金融審議会金融分科会第二部会(第37回)・「情報技術革新と金融制度に関するWG」(第23回)合同会合議事録

日時:平成18年12月11日(月曜日)10時00分~11時50分

場所:中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

○岩原部会長

それでは、時間でございますので、ただいまから第37回金融審議会金融分科会第二部会と第23回情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループの合同会合を開催いたします。

皆様、本日もお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、早速でございますが、お手元の議事次第に従いまして議事を進めさせていただきます。

前回は、今までの議論を踏まえてとりまとめました「これまでの論点の整理について」をもとにご討議いただきまして、さまざまなご意見をいただいたところでございます。本日は、それらのご意見等を踏まえまして、報告書(案)の形でまとめたものを事務局に用意していただきましたので、これについてご議論をいただきたいと存じております。

それでは、報告書(案)につきまして、事務局から説明をお願いいたしますが、長文にわたりますので、順次読み上げていただき、前回からの変更点を中心に説明をお願いいたしたいと思います。

それでは、「はじめに」、それから、「1 電子登録債権の意義」及び「2 電子登録債権制度と管理機関の果たすべき役割」についてお願いいたします。

○仲野企画課調査室課長補佐

では、読み上げさせていただきます。各ページの一番下にページ番号が振ってありますけれども、その1ページ目からいきたいと思います。


はじめに

金融審議会金融分科会の下に設置された情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループにおいては、電子登録債権(仮称)について、情報技術革新の成果を金融インフラに反映させ、積極的に享受することを可能とするための制度面のあり方を検討するという基本的立場から検討を行い、「金融システム面からみた電子債権法制に関する議論の整理(座長メモ)」を平成17年7月6日に公表した。

さらに、本年に入り、法務省の法制審議会において、電子登録債権に関し私法上の問題点についての検討が具体化されたことも踏まえ、当合同会合において、電子登録債権法(仮称)の制定に向けて、本年6月以降、管理機関(仮称)のあり方を中心に審議を重ね、電子登録債権に関する決済の安全性の確保、利用者の保護といった諸課題について、以下のとおり、報告書をとりまとめた。

  • (注)電子登録債権にかかる私法上の論点に関する記述については、法制審議会におけるこれまでの検討を前提としたものである。

1 電子登録債権の意義

  • 近年、経済社会のIT化が進展し、商取引・金融取引の分野にも電子的手段を用いたサービスが広がりを見せる中で、わが国の国際競争力を強化し、経済を発展させる基盤として、ITの更なる活用が期待されるところである。

    このような状況を踏まえ、社債、株式等については、証券市場の国際競争力を高めるため、わが国の証券決済システムを改革する一環としてのペーパーレス化が実現し、権利の移転を電子的に行うための法整備が行われたところである。

    一方、企業間信用の手段である手形については、事業者の資金調達の手段として利用されてきたが、紙媒体を利用することに内在するリスクやコストの問題から、近年その利用が減少している。また、指名債権についても、二重譲渡のリスクや債権の存在確認等のコストの問題があり、事業者がその保有する売掛債権等を用いて資金調達を行う際の制約要因となっている。

    経済社会のIT化が進展する中で、これらの問題を克服し、中小企業者を含む事業者の資金調達環境を整備するため、電子的な記録によって権利の発生等の効力を生じさせ、取引の安全や流動性を確保する新たな制度として、電子登録債権制度の整備を行うことが期待される。また、本制度を整備することにより、わが国経済の活性化にも資するものと考えられる。

  • (注)電子登録債権は、マル1売買等によって発生する原因債権とは別個の金銭債権であり、マル2電子的な帳簿(以下「登録原簿」という。)に権利の内容を登録することにより発生し、譲渡される。マル3指名債権とも、手形とも異なる類型の新たな債権と位置づけられるものであり、登録原簿を管理する管理機関が設けられる。

2 電子登録債権制度と管理機関の果たすべき役割

  • 電子登録債権は、手形や指名債権に代わり、電子的手段による債権譲渡を通じた新たな資金調達の手段として、広く利用されることが期待される。このためには、電子登録債権制度の信頼性を確保することが必要不可欠の課題であり、取引の安全や流動性を確保する要請とともに、利用者の保護の要請に応えていくことが何より重要である。

    とりわけ、電子登録債権の権利の内容・帰属を定める登録原簿を管理し、業務規程等を通じて利用者の取引を規律することとなる管理機関は、いわば社会の公器として、公正性・中立性が確保され、国民から信頼される存在である必要がある。

    以下、個別の問題について検討する。


○高橋企画課調査室長

修正点等を説明させていただきます。

前回ご議論いただきました資料に比べますと、まず題名と1ページ目の「はじめに」というものをつけさせていただいております。通常の報告書の体裁とあわせまして、これまでの議論の経緯を簡単にまとめたものでございます。

1の電子登録債権の意義でございますが、中小企業者を含む事業者の資金調達環境を整備するためという趣旨をはっきりさせております。

それから、新たに1の(注)とか、「はじめに」のところで「法制審議会の議論を前提としたものである」ということをはっきりさせていただいております。

次に、2で「社会の公器」というところが表現が若干強すぎるのではないかということで、「いわば」という形で言葉を整理させていただいております。

以上が修正点でございます。

○岩原部会長

ありがとうございます。

それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。池田委員。

○池田委員

修文としてはこれで異論はございません。特に今、ご説明の最後のところで、2ページ目の下から3行目の「社会の公器」というところに「いわば」というのをつけていただいたことを、私はありがたいと思って評価しております。

そのことに関して、最後にもう一度、管理機関の本質論を確認しておきたいと思って、これを意見としてぜひ記録に残していただきたいと思って発言させていただきます。つまり、今の「社会の公器」のところですけれども、法制審でほぼかたまった方向として、登録情報の開示を受けられる者というのははっきり限定がされております。これは当初からの方針です。したがって、管理機関の電子登録債権というのは、債権譲渡登記のような誰でも見られるように公開されるものではありません。

したがって、管理機関というのは、もちろんここで書かれている公正性・中立性の確保は重要なんですけれども、あくまでも私的機関であって、公の公示機関ではないわけですね。ですから、「社会の公器」と言い切ってしまうと、それは強いだろうと。それで「いわば」というのをつけていただいたのを評価いたしますということなんですが、言葉の厳密な意味の「公器」というのはちょっと難しい存在であるということを再確認したいと思います。

というのは、今回行われてきた第二部会と情報技術革新WGの合同会合というのは両方の委員が出てきているわけですね。ここへ持ってまいりましたが、昨年17年7月の「座長メモ」で、情報技術革新WGでまとめたものは4つのキーワードがあって、「柔軟、簡素、成長、信頼」というものであったと、これは委員の皆様よくご存じのことだと思います。したがって、今回の報告書はその4つのキーワードの最後の「信頼」にかなり比重を置いているということを再認識、再確認していただきたいということであります。

私も個人的にはWGの委員として参加いたしましたけれども、しっかりした制度になるという意味では是々非々の議論をしたつもりでございます。しかし、「座長メモ」に書かれているWGで出した4つの柱は正しい方向だと思っておりますので、そのあたりのバランスと言いますか、ここで書かれていることは公正性・中立性の確保等、信頼の問題を重視して報告書がまとめられていると、私はそういう認識でおりますので、それだけ確認させていただきたいと思います。

○岩原部会長

はい。どうも。

ほかに何かございますでしょうか。小野委員、どうぞ。

○小野委員

経済産業省とか以前の議論ですと、譲渡禁止特約があることが中小企業の資金調達の円滑さにとって非常に問題となっているという議論だったんですけれども、この辺は法制審で散々議論していますね。譲渡禁止特約について一定の方向性の要請があっても、それはしようがないという議論になっていたかと思うんです。

それはそれで構わないんですけれども、同期的管理との関連ですと、譲渡禁止特約がある場合、二重譲渡の危険性が極力排除されるということは現実的にあり得ないと思うんですね。後半の方で同期的管理についてかなり強く議論されていることと、ここで二重譲渡について議論がないことがやや整合性に欠けるのかなと思うんですね。全体の議論としては、同期的管理のところは散々ここで議論したことですから、繰り返す必要は特にないと思うんですけれども、二重譲渡の危険性、すみません、二重譲渡ではなくて、債務の支払の危険性か……。ちょっと違いますね、失礼しました、頭が混乱していました。

後半の方は撤回しまして、譲渡禁止特約について触れなくてもよろしいのかということをお話させていただきます。

○岩原部会長

ありがとうございます。

では、木村委員、それに関連してですか。では、お願いします。

○木村(拙)委員

私もこれを拝見しておりまして、資金調達を行う際の制約要因ということで、2点だけ触れられているわけですね。前の行に「二重譲渡のリスクや債権の存在確認等のコストの問題があり」ということが書かれているわけですけれども、ここでもう一つ大きな制約要因というのは、今、小野委員からご指摘のありました譲渡禁止特約の問題だったと思います。今でも売掛債権担保融資というのがあるわけでございまして、制度が施行されて3、4年になろうかと思いますけれども、たかだか1兆円になるかならないかというところでございます。それに対して、売掛債権というのは全体で200兆を超えるものがある。中小企業だけでも60兆とか70兆あるという中で、この利用度は芳しくないといっていいんだと思います。

これの大きな理由というのは、売掛債権の譲渡禁止特約があるからだということが一説には言われているわけでございます。これをつけるかつけないかというのは法制審で議論していることでございますので、ここで議論するのが適切かどうかはあれとして、この資金調達を行う際の制約要因として、譲渡禁止特約があるということは明示しておくべきではないのかなと考えております。

○岩原部会長

今、ご指摘の問題でございますが、事務局からお願いします。

○石川企画課調査室企画官

ただいま譲渡禁止特約のお話をいただきましたけれども、内部でも検討させていただいたんですが、2ページ目の第3パラグラフ、「指名債権についても二重譲渡のリスクや債権の存在確認等のコストの問題があり」ということで、指名債権特有の制約要因ということで絞って書いております。譲渡禁止特約については、手形でも指図禁止手形というのがあるように、債務者の意思の問題ということで、ご事情はあると思ったんですが、ここに書き込むのは難しいのではないかと考えておりますので、今回こういう議論があったということを議事録に残すということで何とかならないかと思っております。

○岩原部会長

木村委員、どうぞ。

○木村(拙)委員

手形に裏書禁止があるとしても、ここでは、手形の議論をするのではなくて、電子登録債権の議論をしているわけでございまして、電子登録債権という今までにない新しい概念をここへ導入しようという考えがあるかと思います。これはまさにこの項目の一番下にある(注)のマル3の指名債権とも手形債権とも異なる類型の新たな債権という考え方でこの制度を考えているわけでございます。そういう意味では、手形にあるからどうのということではなくて、全く新しい概念としてこれを導入してもいいのではないか。電子登録債権というのはそういうものなんだよということでいいのではないかと考えております。

そういうことからいっても、こういうことで売掛債権譲渡禁止特約があるから、資金調達の制約要因になっているという事実はとどめておくべきではないのかなと。それが今後これからの議論のステップになっていくのだろうと私は思っております。

○岩原部会長

そもそも事実関係として、譲渡禁止特約がどれだけ制約要因になっているかというところは議論があるかもしれませんが、ここの文章は当部会において電子登録債権についての法制化を行う課題というか、どういう問題に対処するために電子登録債権に関する立法を行うかということを書いているわけです。

電子登録債権について譲渡禁止特約を認めるかどうかというのは、むしろ法制審で検討していることで、それを受けて電子登録債権の管理機関等を立法するときの課題が何かということを書いたわけです。ですから、譲渡禁止特約の問題は基本的には法制審で決めることで、もしそちらの方で電子登録債権については譲渡禁止特約を認めないということであれば、そういうことの意義を書き込むことになると思います。

しかし先ほど池田委員がおっしゃいましたように、今のところ法制審では基本的には譲渡禁止特約も認めるという方向で進んでおります。万が一そうでなくなった場合には、譲渡禁止を認めない意義を書くこともありうるかと思いますが、報告書(案)は、1ページの「はじめに」の一番最後の(注)に書いてございますように、現時点の法制審議会における検討を前提にしているということであります。譲渡禁止特約を認めないという方向を法制審の方ではお決めになっておりませんので、とりあえずこの合同会合としては、あくまで現時点における法制審の審議状況を受けた形で書くということではないかと理解しております。

池田委員、どうぞ。

○池田委員

部会長のおっしゃったことに異を唱えるわけではないんですが、一点だけ。「法制審で譲渡禁止特約を認めるという方向で」というところまでは、私どもはまだ両論併記ではないかと思っています。少なくともここでお書きになっている「指名債権についても、二重譲渡のリスクや債権の存在確認等のコストの問題があり」という、その「等」の中には大きな問題として譲渡禁止特約の問題が入っているんだということは、今、小野委員や木村委員の言われたことは確かなことであって、私もそれは強く主張したいと思っているところであります。

ですから、部会長のおっしゃられるように、ここで書き込むのは、方向がはっきりしているものだけ書くんだということで、問題としては法制審の問題なんだからということは、お立場としてはおありかと思いますけれども、法制審で認める方向に決しているとは私は思っておりませんので、そこだけは申し上げておいて、ここでの議論が今後の法制審の議論の中に反映されるようになっていただきたいと思っております。

○岩原部会長

はい、承りました。その場合ですと、法制審で仮に池田委員のおっしゃるような方向にまとめられるということになりますと、この「はじめに」の(注)のところでそれが反映されるということになるんだろうと思いますが、基本的には今の時点ではっきりしているものについて書かせていただいたということであります。

ほかに何。米澤委員、どうぞ。

○米澤委員

表現だけの問題なんですけれども、(注)のマル2のところで「電子的な帳簿に登録することによって発生し、譲渡される」とあるんですが、消滅というのも非常に重要な要素で、特にこの報告書の議論の後の方で同期的管理の問題に時間を割いているということから考えても、消滅というのはかなり大きなテーマになっているわけなので、「発生し、譲渡され、消滅する」という方がいいのではないかと思います。

ただし、これはどこかからの丸々の引用で、もう既に定型化されたものがあって、それを引用しているということなら結構なんですけれども、もし要約して書いておられるのなら、消滅まで書いておいた方がいいかなという気がします。

○岩原部会長

その問題は私法の問題にかかわりますので、始関管理官、お願いします。

○始関民事法制管理官

ここで発生と譲渡だけを書いていただいて、消滅を書いていないのは、消滅につきましては、登録は効力要件ではないという整理になっているからでございます。つまり、お金を支払ったのに当事者間でも登録しないと権利が消滅していないというのはおかしいだろうという議論になりましたことから、このように整理しております。ただ、第三者に対して対抗できるのかという問題はございまして、登録しないうちに譲渡されてしまうと、ここの同期的管理のところで議論されていますように、人的抗弁として切断されて、第三者に支払を対抗できないことになってしまい、もう一回払わなければいけないことになるという場面が出てくることから、同期的管理の問題が生ずるということでございます。ですから、効力要件ではないということでご理解いただければと思います。

○米澤委員

わかりました。

○岩原部会長

よろしいでしょうか。

ほかには。

それでは、次の項目に移らせていただきたいと思います。続きまして、「電子登録債権の決済の安全性の確保」についてお願いしたいと思います。

○仲野企画課調査室課長補佐

それでは、3ページ目にまいりたいと思います。


3 電子登録債権の決済の安全性の確保

  • (1)同期的管理の必要性

    電子登録債権の効力は管理機関が管理する登録原簿への記録によって生じるなど、登録原簿が重要な役割を果たすため、電子登録債権については、取引関係者の意思等を迅速かつ正確に登録原簿に反映させることが、取引の安全や利用者の保護にとって非常に重要である。取引関係が迅速かつ正確に登録原簿に反映されることにより、利用者は安心して電子登録債権を利用することができ、電子登録債権制度自体に対する信頼性も高まることとなる。

    電子登録債権制度においては、管理機関に対する支払等登録(記録の抹消)の請求は、原則として債権者が行うこととされており、債務者は債権者が承諾しない限り記録の抹消の請求を行うことができない。このため、債務者が支払等を行ったとしても、債権者の対応如何では、債権が譲渡され、債務者に二重払いの危険が生じることとなる。とりわけ実際の取引において一般的に利用されている金融機関を通じた資金送金により支払等がなされる場合、通常、債務者による資金送金が、債権者による記録の抹消の請求に先立って行われることになると考えられるため、この二重払いの危険の回避が、電子登録債権制度にとって極めて重要な課題となる。

  • (2)管理機関による同期的管理

    以上のような債務者の二重払いの危険を防ぐためには、債務者が支払等を行った場合、管理機関が、債権者からの請求を待たず、職権により記録の抹消を行う仕組み(管理機関による同期的管理)を導入することが有効である。

    電子登録債権の消滅の場面のうち、資金送金を伴うものについては、資金送金の事実を管理機関が確認することによって、管理機関が同期的管理を行うことが可能である。他方、資金送金を伴わない相殺などについては、管理機関が相殺などの事実を確認することは事実上困難であり、管理機関による同期的管理を行うことは難しいと考えられる。

    これらを踏まえれば、管理機関による同期的管理は、事実の確認が比較的容易な金融機関の口座を利用した資金送金が行われる場面を対象とすることが適当である。相殺の場合などは、管理機関による同期的管理が行われず、専ら当事者からの記録の抹消の請求によることとなるが、このような場合であっても、債務者の二重払いの危険をできるだけ回避するための方策を検討することが重要である。

  • (3)管理機関による同期的管理の方法

    管理機関が資金送金の事実を確認することにより同期的管理を行う場合、債務者の口座から債権者の口座への資金送金があった旨の連絡を、管理機関が金融機関から受け、記録を抹消する方法が考えられる。

    この方法をとる場合、資金送金にあたっては、債務者の口座からの出金と債権者の口座への入金との間に通常タイムラグが生じることとなるが、債務者にとっては、二重払いの危険を回避する観点から、債務者の口座から出金された時点で、登録原簿の記録が抹消されることが望ましい。他方、債権者にとっては、自らの口座への入金が確認されないまま記録が抹消されるのは適当ではない。このため、記録の抹消自体は資金送金の完了時に行うことを基本としつつ、例えば、債務者の口座からの出金の時点から、債権者の口座への入金の時点までの間について譲渡登録を禁じることなどによって、このような問題を解決することが重要であると考えられる。利用者にとって安心で確実な制度とするため、今後、上記のような金融機関間の資金送金の事実を確認して管理機関による同期的管理を行う方法について、適切な実務的検討が行われることが期待される。

    なお、管理機関が債権譲受・債務引受を行い、又は債権者を代理して支払を受領することにより、管理機関による同期的管理を確保する方法も考えうるが、マル1管理機関が自ら取り扱う電子登録債権の債権者・債務者となる点で公正性・中立性を害するおそれがある、マル2他の債務者の信用リスクを引き受けるため破綻リスクが高まる、マル3自らが資金送金に関与することとなるため、資金送金に係るトラブルが生じかねず、また、資金流用を防止する措置が必要になる、といった問題があるため、適当ではないと考えられる。


以上です。

○高橋企画課調査室長

前回の資料と比べまして、(1)、(2)につきましては、一部の「てにをは」を除き、変更はございません。

(3)につきましては、前回、資金送金の方法がここに書いてあるものだけなのかというお話がありましたので、これは例示ということで、「上記のような金融機関間の資金送金の事実を確認して云々」のくだりを入れまして、金融機関の送金を利用した同期的管理の方法についての検討が全体的に行われる趣旨をはっきりさせていただいております。

そのほかには修正はございません。

○岩原部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見があれば承りたいと思います。

いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

恐らく修文上の問題もあって全体の流れの中で書き込んでいただける部分が難しいところがあるのかと思うんですが、何回か重ねて申し上げていることなんですけれども、電子登録債権が二重払いのリスクを内包した危ない制度であるというような印象は好ましくないんだろうと思うんですね。もちろん、同期的管理というのはその解決方法の一つなんですけれども、立法上、二重譲渡リスクを全部排除できない部分については、同期的管理を含めて対応することを検討していくべきだというようなことが、どこかニュアンスで触れていただけないかなと。

特に3ページの(1)の2つ目のパラグラフの4行目、「このため、債務者が支払等を行ったとしても、債権者の対応如何では、債権が譲渡され、債務者に二重払いの危険が生じることとなる。」と、これはまさしくこのとおりなんですけれども、「債権者の対応如何」というのが一般的によく起こることなのか。通常、例外的にあまり起こらないことなのかということも結構重要なことで、これが頻繁に起こるということになってしまうと、電子登録債権というのが危ない制度ではないのかという印象を与えかねないのかなということがございまして、その辺のところだけちょっとコメントをさせていただきました。

○岩原部会長

事実認識としては報告書とそれほど変わりはないと思うんですが、文章の印象ということですね。佐藤委員ご自身がご指摘になったとおり、確かに文章としてそういうニュアンスを盛り込むのは難しいところがあるのかなと思っております。これ以上の表現は難しいような気もしますので、特に案がなければ、これでということにさせていただきたいと思います。

ほかに何かございますでしょうか。小野委員、どうぞ。

○小野委員

以前の議論で同期的管理の「同期」というのはリアルタイムに近いようなものではないと、時間的な幅があるという議論があったかと思うんです。全体でもしかしたらそういう議論がされているのかもしれませんが、見た感じ、「同期」という言葉だけで議論がされているような。幅の議論というのがもしあれば教えていただきたいと思いますし、その幅もある程度あるんですよという議論、事実確認の時間的な間隙というのはあると思うんですけれども、システム的であれば瞬時でしょうし、そうでない管理機関であればどうしても一定の時間的な間隙があると思うんですが、その辺についても以前の議論を反映していただければと思うんですが。

○岩原部会長

ここに書いてあること自体に含まれているのではないかと思います。4ページの(3)の第2パラグラフで、同期的管理といっても実際にはタイムラグが生じるけれども、それによって問題が生じないような仕組みにしましょうということを書いてあるわけですから、小野委員ご指摘の事実は同期的管理といっても、実質的に行われることはこの第2パラグラフで書いたようなことだということで、この報告書の中にそういうご趣旨は含まれているのではないかと理解しているんですが。

○小野委員

後段の方でかなり断定的に「必要である」と述べているところがあるので、これから議論するというんですけれども、一定の幅があるという前提で……。

○岩原部会長

ええ、そういうことで書かれているということです。同期的管理といっても、ここに書いてあるようなことを実際には行うんだということで書いてあると思います。

よろしゅうございましょうか。

それでは、次の項目に移らせていただきたいと存じます。続きまして、「管理機関の業務の適正性の確保について」、お願いしたいと思います。

○仲野企画課調査室課長補佐

(読み上げ)


4 管理機関の業務の適正性の確保

  • (1)管理機関の公正性・中立性の確保

    電子登録債権の発生等の効力は、登録原簿の記録によって生じるものであり、その登録原簿を管理する管理機関については公正性・中立性が確保されることが極めて重要である。

    管理機関の公正性・中立性が十分に確保されない場合には、管理機関に集中することになる利用者に関する情報が管理機関自らの利益のために流用されるのではないか、また、管理機関が管理する登録原簿について、自らの都合のいいように記録が行われるのではないか、といった懸念が生じ、電子登録債権制度そのものへの信頼が揺らぐこととなりかねない。

    このため、管理機関の公正性・中立性が確保されるような制度設計が行われる必要がある。

  • (2)管理機関の破綻の回避

    管理機関が破綻した場合には、利用者に多大な影響を及ぼすだけでなく、わが国の経済社会にも大きな混乱を生じさせかねない。また、登録原簿の誤った記録(不実の登録)については管理機関には特別の責任が課されているが、管理機関が破綻した場合には、その責任が果たされないため、管理機関の破綻は極力回避する必要がある。

    管理機関が破綻する要因としては、管理業そのものの不振、登録原簿の管理ミス等による賠償責任、他業の不振による影響などがある。これらの要因に対応し、管理機関の破綻を回避するため、一定の財産的基盤を求めるなど適切な制度設計が行われる必要がある。

    また、万一管理機関が破綻した場合には登録原簿を他の管理機関に円滑に移管させるなど、管理機関が破綻しても利用者にできるだけ不便が生じないような仕組みを設ける必要がある。

  • (3)登録原簿の信頼性の確保

    電子登録債権は、登録原簿の記録によって発生等の効力が生じるものである。登録原簿の記録に誤りがある場合には、譲受人が誤った記録を正しい記録であると誤信して電子登録債権を取得するおそれがあり、取引の安全を害することになりかねない。

    管理機関が不実の登録を行った場合には、管理機関に対し特別の責任が課されることとなるものの、そもそも管理機関が不実の登録を防止し、登録原簿の信頼性を確保することが、本制度が円滑に実施されるための大前提である。

    管理機関が管理する登録原簿の信頼性が確保されるような制度設計が行われる必要がある。

  • (4)管理機関の要件

    以上を踏まえ、管理機関には、次のような要件が必要と考えられる。

    • マル1業務範囲

      他業を行う者が管理業を行うについては、システムの共有によりコストが抑えられること、仮に金融機関が管理業を行えば安心して使える制度になること等から、これを認めるべきとの意見もあった。

      しかしながら、(イ)仮に兼業を認めると、登録原簿に記録された利用者に関する情報が目的外に利用される等の懸念があり、管理機関の公正性・中立性の観点から問題が大きい、(ロ)他業の破綻リスクが管理業へ及ぶことを遮断するには、法人格を分離することが最も有効な方法であり、また、これにより、監督当局による業務の実態把握を効果的に行うこともできる、といった理由から、管理機関は専業とすることが適当と考えられる。

      その場合、電子登録債権制度が円滑に導入され、管理機関が安定的・継続的に運営されるよう、利用者の利便性や管理機関のコストにも配慮しつつ、具体的な制度設計の検討を行うことが望まれる。

      なお、管理機関を専業に限ったとしても、別会社の形態をとれば、金融機関のみならず、多様な事業会社が管理機関を設立することは可能であり、公正性・中立性の確保や、破綻リスクの影響の遮断という要請に応えつつ、ビジネスニーズに応じた多様なサービスが提供されることが期待される。

    • マル2財産的基盤

      利用者が電子登録債権を安心して利用できるようにするためには、管理業が安定的・継続的に行われ、その破綻を回避する必要がある。また、適切なシステムを維持するための投資能力、不実の登録などの責任を負った場合に備えた賠償能力等を管理機関が有する必要がある。このため、管理機関には一定の財産的基盤が必要であり、適切な形で外部監査が実施される必要がある。

    • マル3業務遂行能力

      管理機関は、電子登録債権の権利の内容・帰属を定める登録原簿の管理を行う重要な役割を果たすため、登録原簿を適切に管理する能力が必要である。また、管理機関が登録原簿を適切に管理することにより、登録原簿の管理ミス等による賠償責任を回避することができ、管理業の安定的・継続的な運営にもつながることとなる。

      このため、管理機関は、情報管理態勢の整備、情報セキュリティ水準の確保、適切な本人認証の実施等の措置を講じることが必要であり、特に、インターネットバンキングでの事故事例や犯罪手口等を踏まえ、不正アクセス等の防止やシステムダウン時への対応等について十分な体制を整備することが望まれる。

      また、管理機関は、利用者の請求内容の記録を確実に保存するほか、万一改ざん等が行われた場合の早期の発見を含め、記録の改ざん等が生じた場合に備えた適切な措置を講じる必要がある。

      さらに、債務者の二重払い防止のため、管理機関は同期的管理の方法を提供する必要がある。管理機関は、金融機関と適切な連携を行い、資金送金を確認した上で、迅速・確実に記録の抹消を行えるようにすることが必要である。

      なお、企業グループ内などの信頼関係のある関係者間に利用が限定される場合には、管理機関による同期的管理を義務づける必要はないとの意見もあったが、そのような場合であっても第三者に電子登録債権が移転する可能性があることなどから、すべての管理機関は、同期的管理の方法を提供することが必要である。

  • (5)監督

    管理機関には上記の要件が求められるものであり、電子登録債権制度を信頼性の高いものにするため、管理機関と類似した組織である社債等振替機関等を参考に、指定制等を設けることについて検討を進めることが適当である。

    また、行政は、管理機関の経営状況を的確に把握しつつ、その業務が適切に行われているかを監督し、業務改善や業務移転を命じるなどの適切な措置をとれるよう規定を整備する必要がある。このほか、管理機関に課される各種規制の実効性を確保するため、必要な検査・監督規定を整備することが適当である。

    なお、電子登録債権制度においては、業務規程の定め方等により、様々なビジネスニーズに応じた多様な管理機関が設置されることが考えられ、実態に応じた適切な監督が行われることが望まれる。


以上です。

○高橋企画課調査室長

前回、4の「管理機関の業務の適正性の確保」につきましては、種々ご議論をいただきましたので、それぞれについて修正をさせていただいております。

まず(1)については、前回の資料と変更はございません。

(2)の管理機関の破綻の回避のところでございますが、管理機関の破綻要因についてのところにつきまして文章を整理したことと、管理機関が破綻した場合についてのことにつきましてメンションをさせていただいております。

(3)登録原簿の信頼性の確保につきましては、不実の登録の防止の重要性を、セカンドパラグラフのところで少し書き改めさせていただいております。次に、管理機関の要件のところのマル1業務範囲でございますが、「損失が生じた場合の他業の利益によるカバー」という記述が不適切ということで、それを削除しております。それから、両論併記ということではなくて、「専業が適当である」ということをはっきりとさせていただいております。その際、コストの面で、専業の場合はコスト高になるのではないかというご議論がありましたので、「利用者の利便性や管理機関のコストにも配慮しつつ」というくだりを入れさせていただいております。

マル3の業務遂行能力のところで、管理ミス等による破綻との対応関係をはっきりさせたらどうかということで、そのあたりを少し修文させていただいております。それから、情報セキュリティの重要性のところで、少し認識が足りないというご指摘を踏まえ、「インターネットバンキング云々」というくだりを改めて記述させていただいております。次に、最後の「信頼関係云々」のところが表現が不適切ということで削除している部分がございます。

(5)の監督のところでは、新たに「業務改善や業務移転を命じる」という記述を例示として入れさせていただいたほか、最後に「様々なビジネスニーズに応じた多様な管理機関が設置されること」を踏まえまして、あまり過剰な規制にならないようにという趣旨で、「実態に応じた適切な監督」という表現を入れさせていただいております。

○岩原部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見あれば承りたいと思います。

いかがでしょうか。平田委員。

○平田委員

前回、前々回、この5ページから6ページにかけての管理機関の要件の業務範囲のところで専業、兼業について発言させていただきました。その議論の大勢が専業ということで、今回こういうような形になっていると思うんですけれども、その結論自体に我々も従わざるを得ないと考えております。その上で、利用者として一言申し上げたいと思います。もう既にこの中にもちゃんと整理していただいていますけれども、特に利用者の利便性という観点から、兼業も主張してまいりましたので、今後、諸規制等を考えるに当たっては過剰なものにならないように、利用者として使いやすいものになるようにという配慮をお願いしたいと思います。

それから、今後使っていく中で、まずは親会社でやってみて、大きくなってきたら、その後どうするかということを考えるとか、そういったことも考えうるわけですけれども、そうなりますと、今回、専業ということになりますから、ちょっと親会社でやってみようといったことはやりづらくなるんだろうというところはご認識をいただきたいということでございます。

○岩原部会長

どうも。

ほかに何かございますか。池田委員、どうぞ。

○池田委員

これも、この段階で修文云々という意見を申し上げるのは適切ではないので、中身の確認なんですけれども、最後の3行を入れていただいてようやく少しほっとしております。最初にも申し上げたように、野村座長のWGでは「柔軟、簡素、成長、信頼」という4つでやってきたと。今回の報告書は、最初に申し上げましたように、最後の「信頼」のところに集中していますから、これを報告書として読んだ人たちは、この最後の3行にどれほどの重さがあるのかというのがわからないで読むと、監督規制の厳しい報告書というふうに読みかねないので、今、平田委員からもお話がありましたけれども、私としては「柔軟、簡素、成長」の部分を制度全体としては確保すべきだと思いますので、今後の具体的な監督、政省令等のルールづくりの段階において、ぜひ過度の規制にならないように心がけていただきたいということ。これをぜひ平田委員の発言とともに記録に残していただきたいと思います。

○岩原部会長

はい、どうも。その点は事務局もよく承知していると思います。実際利用されなければどうしようもないわけですから、実務等から、よくお話を伺いながら柔軟な監督体制を考えていくことになると思います。

ほかに何か。吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

5ページの(2)の一番最後のパラグラフのところで、破綻が万一生じた場合なんですけれども、最終的には監督当局がどこかに管理機関を移すとか、そういうことをやると。主語は「監督当局が破綻の場合には責任を持ってやる」というふうに考えていいんでしょうか。そうであるとすれば、7ページの(5)のどこかに一言、管理機関が破綻した場合の措置も監督当局がある程度見るというふうにつけ加えていただいた方がいいような気がします。

○岩原部会長

はい。では、まず報告書をまとめた事務局から。

○高橋企画課調査室長

7ページの(5)監督のところでは、「業務改善や業務移転を命じるなどの適切な措置をとれる」ということで、破綻時に際して業務移転を命じることによって受け皿の他の管理機関があれば、そこに登録原簿の扱いを命じるという趣旨で書かせていただいておりますので、ご指摘の趣旨は7ページの(5)で申し上げれば足りているのではないかと思っております。

○岩原部会長

5ページの方は、当然、監督当局がそういうことを配慮するということですね。それを受けた形で7ページの、実際にどういうことをやるかというと業務移転等を命じるということになりますので、それは内容的には入っているということでご理解いただけたらと思います。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

7ページの(5)の「社債等振替機関等を参考に、指定制等」という記述なんですが、これを説明いただければと思うんですね。指定制というのはどの程度の重きを置いているのかということと、その内容ですかね。特に社振ということになりますと、非常に限られた感じを受けるんですけれども、この「等」の中にほかにどんなイメージを抱かれているのかというあたりを教えていただければと思います。それが第1点です。

それから、最後の方で「多様な管理機関が設置される」ということで、決して1つ2つという限られたものではないという趣旨で記述されているというご説明だったと思いますが、多様な管理機関、また、管理機関同士の適正な競争が図られるような措置が講ぜられるべきであるとか、大銀行のグループ内の管理機関だけが設置されて、それは安全性からすれば安全かもしれませんけれども、他方において、本来の電子登録債権の要請という視点からすると欠けるところもあると思うので、そういうような適正なコース、競争が図られるような何らかの措置を講ずるとか、そういう記述もできたら入れていただければと思います。また、それがどこに反映されているんだということであればご説明いただきたいと思います。

○岩原部会長

事務局、お願いします。

○高橋企画課調査室長

最初の「指定制等」のところにつきましては、前もご説明をした記憶はあるのですが、指定制や免許制等が考えられると思いますけれども、管理機関が行う登録原簿の記録に一定の法的効果が与えられていることに着目して法構成をとるという点につきまして、振替機関がまさに同じ法構成をとっております。振替機関は現状1つ、日銀がございますので、正確には2つなんですけれども、法制度的には数が制限されておりません。指定制をとったからといって数が限定されるわけではないと理解しております。

あと、今後、法律をつくっていくに際して、例えば免許ですと、一定の行為について禁止をかけていくわけですが、登録原簿が一体何者であるか。電子的に作る帳簿だという意味であれば、電子的につくる帳簿を作成することを一般に禁じるということは不適切なのではないかと思います。そういった場合には免許制をとるのはなかなか難しかろうと思います。わが国の中で法構成を見てみますと、指定制、ほかに認定制度とか、用語としてはいろいろあるかと思いますが、ある者が行うことについて法的な効果が付与されるという制度が望ましいと思われるわけです。それについては振替機関が一番参考になるのではないかということで指定制と書いています。ただし、完全に指定制に決まっているわけではなかろうということで、「指定制等」ということにさせていただいております。今後、政府内におきまして最も適切な法構成を考えたいと思っております。

ただ、免許制であろうが指定制であろうが、一定の要件をクリアする者について、行政上の許認可等、あるいは、指定が行われるという点において変わりがございませんので、具体的な要件が重要であろうということで、これまでご議論いただいてきたと理解しております。

2点目の「適切な競争云々」のところで言えば、公正性・中立性が図られるべきとされておりますので、大銀行の管理機関が優遇されるかのごときことを前提に何かを書くのは必ずしも適切ではないのではなかろうかと思っております。特に銀行で申し上げれば、アームスレングスルール等があるわけですので、子会社であったとしても特別優遇して管理機関が扱われるわけではなろうと思っております。一般論としての適切な競争の推進ということであれば考える余地があるかと思うんですが、後の方にストレスがかかった表現はいかがなものかと思っております。

○小野委員

後の方は説明のためにつけ加えただけでして、無視していただいていいんですけれども、制度設計として、全体としてこうあるべしというのが出ているんですが、行政サイドとして何ができるんだろうかという視点が全体としてあまり出ていないのかなと。こういう立派なものをつくりなさいという指示では、先ほど池田委員がおっしゃったように信頼性の点を強調したものとしての制度設計をされていると思うんですが、それに対して行政サイドとして監督するということが出てくるんですが、監督するだけではなくて、適切な競争が図られるような制度設計をするという視点があってもよろしいのかなと。この会合で何度か申し上げているポイントですが。

ですから、大銀行云々というのは単に説明だけです。だからこれは要らないんだという議論ではないんですが、その辺のことをもう一度ご説明いただけますか。

○石川企画課調査室企画官

6ページに「ビジネスニーズに応じた多様なサービスが提供されることが期待される」とありますが、これは銀行系の管理機関だけではなくて、それ以外の事業を行う会社の方も、ビジネスニーズに応じた管理機関を設置して、競争して、利用者に選んでいただくという趣旨のことも書かれていると我々事務局は理解しております。これをきちんと読んでいただくことによって小野委員のご主張は伝わるのではないかと考えております。

○岩原部会長

先ほどご指摘ございましたように、監督は必要最小限柔軟な範囲にとどめておいて、いろいろな者が参入して競争していく中で柔軟なサービスを提供していただこうということでありますので、指定制というのも、先ほど高橋室長からご説明ありましたように、免許に比べますと、よりソフトなイメージになっています。最低限必要な要件を満たした者であれば指定を受けることができ、管理をやってもらうということです。

実際にいろいろな主体が参入することを期待していますので、小野委員のお考えになっているようなことが盛り込まれるような制度を、この報告書は考えていると理解しております。監督当局が競争を促進するように何かやるというのではなくて、民間機関に管理機関として参入していただいて、それぞれ切磋琢磨していろいろなサービスを提供していただくということだと思っております。よろしいですか。

ほかに何かございますでしょうか。川本委員、どうぞ。

○川本委員

報告書はこれで結構だと思っておりますが、ひとつ質問させて下さい。監督のところについて、特に破綻についてですけれども、「業務改善や業務移転を命じるといった適切な措置をとれるような規定を整備する」と書いていらっしゃって、業務移転を命じられるほどの監督であるならば、破綻というのは何をもって破綻と定義づけられるのか。それがこれからのルールづくりだと思うのですけれども、現在のイメージを教えていただけたらと思います。

○岩原部会長

それでは、高橋さん、お願いします。

○高橋企画課調査室長

まさにこれからのルールづくりなので、今申し上げることがそのままということではなくて、例で申し上げれば、例えば社債等振替法であれば、振替機関が倒産すると、振替口座簿を利用した有価証券の振替ができなくなりますので、振替機関に対して振替口座簿の移転ということで業務移転命令をできるという規定がございます。

その場合としましては、民事再生手続に入るような逼迫した状況など条文に細かく書いてございます。そういった要件を満たすに至った場合には業務移転を命じることができるという形で、行政の裁量で好きなように命じるという仕組みにはなっておりませんので、そのあたりは参考になるかと思います。

○岩原部会長

翁委員、どうぞ。

○翁委員

同じところで確認したいんですけれども、業務移転というのは経営悪化時に限定される話だと思うんですが、業務改善というのは、銀行で言えば早期是正措置のような、経営が悪化したときに業務の改善を求めるような措置というイメージでここは書いておられるのか、それとも日常的なことで書いておられるのか。経営悪化時ということであればそういうふうに明示して、業務移転と業務改善は経営悪化時に、こういうふうにするべきだという方がよろしいかと思うんですけれども、業務改善というのはもう少し広く、日常的な考えが込められているのか、そのあたりを教えていただきたいと思います。

○岩原部会長

それは両方含んでいると思っております。例えば6ページの業務遂行能力の中に書かれているようなことですね、セキュリティ水準がきちんと確保されているかとか、システムダウン等への対応がちゃんとできているか。破綻してからこういうことを言ったって遅いわけですから、まさに日常的な問題としてそういう体制がきちんとできているかということを監督当局としてチェックしていくということを含んで書かれていると理解しております。

○翁委員

それとの関連で、破綻する前の段階で経営改善を必要とするわけですよね。ですから、それは業務改善という大きな言葉の中に込められているということなんですか。

○岩原部会長

当然それは含まれていると理解しています。

○翁委員

業務改善には、日常的な業務執行についての監督という、違う部分もあると思うんですけれども。

○岩原部会長

では、高橋さんから。

○高橋企画課調査室長

7ページの(5)の監督のところであれば、このほかのところで管理機関に課せられる各種規制の実効性を確保するために必要な検査・監督規定ということでざっくりと書かせていただいておりますが、ここの「必要な検査・監督規定」の中で、今、部会長がお話されたような通常ベースでの業務改善命令も入っております。前のくだりのところだけに業務改善が入っているものですから、あたかも破綻に備えた業務改善のみのように見えてしまったとすれば、ここのところの「業務改善」を後ろの方に移した方が良いのかもしれません。そこは少し……。

○岩原部会長

以上のようなことですので、ちょっと修文を考えさせていただきたいと思います。

ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。

それでは、次の項目に移らせていただきたいと存じます。続きまして、「5 利用者の保護」及び「6 その他」についてお願いしたいと思います。

○仲野企画課調査室課長補佐

では、7ページから続けてまいります。


5 利用者の保護

  • (1)消費者による利用

    電子登録債権制度については、民法等の特則としての第三者保護規定(意思表示に関する第三者保護規定、人的抗弁の切断規定、善意取得の規定)が設けられるなど、取引の安全に配慮された制度設計とされているが、他方で、利用者保護の観点も重要な課題である。

    特に、消費者は、事業者に対し、一般的に、情報の質、量、交渉力などに格差があると考えられることから、消費者が電子登録債権の利用者となる場合については、民法等の特則としての第三者保護規定が適用されず、消費者契約法などの消費者保護に関する法律や民法の規定が適用されることとなる。

    このように、消費者については、法制面での保護が図られているものの、そもそも紛争に巻き込まれること自体が不利益であり、紛争の発生を未然に防止することが重要である。このため、管理機関は同期的管理を行うだけでなく、利用者が消費者の場合、消費者保護のための対応を適切に講ずる必要がある。

  • (2)利用者の情報の保護

    管理機関は、利用者の情報が蓄積された、電子登録債権の登録原簿の管理を行う者であることから、秘密保持、本人認証や情報セキュリティの確保のための対応を万全に行う義務を負うべきと考えられる。利用者の情報の管理については、厳正な対応が行われるべきである。

  • (3)業務規程等の利用者への周知等

    電子登録債権の利用については管理機関の定める業務規程等に規律されることとなるため、管理機関は、例えば、業務規程やその概要をホームページに掲載する、利用者へのID等の付与に際し業務規程やその概要を知らせるなど、業務規程等の周知に向けて適切な措置を講じることが重要である。特に、利用者が消費者である場合には、業務規程を十分に理解することができるような環境を整えることが必要であり、そのために、利用契約の締結に先立ち、電子登録債権の特性や取引に関するリスク等を分かりやすく説明するなどの配慮を行うことなどが求められる。

    また、ITに関する知識・能力の水準は利用者により異なるため、管理機関に対する請求を中継機関(経由機関)を経由して行えるようにするなど、利用者のIT環境への配慮が求められる。

6 その他

  • (1)金融商品取引法等との関係

    現在、商業手形や指名債権は金融商品取引法の規制の対象とされていない。したがって、電子登録債権がこれらと同様の利用にとどまる限り、同法の規制の対象とする必要はないと考えられる。しかし、電子登録債権は一定の流通性が確保され、多様な利用方法が考えられる仕組みであり、金融商品として広く取引される可能性がある。このため、電子登録債権の利用実態を踏まえつつ、投資性が高まるなど規制を及ぼす必要が生じる場合には、機動的に金融商品取引法の規制を適用することが適当と考えられる。また、資金調達の手段として広く投資家に対し勧誘を行うなど、投資家保護のため予め規制を行う必要がある場合も想定されることから、実効性を踏まえつつ、金融商品取引法の規制を適切に適用することを検討する必要がある。

    なお、金融商品取引法の規制を適用する場合には、金融商品販売法の規制についても、同様に適用することが適当と考えられる。

    また、本人確認法による本人確認義務や、組織的犯罪処罰法による疑わしい取引の届出義務については、社債等の振替機関など幅広い対象に対し課されているが、これらの法律の趣旨に鑑みれば、電子登録債権に係る取引にこれらの規制を適用しない理由はなく、管理機関に対し本人確認義務等を課すことが適当と考えられる。

    なお、電子登録債権の仕組みを踏まえれば、電子登録債権がSuicaやEdyなどのように、いわゆる電子マネーとして利用される可能性は現段階では低いと考えられ、当面、特別な規制を行う必要はないと考えられる。

  • (2)電子登録債権のネッティング

    多数当事者間の、関連する多数の債権について、ある者がこれらの債権・債務を引き受けることによって、債権・債務を打ち消しあい、清算に要する資金移動額を削減する仕組み(ネッティング)がある。

    この債権・債務を引き受ける者はCCP(セントラル・カウンター・パーティー)と言われるが、ネッティングについては、CCPに関係者の信用リスクが集中し、その信用リスクが、一部債務者の不履行によって、全債権者に伝播するリスクがあり、CCPは重大な責任を負うと考えられる。特に、電子登録債権のネッティングについては、ネッティングに係る相殺について管理機関による同期的管理が行われないため、CCPが、支払等登録などの請求に関し、正しい処理を行わなければ、債務者の二重払いの危険や債権者の権利消滅の危険が顕在化し、決済の安定性を害することとなる。

    なお、現在行われている指名債権のネッティングについては、このようなリスクを認識した上で、関係者の自己責任の下、問題なく処理されているとの指摘もある。しかし、電子登録債権の特性に鑑みれば、電子登録債権のネッティングが一部の限定された者の間にとどまらず、広範に多数の者の間で行われ、社会的な決済網として利用される可能性もある。このため、電子登録債権のネッティングについて、利用者保護の観点から、どのような対応が適切か、検討していく必要がある。

  • (3)標準化等

    複数の管理機関が存在する場合、管理機関ごとに端末機器が異なったり、登録原簿の方式などが異なるときには、利用者の利便等が損なわれることとなる。このため、電子登録債権制度に関し、例えば、登録原簿・請求手続に関する電子フォーマット、電子データ交換・蓄積に関する技術、電子登録債権の記番号管理体系などについて、国際標準も視野に入れた標準化が図られるなど、利用者にとって最適な枠組みが構築されるよう、実務を踏まえた適切な対応が図られることが望まれる。

    また、現在手形交換所で採用されている手形の不渡りの際の取引停止処分制度のような仕組みを導入する必要性の有無について実務的な検討を行うほか、登録の請求手続を簡素化するための実務的な工夫を検討するなど、電子登録債権が適切な形で広く利用されるよう関係者の今後の努力が期待される。


○高橋企画課調査室長

まず、「5 利用者の保護」でございますが、(1)消費者による利用のセカンドパラグラフのところで、消費者と事業者の比較のくだりのところが若干不適切ではないかということと、「民法の原則に戻る云々」というくだりが不適切ということがあったのですが、表現を改めさせていただいております。それから、最後の「利用者が消費者の場合の適切な対応」云々につきましても、例示で「支払期日等の通知等」と入っておりましたが、保護の例示として不適切ということで、そのあたりを変更させていただいております。

(2)は前回と一緒でございます。

(3)につきましては、「インターネットに掲載する」というくだりを「ホームページに掲載する」というふうに改めさせていただいております。それから、最後、「求められる」というふうに、「期待」云々では駄目で、必要性をはっきりすべきということで、そこを改めさせていただいております。

「6 その他」でございますが、まず金融商品取引法等の関係でございます。こちらにつきましては、「実効性がない場合に規制といっても意味がないのではないか」というようなご指摘も受けました。ただ、電子登録債権につきましては、ここに書いてございますように、金融商品として広く取引される可能性がございますので、この前、例示として社債のみを書いておりましたが、社債だけに限らず、幅広く投資家保護のため予め規制を行う必要がある場合も想定されることから、実効性を踏まえつつ、今後、適切に適用することを検討する必要……」というように改めさせていただいております。それから、電子マネーについて例示を入れさせていただいております。

(2)につきましては、前回と一緒でございます。

(3)標準化等でございますが、先回は「標準化」にさせていただいておりましたが、標準化について種々適切な例をいただきましたので、例示を改めさせていただいております。それから、不渡り制度の検討の必要性、あるいは、登録の請求手続についての利便性を考えた実務的な工夫というような点を強くご示唆いただきましたので、このあたりのくだりを書き加えて、「標準化等」というように見出しを直させていただいております。

以上でございます。

○岩原部会長

ありがとうございます。

それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

原委員、どうぞ。

○原委員

前回の意見に基づいて修文いただいたようで大変ありがとうございます。ちょっとつけ加えてということになって大変恐縮なのですが、何点か申し上げたいと思います。

まず、7ページから利用者の保護が書かれていまして、下から2行目のところに、「このように、消費者については、法制面での保護が図られているものの、」と書かれていますが、前回も申し上げましたけれども、少なくともここは「保護が一定程度図られている」と書いていただきたいと思います。新しい仕組みなので、今の民法とか消費者契約法とかで万全なようには考えられないので、これは単なる文章的な表現ですけれども、お願いしたいと思います。

それから、8ページの(2)で利用者の情報の保護ということが書かれているのですが、前のところで民法とか消費者契約法とかいう法律を引用していらっしゃるので、4行目の一番最後のところに「厳正な対応が行われるべきである」と書かれていますけれども、個人情報保護法の名称を出しておいていただきたいと思います。全体に個人情報保護の観点が薄いような印象が、議論の中でもありましたので、できればここに「個人情報保護法の理念を生かし」とかいう文言を追加でお願いしたいと思います。

それから、「6 その他」から始まっています3つの項目ですが、金融商品取引法もネッティングも標準化も大変大きな課題なので、「その他」というタイトルで括るのはちょっと印象が違っておりまして、「残された課題」とか「今後検討すべき論点」とか、そういうタイトルにしていただきたいと思います。中で指摘されている点はまた今後の課題になると思いますが、一番最後が「標準化等」ということで、尻切れとんぼになっていて、まだまだこれからの仕組みなわけですから、今後の状況に応じてはさらなる検討を深めていくとか、追加していくというのが、こういった報告書の最後にはあると思います。よろしくお願いしたいと思います。

○岩原部会長

では、事務局から、今のご意見に何か……。

では、野村委員、どうぞ。

○野村委員

私も同じ印象を持っていたものですから、発言させていただきたいと思います。再三にわたって先ほど池田委員からもご指摘がありましたように、私どものWGでは、将来、現在想定されているビジネスモデル以外のものが、電子登録債権がこの世に生まれることによって発展してくる可能性があると。その場合に、今想定されている段階での規制を過度に設けてしまいますと、そこを抑制する可能性があるのではないかということが盛んに議論されたわけでありまして、将来的には成長性のある規制にしていただきたいと。要するに、発展を尊重していただきたいということが、WGのとりまとめになっていたかと思います。

そういう意味では、電子登録債権が生まれて、新しいビジネスが展開された後には、不断に規制の内容を見直ししていくことの必要性はぜひ謳っておいていただきたいと思っております。導入の段階ですので、やや信頼性に偏った形の規制になっているやに思いますけれども、今後どういうものが望ましいかというのは、やってみなければわからないというところがあろうかと思いますので、ぜひそうしていただきたいと思います。

それはほかの規制で、例としては不適切かもしれませんが、例えば、保険仲立人を導入したときは、危ないというので相当規制を過度にしてしまった結果、今やっている人がどんどん減ってしまっているという状況があって、リーテル分野ではほとんど誰もやっていないという状況になっています。こういうことについて、問題が提起されて、一旦規制をつくってしまいますと、規制の緩和がなかなか行われないという現状がありますので、今回はぜひ将来に向けて不断の見直しをするということは書き加えておいていただきたいと思います。

○岩原部会長

では、事務局、お願いします。

○高橋企画課調査室長

ご指摘を踏まえまして、例えば、最後、7番目に「むすび」というような形で、今、野村委員がおっしゃられた趣旨、あるいは、書けるのであれば、先ほどおっしゃられたような競争制度とか、そういった精神を書き加えるのであれば。この時点でどのような文面がいいかというのは直ちにご提示できないんですが、ご趣旨を踏まえて考えたいと思います。

それから、原委員がおっしゃられました一定程度というのが、先回は始関さんとの関係であったかと思ったので、特段入れませんでしたが、よろしければ「一定程度」ということでも構いません。

○岩原部会長

始関さん、どうぞ。

○始関民事法制管理官

私どもとしては、法制審議会で議論してきて、消費者保護は非常に重要な問題であるということで、電子登録債権法制の特別の第三者保護規定は、消費者が関与する場面については一切適用しないということにしております。ほかの取引と比べて消費者の保護が電子登録債権について劣ることはないというふうに考えておりますので、一定程度ではなくて、ほかの取引並みであると思っています。もしもそうではない部分があるというのであれば、ぜひご指摘いただきたいと思います。そうでなくして、「一定程度」という言葉を入れられるのは非常に異論がございます。

○岩原部会長

原さん。

○原委員

法務省の方で考えてくださって、ここについては消費者保護を非常に明確に打ち出してくださっている点については私も聞いておりまして、大変感謝申し上げております。ただ、将来形がどうなるのかわからないというところがあって、万全だというような感じだと若干違うかなと印象で、それほどこだわってはおりませんので、議事録にとどめておいていただければ結構です。

○岩原部会長

それでは、今のように議事録にとどめる点のほかに、幾つかご指摘いただいた中で、高橋室長からお話のあったような点については、なお修文を考えさせていただくということでよろしいでしょうか。

ほかに何かございますでしょうか。池田委員、どうぞ。

○池田委員

本日、私はなるべく修文の議論にならないように、議事録にとどめるという発言をさせていただいたんですが、9ページの(2)電子登録債権のネッティングなんですが、どうしてもここだけはお願いをしたいと思います。最後の3行、「このため、電子登録債権のネッティングについて、利用者保護の観点から、どのような対応が適切か、検討していく必要がある。」と。ここの文章に、「電子登録債権のネッティングについて」の後に「実務上の利点の確保と」というのを入れていただきたい。「実務上の利点の確保と利用者保護の観点から、どのような対応が適切か、検討していく必要がある。」と。

理由を説明します。ずっと我慢してきましたが、この書き方では電子登録債権のネッティングというのが非常にネガティブな印象しか読む人に与えません。危険でやってはいけないものかというような印象すら感じさせる。先ほども野村委員がおっしゃってくださったように「成長」という観点からしたら、ここは非常に否定的な書き方をしています。しかも、これから申し上げる説明をお聞きいただければ、これは電子登録債権の管理機関の問題ではないということがわかっていただけると思います。

取引のスキームについての言及であります。どういうことか。これは現時点ではこうお書きにならざるを得ないだろうとは思いますが、ここに書かれているネッティングのやり方は今のやり方です。したがって、(2)の一番上から読むと、「ある者がこれらの債権・債務を引き受けることによって、債権・債務を打ち消しあい、清算に要する資金移動額を削減する仕組み(ネッティング)」となっています。これはその下にあるCCP(セントラル・カウンター・パーティー)というのが、債権・債務を引き受ける。債権譲渡を受けたり、債務引受をしたりして、権利義務の主体になるんです、今のやり方は。

したがって、その先に書かれているように、「その信用リスクが重大なことになり、CCPが重大な責任を負うことになる。」、これは今のやり方ではたしかです。だけど、私はこの合同会合で何度か申し上げてきたように、電子登録債権を使ったら違うやり方があるでしょうと申し上げているんです。つまり、CCPが債権・債務を引き受けるのではなくて、各グループ企業から電子登録債権のデータをもらって計算するだけの機関になる。そして、各グループ企業から委任を受けて、管理機関に支払等登録の申請を代行する、いわば金融庁の言葉で言う「経由機関」になる。そうなるとこれは管理機関の問題ではないです。

今、1か月分まとめて消し込んでいるというようなところを、その1か月の期中でも、バイの関係で一つ一つ対立した債権をこまめに消して、しっかり証明できる支払等登録を記録として残しておく。こういうスキームを実現させれば、ここに書かれている批判は回避される。そのときに、こういうスキームがこれから実現したときに、ここに書かれている批判を回避した、逃げたやり方だというふうにして規制をしないでいただきたい。もう既に現段階で電子登録債権の権利同士で消し込めるというメリットを活用したスキームだと私どもは言っているのであって、それはここに現時点では存在しない取引だから書けないとおっしゃるんだろうけれども、今、電子登録債権を考えている中でそういう使い方が当然あるということは、経済産業省の研究会でも十分に議論しているところであります。

そういう意味で、最後の文章に「実務上の利点の確保と、利用者保護の観点から」というふうに入れていただけるなら、私は納得します。だけども、これがないと全体として電子登録債権のネッティングは危険なことだというイメージしか与えないように私は思います。それはさっき申し上げた「成長」という、今後のいろいろな取引のスキームの発展を考える上で非常にマイナスになる書きぶりではないかと。だから、ぜひぜひ「実務上の利点の確保と」というような表現はここに盛り込んでいただきたいということであります。

以上です。

○岩原部会長

石川さん、お願いします。

○石川企画課調査室企画官

確かに電子登録債権制度が導入されれば、池田先生のおっしゃるようなやり方をするキャッシュ・マネジメント・サービスも出てくることは否定できませんけれども、我々自身、キャッシュ・マネジメント・サービスについて、銀行やノンバンクから聞き取りしたり、文献を調べたりいたしますと、かなりの部分が債務引受をしているという現状があります。要するに、グループ企業に支払う代わりにおれが立て替えてやると。胴元が入って、その代わりあなたの債権は全部相殺するということで、CCPとグループ企業の関係、債権・債務を一本にしてしまうと。

そういうやり方でキャッシュ・マネジメント・サービスを動かしている例が多いと考えたものですから、それをそのまま電子登録債権に持っていくというケースが必ずあると。そうなりますと、池田委員のおっしゃられた危険性が、債務引受をするようなCCPをやめると言ってくださればいいんですけれども、今までどおり債務引受という形、あるいは、債権譲受という形でCCPをやられると非常に怖いのではないかということが若干我々頭にあったものですから、こういう書きぶりになってしまったということでございます。何も決めつけているわけではございません。

○岩原部会長

この点につきましては、池田委員に前からご指摘いただいておりますが、非常に難しい問題で、私も一番悩んでいるところなんです。まず言葉の使い方としては、そもそも債権・債務を引き受けるセントラル・パーティーになる機関を持つというのがCCPですから、池田先生のおっしゃるようなただの計算機関になった場合には、それはCCPとはまた別のものになるかと思います。野村先生ご指摘のような機関がどのようにできるのか、私法的な問題を含めていろいろな検討すべき点があると思っておりまして、現時点において、おっしゃるようなオブリゲーション・ネッティングをマルチでやるような仕組みが、現行法でどれだけできるのかというような点を含め、なお課題は多いと思っております。

ただ、ネッティングができたときの実務的な便益についても考慮した修文にしてほしいという池田委員のお気持ちはわかりますので、その点の修文については事務局に考えていただきたいと思います。

○池田委員

ありがとうございます。一点だけ。今、部会長もおっしゃってくださったこと全部受け入れても、最後のところに「実務上の利点の確保と」というような形で入れること自体は、ほかの委員の方はあまり反対なさらないというか、賛成してくださるのではないかと思いますので、何人かの方のご意見があれば、それもぜひ聴取していただきたいと思います。

○岩原部会長

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

池田委員ご指摘の点についてはぜひご配慮いただければと考えております。岩原部会長がおっしゃったCCPについてはいろいろ課題があるというのは実務界でも承知しております。ですから、大々的に拡大して利用するということは現状していないわけですし、ある意味では自己規制を働かせているのかもしれません。池田委員ご指摘の部分については、電子登録債権のネッティングについて触れられている部分でございますので、ここはCCPに限定した話ではなくて、ネッティング一般について行われている議論だろうと思います。ここの部分については、「実務上の利点の確保」というのは大変重要な側面かと認識しておりますので、ぜひご検討を賜れればと思います。

○岩原部会長

では、三國谷局長、お願いします。

○三國谷総務企画局長

いずれにしても、この問題は相当いろいろなことを考えていかなければいけなくて、いろいろな方々のご意見も伺いながら実務的に検討していきたいと思っております。この問題は、ファクトをワンパターンで決めつけて議論する話ではなくて、従来型のものであればどういう問題があるか。

一方、池田先生がおっしゃったようなものであれば、それはまた別の問題が出てくるわけであって、バイの相殺の問題とマルチの相殺の問題というのはどう整理するのかと。マルチの中で一本欠けたらほかのものへの波及はどうなるのか。それから、一旦外で行われる清算の話から、電子登録債権の方へどの段階で入ってきて、どの段階からということを、いろいろ場合分けして考えますと、いろいろな問題が多々出てくるわけでございますが、それぞれディメンションが違うわけでございます。

したがいまして、ここは相当実務的に検討していかなければいけないということでございます。我々の気持ちはいい制度をきちんとこしらえていくということに尽きるわけでございまして、その考え方でやっていきたいと思っております。この辺につきましては、それぞれの実務界の方の実態のヒアリングをさせていただきたいと思っておりますし、一点気をつけなければいけないことは、今の状態でそれぞれの方が考えているイメージが違うところが結構あるのではないか。私自身も頭の中で3つか4つのパターンを考えているんですが、それぞれによって問題の局面がみんな違いますので、そういったことはさらに詰めていきたいと考えているところでございます。

○岩原部会長

ありがとうございます。

はい、池田委員、どうぞ。

○池田委員

一点だけ。今、総務企画局長のご発言があったんですけれども、私も今自分が言っているものが実現するのかどうかということを決めつけて言っているわけではありません。ですから、ここでお書きになっているように検討していく必要があるというときに、利用者保護の観点からだけ検討するのではなくて、実務上の利点の確保というところも検討しなければいけないはずでしょうと。それを一方だけ書くのはいかがなものかと言っているわけです。

○三國谷総務企画局長

私はそこのところについて反論しているわけではございません。ただ、先生もおっしゃられましたように、そういったパターンもあれば、それ以外のいろいろな組み合わせ、一つの資金決済、マルチの資金決済が最終的に電子の世界での決済に至るまでには相当の段階が想定されるわけでございまして、それを一つ一つ、発生、登録の都度から、相殺の都度から、ワン・バイ・ワンでリアルタイムで電子登録債権を経由してやっていくといったら、これはまた別の問題、コストの問題も含めて負荷の問題があります。一方で、それを省略してドンとくれば、その過程において、マルチの場合に、その一部に欠陥があった場合、全体の債権にどういう影響を与えるのか。この辺も両方考えなければいけないわけでございます。

したがいまして、私どもは、この辺は実務の方々が実際にどういうことをお考えなのか、数パターンを考えなくてはいけないと思っております。そういったことで、今のご趣旨も踏まえながら十二分に検討していきたいということでありまして、考えていることは同じ方向を向いているのではないかと思います。

○岩原部会長

マルチのネッティングを導入するときには、実務上の利益があるから導入するわけですから、そういう面も当然考えて、一方で法的にはなかなか難しい問題もございますし、実務的にもいろいろな問題がありえる。これは前に池尾委員からもご指摘のあったところでありますが、そういう両方の面を含めて考えていくということでございます。よろしゅうございましょうか。

○池田委員

修文についてはお考えいただけるということですか。

○岩原部会長

ええ。ご意見を踏まえて考えさせていただきます。

ほかに何かございますか。吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

最後のところで、締めくくりなんですけれども、私の意見としましては、こういう制度があることによって、決済コストが削減されて、決済の迅速性が促進されるというところはあるような気がいたします。そこが何兆円なのか、何千億円なのかはわかりませんけれども。

さらに、一番最後のところに「国際標準も視野に入れた」と書いていただいているんですけれども、希望としては、こういう日本の決済システムがアジアのネットワークになって、そこで日本のシステムが全部使われ、日本の金融業がそこで活躍できるということを個人的には期待しております。

○岩原部会長

ありがとうございます。まさに決済システムのコストを削減するためにこういうものが考えられているわけであります。

原委員、どうぞ。

○原委員

三國谷さんの話を大変興味深く聞かせていただいて、専門外ですけれども、このネッティングのところの書きぶりなのですが、一番最後のところに、利用者保護だけではなくて、実務上の利点の確保ということを入れていただきたいということで、「入れます」というお話だったんですが、それだけでは範囲がすごく狭くて、先ほど三國谷さんから発言がありました決済システム全体の安定性ということが最大だと思いますので、ぜひ実務上の利点とか利用者保護の観点だけではなくて、「決済システム全体の安定性から考える」ということも文章の中に織り込んでいただきたいと思います。

○岩原部会長

はい、わかりました。では、そのご意見も踏まえて修文を考えさせていただきたいと思います。

田中委員、どうぞ。

○田中(浩)委員

金融商品取引法との関係のところで一つコメントさせていただきたいと思います。この内容自体に異論があるということではありませんが、これをぱっと見たときに一つだけ気にかかるところがございます。9ページ目の上から6行目のところで、「管理機関に対し本人確認義務等を課すことが適当と考えられる。」とありますが、この考え方に関してはまさにそのとおりだと思います。

ただ、なぜ気にかかるかと申しますと、実務的なことを考えた場合、本人確認法のところで、通常、証券会社や銀行で本人確認を行うに当たっては、窓口にお客様に来ていただいて、免許証や住民票、保険証といったものの提示を受けて確認するのが基本になっています。来店されない場合ですと、コピーを送っていただくことになります。コピーを受け入れるだけでは確認が不十分ですので、転送不要の郵便を送って、それが届いたことを確認して、本人確認がなされます。このような段取りになっているわけですが、管理機関に同様の義務を課した場合、実務的には大変な作業になるのではないかと思います。

例えば、電子登録債権の譲渡を考えたときに、当事者間で合意がなされていて、いざそれを決済しようと思ったときに、当事者の一方が本人確認を済ませていなかった場合、取引そのものができなくなってしまいます。先ほど申し上げた本人確認のやり方ですと、郵便のやりとりを考えると、1週間程度日数がかかるという状況が発生すると思います。そういう面で、実務的なことを考慮して導入しないと円滑に進まないのではないかと思いますので、導入に当たっては、実務の詰めをきちんと行うことによって実効性のある制度にしていただきたいと思います。

○岩原部会長

事務局でも具体的にどういうふうな確認方法になるかということを事前に検討されていると思いますが、何かございますか。

では、ご趣旨を踏まえた実務の取扱いをつくっていくようにしたいと思います。

ほかに何かありますか。小野委員、どうぞ。

○小野委員

確認的な質問ですが、取引停止処分的なものも検討するということで、これはこれで、手形を切っていない利用の場合にはそのとおりなのかなと思いますが、他方において、利用者の情報保護のところはかなり厳密に秘密保持、厳正な対応と書かれております。信用情報をある程度共有することが取引停止処分の議論だと思うんです。だから、これの(2)の記述が最後の記述によって一部解除をされていると、こういう理解でよろしいんでしょうか。

○岩原部会長

事務局、お願いします。

○高橋企画課調査室長

まず、取引停止処分が必ず入るかどうかについてをこれから実務的に検討しましょうという前提です。それから、すべての管理機関が導入するのかどうかもわかりませんので、手形的な扱いの人たちだけで集まるのか。ある一定の管理機関だけが、自分のところの制度として導入するのであれば、ほかの管理機関と不渡り情報を交換する必要がないとか、あるいは、そうすると、1つの管理機関では不渡りを出したけれども、ほかの管理機関に行ったらまた電子登録債権を出してしまうことになるのかとか、そういったあたりを詰める必要があるというのが、まさに不渡り停止処分の導入の必要性の有無の問題です。

それにあわせた秘密保持規定との関係というご指摘だと思います。あとは、業務規程として許される形で処理されれば、秘密保持規定が解除されるような形で条文を整理するなど、そこのところは何らかの工夫ができるようにとは考えております。

○岩原部会長

まさにそういう情報の管理の問題を含めてこういうような機関をつくることができるかどうか、こういう制度をつくることができるかどうかを検討しましょうということだと思っておりまして、なかなか課題が多いのかなと私個人は思っております。よろしゅうございましょうか。

木村委員、どうぞ。

○木村(裕)委員

内容はこれで賛同というか支持をするところでありますし、修文を求めるわけではありませんけれども、利用者の保護のところの8ページの(3)の周知等というところで、管理機関は業務規程、概要をホームページに掲載する等々、適切な措置を講じるということですが、この制度自体がコストの提言とかスピード性の確保ということでメリットがあると。利用者もなるべく多くの利用者に利用してもらうということを考えますと、広報、周知徹底ということで、金融庁がやるのか法務省がやるのかよくわかりませんけれども、行政サイドからも取組みをお願いしたいと思います。

○岩原部会長

どうもありがとうございます。

ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、終了の時間も近づいてまいりましたので、本日の会合は以上で終了させていただきたいと思います。

本日もさまざまなご意見をいただきました。若干の修文のご指摘はいただきましたけれども、おおむね報告書(案)についてご賛同いただいたかと存じております。そこで、本日いただきましたご指摘を踏まえた若干の修文の扱いを含めて、部会長である私に報告書の取扱いについてお任せいただけませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。

どうもありがとうございます。

本合同会合における電子登録債権をめぐる議論については、本年6月以降8回の会合を開催してまいりましたが、今回で一応区切りとさせていただきたいと考えております。ただ、この報告書では電子登録債権に係る私法上の論点については法制審でのご議論を前提にしております。法制審では残された論点は主に技術的なもので、金融審の議論に直接影響するものはあまりないのではないかと思っておりますが、先ほど若干議論がありましたように、法制審での議論はなお続いておりまして、新たな論点が浮上することも否定できません。

また、本報告書にございますように、また、皆様に大変熱心なご議論をいただきましたように、多数当事者間の債権・債務に関する、いわゆるマルチラテラル・ネッティングにつきましては、利用者保護、あるいは利便性の問題、あるいは決済の安定性といったような観点から、どのような対応が適切か、引き続き事務局によく検討していただく必要があるのではないかと思っています。非常に難しい問題でございますので、三國谷局長からご指摘ありましたように、いろいろな形態も想定されうるわけであります。そういういろいろな場合についての問題点を詰めていく作業が必要かと考えております。

このように法制審の審議状況等を見極める必要もございますので、本日のご意見を踏まえた最終的な報告書や、公表のタイミングについては、私どもにご一任いただきまして、12月19日の法制審の検討を踏まえ、適切なタイミングで対外公表をさせていただきたいと考えておりますが、それでよろしゅうございましょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、最後に、金融庁を代表して三國谷局長から一言……。

野村さん、何ですか。

○野村委員

すみません、異例な発言で恐縮でございます。大したことは申し上げないのですけれども、今日で一応WGもお終いということになるんでしょうか。まだ続くのかもしれませんが、一区切りという理解でよろしいんですか。

○岩原部会長

合同会合としての今回の検討は一区切りということになります。

○野村委員

23回もやっているものですから、これで終りになったときのためにちょっとお話させていただきたいことがあるんです。

WGの方は、この電子登録債権だけではなくて、電子マネーの話もその後ずっとご議論いただいて、皆様の意見を頂戴したという経緯がございます。今回の報告書の中にも電子マネーのことが若干言及されていますけれども、電子登録債権が電子マネーに利用される可能性はないということでのとりまとめにはなっていますが、電子マネー法制そのものについての、あるいは、決済システムそのものについての、再検討についての課題はWGでも提言させていただいておりますので、これで電子登録債権が終わったので忘れてしまわないように。その部分は大事な課題だと思いますので、ぜひご記憶にとどめていただいて、今後ご検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○岩原部会長

電子マネーあるいは決済というのは、金融制度の根幹にかかわってくるところで、これはまさに金融審として今後ぜひ取り組んでいかなければなりませんし、この電子登録債権を検討している過程でも、本当の問題は決済制度にあるという問題が多かったように思っております。これは和仁委員ほか何人かの委員からご指摘いただきましたので、ぜひ三國谷局長に引き続き検討をお願いしたいと思っております。

それでは、三國谷さん、お願いします。

○三國谷総務企画局長

どうも長い間にわたりまして、特別審議をいただきまして、一応のということでございますので、一応のごあいさつをさせていただきます。

この問題につきましては、WGの皆様方とも精力的にいただきまして、さらに合同でやらせていただきました。また、法務省さん、経産省さん、日銀さんにもご参加いただきまして、それぞれバトンを渡し合いながら、これから私どもがバトンをいただき、また法務省さんもバトンをいただくということかと思います。かねがねいろいろなところで申し上げるのでございますが、率直に申し上げまして、制度をつくるときには審議会までご報告をいただくまでの過程と、これから実際に法案化する過程と、また、ご審議いただく過程があるわけでありますけれども、それぞれ別な局面でございます。

私ども、法案化する過程では、現段階ではこのような形、あるいは、一つの方向をいただいたといたしましても、相当詰めなければいけない問題が多々出てくるわけでございます。他法令との整合性とか、実務の方とのヒアリング等を通じまして、これを具体化していく過程におきましては、相当難問があるいは課題が出てくることが想定される次第でございます。過去にペーパーレスというものに取り組みましたけれども、あれもいろいろなご指導をいただきましてから数年がかりで完成させたものでございます。

この問題は、ある意味では現実に起きていることよりも、これから先どうなるかということを展望しながらやる話でございますので、空中の中から物事をつくり出すという作業もございます。相当難解な作業でございますが、私どもバトンをいただきまして、また一生懸命ゴールに向かって走ってまいりたいと思いますので、引き続きここにご参会の皆様のご支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。

最後に、岩原部会長、それから、野村座長、堀内会長、ここまで精力的にご審議をいただきまして、ありがとうございました。引き続きご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。

○岩原部会長

大変ご懇篤なお言葉ありがとうございました。

なお、この後、記者会見を行いまして、本日の会合の模様につきましてお話をさせていただきたいと考えております。

それでは、事務局から連絡事項があればお願いしたいと思います。

○高橋企画課調査室長

事務局から、12月25日(月)を合同会合の予備日として皆様方にご連絡を差し上げておりましたが、ただいま部会長からご説明がございましたように、本日ご審議いただきました報告書(案)でおおむね皆様方のご賛同を得たのではないかと思っておりますので、12月19日の法制審の審議で、もう一度ご議論いただくような変更がないと判断されれば、部会長と相談の上、対外公表を行いたいと思います。この場合は、25日の会合はキャンセルということになろうかと思います。

また、対外公表する報告書につきましては、先ほどいただきましたご意見等を含めまして、事前に各委員の方々にもご連絡を差し上げたいと思っております。あわせて、最終的には金融庁のホームページ等に掲載させていただく予定でございますので、ご了解いただければと思います。

○岩原部会長

どうもありがとうございます。

それでは、以上をもちまして審議を終えたいと思います。本当に皆さん長いことありがとうございました。

以上

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