金融審議会金融分科会第二部会(第46回)及び「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第44回)合同会合議事録

日時:平成20年1月31日(木曜日)16時00分~18時18分

場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

【保険の基本問題に関するワーキング・グループ】

○山下WG座長

それでは定刻になりましたので、ただいまから第44回の保険の基本問題に関するワーキング・グループの会合を開催いたします。

皆様方におかれましては、本日もご多用中のところお集まり頂きまして、ありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日のワーキング・グループの会議も公開となっておりますので、その点まずご了承頂きたいと思います。

それから本日の会合につきましては、委員の皆様には既にご案内しておりますように、最初の30分程度、保険に関するワーキング・グループとして開催させて頂き、その後引き続きいて、第二部会と保険ワーキング・グループとの合同会合へ移るという形となっております。このため、最初の保険ワーキング・グループの部分に関しましては、私が進行役を務めさせて頂き、その後、合同会合に移ったところで、岩原第二部会長に引き継ぎたいと思います。

本日の出席者でございますが、保険ワーキング・グループの委員の皆様方は全員ご出席頂いておりまして、ご欠席の委員はいらっしゃいません。また、第二部会からも委員にご出席して頂いております。

さらに、法制審議会保険法部会の事務局でございます法務省民事局の萩本民事法制管理官にもご出席頂いております。

それでは、本日の議事に移らせて頂きます。本日は保険法改正への対応について当ワーキング・グループとして取りまとめる報告(案)のうち、前回の会合ではまだペンディングにしておりました未成年者の死亡の保険につきましての部分につきまして、ご審議頂きたいと思います。委員の皆様方はご承知のとおりかと思いますが、先ほど申しましたように、16日の保険ワーキング・グループにおいて、金融庁や各業界における対応につきまして、具体的にまだ決まっていない部分も多くあったことから、改めて本日の会合において報告をして頂いて、ワーキング・グループとしての報告として取りまとめを行うこととされたものでございます。

そういうことですので、まずは当局及び業界のほうから、未成年者の死亡の保険に関する対応につきまして対応案をご報告して頂きたいと思います。その後、皆様にご議論頂いて、その結果を踏まえ、第二部会に対する報告を取りまとめ、引き続いて第二部会との合同会合に移りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、事務局から、まず説明をお願いいたします。

○諏訪園保険企画室長

よろしくお願いいたします。

それでは、お手元の資料のうち、最初の報告書の次に、44-2という横の資料がございます。これについてご説明いたします。「未成年者等の死亡保険にかかる金融庁としての対応(案)」というものでございます。

「被保険者が契約者と異なる死亡保険契約について、被保険者本人の同意を得られない未成年者を被保険者とする保険契約を保険会社等が引受けるにあたり、以下の体制を整備するよう、保険業法施行規則第53条の7(社内規則等)により義務付け、保険の不正な利用の防止を図ることとする。」ということでございます。

なお、被保険者の同意を取得していない保険契約、すなわち被保険者が大人で、同意を取得していない保険契約についても同様とするということでございます。ただし、団体保険、賠償保険など、モラルリスクが少ない保険は対象外とするというふうに考えております。

具体的に規定する内容としては下の2点でございます。まず、保険金の引受限度額、そして、保険契約の引受けに関する社内規則などを定める。そして、この社内規則等に基づいて業務が運営されるための十分な体制整備の構築を求めるということでございます。

○山下WG座長

ありがとうございます。

それでは、引き続きまして、生命保険協会の松澤委員にお願いいたします。

○筒井委員

ワーキング・グループの松澤委員のご説明の前に、少し基本的な考え方だけ申し述べさせて頂きます。

このモラルリスクの問題は、当然、保険制度の根幹の問題でございまして、対応の仕方によっては、それこそ信頼の失墜につながるという非常に重要な課題というふうに認識しておりまして、それに向けた体制整備にこれまで努めてきているところでございます。

今回のワーキング・グループでも、未成年者保護の観点から本当にさまざまなご意見を頂いております。我々も、この未成年者保護の重要性は十分に認識しておりまして、今後ご当局とも連携をしながら、業界として、今からご説明をさせて頂きます総合的な形での対策を取りまとめまして、これに向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。これによりまして、未成年者の死亡保険におけるモラルリスクの発生というものを実効的に防止できるような態勢を整備していきたいと考えております。

ただ、今回説明する取組みだけですべて完了とは考えておりません。今後の状況も見ながら、引き続き改善サイクルの中で適宜見直しを行っていく必要があるということは、当然考えているところでございます。

それでは、ご説明をさせて頂きます。

○山下WG座長

それでは、松澤委員、お願いします。

○松澤委員

それでは、生命保険協会での取組みと、各社取組みの事例として、弊社の例につきまして、本日委員の方々のお手元に配らせて頂いております「未成年者の死亡保険に関するモラルリスク対策の構造」という、A4横1枚のペーパーに沿いまして、ご説明申し上げたいと存じます。

まず、図の左のところですが、生命保険協会の取り組みを記載しております。協会で自主ガイドラインを策定する方向で検討しておりますが、規定する予定の主な内容といたしまして、まず、1点目は、各社が適切な社内引受基準の設定をすることです。これにより各社は、販売商品やチャネルの特性に応じまして、モラルリスク排除のために必要な社内規定を設けることとなります。

2点目は、適正な付保上限金額の設定です。未成年者に販売する死亡保険金をモラルリスク防止の観点から適切に設定すべきことといたしますが、当然のことながら、モラルリスク懸念がある場合にはそもそも販売しない、あるいは金額をさらに制限すべきもの、といたしております。

3点目は、契約内容登録制度の活用です。契約内容登録制度は、その下のほうの箱にありますとおり、今回登録基準を大きく引き下げまして、各社において設定される付保上限金額の制度が実効的に運用されるように制度変更を行ってまいります。

そのほかにも、適切に被保険者の同意を取得すべきこと、適切な商品ラインナップを提供すべきこと、適切な募集活動をすべきことを規定する方向で検討を進めてございます。

これを受けました個社対応といたしまして、弊社の事例を右に記載してございます。

この表の中で網かけがされている部分がございますが、これは未成年特有の取扱いというふうにご理解頂きたいと存じます。

考え方といたしましては、加入金額の如何にかかわらず、保険金詐取の目的を持った人が加入しようと思ったとしても、何重かのチェックポイントに引っかかるようにして、決して安易には加入できないというような一連の手続にしているということでございます。

資料の真ん中ほどですが、まず、支社・営業所では、一定の確認手順を踏みまして、通例と異なるような事情があった場合には厳重な確認手続を行う。こういうことを行います。

まず、1番目のところで、加入経緯が自発的申込みであった場合には、上司である拠点長経由、支社報告を行いまして、専門会社の調査員などによる調査が実施されます。

そのほかにも、その下のところですが、保険募集人は家庭の訪問、面談を行いまして、家庭環境であるとか、親の資産・収入などを確認し、また、親の加入金額等のバランスも確認するというルールになっておりまして、ここで問題が感じられる場合は、拠点長経由、支社へ相談を行い、一定のケースは現地確認を行うということになってございます。

その下のところですが、被保険者同意。これは募集人の面前で自署頂くこととしてございまして、15歳未満の場合は両親から、15歳以上の場合は両親と未成年者当人から同意を取得することルール化してございます。

また、契約者・受取人は、両親もしくは祖父母に限定しております。ちなみに内縁契約は原則不可という取扱いとしておりまして、保険犯罪が懸念されるような一定の契約形態は取り扱わないということとしてございます。

表の右の本部の対応のところですが、販売条件といたしまして、今回新しく15歳未満の付保上限金額を1,000万円まで引き下げる方向で検討してございます。なお、一時払い養老・一時払い終身は加入時に相当な金額を払い込む必要があり、例えば、今3歳のお子様につきまして死亡保障1000万円の一時払い終身に加入しようと思った場合には、450万円程度の保険料の払い込みが必要となります。従いまして、モラルリスクは定型的に低いと考えられますので、この枠から外す方向で検討してございます。

その下の契約内容登録制度。これは新規基準に基づきますと、相当な割合の未成年契約の加入状況が交換されるということとなりますが、例えば、他社で最近加入をしたという情報がありますと、弊社では原則として、付保上限金額の1,000万円からその金額を差し引いた金額、残りの金額で上限金額を設定するということとしております。これは他社でもほぼ同じような対応というふうに思っております。

また、未成年者の契約については、原則的に全件、本社または委託先から電話で契約者に対して加入意思や契約内容の確認等を行っており、何らかの疑念が生ずるような場合は、再度現地確認を行うなどの取扱いにしてございます。

これらの手続を経た上で、本部において、総合的な判断のもと査定を行います。繰り返しになりますが、モラルリスクが懸念される場合はそもそも引き受けない、これが基本的な考え方でございます。

以上のような取扱いにより、少なくともこれまで経験したところに照らせば、実効的なモラルリスク防止が可能と考えてございます。

なお、一番下に参考として記載しておりますけれども、支払い時におきましても、例えば加入直後の保険金請求であるとか、あるいは警察から照会案件、あるいは事件性が疑われる事故など一定の懸念がある場合におきましては現地確認を実施し、また、支払査定時照会制度を活用いたしまして、他社の支払い状況を参照することができますが、それに基づいて支払い可否を判断するなど、慎重な査定を行っているところでございます。

最後に、過去数年間について、弊社で詳細調査を実施いたしましたところ、こうした入口、出口でのモラルリスク防止の取り組みを行った結果といたしまして、調査対象期間中におきまして、未成年者の事件というのは1件も発生していないということを確認したということをつけ加えさせて頂きます。

以上、ご説明申し上げましたが、繰り返しになりますが、今回の対応で完了とは考えておらず、今後ともいわゆるPDCAサイクルということも活用して、不断に見直しを行ってまいる所存でございます。

以上でございます。

○山下WG座長

ありがとうございました。

それでは、損害保険業界から、柄澤委員、お願いできますか。

○柄澤委員

私のほうから説明させて頂きます。

これまでのワーキング・グループの審議を踏まえまして、まず損害保険業界としての考え方をお手元の資料1、2とございます、資料1に沿って申し上げます。

基本的な考え方については、資料冒頭に示したとおり、保険犯罪等、いわゆるモラルリスクの排除のため、金額制限を行うという立場でまとめております。

まず1の個人型契約の場合でございますが、マル1のとおり、各社において、保険犯罪を誘発しない水準の金額をめどとする金額を通算の引受上限として設定し、管理運営を行うよう、自主ガイドライン等で定めます。マル2通算管理のため、協会の契約内容登録制度におきまして、未成年に関する管理基準額を各社における引受上限を十分下回る金額に引き下げ、損保会社通算での上限管理を行うインフラといたします。

次に2の家族型契約の場合ですが、例えば、「家族傷害保険」という商品が代表例でございますが、家族の名前を記名せずにまとめて契約する仕組みでございます。「その他家族」の中に子供が含まれることになりますので、この部分の保険金額についても、個人型契約と同じ上限を設ける必要があります。

第3に、資料1の3.海外旅行保険で未成年者が被保険者になる場合について申し上げます。海外におきましては、犯罪や交通事故等の被害に遭った場合には、備考欄の*1でございますが、交換留学のケースのように、少額の補償しか得られなかったという事例があり、せめてもの自衛策として保険カバーを求められる場合がございます。このような場合に、未成年者の逸失利益をカバーする程度の水準、具体的には、自賠責の基準などを上限の目安にする必要があるというふうに考えております。

ただし、前回のワーキング・グループでもご指摘があったとおり、保険犯罪防止という観点からは高過ぎるという課題があるため、この備考の*2にございますような場合、例えば親が同行しない場合というように、モラルリスクがないことを確認して引受ける必要があると考えております。通常の場合は、上限額に、海外における死亡事故により追加的に生じる費用、例えば搬送費用などでございますが、これら相当を加算した金額とする運営を考えております。

また、今回のご指摘を踏まえまして、販売商品も見直すことも必要と認識しておりまして、例えば、死亡保障だけでなく医療費の補償を充実させるなど、モラルリスクの懸念の少ない商品を開発することも対応策の一つというふうに考えております。

欄外のところに1、2とございますけれども、団体契約や賠償保険を代替・補完する商品につきましては、それぞれ別に扱うということを考えております。

なお、実施時期でございますけれども、契約内容登録制度の運営変更であるとか上限設定に伴う各社の商品設計の見直し等のシステム変更、パンフレットや申込書等の改訂、代理店への教育等、相当な準備期間が必要であるため、改正保険法施行時までに準備を進め、準備の整ったものから実施してまいりたいというふうに考えております。

以上の業界としての考え方にしたがいまして、当社、三井住友海上としての個社の引受限度額について申し上げます。

1の個人型契約の通算で1,000万円程度を想定しております。2の家族型契約につきましての「その他家族」の保険金額についても、同額の1,000万円としたいというふうに考えております。3番目の海外旅行保険につきましては、通常は搬送費用等の諸費用相当として500万円程度の上乗せを考えております。

資料の注意書きに記載しているような事情で、かつモラルリスクがないと判断される場合などは、逸失利益を基準に考えますが、その場合も逸失利益全額ではなく、やはり自賠責保険の限度額である3,000万円程度に制限すること考えております。ただし、3,000万円につきましては相当に高い感覚でございまして、この運用については、保険犯罪防止の観点からは、なお慎重な取扱いが求められるというふうに認識しておりまして、実効性が確保されるよう、引き続き検討を続けてまいりたいと思います。

なお、当社の個人契約の傷害保険に占める未成年者の割合は数%でございまして、ただいま申し上げた金額を超過する契約はさらに少数ですので、金額の制限を行うことが多くの契約に影響を及ぼすとはいえないかもしれません。しかしながら、善意のお客様が必要と考え、合理性のある補償金額でモラルリスクの問題もないと判断できる場合にまで一切補償を提供できなくなることは、消費者のオプションを狭め、お客様の理解を得られないというふうに考えているところでございまして、この点はぜひご理解頂きたいと考えます。

続きまして資料2でございますが、保険会社にとりまして、お客様に適切なお引受け、お支払いをすることが最も重要であり、保険犯罪等のモラルリスク排除は優先課題として従来も取り組んでおります。資料1の基本的考え方にございましたとおり、保険金額の制限は実効性のあるモラルリスク排除策の一つであり、モラルリスク排除のためには、他の方法を組み合わせて実効性を確保する工夫をしております。

契約時の対応といたしましては、例えば、資料2の左枠内にあるようなものがございます。1で説明しておりますとおり、保険金受取人指定を禁止しておりますが、指定しなければ未成年者の場合は法定相続人でございます。両親双方が受取人となります。これにより、一方の親だけ、あるいは債権者等の他人を受取人に指定することによる問題を排除しようとしております。

2のような契約は、類型的にモラルリスクの疑いが濃いことが経験上知られており、未成年者を被保険者とする契約に限らず、制限的な対応をしてまいりたいというふうに考えております。

3にある登録制度は、現在も行っている管理でございますが、資料1でご説明申し上げたとおり、未成年者については管理基準額を引き下げることにいたします。契約締結時の管理を行っていても、これを潜脱して不正目的の多重契約が行われるおそれがございます。したがって、保険金請求時にも情報交換システムによって、多重契約をチェックしています。さらにこのような目的で契約しようとすることを牽制・防止する観点から、また個人情報保護法の規定に沿って、本制度は開示されておりまして、契約申込書にも注意表示するということにしております。

以上でございます。

○山下WG座長

それでは引き続きまして、外国損害保険協会を代表して、森崎委員、お願いいたします。

○森崎委員

私どもは法制審のほうには委員を出しておりませんので、法制審のほうで議論されたことにつきましては、できるだけ情報を頂戴いたしまして、その情報を英訳いたしまして、私どもの会員に配布しておりますので、大体どういうことが議論されているかということは十分承知をしているというふうにご理解ください。

金融審につきましては私が出ておりますので、これも毎回の議論につきましては、これをまとめまして英訳しまして、会員に配布しております。したがいまして、委員の方々がどのような意見を開陳しておられるかということについては、重々承知をしているという前提で私どもとしては取り組んでおります。

私どもとしましては、前回にも申し上げましたけれども、まず未成年者に関する引受けにつきましては、この法制審及び金融審の議論等を踏まえまして、それぞれの会社が既につくっております引受けのルール、審査基準等をさらに自主的に見直しまして、モラルリスクの排除、それにやはり契約者の利便、こういうものの均衡を十分とる、そういう措置を考えながらルール化をしていくと。私ども協会といたしましては、これを援助するという形でございます。

それから、先ほど金額の話が出ておりましたけれども、ご案内のとおり、協会といたしましては、金額を私どものほうで会員各社に指示するということはできません。したがいまして、議論の中では当然でございますけれども、いろいろな金額の議論も出ておりまして、そういうものを参考にいたしまして、各社が自主的に決めていくということでございます。

それから、成人に関する引受けにつきましては、さらなる引受けの規制の強化と言いますか、審査強化をやってまいりますけれども、必要以上に契約者利便を損なうおそれが強いということにつきましては、これによって得られるモラルリスク排除の効果と均衡がとれないと考えておりますので、今後も必要に応じまして、引受けルール等につきましては見直しをしてまいりますが、特にここで一定の金額を設定するというようなことにつきましては議論が出ておりません。

それから、協会としましては、引受けのガイドと言いますか、ガイドラインというよりはガイドですが、これを用意するつもりでおります。これはどういうことかと言いますと、私どもの場合には21社、レギュラーメンバーがおりますが、その中で、傷害保険、第三分野をやっている会社は、そのうちの6社ぐらいです。したがいまして、やはり全体に周知徹底するという意味で、ガイドというものを作成する予定にしております。

それから、契約登録制度の話が出ておりましたが、これは一昨日、日本損害保険協会から現在の契約登録制度がどういうものであるかという資料を頂戴いたしました。したがいまして、これからこれを拝見いたしまして、さらに何かグレードアップをするというお話も出ているようですから、その辺も検討いたしまして、我々としての態度を決定してまいりたいと思います。

それから、実施の時期でございますが、これはご案内のとおり、保険法の契約法の改定、それに金融庁から出ております約款の簡易平明化等の問題にどう対応していくかという問題がございまして、かなり濃度の高いものが控えております。したがいまして、文書の改刷でありますとかシステムの改定ということを考えますと、かなり時間を要するとは思いますけれども、できるところからやっていくということで、現在準備を進めております。

以上でございます。

○山下WG座長

ありがとうございました。

それでは、以上ご紹介頂きました金融庁及び各業界における対応を踏まえた、このワーキング・グループとしての報告(案)を事務局のほうで用意して頂いておりますので、この点について、事務局よりご説明をお願いいたします。

この際、前回におきまして、未成年者に関する部分を除いて報告(案)について一応ご一任頂いたのですが、それを踏まえて一部修正した部分もございますので、その点もあわせてご説明をお願いいたします。

○諏訪園保険企画室長

それでは、お手元の資料44-1について、ご説明したいと思います。

まず、最初に未成年に関する以外の部分での修正が1点ございました。4ページ目でございますけれども、本文の最後のパラグラフ「この点については、今後、保険的な現物給付商品が数多く販売されるなどの状況の変化が生じた場合」と、前回この書き方について疑問が呈されておりましたので、少しここに修正を加えさせて頂きました。

それから、5ページ目でございますが、ここは未成年者の死亡保険についてでございます。「法制審においては、被保険者による同意が親権者により行われる未成年者に対する死亡保険に関して、モラルリスクや必要性への疑問などから、制限を行うべきことについて検討が行われた。なお、結論としては、保険法においては制限を行わないこととされた。保険WGにおいては、未成年者の死亡保険についてはモラルリスクが高いものがあるため、何らかの対応を図るべきであるとの意見が大勢であった。こうした指摘を踏まえ、被保険者の同意を得ることができない未成年者に対する死亡保険のうち、モラルリスクの高いものについては、当局、業界、保険会社各社において、効果的なモラルリスク対策を実施すべきである」ということを受けまして、ただいまご説明しました内容、当局における対応については、次のパラグラフに書いてございます。

また業界における対応についても、今それぞれご表明されたことを要約した文章を、ここに整理して掲げさせて頂いているところでございます。

○山下WG座長

それでは、以上がワーキング・グループの報告(案)、それから金融庁及び各業界の対応案ということでございますが、以上のことにつきまして、ご質問、ご意見を頂ければと思います。

深尾委員、どうぞ。

○深尾委員

今、かなり細かい点まで対応が出てきてよかったと思っておりますが、幾つか懸念材料がありますので、指摘したいと思います。

一つは、損害保険の場合の未成年者を被保険者とする海外旅行保険の場合に、3,000万円というかなり高い引受金額になっております。ただ、同時に、加害事故においての十分な保障がないケースというのも十分理解できますので、私はこれについて、「加害事故であって、かつ加害者が判明している場合に限り3,000万円」というふうにすれば、モラルリスクが非常に起こりにくいというふうに思います。ですから、一般の死亡事故について3,000万円というふうにしてしまいますと、それが抜け穴になってしまいますので、これについては、加害事故があって、かつ加害者がわかっている場合であれば、日本国内であれば、例えば自賠責によって3,000万円の賠償が得られると。これが海外であると賠償が得られないというところの保障という形にできるので、逸失利益の保障という形でチェックがかかるのかなというふうに思います。

2番目は名寄せの問題でして、これは生損保両方ですけれども、名寄せについて、あまり細かい点まで名寄せしますと、名寄せ漏れが出てくるという問題が発生すると思います。この点は、例えば住所まで全部チェックして名寄せしますと、住所だけ変えれば2つに分けられるといったことも起きますので、これについて、名前の読みと生年月日だけで名寄せした上で、その上でもしも同じであればチェックをかけるぐらいの広い形でのチェックが必要かと思います。

3点目は、損害保険の場合は、支払いの段階でもう一度チェックをかけるということで非常にいいと思うんですが、生命保険の場合、そういったチェックについて発言がなかったんですけれども、これについてどういう対応を考えておられるかを質問したいと思います。

それから、4番目については、被保険者の同意というところで、基本的に15歳以上はこのチェックにかからなくなるように見えるわけですけれども、この15歳という切り方がいいのかどうかという点については、私は見直し条項を入れておいたほうがいいのではないか。つまり、今で言いますと中学3年か高校1年ぐらいになりまして、このあたりで、本人の同意があればこのチェックにかけないというのは、ちょっと年齢が低過ぎないか。18歳ぐらいでもおかしくないのではないかというふうに個人的には思っておりますので、この点について、問題がもし発生するようであれば、この下限を上げるということも考えに入れておいたほうがいいのではないかと思います。

以上です。

○山下WG座長

一部質問があったかと思いますが、もう時間がかなり押しておりますので、質問に対するご回答は後でまとめて頂くことにして、とりあえず委員の皆様方からのご意見を伺いたいと思います。

小島委員、どうぞ。

○小島委員

結論だけ言いますと、先ほどの金融庁の対応、それから各生損保の協会の対応で詳しくご説明頂きましたので、今回の取りまとめで、とりあえずこれでスタートするということで行うべきだろうと思いますので、とりあえず文章取りまとめとしては、こういうことではないかというふうに思います。

○山下WG座長

洲崎委員、どうぞ。

○洲崎委員

前回のワーキング・グループでも発言したのですけれども、この取りまとめ案でいきますと、5ページの注7のいわゆる成年の場合の被保険者同意がなくして傷害・疾病に関する死亡給付が支払われる保険、これについては、今回はもう議論の対象にしないということでしょうか。

先ほどのご報告では、損保協会からは特にお話はなくて、森崎さんからは、金額制限とかは特に考えていないということでございましたけれども。そもそもこの問題は今回は取り上げないということなのか、あるいは取り上げてもよいということだとすると、その点について、損害保険会社と外国損害保険会社はどのように対応しようと考えておられるのか。外国損害保険会社については、先ほどの森崎さんからのお答えがすべてなのかもしれませんが、損害保険会社については柄澤さんからはこの点についてお話を頂ければと思います。

○山下WG座長

吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

私はモラルリスクを防ぐことが一番重要だと思いますので、先ほどのお話ですと、ほとんどないということですけれども、やはりグレーの場合にも徹底的に調べて頂いて、こういうことをしてお金をもうけようということができないような体制をぜひお願いしたいと思います。

○山下WG座長

川本委員、どうぞ。

○川本委員

モラルリスクというのは保険のあらゆる場面に存在するわけですけれども、この問題は特に未成年者保護の大切さというところから保険ワーキング・グループで議論してきたと認識しています。

未成年者の死亡保険について、良識ある対応というものを前回でも求めたわけでありますけれども、改めて諸外国における状況を拝見すると、参考資料3ですけれども、英国では未成年者に対する死亡保険は認められていない、フランスでも死亡保険は禁止というふうになっていて、個人的には、加入限度額を1,000万円としていらっしゃるところの金銭感覚は十分に高額だと思いまして、非常に残念だと思っています。

ですから今後、やはり業界で行われるだけではなくて、個社に良識ある判断をして頂いて、可及的速やかに加入限度額のさらなる引き下げを期待したいと思っております。これは業界全体の信頼の失墜を回復するためにも非常に大切な論点なのではないかと思っております。

以上です。

○山下WG座長

根本委員、どうぞ。

○根本委員

私は結論としては、取りまとめに特に異論はございません。基本的に未成年者の問題に関しては、業界の自主判断に委ねるということでいいと思っています。やはり保険契約者の多様なニーズというものもあると思いますし、一個人の考えで必要かどうか判断できにくいこともあると思います。かつ、モラルリスクが発生する場合は、会社にとって多大な直接な不利益がありますので、そこを回避しようというインセンティブというのは当然大きいと思うんです。また、金額に関してかなりフォーカスがあったんですけれども、体制とか、実際の適用とかを含めて総合的に判断されるものなのかと思っていまして、そういった体制が整われることを希望しています。

なお金額についてあえて言えば、1,000万円という金額が、ものすごく犯罪を誘発するほどの高いものではないというような印象は持ちました。

以上です。

○山下WG座長

原委員、どうぞ。

○原委員

前回の保険ワーキング・グループには欠席をいたしましたが、どんなご発言があったかは聞いております。具体的な基準とか金額のお話が、まだその段階ではなかったからということなのですが、今日はある程度具体性を持たせた形で生損保から出されているというふうには見ましたけれども、ただ、やや懸念をするのは、こういった金額を引き下げますとか、他社との情報交換をして、両方で契約をしていないかを見るということですが、例えば生命保険会社と損害保険会社の間、それから生損保と共済ですね。そのあたりについての情報の相互チェック体制というのは働くのかどうかということはいかがですか。

それから、最終的には今日の第二部会・保険WG44-2の取りまとめを見ますと、すべて「社内規則に委ねる」という形に内閣府令は決まってきそうですが、この社内規則等に定めて、それが本当にきちんとやられているかどうかというところのチェックというのでしょうか、検査というのは、これは万全にできる体制になるのかどうかというところ。保険の商品の根幹に関わる社外秘に当たる部分も非常に多いと思っておりますので、自主性に任せたときに、きちんとその検査体制もとられるのかどうかということについて、少し状況をお聞かせ頂きたいと思います。

○山下WG座長

ほかに委員のご発言はございませんでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

私はこの取りまとめ案で申し上げたいのは、まず(4)と(5)の保険料積立金の支払いと保険募集のところ、前回も申し上げましたけれども、これは「引き続き検討」あるいは「さらなる検討」となっている点、やはり早急に着手すべき事柄であるというふうに思いますので、できればそういう文言を入れて頂きたいというのが要望でございます。

それから、(3)の未成年者の死亡保険につきましては、正直申し上げまして納得はできておりません。金額がそうですし、というか、私は川本さんとかなり近い意見なんですが、未成年者保護の立場からすれば、やはりもう少し良識ある対応がとられるべきではないかという考えでございます。保険金殺人の犠牲になる子供を救うために、その欲求を我慢するのが大人の良識なのではないかと。周りのいろいろな方に聞いていると、そういう意見が多いです。海外でも禁止したのは多分そういうことだと思います。民間に委ねるとなれば、当然こういうふうな実効性も確実にとれないかもしれないものとなり、大変残念だと申し上げます。

そして、金融庁さんのペーパーについて幾つかご質問があるのでお答え頂きたいと。

○山下WG座長

とりあえず未成年者のところに焦点を当てて頂けますか。

○高橋委員

はい、未成年者の当庁の対応という44-2というペーパーでございます。

タイトルが「未成年者等」となっていますけれども、この「等」というのが何かということ。「社内規則等」の「等」も、「等」が何かということを教えて頂きたいです。

それから、1行目の「被保険者が契約者と異なる死亡保険契約について」と、わざわざ「被保険者が契約者と異なる」という記載があるんですけれども、ここの理由を教えて頂きたいと思います。子供が契約者かつ被保険者で入るケースというのも全くないわけではございませんので、あえてこうした意味を教えて頂きたいと思います。

それから、先ほど15歳とか18歳という年齢が出ていましたけれども、「被保険者本人の同意を得られない未成年者」と、この表現も非常にあいまいで私はよく理解ができないんですけれども、「同意を得られない」というのは、本人の意思の問題なのか年齢の問題なのか、「得られない」というと、何か意思も入っているようにも思えるんですが、本人が嫌だと言ってもこういうことができる、とも読めてしまうこの文は、少し気になりました。

それから、4行目、「なお、被保険者の同意を取得していない保険契約」、これは何を言っているのかが私はよく理解できなかったので教えて頂きたいのと、それについても「同様とする」とありますが、「同様」というのは、どこをもってどこの部分とどのように同様にするというのかよくわかりませんでした。

それから、マル2の最後に「業務が運営されるための十分な体制整備」と書いてあるんですけれども、何をもって十分というのか。私は先ほどの業界のいろいろなご努力の、契約内容登録制度等を見ていても、なかなかこれで十分で言えるのかなと・・・。これは前回も申し上げた点ですけれども、そこはあまり検討が進んでいないように感じました。

以上です。

○山下WG座長

ほかにございますか。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

今、未成年者の死亡保険についていろいろご意見が対立しているようです。前回、私は出ませんでしたので、知識が欠けているかもしれませんけれども、生命保険契約というのはそもそも賭博契約で、モラルリスクはその中に内在しているものであります。そして被保険者が未成年者がどうかということで、そんなに大きな差が出る話じゃない、モラルリスクはどの場合でも、これは発生するものです。

ここで未成年者を被保険者とする死亡保険を禁止したから、それで子殺しが減るのかというと、そういうこともないと思います。逆にこれが助長しているのかというと、そういうこともないと思うんです。

要するに、ここで議論すべきなのは、我々のモラルをどうすべきなのかという話じゃなくて、保険会社が今までこういう分野で業務をしてきたこと、それが万が一、子殺しのコンテクストで語られると、保険会社自身にとってレピュテーションリスクを引き起こしてえらいことになるということです。あるいは保険制度そのものに対して信頼を失ってしまうということで、国の中の一つの制度としての保険自身が危なくなってくる。じゃ、それをどうすればいいのかという見地からの議論なんだろうと思います。

保険会社は信用ならん、保険会社がきちんと自分たちで定めたルールを守るのかということでの懸念の表明もありましたけれども、ここでおっしゃっているようなルールの定め方であれば、無理な約束はされていないんじゃないかと思います。それで一体どこまで本当にここで約束されたことを各損保、生保、あるいは外国損保が守れるのか。きちんと守って後ろ指を指されないと、そういうふうな決意を表明して頂ければいいのであって、そこのところの努力をすっ飛ばして、そもそも未成年者の死亡保険はやめるべきだというのは、ちょっと荒っぽ過ぎる議論だと思います。

したがって、私はこのまとめでよろしいのでないか。現在の対応としては、こういう形でまとめていくのがよろしいのではないかと思います。

○山下WG座長

それでは、時間も都合もございますので、今までのご発言の中で質問が、それぞれ生損保、金融庁に対してあったかと思います。順番にお答え頂けますでしょうか。 まず、生命保険の松澤委員、お願いします。

○松澤委員

質問として認識いたしましたのが、1点目が支払いのところをどうしているかという点と、あと生保、損保、共済の情報交換制度のつなぎがどうかと、この2点というふうに認識しましたが、それでよろしいですか。

生命保険金支払時点のチェックとしては、先ほどの発表の際、最後にちょっと申し上げましたが、請求を頂きますときに診断書等をとりまして、その中でこういう事故が起こったということが分かりますので、不審なものがあれば現地調査をかけたり、他社と情報交換をしたり、あるいは保険金が加入直後に発生しているような不審なケースも調査をかけることといたしております。あるいは、警察から照会があるようなケースも調査をかけ、各社とも情報交換をしながら適正に支払っていくという体制をとってございます。

それから、損保さんとの契約登録制度の情報交換制度のつなぎでございますが、ちょっとシステム上の問題がございまして、すぐにつなぐというわけにもいかないのですが、これはぜひ前向きに考えていきたいと考えてございます。共済さんにつきましては、実はJA共済さんは既に入ってございまして、今後、ほかの共済さんともしっかり話をしていきたいと考えてございます。

以上でございます。

○山下WG座長

柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員

まず深尾先生ご指摘の方向性につきましては、私どももそれは適切な指摘だと思いますので、それも踏まえまして検討を進めていきたいと考えております。

洲崎委員からの一定額の制限ということでございますけれども、これも未成年者よりは高い金額となると思いますけれども、一定の制限を設けるという方向で検討する必要があると認識しております。

また、原委員から出ました、今、松澤さんからもご回答がございましたけれども、生命保険とのリンクの問題ですけれども、システム対応など、いろいろ解決すべき問題がありまして、すぐに方向を申し上げることはできませんけれども、前向きに努力すべき課題と考えておりますので、前向きに取り組んでいきたいと考えております。

また、社内ルールにつきまして、定めたルールを実行できるのかということでございますけれども、これにつきましては、社内監査とか、いわゆる牽制制度も含めまして、決めたルールはしっかり守るということで実行してまいりたいと思いますので、ご信頼頂きたいと思います。

また、川本委員、高橋委員、ご指摘の点につきましては、我々業界としてもそれなり深く受けとめまして、そのご指摘も踏まえた上で運営してまいりたいと考えておりますので、ご理解頂きたいと思います。

以上でございます。

○山下WG座長

それでは、諏訪園室長、お願いします。

○諏訪園保険企画室長

共済との関係でございますけれども、先ほど松澤委員からもご説明がありましたが、金融庁としましても、共済所管官庁に、今日の保険WGの模様、ないし議論の状況についてもきちんとお伝えしていきたいと思っております。

それから、高橋委員から、私どもが本日提出しました資料について、ご質問がございました。

まず標題の「未成年者等」の「等」とは何かということでございますが、これはなお書きの部分と関わってきますけれども、被保険者の同意を取得していない保険契約、つまり未成年者でなくても、大人の場合でその同意を得ずに入っている、典型的には配偶者の場合などが想定されるわけですけれども、それについても含まれるということで、「等」を入れてございます。

それから「社内規則等」の「等」とは何かということでございますが、次のページをおめくり頂きまして、2つ書いてございますが、保険業法施行規則第53条の7というのがございます。その下のほうに「・・・に関する社内規則等(社内規則その他これに準ずるものをいう。)」ということで、少し広くとった形で「等」ということで規定しているもので、今回の府令改正は、これを倣って文言を作成したいと考えているという現状でございます。

それから「被保険者が契約者と異なる死亡保険契約について」という点ですけれども、親が契約者となって子供が被保険者となるケースということを想定して、書いたものでございます。子供が契約者で、かつ被保険者となる場合、例えば自ら働いて収入を得て、保険料を払って契約を結んで被保険者となる場合には、今回のケースとは違うと思います。いずれにしても、どういうふうに府令を規定するかについては厳密な精査も必要なので、文言については、具体的にそのときに改めて考えていきたいと思いますが、実態としては、今回議論となった未成年者保護の観点からの子殺しのリスクということがターゲットになっていたので、このような文章の整理としております。

「同意を得られない未成年者」というのは、今回議論になったのは、15歳以上は一般に同意をとっているということであり、15歳未満のものというのを念頭に置いて書いた文章でございます。

「なお、被保険者の同意を取得していない保険契約についても、同様とする」の「同様」は、その下にあるマル1マル2といった内容の規則を定める際に、その対象には、大人の同意を取得しない場合も含まれるというものでございます。

以上、この資料についての説明でございます。

○山下WG座長

「被保険者が契約者と異なる死亡保険契約」と書いてあるのは、保険法の要綱案ではこういう形のルールになって、それを受けているんだろうと思います。

おっしゃるように、親が代理して契約しているんだけれども契約者の名義は子供という契約が当然考えられるので、その弊害は実質同じですから、同じルールにしなくちゃいけない。保険法のほうで細かいルールをつくるということになれば、当然そういうルールになるはずなんですが、あっちのほうは大原則だけしか規定しないということになって、こちらのほうも、今日のこの44-2ではそこまで細かいところまで反映していないと思いますが、監督的にチェックしていくという場合には、恐らく同じようなチェックの対象としないとおかしいと思います。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

まさにそうだと思いますので、ここで「被保険者が契約者と異なる死亡保険契約」というふうに今回書く意味は、私はないのではないかと。逆にこれがすり抜けに使われる可能性があるなというふうに読んだものですから。別に保険法の議論に引きずられる必要は私は全くないと思っておりますので、保険業法としてきちんと書いて頂きたいと思っています。

それから、「なお」のところの「同様とする」というのも、これも、やはり府令等にするときにはもっと細かくされるんでしょうが、先ほど未成年者の保険に関してかなり厳しく細かく、各業界さんがいろいろ対応しておられると思うんですが、じゃ、被保険者の同意を取得していない、つまり配偶者であっても同様とするというふうに読まれると、ものすごく厳しいことになるのかなと。それがいけないとか、いいとかではなくて、この「同様とする」というのにはちょっと違和感がございましたということです。すみません長くなって。

金融庁さんから、この間、事前説明をお伺いしたところでは、共済等はうちの管轄とは違うから協議等はしていないということだったんですが、ご報告をされるということですので、ご報告だけではなくて、一歩踏み込んで、やはり横の連携を省庁間でもとって頂きたいというふうに思っております。

○山下WG座長

ただいまご説明があった点で、洲崎委員、何かございますか。

○洲崎委員

金額制限を考えておられるということですが、具体的にどの程度のことを考えておられるのか。現在の実務というのは、例えば夫婦間であれば妻の同意なしに、妻が知らないうちに妻を被保険者として夫が海外旅行傷害保険額を掛ける、それも5,000万円を超えるような保険を掛けて、妻が死亡すれば、法定相続人として夫が保険金を受け取るということすら現在の実務では可能になっていて、個人的にはこのような実務は極めて異常だと思っています。それを、金額を多少引き下げるといっても、具体的に幾らまで引き下げて頂けるのかというのがわからないと、「被保険者の同意を取得していない保険契約についても、同様とする」とあっても、実際には同様とはならない可能性があるわけです。

それから、外国損害保険会社については、金額引下げは全く考えておられないということで、そうだとすると、やはり「同様とする」といっても結果的には同様にはならないと思いますので、私としてはその点を非常に危惧しております。

○山下WG座長

柄澤委員、何かございますか。

○柄澤委員

申し訳ございませんでした。

ざっくりとしたイメージを言いますと、一般的には、配偶者の場合ですと、1,000万円に対応すれば3,000万円程度が上限になるのかなと。それで、家族型保険の場合ですと、「その他家族」の2倍程度、ですから2,000万円程度を想定しているというところがイメージかなと思います。

以上です。

○山下WG座長

今、未成年の保険についてのご意見のほかに、成年のほうの意見交換もあったところですが、深尾委員、そのあたりいかがでしょうか。

○深尾委員

成年についても未成年と「同様とする」ということで、それを読んで1,000万円と思っていたんですけれども、そうでないということであれば、同様の内容をしっかり全部書いて頂く必要がある。

それからまた、これに従わない外国の保険会社があれば、それに対しては業務を停止するなりの何らかの対応をして頂く必要があると思います。これはそういう指導をするということで、それができないということであれば、それはそもそも日本のルールに従わないというのがおかしいと思います。

○山下WG座長

諏訪園室長、いかがでしょうか。

○諏訪園保険企画室長

「同様とする」という文章が不正確だったということで申し訳ございません。

ここで言っているのは、保険金の引受限度額とか、保険契約の引受けに関する社内規則等を定める、そして、社内規則等に基づいて業務が運営されるための十分な体制整備を求めるということです。同意を得ていない大人についてもそういう規定を盛り込むということを「同様とする」というふうに書いたつもりでございまして、先ほど申しましたように、個々の保険ごと、あるいは加入される被保険者ごとについて、どういう限度額を定めるかについては個々の会社で定めていくということでございますので、その金額については個々違っているということ。それは未成年でも、一般の場合と海外旅行の場合で違っていることと同じようなことでございます。

○山下WG座長

深尾委員、どうぞ。

○深尾委員

そうであれば、むしろ各社一律の監督のガイドラインを設けるべきだというふうに思います。

つまり、引受限度額を累計で1,000万円以下とするようなガイドラインを設けるべきであって、完全な自主規制にしておくのであれば、本当のしり抜けになるという意味で、賛成できかねます。

○山下WG座長

ただいままでの議論を伺っておりますと、今日提案のあった金融庁の対応案と各業界の対応案について、全部案のままで了承するということを、私のほうからご提案するのはちょっと難しいかなというふうに思います。

とりわけ、未成年の保険の部分については、海外旅行傷害保険の金額の問題などが、特にご異論が強かったように思います。

それから最後のほうで問題になりました成年のほうですね。これは、このワーキング・グループでテーマ設定をしたときに、最初からもっと強く掲げておけばよかったのですが、被保険者の同意を未成年の問題に限っていたような経緯もあって、必ずしも十分検討されてこなかったということがあるかと思います。今日のところでも、業界のご提示頂いた金額については、まだこれでは賛成できないというご意見も有力にあったように思います。

しかし、この後の部会にワーキング・グループとして報告をしなければなりませんし、保険法の改正をこれから法律案にして国会へ提出する当たっても、それに対して保険監督のほうでどう対応するかという一応の方針は決めておかざるを得ないところでございます。

そこで、こういうことで今日の段階は処理させて頂けないかという私からのご提案ですが、このワーキング・グループの報告(案)は、未成年の死亡保険についての5ページのところは一応、この原案のとおり今日のところではご了解頂く。しかし、先ほど申しましたような未成年の海外旅行保険の問題であるとか、成年者の被保険者同意の問題など、なお完全にコンセンサスが得られていないという状況を踏まえまして、これは以前からも問題になっておりましたように保険料積立金や保険募集の問題について、今後なお金融審議会としても何らかの形で検討していくということでございますので、そういう中の問題の一つとして、早急にそういう問題をなお引き続き検討するということをご了承頂いた上で、この報告(案)としては、この5ページの案のままご了承頂いてはいかがというのが私からのご提案でございますが、いかがでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

私は先ほど深尾委員がおっしゃいました、当局として何らかの金額を定めるべきであると、禁止しないなら、百歩譲って、そこに行きたいというふうに思っております。やはり業界の自主規制だけに任せるというのは、ここでこれだけ盛り上がって今まで議論したことが、あいまいになってしまうことであって、よろしくないのではないかというふうに思います。

やはりコンセンサスとしての大枠があって、その下で各社さんが、その大枠よりも下のところで、うちはこういう考え方を持っていますという、保険会社のモラルが問われる問題だというふうに思っております。この書きぶりでいくと、各社さえ自主的にやればいいと。やることを決めさせるのが行政だという書きぶりなんですけれども、それには納得できないというふうに申し上げたいと思います。

○諏訪園保険企画室長

その点について、法制審でも保険ワーキング・グループでも保険法なのか保険業法なのか、法律で定めるべきなのか、法律で規律することは難しいのではないか、いろいろな議論がございました。法制審も含めるとかなり長い間この議論がそれぞれの場で行われてきたわけでございます。

そういう中で、いろいろな商品がある、いろいろなニーズもある、それから契約者と保険会社のいろいろな関係で決まってくることもある。そういうものを法令の中で規律して、一つ一つの保険商品に着目して、あるいは被保険者がどうということに着目して規制をかけるのは難しいというところまで、大体昨年末から濃密に議論を重ねて、ワーキング・グループでもおおむねそういう意見ではなかったかと思います。前回、私どもは金融庁としてルールを定め、業界でも自主ガイドラインを設定をお願いし、それを踏まえて、各社でのきちんとした対応をお願いしたいということを申し上げて、それについてはおおむねご理解が得られたという前提のもとで、今回、それを具体化するよう、それぞれに努力してきたというところでございますので、そこに振り出しに戻ってというのは、なかなか難しい問題ではなかろうかと思っております。

○山下WG座長

そういう経緯もあるので、まずは業界のほうの自主ガイドラインのあり方を、さらに、今日の案でいいのかというあたりも検討するということではいかがでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

前回も申し上げましたけれども、前回の段階で、今日のような自主ガイドラインを出して頂ければ、議論はもう少し前に進んだというふうに思うんですけれども、業界がどういうものをつくるのかもよくわからず、金融庁がどこまで踏み込むのかもわからず、そういう形で今回決めることにコンセンサスがあったというふうには私は理解しておりませんでした。理解が浅いのかもしれませんが。

また、昨年の段階で自主規制でやることを、みんなの合意したというふうにも思っていません。少なくとも私は自主規制でやってくださいとお願いした覚えは一切ありませんし、自主規制でできるものなら、具体的な提案をというところまでの話だったかと。前回、今日の案が出て、そしてもう一回議論すれば、みんなのコンセンサスが得られたのではないかというふうに思っております。

○山下WG座長

まさにそういうことなので、自主規制の内容をまず検討するということですが、今日はじめて案が具体的に出たので、ここで結論を、それがいいとか悪いとか出せないということはおっしゃるとおりだと思うので、そのあたりをなお引き続き検討するということかと思います。

深尾委員、どうぞ。

○深尾委員

先ほどどの程度の金額に設定するか、立法的に、あるいは法律なりルールで縛るのは難しいとおっしゃいましたけれども、なぜ難しいのか理解できません。

と言いますのは、保険に入ってその上で子供を殺す、あるいは配偶者を殺すということをやって、そのときの飛び上がり金額が1,000万円を超えれば、それはチェックするというような形で、モラルリスクの金額は定量的に計算できるはずでございますから、それができないというのは、金融庁としてどうしてそれができないのか教えて頂ければというふうに思います。

○諏訪園保険企画室長

実際、先ほどのご説明の中でも未成年者について、1,000万円についてもいろいろな幅のあるコメントがあったかと思います。

定量的に幾らの保険金額であれば子殺しの発生確率がどれぐらいかというのを計算することは、なかなか困難なことだと思いますし、また保険の態様によっても、先ほど言いましたように団体保険や賠償保険の場合はモラルリスクが低いのではないかといった議論もさせて頂きましたけれども、それは保険種別によっても個々違ってくると思いますので、それを一つの切り口で法令で上限を画するというのは、実務上、技術上もなかなか難しいのではないかと思います。

○山下WG座長

深尾委員、どうぞ。

○深尾委員

それは知恵がなさ過ぎるんだと思います。要は、モラルリスクは計算できるはずでして、つまり保険に入って、例えば一時払いの養老保険であっても同じことでして、一時払いの場合でも、確かに金額は大きくなりますが、400万円払って、直後に1,000万円出るのであれば、それは600万円ゲインが出るわけです。そういう意味で、計算できないことはないわけで、損害のカバーであれば、損害の逸失利益に対してその逸失額を補てんするという形にすれば、モラルリスクは起きないわけです。ですから、保険金額で上限を設定しようとしたら無理がありますけれども、支払い金額と受け取り金額のギャップの推定値からすればできるはずであって、それができないというのは、デリバティブなんかまで規制されている金融庁としては、ちょっと信じられないことだと思います。

○山下WG座長

諏訪園室長、いかがですか。

○諏訪園保険企画室長

補足いたします。

つまり、金額だけがすべてではないということでございまして、金額も重要な要素だと思いますけれども、モラルリスクを防ぐためには、加入の際のいろいろなチェック、それから先ほども委員からさまざまなご質問がありましたけれども、支払い時にどういう対応していくかということや、いろいろなものが組み合わさってどれぐらいモラルリスクを防止できるかということでございますので、そういったものとの相関において、金額も恐らく動き得るのでないかと思います。

仮に、それが計算し得るとしても、そういう変動要素もあって、また、それを一義的に客観的な尺度で統一された基準が今あるのかというと、ないというのが現状だと理解しております。

いずれにしましても、本日さまざまご指摘を頂きましたので、何ができるかについては、金融庁としても検討してまいりたいと思います。

○山下WG座長

というふうなことで、法令といってもいろいろなレベルがあるわけで、保険業法、それから施行令、施行規則、それから監督指針等いろいろあるわけです。そういう広い意味のものも考えられますので、そこら辺で何かできるのかどうか。その前提として自主ガイドライン等の自主規制が、今日出されたもので、なおどういう問題を含むかとか、もうちょっと改善できないのかとか、そのあたりの検討を包括的に引き続きしていくという含みでもって、この5ページの案ということでご了承頂けませんでしょうか。それもだめということでしょうか。

よろしゅうございましょうか。いろいろなご不満はあろうかと思いますし、問題先送りということなのかもしれませんが、やはり今日のところは決着がつかないということは確認して、ただ報告としてはこの原案で、含みとしては、先ほど申し上げたようなことだということにさせて頂ければと思います。

金丸委員、どうぞ。

○金丸委員

随分後味の悪い気がしております。今日、何かどうしてもここまで進めなければいけないというようなことが、もっと寛容に考えれば、あるいは慎重に考えれば、特に今日は、ある段階での割とフリーなディスカッションがあったぐらいで、私はいいんじゃないかなと思うんです。それは座長の役目もわかった上で、今日何か決めようとしたほうが後世、先ほど子殺しが減らないんじゃないかという因果関係についても、またよくわからないというご意見がありましたけれども、いつか何かそんなことが新聞で出てきたときに、今日いらっしゃる、私も含めて、非常に気まずい思いをするんじゃないかなと思っております。

私自身は個人的には禁止するという意見でございましたけれども、今日、自主規制の案が出て、皆さん、ご納得もしていらっしゃいませんので、ですから特に今日もし何か決めるというのであれば、何か少ないことが決まったということにして頂きたいと思います。

○山下WG座長

まさにそのとおりでございまして、今日ご議論頂いた点については、決まらなかったということでございます。

ただし、先ほど申しましたように、法務省の保険法の改正というのを進めていく上で、それに密接に関係する保険業法のほうの対応というものについては、ここの審議会で一応対応策を決定していかないといけないということがございます。それがこのWGの報告(案)ということになっておりますので、今日の段階では、文章としてはこれをご了承頂くということをお願いしたいと思います。

ただし、この未成年者の保険の部分については、注に出ている成年の部分についても、まだ実質的な内容についてはご了承頂かなかったので、引き続き検討するという、実質的にはそういうまとめかと思いますが、そういうことでご了承頂けませんでしょうか。

山手委員、どうぞ。

○山手委員

申し訳ありません、ここのところ何度か、こういう機会に欠席しておりまして、一言意見を申し上げてよろしいでしょうか。

私は職業が公認会計士でございまして、そういった観点から今回ご提案になった、結論としては、私はこれに賛成をいたす立場でございますが、そのときに上限を設けるということ、これは一つの抑止効果があると思いますけれども、一方で、モラルリスクのところでございますので、いわゆる保険会社の引受審査における審査能力というんですか、真実を見抜く目というものが、しっかり維持されていく必要があるというふうに思っていますけれども、その観点で、実質の審査能力ということと数値基準というものの関係について、会計士の立場で思うところがあります。

これは大分前になりますけれども、専門的でちょっと申し訳ないんですけれども、連結財務諸表の作成というときに、その連結に含める子会社の範囲というものについて数値基準を設けられていたことがあります。いわゆる10%ルールといいますが、これは連結の売上高、あるいは総資産、あるいは利益の10%に満たない場合には、連結に含めないことができるといった指針でございました。

このルールは非常に客観性もあり、画一的な運用ができるので、実務上は一定のメリットがあったことは事実でありますが、その反面、これは企業の財務諸表の作成側、それから、さらに公認会計士の側、監査をしていく側の実質、実態の判定能力というのは、私は公認会計士の立場で見ますと、著しく低下してしまったという面があったと思います。

今、重要性のこの数値基準というのはなくなっておりますので、連結の範囲の妥当性に関する会計士の判断は、すべて実態を見て判断していかなきゃいけないということになっておりますが、一言申し上げたいと思っていますのは、この数値基準というものが設定された場合に、必ずその反面で起こってくる実質審査能力の低下のリスクということがあります。

先ほど、ご説明の中で、上限値を設けますけれども、それにかかわらず、いろいろな措置を講じて審査能力を維持していかれるといったご説明が業界のほうからございましたけれども、私はそれをお聞きしまして少し安心しました。ぜひ、そういうふうな形でやっていかれるのであればして頂く必要がありますが、ただ、申し上げていますのは、数値基準をひとたび設けたときに、確実にそういうようなリスクが出てくるんだということは、私は自らの経験として持っておりますので、そこは今後の取り組みの中で、ぜひご考慮頂いた上で対応して頂ければと思います。

○山下WG座長

そのような問題点も含めて、なお引き続きご検討頂くと、そういうことにさせて頂きたいと思いますが、よろしゅうございますか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

今、審査能力のお話が出ましたけれども、保険業界は不払い問題があったので、要求されたらなるべく払いましょうという体制になっていることも、この未成年者の保険のときに我々は考慮しなければいけないと思います。そういう議論を今までやらずに、今日ここでいっぱい吹き出しているということが大変困ったことだなというふうに、私は感じております。

また、今日、案を示して頂いたわけなんですけれども、金額の制限をどう設けるのかというのは、まさにいろいろなやり方があると思うんです。ですから、例えば葬式代程度という意見も非常にたくさん出ていた中で、200万円とか300万円を超えるものに関しては、例えばそれでも入ることに関しては、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらうとか、いろいろな案も、今まで保険法の議論でも出ていたと思うんです。そうした話をここの場で、みんなで考えていくようなことであったら、後味が悪いものにならないのではないかなと思っています。

今、出されたものを承認するかしないかと言われたら、いきなり出されてもできませんというお話ではないかと思いますので、柔軟にこの問題を考えていくというふうにして頂けたらと思います。

○山下WG座長

そのような検討をするということかと思います。

砂田委員、どうぞ。

○砂田委員

未成年者の死亡保険について大きく議論が分かれています。商品は既に販売されていますので、保険会社としては到底無にすることは出来ないところだと思いますが、本当に未成年者の死亡保険が必要でしょうか、ニーズがあるでしょうか、私は必要がないと考えています。

○山下WG座長

深尾委員、どうぞ。

○深尾委員

私も単純な数字を置くということの危険性というのは、今、山手委員がおっしゃったとおりだと思います。ただ、同時に、何らかのチェックをかけないと、これまたずるずると大きくなってというのも事実だと思います。

そういう意味では、保険金額で1,000万円というやり方をしますと、まさにそういう問題が起きてきて、いろいろな会社で入る、共済で入る、あるいは生命保険で入る、損害保険で入る、こういう問題が出てきます。この意味で、全体として実質的に幾ら以上もうかるようなタイプの保険は売ってはいけない、こういうだろうと思います。ですから、最後のところで実質が大事というのはそのとおりでありまして、ただ、そのときに全体を足した、しかもその場合の飛び上がりをどうチェックするか。それは当然、多分飛び上がりがないと保険にはならないわけでありますので、それについても引受けもしっかりやって頂くというのは、当然だと思います。

ただ、そういう点も含めて、これから再度議論していくということであれば、この内容で承認することに賛成します。

○山下WG座長

なおご意見があろうかと思いますけれども、もう私の不手際で大量の時間的な超過をしておりますので、ここらでまとめたいと思いますが、先ほど私がご提案したような、5ページの未成年者の死亡保険についてはなお引き続き検討するという含みでもって、報告書としてはこの5ページを今日ご了承頂くと、それで第二部会へご報告するということで、ご了承頂けますでしょうか。

(「はい」の声あり)

○山下WG座長

どうもありがとうございます。そのようにさせて頂きます。

そうすると、ほかの部分があって、これは一応、前回私にご一任頂いていたので、若干の修文がございましたが、その点を含めて、この報告(案)全体について、このワーキング・グループとしてご了承頂いたということで、第二部会へご報告してよろしゅうございましょうか。

(「はい」の声あり)

○山下WG座長

それではありがとうございます。そのようにさせて頂きます。

それでは、大変申し訳ございません、司会役の不手際で大幅に予定の時間を超過しましたが、これをもちまして、保険ワーキング・グループは終了とさせて頂きます。

【金融審第二部会・保険WG合同会合】

1.保険法改正への対応について(とりまとめに向けた議論)

○岩原部会長

それでは、引き続きまして、第二部会・保険ワーキング・グループの合同会合を開催いたします。

本日は第二部会の神田委員、今松委員、國部委員、田川委員、堀内委員がご欠席でございます。保険ワーキング・グループの委員の皆様は全員ご出席頂いております、ご欠席の委員はおられません。

また法制審議会保険法部会の事務局でもあります法務省民事局の萩本民事法制管理官にもご出席頂いております。

それでは、お手元の議事次第に沿いまして、ご議論を頂きたいと思います。

本日の議事の進め方でございますが、保険と信託の2つのテーマがございます。まず、保険関係につきまして、保険法改正への対応についての保険の基本問題に関するワーキング・グループからの報告につきまして事務局より説明して頂き、また、山下座長からコメントを頂いた上で、皆様にご審議を頂きたいと思います。

その後、信託に関する審議に移らせて頂きたいと思っておりますが、信託に関する審議に入ります前に、いったん若干の休憩をとって頂き、その際に信託ワーキング・グループの委員にもご出席頂くようにしたいと考えております。休憩後、平成16年改正後の信託業法の施行状況についてご審議を頂きたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

それでは、事務局、よろしくお願いいたします。

○諏訪園保険企画室長

それでは、報告書について説明させて頂きます。

先ほど来、保険ワーキングのほうで、未成年のところについての議論が中心に行われましたけれども、それ以外の全体像の経緯について、簡単に補足してご説明したいと思います。

お手元の報告(案)にございますように、この第二部会保険の基本問題に関するワーキング・グループでは、法務省の法制審議会保険法部会における商法に規定する保険(保険法)の改正にかかる検討を受けて、保険業法の分野における対応について、審議を行ってきたところでございます。具体的には、昨年夏の中間試案の公表後、保険業法に関係する論点について、計7回にわたり審議を重ねてまいりました。また、審議に際しては保険業法等に基づく、保険会社に対する監督・規制のあり方にどのような影響があり得るか、保険会社に対する監督・規制という観点から、保険法改正に際して示された論点や選択肢についてどう評価するかという観点から検討を行ったところでございます。

それでは、具体的な報告(案)について読み上げさせて頂きたいと思います。

○事務局読上者

それでは、報告(案)について読み上げさせて頂きます。


金融審議会金融分科会第二部会 保険の基本問題に関するワーキング・グループ報告(案)~保険法改正への対応について~

I .はじめに

金融審議会金融分科会第二部会・保険の基本問題に関するワーキング・グループ(以下、「保険WG」)は、法務省法制審議会保険法部会(以下、「法制審議会」)における商法第二編第十章に規定する保険(以下、「保険法」)改正にかかる検討を受けて、保険業法の分野における対応について審議を行った。

具体的には、「保険法の見直しに関する中間試案」(平成19年8月9日)の公表後、保険業法に関係しうる主な論点について、並行して行われた法制審議会における審議状況を踏まえつつ、計7回にわたり審議を重ねてきた。

また、審議に際しては、(1)保険業法等に基づく保険会社に対する監督・規制のあり方にどのような影響がありうるか、(2)保険会社に対する監督・規制という観点から、保険法改正に際して示された論点や選択肢についてどう評価するか、という観点から検討を行った。

なお、法務省は、法制審議会における審議を踏まえ、「保険法改正要綱案」(平成20年1月16日)を提示したところである。

II .保険法改正への対応について

保険WGにおいて検討を行った論点のうち、「保険法改正要綱案」に提示され、実際に改正される方向とされた2つの論点について、保険業法の分野における基本的な考え方は、以下のとおり整理することが適当である。

(1)傷害・疾病保険契約に関する規定の創設

保険法においては、生命保険契約(第一分野)・損害保険契約(第二分野)に関する規定は設けられていたものの、傷害・疾病保険契約(いわゆる第三分野)に関する規定は設けられていなかった。このため、今回の保険法改正に際し、これまで保険法において規定がなかった第三分野の位置づけに関する規定を創設する方向となった。他方、保険業法においては、既に第三分野に関する規定が定められている。

しかしながら、以下の点で保険法と保険業法の間で、第三分野に関する規定に差異が生じることとなった。

  • マル1保険業法においては、傷害・疾病保険契約(定額給付方式・損害てん補方式)、傷害死亡給付契約を第三分野として規定し、疾病死亡給付契約を生命保険として規定している。

  • マル2保険法においては、傷害・疾病保険契約(定額給付方式)、傷害・疾病死亡給付契約を傷害疾病定額保険として新たに規定し、傷害・疾病保険契約(損害てん補方式)を損害保険契約として位置づけた上で傷害疾病損害保険として新たに規定した。

この点については、現行の保険業法上の保険種別の分類はおおむね定着しており、また、理論的にも契約の当事者間の民事ルールを規律する保険法と、保険契約者等の保護を図るために保険会社に対する監督・規制等を規律する保険業法との立法目的の差異を踏まえれば、両者が一致していなくとも問題は生じないものと考えられる。

(2)保険金支払

保険法においては、保険金の支払時期について、一定のルールが規定される方向となった。具体的には、マル1支払期限があるものはその期限後、ないものは請求を受けたときからという民法の規定に準じたものとし、マル2いずれも保険金支払いに関して合理的な調査期間経過後には支払い期限が到来する、という形の規定を置くこととされた。ただし、具体的な日数を定める形では規定しないこととされた。

保険業法においても、契約の種類、保険事故の内容やその態様、免責自由の内容等により、保険金の支払いのための調査に必要な期間が異なること等から、具体的な日数を定めることは困難であると考えられる。

なお、昨今の保険金支払漏れ等の問題にかんがみ、保険金支払いのあり方を見直すべきではないかとの意見もあり、保険金支払いのあり方については、引き続き検討を行うべきである。

III .その他の論点について

最終的に、「保険法改正要綱案」に含まれなかったものの、保険業法に関係しうる主な論点として当WGにおいて検討を行った6つの論点についても、基本的な考え方を以下のとおり整理することとする。

(1)保険の定義

法制審議会においては、現行の保険法に保険の定義が定められていないことから、保険法の適用範囲を明確化するために、保険の定義を定めるか否かについて検討が行われた。保険WGにおいても、保険の定義が定められていないことから、保険の定義を定めるべきか否かについて検討を行った。

この点については、仮に、保険の定義を狭く解し、例えば大数の法則や収支相等の原則を含めると、内容の悪い実質的な保険(例えば、保険を装った詐欺的商法等)について監視が行われなくなる可能性が考えられる。他方、保険の定義が広く解され、例えば、保険デリバティブのようなものが含まれた場合、これらについて保険会社しか販売できないといった問題が生ずる可能性も考えられる。

保険の定義を定めた場合のこうした問題点にかんがみれば、保険の定義を一義的に定めることは困難であると考えられる。法制審議会においても、結論として、保険法に保険の定義を定めないこととされたが、保険業法においてもこれを定めないことが適当と考えられる。

(2)生命保険契約における保険給付の内容としての現物給付

法制審議会においては、生命保険契約および定額の傷害疾病保険契約における金銭以外の給付(以下、「現物給付」)を保険法の適用対象とするか否かについて検討が行われた。この点については、保険契約者等の保護および保険会社に対する監督・規制等の観点を踏まえて判断することが適当である。

損害保険契約については、その性質上、現物にかかる損失の原状回復または再調達を可能とすることを目的とする、すなわち、損害をてん補するものであることから、現物給付が認められているものと考えられる。他方、生命保険契約については、人の死亡は損害回復が不可能であり、従来、「人の生死に関し一定額の保険金を支払う」(保険業法第2条)ものとされてきた。こうしたことを踏まえれば、そもそも生命保険契約に現物給付はなじみにくいところがあると考えられる。

また、生命保険契約における現物給付には、保険契約者等の保護の観点から以下の懸念が生じうる。

  • 現物給付については、その将来の適切な履行・質の保証に対する懸念があることから、契約者の保護に欠けるおそれがある。
  • 現物給付と金銭給付を選択できない場合、保険会社・保険契約者等がともに価格変動リスクにさらされる。
  • 現物給付と金銭給付の選択制とした場合、契約者は価格下落のリスクの負担を免れるが、更なるプレミアム(=オプション料に相当)が保険料に上乗せされる。また、こうした長期契約におけるオプション料は算出が困難であり、高額なものとなりかねない。
    さらに、保険会社に対する監督・規制という観点からも以下の懸念が生じうる。
  • 現物には将来の価格変動があり、適切な保険料、責任準備金等の算定が困難。
  • 将来の現物価格変動時の負担を、保険会社と保険契約者等がどう負担するかについて、規律すべきか、契約に委ねるべきかという問題がある。
  • 現物給付にかかる継続的な役務提供などの履行確保を図るための監督手法にかかる検討が必要となる。

また、先進諸外国の保険制度においても、生命保険契約における現物給付制度はほとんど導入されていない。

こうした点にかんがみれば、保険業法においては、生命保険契約における現物給付は認めず、現行規制を維持することが適当である。保険法においても、結論としてこれを定めないことととされた。なお、定額給付方式の傷害疾病保険契約における現物給付についても、生命保険契約の場合と特段の差異を設ける理由は見当たらないことから、同様の取扱いとすることが適当である。

ただし、生命保険的な現物給付について、無規制のままにして良いのかという問題も指摘された。しかしながら、こうした現物給付商品については、一定の要件を満たすものについて、他法による業規制に服することもある。

この点については、今後、保険的な現物給付商品が数多く販売されるなどの状況の変化が生じた場合、改めて保険会社の業務のあり方について検討を行い、マル1保険業法上の規制を課すべきか、また、マル2引き続き保険会社本体での参入を認めないこととすべきか、について検討を行うことが適当である。

(3)未成年者の死亡保険について

法制審議会においては、被保険者による同意が親権者により行われる未成年者に対する死亡保険に関して、モラルリスクや必要性への疑問などから、制限を行うべきことについて検討が行われた。なお、結論としては保険法においては制限を行わないこととされた。保険WGにおいては、未成年者の死亡保険についてはモラルリスクが高いものがあるため、何らかの対応を図るべきであるとの意見が大勢であった。

こうした指摘を踏まえ、被保険者の同意を得ることができない未成年者に対する死亡保険のうち、モラルリスクの高いものについては、当局、業界、保険会社各社において効果的なモラルリスク対策を実施すべきである。

このため、当局においては、内閣府令等において、マル1保険会社の保険金の引受限度額及び保険契約の引受けに関する社内規則等を定めるよう求めるとともに、マル2当該社内規則等にもとづいて、業務が運営されるための十分な体制整備を構築することを求める旨のルールを定めることが考えられる。

業界においては、各社において適切な引受限度額を定め、引受体制を整備することを内容とする自主ガイドラインを策定することなどが考えられる。また、保険会社各社においては、内閣府令等や上記自主ガイドラインを踏まえ、引受限度額を引き下げるとともに引受管理体制を整備することなどが考えられる。

(4)保険料積立金等の支払

法制審議会においては、保険期間満了前に生命保険契約が終了した場合について、保険料積立金等の支払に関する一般的な規定を定める事について検討が行われた。特に解約返戻金については、その内容として解約時のペナルティーを控除することができない旨を明確化することが検討された。なお、結論としてはこれを定めないこととされた。

保険WGにおいては、この点に関し、保険料積立金にかかる規定整備、解約控除のあり方、無・低解約返戻金型保険商品のあり方、解約返戻金にかる開示のあり方、といった論点に分けて検討を行った。解約返戻金に関しては、規律の更なる明確化の観点から、解約控除の対象は保険料計算基礎に基づいたものに限る(いわゆる解約時のペナルティーは含まれない)という趣旨の規定を商品審査基準に明確化する方向で検討すべきであると考えられる。

なお、保険料積立金等の支払に関するこれらの論点は、技術的な要素を多く含むことから、今後、専門的・実務的視点も含めた更なる検討が行われるべきである。

(5)保険募集

法制審議会においては、保険募集に関する規定を保険法においても置くべきか、また、この場合、保険業法との整理をどう考えるかについて検討が行われたが、結論としては、保険において募集に関する規定を定めないこととされた。このため、保険法改正に伴う保険業法における対応は要しないものの、保険募集全般に関して幅広く議論すべきとの意見もあり、今後、保険募集のあり方については、引き続き検討が行われるべきである。

(6)損害保険関係者に対する先取特権

法制審議会においては、損害保険契約等について、保険者の財産に対する一般先取特権について定めを置くことについて検討が行われたが、結論としては、これを定めないこととされた。これまでの経緯にかんがみ、保険業法においても、現状、損害保険関係者に対する先取特権を定める特段の理由は見出せないものと考えられる。

以上。


○岩原部会長

どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして、山下委員から、保険の基本問題に関するワーキング・グループの座長としてのコメントを頂きたいと思います。

○山下WG座長

ただいま報告(案)をお読み頂いたとおりの内容でございまして、保険法の改正が直接保険業法等に関わってきそうな問題、特に、1ページの傷害・疾病保険契約にかかる規定の創設という部分については、保険法と保険業法は、違った基準で分類していいだろうということでこの報告書のような案になっておりますし、保険金支払いの部分についても、契約法上のルールは今回明確になりますが、業法においても、それは業法の観点から引き続き監督を行っていくということでよかろうということです。

ですから、直接的な保険法の改正との絡みでは、このあたりの問題があるけれども、保険業法のほうの対応として、特に大きなものは要らないだろうということでございます。

それよりも、むしろ実質的に問題になったのは先ほどからの未成年者の保険などの問題でございまして、これはやはり法務省の法制審議会の保険法部会でも契約者保護等のあり方で、非常にホットな議論が戦わされたところでございまして、例えば未成年者の死亡保険について言えば、これは保険業法のほうの守備範囲ではなくて、そもそも保険法のほうで何らかの制限をすべきではないかというあたりを盛んに議論したところですが、やはり立法の守備範囲としては、これは民事の基本法としての保険法にあまり具体的なことは書けないだろうということで、保険監督法のほうで対応してくださいということになったものでございまして、こちらがどう対応するかが、まだ今のところ意見が全部集約できていないというところかと思います。

同じように契約者保護上の問題があるのではないかということが問題になったのが、保険募集の問題でございますし、解約返戻金というような問題でございまして、これらについて、この報告の中にもございますように、やはり今後なお引き続き金融審議会の何らかの場で課題を検討していく必要があるだろうと、そういうまとめ方になっておりますので、むしろこの報告(案)は問題提起をいろいろしたというふうなことで受けとめて頂ければと思います。

それから、マスコミ等では、生命保険における現物給付について、さまざまな議論があったということは既に報道されているとおりでございますが、これも高齢化社会を迎えて、こういうものを認めていくということには、それなりにメリットがあるのではないという意見も有力でございましたが、しかし副作用もさまざまにあるのではないかということで、保険法の部会としても、こちらのワーキング・グループとしても、当面はこういうものを認めないという、あるいは規定を置かないという決定をしたわけでございますが、これについても何も立法等の措置をとらないと、何も問題が起きないかというと決してそうではありませんので、何か問題が出たら、早急に検討して頂くということになろうかと思っております。

以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

それでは、この保険法改正への対応につきまして、保険ワーキング・グループからのご報告を踏まえまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いしたいと思います。

原委員、どうぞ。

○原委員

保険法とこちらの業法の改正と並行して、大変な作業をご尽力ありがとうございました。2点、意見を申し上げたいと思います。

1点は、保険金支払、それから解約返戻金、それから保険募集のところが、「引き続き検討を行うべきである」という言葉でくくられておりますけれども、この「引き続き」が、いつからかということです。先ほどの議論を聞いておりまして、やはり早急に検討すべきだと思っております。それから、山下先生からは「何らかの場で」とおっしゃられたのですが、「何らかの場」というのは、保険ワーキング・グループでおやりになるということになるのかということ、ここはすべて大きな課題なので、ぜひ今日の場である程度具体的なお返事を頂きたいと思います。

それからもう1点は、やはり気になるのが、この未成年者の死亡保険についてです。2行目のところで、「必要性への疑問などから」と書かれていて、先ほど保険ワーキングで砂田委員からご発言があったとおりで、私はやはりこの商品は商品性そのものが問題だと考えています。これまでの議論の中でも、ニーズがあるというご意見が、事業者側委員から出ているのですが、私は本当にニーズがあるのかどうかというのは大変疑問に思っています。

確かに、徴兵保険などを見せて頂いて、子供に自分の老後を委ねるという時代での子供の死というのは大変大きいと思いますけれども、今、子供に自分の老後を委ねるという人は3%にすぎない。自分の老後に備える保険商品は非常に多様化して、世の中に存在しているわけで、こういった保険に私はニーズがあるとは思えない。

それから、子供が亡くなったら学資がかからなくなるので、これも大きなお金が要らなくなるのです。葬儀費用ぐらいはという発言も出ていますが、私の間近に見ていても、もう本当に半狂乱状態になられて、葬儀どころのことではないですね。

そういうことを考えると、私自身もこういったタイプの保険に入っておりましたけれども、商品が複合保険になっているので、どうしても抜けることができない。ですから、モラルリスクの観点が今回は非常にクローズアップされましたけれども、子供の学資保険は売れると。それに、死亡保障をくっつけている、こういった複合タイプの保険のあり方です。保険同士をくっつけるとか特約をつけるとか、私はこういった商品設計そのものが問題だと思っておりますので、ニーズがあるということであれば、シンプルにそこだけを切り分けた子供の死亡補償の保険をつくられて世の中に問うて頂きたい。そうすれば、シンプルな商品ですから、きっとリスク管理も、本当にこの人にこのニーズがあるのかどうかということを保険会社がチェックするということも可能になる思っておりますので、ぜひ、本当にニーズがあるのかどうかということは世の中に問うて頂きたいと思っております。

以上です。

○岩原部会長

今、「場」についてもご質問がありましたが、何か。

○諏訪園保険企画室長

申し訳ございません。どういう場にするのかについて、まだ決めていないところでございます。いろいろ準備もございますが、なるだけ委員のご指摘を踏まえまして、できる限り早い対応を心がけていきたいと思います。

○岩原部会長

ほかに何かございますでしょうか。

よろしいでしょうか。高橋委員。

○高橋委員

たびたび恐縮ですけれども、昨年9月からの検討で、業法で規定しないと決めたもの以外は、ほとんど継続検討になったわけなんですけれども、未成年者保護の立場から一言だけ申し上げます。

やはりモラルリスクを保険が内在するのは致し方がないことなんですけれども、犯罪を抑止するのが最大のこの場での目的でございますので、今日いろいろご発表がありました個社の自主対応であるとか、業界の契約内容の登録制度であるとか、支払い時のチェックであるとか、あるいは他業態の共済との申し合わせなど、これについてはペンディングにせず、引き続きスピーディーに対応を進めて頂きたいと思っています。

というのは、やはり簡単には子供に高額な保険は掛けられないんですよということ、そして、仮にいろいろな、まだ名寄せが不備な中で、複数加入で高額な保険を掛けられるとしても、簡単には支払われないということを、やはり世の中に浸透させる必要があると思うんです。ですから、保険に関わる方、今日はマスコミもいらっしゃっていますけれども、そういうふうな方面のことはしっかりやって頂きたいと思います。

もう一つだけつけ加えますと、今、原さんのご意見に触発されたんですけれども、今回JA共済さんの契約が非常に大きくて、子供を殺して7,000万円という事件もありましたけれども、JA共済をかつて取材している中でよく聞こえてきたことは、殺人でなくても受け取ると村八分になっちゃうので、実際には子供に掛けたとしても受け取れないということ。こども保険でもたくさん売り手のほうが死亡保障をつけても、実際に子供が死亡したときは、親が受け取らないケースもあるというふうに伺いました。まさに保険事業のあり方の問題であったりもするということも含めて、今後の検討を進めて頂きたいと思います。

○岩原部会長

ほかに何かございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、保険ワーキング・グループの報告の内容に関しましては、先ほどからも皆様議論をお聞き頂いていると思いまして、特に未成年者を被保険者とするなど、被保険者の同意が得られないタイプの保険についてご指摘があり、ご議論があったところでございます。そして、その点については、先ほど山下座長から総括して頂きましたように、今後なお検討することとされたわけでありましたので、そのような前提で本報告書をお認め頂くということをお願いできないでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原部会長

それでは、そういう前提で、この報告書を第二部会として承認させて頂きたいと思います。

この会議終了後に行われる記者会見の場におきまして、そのようなことを含めて、報告書について発表させて頂きたいと思います。どうもありがとうございます。

それでは、以上で保険に関する審議は終了となりますので、ここでいったんご休憩を頂きまして、休憩後に信託ワーキンググループの委員にもご出席頂いた上で審議を再開したいと思います。と申しましても、時間が非常に押しておりますので、大変恐縮ですが、52分から再開したいと思いますので、それまでに委員の方は席にお戻り頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

2.平成16年信託業法改正後の施行状況について(中間論点整理)

○岩原部会長

それでは審議を再開したいと思います。これからは信託関係の諸問題についてご議論を頂きたいと思います。

本日も、昨年来に信託に関するご審議を頂きましたときと同様、信託ワーキンググループの委員の方々、杉浦中央大学教授、新井筑波大学教授、日本弁護士連合会の赤沼弁護士、深山弁護士、日本司法書士会連合会の大貫司法書士、みずほ信託銀行・宇波部長にオブザーバーとして参加して頂いております。

信託から審議に加わられました皆様には、その前の保険の審議が長引きまして、大変お待ち頂きましたことを深くおわび申し上げます。

それでは、事務局に前回までの意見を踏まえました中間論点整理(案)を用意して頂いておりますので、まず読み上げて頂きたいと思います。その後で、中間論点整理(案)についてご審議頂きます。

○遠藤信用制度参事官

ご用意いたしました中間論点整理(案)でございますけれども、第二部会46-3という資料でございます。これは見て頂きますとおわかりになりますように、9ページにわたる資料でございまして、これを逐一読み上げておりますとかなり時間がかかってしまいますので、時間の関係もございますので私のほうから要点をかいつまんでご説明させて頂きたいと思います。既に、事前にこの案についてはお送りさせて頂いておりますので、一応お目通し頂いているという前提で議論を進めさせて頂ければと思っております。

まず、中間論点整理(案)、表紙をめくって頂きまして、大きく2つに分かれております。

1ページ目から3ページ目については、平成16年改正後の信託業法の施行状況についての議論でございます。それから4ページ目以降が福祉型の信託に関する検討ということでございます。

まず1ページ目から3ページ目の平成16年改正後の信託業法の施行状況でございますけれども、第1パラグラフ及び第2パラグラフは、今回のこの検討を行った位置づけについて書いているわけでございます。改正信託業法の附則に基づいて、この検討を行ったということでございます。

その後でございますけれども、まず1番、改正信託業法の施行の状況ということでございまして、これはご案内のように、改正信託業法は4つの柱がございました。この4つの柱それぞれに基づきまして、信託業法でどのような規定がなされたか、それに基づいてどのような施行が行われたかということについて、記述している部分でございます。

まず(1)受託可能財産の範囲の拡大。それから(2)信託業の担い手の拡大。1枚めくって頂きまして、2ページの下のほうが(3)信託サービスの利用者窓口の拡大。それから、1ページめくって頂きまして、(4)受益者保護のためのルール整備ということで、それぞれ新信託業法で手当てされた内容と、その後の施行状況について記述しております。

そういった記述を受けまして、最後3ページの下でございますけれども、施行状況についての検討でございますが、「以上のとおり、改正信託業法により、受託財産、信託業の担い手、信託サービスの利用者窓口の多様化・拡大が進み、同法は信託の活用に対するニーズに相当程度応えるものとなっているものと考える。また、信託の引受けにかかる行為準則やディスクロジャー制度により、顧客に対するより適切な情報提供がなされる等、同法は、受益者保護に資するものとなっていると考えられる」と結んでおります。

1枚めくって頂きまして、4ページ目以降が福祉型の信託に関する検討でございます。

第1パラグラフ及び第2パラグラフは先ほどと同じく、今回この福祉型の信託について検討するに至った趣旨が書かれております。

1.福祉型の信託に関する基本的考え方というところでございますけれども、これはそもそも福祉型の信託というものは一体概念として何なのかということについて、さまざまなご議論がありました。そういったご議論についてまとめたものでございます。

まず、(1)福祉型の信託の必要性ということでございますけれども、最初のラインの文章でございますけれども、福祉型の信託については、必ずしも大方の合意を得た法律的な定義があるわけではないということでございます。しかし、その企図するところは、金銭信託でありますとか、不動産の管理(処分)信託といった既存の信託業務を、高齢化社会における福祉という公共目的に役立てようとすると、そういった企てがまさに福祉型の信託という言葉にあらわれているのではないかという記述でございます。信託を活用した具体例として、次にマル1からマル4まで記述しているわけでございます。

こういった福祉型の信託について検討する際に、福祉型の信託の具体的な制度設計を議論する以前に、この福祉型の信託の検討に当たっての基本的視点ということをいろいろ定めておかなければいけないのではないかといったご議論がございました。

その基本的視点ということで、マル1からマル4まで掲げております。まずマル1でございますけれども、これは福祉型の信託というのは、単に信託業法の中だけの狭い議論ではなくて、高齢化社会における高齢者や障害者の生活設計をいかに支えるかという社会福祉政策全般の中でいかに位置づけるかという大きな議論ではないかといった内容でございます。

それからマル2は、福祉型の信託というのは、本来でしたら、家族や友人等が受託者となる、いわゆる民事信託の分野がまさに核になって、そこの分野に他の者が一定の報酬を得て、反復・継続して参入する場合の議論と考えられますが、我が国の場合は、民事信託そのものの利用が必ずしも活発ではないといったときに、この福祉型の信託の議論をどのように位置づけるかといった問題意識でございます。

それからマル3でございますけれども、マル2と共通するかもしれませんが、福祉型の信託は、高齢者等特定の個人を受益者とする信託でありますけれども、信託を公共目的に役立てようとする、そういった信託でございます。こういった信託を公共目的に役立てようとする点で公益信託と類似するということでございます。この公益信託については、その見直しの議論が今後行われる予定でございますし、この公益信託の見直しの議論の中では、既存の助成型に加えて、事業型の公益信託の導入の可否、あるいは新たな担い手としてのNPO、公共法人の参入可能性、あるいは福祉型の信託、あるいは公益信託に対して、信託業法の適用の可否といったものが論点になるかと考えられまして福祉型の信託の議論と共通する部分が多いため、両者の議論は十分に平仄のとれたものとする必要があるのではないかといった問題意識がございます。

それからマル4の問題意識というのは、この福祉型の信託の一つの具体例として、成年後見制度の補充、あるいは成年後見制度との適切な役割分担といった形で福祉型の信託が使われるのではないかということがあるわけでございますけれども、逆に、この福祉型の信託というものが使われることになって、裁判所の関与によって被後見人の保護を図ろうとした成年後見制度の潜脱が行われてしまうのではないかという懸念もあるので、この福祉型の信託と成年後見制度の役割分担について十分議論しなければならないといった基本的視点でございます。

以上、マル1からマル4についての基本的視点というのは、これは必ずしも一致した方向性、意見というのは見られなかったわけでございますけれども、こういった基本的視点、総論的な議論とともに、福祉型の信託の制度設計についても議論していかなければならないというのが5ページの下からでございます。

1枚めくって頂きまして6ページでございますけれども、(1)制度設計の基本ということでございます。この制度設計については、福祉型の信託という言葉で、どのようなニーズに応えていくのかということについて、いろいろ見方が分かれるわけでございますけれども、どのように見方が分かれるかということについて、この6ページで記述しております。

まず、受託者の役割ということでございますけれども、福祉型の信託の後見制度の補充としての信託だということを想定いたしますと、受託者は財産管理と身上監護の両方を行うことが求められるのではないかということでございますけれども、他方、受託者は成年後見制度や福祉の専門家等と役割分担を行い、財産の管理や運用に専念すべきではないかという対立する議論もあったかと認識しております。 信託財産の運用でございますけれども、信託の財産分離機能に重きを置けば、受託者は財産の管理のみを行うのではないかという議論があった一方、2つ目のポツでございますが、受益者の生活支援、金融資産等の長期の受託を念頭に置けば、受託者には必要に応じた信託財産の処分や一定の運用が求められるのではないか。

それから、それに関連しますけれども、収益性ということで、福祉型の信託における受託財産というのは必ずしも高額ではなくて、信託業務のみでは採算をとるのが困難ではないかという意見がある一方、高齢化社会における福祉型の信託といえども、収益を確保できるようなビジネスモデルも可能ではないかといった議論もございました。

それから、信託期間も、親亡き後問題を念頭に置けば、福祉型の信託というのは長期にわたるのではないかという考え方がある一方、福祉型の信託といえども、死後事務の処理等を前提にすれば、信託期間は比較的短期になるのではないかといった議論がございました。

こういった、どこにスポットライトを当てるか、どのニーズをとらえるかということについて、いろいろ意見が分かれるわけでございますけれども、これに関連いたしまして、 (2)福祉型の信託の担い手についても議論がございました。

7ページでございますけれども、ポツが上に4つ並んでおります。1行あきまして、その次にポツがございます。上の4つは同じ方向性を持った議論、その1行あいたポツ1つが、それに対立する議論、さらに1行あいたポツ1つが、その上の群とはちょっと違った今後の議論の方向性を示したような意見でございます。

上のポツ4つは、既存の信託系金融機関、信託会社というのは、大量・定型的処理の可能な業務を主に行ってきたものであって、受益者の個別的な対応を主とする福祉型の信託には十分対応できないのではないか。そうすると、福祉型の信託にだれが対応できるのかということに関しては、福祉事業や後見事業を行う公益法人、NPO法人、社会福祉法人等がふさわしいのではないか。あるいは高齢者・障害者の権利擁護の活動を行っている弁護士が福祉型の信託の受益者になることで、より一層きめ細かい支援ができるのではないかといった議論がございました。

それに対して、1行空いたポツ1つでございますけれども、福祉型の信託の中には、現行の信託業法の監督下に服している既存の信託兼営金融機関や信託会社が担うことが適当なものがあるのではないかといったことでございます。

そういった担い手としてだれがふさわしいのかという議論でございますけれども、今後議論していく上では、福祉型の信託のニーズというものに関してはいろいろあると。そういった福祉型の信託ということで、どのようなニーズに応えようとしているのかということを類型化する必要がある。その類型化した上で、類型化のそれぞれのパターンごとに、当該信託にふさわしい担い手というのを議論すべきではないかというのが最後のポツでございます。

(3)は福祉型の信託の担い手について、議論が区々分かれるところでございますけれども、それに対応した形で規律のあり方について論じております。まず、マル1は、規律の厳格性ということで、規律というのは、この福祉型の信託の担い手に関する規律はより厳しくするべきではないか。なぜならば、これは障害者でありますとか高齢者の財産管理に関わるものだからといった議論がある一方、これはやはり緩くしないと、福祉型の信託の担い手になり手がなくなってしまうといった議論もございました。

それから、マル2参入形態でございますけれども、8ページでございますが、福祉型の信託がまさに長期にわたる受託の継続性・安定性・健全性を確保するといったビジネスであるとすると、それはやはり法人が担うべきではないかといった議論が一つございました。それに対して、永続性や受託者としての責任の重さから、期間・内容などについて限定されるとしても、例えば弁護士等、一定の資格を有し、自律的監督に服する個人による受託を認めるべき分野があるのではないかといった議論もございました。

それから、マル3兼業規制でございますけれども、これは先ほど収益の部分で述べましたが、福祉型の信託が、それのみにおいては、必ずしも十分な収益を上げるビジネスではないということであれば、この兼業規制というものを少し緩めるべきではないかといった議論がある一方、やはり他人の財産を預かる以上は信託業務に専念するべきだといった意見の両論がございました。

マル4財産的基盤についても、この兼業規制と関連するかもしれませんけれども、他人の財産を預かる点で通常の信託の受託者と同様であり、一定の財産的基盤の確保が必要ではないかという議論がある一方、財産的基盤を高く求められると、そこになかなか参入できないのではないかといった議論がございました。

マル5監督についても、やはり同様でございますけれども、財産管理ということを念頭に置くのだったら、これは十分な監督に服さなければいけないのではないか、監督当局による監督が必要ではないかという議論がある一方、特にこれは弁護士の業界のほうから意見が出されておりましたけれども、弁護士受託の場合には、懲戒制度等も含めて弁護士自治により規律されるべきであるということで、弁護士会による監督体制を一層整備すれば、必ずしも監督当局による監督は不要ではないかといったご議論もございました。

マル6共同受託については、これは信託法で導入された職務分掌型共同受託が、この福祉型の信託に典型的に適用できるのではないかといったことについて書いています。

以上のような議論を踏まえまして、最後の今後の議論のあり方でございますけれども、「福祉型の信託については、その必要性、重要性を踏まえ、引き続きその検討を進めなければならない。その際、高齢化が進む我が国の社会状況における当該信託の位置付け、今後の我が国における民事信託の利用動向、さらには、今後見直しが検討される公益信託との整合性に留意しつつ、本論点整理で指摘した各論点について、議論を深めていくことが必要である」という形で結んでいます。

以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

大変要領よくご紹介頂きまして、ありがとうございます。

それでは、この中間論点整理(案)につきまして、ご意見を頂きたいと思います。いかがでございましょうか。

ご意見ございませんでしょうか。

特にないということでございましたら、保険と随分対照的でございますが、本日の審議を踏まえまして、この中間論点整理(案)を公表することとさせて頂きたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

それでは、小島委員。

○小島委員

この文章の整理は、中間報告としては、これで了解したいと思います。

最後のところ、今後のあり方、検討ということで、公益信託との整合性について、さらに検討を深めるということですが、検討の場というのは、どうお考えですか。今後というのは、いつごろというふうにお考えですか。

○岩原部会長

それでは、遠藤さん、お願いします。

○遠藤信用制度参事官

公益信託の議論は、法務省からも今日来られておりますけれども、近い将来に法制審議会で議論が始まるかと思います。

先ほどご紹介いたしましたように、公益信託の議論と福祉型の信託の議論は、かなり平仄を合わせなければいけない部分がございますので、そこは同じスピードでもって議論していかなければいけないのではないかと思っております。

内部で検討していきますけれども、公益信託について法制審議会の議論が始まれば、これは改めて金融審にお願いして、ご議論頂かなければいけないかと思っております。

○岩原部会長

よろしいでしょうか。

ほかに何か。和仁委員、お願いします。

○和仁委員

一つ伺いたいのは、これは信託業法の施行状況を見直せと言われたんですけれども、非常に時期が悪かったということです。去年の10月から施行の新信託法で、信託業法とどうなっているのかということなので、本当に信託法と信託業法がきちんとうまくマッチして動いているのかどうなのかというのは、今年の後半か来年か、その辺でもう一回見直したほうがいいんじゃないかなという気がします。

それから福祉型の信託に関する検討ですが、「信託にそんなに期待されても、できることはそんなにないんですよね」というネガティブなメッセージが、これで伝わるかということなんです。

というのは、信託で担えるところは信託で担うというのは、もちろん私は全然異存ありませんし、それはやらなくちゃいけないと考えますけれども、本当のことを言うと、私もここで伺ったことしか知りませんが、ドイツでやっているように国が正面に出てきて、ある程度受託者としての責任を担うというふうなやり方をやらないと、議員さんたちが考えておられるような高齢化社会に対応した信託の使い方というのはなかなかできないんじゃないでしょうか。あまり信託業法に期待されても、それは困るというメッセージがこれで伝わるでしょうか。

その辺は、いいことだし、信託でできることはどんどんやっていかなくちゃいけないんですけれども、もっと大きな問題があるんじゃないかなというのが、私はここで皆さんがいろいろプレゼンテーションして頂いたことを伺ったことの感想です。

以上です。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

○遠藤信用制度参事官

施行状況に関しては、和仁先生がおっしゃるように、やや早いかなというのは私も感じておりまして、ただ、これは附則にも書かれた話でございますので、その宿題はきちっと負わなければいけないということで、この3年以内の施行状況のチェックをしました。今後、また福祉型の信託について継続検討という中で、必要があれば、改めて施行状況について我々なりにまとめてご報告したいと思っております。

それから、今、和仁委員がおっしゃられた問題意識に関しては、先ほどご説明いたしました5ページのマル1の基本的視点に書いたつもりでございますけれども、これはネガティブなメッセージを外に出すべきかどうかということに関してもご議論が恐らく分かれたのではないかと思います。信託にあまり期待されても困るというような、和仁委員のご感触もあったでしょうし、いやいや、やはり福祉型の信託という形でかなり大きな役割を果たすことができるのだといったご議論もあるかと思いますので、そこら辺については、マル1に関してはどちらかのトーンを出すという形では書いておりません。ただ、社会福祉政策の一環としてやはり位置づけられて、そういった大きな議論もしなければいけないといったメッセージとしてマル1に書かせて頂いております。

○岩原部会長

新井参考人、どうぞ。

○新井参考人

新井ですが、和仁先生の話を聞いて発言する気になりました。一番最後のまとめのところですけれども、今後の議論を深めていくということについて、少しコメントをしたいと思います。

というのは、日弁連のPTのほうでNPOをつくろうという計画があり、司法書士会のほうでも公益法人を立ち上げるという議論があるわけです。ですから、そういう議論を、うまく政策論としてリードしていく必要があるわけです。それはまさに信託業法の問題ですので、やはりもう少し前向き、かつ積極的に対応すべきではないかと思います。

他方、2000年に導入された任意後見制度、これは成年後見の一部ですけれども、これの濫用がもう既に見られるんです。任意後見制度というのは相当重い制度で、裁判所なんかもきちっと関与している制度で、既に濫用が見られる。他方、新しい信託法は裁判所の一般的監督権もなければ、受託者の義務が任意法規化されているということで、両者を比べると、新信託法の受託者のほうの濫用の危険性が、私はより高いと思っているんです。

ですから、こういう状況の中で、業法の対応がはっきりしないと、新信託法を使って、高齢者や障害者向けの信託の濫用事例が見られるということが十分に考えられますので、やはり私はもうちょっと早目に、かつ前向きに対応して頂ければと思います。

それから、5ページに公益信託との平仄を合わせろという議論があるんですが、実は今度の法律の中で、公益信託というのは目的信託の中に位置づけるという議論になっているんです。この目的信託なるものが、本当に高齢者・障害者を受益者とする福祉型となじむかどうかというのは、十分慎重に検討して頂きたいと思います。

さらに、同じように成年後見と信託との平仄を合わせるという役割分担の議論もあります。ここは信託業法の議論の場だと思うんですが、そもそも新信託法を担当している法務省なり法制審議会が、本当に高齢者・障害者を対象とした信託をつくるべく、新信託法のスキームができているかについて今一度検討すべきではないかと思っています。その辺の議論も、他方できっちり深めて頂きたいなと私としては考えております。

以上です。

○岩原部会長

どうもありがとうございます。

ほかに何かご指摘頂くことはございますでしょうか。

よろしゅうございましょうか。

それでは、以上でこの信託に関する中間論点整理をご了承頂いたものとして、取り扱わせて頂きたいと存じます。

どうもありがとうございました。それでは近日中に、この中間論点整理として公表できるよう、作業を進めてまいります。本件につきましては、先ほど遠藤さんからお話がございましたように、引き続き時期をとらえて検討を進めていくことにしたいと思います。

これで、昨年来の当部会の審議事項についての議論は一段落したものと考えておりますが、今後、当部会として検討すべき事項については、若干の時間を頂きたいと存じております。具体的には、協同組織金融機関のあり方について、当部会として検討する必要があるものと思います。この点につきまして、事務局から説明を頂きたいと思います。

○遠藤信用制度参事官

資料の右肩に第二部会46-4と付番してありますA4の1枚紙をご覧頂きたいと思います。これは昨年、平成19年6月22日に閣議決定された文書でございまして、「規制改革推進のための3か年計画」ということでございます。ゴシック体のカタカナの「ク」の後に、「協同組織金融機関(信用金庫・信用組合)に関する法制の見直し」ということが書かれておりまして、これが平成19年度検討開始ということでございます。すなわち、この協同組織金融機関に対する法制の見直しについて、その検討を平成19年度に始めるといった形で、これがまさに宿題として閣議決定されたわけでございます。

その背景は、ここにいろいろと記述がございますけれども、第2パラグラフを見て頂きますと次のように書かれております。

「信用金庫・信用組合を含む協同組織金融機関の業務及び組織につき、その存立意義の視点からの検討は、平成2年7月13日付けの金融制度調査会・金融制度第一委員会作業部会報告「協同組織金融機関の業務及び組織のあり方について」を最後に、本格的な見直しは行われていない。それ以降、16年が経過し、その間、協同組織金融機関をめぐる環境は大きく変化している。そこで、協同組織金融機関(信用金庫・信用組合)が果たすべき今日的な役割を踏まえ、その業務及び組織の在り方につき、総合的な視点から見直しを検討する必要があると考えられる」ということでございまして、私どもの問題意識もまさにこういうことでございますので、ぜひ、この検討を金融審の第二部会の枠組みの中でご検討頂ければと考えております。

○岩原部会長

ありがとうございます。

この協同組織金融をめぐる問題につきましては、相当幅広く専門性の高い議論が必要と考えられますので、協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループを設置し、そこでご議論頂くこととしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原部会長

それでは、そのようにさせて頂きたいと思います。

このワーキング・グループの座長につきましては、先ほど事務局よりご紹介のございました、規制改革・民間開放推進会議の競争政策・法務・金融ワーキング・グループにおいて主査をされておられた、この問題にお詳しい東京大学の神田教授にお願いすることを考えております。その他、人選等、詳細につきましては、私にご一任頂きたいと思いますが、ご了承頂けますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原部会長

どうもありがとうございます。

それでは、この後、事務局の方及び山下保険WG座長と私とで記者会見を行いまして、本日の会合の模様等につきまして、簡単にご紹介をさせて頂くことにしたいと思っております。

最後に事務局のほうからご連絡がございましたら、お願い申し上げます。

○遠藤信用制度参事官

特に事務的なご連絡はございません。本日は長い時間にわたりまして、保険法改正への対応及び信託関係の諸問題につきましてご議論頂きまして、大変ありがとうございました。事務局として御礼申し上げます。

引き続き本年もよろしくお願いしたいと思います。

○岩原部会長

それでは、以上をもちまして、本日の会合を終了させて頂きます。どうも長時間ありがとうございました。

以上

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