金融審議会金融分科会第一部会(第50回)議事録

日時:平成19年11月29日(木)13時00分~14時30分

場所:中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

○池尾部会長

それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから金融審議会金融分科会第一部会、第50回会合を開催いたしたいと思います。皆様には、本日はご多用中のところをご参集頂きまして、誠にありがとうございます。

いつもの通りですが、本日の議事は公開の形で行わせて頂いております。本日、大臣、副大臣、政務官お越しの予定ですが、途中で少し遅れて来られると思いますので、よろしくお願いします。

それでは、本日の議事に早速入らせて頂きたいと思いますが、本日は銀行・証券間のファイアーウォール規制の見直しに関しましてご議論頂きたいというふうに存じます。それで、これまでの審議を踏まえまして、事務局から改めて論点メモを用意して頂きましたので、まずは事務局からそれを説明して頂きますが、その後、ご討議を賜りたいということです。

それで、本日の第一部会は、当初15時まで一応時間をとっておいて頂きましたが、今日はダブルヘッダーで第二部会もこの後控えておりますので、できれば1時間半ぐらいで議論が終了できれば、収束を見れば誠に幸いだというふうに存じていますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

それでは、事務局からご説明をまずお願いします。

○池田市場課長

それでは、お手元にお配りしております資料1、それから関係資料として資料2をお配りしております。主として資料1の方についてご説明をさせて頂きます。

まず、論点メモの最初の方の1枚半ぐらいは、これまで既に提示させて頂いているものと重複がございますので、ポイントをご説明させて頂きたいと思いますが、銀・証ファイアーウォール規制は、平成5年の業態別子会社方式による相互参入解禁時に、利益相反による弊害防止あるいは銀行等の優越的地位の濫用の防止を狙いとして導入され、その後、規制の緩和が必要に応じ行われてきたということでございます。

このファイアーウォール規制につきましては、とりわけ顧客に関する非公開情報の授受の問題あるいは役職員の兼職に関する規制の問題につきまして、金融グループとしての総合的なサービス提供という面で利便性を損なっている、あるいは統合的なリスク管理の障害となっている。あるいは競争力強化ということでいいますと、競争条件の面でも同等のものとなっていない等の指摘を頂いているところでございます。

一方でファイアーウォール規制が目的としております利益相反による弊害防止あるいは優越的地位濫用の防止といったものについては、その徹底を求める指摘がある。

2ページ目でございますが、ファイアーウォール規制をめぐる環境の変化ということで申しますと、グループ経営の進展あるいは証券仲介業解禁等、金融商品販売面での規制緩和、さらに個人情報保護法の施行等の変化が指摘されているところでございます。

アメリカでは、97年、99年とかなり大幅なファイアーウォール規制の見直しが行われていると。

さらに、前回ご議論頂きましたように、諸外国におきましては、利益相反の管理等につきまして、金融機関の自主的な規律付け、それに対する当局のモニタリングといった形での対応が基本的な規制の枠組みになっているというご指摘を頂いたところでございます。

3.から、以上を踏まえまして、ファイアーウォール規制のあり方についてどう考えるかということで整理をさせて頂いております。1つは利益相反による弊害や優越的地位の濫用の防止の実効性を確保する。それから、マル2として顧客利便の向上や金融グループの統合的内部管理の要請に応える、こうしたことのための新たな規制の枠組みを提供していくべきではないかということかと思います。

以下、これまでのご議論を踏まえまして、具体的な部分につきまして論点を整理させて頂きました。

まず、利益相反による弊害の防止の点でございますが、利益相反による弊害を防止するためには、証券会社や銀行等に対し、利益相反の管理のための態勢整備を法令上義務付け、それを当局がモニタリングすることにより、規制の実効性を確保していくことが重要ではないか。

次のページにまたがりますが、その際、具体的な着眼点等につきましては、監督指針で、例えば利益相反の抽出・特定、利益相反の管理、いわゆるチャイニーズウォールの構築等あるいは記録の保持、さらに利益相反管理方針の策定、こうしたものを着眼点として明記し、各金融機関において利益相反の管理のための態勢整備を求めることが考えられないか。

それから、前回の部会の際に多少議論がございましたが、各金融機関が策定する利益相反管理方針につきまして、金融機関における態勢整備を促進する等の観点から、その概要の公表を義務付けることを検討すべきではないか。前回の部会では、こうした方針そのものの公表というのは、こうしたものが金融機関自身にとっての一番のノウハウのような部分でもあるということで、公表には必ずしもなじまない面があるというご意見があったかと存じます。ここでは概要の公表ということで論点として提示をさせて頂いております。

それから2番目に、銀行等の優越的地位の濫用の防止の件でございます。この点につきましては、銀行法令では銀行等が優越的地位の濫用をすることを禁ずる規定が置かれております。この点について、これまでの審議の中で銀行等の優越的地位の濫用を防止するために、これに加えて証券会社が、親銀行等の取引上の優越的な地位を不当に利用して契約の締結等を行う行為についても、これを銀行法令の方ではなくて金融商品取引法令の方でも禁止をし、必要に応じ証券取引等監視委員会による検査を可能にすることというご提案があったかと思いますが、その点も論点として掲げさせて頂いております。

さらに、銀行等の優越的地位の濫用防止に関しては、こうした問題はとかく潜在化しやすいというご指摘がこの審議会でもあったかと思います。この点にかんがみまして、ここでは1つは銀行等自身において顧客等から寄せられる情報を適切に処理する体制を整備する。そうしたことと併せて、当局におきましても、銀行等から寄せられる情報を検査・監督に有効に活用していく仕組みを強化するということが重要ではないかということを掲げさせて頂いております。

3番目以下、以上を踏まえまして、現行のファイアーウォール規制のあり方についてのご議論を整理させて頂いております。

ファイアーウォール規制のあり方を考えていく上では、金融分野における顧客情報保護の意識の高まりについて十分に留意していくことが必要だというご指摘があったかと思います。顧客が望んでいない場合にまで非公開の顧客情報の共有を認めることは必ずしも適当ではないのではないかとのご指摘があったかと思います。

では、そのように考えた場合、顧客意思の確認手段として、顧客の属性を勘案してどのように考えていくべきかということで、個人情報と法人情報に分けまして整理をさせて頂いておりますが、個人情報につきましては、米国ではグループ内の共有に関する規制はない。別途、公正信用報告法でオプトアウトの機会の付与という規定があるということでございます。一方、欧州ではオプトインを求めているという状況かと思います。これまでの議論も踏まえまして、この点についてはオプトインを維持することが適当ではないかということで論点を提示させて頂いております。

次に、法人情報につきましては、欧米では特段の規制はない。また、同意書面の提出手続には、法人サイドにおいても社内稟議等の手間があるとの指摘もあったかと存じます。一方で、法人の中にも自己の情報についての共有を拒みたいとするケースもあり得るということを考えますと、オプトアウトの機会は付与することが適当ではないかということで掲げさせて頂いております。

3番目に、この部会でも何度か議論がございましたが、現在、当局の承認がございますと、内部管理目的の顧客情報の共有、これ、下の方の(注)に書いてございますが、個人・法人情報ともに顧客の同意は必ずしも要せず、この内部管理目的での顧客情報の共有はできることとされております。この点について、各金融グループにおいて前述の通り利益相反管理体制の整備を求めていくとすれば、こうした当局の事前の承認というものは不要とすることが考えられないかということを書かせて頂いております。その場合、当局としては、問題があれば事後チェックをしていくということになろうかと思いますので、情報共有による弊害を防止するため、内部管理目的で共有されている情報について、内部管理目的以外での利用を禁止するとともに、情報管理体制の整備状況等に関し、届出あるいは何らかの報告を求めるなど、厳格な監督対応が可能となるような枠組みを整備する必要があるのではないかということを併せて記載させて頂いております。

5ページ目でございます。(4)としまして役職員の兼職規制の件でございますが、証券会社と銀行等に利益相反管理態勢の整備を求めるということに伴いまして、役職員の兼職規制については撤廃することが適当ではないかと記載させて頂いております。

(注)にございますように、証券会社あるいは銀行の役員につきましては、証券会社の場合ですと、他の会社の役員等に就任する場合には別途届出が存在し、あるいは銀行の場合ですと、他の会社の常務に従事する場合には別途銀行法等による認可が存在するということでございます。

それから、(5)としましてその他の論点でございます。

1点目は、前回、証券課長の方から制度の概要等についてはご説明をさせて頂いておりますが、発行体向けクロスマーケティング規制の件でございます。現在、銀行等の職員が取引先企業に対して証券会社の職員と共同訪問するということは認められております。さらに、株式公開等に向けたアドバイスを行う、あるいは引受証券会社に対して株式公開等が可能な取引先企業を紹介すると、こういうふうなことも過去の規制緩和等の結果、認められるに至っております。一方で、銀行等の職員が引受けに関するアドバイスあるいは紹介にとどまらない具体的な引受条件の提示、あるいはさらにそれに基づく交渉を行うことにつきましては、引受けそのものに該当する可能性が高いということから、ここについては認められていないところでございます。この点につきましては、次の黒マルにありますように、金融グループによる総合的かつ高度な金融ソリューションの提供、発行体の利便性の向上あるいは競争力の強化ということから、この緩和が資するという意見があるところと存じております。

他方、前回証券課長からも多少触れさせて頂きましたが、発行体向けクロスマーケティング規制の緩和については、以下のような点についても指摘があるということでございまして、優越的地位の濫用あるいは利益相反の関係ということに加えまして、証券会社の経営の独立性あるいはリスク管理上の問題がないかということ。さらに引受契約の締結あるいは引受けの内容に係る責任の所在を不明確にしないかということ。さらに現在証券会社に対しましては、昨今の諸問題を踏まえまして、引受審査体制の強化を求めているところでございますが、こうしたこととの関係をどう考えるか。さらに証券外務員制度との関係といった問題もあろうかと思います。さらには引受けの定義等と絡みまして、33条との関係をどう考えるかというようなこともあろうかと思います。

以上踏まえまして、この論点のメモでは、これまで行われてきた規制緩和に加えて、クロスマーケティングに関するさらなる規制緩和を行うことは必ずしも適当ではないのではないかと、論点を提示させて頂いているところでございます。

それから、マル2でございます。主幹事引受制限について記載をさせて頂いております。この点については、必ずしもこれまで制度についてご説明することをしてまいりませんでしたので、関係資料の方の23ページに制度の概要を簡単に整理させて頂いておりますので、まずそちらをご覧頂きたいと思います。

23ページでございますが、金融商品取引業者が、その親法人等あるいは子法人等が発行する有価証券の引受主幹事になるということが、原則としてファイアーウォール規制の一環として禁止されてきたということでございます。この点についても例外というものが認められる緩和措置がとられてきておりまして、1つは当該有価証券が格付を取得しているような場合ということがございまして、こうしたものに加えまして、今般の金融商品取引法の内閣府令の中では、既上場会社による増資の場合につきましては、一定の要件のもとで主幹事会社になることを例外として容認をしているということでございます。が、逆にIPOのケースなどにつきましては、格付けがあるというようなケースを除けば引き続き原則として禁止をされているということでございます。

下の方にアメリカのNASDの規則の要点を掲げさせて頂いておりますが、NASDのケースでは、今のような格付けがあるとか、あるいは既上場の会社であるということのほかに、例えば発行価格について適格独立引受会社が価格を推奨して、その価格に従っているような場合というようなケースには、主幹事引受制限の例外を認めている。IPOのケースでも認めているということがあるようでございます。

以上、踏まえまして、ちょっと論点メモの方に戻って頂きたいと思いますけれども、ただ今ご説明させて頂きましたように、現在、証券会社がその親法人等・子法人等が発行する有価証券の引受主幹事となることは原則として禁止をされております。既上場会社の増資については、金商法の施行に際しまして規制緩和が図られましたが、IPOにつきましては、格付けが取得されていないというような場合を除きまして認められていないということでございます。

こうしたIPOのケースにつきましても、例えば独立した他の証券会社が価格決定プロセスに関与しているなどによって、価格決定の透明性が確保できるというような場合には制限を緩和することが考えられないかということで論点の提示をさせて頂いているところでございます。

以上、論点メモのご説明をさせて頂きました。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいま事務局から説明がありました論点メモに沿ってご議論頂きたいというふうに思いますが、やや論点が多岐にわたりますので、大きく前半と後半に分けて、できれば議論させて頂きたいと思います。それで、前半、項目といたしましては1.のファイアーウォール規制をめぐる指摘から2.ファイアーウォール規制をめぐる環境、そして3.のファイアーウォール規制のあり方のうちの(1)利益相反による弊害防止と(2)銀行等の優越的地位の濫用防止の、この3ページまでを前半ということでまずご議論頂いて、それから4ページの(3)顧客に関する非公開情報の授受の制限以下の部分については後半ということで、引き続き議論して頂くということで、前半、後半に大きく2つに分けて議論をさせて頂きたいというふうに思います。ということで、まずは前半部分に関連してご意見、ご質問がございましたらお出し頂ければというふうに思います。どなたからでも結構です。いかがでしょうか。

じゃ、上柳委員。

○上柳臨時委員

銀行と証券との関係をめぐる今の体制といいますか、持株会社形式が認められていて、だけど証券業と銀行についてはそれぞれ子会社を設立するにしても、それぞれ法人を別個にして一定の独立性を保つというのは相当よく考えられた方式ではないかというふうに私は思っています。いろんな意味で人的交流あるいは一部の情報の共有も含めてノウハウを生かしながら、だけどいわゆる銀行の決済機能を一方で守り、一方で証券の例えば引受機能そのほかを守るということで、よく考えられたもので、基本的には余りまだ大きくいじらない方がいいじゃないかなというのが私の基本的な考えです。10年たったというふうに言うのか、まだ10年しかたっていないというふうに言うのか難しいところですけれども、証券会社が幾つかというか、経営が難しくなったというのも私にとっては記憶に新しいところですし、銀行に対しては放っておくわけにもいかないということで税金が投入されたということも経験しておりますので、やっぱり法人格を、子会社とは言っても持株会社の下にあるとは言っても分けているということの意味が余りなくなるような規制緩和というのはまだ行き過ぎではないかと思いますので、そういう意味では今の範囲でいえば、この利益相反の防止のところは、もちろんこれは外から見にくいですので、あくまでも金融機関自身がきっちりと自律されることが大事なんですけれども、とはいってもそれをバックアップする当局なりあるいは消費者側からも指摘ができるような、そこの体制をきちんとすることが重要だろうというふうに思います。

以上です。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

この前半部分に関しては既に議論をしてきているということもあるわけですけれども、追加的に特にご意見ということは余りございませんでしょうか。

そういたしましたら、後半というか、また前半に戻っていただいてももちろん結構ですので、この論点メモに関して、特に制限を置かずに、4ページ以降の部分に関しましてもご意見を頂ければというふうに思います。

じゃ、田中委員。

○田中(浩)専門委員

それでは、4ページ目のこの情報共有のところに関してコメントさせて頂きたいと思います。

個人のところに関してはオプトインの考え方をとられるということで、これはその通りだと思います。法人情報に関しまして、オプトアウトの方式が適当ではないかというところですが、今までの議論を振り返ってみますと、法人に関して2人の委員、住商の島崎委員、それから新日鉄の関委員の方から、事業会社の方からすれば、最良のサービスを受けたいので情報共有を銀行グループ間でやってもらうのは一向に構わないということが言われていました。今日の日経新聞の方にも事業会社の方はそういう意見だということが掲載されていましたが、本当にそうなんですかというところをちょっとお話させて頂きたいと思います。

この情報共有の部分に関しましては、これは要するに証券会社と銀行の間、あるいは証券会社のところから情報が出入りするところに関して規制があります。同意書のところの実態がどうなっているのかというのを、野村證券の件に関して申し上げますと、今お客様から野村證券及び野村證券のグループ会社などとの間で同意書を入れて頂いているケースが1万300件あります。平成11年度から包括同意書の受け入れが可能になっておりますので、それが今積み上がってきているわけなのですが、件数でいいますと、大半が非上場会社になっています。この非上場会社の間では包括同意が入っておりますが、一方、上場会社との間での同意の方は、包括よりもむしろ個別の方が多い形になっています。なぜそうなっているかというと、住商さんですとか新日鉄さんなどの大企業の場合ですと、包括同意で何でも共有してもらっていいという企業がある一方で、上場会社といえどもそうじゃないところの会社の場合ですと、やはり情報の共有というのは非常に慎重になっております。したがって、何か包括同意を入れてもらいたいといっても、無条件で入れるということではなくて、かなり限定して入れるというのが上場会社あるいは中堅企業の方でかなり主流に今なっているような感じです。

それで、もともと情報共有に関して全く問題がないケースであれば、手続的には数日から1週間ぐらいで入ります。ただ、入らないケースというのは、単に手続が面倒、大変だから、機動的に入らないということではなくて、事業会社自身の方の意思として、むやみに情報を共有されたくないということだと思います。48回の会合でも、やはり國部委員の方から何で同意書が容易に入らないのかという部分に関して、目的がはっきりしないケースの場合はなかなか入れてもらえないというような発言があったかと思うのですが、一部の大企業以外のところの大半の上場会社及び中堅企業の今の意思というのが、そういうのが実態だと思います。その辺を踏まえた場合、今回このオプトアウト方式を採用するといった場合、やり方がいろいろあるかと思うのですが、きちんと書面に基づいて、こういうオプトアウトの権利を使うか使わないかというのを通知して、それで事業会社の方からその権利を放棄する、使わないという返事をもらった企業に対して情報共有するという形をして頂きたい、そういう運用をすべきではないかなというふうに思います。前々回ご紹介したシティの個人のところでの情報共有に関しての、オプトアウトの権利を使うか使わないか確認するというのと全く同じフローをやるべきではないのかなと思います。ここら辺のところのオプトアウトの確認の仕方を非常にいい加減といいますか、事業会社の方が拒否権を発動しないからということで勝手に共有していいと考えるのは実態から大きく離れているのではないのかなと思います。そこの部分に関してはきちんと対応すべきだというふうには思います。

以上です。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

それでは、他にご意見いかがでしょうか。

じゃ、クオさん。

○クオ参考人

ご提示頂いた論点メモについては、私どもの要望を真摯に受けとめて頂いた表れと受けとめ、高く評価し、また感謝します。その上で、二、三点ほどコメントさせて頂ければと思います。

第1に、前半に戻ってしまうんですけれども、利益相反管理に関する法令の規定の仕方についてですが、論点メモの3ページですね。これまで私どもがたびたび申し上げてきましたプリンシプル・ベースのアプローチでお願いできればと思います。すなわち可能な限り一般的な事項にとどめ、各社の個別事情の反映や創意工夫が可能なものとして頂きたいというふうに考えております。

第2に、役職員の兼職についてですが、5ページの上の方ですね。金商法の方からはカントリーマネジャーの設置に対する障害がなくなり、国内の統合的な経営管理の実現に向けて大きな前進と言えます。ただし、カントリーマネジャーの設置の実現し、実効性のあるものにするためには、同時に、注意書きで書いていますけれども、銀行法で制限される兼職についても柔軟な対応を頂く必要があるというふうに考えております。

第3のポイントなんですけれども、オプトインした個人やオプトアウトした法人顧客について、これ資料の4ページの3ポイント目ですが、情報共有は内部管理目的に限られるとなっていますが、内部管理目的とは、例えば利益相反の管理のための営業部門や経営陣が関与する場合も含まれると理解しております。従来どおり、法務コンプライアンス部門といった狭い意味での内部管理部門の内部だけでしか情報共有できないとすれば、コンフリクト・クリアランスを行うことができなくなってしまうということなので、この点は十分留意して頂きたいというふうに思います。

以上です。

○池尾部会長

はい、どうも。

それでは、他にご意見いかがでしょうか。

じゃ、小島委員。

○小島委員

4ページの情報共有化についてです。これは個人の消費者の立場から言いますと、ここに指摘されておりますように、個人情報についての情報の共有についてはオプトインということで、積極的な本人同意というのが必要だろうと思っております。一般法としての個人情報保護法がありますけれども、それに加えて、やはり金融取引法についてはこの積極的なオプトインということは必要ではないかと思っております。

○池尾部会長

はい、どうもありがとうございました。

はい、國部委員。

○國部専門委員

今回の本日ご提示頂きました論点メモ、ファイアーウォール規制の見直しにつきましては、大変意義深い改革であるというふうに評価をしております。今日の論点整理を拝見いたしまして、3点申し上げたいと思います。

1つは、個人情報のところでございますけれども、これまでも当審議会で各委員の方からファイアーウォール規制の見直しにより個人情報保護のレベルが下がるのは問題であり、個人利用者の方を引き続き手厚く保護する必要があるという意見を頂戴しておりまして、金融機関として重く受けとめなければならないというふうに思っております。したがいまして、今回の改正では個人については従来どおり、すなわちオプトインを維持するということでスタートすることに異論はございません。ただ、これまでも少し申し上げさせて頂いておりますが、ファイアーウォール規制としてグループ内の銀行と証券会社だけに個人情報保護法を超えるレベルの保護措置を講じるということに若干の疑問を感じるというのが正直なところでございまして、利益相反と優越的地位の濫用防止、また銀行の健全性の確保がファイアーウォール規制の立法趣旨でございますけれども、こうした規制目的に鑑みますと、個人のお客様に対して、規制を維持する目的は何なのか。グループ内だけの銀行と証券会社だけにかけられるわけですから、グループ特有の弊害等は何かと。こういったところは不明瞭な部分があるものと考えます。そういうことを考えますと、今回オプトインを維持するということでスタートすることに異論はないわけでございますけれども、今後しかるべき時期に、グループ内の個人情報の共有についての重畳的規制の撤廃について議論がなされることを期待いたします。

それから2つ目ですが、クロスマーケティングのところ、5ページからまとめて頂いてございます。我々の理解といたしましては、金融商品取引法第33条に定められている銀・証分離の本質的な趣旨につきましては、預金者保護あるいは決済システムの安定確保等の観点から、銀行と証券会社の法人格の分離を求める規定というふうに理解をしております。参考資料の12ページにございます通り、アメリカにおきましては、グラス・スティーガル法の定める銀行本体による証券業務の禁止、それから証券会社による預金受け入れの禁止という法人格の分離に係る規定は厳格に維持する一方で、情報共有でありますとかクロスマーケティング等を許容することにより銀・証一体での顧客サービスの提供を可能としているわけでございます。

また、論点整理において5ページから6ページにかけておまとめ頂いておりますけれども、引受けリスクの問題等につきましては、引受審査部門の独立性を確保するということで解決できない問題ではないと思われます。欧米の金融グループにおきましては多様な組織形態がございますので、その組織形態に応じまして、必ずしも兼職を行わずクロスマーケティングや代理といった形で銀・証の一体運営を行っております。このように金融機関経営の自由度を確保するという観点からは、米国と同様の制度整備が望ましいと思われますので、そうした方向で検討をお願いできればと思います。また、少なくとも今回こういう形とした後でも、今後規制緩和を行っていく中で、クロスマーケティングに係る規制につきましても引き続き検討して頂くことが適切ではないかというふうに考えております。

それから3点目ですが、これ少し技術的なことになりますけれども、ファイアーウォール規制というのは基本的に金融商品取引業者に対する規制でございますが、現在銀行が証券業務の一部を行っております関係で、登録金融機関としての銀行に対しましても、情報共有等に関する各種規定が設けられております。この点につきまして、今回の見直しの趣旨に沿って適切に制度整備を行って頂ければと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

また、もう1点追加で、先ほど別の委員の方から情報共有のところで法人の関係のご指摘を頂きました。今回、無制限に情報を共有するということではなくて、法人の企業に対しましてオプトアウトの機会を付与するという形でやっていくということでございますので、こういった形の枠組みは適切だと思います。ただ、このオプトアウトのやり方が余りにも厳格になりますと、結局オプトインと同じ形になってしまいまして、今回の規制見直しの意義が減殺されるということのないようにお願いできればというふうに思っております。

以上でございます。

○池尾部会長

はい。ほかにいかがでしょうか。

和仁委員。

○和仁委員

遅れてまいりまして申しわけございません。

今ご指摘のありました5ページの発行体向けクロスマーケティング規制のところなんですけれども、最近私どもでも商品を検討しておりますと、ローンを出しているんだけれども、その劣後しているようなローンのところについて、貸主に関しては、例えばオプションとして、ローンの出資金の返還に代えて借り主の株券を交付するという商品が出てきているんですね。こういう商品は金商法の規制に服します。ワラントを出しているということになりますが、銀行自身の取引のはずなのに、商品の中にそもそも金融商品とされて証券会社しか扱えないようなものが入ってきてしまっている。つまり、株が入っている、株が出てくるということとなると銀行は扱えません。そういうことを考えますと、今ここでクロスマーケティングに関するさらなる規制緩和を行うことは必ずしも適当ではないのではないかというふうに書いていらっしゃる趣旨は、法制度というか、銀行と証券のすみ分けという見地からこういうご判断をされているんだろうと思いますけれども、実際にそういうことだけで割り切れるのでしょうか。むしろ今出てきている金融商品あるいはシンジケートローンとかそういうものの発展を考えた場合には、商品に着目して、こういう商品であるならば、それは銀行が売ってもいいんじゃないですかというふうな形での規制緩和というのも考える余地があるのではないかというように私は思います。東京マーケットを活性化させようということであれば、新しい金融商品ができる限りうまく根づくような土壌をつくるということがご意向なんだろうと思います。もちろんここについて、いや、それをやるとやはり購入者保護の方で問題があるんじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、購入者というかローンを出す方ですけれども、これも基本的にはプロが出しているんであれば、そういうことはそんなに気にする必要はないのではないかという感じがいたします。

ということで、私のコメントといたしましては、基本的にはこの論点整理で構わないと思いますが、商品の特性に準じた形でのクロスマーケティングに関しての規制緩和ということも考えて頂ければと思います。

以上です。

○池尾部会長

はい。じゃ、どうぞ。

○藤原委員

繰り返しになるかもしれませんが、この会の目的は日本の金融・資本市場を国際化するつまり、より欧米並みに近付けていくということだと理解しています。欧州系はユニバーサルバンキングの組織でありますが、そこで仕事をしてきて、非常に疑問に思ったのは、日本の場合は銀行法、証券法と分かれているので、顧客にマーケティングする際、2人必要です。しかし、フランスはユニバーサルバンキングなので1人で済みます。つまり1人の人が法人顧客のところへ行き、顧客が資金調達を考えているときは銀行のローンと債権、そして株の話をし、この3つの選択肢の中で「何が一番いいか」をお客さんに勧めることができます。一方、日本の場合はいろいろと制約があって、2人分のコストがかかります。ご存知のように金融業は全経費の中での人件費の比率は高い業種です。それゆえ、費用対コストの点から日本は金融競争では負けてきています。だから、もし日本が「日本の金融・資本市場を国際化」して国際競争に勝っていくという目標を実現したいのであれば、今後はユニバーサルバンキングも取り入れていかなければいけないと思います。取り入れることで人件費の大幅削減を実現できるという利点があります。また、他の利点としてはIT投資の一元化によるIT投資コスト削減も挙げれます。つまり、ユニバーサルバンキングを取り入れることで対顧客の管理(銀行ローン、債権、スワップ、為替)が1つとなり(現在は銀行と証券業務に分かれている)法人顧客1社当りのITコストだけでなくリスクマネジメントも簡素化されるでしょう。

今の和仁先生の話ですが、私は賛成です。1つ例を挙げますと、日本の変額保険市場は2002年以来から2005年までの3年間に残高が1兆円から10兆円へと急拡大しました。その理由は何かと申しますと、金融の新商品開発技術の進歩と2002年度に銀行の窓販が可能になった2点が挙げられると思います。特に後者の理由が大きかったといえます。この例からも分かるように、規制緩和(2002年前は保険商品は銀行では販売できなかった)を少し実施することで、市場が大きくなり、それが将来的には日本の金融の国際化に役立つようになるということがあるのではないかと思ってます。

以上です。

○池尾部会長

はい。田中委員。

○田中(浩)専門委員

クロスマーケティングに関してコメントさせて頂きたいと思います。

今クロスマーケティングのところで、現在銀行ができない業務ということで、引受けのところが残っています。これは、もともと日本の金融制度そのものがアメリカの方の制度と同じタイプで今まで来ていたわけで、アメリカの方でも銀・証分離の垣根がだんだん崩れてはいますが、銀行本体での引受けというのは認められていません。日本の仕組みも今そういう形になっていますので、ここでそれ以外の業務に関しては基本、クロスマーケティングができるようになっておりますので、ほとんどそういう面では障害はないかと思います。

ただ、クロスマーケティングのところで注意しなければいけないのは、銀行の行っている融資業務というものと引受業務、このところの部分の利益相反の関係だと思います。取りまとめの方の5ページ目のところでいうと、(5)のマル1の3番目の黒マルのところになるかと思いますが、銀行等の優越的地位の濫用の可能性ですとか銀行等と投資家との間の利益相反関係のところです。より具体的に言えば、銀行がある企業に融資を行っているときに、系列証券を使ってその企業がファイナンスを行い、その調達した資金で銀行の融資を返済するようなことが行われた場合、こういった利益相反についてきちんと整理した上で、投資家の利益が著しく損なわれるようなことがないようにしなければいけないかと思います。そういう面で、この部分のところに関しての取り扱いというのは慎重にすべきだと思います。

ただ、先ほどの和仁委員が言われたような点に関しては、具体的な個々のケースで判断して、支障がない場合においてはそのように緩和するというのはあるべき姿だというふうに思います。

以上です。

○池尾部会長

はい、どうもありがとうございました。

どうぞ。

○上柳臨時委員

特に4ページの個人情報保護のところの関係で、先ほど国際競争力というようなお話もありまして、ぜひそういう観点も考えていくべきだとは思いますけれども、それにしても、それが例えば日本の管轄のもとにあります個人・法人含めて、消費者なり顧客の犠牲においてなされるというんでは困るということを一言申し上げておきたいというふうに思います。恐らく共存共栄できるところがあるんだというふうに私は思っていまして、そういう意味では個人情報保護の関係で言えば、ヨーロッパがオプトインをしていると。それこそ銀・証の垣根が低い、あるいは同じ法人でできるという体制のもとでも一定のサービスとそれ以外のサービスの間での情報の流通を一部制限しているというところは、これはやっぱり知恵だろうというふうに思うところです。そういう意味で、ここの個人情報の議論は伝統的な銀・証の分離、先ほど私申し上げましたそれぞれの健全性を維持するということだけではなくて、特に最近なのかもわかりませんけれども、いわゆる個人情報保護の意識が高まってきたということとの関係で十分考える必要がありまして、また別の委員の方が何で金融機関あるいは金融業界だけ過重な規制がかかるのかというようなご趣旨のお話ありましたけれども、これはまさに個人情報保護法制をつくるときに、医療とかあるいは金融については特に国民の意識あるいは情報の問題に対処するために、むしろ法律で手当てをすべきだという議論も有力にされたところですので、その教訓を考えておく必要があると思います。繰り返しですけれども、特に銀行さんの場合は、私は何を買ったか、健康情報も含めていろんな情報をお持ちですので、それは少なくとも個人についてはきちんと保護されるべきであると思いますし、そういう意味から言うと、オプトイン制ということであったとしても、そのオプトインの手続はきっちりする必要があると思います。

それから、仮に法人についてオプトアウト制をとるとしても、これは何で法人が違うかというと、恐らく法人はそれぞれ会社法そのほかでリスクを自分たちで管理するという法制になっているから、そちらで十分だろうというご趣旨なんだと思いますけれども、残念ながらまだまだそういうふうにきちんとできていない中小企業なりあるいは公的な関係の会社も含めてありますので、ぜひオプトアウト制を導入するとしても、オプトアウトの機会があるんだよということがちゃんとわかる形にしてほしいと思います。

それからもう一つ、4ページの一番下のところですけれども、内部管理目的での顧客情報の共有について、これはむしろ金融機関を守る方の問題ですけれども、これが抜け穴にならないように、ここのところはきちんとした法制的な手当てが必要だということをぜひ強調したいと思います。

○池尾部会長

はい。言わずもがなのことかもしれませんが、今般ファイアーウォール規制を見直して、ある種規制緩和をするというのは、決してルーズにするという話ではなくて、公的な規制の形だとどうしても機械的、一律的になって弊害が大きいので、それを実情を踏まえて、より有効な形で行える自己規律によって代替しようという話でありまして、厳しくなってもらわなきゃいけないんですね、ある意味でいうと。だから、今回の規制の見直しによって、本当に日本の、国籍が日本という意味ではないですから、日本で活動する金融機関が内部コントロールにおいてしっかりした力量を示して頂けるかどうかということが厳しく問われることに多分なると思うんですね。それで、やや懸念も残されているので、出発点においてはやや厳し目のことを残しつつやって、しっかりとそういう内部コントロール等の面で力量を示して頂ければ、次のステージが見えてくるということに多分なるんだというふうに思いますし、力量が示されなければ、また後戻りせざるを得ないかもしれないということであって、決してルーズにするというわけではなくて、自己規律にゆだねる方向にぜひ行きたいので、規律の高さをぜひ示して頂きたいということだと思うんですね。

どうぞ、川本委員。

○川本臨時委員

規律をもとにした規制体系への移行ということで、今回国際競争力の観点から業界利益にとらわれずに欧米の金融機関と競争条件を同一にするという新しい規制の枠組みへ金融庁が移行されるというご見識には非常に賛意を表したいと思います。特に法人の情報共有におけるオプトアウトと役職員の兼職のところには非常に賛成です。

ただ、そういう進化の方向性は評価するものの、今池尾先生もおっしゃられましたように、内部規律をもとにするのであれば、3ページに書いてあるような態勢整備の公表を義務付けるというのは、これは本来であれば内部規律で済む話ですからなじまないと思います。概要というのであれば別に反対するというわけではないですけれども、もともとの概念は違うということは申し上げたいと思います。あともう1点つけ加えさせて頂ければ、こういうふうに今規制を直していっても、世界の最先端からはまだまだ遠いところにあると思うんですね。ですから、日本が世界の僻地とかガラパゴス諸島とかというように言われているみたいですけれども、こういう状態からもっともっと早く脱却するべくクロスマーケティングとか、さらなる情報共有化への方向に向けて態勢整備を当局も金融機関の側にもお願いをしたいと思います。

以上です。

○池尾部会長

はい、どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

はい、どうぞ。どうぞ、どうぞ、結構です。

○上柳臨時委員

全面的に反対というわけではないんですけれども、3ページの2つ目の黒ポツの、今川本委員がご指摘になりました内部管理態勢とその一部分を公表なり、あるいは監督にかからしめるということ、私はむしろ内部管理態勢というのはむしろそういうものではないかというふうに思うんですよね。何が自主的かというと、その基準の設定なり、あるいはそれをどのように守っていくかということを各金融機関あるいは各金融商品の特性に応じて実際に一番現場に近い方が工夫されると。それを規制当局なりあるいは第三者が見るよりも、実際に現場でやっていらっしゃる方、一番製品に近い方がわかるんだろうということが中心であるわけで、少なくともその一部分を、あるいはこのように内部態勢を持っていますよということは、それはきっちり示してもらわないと。あるいはこれも本当に自主的にやられれば、消費者の信頼を得るためには当然公表されるのではないかというふうに私思いますけれども、それにしてもやっぱり少しずつ規制を改革していくわけですから、一定程度については法律なり何なりで公的なルールとして公表をして頂くべきだと思いますし、少なくとも当面の間は監督機関におかれてもきちんとここについて重点を持って監視されるべきではないかというふうに思います。

○池尾部会長

はい、どうもありがとうございました。

はい、どうぞ、東委員。

○東臨時委員

まず、論点メモに書かれた方向性につきましては、原案に賛成の方向で考えています。したがって、3番目の情報共有あるいは兼職規定あるいは5番目のマル2の主幹事引受制限の緩和という方向については賛成であります。

その上で2点申し上げたいのですが、1つは、利益相反の防止の中に、管理の面でチャイニーズウォールの構築と書かれているわけですけれども、やはりファイアーウォールを緩和する上での前提と課題があると考えています。前提は、ここにございますチャイニーズウォールのより厳格な運用という、これがファイアーウォール規制の緩和というものの前提になるのではないかというふうに思います。しがたって、それがマル1では書き込まれてはいるのですけれども、情報共有あるいは役職員の兼職規制の緩和あるいは撤廃というところに当然かかってくる。チャイニーズウォールのところは、よりこの中で比重を置いて書き込んで頂ければというふうに思います。証券機能の中でも企業の情報を持つ投資銀行部門はインサイダー、市場参加者への情報提供はアウトサイダー、さらには自己部門と。この3つは明確に壁をつくって運営をしているというところは相当厳しくやられています。したがって、銀行と証券のファイアーウォールが緩くなっていくと、銀行の融資部門というのは、考えようによっては企業情報の究極のインサイダーを持ち得る立場にあります。ここを視点に入れてファイアーウォール規制の厳格な運用というところをまず全体に反映させて頂ければというふうに思います。したがって、クロスマーケティングについてもそこがよりどころになるのではないかと思っています。

それから2つ目は、緩和後の課題についてですが、2つありまして、1つはガバナンスの仕組みについても変更の検討が要るのではないかというふうに思っています。銀・証相互乗り入れというときは、金融持株会社制度がない時代につくられた形ですので、アメリカのように金融持株会社の中に銀行と証券という形でそれぞれ並立して運営をするという方がより効率的だし、やはりガバナンスの点で100%銀行が持っている、あるいは100%証券会社が持っているという形では独立性が担保されにくい。それよりは、上位に持ち株会社があって、そのもとで銀行と証券とのチャイニーズウォールの規制の中での一体運営というところが形として目指す方向なのではないかというふうに思っています。

もう一つは、銀・証のファイアーウォールの規制の緩和というのは、別の言い方をすると、より銀行と証券という区分けの業務ではおさまらなくなってきたということを意味していますので、改めて金融商品取引法をゴールとするのではなく、従来から将来の課題として言われていた銀行あるいは保険等も包括をした金融サービス法というところに向けての第一歩というような位置付けで、ぜひこの動きをとらえて頂ければというふうに思います。

以上でございます。

○池尾部会長

ありがとうございました。

引き続き、ご意見いかがでしょうか。

どうぞ、若松委員。

○若松委員

私もまとめられている方向性については賛成です。ただ、先ほど池尾先生が言われたように、やはり自己規律など、日本の場合、確かに欧米の金融と比べた場合には、今ご指摘あったように遅れているかもしれないんですけれども、そこのところは、ある程度ステップを踏んで進んでいかないと現実的ではないような気がするんです。そういう意味においては、この2ページに書いてある当局がモニタリングすることによって規制の実効性を確保していくとか、こういうことをきちっとやっていって、そうした上で世論というか、国民の信頼を得た上で、さらに前へ進めていくという方向性が私は一番現実的なのかなという気がいたします。徐々に欧米に近付けるようにスピードアップしていくということを段階的にスピード感を持って進めていくのがいいと私は思います。

○池尾部会長

はい、ありがとうございました。

1時間そこそこでまとまると非常にありがたいことはありがたい。

はい、じゃ。

○田中(浩)専門委員

追加です。ここで議論しているのは、利益相反があってはいけないということですが、何が利益相反なんですか、何がチャイニーズウォールなんですかということが問題になります。当社もアドバイザー業務を行っていますけれども、業務ラインを分けるようにしていても、最終的には上の方へ行くと情報がまじっていくことがあります。部長の上になると確かに具体的な案件に関しては細かい指示はしないけれどもそれでいいのかいうふうなことで、一体チャイニーズウォールってどこまでやればいいのか、利益相反って一体何を考えた方がいいのかと。やっぱりそこでこれを本当にやっていくために、きちんとしたシステムをつくるのに、欧米の金融機関でも悩んでいるという話がありましたが、何がチャイニーズウォールなんだ、何が利益相反なんだということについて、今回の話とは少しずれてしまいますが、金融庁の方でもう少し実務に入り込んだ上で考え方、あるいは各金融機関の自主的な規制、どういうふうな規制をかければ彼らが考えている利益相反というか、お客さんに迷惑をかけないように利益相反を防げるのか、どのようにやっていけばいいのかということを監督指針の中で何らかのステーメントを出して頂けると非常にいいと思います。何かみんな機械的に、いやこれはチャイニーズウォールですからとかという、そうすると、じゃ人を2倍張りつけなくちゃいけないんですねとか、そんな話になってしまうので、機械的に運用されることがないように、金融庁としては実質的な利益相反の回避や実質的なチャイニーズウォールの構築を求めているということをはっきり打ち出して頂ければと思います。

以上です。

○池尾部会長

はい、どうもありがとうございました。

その通りだと思うんですよね。だからプリンシプルだけ言われて、あとは自己規律で全部やりなさいと言われると、ものすごく本当は大変できつい話になってしまいかねないんで、それぐらいだったらこういう形式的、機械的な規律、ルールでやってくれた方がまだ楽だという話に本当はなりかねない面があるので、ガイドライン等はある程度、多分必要なんだと思いますけれども。

はい、いかがでしょうか。

はい、藤原委員。

○藤原委員

利益相反の件についてですが、どなたか委員の方がおっしゃっていましたが、債券の満期(証券会社の仕事)が来るのを知って、新規ローン(銀行の仕事)の話をするのは利益相反となるという話ですが、ユニバーサルバンキングを実施しているフランスの銀行の場合は利益相反にはならないと思います。この点も考慮して現在の発展したグローバル金融の下での利益相反とは何なのかについて今一度考えてみる必要があると思います。最近金融の商品が複雑化してきているので、利益相反の定義も変わってきててもおかしくはないと思います。例えば、デリバティブを銀行ローンに組み入れることで顧客はリスクは取るが、将来的にはコスト削減となるローンの選択も魅力的な金融商品かもしれません。しかしすでに触れましたように、実現化には少し時間がかかるかもしれません。この辺で「利益相反の意味」について具体的にわかりやすく定義付けるというのは日本の金融市場を発展させるためにも大事だと思います。

○池尾部会長

はい、どうもありがとうございました。

はい、嘉治委員。

○嘉治委員

ありがとうございます。利益相反についてですが、頂いた関係資料2の15ページに米国と欧州の例が挙がっております。米国でも「情報開示等について規定」となっておりまして、欧州でもMiFIDのところで「情報開示等を求めることとされている」とあり、FSAについても「情報提供・開示すべき事項等について規定」となっておりますので、これを参考にするかぎりある程度は情報開示を求めるのが適当なのかもしれないと思われます。

それから、利益相反の定義ですが、ほかの委員がおっしゃられたように、欧州・米国の金融機関もある程度は模索しながら営業しているということですので、恐らく最初からパーフェクトな定義を金融庁が提示することは難しいと思われます。何らかの形で定義して始めたとしても、その後お互いに情報を提供し合って最適な定義、解釈を探していくものではないかという印象を持ちます。

以上です。

○池尾部会長

はい、どうもありがとうございます。

その通りだと思います。だから何度も言いますけれども、金融機関の方はこれから大変だなと思うんですよね。自分で考えて答えを出していって頂かなければいけないんで、利益相反じゃないかと言われたときに、いやそうではないんですというようなことをちゃんとアカウンタブルに説明できるような体制までつくってもらわなきゃいけないんですから、本当に大変だなと思っているんですが。

はい、翁さん。

○翁委員

私も、全体としてこれは大きな一歩でございますので、非常に評価しております。それで、やはりこれからグローバルなM&Aに対して、欧米の金融機関と伍して日本の金融機関が提案し、そしてファイナンスするというようなことについて、同じ土俵に立てるようにまずするということが第一歩ですので、今回は大きな一歩だと思っているんですが、先ほどの内部管理のところでございますけれども、私もミニマムなところについて情報開示を義務付けて、あとはやはり自主性に基づいて、利益相反の管理体制そのものも市場に評価されるような方向で競争していくというような、そういう環境をつくっていくということが大事ではないかというように思っています。

それからあと、監督だけでなく、検査、エンフォースメントについても、やはり自主的な体制整備というのを促進するという観点から、どういうやり方がいいのかというのを今回見直していくということも非常に重要ではないかというように思っております。

○池尾部会長

はい、どうぞ。

○渡辺専門委員

ちょっと話を戻しますけれども、利益相反の定義なんですけれども、私たまたまIOSCOという証券監督者機構の自主規制機関委員会に所属しておりまして、そこでまさに利益相反の定義とか、それをどういうふうに管理するかという議論をしているんですけれども、そこで一番一般的に言われているのは、利益相反というのは、前提としてまず情報の非対称性があると。その情報の非対称性を利用して、例えば業者と顧客の取引において、業者側に有利な何らかの行為をする、ないしは本来対等であるべき2人の顧客の間で一方の顧客に有利な取引をするというようなことが一番一般的な利益相反の定義になるんですけれども、それに対してそれを防止するどういう手段があうかというと、まさに情報の非対称性が生じないように、例えばディスクロージャーをする、それから情報を流さないとか、そういう情報の流れをコントロールする。それから情報の流れをコントロールし切れない場合には、例えば行為自体を禁止する、やらないということを内部的に決めると。その間にいろんなバリエーションがあるんですけれども、大体そういうシステムになっていまして、その中で各金融機関が自分の組織に一番いいような手段を選んでいくと。それは一番一般的な定義とそれから対応手段ということだと思います。

○池尾部会長

はい、田中委員。

○田中(浩)専門委員

先ほどから池尾部会長が言われている通り、今回の件に関して、金融機関の方の説明責任がより重くなるんだというのは本当にその通りだと思って真摯に受けとめております。ただ、一つそこで問題というか、ポイントがあるかと思うのですが、この利益相反というのは、金融機関が情報を握っていて、それが十分にディスクロースされていないと、顧客にとって経済的に不利益が発生しているにもかかわらず認識できないというケースがあり得るというか、そうしたケースの方が多いと思います。したがって、結果として本来は説明責任を果たせば非常に厳しい立場に立たされるかもしれないけれども、情報が開示されていないがために、それをしなくて済んでしまうというようなこともなりがちであると思います。そういったことを考えた場合、顧客が望んでいないのに自分の情報がどんどん無限定に、無限定にといいますか、自分が直接取引をして認識している以外のところにどんどん情報が勝手に流れていってしまう。それによって結果的に不利益なことがなされる。でも、それも認識できないというのでは困ってしまうということだと思います。そういう面で、やはり情報の共有のところに関して、きちんと顧客が望んでいるのか望んでいないのかという部分は確認してもらう必要があると思います。本来であれば、やはり法人も個人もオプトインの考え方をとるべきだろうとは思うのですが、今回こういうような形でまとめられていますので、現段階ではこういうことなんだというふうには理解いたしますが、前々回の金融審で私の方から例示として、2年前に行われたメガバンクによる優越的地位を使った抱き合わせ販売のことを申し上げました。その後銀行法が変わったわけなのですが、ただ、その後の公正取引委員会のアンケートで、融資と同時あるいは直後に金融機関から関係会社のサービスの提供をオファーされて、その結果、オファーされたところでの意に反して購入したというのが57%あったというのをご紹介いたしました。そのあたりのことを考えると、このオプトアウトの方に関しても、あなたは拒否(不同意)しませんよねといったときに、拒否(不同意)したくてもできない部分もあるという法人も相当数存在するというのではないのかなと懸念を持っています。そういう面で、やはりオプトアウトを採用するにいたしましても、きちんと法人顧客が望んでいない場合は、それを回避できるという形の仕組みにしてもらいたいと思います。

以上です。

○池尾部会長

はい。どうぞ、植田委員。

○植田委員

強い意見ではないんですが、全体についての感想みたいなことですが、ここに示されました方針のようなことは基本的に私は賛成でありまして、ぜひ進めて頂きたいということであります。

ただ、一部の、しかし複数の委員がおっしゃっていますように、第一歩にすぎないような感じの印象を持っております。東京市場の国際競争力ということで申し上げれば、金融機関の国際競争力というだけでなくてマーケットの競争力という意味で、どんどん下がりつつあるという危機的な状況かと思います。いろんな理由がありますが、今日の話題になっていることに関連して言えば、伝統的な銀行業と証券業の垣根に落ちるようなところでのイノベーションが世界的に非常に進展しつつあり、それに乗れないような体制に残念ながらなっているということかと思います。ただ、これは最近のことだけではなくて、大ざっぱに言って、ここ20年くらいずっとそうではないかなという感じがいたします。その中でそういう方向に例えば商品開発も含めていけるというだけでなくて、銀行業的な部分と証券業的な部分について、グループの中で一体的に内部管理を含めたリスクマネジメントができるということは極めて重要なんだと思いますが、もちろん利益相反等ある程度の防止の手だては打った上でということでありますが、そういう観点からしますと、始めの第一歩に過ぎないような試みかと思いますので、ぜひこの程度は最低限実現して頂きたいというのが私の考えでございます。

さらにもう一点、そういう流れの中でつけ加えたいのは、これも一部の委員の方がおっしゃっていたと思いますが、そういう中で伝統的な金融システムのシステムリスク防止策、これは狭い意味での銀行部門についてかなりウェイトを置いた防止策がこれまで考えられ、とられてきたわけですが、それがそのままでいいのかという大きな問題は別途起こりつつあるわけでして、今日、議論になっている話の外に出てしまう問題でありますが、重要な問題として今後議論して頂ければと思います。

以上です。

○池尾部会長

はい、どうもありがとうございました。

それでは、岩原委員。

○岩原委員

もともとなぜファイアーウォール規制が課されたかということを考えてみますと、まさにここで指摘されておりますように、元々は利益相反、リスク遮断あるいは優越的地位の濫用等を防止する目的で証券取引法65条の銀・証分離規制が課せられていたわけであります。銀・証分離規制を緩和して、子会社形態及び持株会社形態による相互参入という形でグループ化した金融サービスを提供することを認めたときに、同規制のもともとの趣旨でありましたリスク遮断や利益相反防止、優越的地位の濫用防止をかわりにはかる手段として、こういったファイアーウォール規制が採用されたわけであります。

ただ、現在のファイアーウォール規制は、今日の目から見直してみますと、そういった目的のために有効な形で働いているかということが問題になるのではないかと思っております。例えばリスク管理について言えば、単に法人格を別にして、兼任禁止等によって法人格を別にするという形でのリスク管理では、現在のグループ単位で営業している金融グループのリスク管理としては適切ではなくなっていると思われます。

そもそも平成10年の金融システム改革法で金融グループを形成することを認めたときの基本的な考えとしては、リスク管理はグループ単位において行うという前提で銀行法等の改正も行いましたし、大口信用供与規制その他もそれを前提に規定がつくられたわけでありまして、そういったグループ単位でのリスク管理をするという観点から見ますと、グループでリスク管理をするための情報をグループのトップに集めなければリスク管理はできないわけでありますから、現在の兼任禁止等によって、いわば単体的な規制を前提にした形でのリスク管理というやり方は恐らく適切ではないし、現在のいろんなリスク管理の手法を考えても、むしろきちんと情報をグループのトップに集めた上で、それを適切に管理しておく体制をつくるということが大事になっていると思います。そういう意味では今回取り上げられております兼任禁止等あるいはリスク管理に係る目的での情報遮断等は、見直す必要があると思っております。特に兼任禁止は、今は下のレベルの役職者だけで兼任ができて上は兼任できないわけですから、本当の意味でリスク管理しなければならない政策的な意思決定をする立場にある役職者が兼任をすることができず、情報を集中してグループ全体のリスク管理をすることができないという、ある意味で変な形になっておりまして、これはまずいのではないかと思います。

そういう意味で見ますと、現在の監督指針などを見ましても、ある意味で形式的に単体であって、それが独立しているということを前提にした監督体制を求めております。例えば「金融商品取引業者向けの総合的な監督指針」の IV -4-2-2-2とか、 IV -4-2-2-2の(3)等は、内部管理業務の業務責任者は、銀行・証券それぞれが独立して業務を行うということを求めておりまして、グループとして統一したリスク管理という理念とむしろ矛盾したことを求めているところがありまして、そういった点は見直していく必要があるのではないかと思っております。非公開情報の授受の禁止も、そういったリスク管理目的についてはきちんとそういう情報が提供されるようにする必要があるように思っております。しかるに現在の内閣総理大臣の個々の承認を受けた上でのというのでは、実際上は余り機能していない。実際は承認を受けている例も極めて少ないというか、ほとんどないようでありますし、そういったことを考えると、こういった点はこの際見直して頂くのがいいのではないかというように思っております。

それ以外の問題についてでございますけれども、もう既に多くの方が論じられておりますので、私がつけ加えることも余りないのですけれども、まず情報の提供の問題について言えば、これはまず個人情報について言えば、個人情報保護法の現在の規定を見ますと、個人情報については法人格が異なる以上は同一金融機関グループに属する他の会社に提供することも第三者提供になって、一部の例外を除けば、本人の事前同意を得ない限り提供が許されないということになっておりまして、いわばオプトインがそもそも個人情報保護法上求められているわけであります。細かい点で一定の例外が認められるとか、いろんな議論がありますけれども、基本はもうそういうふうに定められているのでありますから、あとここで議論するのは、個人情報保護法が求めているオプトイン規制を検査・監督の上で金融庁が実行することを担うべきかという問題ではないかと思います。つまり個人情報保護法がオプトインをもともと求めているわけでありますから、銀行法上の検査・監督の上で金融庁としてもそれのエンフォースメントを銀行監督当局の立場として求めていくかということがここでの論点であって、さっき委員の方のご指摘にあったように、そういうことを金融庁もちゃんと見ておくということが、そういう体制がきちんとしているということの信頼を得ることになるというふうに考えれば、それはやっていくべきではないかというように思います。

それから、法人顧客についてでありますけれども、法人顧客の場合は個人情報保護法の適用はないわけでありますけれども、しかし、同法の適用がなければ、自由に法人顧客の情報を銀行が他に提供していいかというと、恐らくそもそも私法上、契約上あるいは従来の慣習上の問題として、いわゆる銀行秘密の問題になるわけでありまして、日本の銀行は顧客の情報管理について、むしろ非常に慎重であったというふうに私は理解しております。日本のそういう銀行取引のモデルになりましたドイツの場合ですと、銀行普通取引約款の2条で、法人顧客についても約款上ちゃんと銀行秘密を銀行は守りますということを契約上約束しているわけでありまして、銀行取引普通約款の2条3項でオプトアウトをすることが原則とされておりますし、銀行の金融のコンツェルンの内部同士の間での情報提供も別法人として扱うというふうになっているわけであります。日本は、ドイツほど明確ではありませんけれども、やはり銀行と取引している法人顧客もみだりに自分の情報を他に提供されないということを前提に恐らく、銀行はそんなことをしないだろうということで取引をしてきたと思っております。たとえ法律上特にそういうことが要求されていなくても、民事法上そういった契約や習慣をベースにした守秘義務というのは銀行にあるはずでありまして、それにつけ加えて監督当局がそういうことについて監督・検査を通じて、それをチェックしていくかというのがここでの問題ではないかと思っております。

ただ、これについては契約ベースの問題でありますので、私自身としては、やはり個人の場合とは違うというように考えていまして、その意味では多分、細かい議論をしなきゃいけないんですけれども、監督の面からすれば、今回の論点メモのような方向で基本的にはいいのではないかというように思っております。

あと利益相反の問題については、これはもう多くの委員の方がご指摘のように、実際詰めてみると大変な問題でありまして、ありとあらゆるバリエーションがあり、いろんな場合の問題があります。むしろ今まではファイアーウォールがあってそのような可能性が禁止されているということで、ある意味、さっき部会長がおっしゃいましたように、銀行は割と安心していられたわけですけれども、これ本当に詰めて利益相反に対処する体制をつくるとなると、大変です。自己規律って言うは易いですけれども、どういうふうな体制をつくったらチェックができて、さらに言えば、監督当局も一体そういった体制をどうやってチェックできるか、そっちの方がはるかに大問題であります。ある意味で非常に重い十字架を背負うことになるんですけれども、金融グループ化を認めるということは、実はそういう重荷を負っていくということを意味しているわけでありまして、これはそういう形で今後日本の金融機関が努力していくしかないと思っております。

以上です。

○池尾部会長

はい、総括的にどうもありがとうございました。

それでは、そろそろよろしいでしょうか。

それでは、いろいろとご議論頂きましたが、大枠でそれほど大きなご異論はなかったように思いますので、この後は報告書の取りまとめに向けた議論の中で追加的に議論をさせて頂くという形にさせて頂きたいと思います。だから、次回以降、報告書の取りまとめに向けた審議を行いたいと思いますが、その中で追加的に本論点についてもご議論を頂けると思います。

ということで、最後に事務局から連絡をお願いいたします。

○池田市場課長

次回の第一部会につきましては、12月11日火曜日の午前10時からということでお願いをしたいと思います。次回以降、基本的に部会長からご指摘ありましたように、報告書の取りまとめに向けたご審議をお願いしたいと思います。報告書自体は第一部会の報告書ということにはなりますが、ここまで第二部会の委員の方にもご参加を頂きましたので、引き続きご案内をさせて頂きたいと思いますので、都合の許す方はご参加頂ければというふうに考えております。どうかよろしくお願いいたします。

○池尾部会長

それでは、この間1週間に1回ペースでやってきましたが、ちょっと報告書をまとめるのに少し間を頂いて、12月11日ということでお願いいたします。

それでは本日の審議はこれで終了させて頂きます。どうもありがとうございました。

以上

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