金融審議会金融分科会第二部会「決済に関するワーキング・グループ」(第11回)議事録

1. 日時:

平成20年11月26日(水曜日)15時00分~17時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室


○岩原座長

それでは、時間でございますので、決済に関するワーキング・グループ第11回会合を開催させていただきます。

メンバーの皆様におかれましては、大変お忙しいところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は神田委員、高橋委員がご欠席と伺っております。

さて、前回ご案内してございませんでしたが、第9回会合において楽天株式会社執行役員渉外室長の関様を参考人としてお招きし、ご意見を伺いましたが、ご意見を十分に述べられなかったため、再度ご意見を述べられたいということでございましたので、本日、参考人として楽天株式会社代表取締役会長兼社長の三木谷様と関様をお招きしております。

また、佐藤委員、芝﨑委員、別所委員からご意見をいただいておりますほか、これまでのご議論に基づき、事務局よりペーパーが用意されております。

本日は、まず参考人の三木谷様からご意見を伺い、引き続いて佐藤委員、芝﨑委員、別所委員からもそれぞれご意見を承った後、事務局から議論の整理(案)についてご説明をいただき、その後、これらを踏まえまして、前回に引き続き全般についてご議論をいただきたいと存じております。

それではまず、三木谷参考人からご説明をお願いしたいと存じます。

よろしくお願いします。

○三木谷参考人

楽天株式会社の三木谷でございます。お忙しいところお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

先般、当社の関のほうからいろいろとご説明をさせていただいたと思っておりますけれども、私のほうから、この決済という問題とインターネットショッピング、Eコマースというものは切っても切れないものかなと思っておりますので、その辺の全体像も含めまして少しご説明をさせていただきたいと思います。

ご案内のとおり、現在アメリカを中心とするサブプライムローン問題の中で世界的に景気が後退する中、インターネットショッピングだけは世界中でまだ伸びていっているという状況にございます。我々もアメリカでリンクシェアという会社を運営しておりますけれども、Eコマース自体は、普通の一般の小売が全くフラットな中で、大体プラス10%から15%ぐらいの勢いでアメリカは成長しておりまして、実はこの金曜日がブラック・フライデーとインターネットの世界では言われております。非常に大きなセールスがありまして、その次にサイバー・マンデーということで、本当にサンクスギビングとクリスマスを前にアメリカのネットショッピングは盛り上がってきているところでございます。特にその中で、ウォルマート・ドットコムとかメーシーズ・ドットコムとか、そのような非常に大手のいわゆる今までの小売事業者がネットに出てきています。徐々にネットショッピングというものがいわゆる嗜好性の高い通信販売という色彩から通常の小売と流通というところまで入ってきているのかなと思っております。

スライドを使いながら少しご説明をさせていただきたいと思います。お手元に資料はございますでしょうか。

まず、楽天の現状というお話をさせていただきます。楽天グループは、現在時価総額が約7,000億円から8,000億円の間ということで、世界で5番目か6番目のインターネット企業になっております。ほかの企業と違うところは、2人から始めまして、ベンチャーキャピタルは全くなく、現在従業員数約5,000名、大体楽天市場あるいは楽天トラベル、そのようなものでいわゆる間接的に雇用されている人が約20万人から30万人ぐらいいるというような事業にこの13年間で成長してまいりました。直接的に楽天へ出店している店舗数は2万5,000店舗ということで、去年から1年間で約4,000店舗増えておりますが、2009年末には3万店舗を超える見込みになっておりまして、取り扱っている商品数も2,000万アイテムを超えてきております。

2ページにいっていただきまして、現在のEコマースの状況でございますが、引き続き成長をしております。特に注文件数は30%近い成長をしておりますが、現在の足元でいうと、やはり景気の後退によって家電製品であったりワインであったり、そのような高額商品については多少の鈍化が見られるかなということでございます。

ところが、3ページにいっていただきますとおわかりいただきますとおり、私も日本は結構Eコマースでいけているのかなと思っていたのですが、やはりGDP比で見ますと、英国では1.4%、アメリカでは1.5%というレベルまで来ております。日本はそれに比べると半分ぐらいということで、まだまだネットショッピングの普及の割合は低いのかなと思っております。

今、EUでは、この後にも触れますけれども、我々のほうにもとにかく早く楽天みたいな会社をヨーロッパにつくってくれと言われております。インターネットショッピングにおいては、例えばアマゾン・ドットコムのように自らが販売者になるパターンと、楽天のようにマーケットプレイスとして中小の企業を支えるタイプと2つあるわけです。我々の出店者は大半が地方の企業でございまして、その地方の中小の事業者が非常に小売・流通の統廃合が進む中、最後の食いぶちとして楽天のようなサービスを活用して生き残りを図っているということでございます。実態等見ましても、楽天の出店者でいうと地方のほうが大体、対前年比でプラス40%ぐらい伸びていまして、東京の出店者よりも好調であるということになっています。

このネットショッピングというのは世の中に何を意味するのかと4ページに書いてございます。先ほど申し上げましたとおり、実はECが発展していくと価格競争がより激化し、そして流通の統廃合とコンソリデーションが起こると言われていたわけです。一方、消費の多様性が非常に出てきておりまして、楽天の中でも、今までは買われなかったようなラーメンとか、食品であったり、あるいは漁師の方や農家の方が直接出店をしているというような形になっています。例えば京都の和服業界ではもうインターネット、楽天なしでは我々は生き残れないというようなことも言っておられまして、特にいわゆる少量多品種の日本の伝統的な商品をつくっていらっしゃるところにとっては極めて重要な位置づけになってきております。

5ページに書いてありますけれども、現在、日本の中では経済産業省が2015年までに10兆円ということを目標にやっていこうということでやっております。その下に、参考でございますが、EUは今ペイメントも含めまして非常に自由化を進めて、2010年までに現在の約2.7倍のEC規模─2006年に比べ、2.7倍ということで、物すごい力を入れてやってきております。我々のところにもいろいろな国の政府、しかもほぼ一番トップに近い方から直接ぜひ来てほしいという招致を受けているような次第でございます。

このようなインターネットショッピングを支えておりますのがこの決済ということでございます。例えば我々が海外進出するときも何が一番大きなポイントになるかというと、やはり物流と決済ということでございまして、物流がなくて決済がなければインターネットショッピングは成り立たないわけでございまして、行き着くところ、物流と決済がネットショッピングビジネスであると言えるのかなと思っております。

現在、楽天の中の流通における決済方法でございますが、60.7%がクレジットカード、27.9%が代金引換、7.3%が銀行振込、1.7%が郵便振替、1.5%がコンビニ決済、0.9%がその他となっております。このペイメントというのはすごく重要でございまして、楽天でもいろいろな消費者向けのサービスを提供しております。例えばショッピングしたときに「楽天あんしん支払いサービス」を外部サイトへ提供しているほか、これ以外に内部でも、楽天の場合はもし万が一商品が届かなかった場合は50万円までは全額補償しますという方法で、消費者のほうも安心してお買い物をしていただけるサービスもどんどん進めていっているところでございます。昨今でいうとこのチェックアウト機能、グーグルもグーグルチェックアウトというのを始めていますけれども、決済機能だけを提供するような事業も出てきております。この辺も為替と判断するのかどうなのかというようなことも非常に微妙になってくるかもしれないなと思っている次第でございます。

一方、今回、この決済に関するワーキング・グループの中でポイントというのも1つの議論に上がっていると聞き及んでおりますので、楽天のポイント・プログラムについてご説明をさせていただきます。楽天は世界で最初にポイント・プログラムをインターネット上に導入した企業と言えるのではないかなと思っております。今までのポイントとは違って、何を買ってもポイントがたまり、何でも使えます。ただし、1%だけですよということでやっているわけでございますが、このポイントの原資自体は2つありまして、1つは出店者が負担するものと、もう1つは楽天株式会社自体がプロモーションの目的で負担するものがございます。

9ページへいきまして、これに関していろいろな新しいマーケティングの仕組みを非常にエンターテイメント性高くやっております。通常会員はレギュラー会員、シルバー会員、ゴールド会員及びプラチナ会員ということになります。私もよく自己紹介を受けるときに、私はプラチナ会員ですとか、私はゴールド会員ですとか、そのように言われる方が非常に多いです。そのプラチナ会員が何でそんなにメリットがあるかというと、実はメリットがそんなにはないわけですけれども、このような少し楽しみながらお買い物をしていただくということがネット上のショッピングにおいては非常に重要なことなのかなと思っております。

ポイント交換の実態でございますが、現在、まず、相互交換がございます。楽天のポイントから例えばANAのマイレージへの交換もできるし、ANAマイレージから楽天への交換もできます。これがANA、TSUTAYA及びLAWSON、この3社とは相互交換でやっております。一方、楽天スーパーポイントへの一方向の交換しかできませんというところが28社ございます。要するに、ここでは、例えばJCBのポイントを楽天のスーパーポイントに換えられると、この一方向でございまして、逆はできないということになってございます。

これがどのような効果をあげてきたかといいますと、結果的にやはり顧客のリテンションに非常にうまくワークしておりまして、11ページの右側のグラフですけれども、平均購入回数が3回と、徐々に上がってきているということとともにそれ以上に、12ページを見ていただきますと、楽天のクロスユース率と私どもは言っていますけれども、例えば楽天市場というショッピングのサイトと楽天トラベルを併用している人、あるいは楽天証券を併用している人、このように併用している比率がどれぐらいあるかということですけれども、2005年の12月には24.5%だったものが2008年6月で35.5%、毎年4%ずつ伸びておりまして、今年の12月で37%ぐらいの併用比率ということになっていきます。

13ページに概念図が書いてあるのですけれども、楽天経済圏を設定しまして、いろいろなところからお客様に入ってきてもらい、そして複数のサービスを使っていただければ、多少でございますけれどもポイントを増やすサービスを提供することによって、このサービスをやってきております。この後触れますけれども、これは非常に大きな革命的な発想だと思っております。すなわち、アメリカでもネット企業というのは、結局ネット財閥という形でいろいろなサービスを持つのですけれども、シナジーを生み出しません。ところが、楽天だけは本当に1つのブランドネームでいろいろなサービスを統合的に使えるというふうに展開してきています。それはブランドネームを1つにしたことが1つ目です。2つ目はIDプログラムを統合したことです。3つ目はこのポイント・プログラムが1つであることが非常に効いてきているのかなと思っております。

ところが、やはり楽天のスーパーポイントの問題点というのは、人にあげることができないということで、14ページにいきますけれども、我々のほうとしては、やはりメールでやりとりできるほうがいいということで、楽天キャッシュを考えたのです。違いといいますと、楽天スーパーポイントは発行主体が楽天、楽天キャッシュは東京都民銀行が発行しております。楽天スーパーポイントについては前払いはなし、楽天キャッシュについてはクレジットカードあるいは東京都民銀行にある口座で買うことができます。性格としては、楽天スーパーポイントとしてはいわゆる企業ポイント、楽天キャッシュとしては電子マネーでございます。楽天スーパーポイントは譲渡不可ですけれども、楽天キャッシュは送信可という形になっております。ネット上でも我々の企業はあくまでもポイントとキャッシュを分離させている状況にございます。

では、そのネット上のポイントはなぜ有効かというお話をさせていただきます。まず今までのポイントは、単純に何となくこのカードには何ポイントたまっているのだろうかということでポイントカードを持っていたわけです。ネット上のポイントは携帯も含めましてCRM(Customer Relationship Management)に使えます。すなわち、その方が買った履歴等いろいろな行動履歴に合わせたカスタマイズされたプロモーションをすることができます。単純にポイントでつなぐだけでなく、それに絡めた形でいろいろな商品をご提案することができるところが、非常に今までの単純なポイント・プログラムと違うところだと思っております。それからもう1つ、即時性という意味において非常に有効であると思っています。

例えば、我々のほうでは期間限定ポイントと通常ポイントを2つ出しています。期間限定ポイントは、このポイントをあなたたちに差し上げますけれども、例えば10ポイントとか50ポイントとか100ポイントを差し上げますけれども、このポイントは例えば3週間でなくなります。極論を言えば、3日間でなくなりますとか、そのようにすることによって、よりクーポン的に使うことができるということで、非常に有効なわけでございます。その配付の仕方も、今までは実際に来店していただかなければポイントはお渡しすることができなかったわけですけれども、ネット上で行うことができるということで、まさしく日本が生み出した非常に重要な戦略的な商品なのではないかと思っております。

16ページ以降では海外がどのようになっているかということでございます。

皆様ご存じのペイパルです。イーベイはなかなか苦戦していますけれども、ペイパルは非常に調子がいいという状況になっているぐらい好調なサービスでございます。私もイーベイのCEOもCFOもみんな友達です。彼らはこれはこれでインディペンデントなサービスであると考えてやってきております。見ていただきますと、売上だけで大体14億ドルですから、1,400億円以上になります。取扱高に関しましては、2006年で大体3兆5,000億円です。もう4兆円ぐらいに達しているということでございます。

銀行ではないのにこのようなことをするのはけしからんではないかと思われる方もいるかもしれませんが、中国に行きますとこれと似たようなサービスがいっぱいございます。例えば一番大きい会社はこのアリペイという会社で、皆様アリババという会社はご存じかと思いますけれども、B to Bでは本当に最大の会社でございます。あとはタオバオという個人オークションの会社をやっております。中国で一番の問題は、やはりクレジットカードが使えないことと、現金回収を代金引換でやっても代金を運送会社の社員がねこばばします。本当にこのようなことが一番問題で、ちなみに私が出資しているダンダンという会社(dangdang.com)もその問題があったので、どのようにしているかというと、まず運送業者のアルバイト社員から先に金をもらっておいて、その社員が行ってお金を回収します。それまでは10%ぐらいはポケットに入れていたという問題があって、もうからないということがありました。どうするかというと、先にもらうことにしました。これで完全回収できるようになっておりまして、本当に中国はいろいろなことを考えるのだなと思っています。このアリペイもこのようなことがあるから一応インターネットショッピングについても成り立っているという状況でございます。アリペイだけではなく、もう1つ99Billというアリペイに対抗するサービスもございます。登録者は2,900万件、提携企業は18万社以上ということになっております。

でも、それは海外の話だろうということで言い切ってしまうこともできるわけですけれども、今、例えばイーベイのIRとかに行っていただくとわかると思うのですけれども、最も注目されているEコマースは、実はクロスボーダー取引というのが非常に注目されているわけです。例えばアメリカの商品をヨーロッパに販売する、あるいは楽天も始めていますけれども、日本の商品を海外に販売するという形でやってきています。今までインターネットショッピングで起こったことは、例えば北海道の事業者が九州の人に単品で物を販売することは考えられなかったし、夢にも思わなかったわけですけれども、そのようなことが実際には実現して、彼らの商業圏は非常に大きく広がったわけでございます。よくよく考えてみると、北海道から福岡よりも明らかに東京からソウルのほうが距離的にも近いわけです。言葉、あるいは関税の問題等があり、インターネットを介した国際取引はあまり行われてこなかったのですけれども、ここに来てものすごい勢いで増えてきております。特に円高が進むと、個人が直接海外のサイトから買う動きは非常に活発化してくるであろうと思っております。それから欧米です。日本、アメリカからヨーロッパ、これはもう非常に大きい取引になっていますし、それから、これからは日本から非常に魅力的な商品を海外に販売をしていくということもできるということです。

楽天も一応、楽天国際配送を始めました。90%以上は海外の人が買っていくという状況になっていますけれども、1つ、クレジットカードに関しては問題があります。やはりクレジットカード詐偽が非常に多いということで、現段階ではペイパルを使用してお支払をしていただくという形になっております。

何が言いたいかというと、つまりネット上の為替を考える場合は、国際的なことも考えないといけないのではないかということです。私は専門家ではございませんので細かいところまで、何がどのように抵触するのかはよくわかりません。しかし、私も最初にやった仕事が日本興業銀行で外国為替の送金業務でした。昔、1件送金するのに基本手数料で4,500円いただいていたわけです。プラス大体1%ぐらいいただいていたわけですけれども、もうそのような時代ではなく、個人も非常に安く海外へのペイメントができる時代になってきます。

特に、物もそうですけれども、コンテンツの売買です。これに関してはこのようなペイメントは出てくると考えます。クレジットカードでやればいいではないかという議論もあると思うのですけれども、海外のクレジットカードはなかなか受けがたいところは大変正直言ってあります。詐偽が多いという問題があって、VISA、マスターも含めて、3Dセキュアも含めていろいろやっているのですけれども、やはり発展途上国も含めて、そんなには普及してこないということになってくると、このペイパルライクなサービスが非常に重要であって、日本の今皆様が考えている法律上でいうと、これはできるのかできないのかということで、私どもの結論は、できないからとりあえず東京都民銀行とやろうという形になったわけです。正直言って、銀行でやるとなると、なかなか重くて動かないというところがございまして、ワークしないというのが正直なところでございます。

もう1つ、このポイントを使った新しい試みでありますが、アフィリエイトというのが今どんどん普及してきております。楽天も楽天アフィリエイト、リンクシェア、トラフィックゲートということで、アフィリエイトマーケットで非常に大きなシェアを得ております。アフィリエイトとは、だれか紹介してくれたら売上の何%をあげますというサービスです。個人に非常に少額な決済が発生するということで、銀行為替というわけにはいきませんということがあって、楽天では小額の人にはポイントでお支払をするという形にしておりますし、高額の人は楽天キャッシュで現金化できる形でお支払をしているという形になってきます。

その中、21ページです。これもアメリカでやっているサービスですけれども、One Causeという全米で約2万団体ぐらいの、例えばエイズの団体であったり、がんの団体であったり、ペット保護の団体であったり、あるいはコミュニティースクールであったり、いろいろないわゆるNPO、NGO、学校法人、宗教団体等が参加しているアフィリエイトサイトがございます。ここを経由して買うと、そこの団体にその一定のパーセンテージがキャッシュバックされるということで、自分の買ったもののうち大体2%から5%ぐらいがそういう団体に寄附されるというサービスでございます。私も何がいいのか最初はよくわからなかったのですけれども、やはり非常に役立ってきております。ですので、今はこれは単純にキャッシュですけれども、今考えておりますのは、これをポイント制にして、そのたまったポイントを好きな慈善団体に寄附ができる、環境団体にでもいいですし、何か信仰家であれば宗教でも構いません。そのような形にしようということで、アマゾンとかイーベイとか名立たるところは全部参加しているサービスでございます。ですので、申し上げたいのは、このような寄附みたいなところもこれからポイントは絡んでくるということでございます。

それから、22ページ、もう1つ、このポイントエクスチェンジというところも議論になってきていると思っております。ネットの世界では、直接的な代替がきかなくても別な形で実現できるサービスがいっぱいあるわけでございます。何でネットエクスチェンジみたいな話とかが出てきたかということでいうと、一番世界で成功しているリワードプログラムというものにネクターというイギリスのサービスがあるわけです。これは、世界最大のスーパーマーケット、セインズベリーとか、大手のデパート、アメリカンエクスプレスとか、あとガソリンスタンド等が参加して、6,000店舗、クロス企業でいろいろなサービスでポイントがたまるという形になってきております。結局のところ、ポイントエクスチェンジもいわゆる連合型ロイヤリティープログラムも変わらないといえば変わりません。どちらがもっとエフィシエントかというと、ポイントエクスチェンジのほうがより柔軟で、しかも消費者にとっては非常にメリットのあるものではないかなと思っております。

以上が私のほうのご説明ですけれども、いろいろな議論がなされてきていると聞いております。しかしながら、申し上げたいことといたしましては、Eコマース、インターネットマーケティングとこのポイントというものは、非常に密接に関連をしているものでございます。そのバリエーションもどんどんと広がってきて、イノベーションがどんどん生まれてきているということでございます。欧米型のグーグルであったり、ほかの検索のサイトであったり、そのようなサービスに対抗する非常に有効な手段としては、このようなポイント・プログラムが考えられるのではないかなと思っているわけです。そのような中、できるだけ規制ということよりも、現段階ではイノベーションを促進していくことが日本の産業界にとって非常に有用であるばかりでなく、消費者にとっても非常に有益になるのではないかなと考えております。

非常にざっとしたご説明で大変恐縮ですけれども、申し上げたかったのは、まだまだ発展系で、しかもクロスボーダーになっていることです。例えば、今実際にペイパルで日本から日本に送金はできるわけです。それを多分、実際に規制することは極めて現実的には難しいし、それと代替するようなサービスは別の形でやれば多分できるだろうと思っております。なおかつ、それから先ほど申し上げましたアリペイにしても、ダンダンにおけるデリバリーの社員から先にお金をもらっていくという方針も、まだまだいろいろな障害がある中、これから解消することによって非常に消費者の利便性が上がっていくところがあると思っております。ぜひ本ワーキング・グループにおいてもそのような可能性と柔軟性を担保した形でいろいろ議論をしていただければと思っている次第でございます。

どうもありがとうございました。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

それでは、引き続きまして佐藤委員からご説明を承りたいと思います。

○佐藤委員

前回の決済に関するワーキング・グループの中で為替取引に関する制度の柔軟化に関する議論がございました。この中で、私のほうからは収納代行サービスに関する件でご意見申し上げたいと思います。

収納代行サービスに関する点で幾つか議論がございましたが、要約を申しますと、1点目が収納代行サービス等と為替取引の関係、2点目が利用者保護について、3点目が債権者保護について、4点目が収納代行サービスを利用した不適切な資金移動の防止について、このあたりに要約されるのではないかと考えております。それぞれにつきましてご意見申し上げたいと思います。

1点目、収納代行サービス等と為替取引の関係につきましては、収納代行サービスは、債権者との契約に基づきコンビニエンスストア等が行う代理受領行為であり、為替取引ではないと考えております。利用者がコンビニエンスストア等にて支払い、領収書を受領した段階で債務は消滅し、決済は完了します。利用者からは「資金を移動することを内容とする依頼を受けている」とは言えず、為替取引には当たらないのではないかと考えております。最高裁判例の5行ぐらいについては飛ばさせていただきますが、矢印のところから、この判例は、いわゆる地下銀行の事案について、個別に事件を処理するために示されたものであり、収納代行や代引きサービスについての法的判断を示したものではないと理解しております。収納代行サービスは、20年以上の実績のあるサービスで、過去に違法性を指摘されたことはありません。また、地方自治体や社会保険庁、国税庁が債権者として本サービスを継続的に利用もしております。

2点目、利用者保護につきましては、今ほどご説明申し上げましたように、利用者がコンビニエンスストア等にて支払を行い、領収書を受領した段階で債務は消滅し、決済は完了します。支払に関する情報は、債権者に速やかに通知されます。併せて、POSレジスターでのバーコードスキャンに加え、別途払込票をスキャンし、データの取込みを行うなど、処理の正確性も極めて高く、二重払いや誤った督促等も発生しておらず、利用者保護は十分に行われていると考えております。

3点目、債権者保護につきましては、コンビニエンスストア等が代理受領した金銭の引渡しに関するリスクは、依頼者又は収納代行事業者が負担する仕組みでございます。支払から債権者への送金サイクルについては、前々回の資料の中にもございましたように、6日から7日間ぐらいでございます。サービス開始以来問題は発生しておりません。併せて、債権者とコンビニエンスストア等の契約において、債務保証の設定も可能になってございます。債務保証を行っているケースもあり、リスクヘッジも十分に行える仕組みではないかと考えております。また、債務保証のコストにつきましては、基本的に債権者よりコンビニエンスストアに支払われる取扱手数料に反映されることになります。リスクが極めて低いことに対し、コストを払ってリスクヘッジをするか否かは、規制によって行うのではなく、債権者である事業者等が判断すべきではないかと考えております。

4点目、収納代行サービスを利用した不適切な資金移動の防止につきましては、事業者の新規追加については、厳格な審査を行っています。業種や事業内容の吟味、公序良俗に反していないか等、徹底した審査を行って、問題が起きないようにしております。万一トラブル等が発生した場合は、収納代行会社とコンビニエンスストアが情報共有し、速やかにトラブルの解決・軽減に努めております。

上記に加えまして、社団法人日本フランチャイズチェーン協会のコンビニ部会におきまして、自主ルールの策定等、より安全・安心なサービスが行えるよう、働きかけをやっております。次のページのところに日本フランチャイズチェーン協会からのまとめ等も添付させていただきましたので、後ほど確認いただきたいと思います。

いずれにしても、健全な自浄作用も働いておりまして、規模の拡大を理由に新たな規制は必要がないのではないかと考えておりますので、ご意見申し上げます。

以上でございます。

○岩原座長

それでは、引き続き芝﨑委員にご説明をお願いしたいと思います。

○芝﨑委員

それでは、お手元の資料をご覧ください。本日は2点に絞って意見を申し上げさせていただきます。

1点目でございます。改めまして、代引きサービスは為替取引に該当しないということをご説明申し上げます。

代引きは、購入者が通販会社に注文をいたします。この通販会社は、先ほどご説明がありました楽天等も含めまして、通販会社に商品の注文をいたします。そして、その通販会社の依頼によりまして、国土交通省の許可を受けた運送事業者が配送の附帯業務として行っているものでございます。

先走って申しわけございませんが、本日の事務局資料の14ページの下から2行目に、後ほどご覧いただければいいと思いますが、「様々な事業者が参入することが予想される」とありますが、再度申し上げますと、これはあくまで許可でございます。許可を受けた運送事業者しかできませんので、これによりまして様々な事業者が自由に参入することは不可能でございます。また、中小の運送事業者の場合はどうかということがあるかもしれませんが、社会的影響が出る大規模事業者も代引きをやろうとすれば、大変な資本と施設、人、そのようなものが必要でございますので、現実性はございません。したがいまして、適用除外という言葉も対象外だと考えますが、様々な事業者が自由に参入することはないと考えます。

また本文に戻ります。ここでは依頼者が販売者であること、輸送があって初めて成立するということでございます。そしてさらに、余談でございますけれども、国土交通省は適正な運送行為の確保、荷主などの消費者保護については、現に貨物自動車運送事業法において厳正に対応しているところであり、国土交通省が対応可能であるという見解を示しております。したがいまして、この見解につきましては、この決済に関するワーキング・グループで発表していただいて結構でございますという言質をいただいております。

さらに、輸送商品と引換えに代金の代理受領をしており、代金の原因関係も明確だと考えます。また先走りして申しわけございませんが、事務局資料の13ページの13行目にございますが、基本的には自宅か店舗かの違いではなく、物が目の前にあってそこで引き換えるということが最大の特徴だと考えております。またもとに戻りますが、あくまで商品の代金だということもここで明確だということでございます。したがいまして、代引きは単なる運送行為による販売支援業だということを改めてご説明する次第でございます。

2点目でございます。仮に新法による届出が必要だというケースがあった場合ですが、下表をご覧いただきたいと思います。

この決済に関するワーキング・グループのテーマは規制緩和であって、同時に消費者保護を求めるものと思います。消費者にとってどのようなメリットを出すかということも大きなテーマだと承知をしております。そこで、前回少しお話をしまして、また事務局のほうの資料にも載っておりました犯罪収益移転防止法について、まず3か所の弁護士事務所に確認をいたしました。すると、3か所の弁護士事務所ともまず同じ答えでございまして、仮に為替行為であるというふうにされた場合につきましては、明らかにこれに該当するでしょうという回答でした。これが該当するということでございますが、そのうち2か所の弁護士事務所からは、現状の10万円の規制と違う見解を出す合理性において疑念があるので、結果としては10万円になるのではないかという回答を得ております。また、もう1つ懸念がございますのは、仮にそのように解釈が変わることができるのであれば、ここで30万円と議論をしても、結局のところ10万円になる可能性もかなり高いわけでございます。結果としまして、これは代金引換だけではなく、収納代行においても同じように窓口でこの規制が入ると考えられるものでございます。

これを前提にいたしまして、この表をご覧いただきたいと思います。消費者の方の得る利益は、新法による届出を行った場合、将来における漠然とした不安の解消でございます。何回かこの決済に関するワーキング・グループの中で「具体的に何かございますか」というご質問をさせていただきましたが、基本的には心配であるということだと思います。ということは、漠然とした不安の解消と理解をしております。

それに対しまして、犯罪収益移転防止法が適用された場合、消費者の被る不利益は、当然ながら本人確認のための書類の準備が必要になります。また、家族であっても委任状の必要がございます。最終的には、これは本人確認帳票の7年保存等がありますので、これらによるコスト等のしわ寄せが結局のところ消費者の方が被る不利益ではないかと考えます。

また、前回の議論の中で売り手のための資金保全というお話がございました。これにつきましても若干触れさせていただき、結論からいいますと、別にこれは消費者の方は何ら利益を得るものではありません。消費者のことにつきましては、過去に何度か申し上げましたとおり、代理受領、物と引換え等で二重請求のリスクはないとご説明申し上げております。そうしますと、消費者の方は同じようにこのためにコスト増によるしわ寄せを受けるということだと理解をしておりますし、そうなるだろうと想定がされます。

これに対しまして、現状の場合どうかといえば、これは先ほど佐藤委員からも出ましたように、収納代行は20年以上にわたり、代金引換も私どもは半世紀以上にわたり大きな問題がなく、今も安全に活用させていただいております。

したがいまして、先ほども申し上げましたとおり、国土交通省も責任を持って管理するという姿勢を示しております。11月20日には、定例会見でも自動車交通局長のほうがそのような発言をなさっております。したがいまして、改めて新たな規制は必要がないと考えますので、ここで再度整理してご意見を申し上げました。

以上でございます。

○岩原座長

それでは、引き続き別所委員にご説明をお願いしたいと思います。

○別所委員

私のほうからも2点ほど意見を申し述べさせていただきたいと思います。

1点目は、送金サービスです。収納代行とか代金引換サービスは少し後に置いておいて、それ以外の送金サービスの部分についてですけれども、銀行以外が行うことができるように法整備を行うことには賛成だということでございます。ただし、現在広く使われている収納代行や代金引換サービスなどのサービスと比較して、利用者の負担が重くなったり、あるいは利用者の利便性が損なわれるものとなるようなことは望ましくないということでございます。特に、イノベーションということですので、過重なものとなってイノベーションを阻害することがないような規律とすることを目指していただきたいということでございます。

ここで「規制」と書かずに「規律」と書かせていただいておりますのは、規律のあり方というのは様々ございますので、必ずしも規制ということだけではなく、いろいろな形での規律というもののあり方を考えていく必要があるかなと思っております。それから、資金の滞留期間の長さやほかのサービスに付随して行われるかどうかとか、いろいろな特徴があると思います。そのようなものも見た上でミニマムなものが何なのかということをぜひ議論していただければいいなと思っております。往々にして規律を考えるときに、理屈で考えていくと重い規律になりがちだというのが実態ではないかなと思っております。ですから、新しい制度を考えるときにできるだけ抑制的に規律のあり方を模索していただくことがイノベーションという観点からは必要ではないかなと考えております。これが1点目でございます。

2点目は、収納代行と代金引換サービスでございます。

これについては前回も申し述べましたように、ほかの送金サービスとは別途の整理が必要だと考えております。講学的な位置づけについて言うと、私どもの見解は前回に述べさせていただいたとおりでございますけれども、そのようなものから演繹していく議論も1つあります。それよりも政策的な観点から、代金等の収受権限を有して代金を受領し、受取人に引き渡すもので、システミックリスクに結びつかないものは、現在の収納代行、代金引換サービスがそのまま適法かつ適正だと言っていただける枠組みを明確にしていただければと思っております。

支払人や受取人が事業者であるか個人であるかという違いはありますけれども、実態的に重大な事故が発生していない事実がありますし、C to Cについては余り触れられている機会がなかったのですけれども、受取人の方々も信頼できる先を選択して行為をしているわけで、どこでも構わないから依頼しているというわけではありません。そのような中に照らすと、受取人保護のための特別な法律的な枠組みが直ちに必要という状況に至っているとは言えないのではないかなと思っております。

そのような選択肢を利用者の方に与えないで、一律の枠組みという必要はないと思っておりますし、収納代行あるいは代金引換サービスの提供会社もリスク管理の観点から不必要に高額なものは取り扱っていない一方で、一定程度の高額なものを扱ってほしいという利用者ニーズも存在しております。この点については、受取人が集金方法としてその事業者を選択して初めて使われるということと、支払人にとっては収受権限が確保されていれば安心して支払えるという点がございますので、この点についても特段直ちに金額の上限を決めていく必要はないのではないかと思っております。

結論的にいいますと、現在普通に行われている代表的な収納代行や代金引換サービスについて、特別何らかの手だてが現行必要だとは考えておりません。それは必要ないですというようなところを明確にしていただく枠組み、これは講学的にどのように整理したいかということはいろいろなご意見はあると思いますけれども、そちらに影響されることなく、実質的にその部分を適切に担保できるような枠組みを明確にしていただければと考えております。

以上でございます。

○岩原座長

それでは、次に事務局より皆様のお手元にございます議論の整理(案)について説明をお願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

今、芝﨑委員のほうからご意見をいただきましたけれども、資料が間に合わず、お時間がないところで申しわけございません。前からのたてつけと同じような形で作成させていただいております。それから、これまで論点として細かいことを挙げさせていただいておりましたが、制度整備に関連する大きな論点に絞って整理をさせていただいております。また、これまでご意見をいただいた趣旨を盛り込む形で、両論ある点についてはそれを紹介する整理になっております。それから、段落が分かれておりますのは、単に読みやすさのために行っておりますので、特段意味があるわけではありません。

すべての論点につきまして一応整理をさせていただいたつもりでございますが、全部を読み上げておりますと、ご議論をいただく時間が少なかろうと思います。論点としてこれまでおおむねこのような方向ではないかという点とまだ確定的に言えないのではないかというところについて表現ぶりを分けているところがございます。そこを中心にご説明をさせていただきたいと思います。

1ページ目でございます。前払式支払手段に関する制度整備ということで、(1)サーバ型の前払式支払手段に関する制度整備、こちらのほうは下から4行目あたりのところですが、サーバ型前払式支払手段を現行の紙型・IC型前払式支払手段と同様に取り扱う制度整備を図ることが適当と考えられます。具体的には、表示義務を始め、紙型、IC型及びサーバ型前払式支払手段のそれぞれの特性に応じた適切な制度整備を行うことが適当ということです。イコール・フッティング等の観点からこのようなご議論ではなかったかと思っております。

2ページ目でございます。(2)前払式支払手段に関するその他の制度整備ということで、マル1前払式支払手段の利用者保護等の仕組みでございます。真ん中あたりの段落、パラグラフが変わるところの直前の「このほか」のところでございます。現行の枠組みはおおむね適切に機能しており、これを維持することが適当なのではないかと書いておりますが、現在、自家型、第三者型で区別があります。その中で、自家型のものについては監督規定の整備を行う方向かと思っているのですが、それ以外、大きく全部を届出にする、あるいは全部を登録にするというようなことでもなく、現行の枠組みを維持するということでよいのかということでございます。

次のところで、未使用発行残高の2分の1以上の発行保証金の供託等の義務でございますが、これにつきましては、下のほうで、事業者が破綻した場合の発行保証金の還付率が例外的に低い事例が存在するものの、現状の供託等の義務の水準を維持することで問題はないと考えられるのではないかとしておりますが、このようなことでよろしいのかどうかということでございます。

3ページ目でございます。マル2前払式支払手段の換金・返金でございます。換金・返金もいろいろご議論をいただいているかと思いますので、一応その考え方、意見については最初の前段ぐらいでご紹介をしていると思います。これらを踏まえ、前払式支払手段の換金・返金については次のように考えられるのではないかということで、前払式支払手段の換金・返金は原則として禁止することとし、利用者の利便性を考慮して例外的に換金・返金を行うことができることとしてはどうか。例えば、地域限定の前払式支払手段について利用者が当該地域から転出する際の換金・返金など、一定の場合に限って認めることはどうか。あるいは、為替取引としての利用に結びつかないよう一定期間中の発行総額に対する一定割合までの換金・返金を認めることはどうか。また、事業者が事業を廃止するなどの場合には換金・返金を義務づけるべきではないか。このようなご議論だったかと思います。

それから、一番下のところの譲渡のところでございます。前払式支払手段の譲渡については、現在規制されておらず、換金・返金が原則として禁止されるのであれば、譲渡により不正送金や脱法行為が生ずるリスクは低いと考えられ、引き続き規制の必要はないと考えられます。しかし、譲渡が自由に行われ、換金・返金も自由に行われる場合は、為替取引としての機能を有することも考えられ、前払式支払手段としての性格を変えることとなるため、資金移動サービスとして事業が行われると整理することが適当ではないか。

4ページ目でございます。大口、小口のご議論ですが、大口、小口を分ける、あるいは分けないという考え方があったかと思いますが、発行の態様に応じた監督上の対応によって問題が生じないようにすれば、制度上、大口と小口のものを別の取扱いとする必要はないと考えられるのではないかというご議論と思っております。

5ページ目でございます。(3)ポイント・サービスということで、真ん中の段落のところでございますが、こちらも考え方が2通りあったかと思います。まず、財・サービスの利用に充てられる点でポイントは前払式支払手段と同様の性格を有するが、ポイントは消費者から対価を得ず、基本的に景品・おまけとして無償で発行されており、法規制を設ける必要はないとの考え方がある。これに対し─真ん中は飛ばしますが─何らかの消費者保護が必要であるとの考え方がある。その発行に当たって、消費者が対価を負担しているかどうかに着目し、対価性がある場合には前払式支払手段としての取扱いを受けると考えられる。その他の場合に、ポイントを利用して得られる商品等の変更・削減や利用期限の短縮など、消費者にとって一方的に不利益な取扱いを受けたり、事業者が破綻した場合に消費者の利益が保護されないおそれがあるとの考え方がある。これらについては一般的な消費者保護の制度で対応することについてどう考えるか。

それから、2つ目が支払手段としてのポイント・サービス、これがポイント交換でございますが、これにつきましても考え方が2通りあるかと思います。6ページのところでございますが、その考え方、ご説明、省略させていただきますが、異なる通常のポイントと変わらないという評価と、それからやはり経済的にはポイントは対価を得て発行する考え方があるということで、ここは議論の整理ですので考え方の紹介にとどめております。

7ページで、2.為替取引に関する制度の柔軟化でございます。(1)為替取引に関する制度の柔軟化の必要性でございますが、これもどの程度いろいろ書くかということはございますが、最終的には下から─「米国」の前のところでございますが、預金の受入れや融資等の運用を行わない為替取引については、銀行以外の者が行うこと─これを為替取引に関する制度の柔軟化と言っておりますが─を認めることについてどう考えるか。

8ページのほうに入りまして、利用者の利便性の向上や決済サービスに係る国際競争力の強化を踏まえれば、為替取引に関する制度の柔軟化を行い、イノベーションと競争を促進し、多様な担い手によるサービスの提供を可能とすることが適当と考えられるのではないか。しかし、為替取引に関する制度の柔軟化が決済の安全を害してはならないと考えられるのではないか。為替取引に関する制度の柔軟化に際しては、利用者保護、社会的・経済的影響と事業者の負担など規制コストとのバランスを配慮し、新規事業者が参入しやすいよう配慮することも必要と考えられるのではないか、これまでいただいたご議論を整理させていただいていると思っております。

9ページ、(2)資金移動サービスでございます。資金移動サービス、それぞれ論点があるかと思いますが、マル1資産保全でございます。2つ目の段落のところで、滞留資金が全額保全されることが必要と考えられるのではないか。次の段落の分配費用の確保も考慮する必要があると考えられるのではないか。という点でございます。これを受けまして、その次のパラグラフですが、滞留資金が全額保全されることが望ましいが、その保全を完全に図ろうとする場合、滞留資金額のリアルタイムでの把握、滞留資金に相当する額として保全される資産の保全が図られなかった場合のセーフティ・ネットなどの仕組みが必要となるなど、事業者の負担や規制コストが過剰となることも考えられる。このため、滞留資金額の把握については事業者負担を考慮し、供託や金融機関等の保証に加え、信託銀行等への信託を認めるなど、事業者が参入しやすいよう配慮した制度とすることが必要なのではないか。滞留資金が原則として全額保全される仕組みとするものの、場合によっては全額が保全されないこともあり得ることを許容することも必要と考えられるのではないか。

マル2履行の確実性でございます。こちらについてもご議論をいただいていると思いますが、10ページのところで、資金移動サービスにおいては、滞留資金の保全だけでなく、資金移動の履行の確実性が担保される必要があると考えられるのではないか。それから、資金移動サービスについてはあまり大口、小口にするというご議論は必ずしもなかったかと思いますが、考え方の紹介ですと、大小を区分する必要があるという考え方と、そのような区分を設ける必要はないという考え方があろうかと思います。また、資金移動の履行の確実性につきまして、銀行と同レベルの確実性などが求められるかについてご議論があったかと思いますが、そこにつきましては、資金移動サービスが銀行による為替取引とは異なるものであることが利用者に周知され、銀行との違いを認識した上で資金移動サービスが利用されることとすれば、資金移動サービスの履行の確実性について銀行並みであることを求める必要はないと考えられるのではないか、とさせていただいております。

マル3その他の監督措置でございます。これも考え方が2通りあったかと思います。まず1つは、銀行と同様の強い監督が必要との考え方がある。一方、滞留資金が原則として保全されるのであれば、兼業等の規制は必要がないという考え方があるか。それから、財務規制につきましても、滞留資金が原則として保全されるのであれば、事業内容に見合った財務力があるか否かが判断されればよいと考えられるのではないか、と議論を整理させていただいております。

11ページがマル4その他でございます。こちらのほうは先ほどの裏返しかと思いますが、資金移動サービスと前払式支払手段の違いは、資金の換金・返金が自由であること、滞留資金の保全の程度が異なること、資金移動の履行の確実性が求められることなどにあると整理されると考えられる。また、犯罪収益移転防止法の関係でございますが、資金移動サービスに対しては、犯罪収益移転防止法の適用が問題となる。資金移動サービスにおいて、銀行が行う為替取引と同様のサービスの提供が可能であることから、資金移動サービス業者に対しても犯罪収益移転防止法を課す必要性があると考えられる、と整理をさせていただいております。

それから12ページ(3)その他の資金を移動するサービスでございます。ここが一番ご意見の多かったところなので、ここを一番多く書いておりますが、マル1収納代行サービス等の現状でございます。ここについても評価が違うというようなこともあるかもしれません。マル2為替取引と収納代行サービス等との関係でございます。既に芝﨑委員からもご議論をいただいております、また佐藤委員からもご意見をいただいておりますが、一応それらのご意見を紹介する形で書かせていただいていると思います。ここは読ませていただきます。

最高裁判例では、為替取引は「顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行すること」と定義されている。これに関し、収納代行サービスなどは、財・サービスの提供者への支払人が行う支払の受取であり、その後、収納代行業者が受け取った資金を債権者へ送付することは別の行為であって、為替取引に該当しないとの意見、判例は、いわゆる地下銀行を念頭においたものであり、収納代行サービスなどはその対象にならないとの意見、金融庁も過去にノーアクションレターで収納代行は為替取引に当たらないとしており、収納代行サービスなどが長年提供され、国民の間に定着しているとの意見、代金引換サービスについては、物の配達と同時に提供される言わば販売支援サービスであって、金融業には当たらず、国土交通省の認可を受けた運送業者が配送の附帯業務として提供するものであり、為替取引には当たらないとの意見などがある。

しかし、受領権限という法律構成で判断するのは、遠隔地にある債権者への債務の支払に際し、銀行送金と収納代行サービスなどをともに債権者への支払のための手段として選択的に利用している経済実態から離れた議論である。また、判例は広く為替取引をとらえており、収納代行サービス等が対象とならないとは解されない。金融庁の回答は個別事例について為替取引に当たらないとしたものであって、一般的に収納代行サービス等を為替取引に当たらないとするものではなく、その回答が捜査機関や罰則の適用を含めた司法判断を拘束し得るものでもない。代金引換サービスと収納代行サービス─こちらは先ほど既にご意見いただいておりますが─の差は、財・サービスの提供者から資金の受取を依頼された事業者と、債務者との間の資金の授受が、支払人の自宅等で行われるか、事業者の店舗などで行われるかの違いであり、債権者から依頼を受け債務者から資金を受領して債権者に送金するという点で、収納代行サービスと同様の仕組みである、などの考え方がある。

このように、収納代行サービスなどには為替取引に該当する疑義があり、いわゆるセーフハーバーを設けるため、一定の要件を定め、為替取引の例外とすることについてどう考えるか。

収納代行サービスなどについて、資金の支払人の保護のほか、資金の受取人の保護、事業者が破綻した場合の社会的・経済的影響などの観点から、予防的に制度整備を行う必要性についてどう考えるか。

制度整備を図るとしても、現在提供されているサービスの利用を低下させることなく、制度整備が目的に照らし最小限のものとすべきと考えるが、どうか。

外国は飛ばしまして、マル3収納代行サービス等に関する制度整備、ここも新しく書きおろしている形になっていますので、全部読ませていただきます。

収納代行サービスなどが為替取引に該当しないとの立場からは、仮に制度整備の必要があるとしても、法律ではなく自主ルールとしての要件の作成など、事業者の自主的な取組で十分との考え方がある。一方、法律ではなく自主的な取組では、実効性の確保に不安があるほか、セーフハーバーとしての為替取引の例外とはならず、法的安定性・予見可能性が得られないとの考え方がある。

現状では、事業者に受領権限があることが多く、支払人の二重払いの防止が図られることが多いと考えられるが、受領権限が明示されていない場合もある。

支払人の保護の観点からは、事業者が財・サービスの提供者である受取人から受領権限が与えられ、支払人の支払によって債務が解消することが明示されることや、支払人に受領証が渡されること等が制度上担保されていることが必要と考えられるが、どうか。

現状では、事業者が支払人から資金を受取、受取人に資金を渡すまでの期間は比較的短期間である場合が多いが、滞留する資金について保全が図られている場合は多くないと考えられる。また、受取人は事業者である場合が多いと考えられる。

事業者が破綻した場合には、依頼人に資金が渡されない場合が生じ得るが、依頼人は、その可能性を認識した上であらかじめ事業者の選択を行うとともに、破綻のおそれが明らかになった場合には、一定の猶予をおいて事業者との契約を解除することが可能である。このように、依頼人が一般消費者以外の事業者であるなど、自己責任を求めることが可能な場合には、その保護を図る必要性が少ないと考えられるが、どうか。したがって、事業者のみが依頼人として収納代行サービスなどを利用することが制度上担保されれば、滞留資金の保全の必要は少ないと考えられるが、どうか。依頼人として一般消費者も対象として事業が行われる場合、その保護についてどう考えるか。

現状では、多くの収納代行サービスや代金引換サービスにおいては、1件当たりの取扱金額に上限、おおむね30万円を設けていると考えられる。社会的な影響を一定に抑えるための観点からは、1件当たりの取扱金額が一定金額以下の少額であることが必要と考えられるが、どうか。

なお、一定の要件を満たす収納代行サービス等を法律上、セーフハーバーとして為替取引の例外を設ける場合、その要件を遵守してサービスが行われることの実効性をどのように担保するかが問題となる。

収納代行サービス等が為替取引に当たらないとする立場からは、そもそも要件の遵守について行政がチェックする必要がないとの考え方がある。また、要件を満たした収納代行サービスなどについては、単に為替取引の適用除外とし、仮に要件に違反してサービス提供がなされた場合には、法律違反として摘発の対象とすれば足りるとの考え方もある。しかし、適用除外を定めた場合には、様々な事業者が参入することが予想されることから、行政が事業者を確実に把握し、要件違反がある場合に是正するため、行政の事後チェックが必要との考え方もある。

ちなみに、先ほど代金引換サービスの許可のご説明をいただきましたが、例えば自動二輪であれば許可等を受けずにやっておられると思います。トラック事業者については、そのような議論が成り立ったとしても、収納代行一般についてはそのような議論は必ずしも成り立たないのではないかと思っております。

最後、犯罪収益移転防止法の関係では、事業者が依頼人や債権の内容が反社会的なものでないことを確認し、不適切な利用者を排除できることが担保されており、問題がないとの考え方がある。また、銀行と同じ10万円超での本人確認義務が課せられた場合、実質的にサービスが制限され、利用者利便が低下するとの考え方がある。これに対し、収納代行サービスなどは資金の移動を伴うものであり、事業者が受け取った資金の出所や流れを事後的にトレースすることを可能とするなどのマネーロンダリング規制の趣旨にかんがみれば、犯罪収益移転防止法の適用対象とすることが適当との考え方もある。また、公共料金の支払などで収納代行サービス等と銀行送金との間で取扱いが異なるのは整合性を欠くとの考え方もある。

犯罪収益移転防止法の対象となる取引は金融取引に限られず、また一律10万円超が本人確認義務の基準とされてはいない。同法の趣旨と利用者の利便性を考慮した上で、その適用について検討を行うことが必要と考えられるが、どうか。

ちなみに、金融取引だけではなく、宝石商あるいは宅建業などについて高額商品の取引については、犯罪収益移転防止法の対象となっていることは前の資料でもご説明をさせていただいたかと思います。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、三木谷参考人に対するご質問、あるいは佐藤委員、芝﨑委員、別所委員に対するご意見、それからただいまの事務局の説明等を含めまして、ご意見をいただけたらと思います。どうぞご自由にご発言を願いたいと思います。

宮沢委員、どうぞ。

○宮沢委員

ビットワレットの宮沢でございます。事務局のほうの議論の整理(案)の1.前払式支払手段に関する制度整備、(1)サーバ型の前払式支払手段に関する制度整備と(2)前払式支払手段に関するその他の制度整備についての意見でございます。

私ども、Edyという電子マネーを発行しておりますけれども、今回、JR東日本のSuicaも含めて電子マネー業界としての意見を取りまとめ、意見をいろいろ主張してまいりました。今回の議論の整理(案)の中でそれらの意見がすべて取り入れていただきまして、非常に経済実態に合った整理をしていただいたということで大変感謝をしております。現在、電子マネーですが、本日の日経流通新聞にも載っておりましたが、月間1億件以上の取扱いということで、非常に利便性が高く、利用者の支持を得ているというところがあります。日本が最も電子マネーが普及しています。このような形でイノベーティブなサービスができたのも、前払式証票規制法が非常にフレキシブルかつ非常に事業者、利用者にとって利便性の高い枠組みができていたからと考えております。今回、より安全性が増し、さらにイコール・フッティングも図られておりますので、電子マネー業界としてさらなる発展とあるいは利便性の追求、より消費者の保護というイノベーティブなサービスを展開していきたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでございましょうか。

芝﨑委員。

○芝﨑委員

まず、14ページのところです。一番上の段落でございますが、受領権限が明示されていない場合、受領証が渡されることなどが制度上担保されていることが必要と思います。受領権限が明示されていない場合につきましては、業界もしくは今の既存の監督官庁である国土交通省、業界というのは全日本トラック協会、それから受領証に関しましてはこの両者で既に制度化を図ろうとしておりますので、ここでの議論ではなく、そちらで十分対応可能かと考えております。

それからもう1点、先ほど高橋決済システム強化推進室長のほうが自動二輪車は参入可能というのは少し聞きづらかったのですが、ご説明願えますでしょうか。

○高橋決済システム強化推進室長

貨物自動車運送事業法上の貨物軽自動車運送事業者などにつきましては、別段認可制度はないのではないかと申しております。

○岩原座長

どうぞ、芝﨑委員。

○芝﨑委員

確かに、軽貨物5両以下等につきましてはご指摘どおりだと思いますが、本案件のワーキング・グループにおきまして問題となるのは、基本的に大規模な問題ではないかと認識しております。例えば、貨物軽自動車運送事業者の1人の事業者の方が仮にここで先ほどの領収証を出す、出さないという問題について、これも全日本トラック協会の中で対応はしてまいりますけれども、全体の中でそれが大きな議論になるという論理構成とは違うと考えております。

○岩原座長

ほかに何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。いかがでしょうか。

事務局にはなるべくそれぞれのご意見を正確に反映した議論の整理をしていただくように努力していただいたと思っておりますが、いかがでしょうか。特にございませんか。何かございますか。

それでは、原委員、どうぞ。

○原委員

前回欠席をしたものですから、本日示された論点の中の12ページから書かれている収納代行サービスについて、事務局と芝﨑委員の両方に質問をお願いしたいのです。13ページの真ん中あたりに、一定の要件を定め、為替取引の例外とすることについてどう考えるか、と書かれているのですが、この場合に一定の要件というのは何か具体的にどのようなことを考えておられるのか。これは事務局にお聞きしたいと思います。

それから、14ページですが、今、芝﨑委員からご説明があったように、この受領権限とか受領証については、もちろん今も実行されていると思って、それを既に制度化を図る方向と言われたときに、その主体が聞き取れなかったのですが、自主的なところで取り組んでやるという話なのか、ここで言っている制度的担保とは、法律としてということを考えていると思いますので、そこを改めてということでしょうか。

それから、滞留資金の話ですが、確かに滞留する時間というのは非常に短いとは思いますけれども、私はやはり滞留資金という形で存在していると思うのです。全く滞留をしていないということもあるのか、具体的にどのような状況になっているのか。顧客から受け取ったときの代金がそのままもう支払になっているのか、それともいったん事業体の中に入って出る形になっているのか、というところをご説明いただきたいと思います。

以上です。

○岩原座長

芝﨑委員、お答えいただけますか。

○芝﨑委員

では、私のほうからお答えさせていただきます。

1件目のご質問でございますけれども、受領権限につきましては、主体は国土交通省でございます。国土交通省が主体になりまして、全日本トラック協会というトラック事業者の団体と併せまして現在、約款上にこれを明記することの検討が進んでおります。2件目の受領証につきましては、これは指導のもとになりますが、全日本トラック協会を中心としました事業者団体のほうで、それから相対でいわゆる通販事業者の団体でありますところも併せまして、受領証の発行と引渡しを今明記する作業に入っております。また、その団体の中での義務化となっております。したがいまして、配達に係る直接のところにつきまして、受領権限等については国土交通省等が主体となって進めているということでございます。

それから、滞留資金のご質問でございますけれども、私どもの場合でご説明いたしますと、平均8日から10日でございます。どのようになっているかを改めまして簡単にご説明いたしますと、入金されたものは私どもの口座に入りまして、約定では週払いと、五・十日(ごとうび)払い及び月末払いがございます。このすべての平均で10日前後でお客様のもとに入金しているという実態でございます。

以上でございます。

○岩原座長

それでは、事務局のほうもお願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

13ページの中ほどについてのご質問であるかと思いますが、例えば何をもって収納代行としているのかがよくわからない。一般的なイメージとしまして、コンビニエンスストアにおける収納代行あるいは運送事業者における代金引換があるかもしれませんが、法律論として、受領権限がありさえすれば別にコンビニエンスストアがやっていただこうが、運送事業者がやっていただこうが、受領権限がありさえすれば為替取引ではないというような理解になりがちなものですから、そのようなことが果たして適切なのか。今立派な事業者の方々はそれぞれご努力をされておられるので、それと同じような形であれば為替取引に当たるとしても安心ではないか。そうであれば、今やっておられる方々のサービスの内容をそのまま法律で、為替取引ではないということははっきりさせる。先ほど、別所委員からの指摘もございましたが、どう処理するかの問題で、法律上の為替取引ではないということをはっきりするためには、法律上ある一定の行為は為替取引ではないとしておく必要があると思います。

そのときに、要件を定めるのかどうかという問題があるかと思うのです。今やっているビジネスを妨げると利便性が低下するというご意見もあります。一方為替取引というのが支払人、受取人、それから社会的影響、それぞれの観点から考えた場合にどうかということが14ページ以下で出ております。例えば要件として、すごく簡単なことだと思いますが、受領証を必ず渡すことだとか、それから一般消費者の方をどう考えるかということがあります。とりあえず事業者については問題がないというのであれば、消費者からは依頼を受けないこととか、それから少額でやっていて基本的に高額でやることがないというのであれば、例えば少額でやっていることだけが要件になって、その要件を満たしている限り、もう為替取引であるかどうかということを全く議論することなく、為替取引の世界から出ていくことができるというようなことが、いわゆるセーフハーバーとしての為替取引の例外という趣旨で申し上げております。

○岩原座長

原委員、よろしいですか。

○原委員

そうですね。滞留資金のところは、やはり非常に短い期間ではありますけれども、そこのところの保全は何か工夫をしておられるようなことはほかの社ではないのですか。

○岩原座長

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

滞留資金の保全に関しましては、前回も申し上げたのですが、前回、原委員は出席されてなかったということですので、保全を全くやっていないわけではなくて、債権者との間の契約の中で滞留資金の保全ありとする契約もあるのです。実際には、例えば水道料金などのような公共料金等につきましては、ほとんどの場合、債務保証を行った上で収納代行を行っているのが実態でございます。そのほかの民間企業、電力会社及び電話会社であったり、このようなところについてはそこまでやっていないというのが実情でございます。

○岩原座長

今の点に関して、あるいはそれ以外でもいかがでしょうか。

佐藤委員。

○佐藤委員

もう1点、先ほどの受領権限のところについてご案内したいと思います。先ほど話したように、コンビニエンスストアにつきましては、フランチャイズチェーン協会ということの中で部会をつくりまして、収納代行につきましてもより安全・安心にできるような仕組みづくりだとかということをいろいろと相談しながらやっているのが実情ございます。この中で、受領権限につきましては、収納票であったり領収書のところに、コンビニエンスストアは─○○というのは事業者であったり自治体名になりますが─○○に代わって料金を受領します、このような文言について今後入れていこうではないか、このような打ち合わせもしておりますので、ご案内したいと思います。

以上です。

○岩原座長

芝﨑委員。

○芝﨑委員

少しまた違う話で、14ページの3つ目の段の取扱金額の話ですけれども、この上限を求めることの目的ですとか必要性についてどのようにお考えなのか。これは事務局からお答えいただいても結構ですし、委員の方でも結構ですが、これについて少し中身を教えていただきたいのですがいかがでしょうか。

○岩原座長

高橋決済システム強化推進室長。

○高橋決済システム強化推進室長

当然、大きな資金を扱えば、それに関連する事業者の方々が出てまいりますので、それに対する資金が予定どおり受け取れなかった場合における社会的影響というのは、先般も齊藤委員のほうからいろいろ為替取引の重要性についてのご指摘があったかと思います。それを一元的に規制するとビジネスの妨げになるだろうということで、考え方はいろいろあると思うのですが、規模が大きいこと、滞留額が大きいこと、1件1件が大きいことなのかということで、現実を見てみると、1件1件の取扱いが少ないほうが、もし仮に事業者が破綻した場合などにおけるダメージが社会的に少ないのではないかという考え方だと思います。

○岩原座長

芝﨑委員。

○芝﨑委員

ということは、ここにおおむね30万円と書いてありますが、この金額がどれが妥当かというのはまた別途の議論だと理解してよろしいでしょうか。

○岩原座長

高橋決済システム強化推進室長。

○高橋決済システム強化推進室長

そこは、ここの文章でも「1件当たりの取扱金額が一定金額以下の」という形で、別に30万円ということを明示しているわけではございません。過去、ヒアリングあるいは提出された資料等を拝見しましても、例外的に大きな金額の方もいらっしゃいますが、現状は30万円が多かったのではないかということで書かせていただいている次第であります。

○岩原座長

三木谷参考人、どうぞ。

○三木谷参考人

今の件に関しては、ネットショッピングの立場からいうと、買う場合はクレジットカードか代金引換かということになるのですけれども、これは結構矛盾していて、要するに、普通の人は大体クレジットカードで30万円ぐらいがリミットです。高いお金を払って、前払いは嫌だとか、銀行振込は嫌だとおっしゃいます。プラズマテレビとかは物を見て買いたい。キャッシュオンデリバリーという一番安全な方法で、むしろ高くなればなるほど現金、送金より代金引換がいいし、クレジットカードも使えないから、例えば頑張ってプラズマテレビを買ったときに、先に払えというのか、後から払えというのか。これ以外に大体支払方法がありません。だから結構、40万円、50万円の場合、そんなに多くないのですけれども、やはりネットで買う人は結構多くなってきていて、代金引換ではないとなかなか買えない、例えばロレックスの時計を買うとかそれは見てから払いたいという人がいます。したがって、30万円は少し低いのではないかという感じがするのです。

○岩原座長

この金額についてはいろいろ考え方は分かれるでしょう。

金丸委員、どうぞ。

○金丸委員

当初より私のスタンスは余り変わっていないのですけれども、少し視点を変えて、そもそもこのようなサービスが登場したいわば背景という中には技術革新がベースにあります。コンビニエンスストアが、このような収納代行のサービスができるようになったのも、昔のように機械式のレジだった時代であれば、できなかったです。通信でつないで、店舗で起きていることをデジタルで把握するというような仕組みがなければ、今のようなサービスはまずなかったということであります。

もう1つは、やはり若い人のライフスタイルが非常に多様化してきていることです。例えば銀行の自動引き落としで電気料金を払うとすると、月末に残高がないと─すぐには東京電力も止められないかもしれませんが─止まる可能性もあるので、そうすると現金でコンビニエンスストアで払えるということは、夜間に行動しているライフスタイルの方からすると、銀行は、午後3時以降は閉まっているわけですから、技術革新と、既に存在をしていた事業会社のサービスの制約みたいなところから新サービスは登場しました。冒頭のプレゼンテーションをいただいた三木谷参考人の会社は、それに加えてインターネットの技術革新を活用し出てきたわけです。

本当の究極の規制でいくのであれば、インターネットそのものを規制しなければなりません。インターネットというのは開放型のテクノロジーで、完全なものではないという前提でプラットホームになったことから、例えば銀行と比較して専用回線等ではないですから、当然リスクが増えてきているわけです。実は、この技術革新はリスクとメリットというのが混在をしていて、例えばクレジットカードの決済というのはおそらく、収納代行とかのトラブルよりもはるかに私は多いのではないかと思います。私も先週、日本にいてカード会社から電話がかかってきて、「アメリカで今日買い物をしたことになっていますが、これは間違いですよね」ということがやはり起きているわけです。これもスキミングのテクノロジーがやはり発達をしたということにあるわけです。

そのようにして見たときに、先ほど三木谷参考人は国家戦略みたいな視点ということをおっしゃって、私は前回も国家戦略の視点というのは重要だと申し上げたのですが、日本人のハイテクというかデジタル技術だけではなくて、人の信頼性とテクノロジーの武装というハイブリッド型のサービスの究極が私はコンビニエンスストアのプラットホームと、ヤマトを中心とした宅配業者が行っている代金引換サービスだと思います。最初のころの決済に関するワーキング・グループで申し上げたのですが、現金で─先ほどキャッシュオンデリバリーという話が出ましたけれども、それが最もニーズとしてはやはり高いと思うのです。受取物が頼んだものでない可能性があるので目の前で確かめたいということは、今申し上げたクレジットカードを使用するリスクを考えたときに、そのような利用者の強いニーズが私はあると思います。私自身の結論としては、一定の要件を満たす場合は、収納代行サービス、代金引換サービスも為替取引対象外であるということを今回決めることが重要ではないかと思っています。もちろん、この一定の要件を何にするかについては、いろいろな議論があろうかと思います。私はこの一定の要件を満たす場合は、対象外だと仮にしたときの一定の要件は、むしろこのサービスを提供なさっていらっしゃる方と、利用している事業者の方々が実は相当メリットがあってプラットホームをお使いになっていらっしゃるわけですから双方からも何かたたき台が出てこないと、現実的ではないのではないかと思います。

以上でございます。

○岩原座長

和仁委員。

○和仁委員

今の金丸委員のおっしゃったことについては、私も共感する部分がかなりあるのです。何かこの決済に関するワーキング・グループでやっていることは誤解されていると私自身は思っているので、これも私も同じことをずっと繰り返します。この決済に関するワーキング・グループというのは、いわゆる平成13年の最高裁決定をいかに明確にするか、制限して読むかということを明らかにして、新しい商売あるいはテクノロジー、そのようなことの発展をもっと活発にするかということから始まっているのであって、別に収納代行とか代金引換をもっとがちがちに縛るという目的でやっているわけではないのです。この点について私は論点整理の頭のところに、平成13年の最高裁決定の射程距離をはっきりさせるということで、もっと新しいビジネスの発展をエンカレッジするということから、このような改正作業をしているのだということを書いたほうが、わかりやすいのではないかなと思います。

先ほど、芝﨑委員のほうから法律事務所が意見書を出したとかいろいろ言われましたけれども、今の平成13年の最高裁決定の考え方だと何が為替に当たるのかということが非常に幅広くて問題なのです。私は別に収納代行は受領代理権があればそれでしのげると思っていますが、それと違う見方をする人が結構いますので、やはりこれは怖い、リスクのある話だと思うのです。国土交通省が後ろにいるからとか、今まで何もやっていなくて適切にやってきたということは確かに認めます。それから、先ほどの三木谷参考人のお話で伺ったように、代金引換というのは日本でしかあり得ないすばらしいサービスだと思うのです。

ですから、それはそうですけれども、やはり世の中が変わっていきます。では、そのリスクに対してどう対処するのか。先ほどのダンダンの話ではないですけれども、運転手から先に金が取れるか、日本でなかなかはやれないでしょう。でも、よく考えると、持ち逃げが会社ぐるみでもしやられたらどうするのか。それは当該1つの会社が問題なのか。国土交通省のやっていることが問題なのか。私自身の個人の見方としては、ここの問題は、単に収納代行業者あるいは代金引換業者の倒産リスクだけであって、将来に対する漠然たる不安であるとは一言も言っていません。私はクレジットリスクの問題だとずっと申し上げているわけで、そこを適切に確保できるのですか。その問題に収れんしてくるのだろうと思うのです。

したがって、その性質は、確かに先ほど金丸委員がおっしゃったように、一定の要件を満たせば、収納代行とか代金引換は自由にやっていいということになるのではないでしょうか。為替に当たらないという解決を見出すべきだということに関しては、私はそのとおりだと思います。ですけれども、そこで一体どのように線を引けばいいのか。そこを、今は事故が何もないから、それについて何か言われると絶対嫌だというふうな形での議論を展開されると前に進まないというか、この決済に関するワーキング・グループをやっている意味が余りないわけです。ですから、そこを少し踏まえてお考えいただきたいと思います。

それから、もう1つ追加の質問ですけれども、佐藤委員のご報告で、2ページ目のところに、「自浄作用も働いており」というのが最後の※のところに書いてあるのですが、これは具体的にルールをつくるという、先ほどご説明のあったようなことなのでしょうか。それともほかに何かあるのか、それをお教えいただきたいと思います。

○岩原座長

佐藤委員。

○佐藤委員

この自浄作用と申しましたのは、先ほど申し上げましたように、例えばフランチャイズチェーン協会の中でコンビニ部会というのがあり、安全・安心なサービスを行うために、いろいろと問題だとか何かが発生するだとか、そのような可能性があることについて1つずつつぶしています。このようなことを申し上げているだけであって、今この場で議論をしているような制度設計だとか制度整備であったりだとか、そのようなことを指しているわけではございません。

以上です。

○岩原座長

芝﨑委員。

○芝﨑委員

先ほど、和仁委員からご意見いただきました最高裁判例の解釈を限定的にしていくということに関しましては、収納代行とか代金引換がどうのこうのという以前で必要なことだと思います。これをどのようにまで見るということがさっぱりわからないという中で全部はめられないかという話をしても、雲をつかむような話だというのが実際の感想でございます。

それから、逆に、会社が倒産をするときの話というのが何回か出てきていますけれども、要するにB to Bの商取引における倒産リスクですとか、そのようなものまですべて保護の対象にするのかというのは1つの論点があるかと思います。すなわち、物を仕入れたり売ったりする一般の商店、会社及び商社といったものの関係の中も含めてどう考えていくのか。この部分だけ取り出すのかというのは少し違和感があるような気がいたします。

以上でございます。

○岩原座長

では、和仁委員。

○和仁委員

売買のところですけれども、やはり収納代行あるいは代金引換の場合、人様のものを預かっているという行為がどうしても発生してしまうのです。そこをどうするのかというのがここでの問題でありまして、確かに単に従業員にお使いに行ってもらって、そこで物を渡してお金を受け取ってくるというのと差はないのではないかということですけれども、それはやはり大々的に業としておやりになっているというところ、私はそのサービスが悪いとか何とか言っているのではなくて、やはりそこで違う視点が入ってくるのではないか。先ほど原委員のおっしゃっていた滞留リスクのお話がありましたけれども、やはりその点について神経質にならざるを得ないのではないか。例えば、先ほど芝﨑委員のおっしゃったように、滞留期間がどう考えてもそんなに長くないので別に私は気にはしていないですけれども、皆様にそれを守ってくださいということは言えますかということです。1月以上の滞留が発生したりすると、それはやはりみんな不安になります。そこをどう考えるのか。そのようなルールができるのか。なおかつ、それを守らない人はこの商売をやっていけないというふうなルールづくりが自主規制でできるのか。私は別にヤマトは全然、今のやり方でやっておられて問題はないと思いますけれども、そうでない人が出てきたときに一体どうされるのかなということが今でも不安に思っております。私の見解ですけれども、そのようにご理解いただければと思います。

○岩原座長

芝﨑委員。

○芝﨑委員

支払サイトまで踏み込まないほうがいいのではないかなというのが感想でございます。もう1つ、別ですけれども、代金を預かるというところでいきますと、不動産屋の代理店ですとか旅行代理店ですとか、いろいろまた範疇が広がってしまうような気がするのです。だから、やはりこれは先ほど和仁委員がおっしゃったとおり、範囲の明確化、解釈の明確化がないと、ずっと延々と私はだだっ子になってしまったように思われます。そこら辺が少し明確ではないというところが疑問かなと併せて思う次第でございます。

以上です。

○岩原座長

池尾委員、どうぞ。

○池尾委員

先ほど和仁委員がおっしゃったような趣旨のことは前々回に私も申し上げたつもりで、私はこの決済に関するワーキング・グループのメンバーの中に収納代行サービスとか代金引換サービスを規制しろという意見をおっしゃっている方は一人もいないと理解しております。むしろ収納代行サービスとか代金引換サービスについては、為替取引等の銀行法とか出資法の規制がかからないという、はっきり抜いてあげようという議論をしているのだという理解です。ただ、そのときに、収納代行サービスと名乗れば全部規制の範囲外だということになると、それはさすがにやばいので、何が収納代行サービスなのかという定義、要するに一定の条件と言われているものを明確にして、それを満たしている業者かそうでないかということをチェックできる仕組みを工夫する必要はあるのでしょう。その定義とかチェックの仕方がどうあるべきかというところの議論をしているだけであって、規制をすべきだという議論はどこかにあるのですか。

だから一定の範囲とか定義というときに、やはり消費者保護とかの観点がそこの定義に反映されてくるとすると、何か和仁委員がおっしゃったような、クレジットリスクをある程度抑えているようなことを定義の中に含めましょうという議論の余地があると思うのです。そのような話でないかと思うのですが、それをもっと生産的にやれないですか。というか、そのような議論だと思うのです。

○岩原座長

おっしゃるとおりだと思います。

芝﨑委員、どうぞ。

○芝﨑委員

全くおっしゃるとおりだと思います。逆に教えていただきたいのですけれども、私どものほうから例えば今の議論を前提に─私どもというのはヤマトだけではありませんけれども、例えばこれであればもうこれは関係ないと。別物だというような定義を出して、それは前から川本委員からも空中戦と言われていますけれども、その具体策を提示して、それによってこれが別物だということがこの決済に関するワーキング・グループで一定の結論を出せるというような理解で─出せるかどうかは知りませんが、議論ができるという理解でよろしいでしょうか。これをちょっとお教えいただければと思います。

○岩原座長

では、高橋決済システム強化推進室長、お願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

本日のペーパーである程度それが書かれているのではないのかなと私は思っております。ですから支払人の保護、受取人の保護と社会的影響という観点から考えて、依頼人が仮に将来あるいは現在もあるのかもしれませんが、クレジットリスクがある状態でやっていいのか。しかし事業者間信用に近いような話があるので、事業者の選別をすればいいだけなので、事業者に資産保全みたいなことは要らないのではないかというたぐいのことが要件なのです。それ以外に何か逆にもっと心配なことがあるのであれば、そのようなことも要件にする必要があると思います。

自浄作用と先ほどおっしゃられましたけれども、そのようなものがない業者、トラック業者についてはまた議論があるので別な話をしますが、適用除外であることがはっきりした場合に受領権があるからといって違う人たちがどんどん行って何か変なことをやりかねないことが想定されるのが怖いということです。それを心配し過ぎだと言われるのであればしようがないですけれども、現在はそのような立派な人たちしかやっていないのかもしれませんが、インターネットにしろ、いろいろな情報技術が発達すれば、どのような個人でも簡単にでき得るような状況がやってくるのではないかと思います。そのような場合に、とにかく受領権がありさえすればおよそ何をやってもいいのだという世界は少しおかしいのではないかと思います。そのようなことを踏まえた上で何が要件なのかをお考えいただきたいということで、なかなか議論が深まらなかったので、このような形で出させていただいているということでございます。

○岩原座長

別所委員お願いします。その後、米澤委員お願いします。

○別所委員

最初に私のほうから述べさせていただいたことの中に、先ほどから出ている一定の要件のところについて幾つか触れさせていただいていると理解しているのですけれども、一定の要件のところを、消費者保護というのはもちろんわかっていますけれども、余りやはり過重にしてしまうことについては問題が大きいなと思っています。現在の収納代行を白抜きにするということについては多分皆様も異論はないと思いますけれども、その枠をつくるときにやはりその周辺のいろいろな可能性というのがあります。一方では、送金のところでイノベーションということをおっしゃっていただいていますし、収納代行とか代金引換のサービスについてもいろいろな可能性はあると思っています。その可能性を摘んでしまうような形で一定の要件というようなことを考えるのは得策ではないかなと思っています。

特に、余り意識されていないと思うのですけれども、かなり利用者の方々は、受取人にしろ、支払人にしても適切に選択をしているのです。自己責任ということを言うわけではなくて、それぞれの人たちが適切に選択をした上で、どの事業者のどの支払方法を使うかということを選んでいるわけです。そのような選択行為を基本的に尊重していかないと、イノベーションが起こってくる余地がないのです。先駆的ないろいろな選択者がいろいろな新しいものを選んでいくというようなことを、その利用者を含めてそのような余地を適切に残しておくことが線引きをしていくときに極めて重要だと思っております。

そのような観点からいうと、先ほども述べましたけれども、C to Cのところに関しても、現行直ちに受取人の保護を何か必要とするのは早いと思っています。また、金額的なところも現在のビジネス実態に照らして上限を引くというような収納代行とか代金引換サービスが果たしている機能的な役割に照らして考えるときに、そこまでの必要はないのではないかなと考えます。

○岩原座長

米澤委員、どうぞ。

○米澤委員

先ほど来の金丸委員、池尾委員、和仁委員のご意見に関連しての純粋な質問ですけれども、一定の要件のもとでそれに該当するものは為替取引の世界から外へもっていくといった場合に、そのこととそのようになったものは犯罪収益移転防止法の対象にならないということとは同義語なのでしょうか。それとも、それが一たんそのようなまな板の上に乗ったら犯罪収益移転防止法の対象にはなり得るということなのでしょうか。それは多少事業者にとってご心配な点だと思いますので、その点の解釈を少し教えてください。

○岩原座長

高橋決済システム強化推進室長。

○高橋決済システム強化推進室長

犯罪収益移転防止法は別に金融だけに限らず、先ほどもご説明しましたように高額商品の取引についても適用がありますので、金融に当たるから当然である、あるいは金融に当たらないから当然ちがうということではなくて、犯罪収益移転防止法の観点から考えられるべき話だと思っております。

○岩原座長

ほかに何かございますか。

関参考人。

○関参考人

全然違う話ですけれども、3ページの下から2つ目の段落のところで、前払式支払手段の換金・返金の話があるのですけれども、この読み方が私の理解が違うのかもしれないのですが、原則として禁止するというような方向で書いてあるような感じで今ちょっと私としては読んでいるのですが、その少し上の段落には、一応、一定条件下である程度換金・返金を認めてもいいのではないかというような感じのトーンで書かれております。方向性としてはそのような形で、もう少し原則として禁止というよりは、柔軟な考え方ができるような形が望ましいのではないかなと思っております。

それと、先ほど三木谷のほうから説明しましたように、たまたま当社の電子マネーにつきましては銀行が発行者になっておりますので、そのようなケースにおいてはこのようなものは禁止されないのかなという理解をしております。

○岩原座長

これは、原則禁止ということは、いわば出資法の脱法になるようなことは避けたいということで、むしろ利用者保護からしますと、EUの指令のように換金・返金を認めるということが利用者保護にはなるのです。ただ、それをかなり自由に認めてしまいますと、まさに出資法の預り金的な問題が起きてくる可能性があります。そのようなことが起きないようにしようということで、そのような弊害が起きないような範囲でこの換金・返金が実際に必要な場合には認めていこうということが、ここは書かれていると理解をしています。

どうぞ、高橋決済システム強化推進室長。

○高橋決済システム強化推進室長

岩原座長が言われる視点だけではなく、為替取引といいますか資金移動サービスとの関係もあるわけで、換金が全く自由ということになればもはや資金移動サービスと何ら区別がつかなくなりますので、それをどのように処理するかという問題があるかと思います。

○岩原座長

おっしゃるとおりで、両方の面から見てということになるかと思います。

よろしいでしょうか。先ほどから和仁委員や池尾委員からご指摘いただきましたように、我々としては、従来厳し過ぎて銀行しかそのような業務は営めないということになっていた為替取引の規制を柔軟化することによって、イノベーションを起こして、もっと資金移動サービス、決済サービスを活発化させようということが目的で、この決済に関するワーキング・グループをやっているわけでございます。そのような観点からすれば、サービスとして利用されることは当然で、どちらかといえば周辺的な問題である、収納代行や代金引換等に焦点が合うというのは、正直申してやや不本意な感じがしています。先ほど和仁委員、池尾委員からご指摘いただいたとおりのことであります。本ワーキング・グループの課題の中心は資金移動サービスがもっと高度化していろいろなニーズにこたえられるように、先ほど三木谷参考人からお話しがございましたような、イノベーションが日本でどんどん発展していくようなインフラをつくっていこうということだと私は理解しております。

先ほど例に挙げられましたペイパルについて言えば、ご存じのようにそれぞれの国でそれぞれの国の制度のもとで免許等を受けてサービスを提供されているわけです。アメリカではマネートランスミッターとしての免許を受けて行動されています。EUにおいては最初は電子マネー機関としての免許を受けて、それが現在では銀行免許に切りかえられて業務をなさっています。それ以外の国においても、たしかシンガポールではやはり一種の電子マネー機関としての免許を受けて営業をされています。日本においては、現行法のままだと為替取引として銀行と全く同じ規制を受けないとそのような活動ができないということになる可能性があるわけです。そうではなくてもっと柔軟な制度のもとで営業することが可能なように、そのようなどんどんと新しい資金移動サービスの発展があるように、規制を柔軟化しようということがこの決済に関するワーキング・グループの目的であるとご理解いただけたらと思っております。その点では多分、委員の皆様、全くご異論はないのではないかと思っております。

よろしいでしょうか。

それでは、本日は大変活発なご議論をありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

収納代行サービスについては私も消費者側のいろいろな皆様にもお聞きして、これは非常に便利に使っているのですね。ですから、もっと安定したシステムにしていただきたいということでいろいろなことを申し上げているということをまた重ねてお願いしたいと思います。

それから、本日ポイント・サービスについては議論ということにはなっておりませんけれども、5ページから6ページにかけて書かれておりまして、私は今ポイント・サービスは非常に流動的な立ち位置にあるような感じがしています。今ここでどうこうということはないのですけれども、消費者側としてはいろいろな論点があるように考えております。利用者保護について、何らかの消費者保護が必要とか一般的な消費者保護が必要と書かれていますが、経済産業省でも検討が進められていると思いますけれども、総合的な形でやはり消費者保護が図られる方向性というのは目指していっていただきたいと思っております。

以上です。

○岩原座長

芝﨑委員。

○芝﨑委員

先ほど米澤委員からお尋ねのありました犯罪収益移転防止法につきまして一言だけ申し上げますと、仮に10万円以上が対象になってしまったときには、宅配も、それから多分収納代行も事業としては続けられないだろうと思います。実際には負担が大き過ぎまして、取扱いができなくなるだろうと想定をしております。

それから、全くおっしゃるとおり、これが、先ほども自分の意見のところで申し上げましたけれども、規制緩和の話合いということはわかっておりますが─為替の範囲の緩和だというご意見に対しましては、為替ではないので対象外だということを申し上げただけでございます。多分これは平行線かもしれませんので、先ほど和仁委員がおっしゃったように、範囲を明確にするということについては賛成だということでございます。

以上でございます。

○岩原座長

それでは、年末も近づいてまいりましたので、次回はこれまでのご議論を整理したいと存じます。本日の事務局のペーパーがいわばたたき台になるかと思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。

最後に、事務局から連絡などありましたらお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

次回のご日程につきましては、一応お伺いをさせていただいておりますが、正式には追ってご連絡をさせていただきます。年末のお忙しい中でございますが、よろしくお願いいたします。

○岩原座長

それでは、どうも長時間、熱心なご討議をありがとうございました。

以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課調査室
(内線3537)

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