金融審議会金融分科会第二部会(第39回)・保険の基本問題に関するワーキング・グループ(第36回)合同会合議事録

日時:平成19年9月18日(火) 16時00分~18時06分

場所:中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

○岩原部会長

それでは、時間でございますので、ただいまから第39回金融審議会金融分科会第二部会及び第36回保険の基本問題に関するワーキング・グループの合同会合を開催いたします。

皆様、本日はご多用のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議は公開ということにさせていただきたいと思いますので、まずその点をご了承いただきたいと存じます。

今回、第二部会につきましては本年4月のリレーションシップバンキングに関する審議以来でございまして、保険の基本問題に関するワーキング・グループにつきましては平成16年11月、前回の保険業法改正についての審議以来の会合ということになります。

議事に入ります前に、本年4月の第38回第二部会以降の専門委員の方のご異動がございますのでご紹介申し上げます。

鈴木委員、玉井委員、平野委員、渡邉委員がご退任になりまして、柄澤委員、國部委員、田川委員、筒井委員がご就任になられました。

また、保険の基本問題に関するワーキング・グループの委員の方につきましても、隅山委員がご退任になりまして村田委員がご就任になられました。

また、本日は第二部会の神田委員、堀内委員、水上委員、和仁委員、羽田委員、保険ワーキング・グループの山手委員がご欠席になっております。

それでは、このあたりでカメラ撮りはよろしいでしょうか。ご退席をお願いしたいと思います。

それでは、本日の議事に移らせていただきます。お手元の議事次第に沿いましてご議論いただきたいと存じます。本日の議事の進め方でございますが、大きく分けて3つございます。第一は、保険法改正への対応でございまして、これに関しましてはまず法務省より法制審議会保険法部会におきます検討状況についてご説明をいただきます。引き続き、金融庁事務局より、保険会社に対する監督・規制という観点から考えられる論点等についてご説明をいただき、法務省からのご説明とあわせてご議論をいただきたいと存じます。

第二に、今後第二部会において議論していただきたい項目といたしまして、保険に関する規制緩和などに関連した項目について事務局より説明をしていただきたいと存じます。

最後に第三といたしまして、いわゆる銀行等による保険窓販に関しまして、これまで金融庁で行ってまいりました銀行等における保険募集に関するモニタリング結果についてご報告をいただき、これに関しましてご質問ご意見等をいただきたいと考えております。

それではまず、保険法改正への対応に関しまして、法務省よりご説明をいただきたいと思います。本日は、法制審議会保険法部会の事務局であります法務省民事局の萩本参事官にご出席いただいておりますので、よろしくお願いいたします。

○萩本法務省民事局参事官

法務省の萩本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、法制審議会における保険法の見直しに関する審議の状況についてご紹介をいたします。法制審議会のメンバーと重複している方もいらっしゃいますし、お詳しい方も多いところではございますが、一通りの審議の状況につきまして資料に沿ってご紹介申し上げたいと思います。

資料1-1をごらんいただきながらお聞きいただきたいと思います。まず、資料の2ページ、審議のスケジュールですけれども、そこに記載しましたとおり、昨年9月に法制審議会へ諮問がされまして、見直しの審議をする保険法部会というものが設置をされました。そして、部会においては昨年11月から審議を行っているところでございまして、先月8月に中間試案というものを公表しまして、先週9月14日まで意見公募手続、パブリックコメントの手続を行っていたところでございます。このあと審議を再開いたしまして、来年1月に部会としての要綱案の策定、それから2月には法制審議会から法務大臣への答申ということを予定しておりまして、順調にいけば来年の通常国会に法案を提出したいと考えているところでございます。

資料の3ページには、諮問の内容を記載しておきました。一言で申し上げますと、保険契約についての契約ルールをアップデートすべしというものでございまして、その「見直しのポイント」が資料の4ページですけれども、第一、第二に分かれておりまして、内容をアップデートすると同時に、現在商法の中に片仮名・文語体のまま残っている保険契約のルールを現代語化すべしという、大きな2点を見直しのポイントとする諮問がされたということでございます。

資料の5ページは保険法部会の構成を書いてございますが、部会につきましてはこの金融審のメンバーでもいらっしゃいます東京大学の山下教授に部会長をお願いしているところでございます。

今日の時点での審議の状況のご紹介ということになりますので、先週までパブリックコメントにかけておりました中間試案の内容をご紹介するということにさせていただきたいと思います。中間試案の本体につきましては資料1-2という形で本日配布していただいているようですけれども、引き続き資料1-1に沿ってご紹介申し上げたいと思います。

資料の6ページにありますとおり、中間試案は全体として第1から第4までの構成になっておりまして、保険法の適用範囲に関する部分に続きまして損害保険関係、生命保険関係、傷害・疾病保険関係という組立てになってございます。

その内容は資料の7ページ以下ですけれども、まず7ページに全体像として4点掲げました。これは資料4ページに掲げました見直しのポイントにも沿ったものですが、まず、見直しの対象としては、商法第2編第10章、これはいわゆる陸上保険と呼ばれている部分の契約ルールを定めた規定ですが、これを見直しの対象にするということでして、今回は同じ商法の第3編海商の編にある海上保険に固有の契約ルールは見直しの対象外としています。

それから、大きなところで、これまで商法はいわゆる営利保険を対象とし、その規定を相互保険に準用する形になっておりましたが、これを共済にまで広げるということを考えています。ただ、この点に関係しまして、いわゆる保険というのはどういうものか、その意義を明文で定めるかどうかという点は検討課題とされているところでございます。

それから、現在の商法には損害保険と生命保険しか規定がないところですが、傷害・疾病保険についても規定を新設するという方向で検討が進められております。ただ、傷害・疾病保険のうち損害てん補方式の傷害・疾病保険をどのように位置づけるかにつきましては検討しなければならないところでございまして、中間試案はこれを損害保険に分類する形でとりあえず整理をしてございますけれども、保険業法との関係を含め、この位置づけについてはなお検討しなければならないと考えております。

それから、消費者保護という観点から、現在解釈に委ねられている、強行規定かどうか、あるいは片面的強行規定かどうかという点を規定の中で明示することとする方向で検討が進められています。ただ、この点につきましても、いわゆる企業保険のように消費者保護という観点が必要ない分野につきましては引き続き任意規定とする方向で整理をするとされているところでございまして、詳細の規定ぶりを検討しているところでございます。

資料8ページには今の点に関係しまして、現在の商法の目次を掲げておきました。このうち真ん中やや左にあります第10章保険、この第1節損害保険、第2節生命保険、これらの規定を現在見直しの対象として検討が進められているということでございます。

それから、資料9ページ、契約の成立関係についての検討状況ですけれども、告知義務違反について、次のような見直しが掲げられているところでございます。1つは、現在保険契約者の自発的申告義務とされているものを、保険者からの質問に応答する義務に改めるということでして、改めることによって保険契約者側の負担を軽減しようというものでございます。

それから、いわゆる告知妨害などがあった場合のルールにつきましては現在解釈に委ねられておりますが、これを明確化するということが提案されております。ただ、ここで言う告知妨害の主体、あるいはどのような場合が告知妨害に当たるのかといった点につきましては引き続き検討課題とされております。

それから3つ目ですが、告知義務違反を理由とする解除がされた場合の効果につきまして、現行の商法では保険会社は責任を負わないということになっているわけですが、この規律をそのまま維持するという提案と、告知義務違反が故意ではなく重過失に過ぎない場合には全額免責とせずに保険金額を減額するにとどめるべきであるという提案とがされているところでございまして、これらが検討課題とされています。

それから4つ目は、他保険契約の告知につきまして、現在は実務上他保険契約についても告知が求められる場面があるわけですが、これらについて法律上明文の規定を設けるかどうかが検討課題とされているところでございます。

資料10ページは、同じく契約の成立関係についての検討課題とされているものですけれども、遡及保険につきましては、現在よりもこれを無効とする範囲を狭め、より柔軟に有効とする場面を認めてよいのではないかという方向で検討が進められてございます。それから、保険契約が無効の場合あるいは取り消された場合の保険料の返還につきましては、かなり広い範囲で制裁の意味で返還しなくてよいというのが現在の商法のルールですけれども、制裁を科さなければならない場合を限定し、現行法よりも広い範囲で保険料の返還がされるようにする方向で検討が進められております。

それから、保険証券につきましては、現在の商法の規定は保険契約者からの請求により交付するというたてつけになってございますが、請求の有無にかかわらず基本的に契約の成立後遅滞なく保険証券を保険契約者に交付しなければならないものとするという方向で検討が進められております。

それから、募集や契約締結時のルールにつきましては、契約法上どのような規定を設けることが可能なのか、あるいは設けた場合にどのような効果と結びつけるべきかといった点が検討課題とされているところでございます。

それから、資料11ページは契約の変動関係についてですけれども、危険の増加、危険の減少、それぞれ契約ルールを改めることが検討されておりまして、危険の増加につきましては、現在保険契約者の責めに帰すべき事由によって危険が増加すれば契約は失効する、効力を失うということになっておりますけれども、直ちに失効するとしますと無保険状態が生じてしまうということになりますので、これを避ける意味で直ちに失効するとはせず、その代わり必要に応じて保険者は契約を解除することができるなどの手当てを講ずる方向で検討が進められております。逆に、危険が減少した場合ですが、現在は危険が減少した場合に一般的に保険料の減額請求ができるという規定はございませんけれども、これについてはそのような趣旨の規定を設ける方向で検討が進められているところでございます。

資料12ページは保険給付の場面です。現在、保険金の支払時期につきましては明文の規定がなく解釈に委ねられているところでございますけれども、これについて規定を新設し、保険者が遅滞の責任を負うこととなる時期を明示する方向で検討が進められております。ただ、保険契約にもさまざまなものがございますので、請求があってから何日で遅滞に陥るといったような画一的な規定とすることができるかどうかは検討課題とされているところでございます。

それから、保険者の免責につきましては基本的に現行法のルールを維持するという方向で検討が進められておりますが、いわゆる地震免責を法定の免責事由として掲げるかどうか、あるいは自殺免責につきまして免責となる期間を一定の年数に限定するかどうかといったあたりが検討課題とされているところでございます。

それから、保険金の請求あるいは保険金の支払いの場面での契約ルールをどうするかにつきましては、先ほどの契約の募集あるいは契約締結時のルールと同様に、契約法上どのような形で規定を置くことが可能なのか、あるいはその場合にどのような効果と結びつけるのが適当かといったことが検討課題とされているところでございます。

そのほか、保険給付、すなわち保険金請求権につきましては、差押え禁止の規定を設けるかどうか、あるいは保険者の財産に対する一般先取特権の規定を設けるかどうかといった点が検討課題とされているところでございます。

資料13ページは契約の終了関係ですけれども、現在保険契約者による契約の任意の解除につきましては非常に限定された場面でのみ認められておりますが、これを一般的に認める方向で規定を設けることが検討されているところでございます。

それから、現在規定がございませんけれども、モラルハザードに対処するために重大事由による解除について明文の規定を設ける方向で検討が進められているところでございます。

それから、いわゆる保険料不可分の原則につきましては、現在の商法には解釈上これを採用しているといわれる規定がございますけれども、今回の見直し後につきましてはこれを画一的には採用しない、保険の種類によってはこれを採用すべき場面もあるかもしれませんが、画一的に採用する旨の規定は設けないという方向で検討が進められているところでございます。

それから、保険料の不払いを理由とする契約解除の催告につきまして、契約法上何か明文の規定を設けるべきかどうかという点も検討課題とされているところでございまして、これについては解除する前の催告を義務づけるかどうかといった点が問題とされているところでございます。

それから、資料14ページ以降は個々の契約に固有の論点でございます。14ページは損害保険関係でございまして、超過保険、重複保険につきましては現行法上、保険金額が保険価額を上回っている部分を無効とする形になっておりますが、これを一律に無効とはせず、適切な規律を設けるという方向で検討が進められてございます。

それから、責任保険につきましては現行商法に規定がございませんけれども、これについても規定を設ける方向で検討が進められておりまして、特に、損害賠償の被害者が加害者を被保険者とする責任保険の保険金から優先的に被害の回復を受けることができるようにするという方向で検討が進められてございますが、具体的にどのような場合にどのような要件でどのような法的な仕組みでこれを実現するかにつきましては難しい問題、法的な検討課題が残っているところでございます。

資料15ページは生命保険あるいは定額給付の傷害・疾病保険関係でございますけれども、これにつきましては、現在一定の金額を支払うとなっているルールを見直して、金銭以外の保険給付、いわゆる現物給付と呼ばれているものですが、これを許容することの当否が議論されているところでございます。

それから、他人を被保険者とする保険契約につきましては、被保険者の同意につきまして、基本的に現行法のルールを維持する方向ではありますが、どのような場合にこの同意を効力要件としなくてよいのか、あるいはこの同意について書面性を要求するかどうか、あるいは被保険者が未成年者などの場合のルールをどうするのか、あるいは未成年者について死亡保険金額の上限金額を設定すべきではないかといった点が検討課題として残っているところでございます。

それから、この被保険者の同意に関しまして、現在の商法には規定がないところですけれども、被保険者が自らの意思で契約関係から離脱する、それによって契約関係が終了するということも認めるべきではないかという提案がされているところでございまして、どのような場合にどのような法律構成で認めるかが検討課題とされているところでございます。

資料16ページ、同じく生命保険あるいは傷害・疾病保険関係ですけれども、保険金受取人の変更についてそこに掲げました3点の見直しをすることが検討されております。まず、現在の商法の規定上は契約時に変更権を留保した場合にのみ保険金受取人の変更ができるとなっておりますが、これを原則自由に変更できるようにするという点がございます。

それから、保険金受取人の変更につきまして、その意思表示を誰に対してするかという点は現在解釈に委ねられているところでございますけれども、この相手方を明示する方向で検討が進められてございます。

それから、遺言によって保険金受取人の変更ができるかどうかも現在解釈に委ねられているところですが、これを明文で明らかにするということもあわせて検討されているところでございます。

その次の大きな項目には、保険金受取人等の意思による保険契約の存続と書いてございますが、講学上、いわゆる介入権という形で議論されているところでございまして、保険契約者以外の者、保険契約者の債権者や保険契約者が破産した場合の破産管財人などが保険契約を解除して解約返戻金を取得するという場面において、それでは保険金を生活保障としてあてにしていた保険金受取人の生活が危ぶまれる場合が出てくるということを意識しまして、保険金受取人などが解約返戻金相当額をこれらの債権者や管財人に支払うことによって契約を存続することができる、そういう仕組みを導入してはどうかという提案がされているところでございまして、これもどのような法律構成でこれを実現するかなどが検討課題とされているところでございます。

最後に資料17ページですけれども、保険期間の満了前に保険契約が終了した場合に、保険契約者側がいくら保険料積立金あるいは解約返戻金などを支払ってもらえるかということにつきまして、現在一般的な規定がないところですけれども、これにつきまして一般的な規定を設ける方向で検討が進められております。もっとも、具体的にさまざまな種類の保険契約を想定して、どのような規定を設けることが可能なのか、具体的な金額をどのように定めるのが相当なのか等々、難しい問題が残されているところでございます。

それから、契約前発病不担保条項につきましては、これについて何らかの制限を加える、すなわち、その効力を制限するような契約法上の規定を設けるかどうかといった点が検討課題とされているところでございます。

駆け足でございましたけれども、主に現行商法のルールを変更する方向で検討が進められている点、あるいは契約法上規定を設けるか設けないかが議論されている点、あるいは業法の世界の規制ないしルールとの関係で調整を要する点を中心にご紹介いたしました。

以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

続きまして、事務局より保険法改正に対応して保険会社の監督・規制という観点から考えられる論点等について説明をお願いしたいと思います。

○諏訪園保険企画室長

保険企画室長の諏訪園でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

萩本参事官、どうもご説明ありがとうございました。

それでは、座ってご説明させていただきます。資料1-3でございます。保険法改正への対応についてというペーパーについてご説明したいと思います。

めくっていただきまして3ページ目でございますけれども、まず保険に関する主な法制度と保険法改正の影響ということでございまして、今ご説明いただいた商法におかれている保険編についての改正の議論が進んでございます。これに対しまして、保険業法と、各協同組合法等、これが保険を業として営む保険会社に対する規制・監督の在り方を規定、あるいは共済事業を営む協同組合に対する規制・監督の在り方を規定というふうになってございます。

今回保険法が改正されるにあたり、保険業法等に基づく保険会社に対する規制・監督の在り方にどのような影響があり得るのか。また、保険会社に対する規制・監督という観点から見て今回の保険法改正に関する中間試案において示されたさまざまな論点や選択肢についてどう評価するのかといったことを中心に論点を整理いたしました。

その前に、次のページでございますが、簡単に保険制度の変遷として、明治32年の商法の制定、33年の同保険業法の制定以来その後の改正経緯を簡単にご紹介させていただいております。

それから、次のページ、5ページで保険業法の構成といたしまして、第1編に総則、第2編に保険会社等に対する各種の規制、それから第3編については保険募集に関する各種の規制、第4編雑則、第5編罰則、という構成になってございます。

それから、6ページ目におきまして、諸外国における保険法・保険業法の状況ということを簡単にご紹介しておりまして、例えばアメリカではマッカラン・ファーガソン法により、各州がそれぞれ保険法に基づいて包括的に保険業を監督している。保険契約上の法律関係は基本的に各種の判例法。ただ、保険監督法である各州の保険法により使用すべき保険約款を直接規定、あるいは各種保険契約に関する標準項目を定め、これよりも保険契約者に不利益な約款条項を認可しない等、実質的に保険契約の内容を規律する。

あるいはイギリスですと、すべての金融サービスを一元的に監督する金融サービス市場法により保険業を監督。そして、保険法的なものはむしろ判例法によっているというもの。

それから、フランスについては、保険契約については保険法典第1編、保険会社の監督・相互会社の規定については第3編等々と、1つの法典に定まっております。

ドイツはわが国の業法に相当するものとして保険監督法が定められており、契約については保険契約法と、日本と近い形になってございます。

主な論点として、これまでの法制審議会の議論及び中間試案を踏まえまして、事務局のほうで先ほどのような視点に立った場合、どういった事項が主な論点としてあがるだろうかということで、大きく8つ、それ以外にもその他として整理させていただきました。

8ページをお願いいたします。まず、保険の意義でございます。先ほどお話がございましたように、保険法において保険の定義を明確にすることは重要であるという議論と、それからそれが2つ目の○では重要であるが難しい問題であり、例えば保険の意義において、その資本の概念とか付加保険料の構成要素というものが何を指すのかということまでも整理する必要があるといったものも指摘がございました。

それから、仕組みようによって入院保険や一部の死亡保険でも保険から外すことが可能となり、保険の意義を厳密に定義すれば保険と同じ性質の契約が保険法から外れて契約者保護の規律に服さなくなる。さらに、保険業法は保険法における保険の意義に引きずられ、非常に重要な保険の実質を備えたものが保険業法の網からこぼれかねないという懸念が示されました。

また、保険デリバティブ、保証業務あるいは見舞金的なものとの境界の線引きは現実的に難しく、慎重な検討が必要ではないかといったご意見ですとか。あるいは中間試案の中にございますが、「多数の者が」という要件を仮に入れました場合、保険会社が扱う保険の中で人工衛星保険やモデルの足の保険といったものが少なくとも保険法上の保険の定義から外れる。

すみません、ちょっと誤植です。その他第三者との関係に関する規定、第三者効と呼ばれるものでございます。それから、利得禁止規定等の強行法的な保険法の規律をこういった保険が受けなくなるということは問題ではないかというご意見も出されてございました。

2点目、保険募集でございます。例えばこれにつきましては、一般の損害賠償の議論ではセールスで言われた内容を損害とすることは非常に難しい。しかし、それを補償させるという政策判断があるのであれば、特別な損害賠償の推定規定等を設けるべき。

損害論とは別に、金融商品販売法で置かれたような推定規定、因果関係あるいは損害の推定、証明責任の転換の規定と同じようなものを保険法に置くことは可能。保険業法第283条とともに同法第309条を保険法に移すことを要望というものもございました。

これに対して反対論が3つ目でございまして、4つ目は慎重論、反対論ということでございます。

それから、5つ目の○は保険業法283条は保険業法に便宜上あるが、一般私法上の規定なので保険業法にあるべき規定か保険法に移すべきか議論する必要がある。

最後の○でございますが、保険監督上、業務の運営が正しくない場合に是正を求める。罰則が付くとの保険業法に規定する効果もふまえて、保険募集の問題を保険法、保険業法どちらで抑制していくかという問題である、というご意見も示されております。

それから、保険金支払でございます。保険契約者からは請求後いつ支払われるのかある程度目安が必要。例えば現行の約款では生保5日、損保30日を一つのメルクマールとして、そこから事実の確認で延長されるときにその延長期間を本当に必要なものに限定させ、それが保険契約者の側から担保されることが必要。

あるいは次の○ですが、損害確認のために通常必要な期間という規定を設ける場合には、より具体的な規定ぶりにする必要があるといったご意見と、3つ目の○はむしろ慎重論でございます。

それから4つ目の○は、今度は別な話でございますが、保険金請求妨害、保険金請求についての説明等の義務について規定を置く必要性は大きいのではないか。

その一方で、不払い問題に対して何から何まで保険法で取り上げるという必要はなく、保険契約期間中の請求案内義務は現在のところ不要という反対のご意見もございました。

また、保険金請求妨害にはいろいろなパターンがあり、それを条文にするのは難しい。

保険金請求についての説明義務も、被保険者や保険金受取人等いろいろパターンがあり、またプライバシー、個人情報の関係があるので、同様に難しいとのご意見もございました。

それから、生命保険契約における保険給付の内容としての現物給付。これについて、現物給付は将来の商品設計であり得るところ、それを無名契約としてしまうのか、典型契約として契約法で規律するのかという視点からすると、現物給付は契約法において認めるべきではないかというご意見がございました。

これに対して、生存保険で老人ホーム入居権を給付目的とする場合、保険金支払と老人ホームの入居権を20年後に選択できるものであればニーズも想定され、認めることは可能。しかし、保険金支払を含めずに老人ホーム入居権だけだとすると、契約者の立場からは不確定な給付を約束され、そのため20年間保険料を支払ったにもかかわらず、20年後には老人ホーム入居権のコストがかなり低下する可能性があり、リスクが高いのではないか。

現物給付の問題は、保険業法的にも非常に大きい問題を含んでおり、保険会社の業務範囲、健全な経営の観点からも十分検討する必要がある問題。保険法の生命保険契約の定義で所与のものとすると保険業法にも問題がはね返ってくるのではないかというご意見がございました。

それから、保険料積立金等の支払についてでございます。規定に基づいて解約返戻金等を請求した場合に、契約者にとって主張・立証できる使える権利になるかという点が問題である、重要であるということでございます。本当に使える権利にするためには、保険業法とあわせて機能できるような制度を考える必要がある。

保険法において解約返戻金について明確な規定を置く必要があり、さらに約款において各年度の解約返戻金額を明確に開示すべきではないか。

一方で、解約返戻金の規定は、公正な保険数理に従うと定めるにとどめることも可能とかいうご意見もございました。

また、今の書きぶりで本当に現在の商品がカバーできているのか。将来の商品も含めてカバーでき、消費者にとっても合理的というような規定がもっともも望ましい。

さらには、現在のわが国の監督実務では家計保険について基本的に事前認可制をとっているから、保険法で解約返戻金の規定を置くことにより、これまで以上に厳正なチェックを期待できるのではないか。その意味で、保険法において強行法規として控除できる額を限定することは重要というご意見もございました。

それから、未成年者の死亡保険、子ども保険についてでございます。これはいろいろな事件もあり、幼児の生命保険について、葬祭費用程度を超える生命保険を法律上禁止すべきではないかというご意見もございました。これに対し反対の意見も下に紹介してございます。

それから7番、損害保険会社に対する先取特権。損保についての先取特権を認めないのはおかしいのではないかというご意見があり、民事基本法の使命として、先取特権については保険法に規定を置くべきというご意見がございました。

それに対して3つ目として、これに反対する意見としては、他の投資家との関係を考えたりあるいは既存のセーフティネットとの関係で慎重に検討すべきではないかとか、債権者平等の原則との関係で、契約者だけを優先的に地位を与えていいのかというような慎重論がございました。

それから最後は、いわゆる傷害・疾病保険契約、第三分野に関する規定の創設でございます。傷害・疾病保険の保険契約の位置づけについて、実損てん補方式は損害保険契約であるとすると、傷害・疾病保険について2つに分けて、その一方を新たな傷害・疾病保険として取り上げるというところが社会生活上の観念からわかりにくい。

それから、実損てん補方式の傷害・疾病保険を損害保険契約と位置づけて、傷害・疾病保険の規定は適用しないとした場合の具体的問題は介入権ではないか。長期疾病の保険契約には解約返戻金がある程度積み上がる契約というのはあり得るので、それに対して債権者が解約してくる可能性はあるところ、損害保険契約だから仕方がないと割り切ってよいのか。

さらには、傷害・疾病保険について第三分野として一定の世間で確立された考え方があり、実際商品として密接不可分なものとして認識されているところ、定額給付や実損てん補が入り、さらに傷害による死亡が入っているので混同されないようにすべき。仮に保険業法と違う定め方をするのであれば、今の第三分野と違うものとわかるような名称をつける等の配慮が必要である。

その他としまして、ほかに保険会社に対する規制・監督の在り方、保険業法、監督指針などにどのような影響があり得るのか。また、保険業法という側からみて、今回の保険法改正に関する中間試案において示されたさまざまな論点や選択肢についてどう評価するか。

以上、事務局のほうで少し整理させていただきました。以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。萩本さん、諏訪園さん、ありがとうございます。

法制審議会の保険法部会におきましては大変な時間をかけて非常に多くの問題を検討しておりますので、ただいまお二人からのご紹介は本当にそのエッセンスをお話しいただいたわけで、恐らく十分議論を紹介しきれていないところもあるかもしれませんけれども、以上のお二人のご報告をもとに、今回の保険法改正への対応に関しまして保険会社の監督・規制という観点からご質問ご意見がございましたらご発言を願いたいと思います。いかがでしょうか。

それでは、筒井さん、どうぞ。

○筒井委員

保険法の改正、これは現代化ということで非常に大きい意義があると思っておりまして、大変なご尽力に敬意を表したいと思います。

中間試案の内容、契約者の保護でありますとかあるいは保険の健全性ということに十分配慮がされておりまして、そういう意味で大きな方向性については賛同いたすところでございますが、この保険法の改正とそれに伴う業法の改正というものの検討に当たりましては、2つの視点から慎重な検討が行われるべきであるというふうに考えております。

1つ目は、契約法と業法とはおのずから法の目的が違いますので、契約法の改正を直ちに業法の改正に結びつけるべきものではないということでございます。特に、先ほどもございましたが、中間試案にある実損てん補型の傷害・疾病保険というものにつきましては損害保険として成立するという提案となっておりますが、一方であくまでこれは傷害・疾病保険の規律を適用する方向で考えるべきといった指摘もございました。ご承知のとおり、保険業法では過去の経緯も踏まえまして第三分野商品として、これは生保、損保、双方の会社が取り扱いができる業務として明記をされております。ここでもし損害保険と位置づけられまして生命保険会社では扱えないということになりますと、生命保険会社でお客様のニーズに応えられないあるいはお客様の選択肢を奪う、あるいは規制改革の流れにも逆行するということになるものと考えております。

したがいまして、保険法上どういう区分に属させるかということを保険業法の枠組みにまで影響を及ぼすべきものではなくて、保険会社がこれまでお客様ニーズに対応してきた商品を販売できなくなるような保険業法の改正というものは行うべきではないと考えております。

2点目は、保険業法等に詳細にこの具体的なルールを記載するということではなくて、あくまで経営の責任を全うさせることで規制目的を達成するという、プリンシプルベースの規制という視点からの検討が必要だということでございます。

特に、先ほどございましたが、未成年者を被保険者とする契約に金額制限を設けるべきかというところについて議論がありますけれども、その中でも保険金絡みの犯罪ということについては業界としても最もこれは避けなければならないことでございまして、現時点では各社とも自己の経営努力によりましてこのモラルリスクの対策を行っております。金融庁の監督指針においても保険金額により慎重な引き受け判断を行う、保険金額が過大な場合のより慎重な引き受け判断、あるいは保険金額の妥当性について、契約者または被保険者の収入や資産等と比べて判断をすることといったことが定められておりまして、生命保険各社はこれにのっとりまして個々適切な対応を行っているものと考えております。

したがいまして、既にこの保険業法に基づく監督指針におきましてモラルリスク防止のための内部管理体制が図られてきているということでございますので、この未成年者を被保険者とする契約に金額制限を法令上設けるか否かということにつきましてはぜひ慎重に検討をいただきたいというふうに考えております。

以上でございます。

○岩原部会長

いずれも非常に議論のある論点についての重いご指摘でありますが、ほかに何かございますか。ございませんか。

では、原委員。

○原委員

恐縮ですけれども、議論の進め方について、今日はこの第二部会とそれから保険ワーキングの合同で開いており、10月、11月も1回ずつ予定されておりますけれども、具体的な検討というのは保険ワーキングでなさるのか、それともこの場だけでなさるのかというのをちょっとお聞きしたいと思います。話が前後しているのかもしれませんが、いかがでしょうか。

○岩原部会長

貴重なご指摘ありがとうございます。とりあえず本日のお二人のご報告をもとにご議論いただいた上で、その後の議論をどの場で行うかというようなことをここでお諮りすることにしたいと思っております。

ほかに何かございますでしょうか。原さん。

○原委員

そういたしましたら、久しぶりの会ではありますけれども、全体的なことと、個別の論点とで発言をさせていただきたいと思います。

まず、100年ぶりの保険法改正ということは大変方向性としては評価をして、消費者としても方向性として評価をしておりますが、主な論点に入る前に全体的な法体系のことで確認をしておきたいと思っております。

保険法が商法から切り出されて保険法という新しい法律ができるということになると、保険法と保険業法との役割分担、また詳細にお互いに連携を取り合ってやっていただかないとすっぽりと両方から抜け落ちてしまうようなことが出てこないかというあたりを気にしておりますので、保険法にまとめる規律、それから保険法なり業法にもそれを実現化する規律があるということ、それから業法に任せる規律と最終的には丁寧に分けていただきたいと思います。

それから、金融商品取引法、それから金融商品販売法、金融商品取引法には投資性のある保険、それから金融商品販売法は一応保険商品全般が入りますので、こちらにもいろいろな重要な規律が入っておりますので、こちらとの整理ということもお願いしたいと思っておりまして、最終的な法体系ですね、保険法、保険業法、金融商品取引法、金融商品販売法を含めた形でどうしていくのか。私としてはこの場合はあちらの法律、こちらの場合はこの法律というようなことではなくて、全体がしっかりした仕組みにでき上がるようにお願いしたいと思います。

それから、現在ある保険業法なのですけれども、これは私も今一度読んでいるところではありますけれども、消費者の観点からすると、まず非常に不備な部分があるという感じがしております。消費者の観点からすると100条の2、それから300条のところ、それから283条、それから別にクーリングオフの規定があるということで、全体的にばらけて消費者、契約者側の規定があります。業法なので監督法ということにはなると思うのですけれども、消費者のあたりは非常にまだ不十分だ、不備だと思っております。先ほども委員の方の発言に、保険法を作ったからといってすぐに業法改正ではないだろうということではありましたけれども、私はやはりこの際抜本的な業法改正、それから保険の法体系の改正に進むべきだと思っております。それが前段です。

それから、個別のところについては、金融庁が考えていらっしゃる論点、今ご説明があったのですが、きょうの資料の1-2のところに中間試案の概要がつけられておりまして、主な論点として掲げられたものと重複する点があるかもしれませんし、それは保険業法ではなくて保険法の話だということになるのかもしれませんが、ぜひ追加的にお願いをしたいと思っておりますのが、4ページの真ん中から下にあります危険に関する告知関係の後注のところです。これは他の保険契約が締結されているかどうかということについての契約者側に告知義務を求めております。これは告知義務違反をすると解除という非常に厳しい規律で後注のところには書かれておりますけれども、これをぜひ業法のところでも検討していただきたい。大変厳しすぎると思っておりますので検討していただきたいと思います。

それから6ページですが、ここがまず(7)保険証券のところの一番最後に注2として、保険証券の記載事項を電磁的方法によって提供する旨の約定等も許容されるとありますが、やはり保険契約は電磁的な方法ということではなくて、最終的には書面ということを考えておりますので、ぜひ、これは業法のところにもかかってくると思いますのでお願いをしたい。

それから、同じく6ページの損害保険契約の成立関係後注、これは各契約共通事項になりますけれども、保険契約の募集や締結の際の規律ですね、これをぜひ保険法か保険業法、保険業法の中にもありますけれども、今の保険業法の300条の規定は何々してはいけないという否定形の書き方になっていて、これは景表法と似たものなのですけれども、そうではなくて、重要事項の説明義務として明確に位置づけるべきだと思いますし、それから民事効ですね、損害賠償請求ができる、説明義務違反には損害賠償請求ができるとしていただきたいと思います。

それから、保険検討チームで、野村先生が座長で私もメンバーでやっておりましたけれども、ここも注意事項の説明義務、それから適合性の原則というあたりを検討してきておりまして、今は監督指針に盛り込まれておりますけれども、これは私はやはり条文にもってくる話だと思っておりますので、お願いしたいと思います。

それから、ここになるのかどうかわからないのですが、保険法の議論でもそれから業法の中でもちょっと余りよく見えなくて、でも消費者から非常に大きい位置づけになるのは約款です。約款をやはり保険法か保険業法の中できちんと位置づけていただきたいと思います。

それから、大変長くなって恐縮ですが、11ページ、これは(7)保険金の支払時期で、これについては金融庁側にも論点で書かれておりますが、必要な期間とか相当な期間という文言が入っております。これをどうするかという、期日を設けるかどうかということは今後の検討だとなっておりますけれども、例えば損害保険の相談室のトラブルのかなりのものはこの支払いの遅れが占めています。やはりここについては業法でもきちんとした検討をしていただきたいと思います。

それから15ページですが、損害保険契約の終了関係の後注の3です。これは保険料不払いによる契約の解除の保険契約者に対する催告ですが、催告を不要とする約定の効力ですけれども、私はこの催告についてもやはり、多分これは業法になるのかもしれないんですけれども、検討をする必要がある。やはり消費者側からするとこういう形で契約が失効するということはできるだけ防ぎたいと思っておりますので、お願いをしたいと思います。

それから、18ページですが、ここに他人を被保険者とする死亡保険契約の被保険者の同意と、それから契約関係からの離脱ということですが、これは法務省の論点のほうには書かれておりましたけれども、金融庁の論点には書かれておりませんで、私はこれは業法の中でも非常に重要な何らかの規定を設けないとうまく動いていかないのではないかと思っておりますので、論点に挙げていただきたいと思っております。

そして、あと2点です、申し訳ありません。それから26ページ、保険料積立金の支払です。これについては論点にも掲げられておりましたのでぜひ検討を尽くしていただきたいと思います。

それから29ページの、これも論点に掲げられておりましたけれども、傷害・疾病保険契約の成立関係後注の2のいわゆる契約成立前発病不担保条項についての規定ぶりです。これについても検討を尽くしていただきたいと思います。

大変長々となりましたけれども、私は先ほど平成16年以来の保険ワーキングの開催であるというふうなお話がありましたけれども、この2年、3年を考えるとやはり販売手法の多様化とそれから不払いの問題が非常に大きかったと思っております。特に不払いの問題については商品性、重要事項の説明義務、支払時のチェック、それから支払時の審査基準の問題、大変複雑な複合的な問題が絡んでいると思っておりますけれども、これはやはり分析をして今回の保険業法改正の中で二度とこういうことが起こらないように方策としては検討していただきたいと思っております。

大変長くなりましたけれども、以上お願いしたいと思います。

○岩原部会長

ほかに何かご質問ご意見ございますでしょうか。森崎委員。

○森崎委員

今後の進め方につきましてちょっと確認をしておきたいんですが。今もお話を聞いておりますと非常に多くの問題提起がございます。法務省の方のご説明によりますと、保険法部会における要綱案策定、これが1月。それから、審議会のおける要綱案の決定、これが2月。それで、法務大臣に対する答申と。法案提出が3月ごろとこうなっておりますが。今、金融庁のほうで整理をされました論点につきましては、この金融審議会で今後論議をするということになるのか、法制審議会の保険法部会でも論議をするということになるのか。それから、9月14日に締め切られましたいわゆるパブリックコメント。それから、ヒアリングがございまして、私どももヒアリングで問題提起をいたしましたけれども、そういうものをまとめて今後どういう形で論議を重ねていくのか。

結構1月といいますと余り時間がないように思いますけれども、その辺のスケジュールにつきましてお聞かせいただきたいと思います。

○岩原部会長

私ども金融審議会は金融審議会として保険会社の監督・規制に必要な問題について取り上げて、それを金融審議会あるいは場合によっては保険ワーキングなどで検討していくということでございまして、法務省の法制審議会保険法部会が取り上げているような問題をすべてここで検討するというようなことは当然あり得ないことであります。ですから、あくまで保険業法等の監督・規制の観点から必要な問題だけを取り上げてここで検討するということになると思います。

○森崎委員

そうしますと、金融庁のほうで一応論点整理をされましたものを法制審の保険部会のほうでは議論するんですか。金融庁のほうでまとめたものをここで議論するというのはよくわかっておりますけれども、金融庁のほうで整理をいたしました論点というのは法制審のほうでやるのかやらないのか。

○岩原部会長

事務局、お願いします。

○諏訪園保険企画室長

法務省の方にもご出席いただいてますが、私のほうからご説明したいと思います。保険法の改正の議論が相当長きにわたって行われ、その中でいろいろな論点がございましたが、そのうち保険会社の規制・監督を行っている保険業法あるいはそれに基づくさまざまな体系の下でやっていく際にどういう影響があるのかというものを主な項目として抽出したものが先ほどの8プラスアルファーということだと思います。

この論点についてもともと法制審で議論されていたものからピックアップしてきておりまして、そういう意味では保険法、契約法的な観点からそういう諸課題にどう対応するのかということと、それからその保険会社の規制・監督という観点から同様の課題についてどういう対応をする必要があるのかという意味で、同じ課題を重複して扱う部分はあるかと思いますが、それぞれ観点がおのずと違ってくる場合があるんだろうと思います。

また、契約法の現段階で抜本的な改正として挙がった事項すべてを金融審で扱うということがないというのは先ほど部会長からご説明があったとおりかと思います。

以上でございます。

○岩原部会長

よろしゅうございましょうか。

それでは、この後の審議事項も混んでおりますので、先に進ませていただきたいと思います。

保険法改正の対応に関する検討課題につきましては、今何人かの委員の方から非常に貴重なご意見いただきましたように、監督の立場からも多くの問題が含まれておりまして、保険会社に対する監督・規制の在り方に係る極めて重要な課題であり、検討に当たっては専門的、技術的な観点からの調査検討が不可欠ではないかと思われます。問題が多いということは先ほどのご指摘にあったとおりでございます。

つきましては、これらの検討課題について、本日皆様方からちょうだいした意見や論点等も踏まえまして、主に保険の基本問題に関するワーキング・グループにおいて検討をお願いし、その検討結果を踏まえて改めて第二部会においてご議論をしていただくことにしてはどうかと考えております。

なお、第二部会にのみ所属されている委員の皆様もご希望によりまして、保険の基本問題に関するワーキング・グループにもご出席いただきたいと存じます。また、座長につきましては引き続き山下委員にお願いしたいと考えております。

このような運びにしてはいかがかと考えますが、よろしゅうございましょうか。

それでは、そのようにはからせていただきます。

それでは、山下座長、どうかよろしくお願いします。

○山下WG座長

山下でございます。ここのワーキングはもう大分開かれてなくて私自身も忘れていたところですけれど、また審議を開始いたします。どうかよろしくお願いいたします。私自身も法務省のほうの司会役もしております。うまく連携をとりながらいい法律をつくってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○岩原部会長

どうもありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。

今後の開催予定等につきましては、後日事務局からご連絡をさせていただきます。

それでは、その他の審議事項に移らせていただきます。

次に、保険業に関する規制緩和などの観点から、金融審議会においてご議論いただきたい項目について事務局からご説明をいただきます。

それでは、諏訪園さん、お願いします。

○諏訪園保険企画室長

それでは、引き続きましてその他の審議事項と書いてある紙をごらんいただきたいと思います。今般の金融審議会では先ほどの保険契約法のご審議のほか、規制緩和などの観点からご審議をお願いしたいと考えております事項があります。それが資料に書かれている項目でございます。

第1点は、保険会社の資産別運用比率規制について。第2点は、保険契約移転時における移転単位についてといったものでございます。

資料をおめくりいただきまして、こちらに掲げております第1点目、保険会社の資産別運用比率規制について、こちらにつきまして規制改革推進のための3か年計画(6月22日閣議決定)の中で以下のように取り上げられております。そもそも現行制度、皆様ご承知と思いますが、保険会社の資産運用については保険会社の財務の健全性を確保する観点から、資産の運用方法に制限がございます。また、国内株式や外貨建資産の保有についてはここにありますように総資産の30%以内、不動産の保有は総資産の20%以内等の規制がございます。その他の資産についても若干上限が設けられてございます。6月の閣議決定につきましてはこのうちの第2パラグラフ以下ですが、「しかしながら、ソルベンシー・マージン比率の算定方法の見直しや、各保険会社に対するオフサイトモニタリングの導入といった保険会社の健全性を確保するための事後監督手法が構築されてから既に5年が経過しており、こうした保険会社に対する監督手法が変化している状況のなかで、各社一律の事前規制である資産別運用比率規制については、見直しをすることが考えられる。」ということであり、これにつきまして検討をお願いしたいというのが第1点でございます。

第2点目が、保険契約移転時における移転単位というものでございます。同じく、本年6月22日の閣議決定で示された文章が以下のとおりでございます。

まず、この現行制度でございますけれども、保険業法におきましては保険会社が保険契約を他の保険会社に移転します場合に、個別に保険契約者の同意を得ずに他の保険会社に契約を移転する包括移転という場合の方法が規定されておりまして、その要件や手続も法律に規定されております。

具体的には、包括移転に先立ちまして、移転会社、そして移転先会社の株主総会あるいは社員総会の決議、移転対象契約者の異議申立、金融庁の認可などの手続を経ることが求められております。

また、包括移転については法律上責任準備金の算出の基礎が同一である保険契約の全部を包括してしなければならないとされており、この責任準備金の算出の基礎が同一である保険契約とは生命保険については予定利率、予定死亡率等を同じくするもの、損害保険については予定損害率を同じくするものという切り分けで大きくグループ化された集団であります。

これにつきまして、少し重複しますが、この閣議決定では責任準備金の算出基礎が同一である保険契約の全部を包括して移転しなければならないとされている保険契約移転について、保険契約者間、移転する契約者と移転しない契約者の公平と、保険契約者の保護、保険会社の業務の健全な運営の確保の観点を踏まえ、責任準備金の公平な分割に留意しつつ、その一部での移転を可能とすることについて引き続き検討し、結論を得るというふうに書いてございます。

この問題はなお平成15年の規制改革会議関係で閣議決定がなされておりまして、その関連する文章もここにつけております。その際の文章をここに載せてございます。例えば第2パラグラフで、このことは、現在のほとんど全ての保険会社がその事業について全国展開し、かつ商品やサービス等について多様かつフルラインアップ展開をしている中で、例えば企業向け専門保険会社と家計向け専門保険会社といった顧客の特性に応じた分社化や、地域別の保険会社に再編することを不可能としているほか、保険会社が経営破綻した場合においては破綻保険会社の保有契約の部分的な移転を求めるスポンサーの要望に応えることができないため、結果的に破綻処理が進まない弊害も起こり得るとの指摘がある。こういったニーズを踏まえたご要望と理解しております。

それぞれの問題、昔から当審議会でも議論されてきた課題でございますし、それぞれメリット、デメリットあるいは論点もあろうかと思います。いずれにしましても、こうした閣議決定で取り上げられていることとの関係もございまして、ご審議を願えたらというふうに思いまして整理して資料化いたしました。

以上です。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

ただいまの問題につきましては事務局からのご説明にもございましたように、時間の都合もございまして、基本的には今回は項目についてご紹介させていただくことのみといたしまして、次回以降において事務局より具体的な論点などを提示していただき議論させていただきたいと存じております。

こうした点も含めまして本件につきまして何かご質問ご意見がございましたらご発言いただきたいと思います。

木村委員、どうぞ。

○木村委員

資産別運用比率規制については、これは妥当な話ではないかなというふうに思います。ただ、オフサイトモニタリング等をさらに徹底をするという前提つきだというふうに思います。

それから、2番目の保険契約移転時における移転単位についてということですが、これもここに記載のとおり、非常に重装備な経営を強いられているということで、それぞれの会社それぞれに特色ありますし専門性もあるということで、経営資源をきちっと適正に配分をするという意味では非常にいいことだというふうに思います。

ただ、消費者利益の観点から、保険会社の都合だけでこの契約を移転するといったことがないように金融庁によります事前チェックはしっかりとやっていただきたいというふうに思います。

それから、私ども労働組合ですからその立場から言いますと、契約移転元あるいは移転先の経営基盤に大きな影響を与える可能性がありますので、働く者の雇用なり労働条件への影響にも十分配慮をした上で見直しを進めていただきたいということでございます。

○岩原部会長

後者の従来の包括移転にかわっていわば部分的な移転を認めるというのは、私ども法律学者からするとなかなか難しい手続でございまして、裁判所ですと倒産手続の中で一部の営業譲渡を裁判所の認可を得て行うということはあるんですけれども、これはあくまで債権者間の平等等がきちんとはかられるように裁判所が後見的に見るというわけですけれども、保険業法上の移転の手続、これは裁判所ではなくて行政庁が見るわけですので、そこでどれだけ契約者の間に公平に、木村委員もご指摘になりましたけれども、そういうことができるかというようなことなど、かなり技術的な点等も検討する必要がありますので、かなり慎重な検討が必要かなという感じがしております。

よろしいでしょうか。

それでは、次の審議項目に移らせていただきたいと思います。

銀行等による保険募集に関するモニタリング結果についてでございます。これにつきまして事務局からご報告をいただきたいと思います。

○諏訪園保険企画室長

銀行等の保険募集に関するモニタリングについてご報告いたしたいと思います。資料が3種類ございますが、最初に3-3という参考資料からご説明したいと思います。

皆様この問題についてご承知かと思いますが、簡単に経緯をご披露させていただきたいと思います。

保険、銀行、証券あるいは信託といったそれぞれの業種が販売分野において相互に乗り合いをしていくことによって、消費者が一つの窓口でいくつものサービスを受けられるといった消費者利便の観点からそうしたものが進んでまいりました。そして、保険分野につきましては、1ページにございますように、平成13年4月から銀行業務に関連する分野として、住宅ローンに関する保険というものが解禁になりました。それから、平成14年10月には貯蓄性のあるものということで、財形保険、個人年金保険といったタイプのものが解禁になってございます。

そして、第3次の解禁、平成17年12月からでございますけれども、このときには全面解禁をしてはどうかという議論の中でさまざまなご意見があって、最終的な保障性の商品というものを解禁する前に、必要かつ十分なモニタリングを行うための先行商品というものを解禁してみて様子を見ようということになったところでございます。

そして、その観点から一時払終身保険、一時払い養老保険や短満期の平準払養老保険、貯蓄性の生存保険のほか、自動車保険以外の個人向け賠償保険等々が解禁になったということでございます。

次のページでございますが、この第3次の先行解禁に向けた議論を、最初に行いました平成16年3月31日におきます金融審議会第二部会報告につきましてそのポイントのご紹介をいたしたいと思います。

これまでの経緯というのがありまして、こういう13年、14年と解禁した中で次にどういうふうにやっていくのかということについて、メリットとして、例えば保険商品の選択肢や商品に関する情報が増加し利用者利便が向上、販売システムの効率化による保険料の低廉化と保険市場への拡大への期待、利用者のニーズに適合する商品開発の促進と市場の発展への期待、その他のメリットについてのご意見や一方で懸念される弊害デメリットとして、銀行等は融資先に対して強い影響力を有しており、圧力販売が行われるおそれがある。保障性の高い商品を販売する過程で入手する健康情報が融資判断に流用されるおそれ、不当に加入しようとする者の第一次選択やアフターケア等が十分に行われないおそれ、その他の懸念、弊害についてのご意見も出されました。

そして、そういう中から考えられる弊害防止措置として、新しい弊害防止措置を設けてはどうかということが議論され、基本的な方向性としましては、最後の下にございますように、銀行等において原則として全ての保険商品を取り扱えるようにすることが適当であり、その際には以上のような弊害防止措置が適切に講じられることが前提。実施時期についてはメリットの実現を目指す観点から、できるだけ早期が望ましい。その際、銀行等での販売体制整備や弊害防止手続きの確立等のための準備期間を設けるなど円滑な実施を図る必要。以上を踏まえ、銀行等による保険販売規制の見直しについては、例えば1年後から段階的に行うこととし、新たな弊害防止措置の実効性をモニタリングしながら、遅くとも3年後には銀行等において原則として全ての保険商品を取り扱えるようにすることが適当。今後、本報告の趣旨を踏まえ、速やかに適切な措置を講じるよう期待、ということでございました。

その後、この報告が出されまして、さまざまな方々からご意見があっていろいろな議論がなされた結果、17年12月から新しい第三次解禁、先行解禁が始まりました。その概要が3ページ目でございます。

銀行等による保険販売規制の見直しの概要ということで、先ほどご紹介したようなデメリットについての意見がありましたので、新しい商品につきましては新たな弊害防止措置ということで規制の強化が図られております。具体的には融資先に対する販売を規制するということで、以下の先に対する保険募集を制限する。

事業資金の融資先である法人、その代表者、個人事業主や零細企業の役員・従業員。それから、融資の担当者と保険募集の担当者を分離する。それから、融資の申込者、申込期間中であってもその保険募集を禁止する。それから、各種の情報提供の義務づけ。営業支店単位ごとに法令遵守の責任者を設置する。それから、子会社等を通じてもこういう規制の潜脱行為がないように規定を設けるといったものを設け、さらに、一方で中小金融機関についてはその小口の販売に限る場合にはこうしたものを多少緩和するということでございました。施行日は17年12月22日です。

そして(2)でございますが、施行日から2年間銀行等による保険募集の実施状況等をモニタリングし、新たな弊害防止措置の実効性を確認して全面解禁に移行する。ただし、モニタリングの結果必要な場合には全面解禁の実施時期の見直しを行うということになりました。

これは具体的には4ページ目でございますが、保険業法の施行規則等の一部を改正する内閣府令、そのときのものでございますが、この附則に具体的には規定されてございます。附則の1項の一番最後の行で、「ただし、平成19年12月22日から施行する。」そして、3項において、「第1項ただし書きに規定する日については、銀行等又はその役員若しくは使用人による保険募集の実施の状況並びに当該保険募集の公正な実施及び保険会社の業務の適切な運営のために講じられた措置の状況を検証し、保険契約者等の保護のために必要な場合には見直しを行うものとする。」ということで、今回のモニタリングにつきましてはこの必要な場合に該当するのかどうかということがポイントとなってまいります。

次の5ページ目は保険募集に係る規制一覧ということで、いろいろな各種の保険商品につきまして全ての保険募集人にかかります規制と、銀行等の保険募集人に対する規制、それから保険業法における規制という形で整理させていただいております。ちなみに、先ほどご紹介しました新しい販売規制の追加分というのは、左の下、第3次解禁商品と上記以外の商品となっておりますが、こちらに対してそのすぐ横にある1、2、3と書いたこの3つの措置でございます。

それでは、具体的にモニタリングの結果についてご報告したいと思います。先に概要版で簡単にご説明して、その後本編で少し補足をしたいと思います。

まず、概要版、2枚紙でございますが、平成19年12月22日の全面解禁の実施に向けまして、17年12月22日以降、以下の観点、2つの観点からモニタリングを実施してまいりました。

1つが、必要かつ十分な弊害防止措置の構築。先行解禁から全面解禁に至るまでの期間を全面解禁のための準備期間と位置づけ、この間に弊害防止措置が有効に機能するかどうかをチェックして、全面解禁時には万全を期すことができるようにすること。

それから、同時に全面解禁の実施状況の適切性の検証。全面解禁の要件とされている「保険契約者等の保護のために必要な場合」に該当するかどうかを確認するために、銀行等の保険募集の実施状況を把握すること。

具体的には、こういう目的を達成する観点から、以下の方法によるモニタリングを実施しておりまして、具体的には4つの柱を立てております。真ん中、まず検査、監督といった観点からの検証あるいは状況把握。左側の金融庁相談室、国民生活センター等で受けた苦情の収集、そしてその分析。

それから、右側にございますが、保険会社や銀行等からのアンケート調査等を通じた実態把握という4つの柱でございます。

おめくりいただきまして、当局検査による弊害防止措置の遵守状況の検証。左上にございますが、これが第1番目の柱でございます。具体的には、前回解禁事項、保険会社については約20件、銀行等につきましては約350件の検査を実施いたしました。

上記の検査では保険募集に関しても業務の適切性について検証しており、いくつかの不適切事例が指摘されております。それについて、例えばその説明責任を果たしていないものを放っておいたために、その預金等と誤認したという苦情が繰り返し発生してしまったといった事例が例えば指摘されております。後ほどご紹介いたします。

それから、日常の監督を通じた保険募集の実施状況の監視・把握ということでは、まず状況としまして個人年金保険等の分野では銀行チャネルの販売が伸びているということが指摘されております。

それから、前回解禁時以降、銀行等の保険募集に関して行政処分を行った事例はない。

3点目、前回解禁時以降、銀行窓販において91件の不祥事件が発生、保険全体の2.2%に相当する。これは法令違反行為等がありました場合に保険会社のほうから出された全体のものに対して窓販分野が91件、2.2%であったということでございます。

それから、マル3金融庁相談室、国民生活センター等で受け付けた苦情の収集・分析。前回解禁時以降、本年6月までに金融庁相談室には127件の銀行窓販関係の苦情が寄せられております。保険全体の0.5%に相当。このうち圧力販売に関するものは17件でございました。

14年10月以降、国民生活センターに寄せられた窓販個人年金保険関係の苦情は17年度をピークに減少しております。

3点目、前回解禁時以降、本年5月までに保険会社及び銀行などには3,828件の苦情が寄せられている。このうち圧力販売に関するものは8件でございました。

それから4点目として、保険会社や銀行等からのアンケート調査等を通じた実態把握。アンケート調査やヒアリング等を通じて、弊害防止措置の遵守のための具体的な体制整備の状況確認ということで、いろいろな状況を確認いたしました。これにつきましては具体的には後ほど説明します。

モニタリング結果としましては2つ、必要かつ十分な弊害防止措置の構築につきましては、先行解禁商品に係る新たな弊害防止措置については、一部の銀行員による事務疎漏を除き、概ね銀行等において遵守するための体制整備が行われたと考えられ、問題事例の発生状況にかんがみれば規制は有効に機能していたものと考えられる。

2点目、全面解禁の実施時期の適切性の検証。当局検査における指摘や不祥事件届出により一定程度の問題事例が発生していたと認められるが、いずれもその後銀行等において改善が図られているということでございます。

したがいまして、モニタリング結果によれば、基本的に内閣府令で定める全面解禁規律の見直しの要件である「保険契約者等の保護のため必要な場合」には該当しないものと考えられます。金融庁としては今後関係者等からの意見も十分に聞くとともに、上記モニタリング、このモニタリング結果等について関係者に対して丁寧に説明をし、各方面の理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。

そして、先に簡単に概要等々申し上げましたけれども、具体的には本編のほうで、今申し上げなかった点について補足させていただきたいと思います。3-2の資料をお願いいたします。

最初の1ページ目の、はじめに、モニタリングを実施する目的や実施方法についてはご説明しましたので省略いたします。

それから、1ページの下から次に関して検査の関係のご説明がしてあります。1つが、検査マニュアルの改訂ということで、「銀行等に対する保険募集の委託・管理」や「銀行等における保険募集の適切性」に関するチェックポイントを18年6月に追加し、検査としては先ほどのような状況で検査をしてまいりました。

指摘事例はここに4点ございます。銀行の顧客説明管理責任者が保険募集時における優越的地位の濫用防止に係る臨時調査を実施して、営業店における未然防止のための体制が不十分であることを把握したにも係わらず、内部規定に具体的なモニタリング方法を定めていないなど、体制整備を図っていないという事例。

銀行の顧客サポート等管理責任者が報告を受けた苦情の原因究明や改善策の関係部署への還元を行っていないことから、保険商品の販売において預金と誤認したなどの苦情が繰り返し発生をしている事例。

変額保険の販売について、営業店において販売マニュアルに反し、商品説明や購入意思の確認が不十分なまま高齢者に販売している事例や適合性の判断に係る検証が行われていない事例が認められるなど、顧客の属性に応じた説明等が不十分な事例。

保険募集に際しての非公開顧客情報等の取り扱いについて顧客の事前同意を得ることとしているが、本部の営業店に対する同意書徴求に係る行内ルールの周知徹底が不足していることから、同意書を徴求しないまま保険募集を行っている事例等の指摘事例がございました。

それから2点目、銀行等による保険募集の実施状況の監視・把握でございます。販売チャネル実績について、先ほどご説明したとおりでございます。

2点目、行政処分事例、先ほどご説明しましたとおり、17年12月22日以降、銀行等の保険募集に関し行政処分を行った事例はございません。

それから3点目、銀行等の保険募集に関する不祥事件の発生状況でございます。モニタリング期間以降、保険会社から銀行等の保険募集に関する不祥事件届出が91件提出されております。この件数は同期間における保険会社からの総届出件数4,228件の約2.2%でございます。内訳としましては、窓販固有の募集規制に関するものが54件、それから窓販以外の募集規制に関するものが37件でございます。37件の内訳は脚注6にございますが、無登録(無届)募集ですとか無断架空契約、説明不十分7件等でございました。

窓販固有の募集規制に関するもの54件のうち、非公開情報保護措置違反、顧客の預金の情報等を勝手に使うといったものでございます。これが45件。ただし、(注)にございますが、非公開情報保護措置違反に関するものが多いが、これは同一の事件について多数の保険会社が乗りあっていたことにより届出件数が大幅に増加したものであり、その重複を除けばこれは14件、うち9件は個人の事務疎漏となるということでございました。

それから、金融サービス利用者相談室から回付された情報の活用状況についてでございます。18年1月以降発生している相談で、「本人が保険会社等に情報伝達を了承」し「銀行名」が判明している36事案につきまして、銀行に伝達して適切な対応を促したところでございます。

3点目が苦情の収集、分析でございます。1点目、金融庁の金融サービス利用者相談室の苦情というもので、18年1月から19年6月までに受け付けた苦情は各四半期とも20件から30件前後で推移しております。期間通算ではこの窓販関係127件でございました。保険全体の苦情件数は2万4,583件であり、その0.5%でございます。

なお、単純な比較は困難な面がございますが、苦情件数というものを新規契約件数で機械的に除して苦情発生率となるものを出して比較しますと以下のとおりでございまして、窓販関係の苦情発生率約0.007%、生命保険関係の苦情発生率約0.040%ということでございます。

また、同時期に銀行で販売された投資信託に関する苦情の受付件数は、個人年金保険に関する苦情の受付件数の約3.6倍となっております。これは脚注9にございますように、残高が違うのでそこで若干補正した場合には2.7倍ということでございます。

それから本文に戻りまして、苦情の内訳127件の内訳でございますが、募集時の説明不足に起因する苦情が最も多く、のべ75件。また、圧力・抱き合わせ販売に起因する苦情については17件となっております。これもまた脚注でご紹介させていただきますと、17件は全て本人情報の開示が不承諾ということでありましたことから詳細な確認はできませんが、銀行名が確認できる11行について体制整備面を確認した限りでは、保険募集マニュアル等で明確に圧力・抱き合わせ販売を禁止していると、こういう状況でございます。

それから2つ目でございます。保険会社、銀行等それぞれの業界団体の相談窓口で受け付けられた苦情でございます。生保協会(生命保険相談所)は42件が窓販関係。苦情総数は右のとおりでございます。日本損害保険協会では窓販関係1件、苦情総数は右のとおり。銀行協会及び信用金庫協会関係では窓販関係42件でございました。

3点目、国民生活センター等で受け付けた苦情、14年10月から19年9月までに独法の国民生活センター等で受けた窓販個人年金保険に関する苦情というのは17年度をピークに減少しているということで、14、15、16、17と件数、月平均で見ても上がってきて、18、19と減少していると、こういう形になってございます。

なお、参考に金融商品それぞれについての苦情件数がありますが、その時々どういう問題が取り上げられるかによっても多少変動があるようではございます。生命保険は一番下の欄に示しましたとおりで、足元18年度では1万3,185件となってございます。

それから、保険会社及び銀行等それぞれの当事者の方が受け付けられた苦情というものでございます。18年1月から19年5月までに保険会社及び銀行等で受け付けた窓販関係の苦情は、期間通算で3,828件、銀行等1,406件、生保会社2,315件、損保会社107件となっており、18年7月を境に大幅に増加している。このうち、説明不足に関するものが最も多く、圧力・抱き合わせ販売に関するものは8件であった。また、モニタリングの期間中に提起された窓販関係の訴訟は2件であった、ということでございます。

それから、保険会社や銀行等への保険募集に関するアンケート調査等を通じた実態把握。これにつきましては具体的にどういう形になっているか、弊害防止措置遵守のための具体的な体制整備の状況について保険会社及び銀行等にアンケート調査を実施しましたが、銀行等については、複数の保険会社が乗り合っているという事情もあり、共通する部分が多い事務・体制となっている。また、保険会社について各社それぞれに銀行等へのサポート体制の違いがみられるということでございます。

具体例は3点ご紹介しております。融資先販売規制及びタイミング規制(先行解禁商品に対する規制)でございます。一部の銀行等では融資先販売規制及びタイミング規制の対象ではない個人年金保険についても、顧客が融資先である場合は別途チェックリストを設けて圧力販売ではないことを確認して募集するというところもある。

マル2担当者分離規制(先行解禁商品に対する規制)。契約者一人当たりの販売制限がある代わりに、緩やかな担当者分離を認める地域金融機関特例については、協同組織金融機関では採用が進んでいるが、地域銀行での採用は一部にとどまっている。

銀行等の保険募集の状況の的確な把握(保険会社に対する規制)。懸念された「保険会社のリスク管理能力を超えた保険販売が行われた場合への対応」については、現状では多くの保険会社においては銀行等への委託商品がごく一部に過ぎないこともあり、約半数の保険会社では銀行等による過剰な保険募集により保険会社の経営管理上のリスクが生じる水準を設定していない。

これにつきましては少し絵で整理したほうがわかりやすい面もありましたので、参考資料の6ページから具体的なアンケート調査の対象や、それからどういうふうに体制整備が図られているといったものをつけておりますが、これについては時間の関係で説明は省略させていただきたいと思います。

最後のまとめのところでございます。本文に戻りまして、それぞれのモニタリングの結果は以上のとおりであるが、全体として概括すれば、当局の検査・監督を通じて業務改善命令等が発出されるような深刻な法令違反は認められなかった一方、銀行員である保険募集人個人の事務疎漏や銀行自身の内部管理に起因する問題事例等は一定程度発生していたという状況であったと考えられる。

このような状況を踏まえ、モニタリングを実施する目的に照らし分析すれば、以下のとおりと考えられる。

必要かつ十分な弊害防止措置の構築、先行解禁商品に係る新たな弊害防止措置については、一部の銀行員による事務疎漏を除き、概ね銀行等において遵守するための体制整備が行われたと考えられる。問題事例の発生状況に鑑みれば、規制は有効に機能していたものと考えられる。

なお、本措置については、多くの銀行等においてその緩和を求める声が聞かれたが、先行解禁商品の販売実績等を踏まえれば、当分の間現状のまま存置することが適当と考えられる。

マル2全面解禁の実施時期の適切性の検討。当局検査における指摘や不祥事件届出により一定程度の問題事例が発生したと認められるが、いずれもその後銀行等において改善が図られているということでございます。したがいまして、このモニタリング結果によれば、基本的に内閣府令で定める全面解禁期日の見直しの要件である保険契約者等の保護のため必要な場合には該当しないものと考えられるところでございます。

金融庁としては今後関係者等からの意見も十分に聞くとともに、このモニタリング結果などについて関係者に対しまして丁寧に説明し、各方面のご理解が得られるように努めてまいりたい、このように考えております。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明につきましてご質問ご意見がございましたらご発言いただきたいと思います。

木村委員、どうぞ。

○木村委員

まとめの、弊害防止措置の構築のところで、規制は有効に機能していたものと考えられるということなんですけれども、さまざまなモニタリングを実施されて、これはこれで多分そのとおりの数字だろうというふうに思います。私どもとしてはこういった弊害防止措置が適切に講じられることを前提として全ての保険商品を取り扱えるようにするという方向性は、殊さら異を唱えるものではないんですけれども。規制見直しの具体的な実施時期とか対象範囲につきましては十分に検証を行った上で慎重に検討していただきたいというふうに思います。

実は連合に加盟をしております大きな組織であります生保労連というのがありますけれども、そこが平成18年1月から19年6月末まで、その営業職員を通じてお客様に直接聴取をしたアンケート調査がございまして、母数は4,250件くらいあるんですけれども、それによると、圧力販売事例が31%とか、顧客データ流用事例が37.9%とか。ここにモニタリング結果としてご報告をいただきました数値とは若干違う結果が出ております。多分こうした声というのはなかなか出づらいということなので、能動的な調査でないとなかなか出てこないものもあるんじゃないかなというふうに思っております。この調査結果はもう既に金融庁の事務局のほうにはご説明をしたというふうに聞いておりますけれども、金融庁としてもさまざまな実態把握に努められているというふうに思いますけれども、ぜひともそういった報告も含めまして総合的に判断をしていただきたいというふうに思います。

それからあと、新聞にも銀行のほうで電話相談室を開設しろとか、あるいは専用パンフレットを作れとか、販売者としての責任を若干保険会社のほうに押し付けているようなこともあるというような記事も載っておりましたけれども、こういう実態が起きないようにぜひとも留意をして慎重に検討していただきたいというふうに思います。

○岩原部会長

はい、どうも。筒井さん。

○筒井委員

事務局からご報告のとおり、ポイントはやはりお客様保護にどう絡むのかというところであると思いまして、モニタリングの結果をとりまとめていただいたことに対しましてお礼を申し上げたいと思います。

この内容につきましては今日お伺いしたところでございまして、詳細はまた拝見していきたいと思っておりますけれども、今木村委員からもお話のあったとおり、このほかにもマスコミによる報道でありますとか、それから生保労連といったところの調査でもさまざまな問題事例が観測されているというふうに認識しております。4,250件という数字が先ほど披瀝されましたけれども、こういったところはやはり銀行がその融資というものを背景に、ややもすれば優越的地位に立ちやすいということ、あるいは決済とか預金という業務で得た非公開の情報の利用が可能であるといったこと、こういったことからお客様に対して非常に強い影響力を銀行は持っているというところに起因するのではないかと考えております。

こういう問題事例が存在するということでもって、現行の弊害防止措置の実効性が十分なものではないと、そのことの証左になるのではないかと考えております。

したがいまして、今日ご報告いただきました内容のみをもって直ちに全面解禁問題なしという結論を出すことは、お客様保護の視点から問題があるのではないかというふうに考えております。

したがいまして、金融審議会では具体的な問題事例、質的な問題事例等に即しまして弊害防止措置が十分かどうか、あるいは銀行の内部管理体制の在り方といったものについて、例えば販売に係わっている人たちの意見を聞く機会を作るとか、そういったことでしっかりと議論を行う必要があるのではないかと考えております。

私どもも本日いただきましたモニタリング結果を分析させていただきまして、改めて考え方を申し述べる機会をちょうだいできればというふうに考えております。

現段階での私どもの考え方は大きく3つございます。1つは、今後銀行等で保障性保険商品を販売する際には、まずいわゆる圧力募集でありますとか、あるいは預金とか決済の情報を使った保険募集でありますとか、こういうものに係る弊害防止措置をより強化していく必要があるのではないかということが1点目でございます。

2点目は、銀行と保険会社とが責任分担を明確化していかなければいけないということでございまして、今解禁されておりますこの貯蓄性商品とは全く違った特性が保障性商品にはございます。それは加入時以降もいろいろな契約内容の変更でありますとか保障内容の見直しでありますとか、あるいは苦情への対応でありますとか、さらにまたお客様からご請求いただいたときの支払いのご説明、いろいろなアフターフォローが発生してまいりますので、こういったことについてどちらがどういうふうにやっていくんだということを明確にしていかなければいけないのではないか、これが第2点でございます。

第3点は、法令等遵守責任者にこの保障性商品というものはやや高度な説明を要する商品でございますので、法令等遵守責任者に保険に関する知識や経験を必要とする方を配置する、こういった形での内部管理態勢の強化をしてはどうか。

こういった大きな3点の必要性について十分に検討を行い、必要な措置を講じていただきたいというのが私どもの考え方でございます。

海外の実態を見ますと、銀行窓販で本格的に保障性商品、すなわち死亡保障でありますとか医療保障を販売していくということは、実際上初めてのケースになると考えておりまして、このある意味でチャレンジングな取組みを成功させるという意味からも、今のうちに十分な検討と必要な措置を望むところでございます。

今申し上げましたことは決して全面解禁に反対するということではございませんで、むしろ弊社も含めて生命保険各社はこの銀行での保険販売をむしろ将来は非常に有力なチャネルとして位置づけておりまして、今後も戦略的に活用させていただきたいというふうに考えております。それだけに、今のうちに制度面あるいは実務面で万全の体制を整えた上で臨みたいという趣旨でございます。

ぜひ今のうちに審議をお願いをしたいと思っております。

以上でございます。

○岩原部会長

はい、どうも。それでは、根本委員。

○根本委員

当初ワーキングに参加させていただいたときからこのように販売チャネルが広がるということは当然いろいろリスクもありますが、利用者にとっては選択の幅が広がって、かつサービス向上にもなるのではないかということで、私はそれを支援しておりました。こういったモニタリングの結果を拝見すると、少なくとも銀行側の体制というのは改善しているということと、いろいろとまだ改善すべき点はあるとは思うんですが、非常に大きな深刻な問題は見受けられないという感想を持ちました。

一方、今、筒井委員がおっしゃったような今後商品がより複雑化するという懸念もあると思いますので、通常の検査あるいは監督以上に何らかのフォローアップというか調査とかもできればしていただいたほうがよろしいのではないかと思いました。

あと一つ事務局の方にご質問としては、デメリットの意見の中に、圧力販売とか情報の漏洩とかそういったもの以外に、銀行が特にパワフルな立場にあることから、保険会社さんがリスク能力を超えて商品をつくるなり販売してしまうなりそういう懸念が多いというのが、このページ3-3の2にも書いてあるんですけれども、そういうリスク自体が顕在化しているのかということをお伺いできればと思いました。

○岩原部会長

それでは、事務局お願いします。

○諏訪園保険企画室長

まず、銀行窓販を進めていくと銀行に引きずり回されるのではないかというような、銀行の売り方が悪いときにその保険会社が売らされてしまうといった話なのかと理解いたしました。ここに関係の方も大勢いらっしゃいますが、銀行のほうが保険会社より大きいとか強いというのは、それぞれ規模も銀行業界、保険会社それぞれに大小ありまして一概にどちらがどうということは言えないと思いますが、一般のメーカーと小売の関係のように販売力が強い小売というものがメーカーに対して比較優位に立つ場合もあるというご指摘だと思います。

保険に関していいますと、銀行等が保険代理店として保険募集を行う以上は委託をする保険会社は保険業法施行規則53条の3の3などに基づいて、銀行等の保険募集の状況を的確に把握すること、その他の必要な措置を講じる必要があり、銀行等の不適切な募集を容認するということは許されるものではございません。

また、逆の銀行に対する規制としては、独禁法のガイドラインにおきましても、銀行等が販売チャネルを当該銀行等に依存せざるを得ない委託元保険会社に対し、取引上優越した地位にあると認められる場合において、委託元保険会社に対した正常な商慣習に照らして不当な不利益を与えることを禁止しております。

そういったさまざまな規制がございますということをご報告させていただきます。

○根本委員

ありがとうございます。

○岩原部会長

ほかに。國部さん。

○國部委員

少し意見を申し述べさせていただきたいと思います。銀行による保険窓販の全面解禁のメリットということについて改めて申し上げるまでもないかもしれませんが、ワンストップショッピングによる複合的な金融商品のサービスを提供するということ、並びに販売をする場において、保険商品、サービスの選択肢を拡大するという利用者利便の向上ということが最大のメリットでございます。過去の金融審議会においても、先ほど金融庁さんのほうからご説明があったとおり、そのメリットが指摘されているところでございます。

実際、2002年10月に個人年金保険等の銀行窓販が開始をされてからの個人向け生命保険年金の新規契約件数の推移を見てみますと、個人向け年金以外の生命保険が少子高齢化等の中で減少傾向にある一方で、個人向け年金は増加をしておりまして、銀行窓販が生命保険市場全体の下支えに一定の貢献をすることができたかなというふうに考えております。

一方、内閣府令で保険を購入される利用者の適切な保護を目的として、これまでの銀行窓販に対しまして既に幅広い弊害防止措置が講じられております。先ほど話題になりました非公開情報保護措置あるいは新たに融資先の販売規制等、幅広い弊害防止措置が講じられておりまして、金融商品取引法の施行等、我々業界として販売説明責任の厳格化という流れの中で、保険窓販に取り組む銀行におきましては、適切な保険募集を確保すべくコンプライアンス体制等の改善に注力をしてきているところでございます。

先ほどモニタリング結果がご説明されました。一部の個別ケースで不備が見られるといったご指摘もございました。その不備につきましてはその後銀行等で改善が図られているわけですが、既存の弊害防止措置の枠組みの中で一層の遵守に向けまして真摯に取り組むことが重要と認識をしております。

ただし、弊害防止措置につきましては、金融商品取引法の施行の趣旨も踏まえました金融機関におけます一層の法令遵守への自助努力や、事前規制から事後規制型の透明性の高い枠組みに移行していく金融行政の流れなどから最低限のものとすべきであり、制度といたしまして今後の全面解禁に向けて弊害防止措置を強化する必要性はないものと考えます。

また、保険窓販の全面解禁の時期につきましては、貯蓄から投資への流れの中で、わが国金融資本市場の国際化、競争力の強化という大きな政策目標の達成にも資するという視点からも、当初スケジュールどおりの解禁ということが確実に実施されることを期待しております。以上でございます。

○岩原部会長

ほかにご質問ご意見ございますでしょうか。

では、山本副大臣の後に砂田さん。

○山本内閣府副大臣

モニタリングの結果につきましては弊害防止措置も含めて私はそんなに問題はないというふうに思いますけれども、2点申し上げておきたいと思います。窓口の銀行と生保との責任関係をはっきりしておく、責任のたらい回しをしないような制度をしっかりつくっていただきたいという点が1点。もう1点、9月30日に生保の支払漏れについての報告が出てくるわけでありますけれども、全部出るかどうかはわかりませんが、大半が出てくるわけであります。その結果、支払漏れ件数が大量にもし出てきたということになりますと、そういう大量に出てきた状況の中で果たして販路拡大というのをその時期にやっていいのかどうかということをやはりこれは慎重に考えていく必要があるのではないか。

したがって、その結果が出てきた後、もう一度検討し直すということもぜひ視野に入れて進めていただければと、私はそう思っておりますのでよろしくお願いいたします。

○岩原部会長

どうもありがとうございます。

それでは、砂田委員お願いします。

○砂田委員

消費者の方々にお聞きしましたら、銀行で保険が販売されていることを知っている人は約50パーセント程度です。銀行窓販を知ってる人も大手の銀行と契約するから保証されるという感覚です。保険会社と契約をするという認識が薄いですね。先ほどモニタリングの報告がありましたが、これから銀行窓販の認知度が高くなるに従ってトラブルが多くなると思います。例えば、高齢者の一時払いの年金保険への加入が増えていますが、契約時にメリットの説明は熱心だが、デメリットや手数料などの説明はほとんど頭に残ってないという声を聞きます。高齢者の契約については懸念しています。では何歳からが高齢者かということはこれから議論になると思いますが、高齢者一人では契約をさせないルールが必要ではないでしょうか。行きつけの銀行で気安さもあり情報も得やすいし、利便性があるのですが、行員さんと親しい分十分保険商品を検討しないで勧められるまま契約するという例もあります。

また、保険に入りたいと銀行に行ったところ、保険商品の説明が5社に限られていたので、他の保険会社の商品も紹介して欲しいと言ったけれど紹介してくれなかったそうです。銀行は自分にとって一番良い保険を勧めてくれたのかも知らないが、どうも納得いかないとの声を聞きます。銀行は勧める保険会社の選択、優先順位を契約者のニーズにあったものにお願いしたいですね。

○岩原部会長

ほかに。吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

今度10月から郵便局が民営化の方向に走ると思うんですが、郵便局でも既に簡易保険を売っていまして、貯蓄性とかいろいろなものがあるわけですけれども、そうすると、銀行とのイコールフッティングといいますか、それも考えていただいたほうがいいと思います。郵便局ですと簡保しか教えないわけですね、それしかないわけですから。それで、貯金と簡保という形だと思うんですけれども。

それからもう1つは、これは教えていただきたい。これまで保険業界も貸出をやってるんですが、その貸出と抱き合わせとかそういうことは全くなかった、それは法人向けだったのでそういう銀行のとは違う、問題は起こらなかったとそういうふうに考えてよろしいんでしょうか。

○岩原部会長

今のご発言に何か。

○諏訪園保険企画室長

後ほど。すみません。

○岩原部会長

それではどうぞ。

○保井監督局保険課長

監督局保険課長をしております保井でございます。事務局として一言補足をさせていただきますと、保険会社が例えば企業等に関して直接の貸付でございますけれども、昭和30年代、40年代は大変一般的でございましたが、その後証券化の時代がまいりまして、件数、ボリュームともに減ってございます。したがいまして、概念としては恐らく類型としての圧力販売といいますか、融資を背景にした契約の招請といったものがあり得るかもしれませんけれども、現在のところそういった貸付行動の変化がございますので、私ども行政処分に至るような事例とかそういった不祥事件届の中で直接そういったものを把握しているということではございません。

以上でございます。

○岩原部会長

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

私は予定どおり解禁してよろしいのではないかという意見でございます。山本副大臣に反論するようで大変恐縮なんですけれども、不払い事例が多いからその解禁を遅らせるという考え方は私はちょっと理解ができません。

と申し上げますのは、今回銀行が全ての保険商品を販売できるというふうに制度を変えるということですけれども、売りなさいといっているわけではないので、不払い事例が多い保険会社は当然ながら銀行での販売というのは控えるだろうというふうに私は思うわけでございます。

ですから、各保険会社が万全な体制で臨んでいただくということが大事だと思っております。このままそろりそろりと慎重に進めていただければよろしいのではないかというふうに思っています。私はそもそも第3次のときに全面解禁というものを主張したものでございまして。

それから、これだけの月日が経っているわけですから、当然銀行も保険会社もそれなりにコンプライアンスの体制をしいて販売していると、それが今回の結果に出たのではないかというふうに思います。

銀行の問題はもちろんあるのですけれども、それ以上に営業職員や既存の代理店チャネルでの販売の問題というのはもっとたくさんあるというのは今回の数値で出ているわけでございます。銀行に売るなというとほかの販売チャネルも売るなということになってしまいますので、銀行も一つのコンペティターとして販売していただけるような体制をしくべき。銀行で売る売らないはまさに保険会社の選択だろうというふうに思っております。

なぜこんなふうに申し上げるかというと、第一次の解禁からずっと見ているわけなんですけれども、反対しているにもかかわらず、解禁になると真っ先に売るという、つまり反対派が銀行と業務委託契約を結ぶというおかしなことがずっと起こってきてますので、もはやこういう議論をするのは非常に生産的でないというふうに感じております。本当は売りたいと思ってらして、それでもっと厳しくしてくださいというのはおかしな話で、それは保険会社や銀行が自分たちで自主規制をきちんとやっていただければいい話ではないかというふうに思っております。

以上です。

○岩原部会長

川本委員、お願いします。

○川本委員

ありがとうございます。3年半前のワーキングに参加させていただきました。山下座長も「もう随分昔のことで」とおっしゃいましたけれども、当時消費者利便と選択の幅を広げるということが一番大事なことだとみんなで考えて全面解禁ということを議論したわけであります。それにもかかわらずいろいろご心配なさる方があって、当時のメンバーとしては1年くらい先に解禁になるのかなと思っていたら3年ということになって、さらに3年半ということで、随分私たちも歳を取ってきたなという感じがします。そういう間に金融庁の事務方でモニタリングをしてくださって、今回やはり規制が有効に機能しているということと、モニタリングをきちんとすることの大事さというのが証明されたと思います。いろいろなご心配に対してきちんと数値で分析をしてあるということです。

特にインプレッシブだったのは、資料3-2の4ページでご説明がありましたけれども、真ん中のところの国民生活センターの苦情ですね、窓販個人年金保険に関する苦情は17年度を契機に減っているということがあって、下を拝見すると、外為証拠金の取引などもやはり規制を入れられた17年度から18年度にかけて激減しているということがあります。規制の有効性がわかります。それに反して生命保険への苦情は14年度からずっとうなぎのぼりになっていて、これはこれで別の問題でしょう。高橋さんがおっしゃいましたように、不払い問題が多いからチャネルとして消費者の利便性といいますか選択肢を増やす方向を阻害すべきではないと私は思います。

以上です。

○岩原部会長

原委員、お願いします。

○原委員

3年前の議論を思い出したところなんですけれども、意見ということになると思います。苦情の後ろにはその20倍のもの言わぬ消費者がいると言われておりますので、先ほどの国民生活センターが出されているこの生命保険、今1万3,000ですけれども、これのやはり20倍はその背後にあると考えていただいたほうがいいと思います。

その観点からすると、先ほど生保労連の4,000件という事例が紹介されましたけれども、私も見させていただきましたけれども、なかなか難しいのは、例えば先ほど個人の融資、例えば住宅ローンと抱き合わせて保険を販売されないかということありますが、私も8年前にそのような事態があったのですね。ただ、そのとき拒否できなかったかというと拒否はできたと思っておりまして、やはりその状況は変わってきているのではないかと思いますし。

それから、そういったご懸念の中に銀行から保険会社に対してこんな商品を作ってくれと注文をつけられると。でも、それは銀行が保険会社にやれと言ってるように見えるかもしれませんけれども、消費者側を見るとこういう保険商品があったらいいよという意見でもあるわけで、なかなか保険会社と銀行の関係というのは複雑で、単純には割り切れないんじゃないかなというのがそちらのデータを見させていただいたときの感想です。

私としては2つの意見を持っておりまして、随分モニタリングですとか苦情とか集められておりますけれども、銀行と保険会社との関係がどのようになっているかということの透明性の確保、手数料の問題もずっと懸案でやってきておりますけれども、その透明性の確保ということも大きな今後の軸になってくるのではないかと思います。

それからもう1つは、消費者から見ると、銀行で保険を買うにしても、その保険については銀行も保険会社もやはり両方で共同して私たちにいい商品を設計、販売していただきたいし、販売勧誘ルールも適合性への原則といったものを導入していただきたい。それから、苦情についても両者できちっと解決をするというように消費者に向かって両者で共同をして販売や商品提案をしていただきたいと思っております。

以上です。

○岩原部会長

何かほかにございますでしょうか。森崎委員。

○森崎委員

今回の金融庁のモニタリング結果及びその方向性につきまして賛成をいたします。あとは手短にお話しいたしますけれども。

今、日本の国民は幼児化をしているというふうにいわれておりますけれども、例えば窓販につきまして保険会社は銀行を選択する自由は当然あるわけですね。したがいまして、仮に行儀が悪いとか問題がありそうな銀行に委託をしなければいいわけでして、そういう自由がある。だから、A社がやればB社もやるというふうにしなければいいわけですね。

だから、今回の方向性にやはりもう少し弊害防止措置に緩和措置を入れましてぜひ実施をしていただきたい。

特に今回金融庁がベターレギュレーションということで監督の方式につきましてはプリンシプルベースの監督というものを組み合わせると。これはルールベースが幼児といいますか、子どもに対するものとすれば、プリンシプルベースというのは大人ということになると思いますが、大人が少なくなっているわけでしょうけれども、やはりそういう自主責任、自主規制というものを重要視していかないといつまでたっても面倒を見てくれることに依存をする、そういう体質が金融業界に残るということになるのではないかということを懸念しております。

○岩原部会長

よろしいでしょうか。松澤さん。

○松澤委員

質問なんですけれども、最後の結論で、全面解禁の実施時期の適切性の検証のところで、その後銀行等において改善が図られているという結論に至っているんですが、これはどういうロジックで出てきているかちょっと教えていただきたいんですね。

というのは、例えば国民生活センターの件数が減ってるというのが出てるんですが、保険会社や銀行等で受け付けている苦情件数が18年7月を境に大幅に増加しているというふうに書いてございまして。すみません、どうしてこの結論に至ったかというそのロジックだけ教えていただきたいんですね。

○岩原部会長

諏訪園さん。

○諏訪園保険企画室長

まとめのところのマル2、5ページの最後の2行のところだと思います。検査における指摘事項についてはその後金融機関なり保険会社のほうで改善していただけているものと。仮に行わない場合にはさらなる処分につながるということでございますので、そういうことではなく、その後その指摘事項を受け入れて改善を図っていただけたということでございます。

それから、不祥事件につきましても、不祥事件があったと届けるだけではなくて、これは松澤委員ご承知のことと思いますが、不祥事件についての今後の防止策なり改善策というものをあわせて出していただいております。その意味で、検査の指摘事項あるいは不祥事件届出事項については改善措置が図られているということでございます。

したがいまして、ここに書いた文章で一定程度の問題事例が発生したと認められるが、いずれもその後銀行等において改善が図られているというふうに整理させていただいたところでございます。

○松澤委員

つまり、当該銀行において改善が図られているというふうに理解すればよろしいですか。

○諏訪園保険企画室長

当該銀行あるいは保険会社、銀行等というふうに書いてあります。

○岩原部会長

よろしいですか。

では、深尾さん、手短にお願いします。

○深尾委員

砂田委員、原委員からご指摘がありましたけれども、銀行窓販、特にリスクの高い変額年金について手数料が非常に高いという問題があります。実際6%から8%くらい募集時点で抜いている。1,000万動かせば60万から80万銀行の窓口に収入が入る。こういったことがありますので、やはり窓口で目の色が変わっているといいますか、こういう問題があります。

私はこういった点について、私は窓販を拡大することには賛成ですけれども、手数料については契約者に対して開示すべきだというふうに強く思っております。

○岩原部会長

ありがとうございます。

手短にお願いします、高橋さん。

○高橋委員

すみません。今の深尾委員のご意見には賛成でございます。私もベストアドバイス義務はぜひ入れるべきであると長年主張させていただいております。

それから、先ほどいろいろ申し上げましたけれども、この改善の過程では、変額年金保険のトラブルが非常に多かったわけですけれども、クーリングオフ制度を導入したり、また今回の金融商品取引法と平仄をあわせる形で投資型の保険に関してのいろいろな規制をしているわけですから、今後とも何かありましたらば機動的に当局のほうで対応していただくということをお願いしたいと思います。

以上です。

○河野監督局審議官

ちょっと1点よろしいですか。

○岩原部会長

河野さん、どうぞ。

○河野監督局審議官

1点、言葉尻のようで大変恐縮でございますけれども、ちょっと松澤委員がおっしゃったことについて補足させていただきますと、当該銀行で改善をしていることは、当然検査の結果あるいは不祥事件届出などの際に確認はしておりますけれども、さらに例えば多数の会社で共通した問題が見られるとか、あるいは消費者との関係で特に際立った問題が生じたというような場合には、当然その業界全体に対して私どもとして注意喚起をしたり、あるいは検査一般においてその留意点として横断的に見ていくということを監督上行っておりますので。何かその場しのぎの、その会社だけの改善で済ませているということではございませんので、よろしくお願いいたします。

○岩原部会長

よろしゅうございましょうか、そろそろ時間も過ぎてきまして。恐らくこれについては皆様いろいろなご意見があると理解しております。今日で尽きないことはよくわかっておりますので。また本日の部会やワーキング・グループに参加いただけなかった方々を含めて多分いろいろなご意見があるものと承知しております。

また、先ほど金融庁のほうから関係者等からの意見も十分に聞くとともに、モニタリング結果等について関係者に対して丁寧に説明し、各方面の理解が得られるように努めてまいりたいというお話があったところであります。

そこで、今回山下座長ともご相談いたしまして、前回も保険ワーキング・グループを開催して関係者の皆様からご意見を伺ったこともあり、今回も保険ワーキング・グループにおいて関係者の皆様からご意見を聞く機会を作ってはいかがかということになりました。

皆様、いかがでしょうか、そのような機会を設けるということで。

特にご反対がないようでございましたら、事務局のほうに具体的な日時、場所等について調整をしていただいた上で、改めて連絡をさせていただきたいと存じます。

それでは、特に皆様からご発言がなければ、本日は終了の時間も近づいてまいりましたので審議を終了させていただきたいと存じます。

なお、この後事務局のほう及び私とで記者会見を行いまして本日の会合の模様等につきまして簡単にご紹介させていただくことといたしたいと存じます。

最後に、事務局のほうから連絡がございましたらお願いいたします。

○諏訪園保険企画室長

次回の第二部会の開催につきましては改めてご連絡させていただきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

また、座長よりお話がございました保険ワーキングにつきましても、詳細について調整させていただき、決定次第改めてご連絡させていただきたく思います。

事務局からは以上でございます。

○岩原部会長

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。

長時間熱心なご討議どうもありがとうございました。

山本副大臣もどうもありがとうございます。

以上

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