金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」(第6回)議事録

1. 日時:平成20年7月4日(金曜日)16時00分~18時10分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○神田WG座長

それでは、定刻になりましたので、協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループの第6回目の会合を開催させて頂きます。

委員の皆様方におかれましては、いつもお忙しいところを、また、今日は大変暑いんですけれども、あまり勉強に適さない時間帯かとは思いますが、このワーキング・グループにご参加頂きまして、大変ありがとうございます。

まず、議事に先立ちまして、当ワーキング・グループの事務局のほうに、本日付だと思うんですけれども、異動がございましたので、事務局からご紹介を頂きます。よろしくお願いいたします。

○遠藤検査局総務課長

本日、7月4日付で事務局メンバーに異動がございましたので、ご紹介いたします。

前総務企画局長の三國谷が、監督局長に異動になりました。新たに、総務企画局長に就任いたしました内藤でございます。

○内藤総務企画局長

内藤でございます。よろしくお願いします。

○遠藤検査局総務課長

前信用制度参事官でございました、私、遠藤でございますけれども、検査局総務課長に転任いたしました。遠藤でございます。ありがとうございました。

私の後任で参りました信用制度参事官の小野でございます。

○小野信用制度参事官

小野でございます。よろしくお願いいたします。

○遠藤検査局総務課長

さらに、財務省大臣官房信用機構課長の神崎でございます。

○神崎財務省大臣官房信用機構課長

神崎でございます。よろしくお願いします。

○遠藤検査局総務課長

もう1人、財務省大臣官房機構業務室長の鵜田でございます。ちょっと、今、席を外しているようでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。それでは、本日の議事に移らせて頂きます。

本日は、まず中小企業経営者の方に、借り手としてのお立場から協同組織金融機関を見てこられたこれまでのご経験を踏まえたお話をお伺いします。それを踏まえて、自由にご議論を頂きたいと思います。

その後になりますけれども、全国信用金庫協会及び信金中央金庫から、協同組織金融機関のあり方についてのご意見をちょうだいいたします。これらを踏まえて、さらに議論を深めるということにさせて頂きたいと思います。

今日、ゲスト、参考人としておいで頂いている方々をご紹介させて頂きます。

まず、愛知県中小企業団体中央会の副会長であられる岩田宗雄様でございます。

○岩田参考人

岩田でございます。よろしくお願いいたします。

○神田WG座長

それから、全国信用金庫協会から、広島信用金庫の理事長の髙木一之様でございます。

○髙木参考人

髙木でございます。よろしくお願いいたします。

○神田WG座長

それから、常務理事の小此木良之様です。

○小此木参考人

よろしくお願いいたします。

○神田WG座長

信金中央金庫の専務理事であられる服部順一様です。

○服部参考人

服部でございます。よろしくお願いいたします。

○神田WG座長

どうもお忙しいところ、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入りたいんですが、ちょっとその前に事務局から、前回の会合において、神吉委員からお話がございました地区の件につきまして説明して頂きますので、よろしくお願いいたします。

○渡邉協同組織金融室長

それでは、神田座長からお話のありました件です。

資料の6-1をつけてございます。幾つか整理させて頂きました。

まず、「地区外における支店の設置」ということでございます。この点については、法令に書いてあるわけではございませんけれども、一番下の行でありますが、「指導監督上の措置」といたしまして、上に戻りますが、「信用金庫・信用組合は、地区を限定された会員の相互扶助のために設立される協同組織金融機関であるとの趣旨から、会員・組合員へのサービスのために設置される支店についても、地区内に設置されている」ということでございます。

それからもう一つ、「事後地区外」ということで、これは、念頭にあるのは住宅ローン利用者の方が引っ越されたということでございます。

この点については、「信用金庫の会員・信用組合の組合員の地区外転居による法定脱退事由」、要するに、地区からいなくなるわけですから、そうした場合の「既存の貸付けについては、個々にやむを得ない事情もあることから、一括弁済を求めていない」というのが実態でございます。地区外に移転した場合、員外貸付に該当しない限りは認められないんですが、貸付けの住宅ローンなどの場合には、預金よりも借入額が大きいものですから、員外貸付に当たらないということでございますが、実態としては、個々にやむを得ない事情もあるということで、一括弁済を求めていないということでございます。

それから、3番目の「シンジケートローン」の件でございますけれども、「「地区」外の企業は、信用金庫・信用組合の「会員・組合員」ではないことから、法令上、そのような企業に対するシンジケートローンへの参加は、「員外貸付」に該当しない限り、認められない」ということでございます。「すなわち、会員・組合員以外の者であっても、次に掲げるような場合においては、貸付け等の総額の20%の範囲内において、貸付けを行うことが認められている」ということで、その条件といたしましては、「預金等を担保とする貸付け」、それから「大規模事業者となったことにより脱退した者への一定期間の貸付け」、これはいわゆる「卒業生金融」と言われているものです。それから、「会員・組合員以外の者で会員・組合員たる資格を有する者に対する貸付け」、そういうような場合が員外貸付でございまして、それに該当しない場合には認められないということでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今のご説明について、もしご質問等があれば、ちょっとだけ時間をとりたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

では、また必要に応じて後でご発言頂ければと思いますので、先へ進ませて頂きます。

それでは、参考人の皆様からお話を頂きたいと思います。まず、岩田副会長から、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○岩田参考人

ご紹介頂きました、愛知県中小企業団体中央会で現在、副会長兼金融委員長をやっております岩田でございます。よろしくお願いいたします。

自己紹介という形でございますが、私は、自分自身は印刷業でございまして、過去におきまして副理事長と理事長を、合わせて20年も続けてしまったというようなことでございます。その間現在に至るまで、中小企業団体中央会の理事、副会長ということを続けておりまして、本年70歳でございますので、今年度をもって、来年5月にはすべて卒業ということでございまして、何か最後の場になったということでございます。

今申し上げましたように、業界のことを主にやってまいっておりますので、金融に関しましては、県の制度金融、あるいは中小企業のための政府系の金融、こういうことに対して、そちら様との付き合いが非常に多かったということでございます。どうしても中小企業の場合は商工中金あるいは中小企業金融公庫、全体としてはそういう付き合いが非常に多くなっております。愛知県中央会には、現在、1,350組合が在籍しております。規模は大から小までございまして、それぞれの金融機関と接触しておりますが、そうした中からとってみますと、商工中金さんとの付き合いが多い業界及び組合になっております。

現在、愛知県の状況でございますが、経産省の局長が赴任されますと、あるいは、日銀の支店長が新任で来られますと、最初に発言されるのは、「私は、日本一元気のある県に来て大変喜んでおります」ということを常々おっしゃるわけでございますが、愛知県もこのところご多分に漏れず不況でございまして、お手元に、大変小さくて申しわけございませんが、本年5月のDIの数字が書いてございます。

2008年5月では、やはり製造業マイナス63.5というような数字が出ております。非製造業においても、51.6というような状況でございまして、これはやはり昨年来の原油及び原材料の価格の高騰、あるいは、また別の建築基準法の改正によりまして、確認申請が非常に遅れたというようなことがございまして、景気が悪いのが続いているということでございます。

ご存じのように、原油、原材料というものにつきましては、すべての産業に影響するわけでございますし、建築確認申請の遅れというのは、建築に関するそれぞれの内装から衛生器具から、すべて影響してくるわけでございまして、全体的に不況が、今、浸透しているという状況でございます。本年5月の調査によりましても、やはり原油、原材料の高騰ということで収益の悪化を挙げているのが、回答22件中12件、非製造業におきましては33件中19件というような状況でございまして、だんだん元気のない県になりつつあるというのが現状でございます。これが自己紹介と、それから県下におきます中小企業の現況でございます。

本日の主題でございます、我々中小企業と信用金庫との関係及びそれに対する意見でございますが、この協同組織金融機関というようなことにつきまして、今さら私が浅い知恵でもってお話ししても意味はございませんので、私が業界の仕事をやる前に、自己の企業におきまして、どういう形で金融機関さんとお付き合いをしたかということでございます。そのときに感じたことが、現在までつながっているということをご報告したいと思っております。

私は、第2次オイルショックの後に、名古屋市内から郡部に工場移転をいたしました。そのときに移転先にありましたのが、一信用金庫の支店でございまして、相互銀行、あるいは大きな銀行の支店もございませんでした。ですから、信用金庫さんの支店でお世話になることになったわけであります。

私も、私の父もそうでございましたが、そのころの考え方というのは、大きな銀行があって、それから相互銀行があって、信金があって、信用組合があると。信用組合とのつながりはございませんけれども、そうなってくると、何か銀行の格付のような形で、うちは信用金庫しか付き合えないのかというようなことも、よく言われたことがございます。

けれども、オイルショックのころで大変不況でございまして、そのときに、やはり一番親身になっていろいろと相談に乗り、また長い目でお付き合いをして頂いたのが信用金庫さんであります。名古屋から郡部に移転するときに、やはり今でいう第二地銀さんとのお付き合いもありましたけれども、移転と同時に大変冷たくなってきたということでございます。そして、いろいろなことを乗り切りながらやったわけでございます。

信金さんのよいところは、我々も、そのころ不況でございますので、設備投資はしませんが、運転資金に対して貸付けをしてくださるわけでございます。今までの銀行は、「設備資金なら貸すけれども」ということを言われるわけでございますが、信用金庫さんは、我々中小の規模に合わせて運転資金で面倒を見てくださるということでした。今日意見陳述のために、昔お付き合いがありました信用金庫さんに行って伺いました。やはり運転資金への融資のほうが設備資金よりも多いというのは、現在も続いているということでございます。そうしたことで、月々のその企業の資金需要に応じてお金が動くというやり方でございます。

また、地域という問題もございますので、やはりそれぞれの支店のお店の方々と、非常に付き合いができるようになってきまして、長い付き合いで双方がいろいろなことをよく知り合えるようになってきたというのも、自分の企業規模に合わせて、信用金庫さんとの付き合いがよいものであるというように思っております。

その後でございますが、また名古屋市内のほうに戻ることになりまして、1つ、金融の面でも信用金庫さんから卒業というようなことになってきまして、名古屋のほうに戻るとなったら、そのころには私どもの企業も業績がよくなっておりましたが、メジャーの銀行、東海銀行というのは名古屋から名前が消えたわけでございますけれども、それに伴いまして、第二地銀、あるいは周辺の地銀さんから非常に攻勢をかけられまして、大変うまい話をみんな持ってくるわけですね。

けれども、2回目がつながらないんです。ですから、1回使用というような形で来ておるわけで、つくづく思ったことは、自分の企業の力をつけていかなければならないということでございました。

そうしたことで、信用金庫さんは、やはり地元にありまして、それぞれの会員の方々の企業のために尽くしていらっしゃいます。これは、理事長以下、親身になって、皆さんがおやり頂いているということでございまして、信用金庫のために自分の身の保全のためにやっているんだというような態度は、私の付き合いました信用金庫にはございません。皆さん、地元のために、そして自分の信用金庫も、大きな破綻が来ないように、そういうことはないということで、一生懸命やっていらっしゃいます。

それで、信用金庫に対するお目付はどうなのかということですが、顔の見える付き合いということをよく言われます。その逆はどうなのかということで理事長の顔が見えるかということであります。信用金庫でも規模が大きくなりますと、なかなかそうした意見が通じなくなってくるわけでございますけれども、規模の小さい信用金庫さんですと、理事会の理事も、内部からの理事さんと、それから外部からの員外さんの理事がございますけれども、理事会を開かなくても、常時、理事会をやっているような、顔を付き合わせてやっていらっしゃいますので、そうしたところからお互いによいものが出てくる。理事長独断・独裁というようなことが、そこからは生じないわけでございます。

また、我々一般から、幾ら小さな信用金庫でも、1万以上の企業及び個人がございますので、総会は開けません。ですから、総代会という形で開くわけでございますけれども、では、その総代はどうやって決めていくのかということでございますが、私の付き合った信用金庫におきましては、理事長以下、青年経営者と申しますか、次の世代を承継していく若者、この方々を集めて青年経営者会というのを、各支店から全部合同で、一緒に集めてやるわけですね。

そうした中から、次の総代さんとなっていく方々、やはり3年ごとに切り替わっていくわけでございますけれども、新しい方に移していくときには、やはり今現在やっていらっしゃる先代の方―先代と申しますか、若い方からいえば先代になりますけれども、その方を、事業を承継していくと同時に総代も承継していくということで、日常、経営研究会あるいは交流会などで接する機会が非常に多いわけでございます。そのときに、信用金庫さんは、理事長以下出席されまして、その都度、信用金庫の現状などをお話されるわけでございますが、非常に良いつながりがそこでできてくるわけでございます。そうしたやり方で行っております。

ですから、総代を決めるのも、理事会で総代選任の委員を決めるわけでございまして、そこで総代を決めて、各支店に報告して、異議申立てを聞くということでございます。ですから、総代会を開く前に、いろいろな資料の説明なども前もってございます。また、その当日においても質問は受けてもらえますので、そうしたガバナンスの問題、あるいはコンプライアンスの問題、そうしたものも非常に意思の疎通が図られておるわけでございます。

ですから、信用金庫さんは、それぞれのお店の規模があまり大きくなると、かえって地域のためなのか、あるいは預金者のためなのか、そういうところが薄れていくのではないかと思っております。中小企業のため、地元のためということであれば、あまり規模を大きくせずに、それで地道につながりを持ってやって頂けることを、続けて頂きたいと思っております。業績を上げなければならないために、いろいろな投資をされて落ち込んだところもあるようでございますけれども、やはりこういう時期でございますから、信用金庫さんは資金の運用も大変難しい状況でございますがやはり国債、あるいは県・市債、そういうもの、あるいは、今おられますここの信金中金さんのほうに預金をいたしまして運用していくというような地道な形をとっていくということが続いていけば、私は、この信用金庫というものは今後も存続して頂くことが、中小あるいは個人企業のために大変必要なものであるということを思っております。

ですから、銀行と同じようにして、規模の大小だけを取り上げていきますと、何の中小企業のことなのかということになってしまいます。やはり、中小・個人に対しましては、銀行はいいときはいいのですが、すぐ手のひらを返します。信金さんは、自分も一生懸命生きていかなければいけませんので、その点で非常によいつながりが持てるということで、ぜひこの制度は、他の金融機関とは違うんだということでお続け頂きたいと思います。

先ほど建築確認申請の遅れということでございましたけれども、そのためには、やはり信用金庫が音頭をとりまして信用保証をつけて、それで受注の遅れ、それから工期の遅れ等で資金が回転しなくなったときに、それに見合った融資の方法を理事長以下が考えて、大変効果を上げたということで、それを今、ほかの業界にも、原材料費の高騰、あるいはそれ以外の外部の要因に対して、大変不況に立っているところに、今、そういう手をのべております。

もっと具体的に話をできればよいわけでございますが、限られた時間でございます。今の信用金庫さん、信用金庫のために信用金庫があるのではなくて、やはり中小企業のためにやっていることが、おのずと自分の信用金庫の内情にもつながっていくという形で、やはり信用金庫さんが、貸したるや面倒見たるというようなことになったら、普通の銀行と何ら変わらなくなってきて、いつ放り出されるかわからなくなってくるわけでございまして、やはり地域の中小企業のためには、現在の信用金庫さん、これが続いていくことを期待して、私の意見とさせて頂きます。

ありがとうございました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、委員の皆様方から、ご質問、ご意見がありましたらお出し頂きたいと思いますけれども、いかがでしょうか。吉野先生、どうぞ。

○吉野委員

前回のときに、この信用金庫の理事会とか総会というのが、うまくワークしているところとしていないところがあるのではないかということがあったのですが、今日のお話ですと、非常にうまくワークしているということなんですが、それは中におられる方がよいのか、それともその組織がよいのか、どういうふうに、まず1つ、お考えになっていらっしゃるか、それが第1番目です。

それから2番目は、地方銀行さんと信用金庫さんの違いで、やはり地元に関して情報がたくさんあるので、それぞれの企業の方を長く見て貸し出すことができるのか。やはり何か違いがありませんと、貸し倒れになってしまいますから、その2点を、印象で結構ですけれども、お聞きしたいんです。

○岩田参考人

今の総代会等、理事会等が円滑に動いているという話でございますが、これは中の方々もよいわけですし、やはりその総代になっていく人たちを長い目で育てているということで、また、育てている方がその地域に対して、優良といえばそうかもわかりませんが、そういう方々になってきて、その方々がまた、「おれは総代なんだよ」ということの雰囲気はございません。

総代会の議決は、1人1票しかございませんので、そうしたことで、日常の付き合いでもってスムーズにいっているということにつながっています。そのためには何かというと、やはり信用金庫の現状、それから将来というものを、絶えずそうした会員の集まりの中で流していくということ、また、会員も、理事、理事長と接触するときに、自分の意見としていつも気楽に申し上げられる雰囲気というのが、ずっと続けているということだと思っております。

また、銀行と何だったですかね。

○吉野委員

銀行と信金さんで何か違いがなければ、やはり地域の方を長期に見るということはできないと思うんですけれども。

○岩田参考人

情報量の違いというのもございますけれども、信金さんの場合はその地域と、規模が大きい、小さいということは抜きかもわかりませんけれども、やはりおのずとそれがあると思いますので、そうしたことの情報だと思います。

銀行は、全体としての中小企業でも、規模の大きいところの動きは把握しているようでございますけれども、やはり個々の業種になってくると、それは乏しいものもございます。それで、付き合いが銀行の場合は、各支店の貸付けにしても支店長にしても、交代が早いんですよね。交代してしまいますと、何か途切れてしまうんですよ。

信金の場合は、人材も少ない、支店も少ない。ですから、異動も少ないですね。これがよい面悪い面が出るかもわかりませんが、癒着とかいろいろなものが出るかもわかりませんが、それがなくてつながっているということですから、また、そういう方々の会員の紹介で、新しい会員あるいは融資先というものが出てくると、信金といたしましても安心ではないですか。そんな付き合いができるのが信用金庫だというふうに思っています。

私も昔―今回はセーフティーネット保証で、印刷業は不況業種指定が受けられなかった。ということは、アンケートをとりましたら、そんなに下がっていないんです。ですから、アンケートをとるということは、よい数字しか出てきませんので、申請してもだめになってしまうわけですね。

今日も、中小企業庁の方がいらっしゃっていますけれども、前回は特定業種指定を、一生懸命、鉛筆をなめながら―こんなことを言っては申しわけないですけれども、実情はそうなんです。そうしたら、今の信金さんで借りて、それで、その上の銀行が、それを返済に全部取っていってしまったと、そういうことがありますから、何のためのセーフティーネットだったかわからなかったことがありましたが、今回はそれが取れませんでしたが、そうしたことを平気でやるのが銀行だろうというふうに思っています。

大変失礼いたしました。

○神田WG座長

どうも、大変ありがとうございました。迫力のあるお話を伺いまして。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、渡邉委員。

○渡邉委員

岩田さんの今日のご発言は、本当に私にはわかりやすくて、私は中小企業の経営者として、今回、このワーキング・グループに参加させて頂いています。今まで本当に難しいお話で、私はとてもついていけませんで、「こういうことなんだ。ああ、信金さんというのはこういうことなんだ」ということが、今までよく勉強させて頂いて、わかったことが多いと思います。

先ほどもおっしゃっていらっしゃいますように、銀行、普通の都銀、地銀さんと、地元の信用金庫さんとの違いということなんですが、私も地元の信用金庫さんとのお付き合いは、何十年もさせて頂いております。

どこが違うのかとおっしゃいますけれども、結局、定期的に支店長自ら、私たちの企業に来てくださいます。先ほど、異動があまりないとおっしゃいましたけれども、大体3年ぐらいの割合で支店長は代わっていきますけれども、その3年の間に、支店長が、では何回ぐらい来てくださるかといいますと、相当の期間、来てくださいます。その間に、本当にたわいもないお話をしていってくださいます。でも、その他愛もないお話の中で、いろいろなことがわかってくることがあります。

例えば、私の会社なんですけれども、5年前に新築しました。でも、5年前、ですからその前、私は、会社を新築しようなどという考えは全くなかったんです。

ところが、そのときの支店長さんが時折来ては、「どうですか」というお話をしたときに、「ここがこうで困っているよ」とか、「駐車場が少なくなってしまって、どうなるだろうか」という、3年間の間のいろいろなお話の中で、「では、こうしたらいかがでしょうか」という案を持ってきてくださったんですね。それに私は開けたところがありまして、それで今現在、新しい会社を新築することができました。

こういうことは、やはり長い間、お付き合いがあって、それこそ「フェイス・トゥ・フェイス」ではないんですけれども、地道にいろいろなお話をして、個人的に意思疎通があって、初めてお話に乗っていけるものでありまして、私などは特に女性経営者で、経理など全くわからないところなものですから、やはりそういう信頼関係がそこにあって初めて、お金を借りるという段階に来られるわけなんです。

都銀さん、地銀さんの場合には、ご自分のご用事があるときだけ、「こんにちは」と来てくださいますけれども、では、こちらが用事があるときには、わざわざそちらまでお伺いに行かなければいけないような形になってくるわけです。私のお話で、それがおわかりになるかどうかはわかりませんけれども、そのぐらい信用金庫さんというのは、きめ細かにサービスをしてくださっています。一言、私の意見として述べさせて頂きました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。どうぞ、若松委員。

○若松委員

せっかくなので、岩田さんに伺いたいんですけれども、中小企業の借り手の立場から、親身になって長い目で付き合ってくれたのは信用金庫だと。運転資金の貸付けの問題とか、そういうメリットを非常に強調されたんですけれども、残念ながら、今後を考えると、今の委員の方のご発言にもちょっと関連してくると思うんですけれども、かなり地域経済も、さらに厳しくなってくることが予想されますし、中小企業を取り巻く環境も、さらに厳しくなっていくことが予想されると思います。

岩田さんの今までの長い信用金庫とのお付き合いから、今後、経営環境が厳しくなることが予想される中で、この信用金庫に、さらに今後を考えた場合に望みたいこととか、いわゆる借り手の立場から、現実的にこういうことを要望したいというようなことがあったら、ご参考までにお聞きできたらと思いますけれども。

○岩田参考人

私自身といたしましては、そういう環境がいろいろ変わろうが、信用金庫というのは従来どおりのものを今後も続けていくというところを持っています。今のようにいろいろ変わってきますと、それに対して信用金庫さんも変われということになってくると、これは銀行と何ら変わらなくなってきてしまって、そうすると、また信用金庫さんが、銀行の規模が小さいだけのことになってしまって、借り手の状況を聞いてくれなくなってきてしまうような感じでございます。

ですから、いろいろな経営情報だとか何かが必要でございますけれども、そのためには金庫内に外部のそうしたアドバイザーとか、そうした方を入れていく。また、企業に関しまして、自分がいろいろな経営アドバイスができない場合には、そうした団体がございます。私どもの中小企業の組合にも、そうした相談員もございますから、そうした方を使いながら、それぞれの企業、業種に応じた相談相手の場をつくってあげるというようなことで、信用金庫さんは今後も続けていって頂ければと思います。

大きな銀行になりますと、自分のところで総合研究所だとか何かを持っています。私の甥も、そういうところにいるんですけれども、「これは何のために考えているのかな」というようなことがよくございますので、やはり地についた、あるいは企業に身につくというようなもの、自分でできなければ、今言うように、そうした外部の力をかりながらやっていくということで続けていって頂くことを、今後、信金さんに望みます。

答えになりましたでしょうか。

○神田WG座長

よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。

それでは、とりあえず先へ進ませて頂いてもよろしゅうございますか。今日、岩田さんには最後までいて頂けるということですので、また後でのご質問やご意見にもお答え頂ければと思いますけれども。

ありがとうございます。それでは、先へ進ませて頂きます。次は、全国信用金庫協会と信金中央金庫からご意見をちょうだいしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○髙木参考人

広島信用金庫の理事長の髙木でございます。よろしくお願いいたします。

本日は、私どもの業界に対しまして、こうした意見陳述の場を設けて頂きましたこと、本当にありがとうございます。

本題に入ります前に、本日の意見陳述に当たっての基本的な考え方、スタンスを述べさせて頂きたいと思います。

私ども信用金庫は、中小・零細企業、地域住民等への安定した円滑な資金供給を通じて、我が国経済の発展を支えること、そして、金融機能に限らない多様な地域貢献活動を通じて、地域コミュニティを維持・発展させることが社会的使命と考え、現下の国の重要な政策課題でもあります中小企業、地域の再生・活性化に全力を傾注しているところでございます。

私どもは、今後とも、協同組織の特性を十分に生かしながら、地域の人と人、企業と企業の絆を紡ぐ相互扶助の地域金融機関として、持続可能な地域経済、地域のコミュニティづくりを目指し、国民各位から寄せられている負託に応えていきたいと考えております。

したがいまして、このような社会的使命遂行のために役立つ制度見直しについては、積極的かつ真摯に対応する所存でありますが、私どもの相互扶助、非営利の機能を弱めるような方向での議論に対しましては賛成できません。現在の協同組織による信用金庫制度は、基本的に堅持されるべきであると考えております。本日は、こうした考え方に立って、発言させて頂きたいと思います。

それでは、お手元の資料の表紙をめくって頂きたいと思います。本日の説明項目を、4点掲げております。

まず第1点目は、我が国経済における中小企業の位置づけについて再確認させて頂き、その上で、そうした中小企業の金融ニーズの実態と、信用金庫の役割について申し上げたいと思います。第2点目は、協同組織金融機関の存在意義についての考え方の整理であります。第3点目は、信用金庫が実際に今、どのような活動をしているのかについてお話をさせて頂き、最後に、ワーキング・グループの議論の中でこれまで出されている幾つかの論点について、業界としての考え方を申し述べたいと思います。

まず第1点目でございますが、中小企業の重要性と信用金庫ということでございます。

資料1ページは、私ども業界の基本計数ということで、説明は省略させて頂きたいと思います。我が国における中小企業の重要性に関して、議論の出発点ということで確認させて頂きたいと思います。

資料の2ページをご覧頂きたいと思います。

左のグラフは企業数ですけれども、我が国では、全企業数の99.7%が中小企業でございます。そのうち9割弱は、従業員20名以下の小規模企業で、全国に約380万社ございます。また、右のグラフで、中小企業は雇用者の約7割を創出しており、中小企業は、いわば我が国経済の活力の源泉と言えると思います。

しかしながら、中小企業を取り巻く経営環境は、最近の原油、原材料価格の高騰などの影響、加えまして、先行きの不透明感から、大変厳しい局面に立たされており、中小企業の再生・活性化は、現下の喫緊の政策課題となっております。

私ども信用金庫が、地域に密着した協同組織の金融機関として、中小企業に対する円滑な資金供給に最善を尽くすとともに、地公体、商工会議所、NPO法人等との連携を強化しつつ、中小企業を多面的に支援していることの意義は、極めて大きいものと考えております。

次に、中小企業の金融ニーズの実態を見ていきたいと思います。資料の3ページをご覧頂きたいと思います。

第4回のワーキングにおいて、家森委員から、中小企業の情報の非対象性についてのご指摘がございました。中小企業、とりわけ小規模企業に対する金融においては、額が小口で規模の経済が働きにくく、情報の非対称性が強いというご指摘は、まさにそのとおりでありまして、情報ギャップをどう埋め、円滑な資金供給を行うか、こういった点に、私どもは苦心しているところでございます。

平成14年9月の金融審議会答申、「中期的に展望した我が国金融システムの将来ビジョン」の中でも、中小企業や個人等を対象とするリテール金融においては、「長期的なリレーションシップを基礎にしたリスク管理が可能であると考えられることから、産業金融モデルが依然として有効性を失っていない」とされておりますのも、こうした実態への理解に基づくものと受けとめております。

次に、中小企業側のニーズについて申し上げますと、資料4ページに、今年度の「中小企業白書」から抜粋した図表を掲載しております。

中小企業が金融機関に求めているものは、金利水準等ももちろんありますが、圧倒的に安定した資金供給であることを示しております。言い換えますと、中小企業は、業況がよければ貸すが、悪くなればすぐに引き上げてしまう、そういった貸出ではなくて、安定した円滑な貸出を求めているということだと思います。

次に、資料5ページをご覧頂きたいと思います。

こうした金融ニーズに対して、私ども信用金庫が中小企業からどのように評価されているかをつかむために、全国信用金庫協会がアンケート調査を実施いたしております。その調査結果を、5ページにわたり掲載しております。

資料5ページに、属性等を掲載しておりますが、この調査は、昨年10月、東京商工リサーチに外部委託して実施したものです。この調査の特徴としては、従業員10人以下の規模の小さい企業、個人事業所のみを対象に、全国1万社に実施して、約1,100社から回答を頂いたものでございます。

まず、資料6ページをご覧頂きたいと思います。

従業員数10人以下の層に尋ねたところ、信用金庫と継続的に取引している割合が60.9%、そして、その7割に相当する43%が信用金庫をメインバンクとしているという結果であり、いずれも都銀、地銀、第二地銀の計数を大幅に上回っております。

次に、資料7ページをご覧ください。

ここでは、融資取引全般の感触を尋ねております。信用金庫とそれ以外の金融機関で差が顕著な項目は、一番上の行でありますが、まず「長年培ってきた信頼関係、コミュニケーションが融資交渉に生かされている」で16.3ポイントの差があり、続いて「柔軟な対応」、「対等な関係」などが続き、5番目には「必要とするだけの資金提供が受けられている」などが、他の金融機関を大きく上回っております。これは、4ページでご説明いたしました「中小企業白書」の内容とも整合的であると言えると思います。

次に、資料8ページをご覧頂きたいと思います。

信用金庫は、貴社の事業にとって「なくてはならない金融機関と思うか」という質問に対しまして、半数近くの小規模企業者、個人事業主から「思う」という回答を頂いております。また、このページの下段の表ですが、融資に関する競合があった場合、最終的にその金融機関を選択したのはなぜかと尋ねております。それによりますと、信用金庫の場合は「信頼関係」という回答が圧倒的であるのに対して、都銀、地銀では金利が大多数を占めているという違いが見られます。

信用金庫協会がこうした調査を実施したのは、今回が初めてでございます。改めてこうした評価を頂戴できたことは、将来に向かっての大きな自信につながるものであると感じております。

さて、これまでご説明してまいりました中小企業の重要性やその特性、それを踏まえた中小企業金融に対する信用金庫の役割等について、資料11ページに総括的に整理をいたしております。

規模が小さい企業ほど、「情報の非対称性が強い」、また、「財務体質が脆弱である」などの特性がございまして、規模の経済が働きにくい分野であると言えると思います。したがいまして、こうした層の金融ニーズは、営利目的と事業の効率性を重視する株式会社の銀行だけでは十分にカバーできないと考えます。

しかし、そうした企業こそが、我が国の経済の基盤を形成しており、私ども、相互扶助、非営利の協同組織金融機関である信用金庫が、安定的かつ円滑に資金を供給することにより支えていく役目を担っているというのが実態であります。信用金庫がこうした機能を発揮できるのは、資本の論理、すなわち出資比率と議決権をリンクさせ、1株当たり利益や資本効率、利益成長を重視する考え方に支配されない、「1人1票制」という協同組合原則に沿った組織運営にあると考えております。

私どもとしては、資本の論理が強まることは、相互扶助・非営利の協同組織性の利点が阻害される可能性が高いことを懸念しており、決して好ましいことではないというふうに考えております。

続きまして、第2点目として、協同組織金融機関の存在意義につきまして、幾つかの視点から意見を述べさせて頂きたいと思います。

資料12ページをご覧頂きたいと思います。市場経済下における私どもの使命について、まずお話をしたいと思います。

現在、我が国経済は、自由主義経済でありますから、基本的に競争原理に基づく市場経済型の枠組みでありますが、元よりこの市場経済型の枠組みは、経済の効率性、成長性を確保するためには有効な仕組みであるということは、もちろん理解しております。

しかしながら、一方において、市場の競争原理のみに委ねる政策は、投機的経済活動の活発化や一極集中化などを招き、経済が不安定化するとともに、地域経済の疲弊を進め、都市と地方の格差等、地域社会の持続可能性を困難なものにしているといった面があることもまた、事実であると思います。

したがいまして、市場経済下においては、こうした市場経済における行き過ぎを是正する協同組織の機能が、極めて重要と考えられます。信用金庫は、競争原理だけではカバーできない分野に対して、円滑な金融サービスを提供するよう努めており、それがまた、我々の使命であると考えております。

次に、資料13ページをご覧ください。

平成元年における金融制度調査会報告の抜粋でございます。この報告書の中で、中小企業、個人の分野において十分な金融サービスを確保するために、「対象の専門性」を有する信用金庫の存在意義は不変であるとの結論を頂いております。その後、金融自由化が急速に進展するとともに、バブルの崩壊や金融危機など、金融界では様々なことが起こったわけでありますが、私どもは一貫して中小企業に対する安定的な資金供給という使命の達成に努力してまいりました。

資料14ページをご覧ください。

平成19年4月、「金融審議会第2部会」のいわゆるポスト・リレバン報告書の抜粋がございます。ここでも、「協同組織金融機関に対しては、相互扶助・非営利といった特性をより一層生かした取組みを求めることが適当」とされ、また、「今後とも、小規模事業者を対象とする地域密着型金融の重要な担い手となることを期待」されております。これは、平成元年から約20年を経た今日においても、なお私ども信用金庫の地域、中小企業への役割に変化はないということであります。

さらに、経済学の分野においても、利益目的だけではない、異なる目的を持つ経済主体が存在することにより、経済システム全体が効率化し、社会的厚生が高まるという厚生経済学の学説が確立していると伺っております。こうした厚生経済学の考え方からも、協同組織、非営利の信用金庫の存在意義を裏づけることができるのではないかと考えております。

また、諸外国においても、歴史、経済、文化、制度などの違いはありますが、多くの国で協同組織金融機関が重要な役割を果たしております。第2回会合で、内田准教授から米国の報告がありましたが、その中で、市場原理の国とされる米国においても、数の上では協同組織金融機関のシェアが高いとのご説明がございました。  

こうした状況は、市場経済下において、協同組織金融機関が果たす役割、機能が極めて重要であることを示唆したものであり、協同組織金融機関の存在意義が、国を超えて普遍性を持って認知されていることの証であると考えております。

3点目といたしまして、私ども信用金庫が現在進行形で中小企業金融等にいかに取り組んでいるかでありますが、資料16ページには、地域密着型金融への取組みの成果について、また、資料17ページには、現在、業界が提唱しております「地域活性化しんきん運動」の一環としてのビジネス・マッチング、ビジネスフェアの広域的な開催事例について、さらに、資料18ページには、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会などの後援の下、20年度の全国統一的な事業として取り組んでおります商店街応援キャンペーンについて書いております。 

そして、資料19ページには、信金中央金庫が行っております地域振興支援コンサルティング等を紹介いたしております。

なお、別冊として、お手元に「地域活性化事例集」をお配りいたしております。これは、地域活性化に関する業界の活動事例の一部を取りまとめた冊子でございます。当広島信用金庫の事例も幾つか掲載されておりますが、一例をごく簡単に、説明させて頂きたいと思います。

事例集の93ページをご覧ください。

これは、私ども金庫の事例でありますが、タイトルに「創業・新事業育成支援への取組み」となっております。実は、私どもは、17年6月、3年前から、インキュベーションセンターを立ち上げました。要するに、地元の創業支援、スタートアップ企業の育成支援ということで、これはまさに協同組織金融機関の我々の役目の一つなんだということで、立ち上げました。ちょうど、私どもの男子寮を廃止するところでありましたので、この3階建てのビルをリニューアルいたしまして、インキュベーション施設に衣替えいたしました。もちろん、これは我々としては、とてもビジネスに乗る話ではありませんが、やはり協同組織の役目として、地域活性化の一助にしたいという思いで立ち上げました。

具体的には、15部屋、低コストのレンタルオフィスを設けております。この資料では、13室入っていると書いておりますが、今は満杯になっております。このオフィスに、セミナールームやミーティングルーム、応接室をつけておりまして、人的な支援として、私どもは、パートの女性ですけれども、受付に2人配置して、もう一つ、私どもの職員、中堅職員ですが、インキュベーションマネージャーを張りつけておりまして、いわゆる事業のサポートをさせて頂いております。初めて起業されるものですから、資金繰りのつくり方とか財務のこともわからないので、勉強会のお手伝いをしたり、場合によっては営業支援、ビジネス・マッチングのお手伝いをすることもあります。月に1回は、必ず個別ミーティングをして、事業の進捗状況を把握して、アドバイスする、こんな活動をして、今、3年たっているわけであります。その中で2社ぐらい、おもしろそうだなという企業が、今、順調に育ってきておりまして、私どもとしてはこういった中から、将来、広島で立派な企業が育って欲しいといった思いで、今、取組みを進めています。多くの信用金庫が、この冊子にもありますようにいろいろな活動をしております。ご参考になると思いますので、後ほどご覧頂ければ幸いです。

次に、信用金庫は、本業を通じた地域貢献のほかに、社会的、文化的な活動支援にも力を注いでおります。資料のほうに戻りまして、20ページから4ページにわたって、それらの一例として、特徴ある事例を幾つか掲げております。また、お手元に、「20年度の信用金庫社会貢献賞」受賞活動の冊子を配付いたしております。この顕彰制度は、地域の発展に貢献する信用金庫の真摯な姿、地道な取組みを顕彰し、地域との信頼関係を揺るぎないものにするために、平成9年度に創設したものであります。後ほどご覧頂ければと思います。

次に、資料24ページをご覧ください。

これは、地域貢献活動に関して、全国の信用金庫がどれぐらいの人手とお金をかけているかを、全国信用金庫協会が調査したものでございます。これらの地域貢献活動に携わった役職員の数は、平成19年度1年間で延べ33万人弱、こうした活動に要した費用は、約121億円に上ります。

すべての信用金庫の調査結果ではありませんので、実態より少なめに出ているかもしれませんが、いずれにいたしましても、利益のかなりの部分が、こうした活動を通じて地域に還元されているわけでございます。このような活動は、利潤最大化という行動原理では、到底、合理的に説明ができませんし、相互扶助・非営利の協同組織だから実践できることであると認識をいたしております。

それでは、第4点目といたしまして、これまでのワーキングにおいて取り上げられました幾つかの論点について、業界としての意見を述べさせて頂きたいと思います。

資料25ページをご覧頂きたいと思います。

まず、信用金庫のガバナンスについてですが、第1回目の本ワーキングで金融庁からご説明があったと思いますが、総代の選任や総代会の運営方法等は、基本的事項は信用金庫法で定められ、細則は定款に委ねるということで、会員の自治が基本となっております。会員自治が有効に機能するためには、会員に対し透明性を高めることが極めて重要であるという考え方に基づきまして、業界では平成15年度に総代会の仕組み、総代候補者の選考基準、選任方法、総代の使命、議決事項等をディスクローズすることを申し合わせております。

情報開示につきましても、資料26ページにあります業界申合わせに基づきまして、全金庫が半期開示を実施いたしております。さらに、地域貢献開示につきましても、資料27ページから29ページの業界申合わせに基づいて、半期開示を進めておるところでございます。

第5回ワーキングで、公認会計士の立場から、ディスクロージャーについて半期決算・開示が必要とのご意見を頂いております。私どもとしては、ガバナンスの強化、充実を図る観点から、実行可能な新たな施策や制度を導入することについては、業界の申合わせ事項のレベルアップも含めて、真摯に、かつ、前向きに検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

しかしながら、宮村委員からの、「理事の3分の2を職員でない会員・組合員にする」、「総代の選出方法を選挙とし、経営に対する重い責任を負わせる」などのご提案は、信用金庫の経営の独立性、安定性、専門性が阻害され、多様化・高度化する経営リスクに適切に対応し、経営の健全性を確保することは困難になると考えますことから、実行可能な現実的なものではないのではないか、と受けとめております。

次に、協同組織のガバナンスは、会員の声を反映した経営改善にいかに結びつけていくかが最も重要であるというふうに認識いたしております。

資料30ページをご覧頂きたいと思います。

右の表にありますように、各信用金庫は、会員の声を総代会や理事会運営に反映すべく、会員を対象としたアンケートや懇談会の実施など、地域の特性や実情に応じた多様な取組みを実践しているところでございます。

また、資料31ページにありますように、前述のアンケート調査結果では、会員の43.5%が「日常の業務活動を通じて、信用金庫経営について意見などを述べたことがある」と回答しており、信用金庫は様々なルートを通じて会員の声を聞き、会員の意見を真摯に受けとめ、業務改善等につなげているわけでございます。さらに、会員を代表する総代については、総代会とは別に懇談会等を開催して、ご意見を頂く機会としている信用金庫がほとんどであると認識いたしております。

こうした現状を踏まえた上で、信用金庫のガバナンスについて考える際には、株式会社と協同組織とでは、「経営理念、目的が全く異なっていること」、「地域が限定されており、地域を離れて生きていけない存在であるがゆえに、地域からの厳しい規律づけを受けていること」に留意する必要があると考えております。

したがいまして、協同組織金融機関としてのあるべきガバナンスは何なのか、その地域のニーズや特性等に合ったガバナンス向上策は何なのかという観点から検討すべきではないかと考えております。

私どもは、今後とも、地域・会員の声を聞き、さらなる経営の透明性確保に努力していく所存でございますが、本ワーキングにおける議論を踏まえ、改善すべき点があれば、積極的、前向きに取り組んでいきたいというふうに思っております。

次に、2つ目の論点として、信用金庫の事業地区について申し上げたいと思います。

資料32ページをご覧ください。

信用金庫が定款に定める地区は、いわゆる会員構成区域であり、信用金庫が協同組織金融機関としての組織を構成し、会員との紐帯を維持するための基盤であります。地域を会員組織の基盤とする信用金庫は、地域内資金循環を図ることが事業の基本であります。事業地区があって、会員が地区内に分布し、営業活動もその地区内で行われます。そういった実態があるからこそ、その地域内の情報を集積し、人的交流を密度濃く行うことによって、中小企業との信頼関係が醸成され、景気の波にとらわれず、中小企業や地域住民等に必要な資金をできる限り安定的に供給することができる、そういった相互関係にあると考えております。

したがいまして、信用金庫の地区制は、地域を基盤とする協同組織であるがゆえに守るべき規制であり、地域に対する安定かつ円滑な資金供給を確保し、中小企業の再生・活性化を図っていくために、今後も重要な意義を有するものと考えております。

ただ、一方で、金融環境の変化や地域経済の実情に即して、会員ニーズや利便性向上への対応を図るため、また、地域経済の低迷が続いた結果、信用金庫の経営に困難が生ずるおそれがある場合には、事業地区についても弾力的な運用が必要であると考えております。

もっとも、この点に関しましては、資料33ページに記載いたしました平成元年の金融制度調査会において既に結論が出されており、当局では、同調査会報告に基づき弾力的な運営が図られているものと認識いたしております。

したがいまして、現在の地区制によって、私どもの事業活動が阻害されているという状況にはありませんので、特に制度の見直しが必要であるとは、我々は考えておりません。

なお、第3回ワーキングにおいて、地区制度が信用金庫の競争を阻害しているのではないかとの問題提起が行われておりますが、実態と乖離した見方であると言わざるを得ないと思います。他の信用金庫と事業地区が重なっていない信用金庫は、全国に1つもございません。事業地区が2県以上にまたがっている信用金庫は、134金庫を数えております。

また、何よりも、銀行は利益が得られると思えば、いつでも信用金庫の営業地区内、地域内に進出し、その取引先層にアタックすることができます。

資料34ページに掲載しております今年度の「中小企業白書」の分析のとおり、ほとんどの地域金融機関が「中小企業向け貸出の競合は厳しい」という認識を示しているのが実態でございます。

また、都道府県ごと等、経済圏によって貸出金利に差があることは、地域の経済、産業構造や景気動向、さらには対象とする顧客層など、多くの要因が影響した結果でありまして、単に地域間の金利差をもって金融機関の競争状況を判断するのは適切でないと考えております。

次に、規模が大きな信用金庫は、協同組織性が希薄化しているのではないかという指摘もあったように思います。

しかしながら、規模の大きな信用金庫の多くは、「その地域の経済成長や経済規模を反映して徐々に大きくなってきた」か、あるいは「幾たびかの合併によって大きくなってきた」ものであります。

後者については、金融危機時に経営に問題のある信用金庫を救済する目的で、行政からの後押しもあって合併したケースも数多くあります。これらの信用金庫は、規模が大きくなってからも中小零細企業が取引先の大宗をしめており、フェイス・トゥ・フェイスの接触を通じ、地域密着型の金融を行うことにおいては、何ら変わりはございません。

資料36ページに、全国信用金庫協会「従業員規模別の融資実態に関する調査結果」を掲載いたしております。全金庫平均で見ますと、信用金庫の貸出先は、従業員数10人以下の層が約86%となっているのがおわかり頂けると思います。

次のページに、資金量1兆円以上の金庫と資金量3,000億円以下の金庫の調査結果を掲載しておりますが、いずれについても主たる取引層は、やはり従業員数10人以下の層でございまして、85%を超えております。

この調査結果から、規模が大きくなっても、対象の専門性や地区会員を基盤とする経営から逸脱することなく、小零細企業向けの融資に徹していることがおわかり頂けると思います。当金庫も、資金量が1兆円を超えておりますが、協同組織性が希薄化したとは全く考えておりませんし、他の信用金庫についても同様ではないかと思います。

次に、信用金庫と銀行の業務の同質化問題についてです。

信用金庫は、銀行等と競争関係にあるので、会員、利用者ニーズに応えるために、銀行と同様の金融商品、サービスを提供できるようにしていくことが当然の要請だというふうに考えております。

しかしながら、実際の業務として取り組む姿勢や力点の置き方は、小規模企業のニーズの大きさいかんによって大きく異なってまいります。

資料38ページに掲載しております平成元年の金融制度調査会報告に基づく規制緩和は、対象の専門性や地区制等の下で、協同組織金融機関についても会員ニーズに弾力的に対応できる選択肢を与えたものであり、業務の同質化とみなすべきではないというふうに理解いたしております。

次に、信用金庫の業務規制に関しまして、第1回ワーキングにおいて、信用金庫から多数の規制緩和要望が上がっているとの報告が金融庁からございましたが、これまでの要望で実現されたものもあり、現状、協同組織金融機関としての使命、役割を発揮していく上で、業務規制上、大きな支障になるものはないというふうに思います。多少、運用面で幾つかの要望がございます。具体的には、資料39ページ以降に記載させて頂いておりますが、本日は時間の関係もございますので、説明は省略させて頂きます。

最後に、中央機関のあり方について、一言申し上げます。

まず、諸外国の制度を参照するに当たっては、なぜそうした制度がとられているのか、それぞれの国の固有の事情、背景等を十分に踏まえ、深みのある議論が必要ではないかと考えております。

また、先般の農林中央金庫の報告では、「傘下の農協が信用事業のみを行っているわけではないこと」、「金融の高度化に伴い、経営者のプロ化の問題が出てきたこと」、「農業金融の縮小が著しいこと」から、農林中央金庫の役割が増してきたことなどがポイントであったと考えております。

信用金庫は、長年にわたって信用事業を専門に行っており、協調と連帯を図りながらも、高い独立性と経営力を維持しながら運営しているなど、いろいろな面で農業金融機関とは異なる環境にあります。中央機関のあり方については、各業態の実情や背景を十分に踏まえた上で、慎重なご議論をお願いしたいと考えております。  

以上、資料の最終ページ、43ページでございますが、冒頭で述べましたように、信用金庫は現在の協同組織による信用金庫制度の下、資本の論理ではなく、人の集合体としての特性を活かし、今後ともみずからの社会的使命として、国の重要な政策課題でもある中小企業の育成、再生、地域の活性化に貢献していく決意でございます。委員の皆様方には、何とぞご理解、ご支援を賜れば、大変に幸いであると存じます。

以上で私の説明を終わらせて頂きたいと思います。長時間にわたり、ありがとうございました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。それでは、信金中金のほうからのお話をお願いいたします。

○服部参考人

恐れ入ります。信金中央金庫の服部でございます。本日は、よろしくお願いいたしたいと思います。

相当時間も押しているようでございますので、なるべく簡単に説明させて頂きたいと思います。資料は、お手元の先ほどの続きの44ページからでございますが、駆け足の説明となると思いますけれども、あらかじめご了承頂きたいと思います。

信金中金の概要ということでございますが、前半が信金中金の体制ですとかビジネスモデルを簡単に整理しておりまして、後半が信金中金の役割ということで何点か記載しておりますで、よろしくお願いいたします。

まず、44ページでございますが、手前ども信金中金の総資産ですとか拠点数等を記載しております。ここで特徴を申し上げますと、28兆円という総資産を持っておりますが、運用資産の規模に照らしまして、極めて体制は少人数体制であるという点でございます。こうした体制になっておりますのは、右の信用金庫のほうの欄を見て頂きたいんですが、役職員数が11万人でリテール業務を行っております信用金庫と歴然と分かれているというあらわれでございまして、また、こうした体制で業務運営をやっておりますことから、今後においても、いわゆる選択と集中といったもので効率化経営をやっていくということが、強く求められております。

次に、45ページに参ります。

45ページは、信金中金の資金の調達とその運用について、流れ図を記載しております。信金中金は、ここにありますように全国の信用金庫から、総額19兆円という多額の預金をお預かりしておりまして、この表下段にありますが、金融債等を発行して調達した資金と合わせまして、約26兆円の資金を運用しております。それから得られた収益をもとに、信用金庫に対していろいろなサービスを行う、こういったものが信金中金のビジネスモデルであるということが言えると思います。

この図のポイントでございますけれども、全国の信用金庫の余裕資金、ここでいいますと預金から融資を引いたものと言えますでしょうけれども、112兆から62兆を引きますと、約50兆円ございますが、その19兆円、4割に近いものが、信金中金に預入されているということでございまして、この預入につきましては、信用金庫は任意で行ってございますが、この預入率は、漸次、増加傾向にあるということでございます。

この要因を、少し説明させていただきますと、2つほど挙げられるのかなと思っております。1つは、信金中金がこれまで信用金庫の運用ニーズに合わせて、いろいろ預金商品の多様化を図ってきたということかなと。

それからもう一つは、利便性ではないかというふうに思っております。実は、この預金金利は、市場金利を設定しております。市場に準じた商品ということになろうかと思いますが、実際に運用をやられた方はおわかりかと思いますが、信用金庫が直接市場で運用しようとなりますと、金額の多少ですとか、取引時間の制限ですとか、実際にはいろいろな制約が出てくる。

それから、手続も煩雑なものがございますので、我々の預金はそうした制約をできるだけ排除いたしまして、自由かつ簡便と申しますか、そういう状態で預入が可能になるようにしております。

ここにはございませんが、前々回のワーキング・グループにおきまして、農中さんからのJAバンクシステムにおきます中央機関への預入の義務化ということでご説明がございました。我々信用金庫業界においては、余裕資金の運用というのは、それぞれの信用金庫がそれぞれの運用調達状況と申しますか、そういうものを踏まえて自主的にいろいろなものを選択してもらうということでやっておりまして、信金中金はできるだけよい商品を提供して、幾らでも預金を受け入れるということでございます。

したがいまして、信金中金の預金を義務化するといった必要は感じておりません。私どもとしましても、今後もやはり信用金庫のニーズをいろいろ細かく把握しまして、商品性の見直しを図っていきたいと。そして、信用金庫が他の市場の商品と比較して、より利用しやすいものになるように努めていくのが役割かなというふうに思っております。

次に、46ページでございますが、ここは信金中金の資金の運用状況を簡単に取りまとめております。貸出及び有価証券でございますけれども、格付の高いものが大宗を占めております。これにつきましては、信金中金が中央機関として、特に健全性ですとか安定性を求められる事業体であるということで、安定収益を確保することが必要であるということが起因しているものでございます。

なお、ここにありますように、ここ数年はリスク分散の観点から、株式ですとか投信、それから外国証券などにも、投資を進めているという状況でございます。

次に、47ページに参りまして、これは信金中金の出資等の状況でございます。記載のとおり、マル1としてコアになる出資は、会員信用金庫からの普通出資、それと資本市場から調達しました優先出資がございます。割合は、ほぼ半々の割合でございます。優先出資は、ご案内のとおり、協同組織金融機関の自己資本充実のために法律で認められた制度でございますけれども、信金中金の発行しました優先出資については、平成12年10月に東証に上場しておりまして、そういう意味では、信用金庫だけでなくて広く一般の投資家に対しても、我々は経営責任を負っているということが言えるかと思います。

それから、その下の欄に、マル2の負債性資本ということでございますけれども、補完的な自己資本として、劣後ローンを記載のとおり調達しております。

次に、48ページでございます。

48ページ以降は、信金中金が信用金庫に対しまして、今、どのような役割を担っているかについて簡単に記載しております。50ページまでは、信用金庫業界の信用力維持のための各種制度を記載しております。

まず、この48ページ、(イ)としまして資本増強制度というのがございます。

この制度は、ここに記載のとおりでございますが、資本増強を必要とする信用金庫が、合併等によりまして、自己資本比率が低下するという信用金庫に対しまして、信金中金が資本供与を行う制度でございます。この制度の適用に関しましては、資本供与を受ける信用金庫にモラルハザードが生じないようにすることが極めて重要であるということでございますので、経営健全化計画というものを策定させ、提出を義務づけまして、この資本供与が妥当であるかどうかについて、当制度の運営委員会で審議を行っております。また、審議の結果、妥当であると判断した案件につきましては、さらに信金中金理事会の決議を得ることが必要となっております。 

また、審議の結果、資本供与した後につきましては、信金中金が定期的なモニタリングを行っておりまして、健全化計画達成に懸念があるという場合は、経営改善策の策定を指示するようなこともやっております。

資本供与プロセス及びこの制度の運営委員会の概要を、その下の表に記載しておりますが、この制度はあくまで信用金庫業界全体の制度でございますので、その運営を担う委員会の委員につきましては、ここにありますように、全国の信用金庫の会長、理事長の中から選出するということにしております。

それから、一番下の行でございますけれども、当制度の過去5年間の残高、適用金庫数の実績を記載しております。ご覧のとおりでございます。平成17年度がピークでございまして、漸次、減少しております。19年度、若干増えておりますが、最新の本年6月末現在では、29金庫約2,400億円ということで、19年度末から1金庫100億円の減少になっております。

次に、49ページに参りまして、(ロ)としまして、信用金庫相互援助資金制度について記載しております。

先ほどご説明しましたように、現在、信用金庫に対する資金的支援につきましては、資本増強制度が主でございまして、ここにあります制度は、あくまでも資本増強制度だけでは支援が難しい場合に、例外的にこの制度を適用しようというものでございます。

少し具体的にお話しさせて頂きますと、経営困難に陥った信用金庫が、単独ではなかなか再建が難しく、近隣金庫等との合併を条件として、経営困難を克服しようとするような場合にありまして、資本供与だけでは合併信用金庫において、その配当負担ですとか返済財源の確保が非常に難しいといった場合に、その負担を軽減するために、この制度によって財政的な支援を行うというものでございます。

支援プロセスですとか、当制度の運営委員会の概要につきましては、先ほどの資本増強制度と同じようなスキームになっておりますので、説明は割愛させて頂きます。

次に、50ページに参りまして、(ハ)として流動性資金貸付制度というのがございます。この制度は、ここにありますように風評リスク、こうしたものについて、預金の払戻しが増加しまして、一時的に信用金庫の資金が不足することが懸念された場合に、信金中金が短期の資金を貸し出す制度でありますが、ここ数年の実績はございません。

以上が、現在、信用金庫業界が持っております信用秩序維持のための資金支援制度でございます。

ここで、ちょっと資料にはございませんが、業界のこうしたセーフティーネットについて、補足をさせて頂きたいと思っております。

協同組織金融機関のセーフティーネットにつきましては、このワーキング・グループでも、我が国だけでなく、ドイツですとかフランス、オランダ等におけるいろいろなセーフティーネットの制度のご説明がございまして、いろいろ勉強させて頂いたところでございますけれども、それぞれの仕組みですとかルール、非常に様々でございまして、恐らく各国それぞれの実情に基づいて、いろいろ創意工夫されて構築されたものだというふうに考えております。

信用金庫業界のセーフティーネットでございますが、昭和29年、振興預金制度というものを嚆矢としまして、現在までいろいろな制度の改正を行ってきております。ただ、制度見直しに際しましては、常に大半の信用金庫から、いわゆる自己責任経営とモラルハザードの防止、このバランスを十二分に配慮すべきであるという非常に強い要請が出ております。

こうした背景でございますけれども、これまで信用金庫は、やはり自己責任の下で、いろいろ地域や中小企業の実態に合った、自律的といいますか、そういった経営を行おうと必死の努力をしてきたところでございまして、いわゆる中小企業に対して、リスクも非常にありますが、貸すか貸さないか、このぎりぎりの経営判断をこれまで何度も行ってきまして、それらを通じて、地域における本当の意味での金融を担ってきたんだという強い誇りを持っているということ、それからまた、今後におきましても、地域ですとかお客様からの信頼を得るためには、やはり自己責任経営、これが不可欠であるという考え方によるものであると考えております。

こういう考え方でございますので、今後の業界セーフティーネットのあり方につきましても、モラルハザードが生じまして、信用金庫の自己責任経営が形骸化することのないような制度であることが必要であると考えております。

資料に戻りまして、50ページの経営悪化の未然防止について、少しご説明させて頂きます。まず、マル1の経営分析でございます。

これについては、いわゆるオフサイトモニタリングというものでございますが、その分析結果につきましては、信金中金の各支店長が信用金庫に出向きまして、それに基づいて意見交換を行うというような仕組みにしております。

それから、マル2の経営相談、これにつきましては、ここの記載にございますけれども、経営全般、あるいはいろいろ個別の経営課題について、信金中金の専門チームが信用金庫に出向いて、信用金庫の専担者と一緒になって、いろいろな課題の解決策を策定するということで、いわゆるオンサイトモニタリングということでございます。

もちろん、この解決策を策定して終わりということではございませんで、その実施状況については、信金中金はフォローアップを行うということでございまして、近年、この経営相談の要望というのは非常に増えてきておりまして、実績をその一番下の行に記載しております。

これについても、少し述べさせて頂きたいんですが、こうした中央機関の個別信用金庫に対する経営モニタリングについては、たしかワーキング・グループでも、もう少し強化して、問題がある場合、早期指導を義務づける必要があるのではないかというようなご意見も頂いておると記憶しておりますけれども、これについて、少し述べさせて頂きたいと思います。

何遍も申しますようですが、信用金庫というのは自己責任経営の下で、昭和25年の信用金庫法、もっと言えば市街地信用組合制度からでしょうけれども、いわゆる信用事業を専門として事業を行ってきており、高い独立性を維持しながらやってきているということでございまして、やはりこれを基本とすべきだろうと思います。

ただ、どうしてもそれだけでは十分でない部分、これは、やはり我々中央機関がいろいろな面でサポートする仕組みが必要ではないかというふうに考えておりまして、このバランスの持つメリットと申しますか、こういうものを充分活かしていくことが、今後も極めて重要ではないかなというふうに考えております。

それと、信用金庫は、金融のプロといたしまして、金融庁による検査ですとか、日本銀行による考査、さらには、監査法人の監査が全金庫に義務づけられているということで、定期的、かつ、きめ細かな指導をいろいろ受けているところでございます。

また、併せまして、信用金庫は地域金融ですとか中小企業金融を専門とする事業体でございますし、その地域や取引先である中小企業の実情を熟知しているということが不可欠でございまして、信金中金がいろいろなコンサルティングですとか経営相談、こういうものをやっていくことは、非常に重要だとは考えておりますが、それは決して権限を持って指導していくようなものであってはならないというふうに考えております。むしろ、そうすることによりまして、信金中金と信用金庫のリレーション、あるいは信用金庫の自己責任意識を弱めるというようなことにならないかなということで、非常に心配をしております。

したがいまして、このワーキング・グループでも出ました指導の義務づけといったことについては、適当ではないというふうに考えております。

ただ、いろいろ金融環境が変化してきておりまして、信用金庫が抱える経営課題は非常に多様化してきているということでございますので、信金中金としても、権限に基づく指導ということではなくて、財務分析、リスク管理体制等の面を中心にして、いろいろなモニタリング等について体制を強化して、今後もやっていきたいというふうには考えております。

次に、51ページから53ページは、信金中金が信用金庫に対して行っている信用金庫の業務機能の補完について記載しております。この役割は、先ほどご説明しました業界の信用秩序の維持と併せて非常に重要な役割の一つでございまして、これからは益々こういったものが重要になってきますので、ここにウェートをかけた業務運営をしていく必要があるのではないかというふうに思っておりますし、信金中金と信用金庫の相互扶助の精神にもとづき、こういったものができてきたものだというふうに考えております。

ここに、(1)として伝統的な業務機能の補完ということで、これは数十年前から信金中金の行っております代表的なものについて、4業務ほど記載しております。この中でも一番上にございます内国為替業務でございますけれども、これは信金中金が業界制度の運営機関となりまして、システム処理は業界システム会社に委託して、業界独自の為替システムを構築しているということでございまして、まさに業界の総合力をもって運営しているものでございます。

その他、いろいろ書いておりますが、時間の関係もございますので、説明は省略させて頂きます。

次に、52ページでございます。

これは、最近における業務機能の補完ということで、いろいろ信用金庫を取り巻く金融環境が変わってきておりまして、いろいろなニーズも変わってきておるということで、それに対応して最近行ってきた代表的なものについて、7点ほど記載しております。

簡単に何点かご説明しますと、1つ目の信用金庫に対するデリバティブを活用した預金の提供というものでございますが、これはここに記載のとおり、信用金庫の余資運用ニーズ、これの多様化に対応しまして、最近、こういう商品をつくっております。既に1兆円を超える預金残高になっております。

2つ目は、投信窓販でございます。信金中金が行っております内容は、ここに記載のとおりでございますけれども、子会社である投信会社ですとか証券会社とともに、いろいろ連携して投信窓販の支援を行っているということでございます。

その他、いろいろここに記載しておりますけれども、記載のとおりでございますので、省略させて頂きます。

最後、53ページになります。

53ページに、(3)としまして、信用金庫の市場運用等に係るリスク管理体制強化のための信金中金の支援内容について記載しております。これは、いずれの事項も、信用金庫からの要請が、最近、非常に急増しております。特に、ALM・リスク管理支援につきましては、いろいろなニーズにきめ細かく対応しておりまして、一例を挙げますと、信金中金が要請のあった信用金庫に出向きまして、例えば、私どもが持っておりますリスク計量化のソフトウェア、そういうようなものを提供したり、それに基づいてリスク管理体制ですとか管理方法等についても、信用金庫と一緒になって考えていくというようなことを行っております。今後も、今の体制で十分ではございませんので、もっと支援体制を強化して、一層充実させていきたいというふうに考えております。

次に、(4)でございますが、信用金庫の取引先等へ信金中金がどういう支援を行っているかということで、ここに具体的な事項を6点ほど記載しております。この中では、先ほど髙木理事長からもお話がありましたが、1番目にありますビジネス・マッチングの支援ですとか、それから、下から2つ目にございます地域振興に係る支援要請が、非常に増加してきております。

以上、いろいろと申し上げましたが、私ども信金中金は、いろいろな形で中央機関として個別の信用金庫の支援を行っております。その内容も、信用金庫の実態やニーズに合わせて見直しを行っておるところでございます。

ここで、1つ申し上げておきたいんですが、これは以前、ワーキング・グループで、協同組織金融機関の中央機関を統合してはどうかというようなお話が、たしかあったかと思いますが、これにつきましては、やはり協同組織金融機関、今、信用金庫ですとか信用組合、それからJAグループ、労働金庫、いろいろございます。

おのおの、永年それぞれその業界の中で強い連帯意識を持って、それに基づく相互扶助の精神を醸成してきたということでございまして、そういう固有の連帯意識ですとか相互扶助の精神、これが実体化したものが、我々中央金融機関ではないかというふうに思っておりますので、仮に中央機関だけを統合いたしたとしましても、メンバー同士が一緒に相互扶助していこうということにはなかなかなりにくいというふうに考えておりまして、むしろ、中央機関が果たしている役割が、本当にこれまで以上に果たされるか、むしろ阻害される可能性があるのではないかというふうに考えております。

以上、これで私からの説明を終了させて頂きます。ありがとうございました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、先ほど手を挙げて頂いた村田委員、久保田委員、そして宮村委員、村本委員の順番でいきたいと。それから、原委員。

では、まず村田委員、どうぞ。

○村田委員

村田でございます。ただいまは、ありがとうございました。

私は、信用金庫の利用者として、中小企業経営者の立場から述べさせて頂きたいと思います。

まず、中小の事業者のパートナーとして協同組織金融機関に求められる機能は、先ほど来出ておりますように、円滑な資金供給はもとより、中小の事業者、あるいは商店街が抱える様々な問題への取組みであると考えております。

昨今、より不景気感が強まっている中で、中小の事業者、また各地の商店街では、それを乗り越えようということで様々な取組みを行っております。そうした取組みに対して、資金供給ということだけではなくて、先ほどいろいろとご説明の中には出ておりましたけれども、創業支援、再生支援、あるいは異業種の企業交流会、さらに広い意味では地域貢献など、経営支援活動を通じての地域経済の活性化を図るということでの地域密着型の信用金庫、信用組合の役割というものが非常に重要であると考えておりますし、その点が、いわゆる他の金融機関、メガバンクと最も相違するということだと思っております。

しかし、そうした取組みに対する評価というのが、なかなか結果としては表面に出にくいということと同時に、あまり評価されていないのではないかなと感じます。

先ほどの信用金庫協会のご説明でいろいろな資料を見せて頂いて、私自身が再認識したという状態であります。そういったことで、単なる預貸率とか、あるいは不良債権比率といった定量面だけの議論ではなくて、先ほどから出ておりますように、そうしたいろいろな支援の取組みが、どの程度、中小企業者に役に立っているかといったような定性的な評価も考慮することが、いわゆる相互扶助の精神そのものと思っております。

もっとも、相互扶助と申しましても、いわゆる協同組織金融機関が地域の中心的な存在である地方都市と、地域が広くていろいろな金融機関が集まっている大都市では、意識の違いといいますか、協同扶助という意識が大都市では薄いと思います。しかしあくまでも相互扶助であるがゆえに、利用者のための組織であるということを、今後とも念頭に置いて頂きたいと考えております。

そういう点からしますと、一方では、信用金庫とか、あるいは信用組合が、利用者のニーズに十分応えていないのではないかといったケースも聞いております。これは、特に最近、業況が大変悪くなってきたということから、その判断する基準、あるいはハードルを高くしているのかなと感じるわけでありまして、そのため中小事業者の中には、他の金融機関に行くとか、あるいは小口金融に走っているといったケースも出ているようであります。そういったことを考えますと、相互扶助の精神、それから一方では、協同組織の金融機関が内容のある経営をする、そのバランスをとるという点では難しいことであろうと思いますけれども、本来の趣旨に沿ってほしいと期待とするところが大きいわけであります。

最後に、これからの議論となるのかもしれませんけれども、いわゆる利用者として危惧していることは、信用組合あるいは信用金庫の組織のあり方であります。組織のあり方によって、利用者への対応が変わってしまう。ひいては、サービスが低下してしまう。そういったことがないように、地域密着型金融機関としての機能、役割を果たしていくことをお願いしたいと考えております。

また、地域経済でいろいろな問題を抱えているわけでありますけれども、そういった問題、課題を解決するためにも、この協同組織金融機関の職員の審査能力を、絶えず向上させる努力をして、今まで以上に企業そのもの、あるいはそのプロジェクトの将来性というものを的確に判断する目利き能力といったものを発揮して、地域経済の発展に大いに貢献して頂く、そのような体制づくりをお願いして私の意見とさせて頂きます。

ありがとうございました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。では、久保田委員、どうぞ。

○久保田委員

ありがとうございました。

信用金庫が、相互扶助・非営利で、中小・零細企業や地域住民に安定した円滑な資金供給を行うことは私も理解したのですが、今の村田委員と同じように、信金のハードルが少し高いのではないかという気が少ししておりまして、それに関するご質問を2ついたします。

まず、事務局がご用意頂いたWG6-5という資料の56ページのところをご覧頂きますと、預貸率の変化が出ております。これを見ると、銀行に比べて信金・信組の預貸率はずっと低下しているんですね。先ほど村田委員も少しお話しされましたけれども、同じ中小・零細企業に貸し付けている先として、商工ローンとかサラ金とか様々なものがあり、商工ローンの貸出残高も1兆円以上、サラ金の貸出残高も10兆円以上あります。このことを考えますと、現在60兆円程度の貸出資産がある信金の貸出余地はまだあるのではないか、そこを、ハードルを高くして貸していないのではないかというのが最初のご質問です。

次に、仮に商工ローンの得意先は中小・零細企業だけれども、そうした先には信金は貸せない理由があるのだとすると、その理由について教えて頂けないでしょうか。もし、立派な客ではないから貸せないんだという選別がなされているのだとしたら、信金も銀行とあまり変わらないことになるので、銀行とは異なる特別の地域貢献、相互扶助をしている機関である理由はどこに求めたら良いのかということを教えて頂ければと思います。以上です。

○髙木参考人

1つは、ハードルが高いのではないかという話ですが、そのように私は理解しておりません。さきほど、預貸率の話が出ましたが、私は広島でありますから、預貸率は増えています。

ただ、信用金庫の大多数は地方都市にありますので、一生懸命やっても預貸率が下がってくるということもあります。ただ、恐らくそれぞれの地方都市の金庫の融資のシェアは、決して私は下がっていないと思います。結構、預金は増えていますから、結果的に預貸率が下がる、あるいはまた、開業率より廃業率が高いため、そういう資金の返済圧力という問題もあると思います。

ですから、決して私はハードルが高いとは思っていないし、私どもの金庫でも、今、原油等の問題があり、まさに我々の対応自体、「信金の真価が問われるので、とにかく一生懸命お客様に対応しなさい」ということを、私も支店長会議で、先月、話したばかりです。恐らくどこの金庫も、そういう思いは絶対に持っていらっしゃると思います。

一番端的な例は、今日、お手元の資料を説明しなかったのですが、お配りした資料の10ページをご覧頂きたいのでありますけれども、これは中小企業への融資姿勢を積極的かどうか業態別に評価したオフィシャルな調査結果です。経営指導員とか、オフィシャルな方の聞き取り調査で、1年前に比べて信金・信組の融資への対応というのは69.8、69.0と、ほとんど変わっていない。

ところが、主要行は、1年前は68.1で非常に積極的だったのが、この4月は38.3まで下がっている。その中間が地銀、第二地銀ということですから、やはりこれは我々の姿勢ということで理解して頂いてよいのではないかなと思っております。

それから、先ほどの商工ローンの話ですが、基本的に私どもは、すそ野金融であると理解してますから、できるだけ新規先のすそ野を広げていきたいので新規開拓をしております。

ですから、この商工ローンの問題が出てきても、金庫に寄ったら窓口もきちんと開いていたりということで、我々も対応できるものは絶対にしていくと。

ただ、先ほどもお話がありましたように、一方で私どもは、健全経営の堅持ということもあります。商工ローンで私どもでも良く出てくる話は、我々が客観的な目で見ても、どう考えてももうもたないという企業もあります。最初から、もう延滞がわかっているというケースもあるので、そうなると、なかなか対応できないというケースはあります。

それと、やはり金融機関ですから、ある程度、資料を出してくださいということになると、それをすごく嫌われる方もいらっしゃいます。ですから、急にお金が要るようになって、我々も資料なしでお金はなかなか貸せないものですから、そうなると、簡単な手続のところへポッと行ってしまうということがあります。我々の業界としては、これを避けているというつもりは全くないのでありますが、実際、そんな状況にあることはご理解いただきたいと思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。それでは、宮村委員、どうぞ。

○宮村委員

理事の3分の2の件なんですけれども、一般的に言って、労働金庫、信用金庫、信用組合とも、基本的に理事の3分の2は会員とか組合員とかから出すという、そういうふうな法律のつくり方になっているんですね。現に、例えば労働金庫の場合、労働金庫の3分の2の理事は、各労働組合の代議員が理事になっていて、実際には非常勤理事になっていて、常勤ではないんですね。信用組合においても、業域・職域信用組合については、例えばおいしそうな信用組合ということであれば、医師会の人たちが常勤の理事と非常勤理事で3分の2を占めていて、残りが職員理事になっていたりするんですね。

このように、協同組織金融機関の理事の仕組みは、3分の2はそのメンバーというのが原則になっている。そういう体系でもって、法律ができ上がっているように、私の理解が間違っていなければ、そう思うのです。

ところが、信用金庫及び地域信用組合に関しては、その会員、組合員になる資格が、地域に住んでいればとか、地域の会社に勤めていれば、会員、組合員の資格があると、そういうことがありますので、当然、信用金庫や信用組合に勤めていれば、会員、組合員資格が発生してしまうので、そういう人たちが、会員だからというので理事になることが可能になってしまうという、どちらかというと法律全体の体系としては、3分の2は組合員、会員にしましょうということなんだけれども、地域信用組合と信用金庫については、今言ったその地域の会社に勤めているというところを使って、どちらかというとループホールみたいな形で使って職員さんが理事になっていると、そういう形になっているんですね。

僕は、3分の2が絶対必要だと言っているのではなくて、法律の体系がそうなっているからそうすべきであって、ループホールを使って、職員が常に理事を全部ほとんど占めているということが常態化しているのはおかしいのではないかと言っているので、前回に言いましたように、労働金庫及び職域信用組合、業域信用組合についてヒアリングしてみると、理事会のチェックが厳し過ぎると、こういう話なんですね。

だから、3分の2にするのが、実際には、そこら辺はみんな3分の2ですから、3分の2にしているということ自体が、ちょっと業界、メンバーからのチェックが厳し過ぎる原因になっているのかもしれないので、もしそういうことであれば、そういうのをやめればよいとは思うわけです。だけれども、今の法律の体系の原則では、3分の2をメンバーからしろと言っているので、そういうループホールを使うのが常態化しているのはおかしいのではないかと、こういうふうに申し上げたわけなんです。そこら辺について、何か認識が間違っているのであれば、教えて頂ければなと思います。

○小此木参考人

恐らく、今おっしゃったことは、業態で違うのではないか。つまり、信組の職域とか業域の場合には、職員の人たちがそのまま組合員になれないような、そういう仕組みになっていますから、それはわかるんですが、信用金庫の場合はそういう仕組みになっておりません。

したがって、地域信組とか信用金庫の場合には、むしろ会員がやはり中心になって経営を行うというのが、会員の自治の原則でして、そこに3分の1以下であれば、会員以外の人たちも、社外のような形でチェックできると、そういう規定になっていると思いますから、そこは業態で違うと思います。

○宮村委員

もしそういうことであれば、信用金庫法の中に「3分の2を会員としなくてはいけない」と書く必要はないんですよね。もし、職員が誰でもなってよいというところだったら、実際に職員さんが理事になってしまうので、そうしたら、別にわざわざ文書で「信用金庫の理事の3分の2は会員にしなくてはいけない」と書かなくたって、別にもう構わないということになってしまうので、その書いてあることの意味がなくなってしまうということだと思うんですよね。

○神田WG座長

今の議論は、重要な点の一つだとは思いますけれども、今日は問題提起ということで、先へ進むということにさせて頂いてよろしいでしょうか。何か、打ち切ったみたいで申しわけありません。どうもありがとうございました。

村本先生、どうぞ。

○村本委員

それぞれの参考人に、1つずつだけ質問させてください。

岩田参考人、ありがとうございました。総代の方が、若い世代がどんどん育つように、継承されるようにしているんだというお話がございましたけれども、その関連で、総代さんには定年というのがあるのかどうかという1点だけお伺いしたいと思います。

それから、髙木参考人のお話の中で、信用金庫は非常に頑張ってやっているよというお話で理解はしたんですけれども、さはさりながら、信用金庫が頑張っている割に、地域経済はなかなかよくならないですねということも言えると思うんですね。地域経済がなかなか活性化してこないではないか、預貸率は下がりっ放しですねというお話が、先ほどございました。恐らくこれは、今日お見えですが、寺澤さんのところの問題があるのかもしれないので、別途あれなんですけれども、どういうふうに考えていけば、地域の活性化にもっとつながっていくのかなと。

例えば、最近、地域力連携拠点というのができて、三百十幾つ、指定されたんですけれども、信用金庫は12ぐらい、指定されていますね。そういう形で、どういうようなことをやっていけば―多分、中小企業政策と一緒にやればよいのだということもあるのかもしれませんが、何かその辺で実際にお感じになっていることがあれば、ぜひ教えて頂きたいというのが私の質問です。

それから、服部参考人のお話のところで、私がちょっと気になっているのは、金融機能強化法が3月で切れまして、業態に対する、いわゆるレギュラトリー・キャピタルではなくて、エコノミック・キャピタルを注入する手法というのはなくなってきているわけですね。

その場合に、セーフティーネットではなくて、少し前のセーフティーネットみたいな話で組み立てられるものはないかと。経営力評価もそうでしょう。ただ、それは、先ほどのお話では、スライドのプリントにありますように、15%ルールというのもあって、一定の枠がはまっているのだとすると、それだけでよいのでしょうかねということとか、あるいは、その次にあります相互援助制度というのがあって、これは横串を指すような制度で信金同士が助け合うということであれば、これが縦横であると、ある種のクロスギャランティーになっているわけですが、この相援というのは、逆に例外的に使うとおっしゃいました。

そうすると、それはどういうふうにやれば、セーフティーネットとして、もう少し機能できるか。特に、エコノミック・キャピタルなどという視点に立ったらどうなるかという、その1点を教えて頂きたいと思います。

以上でございます。

○神田WG座長

いかがでしょうか。

○岩田参考人

では、順番で、総代の定年という問題がございましたけれども、定年制を敷いているというふうには聞いておりません。若手を育てていくというときに、大体、交代するときは、経営の主体が承継した後継者に移ったとき、これが社長、代表権が大体ついたとき、普通、小さいところでも代表でつけます。それで、その時点でよろしければ、企業から出ている総代が交代するというような形をとっておるようでございます。別に、ルールができているというふうには聞いておりません。

○神田WG座長

今の点に関連して?

○渡邉委員

はい。

○神田WG座長

それでは、渡邉委員、どうぞ。

○渡邉委員

総代の定年制なんですけれども、地元の信用金庫の場合には、平成13年度から定年制が導入されるようになりました。たしか75歳だと思ったんですけれども、それで定年制が採用されるようになっておりますので、ここ2年ほどで、とても若返ってまいってきています。

以上です。

○神田WG座長

貴重な情報、ありがとうございました。

それでは、お答えの続きで、髙木さん、お願いします。

○髙木参考人

今、村本先生が、頑張っている割には、預貸率が下がっているではないかとおっしゃいましたが、私、実は2年前から中国地区信用金庫協会の会長というお役目をいただいて、結構、管内の理事長さん方と話す機会が増えました。

改めて感じましたのは、私どもは県庁所在地に本店がありますけれども、この資料にもありますように、信金業界だけ、県庁所在地以外に本店のある金庫が4分の3、75%です。信組さんも6対4で、むしろ県庁所在地が本店で、都銀も地銀もほとんどそうですけれども、多くの信用金庫は地方都市に拠点、本店がある。

私も感じたのは、かなりの理事長が、その小さな都市の商工会議所の会頭、副会頭に就任しておられて、本当に地域おこしで一生懸命なのです。それは、自分が商工会議所の会頭であり、副会頭であり、ですから、私が訪問すると、「さっきまで市長さんと商工会議所の人とで、町おこしの会議をしていたのですよ」という話も結構あります。また、私どもの管内の金庫で、広島に来られて、「高齢者の介護施設をある企業から誘致したい。その先鞭で自分が来た。市長と話をしながら、まず理事長が先鞭で来て、うまくいきそうだったら市長にも来てもらう」ということとか。

ですからもう金融以外のところで、随分、町おこしということに一生懸命取り組んでいます。そうしないと、信金もまさに運命共同体、最近、業界では使命共同体と言っているのですが、まさに地域とともに生きているわけですから、金融以外にも、本当に一生懸命やっているのが我々の実際の姿だと思います。

私は、むしろ今の質問を受けながら、我々だけが頑張っても、結局、日本の経済自体が、今、地方の衰退とか少子・高齢化ということで地方都市が、地場産業が、少しずつ衰退しているのです。その中で、我々も一生懸命支えながらやっているのです。おっしゃるように「効果が出ないね」と言われながらも、もがいてやっている、というのが実態です、というお答えになりますが、よろしいでしょうか。避けては絶対いないのですけれども、そのようなつもりでやっております。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。服部さん。

○服部参考人

では、村本先生のご質問についてでございますが、我々のセーフティーネットを心配頂いているという解釈でよろしいのでございましょうか。

ご説明しましたように、信用金庫業界は資本増強制度というのが、今のセーフティーネットの柱になっております。したがって、相互援助資金制度というのは、二重のネットにはなっておりますが、あくまでも例外的でございますので、今後の活用について、見込んでおるわけではございません。

資本増強制度については、確かに15%ルールというのがございます。これは、要するに信金中金自体の屋台骨を揺るがすまでやっていくというようなことはできませんので、ある程度のところで制限を設けている制度でございます。また、私どもは信用金庫の中央機関でもありますが、東証に上場しておりますので、一般の投資家の方に対しても、こういうものはきちっとルールを作っておくべきだということで、この制度を設けた当初から、15%の枠というものを設けております。

ちょっと技術的な話になりますけれども、この15%の枠というのは、信金中金の自己資本に15%を掛けた額ですが、自己資本の変動ですとか、それから、実は資本供与しても、だんだん内容がよくなって、毎年毎年、定期的に劣後ローンを繰上弁済してきたり、優先出資を消却してきている信用金庫もございますし、また、年間、どのぐらいの資本供与をするかということで、供与残高は毎年変動しております。

先ほどご説明しましたように、平成17年度はもっと厳しい状況でしたが、その後、供与残高は減少傾向にあります。今後、どれだけあれば、十分余裕があるかというのは、なかなか見込めないところはあるんですが、もし、仮に供与枠が非常に窮屈な状態になるということであれば、信金中金の自己資本の増強ですとか、健全化しつつある信用金庫から、ある程度、弁済をして頂くとか、いろいろなやり方を、知恵を絞って考えてやっていきたいと思っております。今すぐ資金、枠が枯渇するとかというような状況にはないと思っております。

よろしゅうございますか。

○神田WG座長

ありがとうございました。

予定の時間を過ぎていて恐縮ですけれども、原委員、どうぞ。

○原委員

では、簡単に2つです。

今日は、ありがとうございました。

協会の方に2つなのですが、1つは、前回のここでの議論のときには、それぞれの信金・信組、預金残高が100倍から200倍ぐらい違いがあるとか、ガバナンスも随分違うというお話をお聞きしまして、同じ信金・信組であっても、内容がかなり違っているということを、前回、いろいろとお聞きしたのですが、今日のお話の全体を見ると、平成元年の金融審での議論を―金融審でなくて、そのときは違う名前の審議会ですけれども、この20年来の姿で、現状維持でほとんど変える必要がないというようなご意見だったのですけれども、こうした中身のばらつきの違いについて、例えば、基本的なルールは統一していこうというようなことについては、どのようにお考えなのかということが1つです。

それからもう一つは、ご説明に入られる前に、非営利の理念については、これはもう大前提として考えておりますというご説明だったのですが、ずっとお話を聞いていくと、地域金融のお話が、ちょっと全体的に多くて、協同金融で何を工夫しておられるのか。

それから、非営利というところを強調されましたけれども、でも、実際には銀行ではだめだったものが、一応、信金・信組では受けておられますけれども、でも、そこでも受けられないものは、消費者金融の事業者金融とか商工ローンに行っているわけで、私は、やはりここで営利は考えておられるというふうに思うので、その非営利の部分、協同性の部分は、どこでどのようにこの資料を見れば確保されているというように判断できるのかという、この2つをお聞きしたいと思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。いかがでしょうか。

○髙木参考人

最初の質問がわからなかったのですが。

○原委員

そうですね。前回、出席はしていらした……。

○髙木参考人

おりません。

○原委員

前回のここの議論を、聞いていらっしゃらないですよね。

○神田WG座長

例えば、この金融制度調査会のときのご報告から20年たっておりますので、信用金庫の中にも非常に大小が前よりはあるでしょうし、もっと一般的にいえば、変化が起きているはずではないかと。しかし、金融制度調査会で既に決着していますというようなご発言というか、ご報告もあったので、そういうその後の20年の変化に対しての対応というのは考えられるのではないかというふうなことだと思いますけれども。

○小此木参考人

確かに、平成元年に報告で認められておるものが、20年後もそのまま同じなのかということになりますと、その間、いろいろな変化は起きております。郵政の民営化とか、そういったような問題も起きてきておりますし、信用金庫もその中で、いろいろな変化を乗り越えてやってきているということは確かでございます。それから、差が大きくなったということも、先ほどの説明にもありましたように、合併等が非常に増えてまいりまして、もう既に10年間で百幾つの信用金庫が減少してきておりますから、規模の差も歴然としてきております。

ただ、先ほど最初に岩田様がおっしゃったように、我々の生き方というのは変わっておらないと、そういうふうに思っております。それから、ガバナンスの点につきましても、できるものはいろいろ自主的に努力しておるということから、個別の金庫の格差は、少し出てきておるということは確かだろうと思います。その一例でいえば、先ほどのような総代の定年制なども、我々も聞いてみますと、取り入れている信用金庫はかなり増えてきております。ただ、今までのままという信用金庫も、確かにございます。

したがって、そういった点は、これからも改善していく必要があろうかと、そういうふうに考えております。

○神田WG座長

2点目は、いかがでしょうか。

○髙木参考人

2点目は、私が答えさせて頂きます。

おっしゃるとおり、非常に我々もその間で苦心しているのですけれども、やはり信用金庫の場合は、預金者があって、その資金を頂いて、融資をしている。片方でやはり健全性というのが、必ず一方についてまいります。ですから、やはり収益性とか自己資本比率というものが、片方にある。さはさりながら、協同組織性という2面を持って、このバランスをどうとるかということに、我々は絶えず悩んでおります。

ですから、本当に中小企業の融資だけ考えて正義の味方をやっていると、今度は本体、金庫がもたないということもあるので、私どもの金庫の経営理念の中にも、まさに「健全経営と信金の特性発揮で信頼に応える」といううたい方をしているのですが、どこまで雨が降っても傘を出すか。もうちょっと降ったら引くのか、かなりのところまで我慢していくという、まさにその差としか、誠に答えにくいのですけれども、ただ、絶対に、我々は株式会社のような利益至上主義という発想は持っていなくて、できるだけとにかくお客様の役に立つと。でも、そこにはどうしてもやはり限界があるという思いで、少なくとも銀行とは違う生き方をしたい、というのは、絶えず、私も職員に対して言っているし、その気持ちは持ち続けたいと思っております。

あまりうまく説明できませんが…。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今日も、予定の時間をもう10分程度過ぎようとしておりますので、大変申しわけありませんけれども、今日もこのあたりで打ち切らせて頂きたいと思います。

何か、考えれば考えるほど難しいので、あまり考えないほうがよいのかもしれないんですけれども、いつものように皆様方からは追加のご質問等を、電子メール、お電話等で事務局に頂ければ、事務局からまた、岩田副会長を初め協会、信金中金のほうにもご質問させて頂きたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。どうも、4人の参考人の方には、お忙しいところ、ありがとうございました。

それでは、最後に事務局から、若干の資料の説明、ご連絡があります。

○小野信用制度参事官

長時間のご議論、ありがとうございました。

まず、資料の右肩に、「協金WG6-4」と記載している資料でございますけれども、これは、今、神田先生からもお話がございました、委員の皆様からメールを頂いたご質問につきまして、前回、ご意見をちょうだいいたしました神吉委員、宮村委員、及び公認会計士の秋山先生、それから寺山先生にご協力頂きまして、回答を取りまとめさせて頂いたものでございます。すみません。中身につきましては、ご説明する時間がございませんので、委員の皆様におかれましては、お目通し頂ければ幸いでございます。

次回の協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループにおきましては、本日に引き続き、中小企業経営者の方に、借り手としての立場から協同組織金融機関を見てこられたこれまでのご経験を踏まえたお話をお伺いするとともに、全国信用組合中央協会及び全国信用協同組合連合会から、協同組織金融機関のあり方に関してご意見を頂くことを予定しております。

次回は、7月25日金曜日、同じく午後4時から予定しております。正式には、追ってご連絡させて頂きますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

○神田WG座長

それでは、以上で散会いたします。

どうもありがとうございました。

以上

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