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金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」(第6回)議事録
日時:
令和7年11月26日(水曜)10時00分~12時00分場所:
中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室 ※オンライン併用
【森下座長】
それでは、皆様お集まりですので、ただいまより、暗号資産制度に関するワーキング・グループの第6回会合を開催いたしたいと思います。皆様、御多忙のところお集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。本日、私は事情でオンラインから参加とさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、当ワーキング・グループでの議論を取りまとめた、暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(案)について御議論いただきたいと思います。
その前に、初めに、日本暗号資産等取引業協会より、セキュリティ強化に向けた取組みについて御説明をいただきます。また、引き続きまして、日本暗号資産等取引業協会より、日本ブロックチェーン協会・日本暗号資産ビジネス協会との連名で、今回の規制見直し等に関する暗号資産業界の取組み姿勢について御説明いただきます。その後、御説明いただいた内容について、御質問、御意見を頂戴するお時間を設けております。
続きまして、事務局より報告(案)について御説明をいただいた後、討議を行いたいと思います。
それでは初めに、日本暗号資産等取引業協会より御説明をお願いいたします。
【日本暗号資産等取引業協会】
それでは、日本暗号資産等取引業協会より説明をさせていただきます。
初めに、今、森下座長からも御紹介がありましたけれども、2つの点に関して説明をさせていただきます。
まず1点目、セキュリティ強化に向けた取組みに関しまして説明させていただきます。
資料1の2ページを御覧ください。このセキュリティに関しましては、本審議会でも様々な意見を頂戴いたしました。まさに今回の指摘でもございましたけれども、常にハッカー側が進化をしているという状況で、常に我々暗号資産業界としても、恒常的なセキュリティ対策が求められると考えております。
そういった中で、3ページ目です。こちらは今回の審議会でも、委員の方々、また金融庁からも御指摘がありましたけれども、3つの観点が重要であると考えております。自助・共助・公助の3つの観点で、業界を挙げたセキュリティ水準を向上させていくということ、これが重要だと考えております。
まず自助でございます。こちらに関しましては、暗号資産交換業者がセキュリティ水準を高度化させていくということ、これがまず大前提として重要となってまいります。
これに加える形で共助です。この共助に関しましては、暗号資産業界として様々連携をしていきまして、まず日本暗号資産等取引業協会として、認定自主規制団体として自主規制規則、ガイドライン等の見直しをしていくということ。また、現在設置しておりますセキュリティ委員会に関しまして、外部有識者の知見に基づく運営を中心にするなど、体制を変更していきまして、さらに重要な位置付けとしていくということ。また、セキュリティ関連団体と連携していき、さらに情報セキュリティに関する水準を高めていくということ。これが重要であると考えております。
また、これに加える形で、国、政府レベル、当局とも連携をしていきながら、公助によりセキュリティ水準を高度化していくということ。この3つが重要であると考えております。
4ページです。特に情報共有機関という中で、JPCrypto-ISACと連携していくということが重要な点となってくると考えております。JPCrypto-ISACに関しましては、海外の最新のセキュリティ対策情報を共有いただくですとか、サイバー犯罪、ハッカーの情報の共有をいただくですとか、また暗号資産交換業者に加えて、ウォレット事業者、チェーン解析事業者、セキュリティ事業者、国内外捜査関係者による意見交換会が開催されておりますので、JPCrypto-ISACを中心とした様々な情報共有機関、ここに暗号資産交換業者が参画するように、当協会として推進をしてまいりたいと考えております。
また、JPCrypto-ISAC事務局に確認いたしましたところ、これに加盟する際に、個別の会員のセキュリティ情報が事務局や他の会員へ開示が強制されることはないということを確認しておりますので、その点も共有させていただきます。
続きまして、もう一つの資料、資料2に移らせていただきます。こちらは暗号資産業界の取組み姿勢に関しまして、本日、このワーキング・グループにも参加している3団体、日本暗号資産等取引業協会に加えまして、日本ブロックチェーン協会、また日本暗号資産ビジネス協会の3団体で、改めまして暗号資産業界として、これからしっかりとした取組みをしていこうということを意思表明させていただく内容となっております。
2ページです。今回の金融審議会におきましても、様々な御意見、御指摘をいただきました。ここに記載の5つの点、これが重点対応事項として特に重要であると考えております。それぞれに関しまして、次のページから詳しく説明させていただきます。
3ページ、まず1点目、利用者保護の徹底でございます。やはり暗号資産に関しましては、価格変動が大きいという点に加え、暗号資産特有の様々な問題点があると考えております。そういった中で、利用者に対してこういったリスクが存在するということをしっかりと説明していくということ、また利用者が余裕資金の範囲内で取引を行っていくということ、これが重要であると考えております。
そういった観点から、今後業界といたしまして、J-FLECの活動に他業態を参考に貢献するとともに、暗号資産に関して正しい情報を利用者へ提供していくということ、これに貢献してまいりたいと考えております。
また、暗号資産交換業者により、顧客に対して適切にリスク説明するとともに、顧客適合性の運用を徹底的に強化していくということ、これを対応させていただきます。
続きまして4ページ、暗号資産審査です。暗号審査に関しましては、第三者による中立的な暗号資産審査委員会設置いたしまして、暗号資産審査の独立性をさらに高めていきたいと考えております。
5ページ、不公正取引の審査強化に関する点です。不公正取引に関しましては、今後、暗号資産の規制法が資金決済法から金商法に変わっていくということを考えた場合に、これまで以上に抜本的に体制強化していく必要があると考えております。不公正取引に関しましては、具体的には日本暗号資産等取引業協会に売買審査担当部門を設置いたしまして、会員企業から情報収集後に、日本暗号資産等取引業協会でしっかりと公正取引の監視をしていきたいと考えております。
また、参考までに、その取引審査をするに当たって、閾値等に関しましてはJPX-Rとも連携を取りながら、JPX-Rさんの取組みを参考にしていきながら、適切な閾値を設定していきたいと考えております。
また、不公正取引を検知した場合は、証券取引等監視委員会とも連携をしていき、不公正取引の監視を強化していくということ、この対応をさせていただきます。
6ページ、暗号資産流出リスクに備えた対応についてです。こちらはまず、資料1で説明させていただいたように、セキュリティ強化をしていくということが一番大事だと考えております。
それをした上で、さらなる対応として、責任準備金の積立てをしていくということ。この責任準備金の内容に関しましては、これから当局とも連携していきながら、どういった制度にしていくべきかということを考えていきたいと思っておりますが、責任準備金の積立てにも対応していくということを表明させていただきます。
最後、7ページです。こういったことを実現していくに当たって、改めまして、この認定自主規制団体としての更なる体制強化、これが重要であると考えております。今後、認定自主規制団体のガバナンス強化をしていくため、必要な人員を確保していく。また、そのために会費収入を拡充する等を含めまして、日本暗号資産等取引業協会として財務基盤を強化していきまして、人員の質及び量、これを適切に確保していく。その覚悟を持って、今申し上げたような点に対応してまいりたいと考えております。
以上、当方から説明をさせていただきます。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、日本暗号資産等取引業協会の御説明について、御質問、御意見のある委員におかれましては御発言をいただきたいと思います。この後、報告書(案)の討議もございますので、質疑等の時間は10分程度を目安に考えております。
御発言を希望する際には、対面で参加されている方におかれましては、机上の名札を縦にしていただき、オンラインで参加されている方におかれましては、オンライン会議システムのチャット欄にて、全員宛てに発言がある旨を御入力ください。事務局において、名札が縦になったおおむねの順番をチャットに入力し、それを確認して私のほうが指名いたします。私がオンラインで参加している関係上、御発言の順番について前後がある可能性がございますので、御了承いただきますと幸いです。
それでは、河村委員、お願いします。
【河村委員】
ありがとうございます。河村でございます。
資料1の3ページで、「将来的には国際的なセキュリティ・コミュニティに参加できるような人材を作り出し」と書いてあるところ、私も大変重要な課題かと思っております。大学教育者としての視点からの質問になってしまいますが、例えば教育機関と連携をして講師を派遣するであったり、オンデマンドだとかオンライン講座を提供するであったり、何かそういう連携も考えておられるのかというのが1点目の質問になります。
それから続きまして、資料2の5ページの不公正取引の審査強化に関する質問になります。こちらは、例えばですけれども、インサイダー取引を事前に予防する仕組みとして、現在の日本証券業協会が事業主体となって運営しているJ-IRISSのような仕組み、規制対象者の情報を登録して照合して、当該者が取引するようなときに、アラームを出していくような仕組み、そういったところまで考えておられるのかというところについて教えていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【森下座長】
お願いします。
【日本暗号資産等取引業協会】
回答させていただきます。
まず、初めに御指摘いただきました、教育と連携していくかということ、現段階で具体的なことはまだ検討しておりませんが、そういった点も柔軟に対応してまいりたいと考えております。
また2番目に御指摘いただきました点、これは資料2の5ページ、下のほうの業界としての対応の3ポツ目に、1個記載させていただいておりますが、仮にその特定の暗号資産交換業者により不公正取引が確認された顧客に関しまして、ほかの暗号資産交換業者においても不公正取引が行われていないかチェックをするということ、こういう記載がございまして、まさにそういった点で対応してまいりたいと考えておりますので、今後もほかの業者を参考にしながら、適切な対応をしていきたいと考えております。
【河村委員】
ありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、永沢委員、お願いします。
【永沢委員】
発言の機会をいただきましてありがとうございます。私は、利用者保護の観点から4点、お願いに近いものになりますけど、発言させていただきます。
1点目です。既に設置されているのかもしれませんが、一般的な金融商品の紛争に関しては、金融ADR制度があります。今後、金融商品取引法の規制下に入るわけですが、御協会では、金融ADRの設置の御予定があるかをお伺いしたいと思います。暗号資産に関する紛争に関しては、消費者センターでは対応いたしかねるものが多く、御協会で苦情相談対応を強化をいただく必要があると思います。
2点目です。私は、暗号資産に関して教育という言葉は使いたくないと思っており、啓発であろうと思っております。資料3の報告書(案)の30ページにおいて保護法益については「国内の交換業者の提供する取引の場の公正性・健全性に対する利用者の信頼を確保すること」ということで本ワーキング・グループでは合意をしているわけで、ここから、国内の交換業者で取引をすることが大前提であるということを広く、国民に周知徹底いただく活動をお願いしたいと思っております。日本暗号資産等取引業協会にとってもメリットになることと思います。
J-FLECのほうでも暗号資産の仕組みとリスクについて周知に協力する方向性でご用意いただいていると聞いておりますが、暗号資産は、国民の健全な資産形成を妨げるという言い方をしたら大変申し訳ないのですが、どう教えていくかをJ-FLECともよく協議いただきたいと思います。
3点目です。過去のワーキング・グループでも申し上げましたが、私は今、暗号資産の交換業者の広告において、一部問題があるものがあるとう認識しております。事務局で取りまとめていただいた報告書(案)では、事業者に対しきちんとリスク説明を行うことや、顧客適合性というところをしっかり義務付けていただくということを確認しております。広告のあり方についても、きちんと規制いただけると書いてありましたが、改めて強くお願いしたいところです。
最後になります。私は不用品を交換するCtoCのプラットフォームを利用していますが、そのサイト上で暗号資産をプレゼントというようなことがよく行われております。私は国民が広く暗号資産口座を開いた背景には、こういう働きかけもあったからではないかと推察しているところですが、このように国民が簡単に暗号資産を取得することが放置されてよいのかどうか、私は常々疑問に思っております。暗号資産を金融商品取引法に位置付けられ、顧客適合性が云々という話をさせていただいている一方で、このようにポイントと同様の形で、簡単に暗号資産の口座を開くような道筋があるということについては、業界のほうでよく考え直していただきたいと思います。
私から以上4つ、暗号資産の業界に要望させていただきました。よろしくお願いいたします。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、こちらは御意見ということでよろしいでしょうか。
それでは、次に、有吉委員、お願いします。
【有吉委員】
有吉でございます。御報告どうもありがとうございました。私からは、若干抽象的な内容になって恐縮ですが、1点だけコメントさせていただきたいと思います。
日本において暗号資産交換業界、あるいは暗号資産の取引について、適正化を図って発展させていくには、業者間での協調や協働も非常に重要であると思います。もちろん業者の間で仲よしこよしでやってくださいということを申し上げるつもりは、全くないわけでありますが、セキュリティに関する資料1でも記述がございましたとおり、共助という発想はとても重要だと思います。
そういった中では、このセキュリティの分野に必ずしも限らないと思いますが、適切な範囲で情報であるとか、知見であるとか、こういったことを業者の間でしっかり共有することが非常に重要であると思います。くれぐれも個々の業者が過度に利己的になってしまったりですとか、それから本日も3つの団体の方が御参加いただいており、複数の重複するような業界団体、組織が存在しているという状況であると思いますが、そういった中で主導権争いのようなことになったりしないよう、気をつけていただきたいと思います。
本日の資料2が3団体共同で御提出いただいていることは、協調を進めていくということの一つの表れかと、私は認めていたところでありますが、ぜひそういった発想で、引き続き取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、大槻委員、お願いします。
【大槻委員】
ありがとうございます。
私も大きくは2点あります。後半部分はやや大きな話ですが、やや細かい話として教えていただきたい点として、まず1点目が、資料2の6ページの流出に備えた対応というところについての、今後の業界としての対応という中で、ここの責任準備金について。自助のところは分かるのですが、共助・公助の精神でやっていくというところについて、もう少し補足していただければというのが1点です。
基本的には、セキュリティのところは協会としてやっていかれるところはあると思いますが、それに対する準備のところといいますか、対応策としての、いざというときの支払いについては、あくまで自助なのか、それとも協会として何らかのそういったパッケージをつくるのか、あるいは、保険を使うのか、そのあたりを整理していただければというのが1点です。もう一点、利用者保護のところの適合性原則についての確認です。これは今から新たに強化をするという中で、既に口座を持っている方々が適合性に合致しているのかどうか、合致していない場合はどうされていくのかというところについて、今の段階でのお考えというのを教えてください。
そして全体感としては、ワーキング・グループの途中でもお伺いをした、キャパシティーのところでございます。これからやることというのは相当重たく、かつ多いと認識をする中で、ただ今、有吉委員からもありましたが、3団体一体となってもまだまだキャパシティーが足りないのではないかという印象を持ちますが、どういうふうに体制を確立されていくのか、優先順位も含めて教えてください。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、お願いできますでしょうか。
【日本暗号資産等取引業協会】
ただ今、3つの点を御指摘いただきました。
初めに、資料2の6ページ、責任準備金の件についてです。こちらはまだ詳細の内容に関しましては、これから当局と連携していきながら詰めていきたいと考えておりますが、基本的には、それぞれの会社がそれぞれの状況に応じて責任準備金を積み立てていく、または何かあったときのための保険等を適用していくということかと考えてはおります。
続きまして、顧客適合性についてです。こちらに関しては、取引開始の段階だけではなく、常に取引状況によっての見直しも行ってまいります。正確に言うと、現状で対応している会社、しっかり対応している会社もあれば、まだしっかり対応できていない会社もあるのではないかと考えております。そういう観点では、しっかりと、取引開始だけではなく、運用、取引状況に応じた対応をしていくということ、これによって対策が図れると考えております。
また、3点目に御指摘いただきました、実際にやることは多くあるところ、本当にやっていけるのかという観点、この点に関しましては、当然のことながら我々としては対応していくということを考えておりまして、資料2の7ページに記載させていただきましたが、今後こういった体制を取っていくに当たりまして、現行で当協会、第4回で説明させていただいたように、大体今、年間4億円のコスト、会費でやっておりますが、これに関してしっかりと引き上げていって、会員等から一部負担もいただきまして、会費の拡充を行って、しっかりとした対応を考えていきたいと考えております。
【大槻委員】
ありがとうございます。1点だけ、更問で、適合性については、今しっかりやっていないところについては、これから改めてやっていきます。その中で、もし合致しない場合というのはどうされるというお答えだったのでしょうか。
【日本暗号資産等取引業協会】
この点に関しては、今後協会からのモニタリング監査等ということも、会員に対して行っていきたいと考えておりますので、そういう中でしっかりと適合性を取るために、会員企業に対して体制強化を依頼していくということになっていくのではないかと考えております。
【大槻委員】
分かりました。なかなか今々の時点で分からないところも多いのだろうとは思いますけれども、適合性の原則をしっかりと守るということを決めるのであれば、現時点でそれに満たない投資家についてどうしていくのかということも、協会としてディスカッションを深めていただければと思います。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、松尾真一郎委員からお願いします。
【松尾(真)委員】
松尾真一郎です。セキュリティのことは私が大分コメントしたので、最後にコメントさせてください。質問ではなくコメントです。2点ほどあります。
まずは、方向感としてはいい方向になってきているのだろうと思います。その上で、大槻委員のコメントにもありましたように、これが回るのだろうか、重過ぎないだろうかという話がありましたが、私がセキュリティのプレゼンのときに説明したように、ISMSの考え方というのは、現場で回らないとセキュリティは逆に弱くなるということですので、現場で回るようなセキュリティのあり方というのを皆で考えるということが重要だと思いますので、日本暗号資産等取引業協会、あるいはJPCrypto-ISACとも一緒に考えるかもしれませんが、そういう方向で目指していっていただきたいと思います。
また、これも以前申し上げましたが、暗号資産業界以外にセキュリティエキスパートが多くいて、その人たちのお知恵を借りなければいけないということが基本的には大事だと思いますので、そういう人たちとうまく連携する、あるいはそういう人たちの信頼を得て、お互い助けていただく関係もつくるということをお願いしたいと思います。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、この部分については、今のところほかに御発言の希望がないようですので、次に報告書(案)に移りたいと思います。それでは報告書(案)につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【齊藤市場課長】
それでは、お手元の資料3に従いまして御説明させていただきます。暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(案)でございます。
1ページを御覧ください。「はじめに」でございます。
1.暗号資産に係るこれまでの法制度の整備についてということで、これまでの法整備の経緯を記載しております。
2016年に資金決済法等が改正され、世界に先駆けて暗号資産に関する規制が導入された。そして暗号資産と法定通貨の交換等を行う業者について登録制等が導入されたということ。また、14行目でございますが、2019年に資金決済法及び金商法等の改正が行われ、利用者の暗号資産について、原則としてコールドウォレット等で管理すること、また、暗号資産のデリバティブ取引に係る規制を整備すること、不公正取引規制等の整備が行われております。
24行目でございますが、さらに2022年には犯収法の改正が行われて、トラベルルール等が導入されております。
脚注3を御覧ください。この報告書(案)での用語の使い方でございますが、基本的に「投資者」ではなくて「利用者」という記載をしておりまして、「個人投資家」、「一般投資家」等の固有名詞的に使われている用語に限定して、「投資家」の用語を用いることとしております。
2ページ目です。30行目でございますが、直近では、本年6月に資金決済法を改正し、新たな仲介業を創設するなどの規定の整備が行われております。
2.暗号資産の投資対象化の進展を踏まえた今般の見直しについてということで、経緯を書いております。
39行目から、金融庁は、本年4月10日にディスカッション・ペーパーを公表しております。その中で、利用者保護のためのさらなる環境整備を行う必要性を指摘しております。そのディスカッション・ペーパーに対して寄せられた御意見でもおおむね賛同があったところでございます。
このような背景を踏まえ、本年6月25日に金融審議会総会において金融担当大臣から諮問がなされ、これを受けて暗号資産制度に関するワーキング・グループが設置され、審議を重ねてきたところでございます。
3ページです。Ⅱ暗号資産の取引の現状と課題、1.暗号資産の取引の現状でございます。この項目で、投資対象化が進んでいること、一般の利用者の暗号資産の保有が増加していることを記載しております。
64行目でございますが、足下の暗号資産を巡る状況を見ると、国内の交換業者における口座開設数は延べ1,300万口座を超え、利用者預託金残高は5兆円以上に達していると。また、暗号資産保有者の約7割が年収700万円未満の所得層であり、個人口座の預かり資産額は8割以上が10万円未満であるなど、個人の利用者においても暗号資産の保有が身近なものとなってきている。こうした中で、以下に記載のように国内外の暗号資産の投資対象化が進展しております。
1つ目のポツから、投資経験者のうち暗号資産の保有者の割合は、FX取引や社債等よりも高くなっており、また、利用者の取引動機のほとんどは長期的な値上がりを期待したものとなっています。
国際的にも、暗号資産の価格に連動するETF等が上場されており、資金流入が続いています。
米国では、長期投資を行う年金基金を含め、ビットコインETF等に投資する機関投資家が増加していることが指摘されています。
国内機関投資家においても、暗号資産への投資意欲が高まっているとの調査結果が公表されています。
一方で、金融庁の金融サービス利用者相談室においては、月平均で350件以上の暗号資産に関する苦情相談等が寄せられている状況でございます。
脚注12を御覧いただければと思いますが、「投資」の用語について、この報告の中では、「一般に、利益を得る目的で資本を投下すること」の意味として用いることとしております。
4ページです。利用者相談室への苦情相談が多数寄せられているところでございますけれども、こうしたトラブルについては、逆説的ではありますが、一般の個人の間において、暗号資産が投資対象として認識される状況が進展しているために生じているものと考えられます。
2.喫緊の課題でございます。利用者保護と取引環境整備の観点から、さらなる対応を行っていくべきであるとしまして、5点まとめております。
まず、①情報提供の充実でございます。利用者が暗号資産の機能や価値について正しい情報に基づき合理的に取引判断ができるよう、暗号資産に関する情報提供を強化する必要がある。
②適切な取引の確保・無登録業者への対応です。より厳格な規制により無登録業者による違法な勧誘等を抑止する必要がある。また、暗号資産は相当にボラティリティが高いこと等を踏まえ、個人のリスク許容度や経済的な余力に見合った取引が行われるようにする必要がある。
5ページ、③投資運用等に係る不適切行為への対応としまして、暗号資産の投資運用行為(アセットマネジメント)やアドバイス行為についても適正な運営を確保する必要がある。
④価格形成・取引の公正性の確保としまして、諸外国の状況等を踏まえますと、我が国においてもインサイダー取引について対応強化の必要性が高まっている。
⑤セキュリティの確保でございます。近年の事案ではソーシャルエンジニアリングが用いられるなど、手口が巧妙化している。一般事業者が単体で対処できる水準ではなく、政府による公助に加え、業界横断的な共助が不可欠となっている。この際、交換業者が利用者資産の流出リスクに関する適切なマネジメントと技術の進展等に応じた継続的見直しを行っていく必要があり、最低限度のサイバーセキュリティリスクの管理態勢の確保だけではなく、各社がセキュリティの高度化に向けて切磋琢磨していくことを求めていくことが不可欠であるとしております。
6ページから、Ⅲ求められる対応でございます。
1.規制見直しに当たっての考え方、(1)規制見直しの趣旨でございます。今般の規制見直しでございますが、暗号資産の投資対象化の進展や、詐欺的な投資勧誘等が生じていることを踏まえ、暗号資産の特性に応じた金融商品としての規制を整備することにより、利用者保護の充実を図るものでございます。規制を見直すことは暗号資産投資についてお墨付きを与えるものではないことを明確にしつつ、利用者が暗号資産のリスクや商品性を十分に理解し、リスクを許容できる範囲で合理的な判断に基づく取引を行うことはあり得るとの前提で、健全な取引環境を整備すべきである。
また、デジタルエコノミーの健全な発展も重要であり、我が国における健全なイノベーションの可能性も見据え、それを後押ししていくことも大切であると記載しております。
(2)規制見直しに当たっての留意点でございます。①利用者保護を通じた健全なイノベーション、②暗号資産がグローバルに取引されることに伴う国際性、③暗号資産に関連する技術やビジネスは変化が速い分野であることを踏まえた規制の柔軟性に留意すべきである。また、暗号資産は決済目的での利用もあり得ることを踏まえ、そうした利用が制限されることのないよう留意も必要である。
また、こうした課題に対応するためには、規制の強化によって利用者保護を図る必要があるものの、それによって過重な事業者負担が生じ、結果として利用者の利便性が損なわれることのないよう配慮すべきである。
その後の「なお」でございますけれども、暗号資産の実情に関する記載を加えております。暗号資産の実情を十分に念頭に置く必要がある。暗号資産は、既存の金融の枠組みを回避するために生じた成り立ちがある。ブロックチェーンで取引は記録されるものの、匿名性が維持され、国境を越えてリアルタイムで移転が行われる。また、グローバルに不正資金等の移転・退避手段としての側面があることも指摘される。国内の一般の個人による取引は、交換業者の提供するオフチェーンでの取引が中心であるということで、今回の規制の見直しは、交換業者での取引を主眼に置くものでありますけれども、それはグローバルに取引される暗号資産では、取引全体の一部にすぎない。例えば、国内の交換業者での利用者預託金残高は5兆円以上ですけれども、グローバルな暗号資産の時価総額は約3兆ドル以上であるという記載をしております。
また、192行目でございますが、株式等の典型的な有価証券取引を前提とした各種規制を可能な限り暗号資産にも適用することで、適正な取引環境を整備することは重要であるが、それによって暗号資産へのニーズや取引の全てが健全なものとなるものではなく、暗号資産には本質的に規制し切れない領域が残ることは認識されるべきである。その点で、今後も国際的な規制当局間で連携を図りながら、対応を検討していくことが期待されるとしております。
2.根拠法令の見直し、(1)金商法の規制枠組みの活用でございます。喫緊の課題については、伝統的に金商法が対処してきた問題と親和性があると考えられるということでございます。例えば金商法では、情報の非対称性を解消するための開示規制、また様々な業規制を設けるとともに、不公正取引規制を設け、エンフォースメントが用意されております。
212行目でございますが、金商法については投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な投資者保護法制の構築を理念としているところ、暗号資産取引については、金商法の規制対象とすべき投資性の考え方とも整合的と考えられるとしております。
8ページの218行目から、金やトレーディングカードとの対比を記載しております。
224行目でございますが、暗号資産については、投資目的での取引の実態や投資者被害の発生状況、金商法以外での産業・資源政策等との関係等を総合勘案すると、政策的に金商法の規制を及ぼす必要性・相当性において、金やトレーディングカード等とは異なる面があるものと考えられるとしております。
(2)暗号資産の金商法における位置付けです。暗号資産は一般に何らかの法的な権利を表章するものではなく、収益の分配等は行われないなど、その性質は金商法上の有価証券とは異なるため、有価証券とは別の規制対象として金商法に位置付けることが適当であるとしております。
(3)金商法で規制対象とする暗号資産の範囲です。暗号資産の範囲につきましては、以下を踏まえて、現行法上の暗号資産とすることが適当であるとしております。
いわゆるNFTは利用の実態面、性質面を踏まえると、一律の金融法制の対象とすることには慎重な検討を要する。また、ステーブルコインについては、9ページの246行目、247行目ですが、投資対象として売買されることは現時点において想定しにくいとしております。
(4)資金決済法における暗号資産の規制についてです。255行目、規制の複雑化等を避ける観点からも、暗号資産に係る規制は資金決済法から削除することが適当であると考えられる。259行目、今般の規制見直しによって、決済目的の利用者にとっても、より安心して取引を行うための環境整備となるものと考えられるとしております。
3.情報提供規制でございます。利用者に対し、新規販売時の情報提供及び継続的な情報提供が適切に行われる必要があるとしております。
(1)新規販売時の情報提供でございます。
ア.暗号資産に関する情報の非対称性でございます。暗号資産については、利用者において、以下に記載の3つの観点から情報の非対称性があるとしております。
(ⅰ)暗号資産の技術性・専門性の観点。
(ⅱ)暗号資産の価値の源泉に係る実質的なコントロールの観点。
10ページ、(ⅲ)暗号資産の流通・保有状況の観点でございます。
イ.情報提供の内容でございます。
(ⅰ)情報の非対称性の解消でございます。暗号資産の技術性・専門性の観点での情報の非対称性を解消するため、一般の利用者にとって分かりやすい形で重要な情報が提供される必要がある。また、中央集権的管理者が存在する暗号資産については、こうした情報に加えて、中央集権的管理者に関する情報が利用者に提供される必要がある。
一方、暗号資産の流通・保有状況の観点での情報の非対称性の解消に関しては、大口保有者等に情報提供規制を設けることは、現時点では慎重に考えるべきであると記載しております。
308行目、もっとも、暗号資産の中央集権的管理者については、その情報提供規制の中で、当該者及びその関係者の保有状況に関する情報や大量の無償発行等に関する情報を利用者に提供させることが考えられるとしております。
(ⅱ)リスクと商品性でございます。利用者が暗号資産のリスクと商品性を十分に理解し、リスクを許容できる範囲で取引を行うことができるようにするためには、個別銘柄について、リスクと商品性に関する情報が利用者に分かりやすく提供されることが重要である。
11ページ、そうしたリスクについては、利用者への啓発や交換業者による説明で対処すべきものもあるが、以下の情報については、個別の暗号資産のリスクに係る内容であるため、利用者への情報提供を通じて対処すべきものと考えられる。
332行目でございますが、暗号資産の商品性について、利用者が個別の暗号資産の特徴を理解できるよう、他の暗号資産とのプラス面・マイナス面での差別化要因も含め、どのような情報が提供されるべきかについて、実務において検討し、必要に応じて柔軟な見直しが行われるべきである。また、利用者にとって分かりやすくし、また、比較可能性を高めるため、サマリーの提供を求めることが考えられるとしております。
ウ.情報提供規制の対象者でございます。
(ⅰ)基本的な考え方です。情報提供規制の対象者については、明確性を重視した制度設計とすることが適当である。この点で、交換業者は暗号資産の取扱いに当たって各種リスクや適法性、事業の実現可能性等の審査を行う立場であり、技術的・専門的知見が備わっていることが求められる。そのため、交換業者において情報を収集し、顧客にとって分かりやすい形で必要な情報を提供することが基本と考えられる。
一方で、中央集権型暗号資産について、その中央集権的管理者が一般の利用者から資金を調達しようとする場合には、それに伴う主体的な責任を負うものとして、当該管理者に対して情報を利用者に提供することを義務付けるべきであるとしております。
(ⅱ)中央集権型暗号資産の判断基準でございます。
368行目から、流通面と内容面の支配に着目してその範囲を定めることが適当である。現状においては、例えば以下の3つの類型のいずれかに該当するものは、基本的に中央集権型暗号資産に該当すると考えられるが、将来的に様々な暗号資産の形態が開発され得ることも踏まえ、実態に応じた柔軟な制度とする必要がある。特定の者のみが発行権限を有する暗号資産、パーミッション型ブロックチェーンによる暗号資産、基盤となるトークン規格に基づき発行される暗号資産の3つの類型です。こうした中央集権型暗号資産の該当性については、まずは暗号資産の取扱いを行う交換業者において審査し、自主規制機関においてチェックする過程で判断されることになるとしております。
(ⅲ)中央集権的管理者の範囲でございます。
13ページです。基本的には、複数の者がそれに該当する場合も含め、暗号資産の発行・移転権限や仕様の設計・変更権限を有する主体を中央集権的管理者として捉えることが考えられる。その際、仮に暗号資産の発行・移転権限等を有する主体とプロジェクト等の運営主体が形式上分離されている場合であっても、両者一体として中央集権的管理者と捉えるなど、規制が潜脱されないよう制度運用を行うべきであるとしております。
エ.情報提供規制の対象となる行為でございます。発行者が資金調達を行う場合には、プライマリー取引のみならず、セカンダリー取引による資金調達も情報提供規制の対象とすべきである。ただし、無償での付与や報酬としての自動付与は発行者による資金調達ではないため、規制の対象外とすることが適当である。
なお、発行者が資金調達を行わない場合であっても、交換業者が当該暗号資産の取扱いを行う場合には、交換業者において情報提供を行うことになる。この場合、技術性・専門性の観点からの情報の非対称性を解消するための情報とともに、発行者に関する情報も顧客に対して提供すべきであるとしております。
オ.発行者による私募・私売出し相当の行為でございます。少人数(49名以下)を相手方とする勧誘やプロ投資家(適格機関投資家)を相手方とする勧誘は、情報提供規制を免除することが適当である。
また、交換業者が発行者のために少人数・プロ投資家向けの勧誘を代行する行為についても同様に、交換業者の情報提供義務を免除することが適当である。
また、この趣旨を貫徹するため、425行目でございますけれども、一括譲渡以外の方法による譲渡禁止や、プロ投資家以外の者に対する譲渡禁止といった転売制限を設けるとともに、転売制限が付されている旨等を告知する義務を課すべきである。
一方で、発行者が広く一般投資家から資金調達をする場合や、交換業者が『取引所』又は『販売所』で取り扱うこととする場合には、一般投資家に対して必要な情報が提供されることとなるため、転売制限を解除し、広く一般投資家を相手方とした転売を可能とすべきであるとしております。
カ.発行者に対する業規制の適用関係でございます。発行者自身による暗号資産の販売は、引き続き、暗号資産交換業の登録を必要とし、交換業者に販売の取扱いを委託する場合には、発行者による暗号資産交換業の登録を不要とすることが適当であるとしております。
キ.情報提供の方法・タイミングでございます。発行者が作成する情報については、勧誘前のタイミングで自らのウェブサイト等に公表するとともに、取扱いを行う交換業者においても、ウェブサイト等での公表及び顧客への情報提供を義務付けるべきである。交換業者が作成する情報については、勧誘前のタイミングでウェブサイト等で公表するとともに、顧客への情報提供を義務付けるべきである。また、一覧性を確保するために、自主規制機関のウェブサイトにおいても閲覧できるようにすることが適当である。
なお、中央集権型暗号資産が交換業者において、いわゆる勝手『上場』された場合、発行者がそれを奇貨として情報提供を行わずに、実質的に資金調達を行うことを防ぐ必要がある。交換業者において必要な調査・確認を行い、発行者による資金調達であることが判明した場合には、当該者による売付けを拒絶する対応を義務付けるべきであるとしております。
15ページ、(2)継続情報提供についてです。
ア.適時の情報提供でございます。流通市場に参加する利用者の合理的な取引判断を可能にするためには、継続的な情報提供が不可欠である。特に暗号資産については変化のスピードが速いことが想定されるため、その状況に応じた適時のタイミングでの適切な情報提供がなされることがとりわけ重要である。
したがって、暗号資産の取引判断に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、適時の情報提供を行うことを義務付けるべきである。また、サマリーについても変更が生じる場合には、速やかに更新されるべきである。なお、どのような事象が取引判断に重大な影響を及ぼし得るかについては、実務において一定の明確性が確保されるよう検討を行うべきであるとしております。
イ.定期的な情報提供でございます。暗号資産については適時の情報提供が重要であり、定期的な情報提供の必要性は相対的に低いものと考えられる。この点、交換業者により作成・提供される情報について、定期的な情報の公表までは法令上の義務として求める必要性は低い一方、発行者の事業活動等については、利用者が全体像を把握しやすいよう、定期的な情報提供について求め、年1回とすることが適当であるとしております。
16ページ、ウ.継続情報提供の方法でございます。発行者が作成する適時及び定期的な情報は、発行者のウェブサイト等で公表するとともに、その取扱いを行う交換業者においてもウェブサイト等で公表することが適当である。
また、交換業者が作成する適時の情報も、ウェブサイト等で公表することが適当である。その際、同一の暗号資産について、交換業者ごとに異なる内容・タイミングで作成・公表されることは好ましくないため、自主規制機関において調整を図ることが適当であるとしております。
エ.継続情報提供義務の解除・免除、(ⅰ)発行者の継続情報提供義務の解除です。当初は発行者がいたものの、分権化等により利用者の取引判断に重要でなくなった場合には、当局等の認定により、継続情報提供義務の解除を認めることが適当である。他方、その場合について、暗号資産の技術性・専門性に由来する情報の非対称性は引き続き存続していることから、交換業者に対して継続情報提供義務を課すべきである。
なお、再び中央集権的な管理に移行した場合には、当該者が資金調達を行うときに、改めて情報提供義務を課すことが適当であるとしております。
(ⅱ)発行者の継続情報提供義務の免除です。国内の全ての交換業者が取扱いを停止した場合で、公益又は利用者保護に欠けることがない等、利用者保護の観点から情報提供を義務付ける必要性が乏しくなった場合には、当局等の認定により継続情報提供義務を免除することが適当であるとしております。
(ⅲ)交換業者の継続情報提供義務の免除です。交換業者が暗号資産の取扱いを廃止する場合には、顧客への事前周知を十分に行うことを前提に、当該交換業者の継続情報提供義務を免除することが適当であるとしております。
17ページ、(3)情報提供の内容の正確性・客観性の確保と『募集・売出し』時の利用者保護、ア.情報提供の内容の正確性・客観性の確保でございます。正確かつ信頼できる情報が提供されることが重要であり、以下の切り口、つまり、情報提供義務の対象者に対する規律付け、また、作成された情報に対するチェック機能の強化、からその正確性・客観性を確保していくことが考えられるとしております。
539行目の(ⅰ)情報提供義務の対象者に対する規律付けです。発行者により作成される情報の虚偽記載や不提供については、罰則や損害賠償に係る民事責任規定を設けるべきである。また、交換業者が虚偽記載や不提供を知っているにもかかわらず取り扱った場合についても、交換業者に対する罰則を設けることが考えられる。
また、交換業者により作成される情報については、発行者により作成される情報の虚偽記載や不提供に対する罰則よりも軽減したものとし、損害賠償に係る民事責任についても、例えば立証の困難性を考慮した損害賠償額の法定又は推定のみを設けることが考えられる。
これらに加え、発行者や交換業者により作成される情報に虚偽記載や不提供があった場合や、交換業者が虚偽記載や不提供を知っているにもかかわらず取り扱った場合について、発行者や交換業者に対する課徴金制度の創設も検討すべきである。その上で、仮に虚偽記載等があった場合には、国内の全ての交換業者での取扱いを停止できるような措置を設けるべきであるとしております。
18ページ、(ⅱ)作成された情報に対するチェック機能の強化です。交換業者及び自主規制機関による、以下のようなチェック機能の強化を図るべきである。
交換業者による審査義務及び体制整備の法定化。交換業者による審査に当たり、コード監査及び自主規制機関の意見聴取を義務化。自主規制機関における審査の中立性・独立性を強化するため、独立委員会又は独立組織を設け、審査業務を集中的に実施。自主規制機関においては、その審査業務の一部を専門性の高い第三者に委託することも可能とするとしております。
イ.『募集・売出し』時の利用者保護でございます。暗号資産の『募集・売出し』については、資金調達後に利用者の期待に応える経済的インセンティブが弱いとの指摘がございます。IEOによる資金調達について、その後に価格が急落している状況にあります。そうした構造的な問題については、情報提供規制のみでは対処できず、継続的に取り組んでいく必要がある。その上で足下の対応としては、利用者がリスクを理解した上で行う取引は自己責任であることを前提としつつ、次のような利用者保護の強化を図ることが考えられるとしております。
(ⅰ)投資上限の設定です。対象事業のリスクがある暗号資産の『募集・売出し』が行われる場合には、その発行者の財務面について、本来、監査法人による監査が行われることが望ましい。そうした財務監査がなされずに、利用者に販売圧力がかかる場合には、利用者が拙速に過大な取引を行うことがないよう、特に利用者保護を図る必要がある。株式投資型クラウドファンディングの場合を参考に、利用者の投資上限を設けるべきである。
19ページです。また、発行者と交換業者間の契約等において、発行者は国内で複数の資金調達を同時に実施してはならないとすべきである。
なお、『募集・売出し』後においては、利用者に対する同様の販売圧力はないため、投資上限を設けることまでは不要であるが、利用者がリスクを十分に理解し、経済的な余力の範囲内で取引を行うよう、交換業者における説明や顧客適合性確認等を通じて利用者保護を図ることが適当であるとしております。
(ⅱ)交換業者による利益相反の防止です。交換業者において発行者との資本関係や暗号資産保有等の利害関係がある場合、利益相反を予防するとともに、当該利害関係について利用者に説明すべきである。また特に『販売所』では、顧客の取引の相手方が交換業者であることから、顧客との関係で適切な利益相反管理が行われる必要がある。
(ⅲ)無償発行等への対応です。発行者が特定の者に対し大量の有利発行等を行うことにより、既存の利用者の利益を害することがないよう、発行者と交換業者間の契約において、『上場』審査中及び『上場』後の特定の者に対する有利発行を原則として実施してはならないこととすべきである。また、インサイダー取引の温床となり得ることを予防するため、発行者及び関係者に対し、『上場』前及び『上場』後の一定期間は、保有する暗号資産を売却してはならないこととすべきであるとしております。
4.業規制です。(1)基本的な方向性でございます。基本的に第一種金商業に適用される規制と同様の規制を適用すべきである、また、自主規制で義務付けられているものについて、普遍性の高い規制については法令レベルに引き上げることが適当である。
20ページ、一方で現行法に設けられている暗号資産の性質に応じた特別の規制については、金商法に新たに同様の規制を設けることが適当であるとしております。
(2)個別論点。ア.兼業規制でございます。交換業者が他業を行う場合についても、行政による一定の事前チェックを行うべきである。暗号資産交換業に付随する業務は届出・(事前)承認なしに行うことができることに加えて、それ以外の業務については、(事前)承認ではなく、行政への事前届出を求めることが考えられる。なお、暗号資産交換業以外の業務を行う金商業者が暗号資産交換業を行おうとする場合には、変更登録を必要とすることが適当であるとしております。
イ.業務管理体制の整備等でございます。現行法で義務付けられている業務管理体制の整備に加えて、利用者保護の観点から、より一層の体制整備を求めるべきである。具体的には、①から⑤等の整備を義務付けることが適当である。特に③について、顧客適合性を確保する観点から実効的なものとなるよう、実務において具体的な対応を検討していく必要がある。
21ページ、交換業者の中には、『販売所』と『取引所』の2種類の形態によってサービスを提供する交換業者も存在する。『販売所』形態での取引のほうが交換業者にとって収益性が高いため、顧客に対し『販売所』での取引を誘導しているのではないかとの懸念も指摘されています。金商法においては最良執行義務が設けられており、そうした観点から、交換業者において顧客へのサービス提供が適切なものとなっているか検討されるべきであるとしております。
ウ.利用者財産の管理でございます。新たな法律上の義務として、サプライチェーン全体を含めた、より包括的なセキュリティ対策の強化を求めるべきである。
679行目、さらに最近の不正流出事案では、交換業者向けのウォレットソフトウェアを提供する事業者がサイバー攻撃を受けたことが不正流出の一因となったものが見られる。交換業者に対して暗号資産の管理を行うための重要なシステムの提供等を行う事業者について、その業務の適切な運営を確保するための規制を設けるべきである。
具体的には行政への事前届出を義務付けた上で、システムの安全性の確保義務等の行為規制を設けることとし、必要な場合に行政において直接に実態把握及び是正措置を命ずることができるよう、監督権限を設けることが適当である。その上で、交換業者が暗号資産の管理を行うための重要なシステムの提供等を受ける場合には、例えば、届出を行った事業者のみから提供を受けることができることとすることが考えられるとしております。
22ページ、エ.責任準備金でございます。コールドウォレット等で管理する暗号資産についても流出リスクがあり、顧客への必要な補償を適切に行うための備えが必要である。このため、交換業者にとって過重な負担にならないよう配意しつつ、過去の流出事案の発生状況やセキュリティ水準等を踏まえた適切な水準の責任準備金の積立てを求めるべきである。また、補償の原資を確保するための選択肢を拡大する観点から、保険加入等による補償原資の確保を認めることも検討すべきであるとしております。
オ.退出時における顧客財産の適切かつ円滑な返還でございます。交換業者が破綻した場合等の交換業者の退出時において、顧客財産の移管や返還が適切かつ円滑に行われるよう、金商業者の退出時における顧客財産管理に関する規制の整備が行われる際には、交換業者もその適用対象とすべきであるとしております。
カ.仲介業規制でございます。暗号資産サービス仲介業については、金商法上の金融商品仲介業と基本的な規制の建付けが共通しているため、暗号資産取引に係る仲介業については、暗号資産取引を金商法の規制対象とすることに合わせ、金融商品仲介業の対象とすべきである。その際、必要な経過措置を設けた上で、原則として、金融商品仲介業に適用される規制を適用することが適当であるとしております。
キ.暗号資産の借入れでございます。739行目、暗号資産の借入れを伴うビジネスは、利用者から見ればリスクをとってリターンを追求する行為であるため、金商法の規制対象とし、適切な体制整備義務や行為規制を課すことが適当である。規制内容の詳細については、適切な水準とすることが重要であり、また、必要な経過措置も検討すべきである。750行目でございますが、なお、機関投資家や個人が交換業者から借り入れる場合のような、対公衆性のない借入れは業規制の対象としないことが適当と考えられるとしております。
24ページ、(3)銀行・保険会社やそのグループにおける取扱いでございます。アは、現状の取扱いを記載しております。
イ.銀行・保険会社本体における取扱いでございます。銀行・保険会社本体による暗号資産の発行・売買等を認めることについては、以下の理由により、引き続き慎重な検討が必要と考えられる。779行目でございますが、銀行・保険会社本体による暗号資産の仲介については、銀行・保険会社本体に与えるリスクは限定的であると考えられるものの、上記の2点目の理由は同様に当てはまることから慎重な検討が必要と考えられる。なお、暗号資産を運用対象とする投資運用業を行うことは、現行法上、銀行・保険会社本体において投資運用業を行うことが一律に禁止されていることを踏まえ、禁止とすることが適当である。他方、銀行・保険会社に分散投資の手段を提供する観点等から、十分なリスク管理・態勢整備等が行われていることを前提に、銀行・保険会社本体に投資目的での暗号資産の保有を認めることが考えられるとしております。
ウ.銀行・保険会社の子会社等における取扱いでございます。銀行・保険会社の子会社については、暗号資産の発行・売買等及び仲介を認めることとし、また、同様に、子会社において暗号資産を運用対象とする投資運用業を行うことや投資目的での暗号資産の保有も認めることとする。また、銀行・保険会社の兄弟会社や関連会社についても、子会社と同様の取扱いとすることが適当であるとしております。
(4)無登録業者への対応等、ア.無登録業者への対応でございます。無登録業者による違法な勧誘等を抑止するため、刑事罰を強化すべきである。また、金商法において金商業の無登録業者への対応として設けられている規定を暗号資産交換業にも適用することとする。他方で、無登録業者による詐欺的な勧誘等によって利用者被害が生じていることも踏まえながら、民事効規定を創設することが考えられるとしております。
イ.投資運用等に係る不適切行為への対応でございます。暗号資産の投資運用や投資アドバイスについても投資運用業及び投資助言業の対象とすることで業務の適切な運営を確保すべきであるとしております。
ウ.支払手段としての利用者被害の未然防止でございます。交換業者に対し、利用者がアンホステッド・ウォレットや無登録業者のウォレットに暗号資産を移転する場合に、詐欺的事案の可能性に関する警告や移転目的の確認、取引モニタリングの適切な実施、新規口座開設直後及び新規ウォレット先への移転について一定の熟慮期間を設けること等の対応を求めることが適当である。また、自主規制機関が交換業者に対して好事例を横展開すること等が期待されるとしております。
(5)海外の無登録業者・DEX等への対応、ア.海外の無登録業者への対応でございます。836行目、無登録業者への対応の強化や外国当局との調査協力の強化を行っていくべきである。なお、金商法上、外国証券業者が、勧誘することなく本邦居住者からの注文を受けて取引を行うことは認められており、暗号資産取引についても同様のルールを整備し、規制の適用関係を明確化することが適当であるとしております。
イ.DEX等への対応でございます。27ページ、857行目からでございますが、現状のDEXには、プロトコルの不備等により利用者が不測の損害を被るリスクがある他、マネー・ローンダリングに利用されるリスクも存在している。こうした点を踏まえ、現在の交換業者に対する規制とは異なる、技術的性質に合わせた過不足のない規制のあり方について、今後、各国の規制やその運用動向も注視しながら、継続して検討を行うことが適当である。また、DEXに接続するアプリ等のユーザー・インターフェース(UI)を国内居住者向けに提供する者に対しては、リスクに応じた過不足のない規制を課すことを念頭に、各国の規制動向を注視しながら、まずはそのようなUIを提供するサービスの実態把握を深めていく必要がある。
なお、DEXプロトコルやDEXに接続するUIを通じた取引におけるAML/CFT対策のあり方は、必ずしも特定の国で完結するとは限らないことを踏まえ、国際的な議論を行っていくことが考えられる。足下の対応としては、DEXや日本で登録を受けていない業者での取引を行う場合には、不測の損害を被るリスクがあることを行政や交換業者等において利用者に対し十分に周知すべきであるとしております。
5.暗号資産取引に係るリテラシーの向上等です。(1)利用者の慎重な取引を促す方策でございます。利用者がリスクと商品性を十分に理解し、リスクを許容できる範囲で取引を行うことができるようにするため、交換業者に対し、①、②、③のようなことを求めることが適当であるとしております。
(2)DEXや海外無登録業者での取引に係るリスク周知でございます。こうしたリスクの周知を行政や交換業者等において十分に行うべきであるとしております。
(3)暗号資産取引に係る金融リテラシーの向上に向けた方策でございます。交換業者による説明や顧客適合性確認等を通じて利用者保護を図るとともに、行政や交換業者、金融経済教育推進機構(J-FLEC)による啓発活動等、多方面から利用者への啓発のためのアプローチをすることを検討すべきである。J-FLECの提供する教材において、例えば以下に記載のような暗号資産のリスクや特性について利用者の啓発を行うべきであるとしております。
6.サイバーセキュリティに関する取組みです。(1)サイバーセキュリティに関する取組みの基本的な方向性でございます。法令では必要な体制の確保に係る義務を規定し、技術や運用の要件等については柔軟に環境変化に対応できるようガイドライン等で定めることが適当である。適切なセキュリティ投資の下で各社のリスクマネジメントのPDCAが実効的に行われることが重要である。交換業者におけるこうした投資を行うインセンティブ付けとフィージビリティに留意して法令・ガイドラインの規定は検討されるべきであるとしております。
(2)業界の共助や金融庁における取組みでございます。公助の取組みを進めており、こうした取組みについて今後も着実に実施していくことが重要である。また、交換業者等におけるサイバーセキュリティ体制の継続的な強化に向けた官民の対応が不可避となっている。サイバーセキュリティ対応は自助・共助・公助の組合せで対処すべき課題であり、特に業界共助の取組みの発展が不可欠であることから、情報共有機関が適切に機能することが期待される。当局としてもそうした取組みを後押ししていくべきであるとしております。
7.市場開設規制です。947行目でございます。多数の当事者を相手方とする集団的な取引の場を提供する以上、価格形成や業務運営の公正性・中立性を確保するための適切な取引管理及びシステム整備は必要であるものの、個々の暗号資産取引所の価格形成機能は限定的なものであり、金融商品取引所に係る免許制に基づく規制や金商業者に係る認可PTSの規制のような厳格な市場開設規制を課す必要性は低いと考えられる。
他方、既存の金融商品取引所が暗号資産(現物)を上場することについては、巨額のリスクを金融商品取引所が負うことになりかねず、市場の運営に重大な影響が生じかねないため、現時点においては慎重に考えるべきであるとしております。
8.不公正取引規制です。30ページ、(1)インサイダー取引規制でございます。我が国においても、暗号資産の投資対象化が進展する中で、暗号資産取引の公正を害するような不公正取引を抑止し、健全かつ公正な取引環境を実現する必要性が増しており、国際的な情勢も踏まえると、暗号資産のインサイダー取引規制を整備すべきと考えられるとしております。
ア.保護法益でございます。保護法益については、「規制下の取引の場」であること、また、一般投資家の取引実態を理由として、「国内の交換業者の提供する取引の場の公正性・健全性に対する利用者の信頼を確保すること」と整理することが適当であるとしております。
イ.規制の方向性でございます。31ページ、1,003行目でございます。規制の明確性等の観点から、上場有価証券等のインサイダー取引規制の枠組みを基に、暗号資産の性質を踏まえて規定を調整することが適当であるとしております。
(ⅰ)規制対象とすべき暗号資産です。国内の交換業者において取り扱われる暗号資産とすべきである。また、取引の場を問わず、規制の対象とすることが適当である。また、国内の交換業者で取り扱われる前であっても、交換業者での『上場』等を要因とする価格変動を利用したインサイダー取引のおそれがあるため、正式な取引申請がなされた暗号資産についても規制対象に含めることが適当である。なお、規制対象を明確にする観点から、自主規制機関が一覧性を持った形で分かりやすく情報提供すべきであるとしております。
(ⅱ)重要事実です。「重要事実」に当たることが明確なものを個別列挙した上で、バスケット条項で補完することが適当である。具体的には、以下の3つの類型について「重要事実」に当たることが明確なものを個別列挙しつつバスケット条項を規定することが考えられる。中央集権型暗号資産の発行者の業務等に関する重要事実、交換業者における暗号資産の取扱い等に関する重要事実、大口取引に関する重要事実としております。
(ⅲ)規制対象者です。重要事実に接近できる特別な立場にある者が、その立場にあることに起因して内部情報を知った場合を規制対象とすることが適当である。これら関係者には、役員等や法令に基づく権限を有する者、契約締結先等を含むこととすることが適当である。また、それらの者からの第一次情報受領者も対象とすることが適当であるとしております。
(ⅳ)公表措置です。重要事実に応じて、以下の者を公表主体として定めることが考えられる。1,061行目、SNSについては、様々な種類があって利用者の周知性が低いことや、発信された情報の削除・改変が容易であること、発信主体・発信内容の真実性が確保されていないこと等の課題があるため、現時点においては交換業者及び自主性機関のウェブサイトを用いた公表等に限るべきであるとしております。
33ページ、(ⅴ)禁止行為・適用除外です。基本的には「売買等」を禁止行為とすべきである。加えて、新規発行時の利用者保護を図る観点から、暗号資産の新規発行とそれに対応する原始取得も禁止行為に含めることが適当である。1,076行目、適用除外について、未公表の重要事実を「知って」取引することを規制対象としつつ、取引に関する証拠が行為者側に偏在していること等を踏まえ、「重要事実を知らなくとも取引したことを行為者が立証した場合」を適用除外の類型として追加すること等により、保護法益に鑑みて規制対象とすべき行為のみを捉えることが適当であるとしております。
ウ.未公表の重要事実の伝達・取引推奨の禁止でございます。利益を得させる目的等による未公表の重要事実の伝達・取引推奨を禁止することが適当であるとしております。
(2)その他の不公正取引規制です。暗号資産にも妥当すると考えられる不公正取引規制については併せて整備することが適当である。例えば、安定操作取引の禁止の規定や、いわゆるステルスマーケティングといった規制は適用すべきである。なお、前述の暗号資産のインサイダー取引規制の枠組みによれば、無登録業者のみで扱われている暗号資産の場合や、国内の交換業者で扱われている暗号資産であっても、大口取引等の一定の事実を除き、公表されていない重要な外部情報を知って取引したような場合には、インサイダー取引規制の対象とはならない。また、既存の金商法の不公正取引規制では抑止できない暗号資産特有の不公正取引が行われる可能性もあり得る。こうした不正行為については、暗号資産の不正行為の一般禁止や偽計等の禁止等の規定により対応する余地があると考えられる。もっとも、暗号資産はグローバルに取引され、その匿名性が高いため、暗号資産に関連する不正行為の全てを直ちに抑止することは限界があることを踏まえ、今後、不公正取引の実態について継続的に把握し、実際に発覚した不正事案等に応じて類型的に抑止を図っていく必要性が認められた場合には、将来的に追加的な対応を検討していくべきであるとしております。
(3)課徴金制度・その他のエンフォースメント、ア.課徴金制度でございます。インサイダー取引を含め不公正取引について課徴金制度を創設すべきであるとしております。
イ.犯則調査権限・課徴金調査権限です。証券取引等監視委員会における犯則調査権限を創設するとともに、課徴金制度の創設に伴う調査権限を設けるべきである。また、それに伴い、証券取引等監視委員会の体制の拡充を図るべきであるとしております。
ウ.市場監視体制です。暗号資産取引についても、実効的なエンフォースメントのため、交換業者による売買審査や、自主規制機関による市場監視体制について抜本的に強化すべきであるとしております。
エ.外国規制当局との調査協力。暗号資産は容易にクロスボーダー取引が可能であり、海外投資家が不公正取引に及んだ場合への対応が必要であること等を踏まえると、不公正取引規制の実効性を確保する観点から、外国規制当局との連携が重要である。そこで、暗号資産取引についても、相互主義の下、外国規制当局に対する調査協力の対象とすべきであるとしております。
最後に、Ⅳおわりにでございます。以上が当ワーキング・グループにおいて行ってきた審議の内容である。今後、関係者において、本報告の内容を踏まえて必要な対応が進められ、一層の利用者保護と取引環境整備が図られることが期待される。また、今般の見直しが、我が国の暗号資産取引市場の健全性を一層高め、国際的にも更に信頼される市場となることを期待したい。
一方、今般の規制見直しは、利用者保護と取引環境整備を図る必要性が高い我が国の交換業者での取引を主眼に置くものであり、その規制見直しが及ぶ範囲はグローバルな暗号資産取引の一部にすぎないという点も認識すべきである。今回の規制見直しをもって暗号資産取引の全てが健全なものとなるものではなく、交換業者を通じない暗号資産取引に関しては、匿名性が高く、現時点でグローバルに十分に規制を及ぼすことができない領域が残っている。今後も国際的な規制当局間で連携を図りながら必要な対応を検討していくことが求められるとともに、今般の規制見直しについても適切にフォローアップし、規制の過不足が認められた場合には不断の規制見直しを行っていくことが求められるとしております。
次のページ以降は参考資料をつけております。
私からの説明は以上になります。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を踏まえて報告書(案)についての御意見をお伺いしたいと思います。時間の関係上、お一方、3分、4分以内ほどで御発言いただければと思っております。それでは、どなたからでも結構ですので、いかがでしょうか。
それでは、岩下委員、お願いします。
【岩下委員】
ありがとうございます。それでは、先ほど業界からのヒアリングもありましたので、それを踏まえた基本認識について短く述べた上で、報告書(案)についての意見を申し上げます。
暗号資産交換業界というのは、ここ10年ほどで急速に発展した業界です。しかし、伝統的な金融の各業態のように、自らが商品を設計し、市場構造や安全性への影響力を行使して発展してきた業態ではありません。ビットコインをはじめとする主要な暗号資産は、海外の開発者コミュニティーによって設計され、海外の巨大市場で価格形成されています。国内の暗号資産業者は、それらを輸入して国内に仲介する立場にあります。だからこそ、ビットコインの値上がりに乗って急速な発展が可能だったとも言えます。もちろん国内の業者が管理できる領域、サイバーセキュリティですとか、勧誘の適正化、顧客保護などは極めて大事です。しかし、暗号資産市場を実質的に形成しているのはグローバルかつ匿名のオンチェーンの市場であって、国内で制度的に整備した箱庭のみでは全体のリスク構造を変えることはできないということを制度論の前提として共有する必要があると考えています。
また、本日少し話題になったトラベルルールやマネー・ローンダリング対策を巡っても、国内交換業者によるオフチェーンと、オンチェーンの取引が重層的に取引されて、結果として様々な不正な取引が行われるという事象が多数確認されています。これらについては、伝統的な金融機関が真摯にマネロン対策に取り組んでいることと比べて暗号資産交換業界の対応が劣ることのないように、しっかりチェックしていくべきだと思います。
それから、先ほどの業界ヒアリングに対する永沢委員からの御指摘もありましたが、これまで暗号資産交換業者が行ってきた各種プロモーションの中には、結果的にギャンブル的な投資行動を助長するものが少なくありませんでした。この結果、若年層を中心に、短期的な値上がり益を狙う投機と真っ当な投資とが混同されているという状態があるように思われます。この点については、制度変更後の取引実態等も踏まえて、継続的な監視と、制度へのフィードバックが必要だと考えます。
さらに申し上げれば、国内交換業者のメインビジネスは、ビットコインなどのメジャーな暗号資産の取引であるはずです。その一方で、不祥事とか消費者被害等が最も多く発生してきたのは、私が見る限り、ICOやIEOなどといった領域でありまして、賢明な交換業者であれば、この領域にあまり深くコミットすることなく、このリスクをしっかり考えた上で、安易に新規トークンを取り扱うことを成長戦略のように考えず、しっかりとした投資家保護の視点を持っていただく必要があるのではないかと思います。
こうした全体の暗号資産の取引実態を踏まえると、伝統的な金融の担い手ですとか、金融規制関係のアカデミアですとか、あるいは消費者団体などの間に、暗号資産に対する警戒感・違和感というものが強く存在することは率直な事実だと思います。私自身も、伝統的な金融とパブリックチェーン上の分散金融が本質的に交わる未来というのは現時点では想像し難いと思います。しかし一方で、存在するものをなかったことにはできませんし、投資主体がいる以上、最低限の保護と制度的な関与は不可避です。したがって、規制が及ぶ範囲だけ的確に規制を課して、規制できない領域には過大な期待を与えないという姿勢こそが、制度構築における最重要な原則であると思います。
今回の報告書(案)では、これまで私が述べさせていただいたポイント、すなわち、国内規制の射程が限られていること、オンチェーン・オフチェーンの区分があること、IEOに構造的なインセンティブ上の問題があること、そして制度が介在し得る範囲が限定されていること等が相当程度織り込まれており、この点は評価したいと思います。特にIEOについて、情報開示しても商品特性そのものが改善されず、発行体側のインセンティブ構造が変わらない限り、過去の問題が再発する可能性が高いという点が適切に記述されていることは、報告書としての誠実性を担保する上で極めて重要だと考えます。
ただし、今回の制度整備がお墨付きと誤解されるリスクは依然として大きいと考えます。総括の部分では、制度の限界と制度外領域の残存リスクを明示して、過大な期待を与えないという表現となっておりますけども、これをぜひ引き続き堅持していただきますよう改めてお願いしたいと思います。
暗号資産市場は、制度がコントロール可能な領域と原則的にコントロールできない領域とが明確に分かれている市場です。構造的な実態を正直に示して制度の限界を隠さずに公表することこそが、国民に対する誠実な対応であり、今回の報告書(案)はその方向性をおおむね踏まえていると評価しています。引き続き、制度の射程と限界を過小評価することなく、現実的に意味のある議論を進めていくことが大事であると考えます。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは次に、松尾真一郎委員、お願いします。
【松尾(真)委員】
松尾でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まずは、パーミッションレスでイノベーションの可能性にあふれた技術領域を基盤としてグローバルに見ても利用が拡大しており、一方で国益を含めて国内の安心・安全を守っていく、さらには技術やサービスの進展がまだまだ急である、こういう領域のルールづくりをこのグループで今の時点で取りまとめたことについて、事務局をはじめとして大変な御苦労があったと思います。まずは感謝申し上げます。
このワーキング・グループの初回の資料にございました諮問文には、「国内外の投資家において暗号資産が投資対象として位置付けられる状況が生じていることを踏まえ、利用者保護とイノベーショの促進の双方に配意しつつ、暗号資産を巡る制度のあり方について検討を行う」とあります。これまでの私の発言や、それからワーキング・グループ全体でも、この双方への観点に十分な配慮がされてあったものであると考えております。このワーキング・グループに与えられた検討の前提、我々の仕事の前提というのは、暗号資産が投資対象と位置付けられる状況への対応でしたから、金融インフラとして、より確かなものにするにはどうしたらいいのかを真剣に考える必要がありました。
私の場合、アメリカでブロックチェーン技術のガバナンスに関して、あるいはサイバーセキュリティの専門家として仕事をしておりますので、いかに日本のブロックチェーンエコシステムが日本国民の安心・安全と国富を守り、同時に国際的にも優位性を守れるかということが、このワーキング・グループにおける重要な使命でした。
このような前提を置くとすれば、今回まとまった報告書(案)は、現時点での国際的な状況を勘案しても、もちろん今後の進展には柔軟に対応できることを当たり前として、妥当であると考えます。もしこの考え方が規制上重い、業界の存続に関わるという発言が出るのであれば、それは技術やエコシステムが未成熟だと言外に言っているのに等しいわけです。
一方で、それはイノベーションの伸び代があるということも示しています。利用者保護とイノベーションはバランスではなくて、両立することが基本です。むしろ両立できてこそイノベーションです。このことを忘れてはいけません。今後この報告書の方向性を基に、金商法だけでなく、様々な法令やガイドラインの検討や整備が行われることと思います。この整備の過程の中で、新しいイノベーションの伸び代があり、グローバルに活躍することも含めて業界の皆様の可能性はあると考えています。
私から、そういう金商法の議論にとどまらない一分野として、暗号技術の鍵管理について、ルールと技術開発の面で詰めなければいけない2つの例を述べたいと思います。鍵管理が重要な理由は、ここが暗号資産のセキュリティ、プライバシー、AML/CFT、利用者保護、そしてビジネスモデルの交差点になるからです。これは規制当局、技術者、事業者、そして我々全体の宿題です。
最初の分かりやすい例は、暗号資産の相続です。暗号資産の所有者が死亡して、その資産を相続するときに、どのように署名鍵を渡せばいいでしょうか。代表的な暗号資産では、鍵に紐付くシードフレーズを所有者しか知らないということがそのセキュリティの基盤の一つになっています。しかし、所有者が突然亡くなった場合、当然そのシードフレーズは相続人に引き継げません。一方で、相続人は、暗号資産は相続税の対象となり、その存在を認識していない場合でも課税対象となる旨の政府参考人による国会答弁もあり、申告漏れがあれば延滞税等のリスクが生じます。
つまり、現状の暗号資産の技術は、相続という極めて一般的な資産的手続が困難な資産です。既にこの問題への解決策を研究して発表している日本企業もありますが、このようなケースへの対応は、法的にも技術的にも未成熟です。しかし、相続できない資産が国民の資産形成に資するものかどうかは十分に考える必要があります。ブロックチェーンが新しい技術であるがゆえに、所有者が亡くなったケースも多くなく、一般的・社会的な問題として顕在化していないだけです。
もう一つは、ルール上の未整備が指摘されている例があります。それはコインチェック事件で流出したNEMコインのマネロン幇助に関する令和6年の最高裁判決です。9・11のテロ事件以降、金融システムにAML/CFTという考え方が当たり前になりました。しかし、ビットコインをはじめ多くの暗号資産プロトコルにはその考え方が設計上組み込まれていません。そして、コインチェック事件で流出したNEMを購入した者が電子計算機使用詐欺罪と犯罪収益等収受罪で起訴され、最高裁判決で有罪が確定しました。
しかし、ここで技術と法制度の間に極めて重要なギャップが存在することがこの最高裁判決で明らかになります。このNEMの流出事案では、犯人はダークウェブ上で流出NEMを販売し、購入者がそれを受け取ったわけですが、暗号資産のプロトコル設計上、ネットワークは署名が正しければ、それが正規の所有者による取引であるかどうかを判別しません。言い換えれば、プロトコル自体には、本来の所有者、盗難という概念が存在せず、犯人が盗んだ署名鍵で送金しても、ブロックチェーン上の記録は数学的に完全な真正の取引として扱いをしております。まさに「Not your keys, not your coins」という言葉が示すとおり、暗号資産の世界は、鍵が正しいかどうかしか検証しません。
ところが、最高裁は、暗号プロトコルの技術的前提ではなく、社会的・法律的前提に基づき、正規の鍵保有者が署名したと信頼される仕組みを悪用したという評価を行いました。つまりは、技術的には見分けがつけられないにもかかわらず、犯人が発信した取引を虚偽の情報と位置付け、さらにそれを受領した者についても、価格の異常性やダークウェブ上の流通状況、流出したアドレスの公知性などの外形的状況から、盗品として受領した、つまり、情を知って取引をしたと推認するというロジックを採用しました。これは裏を返すと、暗号資産プロトコルは、鍵の保有者イコール正当な所有者という前提に依存している一方、法制度は、鍵が正しいだけでは不十分で、所有者概念はブロックチェーンの外部が補わなければいけない状況になっているということです。
最高裁判決はその矛盾を埋めるために、本来の所有者という、ブロックチェーン内部には存在しない概念を導入せざるを得なかったとも言えます。この判断は、法制度としては合理性がありますが、技術設計の観点からいうと、暗号資産プロトコルが本来想定してない外の価値判断を後付けで持ち込んだものであり、今後の制度整備においては避けて通れないものです。特にトランザクションが数学的に正しいことと法的に正しいことが一致しない場合、プロトコル設計、鍵管理、所有権の概念をどこまで整合させるのか、法律と技術の双方で議論が求められる段階に来ています。つまり、この最高裁判決は、暗に新しいルールと技術開発を要請していると受け止めるべきです。
暗号プロトコルにおいて鍵管理の世界は深遠です。それは暗号プロトコルの研究が安全な鍵管理を仮定として置いてしまっているからで、そうしないとプロトコル自体に安全な数学的証明をつけることができないからです。先の2つの例は、多数あるうちのわずかの例にすぎません。サトシ・ナカモトは、鍵管理が実はビットコインを利用したシステムの障害点になるということをその論文には書きませんでした。ブロックチェーンと暗号資産を誰もが安心して使えるようにするために、我々の生活のあらゆる場面で適切な鍵管理がなされることは、サトシが姿を消して本人が中央という存在でなくなり、ビットコインが今回の類型②になって以来、我々に残された宿題です。今日は、取りまとめの日だけではなくて、宿題を全員で解いていく最初の日であるということを申し上げます。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、小川委員、お願いします。
【小川委員】
ありがとうございます。短期間にこれだけの多くの論点をしっかりまとめていただき、心より感謝申し上げます。
まず、この報告(案)について述べさせていただきます。出発点として、4ページに、暗号資産を巡る喫緊の課題をまず具体的に取り上げていただき、利用者保護、取引環境整備の観点から、さらなる対応の必要性、これをうたっていただいた上で、最終ページに、今般の見直しが我が国の暗号資産取引市場の健全性を一層高め、国際的にもさらに信頼される市場となることを期待したい、といった取りまとめ、これは全てそのとおりと考えており、本報告(案)に賛同いたします。今後、実体経済の発展・進展に合わせて継続的に醸成されていくものと期待しております。
最後に、当方から3点ほど述べさせていただければと思います。
まず1点目、今後、監視機能として自主規制団体への期待が非常に高まることになります。国として暗号資産取引市場の健全性を担保する一つの枠組みとして、自主規制団体の監視機能をもって説明することになりますので、当局としても、自主規制団体のガバナンス、監視体制、監視機能の有効性をしっかりモニタリングしていただくことを期待します。サイバーリスク、巧妙化する犯罪の深刻さは、今後も一層増すものと考えます。自主規制団体は、投資対象としての安全性に対する説明責任という機能を一層求められていくこととなります。
一方で、自主規制団体は、未だ発展過程にあると認識しています。現状、自主規制団体として、リソース、体制面等、各種制約がある点は否めません。自主規制団体としては、国を含め多方面から必要な協力・サポートを仰ぎ、公助・共助を推進していただき、金融市場の発展を後押しするためにも、今後の大いなる発展を心から期待するところでございます。
2点目、特に問題と認識しているのが、今回の新たな制度でもカバーしきれない、海外かつ非上場の取引が未だ大半を占めるという現状です。今後さらに裾野を広げ、増加すると想定される投資家に対し、暗号資産投資のリテラシーの向上に向けた絶え間ない活動は、引き続き極めて重要と考えています。国、自主規制団体含め、社会全体の課題として継続的取組みを強く期待するところでございます。
最後に、クロスボーダーのリスク顕在化について、一国で対応できるものではございません。国際協調をもって適宜監視し、協力して解決する具体的な国際的枠組みの進展、これについても今後さらに期待をするところでございます。
私からは以上3点になります。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは次に、有吉委員、お願いします。
【有吉委員】
有吉でございます。報告書(案)の取りまとめ、誠にありがとうございました。特に丁寧に各メンバーのコメントを反映していただけたことについて、心より感謝申し上げます。私からは、本日のこの報告書(案)の内容についてこれ以上のコメントはございません。
ただし、ルールの枠組みについて提言がまとまったということではありますが、具体的に法令化するに当たってどういった条文になっていくのかがまだ見えないところも多くあるように思いますし、また、情報提供の具体的な細目であるとか、それから、責任準備金の計算方法などの詳細な内容は、今後、事務局の皆様で詰めていただくということだと思いますので、法令化にはまだ険しい道が残っているようにも感じるところであります。事務局の皆様のさらなる頑張りに期待したいと思います。
その上で、2点ほどコメントを申し上げたいと思います。1点目は、インサイダー取引規制ですとか、適時の情報提供の関係でございます。報告書(案)の内容について追加で何かということではありませんが、結論として暗号資産のセキュリティ上の欠陥ですとか、あるいはハードフォークの発生といったような暗号資産自体に関する情報というのは、インサイダー取引規制における重要事実に該当したり、適時開示における情報の提供が必要になる事由に該当したりするということになるのだろうと思うわけでありますが、一方でそういった情報を一部のコミュニティーに属する人だけが認識している状態で、そのコミュニティーが仮に当該暗号資産の運営に非常に近いコミュニティーであったという場合であったとしても、そのコミュニティーに属する人が必ずしもインサイダー取引規制の規制対象者にはならないといいますか、むしろならない場合のほうが大半であるという制度設計だと思います。そのため、暗号資産の固有の情報、それが重要事実に当たるとしても、そういった情報を持っている人がそういったことを知らない人と取引をしてもインサイダー取引規制の対象にはならないというケースが、恐らく結果として大半になるのだと理解いたしました。
そういった状況についてどう考えていくかというのは非常に難しい問題だと思いますし、一般的な啓発の中で取り組む面もあるだろうと思いますし、適時の情報提供を厳格に運営していくという方法もあるのだと思います。また、報告書(案)の中でも取り上げていらっしゃいますとおり、不正行為の禁止に関する一般規制のほうで対処できる場面もあるのかもしれませんが、そういった観点について実務的な対応、これは規制する側、規制を受ける側、両方の実務的な対応も、今後検討を深めていく必要があるということとともに、特に不正行為の禁止に関する一般規制でどういったものを規制していくのかということについては、このワーキング・グループに御参加の委員の方々を含めて学者の先生方に、理論面も今後深く検討していただきたいと思ったというのが1点目のコメントであります。
2点目のコメントは、これまでの会合でも既に度々申し上げたことでありますし、先ほど岩下委員も強調されていたことでありますが、くれぐれも今回の取りまとめが暗号資産にお墨付きを与えるようなことにならないようにするということを改めて留意していただきたいと思います。こちらも報告書(案)の内容にこれ以上書き足すということよりは、むしろ恐らく報告書の概要紙のようなものもお作りになるのではないかと思いますが、そちらでもしっかり強調されたり、それから、金融庁の皆様がメディア等で御説明をされるに当たって、その点をしっかり強調されたりすることが非常に重要ではないかと思います。
その際、この場では議論の対象ではないわけでありますが、暗号資産に関する税制の取扱いの見直しの動きも、恐らく並行して進むのだと認識しております。そういったことがあったとしても、金融庁としては暗号資産に対してお墨付きを与えるものではないという立場をしっかり堅持していただいて、うまく説明をしていただくということが非常に重要だと思いますので、その点も強調させていただきたいと思います。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、次に、大槻委員、お願いします。
【大槻委員】
ありがとうございます。全体には非常にバランスが取れた内容だと個人的に思いますし、これ以上の加筆のお願いはございません。
今回の議論では、様々なほかの金融商品と暗号資産の違いというのが、改めて浮き彫りになったということ自体が非常に大きな前進だったのではないかと思っております。今後、先ほど有吉委員からもありましたが、金融庁のほうで法律案を取りまとめていかれるのでありましょうし、それから、政令等も進めていく中で、今回ここの場ではいろいろと意見が分かれた点も多かったと思いますが、マイノリティーの意見も私も含めて幾つかあったと思いますが、そこについてもその重要性等も考えて、ぜひこれからの法改正、法律の制定に当たっては、御検討に入れていただければと思っております。
その上で、幾つか今後の課題ということでコメントさせていただきたいと思います。第1に、先ほど申し上げたようなエンフォースメントと、それから具体化という問題でございます。これは先ほども申し上げたので省きます。
第2に、国際的な整合性ということであります。文中にも何度もこれについては確認の意味、ピン留めのような形で書いていただいているので、そこは十分期待をしたいと思います。特に35ページで、相互主義の下で調査協力の体制づくりとしていただいています。G20及びそれ以外の新興国も含めて、この業務、この分野については様々なプレーヤーがおりますので、それらに対して日本がこれだけのものをつくるのですから、リーダーシップを取って進めていっていただきたいと思います。
第3に、今後の柔軟性ということであります。先ほど皆さんからも出た準備金についての細目、それから銀行の保有についてでございます。今回解禁ということで、投資についてもこの中では提案をされているわけでありますし、ちょうどバーゼルの1,250%のリスクウエートについても見直しの可能性が報じられているという中で、金融機関がこの金融資産について、避けては通れなくなるような将来像というのも、もしかしたらほかの委員から、そうではないかもしれないという意見もありましたが、私は十分考えていくべき未来像だと思っております。そういう中で、銀行がどういう形の運用体制を持っていれば、リスクウエートはもしかしたら引き下げられるかもしれませんけれども、その中であっても投資をできる、してもよいということになっていくのか、そういったことは恐らく、金融庁とハンズオンで現場の方々と詰めていただくことが必要になるかと思っております。
そして最後に、今回の範疇外ですが、暗号資産のETFについて一言申し上げます。機関投資家が、今後、最初に考える投資のスキームとしては、やはり暗号資産ETFということになろうかと思いますので、ここについても並行して進められる上では、国際的な規制との整合性、それから、投資家のニーズと合理性について十分考慮して、実態に即するものにしていっていただければと考えております。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】
ありがとうございます。弁護士の伊藤です。
事務局資料の報告(案)につきましては、本ワーキング・グループの議論を的確に過不足なく反映いただいたものと考えております。賛同いたします。大変多岐にわたる論点を、本当に丁寧に拾っていただいたと思っております。ありがとうございました。
その上で、私からは感想のようなコメントを1点と、今後のお願いを1点、合わせて2点申し上げたいと思います。
まず、感想めいたことではございますが、今回の報告(案)で、事務局からも御説明があったとおり、投資あるいは投資家という言葉と、取引あるいは利用者という言葉の使い分けを丁寧にされております。これを見て改めて考えさせられるものがありました。といいますのも、脚注の3で、基本的に利用者という用語を用いて投資家という言葉を限定的に用いることとされておりその意味合いが重要なのだろうと考えています。委員の先生から規制を見直すことは、暗号資産投資にお墨付きを与えるものではないと、これまで何度も御指摘がありましたが、利用者と投資家の言葉の使い分けの意味合いは、この一節に集約されているものと理解しております。
ワーキング・グループの議論でも、暗号資産について、投機対象であるとか、詐欺的であるとか、テロ資金といったネガティブワードが多く登場したと記憶しております。これから行われる規制整備を出発点として、こうした環境が少しずつでも改善して、リスクを承知しながらも、伝統的資産との代替性、オルタナティブ性に着目した合理的な投資判断ができる対象として暗号資産が位置付けられていくことを、ワーキング・グループの議論に加わった者として期待したいと思います。
2点目は、今後のお願いです。今回のこの報告書(案)の内容を、この後法改正、あるいは政省令、ガイドライン、自主規制機関の規律として設定されていくと思います。この際には暗号資産交換業者の実務を踏まえて、持続可能なルールメークをぜひお願いしたいと思います。健全な取引環境の整備として構築するために、現時点で考えられる方策というのは、この報告(案)で議論がかなり尽くされ、内容が反映されていると理解しておりますが、これは非常に多岐にわたりまして、直ちに全てを実現していくことは難しいのではないかと考えております。現に大勢の利用者が、多くの財産を投じているという事実がありますので、そこをまず最優先としなければならない。そのため、制度整備、それから運用を、あまりにも運用の完璧さを急ぎ過ぎるあまり、国内の市場がシュリンクしてしまっては本末転倒であると考えておりますので、今後のルールメークに当たっては、報告書(案)の柱となっております利用者保護、それから取引環境整備という2つの柱を軸にして、優先度の高いものから段階的なアプローチを設計いただくということも一案かと思い、改めてお願いする次第でございます。
その上で、今回の報告書(案)では、重要な課題が幾つか積み残しになっております。例えば、情報提供の内容の正確性、客観性に係る、正確性の担保に係る第三者評価の点、それから、オンラインで行う金融取引に関する適合性原則の確保といった積み残し、そして、先ほど大槻委員がおっしゃいましたとおり、諸外国で実現している暗号資産ETFを我が国でどう考えるのかといったことも重要な検討課題であると認識しております。今回の規制整備が実現した後、速やかな検討が開始されることを期待しております。
私からは以上です。どうもありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、永沢委員、お願いします。
【永沢委員】
最初に、このたびのワーキング・グループに参加させていただく段階で、この暗号資産の規制見直しに参加することの責任というものを強く感じておりました。多岐にわたる論点について、事務局には丁寧に情報提供いただき、的確にまとめていただいたことを感謝しておりますし、また、前回も申し上げましたが、我々の、率直な思い、懸念や戸惑いといったところも伝わっており、表現に大変気を遣っていただいたことにもお礼を申し上げたいと思います。
その上で、私も3つお願いをさせていただきたいと思います。まず第1は、有吉委員やほかの委員の方もおっしゃったことと重なりますが、金融庁の立場として、決して暗号資産にお墨付きを与えるものではないということを、報告書だけではなく、様々なところで御説明いただくときには明示していただきたいということをお願いしたいと思います。
2点目は、自主規制機関へのお願いになります。本日、資料中にも、自助・共助・公助という観点から体制整備を進めていかれると記載いただき御説明をいただいたわけですが、自助・共助はもちろんですが、公助を入れていくことに関しましては、自主規制機関としてのガバナンス体制を整えていただき、運営の透明性の確保とともに、説明責任を十分に果たしていただくようにということはしていただくことをお願いしたいと思います。
3点目になります。これは金融庁の事務局へのお願いというよりも、立法府の国会議員の先生へのお願いになるのかもしれないと思っております。報告書(案)については私は全面的に賛成の立場であり、無登録業者への対応もしっかり書いていただいており、25ページの注83に私の意見を記載いただいたことはありがたいと思っておりますけれども、やはりもう一つ欲しいところは、厳罰化というところでございます。やはり10年に引き上げていただきたいというところを改めてお願いしたいと思います。今回の金商法の改正や、それから、業界自主規制機関の取組みを拡充することによって、国内の暗号資産交換業者と取引をする利用者の保護は、これまで以上にレベルアップするものと評価していますが、無登録営業の厳罰化を重ねてお願いしたいと思います。
この点、報告書(案)の3ページのところで、金融サービス利用者相談室に寄せられる苦情相談の大半は詐欺的なものであると書かれていました。私は国内の登録業者がまさかそんな詐欺的なことに関わっているとは思っておりません。無登録業者による被害だと思っております。これが非常に大きな問題であるということを改めて強く申し上げたいと思います。
それから、今回のワーキング・グループに参加させていただいて新たに気づいたこととして、無登録業者を経由して闇組織にお金が流れているらしいということも、委員の先生方のお話をお聞きして問題だと強く感じた次第です。闇組織へのお金の流れを無登録業者は幇助しているということも考えますと、決して放置してはならないですし、無登録で勧誘営業行為を行うことが割に合わないようにしていくことがとても大事だと思っています。金融庁の報告書(案)としてはこのままでいいと思うのですが、この後、国会のほうでも審議が行われると思いますが、暗号資産の無登録業者に対しては特に強く厳罰をお願いしたいということを述べて、私からは以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、次に、松井委員、お願いします。
【松井委員】
報告書(案)、非常に丁寧に取りまとめをいただき、どうもありがとうございます。
既に他の委員も補完すべきガイドラインや解釈論の必要性についておっしゃっておられましたし、本報告書(案)でもアップデートが必要という点に繰り返し言及されておりますが、報告書の外で同様に暗号資産を取り扱うであろう分野について、少し注などに記載してもよいかと思いました。
この報告書(案)のスコープについては、36ページにおいて触れられているように、今般の規制見直しは、国内の交換業者が通常の取引を行う場合を念頭に置いているものでありますが、暗号資産は決済手段としても使われておりまして、決済における需要が金融資産としての価値を左右するという可能性があります。この点、暗号資産は匿名性が高いところから、近年ランサムウエアの支払い手段として指定されるといったことも多いと言われており、本ワーキング・グループでもそうした点について言及がなされました。そうした大口の決済が内容を示さずになされる事態に対して追跡性を高めるような、特にFATFの観点からの規制といったものは、将来的に追加的になされるといった可能性があります。そういったことから、本ワーキング・グループの報告はあくまで金商法の観点からの報告であるという点を少し注記するということが考えられるかと思ったところであります。
匿名性の高い決済の需要が金融商品の価値を左右する可能性について、現時点では恐らく考える必要はあまりないかと思っており、本報告書(案)との関係で、関係がありそうな、修正が必要そうな部分はないかと思っております。
運用において将来的に悩みが起こり得る事例のひとつとして、31ページの重要事実の公表前の売買禁止についてというのがありますが、理論的には、例えば企業が匿名で大量のコインを調達して決済する、そうせざるを得ないような事態に追い込まれるといったような場合、企業に対して取引情報を一般に公表するということを求めることは対応を難しくする可能性があり、また、暗号資産の価値が高騰すれば、犯罪者側にウインドフォールを与えることになってしまうという点でも望ましくないと思いました。この点ランサムの支払いというのは、流通量の大きなコインのほうが安全であると思いますから、恐らく企業が発行済暗号資産の20%を占めるような大規模な調達を行ってランサムを支払う事例というのは事実として存在しないでありましょうし、あるいは、既に1,078行目に検討していただいているように、決済として必要な資金の移動である以上、重要な事実と関係なく決済を行ったであろうという立証が可能なため、適用除外となるという形の考え方になるのであろうというふうに思いますが、法改正後は場面を特定した上で、より詳細な解釈論を深化していくことが必要な部分はあるだろうと思いますので、引き続きそういった点には御対応をお願いしていきたいと思います。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、次に、松尾健一委員、お願いします。
【松尾(健)委員】
ありがとうございます。松尾健一でございます。私も、今後の法案化、あるいはその後の運用において、ぜひ考えていただきたいことを1つ申し上げます。
他の委員からも、課題が多いので優先順位をという発言がありましたが、私はぜひ、無登録で暗号資産取引の勧誘を行う者、あるいは投資助言を行おうとする者の規制といいますか取締りを、最優先にやっていただきたいと考えております。先ほど永沢委員からも御指摘がありましたが、個人の非富裕層の取引参加者が多いという暗号資産の特性からしますと、こういった詐欺的な取引に巻き込まれるリスクというのは非常に高いのが現状で、それが喫緊の課題の中でも最優先の課題だと個人的には考えております。そのため、その取締りをぜひやっていただきたいと思います。
方法としましては、厳罰化という御提案もありましたが、やはりここはいたちごっこといいますか、取り締まる側の人的資源の限界のあるところでもありますので、報告書(案)で提案されている民事効のところ、無登録の業者との取引は無効であるということにして、一般の私人からの責任追及といいますか、エンフォースにも期待したいところで、ぜひ民事効を定めるという方向は維持していただきたいというように考えております。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、次に、河野委員、お願いします。
【河野委員】
日本消費者協会の河野でございます。暗号資産に対する法規制の取りまとめに当たって、事務局をはじめとして関係者の皆様の御尽力に、心から敬意を申し上げます。
取りまとめられた内容で必要かつ十分かという問いには、他の委員の先生方からも御指摘が多々あったところですけれども、今できる最善を追求した結果として、報告書(案)に列挙されている各対策については賛同いたしますし、書かれている内容が確実に実行に移されていくように、迅速な対応を期待しております。
報告書(案)内で利用者と投資家等とを区分いただいたところですが、一般消費者にとって、名前は聞いたことはあるけれども、技術や仕組みなど本質が理解されているとは言い難い暗号資産取引を行うには、その前提として、適切に取引環境が整備され、利用者保護が図られることは必須要件です。特に貯蓄から投資へと政策が後押ししており、国民の投資への意識や実際の行動においても敷居が低くなってきている状況においては、リスクを認識する機会として、この取りまとめというのは、まさに時宜を得ていると思っています。
議論の開始時点においては、この分野の進展を阻害しないようにリスクテイクすべきだという言及もありましたが、今回のような環境整備を行い、暗号資産を一人前に扱うことで不安や不信を取り除くことこそが、暗号資産の適正で健全な進化を担保することになるのではないかと思います。
その上で、取りまとめで最も期待していることですが、これまでも何名かの方からの発言がございました、無登録業者による悪質な勧誘による詐欺的な被害への対処です。悪意を持って行う不正行為というのは従前から数多く発生しており、ことさら暗号資産だからということではないと考えますけれども、25ページに記述いただいたように、この分野の罰則強化や民事効規定の創設を強くお願いしたいと思います。同時に、簡単にもうかるというような甘言にだまされないように、消費者側としても一定のリテラシーを備える必要があります。金融庁、消費者庁やその関連機関、地方公共団体、そして、今回この議論に積極的に加わってくださっている日本暗号資産等取引業協会、日本ブロックチェーン協会、日本暗号資産ビジネス協会など各業界団体の皆様が先頭に立って、啓発や情報提供に力を入れていただきたいと思います。
最後に、議論に参加した1人の消費者の率直な感想として、36ページの「おわりに」の最後のほうに記載されている、「今後も国際的な規制当局間で連携を図りながら…今般の規制見直しについても…適切にフォローアップし、…不断の規制見直しを行っていくこと」が本当に重要なことだと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、佐古委員、お願いします。
【佐古委員】
私からも、本当に丁寧に各委員の意見を反映していただいて、事務局には相当の御苦労があったと思いますけれども、ありがとうございました。
今回の議論にもありましたように、暗号資産の多くは、実体経済と結びついた基礎価値がなくて、期待や需給、あるいはストーリーに基づいて価格が変動していることから、一体どういう情報を提供したらその購入判断に資するのか、どういう情報を提供すべきかというところが、まだ私自身も分かっておりませんし、また、215行目にあるような投資性の考え方と整合しているかどうかもまだ腑に落ちてないのですが、今回の報告(案)に示すように、金商法で扱って詐欺被害を減らすことが一番重要だと考えておりますので、こちらの報告書(案)に賛同いたします。
今後も、「おわりに」のところに書いてあるように、ぜひ随時見直していただければと思っております。お疲れさまでした。ありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、河村委員、お願いします。
【河村委員】
河村でございます。各委員と同じになってしまいますが、本当に委員の様々なコメントを丁寧に拾っていただいて報告書(案)を取りまとめていただき、ありがとうございました。
私からは1点だけです。先ほどもお話にありましたが、私もビットコインのETF等に関しては非常に気になっておりまして、今後どういう検討をされていくのかというのを見守っていきたいと思いますし、報告書(案)の中には、ビットコインETF等が上場されている中で、投資対象である暗号資産について、価格形成や取引の公正性を確保する必要性が高まっているということで、今回インサイダー取引規制というものが入ってくるということですが、有吉委員がおっしゃったように、どういうものが今回の規制の対象になっていくのか、またそこから抜け落ちるけれども不公正と評価されるものについてはどのように対応していくのかについては、まだまだ見えないところもあるかという気がしておりますので、場合によってはQ&Aなどの形を使って明確性を確保していくと同時に、有吉委員もおっしゃっていたように、私自身もどういうものが暗号資産の不公正取引になるのかについて、さらに研究を重ねていきたいと思った次第です。
本当にありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。
これで委員の皆様からは一通り御発言をいただいたかと思います。
それでは、オブザーバーの方からも御意見をいただきたいと思います。それでは、日本ブロックチェーン協会さんのほうから、まずお願いします。
【日本ブロックチェーン協会】
日本ブロックチェーン協会代表理事の加納でございます。本日は、金融庁が示された方針に対し、業界団体としておおむね賛同の意を表明いたします。また、この制度整備に向けて尽力されてきた多くの関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
日本の暗号資産規制は、利用者保護とイノベーションの両立を重視した、世界でも先進的な枠組みです。EUや米国の規制環境の下で事業を展開してきた経験を踏まえても、暗号資産に特化した包括的な規制体系を早期から整備してきた点は特筆すべきものだと考えています。暗号資産は今や新たなステージへと進み、国民の資産形成や新たな金融インフラとして、より多く、より広く社会に貢献する領域へと進化しております。セキュリティについては、コモディティー化された非競争領域は業界全体で標準化、協調を進める共助・公助の仕組みを整えつつ、ブロックチェーン由来の先端セキュリティなど、競争領域では、自助による投資と市場原理による高度化を図るという二重構造のアプローチが重要だと考えております。
また、海外の規制と比較しても、日本は早期からウォレット管理や顧客資産分別管理を徹底した点で優位性がありまして、実際に海外企業が破綻した際にも、日本の子会社における顧客資産が全額保護されたという実績があります。こうした点からも、日本の制度は国際的に見ても、模範的であると確信しております。
今後、暗号資産交換業者が金融商品取引法の管轄下となり、スタートアップではなく、社会の公器としての金融機関の役割を担っていく中で、業界団体としては、規制の枠組みを尊重しつつ、革新的な技術とサービスの提供を通じて、日本の暗号資産業界全体の健全な発展に引き続き貢献してまいります。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございます。
それでは、次に、日本暗号資産等取引業協会様のほうからお願いいたします。
【日本暗号資産等取引業協会】
日本暗号資産等取引業協会から、皆様にお礼を述べさせていただきたく、最後、時間をいただきました。
本日も、様々な委員の方から様々な御指摘をいただきました。我々として、改めてこの暗号資産業界に対して求められる社会的意義、役割があるのではないかということを勉強させていただきました。本日、本当にこれだけのことをしっかりやっていけるのかということ、御指摘いただきましたが、我々としては、当局とも連携していきながら、しっかりと対応を取ってまいりたいと思っておりますので、引き続き御指導、御鞭撻いただければと存じます。
【森下座長】
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。よろしいですか。
そういたしますと、報告書(案)につきましては、大筋で皆様から御賛同をいただけたものと思っております。その上で、本日いただいた御意見ですとか御指摘を踏まえて検討させていただければと思います。あわせて表現の平仄などの精査もさせていただければと思います。
こうした点につきましては私に御一任をいただき、取りまとめとさせていただきたく存じますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
また、報告書の公表等の取扱いにつきましても、私に御一任をいただきたく存じますが、そのような手続で進めさせていただいてもよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。
これまで、本日も含めて6回にわたり活発な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。多くの内容を扱いましたけれども、委員の皆様、御協力いただきました事業者団体、事業者の皆様、そして、何よりも事務局の皆様のおかげで、多角的な視点から、バランスの取れた充実した議論を行うことができたのではないかと思っております。今後、この報告書を踏まえて具体的な取組みを進めていくこと、また、さらに検討を深めていくことが重要かと思います。皆様、それぞれのお立場から、ぜひ引き続き御対応賜りますと幸いです。
なお、多くの委員からも御指摘のあった点ですが、今回の報告書は、暗号資産に金融投資の対象としてのお墨付きを与えるものというものではなく、実際に暗号資産取引が相当のボリュームで行われていることを踏まえ、可能な範囲で健全な取引環境を整備することを目指すというものですので、今回の報告書を紹介されたり報道されたりする場合、この点につきまして、正確にお伝えをいただければと考えております。
それでは、最後に、井上企画市場局長より一言お願いいたします。
【井上局長】
本ワーキング・グループにおきまして、6回にわたりまして、座長の森下先生をはじめ委員の皆様に精力的に御検討いただきましたこと、事務局を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。
事務局といたしましては、今後、報告書で示された内容、あるいは本日いただいた委員の皆様の御意見に沿って、法律改正を含めた制度整備等に取り組んでまいりたいと思います。
今後も御指導いただくことはあろうかと思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。
―― 了 ――
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