取引類型について十分な事例の蓄積がなく、また上場有価証券等のインサイダー取引規制で規定されている適用除外の類型を規定するだけでは不十分な場合もあり得るかと思います。このため、例えば、未公表の重要事実を「知って」取引することを規制対象としつつ、取引に関する証拠が行為者側に偏在していること等を踏まえ、「重要事実を知らなくとも取引したことを行為者が立証した場合」を適用除外の類型として追加すること等によって適切な規制対象を捉えるということが考えられるのではないかとしております。
54ページ、インサイダー取引規制に関するその他の論点です。上場有価証券等につきましては、未公表の重要事実の伝達・取引推奨行為も禁止されておりますので、暗号資産についても同様の規制を入れてはどうか。また、罰則につきましては、上場有価証券等のインサイダー取引規制と同様に合わせていくことがいいのではないかとさせていただいております。犯則調査・課徴金につきましても、上場有価証券等のインサイダー取引規制と同様に整備していくことが適当ではないかとしております。
55ページ、その他の不公正取引規制です。インサイダー取引規制以外にも、例えば、黒四角で書いてある安定操作取引の禁止のような相場操縦行為など、暗号資産にも妥当すると考えられる不公正取引規制については併せて整備すべきではないかとしております。
その下でございますけれども、それら以外にも暗号資産特有の不公正取引が行われる可能性もあります。そうした不正行為につきましては、既に現行の金商法で規定がある暗号資産の不正行為の一般禁止規制や偽計等の禁止、こうした規制により対応する余地があるのではないか。その上で、今後、そうした事案の発生状況に応じて類型的に抑止を図っていく必要性が認められた場合には、将来的に検討を行っていくことが適当ではないかとさせていただいております。
57ページ、課徴金制度・その他のエンフォースメントです。課徴金制度につきましては、違反行為の抑止力を高めていく観点から、上場有価証券等の不公正取引に係る課徴金制度と同様に、暗号資産に係る不公正取引についても課徴金制度を創設することが適当ではないか。その際、暗号資産については、P2P取引やDEXでの取引もあり得るなど、その特徴を踏まえた制度設計が必要と考えられます。それら以外にどのような点に留意する必要があるか御議論いただければと思います。
市場監視体制についてです。有価証券の場合を参考に、暗号資産取引についても実効的なエンフォースメントのため、暗号資産交換業者による売買審査や自主規制機関による市場監視体制の抜本的強化が必要ではないかとさせていただいております。
犯則調査権限、課徴金調査権限につきましても、上場有価証券等と同様に証券取引等監視委員会における犯則調査権限を創設するとともに、課徴金制度の創設に伴う調査権限を設けることが適当ではないか。また、外国規制当局に対する調査協力につきましても、金融取引のグローバル化等を踏まえまして、また、暗号資産は容易にクロスボーダー取引も可能であることも踏まえまして、外国規制当局との協力、情報交換は必要不可欠と考えております。このため、暗号資産取引についても、相互主義の下、外国規制当局に対する調査協力の対象とすることが適当ではないかとさせていただいております。
最後です。62ページ、暗号資産投資に係る金融リテラシーの向上等についてです。
まず、投資者の慎重な取引を促す方策として、投資者がリスクと商品性を十分に理解し、リスクを許容できる範囲で投資を行うことができるようにするため、暗号資産交換業者に対して①暗号資産の価格推移の実績や将来予測を殊更強調するなど、リスクを正しく認識することを妨げ、投機的な取引を誘引するような表示を禁止する。また、②顧客がリスク負担能力の範囲内で取引を行うことを確保するための確認を行う体制を整備する。また、③自主規制規則に基づく取引開始基準や取引・保有限度額の設定等に係る運用の徹底等を求める。こうした対応が必要ではないかとさせていただいております。
また、DEXや海外無登録業者での取引に係るリスク周知につきまして、行政や暗号資産交換業者等においてしっかりと行うことが適当ではないか。また、金融リテラシーの向上に向けた方策として、現状、J-FLECにおいて、詐欺的な勧誘等による金融トラブルを防止する観点を踏まえまして、社会人向けの教材に注意喚起する文言が盛り込まれております。J-FLECの提供する教材の改訂等を通じて、詐欺的な暗号資産の勧誘等による金融トラブルの防止にとどまらず、例えば以下に記載のような暗号資産のリスクや特性について啓発することが適当ではないかとさせていただいております。
私からは以上でございます。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、委員の皆様に御討議をいただきたいと思います。時間も限られておりますので、お一人当たり5分程度で御発言をいただければと思います。今回、2時間半での開催としており、討議の時間を長めに用意しておりますところ、委員の皆様におかれましては会議の時間が超過しないよう進行に御協力をいただきますと助かります。
議論の内容は多岐にわたりますところ、これまでのプレゼン内容への御質問のほか、事務局説明において何々ではないかとしている点を中心に、重要だとお考えの点や、慎重に検討すべきとお考えの点、深掘りすべき点などについて御発言をいただけますと幸いです。
御発言を希望される際は、対面で参加されている方におかれましては、机上の名札を縦にしていただき、オンラインで参加されている方におかれましては、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てに御発言がある旨を御入力いただければ私のほうで御指名させていただきます。また、順番については前後する場合があることを御了承いただけますと幸いです。
それでは、永沢委員、お願いします。
【永沢委員】
途中退室になります関係で最初に発言させていただきたいと思います。
まず、皆様、丁寧な御説明をいただき、ありがとうございました。特に事務局から御説明いただいた内容については、これまで多くの委員がこの場で示した懸念等を踏まえて慎重に準備いただいた内容であり、私は、全体としては賛成の立場です。その上で、自己責任を全うできる者のみが暗号資産の取引に参加することが、経済全体、それから暗号資産の取引に関わる業にとっても望ましいと考える立場から、資料4のⅠとⅡとⅤについて意見を述べたうえで、自主規制機関の日本暗号資産等取引業協会様に質問をさせていただきたいと思います。
まず、事務局資料の業規制のところです。全体的には賛成でございます。各論については、5ページの兼業規制については、全面的に賛成ですが、その上で、金融庁が、これから起こり得るリスクを十分に検討いただく機会を持たれることが必要であろうと思いますので、ここに記載のある事前チェックについては私も極めて妥当なものだと考えます。
9ページの責任準備金のところですが、過去の流出についても大型のものがあり、しかも結局泣き寝入りということに終わってしまったという残念な事件であったことを踏まえますと、流出事案への速やかな対応は大変重要であり、保険加入を義務づけることは、そういう保険が実際に成り立ち得るのかという課題はあるとは思いますが、そのような制度をつくって対応していただくことは必要であろうと思います。
16ページの管理人についても、市場制度ワーキング・グループのほうで御検討いただいているものをこちらにという御説明でした。これも極めて重要であると思っております。速やかに対応していただくことが求められていますので、体制を整備していくことが必要と思います。
多くのことを提案いただいているので前後してしまいますが、11ページの業務管理態勢のところです。下の青字になっている①から④は特に重要だと思っておりますが、その中でも極めて重要と考えるのは、先ほど申し上げましたような立場から申しますと、伝統的な金融商品とは大きく異なる商品性であるということに鑑みて、②について具体的にどのようにして顧客がリスク負担できるのかを事業者側で見極めていただくことが必要であり、適合性の原則に関するところをどう具体化していくのかが重要であろうと考えます。法律ではなく監督指針等で決めていただくことになるのだろうと思いますが、その内容については今後の十分な検討が必要であろうと思っております。
13ページの退出時の適切な管理人を置くことについては、16ページとも関わりますが、大変大事だと思います。
21ページの銀行・保険会社本体がこの業に関わることについては、金融庁から説明いただいた方向性に強く賛同いたします。本日の冒頭でセキュリティについて説明いただきました。十分な対応を進めていただいているとはいえ、昨今起きている様々な事件を考えますと、銀行・保険が揺らぐようなことはあってはならず、私としてはここは金融庁のお考えに強く賛同するところです。
それから次にⅡの無登録業者のところです。ここは私が強く求めてきたところであり、全て賛成させていただきます。その中でも24ページの、金融商品取引業の対象とすることを通じて、刑事罰を課して強化していくということが適当ではないかというところですが、可能であれば5年ではなく10年にならないものかと思っております。被害救済に当たっていらっしゃる弁護士の先生方のお話を聞くと、5年だと執行猶予になってしまうことが多いようで、もう少し厳しい刑罰を与えることを法律で定めておかないと、十分に抑止力、実効性のある取り締りはできないのではないかと素人ながら感じているところです。
それから民事効の創設は、これは大変望ましいことだと思っております。未公開株詐欺のときに創設いただいた未公開株の無登録業者による勧誘は無効の民事効は大変実効性のある、被害者に寄り添った対応だったと評価しております。暗号資産においても、この分野の被害は未公開株詐欺にも勝るとも劣らない状況であり、早期に被害者をトラブルから解放することができることから、ぜひ入れていただきたいと思います。
25ページのところになりますが、様々な取組みを自主的にしている業者があるという御紹介がありました。暗号資産の利用者を保護するためによりよい取組みをされている事業者については、例えば会社名を公表するようなことをして、同様の取組みを推奨していくことが必要であり、自主規制機関のほうで自主的にそういったところを応援するようなことをしていただき、市場の健全化を進めていただきたいと思います。
27ページの犯則事件とすることについても強く賛成いたします。
29ページの欧州のMiCAで様々進んだ対応をされているようですが、日本においても同様の対応ができるようにすることにも賛成です。
事務局資料の最後のⅤの62ページの金融リテラシーのところです。賛成ですが、一部、私は強く違和感を持っている箇所がございます。それは、需給関係によって価格が決まる傾向が強いという記述です。確かに一部の暗号資産には裏付け資産のあるものがあるようですが、その価格は需給関係によってのみ決まるのであって、傾向が強いというこの一文には強い違和感を覚えました。
また、この分野は教育ではなく啓発という表現を使うべきだと思っております。自己責任が全うできない国民が取引に参加しないようにすることや、無登録業者との取引の注意喚起など、やはり特別な教材開発が必要であると思います。金融経済教育推進機構や金融教育に関わっている人々にも参画いただき、暗号資産が伝統的な金融商品とは大きく異なるということを踏まえて、実効性のある啓発教材を開発していくことが必要であると思います。金融経済教育推進会議の委員をしている立場でもあり、金融経済教育推進機構に提案し具体化していきたいと思います。
事務局への要望については以上ですが、日本暗号資産等取引業協会様に2点、質問させていただきたいと思います。一つ目は、10ページに適合性確保の強化とありますが、具体的にどのようなことをされているのですかということです。もう一つは、私が日頃感じていることですが、広告についてです。テレビ広告や地下鉄のつり革広告で、昔でいえばファジーな広告、何となくよさそうといった感じで、自己責任を全うできるとは言えないような方を広く誘いこむような広告が散見されます。個人的な感じ方かもしれませんが、事業者の広告について協会はどのような方針で対応されているのかについて御質問させていただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、協会のほうからお願いします。
【日本暗号資産等取引業協会(小山事務局長)】
では、協会の事務局のほうからお答えします。1点目、顧客の適合性の確認の強化というところです。第2回のワーキング・グループでも説明をさせていただきましたが、もともと私どもの自主規制規則の中で取引限度額、保有限度額というのを定めるということになっております。会員の監査でありますとかモニタリングの指導においてはそれを遵守されているかどうかを確認するということになります。2022年の民法改正時に、成年年齢の引き下げがあったことを契機に、もう一度、各会員の状況でありますとか、これは確認をした上で、監査先の対象でありますとか、こういうことには役立てております。今、監査のリソースの関係で、テーマを絞った監査を運営せざるを得ませんが、この中でも利用者保護の分野ということで、取引開始基準、保有限度額については確認をし、これは協会が意図している、協会の規則に求められている事項を満たしているかどうか。また、他の各会員の状況から見て、もう少し努力してくださいというアドバイスも含めまして、これは指導しております。
これをまた今後も強化していきたいと思っておりますし、特に取引限度額ですとか、保有限度というのは、利用者の方のそれぞれに合った仕組みというのを考えていく世界だと思いますので、これは一定のところでとどまることではなくて、引き続き各会員のビジネスモデルに合った体制運営ができるかどうかを指導していきたいという意味で強化という言葉を使わせていただいております。
2点目、広告につきましては、つり革広告まで我々が逐次把握できていない点はありませんが、私どもも週次程度で各会員のホームページですとか、公表されている情報の範囲では確認はさせていただいております。我々の自主規制規則の中にも広告の規定がございますので、こういったものを満たしているかどうか、あるいは誤認を招きやすいのではないかとか、こういったことについては確認をして、会員に向けて注意喚起を行っているところでございます。
今の御指摘もありますので、今後そういったものの取組をもう少し強化していきたいということも踏まえて、今日の説明資料の中の強化に向けた取組は、これに限らず、こういったものも含めて、ここの場でいただいた意見を踏まえてやっていきたいと思います。
以上でございます。
【永沢委員】
ありがとうございました。分かりましたとはなかなか言えないので、世の中の皆さんが結構厳しく求めていらっしゃるということで、ぜひ見直しをしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
以上です。ありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、河野委員、お願いします。
【河野委員】
河野でございます。私も中途で退出させていただくということにしておりまして、初めに発言を求めたいと思います。
御説明、本当にありがとうございました。今回、事務局から資料2、資料4で御提案いただいた内容に関しましては、私も消費者の立場から大筋として賛同いたしております。一般消費者としては、提示された個々の対策が物理的実態のない暗号資産の規制として必要かつ十分であるかどうかの判断は非常に難しいと思っております。資料で整理いただいたように、資金決済法と金商法を合わせ技として適用することで、決済手段としての規制と資産運用としての規制を講じることが今できる精いっぱいの対策であって、そうした規制の下で、暗号資産取引や投資において、今後起こり得る様々な事態に対して監視体制とフォローアップをしっかりと行うことで暗号資産制度の効力を高めていくということが大事だと受け止めております。
その上で、3点個別論点を申し上げたいと思います。まず、前回からの継続ですが、サイバーセキュリティに関する取組みに関してです。このところ企業へのサイバー攻撃が頻発し、事業活動や社会生活に不安を与えています。ブロックチェーンという特別な技術は、安心の源であると同時にリスク要因でもあると思っておりますが、では、どこまでやるのかと考えると、資料2で示されているように、流出事案対策である3線管理の徹底など、ガイドラインでの注意喚起と個別の対策強化によるとすることが着地点とすることが妥当ではないかと思っております。
続きまして、銀行・保険会社等の子会社による暗号資産の取扱いについてです。2020年に金融庁の監督指針で、銀行グループなどが暗号資産を投資目的で取得することなどを事実上禁止とされているところでの今回の方針転換の御提案ですが、従前からのリスクは変わらず存在しており、危惧は残っていると思っております。
そのような御説明をしていただいておりますが、他方、海外の無登録事業者やDEXなどを通じた暗号資産取引などと比べコンタクトリスクなどへの取組みが進んでいる銀行・保険会社グループなどにおいては、相対的に社会からの信用度が高いと思われます。参入に当たっては、財務内容や既存の金融システムとしての社会への影響を十分に考慮していただいて、一定の規制をかけつつ、健全な態勢整備を行ってほしいと思いました。
3点目は、暗号資産投資に係る金融リテラシーの向上についてです。永沢委員もおっしゃっていましたが、金融リテラシーの向上というよりは、スマホ1台で簡単に取引が成立する暗号資産に対しては、その特性に留意しての啓発をしっかりと進めるべきだと思っています。既存の金融商品においても、詐欺的な投資勧誘によるトラブルや被害は頻発しており、暗号資産にフォーカスするというよりは、決済手段と投資対象のどちらにおいても様々なリスクがあることに対して注意喚起と啓発を粘り強く行っていっていただきたいと思っております。
事業者側の健全な事業姿勢は当然として、先ほどの金融経済教育推進機構での取組みにとどまらず、今回から参加してくださっている消費者庁や国民生活センターを起点とする自治体の消費生活センター、銀行や保険会社様など既存の金融サービスを提供している企業の皆さん、加えて暗号資産での決済を導入している大手デジタルプラットフォームなどにも協力を仰いで、多方面からのアプローチをしていただくように期待したいと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございます。
それでは、有吉委員、お願いします。
【有吉委員】
有吉でございます。多様な論点について取りまとめと御説明を、どうもありがとうございました。
私からは資料4の内容について、それぞれの項目にコメントをさせていただくとともに、最後に少しだけサイバーセキュリティについてコメントを差し上げたいと思います。
資料4に書かれている内容について、基本的には私も賛成するところであります。まず、業規制との関係です。第一種金融商品取引業と現行の資金決済法の暗号資産交換業の規制をミックスするような、合算するような、そういった方向性については賛成です。ただし、規制の内容といいますか、条文自体は既存の金融商品取引業と共通になるということであるとしても、暗号資産交換業特有の状況もあると思いますので、規制運用はそういった部分をよく反映した対応をしていただく必要があると思います。
暗号資産固有の状況ということもあると思いますし、先ほどの永沢委員から御指摘があったように、宣伝・広告も既存の証券会社とは大分違う形でなされているというようなこともありますので、今後、金融商品と位置づけて規制をしていくに当たって、そういった広告のこれまでのあり方がどうなのかということも含めて、規制運用については、暗号資産ないし暗号資産業界の特殊性を考慮して御検討いただきたいと思っております。
また、今回の資料の中で、業規制との関係は暗号資産の売買等を行う場合の規制について中心に言及されているように思います。ただ、証拠金取引など暗号資産デリバティブを行う場合ですとか、投資運用の対象として暗号資産への投資も行うといった場合についても、暗号資産特有の事情を考慮した規制を検討していく必要があると思います。
例えば、暗号資産デリバティブを行う場合についても、新規取扱暗号資産の事前届出の規制というのは加えてもよいような気がいたしますし、一方でデリバティブについては暗号資産デリバティブのみを取り扱う業者がいた場合には、兼業規制との関係で売買等の場合と同じように事前届出に規制緩和するということも検討してよいのではないかと思います。また、暗号資産投資を行う投資運用業についても、セキュリティ体制などは売買の場面と類似の体制とするということも検討されるべきではないかと思います。
それから、資金決済法上の現在の暗号資産交換業の規制と金融商品取引法の規制を足し合わせた結果、重複が生じて過剰規制にならないようにするといった配慮も必要だと思います。例えば、責任準備金の規制を及ぼすこと、これ自体に反対するものではございませんが、暗号資産交換業者には履行保証暗号資産という制度も既に適用されているところでありまして、こういったことも踏まえて、責任準備金の金額なのか積み方なのかどうすればよいのか具体的なアイデアがあるわけではございませんが、規制の合理性を確保する必要がある、過剰規制にならないようにする必要があると思います。
それから、無登録業者への対応の関係については、資料4に記載されているような対策をぜひ進めていただきたいと思いますが、今回の制度改正に当たって、改めて、海外の業者を含めて無登録業者による暗号資産の販売が違法行為であるということは強く周知をしていただきたいと思います。
そういった活動を通じて、無登録営業そのものだけではなく、それ自体は暗号資産交換業や投資助言業に該当しないような行為であったとしても、SNSですとか書籍ですとかこういったもので無登録業者からしか入手できないような暗号資産の紹介をするなどの行為が、違法行為の片棒を担ぐ不適切な行為であるということの認識が世の中に広まっていくことを強く期待したいと思っております。
それから、DEXの関係について若干の御説明があり、現時点では制度的な手当てまでは行わないという方向性だと理解し、その点については賛成であります。継続検討していくべき論点だと思います。ただし、現行の暗号資産交換業の規制の関係でも、具体的な状況次第では、DEXの開発者ですとか設置者ですとか、あるいはDEXにつなぐ業者ですとか、こういった者の行為が暗号資産交換業に該当する場合もないわけではないと思いますので、取りまとめの報告の際には、DEXについて現在の規制が全く及ばないというニュアンスにならないように表現を注意していただきたいと思います。
それから、インサイダー取引規制の関係について2点コメントしたいと思います。取扱申請段階の暗号資産もインサイダー取引規制の対象に含めるという方針について、その背景の問題意識は十分理解いたしますし、政策的にも合理性はあると思います。
ただし、そういった暗号資産を取引する者からすると、業者が取り扱っていない暗号資産について、それが今取扱申請をされているのか、されていないのかということを確認することは事実上不可能なのではないかと思います。そうすると、取引をする人がインサイダー取引規制の対象になる暗号資産なのかそうでないのかが判別できないという事態が生じかねないように思います。それは規制としていかがなものかという気がいたしますので、その辺りを御検討いただく必要があると思いました。
それから、暗号資産に関する重要事実の関係についてです。定義上、暗号資産には決済手段としての性質があるということも意識して重要事実を考える必要があると思います。例えば、発行者以外の者が営む特定のサービス、eコマースでもゲームでも何でもよいですが、そういったサービスの決済にだけ使われるといった暗号資産があった場合に、そのサービスについて大きな変動が生じる、例えばサービスを廃止するということがあれば、あるいはとても大きなアップグレードがあるという場合もあるかもしれませんが、そういった事象が起きると、事実上、暗号資産の価格にも大きな影響を与えると思います。
そういった情報も重要事実として取り扱うべきだと思いますが、今の資料4の44ページの【1】から【3】の類型で拾えるのかというと、やや疑問もあります。【1】で無理やり拾うのかもしれませんが、この点は重要事実についてもう少し御検討いただく必要があるのではないかと思いました。
金融リテラシーの関係です。永沢委員や河野委員が既におっしゃっていたことと通ずるところかと思いますが、暗号資産に対する啓発活動はぜひ進めていただきたいと思いますが、その意味するところは、いわゆる貯蓄から投資への流れの中で投資商品の一類型として暗号資産投資を促すということでは全くなく、基本的にはトラブル防止、自己責任の観点から説明されるべきものなのではないかと思います。
そういった意味で、暗号資産が投資信託などの他の伝統的な金融商品と同等のもので、リスクを理解した上で積極的に投資してほしい、というような誤ったニュアンスにならないように啓発活動を進めていただく必要があると私も強く思うところです。
最後に、サイバーセキュリティの関係です。先ほど資料2の御説明の中で今泉参事官から御説明があったとおり、サイバーセキュリティについては、自助と共助、これをうまくバランスを取って対応していくということが非常に重要であると思います。どこまでが自助でどこからが共助なのか、これは場合によっては各業者の利害関係とも正面から衝突するという話なのかもしれませんが、この部分について、ぜひ当局とそれから自主規制団体の皆様にリーダーシップをしっかり発揮していただいて、うまい形で収めていただいて、業界全体としてうまく進むように取り組んでいただきたいと強く思います。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、小川委員、お願いします。
【小川委員】
ありがとうございます。本日、私からは3点、まず1つが損害の補填について、2つ目が、業務管理体制について、3つ目が、銀行などの暗号資産取扱いについてコメントさせていただきます。
まず、1つ目、損害補填についてです。ハッキングのみならず、交換業者の破綻、倒産、サイバーアタックなどによるシステム障害、アクセス不能などから結果的に利用者に生じる損失などを補填する仕組みは、極めて重要と考えています。
こうした損害の補填手段としては、3つあると考えます。一つ目は、先ほどお話がありました責任準備金。これは各業者の社内留保になります。二つ目は、各業者社内での保証原資を確保するための保険。それから3つ目は、業者共通のバックアップ基盤としての投資者保護基金。
先ほど御説明があった責任準備金については、賛同いたします。そのうえで、では、何%積んでいくのかといった議論が、より重要になってくるものと思っています。
暗号資産の場合、伝統的な証券とは異なり、非常にリスクも多岐にわたり、また拡張性があるなどの特質があります。一方で、過度に積み立てた場合には、経営を圧迫するといった事象も発生し得ます。きっちりと実態調査を行い、実効性を踏まえ、ガイドライン等で明確にしていただくことを期待します。同時に責任準備金相当額について、流動性、安全性、運用性を織り込んだ弁済用の社内留保資産の定義も重要ではないかと考えます。
但し、責任準備金の社内の資金留保というのは一定限界が出てくると思っています。したがって、本件保険などが実現するのであれば、積極的活用を推奨すべきと考えます。
3つ目の投資者保護基金について、既に資料の15ページにも一部記載があります。金融商品取引法では既に定めがありますが、暗号資産の特性を十分に織り込んだ制度設計が求められます。従来この制度は、企業の破綻、倒産に生ずるリスクを想定していますが、暗号資産で想定されるハッキング、不正流出、それからサイバーアタックなどのシステム障害等どこまで保護対象とすべきか、その範囲の明確化は必須です。また、保証額の特定についても、価格変動、ボラティリティが非常に大きな暗号資産が対象になりますので、どの時点を評価確定基準日とするのかといった議論も重要です。さらに、暗号資産交換業者自身に瑕疵が明らかに認められる場合まで、こういった共通基盤で補填するのかといった議論もあるかと思います。いずれにしても、そういった論点を洗い出していただき、実効性を確保するための明確な制度化をお願いしたいと思っています。
2点目の業務管理体制について、既に皆様お話があったとおり、賛同します。
他の委員からもすでにコメントがありましたが、顧客がリスク負担能力の範囲内で取引を行う仕組みについて、資料最終ページの金融リテラシーの向上と併せて、実効性ある具体的な制度整備の検討が必要だと考えます。
資料4の63ページに、日本暗号資産等取引業協会の自主規制ガイドラインにおいて、既に年齢、収入、経験についての確認は実施されており、そのとおり行われているか事後チェックされていると理解しました。一方で、統制には、事後的なモニタリングで発見する発見統制と、そもそもリスクの顕在化を未然に防ぐ予防統制といったものがあります。特に暗号資産のように影響の拡大速度が速いデジタルトランザクションに関する統制については、有効な予防統制の実装が極めて重要と考えています。
例えば、取引条件、保有限度があったかどうかという事後的な発見統制だけではなく、トランザクション自身ができなくなるような機能が有効に実装されているか、それを事後で確認することが有効であると考えます。日次取引のキャップもしくはレバレッジの上限、あるいは短期・多頻度取引による過剰損失発生、もしくは深夜連続アクセス等、一定リスクトリガーを識別し、事前制御をかけるなど、各種事故排除機能の実装が重要と考えます。
一方で、英国のクーリング・オフ期間導入時の議論にもありましたように、投資の自己責任、もしくは市場効率、機会損失など、国際競争力の阻害要因となってはならないと考えます。したがって、我が国としてどこまで実装・整備していくのか、デジタルの特性を踏まえた議論を期待しています。
最後に、金融グループ企業による暗号資産発行・売買仲介、もしくは保有について、既存の案に一定賛同いたします。ステーブルコインとトークンの経済化における銀行・証券・信託といった業態を超えたデジタル統合金融サービスの議論は既に始まっています。
デジタル決済手段としてステーブルコインが今後一気に広まれば、オンライン上で全ての金融サービスが完結し、スピーディーに、より安く、利便性が高い金融サービスの新規創出が加速するものと考えます。こうした状況下において、ビジネスの競争を阻害してはならないと考えます。
多様な裏付け資産を有するクリプトや、クリプト・レンディング、クリプト・トレーディング、トークン化された預金、MMFなど、いわゆるリアルワールドアセットがブロックチェーンに載せられてトークン化され、多種多様な価値が載っていきます。今回議論の対象となっている暗号資産、これは何を指すのか、しっかりと明確にし議論を進める必要があると思っています。
また、銀行法の業務範囲規制、利益相反規制、資本規制、既存の銀行証券の間のファイアーウォール規制等の法的根拠と、矛盾なく整備していくことが肝要です。
一方で、デジタル金融統合基盤の議論はすでに避けられない状況と考えております。金融グループでの分業モデル、もしくは信託モデル、あるいはグループ共有の金融プラットフォーム型のビジネスモデルなど、金融サービス発展の観点から制度的にも明確に整備していく必要があると考えています。
同時に、金融、非金融など横断して検討すべき課題も今後考えられ、デジタルトークン含む金融市場において、統合的監督体制等の新設の検討も今後必要になっていくものと考えます。
リテールビジネスとコーポレートビジネスでは、リスク許容度も含めて大きく異なります。場合によっては一定分けて議論することも必要と考えます。
いずれにしても、新たな金融サービスの競争力を推進するといった点も十分加味し、併せてリスク制御機能、損失補填、マネロン、サイバー対策等、規制を整備した上で、社会的信頼ある金融基盤の整備を実装していくということが、なにより重要と考えていますので、よろしくお願いします。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、大槻委員、お願いします。
【大槻委員】
御説明ありがとうございます。今日も非常に広範な範囲にわたるもので、どこからコメントすればいいのかというのは少し悩んだところですが、第1に、議論の方向性について私の理解ということをお伝えしたいと思います。この市場はある程度確立はしているところであって、そもそも過度な負担を業者にかけることで減衰させるということがこの議論のスタート時点ではないと理解しています。市場の健全な発展と利用者保護、この両方を目指すということだったと理解しています。それから、小川委員からもありましたが、国際競争力の維持・向上という点にも配慮しつつ議論を進めていくべきでは、ということを改めて申し上げたいと思いました。
その中で、先ほど広告の話がありました。私は個人的に今の時点で過度なものになっているとは思えません。むしろ日本は先進国の中で、個人の方々が投資する対象が株式以外少なくなってしまっている中で、それの行き先が暗号資産かどうかというのはもちろん議論はあるのですが、より広い投資機会を与えるという観点も重要だと思います。広告の話というよりも、後でもお伝えしたいところですが、今日の論点でもある、無登録業者の勧誘ですとか勉強会といったあたりのエンフォースメントについては課題が大いにあると思っています。
その上で、まず、5ページの事前届出についてです。他業態のこれから先の参入についてはこの趣旨で賛同するところです。これに加えまして、もしも他業態からの参入の場合については、その業界の管轄の他省庁との連携もしていくべきだと思います。これまでも出てきているように、極めてリスク特性が特異なものであることは間違いないので、そこについての喚起を他省庁とも連携を取って行うべきかと思っております。
それから、2点目、先ほど来の責任準備金についてです。これも原則賛同します。もちろん投資家保護という点でも重要ですし、それに、業者、業界のほうとしても、保証等の整備状況が他の会社、他の交換業者との差別化要因にもなり得るという意味でも、これをプロモートすることが両者にとってベネフィットがあると思うためです。
ただし、確かに、もしこれを準備金でやる場合、どういう料率にするのかとか、同時に、例えば、銀行にもある保証上限をどのように考えるかということも含めて、様々な観点から適正なレベル感を議論する必要があるかと思います。有吉委員がおっしゃった過剰規制、これについては慎むべきというところでも賛同いたします。また、準備金を整備する場合、その運用についても短期で流動性を確保すべきということは言うまでもないことかと思いますが、改めて意見として申し上げるところです。
それから、銀行及び保険会社の子会社の暗号資産の仲介等についてです。これもイコールフッティングの観点で賛成いたします。ただ、銀行にとってみると、連結のオペレーショナルリスクについてどういうふうに考えるのかということについて、これをガイドラインなり、それからどういう形で考えていくかという指針によっては、銀行にとって同じく負担が大きくなる可能性もありますので、そこについても併せて御検討いただきたいと思います。
次がエンフォースメントについてです。まずは、54ページ目のインサイダー取引規制、この実効性確保について、御提案のところについては賛成をいたしますけれども、人的その他の設備、キャパシティーの観点については、金融庁及び業界団体の皆さんにおいてもよく考えていただきたいと思います。
それから、投資セミナーやオンラインサロン等について、これらが投資助言業に当たるかどうかということについてであります。今見えているだけでも相当動画等でも配信されていると思いますので、こちらについてはガイドラインをしっかりと設けるとともに、証券取引等監視委員会の調査権限の付与によってエンフォースメントを確保していただければと思います。
1点だけ質問としては、今見えている中でどの程度のキャパシティーが必要であり、今のキャパシティーがそれに対して何合目ぐらいまで準備できているのかということについて教えていただければと思います。
31ページの無登録業者についてです。調査協力の強化ということは非常に重要、必須だと思っておりますが、相対で各国との取引交渉ということでは限界もあるかと思いますし、新興国等も対象になるかと思いますので、これについては広範な国際的な組織化、対話が必要なのではないかと思います。
最後がリテラシーについてです。私も伝えるべきことについてはやや違和感があるところでございます。ただし、需給関係によって決まるという傾向については、この記述に対して私はそのとおりだと思いますが、それよりも、この業界の特徴というのは恐らく、市場の経験値が低いことに伴うボラティリティの高さです。2013年当時のボラティリティに比べれば相当小さくなってきているわけですが、それでも市場が若いことに伴うリスクについても併せて啓蒙していただければと思った次第です。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。1点御質問がありました。
【齊藤市場課長】
エンフォースメントに関連して、どの程度の人的・物的なキャパシティーが必要か、あるいは今何合目かということですが、具体的な数字でどの程度というのは申し上げづらいわけですが、株式などに関する取引に係るエンフォースメントの現状の体制と比べますとかなり差があるものと思っております。株式等と全く同じ程度まで必要かということについては、暗号資産の特性も踏まえる必要があると思いますが、いずれにしましても、エンフォースメントの人的・物的体制の強化というものはしっかりやっていく必要があるものと考えております。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、次に、オンラインから松尾真一郎委員、お願いします。
【松尾(真)委員】
ありがとうございます。松尾真一郎でございます。今回、資料が膨大で、全てのコメントをここで申し上げることは難しいので、ここは4点だけコメントを行って、残りはまた書面で提出させてください。
1点目はセキュリティの話です。まずは、資料2において共助の大切さを強調いただいて、ありがとうございます。システムセキュリティの基礎を学んだ人であれば世界共通の認識がここで共有されたことに感謝いたします。
資料4の7ページにおいて、委託先とサプライチェーンのセキュリティについて御明記いただいたことについて、前回の私の説明を取り入れていただき感謝いたします。こちらについては、引き続き、事務局、金融庁のほうでの検討をお願いしたいと思います。
その上で、今回、日本暗号資産等取引業協会からの説明資料について大きな危惧を感じました。正直、前述した金融庁で進んでいる検討に事業者がついていけていないと感じております。
例えば日本暗号資産等取引業協会資料の10ページで、これまでの取組としてチェックリスト化というのが書かれておりますが、一方で、ISO/IEC27000シリーズのフレームワークを学んだ普通のセキュリティーエキスパートであれば、このようなシステムのセキュリティリスク管理は、画一的なチェックリストでは目的を十分に果たせないことは常識です。
そして、JPCrypto-ISACとの連携のところで「意識も含めた連携基盤強化」と書かれておりますが、それよりも広範囲で実践的なものであるということは、前回の私の発表とスライドを正しく御理解いただけていなかったということで残念に思っています。前回の私のプレゼン資料の3ページに書かれていたことをどう実装するか、どう実現するか、これはセキュリティ確保のための重要なことであり、ほかの業界であれば当たり前にやっていることです。しかし、今回の日本暗号資産等取引業協会の資料を見る限りにおいて、それが理解されていないことが分かります。
日本暗号資産等取引業協会の資料の11ページで、「オフラインで管理されている(USBやペーパーウォレット)」と書かれているところがありますが、例えば、このようなハードウエアウォレットがサイドチャネル攻撃に対して耐性があるということをどのようにチェックしているのか御存じでしょうか。皆さんは世の中で売られているハードウエアウォレットはセキュリティレベルが確認済みだと思っているかもしれません。それは事実でありません。
ISO/IEC15408やFIPSの140-3というのがその認証の仕組みに当たるのですが、そのセキュリティ評価に必要なST、PPと呼ばれる基準の定義が必要であるにもかかわらず、ブロックチェーンのハードウエアウォレットにおいては、いまだにSTとPPは定義されておりません。BGINでその議論を先週始めて、この議論にはJPCrypto-ISACの方は参加されていましたが、日本暗号資産等取引業協会からは遠隔も含めて誰も参加していません。これが現実です。
その上で資料4についてです。以前から事務局資料では、様々な情報提供を暗号資産交換事業者あるいは日本暗号資産等取引業協会が行うことが前提のように書かれております。しかし、今の状況でセキュリティを含めてそのような能力を持ちガバナンス体制があるのか、その確信を持てる証拠を今まで提出してもらっていません。そのような状況では事務局の全体の方向性の整理に今すぐ賛同できるという状況ではないと思っています。
2点目は、不公正取引規制の各論のところです。細かなコメントは改めて書面でお送りしますが、その上で、なぜ私が以前、類型①と類型②を分けずに横断的規制にしたほうがいいのかということを意見してきたのか、あるいは、情報提供主体の中立性・独立性、利益相反の話を再三再四申し上げてきたのか、この危機感が事務局に伝わっていなかったように思いますので、ここで改めて強くお伝えしたいと思っています。
これは極めて一般的な話ですけれども、異なる2つのフレームワーク、箱ができると、その2つの箱の中のアービトラージの可能性が出てきます。つまり、この2つの箱であることで経済的な新しいアタックサーフェスを作ることになるわけで、金融庁も日々、法律をまたがる規制のアービトラージに頭を悩ませられていると思います。それがこの箱を国内につくることによって、国内だけでもアービトラージの種ができてしまうという可能性ができるわけです。
第2回のワーキング・グループでも指摘したように、類型①と類型②は双方向かつダイナミックに類型が変わる可能性があります。そもそも、これまでの金商法において、個別の金融商品が類型を移動する中で規制のあり方を変え、その移動を動的にモニタリングしながら柔軟に対応するという経験はありません。
そして、一番の問題は、類型間の移動は個別の暗号資産についている価格に大きな影響を与えることです。つまり、ここに経済的な利害関係が発生します。今の事務局案では、類型の判断に事業者、日本暗号資産等取引業協会が一定程度関わることになっています。皆さんもお分かりだと思いますけれども、そうであれば、既存の金商法の世界ではインサイダーとして観念できないこのような人たちが、類型を分けてしまったがために新たなインサイダー的なものになるという可能性を生み出すわけです。
アメリカのCLARITY ACTの現状の審議案では、同法案が通過するかどうかは別にして、マチュリティの判断権限を当局であるSECが持っていることになっています。一方で、現在の事務局案では、その判断に日本暗号資産等取引業協会が大きく依存しているように思います。前述した理由により、仮に同協会が関与するのであれば、その理事、役員、そして人員を出向させている企業の役員は、暗号資産の保有禁止や制限、売買の禁止を課すことが必要です。今、所有や売買を行っている人がいれば、明確にインサイダー的な能力を持っていることになります。日本暗号資産等取引業協会の体制強化だけではなく、ガバナンスの抜本的なつくり直しが必要です。
つまりは、今の事務局の方向どおり、類型を基に議論して、日本暗号資産等取引業協会に依存するガバナンスを構築するということであれば、同協会とそれに関与する企業から利益相反の関係を完全に取り除く必要がありますし、それができないのであれば、私が第2回ワーキング・グループで提案したような中立性・独立性のある情報を提供して新たにつくる必要があります。
そして、セキュリティの情報提供においても、日本暗号資産等取引業協会とその関係者に暗号資産を保有している人たちがいたらどうでしょうか。保有している暗号資産の価格を気にして、必要な情報提供にバイアスがかかるかもしれません。つまり、現状の案ではこういう大きな懸念が残っているために明確に委員として賛同できないと言うしかない状況です。
3点目は、今回、消費者庁をオブザーバーに加えられたということで、これまでの事務局資料で利用者保護について抜けている点を指摘します。今回口頭で指摘するのはダークパターンに関するものです。暗号資産交換業のビジネス拠点の中には、取引所と販売所という異なる形態があります。販売所のほうがスプレッドが大きいケースが多いと思います。その上で、販売所と取引所の両方のビジネス、両方のビジネスを交換業のアプリで、取引所のアクセスより販売所へのアクセスが容易になっている。言わば、利用者が無意識に誘導されやすくなっているケースがあると指摘されています。
金商法に移行した場合、第40条の適合性の原則、第36条の利益相反防止義務、第38条の不当表示誤認防止義務、第37条の説明義務といった投資家保護規定の問題になります。この点につきましては、金融審議会において金商法の規定が厳格に適用されるということを確認しておきたいと考えています。
事業者から利用者への情報提供のあり方は今回の議題ではないものの、今回事務局資料で、インサイダー取引規制について交換業者や日本暗号資産等取引業協会のウェブサイトを重要なツールとして考えていることに、私としては、委員として認められない大きな危機感を持っています。残念ながら、実際にそのようなサイトの情報はほとんどの人が見ていません。インサイダー取引以外の一方で、利用者保護上クリティカルな情報の提供においても、このようなウェブサイトを作るという考えが引き継がれることはあってはいけないと考えます。
1週間前に、米国の関税政策をめぐり、暗号資産のフラッシュクラッシュが起こりました。暗号資産の世界は24時間365日動く世界ですので、日本の利用者が寝ている間に発生したら、日本の利用者がより多くの損を被ることになります。このようなフラッシュクラッシュで得をしたインサイダーがいるという推測をする人もいます。そうだとすると、必要な情報提供は緊急地震速報や津波警報のようなものになる必要があるのではないでしょうか。
先週には、パクソス上のステーブルコインで400兆ドルのステーブルコインの誤発行がありました。20分ほどで取り消されましたけれども、プログラムには常にバグの可能性があることを考えると、何か問題が起きたときの即時の利用者の情報提供は急務です。
もし事務局案が日本暗号資産等取引業協会や交換業者、多くの事業者、それもアプリでなくウェブブラウザーを使ってアクセスする単純なインサイトの情報提供で十分であるとすれば、委員としては反対を表明します。
これまでお話しした3点については、委員として、現状の事務局案あるいは日本暗号資産等取引業協会から資料について賛同できない点が多く、次回のワーキング・グループの資料でこれについておおむね賛同を得られたとまとめられることに関しては極めて反対したいと思っていますので、次回までに御検討いただけると幸いです。
改めてですけれども、これは今回の金商法への移行賛成・反対ということは全く関係なく、このレベルのセキュリティとガバナンスの議論では、今の状態では到底世界の流れについていけないということです。私としては、この議論を機に日本の暗号資産エコシステムが世界の中で大きく飛躍することを願っており、日本の暗号資産エコシステムが世界と肩を並べるための必要条件として必ず対応することを委員として求めるものです。
4点目です。簡単な御質問があります。銀行の暗号資産保有について、銀行が保有した場合、同時にバーゼル規制の対象ともなり、国内実施されれば1,250%のリスク・ウェイトが課されることを考えると、銀行にとって保有するインセンティブはほとんどないと思います。一方で、日本の銀行がバーゼル規制から離れるということは考えられないと考えています。この辺りの取扱いについて、事務局のお考えをお尋ねしたいと思います。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、事務局お願いします。
【横山信用制度参事官】
銀行のバーゼル規制のリスク・ウェイトについての質問でございました。御指摘のように、国際合意の中で1,250%のリスク・ウェイトを課すということは合意されているところであります。これを国内規制としても実施するかどうかについては、担当部局において現在検討しているところです。普通に考えれば、国際合意でございますので、それを国内規制としても実施するというのが基本的な方向性になろうかと思います。
【森下座長】
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、次に、松井委員、お願いします。
【松井委員】
ありがとうございます。本日の議題は多岐にわたりますが、2つに絞って発言したいと思います。
1つ目の発言事項は、業規制及び業者規制についてです。まず、暗号資産交換業者の業規制の性格については、ほかの委員からも御指摘ありましたが、利用者の財産管理及び退出時の資産の返還、また流出などに対応する補填のための責任準備金という形で、払戻し対応と事故対応ということで性格が異なる資金を区分けしつつ、いずれにしても責任資産を業種単体で確保するということを基本思想とするものであり、この水準についていろいろな御意見はありましたが、方針自体は妥当なところかと思いました。
他方、業規制の中で重要な論点として、既存の金融業、すなわち保険や銀行が金融資産として暗号資産にどう取り組むかということにつき、資料4の20ページにおいて、現行の監督指針では投資目的保有を禁止するという形が取られているのに対し、金融機関本体においては、発行者となること、売買、当事者としてのディーリング、さらに仲介を制限する、一方で、自己ポートフォリオの一環として投資目的で保有するということについてはリスク管理体制の下で認め、また、子会社・金商業者による参入は全面的に認めるということになったということであります。
この方向性について異論があるわけではありませんが、このロジックについて整理をしておきたいと思います。というのも、ここで挙がっているのが、第1に銀行本体についての健全性のリスク、第2に銀行だからということで購入者が安易に暗号資産を買ってしまうという社会的リスクに分けて整理をされているところですが、この第1のリスクは、制度が定着し、あるいはほかの委員の御発言にあったように、銀行が暗号資産を扱っていることで、投資者のリスクが少なくなるのを逆に積極的に利用するのだという政策的な考慮によって第2の社会的リスクが解決されたとしても、まだこの第1のリスクが残るという整理になるからです。
しかし、この第1のリスクが解決不能であるとなってしまえば、およそ銀行が暗号資産を取り扱う余地がないということになりそうなので、この点、先ほどのように、業規制においてそれぞれの資産の中身、性格で区別をしながら保護措置を利用したように、リスクごとに資産と体制があるのかという形での検討をするということが必要かと思います。
まず、事業の返済原資や流出資産の填補という流動性の面での対応というのは、暗号資産交換業者になるということにより、その規制の下で賄われる部分があり、また、価格変動リスク等は、バーゼル体制の下でのリスクコントロールという観点から最低限のリスク・ウェイトが積まれ、それによってこれを扱う経済的合理性がなくなるのではないかという御指摘がありましたが、それは別として、こういった体制があるということだと思います。
最後に、資料に挙げられているレピュテーションやシステムリスク、それからマネー・ローンダリングなどに巻き込まれるリスクというのは、突発的に扱っている資産の価値を大きく超えて、事業分野を超え、企業全体に波及する損失が発生するようなイベントのリスクということを意味します。こういったものは、例えば、決済システムの不具合であるとか使っている金融商品に悪評が立つなど、既存のサービスにおいても起きるものであります。
そういった損失は現在、銀行の一般的な経営上の損失リスクとして扱われると思いますが、これに対して暗号資産というのが、特別に不確実要因があるとか、あるいは被害が非常に大きくなるといったような特殊な特質があるため、何か別の手当てがないと従来の体制ではその損失のバッファーは吸収できないということであれば、この部分というのが非常に強い障壁になるわけですけれども、ここが、マネロンリスク等の水準が経時的に見極められて、経営上コントローラブルであるとなった場合には、この第1の部分の懸念点というのは解消ができるものであると理解するのではないかと思いました。
第2に、インサイダー取引の規制方法について、44ページで、重要事実についてバスケット条項を置くことについて、了解をいたしました。この形では、あるいはガイドラインなど他の形を取る場合でも、暗号資産が類型①の暗号資産なのか類型②に当たるのかによって重要事実が何かが変わってくる上、それぞれについて外側にバスケット条項で拾われる内容が出てきます。
この類型の判別が大きな分岐になる可能性があるということのほか、例えば、国内業者が取扱いあるいは取り扱う予定がある暗号資産であれば、DEXやP2Pを含め規制の対象とするという適用範囲も、これは適正と思いますけれども、規制の適用範囲となるかどうかという点についても、買う側について可視性がそれほど高くなくなってしまうということはあるかと思います。
この2つの可視性の低さへの対処として適切なのかというところがありますが、41ページの一番下にある情報提供ということが1つ重要になるかと思いました。情報提供に際して、規制の対象となるかどうかに加え、どの程度の発行数、分散・流動性等があるのか、どういう性格の資産なのかといった情報もあるとよいかと感じたわけですが、とはいえ、今し方、松尾委員から日本暗号資産等取引業協会に依存するということについてのリスク、その主体の中立性のほか、情報を閲覧する可能性など様々なリスクというものがあり得るという御指摘がありましたので、こういった形での情報提供を充実させるという方向性を取るかどうかということも含め、制度設計について様々工夫をいただくということが、このインサイダーの中身についての情報提供については非常に重要かと思いました。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
今日は長めに時間を取っていただいていますけれども、予定の時間まであと25分ほどということで、恐らく5人の委員の方にまだ御発言いただいていないと思いますので、進行に御協力いただけますと幸いです。
では、岩下委員、お願いします。
【岩下委員】
どうもありがとうございます。
最初に、今回から消費者庁にオブザーバーで参加していただくことになりました。前回の私の提案を受け入れていただいて、どうもありがとうございます。これからの議論は、消費者庁にとっても大事な議論が様々繰り広げられると思いますので、ぜひ行政内部でしっかりとした情報共有がなされることを期待します。
資料4についてまずコメントさせていただきたいと思います。皆様がこれまで御発言したとおり、業者規制を特に伝統的な金融機関と暗号資産交換業者とでどのようにすみ分けるかについて、今回の資料の中でかなり具体的な案が出てきたということだと思います。
5ページでは、既存の証券会社、第一種金融商品取引業者について、再登録を前提として、ほぼ全面的な暗号資産への参入を認めるということだと思いますし、他方、20ページでは、銀行や保険会社といった会社について、投資としての保有は何となく容認する方向である。ただし、株式と同じように、まさに募集取扱いというというものは当然できない。ただし、それは子会社なら認める、という整理だと思います。
このように読んでいきますと、従来、暗号資産というのは伝統的金融からは隔離されてきて、資金決済法に基づく暗号資産交換業者がオフチェーンの顧客との取引を行うということがほぼ唯一のルートであったのに対して、これを伝統的金融に段階的に統合していこうという提案のように思います。
ただし、私自身は、暗号資産の構造的リスクを考えれば、こういうような言わば全面的な制度統合というのはもっと慎重に考えたほうがよいのではないかという視点から、幾つか申し述べたいことがあります。
今回の見直しの線引きをよく見ますと、従来、伝統的に言うと、分散型金融などという言い方をして、暗号資産と伝統的な銀・証・保の領域を分けていましたが、今回はその中でも証券会社というのを間に置いて、両者の間の統合を進めようということのように見受けられます。
確かに、値動きのある商品という意味では、暗号資産と株式などの有価証券は共通している部分があります。しかし、証券市場というのは、これは教科書的な話ですが、本来、企業の成長とか社会的価値の創出を資本の力で支えるという理念的な基盤があったはずです。実際に大手の証券会社や証券取引所のIR資料、あるいはテレビの広告などを拝見しても、社会に資する投資であるとか持続的成長への貢献であるとかといった言葉が繰り返し強調されています。
それに対して、暗号資産市場は、値上がりする局面もあるという意味では、投資家にリターンを与えるよい投資という言い方もできるわけですが、結局、匿名性を持ったよく分からないものが、価格変動をするということであって、そこに投機的に値上がり益を狙って投資をするということなので、どうも経済的な性格はこれまでの伝統的な株式などとは根本的に違うもののように思うわけです。
果たして証券業界は、これまでの理念を保ったまま、この分散型の新しい暗号資産というものを自分たちのビジネスの中に統合していけるのだろうかというのは、私自身も証券業界の立場に立ってみると不安ですし、制度改正は非常に大きな転換点を示しているように見えるところであります。
ただし、今回の提案で、すぱっと全部統合しますというふうに書いていないわけです。伝統的金融に暗号資産のリスクが波及しないように、制度上の防御線のようなものを何となく残したまま、限定的に少し関与させていく。特に銀行・保険の領域はそういうことで、非常に微妙なバランスの上に立っているように思います。
技術的制約も多いわけです。銀行・保険、あるいは伝統的な証券会社も別に暗号資産交換業者と同じ技術を持っているわけではないので、そこに制約もありますし、そもそも伝統金融機関側が暗号資産に深くコミットしようとするインセンティブはそれほどないように私は思います。
いわゆるステーブルコインで云々という話も、新しい分野へのチャレンジとして多くの選択肢の中には入ってくるかもしれませんが、伝統的金融のメインの部分を分散型のブロックチェーンの上に載せましょうという話は、私は寡聞にして聞いたことはございませんので、そういう意味では、新しい動きのところに、暗号資産の値上がりによって、そこが目移りしてしまう部分はあるかもしれませんが、伝統的金融というのは、それはこれまでのスタイルというものを基本的に維持しているのだと私は思っています。
そう考えると、今回の事務局提案自体が、本当に完全に統合してよいものか、というためらいを感じるところでもあります。制度として包摂しつつも、業務的には実際には距離を置くという、さじ加減の難しさが感じ取れます。これは何でこうなるかというと、結局、暗号資産を既存の金融市場の中に取り込むことには、構造的な限界があるからだと私は考えています。
この点を理解する上で、社会的な背景に少し触れておきたいと思います。最近、アサヒビールですとかアスクルですとかがいわゆるランサムウエアの被害に遭って、社会全体に大きな不安が広がっています。報道の多くは被害の実態の説明にとどまっておりますが、こうした犯罪の背後には、匿名での身代金受渡しを可能にした暗号資産の仕組みがあることは明らかです。暗号資産はマネー・ローンダリング、身代金の決済であるとか、さらには、先ほど御説明もあったと思いますけれども、テロ資金の調達の手段として、実体経済の裏側で犯罪を支える基盤的な仕組みとして定着してしまっています。このことだけを見れば、暗号資産が社会にもたらした負の影響の大きさは否定しがたいと思います。
一般投資家が国内の暗号資産交換業者を通じてオフチェーンの取引の世界で保有している暗号資産というのは、別にこうした反社会的な行為に直接利用されるわけではありません。しかし、制度的に監督可能なオフチェーン取引は暗号資産市場全体のごく一部にすぎません。膨大な暗号資産がアンホステッド・ウォレット上で流出しており、そこでは誰が保有しどこに送金しているか把握することはできません。しかも、オンチェーンとオフチェーンというのは別に遮断されているわけではなく、利用者の間で日常的に様々な階層において資金の移動が行われています。
このため、監督可能な部分だけを切り取って、きれいな箱庭を整備しようとしますと、結局、匿名で流通する暗号資産の全体構造から切り離すことができません。むしろ制度的に整備された交換業者が、結果として、オンチェーンの資金洗浄や不正な行為の入り口や出口として利用されてしまう潜在的なリスクもあります。これについて、先ほど日本暗号資産等取引業協会のほうから対策を講じていますという御説明があったところですが、残念ながら、現実にはその対策が十分に機能しているとは言い難いと私は考えています。実際には世の中で交換業者を通じた形でも不正な送金が行われていて、後手に回る形でそれが規制されているというのが実態だと私は考えています。
したがって、暗号資産市場の整備をどれほど進めても、犯罪利用を完全に遮断することはできず、市場をクリーンなものにすることは現実的にできないのです。現在の政策は、こういった構造的なリスクを前提としつつ、少なくとも伝統的金融システムがその影響を受けて汚染されないように防御線を引くといいますか、そういった防御的な判断に基づいているというのがこれまでのところだと思いますが、こういうことを考えれば、例えば、銀行は膨大なコンプライアンスコストをかけて、マネロン対策に大変な費用を投じているわけです。伝統金融機関の人たちの立場とすると、暗号資産ビジネスそのものに慎重な姿勢を取っているのは割と当然のことだと思うので、制度としてそういう取組と矛盾する方向に誘導することは適切ではないと私は考えています。今後、規制当局のさじ加減が非常に重要であることを指摘しておきたいと思います。
41ページにインサイダー取引の規制があり、この中でDEXやP2Pといった分散取引環境も規制対象に含めるという大変威勢のよい発言があるわけですが、この方向に実効性を持たせることは不可能です。そもそも取引主体が誰なのか、どこで行われたか不明確であって、実態把握さえ困難でしょうから、暗号資産の価格形成自体もグローバルかつ匿名的に行われる以上、国内法制だけでインサイダー取引や相場操縦などの不公正取引を完全に防ぐことはもともと不可能です。
現実的に国内で対応できるのは、恐らく、国内で発行され、国内で売買されるICOトークンなど発行体が特定できる一部の領域に限られるでしょう。もちろん、こういった対策を講じることには一定の抑止効果があると思いますので、講じること自体に反対ではありません。ただし、暗号資産一般において不公正取引を制度で根絶するということはできないと私は考えています。
したがって、この後、報告書を作成することになると思いますが、そのときに、これによって根絶できますといった誤解を与えないようにしたほうがいい。その意味では、制度の持つ限界を明示的にディスクレーマーとして記載するということが誠実な審議会としての対応ではないかと考えています。
最後に、少しだけサイバーセキュリティについて申し上げたいと思います。もともと暗号資産交換業が抱えるリスクというのは伝統的な金融とは根本的に違います。暗号資産というのは匿名性を前提とする仕組みですから、犯罪取引に容易に利用されるわけです。そうすると、これは攻撃者にとっては非常に恰好の標的です。
一度システムが突破されたら、交換業者が預かっている顧客資産が一気に流出してしまって、実質的に回復不能になります。銀行や証券も確かに最近サイバー攻撃を受けて様々な被害が出ていますが、それはある意味で一部の取引、一部の顧客に対するものとして限定的に発生しているのであって、たまにシステムの停止などはありますが、扱っている資産全部が一気に失われるなどという攻撃は、今のところ銀行・証券は受けておりません。
そういう意味では、暗号資産交換業というのは、従来の金融機関とは比較にならないほど高いサイバーリスクを内包していると思うわけです。しかも、何度も議論に出てきますが、どちらかというと、証券会社のように証券保管振替機構に預けているというよりは、銀行のように自分のところで顧客財産を全て預かっている立場ですので、もし仮に問題があったら、顧客財産の全部が消失してしまうというリスクがありますので、投資家保護の観点から非常に厳格な、銀行・証券と同等以上の厳格な管理が必要とされるところです。
この観点からすると、軽々しくこれは安全だというメッセージを規制当局が発することはあまりよいことではないと私は考えています。前回制度改正でコールドウォレット管理を義務づけるという議論がありました。今日も資料2、資料3、資料4の中でもコールドウォレットという言葉は何度も出てきましたが、これは実は厳密に言葉として定義されていないと私は思っています。
これはもともと、リスク分散、分離を目的としたものでしたが、定義自体が曖昧なので、様々な人が、うちはコールドウォレットです、私もコールドウォレットですと言い出しました。結果として、我が社では全ての取引をコールドウォレットで取引していますから絶対安全ですと言う暗号資産交換業者が現れました。その業者が、DMMビットコインだったのです。
コールドウォレットという言葉を宣伝文句に用いて広告を打っていた交換業者が、攻撃を受けて、最終的には事業廃止に至ってしまったというのは、象徴的な事件であったと思います。言葉が安全性の保証と誤解されて、結果的に非常に大きな被害をもたらしたという意味では、制度設計の難しさというのを如実に表しています。
今回の資料全体として言えることですが、現行制度の中で可能な限り一生懸命何とか整備しましょうという方向性自体はある意味でそうするしかありません。しかし、それだけでは暗号資産の構造的に抱えるリスクを完全に制御することはできません。
制度で制御する領域と制度では制御できない領域を明確に区別したほうがよいと考えます。それをしっかりと透明性を持って説明していくことが不可欠だと思います。制度の限界を正直に示して、そのリスクと責任の所在を明確にする透明性こそが今後の暗号資産という不安定な領域における健全な政策運営の礎になるのではないかと考えます。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、松尾健一委員、お願いします。
【松尾(健)委員】
ありがとうございます。私も資料4について幾つか申し上げます。
まず、銀行・保険会社による暗号資産の取扱いについてです。今、岩下委員からは伝統的な金融商品とは違うという御指摘もありましたが、金商法は既にデリバティブ取引について規制対象としておりまして、デリバティブの中には金融資産を原資産としないものもあり、専らリスク分散、リスクコントロールの観点から取引をするというものも含まれております。ここで銀行や保険会社というのがポートフォリオのリスクコントロールの観点から、どこまでニーズがあるか分かりませんが、暗号資産の保有を望むというのであれば、それを禁止するということはないのではないかと思います。
一方、仲介のほうですが、こちらについては、松井委員からの御指摘にありましたけれども、銀行ですとか、銀行の関連会社等が扱うということになると、消費者がそれを安全だと誤認するというリスクはなお残る。本体が仲介するのでなくてもリスクは残るということはあるかと思います。
一方で、自主規制機関が脆弱であることを考えますと、こういったある程度資力のある業者が、銀行・保険会社の子会社として仲介に入ってくるのであれば、自主規制機関の基盤の強化につながるという意味では消費者の保護につながる点もあるので、その辺りのバランスかなと感じました。それが1点目です。
それから、無登録業者のところです。これについては、ぜひ犯則調査の権限を証券取引等監視委員会に与えるですとかそういったところも含めて、御提案の方向で進めていただきたいと思います。特に民事効については、なかなか説明が難しい部分もあるかとは思いますけれども、ぜひ実現していただきたいと考えております。
そのこととの関係で、29ページ、海外の無登録業者をどう扱うかというところが少し難しい問題として残っています。そして、勧誘することなくつなぐ行為自体は株式等についても規制対象になっていないということですけれども、例えば、暗号資産ですと、海外で取引されているところにつなぐためのユーザーインターフェースのようなアプリを提供するというような行為は勧誘には当たらないのか、当たらないとしても、これまでにはなかった暗号資産特有のものとして独自の規制の対象にする必要があるのではないかということを感じました。
これはDEXのところでユーザーインターフェースの提供者、提供行為について何か行為規制を課すべきではないかという問題提起をされているところにも通ずるのですが、その辺りは少し、例えば、そういったアプリの提供を国内の業者がやっているのであれば、そこに規制を課すことで間接的に止められないかというようなことを考えました。
最後に、インサイダー取引規制です。おおむね方向性については賛成であります。1点、少し細かいのですけれども、IEOのところです。第2回で御説明があった際に、発行予定の暗号資産を一旦全部発行してしまって、ある者に全て割り当てる、その者が徐々に市場に出していくというようなケースもあるというお話があったと記憶しております。
そうすると、全てを一旦引き受けた、取得した人が暗号資産を市場に出していくという行為も、発行に準じて扱う必要があるのではないかと思います。売出しは株式の場合は重要事実にはならないわけですが、どうもIEOに特有の、暗号資産にそういう現象があるのだとしますと、発行に準じたものとしてインサイダー取引の重要事実との関係でも捉える必要があるのではないかと感じました。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、河村委員、お願いします。
【河村委員】
河村です。私もインサイダー取引規制のところに絞って発言をしたいと思います。
私自身は、不正行為の一般的な規定とガイドラインの組合せによって、ガイドラインで処罰範囲の明確化と暗号資産市場の特徴や変化に迅速に対応していくということを確保しつつ、形式犯ではなくて実質的に悪質な行為を刑事罰の対象にしていく。課徴金については、もしかしたら形式犯的な要件のほうで対応していくという考え方もあるかと思っているわけですが。私個人の考え方としては、そうした法制を指向するものですが、恐らく今回の御提案というのは、その辺りのことは理解しつつも、やはり日本の法制では難しいということかと思いながら聞いておりました。
その上で、必ずしも海外と同じような法制にする必要はないということも理解しつつですが、43ページの欧州のインサイダー取引規制との比較という観点から少し発言をさせていただければと思います。
こちらで、内部情報の定義のところで、「直接的または間接的に、単数又は複数の発行者、募集者若しくは上場申請者」というところと、「又は単数もしくは複数の暗号資産」ということになっていて、「又は」でそこが区切られていますので、要するに、発行者等に紐づかないものであっても、暗号資産そのものに関連するのであれば、内部情報になり得る定め方になっているかと思います。少し不勉強なので、私が間違った理解をしているのかもしれませんが。
そうだとすると、例えば、公表されれば、価格に重大な、大きな影響を及ぼすような暗号資産の機能の変化であったり、暗号資産の数の増減、暗号資産の取引状況、取引情報であったり、有吉委員が言っておられたような暗号資産の利用状況、あるいは、暗号資産に関する国の政策などもここで言う内部情報に含まれる可能性というものがあるのかなと思います。仮にそうだとすると、44ページで今回御提案いただいている【1】、【2】、【3】の重要事実の中に今言ったようなものが含まれるのかどうかというのが気になっているところです。
暗号資産の取引情報のうち、大口取引に関してはこちらの提案の中に入っているわけですが、先ほど例えばということで申し上げた機能の変化であったり、数の増減であったり、利用状況であったり、国の政策であったり、そうしたものが入ってくるのかどうかというところが1つ気になりました。
それから、また43ページに戻っていただいて、対象者のところです。③のところで「雇用、職務若しくは任務の遂行を通じて」というのと「又は分散型台帳技術若しくはこれに類する技術における役割」というところがありまして、もう一つ、④のところで「犯罪行為に関与していること」というのがあります。このうちまず③の「分散型台帳技術若しくはこれに類する技術における役割」というところに関して言うと、これも私が間違った理解をしているかもしれませんが、もしこれの中に、例えば、マイナーですとかバリデータですとかが暗号資産の取引情報というのを知って当該取引を承認する前に自分の取引を行うという、いわゆるフロントランニングのようなものも含まれてくるのかなと思います。
もしそうだとすると、必ずしもマイナーやバリデータというのは業者であるとは限らないわけですから、業者規制を通じてフロントランニング、先ほど申し上げたようなものを規制できないのだとすると、ここで非常に意味を持ってくることになるかと思いました。
そうだとすると、今度、48ページのところの御提案についてですが、今言ったような行為といいますか規制対象者が、ここで言う規制対象者(案)の中に入ってくるのかどうかということですとか、「犯罪行為を通じて」というのもありましたが、こちらの案ですと、「上記の者が職務等を通じて」と書いてあり、この「等」の中に例えば犯罪行為のようなものも含まれるのかどうかですとか、その辺りも少し比較法の中で気になったところで、同じにする必要はないと思いますが、違うのであれば、なぜ違うのかというところについて何らか説明といいますか、理由があってよいかと思った次第です。
簡単ですけれども、私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
既に予定の時間を過ぎておりますが、複数の委員の方からの御発言がまだですので、お願いしたいと思います。
伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】
ありがとうございます。私からは1点だけ御質問とコメントをさせていただきます。
その前提として、総論ですが、事務局資料について大きく異論はございません。現状の資金決済法の規制からは随分厳しくなるというような印象を持ちますが、暗号資産を金融商品と位置づける上で必要なことと理解しております。そうはいっても、前回まで多くの委員から御発言がありましたが、厳しい規制をしたからといって、暗号資産への積極的な投資に国のお墨つきを与えたような誤ったメッセージにならないようにというのは注意しなければならないことを重ねて申し上げておきたいと思います。
これを踏まえて、1点だけ質問と意見でございます。資料4の21ページ、銀行の保険会社による投資目的での暗号資産の保有についてです。先ほどバーゼルについて御質問と御回答がございましたが、資料4の中で、十分なリスク管理・態勢整備等が行われていることを前提として分散投資の対象として認めるとなっていると思いますが、先ほどの銀行に関するバーゼル以外で、どのような方式でどのようなレベル感で態勢整備を求めるかというイメージがございましたら、教えていただきたいと思います。
それに関する意見です。先ほど、今回の改正によって暗号資産に投資先として国がお墨つきを与えたというような誤解を招いてはいけないと申し上げましたが、そうはいっても、今回、金商法で位置づけられたことによって、暗号資産を分散投資先にしたいという機関投資家は現れてくるだろうと想定されることでございます。
そう考えたときに、銀行や保険会社のような、経営健全性や公共性がかなり求められる業界の分散投資先として暗号資産を認めること、それをどのような形でどの程度の制約を課して認めるかというのは、国の暗号資産に対する投資商品としての位置づけを示す1つのメッセージになり得るのではないかと考えています。
そのため、ここでの議論というのは、金商法の改正ということで銀行・保険会社を対象とした議論になっておりますが、他の公共性を有する機関投資家、例えば、GPIFのような機関が今後暗号資産投資に踏み出すのか、その可否、是非といった議論にも波及し得ることかと考えています。そのため、銀行や保険会社に関する制度設計に際しましては、他の機関投資家へのメッセージになり得る、横展開があり得るということをしっかり意識して検討いただければと思う次第です。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。御質問がありました、お願いします。
【横山信用制度参事官】
ありがとうございます。
銀行・保険会社が暗号資産を保有する際のリスク管理・態勢整備のイメージということで御指摘がありました。先ほどからございますように、バーゼル規制の中でのリスク・ウェイトが1つの大きな要素であると思っていますが、その他リスク管理・態勢整備等、具体的なものを現在検討中でございますので、具体化するのはこれからということになります。特に中小の金融機関が暗号資産を過大に保有することはあまり適切ではないと思っておりますので、銀行のサイズ等も勘案しながら、具体的に態勢整備等の基準を考えていくことになろうかと思っております。
【森下座長】
ありがとうございます。それでは、佐古委員、お願いします。
【佐古委員】
私からは1点だけコメントをさせていただければと思います。
今回の資料は、利用者保護に向けて、できることを様々な方面からされている資料だと私は理解しております。私の勉強不足もあると思いますが、この資料からは、どういう人を守ろうとしているのか、守ろうとされている人の像があまり見えてきません。そのため、具体的にしっかりと守られているかどうかを個人で判断するのが難しいと思っております。
実際にどういう人が被害を受けているのか、困っているのかという点で、先日の10月10日のトランプ米大統領の発言で、うちの学生が「やられた」とうめき声をあげているのは聞いてはいますが、例えば、前回ワーキング・グループで発言の上がった、消費者センターで、実際に本当に困られている人、私たちが保護しなければいけない人たちの声を聞いて、今回の施策が、これから、将来そのような人たちを生まないように、どういう不正の発見ができて、どういう対策ができているのかを考えていきたいと思いました。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
これで委員の皆様から一通り御発言をいただいたかと思っております。既に予定の時間も超過しておりますが、オブザーバーのほうからもし御発言があれば、簡潔にお受けしたいと思います。
それでは、日本ブロックチェーン協会、お願いします。
【日本ブロックチェーン協会】
日本ブロックチェーン協会代表理事の加納です。
資料4のほうはおおむね賛成で、今回、資料2のサイバーセキュリティに関してコメントしたいと思います。なお、我々監督される立場でありながら意見をすることについてはお許しいただきたいと思っております。
まず、クリプトのサイバーアタックというのは大きく2つに類型されていると考えていまして、フィッシングと不正なアドレスに改ざんをするということです。同時に、セキュリティですが、大きくこれも2つあって、コモディティ化された一般的な金融のセキュリティとブロックチェーン特有のセキュリティに分かれています。
まず、共助の概念でサイバーセキュリティを防ぐというのには賛成しております。ただし、一方、共助というのが本当に共助なのか。例えば、JPCrypto-ISACですけれども、大手2社であるビットフライヤー、コインチェック社が入っていない。これはまさにセコムとALSOKが入っていないような業界団体になっていて、共助といいながら、一方的に機密情報を取得されるというリスクを恐れているということが考えられます。
なので、あくまでもこういったセキュリティ、最重要機密事項が強制的に競合他社に流れるような仕組みというものに関しては反対します。なぜ反対するかというと、そのような社会主義的な組織、社会というものは、技術の発展はありませんし、セキュリティエンジニア、非常に採用が難しくて、こういったセキュリティエンジニアの努力をむげにしてセキュリティ対策は発展しません。また、投資をする意味もありません。
なので、あくまでも共助の部分というのを明確にしていただいて、一般的なコモディティ化されたセキュリティを共有するという部分に関しては賛成です。ただ、最重要機密情報の共有を強制されるような仕組みというのには反対をいたします。特に警察組織のJC3や金融ISACといったより中立・公正である組織と連携をして、国家単位でクリプトのサイバーセキュリティを向上するということが求められていると考えております。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
ほかの方はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ほかに御発言もないようですので、以上で討議を終了いたします。活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。本日も延長してしまいまして、申し訳ありませんでした。
本日いただきました御説明や御意見を踏まえ、今後、さらに議論を深めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。次回は、これまでの議論の状況をまとめた資料も御用意できればと考えております。
また、次回のワーキング・グループの日時につきましては、皆様の御都合を踏まえた上で、後日、事務局より御案内させていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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