金融審議会金融分科会第二部会会合(第43回)議事録

日時:平成19年12月5日(水曜日)13時00分~15時00分

場所:中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

○岩原部会長

それでは、時間でございますので、ただいまから第43回金融審議会金融分科会第二部会を開催いたします。

皆様、本日もお忙しいところお集まり頂きまして、ありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議は公開となっておりますので、その点をまずご了承頂きたいと存じます。

また本日は、金丸委員、黒沼委員、堀内委員、吉野委員、神田委員、田中委員がご欠席と伺っております。

それでは、本日の議事に移らせて頂きます。お手元の議事次第に沿いまして、ご議論を頂きたいと思います。

本日の議事の進め方ですが、銀行関係と保険関係の2つのテーマがございます。まず銀行関係でございますが、11月19日の月曜日に開催されました、前々回の会合で審議を開始いたしました銀行の業務範囲規制のあり方について、1時間20分程度ご審議頂きたいと考えております。その後、保険に関する規制緩和について40分程度ご審議頂きたいと思いますので、よろしくご協力のほどお願い申し上げます。

なお、本日は、より充実した審議とするために銀行関係の議題を取り上げました前々回と同様、国際銀行協会(IBA)会長のポール・クオ様、横浜銀行協会担当部長・望月様、第二地方銀行協会金融情報室長・澤井様にも参考人としてご参加頂く形で進めさせて頂きたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、銀行の業務範囲規制のあり方についてご審議頂きたいと思います。まず、先般の審議を踏まえました論点について、事務局からご説明を頂きたいと思います。

○遠藤信用制度参事官

それでは事務局からご説明させて頂きます。資料は第二部会43-1、及び参考資料として第二部会43-2をご用意しております。43-2に関しては、前回11月19日の会にお配りしたものを再録したものでございます。適宜この参考資料を参照しながら論点メモについて、これをメインにご説明させて頂きたいと思います。

この論点メモ(2)の1ページ目でございますけれども、まず、業務範囲規制の考え方でございます。1つ目及び2つ目の●、特に2つ目の●でございますけれども、これまでも、それからこれからも、個々の個別の業務について、銀行の業務範囲規制というものを拡大してきました。社会・経済情勢に応じて、その要請に応じて拡大してきました。この場合に、その当該業務が、銀行本体の経営の健全性に及ぼす影響というものをまずもって考えました。しかし、それと同時に、利用者利便の向上でありますとか、銀行グループ全体としての経営の効率化でありますとか、国際競争力の確保といった、さまざまな要請を勘案した上で、きめ細かくこれまでも判断してきましたし、これからも判断していくのではないかと、それを基本とするのが適当ではないかと考えております。

3つ目の●でございますけれども、今後も業務の拡大を考えていく上で、平成9年のシステム改革の答申、これは参考資料においては6ページと7ページにつけているのでございますけれども、このシステム改革の答申、前回もご紹介させて頂きました。そこでも議論されておりましたように、銀行本体へのリスク遮断等の面で相対的にすぐれた銀行持ち株会社の子会社、すなわち銀行から言うと銀行の兄弟会社でございますけれども、その業務範囲については、十分なリスク管理を行う前提のもとで、銀行子会社に比して緩和する余地があるのではないかと考えております。

次の●でございますけれども、これはまさに前回のご議論でいろいろなご指摘を頂きました。ただし、その場合でも、銀行グループについては、いかのような実態を踏まえた対応が求められるのではないか。1つ目のポツでございますが、業務展開の相互補完性、グループ全体としてのレピュテーションとの観点から、実質的にはグループが一つの企業体と外部からは見なされ得るのではないか。これは前回、岩原部会長の方からご指摘頂きました、平成10年に金融制度調査会が銀行グループのリスクの管理等に関する懇談会というのを開いておりまして、その報告書は、まさにこういったグループ全体として銀行はレピュテーションを問われるわけであって、その子会社であるから、あるいは兄弟会社であるからといって、なかなかそれでリスクを遮断して、それでもって銀行というのは責任を免れるというわけにはなかなかいかないだろうと。それが今の実態であったというご指摘でございます。

それから、2つ目のポツでございますけれども、我が国の持つ銀行グループの社会的な影響力、産業支配力といった大きさというのは無視できないのではないかといったご指摘でございました。

1枚めくって頂きまして、そういったご指摘も踏まえまして、銀行兄弟会社についての業務範囲を議論する際に、制度的な枠組みとしてはどのようなことが考えられるのだろうか。慎重に業務範囲というものを決めなければならない場合に、どのような制度的枠組みをとっていけばよいのだろうかということを、ここで述べています。

銀行子会社に比して緩和するとすれば、その制度的枠組みとしては以下のような2方式が考えられるということで、マル1マル2と書いておりますけれども、マル1は、アメリカの金融持ち株会社(FHC)におけるその子会社に、金融の補完的業務を認める場合には、必ずFRBの事前承認を得るという形になっています。その発想をマル1に書いております。アメリカのように、従事し得る業務に特段の限定をかけずに、当局の個別の許認可のもとで新たな業務を認める方式ということでございまして、金融の本来業務に補完的であるかどうかということを申請者の方から出させまして、それがいかなる解釈のもとに補完的かどうかということを、金融当局の方が判断いたしまして、それをもし承認した場合には、事後的に発表するというような形で運用しているようでございます。

ただ、このようなやり方は、我が国は、他業禁止の観点から業務範囲については限定列挙を基本としておりますし、また行政判断の透明性判断の確保という観点からも、あまり日本の制度になじむものではないのではないかというふうに考えております。

そこでマル2のようにあらかじめ従事し得る業務を法令で初めに限定列挙した上で、実際に、新たに認められた業務というものについて、銀行兄弟会社で新設する場合には、当局の個別の許認可のもとで、新たな業務を認める方式はいかがだろうかと考えている次第でございます。この当局の個別の許認可について、ここであまり広い裁量があるとマル1と同じことになってしまうわけでございますけれども。ここでは、まだ詰め切っておりませんが、例えば自己資本比率、Tier1(基本的項目)比率、あるいはROA(総資産利益率)との収益性の指標、それからリスク管理の態勢整備がきちっと整備されているかどうかということも見なければいけませんので、例えば検査結果通知に対する対応でありますとか、過去に行政処分が行われた場合においては、その後の改善状況とか、そういったもろもろのことを判断して、新たな業務に進出する際のリスク管理能力が銀行グループとして存在しているかどうかということを見ていくのではないかというふうに考えております。

1枚めくって頂きまして、個々の業務でございます。(1)コモディティでございますけれども、1つ目の●は、コモディティに関する現状を述べております。銀行グループに対しては、商品の現物取引は認められておりません。また、商品デリバティブについては、差金決済に限定しているということでございます。

2つ目の●でございますけれども、まず商品デリバティブを差金決済に限定しているということに関しては、顧客等のヘッジ要請に対する銀行グループの効率的、かつ十分なヘッジ手段の提供を阻害しているのではないかという指摘がございます。

いろいろとビジネスの実態というのを聞いてみますと、3つ目の●でございますけれども、商品に十分な流動性が確保されており、また反対取引としてのカバー取引を、まさに仕組んでいれば、商品の現物の引き渡しに伴うリスクというのは、ほとんど解消されているといったことにあるようでございます。とすれば、こういったカバー取引を既に事前に仕組んでいるといったような一定の要件のもとに、商品デリバティブについて、差金決済のみならず、現物決済を認めることが適当ではないかということを考えております。

4つ目の●でございますけれども、商品の現物取引についてはどうかということでございます。まずマル1は、商品そのものの価格変動リスクをヘッジする手段としての機能を持つ商品デリバティブ取引、この商品デリバティブ取引を既に行っているわけでございますけれども、この商品デリバティブ取引と、商品そのものの取引は密接な関連を有していると。両者を切り離して考えることは実態にそぐわない面があるのではないかという指摘でございます。これは、米国の金融持ち株会社においても、商品の現物取引を認める子会社を認める際の議論として、商品の現物取引が既に認めている商品のデリバティブ取引の補完的業務であるかどうかという形で議論を行いまして、補完的業務であるということを認定して、そのFHCの子会社の業務として商品の現物取引を認定しているといった経緯がございます。同じような趣旨の議論が必要かなと思っております。

それからマル2でございますけれども、商品デリバティブ取引に従事するものは、その原資産の価格変動リスク等に関する高度な知識、管理能力、経験というものを蓄積しているということであれば、商品の取引、現物取引というのを認めても、十分にリスク管理というのを行い得るのではないかと考えられます。

それからマル3でございます。米国の事例等も踏まえると、我が国金融機関の国際競争力の確保の観点からも、商品取引を銀行グループに一切認めないということは、実態にそぐわない面があるのではないかといったことが考えられます。

その次の●でございますけれども、そこで、先ほど業務範囲の総論の部分で述べましたように、個別承認を前提といたします銀行兄弟会社について、そういった制度的枠組みを前提にいたしまして、連結自己資本の一定水準以内、あるいはその商品の取り扱いに伴うリスク遮断等の一定の条件を付した上で、最終的に個別許認可の上で、こういった商品の現物取引についても銀行兄弟会社に認めることが考えられないかといった問題提起でございます。

その次が、(2)イスラム金融でございますけれども、イスラム金融の1つ目の●にありますように、イスラム金融というのは、外形的にはものの売買でありますとか、あるいはリース取引という形態をとります。しかし、イスラム金融のかなめは、実質的には貸し付けと同視し得るという要件を充足しているかどうかということだと思います。

銀行、あるいは銀行持ち株会社の子会社に、既にリース業務は認めているという現状を踏まえますと、このイスラム金融というのは、そのイスラム金融を担う主体として、子会社にこのイスラム金融を担わせるべきではないかというふうに考えております。

コモディティの現物取引は、個別の許認可のもとに銀行兄弟会社ということでございましたけれども、このイスラム金融は、さらに本体に近い子会社で認めるということでいいのではないかという提案でございます。

(3)が排出権取引でございます。この排出権取引の1つ目の●は、現在、排出権取引については、銀行本体にその実施を認めておりません。それは排出権の法的な位置づけとか評価方法等について、必ずしもまだ明確になっていないということからでございます。

1枚めくって頂きまして、この排出権は2008年から2012年までの5年間で、京都議定書で日本に課せられました△6%のCO2の削減というのを行っていくわけでございます。逆に言えば、まさに排出権取引というのがいよいよ活性化する、活発化する時期に突入するわけでございますけれども、それを前にして排出権取引に絡むインフラ整備でありますとか、あるいは排出権というのは、法的にどのように整理するかといった政府部内における議論というのが活発化しているところでございます。排出権に絡む状況というのが、今急激に変化しているということであれば、排出権取引を銀行本体の業務として位置づけることを可能とする方策を検討すべきではないかと考えております。

この排出権取引は本体の業務ということでございますので、ご案内のように本体の付随業務として解釈として読み込むということもひとつ考えられますけれども、排出権取引を新たに銀行本体の業務として位置づけるということであれば、解釈上付随業務として読み込めるという形ではなくて、排出権取引を銀行法上新たに1項立てて、銀行の付随業務として付加的に書くということも法技術的には考えられるのではないかというふうに、内部では議論しています。

次が(4)リースでございます。リース業については、銀行の子会社に対して、実質的に設備投資資金の貸し付けと同視し得るファイナンスリースを主として営むことを認めております。このファイナンスリースを主として営むということを裏づけるために、ファイナンスリースに関する収入制限という、すなわちリースにかかる収入のうちの半分超をファイナンスリースから得なければならないと、そうしたリース子会社を銀行の子会社として認めるという形になっております。

このファイナンスリースに関する収入制限を撤廃すべきという意見もございます。これについては、ファイナンスリース以外のリースはオペレーティングリースと申しておりますけれども、オペレーティングリースの中には、いわゆるレンタルも含めてさまざまな形態があって、この収入制限を直ちに撤廃するということには、いろいろな意味でやや無理があるのではないかと。実態的にもこのファイナンスリースの収入制限を撤廃することの意味というのに、事務的にいろいろ議論してみますと疑問がございますし、それからこれを撤廃したとしても、恐らくその子会社について、レンタル業務を銀行の子会社としてやってもらっては困ると。このレンタル業務を排除するための新たな線引きというのがなかなか技術的に難しいといったこともございます。そういったもろもろのことを総合的に判断しますと、収入制限を直ちに撤廃することには無理があるのではないかというふうに考えておりますけれども、こうした点について、どのように考えるかという問題提起でございます。

他方、リース業者はリース中古物件の売買・メンテナンスに関しては、一般に当該物件にかかる販路等のネットワークを既に有しておりますし、当該物件の価値等を熟知しているという状況でございます。このような業者に対して、中古物件の売買をリース満了時の売却に限定しているというのが今の規制でございます。そういった実態が顧客利便や、全体としての業務の効率を阻害しているのではないかといった指摘がございます。これについては、例えば全体としてファイナンスリースを主として行うことが子会社として確保されているのであれば、そのリース満了時の物件のみの売却を認めるということではなくて、リース物件と同種の中古物件の売買・メンテナンスについて、リース業を補完するあくまで附帯的な業務として認めることが考えられないかというふうに考えます。

1枚めくって頂きまして、(5)マーチャント・バンキング業務でございます。これに関しては、前回11月19日の際にかなりいろいろなご議論を頂きました。それを受けての論点メモでございます。

銀行グループによる一般事業会社のエクイティー保有に関しては、銀行に対する他業禁止の趣旨の徹底、子会社業務範囲規制の潜脱回避の観点から、ご案内のように5%の議決権保有制限が課されております。このマーチャント・バンキング業務に関しては、次の●の1つ目のポツでございますけれども、アメリカにおいては、一定の制限のもとにFHCにおいてマーチャント・バンキング業務を行うことが認められております。国際競争力強化の観点から、我が国の銀行グループに対しても、こういった株式投資によるキャピタルゲインを得る道を拡大していくべきではないかという議論が一つあり得ると思います。

それから2つ目のポツでございますけれども、企業再生等の局面においては、企業サイドには多様な資金調達を含めた計画を講じていくことが求められるわけでございますけれども、銀行グループは、主にデットの供給ということでございまして、その他の主体がエクイティー供給という形だったわけですけれども、銀行グループにもデットに限らずエクイティーまで含めた総合企業ファイナンスに関与していくのかが求められるのではないかといった議論も存在しています。

こうした銀行グループによるエクイティー保有の拡大については、冒頭申しました制度趣旨との非整合性、それからこのマーチャント・バンキング業務をもし広く認めるということになれば、株式持ち合いの復活につながるのではないか、あるいは銀行グループによる産業支配につながるのではないかといった懸念が指摘されております。

それから違った局面でございますけれども、現行の法制上も議決権の保有制限というのは、これは国内企業に対する議決権の保有制限でございまして、外国会社については、この5%の議決権保有制限というのは課せられておりません。すなわち、外国会社の株式については、この5%の保有制限の対象にはならないといった規定になっております。そういった意味において、現状においてもマーチャント・バンキング業務の実施は相当程度可能ではないかと。直ちに現行の規制を緩和する必要はないのではないかといった指摘もあり得るかと考えております。

7ページでございますけれども、これらを踏まえれば、銀行グループによるエクイティー保有の大幅な拡充については、他業禁止、議決権保有制限等、現行規制の本来の趣旨を踏まえて、改めて整理していくことが適当ではないかというふうに考えております。

その際には、銀行グループに、果たしてエクイティーファイナンスでどの程度関与することがもとめられるのかと言った議論でありますとか、現実に国内外の金融グループによってエクイティー供給投資はどのように行われているのかといった実態も踏まえた十分な検討が必要ではないかなと考えております。

こういった形で、マーチャント・バンク業務に関しては、これは引き続き検討が必要かなと考えるのでございますけれども、他方で、2つ目の●でございますが、現行制度の枠組みにおいても、銀行は一般事業会社の株式を5%を超えて一切持ってはいけないという形にはなっておりません。例外がある程度あるということでございます。それは例えばベンチャービジネスの育成という形で、ベンチャーキャピタル子会社を通じた出資でありますとか、デットエクイティースワップ、スワップ後のエクイティーの保有でありますとか、これは5%の規制の例外になっております。こういった現行制度の枠組みを基礎として、相応の合理性が認められるものについては、早急に手当てを行うことが必要ではないか。例えば、ベンチャービジネスの育成でありますとか、企業再生でありますとか、さらに発展して地域再生でありますとか、そういう観点から、上記のような懸念に十分留意しつつ、議決権保有制限例外となる対象会社を拡充してくことが考えられるのではないかという問題提起でございます。

次の(6)投資助言・代理業に関しては、これは既に金融商品取引法において、登録金融機関が行うことができる業務と位置づけられておりますので、銀行本体の業務として、まさに銀行法の受けの規定をつくって必要があるということでございます。

1枚めくって頂きまして、利益相反取引と優越的地位の濫用の禁止ということで、このように銀行グループの業務範囲を今以上に拡大しますと、そういった子会社あるいは兄弟会社との間で、銀行本体との間で、利益相反の問題でありますとか優越的地位の濫用の問題が顕在化いたします。そういったものをどのように防止していくかということでございますけれども、これは、第一部会の方で、銀証ファイアーウオールの問題に関して全く同様の議論がございまして、そこと平仄を合わせた議論を問題提起として提示させて頂いております。利益相反取引等については、銀行グループがみずから適切な問題把握、管理等の態勢を整備する、これを法令上義務づける。行政がそれを的確にモニタリングするという体制で、規制の実効性を確保していくことが適当ではないかと考えられます。

具体的には、監督指針において、マル1利益相反の抽出・特定、それからマル2チャイニーズウオール等の構築等の管理・記録の保持、それからマル3利益相反管理方針の策定等を明記していくということ。

それから、銀行側の方では、策定する利益相反管理方針について態勢整備を促進する観点から、その概要の公表を義務づけるといったことを検討すべきではないかと考えております。

1枚めくって頂きまして、最後でございます。クロスボーダー取引でございますけれども、クロスボーダー取引に関しては、前回、参考資料43-2の最後の33ページの絵をお示ししながら、クロスボーダー取引にかかる現状の問題点について説明させて頂きました。今回の論点メモは、そういった問題点を踏まえて、より具体的な制度設計にまで踏み込んだ論点メモにしております。

1つ目の●でございますけれども、「外国銀行の業務の代理・媒介」ということを行うのは、銀行法上認められておりません。邦銀が国内顧客に対し、当該邦銀の海外支店ブック取引の勧誘を行うことは認められております。これは、参考資料33ページの一番左側の絵が、まさに邦銀が邦銀海外支店のブック取引の勧誘を認めていると。この絵の中に丸がありますけれども、そういった図でございます。

これに比べまして、1つ目のポツでございますが、外国銀行在日支店や、外資系邦銀が母体である外国銀行の海外ブック取引の勧誘を行うこと。あるいは邦銀が海外現地法人の海外ブック取引の勧誘を行うことは認められていないという現状になっております。33ページの図を見て頂きますと、右側3つの取引の図に関してはすべて勧誘の部分に「×」がついておりますけれども、このことをあらわしております。

論点メモの2つ目の●でございますけれども、海外ブック取引に関するこうした組織形態によるゆがみについては、これは国際的に事業展開を行う本邦企業への効率的な金融サービスの提供を阻害しかねず、外国銀行の業務の代理・媒介を何らかの形で容認していくことが適当ではないかというふうに考えます。

その際に留意しなければいけないのは、外国銀行に対しては、我が国当局の直接の監督が及びません。あるいはクロスボーダーということでございまして、マネーロンダンリングでありますとか脱税がよりやりやすくなるということを懸念しなければいけませんので、そういった不適正な取引を防止する観点に留意していく必要があるかと思います。

具体的な制度設計でございますけれども、外国銀行の業務の代理・媒介を許容するための制度設計といたしましては、外国銀行在日支店あるいは外資系邦銀が、母体銀行グループの外国銀行の業務の媒介を行う場合、基本的に以下のような枠組みとすることが考えられるのではないかということでございます。

1つ目のポツでございますけれども、業務の受託者となる外国銀行在日支店等からの申請に基づく許認可制。これは選択肢としては2つあるわけでございまして、外国銀行在日支店から申請させるか、あるいは外国銀行そのものから申請させるかということでございますけれども、一応この制度設計の提示といたしましては、外国銀行在日支店からの申請に基づく許認可制という形になっております。

2つ目のポツでございますけれども、受託する業務に関し、外国銀行在日支店等に対し、日本の預金保険制度の対象でないこと等の説明義務を設ける等、クロスボーダー取引であることに着目した行為規制を課したらどうかと考えております。

1枚めくって頂きまして、最終ページでございますが、許認可を受けた外国銀行在日支店等に対し、銀行法に基づく業務改善命令等の監督権を必要に応じ行使するという形でございます。

ここに書いた制度設計の発想は、本来、代理業務ということでありますと、日本国内の銀行代理業務は、銀行業務を委託する銀行側に直接いろいろ監督権がかかってくるわけでございますけれども、クロスボーダーの場合はまさに委託している銀行が海の向こうにございますので、直接の監督権がかからないということでございまして、我々が直接コミュニケーションをとり、監督権を行使するのは、まさにそこに存在している外国銀行支店ということになります。そうしますと、そういった実態を踏まえて、名実ともに外国銀行の支店等を名あて人とした申請を受け付け、それに対して許認可をおろし、それからそこに監督をかけていくといった制度が一番実効的なのではないかという発想のもとに、こういった制度設計を提示させて頂いた次第でございます。

最後の●でございますけれども、邦銀については海外子会社の設立については、既に事前認可制がとられております。海外子会社で行われる業務を、あらかじめ当局は知り得る立場にあります。そういった点を踏まえますと、受託する業務内容については、許認可ではなくて、この場合は事前の届出制とするのが適当ではないかということでございます。ただし、その後の行為規制でありますとか、あるいは監督については、外国銀行在日支店等に対するのと同様の枠組みを確保することとしてはどうかということでございます。

私からの説明は以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からのご説明を受けまして、皆様からご質問、ご意見を頂きたいと思います。いかがでございましょうか。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

いろいろ申し上げたいことがございます。まず、方向として、何をやろうとしているのかという方向性に関しては、この前もご説明頂いたとおりであって、何もそこに異存はありません。

そのときに、前回の議論は、リスクが銀行に及んでくるのはまずいよねということで、では、そのリスクは一体何なんですか、そのリスクはマネージできるんですかという話で、例えば、銀行兄弟子会社ならいいけれども、銀行の子会社にやらせるのはちょっとどうですかねという形でした。基本的には米国のFHCと似たような方向へ行くんだろうと思うんです。

そこから、ちょっと個別のお話をさせて頂くと、例えば4ページのコモディティのところで論じられているんですけれども、商品の現物をやらせるのは、どうも銀行本体はふさわしくないのではないかというご指摘があるんですけれども、これはリスクをどこまでマネージできるのか、それからリスクが顕在したときに、どういう対応がとられるのかということを判断の基準に置いて、それでこういう結論に、兄弟会社に認めたらいいんじゃないのかなということを考えておられていると思います。実際にはコモディティ以外にも、例えば不動産はどうなんでしょうかとか、あるいは不動産をデリバティブにしてしまったらどうなるんでしょうか。そういう対象が次から次へいろいろ出てくるわけなんですが、これを一体どういう基準でさばいたらいいのかという基準がはっきりしない。むしろコモディティを兄弟会社でやらせるのは、どういうリスクがあって、そのリスクがどうだから、これは兄弟会社、これは銀行子会社でやらせる、そういうことについての基準が非常に見えづらいんです。

今、不動産といったら、銀行監督課の人は、また住専の話に逆戻りかというように、不動産と聞いただけで、すごくみんなプロテクト気味になるのはわかるんですけれども、今の日本の市況を支えているのは、外国人の日本の不動産買いですので、そこから考えた場合に、そのリスクをどうやってマネージするのか。そうすると、やはり不動産デリバティブというのは、喫緊の課題として検討しなくちゃいけない。では、銀行がそれをやれるのか、どうなのか。そこのところの、考える基準のガイドラインというか、それがちょっと見えてこないというのが問題なのです。

それから、多分これは書き方の問題だと思いますけれども、イスラム金融のところで、イスラム金融を認める場合の主体は子会社としてすべきではないか。では、兄弟会社はどうなのか。多分、遠藤さんのご意向は兄弟会社でも構わないというお考えなんだろうと思いますけれども、やはりそこでも兄弟会社なのか子会社なのかを、一体どういうリスクを考えて切りさばいているのかというのがちょっと見えてこないというところが問題だと、私は今感じております。方向性は賛成ですけれども、その辺をはっきりさせて頂きたい。そうしないと、いつも申し上げていることですけれども、弁護士が意見書でリスクをとらなくちゃいけないという関係になってしまいますので、それは避けたいと思っております。

次に、排出権に関しては、これはちゃんとはっきり書こうというお考えは賛成です。今の付随業務の解釈論では、排出権はどうやっても読み込めませんので、これはこの解決でいいと思います。

リースのところのポツの2つ目のところで、収入制限を撤廃すべきだという議論がどこから出てきたのかというのは別のところにあって、それはそういうことのために、ここのルールを変える必要があるのか、必要ないんじゃないという議論もあるんですけれども、なぜレンタルを入れちゃいけないのか。レンタルをやっちゃうと区別ができないから、いろいろなレンタルが出てくるじゃないかということをおっしゃるんですけれども、やはりそこでもリスクが、レンタルだったらどんなリスクが発生してどうなんだということを、その理由づけがはっきり見えてこない。確かにDVDのレンタルをやられると、銀行がそれをやるのはまずいよねと言われておりますが、でも本当にまずいのかなという気もするんですよね。

そういう意味で、もう少し基本になる考え方をはっきり出して頂きたいと思うんです。私自身は、一定の基準を決めて、後は金融庁の裁量で認める認めないというシステムをつくるということには、賛成です。システムの中に遊びを設けておかないと、商品の発展に行政がついていけないということがあって、そこで行政をいかにネグるかという不健康な方向に行ってしまいますので、それを避けるためにも遊びをつくって、新しい取引をどんどん取り込めるようにしておく。そのときに、なぜ取り込めるのか取り込めないのかというのは、どういうリスクを監督課は考えていて、それに基づき審査しているんですということが明らかになっていれば市場の方も予測がつく。そういうメカニズムにして頂ければよろしいのではないかなと思います。

マーチャント・バンキングのところ、私は前も申し上げましたけれども、今ご提案の内容には賛成ですし、別にそこまでプリンシプルインベストメントみたいなものをつくる必要はないと私は思うんですけれども、それはご意見があるところだと思います。

それから、8ページの利益相反のところですけれども、監督指針でいろいろ書きましょうと、これは私も賛成したことなので特に問題はないんですけれども、片方で兼任を認め、片方でクロスマーケティングに関して厳しく規制をかけるということになると、例えば兼任をしている人は、「私は今日は証券会社の人です」「私はこのお客さんとでは銀行の人です」という二重人格を、あるいは「持ち株会社の人です」と三重人格を使い分けなくちゃいけない。これは、人間の管理するやり方として健康的なんでしょうかねと申し上げたい。いろいろご議論はあると思いますけれども、そこのところを考えて頂きたいのです。コンプライアンスの人たちは、我々は「私は銀行の人間です」ということで会ってきたにもかかわらず、逆に「おまえは兼務者だから、証券のクロスマーケティングをやってきたんじゃないか」ということで、検査のときに痛くない腹を余計に探られるような状況も発生するので、逆に不安だというコメントもしています。そこのところに対する配慮というのをお願いしたいと思います。

最後に、私がいろいろ一番申したいところでクロスボーダー取引のところなんですが、2つ目で、「海外ブック取引に関するこういった組織形態の歪みについては、国際的に事業展開を行う本邦企業への効率的な金融サービスの提供等を阻害しかねず」と書いてありますけれども、これは日本のマーケットに参画してくる海外の企業にとっても、非常に阻害をしているわけなんです。両方なんです。犠牲者は日本の企業だけではなくて、海外の企業も実は手を縛られてしまっているわけでありまして、例えば日本で大きなシンジケートローンを組もうとしたときに、海外金融機関が、残念ながら日本には支店がないけれど、いい取引なのでお金を出したいということがあります。要するにお金を出してくれるということで日本の東京マーケットは活性化するわけですけれども、できますかと言われたら、我々の答えは、残念ながら貸金業法の登録ができますか、支店がないとできませんよねという話になります。そういうシステムの中で、東京マーケットを活性化させられるかというと、できない話なんですよ。

そこから考えると、今、ここで遠藤さんが言ってくださったご提案はみんなそのとおりだと思いますけれども、もう一つ目を向けて、海外の金融機関で、なおかつ日本に支店とかそういうものを持っていない企業がお金を貸すときのメカニズムをつくって頂く必要があると思います。別に日本の外銀在日支店なり、あるいは日本の銀行が、事実上の支店として、そこで活動をコントロールすればいいわけです。もちろん現状のやり方でも、海外から直接借りられないんだから、外でパーティシペーションをやればいいんじゃないかとか、あるいはいきなり全額まず日本の銀行がローンを出して、あとはローン債権を売ればいいんじゃないかという小手先の逃げ方はできますけれども、せっかくこれだけ自由化するというのであれば、海外の金融機関が日本に拠点がなくても日本のマーケットにアクセスできて活動できるようにし、でもそのときには、日本のライセンスを持っている人とちゃんと一緒にやらなくちゃいけないですよという、外証法――今は金商法になっていますけれども、外国の証券業者が日本の証券会社の仲介で有価証券を売るときと差はないわけですから、同様にそこまで認めてもよろしいんじゃないかなという感じがいたします。

今ここで遠藤さんが提案してくださったことが、邦銀とか外銀の日本支店についてできなかったということ自身が我々のシステムの欠陥だったわけですから、まずそれを直す。なおかつ、それ以上に日本のマーケットを活性化させるには何をしなくちゃいけないかということを考えて頂くと、目をもう少し広げて頂く必要があると思います。

それから、もう一つこれは、極めてテクニカルな話になりますけれども、いわゆる外銀支店とか日本の銀行の場合に、外銀に関しては許認可、それから日本の場合には届け出でいいんじゃないかと。どうしてそんな差を設けるのかというのがよくわからないんです。というのは、外銀が日本で支店を設けるときには親銀行も審査の対象になっています。ですから、もちろん全部を細かく調べられるわけではないですけれども、情報は全部提供されています。そうすると、どうしてそこでそんな差をつけなくちゃいけないのか。逆にこういう差をつける合理的な理由がきちんと示せないと、かえって、やはり日本のマーケットは閉鎖的だと不必要な誤解を招きます。だから、不必要な工夫はしない方がいい。この辺はおおらかにやってしまった方がいい。大切なのは、日本の支店あるいは日本の銀行の行為規制、そこの問題ではないかと思います。

それからもう一つ、これはここは当然誤解のないように書いておいて頂きたいんですけれども、エージェントになったからといって、日本の銀行ができなくて、海外の銀行ができることを日本でエージェントにしたからそれができるようになるという、そういうことは全然意図していないということは、どこかにはっきり書いておいた頂いた方がよろしいかと思います。人というのは、ウィッシュフルシンキングで物を読んでしまいますので、そこはちょっと誤解が起こらないようにということです。長くなりましたけれども、私のコメントは以上でございます。

○岩原部会長

随分たくさんご意見頂きましたが、遠藤さんから。

○遠藤信用制度参事官

ちょっと網羅的にはお答えできませんけれども、一応我々がこの論点メモをつくるに当たって考えていることで、和仁先生が一番最初にまさにご議論いたしました、何を認めて何を認めないのかと。なぜ子会社で、なぜこちらの方の業務は兄弟会社で、その基準がよくわからないということでございますけれども、一言で言えば、まさにそういう新たな業務ですね、これは我々も本当に予測できない、今後どういうものが出てくるか予測できない部分がございます。これに関するリスク管理というのを、本当にどのように行うのかということでございますけれども、新たな業務が出てきたときに、それにフィットするリスク管理というのはどういうことをやるのがベストプラクティスなのかというのは、これは我々自身も予測できないところがあります。

まさにそういう未知の分野に入っていくので、アメリカのFHCなんかは、完全に個別承認制で、むしろFRBが事前に基準を示すことなく、すべて申請ベースで、それを見て、補完的業務であるかどうかということを認めたということだと思います。

日本の法制は、そこまでフリーハンドを当局に任せるということは、恐らくなかなか許されるものではございませんので、そこは事前にできるだけ限定列挙という形で書いておくということでございますけれども、この限定列挙に機動性がないと意味がございませんので、できるだけ、これは技術的なことでまだ詰まってはいませんけれども、府令ベースで限定列挙していくときに、具体的にどういう業務に取り組みたい。それからそれに対してどのようなリスク管理が行われるのかということに関しては、これは申請ベースできちっと銀行側と当局とのコミュニケーションに基づいて、それを決めていくということでございますので、事前にクリアカットな基準が示されて、今回のこういった決めにしたということよりも、これはこれで、我々は今までの議論の流れの中で、これは子会社、これは持ち株会社という形で一応ご提示したわけでございますけれども、このお話はこれにとどまらずに、今後いろいろな新たな業務を展開する話でございますので、そのときの枠組みとしては、冒頭申しましたような一番入り口の部分というのはある程度規定させて頂きたい、それも機動的に規定させて頂きますけれども、中身については、これは本当に個別の新たな業務の新たなフロンティアに関するリスク管理でございますので、そこについてはきちんと議論した上で認可を与えるという仕組みはどうだろうかというふうに考えております。

それから、一番最後のクロスボーダーのところも、確かに和仁先生のおっしゃるようなところまで規制緩和すべきだというご議論は、当然にあるかとは思います。ただ、今の銀行法のたてつけというのは、海外金融機関が日本で銀行業務を行う場合には、支店を定めて、拠点を持ってやってくれということです。それはなぜそういうことになるかというと、申しましたように、我々の監督権限というのは海外の金融機関に及びません。海の向こうの金融機関がどういうことを行っているのかと、何かおかしな商品を、海を越えて日本の消費者に対して売った場合に、問題が起こったとしても、監督当局としてはそれに対してペナルティーをかけるということはできません。そういうことを前提にした場合に、やはり我々の、まさに監督の名あて人である存在というのが日本国内にいてほしいというのが銀行法の今のたてつけでございます。ただ、それをあまりガチガチにやってしまいますと、今のような形で外国のすぐれた金融サービスを日本の顧客が日本の支店を通じて享受することができないということなので、そこは外国銀行の代理・媒介というような概念を認めて、外国銀行の直系の親銀行、さらに兄弟銀行についての金融サービスも、日本において、日本の支店を通じて、日本語でそういうサービスを受けられるような形にまでしたらどうかというのが、今回の提案でございます。

さらにそれが進んで、全く同じ金融グループでない、ほかの金融グループについての代理・媒介を認めたらどうかというようなご提案ではございますけれども、それですと、結局代理の業務を受ける存在は日本にあるわけでございますけれども、まさにそういう金融サービスの根っこになった銀行については、我々の監督権が及ばないということになりますので、銀行法のそもそもの発想からすると、なかなか直ちにはそういう発想まで、そういう制度的枠組みまで飛びにくいかなというのが現状の私どもの感想でございます。

○岩原部会長

和仁さん。

○和仁委員

確かにその程度のことはお答えが出るとは思っていましたけれども、ただ、先ほど申しましたように、金商法のもとでは、日本の金融商品取引業者が媒介して、海外の業者がつくった有価証券が日本へ売られてしまうわけですよね。それは日本の金商業者をきちんと監督して行為規制をかけているからという形なので、同じ発想を銀行でとれないというのが、その商品の類似性からいって、ちょっと感覚が古いと言うと失礼ですけれども、古いというふうに申し上げざるを得ないので、やはりそこのところは、申しわけありませんけれども、もう一踏ん張りして、日本のマーケットをあけるようにして頂きたいと。

それだけお願いいたします。

○岩原部会長

いいですか、遠藤さん、今の点。

○遠藤信用制度参事官

今、和仁先生がおっしゃったのは、結局銀行法、銀行業務のたてつけにおいても、市場法にあるようなプロ向けと言いますか、ホールセールの話とリテールの話というのを区別して制度を設計すべきだというご指摘かと思います。それは非常に重要なご指摘かと思います。ちょっと今までのたてつけからは、どういうふうに仕組めるのか、あるいは仕組むのが適当なのかというのは、難しいところがあると思いますけれども、それは検討課題として受けさせて頂いて、内部でも勉強していきたいと思います。

○岩原部会長

あえて、保守的な意見から言いますと、やはり銀行の場合は健全性確保という問題がありますので、例えば先ほどの海外支店の問題等についても、監督ができる範囲でやるということがあり得ることは確かだと思いますし、それから先ほどの、私はちょっと誤解しているかもしれませんが、支店の認可、それから届け出の違いにつきましても、総合主義の問題等もありますから、いろいろな要素を考えて、規制を考えていく必要があるかなという感じはいたします。

何かありますか。いいですか。

○和仁委員

岩原先生がそういうふうなことをおっしゃるのはわかりますけれども、ここって、できないことを何とかできるようにしていこうという場であって、学者の意見書、弁護士の意見書の世界とはちょっと違うと思います。やはりフォワードルッキングな議論を両方ともして、マーケットもレギュレーターの方もやるという方向ではないでしょうか。難しいと言い出したら全部難しいです。金商法が導入しているシステムだって、クロスボーダーできちんと動くかどうかはまだわからないわけですから、我々も毎日変な、思いもしなかった問題にぶつかっているわけですが、せっかくいいシステムで、東京キャピタルマーケットを伸ばしていこうということであるならば、やはりフォワードルッキングで、できる限り自由なマーケットにして、コンペッティブなマーケットにしていこうということを第一のプリンシプルに置いて頂きたい。

私がさっき銀行の、どういうふうにやれるかやれないかというのは個別列挙で、それで後は府令レベルで考えていくというご説明でしたけれども、やはり金融庁としては一体銀行にどうなってもらっては一番困るんだということをプリンシプルとしてもっとはっきりと打ち出すということは必要だと思います。絶対にこのリスクは見るよとか、それはどんな新商品であっても同じだと思います。ですから、やはりそういうのが誰にでも見えるようなシステムを、もし可能ならつくって頂ければと思います。

○岩原部会長

EUなどは、まさにその域内のそういう免許等を相互にいわば開放するということで非常に努力してシステムをつくっているわけで、日本とそれ以外との間ではEUのような仕組みが今のところまでできていないと。

例えば、かつて、私今回のクロスボーダーのところを見まして、一つやや引っかかるのは、支店としてやはり国内の金融取引をした利用者の保護という側面もあるだろうと思っていまして、かつてのBCCI(ルクセンブルク籍のアラブ系銀行)のように、BCCIの東京支店と契約をした顧客の資産が全部アメリカの方に持っていかれていて、BCCIが破綻したときに、日本の預金者は全く弁済を受けられなかったのに対して、資産が移されたアメリカの契約者は全額保護され、しかもアメリカ当局は莫大な罰金をBCCIから取ることができたと。これなどは、銀行法29条ですか、資産の国内保有の義務との関係も出てくると思いますけれども、そういった点での、海外との間でこうやって直接海外の金融機関との間の取引を日本国内の外国銀行支店を通じて行えるようになったときに、日本の国内の顧客の保護もきちんと担保されているかというようなことも押さえていく必要があると思います。いろいろな方面から考えて、こういった取引を活発にやるような体制をつくって頂きたいと思っております。

それでは、ほかの。池尾委員。

○池尾委員

マーチャント・バンキング業務の7ページの真ん中の●ですけれども、現行制度の枠組みを基礎としつつ、相応の合理性が認められるものについては早急に手当てを行うことが適当ではないかというところで、まさに早急に手当てが行うことが適当だというふうに思うのですが、その際に、ベンチャーとか企業再生に必ずしも限定しない形で、中小企業金融の分野において、銀行がエクイティーを提供できる範囲を拡大することは、相応の合理性があって、早急に手当てすべき課題に含まれるのではないかというのが申し上げたい点です。

第二部会としても、地域金融機関に対して、リレーションシップ・バンキングの推進を提言しているわけです。第二部会が言っているリレーションシップ・バンキングというのは、伝統的な、単に関係を密接にして情報を集積して、情報の非対称性を乗り越えるという、そういう平板な意味でのリレーションシップ・バンキングではなくて、取引先に対して、いわばハンゾーンで資金提供以外の面での支援も行って、取引先の企業価値そのものを高めるような努力をすると。高まった企業価値の一部を収益として頂くような、そういうビジネスモデル、私は勝手に、積極的能動的リレーションシップ・バンキングと言っていますけれども、そういうものを推奨しているわけですが、そういうものをやっていく際に、やはりエクイティーというものが出せないとやりづらいというかやれないというところがあると思います。

かつては、銀行貸し出しが形式上は3カ月の手形貸し付けであっても、それがロールオーバーされていって、根雪のような形でとどまって中小企業の疑似エクイティーとしての役割を果たしてきたということがあったわけですが、そういうことが、それこそリスク管理上、そういう形では不適切だということになった後、中小企業分野のエクイティー不足という問題に対して、適切な政策対応がなされないまま来ているということもあると思いますので、マーチャント・バンキング業務全般についてはじっくりと考えなきゃいけないポイントが残されていることはそのとおりだと思いますが、中小企業金融機関関連では、早急に手当てを考えてもいいのではないかと思います。

○岩原部会長

どうも。遠藤さん、何か。よろしいですか。

わかりました、どうもありがとうございます。

では、國部さん。

○國部専門委員

まず、今回銀行のグループの業務範囲の見直しにつきまして、さまざまな観点からご議論、お取り上げ頂きまして、まず感謝申し上げます。

3点申し上げさせて頂きたいと思うのですけれども、まず、第一に、2ページでございますが、個別承認制という議論につきまして、これはぜひ導入をして頂きたいと思います。その上で、最初の●のところで2つの方式をお示し頂いておりますが、そもそもこの個別承認制は、アメリカのFHCの補完的業務にその例がございますけれども、私の理解では、制度の趣旨は環境変化や顧客ニーズの変化に銀行グループが機動的に対応できるように措置されたものと理解しております。

我が国において、そういった制度を導入するに際しまして、このマル2のように最初から従事可能な業務を特定するということになりますと、やはり銀行グループが顧客ニーズの変化に機動的に対応していくことが困難となる可能性が高いと思われます。従いまして、基本的にはマル1で進めて頂いてはどうかと考えております。

もちろん、その業務に全く限定条件を付さずにという議論はあろうかと思いますので、例えば、中間的な位置づけと致しまして、銀行グループの「既存の金融業務の結果として生じる取引」であるとか、あるいは「金融業務の能力を涵養する取引」といった一定のメルクマールのもとで導入していくことが考えられるのではないかと思います。今申し上げたようなメルクマールで申しますと、今回個別業務で取り上げておられますコモディティの現物取引等につきましても、「既存の金融業務の結果として発生する取引」ということで整理することも可能だと思いますので、そういった方向でご検討頂ければと思います。

この個別承認制に関連致しまして、今日は論点整理にも入っておりませんけれども、銀行グループによる再編等の円滑化という観点からは、再編の際に業務範囲規制上対象とされていない子会社や関連会社、あるいはその業務については、即時に切り離しが求められてしまうということになりますので、アメリカで導入されていますグランドファーザー、これは一定期間のグランドファーザー、2年と3年で5年ということですが、そういったグランドファーザー制の導入につきましても、ぜひご検討頂ければと思います。

2点目は、4ページのイスラム金融についてでございます。子会社で従事という論点をお示し頂いているわけでございますが、米国においては、銀行業務と同等の機能を有する業務という整理が行われまして、銀行本体での取り組みが認められております。我が国銀行グループにおいて、子会社形態での従事ということになりますと、当然その業務に従事するために現地法人を設置することが必要になるわけでありまして、その意味で経営の自由度が損なわれるということになってしまいます。また、子会社形態で行いますと、子会社単体での自己資本比率規制の制約を受けるということになりまして、大規模な案件への参画が困難となる可能性があるなど、競争力が低下する懸念があると危惧しております。

現在、アジアや中東市場は、我が国銀行グループにとっても重要な市場となっているわけですが、イスラム金融に取り組めないと、通常の金融取引をも辞退されるといったケースが増大しておりまして、そうした観点からも子会社ではなく銀行本体での従事を認めて頂ければというふうに考えております。

3点目は6ページのマーチャント・バンキングでございます。これにつきましては、さまざまなご議論があろうかと思います。この7ページでお示し頂いているベンチャービジネス、それから企業再生、こういった業務は社会的要請も強く、我々にとっても重要な業務と考えております。従いまして、先ほど池尾先生の方からも議論がありましたが、これをできるだけ拡大をして頂ければと思います。

それからマーチャント・バンキング業務全般につきましては、遠藤信用制度参事官の方から、今後引き続き検討ということでお話を頂いておりますので、そういった方向でご検討頂ければと思いますが、若干意見を申し述べさせて頂きますと、これは、銀行への他業リスクの遮断の問題、あるいは産業支配の懸念、それから持ち合いの復活といったところが論点になるかと思います。このうち、リスク遮断の問題につきましては、兄弟会社であれば、リスクは遮断されるという色合いが強いことに加えまして、例えばグループ内の投資会社が行うマーチャント・バンキング業務の対象企業について、いろいろなことが起こった場合に銀行にリスクがどう及ぶかという点でございますけれども、例えばアメリカの例では、一定期間後の株式の完全売却が義務づけられておりますし、それからTier1の一定比率、30%という上限規制が措置されています。さらには純粋な投資対象企業ということで、グループ企業としてブランドの統一等を行う必要もなく、救済をするという必然性はないのではないかと思います。従いまして、そういった一定期間後の売却、あるいはTier1比率での上限規制を講じることにより、リスクの遮断は図れるのではないかと考えております。

同じく産業支配の懸念についても、10年という株式保有制限がありますので、遅くとも10年後にはバリューアップして市場に売却することが求められるわけでございまして、銀行グループはエグジットへ向けてアドバイスであるとかコンサルティングをやっていくということになります。こうした措置を講じれば、産業支配という懸念はあまり発生しないのではないかというふうに考えております。また、株式持ち合いについても、これはもう皆さんご存じのとおりで、今株式の保有構成というのは大幅に変わってきておりますので、そういった懸念はないのかなと思っております。従いまして、今後いろいろご検討頂くに当たっては、幅広くマーチャント・バンキング業務を認めて頂くようお願いをしたいということが第三です。

最後に、今後、我々の銀行業務が多様化していくのに伴って、いろいろな業務が出てくると思います。今日お示し頂いた業務以外にも出てくるものと思います。前回私は出席をしていないのですが、早川参考人の方から、例えば遺言信託や事業承継関連の不動産業務といったご発言も頂いていると思いますけれども、そういった業務の取り扱いについてもご検討頂ければ幸いでございます。

長くなりまして恐縮ですが、以上でございます。

○岩原部会長

どうも。

それでは、関委員、お願いします。

○関委員

私もマーチャント・バンキング業務について、感じていることを申し上げたいと思います。今、池尾先生と國部さんからあった点はダブらないように、主として事業会社の事業戦略のような観点から、少し意見を申し上げたいと思います。

この6ページの2つ目の●のポツにいいことが書いてあるわけですけれども、今、事業会社で、特にグローバル戦略と言いますか、グローバル展開をする上で何が起こっているのかということを、ややくどく申し上げたいと思うんです。

やはり事業戦略というのは、事業の再編とか統合とか、グローバルベースでですよ、あるいは分離だとか廃棄だとかいうことの繰り返しというか、中で、どんどん企業が企業価値を上げていくようなことが強く求められるような世の中になってきているわけだと思うんです。そういうことなしに、日本の事業会社の成長も考えられないと思うんですけれども、そのときに、金融のサポート、協力、こういうものがないと、全くできないわけであります。

一つ例を挙げますけれども、皆さんよくご存じのアルセロールというヨーロッパの鉄鋼会社、これは世界一の鉄鋼会社だったわけですけれども、これがミッタールスチールという会社に買収されました。これの買収過程をきちっと分析しますと、これはいわゆる国際証券資本がミッタールの方について活躍したということとは別に、実はアルセロールの株式、これは個人が大分持っていたんですけれども、これを世界の金融機関がほとんど買い上げて、ミッタールに売り渡し、現金なりあるいはミッタールの株と交換したということで、あれは実は実現できているんです。それなしに、この再編はできなかったと思うんです。

そうすると、6ページの一番下に現行制度上、外国会社による議決権保有制限の対象とされていないと書いてありますが、例えば、日本の会社が買収者となる場合、日本の金融機関が外国の会社の株をもちろん、買うわけですけれども、ミッタールの例で言うとそれは日本の会社の株に変わるんです。だから、この最後のパラグラフは、これは外国の会社の議決権が買えるからそれはいいじゃないかということには、これは事業再編論から言うと、全くならないのです。むしろ日本の会社の株に変わるということでありまして、そこのところのメカニズムをよく考えた上で議論をしないといけないのではないかというふうに私は思います。これが1つです。

それから、今グローバル展開の話をしたわけですが、これはくどくど言いませんけれども、地域の再生も、今、政府の方でも地域力再生機構の議論があって、むしろ国がそういうことをエクイティーを取得して再生するというスキームを鋭意ご検討されていると聞いておりますけれども、やはりリレーションシップ・バンキングというか、これは地銀の問題でありまして、地銀がこれは地方の企業の最も有力な資金の出し手であるわけですが、これが本当に企業再生を図っていく上で、エクイティーを取得したり、再編、統合、廃棄、分割というようなことができるような権能を持つということが、私は地域再生の決め手になるんではないかと実は理解しているんですけれども、これは現行制度の枠組みを基礎としつつ相応の合理性が認められるものについてというのは、だれが相応の合理性を認めるのかとか、かなりいろいろな要件についてもいろいろな問題を惹起するのではないかと思っておりまして、私の言いたいことは、産業支配ということは時代錯誤だと、金融機関による産業支配ということは起こり得るはずがないと思っているんですけれども、そのことはともかくとして、少なくとも、これからご検討されるということでありますが、FHCの國部さんが申し上げたこの条件というのは、参考資料、関係資料の27ページにあるわけですが、こういう条件を満たしてやれば、持ち株比率の制限はしないということをベースに検討するというのが本論なのではないかと思います。むしろ持ち株制限の方はなくして、いろいろな懸念がもちろんあるわけですから、株式保有の際に条件をつけていくということで、ぜひご検討の方向としてはそういうことでやって頂きたいというのが私の意見であります。

○岩原部会長

根本委員、お願いします。

○根本委員

今回のメモにはほぼ異論はないのですが、国際競争力という観点からだということもあると思いますけれども、かなりが大手銀行グループに関連していると思いまして、地域金融機関にとって、あまり範囲の拡大にはなっていないような印象を受けています。

若干、本論からちょっと離れてしまったら申しわけないのですけれども、見てみますと、やはり地域金融機関にとって、収益をどう上げるかというのは非常に深刻な問題じゃないかと思っていまして、大手行であればいろいろな業務をやっていたり、海外へ進出したりというのもありますが、地域では貸し出し自体がそんなに伸びていないという状況ですので、地銀の例えば非金利収益と見ると、大手行に比べ、かなり差がついていますし、海外の、例えば米国の地銀と比べても低いという中で、その業務をいかに多様化させるかということも、将来的にと言うのでしょうか、考えていった方がいいのではないかと思いました。

先ほど出たような、銀行業務と継続した形の不動産業務というのでしょうか、こういうのは、例えば個人の資産管理をアドバイスするというようなところから見ても、個人にとっても比較的有用ではないのかなと思いました。

それに若干関連しますが、多くの委員がご指摘になった地域の再生というのでしょうか、こういうところで地銀の、そういった地域の企業を評価するというのは、正直外部の方では難しいところで、地銀のエクスパティーズが本当にあるところだと思いますので、一方再生手段というのはかなり限られていますので、地銀がイニシアチブをとれるような、そういう柔軟性のある制度があったら望ましいかと思います。

ただ、一方、預金者とか債権者の側から言うと、そういった元本をしっかり払って頂く、負債を持っている銀行さんがあまりエクイティーを大量に持たれるというのもちょっと懸念もありますので、そのあたりはバランスが必要かなと思います。

以上です。

○岩原部会長

ほかにございますでしょうか。

翁委員、どうぞ。

○翁委員

2つあるのですけれども、一番最初のどういう認め方をしていくかというマル1マル2の、2ページの点でございますが、私ももう少し明確にどういう業務範囲の考え方を付随業務、子会社、兄弟会社ということに認めていくのかということを、もう少し議論を整理して、それで例えばリスクの量、質、またはリスクのマネジメントが可能かどうか、そういったある程度の基準を設けておいて、その上で個別認可方式をするというマル1の方向を展望していくべきではないかなと思います。

やはり限定列挙方式ですと、今後も次々いろいろなことが、いろいろな業務範囲の緩和の要望というのが出てくることが予想されるわけで、そういったことに対して弾力的にやっていくためには、一番どういった方法がいいのかという観点から、このやり方を考えていくべきではないか。むしろプリンシプルみたいなものをそこにおいて、そして、ポジティブリストではなくて、ネガティブリストを出すとか、そういう方向で柔軟に対応できるようなやり方を検討した方がいいのではないかというのが1つ目です。

2つ目は、また重なってしまいますけれども、地域金融における再生のためのエクイティーを持つことの重要性ということですが、産業再生機構なんかでも経験したのですけれども、やはり地域の企業というのは経営が悪化したり、再生をしようとしても、すぐにスポンサーがあらわれるような状況ではない。少し再生の動きが出てくると、そこに対してスポンサーというのがどんどん手を挙げるようになってくると。その期間をだれがエクイティーを持つか持たないかということで、再生がうまくいくかいかないかということが決まってくる部分がかなりあると思います。その意味で、一番合理的な経営健全化計画というものを立てた上で、地銀が一部の資本を持つというような考え方というのは、企業再生、地域再生のために非常に重要なことだと思います。ぜひこれは実現して頂きたいというふうに思います。

○岩原部会長

田川委員、どうぞ。

○田川専門委員

2点ほど意見を述べさせて頂きます。

資料第二部会43-1の2ページ目の許認可の方法について、予め従事できる業務を法令で限定したという事務局案には賛成でございます。リスクというのは、非常に広い範囲にわたるものであり、その中でも重要なものは、モノに対するリスクというのをよく考えておいた方が良いのではないかということです。

先ほど不動産も含めたデリバティブ取引の解禁というご意見もでましたが、モノが色々、証券化・受益権化されて売買されておりますが、そのリスク管理は法令でかなり整備されているものの、最終的にデリバティブ取引だけでなく、現物取引も認めることになれば、それは単に金融だけでは解決できないリスクも色々と含まれてくることとなります。例えば、現物取引では倉庫が必要となったり、モノがおかしくなるリスクがあったりと、目に見えないリスクがたくさんあります。それを、特段の限定をかけない個別認可方式で行なってしまうと申請が無制限に出てきたときに、大変失礼な言い方ではありますけれども、監督できる人や量、能力には限界がありますので、限定列挙という今の法律のやり方は決して間違っていないと考えます。このようにモノを扱うということは、金融と異なるリスクがあるため、最終的には現物取引を認めていくという方向はあるかもしれないけれども、今果たしてそうすべきなのかという問題もあるので、まずはスピード感をもって、今事務局が出しているような案をやっていくことの方が、我々としてはありがたいし、大切なのではないかと考えております。

それから同じような観点なのですが、クロスボーダーについても意見を述べさせていただきます。和仁委員の最終的にもっと幅広く市場を開放させていくという観点からの意見には、全く同意見でございます。先ほど申しましたモノのリスクの問題、監督の問題等がありますが、まず第一歩として、事務局に挙げて頂いているように、少なくとも国内の銀行については届出でやらせて頂くということについては、できるだけ早くやって頂きたいと考えています。

現状ではどのようなことが起きているかというと、例えば、外国で現地法人を設立し、その現地法人のために国内のお客様に営業しようとしたときには、現地法人の子会社を日本でまたつくらなければいけないというステップが必要となり、手間もコストもかかる。そういう観点からしますと、今回の案というのは、非常に進んだ考え方であって、どこまでやるかという問題はありますが、まずはステップとして事務局案をできる限り早く進めていくということは非常に大事であると考えております。

以上でございます。

○岩原部会長

クオさん、どうぞ。

○ポール・クオ参考人

まず、総論から申し上げますと、全体の規制緩和の方向性については、おおむね賛成であります。銀行に対してより幅広い業務を認めることは、日本の金融市場の競争力強化という観点から評価できるというふうに思います。また、銀行の投資助言業を認めることは、これまで銀行に認められてきた金融商品の仲介業務やクロスセーリング等の付加価値を増すことになり、特に個人投資家にとっては、情報収集のチャネルの幅が広がるということになるので、顧客利便性の向上の観点から歓迎いたします。

ファイアーウオールの緩和についてですけれども、自己規律に基づく利益相反取引や優越的地位の濫用の防止という方向性を支持いたします。法令等にはなるべく一般的な原則を示すにとどめて、各社の創意工夫を促すような規程にしていくことをぜひともお願いしたいと思います。

また、統合的リスク管理という観点からは、外資系金融機関において、カントリーマネジャーの設置を認めて頂きたいと考えております。役職員の兼職に関して、法改正の問題というよりも、法の運用の問題ではありますが、カントリーマネジャーを認めて頂くためには、銀行法上の兼職の認可も必要になりますので、その点柔軟な対応をぜひともお願いいたします。

最後に、クロスボーダー取引ですが、母体銀行グループの代理・媒介を許認可制にして認めるという方向性については、意味がある前向きな一歩と評価しますが、国際競争力強化という観点から、さらに一歩進めて、例えば銀行法上の固有業務である貸し出し、預金決済業務、また一部の付随業務の母体銀行グループの代理・媒介について届出制にするなど、より自由な環境をつくることを展望する必要があると考えます。

日本の金融市場の国際競争力のために、市場全体の使い勝手や効率性の向上をさせる必要があり、そのためには外資系金融機関にとって、もっと自由度の高い環境をつくり、それを通じて国内の金融機関がグローバルな競争にさらされ、みずからの競争力をつけていくことが必要であるというふうに思います。

○岩原部会長

原委員、お願いします。

○原委員

こういった分野から、素人ではありますけれども、皆さんのご意見を聞いていての感想的意見というところでお願いしたいと思いますが、冒頭、和仁委員がおっしゃられた、一体これからどういうシステムをつくろうとしているのかという方向性ですね。やはりこれと絡んでいると思うんですけれども、金融行政のあり方そのものが、やはり転換期なのではないかというふうに思います。

そういう観点から言うと、2ページにありました、マル1マル2かというところで、マル1を推す意見、マル2を推す意見と両方ありましたけれども、マル2でやっていく方が、今の監督行政、銀行に顕著な監督行政は、やはりこのやり方でないと、業務を決めておいて、それを監督するという形でないと、やりづらいと。監督行政そのままでいくのであればマル2ということになるかと思いますが、8ページに書いてある利益相反の取引のところでしか書かれておりませんが、現実にはやはりみずからが適切な問題把握とか、管理の体制を整備するということが義務づけられて、行政がモニタリングをするという方向に、全体的な流れとしてはあるように思って、そうすると、こういった仕組みのところに金融行政がうまく、金融庁の業務ということにもなると思いますけれども、仕組みをつくっていくということがやはり求められているというふうに考えます。

実際の業務としては範囲を広げていくとなると、先ほど和仁委員がおっしゃられた不動産デリバティブなんかは、すぐにやはり近似のものとして登場してくるように思いますので、限定列挙で後追いでいくというところから、監督行政ではなくてもう少し自由度を高めてモニタリングの行政の方に転換していくような仕組みづくりということの検討も、あわせて行われるべきではないかと思います。

それから、もう1点ですが、海外の事業者が、外国銀行の事業者も登場してくるという、今も既に登場しておりますけれども、2年前にシティバンクの問題がありまして、これで参議院に参考人招致でシティバンクの方が呼ばれたときに私は傍聴に入っていたのですが、国会に外国の方が参考人招致で呼ばれたのは初めてのことだということで、通訳の方が2人つかれておやりになったんですが、1時間ぐらいの議論を聞いていて、非常に隔靴掻痒ですね。核心をついた質問とか回答とか、その間にまた通訳の方が入られるので、非常に外国の銀行とか支店とか、モニタリングをするにしても監督をするにしても、何か一層の工夫がいるのかなというふうに考えておりまして、海外の金融グループが日本の中で活躍していくということのためには、やはり金融行政のところでも手当てが必要だという感じを持ちましたので、ぜひそこも強化をして頂きたいと思っております。

以上です。

○岩原部会長

それでは川本委員、お願いします。

○川本臨時委員

2点申し上げたいと思います。

最初にご議論が出ましたけれども、銀行子会社でできるのか、銀行兄弟会社でできるのかというところの基準、銀行業務からの近さとかリスク管理とかあると思うのですけれども、そこをやはりはっきりお示し頂きたくて、海外からとてもスポラディックで、わかりにくいというふうに言われないようにして頂きたいということ。それから、許認可をするときの認可のプロセスです。どのくらい時間をかけるとか、親切に聞き手の立場に立ってお答えを頂きたいし、だめなときの理由もはっきりコミュニケーションして頂きたいというのが1つ目。

それから2つ目は、もう皆さんたくさんの方がおっしゃいましたけれども、マーチャント・バンキング業務のところは、本当に必要なことだと思います。地域再生、企業再生の点からも。客観的に再生計画を出しているとかということも大事かと思うのですけれども、それよりはやはりローンをロールオーバーして、疑似エクイティーになっている方がよほど不健全だと思いますので、そういう意味では、対象を限るよりも、債権者としての責任と、株主責任をどうやって切り分けて、それをマネージしていくのかというところをきちっと見るという方が現実的で役に立つのではないかと思います。

以上です。

○岩原部会長

それでは、望月参考人。

○望月参考人

地域金融機関を代表しまして、本日この席にお招き頂きまして、ありがとうございます。特に今日は今まで傍聴していまして、地域金融機関にフォーカスが当たっている発言を大変頂きまして、ありがとうございます。責任の重大さを痛感しております。

先ほどから、いろいろと委員の方々から出ておる中のマーチャント・バンキング業務のところでございます。池尾先生からは、もう少し中小企業のエクイティーについては積極的な面をということで、大変ありがたいお言葉を頂いていると。我々、日々地元に密着をしながら、お客様の顔を見、一挙手一投足を把握しながら動いているという中で、やはり一番現在ニーズが高いというのは、再生ということでございます。やはり明確な再生計画というものを銀行とともにつくった上で、そこをより効率的に、また効果的に再生期間中の株式を取得する等による経営への積極的な関与、こういったところから主要な役割を担わして頂くという機会は多々あるかと思います。つまり、業務の延長線上の中で、こういった業務を開放して頂くということはぜひお願いしたいということでございます。

なお、重要なところというのは、先ほどから銀行支配というご懸念されている部分は、入り口の計画と、出口の銀行の保有株の放出もしくは処分、こういったところを明確に位置づけることで、ご懸念を払拭させ、また地域の再生につながるということになるのではないかと思います。

また、この機会を利用させて頂きまして、もう1点、これは先ほど國部委員の方からもございましたけれども、当然、我々地域金融機関が元気であるということは地域が元気になるということにもなろうかと思います。そういった点では、常にお客様のニーズを把握して、収益機会を拡大するよう努力しているわけですが、すべての業務が今、お客様のニーズにおこたえできているかというと、そういうわけでもありません。

先般、発言させて頂きました事業承継、遺産整理業務、こういったところはやはりお客様個人の方、中小企業の社長様、こういった方々からの相談というのがございます。またそういった業務を取り扱う入り口はできます。ただ、そこの最後の執行の部分になりますと、やはりいろいろとまだ課題が残っているというのが実態でございます。お客様も潜在的ニーズをディスクローズするのが我々金融機関にディスクローズしながらワンストップで業務ができるというニーズは確かにございます。また、事業承継になりますと、20年前から比べますと、中小企業の経営者の年齢も平均的な統計でございますが、6歳上がって60に近づいているということで、確実にこのニーズというのは潜在的にも上がってきているということでございます。先ほどから申し上げておりますが、この執行の部分に当たっての業務についても、今後議論の場を与えて頂きまして、どのような形でこれに対応すべきなのか、ぜひご議論させて頂きたいということをお願いいたします。

ありがとうございました。

○岩原部会長

どうも。まだまだご意見があるかと思いますが、この後で保険に関する審議もしなければなりませんので、特にここでご意見をというのがなければ、次の保険の審議に進ませて頂きたいと思います。よろしいでしょうか。

それでは、次回は、銀行の業務範囲規制のあり方については、本日の審議も踏まえまして、取りまとめの審議を行いたいと考えております。そして、第二部会としての報告書の形で取りまとめたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

それでは、次に保険に関する規制緩和に関する審議に移りたいと思います。

これまで、第二部会において、銀行の業務範囲規制のあり方、また第一部会においては、銀証ファイアーウオールについてご議論頂いているところでございますが、実は保険についても同様の議論がございます。このため保険会社の業務範囲規制等についても第二部会においてご議論を頂きたいと思います。まずは事務局よりご説明を頂きたいと思います。それでは、諏訪園保険企画室長、よろしくお願いします。

○諏訪園保険企画室長

よろしくお願いいたします。

それでは、まず論点メモに入ります前に、関係資料の方から簡単にご説明したいと思います。それでは、資料43-4をお願いいたします。「保険会社の業務範囲規制のあり方等について【関係資料】」でございます。

おめくり頂きまして、2ページ目でございます。ここに保険会社本体の業務範囲という資料をつけてございます。銀行の方で見た資料に似ているなというご感想かと思いますが、実際、業務範囲の体系もマル1固有業務、マル2付随業務、マル3他業証券業等、マル4法定他業というふうに4本柱から成っており、このうちマル2付随業務につきましても、同様に基本的な付随業務を例示しているほか、その他の保険業に付随する業務も保険会社が行うことができるようにすることにより弾力性を持たせるという形式になっており、またその付随業務の範疇に入るかどうかの判断についても同様の4つの観点からの判断基準が監督指針において掲げられているという構造になっております。

それから、3ページ目、商品の取引と金融機関でございますが、いわゆるコモディティ関連のところでございます。保険会社、保険会社の子会社が行えるというところの「×」「×」「△」「○」というところは、銀行と同じものとなっております。1点違いますのは、保険会社の兄弟会社、※3でございますが、これはすべてできることになってございまして、この※3に書いてございますように、「保険持株会社の子会社は、内閣総理大臣の承認が得られれば、いずれの業務も行える。銀行持株会社の子会社には、上記のような承認制度はなく、銀行の子会社と全く同じ範囲となる」ということで、保険持株会社の子会社には、承認制度が既に設けられているということの結果でございます。

それから、4ページ、5ページは省略させて頂きまして、また京都議定書関係も省略させて頂きますと、9ページ目でございます。排出権取引との関係でございますけれども、これについて保険会社がどうなっているのかというところにつきましては、「×」あるいは「○」といったものは、銀行及び銀行の子会社と同様の規制のものとなってございます。

それから10ページ目でございます。リース業の関係でございます。不動産はファイナンスリースに限られているというところは銀行と同様であり、ただし、最初の○の2つ目の※印にありますように、保険持株会社の子会社については、総理大臣の承認を得れば規制はなくなるという整理になってございます。リース業務子会社が行う中古物件売買業務についても、銀行並びの規制になってございます。

それから、ファイアーウォール規制関連でございます。現行の保険会社のファイアーウォール規制の関係の法令としましては、まず保険業法にも役職員の兼職規制について規定がございます。保険会社の取締役、執行役、会計参与または監査役が特殊の関係がある銀行、金融商品取引業者の取締役、執行役、会計参与、監査役または使用人を兼ねてはならない。保険会社の常務に従事する取締役(委員会設置会社では執行役)は、内閣総理大臣の認可を受けた場合を除き、他の会社の常務に従事してはならない。この特殊の関係にあるというのは、箱の下にある注でございますが、保険会社の子法人、関連法人、保険持株会社を除く親法人、兄弟会社等というものでございます。

そのほかに、標題だけでもご紹介しますと、特殊の関係がある者との間のアームズ・レングス・ルールの適用、それから内閣府令への委任をしている者として、特殊の関係がある者との間、あるいは特殊の関係がある者の顧客との間で行う取引のうち前号に掲げるものに準ずる取引で、保険会社の業務の健全かつ適切な運営に支障を及ぼすおそれのあるものとして、内閣府令で定める取引をしてはならない。あるいは、その下にありますように、特殊の関係がある者からの利益供与の禁止が定められている。

さらに規則の方では、同じくそれを具体化したようなアームズ・レングス・ルール、そのほかに信用供与を利用した抱き合わせ行為の禁止、それから特殊の関係がある金融機関との共同訪問に係る誤認防止、特殊の関係がある金融機関との店舗等の共有に係る取扱い、最後に、非公開情報の授受の禁止というものが定められております。

次のページは金融商品取引業者のファイアーウォール規制について書いたものでございまして、既にご承知かと思いますので説明は省略しますが、基本的に同様のものが金商法にも定められているというものでございます。

それから、最後の17ページでございますけれども、顧客の非公開金融情報を利用した保険募集に係るこれまでの指摘ということでございますが、「銀行等による保険販売規制の見直しについて」という平成16年の金融審議会金融分科会第二部会の報告で議論がなされて整理がされております。「5.考えられる弊害防止措置」という中で、適切な情報管理が必要であるということが指摘されております。

情報管理については、銀行等が保険販売業務を通じて得た情報を、銀行等の融資業務等との関連においてどのように取り扱うかという問題と、逆に銀行等の融資情報や決済情報等を、保険販売業務の関連においてどのように取り扱うかという問題とを区分して考える必要がある。また、後者については、さらに融資情報の場合と決済情報の場合とを区分して考える必要がある。

まず、保険商品の販売によって得られた健康情報の融資判断への流用という点については、「圧力販売につながるような融資先に対する保険販売を禁止」する措置により、問題は相当程度解消されると考えられるが、いずれにしても健康情報については厳格な管理が必要となる。

一方、融資情報については、「圧力販売につながるような融資先に対する保険販売を禁止」する措置を的確に実施するため、保険販売の際に利用する必要があり、適正な手続やコンプライアンス体制の整備が必要である。またその他の情報の取扱いについては、非公開情報保護措置一般の問題であり、例えば預金・決済等の業務で得られた顧客情報については、顧客の同意なく保険販売に用いられることがないよう、適切に管理することが求められる、といったことが、16年のときにも指摘されておりました。

こういう前提のもとで、資料43-3の論点メモをご覧頂きたいと思います。

まず1点目の業務範囲規制の見直しについてでございます。銀行法同様、保険業法においても、先ほどお示ししたように業務範囲について他業禁止規制を課し、その上で固有業務、付随業務、証券業務等法定他業、その他法定他業に限定。さらにこうした業務規制は、保険会社経営の健全性確保の観点から、他業禁止規制が課されている趣旨、すなわち保険業専念による効率性の発揮や、利益相反取引の防止、他業リスクの回避等を踏まえたもの。

そして、保険会社の子会社及び保険持株会社の子会社、すなわち、保険会社グループについても、他業禁止の趣旨等の観点から業務範囲が法令により限定列挙されており、現状では基本的に銀行とほぼ同様の範囲であります。ただし、銀行のような決済機能を担わないことなどを踏まえ、保険持株会社の子会社については、当局の承認により法令により列挙された業務以外の業務を行うことも可能となっております。

また、子会社業務範囲規制は、子会社が国内か国外であるかを問わず一律に適用。こうした業務範囲規制は金融の高度化、多様化の進展等に伴い保険会社経営の健全性確保のほか、利用者利便の向上等の観点も加味しながら、累次にわたってその対象が拡大されてきた、というふうに、同様の歴史をたどってきたところでございます。

次の2ページでございますが、したがいまして、現在、銀行及び銀行グループの業務範囲規制について見直しが検討されているが、保険会社及び保険会社グループの業務範囲規制についても同様の観点から検討が必要ではないか。さらに具体的に言えば、検討が必要となる業務としては以下のものが考えられるがどうか。マル1保険会社及び同グループにおける商品デリバティブ取引の範囲の見直し、マル2保険会社グループにおけるイスラム金融の解禁、マル3保険会社本体における排出権取引の解禁、マル4保険会社グループのリース業子会社に係る業務範囲の見直し、マル5保険会社本体に対する投資助言・代理業の解禁というものでございます。

なお、現在は株式会社と相互会社で業務範囲に差異を設けていないが、今回検討する項目についてもこれまで同様差異を設ける必要はないのではないか。

以上が業務範囲に関する論点でございます。

2つ目がファイアーウォール規制をめぐる議論でございまして、保険会社と銀証とのファイアーウォール規制は、平成10年の金融システム改革により業態別子会社方式による相互参入を解禁することに伴い、影響力を行使した販売等、参入に伴って発生する弊害の防止をねらいとして導入。

これまでファイアーウォール規制として講じた規制のうち、主なものは以下のとおりということでございまして、先ほどご説明したような兼職禁止、その他のものがここに書いてございます。

一方で、ファイアーウォール規制導入後、以下のような環境変化が生じている。マル1保険会社の証券仲介業の解禁、銀行への保険販売の解禁等、金融商品販売面での規制緩和、マル2個人情報保護法の施行による顧客情報保護ルールの整備というものが相まって進んできた、ということでございます。

こうしたことを踏まえて、現在、第一部会においてファイアーウォール規制のあり方について、マル1利益相反による弊害や優越的地位の濫用の防止の実効性を確保し、マル2顧客利便の向上や金融グループの統合的内部管理の要請に応えるため、新たな規制の枠組みを提供すべきではないかとの議論が行われているが、保険会社とその他の金融業態との当該規制についても、同様の観点から検討が必要ではないかということでございます。

論点をさらに3つに分けますと、(1)利益相反取引と優越的地位の濫用の防止であります。利益相反取引等については、保険会社グループがみずから適切な問題把握等の態勢を整備することを法令上義務づけ、行政がそれを的確にモニタリングすることで規制の実効性を確保していくのが重要ではないか。具体的には監督指針で、マル1利益相反の抽出・特定、マル2管理(チャイニーズウォールの構築等)・記録の保持、マル3利益相反管理方針の策定等を着眼点として明記することが考えられないか。

さらに、策定する利益相反管理方針については、その態勢整備を促進する等の観点から、その概要の公表を義務づけることを検討すべきではないか。

保険業法には、優越的地位の濫用、抱き合わせ販売の禁止等の規定があるが、これらの実効性をより確保していくため、顧客等か寄せられた情報を検査、監督に活用する仕組みを強化することが重要ではないか。それが1つ目でございます。

(2)が役職員の兼職の禁止でございまして、保険会社と銀行、証券会社に利益相反管理態勢の構築を求めることに伴い、役職員の兼職規制については撤廃することが適当ではないか。保険会社の常勤取締役が他の会社の常務に従事する場合は、別途認可が必要というふうになってございます。

(3)が顧客の非公開金融情報を利用した保険募集の制限(顧客の事前同意の取得)でございます。金商法では、銀行が影響力を行使し、市場に悪影響を与えることを防ぐ等の観点からグループ間で情報共有することを原則として禁止するというファイアーウォール規制が設けられた。上記の規制は銀行と証券、信託との業態別子会社方式による相互参入が解禁された際に導入されたものであるが、同様の規制は、保険業法や銀行法には存在しないというものでございます。

一方で、保険業法ではグループ間での情報共有までは制限していないものの、保険会社がグループ銀行の保有する非公開情報を顧客の同意なく保険募集に利用することについて制限することとしている。この規制は、保険会社と金融他業態との業態子会社方式による相互参入が解禁された際に導入されたものというものでございます。

現在、第一部会では、金商法の取扱いについて議論が行われているが、保険業法固有のファイアーウオール規制のあり方についても議論する必要はあるか。さらに、本規制について検討するとした場合には、銀行等による保険販売規制にかかるこれまでの議論において、預金・決済等の業務で得られた顧客情報が顧客の同意なく保険販売に用いられないよう、適切な管理が求められるとの指摘があったことにも留意することが必要と考えられる。本規制は、銀行等による保険販売規制と直接関係するものではないが、同規制における議論では特に融資先への販売に当たっての弊害が懸念されたところであり、また、子保険会社を通じた規制の潜脱を防止するという指摘も考えられるところ、基本的には、顧客の属性にかかわらず取り扱うという現行規制を維持することが適当と考えられるがどうかというものが、駆け足で恐縮でございますが、保険に関する業務範囲規制の見直し、あるいはファイアーウォール規制関連についての事務局として整理いたしました論点メモでございます。

以上です。

○岩原部会長

どうもありがとうございます。

それでは、以上の諏訪園さんからのご報告につき、何かご質問、ご意見ございますでしょうか。

よろしいですか。和仁委員。

○和仁委員

すみません、私これをあまりよく勉強してこなかったんですけれども、保険会社に関しては、クロスボーダー取引については何の要望も何の必要もないというふうに割り切ってよろしいでしょうか。私、その辺をあまり扱っていないので、よくわかっていないのですが。

○諏訪園保険企画室長

保険の場合には原則として直接海外の保険会社と契約することができなくなっておりますので、そもそもクロスボーダー取引ということの議論がないということでございます。

○和仁委員

お言葉ですけれども、一応できるようになっていますけれども、結構それをネグったやり方で、例えば日本の保険会社が販売できないような商品をどうやって日本の居住者を被保険者として保険を売るかということについては、現実にかなり行われていたのは事実でございまして、つまり外国保険業者の規制の話なんですけれども、今まで保険業法の改正でも全然昔のスタイルがキャリーオンされてきたんですが、触れる必要はないんでしょうか。

それは私自身が今、そこのところに直接携わっていないのでよくわからないんですけれども、結構高額な保険が売られているだろうと私は今までの経験から理解しているんですけれども、いかがございましょうか。

○諏訪園保険企画室長

今、ご指摘になったような実態については、現時点で把握しておりませんので、また勉強してご報告したいと思います。

○岩原部会長

原委員、どうぞ。

○原委員

1点確認だけですが、4ページに、利益相反取引と優越的地位の濫用の防止のところで書かれております仕組みですけれども、監督指針に明記し、概要を公表し、そして、4つ目の●のところで、顧客から寄せられた情報を検査・監督に利用するということですが、この顧客から寄せられるという仕組みは、金融サービス利用者相談室を活用なさるという理解でよろしいのでしょうか。それとも何か直接的に情報収集ということなのか、この確認だけお願いしたいと思います。

○岩原部会長

諏訪園さん。

○諏訪園保険企画室長

ご指摘のとおり、金融サービス利用者相談室の情報を、まず念頭に置いているところでございます。

○岩原部会長

山下委員。

○山下委員

5ページのファイアーウォール規制の関係ですが、第一部会で最初に伺った銀証の間のファイアーウォールの規制の緩和とは、保険の場合は大分問題が違うような気もしますので、この5ページのようなことでいいのではないかと思っております。

○岩原部会長

川本委員、どうぞ。

○川本臨時委員

これは制度の整合性をとるという意味から、法的な体系としては、今回の業務範囲規制というのが出てきた話だと思うのですけれども、正直申し上げて、私はこのペーパーを拝見をして、とても唐突感がありました。

と言いますのは、保険会社に、存じ上げる限り、こういうような要望していた経緯もないので、銀行が広げるからといって自動的にこういうのが広がっていいのだろうかというのが、非常に私としては心配をしています。専業義務というのが、保険業の専念による効率性というのをやはり考えて頂きたいし、レベル感としてはやはり内部管理態勢とか経営の近代化とか情報開示とか、何かこういうことをもっとしっかりやって頂きたいと思います。

特に相互会社というのは、もともと利益を目標としていないために相互会社であるので、そこにどうして商品デリバティブとかをやるということになるのかというのが、私自身はちょっと理解ができないということを申し上げたいと思います。

○岩原部会長

諏訪園さん、何かいいですか。

ほかに何かございますでしょうか。

それでは、次の論点に移りたいと思います。引き続きまして、10月24日の第二部会、保険ワーキング・グループの合同会合において議論いたしました保険会社の資産別運用比率規制及び保険契約移転時における移転単位に関しまして、前回は損保協会からのプレゼンテーションをして頂き、議論をしましたが、今回はそのときのご意見を受けまして、事務局からご報告を頂きたいと思います。諏訪園保険企画室長、よろしくお願いします。

○諏訪園保険企画室長

それでは、資料43-5をお願いいたします。

2ページ目に、まず保険会社の資産別運用比率規制についての論点というものを掲げさせて頂いております。1つは、保険会社の経営や資産運用の自由度の向上を図っていくと。一方で、保険会社の健全性を確保していくということでどう考えていくか。とりわけ、ソルベンシー・マージン比率規制とその見直し、その他ディスクロージャー、オフサイト・モニタリングなどの監督手法をどのように考えるのかというのが、前回の議論、前々回の議論でも上がっていたかと思います。

資産別運用比率規制の概要は、ここに書いてありますように3:3:2規制と言われるとおりでございまして、このページは省略させて頂きます。

それから、4ページ目、5ページ目が、上が損保、下が生保の運用状況ということでございまして、これを拝見いたしますと、損保会社の方が総じて国内株式30%という上限に近いところに位置しているところが少なくない。一方で、生命保険業界の会員会社の方では、必ずしも上限に近いところは多くないという状況でございます。

それから、6ページ目でございます。監督手法に関する主な改正としましては、平成11年度から早期是正措置の導入や、ソルベンシー・マージン基準の見直し。平成12年にも、保険検査マニュアルの導入、その他の見直しを行い、13年度からオフサイト・モニタリングを開始。平成15年度が早期警戒制度の導入、平成16年度、中間業務報告書の導入、18年度においては第三分野の責任準備金等のルールの整備ということで、平成19年度以降にソルベンシー・マージン基準について再度の見直しを検討しているところでございます。

下にソルベンシー・マージン比率について書いてございますが、皆様ご承知のとおり、通常予測できる範囲のリスクを責任準備金として積み立て、それを超えるものについての、想定外のリスクに対して対応するための支払余力としてのその他の資本の部にある自己資本、保険会社が準備金といったものをどの程度持っていて対応できているのかというのを見る指標でございます。

これにつきまして、おめくり頂きまして8ページでございますが、現在、ソルベンシー・マージン比率の算出基準等に関する検討チームにおきまして、真ん中の具体的、あるいは短期的な見直しに向けた取組みとして、太線の箱で書いてあるような見直しを考えているところでございます。直近データに基づくリスク係数の見直し、リスク係数の信頼水準の引上げ、そして、各社の資産構成割合をもとに分散投資効果を計算する方法を検討と。これは資産の種別について分散投資を図った方が、よりリスクが低くなるというものをどう取り入れるかというものを検討しているものでございます。その他、繰延税金資産等の算入の適正化に向けた検討も行っているというものでございます。

9ページ、10ページは、参考資料なので省略させて頂きます。

11ページに、これまでの主な意見というのを整理させて頂きました。

・各社事業内容や負債構造が異なる中での現行のような画一的な規制は、リスク管理を自主的に高度化させようとするインセンティブとは矛盾するものであり、やはり見直すべきではないか。

・事業内容とか負債構造が異なる中では、画一的なものの規律というのはそぐわないものがあると考えられ、ALMに基づいて自主的な判断を行うことが望ましいと思う。他方、投資家の立場で言うと、当該規制を撤廃したことにより、極端に資産がある状態や、ある資産に集中化されている状態が生じることは望ましいことではなく、当局のモニタリングや情報開示について改善する必要がある。

・現行の運用規制は厳しいものがあり、基本的には各社により適切に運用されていれば良いと思われるものの、当該規制を撤廃する場合には情報開示やモニタリングの充実など、別の担保とあわせて検討する必要がある。

・すべての会社に対し一律の規制をかけるのではなく、会社の規模、リスクマネジメント能力で差を設けるなど、個社に配慮した規制の手法を取り入れてもよいのではないか

というものでございました。

これを踏まえまして、12ページにこの問題についての考え方を事務局のたたき台として掲げさせて頂いております。

まず、保険会社間には事業内容や負債構造、リスクマネジメント能力等に差異がある中、現行の画一的な規制は、経営・資産運用に関する方針が基本的には個社により自主的に判断されるものであることと合わない面があると言える。

現在、ソルベンシー・マージン比率の算出基準等に関する検討が行われていることなどを考慮すると、当面をこの規制を維持することとするが、当該検討の結果などを踏まえた上で、今後、廃止を含めた見直しを行うことが適当と考えられるというものでございます。

過去2回の議論においては、この現行の3:3:2規制というものは時代にそぐわないという面があるのではないかという指摘が多数であったかと思っております。ただし、先ほどご紹介したようなソルベンシー・マージン比率について、投資分散効果がなるだけきくような形での係数の見直しも行われていて、そういった財務基準によって、資産別運用のあり方を検証していくということも大事なことだと考えられるという議論があり、しかしそれがまだでき上がっていないという段階では、我々としては今はこの規制を維持するしかないのかなと。ただ、そういう検討の結果などを踏まえた上で、これは廃止というものを含めて見直しをしていきたいと考えて、このたたき台をつくったところでございます。

それから、次が保険契約の移転単位の見直しについてでございまして、16ページをお願いいたします。保険契約を一部移転ができないのか、包括移転以外の手法がないのかということがあり、これについては、保険会社の専門性の向上、あるいは業務の効率化という視点と、保険契約者間の公平と保険契約者の保護等といった問題が指摘されてございました。

主な論点としては、破綻時の場合が議論されるのか、平時の場合なのか、両方なのか。保険契約者というのが保険会社を選ぶときにどういうことで選んでいるのか、それがどういう形で移せるのか、移せないのか。保険契約者の保護の方法として、どのようなスキーム、異議申立ての対象者はどうするのか、認可制度とするのかといったもの。責任準備金の一部を計算することは、果たして技術的に可能なのかどうか。移転元保険会社と移転先保険会社の財産状況をどう確認できるのか。移転元保険会社と移転先保険会社の一般債権者の保護の方法をどう考えるのかという、論点がなかなか多岐にわたっていたと承知しております。

17ページは包括移転の場合の制度の概要で、包括移転の場合にどういう範囲で移転できるのか、手続としての総会決議、周知方法、異議申立て等々のスキームについて書いてありますが、詳細は省略いたします。

それから、18ページに一部移転の想定される類型としては、破綻時の移転というケース、それからそこに至る前の破綻前の経営悪化時の移転のケース、それから3つ目としてはこういうものではない、先ほどいった平時のものということで、前記以外の際の経営戦略による移転ということで、グループ内等々のものがあるというふうに3つぐらいに想定されるのかなと考えております。

次のページ、包括移転が行われた事例といたしましては、以下のような実績があるというとおりでございます。

それから、21ページが保険会社、損保代理店の選択基準とてどういうものがあるかというと、左から順に、商品の補償内容や保険料、それから損害保険会社の信用度、事故処理の適切さ、迅速さ、事故の際の会社や代理店の対応、付随サービスの内容、保険会社の業績や経営状態等々が並んでいて、保険会社に着目した、あるいは代理店に着目した選択というのも少なからず行われているというものでございます。

ちなみに、出典は違いますけれども、22ページは、同じく生命保険について調べたものでございまして、種々並んでおりますが、大きく分けると右側にありますように、商品要因のもの、加入機関・加入会社に関するもの、セールスマンによる要因、その他というふうになっております。

それから23ページ以降、海外の例として、イギリスの例を1つ掲げさせて頂いております。イギリスでは、FSAが承認した独立のアクチュアリーがレポートを、FSAの定めた仕様に準拠して作成し、保険会社が契約者全員に移転通知を発信した上で承認をしていくというふうになってございます。

それから、24ページは、金融審での主な意見でございまして、時間がないので説明を省略しますが、さまざま、慎重な意見、あるいは相当いろいろな議論から検討する必要があるといったものがございました。これを踏まえまして、事務局のたたき台を整理させて頂きました。

保険契約の移転単位の見直しについては、保険契約者や一般債権者の保護(異議申立制度のあり方を含む。)、当事会社の財産状況の確認手法などの多くの論点について検討を行う必要がある。その際、包括移転が保険契約の特性を踏まえて債権者の同意を得ずに契約を移転する特例的な手法である点なども考慮する必要がある。このため、直ちに包括移転に関する制度を変更することについては、慎重に対応することが適当と考えられる。この制度については、上記の論点を含め、今後、中長期的に検討することが考えられる。

以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

既に3時になろうとしておりますが、本当に私の不手際で申しわけありませんが、若干延長させて頂いて、ただいまのご説明について、ご議論頂きたいと存じます。どうかよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

それでは、どうぞ。

○柄澤専門委員

損保業界からの要望でございますので、若干コメントさせて頂きます。

まず、最初の資産別運用比率規制でございますけれども、経営、資産運用に関する方針は会社ごとに異なる事業内容や、負債構造、あるいはリスクマネジメント能力等に応じて、自主的に選択されるべきで、画一的な規制はそぐわないことをご理解頂けたものと認識しており、感謝申し上げる次第です。廃止を含めた見直しにつきましては、ソルベンシー・マージン基準に関する検討に沿いまして、今後進めて頂く方向ですが、私どもといたしても、ソルベンシーの向上、リスクマネジメントの一層の高度化に努めてまいりたいと思いますので、ご検討の程よろしくお願いしたいと思います。

次に、移転単位の見直しにつきましては、経営悪化、破綻時の救済における選択肢の多様化や、平時における事業再編の機動性といった観点から要望させて頂いたものでございますが、保険契約者や一般債権者の保護、当事会社の財産状況の確認など、多くの論点についてご指摘がございまして、さらなる検討が必要と受けとめております。

事務局たたき台では、中長期的に検討という整理ではございますけれども、資料の23ページにございますように、既に英国等で多数の事例があることなども参考に、継続的、かつ可能な限り早期に具体化を図って頂くことを、重ねてお願い申し上げたいと思います。

以上です。

○岩原部会長

柄澤さん、どうも。

ほかに何かございますでしょうか。どうぞ、羽田さん。

○羽田専門委員

保険会社が続いて申しわけないんですが同じく保険契約の移転単位についてちょっと申し上げたいと思います。私が見るに、この問題というのは、いわば、今の法律が予定していない事象または要望が出てきたということでありまして、もちろん保険契約者保護とか、そういうことはこういう問題について予定していなかったわけですから規定がないまたは不十分な規定。これは当然のことでありまして、したがって、この問題については中長期的というよりも、中長期的ということは、時間がたてば状況が変わるかもしれないということであれば別ですけれども、そうでない限り、できれば早目に、スピード感を持って、かつ慎重、鋭意検討すべきではないかと、お願いしたいと思っております。

それから、もう一つお願いがあるのですが、同じ包括移転でありますが、私は外資系の損保におりますけれども、外資系の保険会社の中には、結構支店形態で営業している会社があります。そういう会社が日本法人にしたい、日本の株式会社の保険会社になりたい、営業とか代理店とか契約をそのままにして、形態を支店から日本の保険会社にしたいとなった場合にどうなるかというと、これも現在の法律には規定がないのではないかと思います。

その結果どうなるかと言いますと、その支店は、現在の法律に基づいて一定期間営業を休止する。営業を休止するとどうなるかというと、もちろん新規の契約はできない、継続もできなくなります。ですから、その保険会社で継続したいといったお客さんに対しても、ほかの保険会社に行ってもらわなければならない。それから保険の内容によっては、年齢を経ることによって、保険料が上がる場合があります。となると、そこで継続ができなくて、ほかの保険会社に行きますと保険料が上がってしまうという問題があります。

一方、受け皿となる日本法人の保険会社ですけれども、それをつくるとなると、当然従業員が要るわけですから、何十人か従業員を雇い、仕組みをつくり、いろいろなことをする。さて、すべてが整って、支店の保険契約を包括して日本法人へ移すということになりますと、支店の従業員その他すべてが移る。そうすると受け皿会社の従業員が余ってしまうという、極めて妙なことになるわけでして、できればこういうことも、現在の法律では予定していないわけですけれども、早急に、慎重に、鋭意スピード感を持ってお願いできればと思います。

以上です。

○岩原部会長

ほかに何かございますでしょうか。

今松委員、どうぞ。

○今松臨時委員

基本的に今、事務局のたたき台というのを、このとおりだと思っております。

この資産別運用比率の方ですが、基本的にいろいろ状況が変わっていく中で、より柔軟にやっていくということになると思いますが、同時に保険会社自体がソルベンシー・マージンだけではなく、全体として、加入者がこの会社はどうであるかというところを基本的にわからないというところが将来生ずると、これはいろいろ問題が出てくると思います。やはりディスクローズというのが、より適切、かつそれが安全であるというか、運用についてのきちんとした個社の方針なり、それがはっきりと確認できるような、これはどういう形になるかわかりませんけれども、そこのところを確保するという形で適切化され、実態として将来的に廃止するなり何なりの方向というのをとるというのをやるべきではないかと思います。

それだけです。

○岩原部会長

どうも。

ほかになるかご意見ございますでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

意見というか、まず質問なんです。前回、海外の事例について教えて頂きたいというふうにお願いしました。23ページに例があるんですけれども、ちょっと内容がよく読み取れませんので、どのような経緯でこの制度を取り入れ、そして、何のためにこれが使われているのかをご説明頂きたいと思います。

○諏訪園保険企画室長

大変申し訳ございません。海外における例ということで、調べられたこの例を掲げさせておりますが、もう少し詳しい情報については、まだストックが十分でございませんので、また勉強して、ご報告したいと思います。

○岩原部会長

どうぞ。

○高橋委員

続いて意見です。先ほどの業務範囲規制のあり方とあわせて、規制緩和という点で申し上げたいと思うんですが、今の流れは、金融業、今回、ここでは保険業の国際競争力を阻害している程度があるのかどうか、我々が時間を使って検討する必要があるか、どうかということだと思います。

業務範囲について言えば、私自身はあまりそういう状況ではないというふうに思いますし、資産運用の比率も、生保に関しては、損保とは相当違う状況であると思っています。そうだとすると、損保さんがどうしてこれを緩和して、もっとリスクをとらせてくれなり何なりが必要なのか、その辺のご意見をもう少し深く伺ってみたい気がいたしますので、よろしくお願いいたします。

○岩原部会長

それでは、柄澤さん。

○柄澤専門委員

保険契約移転時の移転単位について、先ほど触れました英国の事例を業界の立場で若干申し述べさせて頂きます。個社名を申し上げることは差し控えますけれども、再保険取引において、いわゆるランオフ状態となっている契約を、当地の法令に基づいて日本の会社が海外の会社に譲渡したという事例が実際にございます。

それから、資産別運用比率規制の件でございますけれども、国際競争力の向上という観点から、例えば私どもが海外の保険会社を傘下におさめるような場合に、外貨建資産の上限は総資産の30%という規制がございますと、機動的なM&Aができない可能性があるという理解でございます。

また、保険会社グループの業務範囲規制のあり方に関しても一言申し上げますと、商品デリバティブについては現在のところ差金決済に限られておりますし、あるいはイスラム金融については、個社名はこれも申し上げませんけれどもタカフルを行う子会社を傘下におさめた保険会社グループもございますので、保険会社にとってもさらに規制が緩和されることは基本的にありがたいと考えております。

○岩原部会長

田川さん、どうですか。

○田川専門委員

先ほど出た運用に関しては長期的に検討していくということでよろしいでしょうが、それに関連して、資料第二部会43-5の8ページのソルベンシー・マージン比率について「リスク係数の信頼水準の引上90%→95%を目指す」となっておりますが、国際的な基準からするとどうなのか、若干の疑問があります。

通常金融機関の信頼水準は99%ほどであり、今の格付機関がどういう見方をするかという問題はありますが、「レベル感として、将来的に目指していく水準はもっと高いのだが、まずは90%、95%とステップを踏んでいく」ということであれば納得感があるのですけれども、この記述だと少し違和感があります。専門家が具体的にご検討された結果だと思いますが、少し違和感がありましたので、一言つけ加えさせて頂きました。

○岩原部会長

諏訪園さんか保井さん、何かありますか、今の件で。では、保井さん。

○保井保険課長

時間の制約もございますので、手短に補足させて頂きます。

ソルベンシー・マージン比率の見直しに関する検討会において、この点は検討して頂きまして、まさしく委員からご指摘のあった、ステップとして95%ということでございます。もちろん欧州、あるいはアメリカ等で98%タイル、99%タイルというところを今目指して、検討が進んでいるわけでございますけれども、ツーティーアプローチをとっておりまして、短期的な見直しでは信頼水準を90%から当面95%を目指すと。その上で、欧州等で行われている経済価値ベースのソルベンシー・マージン比率の規制の実現のために、さらに信頼水準の向上も検討していくと、こういった流れになってございます。

以上、補足でございました。

○岩原部会長

それでは、野村委員。

○野村委員

先ほどの包括移転に関しての事例としてご指摘頂いたものは、外国保険会社の支店の日本法人化の話ですけれども、比較的説得力のある事例ではないかと思いますので、ぜひそういうことの必要性があるのであれば、検討する必要があるんじゃないかと思いました。

あとは、前半の方の資産別運用比率の規制のあり方なんですが、これは規制緩和して頂いて、なるべく運用はあまり画一的な規制は望ましくありませんので、できるだけ個社の実勢に判断をゆだねるというのは、私も基本的方向はそのとおりだと思います。ただ、それを支える方向感としましては、先ほどディスクローズの話がありましたけれども、やはり当局の方のモニタリング手法についてももう少し改善が必要かなというふうに思っております。

例えばということで挙げさせて頂ければ、今、比較情報の話がありますが、あのときに会社情報の比較ということも実は議論しておりまして、その会社の情報の比較がしやすいようなプラットホームをつくって、それを一般の消費者の方々がアクセスしやすいようにするというような、そういう施策も議論されておりました。それから、あとは銀行の方ですと、もう既に検査評定制度というのが導入されていて、検査の結果についてのある程度の点数化が行われて、それがディスクローズされるという仕掛けがありますけれども、こういったようなものも保険会社の方でのモニタリング手法として考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

以上です。

○岩原部会長

よろしいでしょうか。

それでは、時間もある程度過ぎましたので、本日の審議は以上までとさせて頂きたいと思います。

次回は、保険の規制緩和につきましての本日の審議を踏まえ、取りまとめの審議を行い、銀行関係の事項とあわせて、第二部会としての報告書の形で取りまとめたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、以上をもちまして、本日の審議を終了させて頂きたいと思います。

最後に事務局からご連絡をお願いします。

○遠藤信用制度参事官

今も部会長からお知らせがございましたように、次の日程は12月13日、木曜日の13時からということでございます。内容は、今、部会長からお話がありました報告書の取りまとめのご審議ということでございまして、銀行の業務範囲規制のあり方、保険の規制の緩和について、報告書の取りまとめという形でご審議頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○岩原部会長

それでは以上をもちまして、会を終えさせて頂きます。どうも長時間ありがとうございました。

以上

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