金融審議会金融分科会第二部会(第34回)・「情報技術革新と金融制度に関するWG」(第20回)合同会合議事録

日時:平成18年10月25日(水曜日)13時00分~15時00分

場所:中央合同庁舎第4号館11階 共用第一特別会議室

○岩原部会長

それでは、時間でございますので、ただいまから第34回金融審議会金融分科会第二部会と第20回情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループの合同会合を開催いたします。

皆様、本日もお忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

なお、本日は田村金融担当大臣政務官にお越しいただいております。

どうぞよろしくお願いします。

それでは、早速でございますが、お手元の議事次第にしたがいまして議事を進めさせていただきます。

本日は、管理機関の業務の適正性の確保について、事務局からご説明をいただきまして、討議の時間を持ちたいと考えております。前回、10月10日の討議の際に言及されました、キャッシュ・マネジメント・システムについて追加的なご説明があると伺っております。

それでは、まずキャッシュ・マネジメント・システムについて、事務局から補足説明をお願いしたいと思います。

○高橋企画課調査室長

本日は私どもの幹部が貸金業法の関係で欠席をしています。大変申しわけございませんが、お許しをいただければと思います。

それでは、「前回追加資料」と銘打った20-1でございます。前回の議論の中でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)という言葉が出てまいりましたが、これにつきまして、一部の委員の方々で議論が交わされておりましたので、改めてご紹介させていただいております。

一般的にCMSとは、グループ企業の資金を一元的に管理し、資金調達や運用を効率的にするシステムのことを意味するものとして用いられているかと思います。

CMSのやり方につきましても、いろいろあるかと思いますが、主にセントラル・カウンター・パーティー(CCP)という、間に立つものを設けまして、グループ企業間取引で一定期間に発生する債権・債務についてネッティングにより資金移動額の削減を行っているものと認識しております。

ポンチ絵でございますが、次の(参考)の絵で、置換え前のこのような複数の債権・債務関係を、権利義務の主体として真ん中に立つことによりまして、資金送金額を圧縮するという仕組みで、この真ん中に立って債権・債務の当事者となることにより清算を行う者のことをセントラル・カウンター・パーティーと一般的に言っているかと存じます。

したがいまして、このような処理を行う場合でありましても、少なくともここで書いてありますようなネット尻については資金移動が必ずあるのではないかと思っておりますので、この資金移動分について同期的管理が行われる必要があるのではないかということを、先回私どもも申し上げたつもりでございます。

以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。

よろしゅうございますか。佐藤委員。

○佐藤委員

前回申し上げたことの繰り返しになりますが、CMSというのは現状では大企業を中心としたグループ内取引で行われているケースが多いわけですが、電子登録債権制度のように新たな制度が導入されると、例えば商工会議所単位で、本来でしたら、今までCMSの恩恵にあずかることがあまりなかった企業も、どなたかがCMSの業務を開始することによって、新たにそういう恩恵にあずかることが可能になるかもしれないという期待があるというのが1点目でございます。

それから、2点目といたしましては、同期的管理の必要性という点については確かに必要だと思いますが、同期的の意味が多岐にわたっている部分がありまして、企業とか利用者の実態に応じて、週単位や場合によっては月単位、3か月単位という、資金決済で足りる場合もあり、CMSの用途とか利用実態に応じて、即時に資金決済をつけていかなければいけないという意味での同期性までは必ずしも必要とされていない場合も多いということをコメントさせていただきたいと思います。

最後に、電子登録債権という制度は新しい制度ですから、どういうふうに利用されるかということがわからない、民間の創意工夫でいろいろな利用形態が出てくるかと思います。CMSという業務に限定しても新しい制度を活用した新しいサービスが生まれる可能性がございますので、今行われているということだけをもって決めつけてしまうことは、将来の発展性を阻害してしまう可能はないのかなという懸念があるということでございます。

以上でございます。

○岩原部会長

ほかに何か。今野委員、お願いします。

○今野委員

ただいまの方のご発言にも絡んでございますが、CMSとかCCPというのはとかく大企業間の話と認識しておりましたが、これは一般の私たち中小企業とかベンチャー企業、そういうところにも適用されるということなのでしょうか。これが適用される範囲が明確に決まっておられるんでしたらば、それについて教えていただきたいと思っております。

○岩原部会長

それでは、事務局からお答えいただけますか。

○高橋企画課調査室長

キャッシュ・マネジメント・システムという方式は、今申し上げたようにやり方の問題ですので、佐藤委員からご説明がありましたように、それを主導してやろうという方が出てくれば、中小企業を相手にすることも当然可能かとは思います。ただ、逆のことをあえて申し上げさせていただければ、今は指名債権でやっておりますので、特段何も規制がございませんが、電子登録債権について行う場合は、何らかのクオリティーのある人がそういったことを主導すべきでないかとの問題があります。実務を阻害してはならないとは思います。しかし、そういった方々も相手にしてそういった仕組みを構築する場合に、どんな人でもそういうことをやるのが許されるのかというのは別の観点から議論があるかと思います。現状においては特別な規制はないと思います。

○岩原部会長

キャッシュ・マネジメント・システムというのは、法律で何らかの規制があるわけでなくて、いろいろな企業が取引の中で債権・債務関係をお互いに持ち合っているようなときに、それをネットアウトして尻を出して、それで決済を行っていくというやり方です。したがいまして、先ほど佐藤委員から話がありましたように、グループ企業ですと、その中でお互いに債権・債務関係を持ち合うことがありますので、今のCMSみたいなものが割と利用されるということだと思います。

ただ、実際問題として、グループ企業でないようなところでどれだけお互いに債権・債務関係を持ち合って、それをネットアウトすることに有効性があるというか、そういう場合があるかというと、それは必ずしも多くないのかなという感じはしますが、理論的にはあり得ないわけではないということだと思います。

はい、今野委員、どうぞ。

○今野委員

よくわかりました。東商とかニュービジネス協議会の税制とか金融関連の小委員会で、こういうことは話題になっております。おっしゃるとおりだと思いますが、中小企業、特に小企業の場合は、こういうものに積極的に対応していくために必要なITリテラシーができていないところが多いのが実状です。そういうところから不安感というのも生じているように思いますので、その辺への配慮もしていただきながら、進めていっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○岩原部会長

貴重なご指摘ありがとうございます。そもそもCMSがどんなことをするのかということ自体、なかなか理解できない企業等もあると思いますし、当事者がそれを利用することによってきちんとした支払を受けられないというようなことがないことは十分配慮していく必要があると思いますので、そういうことを考えた上でこの制度も考えていく必要があると思います。

どうもありがとうございます。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

追加資料のご説明をいただきまして、前回の議論の復習かと思うんですが、「同期的管理」という言葉が非常に多義的、多様に用いられているということがあります。ここで同期的管理が必要ではないか、広い意味で何らかの形で登録が残るのは好ましくないという趣旨においては必要と言えると思うんですけれども、それが合同会合における従来の議論ですと、かなり狭めに解釈されている傾向もあるのではないかと思うんですね。

したがいまして、無定義のまま「同期的管理が必要」という言葉が一人歩きするのは問題ではないかと思います。ですから、同期的管理が必要なものも多いだろうけれども、必ずしも厳密な意味において同期的管理が必要でないものもある、または同期的管理というのは非常に多義的であって、厳密に考える場合もあるし、極めて広い意味においては、要するに当事者間において、「別にいいです」と言ったのに対して、それ以上に踏み込んで管理機関が何かをするという必要もないはずです。

あと、従前、債務者の二重払いの防止という議論から、同期的管理は必要ですよという議論自体、耳に心地よい議論だと思うんですけれども、中小企業という観点に立ちますと、中小企業はどちらかというと債権者です。本来、手形を受領する立場、振り出すのが大企業であります。そうすると、債権者という言葉は、消費者金融などの議論ですと、悪者みたいですけれども、手形レスとか電子登録債権の議論においては債権者の保護ということも重要だと思うんです。

したがって、債務者の二重払いだけではなくて、債権者が知らない間に管理機関によって権利を消されてしまうということもリスク、問題のあることであって、単に二重払いというだけで同期的管理を議論することは、重要性においては決してそれは間違いではないんですが、それだけが唯一の要件ということになるとちょっと狭めすぎるのかなと思います。繰り返しになりますけれども、この「同期的管理」という言葉について、発言または報告する際には注意を払っていただきたいと思います。

○岩原部会長

はい、小宮課長、どうぞ。

○小宮産業資金課長

私は法制審の方に出ていますけれども、今と全く同意見でありまして、まず事務局の考える「同期的管理」の定義を言っていただきたいんですね。前回の議論でも発言される方ごとに「同期的管理」の定義が違うような印象を受けていまして、まずは高橋室長の考える「同期的管理」というのを明らかにしていただいた上で議論した方が建設的かなと思います。

○岩原部会長

それでは、高橋室長、お願いします。

○高橋企画課調査室長

私どもとしましては、今、小野委員が言われたような債権者の方にお金が渡ることも重要であるということは、前から繰り返し申し上げさせていただいていると思っております。その意味で、債務者の二重払いの危険と債権者の資金受領前の権利の消滅の危険を回避するために、債務者から債権者に対して弁済資金等が確実に渡り、支払等登録が行われることと理解しております。

そのときに、「弁済資金等」と言っておりますのは、純粋に資金だけなのか、権利と権利をぶつけあって消す場合も、代物弁済とはもちろん言わないとは思いますが、権利を消してしまうことについて、支払等登録が確実に行われることだというふうに理解すれば、当然、同期的管理の対象となり得るのではないかと思っております。

そこについては前回もいろいろご議論がありまして、資金送金についてのみが同期的管理の対象であるという方もいらっしゃると思いますし、逆に債権相殺等の場合も含めて、そこまで管理機関が中を見るべきであるかどうかということも含めてご議論があるかと思いますが、一義的に「同期的管理」という言葉でそういうものが排除されているわけではないということも、この前から申し上げているつもりでございます。

趣旨は、あくまで元の電子登録債権の債務者から債権者にしっかりお金なり何らか弁済資金等が渡ることによって、支払等登録が確実に行われることではないかと繰り返し申し上げさせていただいているつもりございますが、そのあたりのことは具体的なやり方とあわせて整理をさせていただかないと、また言葉だけが走っているかなと思いますので。

相殺とか、法制審の議論のやり方等もあわせる必要がございますが、今回資料が間に合いませんでしたので、次回改めて整理してご議論いただければと思っております。

○岩原部会長

前回も申し上げましたけれども、ここで「同期的管理」といっている意図としては、債権・債務の支払が確実にちゃんと行われることを担保するということだろうと思っております。即ち、債務者の立場からすれば、支払っているのに二重弁済をさせられるようなことはないということ、債権者の立場からすればちゃんとキャッシュでお金が入ってきて、全体の債権の取立てができ、それをきちんと履行されるようにするということです。指名債権の弁済においては通常はその手段として、支払と受取証書の交付の同時履行ということが行われますが、それと同様の機能を実現することを電子登録債権の支払においては、「同期的管理」という言葉でいっているのではないかと思っております。

まさに先ほど小野委員ご指摘のとおり、債務者だけではなくて債権者にとっても確実にキャッシュが入ってきて、債権の取り立てができるということが極めて大事なわけでありまして、それがきちんと担保できるような管理機関を通じた電子登録債権の支払の仕組みを実現する法制をどうやってつくるかということをここで議論しているわけです。そのための監督法的な体制は何かということをご議論いただいているのだと思っています。

その際、さっき小野委員ご指摘のように、中小企業が債権者になる立場もあるのも当然でありまして、むしろ中小企業を含めて同意すればいいというご指摘がございましたけれども、同意をした結果がきちんと実現される仕組みでなければならない。中小企業に対する債権の支払がきちんと行われることを確保する下請代金支払遅延等防止法みたいな法律もあるわけでございますので、たとえグループ内であってもちゃんと資金の支払が行われることを確保することが必要なわけでありまして、そういう仕組みを今ここで検討していると理解しています。

池田委員、どうぞ。

○池田委員

ぜひ次回にでも、その「同期的管理」についての資料を整えていただいて、議論の場を設けていただきたいと思います。一点だけ。今の高橋室長のご説明、前回も引っかかったのは、いろいろなご意見があるということをご紹介されるのはわかるんですが、資金送金の関係のない、資金の動かない、例えば相殺で当事者が契約をして、支払等登録をしましょうねというときも、ここでいう「同期的管理」に入るのかどうかというあたりは、次回きちんと区別をして分類をしてご説明をお願いしたいと思います。

先ほど今野委員のご発言にもあったCMSについては、ここで前回も議論された中心のポイントはまさにCMSですと、ここでお書きになっていることは正確なんですけれども、「このような処理を行う場合であっても、少なくともネット尻については資金移動があり、同期的管理が必要ではないか」と、この文章、私は全く異論がないんですが、「このような処理」の中には、今私が申し上げたようにお金が動かない、相殺で消す支払等登録も入っているわけです。それらの処理の中で、最後の月末に出てくるネット尻については資金を移動して振込をして決済をしますから、そこはここで従前から議論している「同期的管理」は必要になるだろうけれども、お金を動かさない、相殺契約で権利自体を消せるというのが電子登録債権の一つのメリットであると。

ケースによっては、中小企業さんでもしっかりしたグループをつくって、そのグループ内で、相殺などでお互いの反対債権を消し込めるという状況があれば、佐藤委員がおっしゃられたような形で、商工会議所単位等でCMSのやり方が発展する可能性はあるんだろうと思いますけれども、それは今置いといても、問題の論点はお金を動かさない支払等登録があり得るのであって、それもここで言う「同期的管理」と同じ意味ですかというのが、前回の議論のポイントであったろうというところだけ申し上げておきます。

○岩原部会長

それでは、ご指摘いただきました問題については、次回に事務局で整理していただくことにしたいと思います。

よろしゅうございましょうか。

それでは、次に移らせていただきたいと思います。

続きまして、管理機関の業務の適正性の確保について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

高橋室長、よろしくお願いします。

○高橋企画課調査室長

資料は20-2-1、「管理機関の業務の適正性の確保」でございます。

1番目が登録原簿の真正性の確保ということでございます。電子登録債権につきましては、電子的に登録原簿が作成され、この登録原簿に基づき権利の発生・譲渡等が行われますので、登録原簿のデータの真正性が確保されることが必要であることは論を待たないかと思います。このため、データの改ざん・消滅を防止するための措置が重要となります。

改ざん等を防止するための措置としましては、例えば、管理機関における情報管理態勢の整備とか、情報セキュリティ水準を確保する、あるいは、適切な本人認証を実施する等の措置を講ずることが必要であるかと存じます。

また、改ざん等が行われた場合の管理機関の責任につきましては、現在、法制審でも議論があるかと思いますが、中間試案では過失の証明責任を管理機関に転換する案などが示されております。したがいまして、改ざん等を早期に発見し、改ざん等が生じた際の責任関係の検証に備えることが必要ではないかと思っております。

次のページに、(参考)としてポンチ絵を載せさせていただいております。現在、主として登録された後の登録原簿についての改ざん等の可能性についてはいろいろ議論をいただき、かつ、管理機関の支配領域に入った後の責任関係等について議論があるかと思いますが、管理機関を検査、監督する立場からいたしますと、真正性としまして、何が真正であるかということをはっきりさせておくことが、債権者・債務者との関係においても必要ではないかということが一つ考えられます。

ですので、管理機関としては改ざん等の防止としての技術的な水準の確保、それから、正しい運用、適切な処理をするといったことのほかに、受付時におけるデータ保存のための申請内容をオフラインで記録しておくとか、あるいは、バックアップ体制をしっかりしておくとか、あるいは、いつ受付をしたのかということをはっきりさせておくとか、そういった技術的な対応が必要なのではないかと考えております。そのほか、登録原簿の真正性を確保するための措置として、どのようなものが考えられるのかということを、ご示唆いただければと考えております。それが1点目でございます。

続きまして、4ページでございます。これとは別に、管理機関の破綻ということで題させていただいております。まず、管理機関が破綻する要因といたしましては、次のようなものが考えられるのではないかと思っております。

まず、管理業、登録原簿の記録をしていくことですが、フィー・ビジネスでございますのでそのフィーの収支が合わず管理業の不振で倒産する場合。そのほか、登録原簿の管理ミスによって賠償責任の可能性がございますので、賠償責任を果たせずに破綻する場合。それから、これからご議論いただきますが、兼業を仮に認めるとした場合、兼業している他業の不振による影響が、本業の管理業に影響を及ぼして、管理機関が倒産する場合があるのではないかと思っております。

このような要因で管理機関が破綻した際には、登録原簿を他の管理機関へ移管する、あるいは、電子登録債権と手形とそれぞれ特質は違うのですが、利用者による手形とか指名債権の利用などへの変更をしていただくといった対応をやむを得ず考える必要があるのではないかと思います。こういった場合には次のような問題が生じるのではないかと考えております。

まず、登録原簿を移管するとしましても、移管に際し一定期間は移管の事務手続が必要でございまして、電子登録債権の利用を制限せざるを得なくなりますので、その間の利用ができなくなるのではないか。それから、管理機関が複数ある場合には選んで管理機関を使っておりますので、利用条件が合わない管理機関への利用の変更を求められる可能性があるのではないか。それから、先ほど申し上げたことですが、本来、電子登録債権を好んで使っているはずなのですが、やむを得ず手形あるいは指名債権等への利用に変えざるを得ないような場合も生ずるのではないか。それから、これも後でのご議論ですが、管理機関が金融機関であったり、あるいは、金融機関でなかったとしても、弁済資金の授受に関与している場合、その資金が倒産によって債権者に渡らない場合が生ずるのではないか。最終的には電子登録債権制度への信認が低下するといったような問題が生ずるのではないかと考えております。

次のページでございますが、今のところ管理機関は民間主体で考えているかと思いますが、民間主体である管理機関の破綻が生ずることはやむを得ないとしても、破綻は極力回避する必要があるのではないか。また、破綻の場合の円滑な措置が必要ではないかと考えております。このため、例えば次のような措置が考えられるのではないか。

まず、十分な財産的基礎を持っていただければ、仮に何らかのミス等があった場合でも対応できることが考えられる。それから、監督以外ということでございますが、外部監査をしっかりしていただければ予防的なことができるのではないか。それから、他業を営むことによって、本業である管理業ができなくなる可能性を少なくするためには、兼業を禁止したり、あるいは制限するということも考えられるのではないか。そのほか、一般的でございますが、行政による経営状況の把握、管理業の収支報告、あるいは、立入検査があるかと思いますけれども、それに基づく業務改善命令。業務改善命令を出しても、やむを得ず破綻しそうなときには、早期に登録原簿を他の管理機関に移管することを命ずる。最終的に破綻してしまったとしても、破綻後に円滑な登録原簿の移管を行うことによって、極力、利用者の方々の不便を回避する必要があるのではないかと思っております。

なお、セーフティネットの議論もあろうかとは思いますが、コスト面等からあまり現実的ではなかろうということで、(注)で「セーフティネットを設けることは適当でないと考えられる」というふうにさせていただいております。

そのほか、破綻防止のための措置として、どのようなものが考えられるのかということをご示唆、ご議論いただければと思います。

続いて6ページでございます。管理機関の兼業について議論をいただきたいと思っております。管理機関から見まして、管理業以外の業(他業)を行うことについては、次のような利点や弊害が考えられるのではないかと思っております。

まず、利点でございますが、多様な事業主体が本体で管理業に参入でき、ビジネスモデルに応じた電子登録債権の利用が容易になるのではないか。それから、管理業に損失が生じた場合であっても、他業によりカバーすることができるのではないか。それから、システム共有等による経営効率の向上を図ることができるのではないか。それから、情報の共有等により他業と管理業との間での相乗効果が期待できるのではないかという議論でございます。そのほか、金融機関が管理機関となる場合には、金融機関間の口座送金を利用する同期的管理が容易になることも期待できるのではないかと思っております。

それに対する弊害といたしましては、抽象的に申し上げれば、公正性・中立性を阻害するおそれがあるのではないか。

その一類型が管理機関が自ら取り扱う電子登録債権の債権者・債務者になることの弊害があるかと思います。

これにつきましては、補足資料の2で管理機関が自ら債権者・債務者である電子登録債権を取り扱う場合の利点及び弊害について簡単に整理させていただいております。そこの(弊害の例)でございますが、主に自らが債権者である電子登録債権について支払を受けたのに支払等登録をしない、あるいは、債務者である場合、支払を行っていないのに支払等登録をする、あるいは、登録原簿を改ざんし増額や減額をする。もちろん、これはすべて法律で禁じられる行為になるかと思いますが、そういった疑念が生ずるのではないか。あるいは、管理機関が保有する電子登録債権を差押えをしようとする場合に、倒産の危機に瀕していますので、譲渡登録に応じないというような疑義があるのではないかといったことが、一般的な公正性・中立性の疑義として考えられる。もちろん、法律で禁止されているので、そんなことは起きないという判断に立てば、こういった弊害はないということになるかもしれません。ちなみに、社債等振替法における振替機関につきましては、自らが振替社債等を保有するための口座を持つことは原則として禁止されているという状況でございます。

そのほか、本体の資料でございますが、他業への情報の流用が懸念されるのではないか。あるいは、特定の事業を営んでいますので、特定の関係者に対して利便を図る可能性があるのではないか。それから、他業の不振により破綻するリスクがあるのではないかということが、弊害として考えられるのではないかと思います。

これらの利点や弊害を踏まえた上で、管理機関の兼業をどう考えるか、認めるべきであるかどうかをご議論いただければと思います。ちなみに、同じような理由から社債等振替機関あるいは株式の保管振替機関、証券取引清算機関などにつきましては、原則として兼業が認められておりません。

また、多様な事業主体が参入できるかどうかということにつきましては、子会社方式であったとしても、多様な事業主体が管理機関になることは可能ではないかと考えております。また、弊害防止措置といたしましては、罰則の強化や部門間の情報交換の禁止、担当者の分離など補足資料に載せておりますが、弊害に対する一定の法的な規制の在り方も十分考えられるものでございます。

7ページにまいりまして、管理機関の要件等でございます。最初に、6月の審議会で、管理機関につきまして、免許制等についてどう考えるのかという課題があったかと思いますが、ここでは管理機関が行う電子登録債権の管理については法的効果が与えられるのであることを踏まえ、一定の要件を課すなど適切な制度とすることが適当と考えるがどうかとしております。免許制、認可制等は、個別の細かな法制度の話に絡んでまいるものですから、ここで免許がいいか認可がいいかということをご議論いただくよりは、どのような要件を満たしたらそういったことになるのがいいのかをご議論いただければと思います。

ちなみに、管理機関と類似した機関である株券等の保管振替機関、社債等振替機関につきましては、一定の行為が禁止されるという免許制ではなくて、指定を受けた振替機関等の行う行為に法的効果が与えられるという意味におきまして、指定制という制度がとられております。

次でございますが、先ほどから同期的管理がどういったものであるかというご議論がございますが、ここでは信頼性の確保のため、利用者が二重払いの危険等を回避できるよう、どの管理機関も一定の同期的管理が必要ではないかとさせていただいております。

また、管理機関については、例えば次の要件が求められるのではないかと考えております。大きく分けまして、イ、ロ、ハでございます。

イの業務遂行能力としまして、登録原簿の管理能力と同期的管理能力。登録原簿の管理能力としましては、情報管理の徹底や情報セキュリティ水準の確保、業務を適正に遂行できる能力というのが、抽象的な意味における命題かと思います。そのほか、同期的管理能力がございますが、業務規程で同期的管理が行われるかと思いますので、(注)におきまして、業務規程の認可で通常は業務遂行のビジネスモデルを認定していく、判断していくのではないのかと考えております。

ロは財産的基礎でございまして、先ほどの倒産の回避という観点と、登録原簿等のミス等により求償を受けた場合の賠償能力、そのほか適切な管理業のシステムを維持していくためのシステム投資能力といったものが、財産的基礎として必要なのではないかと考えております。ちなみに、このあたり、金融関係の他法令で整理したものが補足資料の8ページ「6 財務規制等の例」でございます。銀行等につきましては、免許制で最低資本金が20億円、社債等振替機関であれば5億円以上の最低資本金、あるいは、純財産規制が行われているという状況でございます。

そのほか、一般的には社会的信用があること、裏返しますと、不適格性がないということでございますが、会社法などの法令に違反し、罰金刑を処せられてから5年以上たっていることなど、他の法令を参考に、管理業を営む者や役員に不適格性がないことが必要なのではないかと思っております。

そのほか、管理機関には一般的にどのような要件が必要とされるかということをご議論いただければと思っております。

以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、皆様からご質問、ご意見をいただきたいと存じます。いかがでございましょうか。

平田委員、どうぞ。

○平田委員

まず、本体の資料の2ページ目の登録原簿の真正性の確保というところの3つ目の○のポツで、3つ具体的な措置ということで書かれておりますが、こういった措置につきましては、大量のデータを管理している金融機関の立場になって考えますと、こういったことを今でもやっているわけですね。管理機関と金融機関が同じというわけではないんですけれども、こういったことを管理していくというのは、データの保全という意味ではなじむのかなと思われます。

それから、ちょっと飛びまして、管理機関の兼業のところについてでございます。今、どういった業態で具体的にどんなビジネスモデルで管理機関を通して業務をやっていくのかといったところが、まだ具体的になっていないと思いますので、本日は金融機関の立場で具体的にサービスを提供していく場合ということで考えたいと思います。

本会議の一番最初に金融機関としてどういったビジネスモデルを想定しているかということで、具体的には手形代替手段とか、一括決済、ローンの譲渡ですね、こういったものを挙げさせていただいたんですけれども、これらのビジネスモデルはすべて必ず資金決済が伴います。その資金決済という観点で、実際に使われる顧客の利便性を考えますと、金融機関としては兼業でできた方がよりスムーズなサービスが提供できるのではないかと思います。

それから、これは資料の6ページにもご指摘いただいていますけれども、同期的な管理という観点でも、資金決済、為替という形で扱っていますので、ここもスムーズにいけるのではないかなと思っております。

それから、既に電子的なサービスという意味で振込等、いわゆるエレクトロニック・バンキングという世界では、お客さんに対してIDとかパスワードを使っていただいています。それが管理機関業務にそのまま使えるかどうかというのは別途議論のあるところだと思うんですけれども、そういったインフラを活用してサービスを提供していくということも可能になると思います。そういう意味で兼業でやっていくことはお客様にとっても合理性があり、利便性に資するということではないかなと思います。

以上でございます。

○岩原部会長

ほかに。今松委員、お願いします。

○今松委員

今の兼業というか要件等々いろいろなところを見て思いますには、1つは、例えば登録原簿の真正性を確保するという基本的な考え方のところでいうと、改ざん等とか出力・入力ミス等、これはある意味で人為的なものになるのではないかと思うんですね。つまり、今、実際に金融機関等々でやっている極めて精緻なというか、厳密な形というよりは、むしろ人為的なところをどうするか。これは管理の問題になってくるのではないかいう気がします。その点では、登録というか、管理機関自体の業務等々をどう把握していくのかというところが重要になると思いますということが1つです。

もう1つは、4つ目の管理機関の要件ですね。ここのところは厳密にあてていくのか、つまり、業務遂行能力がきちんとしている、そして、財産的な基礎も十分である、社会的信用があると。これを厳密に理解するというか、厳密にあてはめていった場合、管理機関の兼業というところがどの程度可能なのか。つまり、それだけの要件を十分に満たすところというものがどうとるのか。これがこれから基準をつくる際の一番大きいポイントになってくるのではないかと思います。

例えば管理機関の兼業の利点と弊害、これは相反するところですけれども、利点として管理業に損失を生じた場合にも他業でカバーできるというところ、弊害としては、破綻のところにもありますが、他業の不振により破綻すると。リスクの遮断を明確にするのかどうなのか、ここはある意味争点になってくる。もちろん破綻がない方がいいわけですけれども、こういう形での破綻が生ずるということは管理機関としてあまり望ましくないことであるわけです。こういう点について、どのようにこれから制度をつくるなり、そういうところにやっていくのか、ここを明確にしていく必要があるのではないかと考えます。

ちょっと今考えたところはそのぐらいのところです。

○岩原部会長

ありがとうございます。

今野委員、どうぞ。

○今野委員

兼業がいいのか、専業がいいのかというのはまだよくわかりませんが、ここに挙げていただきました利点と弊害を読んでみますと、メリット、デメリット、ほとんどぴったりと表裏一体の問題だと思っております。とかく人間の力がネットの陰でどんどん埋没していっている時代、仕組みの問題である以前に、ヒューマンエラーというか、ヒューマン・アクシデントというか、そちらの要因にもっと注目すべきではないかと思っております。業務を遂行する人たちの意識や、自覚能力というものを、ITがどんどん発展していくそのスピードに、ヒューマンスピードが追いついていくことが、これからの時代に一番大事な問題だと思います。そのことも、仕組みを考える上で忘れてほしくないと思います。

○岩原部会長

どうもありがとうございます。

ほかに何かご指摘はございますでしょうか。米澤委員、お願いします。

○米澤委員

兼業の問題のポイントは管理機関そのもののビジネスモデル、電子登録債権をどう使っていくかというビジネスモデルの話はいろいろあると思うんですけれども、管理機関自身のビジネスモデルが今ひとつはっきりしないんです。そこを考えないと兼業の問題も議論できないのではないかと思うんです。

私の印象は果たして管理機関単独でペイするんだろうかと。債権者・債務者のどっちからフィーをとるかという問題はあるんですが、いずれにしても債権者・債務者を通じたところの利用者のメリットに見合うフィーで、この管理機関というビジネスが成り立つんだろうかというと、債権者・債務者にとって非常にメリットがある場合があるかもしれないけれども、そんな高い手数料を払ってまで管理機関を使うんだろうかと。そんな手数料はとれるんだろうかということになると、専業でといってみても絵に描いた餅になるのではないかという気がするので、そこをイメージしておかないと議論が空回りしてしまうような気がします。

○岩原部会長

西山委員、どうぞ。

○西山委員

私どもは商社ということで、ユーザーサイドの立場だろうと思うんですが、今、ご指摘のあったのと全く同じ印象を持っておりまして、これでものすごくコストがかかるのであれば、従来の方式の支払方法等でやるだろうなと。逆にいうと、これを利用する場合、それほど高いコストをかけてまでやらないというのが原則だろうと思います。そうなった場合には、この仕事は多分ペイしないんだろうなと、私はそういう印象を持っております。

そういう意味では、兼業かそれ以外かということであれば、政府がお金を出した機関というような形で、政府なり何なりがこのコストを負担するという形でなり得るんでしょうけれども、それ以外であれば、金融機関だろうと思うんですが、その管理機関に兼業でやっていただくしかないんだろうなと思います。

今、ご指摘ありましたように、金融機関にとって、これ自身ではビジネスモデル的にそれほどアトラクティブなものではないんだろうけれども、こういう業務をすることによって全体的にお客様のサービスをアップして、その結果としての収益と、多分こういうような形でしかビジネスモデルが描けないので、専業の政府がおつくりになるような機関でなければ、管理機関は兼業ということを前提にしないと、これだけでは仕事としては成り立たないだろうなというような印象を持っております。

以上です。

○岩原部会長

翁委員、どうぞ。

○翁委員

以前、異業種参入の議論をしたときに、銀行の付随業務をどう考えるという論点があって、そのときに本業との機能的な親近性とか、リスクの同質性とか、顧客利便の観点を考えると同時に、銀行が本来業務を遂行する中で正当に処理した余剰のエクセスキャパシティ・ドクトリンというもの、これはアメリカでもありますけれども、そういったことについても、経営資源の有効利用の観点から一つの論点として考えていってはどうかというような議論があったと思うので、今回の管理機関を兼業するかどうかといった論点も参考にして議論していけばいいのではないかと思います。

○岩原部会長

ほかに何かございますでしょうか。小野委員、どうぞ。

○小野委員

電子登録債権に関するこれの前の委員会、ITワーキングというのがございまして、そこで4つのポイントが指摘されたかと思いますが、その中に柔軟性というのがあったと思います。管理機関のあり方について、柔軟性、発展可能性が必要であることも十分留意する必要があると思います。それは安全性と裏腹になっているというような言い方もあるかもしれませんが、必ずしもそうではないと思います。

ビジネスモデルによると、ペイするためには兼業が必要だと、それは一つの考えであって、それ自体否定しませんけれども、そうではないものもある。重要なのは、これによって利益を出す云々というよりも、いいシステムをつくれば、いいシステムをつくったベンチャーの方に多額の賠償能力がある必要もなくて、悪いシステムを持っている賠償能力のある他業もやっている会社よりも、はるかに安全なわけです。ですから、通常の企業とは全然発想が違い、ある意味では登記所を民営化したみたいなものと考えることもできます。最低限の何らかのフィーが落ちていけば十分なわけです。

言い換えれば、破綻したときに備えてより高い信用力というのは、破綻することを前提とすればそういう議論でしょうけれども、破綻しないためにはどうしたらいいか、よりよいしっかりしたシステムを持つということではないか。また、不当な形での損害賠償請求を受けないようにするというのも大事で、それは同期的管理の議論にも結びつくかもしれませんけれども、同期的管理を必要要件とすると、いくらよいシステムでも情報が入手できないことにより「同期的管理をしなかったじゃないか」という指摘がされるのも問題と思います。

兼業か専業かの議論で一番重要なところは情報の利用という点だと思います。管理機関が持っている最大の財産は、もちろん財産ではないと思うんですけれども、情報の利用ということであって、そうすると、兼業の場合には情報が他の用途に利用されるかもしれない。また私的自治という柔軟性を強調しすぎて、当事者が同意すればよいということになってしまうと、この管理機関と業務規程に入っていくときに必ず同意書をとられる。同意書をとられていろいろなところで利用されるということは、本人がいいと言っているからいいじゃないとかということではなくて、弱者である中小企業を重要な当事者として考えた場合には制限すべきではないのかと思います。

同期的管理能力というふうに事務局の発表がありましたが、この能力というのはやる気という意味なのか、それとも、当事者に「入金があったら教えてください。そうしたら自分で抹消しますよ」というような約款があれば十分なのか。それとも、能力というのは、システム上、そういう能力を持っているという意味なのか。

同期的管理能力とは、制度的担保まで言っているのか、その辺も教えていただければと思います。

○岩原部会長

前半の方はご意見をいただきまして、後半の問題はむしろ次回に整理していただくことになると思いますが、今日の時点で何かおっしゃいますか。

では、石川企画官。

○石川企画課調査室企画官

先ほどの高橋室長と同じなんですけれども、単にやる気があるというのでは、そういう法律はございません。債務者の二重払いを防ぐとともに、資金がきちんと債権者に渡るということを確認できる措置をとると。具体的に認可するものとしてわかる措置をとっていただくと。単に「私は努力して頑張ります」とかいうのではなくて、そのような二重払いを防ぎ債権者に渡るという、具体的にどういう措置をとるのか、それをきちっと見させていただく。そういう措置が納得できるものであれば、リアルタイムにこだわるものではないですけれども、具体的に示していただく必要があると考えております。

○小野委員

銀行の場合ですと、今、石川企画官がおっしゃられたような能力はあるんでしょう。ただ、銀行以外のところはそういうふうにしたいと思ってもできない状況があると思うんです。それは制度的なバックアップを今回の法律で考えているということなんですか。やる気があるし、その気持ちだけではなくて、業務規程においてもそういうふうな対応をしたいと思っても、制度的なバックアップがなければいけないと思います。

○石川企画課調査室企画官

以前お示しした資料にもあったかと思いますけれども、金融機関以外でも管理機関をやりたいという方はいらっしゃいます。ただ、同期的管理能力、つまり資金がちゃんと送金されたということを確認して、それを債権者からいただきましたという申請を待たずに抹消する能力は持っていただきたいと考えたものですから。その場合には、銀行は全銀システムを有していますので、銀行との提携をやっていただければ、その提携契約によって、銀行から今送金しましたのでとりあえず変更を禁止してくださいと、2営業日後に特に事故がなかったので抹消してくださいと。職権で抹消するというふうにすれば、非金融機関でも管理機関になり得るという選択もあるのではないかと、事務局としてはそういう資料をお出ししたところでございます。

○岩原部会長

よろしいですか。

佐藤委員。

○佐藤委員

小野委員がおっしゃられたことと関連するのですけれども、電子登録債権サービスのいわゆる利用なのか兼業に該当するのかという問題です。私自身は兼業を積極的に排除する必要性はないのではないかと思いますけれども、例えば管理機関が拡大していくと情報集中が起こる可能性があり、情報自体が価値を生むということがあるだろうと思います。利用者が何十万社もある場合は、極端にいうと利用者に対してDM等を発送することができるのであれば、「登録の手数料はただで結構です。どんどん登録してください」というようなビジネスモデルでありえます。それは兼業なのか単なるサービスなのかという悩ましい問題が出てくるのかなと。

今、金融業と情報通信産業はだんだん境目がなくなってきていますので、例えば情報通信産業からすると、通信サービスを利用していただければ電子登録債権管理業務は無料で結構でございますというようなことは、当然考えられるんだろうと思うのですけれども、その辺の整理は必要なのかなという気はいたします。

○岩原部会長

先ほどからの議論は、兼業を認めるかどうかということに集中しているのですけれども、ちょっと整理させていただきます。法技術的に言いますと、兼業を認めるかどうかというのは、管理機関を別法人にしていただくかどうかということでございます。管理機関の業務だけでフィービジネスとして成り立つかというような問題もあると思いますが、別法人にした管理機関が、管理機関としての直接のフィーだけでやっていかなければいけないかというと、必ずしもそうではないわけです。

例えば金融機関が別法人として管理機関を設立しても、金融機関全体にとって大きいメリットがあるなら、何らかの別の形でメリットに見合う分のサポートをすればいいだけのことであります。法人格を別にすることの意味は、例えば兼業している業務の不振によって倒産したとき、その破産等、倒産の法律的な効果が直ちに管理機関の部門にも及んでしまわないようにすることにあると思います。もし別法人にしておけばバンクラプトシー・リモートになりますので、兼業部門による倒産の効果が管理機関の部門に直ちには及ばないということになるわけです。それからまた、別法人にしておきますと、管理機関はそれを出資した母体とは別の法人になりますので、監督当局としては管理機関だけを監督すればよく、母体の業務については監督しなくてよいことになります。これはある意味で非常に技術的な問題だと私は理解しております。

さっきから出ている情報の流用の問題とか、利益相反の問題というのは、たとえ法人格を別にしてもやっぱり残る問題で、別法人にしても勝手に、例えば出資した母体が情報を利用するという問題は起こり得るわけですから、それはそれとしてまた押さえていかなければいけない問題でありますし、利益相反にしても、別法人にしても出資母体の影響下にあって、利益相反行為をする可能性だって残るわけですから、それとして押さえていかなければいけない。ただし、別法人にしておくと、利益相反とか情報の流用などが、内部で行われるよりは、監督当局にとって押さえやすくなる、そういう問題ではないかと理解しております。

ちょっと私が余計なことを申しましたけれども、何か。根本委員、どうぞ。

○根本委員

先ほどある委員から管理機関のビジネスモデルが見えにくいという話があったんですけれども、4ページ目には「管理機関自らが弁済資金の授受を行う際」とありまして、今まで理解していたイメージでは、管理機関というのは帳簿上の資金を移動させるので、自らが信用リスクをとらないことが大勢なのかなと思ったんですが、このように仮に信用リスクをとるとすれば、破綻の要因としても債権者・債務者の全体の信用リスクの動向に絡んでくると思いますし、財産的な基礎とか、あるいは、審査能力があるかどうかとか、そういった要件もさらに厳しくなるのかなと思いました。

それから、先ほどから出ている兼業の問題は、岩原先生のおっしゃったような子会社化すれば片づくという問題かもしれませんが、一方で別会社をつくるということはそこにコストも生じるような面もあるのかなと思いまして。専業でビジネスモデルとして成り立ちにくいものであるならば、制度を円滑に利便性を高くしてつくるということからすると、仮に兼業にした場合の弊害をどう防止すればいいのかといったことも考えていくことがいいのかと思いました。

以上です。

○岩原部会長

本日の資料20-2-1の4ページの下の方の○の4つ目のポツで、「管理機関自らが弁済資金の授受を行う際、資金が債権者に渡らない場合が生じる」と。これはまさに先ほど小野委員と石川企画官がご議論になった点にかかわっておりまして、同期的管理を行い、債務の支払が確実に行われるようにする一つの方法として、管理機関自らが代理弁済受領するという形で、いったん自分でお金を預かって、それを債権者に渡すというやり方が一つ考えられるわけで、もしそういう業務を行うとするとこういう問題が起こりますということで、これが記載されております。ですから、これは、管理機関にどこまでのことをやってもらうかということと、同期的管理をどこまでやってもらうかということが絡んでいる問題かなと思っております。

ほかに何かご意見ございますでしょうか。池田委員、どうぞ。

○池田委員

一点だけ、今の根本委員のご発言と同じ趣旨です。今、部会長がご説明くださいましたように、管理機関自らが弁済資金の授受を行うということをやった場合には、こういう問題が出てくるということであって、ブックキーピングを主として行っているわけですから、管理機関が自分はお金を触らないというところも当然あっていいというか、本当はその方がいろいろな問題は起こりにくいという部分もあるはずだと。中立性を保つとか、逆にお金を扱わない方が起こりにくいという部分もある。

ただ、お金を扱うことにして、代理弁済受領をして、またさっきの同期的管理の問題にもつながるわけですけれども、登録とお金の流れをスムーズに一致させたいと、そっちのニーズもありますということでこう書かれているんだと思うので、そこのところで管理機関自らが全部お金を扱うんだみたいなイメージがあると、先ほどのご意見が出るのもむべなるかなと思いますので、そこは私も強調したいと思います。

ありがとうございます。

○岩原部会長

石川企画官、どうぞ。

○石川企画課調査室企画官

誤解を与えるような表現かもしれませんが、基本的には銀行送金でございますので、金融機関が自らやるのがいいのかどうかはあれですけれども、金融機関が自ら確認して使用するか、あるいは、銀行と提携した非金融機関である子会社がつくった管理機関が送金されたという連絡を得て使用するか、こういったのが基本だと思うんです。ここは愛知産業の木村監査役がお詳しいと思いますけれども、債務者は弁済したにもかかわらず電子登録債権が消えないと、それが誰か善意の第三者に渡るというのを非常に怖がっておりまして、一番確実なのは管理機関に渡してしまうことだと。

例えば、コンビニというような例があるんですけれども、債権者から代理受領権をもらっていると。その代理受領権を持っている管理機関が登録原簿を管理しているわけですから、その管理機関にお金を渡して、要するに管理機関の口座に振り込んで、管理機関が自分が代理受領権を持っていますから、それで抹消すると。場合によってはそれを幾つかの債権者に送金してくれると。こういうサービスが非常にありがたいという議論もありまして、同期的管理の具体的な措置として、そういうものも検討すべきではないかという議論があったものですから、選択肢の一つとして書かせていただいたということで、例外と言っていいかどうかわかりませんけれども、そういう選択肢の一つでございます。

ただ、岩原部会長からもありましたとおり、どんな方でもそういう資金を代理受領権がありますからといって預かって、それを送金するというサービスを何の規制もなく行っていいのかという、また別の問題があるものですから、同期的管理の類型としてはあるけれども、それをやっていいのか、あるいは、やれるとすればどこがどういう要件が要るのか、資格を持った人にしかやらせないのかといった議論は、今後また必要かと考えております。

○岩原部会長

川本委員、お願いします。

○川本委員

ご議論を伺っていると、管理機関自身がペイしないということを前提とする議論はちょっとおかしいのではないかなと思います。と言いますのは、皆さん現在のビジネスの延長で考えていらっしゃるから、自然のことだとは思うのですけれども、ペイしないものをつくるというのは、誰が誰のために何のためにやるのかという根本論にかかわってくると思うのですね。

そうすると民でやるのが本当に正しいのかということになってしまうので、管理機関自身はある一定の条件を満たせばそれ自身がペイするということを大前提として、専業でモデルでどういう形のものがあり得るかということを考えて、その信頼性を確保する要件、例えば早期是正措置をつくるとか、きちんと監督をするとか、破綻したときにどうするかという要件を備えて、その要件を満たせるような兼業の条件があるのかということ、どんなファイアーウォールを設ければ、結果として専業と同じような信頼性を設けられるのかを議論するというのが、順序のような気がいたします。

前提としてペイしないからというと、いろいろな条件がなし崩し的になってしまうようなので、発言をさせていただきました。

○岩原部会長

どうもありがとうございます。

小宮課長、どうぞ。

○小宮産業資金課長

今の発言にも関連するんですが、専業で見た場合も、今までずっと議論してきた中で、例えば手形的に流通性の高い場合、もしくは情報が大量に付着して譲渡されるような場合というのは、専業であろうと兼業であろうと、管理機関の要求されるハードルは高くならざるを得ないわけです。他方、今日も冒頭議論になった、例えばCMSとか非常にクローズドな世界で電子登録債権が譲渡される場合、そのハードルは低くてもいいはずであります。

今日の参考資料を見ても財務規制の例がいろいろ並んでいますけれども、これは基本的に一般大衆の方々を相手にしたハードルを考えているわけですが、電子登録債権の場合には広くあまねくやる場合ではない場合も当然あり得るということを前提に議論をしていかないと、専業規制のハードルが限りなく高くなっていって、先ほど川本委員が言われたようなペイしないことが前提の議論に陥ってしまうのではないかなという感じがいたします。

○岩原部会長

ほかに何かございますか。始関管理官、どうぞ。

○始関民事法制管理官

今の小宮課長のお話ですが、先ほど佐藤委員のお話を聞くまでは、小宮課長のようなお考えもあるのかなと思っていたのですけれども、先ほど佐藤委員から「CMSであっても、例えば商工会議所が広く中小企業を募ってやる場合もあるということも今後は考えられる」というお話があったと思います。そうなってきますと、これは手形代替とどこが違うのかということになってまいりますので、どういう利用形態かによって分けるというのも、先ほどの佐藤委員のお話を前提としますと、難しいのかなと思いました。

○岩原部会長

ありがとうございます。

確かにいろいろな利用の仕方はあり得るわけで、決めてかかるわけにはいかないですよね。

西山委員、どうぞ。

○西山委員

今の小宮課長のおっしゃったことを別にあれするわけではないんですが、私どももCMSをやっておりますけれども、これは私どもの子会社しか入れません。100パーセント子会社とはあれしていませんけれども、基本的には子会社ですべての経過を押さえていて、社長もうちが派遣する、あるいは任命すると。こういうようなところは非常にクローズドな世界で、同期的管理とは何だとかいうことはほとんどやっておりません。ある意味では、親会社と子会社、あるいは、子会社間での資金の融通みたいな形でやっている。ですから、これは今、小宮課長がおっしゃったようにハードルの低い形では考えていません。

ただ、今回議論しているのはもう少し広い、逆にいうと特定の会社の子会社しか入れないというような形のものは、この会の趣旨には合わないだろう。一定の要件は要求されるにしろ、中小企業を中心にということでございますから、広い範囲でご利用いただくということを前提にしないと意味がないだろうと思います。そうすると、先ほど川本委員がペイしないことを前提にはよくないと、それはおっしゃるとおりでございます。そうはあるんですけれども、現実で見るとこれをペイさせるのはなかなか難しいんだろうなと。

私どもはこの管理機関に応募することはないので、金融機関さんの方がその辺のところは切実にお考えだろうと思うんですね。そこの部分は、この会議でこれがビジネスモデルとして成り立つかどうかの議論をしても時間の無駄だと思うんですけれども、なかなかペイしづらい、あるいは、ペイするまでに少し時間がかかる仕事だということは念頭に置いておいた方がいいんだろうなと。ただ、おっしゃるように、最後までペイしないということがいいのかどうかは別の話だろうと思いますが。

以上でございます。

○岩原部会長

ありがとうございます。

確かに西山委員ご指摘のように、現在行われているCMSに関して申しますと、完全に支配している企業グループの中で行われているもので、いわば仲間内で相手が信用できるということを前提にしているんですね。ですから、同期的管理もあまりやかましく言わない。逆に言えば二重譲渡も心配する必要がないという世界で、それこそ電子登録債権にしなくてもちゃんと動いているから、現に利用されているという世界ではないかなと思います。

ほかに何かございますでしょうか。どうぞ、米澤委員。

○米澤委員

ほかにないようでしたら、今までの議論とは全く関係ない部分になるんですけれども、最初の真正性の確保の話ですが、これは、入力ミスもあるんでしょうけれども、ハッキングみたいな、登録原簿そのものに誰かがアプローチして動かす話を頭に置いておられるようなんですが。もちろん、それもあるんでしょうけれども、これはオープン系を使ってやるわけですね、インターネットで。入力そのものが、今のインターネット・バンキングでも、スパイウェアを使ったり、銀行とのアクセスの段階で不正が行われるというケースがいっぱいあるわけです。バンキングの場合は相対ですから、それは後で解決すればいいんでしょうけれども、これはそこで一遍架空のものが登録されて、転々流通していくと、取引の安全性を著しく害するわけですね。

その意味では、まさに技術進歩と事故・犯罪事例とのいたちごっこの世の中ですから、入力段階のセキュリティが非常に大事ではないかと思うんです。それは今私も答えを持っておりません、どうしたらいいのか。ただ、非常に重要な問題であるということだけ指摘しておきたいと思います。

○岩原部会長

どうもありがとうございます。

これはむしろ法制審の方の議論にもかかわってくるんですけれども、現在考えられております電子登録債権のシステムは、かなりいろいろなシステムがあり得るという前提で議論がされておりまして、デジタルディバイドの問題等も考えて、ファックスによる受付等まであり得るという前提で法制審の議論は行われております。そうなると、改ざん、入力ミス、その他のセキュリティの問題はかなり大きいことが予想されます。ですから、ここはよっぽどしっかりしてもらわないと困るということですね。

ほかに何かございますでしょうか。窪田委員、どうぞ。

○窪田委員

それでは、地域金融機関の立場で、手前どもは中小企業のお客様だけですから、その層に一番使ってもらわなければいけない仕掛けだと思っております。我々の業界としては、今回出ている破綻の問題とか兼業の問題に関しては、基本的には個々の金融機関だけで立ち上げるのはかなり難しいんですね。どうしても業界として一つの管理機関をつくって、3ページに絵がありますけれども、パソコンをお持ちでないお客様もいらっしゃる。これは管理機関にやらせる仕事ではなくて、例えばお取引している金融機関が代行するとか、いろいろな問題がかかわってくると思うんです。

そうしないと、さっきのランニングコストの問題にしましても、例えば手形をやった場合、今、お客さんにかかっているコストというのは、手形の発行料と取立料、その2つしかかかっていないんですね。これがもし電子的になった場合、それより落とさないと使っていただけない。ランニングコストというのは回収できるものがかなり落ちてしまうんですね。そうすると、幾つも管理機関をつくるというのは現実的な話ではない。やはり数少ない形でローコストで設立して、ランニングコストも極力抑えてあげる。そうしないと使っていただけない。形はいいんですけれども、意外と利便性がない。だから、そこは考慮しないといけないと思いますね。

以上です。

○岩原部会長

ありがとうございました。

ここでの検討も、法務省の検討もそうですが、管理機関は共同で設立するということを前提とする法制としては検討していませんけれども、窪田委員ご指摘のような経済合理性から、結果的に多数の関係者が集まって管理機関を共同で設立するというような利用のされ方がなされることも、十分想定されるのではないか。また、共同で利用することによって外部経済効果が発生してくるシステムですから、共同での管理機関の設立も十分考えられるところかなと思います。

ほかに何かございますか。池田委員、どうぞ。

○池田委員

ひとつ議論を戻してしまいますけれども、今日の資料で登録原簿の真正性の確保というところで、2ページ、3ページ、特に3ページの図の方がわかりやすいと思うんですが、ここでお書きになっていることは適切だと思うんですね。つまり、管理機関の立場から見た場合には、図でいうとマル2の受付時のデータをきっちり把握するということが何よりも必要なのであって、2ページでもそこのところで申請受付時のデータの保全とかバックアップについてこう書いておられる。これは適切な仕切りだと思います。

したがって、申請時から受付時の間の改ざん等の可能性、今、何人かの委員からご指摘のあったところですけれども、これはファックスなどでやる場合には当然出てくるわけです。管理機関としては受け付けたときの数字なりデータが、こうなっているんだということをきっちり残すというのは正しい仕切り方だと思うんですね。

それ以前の申請時から受付時のところをどうするかというのは、私は従前から「ファックスなどを使ったらすごくリスクが大きくなるので、代行機関とか経由機関というようなものが一つ考えられますね」ということをお話していますが、それぞれの管理機関で処理されたり、あるいは、それぞれの企業グループで考えればいいんだろうと思うんですが、管理機関としての、ここでの議論としては受付時のデータがきっちりと後で証明できるような形で保存されると。この仕切りは正しいと思います。

以上です。

○岩原部会長

ほかに何かご質問、ご意見はございますでしょうか。小野委員、どうぞ。

○小野委員

幾らシステムがしっかりしていても、また、今、池田委員がおっしゃられたようにきちんとバックアップをやっても、人間の行為が間に入る以上ミス等は起こると思うんですね。また人間はミスしなくても、システムですからあるときバグってしまうとか。肘をついて押してしまえば、それはヒューマンエラーかもしれませんが。

これはここでの議論ではないのかもしれませんけれども、管理機関における登録原簿を、登記債権とは全部違う議論ですが、そういうときには管理機関というのは抹消できる能力、権利を持っているのでしょうか。いったん登録すると関係者の同意を取らない限りはできないように中間試案に書かれてあったような記憶がしますので、そういうときの対応というのは、管理機関にとっては過重な負担ではないのかなと。それがいかなる場合でも単独でできるということだと、またそれは違うところなんですけれども、その限界をどこに設けるかという議論です。

もう1つ、管理機関の破綻というのがありますけれども、システムを普通に動かしている限りにおいては債務を負いません。システム開発で多額のお金を使ってしまうということかもしれませんが。そうすると、何らかの形で損害賠償義務を負うというのが破綻リスクにつながるのではと思います。先ほどの同期的管理の議論に無理につなげるわけではないんですけれども、前回議論しました実体法上の争いがある場合に事実上どちらかに加担する結果となるような制度設計は破綻リスクにつながるのではないかと。

すなわち、一方の当事者が債権は弁済されていないと認識しているにもかかわらず抹消せざるを得なくて抹消してしまう。逆の場合もあるかもしれません、弁済したと言っているのに残っていると。ですから、同期的管理というのは、当事者が弁済したことが明確であって、なおかつ放置されていた場合に消すという意味においては便利で都合のよい制度で、それをあえてそうするなという議論は必要ないと思うんですけれども、実体法的な争いがあり得る場合に、管理機関はそこに踏み切らなくてもよいと。

同期的管理ではそこまではカバーしていない。弁済されていることが明らかであって、なおかつ登録が残っている場合の措置であるということなのか。相殺の場合とか、その他実際に弁済があった場合でも、当事者は当該債務の弁済ではないということは後に争われるかもしれません。

○岩原部会長

まず前半の問題について、始関管理官から。

○始関民事法制管理官

不実の登録をしてしまった場合には管理機関は職権で訂正をすることができるという条項を中間試案にも入れております。

○小野委員

不実ではなくて、管理機関のミスで。

○始関民事法制管理官

違っているというのが不実という意味です。したがって、管理機関が間違って入力したり、入力は正しく行ったけれども第三者によって違う内容に書き換えられたりした場合には直せるということにしています。

○岩原部会長

後半については、それでは、次回、同期的管理の問題の整理をするときに、その中で今ご指摘の点も整理していただきたいと思います。

ほかに何か。はい、米澤委員。

○米澤委員

先ほどの真正性の確保の話で、受付時より前の話は関係ないというお話があったんですけれども、私はそうではないような気がするんです。というのは、日本ではまだあまり例がありませんけれども、インターネット・バンキングを悪用したアメリカの事例は、3桁ぐらい日本と被害金額が違うわけですね。日本円で何百億、ひょっとすると千億に近い年間の被害が出ているぐらいに大規模なものがあると。

そのうちの一つの手口として、幾つかのコンピュータが、所有者、使用者がわからないうちに、どこかのパソコンに既に支配されているというケースが百も二百もある。一番悪いやつがその百も二百ものコンピュータを支配して、一斉に受付に電子登録債権の登録申請をしてということが十分あり得るんです。ですから、インターネットというものを使う限りにおいては、そこの危険を十分考えておかなければいけませんよということを申し上げたんです。でも、そんなものは受付前だから私は知らないということで本当にいいんでしょうかねと。それはそうではないと思いますね。

○岩原部会長

ありがとうございます。非常に大事な問題だろうと思います。

ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。

事務局からさらにご議論いただきたい視点として、さっきの兼業の問題で、主に兼業の形でやるか、それとも自らやるかということが議論されたのは、金融機関についてだと思います。最初の平田委員のご意見はまさにそういうことを想定しているご意見ですが、実際にはここでご議論いただいておりますように、管理機関は必ずしも金融機関に限らないということを前提に検討しているわけでございまして、金融機関以外のものが管理機関を兼業するということに問題がないのかどうか。仮に金融機関について兼業を認めるという方針をとったとした場合に、金融機関以外のものについても兼業を認めるということにするのかどうか。この点について、皆様からご意見を承れればありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

池田委員、どうぞ。

○池田委員

いろいろなご意見があると思いますが、金融機関について兼業を認め、ほかのものについて兼業を認めないというのは、筋がおかしい議論ではないかと私は思っています。つまり、ここでの議論は、また同期的管理の話になるんですが、決済のことと結びつけていますから、金融機関との兼業というのはクローズアップされるんですけれども、そもそも電子登録債権の管理機関というものについて、例えば商社が管理機関を兼ねるとか、物流も物流会社が管理機関を兼ねる、こういうビジネスモデルが当初から考えられていたはずでありまして、それとお金の同期性ということを議論するときには、先ほど石川企画官がおっしゃられたように、金融機関との提携を考えればいいのであります。

ですから、金融機関には兼業を認め、他業には兼業を認めないというのは、筋の通らない議論というふうに私は個人的には思っております。

○岩原部会長

ほかに何か。佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

池田委員がおっしゃったことと全く同感でございます。

○岩原部会長

ほかに何かございますか。

ほかの委員の方は特にご意見はないですかね。原委員、どうぞ。

○原委員

一言だけです。少し検討の俎上でと思いますのは、ほかの機関という、銀行以外、金融機関以外ということで考えると、サービサー、回収業者が、今日皆さんいらっしゃらなくなっていますけれども、どうなるかで貸金事業者は廃業ということで、次の転身としてサービサー、回収業者を考えていらっしゃるということはありますので、その場合はどうかということでも検討の俎上に考えておいていただけたらと思います。

○岩原部会長

当然、金融機関以外についても兼業を認めるということになりますと、貸金業者等も認めるということになると思いますので、その結果どういう問題が生じうるかといった懸念はあるかもしれません。

米澤委員、どうぞ。

○米澤委員

認めるべきだというご議論ばかりだったので、黙っているとそれに賛成したと思われてもちょっと困るものですから。私は、その議論は同期性の話を議論した上でもう一度立ち返っていただき、それまで意見は留保したいと思います。

○岩原部会長

さっきの池田委員と佐藤委員が、金融機関について兼業を認めるならば、他の業態についても兼業を認めるべきだというご意見でしたが、結局、兼業を認める方がいいということでしょうか。どうなんでしょう。

○池田委員

参入の重要性、柔軟性ということを考えたら、本来の筋は兼業を認めるべきであると。その上で、貸金業者はどうかというのは個別に、そういうものについて認可するのか排除するのかは別です。基本姿勢としては兼業をすべからく認めるという方向の方が、本来のITワーキングでの議論にも合致すると、その方がよろしいというのが私の考えです。

○岩原部会長

佐藤委員。

○佐藤委員

その点に関しましても、全く同意見でございます。

○岩原部会長

はい、西山委員。

○西山委員

先ほど商社がやってもいいんだというようなお言葉をいただいたんですけれども、私も基本的には金融機関の以外の方が参加できるという形は残しておいた方がいいだろうと思います。ただ、システム的ないろいろな問題、それから、採算性の問題等で、金融機関以外が参入するのはなかなか難しいだろうなという気はいたしますけれども、それは別の話でございますので、基本的には金融機関しかできないというような形での安定はいかがなものかなと、こういう感じはいたします。

ただし、金融機関以外の方がおやりになるときは、先ほどおっしゃられたようにサービサーが入ってくるとか、いろいろな問題がございます。金融機関はある意味では一定のクレディビリティを持っているオーガナイゼーションという理解でございますけれども、それ以外になるといろいろなオーガナイゼーションがございますので、それは当然一定の資格要件は必要だろうと思います。ただ、金融機関でなければだめだという制限を設けるべきではないだろうと考えております。

○岩原部会長

それは前提にしていると思うんですけれども、その上で別法人という形をとってもらうかどうかということが問題になったわけですね。

○西山委員

当然そこは金融機関と一緒という、金融機関に認めるのであればということだろうと思います。

○岩原部会長

小野委員、どうぞ。それから、木村委員。

○小野委員

私は以前、もともと専業制で出発した議論が、いつかそういう議論がなくなっているじゃないかという発言をしたこともありまして。全然違う法律ですけれども、サービサー法という法律がございます。日弁連の関係で長く関与していますが、そちらは専業制をとっています。

申し上げたい点は、専業制をとった上での兼業承認を認める場合、それは行政の裁量になるかもしれませんが、それを緩く広くという議論ではないと思うんですけれども。原則論をどちらに持っていくかというのをまず検討すべきではないか。管理機関にマストな義務である公平・誠実義務とか秘密保持義務、そのどちらの体制、体系の方が達成できるのかということだと思うんです。

いろいろな法律で専業制をとっているものがございます。銀行が信託免許を受けている例もありますが、信託業もそうですけれども、その場合なぜ兼業性かという議論はすべて同趣旨であって、原則専業制であって兼業承認を認める。もちろんそれがすべてでは柔軟性に欠けるでしょうから、初めから信用力のある、また社会的な機関とか場合によっては銀行でもいいと思うんですけれども、そういうところが免許をとるとか。まず理念系が一つないと、本来の理念を見失ってしまうのではないのかなと思います。

○岩原部会長

それでは、木村委員、お願いします。

○木村(拙)委員

この管理機関というのは、兼業か専業かということになった場合に一つ大きな問題は、採算の問題なんだろうと思うんですね。これは勝手な想像で言っているんですけれども、専業というのは民間でやる場合には成り立ちにくいなと。例えば、例の社振機構とか株式の保振がございますね。こういったように一つしかないという機関であれば専業でもいいのかもしれませんけれども、幾つかの併存を認めようということになると、なかなか採算的に厳しいものがあるのかなと思います。そうすると、兼業というのをおのずと認めざるを得ないのかなと。これは想像でございますけれども、そう思っております。

兼業でやる場合に、どんな業種でも参入していいのかということになると、いささか暴論かなという気もしますので、管理機関の業務が、本業の関連業務というのがいいのか、周辺業務というのがいいのかわかりませんけれども、そういった隣村の中に収まっているというような業者に限定すべきではないのかなと思っております。そういう場合にしても、幾つかここで議論されているように、いろいろな参入基準とかあるいはファイアーウォールの問題といったものは、きちっと金融庁さんなり何なりに監督をしていただくというのを前提にしなければいけないだろうとは思っております。そんなようなことで、兼業を認めるとしても、どんな業種でもいいよというのはいささかどうかなと思っております。

○岩原部会長

そうしますと、一定の基準を満たした業界については兼業を認めるというお考えですね、木村委員は。

○木村(拙)委員

はい。それともう一つ、そのときに同期的管理ができるというのは必要条件だろうと思っております。

○岩原部会長

かなり意見は分かれていますね(笑)。

はい、始関管理官、どうぞ。

○始関民事法制管理官

2つありまして、木村委員がおっしゃられたのは、管理機関の業務の隣村の業務ならいいというお話だったんですけれども、手形割引とか手形貸付に相当することが隣村になると思うんです。そうすると、さっき一番まずいと原委員がおっしゃった貸金業とサービサーならいいということになりそうなんですけれども、そういうお考えなのかというのが1つ、ご質問でございます。私はそれはまずいのではないかと前から思っております。

それから、事務局が資料にお書きいただいていますけれども、倒産しない、できる限り倒産がないようにするということは最も大事なことで、管理機関につぶれられたら大変なことでございます。兼業を認めるとなれば、ここにもお書きになっておられますけれども、兼業の方の不振で、管理業はペイしないという話がさっきありましたが、兼業がペイしなかったらつぶれちゃうわけですね。そうすると、もし兼業を認めるとすると、兼業部分についても厳しい監督、検査をしなければならないということになるのではないかと思うんですけれども、佐藤委員はそうであっても兼業を認めるべきだということなんでしょうか。日立キャピタルは銀行検査並みの検査を本業について受けても構わないというお考えでしょうか。

○岩原部会長

では、堀内委員。

○堀内委員

技術的にはまだよくわかっていないので、今の木村委員のご発言に質問させていただきたいんですけれども、専業では成り行かないであろうというお話についてよくわからなくて。もし兼業を認めることで立ち行くということになれば恐らく2つ理由があり得ると。

1つは、先ほど始関管理官からもお話がありましたけれども、他業の方は利益をあげて、それを補助金として管理機関の業務を支えるという形、これは経済学的にいうと非効率的な仕組みになっているはずだということになりますね。それからもう1つは、シナジー効果と言いますか、他の業務と結合することによって、ある程度はトランスファーをするときの同時性というものについて、ある種のシナジー効果が、ある特殊な業務との関係でいうとあり得るかもしれないけれども、そういうことを指しておられるのか。

つまり、前者の方であれば、専業であってもきちんと手数料なり何なりをとってやって、社会的費用をそこに加入する人たちが負担するというのが合理的な選択であって、必ずしも兼業でなくてはいけないとはならないのではないかと思うんですが、その辺どうなんですか。

○岩原部会長

権限を濫用させてちょっと問題を整理させていただきます。恐らく多くの委員の方が「専業では成り立たない、だから兼業を認める必要がある」とおっしゃっている理由は、専業で電子登録債権の登録をするときの登録料だけではコストを賄うことはできないだろうというのがまず1つある。一方で、例えば金融機関などが特に念頭に置かれているんでしょうけれども、電子登録債権の管理機関のサービスを提供することによって、金融機関等が融資等を行う顧客の開拓ができるといった効果が期待されている。そういう意味では、堀内委員ご指摘のシナジー効果が別のところで発生する。それを1つの金融機関の中で行うと、シナジー効果が発生する部分の効果を織り込んだ形で電子登録債権の管理機関のサービスを提供できるようになる。多分そういう前提のご理解でのご発言だったのかなと思っています。

ただ、さっき申しましたように、それならそれで法人格を別にして、金融機関にそういう形で別の利益が発生しているなら、それに見合うだけの支払いを金融機関が別法人にすればいいだけのことで、法人格を別にするというのは法技術的な問題であって、経済実質としては全体としてプラスの経済効果が発生しているかどうかということが大事なんだろうと思います。法技術的な意味では、始関管理官ご指摘の倒産隔離等の問題について、法人格を同じにしておきながら、他業の不振によって管理機関が破綻しないような仕組みをつくれるかというと、私は非常に難しいと思います。それを一番簡単に実現する方法が法人格を別にするということだと思っています。

それからまた、監督の問題も、始関管理官ご指摘のとおり、もし兼業している法人全体が破綻しなければいいじゃないかということになると、他業の部分についても監督せざるを得なくなるわけで、まさに法人格を別にするというのは、管理機関のところだけ監督すればいいという、監督コストを削減し、監督当局が監督能力に見合ったことだけやればいいということを実現するための技術的な方法であると、私はそう理解しています。また監督を受ける側からすれば、他業の部門についてまで監督を受けずに済ませることのできる方法が別法人にすることだとも言えます。ただ、これは私個人の意見なので、違ったご理解もあろうかと思います。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

今日は随分始関管理官に怒られちゃっているんですけれども(笑)、基本的には始関管理官のおっしゃるとおりでございまして、兼業ということは、当然兼業の範囲に検査等のハードルが及ぶということですから、ビジネス面ではそのハードルの高さを判断した上で兼業にするかどうか判断するわけで、現状どうするのかと言われても困ってしまいますが。ただ、言えることは、専業にしたからといって破綻がなくなるわけではないので、破綻した場合の破綻ルールというのは別に考えなければいけない。

その破綻ルールを考えたときに、専業と兼業と違うのか違わないのかというのは現段階では何ともよくわからない。もしかしたら兼業することによって破綻を早めてしまうとか、本業に悪影響を及ぼす場合もあるかもしれない。だけど、それは及ぼす場合の除去を一生懸命考えればいい。小野委員もおっしゃったように、基本的には専業だけれども、限定的に兼業を認めるという、逆の立て方だってあるわけですから。例えば専業の会社でも、経営が悪化した場合どういうことが考えられるかというと、管理機関利用の料金を上げなさいとか、ほかの補完する業務でもやって収益をあげて財務の健全性を図りなさいみたいなことがあるのだとすると、専業がいいのか兼業がいいかはさらに、わからない話になってしまいますので、場面を分けて考えていかなければいけないかもしれない。

岩原先生がおっしゃったとおり、兼業と専業で破綻するときのルールとか監督規制のつくり方というのは、簡単なような気もしますが、本当にそうなのかどうかというのはよくわからない。破綻ルールを決めなければいけないことだけは確実だという感じではないかと思うんです。

以上です。

○岩原部会長

では、池田委員、どうぞ。

○池田委員

私は、先ほど始関管理官のおっしゃられた「兼業だから銀行業務並みの監督指導に服するということに同意するんですか」という言い方は、ITワーキングからずっとやってきた身としては非常に不本意です。というのは、その言い方は、銀行が一番監督指導が行き届いているんだからということで、銀行だけがなれるよということにつながってしまうんです。いや、否定されるかもしれませんが、現実にそうなります、その議論は。だからこそ、基本的に管理機関はお金を扱わないと。お金の部分は金融機関と提携して、そこで同期管理すればいいんだということを強調したのはそういうことなのであります。

さっき私が申し上げたように、金融機関以外のものも兼業で同じように入れるという仕組みにまずすべきだと。その上でさっき部会長のおっしゃった一定のクレディビリティも必要だと思います。最初から金融機関は兼業できるけれども、ほかは兼業は認められないというような議論が筋が悪いといったのはそういうことであります。始関管理官のようなおっしゃり方をすると、銀行だけが優遇されることにつながってしまいます、それは。

部会長がおっしゃられたように法人格を別にするというのが大人の解決だと思いますけれども、佐藤委員も今言われたように、監督規制のあり方等を柔軟に考えるということで、兼業だから本業が受けている監督規制と全く同じ監督規制に服さなければいけないんだと。そうすると監督規制の一番きちんとしているのはどこかみたいな、こういう議論には持っていかないでいただきたいと思います。

以上です。

○岩原部会長

木村委員、どうぞ。

○木村(拙)委員

先ほど始関管理官からもご指摘ありました隣村というのは、貸金業者を入れるのかどうかというお話がございましたけれども、心情的には私も貸金業者が入ることが望ましいとは思っておりません。ですから、この辺は参入要件を決めるかということにもよってくるかと思いますし、もう1つは、私がつけ加えさせていただいた同期性の確保という問題で、実質的にそういったものはオミットできるやり方があるのではないかと思っております。

それから、先ほど堀内委員から専業の場合の採算の問題が出ましたけれども、これも私は何らかの検証をした上で専業ではペイしないだろうということを申し上げているのではございませんで、多分そうだろうということで申し上げました。この場合、電子登録債権に載せるものとして、売掛債権とかシンジケートローンとかいろいろあるかと思いますけれども、特に商事流通債権については非常に複雑な取引をしているわけですね。したがって、ソフトを開発するにしてもかなりコストがかかるのではないか。そういう点では、例えばシンジケートローンの方がコスト的には安いのではないかと。これも何ら検証したわけではございません。

そういうふうなことを考えると、管理機関というのは、「私はシンジケートローンだけやるよ」なんていうのが出てくる。そして、売掛債権は若干面倒くさいしコストもかかるから、我々はやらないというふうなことになってくると、この電子登録債権制度そのものを中小企業の資金調達の円滑化という目的で取組みを始めたにもかかわらず、その辺がどうなってくるのかなと。議論が飛躍しているかもしれませんけれども、そのようなことを考えると、採算という問題はちょっと厳しいのかなと、いろいろな意味で関連するところが大きいのでないかと思っております。

○岩原部会長

では、山下委員、それから、関委員、お願いします。

○山下委員

初めて出てきて今日お話を伺ったわけですが、6ページに社振、保振とあって、原則として兼業は認められていないというんですけれども、先ほど事実上これは日本に1つしかないから、それでいいんだというご議論がありまして。法律で兼業を原則禁止していると、法律上の考え方はそういう理由ではないのではないかと思うので、こういった機関との並びで考えると、兼業が不利というのはなかなかわかりにくいところがある。

それから、先ほどからご議論を伺っていて、管理業をやることとあわせて、そこから生じる情報をどうやって利用できるかということがかなり重要なポイントになってくるようなのですが、それをこのページの一番下にあるように原則的に禁止する方向でいくのか、ある程度流用すると。法人格を異にしてもそこでのやりとりはできるようにするのか、そのあたりを決めていかないといけないのではないかなと。従来そこの情報の利用の考え方はどうだったのか、それにまた違うものをつけ加えるのかどうか。そういうあたりを具体的に検討していかないとなかなか結論が出ないかなと、そんな感想を持ちました。

○岩原部会長

非常に貴重なご指摘、ありがとうございました。

後者の問題は確かに非常に大きい問題で、この後詰めて考えていく必要があると思います。専業にしろ兼業にしろいずれ対処しなければならないことだと思います。

それでは、関委員、どうもお待たせしまして、すみません。

○関委員

先ほどの議論をお聞きしていて、私は利用する立場でどう考えるのかというようにいつも考えていて、そういう意味では商社の方と非常に近いんですけれども、本当にこれを利用しますかと、どういう条件があれば利用するんですかと、こういうことが極めて大事なことだと思うんですね、供給サイドの論理はともかくとして。これをフラットに考えれば、先ほどから同期性の確保という議論がありますけれども、我々としてはあまり難しいことを考えなくても、安心して利用できるなということだと思うんですね。

私だったらどうするのかなと思いますと、銀行の皆さんを使おうと間違いなく思うんだと思うんです、率直に言っているんですよ。それはなぜかということが非常に重要で、なぜかというと、1つは、先ほどからおっしゃっている銀行に対するクレディビリティと言いますか、金融庁を含めて検査はきっちりしていて、そういう意味での健全性ということで信頼できるなと。2つ目、これが重要だと思うんですが、決済のためにやっているのではないんだという理屈はあるんですけれども、実際は決済のサービスと連動しているということが、我々が使う場合の安心につながるのではないか。

もう少し言いますと、さっき石川企画官がおっしゃいましたけれども、銀行が管理機関の場合には、電子登録債権の利用者としては銀行に支払ったら、自分の預金口座から引き落とされてしまえば、それで終りということなんですね。本当にそれがちゃんと消されたのかどうかなどという心配をする必要はないということで、あとは管理機関である銀行に任せるだけだと。何か問題があれば銀行から過失補償が得られるというふうに考えれば、そういう状況がつくられるのではないのかなと思うんです。

そういう見地からすれば、いろいろなご議論はあると思いますが、本気で流通させるということになれば、銀行の場合は管理機関としての兼業を認めるということが、銀行以外については認めるとか認めないという話は別にして、銀行以外についてはそれは認めないというのは不公平ではないかという議論はもちろんあるわけですけれども、現実論としては銀行に兼業を認めるということが、流通ということを考えてみんなに使ってもらうということからいうと、エッセンシャルなのではないのかなと、こういう感じ方をしているものですから、ちょっと申し上げた方がいいかなと思って発言しました。

以上です。

○岩原部会長

佐藤委員。

○佐藤委員

銀行さんがおやりになるということに、私も反対ではないですが、逆に銀行に求められる健全性というのが、預金者保護の観点とか決済の保護の観点から非常に高いので、むしろ電子登録債権の管理というのは預金者保護等のレベルまでいく必要はないのではないかということです。先ほどの兼業の話でいうと、銀行が管理機関を兼業すると銀行規制が管理機関にかかってきますので、管理機関としての全体のコストがレギュレーションコストによって上がってしまう可能性が高いと思います。

その辺はよく議論しないと、結果的にせっかくいいものができたとしても、銀行の銀行業務によって管理機関のコストが上がってしまうということだって考えられる。その場合は、逆に銀行子会社としてとか、銀行が複数・共同で設立という方が合理的であるということになるのかもしれません。ですから、銀行だからかえってデメリットが起こる場合もありますよということは認識しておく必要があるのかなと思います。

○岩原部会長

始関管理官。

○始関民事法制管理官

私、池田先生に怒られてショックだったものですから(笑)、ちょっと弁解をさせていただきたいんですけれども、私は金融機関でなければ管理機関になれないということは全く考えていません。これは前々からノンバンクも参入できてしかるべきという議論で、私もその中に入らせていただいてきたわけですから、それを変えたつもりは全くございません。

先ほど私は金融検査並みということを申し上げたんですけれども、日本で最も厳しい検査は恐らく金融検査だと思いますので、それ以上になるということは、どう考えてもないだろうと思います。ただ、それより下はどこまで下げていいのかということはここでこれからご議論いただかなければいけないのですけれども、もしも本体参入をするのであれば、本体の業についても、佐藤委員に今うなずいていただきましたが、ある程度の検査監督は及ばざるを得なくなるのではなかろうかと思います。

銀行の場合は一番厳しい検査を受けているわけですから、それが管理機関業をやっても現在受けている検査以上の検査を受けることはないだろうということがあると思うのです。他の業態の企業についてもそれと同じにしようと思うと、本体業務についても検査しなければいけないということになってしまって、かえって好ましからざる結果になるとすると、先ほど部会長がおっしゃられたような子会社参入方式の方がコスト・パフォーマンスがいいということにならないのだろうかという質問をさせていただいただけでございますので、くれぐれも池田委員、誤解のないようにお願いしたいと思います。

私の言葉足らずだったと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

○岩原部会長

それでは、金丸委員。

○金丸委員

我々ITワーキングの方だったものですから、会のタイトルは「情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループ」ということで、情報技術革新の方がむしろ前の方に出ているわけです。そういう観点と将来を考えたときに、現在、決済ということができるのが銀行だけになっているがゆえに、長い間に信用が形成されているわけで、将来は法制度も変わって、簡易的な決済は、情報技術というかITベンダーというか、そういう装置産業的な要素もありますので、市場が開放されれば、関委員がさっきおっしゃられたとおりであると思うんですけれども、金融機関に関する信頼については今後変わってくる可能性はあるのではないかと私は思います。そういう意味では、専業だろうと兼業だろうと、金融機関を特別扱いせず、すべての参入者に同じ条件で認めるべきだと思います。

それから、業種についても特定の業種全体が安全ということもありませんので、もっと本質的な、資格についてはある一定以上のバーがあっていいと思いますけれども、なるべく新規参入者が出られるようにすべきだと思います。それから、今、こういう時代がきたことも、携帯電話だって最初世の中に出たときは、NTTにいらっしゃった人たちも入らないと思って、移動体通信株式会社に行くのを嫌がったわけですね。公衆電話がいっぱいある横で携帯電話をかけるのは恥ずかしかった時代があったわけですけれども、今やごく普通になっています。

それから、iモードに至っては、大人たちはみんなはやらないと思っていたわけですよね。だけど、親指でものの見事にすごいスピードで入力する若い人たちが現れたがゆえに、新マーケットが出てきたわけです。そういう意味で、新規参入者については制約をすべきではない。なぜかというと、これは若い人たちの方がむしろ得意な領域だから、若い人たちが産業を興すことを期待して制約すべきではないと思います。

それから、ずっとこの「同期的管理」という言葉が注目されているわけですけれども、私はITワーキングの部会の中で、「同期的管理」という言葉を進言した立場で申し上げますと、私なりの理解は、「同期的管理」という日本語の裏にあるものはコンピュータという、これは電子登録債権の話をしているものですから、技術的には同期処理と非同期処理の2種類に大別される処理の組み合わせによって一連の取引なりが安全に行われるんですね。

だけれども、これもずっと言っていることなんですが、金融インフラの中に、例えば全銀ネットの決済についてもリアルタイムの同期性がない、非同期処理というインフラがあるものですから、管理機関は同期処理と非同期処理をあわせて、あるいは、デジタルではだめだったら、人間の力とか信用とかをあわせて、いわゆる同期的な管理というものを利用者に、かかわる人たちに安全を保証することを約束すべきではないかという意味で、私は「同期的管理」というのをそういうふうに理解して進言してまいったわけです。

ですから、ぜひ次回の議論の中では、これ以上発散を避けるために、「同期的管理」と言っている、その下を支えている処理の形態についてまず共有をしていただいた方がいいのではないのかなと思っております。ぜひ次回参考にしていただければと思います。

以上です。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。今日は2時で終わるのかなと思ったんですけれども(笑)。皆様のおかげで議論を盛り上げていただきまして、もう時間になってしまいましたので、特にご発言がなければこれで審議を終えたいと存じます。たくさん宿題をいただきましたけれども、今の同期的管理の問題等、次回、事務局で整理してわかりやすい形でお示しいただきたいと思います。

特にご発言がなければ、本日はこれで終えたいと思います。次回の電子登録債権の流動性と金融関連法制等との関連の際に、今の問題等をご議論いただきたいと思います。

この後、記者会見を行いまして、本日の会合の模様についてお話をさせていただきたいと思います。

それでは、次回の開催予定を事務局にお願いしたいと思います。

○高橋企画課調査室長

次回は11月15日(水)午前10時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

その次の会合も11月29日、午後2時からということで予定しておりますので、詳細は追ってご連絡を差し上げたいと思います。

○岩原部会長

それでは、本日はこれにて終了させていただきます。どうもご熱心なご討議ありがとうございます。

以上

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