金融審議会金融分科会第一部会(第59回)議事録

1. 日時:

平成20年12月11日(木曜日)14時00分~15時23分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室


○池尾部会長

それでは、定刻になりましたので、ご出席の予定でまだ見えておられない委員の方も若干おられますが、ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第59回会合を開催いたしたいと思います。

皆様には、本日はご多用中のところをご参集頂きまして、誠にありがとうございます。

それで、いつものことですが、本日の議事は公開の形で実施させて頂いておりますことを会議に先立ちましてご報告申し上げておきます。

それでは、早速ですが本日の議事に入りたいと思います。

本日は、これまでの議論を踏まえまして、第一部会報告書の案文を事務局に用意して頂いておりますので、これについてご審議を頂きたいというふうに考えております。

それではまず事務局から報告書案についてご説明をお願いいたします。

○池田市場課長

お手元に資料1としまして、報告の案文を配付させて頂いております。後ほど読み上げをさせて頂きたいと思いますが、全体の構成についてだけ若干ご説明をさせて頂きたいと思います。

1ページ目に、「はじめに」の後、2ページ目から10ページ目までがチャプター I ということで、格付会社に関します点について記述をしております。それから、10ページから12ページまで II といたしまして、金融商品取引所と商品取引所の相互乗入れの問題について記述しております。それから、12ページから13ページ、開示制度の見直しということで記述しておりますが、これは後ほど岩原先生のほうからご報告を頂くことになっておりますが、この部会の下に置かれておりましたディスクロージャー・ワーキング・グループでの検討結果を踏まえまして記述をさせて頂いております。それから、13ページ、 IV .その他とございますが、この点につきましては、後ほど事務局のほうからご説明をさせて頂きたいと思っておりますが、金融商品取引法上の特定投資者、いわゆるプロ投資家への移行の手続に関しまして若干本日ご議論をお願いしたいと考えておりまして、本日の議論を踏まえまして、次回に案文を追加させて頂きたいというふうに考えているところでございます。

それでは、読み上げをさせて頂きたいと思います。

○読上者

では、読み上げさせて頂きます。


金融審議会金融分科会第一部会報告(案)~信頼と活力ある市場の構築に向けて~

はじめに

現在の国際金融市場は、米国のサブプライム・ローン問題に端を発する大きな混乱に晒されており、高レバレッジ商品による短期的な利益追求といったこれまでのビジネスモデルの問題点等が大きく浮き彫りとされている。こうした中で、各国が国際的に連携し、金融システムの安定に全力を尽くすとともに、金融危機の再発防止、金融システム強化を強力に推進することが急務となっている。

同時に、我が国においては、少子高齢化社会が到来する中で、経済の持続的な成長を確保し、国民の資産形成に資するため、我が国金融・資本市場の競争力強化の重要性は決して失われるものではなく、この点にも引き続き不断に取り組んで行く必要がある。

こうした問題意識の下、金融審議会金融分科会第一部会では、今般の金融市場の混乱がもたらす教訓を踏まえつつ、公正・透明で、かつ、多様で利便性の高い市場インフラを整備すべく、

  • 格付会社に係る規制の枠組み、
  • 金融商品取引所と商品取引所の相互乗入れ、
  • 開示制度の見直し、

等の諸課題について、本年10月から○回にわたり審議を行った。検討に当たり、開示制度の見直しについては、当部会の下に設置されている「ディスクロージャー・ワーキング・グループ」において、専門的な観点から検討を行った。

本報告書は、当部会における検討結果をとりまとめたものである。今後、関係者において、本報告書の趣旨を踏まえ、適切な制度整備が進められることを期待する。

I .格付会社に対する公的規制の導入

1.背景・問題認識

信用格付は、投資者が投資判断を行う際の信用リスク評価の参考として、金融・資本市場において広範に利用されており、投資者の投資判断に大きな影響を与えている。このような格付を付与し、利用者に対して幅広く公表・提供している格付会社は、金融・資本市場における情報インフラとして重要な役割を担っており、それに応じた適切な機能の発揮が求められる。

このように、格付会社は投資判断のための重要な材料となる情報や意見を顧客に提供するものであるが、他方で、投資助言サービスとは異なり、個別に顧客と契約を締結して金融商品の売買について直接的な関与を行うものではないことなどから、我が国をはじめ世界的にもこれまで規制対象とはされて来なかった経緯がある。

しかしながら、特に2001年末の米国の企業会計不正事件、2007年夏以降に顕在化したサブプライム・ローン問題を巡り、格付会社について、

  • 格付会社が格付を付与するに当たって、(偽りのない正確なデータの入手を含め)データの利用方法やモデルなど格付手法の妥当性について十分な検証が行われていなかったのではないか、
  • 発行体・アレンジャーから報酬を受領するというビジネスモデルに利益相反の可能性が内在しているのではないか、
  • 投資者等の市場参加者に対して、格付実績、格付の意義・限界など、格付を理解するために必要な情報開示が不足していたのではないか

など、様々な問題が提起された。

さらに、投資者が格付に過度に依存し、証券化商品のリスクを十分に評価しなかったのではないか、との指摘もなされている。

以上のような問題への反省も踏まえ、国際的には以下のような様々な取組みが進展している。

  • 証券監督者国際機構(IOSCO)は、2004年12月、格付会社が自主ルールに盛り込むべき具体的な事項(「基本行動規範」)を公表し、2008年5月に改訂。
  • 2008年11月の「金融・世界経済に関する首脳会合」において、国際的に共有されているルールと整合的に、格付会社に対する強力な監督を実施していくこと等について合意。
  • 米国では、2006年9月に信用格付機関改革法が成立し、公的規制・監督の枠組みにおいて採用される格付機関(NRSRO )について、登録制度に基づく公的規制が導入。2008年12月には、具体的な規制内容を定める米国SEC規則が改正【P】。
  • 欧州では、2008年7月、EU財務相理事会が登録制度導入の方針を決定。
    同年11月、欧州委員会が格付会社規制に関する規則案を公表。

以上の経緯を総括し、格付会社が金融・資本市場において担っている役割の大きさ、格付会社について指摘されている様々な問題への対応、格付会社を巡る国際的な規制の導入・強化の動向を踏まえると、我が国においても格付会社に対する公的規制の枠組みを導入する必要がある。

また、これに併せて、投資者による格付への過度な依存を是正する観点から、格付の公的利用の見直しを進めていくことも必要である。

2.公的規制の基本的考え方

  • (1) 法的位置付け

    格付会社は、投資者の投資判断に大きな影響を与えており、金融・資本市場における情報インフラとして重要な役割を担っているとの点に照らせば、格付会社に対する公的規制は、資本市場の機能の十全な発揮や投資者保護を目的とするものと整理することができ、金融商品取引法に位置付けることが適当である。

  • (2) 規制の対象範囲

    規制の対象範囲については、信用リスクに関する表現行為全体に萎縮的効果を及ぼさないよう必要かつ合理的な範囲に限定する観点から、信用リスクに関する意見を記号・符号で示す行為について広範・網羅的に規制対象とするのではなく、その格付が広く金融・資本市場において利用されており、投資者の投資判断に大きな影響を及ぼし得る立場にある格付会社を対象とすることが適当である。

  • (3) 公的規制の枠組み

    公的規制の枠組みとしては、個々の格付の実質的内容そのものを規制対象とするのではなく、投資者による信用リスクの分析をサポートする、という格付の本来の機能・役割が適切に発揮されることを基本に据えることが重要である。

    こうした観点から、国際的に共有されている問題認識も踏まえ、格付会社に対する公的規制は、

    • (a)格付会社の格付対象者等からの独立性確保・利益相反回避

    • (b)格付プロセスの品質と公正性の確保

    • (c)投資者等の市場参加者に対する透明性の確保

    を主眼とすることが適当である。

  • (4) 国際的整合性

    金融商品の取引が国境を越えて行われる中、格付会社の格付もグローバルに利用されている。このような実態を踏まえると、格付会社に対する公的規制は、国際的に整合的な枠組みの下、国際協調を図りながらその実効性を確保していくことが重要である。

    このような観点から、公的規制の枠組みについては、IOSCOの基本行動規範の遵守の確保をベースとしつつ、我が国では米系の格付会社が相応の影響力を持っているとの実情や、欧州当局との連携の重要性に鑑み、欧米の規制の枠組みも踏まえた対応が求められる。

3.公的規制の具体的内容

上記2.を踏まえると、公的規制の具体的内容は、IOSCOの基本行動規範の具体的項目を以下の4つの柱(誠実義務、情報開示、体制整備、禁止行為)に整理して法制化していくことが適当である。

  • (1) 誠実義務

    格付会社は、金融・資本市場における情報インフラとして重要な役割を担っており、それに応じた適切な機能の発揮が求められる。

    これを踏まえ、独立性、公正性、誠実性を確保する観点から、格付会社は、独立した立場において公正かつ誠実に業務を遂行することを、格付会社に対する規制の一般原則として規定することが適当である。

  • (2) 情報開示

    • (a)適時の情報開示

      市場参加者にとっての格付の有用性を高める観点から、格付に関する情報開示について、透明性・適時性を確保していくことが必要と考えられる。

      格付は、格付会社によって確立された方法に基づいて付与されるものであり、格付方法・プロセスの適切な開示は、市場参加者にとって不可欠である。また、格付の意義や限界に関する投資者等の理解を促進する観点から、個々の格付について、その属性や限界を明確にすることや、格付の付与又は見直しの際に、格付意見の基礎となる主要な要素をレポートなどにおいて説明していくことは不可欠である。

      このような観点から、格付会社に対して、格付の付与や提供についての方針及び方法(格付方針等)を定めて公表し、これに従って業務を行うことを求めることが適当である。

      格付方針等は、市場参加者が格付を利用するための基礎となる情報であり、適時の開示が求められることから、格付会社が格付方針等を変更した場合には、タイムリーにこれを公表することを求めることが適当である。

    • (b)定期的な情報開示

      上記の格付方針等のほか、格付会社に関する事項として、例えば、格付対象会社との報酬の取り決めに関する一般的な性質や、格付実績に関する比較可能な情報などについても、定期的な開示が必要と考えられる。

      このような観点から、格付会社は、一定期間ごとに説明書類を作成して、公衆の縦覧に供しなければならないことを求めることが適当である。

  • (3) 体制整備

    上記2.を踏まえると、業務を適確かつ公正に遂行するための体制の整備は特に重要であり、格付会社に対し、独立性確保・利益相反防止、格付プロセスの品質管理・公正性確保、法令等遵守、情報管理、格付方針等遵守(上記(2)(a))などについて、体制整備を求めることが適当である。

    体制整備については、格付会社の行動規範その他の規程の整備にとどまらず、実効性が確保されるようにする必要がある。

    また、格付会社自身の透明性を高めることで市場規律を働かせ、その中で自律的な取組みを促していく観点から、体制整備の状況についても説明書類(上記(2)(b))の記載事項とすることが適当である。

  • (4) 禁止行為

    独立性確保・利益相反防止、格付プロセスの公正性確保等の観点から、特にその要請が強い事項については、格付会社の体制整備による自律的な対応のみならず、一定の行為を禁止することが必要と考えられる。

    具体的には、格付会社が格付対象者と密接な関係を有する場合(例:格付対象となる金融商品を担当アナリストが保有している場合)には、これに関する格付付与を禁止することが必要と考えられる。

現在、欧米において格付会社に対する公的規制の導入・強化についての検討が進展しており、公表されている規制案の中には、IOSCOの基本行動規範において求められている内容を超えた規制が盛り込まれている。

このうち、特に、格付対象者に対する一定のコンサルティング業務の提供の禁止については、欧米におけるその後の検討状況を注視しつつ、基本的には我が国においても、同様の枠組みの導入を検討すべきである。

いずれにせよ、将来的にIOSCOの基本行動規範が改訂された場合や、現在、欧米において検討が進められている規制導入・強化の動向を踏まえ、我が国でも追加的な対応が必要となった場合などについて、機動的に対応していくことが必要である。

4.登録・検査・監督の枠組み

  • (1) 登録の枠組み

    公的規制の実効性確保のための法的枠組みとしては、金融商品取引法上、金融商品取引業者などについて登録制度が用いられていること、信用格付業への新規参入への大きな障壁とならないようにする観点から、登録制度を採用することが適当である。

    登録制度の具体的な内容として、例えば、我が国の公的制度の枠組みにおいて利用されている格付を付与するためには、登録を受けなければならない、という参入制限的なものとすることが考えられる。しかしながら、現在、格付に対する投資者の過度の依存を是正する観点から、格付の公的利用の在り方について、国際的な見直しが進められていることを踏まえると、格付の公的利用の有無そのものを、対象範囲を限定する基準として直接採用することは、必ずしも適当ではない。

    むしろ、一定の要件を満たす場合には登録を受けることができることとし、登録を受けた格付会社の付与する格付について下記(2)の仕組みを採用し、結果として、投資者の投資判断に大きな影響を及ぼし得る立場にある格付会社が規制対象となることを担保することが適当である。

  • (2) 登録を受けることによる効果

    「登録できる」との制度を導入する場合には、登録を受けた格付会社の付与する格付と、その他の格付について、前述のような格付プロセスの公正性、中立性、独立性の確保や、格付手法、前提、格付の限界等について、投資者の適切な理解を確保する観点から、法律上適切な枠組みを整備していくことが必要である。

    この点、登録制度による公的規制の導入に伴い、これらの規制を受けていない者(登録を受けていない未登録者)による格付が、規制の枠組みの下での格付プロセスを経たものであるか否か、格付手法、前提、格付の限界などについて明らかにされないまま投資者に提供され、投資者の投資判断を歪めるなど、公的規制の導入の意義が損なわれないよう、一定の工夫が必要である。

    このため、格付の意義や限界等を投資者に明確に認識させることを促す観点から、多数の投資者の利益に重大な影響を及ぼし得る立場にある金融商品取引業者や登録金融機関等が、金融商品の契約の締結の勧誘において、未登録者の付与する格付を利用するに当たり、それが公的規制において定める格付プロセス等の枠組みに則っていないことや、格付手法、前提、データ、格付の限界等について、具体的に説明しない限り、当該格付を利用してはならないこととすることが適当である。

  • (3) 登録要件

    参入形態として登録制度を採用する場合、参入規制の具体的内容は、登録要件において規定されることとなる。

    • (a)体制整備

      格付会社における体制整備は、格付会社に対する規制において特に重要であるため、これを登録要件として位置付けることが必要である。これにより、体制整備についての審査において、当局が、独立性確保、利益相反防止、格付プロセスの品質管理・公正性確保、法令等遵守などについて、確認を行うことが可能となる。

    • (b)拠点設置

      欧州委員会が公表している規制案において、EU域内における法人(子会社)設置が義務付けられていることを踏まえ、我が国においても、投資者保護や検査・監督の実効性を確保する観点から、原則として、国内拠点の設置を義務付けることが適当である。もっとも、外国当局との情報交換を図ることにより、国内拠点を設置しなくても投資者保護や検査・監督の実効性を確保し得る場合等も考えられることから、投資者保護、相互主義や国際協調の観点に照らし、必要に応じて拠点設置を免除する枠組みを措置することが適当である。

  • (4) 現行制度との関係

    登録制度を採用する場合、登録を受けた者を「信用格付業者」(仮称)と位置付け、一定の規制・監督の枠組みを適用することとなる。これに伴い、以下の現行制度との関係を整理する必要がある。

    • (a)指定格付機関制度

      現行の金融商品取引法制等において採用されている「指定格付機関」制度を廃止し、「信用格付業者」の制度に統合していくことが適当である。

      これにより、登録を受けた信用格付業者については、その付与する格付が現行の「指定格付機関」の格付に相当するものとして引き続き認められることとなる。

    • (b)適格格付機関制度

      銀行の自己資本比率の計算上、利用可能な格付機関(「適格格付機関」)を金融庁長官が選定する制度が現在採用されている。本制度は、銀行の健全性指標の算出において、バーゼル合意の考え方を踏まえて定められている制度であり、金融商品取引法の趣旨・目的とは異なることなどを踏まえると、適格格付機関制度そのものは引き続き維持した上で、登録を受けた「信用格付業者」であることを適格格付機関の選定要件とすることにより、両制度の整合性を図っていくことが適当である。

  • (5) 検査・監督の枠組み

    信用格付業者に対する規制の実効性を確保するため、上記の登録制度の枠組みの下で、

    • (a)一定期間ごとの事業報告書の作成・提出義務

    • (b)報告徴取・立入検査

    • (c)信用格付業者による適確かつ公正な業務運営を確保し、格付を利用する投資者 の保護等を図る観点から、信用格付業者の業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める場合には、業務改善命令を発出できること

    など、検査・監督の枠組みを整備することが適当である。

    また、信用格付業者が金融・資本市場において果たす役割に鑑み、一定の業務改善命令が発出された場合など、投資者をはじめ広く一般に与える影響が大きい場合には、当該措置が講じられた事実について周知がなされることが不可欠であり、このための枠組みを整備しておくことが適当である。

    このほか、重大な法令違反が行われた場合などにおいて、より抑止効果の高い行政対応を行っていくための措置の可否についても、検討されるべきである。

    以上の枠組みの下、実際の検査・監督においては、プリンシプル・ベースの精神が損なわれることのないよう留意する必要がある。

  • (6) 外国当局との執行協力

    格付会社がグローバルに活動している現状を踏まえれば、実効性のある監督を行うためには、欧米をはじめとする外国当局との執行協力が不可欠と考えられる。そのためには、検査・監督の情報を外国当局と交換できるような枠組みが必要である。

5.その他

投資者が格付に過度に依存し、証券化商品のリスクを自ら十分に分析・評価していなかった背景には、格付の公的利用のほかに、投資者が自ら信用リスク評価を行うために有用な情報の提供が十分になされていなかったことも要因として考えられる。

証券化商品の原資産やリスクに関する情報を含め、投資判断に必要な情報が投資者等の市場参加者に利用しやすい形で提供されるよう、関係者による環境整備に向けた取組みが望まれる。

II .金融商品取引所と商品取引所の相互乗入れ

1.これまでの審議等

金融商品取引所と商品取引所の相互乗入れについて、当部会では、昨年12月18日の報告において、我が国取引所の国際的な競争力を強化するとともに、利用者の利便性を向上させるとの観点から、取引所における取扱商品の多様化を図るための方策として、以下の内容の提言を行った。

  • 我が国取引所の経営基盤を強化し、国際競争力の強化を図っていくためには、取引所間の資本提携を通じたグループ化等によって、株式、債券や金融デリバティブからコモディティ・デリバティブまでのフルラインの品揃えを可能とする制度整備を早急に行っていく必要がある。
  • 将来的には金融商品取引法に商品取引所法を統合していくべきである等の意見もあり得るが、現状において制度整備を早急に行っていくためには、金融商品及び金融取引は金融商品取引法で規制し、コモディティ・デリバティブ取引は商品取引所法の下で規制するという、両法制の枠組みの下で、資本提携等を通じた相互参入等を可能としていくことが喫緊の課題である。
  • コモディティ・デリバティブ市場については、金融商品取引所の子会社等による開設を認めていくことが適当であるとともに、金融商品取引所本体が開設することについても、選択肢として用意することが適当である。

2.制度整備にあたっての基本的考え方

金融庁では、上記の報告を受け、昨年12月21日に策定した「市場強化プラン」において、「取引所の相互乗入れのための枠組みの整備」を盛り込み、「平成20年中を目途に検討を進め、その後、すみやかな実現を図る」こととしている。

今後、政府部内において、取引所の相互乗入れを可能とするための具体案がすみやかに策定されていくことが求められるが、その際には、以下の基本的な考え方が踏まえられる必要がある。

  • (1) 柔軟な参入形態を可能に

    取引所の相互乗入れを可能とするにあたっては、適切なガバナンスを確保しつつ、効率的かつ効果的な市場運営を可能とする観点から、その経営形態を柔軟に選択できるよう制度整備を行っていくことが適当である。

    具体的には、同一の取引所において金融商品市場と商品市場の両市場を開設することを可能とすることに加え、親子会社の形態や、持株会社を通じた兄弟会社の形態によるものを可能とすることが適当である。

    また、金融商品取引所又はそのグループが商品市場を開設する場合には、例えば、商品取引所法に基づく取引参加者と同様の範囲の者の参加を可能とすることや、金融商品取引清算機関の活用を可能とすることなど、利便性を高めるための検討を行っていくべきである。

  • (2) 取引所等に対する規制・監督の合理化

    取引所又はそのグループが相互乗入れを行う場合、行政においては、金融商品市場の健全性・適切性を確保する観点と、商品市場の健全性・適切性を確保する観点の両面から、必要な監督を適切に行っていく必要がある。

    しかしながら、同一の取引所又はそのグループが、複数の行政当局から、現行法に規定される許認可等の監督をそのまま重複して受けることとすれば、取引所等にとって過度な負担となりかねない。

    このため、各法の立法趣旨を実質的に確保し得る範囲において、行政当局内での密接な連携を図ること等により、機能別監督を適切に実施しつつ、取引所等に対する規制・監督の合理化を図るべきである。

  • (3) 金融行政当局と商品行政当局との連携強化

    取引所の相互乗入れが進展した場合、金融商品市場と商品市場がより一層近接したものとなり、両市場における裁定取引などを通じて、両市場の流動性が拡大していくことが考えられる。

    このような相乗効果をもたらし得ることを踏まえ、両市場の監督当局においては、取引所の相互乗入れを可能とすることと同時に、両市場をまたがる不公正な取引等が行われることによって投資者保護に欠ける事態が生じることのないよう、密接な連携を図っていく必要がある。

以上の諸点が踏まえられることにより、取引の公正等を確保しつつ、利便性が高く効率的な形で相互乗入れが可能となるよう制度整備が進められることを期待したい。

III .開示制度の見直し

投資者が投資判断を行うためには、投資者にとって、分かりやすく、充実した投資情報が、投資者の必要なときに、利用しやすい方法により提供されることが不可欠である。こうした観点から、有価証券取引の実務、投資者・発行者のニーズ等を踏まえ、開示諸制度の一層の整備を図っていくべきである。

  • (1) 「発行登録制度」について

    発行登録書制度の創設時とは異なり、電子開示システム(EDINET)等により発行者情報へのアクセスが飛躍的に容易となったが、発行登録制度の周知性の要件については、投資者に対する補完的な投資情報提供という意味において、今日的な有用性を見い出すことができる。

    この周知性の要件においては、指定格付機関の格付の有無及び内容が要件そのものとなっているが、信用リスクに係る意見表明の一つという格付本来の位置付け及び格付の公的利用のあり方について検証を行うとの国際的な合意を踏まえ、格付以外の要件に見直すことが適当である。

    また、発行登録書の記載事項として、「発行予定額」に代えて「発行残高限度額」を選択できるようにするなど、発行登録制度の利便性の向上のための制度整備を行うことが適当である。

  • (2) 「目論見書制度」について

    投資者にとって身近な投資商品である投資信託証券に係る目論見書について、投資者にとって分かりやすく、利用しやすいものとする観点から、投資判断に極めて重要な情報を記載する「交付目論見書」と詳細な情報を記載する「請求目論見書」に分割し、投資者のニーズに合わせた情報提供のための制度整備等が行われてきた。しかしながら、この制度が利用されない場合が散見され、相変わらず、大部で読みづらい目論見書が投資者に交付されているとの指摘がある。

    このため、「交付目論見書」について、投資判断に必要な情報が簡潔に記載されたものとすることにより、投資者が利用しやすいものとすることが適当である。また、「請求目論見書」については、投資家への電子交付手続の簡素化等を図り、その利用を促進することにより、発行者、販売会社のコスト軽減、ひいては投資者の利益拡大を図ることが適当である。なお、この実現のため、制度整備に加え、運用会社、販売会社等、関係者の一層の努力が期待されるところである。

  • (3) 有価証券の「売出し」概念について

    有価証券取引がクロスボーダー化、複雑化、多様化している中で、「売出し」に係る「均一の条件」と「50名以上」という要件により、「売出し」に該当すると法定開示が必要となり、該当しなければ情報提供は不要という二者択一的な情報開示のあり方について改善すべきである。

    このため、投資者が投資判断に当たり必要とする情報を適正に開示するとする法定開示制度の趣旨に照らし、投資者に情報収集・分析能力があるか、流通市場が国内に存在するか、販売者との間に情報の非対称性があるか、海外を含めた公開情報の有無・程度、取引の態様、有価証券の種類等を考慮しつつ、有価証券取引の実務を踏まえ、「売出し」概念の見直し及びこれに伴う規制の柔構造化を行うことが適当である。

    なお、これらの開示制度の整備に当たっては、当部会の下に設置されたディスクロージャー・ワーキング・グループがとりまとめた報告「今後の開示制度のあり方について」に沿って制度化を進めるべきである。


以上でございます。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今読み上げて頂きました報告書の最後のところに要点が組み込まれておりますが、開示制度の見直しに関しまして、ディスクロージャー・ワーキング・グループで検討してきて頂きましたので、その報告につきまして岩原座長からご説明を頂きたいというふうに思います。よろしくお願いします。

○岩原委員

ディスクロージャー・ワーキング・グループは、本年10月22日に再開されまして、以降5回にわたり、開示制度の見直しについて幅広く検討を行ってきたところであります。

具体的には、発行登録制度、目論見書制度及び有価証券の売出し概念の見直しについて審議を行い、このほどワーキング・グループとしての考え方を取りまとめましたので、本日報告を申し上げるところであります。

これらの制度の見直しについての考え方は、先ほど事務局よりご提示頂きました第一部会報告(案)の中の III .開示制度の見直しにございますように、「投資者が投資判断を行うためには、投資者にとって分かりやすく、充実した投資情報が、投資者の必要なときに、利用しやすい方法により提供されることが不可欠である」との観点から、有価証券取引の実務、投資者・発行者のニーズ等を踏まえまして審議を行ってきたところであります。

見直しの詳細につきましては、第一部会報告(案)に添付されております「ディスクロージャー・ワーキング・グループ報告─開示諸制度の見直しについて─」のとおりでございますが、考え方の主なポイントは以下のとおりであります。

まず、「発行登録制度」につきましては、その利用適格要件のうち、指定格付機関の格付を利用した周知性の要件について、信用リスクに係る意見表明の一つという格付本来の位置付けや、格付の公的利用のあり方について検証を行うという国際的な合意等を踏まえまして、格付以外の要件に見直すことが適当であるとされました。

この点について、ワーキング・グループではおおむね異論なく意見が取りまとめられました。また、発行登録制度の見直しに当たっては、グローバルな観点から検討を行うべきであるというご意見を頂いたところであります。

次に、「目論見書制度」につきましては、投資信託証券に係る目論見書のうち、第1に、必ず投資者に交付しなければならない「交付目論見書」について、投資判断に必要な情報が簡潔に記載されたものとすることにより、投資者が利用しやすいものとすること、第2に、投資者から請求があった場合に交付しなければならない「請求目論見書」について、投資者への電子交付手続の簡素化等を図り、その利用を促進することが適当であるとされました。

ワーキング・グループでは、投資信託の組成者、すなわち運用会社、販売者、すなわち証券会社や銀行及び投資者のそれぞれのお立場から多くのご意見が出され、熱心な議論が行われたところであります。

さらに、有価証券の「売出し」概念につきましては、有価証券取引がクロスボーダー化、複雑化、多様化している中で、投資者の投資判断に必要とされる情報が適正に開示されるよう、有価証券取引の実務を踏まえまして、売出し概念の見直し及びこれに伴う規制の柔構造化を行うことが適当であるとされました。

この売出し概念の見直しにつきましては、募集概念と並んで、理論的には最も本質的で重要な問題を提起するものでありますが、ワーキング・グループにおきましては、有価証券取引のクロスボーダー化、複雑化、多様化を背景に、実務に立脚して、具体的な実務に沿って適切な開示がなされるようにする議論が行われまして、実務上適切な解決策を見出すことができたのではないかと思っております。

以上であります。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

それでは、次に追加の論点ということで、特定投資家移行制度の見直しに関しまして、事務局から説明を頂きたいと思います。

○青戸市場業務機能強化法令準備室長

ご説明申し上げます。

お手元の資料3から5が関係資料でございます。

資料3を使いましてご説明申し上げます。

論点メモとさせて頂きましたが、特定投資家移行制度の見直しについてでございます。本件の背景、問題意識といたしましては、特定投資家制度、いわゆるプロアマ制度は、金商法において導入されたものでございます。同法の施行後1年が経過いたしまして、投資家保護や手続の円滑化の観点から、以下のような幾つか指摘がなされているところでございます。

1つ目としては、プロからアマへ移行した顧客が、アマ扱いの継続を希望していたとしても、期限日、これは移行から1年と決まっておりますが、その期限日経過後に再び申し出を行わなかった場合には自動的にプロに戻ってしまう、こういった制度になっております。

法律上は、プロに戻った後の最初の取引の際に、金商業者が当該顧客にプロとして扱う旨を告知することとされておりまして、その際アマへ移行する意思を改めて表明して頂ければ、アマへの移行が認められるものでございます。しかしながら、取引の際にこうした手続をとるということは、顧客の意思の確認の徹底とか、迅速な取引の妨げになりかねないのではないかとのご指摘がございます。

また、2点目といたしまして、現行制度のもとでは、一たんプロからアマ、アマからプロへの変更を選択した場合は、期限日までの1年間は元の属性の変更はできないという制度になっております。今後1年の経過を待つことなく、その属性、つまりプロからアマ、アマからプロの変更を望む顧客も増加することが想定されますが、現行の制度のもとでは対応はできないという、こういう現状にございます。

この問題意識に立ちまして、本日ご提示申し上げた検討事項でございますが、1つ目としては、投資家保護等の観点から、まずプロからアマに移行した場合は、顧客から申し出があるまで原則として移行の効果が持続すると、こういうふうにしてはどうかということでございます。他方、この逆でアマからプロへ移行する場合につきましては、まず1点目として、この点についてもできるだけ実務の簡素化が求められるのではないかと思われる一方、プロへの移行の効果というのを永続的に持続させることで、投資家保護上の問題が生じないのかどうか、こういった問題があり得ると考えております。

このため、例えばこのアマからプロへの移行の点につきましては、1年ごとに金商業者から通知を行うことを前提といたしまして、プロ扱いを継続することなどが考えられるのではないかと思いますが、この場合、個人の場合は資産要件等が求められておりまして、そのチェックというのは実務的にどのように行うかなどについて検討する必要があるのではないかと考えております。

あともう一点、検討事項といたしましては、先ほど申し上げましたように、プロからアマ、アマからプロに移行した場合、現行制度のもとでは1年間この属性の変更はできないということでございますが、顧客が希望すれば1年ごとに限らず、プロまたアマへ戻るということを可能とすることが考えられますが、実務面での対応も含めてどのように考えるかということがございます。

以上でございます。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

それでは、一通り説明を頂きましたので、ただいまから報告書案そのものと、それに付随しますディスクロージャー・ワーキング・グループからの報告、そして今、追加論点として出して頂きました特定投資家移行制度の見直しということについてご審議頂きたいと思いますので、ご意見を頂きたいんですが、報告書案はちょっと多岐にわたっておりますので、多岐にわたっているといっても大きな論点は、まず格付会社にかかわる規制の枠組みというところが一番大きな分量を占めておりますので、まずは冒頭から10ページの頭ぐらいまでの「格付会社に対する公的規制の導入」という部分に関してご審議を頂ければと思います。それで、その後、後半に残りの部分についてご審議頂きたいということで、まず報告書でいえば1ページから10ページの頭のところの「格付会社に対する公的規制の導入」の部分に関しまして、ご意見あるいはご質問等がございましたらご自由にお願いいたします。いかがでしょうか。

○淵田委員

IOSCOの行動規範は、規範といっても大変細かいルールが列挙されておりますし、それからアメリカの規制やEUの規制案もそれぞれ独自のルールをプラスアルファで盛り込んでいるという状況があるので、日本がどういう形で現時点でまとめたらいいのかなと思っておりましたけれども、IOSCOの規範をより大くくりのプリンシプルに整理し直すという形になっておりまして、また各種の配慮も行き届いた案になっているので、この辺はよい点だと思っております。

ただ、大くくりにしただけに、現時点で各国が金融危機を踏まえて対応しようとしていることについての日本としてのアイデアがややぼやけているのかな、もうちょっと踏み込んでもいいのかなという気は多少しております。例えばG20金融サミットでは、来年3月末までに規制当局として格付機関に対して利益相反と情報開示、それからもう一つ、それと同じ位置づけでコンプレックス商品に対しての格付を異なる扱いにするということを打ち出しているわけですね。その辺、日本はこの報告書の時点で何か考えがあるのかどうかということをこの報告書に盛り込んでもいいのかなという気がいたします。2ページでも、エンロンとサブプライムの問題があって、利益相反と情報開示云々と書いてあるんですが、まずエンロンが起きたことでIOSCOの最初の行動規範ができて、そしてアメリカが登録制を入れて、それでもさらにサブプライムが起きて、そのときに新たに明確になった問題はストラクチャード・ファイナンスの問題になるわけですね。

したがって、より問題が進化していて、それに対して今どうしようかというのが世の中の流れですので、このコンプレックス・プロダクト、ストラクチャード・ファイナンスに対してどう考えていくのかということをもうちょっと明確に出す必要があるのではないかと思います。つまり、先ほど申した格付を別扱いするという、金融サミットでも来年3月末に対応するということになっている話ですので、これを盛り込むとか、あるいは禁止行為のところで、ストラクチャード・ファイナンスに対して格付機関がいろいろ推奨することも、これはIOSCOでもアメリカでもEUでもすべて共通に禁止しようというふうにもうなっていることですので、そういうのをちょっと明確に盛り込んでもいいのかなと思います。これが1つ。

もう一つですが、3ページの下の「規制の対象範囲」ですが、「大きな影響を及ぼし得る立場にある格付会社を対象とする」というふうに記載されております。ただ、これは影響が小さいところは規制しないから心配しないでいいですよという趣旨なのか。だとすると、例えば小さいところでも今後レピュテーションを高めるために登録のステータスをとっておきたい、規制負担はあるけれども、それはクリアしたいというようなニーズがあった場合、あなたは影響が小さいから受け付けませんよということを意図しているのか、そうだとしたら、それはいいことなのかどうかちょっとよくわからないですね。

逆に、影響が大きくても、今回の枠組みですと、登録を強制されるわけではなく選択制ですから、ここで規制の対象範囲を限定するという宣言をしているんですが、これはどういう意味を持つのかがちょっとよくわからないのです。

アメリカでも、どういうところをナショナリー・レコグナイズドとするかどうかという点について、SECの判断基準が非常に裁量的だったということで、その結果、新規参入が阻害されたというような経緯もありますので、そういう変な効果を持たないように注意しなければいけないのでないかと思っております。

○池尾部会長

以上でしょうか。

ちょっと事務局からあれば、出して頂けますか。

○三井企業開示課長

まず、1つ目のストラクチャード・ファイナンスを差別化するということでございまして、ちょっと書き方がやや抽象的だったのかもしれませんが、まずIOSCOのコード・オブ・コンダクトに書かれていることは、それをできるだけ法規制化すると、こういうポリシーの下で、たくさんある細かいルールを4つの柱に分けると。その4つの柱の情報開示は、報告書案ですと5ページになります。その5ページで、考え方としては、個々の格付がどういう限界を持っているのか、あるいはどういう特性のものであるのかという格付の属性や限界を明確に投資家に伝えるというのが1つのくくられた考え方かと思います。

これに相当するものというのが、前回資料でA3のものでお配りしたものがございまして、今日お配りしていなくて大変申しわけないんですが、実は格付、IOSCOの行動規範では、この開示のところに、ストラクチャード・ファイナンスの商品の格付をもし可能であるならば、異なる符号を用いて、そうでなくても何らか分かる形で、通常の社債の違いを投資家にわかるようにすべきであると、こういうふうになってございます。

実は、こういったことも念頭に置いてこの文章はつくってはみたんですが、正確に伝わらないということであれば、文章についてどういう工夫ができるかちょっと検討したいと思います。

違う記号を設けるかということまではIOSCOでは明示していなくて、可能ならばという留保がついております。ただ、投資家にはそういうストラクチャード・ファイナンスというのは普通の伝統的なボンドの格付とは違った属性や手法があって、またカバレッジについてもおのずと限界があるということを投資家にわかってもらうためのそれなりの説明はしなければならないというものでありますので、最低限それらは盛り込むつもりでこの報告書を書いたつもりでございますので、文章については工夫をさせて頂きます。

それから、本質的なご質問で3ページのところでございます。

これも考え方を整理するということでちょっと稚拙かもしれません、こういう書き方をさせて頂いていますが、ここのヒアリングの場に来て頂いた5社の格付というのが、恐らく通常格付で念頭に置かれるようなものかと思います。こういった業務に新たに参入しようとされる方も登録して頂ければありがたいなと思っているものでもあるかと思います。

片や、実際に今格付をやってというか、ここにヒアリングに来て頂いて格付をやっておられた5社に比べると、はるかに大きく、記号を使い、投資判断に資する情報を提供しているものには一般の経済新聞、雑誌を含めて多様なものが存在し得まして、それとこの格付というものをどのように区別して考えるのであろうかと、こういうふうなことがあろうかと思います。

1つには、いろいろマーケット情報、経済情報を提供する際に符号を用いるということで、しかも符号がひとり歩きして、その判断の材料が必ずしも注目を浴びない、あるいは説明されにくいというものがまずその格付の規制を必要とする出発点のゆえんになっているのではないかと思いまして、それで記号を用いたということになってはいるんですが、その記号の中でもいろいろなビジネスがあり得まして、バイ・セルであるとかさまざまなものがあると。その中で信用状況であるという絞りをかけ、そして現在のヒアリングに来て頂いたようなビジネスモデルに相当するようなもの、どちらかというと証券の販売とか組成に結びついているようなもの、あるいは規制に用いられているようなもの、そういう意味で結果たる符号が非常に大きなプレゼンスをもたらす、こういったものをターゲットにしたいという趣旨でちょっと文章としてはつくらせて頂いたのですが、その意味では企業の規模として大きい小さいというよりは、今申し上げたような量的な意味のみならず、質的な意味でいろいろな証券流通、あるいは公的規制、あるいはそれ以外のさまざまな証券市場慣行と結びついて大きな影響を及ぼしているという趣旨で、絞り込みができるのではなかろうかという問題意識でございます。

その結果、小さいものでもそういったビジネスモデル、体系の中に入ってくるものであれば登録できるということでして頂けるということが想定されますし、非常に大きなものでも少しビジネスモデルが質的に違うというものは、このカバレッジから外すというふうなことができるのではなかろうかと、こういう問題意識でございます。

すみません、1つ漏れていました。

商品の組成の推奨を禁止すべきであるということにつきましては、6ページの(1)、(2)、(3)、(4)と掲げた後、「現在、欧米において」というところがございます。IOSCOのコード・オブ・コンダクトにはないけれども、アメリカ、それから欧州の規制案にはあるものということで、この格付対象者に対する一定のコンサルティングの提供行為というものがあります。これについてはまだ議論の途上ではございますけれども、アメリカだけが、あるいはEUの提案だけが飛び出しているというものではなくて、IOSCOのこういう推奨を防ぐような体制整備を行うということよりもさらに一歩進んで、具体的にその推奨行為を禁止すると、こういう行為規制を提案しておりますので、日本でもこの点についてはむしろIOSCOのコード・オブ・コンタクトには書いていませんが、禁止行為として盛り込むことを検討していく必要があろうかという趣旨でございます。

このレコメンデーション、推奨については、一般的なコミュニケーションまですると広過ぎる等のリーガルな技術的な論点があるとは承知していますので、そういった議論も欧州あるいは米国の当局の議論なども踏まえながら、できるだけ前向きに検討していきたいと思っております。

○淵田委員

ちょっと今の点だけですが、このコンサルティング業務の提供の禁止はまだ議論の途上ということですが、先ほど申したのはアナリストによるストラクチャード・ファイナンスの商品設計に関する提案、推奨の禁止というところの問題でありまして、これはIOSCOの行動規範でも禁止ということで明確に載っております。私が申し上げたかったのは、証券化については、投資家が依存し過ぎているから、もっと投資家に情報を出さなくちゃというようなコンテクストでしか、この報告書案では証券化という言葉が使われていないのですが、しかし証券化における格付機関のビヘイビアというのは相当サブプライムで問題になったことなので、むしろそちらについてももうちょっと盛り込んでもいいのかなという、そういう話でございます。

○池尾部会長

3ページのところの対象範囲については、私はこれでいいと思うんですよね。先ほど淵田さんがおっしゃっていたのは、大きな影響を及ぼし得る立場にある格付会社なのに申請してこなかったらどうするんだという話で、それはエンフォースメントの話であって、定義は定義でこれは適切だと私個人は思うんですけれども、エンフォースメントが勧誘の際に用いられないというようなことで、十分影響力のある大きな格付機関は全部登録を実質的にするというだけの実効性が担保できるかどうかという問題だと思うんです。

ただ、前にこれを議論したときにありましたように、あまり公的に関与し過ぎると、格付に何か公的なお墨付きをつけてしまうような面もあるので、エンフォースメントのやり方は非常に微妙なところがあって、とりあえず現状は勧誘等に一切使えないのであれば、多分登録してくれるんじゃないかということで私は理解しているんですけれども。それで、小さなところとかは登録ができるという登録ですから、当然できるということだと思います。

原委員。

○原委員

全体の方向性としては賛成ということで、3点ほど意見を述べさせて頂きたいのですが、1つは簡単な字句です、2ページに背景と問題認識が書かれていて、「しかしながら」から中段なのですが、一番最初のポツに「偽りのない正確なデータの入手を含め」と書いてありますが、「偽りのない正確で十分なデータの入手」と、「十分な」というのを入れて頂きたいと思います。

というのは、先週、国土交通省で、金融審議会にも来て頂いた格付機関の方々数社にヒアリングをお願いして、そのときに実際の格付のあり方についてもお聞きしたんですけれども、今回のサブプライム・ローン関連にしても、十分な情報をお持ちではなかったという印象が大変強かったので、正確だけではなくて、そのことを入れておいて頂きたいと思います。

それから、6ページのこの禁止行為なのですが、禁止行為は実際に条文に書かれて、今、池尾座長からもお話があったとおり、本当に担保できるのかどうかというところなのですね。ですから、概念として書かれていても、それを例えば監督するときに外から見える状況になっていないと、監督・検査もできないと思いますし、それから条文上どういう書き方をすれば規律として働くのかということも工夫がいるのではないかと思います。

というのは、例のところに「格付対象となる金融商品を担当アナリストが保有している場合には、これに関する格付付与を禁止する」と。これは当然なのですけれども、でもこういうことが本当に外から見えるのかどうかということですよね。見えて本当に禁止行為としてこの行為をかけることができるのかどうかというと、難しいような感じもあって、ちょっと一つ一つどういうふうにすれば可能かということは、もう少し具体化のレベルで丁寧に考えて頂けたらと思います。

それから、9ページに「その他」と書かれていて、淵田委員がお話しになったとおり、直接もっと情報開示を進めるということもやりましょうと書いてあるのですが、消費者側から見ると、この全体の書き方が6ページからの「登録・検査・監督の枠組み」というふうに書かれていて、金融庁と格付機関の関係について整理されているという感じがあって、やっぱり「その他」のところにはやはり消費者とか社会というんでしょうか、そういったところから見ての書き込みというのをもう少しして頂きたいと思っていて、格付は非常に消費者からも見やすい、記号だからわかりやすくて見やすいんですね。ですから、よくみんな見ているわけです。

ですから、そういった格付というものの、先ほど属性とか限界があるというお話がありましたけれども、その格付とは何かとか、それから格付機関も今度選択制になるわけですから、いろいろな多様な格付機関というのも存在してくると思うので、その格付機関というものが何であって、どのように私たちは見ればいいのかというあたりの本体の情報提供というのでしょうか、それも十分にして頂きたいと考えています。

業界団体というようなものがあるわけではない、あるのかよくわからないのですけれども、そういったところにお願いすることかどうかもわからないんですけれども、もう少し一般の人への格付についての情報提供というものをお願いしたいと思います。

以上です。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

私が答えるというか、私が発言するのも変かもしれないですけれども、エンフォースメントの話は多分、例えば金融庁が特定の格付会社のアナリストがどんな金融商品を持っているかをチェックするという話ではなくて、それは格付会社自身が内部統制の問題として、体制整備の問題として、そういう禁止行為が行われていないことを格付会社自身がきっちりチェックすると、そういうことが可能な体制整備ができているかどうかを金融庁が検証するという、そういう形に多分なるんだと思うんです。

○原委員

わかりました。多分そういうところまで含めて書いておいて頂けるといいかなと思います。

○三井企業開示課長

その点で言いますと、4番の「登録・検査・監督の枠組み」の後ろのほう、9ページの「検査監督の枠組み」ということがあります。ルールをつくって、あるいは体制整備の考え方、ルールをつくって、それに沿ってやって頂いているかどうかということを検査なり監督なりをしていくということになります。現状、検査はしておりませんので、基本的には格付会社が公表しておしまいということなんですが、それに対しては事実どおりなのかどうかということが検査できるようにすると。

そういう意味では、今アメリカのSECがやっているようなそういう検査をして、この体制整備や開示、場合によっては禁止行為について違反がないかというのを当局としてきちんと対応していくと、こういうことを念頭に置いてございます。

○池尾委員長

ほかにいかがでしょうか。格付会社に関する規制の部分に関しまして、ご意見等、ほかにございませんでしょうか。

上柳委員。

○上柳委員

この格付会社の議論については世界的にも努力されているところですので、我が国もやるという基本的なことについてはもちろん異存はないんですけれども、ただ少し私が思っていますのは、本当はもっと悪いところというか、変えなければいけないところがあるんだけれども、変えやすいところと言うと語弊があるかもわかりませんけれども、見えるところということで、格付会社について改善をする努力がなされているというような気もするんですね。ですので、やっぱり具体的にはいわゆる仕組み商品なり、金融の量全体の問題なのかもしれませんけれども、特にその仕組み商品についての規律なり、あるいは哲学というところが問われているんだろうというふうに思います。

ですので、少なくとも先ほどご答弁ありましたけれども、特に仕組み商品について開示等について限界があるということと、それからできれば単純な符号ということだけではなくて、仕組み商品については格付機関の方が、その仕組みがきっちり見えていると、あるいは仕組みがきっちり開示されているということも何か担保できるような、何かそういうふうな規制がかかるといいなというふうに思っております。

それから、各委員からもご指摘がありましたけれども、禁止行為についてはきっちりと整備される必要があると思います。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。いかがでしょうか。

それでは、報告書全体に対する議論はまた立ち戻ってやって頂くということで、その時点で格付会社に対する部分についても、またご意見、ご質問を出して頂いて結構ですので、とりあえず今すぐご意見がその部分に関してないということでしたら、10ページから以下の部分ですね。まずは、金融商品取引所と商品取引所の相互乗入れの部分及び開示制度の見直し、それから本日新たに追加されました特定投資家移行制度の見直し、この3つの論点の部分に関しまして、いずれに関連いたしても結構ですので、ご意見があればよろしくお願いいたします。

田中委員。

○田中(浩)専門委員

一番最後のこの特定投資家移行制度の見直しについて述べたいと思います。

この検討項目が3点掲げられておりますが、まず最初の「投資家保護等の観点から、プロからアマに移行した場合は、顧客から申出があるまで、原則、移行の効果が持続することとしてはどうか。」については、100%賛成です。

現在、プロの方がアマになって、1年たった段階で証券会社のほうとしてお客様に継続されるかどうかご連絡を差し上げているんですが、なかなか確認がとれないケースがある。でも、基本的にはアマのまま対応したほうがいいと思われるわけなんですが、現行制度ではそれが許されないということになっておりますので、ぜひこれは継続することができるようにして頂きたいと思います。

それから、2番目と3番目のところに関しましては、これは投資家及び金融商品取引業者双方にとって実務が滞らないように、問題が起こらないような形での検討をお願いしたいと思います。

以上です。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

上柳委員。

○上柳委員

今の田中委員からの発言がありましたので、その点について申し述べたいんですけれども、1つ目のポツについては、合理的な変更というのが私もあり得るかなというふうに思っております。

ただ、2つ目以降といいますか、いわゆるアマチュアと言われる方が一定の要件のもとにプロに行ったときに、その後どのようにするのかということなんですけれども、このペーパーにも指摘がありますように、その方の能力の問題と、それからその方の資産の問題、資産要件と能力要件が基本的な問題になってきまして、多分これは最初1年とつくったのは、何で半年でなくて1年なのか、あるいは何で1年で、1年6カ月ではないのかというところは微妙なところもあるんですけれども、1年をめどにして、多分その間ぐらいであれば、能力あるいは資産もそれほど大きな変化がないだろうと。

だけれども、1年たてば、あるいは年齢をとられて、あるいは家族状況が変わって意向が変わることもあると。それから、今特に相場の変動が激しいですから、資産要件のほうは3億円今まで持っておられた方が半分になるとかいうこともあり得ないこともないわけで、1年たつところで見直す必要があるというふうに思われるわけですね。

そのときに、デフォルトとしてアマチュアの方がプロになった場合に、申し出がない限りプロが続くというのでは、やはり金商法をせっかくつくった意味がないわけで、原則として戻るということで、私はそういう意味では現行のままでよいのではないかというふうに思います。

ただし、いろいろプロを続けたいのに一々面倒くさいとか、あるいは1年たったところで1日、日があいてしまうとか、そういう問題がひょっとしてあるのかもわかりませんので、そこについては何か実務的な対応というのは、そのほかに工夫の余地があるのではないかと思います。ただし、法改正までする必要があるのかどうか、少し私は疑問に思っているところです。この点だけにします。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

だから、一応考え方としてはやや非対称的になっているわけですよね。プロがアマに移行を希望した場合は、パーマネントにそれは一応効果を持つと。しかしながら、アマがプロに移行した場合は定期的にチェックがかかるというのが、ややパターナリスティックかなという感じもしないでもないですけれども、投資家保護の観点から言うと、そのような非対称性は認められていいんじゃないかというのと、実務上やっぱりあまりコストがかかるような形のものは好ましくないということで、実務上円滑にやれるような制度になるだけしたいという、そういう2つの要請の折り合いをどうつけましょうかということだと思いますが。

いかがでしょうか。今の特定投資家移行制度の見直しに関連してでも結構ですし、それ以外の開示とか相互乗入れの話でも結構ですが、いかがでしょうか。

○原委員

今の移行の話についてなのですけれども、ご説明をお聞きして、プロからアマへというのと、アマからプロへというところで、こういう非対称的なルールというのは、このやり方でと思うのですけれども、やはり今の上柳委員がおっしゃったあたりが気になりまして、1年ごとに業者から通知を行うことを前提にと書いてありますけれども、この通知というもののやり方が、あなたは継続してこのままプロでいますかという、単純な質問とアンサーという形になるのか、それともきちんとした書面で、この1年間に職業の変化はなかったかとか、それから資産に変更は、少なくとも資産の変更ですね、変化はなかったかとか、そういうようなあたりをある程度聞いて、金融商品の取引業者の側からも少しチェックができるような仕組みにしないと、単純な通知と単純な回答では成り立たないというような感じがしますので、もう一工夫考えて頂けないかと思います。

それから、目論見書についてなのですが、こちらの資料1の13ページですが、12ページから13ページにかけて目論見書制度についての改善が書かれているのですが、ちょっと文章が気になります。「『交付目論見書』について、投資判断に必要な情報が簡潔に記載されたものとすることにより」となっていますが、「必要な情報」というよりは「投資判断に重要な情報」だと思いますし、それから「簡潔に」ということが、それだけがちょっと歩いていっても困るので、なぜ「簡潔に」というふうに言っているのかというと、やはり投資家がわかりやすく理解できるよう簡潔に記載されたものとするということが本来の趣旨なので、お願いをしたいと思います。

ディスクロージャー・ワーキングに私も所属しておりまして、それからその合間にも証券会社の方々、投資信託の会社の方々とも15人ぐらいとディスカッションの機会も設けさせて頂いたので、齟齬はないというふうには感じているのですけれども、文章の表現を工夫して頂きたいと思います。

以上です。

○池尾部会長

ありがとうございました。

最初のほうの資産要件等のチェックを実務的にどのように行うかなどについて、検討する必要があるというふうに論点メモでは書いてあるんですが、もっとちゃんと答えを、もっとちゃんとアイデアを出してほしいというふうな感じでしたが、事務局から何か。

○池田市場課長

この論点については、今日初めて論点として提示をさせて頂いて、冒頭にも申し上げましたように、今日のご意見を踏まえた上で報告書の中にどこまでの内容を盛り込むかというのは、次回までの間に考えさせて頂きたいと思うんですけれども、今日の何人かの委員の方からもありますように、一方で投資家保護が陰ることがないようにしなければいけないということは、これは事務局のほうも認識をしているところであります。

一方で、実務の問題がこれについていかないといけないところがあります。原委員がご指摘になったようなやり方も、アイデアとしては1つのアイデアかなという感想を今持ちましたけれども、果たしてそうしたことが証券会社の実務上、回るかどうかというのはよく詰めてみなければいけないというふうに考えておりますので、ちょっと今日のご指摘を踏まえて、どういうことが可能なのか引き続き検討させて頂いて、それを踏まえて、報告書の中でどこまでのことが記述が可能なのかというのは、改めてちょっと検討、調整をさせて頂きたいと思います。

○池尾部会長

ほかにいかがでしょうか。それほどご意見がなければ、30分前ぐらいには終わってもいいと思うんですけれども、まだまだちょっと、さすがにもう少しご意見を頂いたほうが。

上柳委員。

○上柳委員

目論見書の関係なんですけれども、大きな変更だろうというふうに思います。ただ、いずれもこれまでいろいろなところで使いにくさを指摘されていたところについて、専門の先生方のほうで検討して頂いたということで、こういう方向でやってみるのかなというふうには思っておるんですが、例えばいわゆる交付目論見書のほうを簡潔化するということも、これも先ほど原委員から指摘がありましたように、投資判断にとって必要というよりも、十分な情報が投資家にとって理解できるような形で知らせられるということが基本でありまして、それから見ると、現行のものが果たして理解できるような体裁なのかどうかというのは疑問があるので、簡素化というのはあり得るというふうに思っています。

ただ、これも今までとにかくあそこにたくさんのことを書いたほうがいいというふうに言ってきましたのは、やっぱり取引の現場で十分な説明がなされていない、あるいは投資家に必ずしも適合しない商品が提供されているというふうに何となく心配をしてきましたので、少なくとも書面にはきっちり情報が出ていることというふうに言ってきた結果、今みたいな慎重なプラクティスになってしまったんだろうというふうに思っています。

ということで、これとセットで本来の投資家にとって適合的な商品が提供されること、それから説明はきっちりされるということが、そちらが進んできて、あるいはそちらについての監督、あるいは検査も含めて進むということが前提なんだろうというふうに思っています、ここは精神論みたいな話ですけれども。

もう一つ、少しわかりにくくなっていますのは、1つは50人要件のところで、実際上、今まで49人でいろいろばらばらやっていたのをこういうふうにきっちりするということは、1つの工夫かというふうに思いますけれども、特に海外発行を加えて、海外発行証券のほうについては本当にこれでよいのかどうか。特に海外の市場といってもいろいろな質の市場がありまして、きっちりしたエンフォースメント、あるいはディスクロージャー、あるいは日本よりもきちっとされているところもあるんでしょうけれども、そうでないところも混入してくる危険があると思いますので、やっぱりここの実質的な判断はきちんとする必要がある。一部で何か、例えば1,000名基準にするとか、そんな記載も後ろのほうに出てきますけれども、これで本当にいいんだろうか、少し心配をしているところです。対案がなくて申しわけありませんけれども、懸念だけを申し述べます。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

全体を通して、大局的な観点からのご意見でも結構ですが、いかがでしょうか。あるいは、取引所の相互乗入れについてはご意見ありませんが、これは金融審としては去年に決着した案件ということで、もう決着済みなのかもしれませんが。

いかがでしょうか。特段追加的なご意見が本当にないんでしたら。

どうぞ。

○原委員

大変恐縮なんですが、この資料1、第一部会の報告で出されるわけですよね。それで、具体的に検討してきた項目ということで、議論の積み重ねがありますから、この3つの課題ということで出されると思いますけれども、やはり9月以降のこの金融の状況ですよね。これについて、やはり一般の人たちは、金融政策とか金融行政が今何を考えているのかということを知りたいというか、今ここでも考えておられるというところだと思うんですけれども、どういうようにこれからの金融政策とか金融行政をとっていくのかということは、何か「はじめに」のあたりに盛り込むことはできないのかなというふうに、メッセージでもいいので、そういうような工夫ができないのだろうかというふうには、ちょっと全体を見た感じでは思います。

これは格付についても、それからこの相互乗入れについても、去年の12月での課題を引き受けて具体化を図ってきているというふうに思っているので、今の状況、少し加筆できるものであればというふうには思います。

○池尾部会長

どうもありがとうございます。

審議会というものの性質から、やや限界はあるとは思うんですけれども、諮問を受けたことに対して答えを出すので、諮問も受けていないことについて勝手に意見を述べる場ではないというのがあるんですが、引き続き我が国金融・資本市場の競争力強化に取り組んでいく必要があるんだという点に関しては、本日ちょっと来られていませんが、佐藤長官は機会があればこの場でそれをご発言したい意向だったみたいですけれども。

だから、金融庁としての当面の行政の課題をどう考えているかとかいう形のメッセージ発信はメッセージ発信で、いろいろな形でやって頂きたいというふうに思いますが、今の原委員の趣旨を受けて、「はじめに」のところも少し書くぐらいのことはできるかなというふうに思います。どうでしょうか。

私個人は、「今こそ金融力強化を」というコラムを書きましたので、また機会があれば見て頂ければ。

よろしいでしょうか。それでは、少々早いですが、ご意見が一応出尽くしたということで、本日の会合については終わりにさせて頂きたいと思いますが、それで今回頂きましたご意見、それから今日初めて取り上げた特定投資家移行制度の見直しにつきましての議論を踏まえまして、この報告書にそれらを盛り込んだ形で修正をして最終案を作成して頂き、次回、第一部会報告書の最終的な取りまとめということで、次回最終取りまとめということにさせて頂きたいというふうに考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

それでは、最後に、事務局のほうからご連絡等がございましたらお願いいたします。

○池田市場課長

次回の第一部会の開催ですけれども、12月17日水曜日の午前10時からということで開催をさせて頂きたいと思います。部会長からございましたように、この日は第一部会報告書の最終的な取りまとめをお願いしたいというふうに考えております。どうかよろしくお願いいたします。

○池尾部会長

それでは、以上をもちまして本日の会議は終了とさせて頂きます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課
(内線3615)

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