金融審議会金融分科会第二部会(第32回)・「情報技術革新と金融制度に関するWG」(第18回)合同会合議事録

日時:平成18年9月21日(木曜日)13時00分~15時00分

場所:中央合同庁舎第4号館11階 共用第一特別会議室

○岩原部会長

それでは、時間でございますので、ただいまから第32回金融審議会金融分科会第二部会と第18回情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループの合同会合を開催いたします。

皆様、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

本日の議題に入ります前に、第二部会のメンバーに一部交代がございましたので、ご紹介申し上げます。お手元に名簿をお配りしておりますが、9月6日付けで、鈴木久仁委員、花岡浩二委員が辞任されまして、新たに、玉井孝明委員、渡邉光一郎委員がご就任になりました。

続きまして、事務局より事務連絡があるということですので、よろしくお願いします。

○高橋企画課調査室長

企画課調査室長の高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、事務局側の事情によりまして開催時間に変更がありましたことを、不手際がございまして皆様方にご迷惑をおかけいたしましたことを、お詫びいたします。

また、貸金業法の関係で、総務企画局長の三國谷をはじめ、当庁の者が若干欠席をさせていただいております。誠に申しわけございませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

次に、前回の合同会合以後、私どもの事務局の方にも異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。参事官の妹尾が内閣府に転出いたしまして、公認会計士監査審査会事務局長の振角が兼務することになりました。企画課長をしておりました八田が政策課長に転出いたしまして、その後任に、監督局総務課長をしておりました桑原が就任いたしました。調査室長をしておりました新川が信用機構企画室長兼保険企画室長兼信託法令準備室長に就任いたしまして、その後任に、私、高橋が就任いたしました。いずれも、前任者同様、よろしくお願いいたします。

なお、以前ご説明をいたしましたように、今月末までの期間、職員は夏季軽装となっておりますので、こちらの方もご理解をよろしくお願いいたします。

以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

それでは、早速、お手元の議事次第に従いまして議事を進めさせていただきたいと思います。

本日の予定でございますが、6月14日に開催されました第1回の合同会合で話がございました電子手形サービスの概要等につきまして、信金中央金庫の高橋参考人からご説明をいただくとともに、検討事項(案)、電子登録債権に関する決済の安定性の確保、その他の利用者の保護につきまして、それぞれ事務局からご説明をいただき、討議の時間をとりたいと考えております。

それでは、まず、電子手形サービスの概要等につきまして、高橋参考人より説明をお願いしたいと思います。

○高橋参考人

信金中央金庫の高橋と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、資料にしたがって説明をさせていただきますけれども、実はこの資料は昨年4月にITワーキングの中で説明させていただきました資料をもとに作成しておりまして、一番最後の1枚だけが実は今回作成したものでございますので、その点でITワーキングの委員の方には二度目の説明になってしまうことをご容赦いただきたいと思っております。

それでは、資料の方を2枚めくっていただきまして、右下2ページというところからご説明をさせていただきたいと思います。

電子手形サービスというものを信金中央金庫で作りまして、もともとは信用金庫業界内、信用金庫のお客様に対して新たな決済のサービスをご提供したいということで始めたものでございます。

初めに、内容につきましてどういうものかということでご説明をさせていただきますが、この絵にありますように、金融機関、左下に「金融機関a」、右下に「金融機関c」とありますけれども、この金融機関のお客様、上に「企業A」、「企業C」とありますが、金融機関と取引をしているお客様同士の決済に使うということでございます。

では、まず、その契約関係はどのようになっているかといいますと、お客様であります企業は、それぞれの取引先の金融機関と電子手形サービスを利用する契約を結びます。そして、中央に「電子手形センター」とありまして、その下に「電子認証局」とありますが、これは電子的な取引ですべて行おうということで、その本人確認の手段として電子認証を使っていこうということで、信金中央金庫は認証局を構築しておりましたので、電子認証の契約については、お客様である各企業は信金中央金庫と契約を結ぶと、そのような形でまず契約関係は成り立っております。ですので、電子手形サービス自体はそれぞれの金融機関とサービス契約を結んでいるというところが大前提でございます。

では、どのような形で使うかということでございますけれども、ここの絵では、「企業A」と「企業B」、その二者の間で、マル1で「商取引」がありました。そういたしますと、債務者である企業Aがインターネットで自社のパソコンから電子手形サービスにアクセスしていただきまして、その商取引の内容を、内容といっても決済期日ですとか金額を入力していただきます。そして、入力し終わりますとその情報が企業Bの方に通知される。通知の方法としては、企業Bが電子手形サービスにアクセスして、その内容を見るという形になります。そうしますと、企業Bはその内容を見て、取引の内容と合っているかということで承諾行為を行います。そうすると、その段階で電子手形という債権が登録される、有効になるということでございます。

さらに、企業Bは、ほかのこの電子手形サービスに参加している企業、ここでは右上にあります「企業C」でございますけれども、企業Cとの間の取引に今持っている電子手形という債権を利用することができる。例えばマル3で「商取引」とありますけれども、ここで商取引があった結果として、企業Bが持っている電子手形という債権を企業Cに譲り渡す、これがマル4になります。譲渡という行為で企業Bが相手企業を指定して譲渡登録をする。登録された内容が、先ほどと同じように、企業Cに通知されますので、企業Cがその内容を見て承諾をする。承諾をした段階で企業Cにその債権が移るという形になります。

そして、さらに、この企業Cが、ここでいきますと金融機関cが取引のある金融機関ですので、そこに早期資金化をしたいと、現物の手形でいきますと割引という行為でございますけれども、早期資金化のための割引という行為がこのサービスの中でできます。企業Cは電子手形センターにアクセスをして、自分の持っている電子手形債権を金融機関cに対して割引依頼するという行為を行います。そして、金融機関cはその内容を見て企業Cに対して割引を行う。ということで、実際の現物の手形取引と同じことをこの中で実現しようというものでございます。

最終的な資金決済については、企業Aが債務者でございますので、企業Aの口座から支払期日に引き落として、先ほどの割り引いた場合は金融機関cに対して、割り引かないで最後まで企業Cが所持していた場合は企業Cの口座に入金するという、そういうスキームでございます。ただし、この資金決済については、金融機関間の決済が当然伴いますので、この金融機関間決済については信金中金がその間を取り持って、信金中金にその金融機関の口座を持っていただいて決済しましょうという形を想定して行いました。先ほど言ったように、信用金庫の中央機関という立場で信金中央金庫がございますので、信金中央金庫の中に各信用金庫は口座を持っているという前提がございますからそういうスキームが成り立つということでございます。

これが電子手形サービスの概要でございます。

1ページめくっていただきまして、「全体像」とありますけれども、ここで想定される利用者は、右にあります「法人・個人事業主」ということで、ここでは消費者である個人については想定しておりません。各金融機関に当座預金を開けるということを前提に考えましょうということで、当初、スタートいたしました。それから、サービスの提供者は、先ほど申しましたように、それぞれの金融機関がお客様に対してサービスを提供するというスキームでございます。そして、運営機関については、信金中央金庫は、電子手形センターということで、システムの維持管理、それから、電子手形についての登録管理、あるいは金融機関間決済、あるいは電子認証局ということを運営しておりました。こういう前提で電子手形というサービスが成り立っております。

次の、4ページ目、5ページ目、6ページ目、これは、先ほど申しました振出、受取、あるいは、5ページ目でいきますと譲渡、譲受、6ページ目でいきますと割引というところを、それを詳細に書かせていただきましたものですので、今日はお時間の関係でこの部分についての説明は割愛させていただきます。

それでは、8ページ目でございますが、この電子手形というものをやるとどういう効果があるのだろうかということで、効果を一覧として載せてあります。実は、このペーパーは、後ほどご説明をさせていただきますが、沖縄県で電子手形サービスの実証実験を行いまして、そのときに主導的に動いていただきました沖縄銀行の方がお客様に説明をするときに使ったペーパーでございます。

まず、総体的にいきますと、事務の効率化あるいはコスト削減に寄与するものでございますよということでございます。企業側のメリットとしましては、やはり一番大きいのが、資金調達手段の多様化・迅速化であろうというところでございます。そのほかには、印紙税、紙ではございませんので、当然手形でもないということで、印紙税が課税の対象外である。また、手形と違ってペーパーレスになりますので、現物管理あるいは期日の管理というのが不要になってくる。ここはほとんど手形と比べておりますけれども、盗難リスクや紛失リスクがない。後は、手形の発行・受取等に係るコストの削減、事務効率化に寄与するであろう。後は、システム的に過去の取引履歴というものがすべて載っておりますので、その決済の状況がすべて分かる、あるいは、例えば早めに登録してあれば将来の受払いの予定がここで立つということになります。それから、振出情報を仮登録して後で権限者が承認できるということで、これは仕組みの話でございますけれども、企業の中での権限の設定で、登録と承認が分けてできるということで、そこは事務の平準化にもつながるだろうということでございました。それから、支払データの作成によって大量データの登録が可能というのは、これはパソコンで登録いたしますけれども、当然企業によってはそれぞれのシステムがございますので、そのシステムからデータを取り出して、そのデータを登録情報として登録することができるという仕組みをとりました。

一方、金融機関側のメリットでございますが、ここでは運用手段の多様化と言っておりますが、これは、先ほど申しましたように、手形の割引ともう1つ新しいような手段として使えるでしょうということでございます。それから、利用企業の資金繰り把握の充実ということで、当然、利用者、それぞれの銀行の取引先が利用者でございますので、その企業の資金繰を把握することができるということでございます。それから、手数料の確保、これはどういうサービスをここで行うかということにもつながるかと思いますが、新たなフィービジネスができるのではないかということ。それから、そもそもは中小企業を対象に資金調達手段の多様化をしようということで始めましたので、今はこういう決済の手段として一括決済というサービスがありますけれども、それと同様なことで中小企業に対してもサービスができるということでございます。それから、ネット上で処理ができるということで、金融機関にとっても事務の効率化につながるであろうということと、割引処理、先ほど手形割引というのは金融機関の営業店で行っていたものを例えば集中化するということもここでは可能になるのではないかということが言われておりました。

このような効果が一応あるのだろうということで電子手形というものをスタートさせて、実証実験等を行いました。

次に、また2ページめくっていただきまして、沖縄の実証実験はどういうものであったかということを説明させていただきたいと思います。

まず、沖縄県で実証実験を始めたということは実際に事実としてあったのですけれども、その前の平成15年の末、15年11月から16年4月にかけて、実は静岡県で電子手形サービスというものを試行的に一回運用いたしました。これは、冒頭で申し上げていましたように、信用金庫の中でスタートしようということで、静岡県内の信用金庫に協力していただきまして、お客さん同士の決済で使おうということで始めたのですが、実際はなかなか広がりを持てなかったということです。

これはなぜかというと、決済というのはどうしても大企業と中小企業、親企業と下請企業という関係での取引というのが非常に多いわけで、やはり信用金庫のお客さん同士でありますと中小企業同士ということになりますので、なかなかお金の流れにこの仕組みというものがマッチしなかったというのがございます。ということで、信用金庫の中だけではやはり難しいであろうということで、そういう状況の中で、実は沖縄県の各銀行が電子手形というものを使って実証実験をしてみようではないかという話が出てきたわけでございます。ちょうど沖縄県は金融特区、情報特区ということで、その特区の制度があるのですけれども、なかなかその中で金融という分野については新しい考えが出てこなかったというそういう状況でありまして、その中で、ITを使った仕組みということで、両方にマッチするのではないかということが言われたという次第でございます。

ここにあるメンバーを見ていただきますように、当初は、沖縄県、名護市、あるいは金融機関、日銀、商工会議所等が集まって、そういう検討が当初行われました。それから、実際に行うのであればやはり金融機関が集まらなくてはいけないということで、沖縄県の銀行協会に先導していただきまして、沖縄の地銀、第二地銀、信用金庫が集まってスタートして、その中に商工中金の那覇支店も加わっていただいたということでございます。

具体的な検討というのは16年の8月ぐらいから年末にかけて行いまして、実際に12月に入って実証実験がスタートいたしました。実証実験期間としては、この12月から翌年17年の3月末まででございます。この4か月弱という中でこの電子手形というものを使っていこうということで、当初は「電子手形」という名称をつけておりますので手形の取引ということで想定する利用者が多かったのですけれども、やはり4か月しかありませんので、手形取引ではどうしても3か月あるいは長いのでいきますと半年とかという期間がございますから、そういうものにはなかなかマッチしないだろうと、通常の月末締めの翌月の20日払いとか、そういう売掛、買掛の決済に使っていただいたということが非常に多かったわけでございます。

ちなみに、この実証実験につきましては経済産業省の16年度の調査研究事業にも入っておりまして、この中で17年4月に報告書が出ておりますけれども、経済産業省にも実際に指導をしていただきまして、最終的にはうまくいったのではないかと思っております。

1枚めくっていただきまして、実証実験体制でございますけれども、当初、参加企業は、約100社を想定しておりました。そして、銀行については、左側に書いてあります琉球銀行様から商工中金様まで5行庫に参加していただきました。そして、右側にありますように、実際に参加した企業のほかに県内の1,000社以上の企業に先ほど申しました経済産業省の調査事業の中でアンケート等をとって、電子手形について、本当に使い道があるのかどうかというようなことと、将来的な電子債権というものがどうなのかということのアンケート、ヒアリング等が行われた次第でございます。

実績としては、次のページでございますけれども、先ほどは100社程度ということでありましたが、実際の参加企業は125社、ただし、取引があったのは120社で、5社については、契約はしたものの取引はなかったと。具体的に言いますと、やろうとしたのだけれども、今回は電子認証という仕組みをつくっておりまして、ICカードを配ったのですが、ICカードのユーザーピンである暗証番号を忘れてしまって実際には使えなくなってしまったとか、いろいろな弊害等が出て使えなかった企業もございます。

取引件数については、振出というのは支払件数です、511件の取引があって、その支払に充てていただきました。この中で、先ほどご説明いたしませんでしたけれども、分割という行為ができます。例えば100万円の支払金額の電子手形という債権を50万円の2つに分けるといったようなそういうサービスがございますので、その分割をした件数として46件、あるいは、先ほどの譲渡という行為がありますけれども、譲渡が7件、金融機関での早期資金化の割引というのが12件ございました。そして、最終的に分割等いろいろあった結果として、決済の件数としては572件ございました。ということで、総額で言えば6億5,000万円程度の決済金額があったということでございます。4か月弱という短期間の中では、これは非常に利用されたのではないかと思っております。

最後に、次のページでございますけれども、今回この合同会合の中では電子債権管理機関の話を検討されるということでお聞きしておりますので、この沖縄実証実験等を通じて私どもが感じたことを1枚にまとめてみました。

「決済の同期性の確保」とまずありますけれども、やはり利用者にとってはこの債権が安全・確実に決済されること、二重譲渡がないというようなことが必要であって、そして、最終的にその支払ったものが、支払行為と債権が消滅するというところで同期性がとれるということが重要であろうということが言われておりました。それから、利用者の利便性向上ということに関して言いますと、当然、譲渡等を考えておりますので、債務者が、最終受取人はだれかということを確認して、そこに対して支払うということでは非常に手間がかかってしまうということがございますので、ここは管理機関が、ここでいきますと、電子手形サービスの場合は金融機関がサービスを提供しておりますので、自社が取引をしている金融機関に支払うことによって決済が進むことが一番であろうということで言われておりました。

それから、当然、セキュリティーの面でいきますと、セキュリティー確保というのは非常に言われたことでございまして、当時、沖縄の実証実験を始めようとしたときにはハッキングとかいろいろな事件がございまして、本当にパソコンで大丈夫なのかというような話がございましたので、そのようなセキュリティーの水準というのはやはり高度にする必要があるだろうということでございます。

それから、取引の安全性の確保という面では、実際は現物の手形ということに皆さんは慣れ親しんでおりますので、手形交換制度に類似した仕組みというものが必要ではないかと。これは取引の安全性で、支払できなかった場合の取引停止処分等が必要ではないかということが言われておりました。それから、不適切な参加者は排除するということで、手形でいきますと不渡情報ですね、これらを管理機関同士で共有できた方がいいのではないかということが言われておりました。

それから、管理機関が複数並存することの是非ということで、電子手形というサービスの場合は、信金中金が管理機関なのか、それぞれの金融機関が管理機関なのかは、非常に不明確な部分があろうと思いますけれども、やはり登録された債権を管理しているという意味でいくと信金中央金庫が管理機関であったということになります。ただし、複数の管理機関が並存いたしますと、当然、企業にとっては幾つもの管理機関に対してアクセスをしなくてはいけないということが考えられるということであって、やはりそれは複数あるよりも1つであった方がいいのではないか、また、企業にとっては自社のメインバンクである金融機関を通じて取引できることが一番いいのではないかということが言われたものでございます。それから、管理機関は、信金中金がやったときに一番懸念されたのが、それぞれの金融機関の取引先の情報が信金中金に見えてしまうということを非常に言われた次第でございまして、サービスの中では通常は見えないのですけれども、やはりシステムの維持管理をするということで、当然データベース等をのぞくことができますので、その面からいきますと、管理機関というのは中立的な立場である方が望ましいということが言われた次第でございます。

すみません、ちょっと早口になってしまいましてお聞き苦しい点があったと思いますけれども、以上で説明を終わらせていただきたいと思います。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、ご質問等がございましたらお願いいたします。

堀内委員、どうぞ。

○堀内委員

どうもありがとうございます。

それで、まず、あまり深いことはよく分かっていないのでお聞きしたいのですけれども。

まず、4か月弱の実験だったというお話ですけれども、この間、全国的な手形決済といいますのでしょうか、その額はどのぐらいあったか分かりますでしょうか。それとの比較でどのぐらいかというのは。だいぶ使われたというのが高橋さんのご認識であるようですけれども、それはどういう基準で。

○高橋参考人

申しわけございません、全国的な実際の手形の額についてはこの場ではちょっとお答えできないのですけれども。

なぜだいぶ使われたのかというと、実際には100社程度しか入っていない、その間、企業としては、先ほど言ったように、例えば月末の決済であれば、12月末、1月末、2月末の決済、3回の決済を、要するに3月の中旬までに終わらせると、3月末の決済は4月に入ってしまいますから使えないわけですね、そうするとチャンスは3回しかない、実際は12月末というのはなかなかまだ契約関係は全部そろっておりませんでしたので、その段階ではまだ10社程度しか契約がなかった状態でして、最終的に1月末で100社以上になりましたので、そうやって考えると、2回か3回しか恐らくチャンスはなかったのにもかかわらず500件を超えるということになりますと、これはいろいろと使っていただいたのだろうと、単純な1対1だけの話だけではなくて、複数の企業に対して電子手形というものを使って決済していただいたのかなということで、先ほどのようなお話をさせていただきました。

○堀内委員

もう1点、これは恐らく即議論になる点の1つだと思いますけれども、管理機関が複数あるべきかどうかということですね。これは、非常に素朴な考え方から言えば、管理機関が複数ある場合には、管理機関自身も相互に様々な技術的条件の変化に対応して利用者に対して新しいサービス、メニューをさらに決済サービスの中で取り入れていくことができる可能性はあるわけで、そういう今後の展開との関係で言うと、管理機関が相当程度競争していろいろなサービスで利便性向上のために貢献していくというような、そういう仕組みがあった方がいいのではないかという考え方も当然出てきますけれども、その点はどういうふうにお考えになっているのでしょうか。

○高橋参考人

この複数か1つがいいのかという議論ですけれども、登録原簿の管理は1つでいいのではないかということを申し上げたい訳です。その債権を使ってサービスを展開するのはそれぞれ幾つあってもいいと思います。ただし、原簿の管理というのは、複数あると、当然そこを標準化していろいろなことを考えなくてはいけないこともありますので、そこはやはり1つのところが管理した方が、特に手形的に利用するのであれば、その方が望ましいのではないかということでございます。

○岩原部会長

ほかに何かご質問等は。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

この合同部会の中心テーマである決済の辺りをもうちょっと詳しく知りたいのですが。資料でいくと4ページに絵がありますが、この絵によると、あたかも信金中金イコール電子手形センターに各A社、B社が取引口座を持っているようにも読めるのですけれども、他方今のお話ですと、各信用金庫が持っているということと思うのですが。

後、先ほどのお話ですと、管理機関あてに支払うのがいいのだという話だったと思うのですけれども、そうすると、この絵どおりであればそうなのかもしれませんが、先ほどのお話ですと、各信用金庫の当座預金勘定にお金があるというままで、銀行に対する何らかの支払行為というのは多分ないのではないのかと想像したのですけれども。その辺りをもうちょっと詳しく。

次に、手形であれば支払済みのような形で返還されるのかもしれませんけれども、この場合、電子手形についてはどのような措置がされるのか。それから、その措置をされるときというのは入金の確認みたいなものはどうするのか。帳尻合わせをした後に実際にこの受取人側の取引銀行、取引信金から入金行為がされると思うのですけれども、もっと手前でされるのかとか、その辺はこの合同部会でも細かい議論になっていくと思うので、なおかつ、これは電子手形的な電子債権の利用の場合の1つのモデルだと思いますから、特に決済関係の辺りはもうちょっと詳しく教えていただければと思うのですが。

○高橋参考人

先ほど管理機関という言葉がどちらを指すかということで、先ほどの管理機関に支払う方がいいというのは、実は、これはサービスを提供する機関に対して支払う方がいいだろうと。ただ、支払行為自体は、特に金融機関に支払うというのはやはりおかしいわけで、金融機関としては代理受領という形をとるということになろうかと思います。

先ほど管理機関自体は原簿の管理をするものだということに仮定して、そして、その原簿を使ってサービスを提供するのが各銀行であると、それはサービス提供者ということでもしお話をさせていただきますと、サービス提供者のところに口座がございますので、それぞれの企業はそのサービス提供者の口座から引き落として、それを相手方の金融機関に送金して、相手方の企業の口座に入金するという仕組みになります。

そうしますと、実際は電子手形という登録原簿上は、決済期日の4営業日前から譲渡を禁止する仕組みにしております。そして、その間に電子手形センターから決済データを各金融機関の方に、データ伝送という仕組みが金融機関間にはありますので、例えば支払企業の口座がある銀行の方であればその支払の情報をすべてその銀行に対して送る、受取企業の口座がある銀行の方にはその受取の情報をすべて送ります。それぞれの銀行は、まず支払の銀行の方は、決済期日にそこから口座引落としを行います。口座引落としを行って、それが引き落とされれば翌営業日に受取企業の銀行の口座に入金されるという仕組みをとっております。

実は、一営業日、受取側は遅くなってしまうのですけれども、これは同一の金融機関であれば、引き落として入金というのは即座にできるのですが、当然、金融機関間、違う金融機関ということを想定しておりますので、引き落とせたかどうかという情報を電子手形センターに送っていただきます。通常であれば引き落とせるということを大前提としておりますので何もしないと翌営業日に必ず入金されますけれども、もし当座預金に残高がないといった場合は、そこは引き落とせなかったということで、現物の手形でいきますと不渡りという状態になります。そうしますと、その引き落とせなかったという情報を各銀行が電子手形センターに登録します。そうしますと、電子手形センターは、その情報を入金する側の銀行、4ページでいきますとB社の取引行になりますけれども、そこにこの人の入金分は決済が不能になっていますので入金しないでくれという情報を送ります。そうしますと、このB社の取引行はその入金先に対しての入金の処置を止めるという形になります。

実際には電子的にやるのだからなぜ当日にできないのだという批判はここで幾つかあったのですけれども、安全に支払うということで、そういう形で行いました。これは、実は、現在の手形、実際の手形の決済もほとんど同じ仕組みでございます。手形を切った企業の口座からは期日に落とされますが、手形を受け取って入金してほしい企業については、当然、東京手形交換所に加盟している銀行の場合は当日に残高は入りますけれども、例えばそこからお金を落とそうとしても実はその日は落とせない、翌営業日にならないと不渡りになったかどうかは分かりませんから落とせない状態になりますので、そういう仕組みが今現在は手形というものにありますので、残高の付込み自体が一日遅れてしまうというところの批判はございましたが、実際の資金を使える日としては翌営業日に使えるということで、そこはご理解を得てそのような決済の仕組みをとらせていただいたという形でございます。

そして、金融機関間の決済は先ほど申しましたように信金中金の口座でやろうということで考えていましたけれども、今回、沖縄の場合は、銀行に入っていただきましたので、信金中金に口座はございませんでしたので、これは、現在は銀行間では為替という仕組みがございますが、為替の中で金融機関間の決済をさせていただいたということでございます。

これで回答になったでしょうか。

○岩原部会長

木村委員、どうぞ。

○木村(拙)委員

2点ちょっと教えていただきたいと思います。

1点目は資料の2ページ目の電子手形サービスにおける企業Bのこのシステムとのかかわりでございますけれども、企業Aは金融機関aと電子手形サービス利用の契約があります、企業Cは金融機関cとこのサービスの契約があります、Bというのは当然企業ですから金融機関とは取引があると思いますけれども、これはこのサービスとの契約があるのかないのか。ないというように考えたときに、電子手形センターを経由してこの情報を受け取り、さらにこれをまたCに譲渡するというふうなときに、このBの本人確認であるとか、こういったものはどうやってやるのか。全くシステムの契約外のものがこういう形で取引に加われるのかどうか、あるいは、やはりこのBもこのサービスの中に当然契約してもらって入ってもらわないと困るのですよというふうなことであったのかどうか。

それから、2点目の質問は、8ページ目の「効果」のところの「金融機関のメリット」のところに書いてございますが、利用企業の資金繰り把握の充実ということなのですが、これは、多分、金融機関にとって企業の資金繰りが把握できるということなのだと思うのですが、この辺は、企業側から言えば、決済のために利用しようとしたシステムから当社の資金繰りがつかまれて、これがいい結果に、どんどん貸してあげるようにしようではないかと言ってくれるのならいいのですが、逆にこれはまずいぞということでいわゆる与信を絞られるというふうなことに使われることを懸念いたしますが、この辺のファイアーウォールはどういうふうに考えておられたのか。これは、先ほどの最後のページのところでちょっと中立性がなければ困るということをご提起いただいたのでこれも1つの回答だとは思うのですが、実際にはどういうふうにこのファイアーウォールが運営されていったのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

○高橋参考人

まず1点目の企業Bのかかわりでございますけれども、おっしゃられるように、実は企業Bの後ろには金融機関bというのがございまして、この電子手形サービスを使えるのはあくまでも参加している金融機関と契約をした企業しか使えないという形になります。ですので、電子手形センターにアクセスするためには顧客の登録ということがされていないとできない。でも、顧客の登録情報というのは金融機関と先ほどの契約があった情報が登録されますので、そこに参加するための契約というのが大前提になります。ですので、全くの参加していない人がいきなり入ってくることはできないような仕組みになっておりました。

それから、2つ目の企業の資金繰りの把握ということで、これはおっしゃられるとおり、実は、当初は、その取引金融機関はその企業の持っている電子手形という債権の情報、あるいは振り出したという情報がすべて見えるようにしましょうというように考えまして、そうすると、将来的に資金繰りがこうなるからこの時点で例えば融資をすることができるのではないかと、そういうことで使えるのではないかということで、これは勝手な金融機関側の論理でございますけれども、そのように中小企業に対してサービスが新たにできるのではないかということで考えました。

ただ、おっしゃられるように、そこまで見えてしまうのはという声が確かにありまして、実は、先ほど決済の情報を決済期日の4営業日前に金融機関に渡すとお話しいたしましたが、そのタイミングで初めて金融機関が分かるという形に変更いたしました。そうすると、決済情報は既に流れているわけですから、要するに、4営業日前になってそれぞれの企業がこういうものを持っているのだというのが分かるのはデータとしても分かりますから、そこはオーケーであろうと、ただし、それ以上のものは、やはりそれは企業からご理解いただくのはなかなか難しい面があったので、そこは見せないという形に変更して実はサービスをさせていただきました。

それから、金融機関と管理機関の間のファイアーウォールは、当然、取引銀行しか見えない、ほかの銀行についてはそこは見せない、あるいは、管理機関についても、通常の手段ではそこは見ることができない、本当に何かシステムの障害等があってデータベースをのぞくという場合は、これはいたし方ない部分でございますけれども、サービスの中ではそこは見えないようにさせていただいたということでございます。

○岩原部会長

よろしいでしょうか。

それでは、次に進みたいと思います。

どうも、高橋参考人、ありがとうございました。

続きまして、2の「検討事項(案)」、3の「電子登録債権に関する決済の安定性の確保その他の利用者の保護」につきまして、事務局からご説明をいただきたいと思います。

○高橋企画課調査室長

それでは、資料の方でございますが、18-3-1ということで「検討事項(案)」とさせていただいております2枚紙でございます。

こちらの方は、金融面から検討すべきと考えられる検討事項を主としまして、1番目が「電子登録債権に関する決済の安定性の確保その他の利用者の保護」、2番目が「管理機関の業務の適正性の確保」、3番目が「電子登録債権の流動性と金融関連法制等との関係」ということで、3つの視点で整理をさせていただいております。これは6月の審議会の折にも既に検討テーマとして資料を提出させていただいたものと、基本的に同様のものでございます。

1番目の「電子登録債権に関する決済の安定性の確保その他の利用者の保護」につきまして、特に「決済の安定性の確保」につきましては本日の議題でございますので、詳細はまた後ほどご説明させていただきますが、決済の安定性も含めまして、広く電子登録債権の利用者の保護という視点でとらえているものでございます。「その他の利用者の保護」につきまして、決済の安定性の確保以外の利用者の保護の視点で、ご議論をいただきたいと思っております。

電子登録債権制度は産業金融の円滑化という事業者を念頭に置いたものとなっているかと思いますが、法務省の中間試案では個人が電子登録債権の利用者になることは排除されておりません。そこで、まず(1)の、個人が電子登録債権の利用者となる場合と弊害防止措置といたしまして、個人が電子登録債権の債権者・債務者となる場合はどのような場合か、あるいはその場合の弊害等につきましてご議論をいただき、弊害防止措置につきまして、現在、法務省で議論されているようなことで十分か、あるいはさらなる検討が必要かについてご議論をいただきたいと思っております。

また、電子登録債権制度が個人の方には馴染みが薄いことや、あるいは、業務規程におきまして同期的管理を行うためなどから、電子登録債権の利用に一定の制限が設けられるなども考えられますので、そういった利用のあり方、その周知等につきまして、(2)の「業務規程等の利用者への周知等」として議論をしていただきたいと思っております。次に、電子登録債権に係る利用者の情報が登録原簿に蓄積されますので、この情報の保護をどのように図るかということを検討する必要があると考えられます。そこで、(3)で、「利用者の情報の保護」を挙げさせていただいております。さらに(4)で、個人を含めました中小企業者など利用者のIT環境を踏まえ、電子登録債権の利用につきましてご議論をいただきたいと思っております。なお、(5)、(6)につきましては、管理機関の業務の適正性の確保と密接に関連いたしますので、そちらの方でご議論をいただきたいと考えております。

本日は I -1が多岐にわたるかと思われますので、時間の関係から、 I 番のうち特に1の「決済の安定性の確保」についてだけ資料を用意させていただいており、「その他の利用者の保護」につきましては次回ご議論をいただく予定でございます。

次に、 II の「管理機関の業務の適正性の確保」でございますが、まず、管理機関が自らが債権者・債務者である電子登録債権を取り扱うことにつきましてご議論をいただきたいと思っております。同期的管理のあり方とも密接に関連するとは思いますが、特に管理機関のあり方、公正性、中立性の確保の観点からご議論をいただければと思っております。

次に、管理機関がほかの業務を行うこと、裏返して言えば、多様な事業会社が管理機関となることでございますが、これもまた管理機関が自らの債権を扱うことと重複するような部分もございますが、利便性あるいは公正性、中立性のほかに、ほかの業務を営むことと管理業との間の、倒産隔離の問題であるとか、今もお話がございましたような情報の隔離などの観点からご議論をいただければと思っております。

次に、登録原簿の信頼性の問題でございますが、技術的な論点よりも専ら管理機関に対する検査、監督の観点から、改ざんあるいは消滅等をどのように発見して予防していくことが適切であるかというようなことについてご議論をしていただければと考えております。

次に、適切な監督を尽くした上でなお管理機関の破綻が生じることも残念ながらあるかと思いますので、破綻した場合の問題点と破綻への対処を明らかにした上で、それに対処するため、管理機関に求められる財務規制についてどのように考えるかということをご議論いただきたいと考えております。

II の最後に、ローマ数字の I あるいはそれまでの(1)~(4)でのご議論を踏まえた上で、管理機関の要件についてご議論をいただきたいと考えております。

マル1の「免許等」につきましては、一定の何らかの要件が必要ではないかと考えられますが、そういった管理機関に対する規制のあり方としまして、免許制などについてご議論をいただく予定でございます。マル2の「関係者が限定される場合」というのは、管理機関の要件として、すべての管理機関に一律の要件が必要であるのか、はたまた、利用者の数が限定されていたり、ビジネスモデル等の違いによって要件を異にすることが適切なのか、あるいは一律に求めるべきであるかについてご議論をいただければと思っております。マル3の「不適格性」につきましては、不適格な役員がいる場合や、あるいは、仮に他業が認められるとした場合には、その他業の方で不適格なことが起きた場合に管理業についてどう考えるかといったものも含めまして、管理機関として不適正なものについてご議論をいただければと思っております。マル4の「財務基盤」、マル5の「他の業務との関係」につきましては、それまでの議論を再度整理していただきたいという趣旨で挙げさせていただいているものでございます。

次に、ローマ数字 III の「電子登録債権の流動性と金融関連法制等との関係」でございますが、産業金融の円滑化の観点からはなるべく流動性が確保されるような制度が望ましいと考えられますが、その一方で、電子登録債権の流動性、流通性が増すことによりまして、金融商品として利用される場合も想定されます。そのような場合を想定すればほかの金融商品とのバランスが図られることも必要かというふうに考えております。このため、金融商品取引法を含めまして、ほかの金融関連法制等との関係を考えたいというものでございます。

(1)と(2)は、いわゆる発行市場と流通市場というような観点からとりあえず整理を入れているものでございます。

電子登録債権の発行につきましては、異なる内容の電子登録債権の発行につきましては、手形や指名債権と同様に個別性があるもので、金融商品として認識されることは基本的にはなかろうかとは思いますが、同一の内容の電子登録債権が多数の者へ発行されるような場合につきましては、金融関連法制との関係で特に問題が生じ得るのではないかという問題意識でございます。マル2マル3につきましても同様に、金融関連法制との関係について、このような関連があるのではないかということでございます。マル4の「電子マネーとの関係」につきましては、電子登録債権が電子マネーとして利用される可能性があるかどうかなどにつきまして、ご議論をいただくものでございます。

(2)の「電子登録債権の流動性」のうちの分割・一部譲渡につきましては、まさに発行と同じ流通の場面で金融商品として同様な機能が果たされる場合があることについての議論でございます。仲介につきましては、当然、流通市場の関係で仲介者等が重要なプレーヤーになりますので、その観点についてご議論をいただくものでございます。最後の「標準化等」につきましては、電子登録債権制度の利便性の促進との関係で何か議論すべき点があればということで置いております。

とりあえず、これらを検討事項(案)とさせていただいております。

それから、「注」に記させていただきましたように、各項目が輻輳しておりますので、同じ事柄を異なる視点から検討していただく場合もあるかと思います。したがいまして、1つの視点から議論が終わることなく、全体の議論を踏まえましてまたご意見を頂戴できればと考えております。

最後に、私ども事務局では検討が不十分であろうかと思いまして、 IV に「その他」を置いておりますが、異なる視点、あるいは私どもの整理では不十分な点等がございましたら、また改めてそこのところで今後の検討状況の進捗に伴いましてご検討をいただければと思っております。

以上でございます。よろしくお願いいたします。

○岩原部会長

ありがとうございます。

「検討事項(案)」について、事務局からご説明をいただきました。

それでは、続けて事務局の方に「利用者の保護」についてお願いします。

○高橋企画課調査室長

それでは、本日の議題でございますが、資料の方が2つほど、18-4-1と18-4-2とございます。補足資料の方は補足でございますので原則としてご説明は省略させていただきたいと思いますが、補足資料の役割については後ほどご説明をさせていただきたいと思っております。

まず、資料を開いていただきまして、1ページ目でございますが、こちらの方は電子登録債権につきまして、ごく簡単にではございますが、その検討の背景、法務省中間試案でうたわれております電子登録債権とは何か、それから、今申し上げました今後の検討のポイントを取りまとめさせていただいております。説明の方は恐縮ですが省略をさせていただきます。また、右側の方に電子登録債権のイメージの例ということで、今の電子手形と基本的に類似している仕組みになろうかと思いますが、イメージの1つとして挙げさせていただいております。まさにここのマル3マル4マル5のところでいかに最終的な電子登録債権の決済が行われるかというのが重要な議論のポイントであるかということでございます。

そこで、2ページ目、資料の2でございますが、電子登録債権の方につきましては、法制的には、まず、申請による登録が原則とされております。支払等とか細かな点については恐縮ですが説明を省略させていただきますが、基本的に1つの電子登録債権が生じた場合には、債務者の方から債権者に支払が行われ、債権者の方がその弁済を確認して管理機関に対して支払等登録の申請を行うというのが大原則になっております。しかしながら、債務者の方は本当に債権者の方が支払登録をしてくれるのかについては不安がございますので、その点は、法制審の方では、支払をする場合には、支払をするのと引換えに、支払等登録の申請をすることについて承諾すべきことを請求することができるという法律的な権能を与えることによって解決が図られているわけでございますが、それだけでは実際に電子登録債権がうまく回っていかないのではないかというのが問題意識でございます。そこで、同期的管理と私どもは言っておりますが、同期的管理が重要ではないかというのが資料の3でございます。

まず、同期的管理の重要性の1つでございますが、資料4で、「二重払いの危険の例」ということで、こちらも6月の審議会におきまして、電子債権に関して想定される例を資料としてお示ししたものを再掲させていただいておりますが、このように、債務者は支払等登録の未済による二重払いの危険がありますので、まずこれから保護する必要があるのではないかと。一方、債権者は、多くの場合は中小企業である場合も想定されますので、債権者の方が確実に資金を得られることも重要ではないかと考えております。

2つ目に、この電子登録債権が手形と同様の支払手段として利用される場合には、こういった同期的管理、支払が確実に行われるという信頼性を得られることが重要ではないかというふうに考えております。

また、こういった同期的管理の手段が提供されることによりまして、決済が容易になり、社会的コストの削減、あるいは安全性が実現され、ひいては利用者の利便性が向上することが重要ではないかというふうに考えております。

なお、法律論ではございますが、「注」のところで、具体的には、一定の条件が満たされた場合に、債権者からの申請によらずに、管理機関が職権で支払等登録を行うことが同期的管理になるかと思われますので、管理機関がどのような場合に、債権者からの申請によらずして、債務者からの弁済が行われ、債権者に入金があることが分かって支払等登録を行うかという条件を探るというのが今回の議論の中心になろうかと思います。

そこで、資料5でございますが、今申し上げました資料3と基本的に裏返しといいますか整理をしただけかもしれませんが、同期的管理について考える視点を挙げております。1つ目が同期性というものかと思います。同期性につきましては、債務者の弁済と、債権者の弁済資金の受け取り、それから、管理機関による支払等登録ができるだけ同時に行われた方がシステム的には安定するのではないかというふうに考えておりますので、まずその意味で同期性を挙げさせていただいております。

2つ目が信頼性でございます。同期性が完全に達成されるのであれば信頼性が高いという意味では同期性も信頼性の中に含まれるべきものなのかもしれませんが、それとは少し角度を変えて、まさに管理機関によって確実かつ公正に行われるかという視点です。結果として債務者の二重払いの危険はないのか、弁済資金が確実に債権者に引き渡されるのか。あるいは、手形的な使われ方以外の形ですと、例えばそれが金融機関を経由している場合には本人確認法等の規定がございますが、そうでないような場合には不正な決済手段として使われるようなことはないのかといった点も重要かというふうに考えております。

それから、一概に同期性、信頼性だけが強く出るものではなくて、電子登録債権を利用するニーズに柔軟に応えることができるのか、効率的な決済が行えるのかということも重要かと思っておりますので、この3点が主な視点かと考えております。

資料6でございますが、では、具体的に管理機関が同期的な管理を行う方法としてどのようなものが考えられるかということを抽象化したものでございます。

1つ目が、「債権者の弁済受領を金融機関が確認する例」とさせていただいております。具体的には8ページの資料8でございますが、こちらの方は、管理機関Zと金融部門がその管理機関Zの中に含まれておりますので、管理機関自身が金融機関である例になっておりますが、必ずしも管理機関イコール金融機関である必要性はなかろうかと思っております。そこのところは資料6の※印のところでございますが、管理機関が単独で実施する場合と、他者との提携を通じて実施する場合があるとうたわせていただいております。こちらの方は補足資料の方でそれぞれ、提携の場合、あるいは兼業の場合、あるいは本体である場合というような形で場合分けをして図を挙げさせていただいておりますので、後ほどご確認をいただければと思います。

8ページの図で申しますと、例えば管理機関Zの登録原簿管理部門というのが言わば独立して1つの専門的な管理機関となって、金融部門が金融機関となって、ここの間で提携を行っていけば提携によって金融機関が確認する例として同期的管理ができるのではないかと考えております。もちろん管理機関Zと金融機関が同じ部門である方がそのタイムラグが少ないのではないかとか、微妙に同期性の実現とか、あるいは信頼性の観点で少しずつ差異が生ずるかとは思いますが、経済的な機能としては同じようなものではないかと考えております。

また、金融機関が確認する例といたしましても、口座送金の確認方式であったり、口座入金確認方式であったり、先ほど細かな実務的な観点でご説明がございましたが、そういった点につきましても本来ならば詳しく検討されるべきかとは存じますが、この点は議論を進めるためにあえて細かな点は省略させていただいております。口座送金確認あるいは口座入金確認で、それぞれ実務的な対応では、支払等登録を一定期間止めるとかといった細かな対応が必要になってくるかと思っております。

2つ目の例が、「債権者を代理して弁済受領をする例」でございます。こちらは9ページの資料9でございますが、こちらも管理機関Zに言わば専業的な形で弁済受領部門というものが仮にあるとしまして、債権者から代理弁済受領権をもらいまして資金の受領を行う。実際にこれが金融機関であれば、自らの金融機関の口座に送金が確認できれば、直ちに支払等登録ができる、あるいは、これが金融機関でなければ、管理機関Zが自分の金融機関口座から確認を受けて支払等登録をするというような形になるかと思います。また、実際には債権者Bの方に最終的に資金が渡ることを確認してから支払等登録を行われるのが通例ではないかと思いますが、手順がマル1マル5になるような流れを考えております。

3番目が、「債権を譲り受け又は債権を引き受ける例」でございます。こちらの資料は10ページでございますが、一応こちらは債権を譲り受ける例として書かせていただいておりますが、債務引受の場合も基本的には同様かと考えております。こちらはそれぞれ細かな場合分けで、兼業で行われる場合、あるいは提携して行われる場合、あるいは専業で行われる場合が補足資料の方で、同じような絵の繰り返しでございますが作成させていただいておりますので、ご参照いただければと思います。

それで、資料7、「それぞれの例について」でございますが、今申し上げましたような同期的管理の方法につきまして、それぞれ特質・特徴があるのではないかと考えております。

最初の「金融機関が確認する例」でございますが、こちらが債務者から債権者に直接的に資金送金を行うことによって弁済を行うという一般的な方法なのではないかと考えております。もちろん、これも、債務者口座から送金した後に債権者口座に入金されたことを確認するまでには、先ほどのご説明にもありましたように、タイムラグがございますので、この金融機関確認方式を使ったとしても、必ずしも厳密な意味での同時性というものが確保されているわけではないということは当然でございます。ただし、仲介者である実行機関である金融機関につきましては、銀行法等による一定の規制が行われているというのが一番の特色ではないかと思います。

2番目が「債権者を代理して弁済受領する例」でございますが、こちらの方は、実務上の観点では、分割譲渡された電子登録債権について、代表者が一括して弁済を受けほかの債権者に支払を行うような場合、債務者の利便にかなっているかと思います。先ほども債務者の方がいろいろな方に払うのは不便だというのは、まさに分割された場合にも同じような問題がございますので、その場合には代表者が代理弁済を受ければその問題点は解決するという話でございます。ただ、こちらの方、代理弁済受領と債権者への弁済資金の引渡しにはさらにタイムラグが発生するのではないか、さらに、代理受領者が倒産するなどによりまして、債権者が弁済資金を受領できなくなる可能性といったような問題点があろうかと思います。特に金融機関以外の管理機関が代理受領を行う場合には、さらにタイムラグが発生する可能性があるのではないかと思っております。

3番目の例でございますが、こちらの方は、実務ですと、ファクタリングや現在の一括決済方式を置き換えるような形になろうかと思います。こちらもマル2の代理弁済受領と同様に、間に立つ者の倒産等によりまして債権者が資金を受領できなくなるような可能性があるのではないかと考えております。さらに、管理機関自身が単独で同期的管理をこの方法でやる場合には、自らが電子登録債権の債権者または債務者となるという点が大きく違ってくるかと思います。それから、マルチ決済にマル3なんかは馴染むのではないかと思いますが、マルチ決済の場合、特に債権譲受者あるいは債務引受者となる者には大きなリスクあるいは負担が集中しますので、その者に対する信頼性がより重要なのではないかと考えております。

資料の11と12がそれぞれの例につきまして、特に金融機関が確認する例でのマルチ決済の例、それから、債務を引き受ける例でのマルチ決済の例を挙げさせていただいております。資料11は、管理機関がZ1~Z4ということで、複数の管理機関が並立している場合のイメージで書いておりますが、これが仮に管理機関が1つであればこの集中計算が1つの管理機関で行われるというイメージになるかと思いますし、あるいは、管理機関が複数あったとしても、それぞれが集まって計算をすれば手形交換所的なイメージになるかと思います。ただ、基本は、金融機関がそれぞれの送金について管理機関とタイアップする、あるいは、金融機関自らが管理機関となってこの実務を担当するというようなイメージかと思います。

そこで、資料13でございますが、非常に大雑把な問い立てになっておりますが、管理機関がそれぞれ取り扱います電子登録債権に対する弁済と支払等登録につきまして、今申し上げましたような何らかの同期的管理というものを必ず提供する責務があるのかないのか、登録原簿の管理のみを行いまして、同期的管理の手段は全く提供しないというような管理機関の存在を認めてもいいのかというのが1つあろうかと思います。

次に、同期的管理が行われるとしても、それぞれの同期的管理の方法につきましてはそれぞれ特質があろうかと思いますので、同期的管理として認める場合に、管理機関に対してそれぞれ何らかの適格性なり、あるいは行為規制が必要なのではないかと考えられます。そのような適格性あるいは行為規制を求めさえすれば同期的管理として認められるのか、あるいは、そもそも同時性の観点から認められないような同期的管理があるのかというのが議論の中心かと思います。

3つ目の○は少し異質な話でございますが、同期的管理に関する規律につきまして、基本的には管理機関の業務規程に委ねられるかと思いますが、その際に業務規程でどの程度のことが認められるかという問題意識でございます。先ほども金融機関と管理機関とのタイアップや囲い込みのお話が少し信金中金さんの方からもあったかと思いますが、管理機関が自ら同期的管理をなるべく厳密に実行したいと言って例えば系列の金融機関に必ず口座を開設するというような業務規程をつくることは許されるのか、広くいろいろな金融機関との口座との連携を認めなければいけないのか、あるいは、マル3の方式であれば、関連の企業にしか使わせないことによって相殺的な使い方をするというようなことを認めることは適切なのかという問題意識でございます。

それから、資料14でございますが、「管理機関以外の者による同期的管理への関わり」ということで、少し分かりにくいかもしれませんが、例えば資料15と資料9を比べていただきます。こちらは債権者を代理して弁済受領をする例でございますが、管理機関自らが行うことと弁済受領部門が仮に事業者Xとして言わば独立するようなイメージが15ページと9ページの違いでございますが、提携をすれば管理機関Zは必ずしも自らが弁済受領等をする必要はなかろうかと思うのですが、その際に事業者Xという者に何ら管理機関Zからの規範が及ばないとすれば、実質的な同期的管理の実行はこの事業者Xに委ねられるかと存じます。例えば管理機関Zが必ず倒産しないようにとしたところで、結局、事業者Xが代理弁済受領をしておりますので、このXが倒産するような事態になれば債権者Bには資金が渡らないという問題に行き当たってしまいます。このような他者との連携によりまして同期的管理を実現している場合に、その他者についても何らかの適格性を求めるような必要があるのではないかという問題意識が最初の○でございます。

さらに資料16でございますが、15と16を比べていただきますと、もはや事業者Xと管理機関Zの間では何ら提携もなく、事業者Xが実質的にこのようなことをやることは必ずしも法律的には排除されていないかとは思いますので、ここで管理機関Zが何ら同期的管理を提供せずに代理申請として、事業者Xのコントロールの下、債権者Bからの代理申請権を用いまして管理機関Zに対して支払等登録を行えば、実質的な同期的管理というのは実現されているのではないかと思われるのですが、そういったようなことを契約自治の原則の下で認めることが適切なのか、同期的管理の重要性に鑑みれば、このような同期的管理につながるような代理申請について何らかの一定の要件なりを求める必要があるのではないかという問題意識でございます。

雑駁でございますが、以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの高橋室長からのご説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたら承りたいと思います。どうぞご自由にお願いします。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

いろいろあるのですけれども、とりあえず幾つか質問をさせていただきたいのですが。

これは定義の問題とも言えるのですが、同期的管理の定義というのでしょうか、資料でいくと3ページですけれども、最初の○の二重払いのリスクからの回避、これが恐らく実質的な意味においての最大の眼目ではないかとは思うのですけれども、ただ、「注」の最後のところで、それの帰結として、具体的には、管理機関が自ら職権で支払等登録を行うこととなっているのですが、これは少し次元が異なる、これはこれで1つの重要な要素だと思うのですけれども、自ら行わなくても二重払いの危険を回避するような制度設計という視点もあるかと思うのですが。それは最後の方で、そもそも管理機関とはという大きいところにも絡むところだと思うのですけれども、二重払いリスクの回避というところがやはり実質的な眼目ではないのかなと思いますがいかがでしょうか、という点が1つ。

後、いろいろ利害も絡むところかもしれませんけれども、金融機関自らがなる場合、金融機関の関係機関がなる場合、また、金融機関以外が管理機関になる場合、この3つがあり得るかと思うのですけれども、いずれにしても、金融機関自らの場合を除くと、管理機関が金融機関から情報を入手する必要があると思うのですね。その情報を入手する行為というのは、契約ベースで行えば恐らく私の理解で言えば特に何か法律に違反しないとは思うのですけれども、そういう理解でよろしいかどうか。実際に、手形交換所にしろ、先ほどの信金中金の沖縄の実験例にしろ、そういう情報入手は恐らく契約ベースで行っていると思うので、それは認められているのかなと思うところなのですけれども、その確認が1つです。

次に、とはいっても、全金融機関とそういう合意のある管理機関が今後できるとも思われないので、そうすると、それは何らかの形で制度的な後押しをしてあげれば、金融機関でなくても情報入手できるのかなと思うのですね。また、金融機関であったとしても、現在の決済のネットシステム上、そういう情報というのは別にシステムで入手できるようにそもそもなっているのか、そこはあいまいなままなのかどうかとか、その辺もちょっとお知らせいただければと思います。

最後にもう1つだけです。ここに3つの例が書かれているのですけれども、後、法務省の中間試案における、承認というだけでは必ずしも不十分ではないかというご指摘もあったかと思うのですけれども、実際には送金ですから、送金手続をとって入金されるまでの間の若干の期間、といいましても何日かが問題となると思うのですね。それは送金ですから入金されるまでは債権者のお金になっていないというのが法的な判断かもしれませんけれども、先ほど信金中金の方からお話があったように、もう1つの考え方としては、管理機関のところにお金が置かれる、ここの例ですとそれは代理受領であると、こういうふうに1つの法的な性格づけをされていますけれども、もう1つは、ほかにもあるのかもしれませんが、エスクロー的な管理とでも言うのでしょうか、エスクローが何を意味するかという次の疑問はあるかもしれませんけれども、1つの法律構成としては信託的な、要するに、管理機関のお金になるのだけれども、そのお金には実は目的があって、法的に言えば、受益者たる債権者に支払われるのだと、要するに、代理でもないし、債務者のお金でもないし、債権者のお金でもないというような構成もあり得るのかなと思います、これは単にそういうコメントなのですけれども。

以上です。

○岩原部会長

高橋室長、お願いします。

○高橋企画課調査室長

最初の点ですが、二重払いの危険から保護するというのが中心課題であると思います。ただ、それだけではなくて、やはり債権者の方にお金が確実に渡ることも1つ重要な課題ではないかというふうに判断いたしましたので、法律論的には、おっしゃられるように、債権者に渡った瞬間に支払等登録をされても何ら問題はないはずなのですが、そこのところは、やはり、確実に債権者の方にも入金されることは1つ重要ではないかというふうに思っております。ただ、それに対して規制がどこまで必要であるか、同時性がどこまで必要であるかはまた別のご議論かとは思っております。

それから、「注」は次元が少し違うのではないかというお話であったかと思いますが、それにつきましては、先ほど代理申請で申し上げましたが、事実上そういったことを実現されることのお話とは別に、まず管理機関が同期的管理を提供するということは法律的な構成をとるとどういうことであるか、それは一定の条件が確認された場合に必ず職権で支払等登録を行わなければならないという構成でないとうまく法律が回らないのという話かなと思っております。

したがって、その意味で、その「注」のところで、具体的には管理機関が一定の条件が満たされたときに義務として支払等登録をしなければならないこととし、そのような義務を負う場合はどのような場合か、それは、結局、いろいろな方々に対してサービスの提供がうまく行われて、電子登録債権がうまく回るときに限られるのではないかという問題意識でございます。その意味で「職権で支払等登録を行うことをいう」というふうに書いておりますので、私どもの整理ですと基本的に同じことを言っているという理解なのですが。

それから、金融機関からの情報入手のお話でございますが、原則としてそれぞれ関係者の皆さんは口座に入金があったことを確認するだけだと思われますので、入金があった事実をお知らせしていただくという契約内容であれば特段問題はなかろうかと思いますが、それ以上に何かいろいろな付加的な情報、あるいは、もっと早いタイミングでの情報の入手がないと同期的管理ができないというのであればまた別途検討する必要があるかと思いますが、ここではそれぞれ実際に自分自身が入金を受けたということを連絡してもらうだけだという整理で考えております。

それから、最後の、エスクロー的な構成というのが、それもあろうかと思います。ですから、その意味ではほかにもあるというふうに書いてもよかったのかもしれませんが、基本的に代理弁済受領と同じような問題点あるいはタイムラグが発生するのかなと思っておりますので、原則として債権者の方までまだ資金が届いていないという点など基本的にマル2と同じような整理かなと思います。

○岩原部会長

よろしいですか。

ほかに何か。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

これは確認ですが。

ここでは、管理機関がやっていることというのは債権を発生させ、債権を消滅させるということなので、決済ですよね。そうすると、これは為替になって、排他的銀行業務、固有の銀行業務になってしまいます。それが政策的に妥当かどうか、管理機関がやっていることと銀行法との関係はどういうふうに整理されているのか、そこをちょっとはっきりさせておいた方がよろしいのではないかと思うのです。そこを教えていただいて。

それで、これは室長に対するご質問として正しいのかどうかは分からないのですけれども、ここでやっている電子的な電子登録債権に関する決済のシステムとは、要するに手形に代わるようなものを考えてみればいいのでしょうけれども、それ以外に、実際にはeの世界で、いわゆる債務引受方式で決済をやっているシステムは現在存在しているわけです。そのシステムには同期的決済といった効果は与えられていないのですが、今回の立法の目的というのは、既存の仲間内でやっているシステムは契約ベースでやっているわけですが、別にそれはそれでいいでしょう。しかし、このやり方ですと、逆に決済のところでリスクがたまったりするような弱点もあります。また、例えば人的抗弁の切断とかそういうのは、この仲間内のシステムではなかなか難しいですよね。実際には人的抗弁を契約ベースで外してしまってやっている場合が多いですが、そういうふうなことでこの私的システムはリスクは伴いますね。また、善意無過失の人が出てきたらどうしますかというところは、これはもうしようがないですねということで、電子登録債権とは別のものと認識されていると整理して良いのでしょうか。

すなわち、現在ここで議論されているシステムは、一般に契約ベースでやっているのとは別に国がお墨付きを与えた決済について安定性のあるシステムをつくるということで、両システムが併存するというのが立法の考え方でよろしいのでしょうか。ちょっとそれが私にはあまり理解できなかったので、この2点をお教えいただけると助かるのですが。

○岩原部会長

では、高橋さん、お願いします。

○高橋企画課調査室長

管理機関のやっている行為というのは、原則としてブックキーピングをやっているだけなので、そこだけをとらえれば必ずしも銀行法に抵触するわけではないと思います。ただ、問題は必ず資金送金が付随してきますので、その資金送金の行為については当然銀行法に抵触する行為だというふうに思っています。ですから、管理機関が金融機関と提携して送金をするのであれば、現行の法制度の中で全部処理ができると。ですから、管理機関自らが送金業務をやれば、その場合は金融機関しか管理機関になれないということだと思います。

それから、仲間内でやっているケースうんぬんのお話で言えば、それは指名債権で今同じようなことをやっておられるのは事実だと思いますし、それについて現在のところ特別な規制がないというのが実情ですので、それ自身が決済的な機能を持っていたとしても、これをもって何かという話ではないかと思います。ただ、電子債権を使って同じようなことをやることについて今の指名債権と全く同じだという議論でいいのか、電子債権については手形的な要素あるいは支払手段として使われる要素が多分に高まっているわけですので、それについて従来と全く同じように自由にやっていいかどうかというのはまた別のご議論かなと思います。

○和仁委員

私の2つ目の質問は、要するに、今回の立法で別に仲間内でやっているのを排除するという意図ではないということですね。

○高橋企画課調査室長

私どもの気持ちということではなくて、まず手段として3つあって、その2番目、3番目は特に仲間内だけで使われる可能性が高いという問題点はあるという認識です。それが、利便性等を考えれば、認めるべきであるということであれば認めるものだとは思われますし、まさにおっしゃられましたように、自分が扱っている債権について公的な色彩を負わせるわけですから、それを仲間内だけでやっている人たちにそのような効果を与えることが適切なのかという観点もあろうかと思いますので、それが不適切なのであれば認めるべきではないということになるかと思います。

○岩原部会長

今の後者の方の議論について言えば、和仁さんの2番目のご質問について言えば、高橋室長も、恐らく、電子登録債権としての効力を持たないで当事者間で現在既に行われている決済方法としてのおっしゃるような取引について、それを違法とするようなことを考えているわけではないと思います。電子登録債権としての効果を持つ取引を使ったときには、こういう一定の要件を持った管理機関の下で一定の規制を受けてやってくださいということではないでしょうか。現在、そういう電子登録債権としての効力を受けない形で行われている当事者間での任意の決済については特に影響を与えないということになるのではないかと思っています。

それから、最初の点でございますけれども、銀行法上の為替決済、為替取引に当たることになって、銀行の排他的業務に当たることにならないかというご質問ですが、電子登録債権が電子マネーとして使われて、言わばそれ自体が資金決済としての効力を持ってくると、これは銀行法との実質的な抵触が問題になり得ると思うのですけれども、そこまでいかない、電子マネーとしての効果を持たない範囲で言うと、さっき高橋室長がおっしゃったように、管理機関が送金をする行為が含まれたときに初めて為替取引の問題が出てくる。

具体的にどういう場合が問題になるかと申しますと、例えば代理弁済受領方式で、管理機関自身が業として債権者に送金する行為を行うとするとこれは為替取引の問題になり得るでしょうけれども、それはかなり限られた場合の問題であって、どういう場合にそういう現行銀行法上の問題を引き起こすかということは今後詰めてここで検討するということになると思います。

とりあえず、よろしいでしょうか。

○和仁委員

多分答えは出ないということについては、私は確信しています。でも、何とか交通整理だけはして、少なくともこの立法については銀行法の議論はしなくていいのですということをこの審議会ではっきりしていただくと非常によろしいのではないかということです。

○岩原部会長

交通整理をするために今議論をしているわけでありまして、それ以外にお金を預かるという点ではこの代理受領の場合には一種の預り金の問題も出てきますし、そうすると言わば銀行法の実質的な預金の受入れをやっているのか、あるいは出資法上の預り金なのかといった問題も起きますから、そういうことがどういう場合にあり得るかということを今後詰めて、ここで検討していくということであります。

野村さん、どうぞ。

○野村委員

私は、そのことに関しては一言だけ申し上げて、ほかのことを質問したいと思いますけれども。

私どもの方のITワーキングではこの電子債権に関する議論の後に電子マネーについての検討をさせていただきましたが、その際は、将来的には小口の決済等に関して銀行法よりも軽微なそういう法制というものの可能性を考えた上での決済のあり方というものを考えましょうという一応のまとめはさせていただいていて、今回の電子債権に関して和仁先生はご承知の上でお話しだと思いますけれども、いわゆる支払手段として新しいものが増えるだけでありまして、ファイナリティーがついているものではないということを前提にした議論ということで整理されているのだろうと一応理解していますが、これには疑問が出ておられるようなのでかえってあれですけれども、ほかのことをちょっとお伺いしたいのですが。

政策判断として同期的管理が必要かどうかという問題提起がなされているのですけれども、これは、先ほども議論がありましたように、二重払いの危険からの保護とか、あるいは、債権者の方でも支払を受けていないのに権利が消滅してしまうというようなリスクから回避するためには当然のことながら同期的管理が望ましいということで、ITワーキングでもそのことはずっと前提にさせていただいていたと思うのです。今ここでやはり次に議論しなければいけないのは、システム的に同期的管理ということを実施するのにどのぐらい管理機関に負荷がかかるのかということで、実際にはこれが要求される要求水準如何によってこの電子債権の管理機関になれる人というのは限定されてくるようなそういう政策判断なのか、それとも、ある程度のシステム的なコストでそれほど難しくなくできるものなのかということを、ちょっと私はシステム的なことは分からないので、その辺りの相場観を教えていただければ、結論的にはできるものならやった方がいいに決まっているというお話だと思いますので、そこのところはどういうふうなレベル感で考えればいいのかというのをお分かりだったら教えていただきたいのですけれども。

○岩原部会長

では、平田委員、お願いします。

○平田委員

同期的管理のシステム的なレベルのことで今お話が出ましたので、ちょっと補足をさせていただきますけれども。

法制審議会でも想定されているケースとしては、主に債務者側の管理機関、国に登録して、管理機関が送金業務をやる場合には職権で支払等登録をすることができると。この場合に、送金業務を金融機関がやって債権者側の口座に入金はされますけれども、実際問題、個々に入金が、本当にその口座に入ったかどうかというところまでは確認できませんで、例えば月末に振込をしたとしますと、遅くとも翌営業日までに何らかの入っていないというふうな返答が債権者側の金融機関からなければそれでもって支払が行われたというふうに判断をして、それで支払等登録をやるというふうなことでございます。

それで、同期性といっても、完全にシステム的にリアルタイムにその同期性が図れるかというと、やはりそこはすべての口座とすべての管理機関がシステム的につながっていないと不可能なことですので、そこはあり得ないと思うのですね。したがって、必ず何らかのタイムラグがあるというふうな前提でやるということだと思うのですけれども。一方、債権者側の管理機関を活用した場合、この場合には、債権者側の金融機関が入金したということは確認できますので、このケースは比較的本当にリアルタイムに近い形でできるのかなとは思うのですけれども、どれぐらい債権者側の管理機関を使うのか、債務者側の管理機関を使うのかといった、実際問題どういう使われ方をするのかというのは分かりませんので、恐らくは債務者側というふうなケースが多いのではないかというような感じはいたしますので、完全リアルタイムはあり得ないという前提で考えていくべきなのかなというふうに思います。

○岩原部会長

野村委員、よろしいでしょうか。

ほかに何かご質問やご意見はございますでしょうか。

さっきの和仁委員の第1点目のご質問についてちょっと補足をさせていただきますと、現行法の銀行法の為替取引の定義に関する最高裁の判例からいたしますと、隔地者間で現金を用いないで資金移動をする手段を提供している場合には為替取引に当たるということです。この電子登録債権も利用の仕方によっては電子マネー的に使われることがあり得るわけで、もしそういうふうな使われ方をしますと現金を使わないで資金移動をすることができるようになりますので、そうなると現行法の解釈としても為替取引に当たるということが出てくる可能性はあります。ただ、恐らく現在考えられている電子登録債権の利用の仕方の範囲では、多分、電子マネー的な利用は考えられていないのではないかと思います。ただ、その可能性が将来的にあり得るかどうかは今後の検討の必要があると思います。

○和仁委員

今考えているのはまさにご指摘のあったことですし、要するに、手形の使用量が減ってきたからこういう形の決済を提供してあげようと、それはそれでいいのですけれども、流れとして電子マネーに行くことは目に見えているわけです。みんな現金を動かすよりは電子的な信号のやり取りで決済をしていきたいということなのではないでしょうか。やはり我々が議論をするのであれば電子マネーのところまで考えた上でないと結論は出ないと思います。すなわち、電子マネーとして使えることを前提に議論をした方がよろしいのではないかと。そうでないと、できたけれどもあまり使われないねということで終わってしまうのでは、せっかく皆さんが考えてくださったシステムですから、もったいないなという感じがするのです。

○岩原部会長

では、米澤委員、その次に池田委員、お願いします。

○米澤委員

今までのお話と若干絡むのではないかと思うのですけれども。

原点に立ち返って、これが手形なら、所持人が提示すれば債務者の口座から自動的に落ちるわけですね。ですから、原因取引との二重払いとの危険というのはあるにしても、少なくとも手形の支払に関して二重払いの危険というものは今の手形で考える必要はないのではないかと思うのです。それが電子になってしまうと、まさにこの電子債権の支払ということで二重払いの危険があるというのは何のための電子化なのか分からないと、原点に立ち返るとそういう気がするのです。

資料2の今のご説明の原点は、期日の前ならばしようがないのですけれども、期日であっても、債務者が払って、それを債権者が登録して初めて消えるという、これがすべての大前提になっているような気がするのだけれども、それがおかしいので、債権者が何らかの形で管理機関のお墨付きをもらって、この電子登録債権の支払を求めるのだよと言って債務者の口座から落としたら、それで一発で消えてしまうという仕掛けはできないのでしょうかね、よく分からないのだけれども。

○岩原部会長

どうですか、今の点は。

それでは、始関さん、どうぞ。

○始関民事法制管理官

今の点は私どもの関係でもあろうかと思いますので、まず私から少しご説明をさせていただきます。

前にもご説明したことですけれども、電子登録債権の支払をすればそれで電子登録債権自体は消滅するはずなのでございます。消滅するはずなのですけれども、人的抗弁の切断というものを認めますので、支払ったけれども登録がされていないと、善意者が取得したときには支払ったという抗弁を対抗できなくなるおそれがあるということをここに書いておられるわけでございます。

その問題を解消する方法としては、前にも中間試案のご説明をさせていただいたときに申し上げたことですけれども、支払期日後は抗弁の切断は認めないというのが1つの方法で、これをやれば絶対に二重払いの危険はないのですけれども、その代わり、この抗弁の切断を認めないという処理をとりますと、今度は、後に善意で取得した人は、お金を支払って割り引いたのにその割引に相当する支払が受けられないという問題が起きます。ですから、だれも不利益を受ける人がないようにするためには同期的な処理が必要になるという問題意識です。

それで、私どもの中間試案でも、先ほど平田委員からちょっとご紹介がありましたけれども、管理機関が送金手続に関与したときには、支払を確認した時点で消さなければいけないという、自動的に消すのだという扱いにしているわけですが、そこをさらに詰めていただいているというふうに理解をしているところでございます。

○岩原部会長

ありがとうございます。

手形ですと、手形という紙があって、それとの引換でないと払わないということで、事実上、二重の弁済というのはあり得ないということになっているのですけれども、電子登録債権の場合ですと、言わば手形の引換給付に当たるようなことをなかなか担保するのが難しいところがございます。そこでまさに先ほどから議論しておりますように、この7ページの資料にございますような例えば3つの方法を使うことによって、事実上、手形における引換給付と同じようなことを実現することが検討されています。ただ、非常に厳密に、さっき平田委員がおっしゃいましたように、本当に受取人の口座に入金記帳されているところまで現実に見て確認をしないと、それで弁済があったとしてその支払登録ができないというところまでやると、これはもうコストが非常にかかるし、手間も大変だということで、ほぼ実際上はそれに近いようなことを実現する方法としてこのマル1の方法があるのではないかと、そういうことであります。

○小野委員

今の点に関連してなのですけれども。

○岩原部会長

小野さん、どうぞ。

○小野委員

今の点に関連してのことだけなのですけれども、始関管理官にもお伺いしたいのですが。

中間試案の「支払」のところの(3)のb、急に言って分からないかもしれませんけれども、始関さんはご存じだと思うのですけれども、そこに同時履行の話が、同時履行とははっきり書いてはいませんけれども、支払するのと引換えに登録の申請を承諾すべきことを請求できると書いてあって、それによって法務省としての実体法的な整理としては、今、岩原部会長が、同時履行は無理なのだと、紙ではないから無理なのだとおっしゃったのだけれども、それとは違う整理をされているのかなと私は認識しているのですけれども。

後、先ほどの報告のときに、とはいっても、これでは必ずしも同期性は担保できないのだというようなご報告だったと思うのですけれども、そのときに私が思ったのは、それは送金した時点から確保するのかなと思ったのですが、そうでは必ずしもなくて、あくまで入金をしたときの話であるという話だと思うので、そうすると、ある意味ではこのレベルでは同期性は十分確保されていないのではと。

要するに、質問としては、この同時履行性は担保できないとおっしゃったけれども、必ずしも法務省の整理はそうではなくて、申請しない限りは支払をしませんよということで同時履行性を、または同期性と言ってもいいかもしれませんけれども、確保するという立て付けで。したがって、二重弁済リスクがあるような制度ではないかというご指摘も委員の中からありましたけれども、もちろんそういうような制度設計で構わないと通してやればそれでいいと思うのですけれども、必ずしも制度としてはそういうリスクのある制度をつくられているわけではないと私は理解しているのですが、それはどうなのでしょうか。

○岩原部会長

始関さん、お願いします。

○始関民事法制管理官

結論から申しますと、小野委員のおっしゃることとは全く違います。

まず、承諾請求との同時履行という形のものも入れておりますのは、支払方法をこの中間試案では限定していないからなのですね。しかし、実務上は、現在、先ほど高橋参考人からご説明されました電子手形サービスにせよ、一括決済にせよ、すべて送金によって処理がされますので、送金における承諾との同時履行ということはあり得ないわけであります。つまり、支払期日が来れば引き落としてそれを振り替えるわけですので、振り替えてしまってから承諾をとるということになりますので、承諾しない限り送金はしないというわけにはいかないわけですから、送金というスキームをとる以上は承諾請求というのは絵に描いた餅なのでございます。そこで、その後の後ろのところに、職権による支払等登録義務というものを提案しているわけでございます。

○小野委員

私も送金でいいとは言っていませんで、あくまで入金との同時履行、だから、そこから先は制度設計の問題で、それをどうやってやるのかという制度設計をこの場で議論されようとしているのかなと思って。なおかつ、先ほどのご報告でも、送金の段階での同期性は求めていないという話だったと思うのですね。どうやって送金の事実を入手するのですかという質問を私はしたつもりだったのですが、それによってどういう手続をとっていくのかという話だったと思うのですが、それに対して事務局としてはそこまで考えていないと。入金情報を入手して、その入手した情報で抹消してほしいと、これが制度の安全性ではないですかという話だったと思うのですけれども。

○始関民事法制管理官

私どももまさにそのとおりで、送金手続に関与するときは入金を確認して自分の職権で支払等登録をしなければいけないと、それは中間試案でも一緒に書いてございます。

ですから、あくまでも確認すべきは、先ほど高橋室長からもお話がありましたけれども、弁済の効力というのは、小野委員に申し上げるのは釈迦に説法なのですけれども、入金されて初めて生ずるわけですから、入金されたことを確認するのが当たり前なのですけれども、ただ、実際問題としては、平田委員がおっしゃられたように、入金そのものを、他行の口座に入金されたかどうかを銀行にせよノンバンクにせよ別の主体が確認することはできませんので、それは入金されなかったという通知がなければ入金されたものとして扱うというのが銀行実務であると承知していますので、それで足りるのではないかというふうに考えているわけでございます。

○小野委員

すみません、あまり二人で議論してもしようがないのですけれども。

中間試案では明らかに支払するのと引換えに承諾すべきことを請求できると言って、これは同時履行の話ですよね。抗弁権として構成されていると思うのですけれども。ですから、支払送金をするのだけれども、承諾申請をしない限りはその入金自体が本来ならば抗弁権のついている入金ということと、また、相手が嫌だと言えば抗弁権ですから違法性が、要するに債務不履行にならない、弁済をしなくても弁済をするときにはあなた承諾しなさいよと言えばいいわけですから。

ですから、始関さんのは、送金をする場合が通常だから、この法務省の中間試案に書いてある(3)のbというのは実質意味がないのだという意味だとすると、何か制度設計としてはむなしいような気がするのですが。これに実効性を持たせるために送金で行われる場合具体的にどういうふうにするかというのがこの場で議論していることではないかなと思うのですけれども。

○始関民事法制管理官

本当にここで小野委員とだけ議論をしていてもしようがないのですけれども。

要するに、送金という方法、つまり、どの口座からどの口座へ送金しますという形で支払方法の登録がされるということは、送金方法についての合意をしているということになりますので、その場合は先払いを合意しているはずなのですね。だから、承諾と引換えでなければ送金しないというふうに合意していれば別ですけれども、支払期日とそれを送金の方法によって払うということを合意していれば、それは承諾と引換えでなく送金しますということを合意しているはずですから、先ほど挙げられたbというのは、その場合には使い出がないと、そういう使い出のない場合が圧倒的多数になるでしょうということを申し上げていて、しかし、中間試案としては、別に送金でなければならないというふうに、支払方法を登録することはできるということにしていますけれども、承諾と現金の支払との引換給付という支払方法もあり得るだろうということで、何も定めていないときは同時履行という形もとることができるということを書いているだけでございます。

ですから、実際問題としては、その後ろに書いてある、職権での支払等登録が、前に中間試案でご説明したときにもここで申しましたけれども、圧倒的多数は職権での支払等登録というものになるでしょうというふうに考えているわけでございます。それを前提にここで事務当局の方から問題提起をしていただいているというふうに承知しております。

○岩原部会長

大事なのは二重弁済等の問題を起こさないということですから、二重弁済等の問題を起こさないという意味では、単に送金を始めたことが重要ではなくて、先ほど始関さんがおっしゃいましたように、債権者の口座に入金記帳されて、債権がそれによって消滅するということと支払登録との実質的な同時履行をいかに実現するか、それを同期性という言葉でここでは問題にしているわけで、最後の入金記帳されるところまでで二重弁済の問題が起きないようにするための仕組みをここで検討しているということだと思います。

○小野委員

今のポイントだけでも、自行に対して入金された場合だけ可能でしょうし、なおかつ、銀行というのは巨大な組織ですから、入金した行為と抹消というのはどうしてもタイミングがぴったりいかないというのがありますね。後、最近はないのかもしれませんけれども、誤振込というのもあって、銀行から電話がかかってきて、あの入金は間違いでしたというケースもあると思うのですね。なおかつ、今後の制度の立て付けになると思うのですけれども、第三者機関がそういう管理機関になることも十分念頭に置いていると思うので、そうすると、そこでの情報の伝達とその情報の正確性の担保というのがあると思うのですね。ですから、それはシステム的にも制度的にもそういうものをしかるべく厳密にしていくというのはしかるべく方向とは思うのですけれども、その意味においての、厳密な意味においての同期性とか同時性というのは達成できないし、間違いもあるし、取消しもあるしということと思います。

後、実際には、始関さんがおっしゃるように、送金手続がほとんどとられるので、送金したけれども入金するまでの一日、普通だと一日ですかね、また、入金確認までいくともうちょっとになりますけれども、その間においてどうするかというのがある意味では制度設計の議論があって、それは信金中金さんであれば現在の手形と同じように口座の停止をしますという話だと思うのです。ですから、ある意味では、実体法の議論ではなくて、具体的な手続とか業務規程のあり方の議論だと思います。では、どうやってやるのだと言われるとなかなか言葉に詰まるところがあるのですけれども、支払登録申請をしない限り支払いませんよという実体法と同じレベルのことが確保されることが。

ですから、手形とは違う形で二重払いのない制度を。ただし、現実には、始関さんがおっしゃるように、送金手続だから送金から入金まで、入金から抹消までの間の時間的間隔というものをどうやって処理しましょうかというのがここでの議論と理解しています。

○岩原部会長

ですから、なるべく手形と同じような二重弁済のリスクのないような形での支払登録がなされるようにしようと。そのためには、例えば先ほどの7ページのところでの議論がございましたように、事実上、確認ができるまでは、管理機関において譲渡登録等ができないようにするといったような業務規程を設けてほしいと、そういう業務規程を設けてあることが言わば管理機関の認可なりの条件になるということで、ここの審議会で、言わば管理機関の義務と申しますか要件を考える上でそういうことを求めていく必要があるのではないかというのがここでの議論になるのではないかというふうに思っております。

池田委員、どうぞ。

○池田委員

お話ししたいことからだいぶ違うところへ行ってしまったのですが。

私は恐縮ですが先ほどの和仁委員のご発言の主題に対してちょっと違和感がありまして。というのは、和仁委員が、管理機関がやっていることは決済であって、為替取引、つまり、銀行の排他的業務に当たると言えるのではないかとか、電子マネー的に使われる可能性についてどう考えるかというご発言だったのですが、そういう問題意識自体を否定するつもりは全くないのですが。

ここでは電子登録債権の中の管理機関について扱うので、そこは決済のところがクローズアップされるわけですけれども、電子登録債権それ自体は、全体像として見るならば、ご承知のように、資金調達のために電子登録債権を担保提供するとか、あるいは、たくさん属性情報を書き込んでシンジケートローンに使ってみようとか、いろいろ考えられているわけで、決して手形的な決済専用の手段として最初から考えられているというふうに限定なさっていただきたくないというか、逆に言うと、電子登録債権自体は、売掛債権担保とか、そういうような形のものの電子化のようなイメージのものも含んでいるわけですから。

高橋室長が最初の方で和仁委員のご質問に対してお答えになられたように、管理機関というのは、本来はその登録について、つまりブックキーピングをやる機関なのだけれども、ただ、それがブックキーピングだけでいいのかと、そうするとこういう二重払いリスク等が出てくるから、そこでこの同期性の観点からどこまでそこを要求するかをこの合同会合で詰めようというご趣旨だろうと思いますね。ですから、基本的な発想はそういうところにあるということを私としては確認させていただきたいと、とりあえずそういうことでございます。

○岩原部会長

米澤委員、どうぞ。

○米澤委員

先ほどの始関管理官のご説明は私は十分理解しているつもりなので、

だからこそ資料7のこの立て方には非常に何か先入観があるような気がする。1番目は問題ないのですけれども、マル2マル3というのは、言ってみると「双葉を切るのに斧を用うる」ということわざがありますけれども、要するに、まさにお金の権利関係までもうワンステップつくろうという話で、非常におおごとにする話ですね。そんなことをしなくても、マル1は一つ受領すればいいという話だけれども、これでは不十分だと。今のお話にもありましたように、管理機関というのは本当にブックキーピングだけで良いのかと。まさに発生・消滅をずっとフォローしている機関であるべきなのではないかと。そうすると、ちょっと手形にとられているのかもしれませんけれども、債権者が、期日が来て弁済を受けたいというときに、管理機関と電子的な形で、何らかの形で、ドッキングした形で、それが債務者の口座に提示されてというか指示されて債務者の口座から引き落とされるという、もしそういう仕組みがとれるのなら、それで一発で抹消もできるでしょうということを申し上げたのです。

○岩原部会長

よろしいでしょうか。

まだまだご議論は尽きないかと存じますが、今日の時間はそろそろ迫っておりまして、この後の会議がこの部屋で予定されておりますので、今日の議論の続きはまた次回皆様にさらにご議論いただくことができますので、本日の会合は、もし特に今日ここでご議論をされたいということがなければ、これで終了させていただきたいと存じます。

よろしゅうございますでしょうか。

なお、この後、記者会見を行いまして、本日の会合の模様につきましてお話をさせていただきたいと思います。

それでは、次回の開催予定及び「今後の日程(案)」を事務局からお願いしたいと思います。

○高橋企画課調査室長

「今後の日程(案)」につきましては、お手元の18-5-1でお示ししてございます。

次回、次々回につきましては、皆様方の方からお時間をいただきまして、10月10日、10月25日ということで、定めさせていただきたいと考えております。

その後、6月の会合の折にもお話をさせていただいておりますが、当時、11月、12月でということでございましたが、先ほどの「検討事項(案)」の方で申し上げましたが、3つの視点で、今回は I を2つに分けている関係がございまして、イメージで申しますと、合同会合のマル3マル4で今回の利用者の保護の観点、マル5のところで管理機関のあり方、マル6のところで金融法制関係というようなイメージで考えております。その後、取りまとめ等の会合でマル7マル8というようなイメージでございますが、おおむねこのような形で進めさせていただきたいと考えております。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

それでは、本日はこれで終了することにしたいと思います。

お忙しいところ、熱心なご議論を大変ありがとうございました。

以上

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