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- 金融審議会「地域金融力の強化に関するワーキング・グループ」(第2回)議事録
金融審議会「地域金融力の強化に関するワーキング・グループ」(第2回) 議事録
日時:
令和7年10月2日(木曜)16時00分~18時00分場所:
中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室 ※オンライン併用議題:
- (1)開会
- (2)ヒアリング
- (3)討議
- (4)閉会
出席者:
- 【委員】
-
家森信善(座長)、翁百合(座長代理)、大庫直樹、小倉義明、神作裕之、
河野康子(オンライン)、西原里江、野崎浩成、原恵美、松井智予、山本眞弓 - 【プレゼンター】
-
全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、
株式会社地域経済活性化支援機構、株式会社日本政策投資銀行、SoFun株式会社、
一般社団法人VENTURE FOR JAPAN - 【金融庁】
-
柳瀬総括審議官、岡田政策立案総括官、今野総合政策課長
石田監督局長、田部参事官、小野銀行第二課長、澤飯協同組織金融室長、和田地域金融モニタリング参事官
井上企画市場局長、山下参事官、横山信用制度参事官、守屋信用制度企画室長、本間信用機構企画室長 - 【オブザーバー】
-
全国銀行協会、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、
日本労働組合総連合会、財務省、中小企業庁、日本銀行、預金保険機構
議事録:
【家森座長】
それでは、もう少し定刻までありますけれども、委員の先生方に御出席いただいていますので、ただいまから地域金融力の強化に関するワーキング・グループの第2回会合を開催いたします。
皆様、御多忙のところ、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
本日の会合も前回に引き続き、オンライン会議を併用した開催とし、会議の模様はウェブ上でライブ中継をさせていただいております。
議事録は、通常どおりの作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
次に、今後、私が何らかの事情で会議に参加できないような場合に備えまして、翁委員に座長代理をお願いしたいと思っております。翁委員におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、メディア関係の方々はここで御退席をお願いいたします。
(報道関係者退室)
【家森座長】
ただいまより、議事に移ります。本日は、初めに、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会様より、地域金融機関による地方創生の取組について、それぞれ資料2から5を基に御説明をいただきます。
続けて、地域経済活性化支援機構(REVIC)、日本政策投資銀行(DBJ)、SoFun、VENTURE FOR JAPAN様より、地域金融機関等と連携した地方創生の取組について、それぞれ資料6から9を基に御説明をいただきます。
その後、全体についてまとめて委員の皆様より御意見や御質問をいただくという流れで進めさせていただきます。
また、事務局より参考資料として第1回ワーキング・グループにおける主な御意見を取りまとめたものと投資専門会社及び銀行業高度化等会社に関する制度を取りまとめた資料10を提出しておりますので、議論の参考にしていただければと思います。
銀行業高度化等会社については、前回のワーキング・グループにて複数の委員から実態がどうなっているのかを教えてほしいという御指摘がありました。この点、事務局から補足的な御説明をお願いいたします。
【小野銀行第二課長】
銀行第二課長の小野でございます。
高度化等会社について簡単に御報告させていただきます。高度化等会社に関しましては、これまでに77社が設立されておりまして、直近2025年3月期では約3分の2程度の企業が黒字、残り3分の1程度が赤字となってございます。
77社のうち大宗が設立3年以内の会社でございますので、創業直後は赤字であってもやむを得ない面もあろうかと思っております。また、黒字であっても最大数億円程度です。ただ、一般的に高度化等会社は地域の活性化に寄与することを目的として設立されておりまして、中長期的に銀行グループ全体の収益力に裨益することが期待されております。
銀行に聞き取り等を行いますと、今後は増収増益を目指すとしておりまして、また、銀行本体との人事交流によるノウハウの吸収ですとか、取引先企業への伴走支援などによりまして収益以上の成果を上げているとの声もありました。
こうした状況も踏まえまして、今後も高度化等会社につきましては、適切にモニタリング、フォローをしていきたいと考えております。
私からは以上です。ありがとうございました。
【家森座長】
小野課長、ありがとうございました。
それでは、ヒアリングに移らせていただきます。まずは全国地方銀行協会様より御説明をお願いいたします。
【全国地方銀行協会】
全国地方銀行協会で会長行をしております横浜銀行の小野寺と申します。よろしくお願いいたします。このたびはこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、地方銀行の立場から3点について御説明したいと思います。
1つ目は、地方創生に向けた取組、2つ目は、地方の成長に向けて対処すべき課題、3つ目は、地域金融力の発揮に向けて必要な環境整備でございます。
2ページを御覧いただきたいと思います。地方銀行の役割と使命をまとめさせていただいておりますが、地方銀行には、地域のお客様へのサービス提供を通じ、地域経済の持続的な成長を後押しするとともに、地方自治体などと連携して地方創生の取組を進めていくことが求められています。
3ページに移りまして、地方創生に向けた横浜銀行の取組を紹介させていただきます。
横浜銀行では、地域や社会の課題解決に主体的に取り組み、地域の魅力の創出や地域経済の活性化に貢献することで自社も成長するといったような持続的な好循環の実現を目指す取組を進めております。具体的な事例については右側を御参照ください。
5ページ目、地域経済や地方銀行を取り巻く環境と地方銀行として認識している課題について御説明します。
地域経済を取り巻く環境は、少子高齢化や米国関税等の影響により一層厳しさを増しております。地域経済を支える地方銀行においても、異業種の銀行参入等によりまして競争が激化しているというところでございます。
このような環境下でさらなる地方の成長を実現していくためには、地方銀行がより高度な金融・非金融サービスを提供していくことが求められており、以降のページで、地方の成長に向けて対応すべき課題を「事業承継・M&A」、「GX・脱炭素」、「地域の再開発、にぎわい創出」、「地域特有の課題への対応」ということで4つに分けて御説明します。
6ページの概要ペーパーで全体像を説明したいと思います。時間の関係もございまして、規制緩和のところに絞って御説明しますが、現状の取組や足元の課題については7ページ以降も御参照ください。
全ての分野において現状でも地方銀行として取組を進めておりますが、さらなる取組に向けては、課題も多くあるため、地域金融力のさらなる発揮に向け、規制緩和等、検討いただきたいと考えております。
「事業承継・M&A」では、事業承継の場面に限定した不動産仲介業務の実施や投資専門子会社によります株式会社以外への資金供給の可能化、また、VC条項の解釈の見直しを検討いただけますと幸いです。
「GX・脱炭素」では、SPC向けの与信をスポンサー企業の与信と合算せずに管理できるような大口信用供与規制の見直しや、GX分野での国と民間のリスクシェアの拡大などを検討いただきますようお願いします。
「地方の再開発、にぎわい創出」では、再開発の場面に限定した不動産仲介業の実施というのを検討いただけますと幸いです。
「地域特有の課題への対応」では、銀行持株会社から一般持株会社へ柔軟に移行できるルールの創設や銀行グループ内での資金融通を大口信用供与規制から除外することについて検討いただきますようお願いします。
6ページから飛びまして12ページ目まで進めていただきたいと思います。資本参加制度、資金交付制度の拡充についてでございます。資本参加制度については、東日本大震災など大規模災害時に地域を支えようとする金融機関を後押しいただいたと認識しております。制度の利用は個別行の経営判断でありますが、経営の選択肢を増やす観点からも期限延長や大規模災害時等の特例措置の恒久化などを検討いただきますようお願いします。
資金交付制度については、これまでも経営統合等による経営基盤強化を検討している金融機関にとって経営判断の一助となってきたと認識しております。本制度についても、期限延長を行うとともに、足下の物価上昇等を踏まえた交付上限額30億円の引上げを御検討いただければと存じます。
また、第1回のワーキング・グループでも言及しましたが、金融行政方針に記載のあるシステムの共同化等の促進については、中小規模の金融機関にとってはコスト削減につながるというものでございまして、御検討いただけることは非常にありがたいと考えております。
13ページ目、監督・モニタリング対応の在り方でございます。特に中小規模の地域金融機関にとっては、監督・モニタリング対応が過度な負担となっているケースもあるため、本ページに記載しているような負担を軽減し、地域金融力の発揮に集中できるよう検討いただけると幸甚に存じます。
本ワーキング・グループでの議論は、地方銀行が地域金融力を発揮するための環境整備など、これまでの取組を後押しいただけるものであり、地域金融力強化プランの策定には非常に期待しているところでございます。
我々としましても、地方銀行が今後も地域金融力を発揮して、地域経済の持続的な成長、地方創生に貢献できるよう取り組んでまいります。
全国地方銀行協会からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
それでは、続いて第二地方銀行協会様より御説明をお願いいたします。
【第二地方銀行協会】
第二地方銀行協会の一般委員長を務めております愛媛銀行の矢野でございます。本日はよろしくお願いいたします。
1ページを御覧ください。私ども、加盟行36行は、無尽をルーツとした業態であり、地域やお客様とのリレーションを大切にし、円滑な資金供給と事業者支援等を行っております。
地方は、人口減少、高齢化等多様な課題を抱えており、丁寧な対話により資金繰り支援だけでなく様々なコンサルティングを通じて地域や企業の課題解決に取り組んでおります。
2ページ目を御覧ください。御覧のとおり、本業支援であるビジネスマッチング、事業承継・M&A、企業再生ファンドへの出資は増加傾向にございます。
3ページを御覧ください。これからは会員行における地域活性化に向けた取組を具体的に御紹介したいと思います。
北海道を地盤とする北洋銀行の事例でございます。事業承継に悩む優良老舗ばね製造会社へのファンド出資と人材紹介の取組です。
ばね製造会社の事業承継ニーズを北洋銀行がいち早くキャッチして、同行が設立した北洋事業承継ファンドがばね製造会社の全株式を取得したものでございます。また、ファンドによる株式取得にとどまらず、前社長の後任をファンドの運営会社、北海道共創パートナーズが経営人材の紹介に取り組み、新社長を招聘することができ、事業承継が非常にスムーズに行われて地域活性化につながった事例でございます。
4ページを御覧ください。愛媛県はかんきつ類の収穫量がトップクラスです。産地の課題は収穫時期の人手不足でございます。これを解決するために、愛媛銀行は株式会社クラダシ様と連携して、社会貢献型インターンシップとして、人手不足で悩む地方農家と地方創生等に興味がある学生とをつなげて、収穫繁忙期の作業とフードロス削減につなげる活動を行っている事例でございます。
この取組は、資料左下にあります令和5年度消費者志向経営優良事例表彰において特別表彰を受賞しています。
また、その右のスキーム概要図にあります一次産業事業者とのマッチングによりまして、資料には掲載されていませんが、事業者である株式会社宇和島プロジェクト様ほか、地元の水産加工場に対しまして、私ども地元金融機関からの資金供給とマッチング支援を行った結果、全国寿司チェーンとの取引拡大であるとか、2016年から国内初のハラル認証取得によりましてドバイ、インドネシア向け販路が広がりました。
また、資金供給により、急速冷凍機器、AIの給餌機の導入によりまして、米国ほか海外輸出の拡大につながっております。
この取組は、資料の右側に記載のとおり、農林水産省のESG地域金融モデル事例集に掲載をされております。
5ページを御覧ください。これは第二次産業支援事例でございます。地元の解体・建設企業グループと協業を行い、2028年に国内初となるシップリサイクル事業開始を表明するに至った愛媛銀行の事例でございます。
船舶の解体から得られる鉄スクラップは高品質な鉄スクラップに分類される貴重な資源で、海外への流出を防ぐ、まさしく国策としての取組でございます。
愛媛銀行は2013年から国交省海事局に若手行員を出向させて、造船海運業に関するノウハウを学んで、船舶融資の専門家を育成しております。その専門人材がこのシップリサイクル事業の重要性をいち早く理解して、側面から支援してきたという事例でございます。
6ページを御覧ください。三次産業への支援です。上段が地域企業の本業以外の新たなビジネス創出をオープンイノベーションにより支援している事例です。下段は、銀行業高度化等会社の認可を取得して地域商社を設立しまして、ネットショップで地元の産品を販売している事例でございます。
7ページを御覧ください。上段左は、地元医師会と連携しての開業、右は、後継者のいないクリニックの事業承継を銀行の旧店舗、閉店した旧店舗を活用して開業まで支援した愛媛銀行の事例でございます。
下段の事例は、日本政策金融公庫と連携して協調融資や事業承継に直面する企業を支援した事例でございます。
8ページを御覧ください。1点目は、地域金融力の発展に向けた施策について申し上げます。会員行それぞれの地域で個々の事業者に応じた支援が重要でございます。会員行が地域金融力を発揮する中で、支障となる規制等があれば、地域の実情を踏まえて柔軟に検討いただきたいと存じます。
9ページを御覧ください。具体的な要望の1つ目は、投資専門子会社のエクイティ支援などの業務を中長期的に行うケースがあるため、当子会社の株式保有期間制限の緩和をお願いするものでございます。
加えて、当子会社の専門性を生かす観点から、投資先以外のコンサルティング業務の規制緩和などを見据えて検討いただけると幸いでございます。
具体的な要望の2つ目は、銀行業高度化等会社の認可制から届出制に移行できないかということでございます。
10ページを御覧ください。2点目は、非競争分野に対する支援について申し上げます。マネロンやサイバーセキュリティ等の非競争分野に係るコスト負担は大きくなっております。環境整備の一環として、政府による資金面、共同化支援または資金交付制度の拡充を検討いただきたいと思います。
11ページを御覧ください。最後に、経営基盤強化策としての資本参加制度についてでございます。資本参加制度を利用するか否かは各行の判断ですが、予測不可能な災害等の発生に備えるという観点からは、予め特例を整備して迅速に対応できるよう制度設計することが必要であると考えています。資金交付制度についても検討が必要であると考えています。
私からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
それでは、続いて、全国信用金庫協会様より御説明をお願いいたします。
【全国信用金庫協会】
全国信用金庫協会の市川でございます。本日は発言の機会をいただき誠にありがとうございます。
早速ではありますが、お手元にございます私どもの資料に沿って説明いたします。表紙をめくっていただくと目次がありまして、2から3ページは信用金庫の制度や役割などに関する資料で、後ほど御一読いただければと思いますが、協同組織金融業態の特徴を少し説明しますと、3ページの真ん中辺りに業界の中央機関である信金中央金庫がございます。信金中金は、2行目の中ほどのとおり、個別信用金庫の余資運用の支援や、3行目のとおり、業界の信用力の維持・向上の観点から個別信用金庫の経営指導や資本支援等を行う自主的な業界制度を運営しております。
また、その下にしんきん共同センターとありますが、1行目の後半にありますように、約9割の信用金庫の勘定系システムを共同化して運用・管理するとともに、システム企画や開発も行っております。このセンターに加盟せず自前でシステムを運営している信用金庫も効率化の観点からこの共同センターに新たに加盟する動きも強まっております。
4ページ目は信用金庫の地方創生の事例でございます。事例1は、ICTを活用して新たに農業を始めたいという方を支援している事例で、事例2は、長野市の中心市街地の活性化のために市街地で新たに創業したいという方を支援する取組でございます。
詳しい説明は省略いたしますが、業界ではこうした地方創生の取組に関して、緑の枠内の2行目にありますとおり、信用金庫社会貢献賞という制度を設けて優れた取組を表彰しております。
5ページを御覧いただきたいと思います。地方創生に関する制度改正の要望についてでございます。
まず、資本参加制度ですが、左上のとおり、業界では東日本大震災により4金庫が金融機能強化法の震災協金特例に基づく資本支援を受けております。大規模な自然災害や感染症などの拡大など、地域が甚大な被害を受けたときなど信用金庫の経営の責任によらない場合には、協金特例を利用しています。
話は少し逸れますが、6ページの下に参考2とございます。信用金庫が地域の持続的な発展のために金融仲介機能を維持していく中で資本支援が必要となる場合は、金融機能強化法による資本支援ではなく、信用金庫業界で制度として運営している資本増強制度により、信金中金が優先出資を引き受ける形で資本支援し、信用秩序の維持を図っております。
こうした協同組織業態が運営している優先出資による業界のセーフティネットも、地域の金融力の強化という観点から優先出資法を改正する必要があると考えており、後ほど御説明をしたいと思います。
5ページに戻りますが、右上に震災協金特例により資本支援を受けた信用金庫の声を記載してございます。全部は説明いたしませんが、津波や原発事故で将来を見通せない状況下において、地域の復興に向けた支援に尽力できたなど感謝が寄せられております。
したがいまして、6ページの上段の丸の2つ目の赤字のとおり、大規模災害を想定した資本参加制度の枠組みは重要だと考えております。
2行下の赤字ですが、協同組織金融機関向けの特例制度と同様の制度は維持していただきたいと思っています。
また、その下に、先ほど説明させていただいた業界のセーフティネットとして、信金中金が優先出資法に基づいて優先出資を引き受けていますが、優先出資法よりも金融機能強化法のほうが優先出資の消却に関する定めが柔軟になっています。経営が安定し、信用金庫が支援を受けた優先出資を返済したい、つまり、消却したいときの消却方法が優先出資法よりも10年以上後に施行された金融機能強化法のほうが柔軟に消却できるので、優先出資法にも同じように規定いただきたいと考えています。
支援を受けた信用金庫がより柔軟に消却できれば返済しやすくなりますし、支援をする信金中金も制度の運営が円滑となり、ひいては地域金融力の強化につながりますので、ぜひとも御検討をお願いしたいと思います。
次に、7ページを御覧いただきたいと思います。資金交付制度についてですが、地域経済の活性化を後押しする観点から、制度の期限延長と拡充をお願いしたいと思います。
具体的には左側の①ですが、業界は、冒頭説明したとおり、9割以上の信用金庫が共同して勘定系システムを利用しており、合併等に係るシステム統合費用は相対的に小さい金額で済みます。
つきましては、②にありますとおり、マネロンですとかサイバーセキュリティなどに関しても共同化が進んでいますが、こうしたシステムの更改や開発にかかるコストは上昇基調にございます。レ点の3番目にありますとおり、こうした共同化の範囲や機能をより拡充できれば、事業者支援の取組に一層注力できますので、4番目のレ点のとおり、共同化に係るシステム費用も交付の対象にしていただきたいと思います。
8ページを御覧いただきたいと思います。地方創生に関する規制緩和要望について何点か記載しておりますが、まず①は、地域住民が生活をする上で欠かせない医療法人や社会福祉法人などに対する融資の件でございます。人口減少が進む中、地方はこうした法人などが統合・集約化していき、融資をできる会員資格の条件を超える従業員数になってしまうことがありますので、資格条件を超えても貸出しできるように会員外の貸出先として列挙していただきたいと思います。
その下の②は、政府が地方創生の方策として二地域居住を推進しているところであり、大都市圏の方が地方で事業を営むケースが増えています。そうしますと、大都市圏の方が地方で融資を受けたいというニーズが出てくるわけですが、この方々は地方には居住地がないので、地元の信用金庫としては会員資格がないという解釈をしてまいりました。地方の地元の信用金庫が融資できませんので、こうしたケースにおいても会員資格の解釈の弾力化をお願いしたいと思います。
9ページ、10ページにも幾つかの要望を記載しておりますが、時間の関係上、説明を省略させていただきます。
私からの説明は以上でございます。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
それでは、続いて全国信用組合中央協会様より御説明をお願いいたします。
【全国信用組合中央協会】
全信中協、全信組連の北村でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の資料5に沿って御説明いたします。表紙を開けていただきますと目次がございますが、その次のページ、資料の右下1ページをお開きください。ここに信用組合の特性と概況をまとめております。上の四角囲みにありますように、信用組合は、組合員同士の相互扶助を基本理念とする協同組織の金融機関であります。
下の円グラフを御覧ください。貸出先の割合で見ますと、貸出金額1,000万円未満の割合が68%を占めておりますし、貸出先の規模でいえば、従業員数10名以下の事業者が9割を超えているなど、他業態と比べても信用組合の取引先は地域の小規模事業者が中心です。そうした方々にとって最も身近な金融機関として、組合員の利益を第一に考え、金融事業等に取り組んでおります。
また、基盤とするコミュニティの違いにより、地域、業域、職域の3つに分類されるように、多様性に富んでいることも信用組合の特徴です。協同組織の原点に近いとも言えようかと思います。
次の2ページをお開きください。信用組合による地方創生の取組事例を2つ御紹介します。まず、秋田県信用組合の事例です。同組合は、2016年に人口減少・過疎化が進行する上小阿仁村と地方創生包括連携協定を締結し、地域の特産品を活用した商品開発及び販売支援に取り組んでいます。商品企画から試作開発段階まで協働で取り組み、これまでに20商品をアイテム開発したほか、首都圏の通販会社や百貨店との成約、村内での新規雇用創出など、地域活性化に貢献しています。
2021年からは「上小阿仁村を日本一元気な村にする」をテーマに経営塾を開催するなどの取組が内閣官房デジタル田園都市国家構想事務局から大臣表彰を受賞しております。
次の3ページをお開きください。長野県信用組合の事例です。同組合では、2017年度から、広義の知的財産について企業と議論を交わすことで有効な課題設定ができるとの考え方から、知的財産を切り口とした取引先企業等の経営支援に注力しています。
産学官金の各機関が連携して、大手企業の開放特許のマッチング、知財の権利化、製品のブランディング等を支援し、事業者の企業価値向上を図るという「長野けんしんモデル」を確立してきました。
この枠組みの下、2年間で計20社に対し支援を実施し、日本弁理士会が主催する知的財産活用表彰において最高賞、知的財産活用支援大賞を受賞しています。
次の4ページをお開きください。資本参加の意義について、資本支援先の地域や事業者への貢献として相双五城信用組合の事例を御紹介します。
相双五城信用組合は、福島県相馬市に本店を置く小規模な信用組合ですが、右の年表にありますように、東日本大震災により相双信組が壊滅的な被害を受けたため、2012年1月に金融機能強化法に基づく震災特例により160億円の資本支援を受けました。その後、宮城県にあった五城信組と合併し、現在の相双五城信組となっています。
左下の2ポツに震災復興の取組を簡単に整理していますが、これまでに被災事業者695先に対し228億円の新規事業性融資を実行し、今なお避難する組合員のための相談サポート体制を構築しています。また、二重ローンの問題についても、2つの機構と連携して支援を継続しています。
次の5ページに相双五城信組による取引先経営支援の事例を掲げておりますが、時間の関係上、後刻、御高覧いただければと存じます。
なお、資本支援先の管理体制の在り方につきましては、本ワーキング・グループにおける議論の動向等を踏まえつつ、全信組連として主体的に見直しを検討していく必要があると認識しており、業界の信頼性向上と健全な発展に引き続き尽力してまいります。
最後に6ページをお開きください。御要望事項として、信用組合業界のITインフラ強靱化プランを掲げています。上の四角囲みにありますように、信用組合の経営体力は二極化しており、小規模信組の収益確保の努力は限界に直面しております。信組業界はこれまでもしんくみ共同センターの運営を通じたシステムの共同化を進めてきましたが、その負担は年々増加傾向にあり、小規模組合の自己負担の許容額を超えつつあります。下記にある大型のシステム開発案件が控える中、地域金融力強化に資するITインフラの共同化スキーム拡充・高度化のため、全信組連がその開発運営費を負担する場合等に一定の資金的援助をお願いできればと考えております。
以上で御説明を終わります。ありがとうございました。
【家森座長】
ありがとうございました。
それでは、続きまして、地域経済活性化支援機構様より御説明をお願いいたします。
【地域経済活性化支援機構】
地域経済活性化支援機構の渡邊でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の資料をめくっていただきまして、1ページ目、今日、会社概要と事例、この2つでお話をしたいと思います。
会社概要でございますが、社名にありますとおり、地域経済を活性化するための官民ファンドでございます。
役員のところを見ていただけますでしょうか。このたび、大石を横浜銀行から招聘させていただき、渡邊から竹山まで、この4名が民間の人間、常務取締役の柴田、これが財務省、安楽岡が経産省ということでございまして、まさに官民で連携して地域経済を活性化する企業でございます。
続きまして、次のページをめくっていただいて2ページ目です。官民ファンドは実は期限がございまして、弊社もその例外ではございませんが、2025年の6月に延長させていただいております。
その趣旨でございますが、1番目のところに書いてある「法律案の趣旨」というところでございますが、能登地震の教訓を踏まえて、REVICによる災害者支援による措置を講ずるということで、災害対策の強化を図る意義で法律の変更が行われております。
具体的な改正内容で4点ございますが、ここで申し上げたいのは2点でございます。まず1つが、REVICの目的の明確化ということで、大規模災害を受けた地域の経済の再建を目指すということが1点でございます。それから3番目のところにございますが、業務期限、こちらのほうも15年の延長ということになってございます。
そういった会社でございまして、どういう活動しているかというのが次の3ページに書かれてございます。
役割としては、地域金融機関の皆様方が取り組む地域活性化をソリューションの提供、実行支援の両面からサポートするということでございます。
地域には様々な課題がございまして、創業から廃業まで、こちらまで抜け目のない支援をできるように我々、体制を整えているところでございます。
具体的な業務内容は次の4ページでございます。全部で5つございまして、1つ目がまずファンドの運営と出資。それから2番目が事業再生の支援。3番目が特定支援。こちらのほうは廃業支援と理解いただければと思います。それから、特定専門家派遣。それから5番目が、後ほど説明しますが、人材マッチング促進事業。この5点で人とお金で地域を活性化するのをお手伝いするというのが我々の業務でございます。
業務実績内容については次の5ページでございます。少し数字が細かくなりますので、後ほど御覧いただければと思います。
続きまして、6ページ目でございます。こちらが先ほど申し上げた、地域企業の経営人材マッチング促進事業、通称レビキャリというものでございますが、こちらのコンセプトとしては、大企業から地域の中堅・中小企業への人材の流れを創出するためのプラットフォーム、これがレビキャリです、こちらを我々が運営してございます。
真ん中のところにございますが、これまでの実績として、マッチング件数234件、御協力いただいている金融機関の皆様方198社という形で、現在もなお活動中でございます。
続きまして、その事例についてお話ししたいと思います。飛びますが、8ページ目をお願いいたします。まずレビキャリでございますけれども、こちらの事例でございます。東京にお住まいの50代の大手自動車メーカーの方がいらっしゃいまして、こちらの方が、北海道のバス会社に経営企画室長として派遣されることになりました。仲介していただいた金融機関は地元の帯広信金ということでございます。きっかけは奥様の出身の北海道への移住ということでございましたが、いいマッチングができたのではないかなと考えてございます。
もう一つ、レビキャリの事例でございますが、次の9ページ御覧いただければと思います。こちら、東京在住の60代の総合商社の方でございます。70近くまで働きたいという御意向がありましたので、地元の伊予銀行様が製紙会社を紹介させていただいて、ポジションとしては営業部長で入ったんですが、非常にスキルが高い方だったので、結果的にホールディングスで採用するという形になってございます。
このような形で、地域の大企業から中堅企業へ人材を派遣するという事業をやらせていただいております。
それから10ページ目以降が、REVICがこれまでやってきた伝統的な事業再生事案でございます。青森県の浅虫温泉地区の宿泊事業者ということで、面的活性化に取り組んでいる最中でございます。
こちら、コロナで外出自粛があるということで、非常に苦しい状況に見舞われていたところですけれども、1館だけの事業再生よりも複数で同時にやるというほうが生産性が高いということもありまして、地元の青森銀行、みちのく銀行と連携させていただいて、温泉街の面的活性化ということをさせていただいております。
最後に11ページ目、事例でございます。災害復興ということで、我々、延長したこともありますが、過去、熊本地震の支援もしてございます。こちらにございますのが、ゑびす屋旅館ということでございまして、別府八湯の明礬温泉を再生したということでございます。こちらも地震により施設が半壊しまして、建て替え資金とか、こういったものを我々が支援をさせていただいたという、こういった事例でございます。
私から簡単ではございますが、以上でございます。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
それでは、続いて、日本政策投資銀行様より御説明をお願いいたします。
【日本政策投資銀行】
日本政策投資銀行、高澤でございます。よろしくお願いいたします。
資料7で御説明させていただきたいと思います。1ページ目をお開きください。私どものプロフィールでございます。私ども、主に設備投資向けの長期融資を行ってきました日本開発銀行と北海道東北開発公庫が源流でございまして、こうした長期目線の業務が投資に親和性があるということで、2008年の株式会社化以降、投資、融資一体のビジネスモデルを法律上規定されてございます。
現状、左側に数字がございますけども、貸出金の残高で15兆円、それからリスクマネー残高、これはエクイティとメザニンローンの合計でありますけども、3.3兆円の残高を有しております。このうち法定業務である特定投資業務が1兆円、残る2兆円が自己資金という形でございます。
右側、支店・事務所がございますが、10支店、8事務所でございます。
ただ、銀行全体としては1,300人弱の人員でございまして、地域に配置している人員は必ずしも多くございませんので、地銀をはじめとした各地域のプレーヤーとの連携が必要になっている状況でございます。
2ページ目お開きください。地域へのリスクマネー供給推進に向けた私どもの取組でございますけれども、大きくは、下の図の上段の弊行が本店も含めて蓄積した全国の様々な経験を生かしまして、地域の個別案件の組成、あるいはファンドを組成してエグジットまで各フェーズ、連携・協働の機会を提供していくといった取組、それから下段でございますが、ファイナンスの取組の上流の情報として、例えば地域特有の課題、重要業種の情報やファイナンスのプロダクトの情報など、ナレッジ部分を共同調査や勉強会等を実施して御提供していくことを通じて、地域金融機関の皆様の知見や経験値の蓄積に少しでもお役に立てるようなことを取り組んでいるところでございます。
3ページをお開きください。先ほど言及した法定業務の特定投資でございます。下の図の右側にございますけども、特定投資の目的としては、地域経済の自立的発展と日本・企業の競争力強化、この観点から我が国のリスクマネー供給を促進するということでございます。
この図の左にありますとおり、特定投資そのものの財源は、政府と弊行が折半にて資金提供いたしますが、対象事業に対しては、原則、リスクマネー全体の50%までの投資率という形になってございますので、やはり民間金融機関などとの協調が前提になる業務でございます。
地域におけるこれまでの実績として、地域の産業活性化とか、交流人口の拡大、基盤整備に関する案件につきまして、個別の案件、それからファンドを経由して個別に投資した案件、両方合わせて171件、2,000億円程度の投資実績があるという状況でございます。
4ページ以降、その一例を2つ御紹介させていただきたいと思います。まず1つ目が瀬戸内海をめぐる地銀の7行と弊行とで当該地域の広域的な観光の活性化を図る目的で、2016年から継続している瀬戸内観光活性化ファンドの取組でございます。
本件は、各県それぞれの地銀同士が結束するという特徴を持つ中において、弊行はファンド及びファンドGP会社への出資とその運営を指導するという役割を果たしてきておりますが、それに加えまして、瀬戸内全体のDMOの活動のサポートも様々お手伝いさせていただいているという状況でございます。
5ページ目でございます。これは群馬県を本拠とする四輪または二輪向けの小型のモーターを製造するミツバ様という会社に対して、自動車業界における電動化の進展に向け成長資金が必要であるという状況において、デットエクイティバランスを配意する中で、メインの横浜銀行様と共同で優先株を御提供した案件でございます。
弊行は本件のストラクチャリングや商品設計でノウハウを提供して、事業、案件成立をサポートさせていただいたと、こういうものでございます。
最後に7ページ、appendixのほうを御覧いただければと存じます。特定投資業務でございますが、この5月にDBJ法の改正がございまして、投資期間が、時限でございますが、2030年まで5年延長されてございます。それから、管理期間が10年延長して2040年までということになってございます。
この議論の中でも地域活性化の取組については改めて強化すべきとされているところでございますので、今後もしっかりファイナンスあるいはナレッジの観点で地域の金融機関の皆さんと連携を図りながらしっかり取り組んでいきたいと思ってございます。
以上でございます。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
それでは、続いてSoFun様より御説明をお願いいたします。
【SoFun】
SoFun株式会社の手操と申します。本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。簡単にはなりますが、私たちの思いと活動について説明させていただきます。
次の2ページに参ります。SoFun株式会社は、地方銀行出身者の3名で設立した会社でございます。「中小企業が再び輝く社会を作り、日本をおもしろくする」というビジョンを掲げて活動しております。
次の3ページに参ります。本店は滋賀県にございますが、すぐに駆けつけられる距離で承継先と後継者を支援するため、また地域の方々と一緒に地域を盛り上げたいという思いから各地に子会社を置いております。
次の4ページに参ります。地銀で働く中で、みんなが事業承継問題と言っているけれども、誰も当事者をやらないということ、外部から会社を変えるのはなかなか難しいということ、地域の存続と発展には地元企業を成長させる経営者が必要であるということ、地域の会社は同業者に統合されるだけでは発展しないことが多いという難しさを感じておりました。
そのような中で私たちは、自分たちが当事者になって経営者を発掘、育成し、生き生きとした人と組織を増やす必要がある、事業承継は地域企業が再成長に向かう最後のチャンスであり、今やらないといけないと強く感じまして、銀行を辞めて起業をいたしました。
次の5ページに参ります。ビジネスモデルですけれども、私たちは経営にチャレンジしたいという人を集めております。そして私たちに共感いただいた後継者のいないオーナー様とお話しさせていただき、金融機関から融資を受けて株式を承継し、家業を事業に育てることを目指してチーム型で経営を行っております。
私たちはファンドではありませんので、長期的な発展を目指して株式を永続保有しております。
次の6ページに参ります。少しかいつまんでになりますが、私たちは、事業承継問題に取り組むプレーヤーが増えてはいるものの、手数料か転売によって利益を得るモデルばかりであり、地域経済の本質的な課題が解決されていないこと、企業を集約しようとしても、地域の中小企業はいわゆる家業がほとんどであり、個人や一族のキャパシティを超えてリスクを増やしてまで成長しようという企業は多くないということ、中小企業同士のM&Aは経営資源の獲得を目的としており、占領統治的なPMIやリーダー不在という状況になったりして、なかなか地域活性化に資する事業承継になっていないということを問題意識として持っております。
次の7ページに参ります。日本と地域にとって一番必要なことは、生き生きとした人と組織を増やしていくこと、田舎にはほとんど存在しない既に出来上がっていて成長意欲の高い中堅企業ではなく、今までオーナー稼業として綿々と地域と共存してきた小規模な企業から、家業の枠を超えて地域の再編の中核となれるような事業をつくっていくことだと考えております。
そのために必要なのは、長期的ビジョンを掲げてリスクテイクができる仕組みと志と能力の高い中小企業にフィットした経営者の発掘と育成であると考え、私たちは自らが永続的な当事者として事業を引き継ぎ、若い経営者の方々に、起業をする、出世を勝ち抜く、企業のオーナー家に生まれるという今までのパターン以外に経営者になれる新たなキャリアを提供し、共に経営をしております。
次の2ページを少し飛ばさせていただきます。10ページです。活動を通じまして、多くのオーナー様から共感いただき、承継活動本格化から2年強で25社を事業承継させていただいております。
中小企業の経営者という新たなキャリアにチャレンジしたいという方々計1,000名以上からエントリーをいただき、60名以上の合格者に現在待機をしていただいております。
私たちが承継させていただいたことにより、経営改善や組織活性化につながった事例も多数あります。加えて、経営者が若返って組織が活性化してくると、周辺の事業者様からうちも一緒に継いでほしいというお声をいただいて、産業再編のような流れも出てきております。
また、多くの事業承継を経験する中で、オーナー企業特有の承継問題や人材見極めといったことに対するノウハウも蓄積しており、後継者として成功した方がほかの後継者を指導する、また承継先で修行した方がほかの会社の後継者になるといった仕組みが稼働し始めております。
最後の11ページに参ります。我々は、地域金融機関で働いていたときの原体験を基に活動しております。人材交流や資本関係も通じて地域金融機関の方々と一緒に地域に根差して活動し、経営や承継のリアルを体感していただき、ノウハウや気づきを共有できればと考えております。我々との協業が地域金融力の強化と地域経済の活性化につながればと強く願っております。
以上でございます。ありがとうございました。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
それでは、続いて、VENTURE FOR JAPAN様より御説明をお願いいたします。
【VENTURE FOR JAPAN】
VENTURE FOR JAPANの小松と申します。本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
めくっていただきまして、1ページ目、VENTURE FOR JAPANの法人概要になります。もともとVENTURE FOR JAPANは、東北の復興支援として事業を開始しまして、2022年に一般社団化して全国に事業を拡大しているという形になります。
次の2ページをお願いします。ボードのメンバーはこのようなメンバーで、3ページ目のような様々な経営者の方や、4ページ目のような企業様に御支援をいただきながら事業を運営しております。
では、VENTURE FOR JAPANの概要についてお話しさせていただきます。次のページお願いします。5ページ目になります。VENTURE FOR JAPANは、主に新卒・第二新卒の若者が、地方企業の経営者直下の事業責任者とか事業担当として2年間就職をするという人材紹介事業を運営しております。
次の6ページをお願いします。こちらに書いてありますように、20代で起業家や経営人材になりたい、社会課題や地域課題を解決できる人材になりたい、どこでも自分の実力で稼げる人材になりたいなどを考えている成長意欲の高い新卒・第二新卒と、ローカルで先進的なことに挑戦する経営者様、企業様をおつなぎするという人材紹介・研修の提供をサービスとして提供しております。
次の7ページお願いします。この経験を経て若者にとっては何を得られるかというと、こちらにありますように、責任を持って意思決定してやり切る力、経営視点を持って現場を変える力、そして多様な人、組織に関わり、組織を動かす力、地域課題に触れて社会を見渡して課題の本質を捉えて解決する力を得られます。
次の8ページをお願いします。企業側は何を得られるかというと、まず、企業のビジョン、ミッションや経営者の想いに共感した成長意欲の高い若者を得ることができて、チャレンジしたい事業等が促進でき、さらに意欲的な若者が組織で動くことにより組織変革が起きていく。また2年後以降、意欲的な若者が離れた後も企業の関係人口としてつながりを得られます。
10ページ目をお願いします。これまでの採用実績ということで、2019~2023年の東北の復興支援を行っていた時代が26名、全国展開を開始した2024年~今日までの2年間で31名を送っておりまして、トータルで約60名の人材を地方企業へご紹介をしております。
特徴的なのは、6、7割がIターンという形で、縁もゆかりもない地域にチャレンジしに行っているというような形になります。
次の11ページお願いします。実績としましては、3つ、御用意しました。一番上にいる彼は、新卒で福島県の内装業の会社に入りまして、その社長がもともと取り組みたいと思っていた新規事業を行う新しい会社を立ち上げて、社長として貢献をしました。その後、彼は地元に戻って起業し活躍をしています。
真ん中にいらっしゃる方は、新卒で宮城県の農業生産法人に入りまして、DXを推進しまして、約500万の業務効率化を1年目で実現して会社に貢献し、2年後以降も会社に残り活躍を続けている若者です。
一番下の彼に関しましては、新卒で宮城県の水産加工会社に入って、BtoCの新規事業の立ち上げをやりまして、しっかり結果を出して大手企業へ転職されてそこでも高い成果を挙げた若者でございます。
次の12ページお願いします。全国、今、私たちもいろいろな業種・業態の企業様から御依頼をいただきまして、人材の募集・ご紹介をしております。
次の13ページお願いします。このような動きの中で、2024年より、全国の様々な自治体さん、金融機関さんと連携をさせていただいておりまして、例えば群馬県様、群馬銀行様と群馬共創パートナーズ様との連携協定、次の14ページの奈良県様とそれから南都銀行様との連携協定、次の15ページの仙台市様、仙台経済同友会様と連携協定を結んでおります。
行政や金融機関との連携協定の目的は、短期的には地方企業の経営人材不足解消、中長期的には、2年後以降、起業をはじめ新しいチャレンジをしていく若者が地域に増えていきますので、地域のスタートアップエコシステム形成や地域の事業者育成のエコシステム形成を目指したものが多いです。
次の16ページはウェブサイト等の資料にございますので、私の発表は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
ここまで、業界団体の方、それから各種の支援機関の方、公的金融機関の方々から御説明をいただきました。誠にどうもありがとうございました。
ただいまの説明を踏まえまして、委員の皆様に討議をいただきたいと思います。委員の皆様には、地域金融機関等が地域経済に貢献する役割を十分に発揮できるようにするための方策はどのようなものが考えられるのかといった観点から御質問、御意見をいただければと思います。
御発言を希望される際は、対面で御出席されている先生方におかれましては、机上の名札を立てていただくということで、オンラインにて御参加いただいている委員におかれましては、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てに発言がある旨、御入力いただければ、それを確認して、私のほうから指名してまいります。
なお、限られた時間の中で可能な限り多くの方々に御発言をいただきたいと考えておりまして、お一人当たり3分程度で御発言を一旦区切っていただければと思います。今日はこのまま理想的にいけば3分なら2回目発言できる機会がありますので、それを楽しみに1回目はそこで止めていただければと思います。
それでは、御発言いただける先生方、名札のほう、お願いいたします。
では、翁先生からお願いいたします。
【翁委員】
御説明ありがとうございました。地域金融機関の皆様に2つ質問と2つ意見を申し上げたいと思います。
まず質問ですけれども、今、大変中小企業はどこも人手不足になっていて、私が参加させていただいている新しい資本主義実現会議の資料を見ましても、中小企業庁のアンケート調査で、中小企業が省力化投資を検討する課題として、自社に適切な設備の詳細が分からないといった効果的な省力化投資に関する知識・経験が不足していることや、助成金や補助金などの支援策のどれがよいのか分からず未活用だといったような声が聞こえております。
こういった深刻な人手不足が広がる中でこうした事態が生じていることについて、日々寄り添っておられる地域金融機関、また業界団体としてどういう課題を感じているか、この人手不足問題について地域金融機関としての取組姿勢を伺いたいと思います。
2つ目は、中小企業の事業承継とM&A、これは非常に重要なテーマだと思うんですけれども、やはり中小企業サイドからのアンケート調査を見ますと、事業承継について、規模の大小を問わず、まだ4割の先が今後の方針を考えていないと回答しています。また、M&Aの実施意向ありと回答した企業の相手先企業の探し方として、72.9%、断トツ1位が金融機関にまず探索を依頼するというような回答がございます。しかし、支援機関別で見ると地域金融機関の実績はまだ低いという状況です。
地域金融機関として、また業界団体としてどういう対応が必要と考えているかということについてお考えを伺いたいと思います。
意見でございますが、私自身は、こうした調査結果を見ますと、地域の経済地盤強化のためには、全ての地域金融機関が一層真剣に中小企業に向き合う必要があると考えております。それが当該金融機関の存在基盤を強くすることにもつながると思っています。
金融機関の役割として最も期待されるのは、中小企業の例えば省力化投資が必要だとか、事業承継・M&Aに取り組む必要があるというような気づきを与えて、その取組を後押しするというようなことなのかなと思っております。
企業の本当に身近なかかりつけ医のような存在として、各企業の経営課題を整理して、今日いらっしゃっている事業者も含めて、最適な専門支援機関につないで協働していく、協業していくことをもっと積極的に行うことが重要ではないかと考えております。
それから最後の意見ですけれども、各業界から本当に様々な規制改革要望が出ておりまして、大変、私も規制改革に取り組んできたこともございまして、大事だとは思っているんですが、一方で、今御紹介した中小企業のアンケート調査の結果や、既にすごく先進的に取り組んでいらっしゃる地域金融機関もあるということを考えますと、規制だけで地域金融力が発揮できていないというわけでもないのではないかと思っております。
真にこれらの規制緩和が地域金融力につながるかというのは、やはり具体的な規制の課題や内容をお伺いしないと必要性が分からない部分も多いと思っております。このワーキング・グループで話を詳細にお聞きして議論を行うのは、大変多くの要望が今日出ているので難しいかと思いますので、事務局としては、具体的な課題や問題点などを各業界からヒアリングをしていただいて、審議会の議論につなげるとか、こういった検討をしていただきたいと考えております。
以上でございます。
【家森座長】
翁先生、ありがとうございました。今、翁先生からは、まず、質問事項としては、業界の方々に人手不足問題への対応についてのお考えと、事業承継支援へのお考えという、大きくその2つがございました。それから事務局への御依頼としては、規制改革の要望についてもう少し詳細にしっかり整理をした上で、今後これはどういうところで議論するかも含めて考えてほしいということでございました。
一旦ここで答えていただいてしまうと、時間的に、委員の発言ができないといけませんので、ある程度まで御発言を聞いてから業界の方々にお答えいただきたいと思います。
それでは、神作先生、お願いいたします。
【神作委員】
神作でございます。御指名ありがとうございます。本日のヒアリングにおきまして、各地域金融機関その他の皆様から、地域金融力の発揮の実例ですとか取組について御教示いただき、大変勉強になりました。ありがとうございました。
地域金融機関に対しましては、成長資金あるいはリスクマネーの供給といった金融機関本来に求められている期待のほか、地域課題の解決ですとか、地域経済への支援など、公的な役割が期待されているということ、本日もそうですが特に前回のワーキング・グループに参加させていただき、強く感じました。そのような地域金融機関がきちんとそのような役割や期待に応えられるための環境を整備することは、合理的なことであり、かつ必要なことであると感じます。
本日のヒアリングの中で、そのような観点から当事者の方から具体的な要望も含めて御説明をいただいたと思っておりますけれども、ちょっと気になりましたのは、御要望の中には、業務範囲規制ですとか出資規制、あるいは大口信用供与規制などの銀行法制等全般に関わる問題が含まれていた点です。もちろんこれらの問題も非常に重要で、地域金融力の強化と深く関連していることは確かであるとは思いますけれども、逆に地域金融力の強化という観点からだけ議論するということができる論点ではないのではないかという感じを持っております。
もうちょっと具体的に申しますと、先ほど申し上げたような各種の金融機関、銀行等に対する規制におきましては、リスクの遮断、金融システムの安定性、利益相反の防止、優越的地位の濫用の防止、などの様々な観点が必要となってくると思います。
そうしますと、本ワーキング・グループではある程度プライオリティーをつけて議論を進めるほうが良いのではないかと思っております。具体的に申しますと、2026年の3月に期限が来ます資本参加制度及び資金交付制度、これらをどうするかということをまず最優先で検討する必要があり、本日のヒアリングの中で、私は、これらの制度は使われており有用であるという御意見があったとともに、さらに拡充すべきであるといったような改善の御提案も一部にあったと理解しています。
したがいまして、まずは時間との関係等もありますので、資本参加制度及び資金交付制度に焦点を絞った上で、時限が切れることへの対応をどのようにするのかという問題と、そしてそのことと密接に関連すると思いますけれども、延長する場合には何か制度自体を見直して改善する余地はないのかという、こういった観点からまずは議論をしていくことが重要だと思います。
私自身、資金交付制度及び資本参加制度というのは、先ほど申し上げましたように、地域金融機関に求められている期待や役割等に鑑み、存続させるべきではないかという考えを持っているのですけれども、具体的な意見につきましては、もし第二巡目の発言の機会がございましたら、そのときにお話をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
【家森座長】
神作先生、どうもありがとうございました。先生からの御指摘は、先ほどの翁先生の御指摘と同じで、議論をあまり広げ過ぎると難しくなるので、まずはフォーカスをしたほうがよいのではないかという御指摘だと理解をいたしました。
それでは、続いて、オンラインで御参加の河野委員から発言の希望がございますので、河野先生、お願いいたします。
【河野委員】
御指名ありがとうございます。日本消費者協会の河野でございます。皆様、御説明ありがとうございました。各団体、組織の皆様から現状と課題、そして今後に向けての多くの御要望を頂戴したと受け止めました。
各団体のお取組中の好事例などを伺っている限り、皆様、意欲的に取り組まれていて、今、取り立てて対策を講じなければならないような困難な状況にあるとは思えないような御発表だったような気がしております。
今後、制度面での各論に入っていくと思いますが、改めて気づいたことを3点お伝えしたいと思います。
まず、地域の金融力強化を考える際に、金融機関側の意向というのが全てではなく、地域という言葉が示すとおり、地域住民や地域に根づいて活動する様々な産業の関係者、そして、地域特性を基に各種政策を展開する地方公共団体など、地域を構成する様々な立場から金融機関の現状がどう見られていて、どういう期待を寄せられているのかという点も重要視すべきではないかというふうに思います。
地域を動かすための資金調達であるのであれば、需要と供給をマッチングさせて、納得できる効果を生じさせるという合理的な視点が、制度上、注目すべきところではないかと思います。
2点目として、地域活性化のためには連携・協働が求められることは十分承知していますし、デジタル技術導入など管理システム等での共同化は進めるべきかと思います。他方、意欲ある事業者とそうでない者との競争も必要だと思っておりまして、地域金融力の強化の目的が維持にとどまらず成長につながるように、競争領域をどう設定して、それをどう扱っていくのかという整理も必要ではないでしょうか。
独禁法の特例として銀行同士の合併が認められたことなど、地域社会にとっての安心感というのは醸成されているんですけれども、合併は延命策ではなく成長のための第一歩であるという認識を強くすべきだというふうに思います。
最後、3点目です。大きな資金は支援になる反面、支配にもなるのではという危惧があります。地域創生や事業継承の分野においては、既に大手のデジタルプラットフォームがビジネスネットワークを活用して、地域内にとどまらないデジタル空間を活用して成果を上げつつあります。本日御報告頂いたSoFun様のように、自由な発想と臨機応変な対応など、これまで金融機関の持っているというか、行ってきた既成概念からの脱却というのが、今後の制度設計を考え環境整備をするときに必要なのではないかというふうに思ったところです。
私からは以上です。ありがとうございました。
【家森座長】
河野委員、どうもありがとうございました。
1つは、地域における金融機関以外の、中小企業であるとか、生活者であるとか、地公体の皆さん方の御意見はどうなんだという御指摘でございました。また、連携は大事だけれども、当然、競争があって成長していくという前提でないとむしろ駄目ですよということと、金融機関以外の新しいデジタルプラットフォーマーなんかも含めた視点も必要であると、まさにイノベーションを起こすためにいろいろ外からの知見が必要だという御指摘がございました。ありがとうございます。
それでは、小倉先生、お願いいたします。
【小倉委員】
ありがとうございます。御講演、御説明ありがとうございました。私は、いささか瑣末なことで申し訳ないんですけれども、2点ほど質問をさせて頂きたいと思います。
1点目は、REVICさんとDBJさんへの質問です。DBJの特定投資事業とREVICさんの投資事業というのは非常に方向性が似ているというふうに感じたんですけれども、現状で何らかの連携をされているのか御教示頂きたいと思いました。
もう一点は、第二地銀協さんから、要望の1つとして投資専門会社による株式保有期間の制限の緩和が挙げられておりました。これに関連しまして、この保有期間の制限のために不本意な結果になってしまったような事例がもしあれば、重要な材料となりますので、お差し支えのない範囲で御教示頂けますと幸いです。
以上です。よろしくお願いします。
【家森座長】
小倉先生、ありがとうございます。
それでは、松井先生、お願いいたします。
【松井委員】
いろいろな御発表をありがとうございました。
本日の御発表を伺っていてまず思った点として、民間それから政府のリスクマネー供給全体を一覧で見渡せるようなものがあるとよかったかと存じております。
規模感を得る助けということで、手元で情報を少し調べましたけれども、民間の金融機関が、2024年の東京商工リサーチでは、総貸出しが全体で551兆円、そのうち中小規模向けが374兆円とありましたので、地方企業への民間銀行の貸出しの規模感というのは東京の中小企業が多いとしても、100兆円単位であるというふうに思います。信用組合の業界の概況のところでは、14.4兆円の貸出しという数字が上がっておりました。
一方で、政府系金融機関、DBJさんの貸出残高は、資料から21兆円ということであり、REVICさんは、流動資産やあるいは固定資産の有価証券というものを見ると、数百億円の株式を持っているということでございますので、それぞれの企業のインパクトというのはかなり違っていることが分かります。様々御発表頂いたものがコストの分野とチャンスがある分野にどういう規模感・特性をもって振り分けられて融資、投資されているのかということが分かると非常に分かりやすかったかなというふうに思っております。
次に、実例の御教示に加えまして、会合としては、神作委員も御発言ありましたけれども、全体の要望のまとめや優先順位、それから整合性といったものについて検証頂いた上で、全体として、どこにどういうお金をどういう政策目線で入れていくのか、そして、優先順位は何なのかということを決めて議論するほうがよいのではないかと思っております。
特に政策的な事業支援について議論をするということであれば、先ほどのREVICとDBJ様の業務範囲の輻輳というご指摘もございましたけれども、省庁横断的に御議論頂く必要がある部分というのがあるかと思います。こういった点についても御配慮を頂き、どこから議論するのかということが分かるとよいかなというふうに思っております。
また、資本の過不足についての認識についても、DBJ様の8ページでは、現在、資金需要は増えているけれども供給が追いついていないとされていますが、資金循環統計などを見ますと、金融機関としてはなお資金余剰ぎみであるというふうにされている部分があるのかもしれないと思っており、そうだとすると、部門によって資金の流れについての不均衡について異なる認識が生じているのではないかというふうに思いますし、その場合、足りない理由というのが、地方の事業が知られていないから資本が流入しにくいだけなのか、それとも、事業に国土政策的な、コスト的なものが多く採算上の問題があるから入っていかないという話なのか、何が理由になっているのかといったことが考えなければいけないことではないかというふうに思っております。
様々な金融機関からの御要望ということについては、コスト面については、災害対策支援のための期限延長、特例措置、それから、システムのリプレース、更改に際しての共同化費用の補助といったようなところが共通しておりましたし、それから、チャンスの拡大に関する要望に関しては、投資専門子会社を通じた事業機会の拡大でありますとか、先ほども御言及ありましたが、大口信用供与規制でありますとか、様々な事業会社形態、持株会社になりたいといったことも含め、規制緩和に関する要望というものもございました。前回は統合や費用削減に係るご発表でしたが、今回の内容からすると後者についても話すべきところなのかどうかということも含め、見極めをさせて頂ければ非常にありがたいと思っております。
以上です。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
それでは、続いて、野崎委員、お願いいたします。
【野崎委員】
ありがとうございます。私のほうからは、各業界からの取組とか要望の中で、投資専門会社の話がありましたので、その点についてポイントを絞って伺います。
まず、地域の課題解決には、地域金融機関の投資専門会社によるエクイティ投資あるいはコンサルティング、これは地域活性化に非常に寄与するというふうに考えております。その点で、2020年に金融審議会のワーキング・グループがありましたけれども、そこで投資専門会社について議論をいたしました。その結果として、先ほど小倉委員のほうからも少し御質問がありましたけれども、保有期間の延長は既にかなり進んでいるという認識を持っていて、なおかつ、その他の要件緩和もかなり進んでいるというふうに記憶しております。また、その後の規則の見直し等もあって、コンサル等の運用上の柔軟化もかなり進んでいるというふうに考えております。
前回の会合でも少し私のほうで触れましたけれども、VC条項の課題というのは残ってはいるものの、事業再生・承継、それからスタートアップ育成に資するようなエクイティ投資、あるいは、その周辺業務を含むところの支援の枠組みというのは、多くの地域機関にとってはかなり整備されているというのが私の現状の認識であります。
ただ、一方で、各業界からの御要望の中では、制度整備としてどの程度エクイティ投資が進んでいるのか、あるいは、十分なエクイティ支援を実施する上で何が課題なのかというのが十分に見えてこない、そういった印象を持っております。
このため、まずは、各地域金融機関におかれましては、投資専門会社を積極的に活用し、エクイティあるいは銀行からのデットの両面からの支援、それからコンサル、これを通じて経験値を高めるというのが非常に重要であるというふうに考えております。その上で、なお緩和が必要だということであれば、実態に即して検討を進めるべきではないかなと考えております。
これに関連してですけれども、M&A業務ですね。これは今のM&Aのマーケットの中で専門業者がかなり幅を効かせているという現状を踏まえますと、地域金融機関の役割の不足というのが強く印象を持っております。例えば、事業承継で不動産仲介という御要望がありましたけれども、不動産仲介の機能の欠如というのが必ずしも事業承継のボトルネックあるいはM&A業務のボトルネックになっているとは思えないんです。なので、エクイティ投資を含む複合的な支援と、それからPMIまで含めた面倒見のよさ、これが地域金融としてあるべき使命なんじゃないかなというふうに感じております。
そこで、先ほどの翁委員の質問とも非常に似てはいるんですけれども、M&Aの仲介の実績がこれだけ目覚ましいものではないという理由が何なのかということであります。例えば、人材を含む経営資源の不足なのか、収益性の問題なのか、あるいは、規制上の、あるいはそのほかの制度上の問題なのか、課題なのかというところについてお示し頂きたいと思いますけれども、各業界から伺うのはあれなので、代表して、できれば全国地方銀行協会からお話を伺いたいなというふうに考えております。
以上です。
【家森座長】
ありがとうございます。
野崎先生からは2つあります。1つは、投資専門会社についてかなり自由化をしてきているけれども、その自由化が十分活用されていないのではないかと。もしそうだとしたら、どんなところに理由があるかということ。もう一つは、M&Aの実績についても、専門会社のほうがかなり活躍をしているが、それについてもどういうところに課題があるのかというあたりで、後ほど答えて頂きますので、お願いいたします。
それでは、西原委員、お願いいたします。
【西原委員】
本日は御説明賜りありがとうございます。質問と意見を1点ずつ申し上げます。
まず、質問でございますが、地銀協様から不動産仲介業への規制緩和の要望がございました。こちらは古くから聞かれている御要望ですが、地域金融機関であるからこそ可能で、地域活性化に資するといった利点が足元大きくなっている背景はあるのでしょうか。
地場不動産業とも共存・共栄していく、ウィン・ウィンとなる形で地域を活性していくエコシステムはあるのでしょうか。地域金融機関が地域活性化に一段と取り組むという点が今回のワーキング・グループの審議の重要な点でありますが、その取組が地域金融機関の利益を上げ、好循環が生み出せないかとの質問です。
意見は、資金交付制度についてです。地銀協様から、制度延長に加え、人件費や物件費高騰を理由に、30億円という1件当たりの支援上限引上げの御要望がございました。また、全国信用金庫協会様、全国信用組合中央協会様からは、共同システム費用を同様の理由から支援の対象にできないかという御要望がございました。
前回申し上げましたように、様々な環境変化によって、地域金融システムの強化は待ったなし、加速化していかなければならない課題となっています。今回の制度延長や見直しを個々の経営統合や合併案件、あるいは既存の共同システムのインフレ分の支援の上限引上げといった論点にとどめることなく、2025年度の金融行政方針にもございます共同化、マネロンやサイバーなど課題対応のためのシステム共同など、新たな、追加的なシステム共同化に向けて金融機関の背中を押すような制度設計が考えられないでしょうか。
【家森座長】
ありがとうございました。
それでは、大庫委員、お願いいたします。
【大庫委員】
大庫です。発言の機会を与えて頂きまして、ありがとうございます。
正直ベースで申し上げると、今回のワーキング・グループというのは、「地域金融力」という極めて曖昧な言葉の中で、何を議論して何を最終的なアウトプットにしたいのかということが私自身よく分からなかったというところがあります。
前回は、京大の森先生から人口集中の進展のシミュレーションを教えて頂いて、再編論、こういうことを議論するのかなと思い、今回はどちらかというと、資本参加制度、資金交付制度、それから、その他もろもろの地方創生、業務規制緩和、こういったことだったかなというふうに思います。
ただ、先ほど神作先生がおっしゃられたように、タイムフレームというものを考えていったときに、まず優先的に議論をしなければならないのは、やっぱり資本参加制度と資金交付制度、ここから議論していくべきではないのかなというふうに思います。それが解決した上で、残された時間を幅広に地域金融力の強化ということでその他の議論をされたらどうなのかなというふうに思ったというのが意見です。
それから、もう一つ、これは半分質問、半分意見ということになってくるんですけれども、その文脈で申し上げますと、資本参加制度も資金交付制度も、基本的には金融機関を直接的に助けるために行うというものではなくて、地域社会・地域経済に何らかのベネフィットを提供できるからこういう制度を持続し強化するということではないのかなというふうに私自身は思っています。
その際に、その意味で継続強化については私自身は賛成ですけれども、1つだけ皆さんのお話を聞いていて分かりかねていたのが、資金交付制度において、共同化に対しても資金を提供するというのがどういう意味をもたらすのかということが、これは質問で聞いてみたかったことです。
合併ですと、経営統合であれば、規模の利益によってコストが低下するばかりでなく、先行している金融機関のノウハウを他方の金融機関に移植することで、地域の金融サービスのレベルが上がって、地域全体のベネフィットがあるというのは明確に見えてきます。共同化ですと、確かに共同化した分コストが下がるとは思いますが、コストを下げるだけであれば、それこそ合併・経営統合だってありですよねと思います。そういう意味で、何がこの共同化を通じて地域社会に対してベネフィットをもたらすのかというところをぜひ具体的に教えて頂きたいなと思ったところです。
以上です。
【家森座長】
ありがとうございます。後ほど、共同化についての地域へのメリットという点を、それぞれ考えられているところがもしあれば、お願いいたしたいと思います。
それでは、続いて、原先生、お願いいたします。
【原委員】
原でございます。本日は、様々な新たな取組を御紹介頂きまして、誠にありがとうございました。大変勉強になりました。
前回の会議では、人口減少の中でどうなるんだろうというような不安も高まった中で、今回は、そうした中でも希望が持てるような取組を御紹介頂いたというふうに存じます。他方で、そうした取組を促進するという方向だということは理解しましたが、地域の金融強化に向けた規制緩和の要望がたくさんあるということも承知しました。
翁委員など他の先生方も御指摘があったように、具体的にどのような形で規制緩和がなされるべきなのかというのをここで検討していくというのが重要だということで、特に私には、今回御紹介頂いた様々な取組を踏まえた上で、それが規制緩和によってどう促進されていくのかということについて、理解がまだ追いついていない部分もあるのかというふうに思いましたので、そこでお尋ねしたいというのが、そういった規制緩和が具体的にどういったものになるのかという点であります。
その上で、具体的にお尋ねしたいと考えますのは、次の点です。全国地方銀行協会様や第二地方銀行協会様にお尋ねしたいと思いますのが、資本参加制度の延長・恒久化についてです。大規模災害時の備えとして要望されているという点は理解しましたが、ただ、これまでは、リーマンショックの際には本則改正による要件緩和が行われ、また、コロナ禍においては特例措置が講じられるなど、経済危機の内容に応じて異なる対応がされてきたというふうに承知しております。
そこで、銀行界としては、今後こうした制度を発動する要件をどのように具体的に整理するのが望ましいというふうにお考えでいらっしゃるのか、今後検討する課題ではありますが、御要望としてはどのようなものがあるのかということについて、もし可能であれば御見解を伺えればと思います。
また、追加で全国地方銀行協会様に対してお尋ねしたいんですけれども、資料では、倒産隔離が確保されたSPC向け与信をスポンサー与信と合算しない取扱いを要望されているというふうに理解しましたが、国際的には、支配関係や依存関係があれば合算するというのが原則だと理解しております。銀行としては、どのような条件を満たせば合算しないという扱いが妥当というふうに考えていらっしゃるのかという点についても、もしお考えがあれば、お聞かせ頂ければと思います。
こちらで浅はかながら、例えば、スポンサー保証が一切ない場合とか、担保のカバレッジが十分とか、あるいは国や公的機関の保証があるなど、いろいろなケースが想定されるというふうに思いますが、何か具体的にありましたら、御教示頂ければと思います。
【家森座長】
どうもありがとうございます。
それでは、山本先生、お願いいたします。
【山本委員】
山本です。
本当に先ほど大庫委員がおっしゃったとおり私も思っていて、ここで強化策ってどういうことを考えるんだろうというのは、前回の講義を聞いた後、さっぱり分からなくなっていたのですが。今日のいろいろな資料も読ませて頂いて、私は実務家なので、一番興味があったのは事業承継問題です。先ほどSoFunさんの説明を受けて非常に感銘を受けて、こういう形で事業承継に直接関わっていくということが実は一番いいことなのかなというふうに思っています。
結局、今、日本は本当に高齢化で、各会社の経営者たちがどんどん年を取っていって、その後どうなるかというのは、私も相談も受けることもありますし、ただ、それってすごく難しいので、こういう取組があるんだというのは、すごく私としてはありがたい気持ちで受け止めました。ですので、ぜひ頑張って頂きたいと思ったのと。
REVICさんのペーパーで、業務内容の中に、先ほど廃業支援とおっしゃったけれども、特定支援業務のところで、4ページの、前回も申し上げたんだけれども、個人保証債務の問題、これについて整理をしていく業務を行っているというところも、これもとても大切で。結局、個人保証していると、あとどうにもならないということもあり、それがガイドラインがあるとはいえ、やっぱり個々の事業者にとっては非常に負担になっているものなので、これも私は注目できればなというふうに思っていたので、ここに取り上げて頂いて、すごくありがたいなと思っています。
それから、前回――同じことを言っていて申し訳ない。人材の問題が絶対あると思っていて、ここも今のREVICさんのところで、特定専門家を派遣する業務。そうか、確かに、金融機関の中で育てるだけじゃなくて、いろいろな情報を集めて、こういうふうに人を探してくるということでいろいろな支援ができるようになるんだなということも学べたなというふうに思っています。
以上が私の感覚なんですが、もう一つ、皆さんに笑われるかもしれないし、ここでやることじゃないと言われそうなんですが、全国地方銀行協会の資料2の一番後ろのページの監督・モニタリング対応の在り方のところに書いてある無駄を何とか簡素化してほしいというのが、非常に私は心を打ちまして。
監督とかモニタリングは本来実質をやらなきゃいけないのに、こんな形式的なことに忙殺されて、本質まで行けていないんじゃないかというのをすごく思いましたので、ここで、このワーキング・グループでやることなのかどうかはちょっと自信がないんですけれども、でも、これは国としてはぜひ取り上げて、具体的に無駄を排してほしいなというふうに思いました。
以上です。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
委員の皆さん方、時間厳守でやって頂きまして、ありがとうございます。今の山本先生からの御意見の中では、経営者保証とか人材マッチングというのは、今、地域金融機関の方々もかなり努力されているので、後ほどまた、もしその点でも御発言あれば、お願いいたしたいと思います。それから、モニタリング関連の在り方は、また事務局のほうでよく検討頂ければと思っております。
私からも少し意見を述べた後、今まで出ました翁先生、小倉先生、野崎先生、西原先生の具体的な質問と、あと質問に近い御意見等もありましたので、それらについて、業界の方々からお話を頂きたいと思っております。
まず、オブザーバーの皆様からの御説明は大変参考になりました。地域金融機関に期待される役割としては、まず、資金供給が根本であるということは言うまでもありませんけれども、単なる融資にとどまらず、リスクマネーの提供が今や強く求められています。
さらに、事業性評価を基盤にした経営改善、再生支援、脱炭素やデジタル化対応、M&Aや事業承継、人材マッチング、販路開拓など、多様な非金融的支援を展開することも不可欠になっております。これは既に、今日の御説明で、かなり実施されているというふうに私は認識をしております。
今後は、こうした支援をより実効あるものにしていくために、地域のネットワークのハブとなり、地域のプレーヤー同士の連携をしていくことはもちろんのこと、公的金融機関の活用も含めて、他地域や海外とつながる役割を果たしていくことも期待されるというふうに思っております。
そのための環境整備としては、例えば、第1に、規制緩和や業務範囲の拡大について今回は御指摘がございました。事業承継や地域再開発における不動産関連業務、投資専門子会社の柔軟な活用などの点を御指摘頂いております。これについては、先ほど神作先生から御指摘があったように、ここの場で、タイムスケジュールとの関係でどこまで議論できるのかは私も自信がございませんけれども、今後考えていく論点であるなというふうに思っております。
2つ目は、REVICやDBJなどが担ってこられた専門人材・ノウハウの移転や育成をさらに国としては充実させていって、民間金融機関が今欠けているノウハウとか人材を国として、公共財として提供していく枠組みをしっかりと整備していくということだろうと思います。
それから、第3には、経営統合や共同化を促す施策であります。非競争領域でのシステム事務共同化、さらには、経営統合における経営基盤強化を後押しするようなインセンティブ設計についても考えていく必要があるなというふうに感じました。
さらには、資本参加制度や資金交付制度を継続・拡充する場合には、共同化の支援や地域の防災力向上にどのような形で資するのかという論点です。具体的な論点を、先ほど野崎先生もお尋ねになっておりましたけれども、問題になるかなというふうに感じたところでございます。これは私の委員としての所見でございます。
それでは、ここから、ここまで各委員の先生方からございました意見について、特に全国地方銀行協会様にはかなりたくさんあったんですけれども、お願いをしていきたいと思います。それでは、まず、全国地方銀行協会様からお願いいたします。
【全国地方銀行協会】
頂いた御質問に記憶の範囲でお答えさせて頂いて、漏れがあれば追加頂ければと思います。
中小企業の省力化投資というようなお話から始まったかと思いますが、御指摘のとおりで、人手不足が深刻化しています。我々も、お客様のDXやいろいろなソフトウエアの導入といった支援ができるように、行員にIT関連の公的な資格を取らせて、お客様へのDX提案ができるような体制とサービスのメニュー、これはビジネスマッチングの形でパッケージ化して、提案、推進しております。
やはりネックとなるのは、パッケージが基本になりますので、中小企業は重鎮の皆さんがまだいて、属人的にいろいろなフレームワークをつくっているものですから、パッケージだと業務のやり方を変えなきゃいけないというところから入ってしまうのですが、なかなかそこに抵抗感を感じられて導入が進まないというのが現状だと思います。
本来であれば、パッケージに合わせて業務も見直すところまで踏み込んで、これは恐らく経営者側のトップダウンの意思決定がないと難しいと思うのですけれども、そこまで踏み込みながらいろいろな改革をしていく必要があるかなと思っていまして、一番のネックはそこかなというふうに思っています。ただ、徐々に、番頭さんが定年で辞めてしまうのでとか、そういうフェーズに入ってきたので、そういう意味で、今後は広がりがあるのかなと思っております。お答えになっているか分かりませんけれども。
あと、M&Aの実績がちょっと弱いのではないかという御質問が幾つかあられたと思います。確かに実績としては、プログレスレポートにあるとおり、件数は増えてはきていますけれども、物足りないということかもしれませんが、一方で、専業の仲介業者は、1日、営業の担当が何十件、何百件も電話して、会社売りませんか、買いませんかとやっている結果なのです。我々はどちらかというと、日頃リレーションを持ったお客様の課題に向き合いながら、1つ1つ積み上げているので、その分のボリューム感は違うのかもしれません。
あと、地銀で言うと、それぞれのネットワークの中の情報で閉じてしまうとなかなかマッチングができないので、地方銀行同士の情報ネットワークをつくるという工夫もしていますし、買手を見つける観点から、M&A仲介業者さんとも手を組んでおり、協業の体制でやっているというのが実態です。
事業承継やM&Aも、企業によって手をかける必要がある案件とそうではない案件があると思います。我々地方銀行がやるのは、地域でのプレゼンスがあって、雇用を支えているとか、銀行がメインでしっかり入り込んでいるとか、よく相手を知ってコミュニケーションを取りながら慎重に進めていくような案件、これに結構手間とリソースをかけていますので、後のPMIへの支援も含めて、そういうところで銀行の力が発揮できるのかなと考えています。逆に、単に成長のためのロールアップのような案件は仲介業者さんがやってといった形で、役割分担していくのが現実解なのかなというふうに思っています。ただ、圧倒的にリソースが足りていないのは事実ですし、そこは我々も課題だと感じております。
あと、頂いた質問の中で、SPCは倒産隔離している中で名寄せをするのかしないのかというような御指摘でありまして、まさにSPCをつくって行う、例えばノンリコースローンなどは、対象のアセットベースで審査をしていますので、あまりスポンサー企業を見て審査する形ではありません。当然、業務遂行能力という意味ではスポンサー企業も見ないといけない部分ですけれども、アセットベースでやっているような案件とかまでスポンサーと名寄せする必要はないのではないかとも考えていますし、先ほど原委員から事例として挙げて頂いたものも、まさに名寄せが不要なのではないかと思った領域でございます。個別の判断も入ってくるところだとは思いますけれども。
あと、共同化のメリットは何なのかと、どういう意味での資金交付が役に立つのかというところですけれども、当然、共同化することでコストは下がります。将来的に見て、長期スパンではコストが下がるということで、共同化していくメリットはあるとは思います。一方で、移行に係る初期コストが結構重たいのです。例えば、データを移すとか、システムのフレームワークをメインフレームからオープン化に変えるとか、クラウドにリフトアップするとか、その移行コストに躊躇してしまって、なかなか共同化が進まないといった金融機関もありますので、そういうところを後押し頂くという意味合いでの効果もあったりするのかなと考えております。そこは個人的な意見として申し上げたところでございます。
その他何か漏れがございましたでしょうか。
【家森座長】
ありがとうございます。もう少しあるんですけれども、一旦各団体からお答え頂いて、委員の先生方が追加で聞いて頂く形にしたいと思います。でないとほかの業界の方のお答えが終わらないままになってしまうといけませんので。
それでは、第二地方銀行協会様、お願いいたします。
【第二地方銀行協会】
第二地方銀行協会でございます。
まず、第二地銀協に御質問がございました、投資専門会社につきましての不本意な結果となった事例があったかについては、一部の会員行にヒアリングしたところでは、不本意な結果等はないと言われています。
ただ、今後、投資専門会社をつくろうと検討している中で、ネックになるのは、10年、20年というこの期間が、例えば、地域産業とかインフラの維持等目的で無期限ということにできたら本当に有効的じゃないかなという意見がございました。
私ども愛媛銀行も、まだ投資専門会社は設立はしていないんですけれども、約30ぐらいのファンドに投資している中、第一次産業向けの投資においては、2006年に設立、投資をして、2015年に1度エグジットしたところもあるんですが、投資が成功したとは言えないファンドもあります。
それはなぜかといったら、第一次産業は非常にリスクが高い。例えば、かんきつ類であれば、苗が育つまで3、4年5年かかって、それから実ができて、それから商流にかかって販売があって回収ができるというところなんですけれども、その間、今、ご存知のように高温、この猛暑の影響でかんきつ類が、焼け果と言って黒ずんでくるとか、せっかく収穫した品物が商品にならないという、そういうリスクが出てきています。
また、水産、養殖業であれば、高温で水面が30度になれば、海面の水温が30度になれば、お魚が死んでしまう。海底に死んだ魚がいって、それがヘドロになって、それを回収する資金と人件費が、また莫大な費用がかかってくる。
そういう当初のファンドとか投資で想定されないリスクがありますので、そういうリスクにも想定をし、もしそういうリスクが顕在化した場合に何とか対応できるような、そういう期間をある程度設けたいという、これは私、個別行の意見なんですが、そういうことも踏まえて、各会員行も期間を延ばしてほしいなというところの意見がございました。
人材のほうで申しますと、人材不足というのは、地域金融機関としてまだまだ努力が足りないということは認識をしております。情報提供とか助成金とか補助金の申請サポートとかもしていますし、特に外国人材の受入れ、これについては外国人材の支援機関と連携をしまして外国人の受入れ等の支援等はしております。
今、両手型人材ということで、人材が欲しいという会社と実際私どもの銀行がそれを探しに行くという、取組をしていますが、賃金の問題と、都会の方がなかなかこちらに来てくれないという、そういうところの問題があって、まだ道半ばかなというふうに思っておりますけれども、これは地域金融機関の務めでございますので、引き続き積極的に取り組んでいきたいと思います。
事業承継につきましては、これは多分、私どもは直接社長さんとお話をする機会が多いですが、事業承継は、後継者の候補がいるけれども決断されないという方、あと、親族の後継者がいないというので、従業員に承継するにもハードルがあるという方、本当に後継者がいない方、承継者は一切考えたくないというような方、多分この4つに分けられるんじゃないかなと思います。
後継者が、候補がいるけれども決断されないのは、これは銀行が特に、後継者が決まっているので、あとはその時期を見守っているという状況でございます。親族に後継者がいなくて、従業員にも承継にもハードルがあって決断されないのは、従業員に株式を移転する。その資金を我々がお手伝いをすると、そういう仕組みに、今現地点で取り組んでおります。
本当に後継者がいないというのは、これは社長の本音を聞いたら、息子さんとか娘さんには継がせたくない、孫に継がせたいとか、そういう家庭の人間関係があり、なかなか銀行がそれ以上踏み込んだりできないという事情もあったりしますので、そのあたりは、長い目で見て、そういう相談があったときに対応したいというようなところがあります。
M&Aにつきましては、専門人材不足、先ほど横浜銀行さんが話した通り、やっぱりリソースのほうにも問題があります。私ども第二地銀協の会員行でちょっと聞きますと、多くても5名、少ないところは1名、2名で、M&Aの専担でやっている人員がそれぐらいですので、なかなか全てのところに対応はできないというところがあります。
あと、地元地域ですので、地域の風評とか買収相手の選定が重要です。ある病院の人に後継者がいないけれども、地域はほかのお医者さんとか企業とかと競争していますので、競業相手には売却したくないとか、できたら、知らない都会で探してほしい等の話もよく聞きます。そういう場合の都会から呼び込んでくるという情報のリソースの能力がまだまだ私ども銀行は、不足しているところがありますので、その辺りは、今後、外部の機関と連携を密にして、埋めていきたいなというふうに思っております。
大体それぐらいでよろしいでしょうか。
【家森座長】
ありがとうございます。
それでは、全国信用金庫協会様、お願いいたします。
【全国信用金庫協会】
大庫先生からご質問いただいた共同化の件について、ご説明させていただきますので、私どもの資料の2ページ目を御覧ください。
信用金庫業界の預金量は全体で161兆円、信用金庫数が254ということになりますので、平均すると6,000億円ぐらいの金融機関の規模ですが、全国的に見ますと、数百億円や2,000億円台といった信用金庫も結構数としてはございます。
そうしたことから、先ほど御覧頂きました3ページ目に記載のとおり、信金中金が様々な支援を行っており、しんきん共同センターにおいては、既にシステムの勘定系を共同化しているほか、実はマネロン対応のシステムをつくっております。マネロンは、金融犯罪が高度化すればするほど、システム対応も実は高度化する必要があり、費用として数十億から数百億円単位の金額がかかってくるということになります。共同化によって、個々の小さい信用金庫では全く対応できないものについても、対応が可能となります。
その下にあるしんきん情報システムセンターはネットワークの会社ですが、業界におけるサイバーセキュリティの対応についてはここが中心的に共同化により対応していますが、最近のシステム開発コストが非常に高くなっているところもあるため、こうしたことについて支援を頂けるのであれば、ひいては国民を金融犯罪から守ることにもなりますので、私どもとしては、国の支援というのは非常にお願いしたいと思っています。
以上でございます。
【家森座長】
ありがとうございます。
それでは、全国信用組合中央協会、お願いいたします。
【全国信用組合中央協会】
全国の信用組合の理事長さん方とお話ししますと、冒頭、翁先生がおっしゃった、人手不足と事業承継の話題が出ないところはありません。多くの信用組合がその課題については問題意識を持っていて、意欲を持っていますが、地方の小規模な信用組合にはリソースが少なくて、なかなか自前でそこまでたどり着けていないというところが多いのが実情です。
専門的な機関につなぐべきだという御意見、全くそのとおりであります。私も就任して半年ぐらいのところで、中小企業基盤整備機構との包括連携協定を結びました。震災復興の仕事を通じて、この機関に中小企業施策が集まっているということが分かっていましたので、ここと連携をして、まず、全国で説明会を開いて頂いて、機構がどういう施策を提供しているのかということを知ってもらって、そこから活用していくということを始めています。
それから、信用組合は143組合がありますけれども、140の組合が業界の共同センターに加盟しており、システムの共同化が進んでおります。そういう中で、規模の大きい信用組合は、人手不足対策あるいは事業承継にも取り組んでいることから、そういった取組事例を業界内で共有化することも進めております。
また、先ほど、資本参加制度等の意義は金融機関を助けるためじゃなくて地域のベネフィットのためだと、そのとおりだと思います。信用組合は地域社会の中で、組合が貸さなければほかに貸す人はないというぐらいの中小・小規模事業者を対象にしておりますので、地域において協同組織金融を維持するということが我々にとって何より大事な役割だと思っております。
他方で、先ほど申し上げたとおり、システムの共同化はとことんまで進めた上で、なおかつ、これからシステムの費用が増嵩する中においては、小規模な信用組合にとっては負担の限界を超えつつあるというところが実情です。単年度利益が1億円未満の先もあります。
そういうところがどういう形で、地域における協同組織金融の機能を発揮していくか。そのためのシステム投資に耐えられるような仕組みをどのようにつくっていくかということが中央組織としての役割だと考えておりますので、これからもご当局と協議を続けていきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
【家森座長】
ありがとうございます。
それでは、地域経済活性化支援機構様、お願いいたします。
【地域経済活性化支援機構】
私どものほうからは、たしか小倉先生から御質問があったと思いますが、DBJさんの特定投資業務とREVICの事業が少し被っているんじゃないかという御質問だったと記憶しております。
私のほうからお答えさせて頂きますと、結論から言うと、連携は、ビルも隣でございますので、結構連携をさせて頂いております。ただ、DBJさんの特定投資業務なんですけれども、主に民間の成長資金というところでございまして、弊社の場合は、事業再生であるとか地域活性化ファンドというところでございます。
そういう意味で申し上げると、少し目的が異なるんですけれども、地域活性化という文脈では、例えば、REVICがGPをつとめるファンドにDBJさんがLP出資を頂いたりとか、また、DBJさんが個別に投資する案件に弊社の運営するファンドが参加すると、こういったことが運営実績でございますので、そういうことでやらせて頂いております。
以上でございます。
【家森座長】
ありがとうございます。
日本政策投資銀行様、いかがでしょうか。
【日本政策投資銀行】
今、渡邊社長がおっしゃったとおりでございまして、案件ごとに必要に応じて連携を図っているというところでございます。
1点、先ほど家森先生のほうからノウハウの移転のお話が、リスクマネー供給等に関連してあったかと思いますけれども、我々、特定投資業務の先ほど御紹介しました法改正の経緯の中でも、しっかりと地域については向き合ってやってほしいというお話がある中で、例えば、特定投資業務についての勉強会を全国地方銀行協会様の御協力を頂いて開催させて頂いているということもございますが、取組の手触り感を持って頂くことが重要だと思っています。そういう意味では、リスクマネー供給のニーズというのは各銀行様それぞれ違いますので、できる限り訪問させて頂いて、こういう形でやっているという実例を示していくということが重要かなと思っているところでございます。
加えて、実際は一緒にやらせて頂くということが重要だというふうに捉えていまして、その意味では、私がお示しした資料の10ページに、共同で投融資をさせていただいているファンドの実例を幾つか示させて頂きます。細かい字で恐縮ございますが、幾つかの地方銀行様と共同のファンドを組成しているところでございます。
私どものグループ会社がGPをさせて頂いて、LP出資で地銀様に入って頂くというパターンが比較的多いのですが、最近は、自らがGPをやりたいという地銀様も少し出てきていまして、そういう地銀様に対しては、我々は逆にLPで入って、こういう形でやっていくというノウハウをお伝えしたりですとか、場合によっては、人材に来てもらって中身を見て頂いたりといったことにも取り組んでいる状況でございます。
以上でございます。
【家森座長】
どうもありがとうございました。
先ほどの御質問の中では、西原先生から、不動産仲介、地場不動産に関して、今、規制緩和をするということについての要望の背景などを説明してほしいというようなことでしたと思うので、その点についてお願いいたします。
【全国地方銀行協会】
すみません。漏らしてしまいました。
よく聞かれる話ですと、事業再生や事業承継の場面で入り口から案件を相談してきた銀行が、最後、不動産をこういう形で処分したいというニーズがあったときに、それは銀行ではできないので仲介業者を紹介しますという形で、1回そこでずっと携わってきたものを途切れさせてしまうケースがあって、それはお客様にとって、最後まで面倒見てほしいというような需要に応えられていないという声があります。
ですので、事業承継や事業再生に関しては、場合によっては自行の担保物件だったりもするし、入り口から案件に絡んでいるので一番よく知っているので、そこには携わりたいと考えています。携わったほうが、お客様にとっても、案件や担保物件のことを銀行がよく分かっているので安心、という声があります。
あとは、我々のプレゼン資料の中にもありましたけれども、例えば、今、地方創生の企画会社などを銀行業高度化等会社でつくっている銀行もありまして、結構、地元のホテル開発や商業施設の誘致など、そういう不動産開発の企画から入っている銀行があります。そういうところは入り口から出口まで、自分たちが一番プロジェクトに深く関わっているので一気通貫してやりたいと、こういうニーズがあります。
まとめますと、事業承継や事業再生絡みのものと、あと、入り口から絡んでいる再開発関係のもの、これについては、自分たちが一番よく知っていて優位性があるということから仲介業務をやりたいと、こういう声が地銀協の会員の中から多くあるということでございます。
【家森座長】
あともう一つ、私のメモでは、原先生から強化法の特例の発動要件について具体的な御要望等があるかについて地銀協、第二地銀協宛てにございましたので、その点もお願いできますでしょうか。
【全国地方銀行協会】
資本を受ける我々の側からは、こういう要件で、とはなかなか申し上げにくいのですけれども。大規模災害や震災のときに一番重要なのは、緊急性を持ってニーズが発生すると思いますので、迅速に資本供給が頂けるように、少し要件は幅広に設定頂くというのが1ついいのではないかなというふうには思いますが。すみません。それは我々が言う話ではないのかもしれないなと思ってお話ししています。
【家森座長】
ありがとうございます。
第二地方銀行協会様、いかがでしょうか。
【第二地方銀行協会】
大規模災害であるとか今までに経験したことがない災害、パンデミックもそうでしょうけれども、そういう事象が今後発生して、我々地方銀行の努力を超える事象により不良債権が多くなった場合、そのときに1つのセーフティネットとして、こういう資本参加制度を活用できるような、そういう基準があればいいのかなというふうに考えております。
以上でございます。
【家森座長】
ありがとうございました。
もうあと5分ぐらいになってしまいまして、もしかしたら、先生方から頂いた質問で私が整理し切れていなくて聞けていないのがあるかと思いますが、時間の関係で御容赦頂きたいと思います。
事務局には、今日、特に神作先生や翁先生からありましたように、この委員会としてどこまでを議論するのかということも考えて次回以降の議題を設定して頂くように、御準備頂ければと思います。
それでは、本日の議論はここまでにさせて頂きます。活発な御議論を大変ありがとうございました。本日頂きました御説明や御意見を踏まえ、今後、さらに議論を深めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
最後に、事務局から連絡事項等をお願いいたします。
【横山信用制度参事官】
次回のワーキング・グループの日時につきましては、皆様の御都合を踏まえた上で、後日、事務局より御案内をさせて頂きます。よろしくお願いいたします。
【家森座長】
それでは、以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了いたします。今日プレゼンをして頂きました皆様方、どうもありがとうございました。これで散会といたします。
―― 了 ――
(参考)開催実績
- 問合せ先
-
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受付時間:平日10時00分~17時00分
電話番号:0570-016811(IP電話からは03-5251-6811)
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(注)金融行政等に関する一般的なご質問等は金融サービス利用者相談室で承ります。
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