金融審議会金融分科会第二部会「決済に関するワーキング・グループ」(第9回)議事録

日時:平成20年10月23日(木曜日)14時00分~16時05分

場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○岩原座長

それでは、時間でございますので、決済に関するワーキング・グループ第9回会合を開催させていただきます。

メンバーの皆様におかれましては、大変お忙しいところご出席いただきまして誠にありがとうございます。

本日は、神田様、小島様がご欠席と伺っております。また、野村修也様につきましては、急遽ご欠席とのご連絡をいただいております。

さて、本日は、前回、前々回のご議論を踏まえまして、引き続き個別の論点についてご審議をお願いしたいと存じます。事務局より再度論点について整理したペーパーを用意していただいておりますので、それに基づいてご議論をいただきたいと思います。

また、前回ご案内しておりませんが、これまでのご議論を踏まえまして、他の事業者の方などからご意見も伺うということで、本日、参考人として楽天株式会社執行役員渉外室室長の関様と、社団法人全国消費生活相談員協会常任理事関東支部長の丹野様をお招きしております。

それでは、まず事務局より説明をお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

まず、お手元の資料でございますが、ファイルにファイリングしてございますのは、これまでのワーキング・グループにおきまして配付させていただいた資料でございます。その中で、第6回で主な論点ということで6-2でございますが、大きな括りをお示しいたしまして、再度それを踏まえた形で7-1では論点の整理、8-2では論点の整理(続)という形でご説明をさせていただきました。

今回の資料9-1、論点の整理(再)は、これまでの議論の続きということで、それを受けて作成したものでございます。

まず、9-1をご覧になっていただきたいと思いますが、これまで1.前払式支払手段、2.ポイント・サービス、3.資金移動サービス、4.収納代行サービス等としておりましたが、決済に関するサービスにつきまして、お金を預かるという視点で、まず前払式支払手段という括りをしたらどうか、それから、お金の移動という視点で、為替取引との関係で整理をしたらどうか、ということで2つに大きく括り直しをさせていただいております。その上で1.前払式支払手段に関する制度整備、2.為替取引に関する制度の柔軟化という形で整理させていただいております。

まず記載の仕方でございますが、基本的に前の資料をご覧になっていただかなくてもいいように、前回までの資料をそのまま書くという仕組みにさせていただいております。1ページで申し上げますと、四角の中と、少しポイントを小さくしておりますが、○のところが論点ということで、前から記述させていただいているところでございます。

次に矢じりみたいな三角形がございますが、ここがこれまでいただいたご意見、あるいはご意見をまとめるとこのような感じかなというものを整理した形で書かせていただいております。同じ仕組みでずっと続いておりますが、例えば3ページでございますと、矢じりみたいな三角形の次に、再度、同じ大きさのポイントの○で、もう少しこのような論点もあるのではないか、と考えられたものを追加的な形で記述させていただいております。したがいまして、本日は従来お示ししております論点について、別にもうご議論いただかなくても構わないということではなく、これも踏まえ、新しい論点も踏まえ、もし何かご意見があればいただきたいというようにご理解いただければよろしいのではないかと思います。

また、データ等につきましては、第6回で配付しております参考資料6-3がお手元のファイルにございます。これをこれまでご覧いただいておりますが、今回補足資料といたしまして9-2ということで、若干の資料を用意させていただいております。そちらのほうは論点の整理を説明する際、併せてご説明させていただきたいと思います。

それから、例えば1ページのところで下線を引いています。ここでは表題のところが中心ですが、前回までと少し言葉を変えているところは下線を引いてお示ししております。

それでは、1ページから順次ご説明させていただきます。

ポイント・サービスと前払式支払手段を併せておりますのは、ポイント・サービスもプリカとの関係で考えた方がいいのではないかということで、前払式支払手段とポイント・サービスを併せて、1.前払式支払手段に関する制度整備としております。その中で若干括り方の移動がございますが、記載内容については変わっておりません。また、従来、サーバ型の前払式支払手段に関する利用者保護とか、あるいは違う表現にしてあったものを、2ページのところですが、(2)前払式支払手段に関するその他の制度整備ということで、括りを整理させていただいております。

前払式支払手段に関する制度整備ということで、(1)サーバ型の前払式支払手段に関する制度整備でございます。前と同じところは説明を省略させていただきまして、新しく書いたところだけ読ませていただきます。

同じ前払式支払手段であっても、金額の記録(価値の保存)の仕方の違いにより規制が異なることは利用者保護の観点から問題があるとともに、事業者間のイコールフッティングが図られず、経済活動にバイアスが生じるおそれがある。このため、サーバ型前払式支払手段を現行の紙型・IC型前払式支払手段と同様に取り扱う制度整備を図ることが適当ではないか。

表示義務をはじめ、紙型、IC型、サーバ型前払式支払手段のそれぞれの特性に応じた適切な制度整備を行うべきではないか。

2ページでございます。(2)前払式支払手段に関するその他の制度整備ということで、マル1前払式支払手段の利用者保護等の仕組みでございます。

前回までと同じところは省略させていただきまして、3ページに行きます。現行の前払式証票規制法における自家型のものは届出制、第三者型のものは登録制とされる枠組みについては、区別の必要性は少なくなっているものの、自家型のものは未使用発行残高が一定金額を超えるまでは届出が不要であり、現行の枠組みを維持することが適当ではないか。

現行の前払式証票規制法における未使用発行残高の2分の1とされている供託等の義務の水準については、維持することが適当ではないか。

自家型のものに対する監督規定の整備を行うことが適当ではないか。

現在、前払式支払手段の発行を取りやめた場合の供託金額の取戻手続等が明確でない、例えば記録の読取りが財務局でできないなど、IC型・サーバ型のものについて、事業者が破綻した場合に、保全された資金を利用者に分配する還付手続が十分でない。事業者が前払式支払手段に係る事業の一部を譲渡する場合の手続が明確でない等の指摘がある。これらについて所要の規定の整備を図ることが適当ではないか。

信託なども認めたらどうかというご意見を新しく論点として、現行、未使用発行残高の保全は、供託、金融機関等の保証に限られているが、このほか、倒産隔離が可能な信託などを認めることについてどう考えるか。信託報酬等の費用を事業者、利用者が負担することや、事業者が破綻し、保全された資金を利用者に分配する還付手続を信託銀行などに委ねることについてどう考えるか。という問題があると考えております。

マル2前払式支払手段の換金・返金でございます。こちらも前回までと同じところは省略させていただきまして、4ページでございます。

前払式支払手段の換金・返金が自由に行われる場合には、利用者にとって利便性があるが、要求払預金と同様の役割や、信用創造の役割を有することも考えられる。しかし、そのような役割は限定的と考えられ、この点での問題は少ないと考えられるのではないか。

前払式支払手段の換金・返金が義務づけられる場合だけでなく、自由に行われる場合には、前払式支払手段の性格を変えることになるのではないか。また、前払式支払手段を用いて為替取引を行うことが可能となるのではないか。

匿名性の有無によって換金・返金を行うことができるかどうかを分けて考えることができるのではないか。

前払式支払手段の換金・返金は、原則として禁止し、換金・返金を自由に行おうとする場合には、資金移動サービスとして事業を行うこととするのが適当ではないか。

事業者が事業を廃止するなどの場合には、換金・返金を義務づけることが適当ではないか。

これらのご意見等も踏まえまして、再度論点としましては、事業を廃止する場合のほか、事業者に換金・返金を義務づけることが適当な場合にはどのような場合があるか。事業者の都合で有効期限を短くする場合などが考えられるか。

事業者の選択により前払式支払手段の換金・返金を行うことを例外的に認める必要があるか。認める場合どのような要件が必要と考えられるか。例えば次のような方法が考えられるが、どうか。

地域限定の前払式支払手段について利用者が当該地域から転出する際の換金・返金など、換金・返金を行う場合を事業者が個別に明らかにすることとした上で、換金・返金を認める。

事由にかかわらず、一定期間中の発行総額に対する一定割合まで換金・返金を認める。

事業者の任意に委ね、不適切な換金・返金の利用があれば、監督規定により対応する。

マル3利用可能額(額面金額)が大口である前払式支払手段でございます。こちらも前回までと同じところは省略させていただきまして、6ページでございます。仮に大口、小口を区分する場合、区分額は価値観に関わる問題であり、社会通念で判断する必要があるのではないか。

通常は小口の利用であっても、場合によっては大口の利用のニーズもあり、これを考慮すべきではないか。

これを踏まえますと、大口の前払式支払手段について、事業者が破綻した場合の社会的・経済的影響が大きい、あるいは不正な利用を容易にする可能性が高いと考えられるか。

あるいは、制度上は、大口と小口のものを別の取扱いとせず、大口のものの発行者に対しては実務で適切に対応すれば問題はないと考えられるか。という論点があるかと思います。

この関係で、資料の9-2でございますが、1ページ目をご覧になっていただきたいと思います。

まず、そもそもなぜ大口、小口を区分する必要があるのかという点では、まだ余りご意見をいただいていないかと思うのですが、仮に大口、小口を区分する場合の参考となるのではないかと思われるデータを集めさせていただいております。以前に配付しました参考資料のほうでは、それぞれの事業者の具体的な利用上限額を例示させていただいております。統計的には、前払式証票発行協会のほうで実態統計をやられておりますが、概ね金額表示型のものは5万円以下で98.7%、あるいは3万円以下で96.1%のものがカバーされています。あるいは、金額表示ではなく、ビール何本という形の物品・役務表示型のものは3万円以下で95.8%、あるいはIC式証票の金額表示・加減算型のものは、5万円以下ではこちらのほうは若干高くなっておりまして86.1%、10万円以下で97.2%がカバーされているという状況でございます。

それから、前払式支払手段の1件当たりの利用額についての各種調査でございます。大人数を相手にしたものであれば、日本銀行が調査しておられるのが696円、あるいは野村総合研究所が754円、あるいはディムスドライブが調査しておられるものは1,000円以内の利用が71.6%というようなものが発表されております。あとは、ご参考までですが、通信販売の場合ですと、利用金額の平均は1万4,000円であると、あるいはクレジットカードで抗弁権の接続が認められない、要は保護されないということですが、その水準は4万円、あるいは利用金額は7,616円というような統計がございます。このあたりも参考になるのではないかということでご用意させていただいております。

資料の9-1に戻りまして、(3)ポイント・サービスでございます。こちらのほうもまだ必ずしもご議論が詰まっていないかと思いますが、8ページのところで、これまでいただいているご意見等を書いております。

現状では、ポイントは、消費者から対価を得ず、基本的に、景品・おまけとして無償で発行されていると考えられるのではないか。現行の会計制度においてもポイントは対価を得ているとは取り扱われていないのではないか。

ポイントの発行が多額になっている場合があること、ポイント交換の対象が広がっていることを考慮すれば、消費者の利益を保護する必要があるのではないか。

ポイントの法的な性格について議論する実益は少なく、前払式支払手段との区別を明らかにし、ポイントと称して前払式支払手段を発行するような潜脱行為を防止できればよいのではないか。

ポイントはマーケティングの手段として顧客囲い込み等の目的のために発行されるものであり、事業者が資金を負担していることから、事業者がポイントに過度の流通性・汎用性を与えることは考えにくいのではないか。将来、ポイントがより広範に支払手段として利用される状況が生じた場合に、適切に対応すればよいと考えられるのではないか。

ポイントが支払手段として利用される機会が増え、将来的には支払手段として広範に利用される可能性があるとしても、現時点では、規制をかけるほどの役割を果たしていないと考えられるのではないか。

ポイント交換については、景品・おまけであるポイントを利用して別のポイントを得るものであり、交換によって発行されるポイントについても最初のポイントと同様に消費者保護を図る必要はないのではないか。

景品・おまけとして受け取ったポイントであっても一定の財産的価値があると考えられ、消費者がその財産的価値を手離すことにより別のポイントが発行されることから、このポイントは対価を得て発行される前払式支払手段に当たると考えられるのではないか。

また、別途の視点としまして新しく次の○でございます。ポイント交換のために専用に発行されるポイントについては、通常のポイントと異なり、企業がマーケティングや顧客の囲い込みのためではなく、交換のために特に発行しているものと考えられ、対価を得て発行する前払式支払手段として取り扱うことが適当と考えられるが、どうか。というものでございます。

ここまでが、大きく分けまして前払式支払手段の話ではないかと考えております。

9ページ以下でございますが、資金の移動に関するものとして括り直しさせていただいております。ワーキング・グループ開始のときにも申し上げておりますが、利用者保護、決済システムの安全性・効率性の向上、イノベーションの促進の観点からご議論をいただこうと思っております。

決済システムの安全性が損なわれない限り、利用者保護とのバランスを図りつつ、競争、イノベーションの促進を図ることが適当であるという趣旨が、はっきりしますよう、まず為替取引に関する制度の柔軟化ということで、そのような方向性が見えるように括り直しをしております。そこの中で、まず(1)為替取引に関する制度の柔軟化の必要性ということで、まずその必要性をうたうという形にしております。

四角の中のところで、若干下線を引いている部分がございます。補足させていただいたところでございまして、為替取引の最高裁の定義どおり隔地者間で資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて行うサービスは、為替取引として、銀行以外の者は行うことができないとされている。

為替取引は、資金を事業者に引き渡した者(支払人)と、その資金を受け取ろうとする者(受取人)のそれぞれの保護、事業の確実性が欠ける場合や事業者が破綻した場合の社会的、経済的な影響を考慮して規制が行われていると考えられる。という点と、それから、銀行に対する評価もないとおかしいのかなということで、銀行による為替取引は安全で確実である一方、営業時間、送金手数料など利便性について利用者の不満が指摘される。というふうに書かせていただきました。

また、次のところの下線ですが、いわゆる収納代行など銀行以外の者によって行われる資金を移動するサービスが存在し、営業時間が長く、安価であることなどから、その利用件数や取扱規模が大きくなっている。というふうに補足させていただいております。

これを受けまして、最初の制度の柔軟化の必要性に関しまして、10ページでございます。一番下のところで、前払式支払手段であっても、記録の移転によって、実質的に資金を移動するサービスとして機能しているのではないか。

それから、銀行以外の者が為替取引を行うことを可能とする制度を設けることで、イノベーション、競争が促進されるのではないか。

銀行に為替取引が独占される理由を踏まえ、利用者保護等に反することがない場合には、銀行以外の者が為替取引を行うことを認めることに問題はないのではないか。

銀行以外の者が為替取引を行うことを可能とする場合、利用者保護、社会的・経済的な影響と、事業者の負担、規制コストとのバランスを考慮する必要があるのではないか。

このような点を踏まえまして、私どもの論点の整理としまして、資金移動の確実性について監督がされるほか、資金の支払人から受取人への引渡しが行われず事業者に滞留している資金(滞留資金)に相当する額が、金融機関などの保証や供託などによって、原則として100%保全される仕組みであれば、利用者保護に欠けず、社会的、経済的影響が小さいと考えられるのではないか。このような仕組みとして、資金移動サービス業(仮称)の制度整備を行うことが適当と考えられるのではないか。

資金移動サービス業のように滞留資金が原則として保全される場合に加え、支払人が支払によってその起因となった債務が免責されることが確実な場合や、少額の資金の移動の場合など、利用者保護、社会的・経済的な影響の観点から、為替取引として銀行並みの規制を及ぼす必要性が低いと考えられる類型のサービスが存在するのではないか。このような類型のサービスについては、資金移動サービス業のほか、さらに、別の類型として、為替取引を行うことができる制度とすることが適当と考えられるが、どうか。

最後の○のところは、従前から収納代行サービスということでご説明申し上げておりますが、現行の収納代行サービスそのもののことを申し上げているわけではなく、あくまで受領権があるとか、その他の要件を満たせば別に銀行並みではないという趣旨をはっきりさせたほうがよろしいのではないかと思い、このように書いております。多くのものは収納代行サービス、あるいは代金引換サービスになるのかもしれませんが、そのようなものだけに限られず、一定の要件を満たすものは何であるかを考えるという趣旨でございます。

11ページ、前から資金移動サービスの制度整備の仕組みということでご議論いただこうと思い、11ページ、12ページ、13ページで細かな論点を挙げさせていただいております。それらに対するご意見等が13ページのところで、資金移動サービスにおいては、滞留資金の保全だけでなく、資金移動の履行の確実性が担保される必要があると考えられるのではないか。

資金の換金・返金が自由であること、滞留資金の保全の程度が異なること、資金移動の履行の確実性が求められることなどが、資金移動サービスと前払式支払手段の違いではないか。

滞留資金が全額保全されることが望ましいが、滞留資金の保全を完全に図ろうとする場合、事業者の負担や規制コストが過剰となることも考えられる。このため、滞留資金が原則として全額保全される仕組みであるものの、場合によっては、全額が保全されないことがあることを前提とした仕組みが適当なのではないか。

資産保全については、現行の前払式支払手段で認められる金融機関等との保全契約や、供託のほか、保有資産の信託を認めるなど柔軟な制度とすることが必要ではないか。

資金移動サービスは、滞留資金額に相当する資産が原則保全されることを条件に、銀行が行う為替取引と同様のサービスの提供を認めようとする制度であることから、資金移動サービス業者に対し犯罪収益移転防止法による本人確認等の義務を課す必要性があるのではないか。

これらのご意見を踏まえまして、新しく論点としては、資産保全について信託を認めたり、滞留資金額の計算の頻度を少なくするなど、事業者にとって要件を緩和し、柔軟な制度とすると、他方で、実効性を確保するための監督がより必要となると考えられるが、これについてどう考えるか。

資金移動サービスの確実性が欠ける場合、利用者が期日どおりに資金を得られないことも起こり得る。資金移動の履行の確実性について、どう考えるか。

資金移動サービス業者の技術的能力について、銀行並みの安全対策やシステムの利用を求めることについて、どう考えるか。

他の業務に利用するシステムを利用して資金移動サービスを行う場合、一定の技術の利用を定めると、他の業務システムとの共同利用ができないことも考えられるが、これについてどう考えるか。

銀行との違いを認識した上で資金移動サービスが利用されれば、資金移動サービスの確実性が銀行よりも劣ることに問題はないと考えられるか。

滞留資金が毀損され、期日どおりに受け取ることができない場合が生じれば、社会的・経済的影響が大きいと考えられることから、資金移動サービスは、小規模、小口利用に限定する必要があると考えられるか。期日どおりに受け取ることはできないが、滞留資金は原則として保全されるものとして理解され利用されるのであれば、区分する必要は少ないと考えられるか。というものでございます。

これに関しまして、9-2の補足資料のほうでございます。まず2ページ目、アメリカでございますが、現実に送金業者がございます。そこで銀行間で主に比較的少額な決済に用いられておりますACHのネットワークがございますが、こちらのほうの年間取扱高が28兆米ドルに対しまして、全米送金業組合というものがございますが、こちらは前回ご紹介したようなウェスタンユニオンあるいはペイパルという大手のところは入っておられませんので、若干金額が低くなっております。ホームページ等で公表されておりますのが、別途ウェスタンユニオンがこれよりも大きな金額を年間で取り扱っておられます。銀行に比べまして、取扱高そのものは小さく、1件当たりの送金額も全米送金業組合は2万7,000円ぐらいで、ウェスタンユニオンは4万円というようなデータがございます。

それから、3ページでございます。顧客の預り資金の保全でございますが、前払式証票規制法につきましては、前からご説明させていただいておりますように、供託と保証で、頻度は半期毎でございます。金融商品取引法で有価証券等の管理業務でお客様から預かった資産につきましては、日毎の計算で、こちらのほうは預かったものは信託をしなさいという仕組みになっています。また、要保全金額につきましても、顧客に返還すべき額に相当する額を保全することが求められております。

EUの決済サービス指令、あるいはNY州の送金業者法でも、原則として日毎の計算、あるいはNY州送金業者法のほうでは、法律上は常時で実務上は日ベースだと聞いております。この中でも、優良な資産への運用、あるいは金融機関による保証等といったものが求められております。また、要保全金額の計算につきましても、原則としてすべての資金というような形になっておると承知しております。

それから、資金移動サービスの国際的な資金移動につきまして、どのような仕組みが必要であるかという論点を前に挙げさせていただいております。4ページで、銀行法等における外国事業者の取扱いについて、原則それぞれ株式会社、あるいは法人をつくって免許制等で進出するのですが、外国事業者の場合は支店形態の進出が許されています。また、特に金融商品取引法ですと、単なる契約だけではなく勧誘行為が禁止されていることで、クロスボーダーに対して勧誘の禁止という形で応じている状況がございます。細かい条文のほうは5ページでございます。

それから、6ページに、前回の芝﨑委員のご発言に関する参照条文を用意しております。前回、代金引換の場合は国土交通省の許可を得ているので、代金引換業務は付随業務のため二重行政になるというお話であったかと思います。この点につきまして、貨物自動車運送事業法の場合は運送約款の認可も必要になっておりますが、他業については別段監督をしているものではないと理解をしております。また、標準貨物自動車運送約款におきましても、代金引換だけではなく、例えば第62条で運送保険の締結も引き受けておられると思います。それにつきましては、保険業法で金融庁の登録が必要であるということで、当然現在も登録をして行っていただいております。それぞれの業務につきまして、専門的な見地から行政が見るという仕組みであろうかと思います。前回、二重行政といった点につきましては、仮に為替取引に当たる行為を行っているのであれば、当然それぞれの行為を所管する官庁が、専門的見地から見るという仕組みが普通であるという点についてだけ申し上げさせていただきたいと思っております。

それから、先回、やはり資金移動サービスのイメージがよくわからないというお尋ねがあったかと思います。その際、現在国内に資金移動サービスはないという旨を私のほうからご説明したと思いますが、あくまで収納代行サービスが為替取引に当たらないという前提であればということでございます。また、外国事業者のご紹介をいたしましたが、今現在想定されますのは、例えばnanaco、あるいはEdyが換金が自由ということであれば、それ自体が資金移動サービスになるのではないかと思います。あるいは、コンビニエンスストアで定額小為替証書に近いものを販売されていて、それを持っていくとお金に交換してくれるようなサービスを始めれば、それも資金移動サービスに当たるかと思います。あるいは、携帯電話で資金の移動のやり取りを行って、それぞれのショップで携帯電話を見せるとお金がもらえる、もらえるというか引き出せるような仕組みをつくっていただければ、それも資金移動サービスになるのではないかと思いますので、幅広い資金移動サービスの利用が可能になるのではないかと思っております。

資料の9-1に戻りまして、15ページでございます。(3)その他の資金を移動するサービスということで、前に収納代行サービス等と明示しておりましたが、そこは誤解を招きかねませんので、括り直しさせていただいております。

マル1収納代行サービス等と為替取引の関係ということで、論点としてはずっと同じものを並べさせていただいておりまして、そこでご意見としまして、まず、16ページでございますが、代金引換サービスは、貨物運送の附帯業務であり、金融業に当たらないのではないか。

貨物運送に附帯して行うが、貨物運送とは別に資金の受渡しの仲介を行うものであり、金融業に当たらないとするのは不適当ではないか。

代金引換サービスは、貨物運送の許可を持つ者しか行うことができないため、適正な監督を受けており、金融規制は必要ないのではないか。

予見可能性、法的安定性を確保するために制度整備を図ることによって、現在、利用されているサービスの利用が低下することとなるのは不適当ではないか。

これに対しまして、私どもでもう一度整理をさせていただきますと、資金を移動するサービスの中には為替取引に当たるものがあり得る。しかし、現行の収納代行サービスのように、為替取引に当たるとしても、銀行並みの規制を行う必要がないと考えられる類型のものが含まれていると考えられる。収納代行サービスを含め、銀行並みの規制を行う必要がないと考えられる為替取引について、銀行が行う為替取引や資金移動サービスとは別の類型として取り扱う必要性について、どう考えるか。

このような為替取引については、銀行並みの規制が必要ではない理由(要件)を明らかにし、為替取引とは別のものとして取り扱うこととすれば、要件を満たせば銀行規制が及ぶことがなくなることから、事業者の法的安定性、予見可能性が増し、事業者が安心して引き続きサービスの提供を行うことができると考えられるが、どうか。

マル2銀行、資金移動サービス業者とは別の類型とすることが適当な、資金を移動するサービスに関する制度整備、そのような概念でございます。

19ページでございます。論点としては同じでございますが、ご意見としまして、事業者に滞留資金の保全を求めた場合、事業者のコストが上昇し利用者利便が低下するのではないか。

一般の消費者が債権者(依頼人)として収納代行サービスを利用できる場合には、依頼人の保護を図る必要性があるのではないか。

依頼人の中には、零細な事業者が含まれる場合もあるが、その保護についてどう考えるか。

収納代行サービスについて、銀行と同じ10万円での本人確認義務が課せられた場合、実質的にサービスが制限され、利用者利便が低下するのではないか。

これらを踏まえまして、追加的な論点としましては、銀行並みの規制が必要ないと考えられる為替取引を行う者に対する犯罪収益移転防止法の適用について、どう考えるか。

最後でございますが、齊藤委員からのご指摘を書いておりますが、一括して振込が行われた資金を、指図に従って個別の振込先に区分けして振込を行うサービスがある。このようなサービスについては、その取扱規模が大きな場合、サービスを提供する事業者の破綻が社会的・経済的に大きな影響を及ぼすことも考えられる。このような事業者について、どう考えるか。というものでございます。

資料9-2のほうにまた戻っていただきまして、7ページでございます。

収納代行、代金引換について、どの程度の規模であるかということにつきまして、こちらのほうも参考資料で取扱件数であるとか、あるいは加盟店、ATMの数等の比較につきましては、6-3の参考資料の63ページあるいは64ページ等で収納上限の例を挙げております。さらに、新しく1件当たりの取扱高、先ほどの全米の場合と同じように、銀行の場合は大口の送金も含まれておりますので、大きな取扱金額になっております。これに対しまして、コンビニエンスストア主要4社における取扱高は9,400円程度、あるいは代金引換業者の場合は1万2,000円程度になっていると思います。

それから、どのくらい資金滞留があるかということで、以前、ご発言があったかと思います。ご参加いただいております委員の方の提供されておられますデータに基づいて、雑駁な推計でございますが、先般も11けたというご発言がございましたが、資金滞留額としましては、セブン-イレブン・ジャパンのケースでは495億円程度ではないか。あるいはヤマトフィナンシャルのケースでは300億円程度ではないかと考えられます。もちろん試算でございますので、実際の額とは大きくブレがあるかもしれません。

これに対しまして、銀行の場合は、為替取引と預金が密接に結びついておりますので、何が送金によって資金滞留しているのかが判然といたしませんので、いろいろな数字を挙げております。1営業日当たりの取扱高ですと、ここに書いてあるような金額、これがそのまま預金として残留していると考えれば預金の額、ただし自ら預けた額も含まれております。どのように評価するかというのはございますが、当座預金あるいは普通預金の平均残高はそれぞれこのような数字になっています。また、主要6ブランドのプリペイドカードの平均残高は、129億円となっております。

8ページでございますが、細かな試算の内訳については、恐縮ですが、こちらをご参照いただきたいと思います。

最後が、これまでご説明しておりませんでしたが、犯罪収益移転防止法の概要ということで、対象事業者は必ずしも金融機関に限られず、幅広い事業者が現在対象となっております。また、本人確認義務の対象取引につきましては、それぞれの事業者が行う業務に併せて、銀行であれば預金口座の開設、200万円を超える現金の受払いや10万円を超える現金振込、あるいは宝石・貴金属等取扱事業者であれば200万円を超える貴金属等の売買契約を締結する場合といったもので、それぞれの類型に合わせた形になっております。このような本人確認義務の対象取引がありますと、本人確認記録の作成・保存義務、あるいは取引記録の作成・保存義務が課される仕組みが犯罪収益移転防止法の仕組みでございます。法律上のミニマムの要件として、支払人についてだけ記録して、その後トレースしていく仕組みではないかと思っております。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

続きまして、関参考人よりご発言をお願いしたいと思います。

○関参考人

楽天の関でございます。本日は、説明の機会をいただきましてありがとうございます。

私のほうからは、資料9-3に従いまして、弊社の企業の概要とポイント・システム、それから関連する支払関連のサービス等につきましてご説明したいと思います。

1スライド目でございまして、この図にありますように、弊社はインターネット上でさまざまなサービスを提供している事業を行っております。そのサービスの提供に関連して決済プラットフォームの提供、それから楽天スーパーポイントという名前の企業ポイントの提供を行っております。これらにより、マーケティング的に事業の拡大に努めているという事業を行っております。

2スライド目でございまして、こちらは会員数の推移を示すものでございます。データベースへの統合の度合いにより、2系統ございますが、広い意味での楽天グループ会員という数字でいきますと、直近の第2クォーターでは約4,800万人の会員を擁しております。これらに対して会員サービスを提供していることになります。

3スライド目でございます。弊社のメイン事業はショッピングモールといった形態でございまして、弊社自身がインターネットで物を販売しているというケースではないのですが、弊社のショッピングモールに出店していただいた店舗が通信販売事業者なのですけれども、その売上の合計額を流通総額と称しております。そのようなものの流通総額のグループ全体の総額がこのグラフで表されたものでございます。年々拡大して、2007年におきましては、1兆円を少し切るぐらいの規模になっております。

以上が楽天グループの事業の概要でございまして、以降のスライドでは、楽天スーパーポイント・プログラム、それから支払サービス等につきましてご説明いたします。

4スライド目でございますが、弊社のいわゆる企業ポイントと言われるサービスでございまして、インターネット上では、恐らく世界で初めてこのポイント・プログラムを本格的に導入したと考えております。目的は、第一義的にはロイヤリティの促進と顧客のリテンションでございます。加えまして、サービスが幾つもあるのですが、セグメントを越えたビジネス機会の増加ということで、1スライド目の楽天エコシステムという弊社の事業全体の中でのクロスセルの増大を目指した仕組みになっております。4スライド目の下にありますように、ポイントを貯めることとポイントを使うことにより、顧客の満足度を増大させる仕組みになります。

5スライド目でございますが、ここに、もう少し楽天スーパーポイントの仕組みについて触れております。付与方法は利用金額に応じて、原則1%、キャンペーン等がある場合には少し違う付与方法をするのですが、すなわち税別で100円につき1ポイントを付与することになっております。また、その利用するときには、種々の条件はあるのですが、基本的には1ポイント1円相当として利用することが可能です。

この利用というのは、後ほど説明しますが、お買い物をしたり、他のポイント・システムに交換したりという形になります。

有効期限につきましては、通常のポイントは、最後にポイントを獲得した月を含めて1年間一応有効でございまして、その間何も利用がない場合には失効することになっております。それ以外に、期間限定ポイントがございまして、キャンペーンごとにその期間を設定しております。1か月とか2か月とか、期間限定のポイントになります。

発行原資につきましては、弊社の出店している通信販売事業者であります出店者が負担するもの、あるいは弊社自身が負担するもの、そのようなものが交じっている状況です。

6スライド目でございますが、この楽天スーパーポイントを使い、いろいろなマーケティング的な施策をとり、販売量の流通総額の拡大を目指しております。その指標になっているものの幾つかをお示ししたグラフが6スライド目でございます。左側がユニーク購入者数です。あるクォーター3か月間に実際に弊社のサービスを利用して購入した人の数で、直近では、約633万人がお使いいただいているということでございます。

右側のグラフにつきましては、それらの方々の平均購入回数で、直近では3.28回、一人一人の方が購入していただいている回数でございます。その辺のマーケティング手段として、ポイントの施策において7スライド目で少し説明しているのですがクロスユースします。普通のサービスを使っていただくことを促進するために、例えば3つのサービスを使った方にはポイントを2倍つけますとか、3倍つけますとか、そのような形で施策をとった結果、年々、複数2サービス以上の利用の率がどんどん高くなっています。このような、例えばマーケティングの手段として使っているという例でございます。

利用者の満足度を高めるという趣旨で、ポイント交換というサービスも行っており、8スライド目にございますように、これらの数十社の企業と提携を結び、相互に交換する場合と一方向に交換する場合とあるのですが、それぞれ交換することができることになっております。交換レートにつきましては、いろいろな条件がありますので、個々の提携先ごとに決めている状況です。

消費者保護への対応ということで、9スライド目に記載しておりますが、会計上は他社と割と似ていると思うのですが、基本的には、ポイントの未利用残高に一定の率を掛けたものをポイント引当金として流動負債に計上しております。この引当率につきましては、直近までの実際の利用率等を踏まえて決めております。

その金額が10スライド目の左側のグラフに書いており、ポイント引当金の推移も年々拡大している状況でございまして、直近の第2クォーターの金額で、60億円を少し下回るぐらいの金額になっております。発行額につきましては、公表しておりませんので、引当金の推移でお示しさせていただいております。

以上が、マーケティングのツールということでのポイント・システムの説明でございます。以降、支払サービスに関連するものを幾つかご紹介させていただきたいということで並べております。

11スライド目でございますが、楽天キャッシュというサービスでございまして、先ほどのポイントプログラムとは少し別のもので、いわゆる電子マネーという形でサービスを提供しているものでございます。お客様にこの楽天キャッシュをご購入いただいて、楽天のサービスの中でお買い物等に使っていただいたり、あるいは他の方にこのキャッシュを送ることに使っていただいたり、最終的には、一定の条件で元の現金に返るといったことができるようなサービスでございます。ただ、これは楽天がエンドユーザーに対しては間に立っているのですけれども、基本的には、キャッシュの発行は銀行が発行している形になっております。ですから、発行元の発行者である銀行が、発行するものを楽天のサービスの中で使っている、提携関係を結んで使っている、というような仕組みになっております。

12スライド目でございますが、これはいわゆるエスクローサービスでございまして、オークション等のサービスにおいて、代金の支払に使っていただいているものでございます。

13スライド目でございますが、楽天市場というものは、ショッピングモールのサービスに限った数字になっております。ショッピングモールサービスであります弊社の楽天市場というサービスにおきまして、決済方法がどのようになっているかという割合で、2008年の第2クォーターの数字ございます。クレジットカードによる決済が約60.7%、それ以外の銀行振込、代金引換、コンビニの支払、そのような決済を合わせたものが約39.3%という割合になっておりまして、クレジットカード決済が非常に多い状況でございます。

以上、弊社のサービス、事業等について説明させていただきました。

以降のスライドは、この決済に関するワーキング・グループの議論に関連しまして、弊社がいろいろ関連するサービス等を行う者の立場として、このような視点でも検討していただきたいということで少し論点をまとめさせていただきました。

先ほどの、事務局の説明の中にも入っている論点もございますが、一応少しご紹介させていただきます。全体の話として、1.総論にありますように、消費者保護が非常に重要な観点ではもちろんあるのですが、過剰な規制がかえって消費者利便の阻害、場合によっては、コストが高くなり過ぎて、サービスを止めるというケースもあり得ます。さまざまな利便性の高いサービスが出てこなくなるおそれもあり、イノベーション阻害のおそれもありますので、そのようなことにならないように、法的な規制は、非常に慎重に検討していただきたいというのが基本的な姿勢でございます。

以下、個々の要素について申し上げます。2.前払式支払手段につきましては、基本的にプリカ法上のイコールフッティングの観点から、規制対象が拡大するという理解はしているのですが、そもそも前払式支払手段とは、どのようなものなのかということを、十分定義について、検討する必要があるのかなと思います。特に電子マネーから他の電子マネーとか、あるいはポイントへの交換といったものについては、消費者が自らの判断で明示的な意思表示をしております。そのようなものをどのように評価するかということについては、いろいろな議論を重ねるべきだろうと考えております。

15スライド目でございますが、3.ポイント・サービスにつきましては、先ほどの資料で説明しましたように、そもそものポイントは顧客のリテンション、あるいはクロスセルによる販売の拡大等、あくまでマーケティング手段として設けております。発行についても、景品・おまけとして発行していることもあります。そのようなことですので、幅広い流通性とか汎用性を前提とした支払手段のような性格ではないことを強調しておきたいと思います。

それから、例えばポイント交換も論点になっていますが、ポイント交換につきましても、利用者の視点では、ポイントの活用方法の1つでしかないということが言えるのではないかと思い、対価性との関係をぜひ考慮していただきたいと考えております。

それにも関係することですが、ポイント交換において、利用者との間で対価を支払う直接的な関係はございません。あくまで事業者間での事実的な処理にすぎないということでございますので、そのようなことも考慮していただきたいと考えております。

また、金融規制を課すほどのトラブルがあるのかということですが、当社もそのようなトラブルを認識していないということで、規制については疑問を持っております。

それから、4.資金移動サービスにつきましては、電子マネーの汎用性・流通性といった点が、あくまで加盟店に限定されており、比較的少額なものですので、その辺は非常に限定されているのではないかということで、送金業務も含めて、銀行に準ずる金融規制を課す必要があるのかということについては疑義を持っております。

最後に、16スライド目でございますが、収納代行サービス等につきましては、エスクローも含まれるとは思うのですが、基本的には通信販売の決済方法、支払方法として広く活用されておりますので、過度な規制にならないようにぜひお願いしたいということでございます。これにつきましても、大きなトラブルになっているという認識もございませんし、基本的には、受領代理権等があるということが担保されればいいのかなと考えております。そのようなことをぜひ考慮していただきたいということでございます。

私のほうの説明は以上でございます。ありがとうございました。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

続きまして、丹野参考人よりご発言をお願いしたいと思います。

○丹野参考人

全国消費生活相談員協会の丹野でございます。今日は意見を申し上げる機会を頂戴してありがとうございます。

今日は、決済について論点とされる事柄につきまして、消費者つまり利用者の立場から、利用者はこう思いますということを申し上げたいと思っております。消費者、利用者の立場でございますので、非常に素朴な意見になってしまうかと思いますので、そのおつもりでお聞きいただければ幸いです。

では、私のほうも資料を用意しましたので、その資料に従い、順にお話をさせていただきたいと思います。

最近は、非常に多様な決済手段が消費者に提供されるようになってきました。IT、インターネットの世界が、あっという間に消費者に普及してまいりまして、決済の多様化が進んだことで恩恵を被るようになってきたのです。その便利さの裏腹に危うさと申しますか、本当に大丈夫なのだろうか、法的安定性が担保されているのだろうか、という点にいささか心配がございます。私たちが便利なものだからということで、日常的に大変浸透しているスキームを疑問も持たずに無心に利用しているわけですけれど、それはそもそも根拠がしっかりしているのだろうかと考えております。もちろん、例えば適切に規制をしているはずの免許業者である保険会社でも破綻します。そのようなときには、結局最終的な被害者はリテールである消費者ですが、そのようなことも踏まえて申し上げれば、少なくとも消費者が安心して利用できるため、思ってもいない落とし穴に落ちないため、一定の制度整備は欠かせないものだと考えております。まだトラブルが起きていないというお声も当然あると思いますが、トラブルが起きる前にその便利さの終着駅が消費者被害にならないためにも、安定した土俵を消費者に提供することが行われなければいけないのではないかと考えております。

1番目の前払式支払手段についてでございます。

これは、商品券の時代からございますので、20年前に前払式証票規制法ができましたが、いわばそれに守られて、消費者が、テレホンカード、図書カード、ビール券など、ある意味で安心して使ってきたものだと思っております。プリペイドカードについては、消費者にとって大変利便性が高く、使用スキームについての認知度も大変高いということで、余りトラブルはないのではないかと実は思っているのですけれども、法の内容自体は知られていない状況でございます。

IC型についても、利便性が高く、使用スキームの認知度も高くなってきてまいりました。ただ、電子マネーが大変いろいろな形で出てきたのですが、余りに多機能を包含しているため、決済だけに限って言えば、それが前払式支払手段なのか、クレジットカードのように後払いなのかというところの判別が大変難しいわけです。その辺の理屈を理解して、消費者が使っていらっしゃるのだろうかという点では、非常に疑問がございます。消費者の理解だとか認識だとかを上回るスピードで実態のほうは、どんどんどんどん先に行っているのが現実だと思います。ですから、例えば電子マネーでトラブルが起きたときに、カード1枚にいろいろな事業者が乗っているので、だれに何が言えるのかという部分がよくわからない現状でございます。

それから、前払式証票全体について申し上げれば、20年前にできた法施行以降、苦情は一定程度ございます。ほとんどが発行体の倒産に関するものです。倒産して使えないとか、所持者がそれを後から知るとか、そのような苦情がございます。それから、それに伴う換金といいますか、現金に換価するところの部分でトラブルがございます。もともと事業者が、例えば倒産、破綻しない場合には換金できないことは、ある意味では消費者側はあきらめているといいますか、広く周知されている事実ですが、倒産時にはやはり話が別だと思っていますので、換金してほしいとトラブルになります。あとは、例えば買ったときは1万2,000円の価値があったのに、実際に使うときには1,500円の価値になりました、みたいな購入時と消費時の価値の相違がございます。

それから、今サーバ型というものが言われているのですが、消費者はサーバ型とそれ以外を区別しておりません。そもそも区別があること自体認識しておりません。全く同じ経済効果ですから、同じルールでないことが消費者の想定、理解を超えております。サーバ型とそれ以外につきまして、消費者の使用実態と認識から考えれば、同一ルールが当然適用されてしかるべきだと考えております。

2番目のポイント・サービスについてでございます。

当初のスタート時点では、確かに顧客の囲い込み、エンクロージャーの一環としての性格、販売促進上のおまけ以外のものではなかったことは、私もそう思っておりますし、多数の消費者がそう思っているのだと思います。ただ、現実には、家電業界、クレジット業界、携帯電話業界、航空機業界その他、さまざまなところでポイントが、非常にクローズアップされてきております。当初、値引きの対価だった部分からスタートして、ポイントでの支払がそこの中では可能になってきて、さらにそれが進み、他社とのポイント交換までが可能になってきている事態が起きております。そうしますと、そのような意味では、ポイントを各事業者、業界がいわば生んで育ててはぐくんで、大きく成長させてきました。どこへ行くのか、どこまで行くのかという問題はありますけれども、その結果が現在だと認識しております。取扱事業者の信用性を背景に、既に一種の擬似通貨として、広く使用できるようにしてきたのではないかと思っております。

消費者側もそのポイントに対して、制約はあるけれども、大変便利に使えることに有用性を認めて、なおかつ、ポイントを一種の擬似通貨として既に認識して、ポイントを獲得することは金銭を獲得することだという理解になってきていると思います。この現実をどのように受け止めるかということだと思いますけれども、実態としてこれだけ大規模に普及して、ポイントを持っている人が、それを通貨的に使おうとする人が増えたことからすれば、消費者に与える影響は大変大きいわけです。消費行動に与える影響と消費者の認識という観点から言えば、ポイントに対して一定の制度整備が行われるべきであります。少なくとも倒産したとき、消費者トラブルが増大することはもう火を見るよりも明らかですので、そのようなことが行われなければいけません。逆に一定の制度整備が行われることで、少なくとも、例えばプリペイドカード、前払式証票と同程度の制度としての安定性を消費者に与えることができるのではないかと考えております。

3番目の収納代行サービスと4番目の代金引換サービスについては、ほとんど同じようなことを考えておりますので、一緒にお話をいたします。

収納代行サービスについては、資料のとおりでございまして、消費者から見て利便性が非常に高く、トラブルも大変少ないです。銀行口座振替に代わるものとしてもう既に定着しております。そもそも、収納代行サービスという言い方が、消費者には何のことだかわかりません。むしろ、「コンビニ決済」と言うほうが大変わかりやすいのではないかと思います。そのように言えば、すぐわかるのではないかというほど、既に日常的なサービスとして我々は使用しています。

その場合消費者は、銀行とコンビニエンスストアの差、例えば法的な効果という難しいレベルの話ではなくても、例えばそれにセーフティーネットがあるのだろうか、ないのだろうか。分別管理が適切に行われているのだろうか、どうだろうかというレベルです。消費者から見て、自分が支払った相手から本来の債権者に行くまでのお金を渡す、いわばトンネルみたいなところ、そこの仕組みや内容を全く意識しておりません。知らないです。消費者にとって代金決済は単なる手段、ツールに過ぎませんので、適切に決済されればいいわけです。口座振替よりも便利だから選択している状況だと思われます。

代金引換サービスについても同様でございます。収納代行サービスと同様に利便性が高く、一応消費者トラブルはあると書きましたが、ほとんど代金引換サービスそのもの、いわゆる代引きサービスそのものというよりは、消費者と代金引換サービス以前の販売業者によるものがほとんどでございます。これが代金引換サービスではなくて、代金引換郵便でも、いきなり商品を送ってきて、家の人がわからないでお金を払ってしまうというレベルのトラブルはあります。この2つの収納代行サービスと代金引換サービスを両方とも消費者は隔地者間の決済方法ということで、自分の都合に適した方法を選択しています。在宅しているなら代金引換サービスを使い、外出して払うならコンビニ決済を使うというような格好で選択しているのが日常です。

ただし、例えば事業者が倒産した場合、領収書があるから本当に守られるのだろうか。本当に分別管理が行われているのだろうか、その点が分かりません。これだけ消費者の生活に密接に定着しているサービスですが、少なくとも一定の制度整備がされていないのであれば、されるべきではないかと思います。脆弱な事業者の場合を考えればそうですし、余り言いたくはありませんけれども、悪質事業者の参入ももちろんあり得るわけで、そのような疑った見方をしたくないのです。万が一に備える必要があるわけですから、安心して暮らすためには、制度整備が欠かせないのではないかと考えております。

5番目はエスクローサービスでございます。

ネットオークションの消費者トラブルは実は非常に多くございます。ネットオークションは本来C to Cで行うものですが、事実上B to Cも事業者が消費者のふりをして参入しているために両方のトラブルがあります。C to Cの場合は、消費者は売り手にも買い手にもなります。オークションでは代金決済で大変トラブルが多いので、エスクローサービスはインターネット上の決済手段で安心ということを、例えば消費生活センターでもご紹介しており、消費者の信頼を受けております。ただし、エスクローサービスを実際に行っている事業者の信頼性について、法的根拠が本当にあるのかという部分では、やはり首を傾げざるを得ません。分別管理についても全くここまで述べてきた他のサービスと同じで、不明でございます。これも一定の制度整備が不可欠ではないかと思います。その制度整備を行うことにより、インターネットは割と悪質事業者が参加しやすいスキームですから、悪質事業者を事実上排除することができるのではないかと思っております。

最後ですが、決済は、消費者にとって目的達成のあくまでツールであり、手段です。投資のようなものとは全く違って、消費者がリスクを引き受けるものではないと考えております。例えばお金を増やそうとする行為を、その目的をもって行動するのであれば、消費者もリスクを引き受けなければいけないかもしれません。例えば自分で理解できる商品を買いましょうとかということが、当然そのようなことがあるのだと思いますが、決済に関して、そこまで消費者に要求されるものかと思っております。消費者は払ったお金が確実に相手方に収納されるか、もしくは最悪それがかなわないのであれば、時間的経過があっても払ったお金が100%戻ってくると認識しています。その期待自体は、非難されるべきものではなく、正当なものだと思っておりますし、裏切られるべきものではないと思います。そのような意味での確実性を適切に担保する必要があると思っております。

消費者にとって、収納代行、代金引換、エスクローなどの資金移動サービスは、やはり安心して暮らすための日常的決済手段だと思います。先ほど、トンネルと申し上げましたけれども、そのようなところの仕組みや消費者を守る機能について、消費者は知らされていない現状の中で適切に制度を作っていかなくてはいけません。今後さらに、もっと決済手段の多様化が予想される中で、既に行われている各種サービスは利便性の高さでこれだけ消費者に受け入れられております。消費者の日常に浸透している今、一定の制度整備を行うことで、消費者にとってわかりやすい安心して利用できる合理的な制度となることを期待しております。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からのご説明や関参考人、丹野参考人のご意見に対するご質問、ご意見を含めまして、順次論点についてご議論をいただきたいと存じます。

まず、1.前払式支払手段に関する制度整備について、ご質問、ご意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

翁委員、どうぞ。

○翁委員

3ページに書いてありますが、供託、保証以外に倒産隔離が可能な信託などを認めることについては、どのぐらいニーズがあるかわかりませんけれども、その未使用発行残高の保全という観点で、より多様な手法が提供されることは望ましいことだと思いますので、このような方向で考えるべきではないか思います。

○岩原座長

ありがとうございます。

その場合、さらに具体的な制度として、信託を使う場合、例えば破綻が起きたときの残高の配分をどうするか、あるいはさらに細かい話をしますと、信託といっても自己信託もあるわけです。そこら辺のところは、高橋決済システム強化推進室長からお願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

3ページにも書かせていただいていますように、今ですと供託あるいは金融機関の保証で一度供託所にお金が入ってからそれを財務局のほうが精査して、証明書みたいなものを持っていくとお金がもらえるという仕組みです。その分配に関するコストはいわば税金で負担している形になっています。信託を使ったときに引き続きそのような仕組みがいいのか、あるいは信託報酬を毎年払っていただく必要があるのですけれども、その信託報酬部分はどうするのか、あるいは信託の受益人として利用者の方にお金を返すのだと思うのですが、その手続も信託銀行に行っていただくと費用が発生します。その分は、国が行わなくてもいいということになるのですけれども、そのような点まで考えるとどこまで緩和ができるのかなというところがバランスの問題としてあります。今の制度は、そこをいわば利用者のために、国が全面的にバックアップするのかという感じで行っているのですが、非常に大きな破綻があった場合には国だけで賄い切れないのではないか、そのような面も考える必要があるのではないかと思っております。逆にそのような点も含めて、利用者あるいは事業者、最終的にコストを負担するのはどちらかですが、そのようなところまで負わしていいのだろうかというところが考えるべき点だと思っております。

○岩原座長

実務的に制度をつくるとなると、いろいろ考えるべき点は多いということであります。確かに、多様な民間のこのような制度をなるべく活用したものを考えたいと思います。その場合には、今言ったような技術的な面は、適切に押さえていく必要があるかと思います。

ほかに何かございますでしょうか。

この前払式支払手段に関する制度整備については、ほかにございませんか。今までの議論でも、前払式支払手段に関する論点については、特にここに書いてあるような論点については、皆様に余りご異論はなかったような印象を持っておりますが、大体そのようなことでよろしいでしょうか。

1ページのところにあります、このIC型とサーバ型との間でイコールフッティング、レベルプレイングフィールドが実現されるような、また利用者保護からしても同じ程度の利用者保護が図られるような制度整備を考えてはどうか、ということについては、基本的に皆様ご了解であるということでよろしいでしょうか。

2ページ以下はいかがでしょうか。3ページあたりに書いてあることになると、かなり具体的な制度についての議論になっております。ここら辺については、ご議論があるかと思いますけれども、いかがでしょうか。

3ページのこの矢じりみたいな三角形のところに書いてあるのは、最初の2つは基本的に現在の前払式証票規制法の制度を維持して、それを前払式支払手段一般に関する制度にしてはどうかという発想で書かれております。ただ、今までこの前払式証票規制法のこのような枠組みの是非については議論があったところでありますので、この際、何かご意見があれば。いかがでしょうか。

古谷委員、どうぞ。

○古谷委員

サーバ型の事業を行っております立場で、以前にも発言させていただいておるのですが、基本的にサーバ型については、現状の前払式証票規制法の中で定められている枠組みで、今後我々も対応することで基本的に賛成というか、そのように考えております。一応確認のために発言をさせていただきます。

それと、現状の前払式証票規制法は、運用上というか実務的に考えましても、特に我々事業者として問題があるとは考えておりません。非常に実質的にうまくいっている仕組みではないかと理解しております。

以上です。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

ほかに何かございますでしょうか。

古谷委員のご意見は、ここに書いてあるような未使用発行残高の2分の1の供託義務の水準ですとか、あるいは届出、登録等の枠組みについても大体現行と同じように考えてはどうかということです。

ほかに何かご意見ございますでしょうか。

宮沢委員、どうぞ。

○宮沢委員

私も古谷委員と同意見でございます。イコールフッティングの観点で、現行プリカ法は、前払式証票全体の信用力といいますか、非常にすぐれた法律ではないかと思います。この法律のおかげで、大変に電子マネー等が普及していると思っております。そのような意味で、イコールフッティングの観点で行っていただければいいかなと思います。3ページ目の矢じりみたいな三角形の3つ目のところにあります自家型のものに対する監督規定の整備、これもぜひお願いしたいと思います。これも前回、前々回にお話したことですけれども、一部の自家型カードの破綻により全体の信用力が失われてしまうことがないように、ここはぜひ全体のレベルアップという意味で、適切な監督規定の整備をお願いしたいと思います。

以上でございます。

○岩原座長

ありがとうございます。

ほかに何かございますでしょうか。

特にご意見はないということでよろしいですか。

そうしますと、先ほどご議論のございました、信託ですと還付手続をどうするというようなことは、ここに書かれている問題点ということで、これは仮にこの方法を考える場合は、今後詰めていかなければいけないことかと思います。

さらに進みまして、4ページ付近です。ここですと換金・返金の問題が書かれております。これは実務的にも問題になるところであり、利用者、消費者にとっても実際上、問題になり得るところかと思いますが、ここら辺についてご意見等はいかがでしょうか。次の5ページにかけてです。

この矢じりみたいな三角形は、今までここでいただいたご議論、ご意見です。その後の5ページの○は事務局のほうでさらに問題を整理して、このような考え方ができないかということで書いていただいているわけですが、いかがでしょうか。

宮沢委員、どうぞ。

○宮沢委員

5ページの○の2つ目のところでございます。事業者の選択により換金・返金的なことを例外的に認める必要があるかどうかということで、この辺もいろいろご議論させていただいたかと思いますが、幾つかの案が小さい・で書かれていると思います。この辺につきましては、今後どのようなプロセス、どのような形で詳細が決定されていくのか、そこには実態を踏まえたいろいろな調査をしていただいて、経済実態に合ったような形での決定が望ましいと思います。そのようなプロセスがされていくのかどうか、その辺を少しお聞きしたいと思います。

○岩原座長

この3つの・で言えば、選択的な案として書かれているわけです。

高橋決済システム強化推進室長お願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

今のプリカ法には換金・返金については何も規定がありません。それで出資法との関係という議論があったかと思うのですが、そうしますと法律を整理するときに換金・返金について何らか行っていいとか、行ってはいけないとかを書いた方が望ましいのだろうという発想でお伺いをしています。仮に原則廃止であれば、そのような趣旨で法律の整備を考えるのだろうと思います。

ただ、現実、今まさにご指摘をいただきましたように、経済実態に合わせるということですが、Suicaの場合は、現に換金・返金されておられます。それがまたできなくなってしまうような制度は困ると思います。そうしますと、原則としてプリカの性格を守る、余り変えないように原則廃止だとわかるようにしつつも、何かSuicaがやっておられるような換金・返金は別に構わないという趣旨をどのように表すのかというとすごく難しくなります。最後にもう考えつかないことになると、一番下のようなことでいくしかないのか。あるいは数値基準ということであれば、どのぐらいの数字、あるいはいろいろな事業者の方から聞いて、その数字をめどに、そこのくらいまでだったら変な利用ではないのではないかという推定が働ければそこまでは換金しても、理由の如何を問わず換金していいというようなことなのか。あるいは事由を欠いたら、その事由どおり行っているかどうかということで判定すればいいのか。というようなことぐらいしかとりあえず思いつかないので、ここに書いてありますという趣旨であります。

それを踏まえて換金・返金ができるとか、できないということを適切にしてあげたほうが出資法との関係で疑義がなくなり、より望ましいことではないかという趣旨でございます。

○岩原座長

宮沢委員、どうぞ。

○宮沢委員

ありがとうございます。

個人的には・の3つ目にありますように、事業者の任意に委ねるという形でも、私はいわゆる自浄作用といいますか、事業者側も当然不適切なサービスを提供しますとユーザーには選択されません。ユーザーに選択されるようなサービスの向上を含め、一定の自浄作用があると考えられますので、3番目の・でいいのではないかと考えます。仮に一定割合と決めるほうがいいということであれば、その際にはぜひさまざまな事業者の実態を調査していただき、現在の経済実態を阻害しないような形での方向付けをお願いしたいと思います。

以上でございます。

○岩原座長

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

4ページの4つ目の矢じりみたいな三角形のところは、まさに賛成ですが、これを行っていくためにはどうしても、今宮沢委員のほうからもお話がありましたが、何らかのルールをつくる必要があろうかと思います。5ページ目に書かれていますように、実際に3つ目の・のところでいうと、どのように監督するのかということも出てきます。2つ目の・のところの一定期間中の発行総額に対する一定割合、私どもでいうと、例えば四国には私どもの場合は店舗がないわけです。四国に転勤することになり、仮に私どもの行っているnanacoのサービスの残高が2万円あります、換金してほしいということになったときに、基本は換金しないですが、運用上でサポートするだとか何かは行っているのです。ですから、限りなくそれは発行総額からいって1%にも満たないような額になろうかと思います。Suicaの事例だとか他の事例も確認していただいた上で、無理のない範囲で枠を設定していただくことが実務運営上は、やりやすいのではないかという気がしています。

以上です。

○岩原座長

それでは、原委員。

○原委員

私も換金・返金はやはり例外的に認める必要はあると考えています。事務局のほうでこの3つの・を考えてくださっていますけれども、今日ここで決めるということではなく、幾つか実際におやりになっていらっしゃる事案をもう少し出していただき、ある程度限定的に書き込めるものは書きます。そしてプラスアルファでこの事業者の任意に委ねるという3つ目の・を書かれるのが適当かと思います。それで、事業者の任意に委ねた場合においても、条件はやはり個別に約款などで明らかにしていただきたいと思います。あまりにも事業者優位であれば、消費者契約法に基づき、今消費者団体が団体訴権を使用して差止請求を行うことができますので、そのような仕組みとも組み合わせて、制度設計ができるのではないかと思います。

以上です。

○岩原座長

ほかにありますか。

最後のこの・の事業者の任意に任せるというのは、1つ間違えるとそれこそ出資法の趣旨に反するようなお金を預かり、実際に運用する事業者も出てくる可能性もあり得るのです。そのような乱用的な使われ方はしないように押えることは必要だろうと思います。現在のEUの決済サービス指令ですと、返金をむしろ法制上強制する代わりに、銀行に近い厳しい規制をすることになっています。あまりにもそれが厳し過ぎる規制のため批判も出ているところです。自由化を進めると、一方で出資法の潜脱的な利用が行われないような押さえをいかに工夫するかという点が、問題になってくるかなと思います。

ほかにありますでしょうか。

よろしいですか。

はい、川本委員。

○川本委員

今のところですけれども、この「事業者の任意に委ねる」ことと、「監督規定により対応する」が同じ文に入っていると、金融庁のお仕事が増え過ぎるのではないかと思うのです。とても判断が難しい案件が出てきてしまうような気がするので、なるべく上の段階でケースを書き込んでいただいたほうがいいのではないかと思います。

ちなみに、1つ上の○は「事業者の都合で有効期限を短くする場合」とか、余りにも細かいことまでおっしゃり過ぎているような気がいたします。廃業はいいと思うのですが、廃業以外の場合を多分一生懸命お考えになっての結果だと思うのですけれども、このようなところまで規定する必要があるのか、少し私には疑問です。

○岩原座長

米澤委員どうぞ。

○米澤委員

今の点に関連して1つ具体例を申し上げます。NTTのテレホンカードで一時IC化を推奨してICテレホンカードを売っていったことがあるのです。最近になってIC対応はもうやめるということでやめて、ICテレホンカードを持っている人は換えてくれることになりました。多分あれは換金してくれるのではなくて、IC型でないものに換えてくれるのか、あるいは度数量と相殺してくれるのか、NTTの料金の体系の中だけでの振替だろうと思うのですが、私の経験ではそのIC型の変換は禁止的に手続が複雑です。どこの電話局でも交換してくれません。何か外郭団体に電話して申込書を送ってもらわないといけないということで、申込書を申し込んだけれども一向に申込書が来ない、金額が小さいからあきらめることがあります。事業の廃止ではないけれども、テクニカルリーズンというか、設備上の理由で使えなくなることがあるので、そのような場合は、マイナーな話かもしれませんけれども、やはり消費者保護という観点が必要ではないかという気がいたします。

○岩原座長

そのような例はやはり出てくるかと思います。どこまで制度として書けるかということはあるかと思いますけれども、やはり実質的にそのような場合は出てき得ると思うのです。

ほかによろしいでしょうか。

それでは、次に6ページで大口の場合と小口の場合を区別するかどうかという論点が出されていますが、これについて何かご意見はございますでしょうか。

確か前ここでご議論がございましたように、中には数百万円という極端に高額のものもあることはあるようですが、そのような場合と、通常使われているせいぜい数万円ぐらいの場合と、その間で何か違った制度的な対応をする必要があるかどうか、何かご意見ありますか。

古谷委員。

○古谷委員

少し確認ですけれども、大口か小口かの議論をすることについて、その趣旨というか目的ですけれども、私自身が理解できていることが2点あります。1点は大口については、消費者保護や資産の安全性が必要であると思うのです。もう1点は、恐らく不正な犯罪によって得たお金を不正に送金する手段として使われる可能性があるという意味合いの2点だと私自身は理解しているのですが、そのような理解でよろしいのでしょうか。

○岩原座長

恐らくは、最初の金額が大きければそれだけ保護の必要性も大きいのではないかということは大きい視点だと思います。そのほかに金額が大きい場合、一種の金融資産的な扱いになり、出資法的な問題が出てくるかもしれないという側面もあるかもしれないという気はいたします。

よろしいですか。古谷委員、どうぞ。

○古谷委員

その場合、以前の議論の中で小口が幾らなのかという議論があったと思います。その場合は、単純に小口が幾らなのかという1つの概念定義の議論でしかないような感じがしたので、全然目的がはっきりしなかったと思います。以前の議論の中で、我々電子マネーを行っている事業者からすると大体30万円ぐらいの金額までを小口と認識してサービス提供を行っています、と話をしたかと思います。実は、小口は3万円ではないか、5万円ではないかという形で、我々の事業の今想定している小口の概念が制約されるような議論に進みかけているのではないのかと少し危惧しております。本来の目的、趣旨というのは、最初に私が申し上げた2点だとすれば、そもそも一般消費者が30万円のものを購入するのかどうかというような議論ではなく、例えば1億円を送金されるようなおそれがあるのかないのか、あるいは1億円を預けた場合に、半分しか保証されないのか、というような議論であればまともだと思います。小口かどうかということよりは、むしろ大口かどうかという部分での議論に重点を置いた方がいいのではないかと私は今考えております。

○岩原座長

ほかに何か、この点でのご意見はございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

はい、宮沢委員。

○宮沢委員

今の大口、小口について、本当に分ける必要があるのかという議論でございます。このワーキング・グループの目的は、イノベーティブなサービスを提供していくこと、それから支払手段を多様化して多くの事業者、参入事業者を増やしていくことにより競争を促し、よりサービスをよくしていくことが目的かと私は理解しております。その意味で、このような前払式支払手段は支払手段の多様化に貢献していくのではないかと考えております。特にインターネットでの決済等では、クレジットカードでの支払でいいという方もいらっしゃれば、番号の入力が不安であると、特に主婦の方や女性の方に多いと聞いております。そのために、なかなかEコマースが進展しないこともありますので、非常に安心・安全な手段としての支払手段の多様化により競争を加速し、決済の競争によって、より改善をしていくようなことが重要ではないかなと考えております。その中で、先ほどの資産の安全性とか不正送金のようなことが起こらないような仕組みをつくっていけばいいのではないかと考えております。余り30万円の支払はクレジットカードでいいのではないかと決めつけることは、利用者にとって支払手段を限定してしまうことで、そのような必要はないのではないかなと考えております。

以上でございます。

○岩原座長

金額の多寡による区別は、設けないほうがむしろいいというご意見ですか。

○宮沢委員

事業者のほうの自浄作用といいますか、今当然私どもも上限5万円という形で運営をしておりまして、これは利用者が紛失するリスクを考え、そのような自主規制を設けているわけでございます。非常に危険なサービスであれば利用者は利用しないということで、自然に選ばれていくという観点からしますと、自浄作用というところで十分効力があるのではないかと思います。現在のプリカ法の中でも、社会的な問題が起きているわけではないと考えております。

以上でございます。

○岩原座長

利用者の意向、そのような選択でどこまでやれるか、まさに先ほど、丹野参考人のご指摘の問題でもありますし、また同時にいろいろな視点があり得ると思います。先ほどから出ておりますように、そのような利用者保護以外にも出資法的な問題が出てこないか、あるいは犯罪防止等の観点の問題が出てこないか、いろいろな視点があり得ると思います。その幾つかの視点から見て、普通は、余り利用されないようなかなりの巨額のものについては、少し別に考える余地があるのかなという論点としてはなお残るという感じは持っています。

よろしいでしょうか。

古谷委員どうぞ。

○古谷委員

今の話でいきますと、事業者の自浄作用の1つの事例として例を挙げさせていただいて、参考にしていただきたいのですが、Edyという電子マネーのケースもありましたけれども、我々のウェブマネーのケースですと、20万円ぐらいの金額が支払できるような枠組みとか、あるいはクレジットカードで電子マネーを購入する際には5万円までとか、そのような枠組みを設けているのです。以前にも少し問題になっておりました、複数のアカウントを利用して、匿名性を利用して多くの金額をそこで購入する場合の保全の仕方、安全性を守る方法として、我々のほうで、実例を少しお話します。例えば偽造のクレジットカードが使われて、商品購入をされるケースがあるのです。そのような場合は、我々のほうで例えば5万円とか、あるいはチャージ単位を低くすることによって、連続的にその100万円分を購入しようとしているとか、そのような動きがトラッキング、要はログとして適切に管理監視できるような仕組みを持っております。ですので、例えば出資法の問題で、例えば100万円、200万円というお金をそこにチャージして、それを不正に何か活用しようという動きがもしあった場合、そのような情報を適切に警察のほうにも協力することはできます。犯罪が行われたりした場合にも、適切に足跡が残るところがサーバ型の特徴でございます。それは紙の商品券であるとか、そのような足跡が残らない手段とは明らかに違う点です。そのような形で、事業者自身が持っているいろいろな防止手段もございます。そのような部分を行政の中での不正防止に生かしていただくという形であれば、あえてその事業のスタイルそのものを変更しなくても目的を達成できるのではないかと考えております。

○岩原座長

監督規定により対応するということは、そのような体制が適切にできているかどうかをチェックすることになるだろうと思います。

それでは、もしよろしければポイント交換についてのご意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。ポイント・サービスです。

原委員、どうぞ。

○原委員

まず質問からですけれども、資料の9-3で楽天からご説明をいただいたところのポイント交換が8ページに資料として付けられているのですが、ここのご説明をもう少し詳しくしていただけないかと思っております。相互交換をしているところが3社、それから楽天のスーパーポイントへの交換が28社ということですけれども、この相互交換がスーパーポイントへの交換というものの市場規模ということでしょうか。今、どれぐらいの規模の取引でしょうか。どのようになっているのかということと、それからこれまでもこのポイント・サービスについてはいろいろと議論を重ねてきて、それについては今日のこの資料の中にも紹介されています。先ほど丹野参考人がおっしゃられたように、出だしはおまけだとしても、今はもう擬似通貨としての機能を持っています。特に、この相互交換で挙げられている各社あたりには、そのような印象が非常に強いです。実際どれぐらいおやりになっていらっしゃるのかということと、それから、最初はおまけとしてスタートしたとしても、今は相互交換の市場が非常に魅力のある市場になっていて拡大していくという感じを印象として持っているのです。それは楽天としても同様な印象を持って、ここは拡大していく業務だと、縮小していくのではなく、拡大していく業務だという認識を持ってこの事業を行っておられるのかどうか、その2つです。今の実情、それから将来の姿は拡大なのかというところをお聞きしたいと思います。

○関参考人

まず、ポイント交換についての説明をもう一度ということですが、8スライド目です。繰り返しになるかもしれませんが、左側のANA、TSUTAYA、LAWSONの3社につきましては相互に交換ができまして、それぞれレートは違うのです。楽天スーパーポイントが何ポイントに対して、例えばANAのマイルが何マイルという形で交換ができます。これは利用者の明示的なリクエストに基づきその交換作業を行うのです。交換後は、そちらのANAのマイルとして使うことができます。そのときに、裏では結局発行主体である楽天とANAとの間でポイントの売買が行われているという状況になっています。それが相互に行われるということです。

一方、片方しか行われていない会社が28社ございます。こちらのほうは、楽天スーパーポイントに交換するパターンのみサービス提供をしております。交換の裏の仕組み等は先ほどの相互交換とほとんど似通っているのです。結局、いろいろなところで資料の中で説明しているのですが、あくまでマーケティングの手段としてお客様におまけ・景品として付与しております。それが後々弊社のサービスの中でお買い物等に使えることがメインといいますか、本来そのような目的で発行しているのです。弊社としては、できるだけ弊社のサービスの中で使っていただくことがうれしいわけです。お客様の利便等、あるいはポイント自体の魅力等も考慮して、ポイントの交換もサービスとして提供しています。基本は弊社の中でのお買い物等に使っていただくことが、事業者としては望ましいということもございます。無限定に交換する方針ではございません。ですから、マーケティング的な効果、あるいは弊社の事業全体の効果、いろいろな個々の判断要素に基づき、交換の相手先、あるいは相互なのか片方なのかを個別に決めて行っているのでございます。

そのようなこともございますし、あと擬似通貨の話につきましては、あと、規模につきましては、公表しておりません。この場ではお答えを差し控えさせていただきたいのですが、使うに当たって、いろいろな条件が当然付いております。例えば、ほかの人に譲渡できませんとか、そのようなことがございまして、基本的に擬似通貨という意味で言うとそれほどの汎用性・流通性はないと理解しております。したがって、あくまでポイントはポイントで、そのような通貨的な性格を持つところまでには全然至っていないと考えております。

それから、相互交換の市場につきまして、縮小するか拡大するかという点については、ポイントを発行する主体、あるいはポイントそのものの総体が拡大すればそれにつれてポイント交換の需要も実態も拡大するのかなと想像しております。先ほど申し上げましたように、弊社として交換の部分を積極的に何か進めたいという事業上の戦略を今持っているというものは特にございません。

以上でよろしいでしょうか。

○岩原座長

よろしいですか、原委員。何かさらにありますか。

○原委員

しかし、実際にはマーケット、楽天の中でのお買い物に使ってもらうことですから、やはりそこには金銭的な価値でしょうか、金額としての価値があると、私は取引だという印象があります。それから、これからどのような市場になっていくのかは、やはりこれまでなかったところに登場してきた新たなサービスというところがあって、このポイント・サービスが市場の中でどのような役割を占めていくか、まだ測り切れないところはあります。かなりやはり消費者にとっては、魅力的な市場に見えているところはあって、それが多分楽天としても広げてきておられるというところになるのではないかと思っております。前回か前々回も申し上げましたように、現状ではなくて、やはり将来形の姿の中での制度設計を考えていただきたいと思います。

以上です。

○岩原座長

ポイントについてほかに何かございますか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

私はこの手の楽天のようなポイントは擬似通貨であるとずっと申し上げてきている立場でございます。今日のご説明では、発足当初の目的を強調していらっしゃるのですけれども、それがどうであれ、もう既に擬似通貨として、さまざまに交換されるようになっていることのほうに着目して、制度整備を考えていく必要があると思っています。それも結果としてなっているのではなく、とてもユニークな表現を使っておられましたが、事業者の間での裏での実質的な処理をしているからとおっしゃるのですけれども、それは当然そのようになることを想定して行っていらっしゃることだと思います。擬似通貨でなく、単におまけだと言われても、消費者のほうはお金だという認識が非常に強いということです。

それから、楽天の今日の説明の中で、スーパーポイントと楽天キャッシュを分けて説明しておられるのですけれども、この会議が始まる少し前楽天から、カードを持っている利用者の私のところに、「現在ご利用いただけるポイント」の通知メールが届きました。スーパーポイントのうち楽天キャッシュ幾ら、といった表現になっているのです。2つを混ぜて使うことが想定されており、ホームページ等で詳しく説明があるように、どちらを優先して使うかを選ばせる形です。もうこれは通貨以外の何者でもないと思います。

以上です。

○岩原座長

はい、関参考人。

○関参考人

まず、1つ、裏で行っているという説明で少し語弊があったかもしれません。あくまであるA社、弊社から、別のポイントに交換するときに、利用者から見れば交換先のポイントがもらえることですけれども、それの実務的な、ビジネス的な処理の仕方として、利用者から見えない部分で、その場合は弊社がその相手先のポイントを買って利用者に渡す金銭のやりとりが事業者相互で行われています。そのことを、少し裏で処理が行われているという表現をさせていただきました。そのようなことで、別に何か裏で隠れて行っているという趣旨ではございませんので、誤解なきようお願いします。

それから、スーパーポイントとキャッシュにつきましては、これは利用者の利便のことも考慮しまして、できるだけメールでのお知らせも含めて、ポイントの残額、キャッシュの残額については、一覧にして見えるような仕組みでいろいろなお知らせ等を提供させていただいています。しかしながら、もともと、性格的には非常に異なる仕組みでございます。ですから、お客様のほうにおきましては、明確に電子マネーであるキャッシュを使うのか、あるいはポイントであるスーパーポイントを使うのかという区別をしていただいた上で、お買い物に利用していただいているとご理解いただければいいと思います。そのようなことで、かなり性格が異なるということです。

それと、あともう1点、今少し説明が足りなかったのですが、スーパーポイントのほうはあくまでも元々が、お客様にとって付与する前提が楽天のサービスで何かお買い物をしていただいたとか、旅行していただいたとか、そのようなことに伴って一定割合でポイントを付与することでございます。対価を得て発行するような性格のものではないという時点で、根本的に違っていると考えておりますので、よろしくお願いします。

○岩原座長

高橋委員。手短にお願いします。

○高橋委員

今の表現の中で、私の説明が悪かったのでほかの方に誤解があるといけませんけれども、スーパーポイントとして、私に付与されている中にキャッシュで得たものも入っているわけです。例えば1万円使うときに5,000円ずつにするのか、あるいは7,000円と3,000円にするのかを決めるにしても一緒に使えるので、使うほうの感覚からすると、それはあくまでもスーパーポイントというマネーです。そういう感覚を持っている消費者の気持ちをお汲み取りいただきたいと思います。そのようなところからトラブルが発生したときに、そちらの思いと消費者側の思いとの齟齬が生じると思います。

○岩原座長

別所委員、どうぞ。

○別所委員

ポイント交換のところについてだけ1点、前にも申し上げたかもしれませんけれども、ポイント交換のところはポイント交換をしているからといって、そこでポイントの性質が変わるものではないと考えております。ポイント交換を行うときに企業間で金銭のやりとりをすることがありますけれども、これは出す側からすると、自分たちのマーケティングの費用をどれだけ出そうかというところです。受取側は、相手方のマーケティングのために無償で協力する必要は全くないので、そこで一定の金銭を受け取っていると、どのようなところで決まってくるかというと、出す側の需要と受ける側のいわゆる媒体価値です。ポイントを発行している媒体価値でその金銭の金額が決まってくるというところで、ポイントの対価としての金銭のやり取りが行われているわけではないと、発行している側とか受け取っている側では思っているというところであります。

あとポイント交換の専業の人たちがいるのですけれども、この人たちの位置づけをどう考えるのかということです。私どもが直接行っていないので、そのようなところを使う側の立場から言うと、彼らのビジネスはどこにあるかというと、アクワイアラーと呼んでもいいのですけれども、アグリゲーターなのではないかと思っております。そのアクワイアラーとかアグリゲーターを使うことで、1つ1つの会社と交渉することなく、多数の会社と同時に同じようなことが実現できるというところの役割を果たしているのだろうと思います。そのような役割を果たしているところは、物の性質を変える必要はないですし、変わるという理解もありません。そこは、ビジネスの実態と果たしている役割との性格づけを総合的に見た上でご判断いただければいいかなと思っております。

あと、蛇足ですが、何回か擬似通貨という言葉が出てきておりますけれども、強制通用力があることが通貨の基本です。擬似通貨という言葉だけが一人歩きするのは極めて危険だと思っております。ここは印象として、通貨っぽく使えるかもというお話だと理解させていただいております。

○岩原座長

鈴木委員。

○鈴木委員

1つだけ。マイルを発行している立場ですけれども、お客様から見ると何にでも使えるように見えるというご指摘があったのですが、魅力的に見える相手と組むことがマーケティングの基本です。お客様からそのように魅力的に見えることは、本当は戦略として、非常にマーケティングの戦略として正しいと思っています。しかしながら、当然それに対して、先ほど楽天やヤフーもありましたけれども、負うリスクと得るマーケティング力とのバランスでそこは制限されるものですから、そこはご認識いただきたいと思います。私どもこれはその効力がなければ、発行元は提携も考え直すというのが皆様ポイントを行っているところの基本的な立場だと思っております。

○岩原座長

池尾委員。

○池尾委員

もう時間切れになってしまうのですけれども、私、今日意見表明いただいた楽天の最後の決済WGの議論に関してというところについて、コメントに対してコメントしたいと思っております。ただ、内容的には、2.為替取引に関する制度の柔軟化のほうにむしろ専らかかわる論点になるので黙っていたのです。参考人として今日来られているだけですので、次回以降メンバーではないので発言してもいいですか。

○岩原座長

では、2の問題を含めてご発言ください。

○池尾委員

ご説明いただいた資料の14、15スライド目のところで決済WGの議論に関してとあり、コメントされているのですけれども、少し失礼な言い方ですけれども、前提の認識が違うような気がして、現状自由ではないのです。現状、我が国には、悪法かもしれませんが、既に、出資法とか銀行法という非常に過剰な規制をかける法律が存在しているのです。だから、現状では、電子マネーに関する送金業務は、銀行でない者が行えば違法です。しかし、違法ですけれども、目こぼしされているのか何か、そのような非常に法的に不安定な状態にあって、それがデフォルトです。だから、何でも自由にできるのがデフォルトで、それに規制をかけようという話をしているわけではなく、今は非常に違法行為なのかどうか、わからないような法的に不安定な状態にあります。そのようなリーガルリスクを除去して法的安定性を与えましょうという議論をしているのです。今日だけではなく、この決済に関するワーキング・グループの議論に関して世間的に誤解が何かあり、今は自由なのに規制強化をしようとしているみたいな話で受けとめている方がいるわけです。今は決して自由ではなく、過剰な規制が行われていることが現状で、それによってイノベーションの可能性がつぶされていることが常に現状なわけです。その現状を改善しようとしている議論をしているということは、少し了解していただきたいと思っている次第であります。

○岩原座長

大変適切なご指摘ありがとうございます。私もそれが申し上げたくてしようがなかったのです。どうも基本的な認識の違いがあるようです。

関参考人、どうぞ。

○関参考人

そのような意味で、いろいろな論点をあえて提示させていただいたということが、この最後のほうの3枚でございます。これを踏まえて、いろいろな議論をしていただければいいのかなと思っております。1点だけ少し補足しておきますと、現状の法規制は、いろいろ過剰だとおっしゃられるお話もあります。ある中で、できるだけ少し余りグレーな部分といいますか、そのようなことに踏み込まないようにするというふうな、したいということもございまして、弊社の電子マネーである楽天キャッシュにつきましては、銀行を発行主体として仕立てております。そのような意味で、できるだけ利用者にとっても安全な形で事業をやらせていただいているということで、できるだけ弊社もルール化の議論には参加させていただければと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

私の不手際で後半のほうの議論に実質的に入る前に、時間が来てしまいました。制度の柔軟化につき、先ほどの高橋決済システム強化推進室長のご説明を皆様お聞きになって、従来とは、少し違った形で整理されているとご認識いただけたと思います。高橋決済システム強化推進室長が、このような前回までと違った形でこの9ページ以下のような問題整理をしていただいたというのは、まさに今池尾委員からご指摘いただいたように、現状が、過剰な規制であるところをどのように柔軟化していこうか、という出発点を確認していただき、そこからどこまで柔軟化ができるか、柔軟化する場合には、どのように行っていけばいいかという形で、この9ページ以下の問題の整理をしていただいたものであります。そのような形で今回のペーパーは整理されています。それを前提に次回ご議論いただきたいと思います。

それから、丹野参考人には大変有益なご意見をいただきまして、ありがとうございます。丹野参考人は次回以降おいでいただけないので、何かこの際、もしここで一言おっしゃりたいことがあれば伺っておきたいと思います。

○丹野参考人

時間ももう押しておりますので、一言だけございます。先ほど擬似通貨というところが、要は言い過ぎなのではないか、という多分ご趣旨のお話だったと思うのです。先ほど来申し上げておりますように、通貨というものは私のレベルでいうと、いつでも、どこでも、だれでも使えるものが通貨だと、このようにとても素朴に思っております。そこの部分では、場所の制限やら何やらありますから、通貨ではありません。しかしながら、実際に実態を見ていればそれで交換をしたり、決済をしたり、商品を買ったりするわけです。そのような意味では、通貨に違いないのではないかという趣旨で申し上げたので、擬似通貨の定義で論争するつもりはありません。どうぞよろしくお願いをいたします。

○岩原座長

はい、どうもありがとうございました。

今日は、後半の為替取引に関する制度の柔軟化のところは、大議論になるかなと期待しておりましたが、私の不手際で残念ながらそこには余り踏み込めませんでした。それでは、次回ご議論いただくということにさせていただきたいと思います。

本当に、先ほど申しましたように、今回非常によく後半のほうの問題点を整理していただいていると私は理解しております。このペーパーに従って次回は、皆様から率直なご意見をいただきたいと考えております。

それでは、本日の議論はこれぐらいにさせていただきたいと思います。ただ、前半のほうについては、かなりもう意見の集約ができてきているように思っております。今後は、この後半のところについて、集中的にご議論をいただきたいと考えております。

最後に、事務局から連絡がございましたら、お願いしたいと思います。

○高橋決済システム強化推進室長

芝﨑委員からご意見をいただいたのですが、時間の関係でご紹介いただけませんでしたので、次回もう一度配付させていただくということでよろしいでしょうか。

それから、今、机に置いてあるファイルは過去の資料でございますので、よろしければ置いていっていただければありがたいと思います。

それから、次回の日程につきましては、また正式には追ってご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○岩原座長

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

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