金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」(第10回)議事録

1. 日時:平成21年1月30日(金曜日)15時59分~17時35分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室

○神田WG座長

それでは、定刻になりましたので始めさせていただきます。

協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ、本日は第10回目の会合となります。委員の皆様方におかれましては、いつもご多忙のところをご参加いただきまして、大変ありがとうございます。

本日でございますが、遅刻して来られる方もいらっしゃるかとは思いますが、こちらで伺っておりますところでは、村本委員、久保田委員、宮村委員、早崎日本銀行金融機構局参事役がご欠席と伺っております。

まず初めに、このワーキンググループでございますが、皆様方、もう覚えておられないかもしれませんが、前回は昨年10月10日に第9回を開催させていただきました。その後、ちょっと予定を変更させていただきまして、議論を一時中断というのでしょうか、延期というのでしょうか、ということになりました。

その背景といいますか、事情でございますが、皆様方ご存じのとおり、昨年の後半から世界的な金融市場の混乱ということが起きまして、これが日本にも伝染してまいりました。日本におきましても、協同組織金融機関を含めて金融機関の自己資本に低下圧力がかかると、その結果、金融機関のリスクテイク能力が低下し、貸出しが減少するというおそれが生じました。このため、政府は金融機能強化法の改正というものを図ることにいたしまして、金融機関に対して国が資本参加することにより、金融機関の自己資本の厚みを増し、リスクテイク能力を向上させ、ひいては金融機能の強化を図るということを目指したわけです。

この改正は成立いたしましたけれども、この改正後の金融機能強化法といいますのは協同組織金融機関もその対象としております。また、後ほど事務局からご説明いただきますけれども、今回の改正におきまして、協同組織金融機関の中央機関への資本参加というスキームも新たに導入されることになりました。

そういう状況でございますものですから、このワーキンググループといたしましても、金融機能強化法の改正を見据えた上で、引き続き中長期的な協同組織金融機関制度のあり方についてご議論をいただき、ご審議をいただくということが適当と考えた次第でございます。

そういうわけで、私もちょっと忘れ気味なのですけれども、このワーキンググループは昨年どういう状況であったかということを一言振り返らせていただきます。昨年7月まで有識者あるいは業界の方々からヒアリングをさせていただきました。そして9月に協同組織金融機関の基本的な考え方についてのご議論をいただきました。委員の皆様方からは、協同組織機関について相互扶助性、地域密着性、こういったものを発揮し、地域の中小企業金融の主要な担い手として今後も一層その役割を果たしていくべきであるといったご意見を多数いただいたように記憶しております。

前回に当たります10月の会合におきましては、協同組織金融機関の組織、それから決算等についてご議論をいただきました。委員の皆様方からは、ガバナンスを強化すべきであるとか、決算の透明性を高めるべきであるといった意見をこれまた多数活発にいただいたところであります。

そこで、本日は、実質的に再開みたいな感じになりますので、その進め方といたしましては、まず最初といいますか、前半部分におきまして、金融危機への対応として金融機能強化法の改正を始めとするさまざまな金融行政の制度的な見直しというものが行われ、そういう意味において、このワーキンググループでご議論いただく前提に変化というのでしょうか、昨年と比べますと多少違いというのでしょうか、そういうことが生じてきております。したがって、ここ数カ月間の動きをご紹介させていただきたいと思います。それに基づいて後半で、これまでのワーキンググループの論点を現時点でもう一度再整理をさせていただきたいと思います。事務局のほうで再整理の案をつくっていただきましたので、それをご説明し、皆様方にご議論をいただきたいと思います。

そういうことで本日は進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、まず最初に、改正金融機能強化法の概要とこれまでの金融危機に対する法制度面、あるいは金融行政における対応につきまして、小野信用制度参事官からご説明をお願いします。よろしくお願いいたします。

○小野信用制度参事官

引き続きよろしくお願いいたします。

それでは早速でございますが、お手元に、右肩に協金WG10-2と書かれた資料がございますが、これに基づきまして、今、神田先生からお話がございました昨年秋からこれまでの経緯につきまして、改正金融機能強化法の内容を含めてご説明させていただければと思います。

まず、この資料の1ページを開いて、ちょっと見にくい形で恐縮ですけれども、右上に算用数字で数字を振ってありますが、そこの2ページを見ていただきますと、そこから始めたいと思います。2008年10月以降どういうことが起きたかということですけれども、皆様ご承知のとおり、9月15日に米国の大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻いたしまして、これをきっかけとして非常に国際的な、米国に端を発する国際的な金融市場の混乱が起きてきまして、これがだんだん日本にも波及してきたという状況にあったわけでございます。

その後、金融庁といたしましては、2ページに書いてございますように、さまざまな策を、市場安定化・金融円滑化のための主な措置をとったわけでございますけれども、全部説明すると、もうこれだけで2時間かかってしまいますので、今日は主に、協同組織金融機関に関係するところを中心に簡単に説明させていただいて、その後、改正金融機能強化法の概要について説明させていただきたいと思います。

まずこの表を見ていただきますと、9月15日、リーマン・ブラザーズが破綻した後、このままでは大変だということになりましてさまざまな策を打ちました。例えば、10月15日を見ていただきますと、中川大臣が中小企業金融の円滑化という観点から金融機関代表者の方々と意見交換をいたしております。このような意見交換は、10月15日を皮切りに12月3日にも行っておりますし、12月17日にも行っているところでございます。

そして、10月16日というところを見ていただきますと、金融円滑化「大臣目安箱」というものを設置いたしました。これにつきましては、11ページをおめくりいただきますと、10月17日の金融庁のホームページのコピーが出てきまして、金融円滑化「大臣目安箱」というものを設置いたしましたと公表しております。この目的は、まさにここに書いてございますような中小企業金融円滑化に向けた監視を強化するため、いわゆる貸し渋り・貸し剥がし等の金融機関の融資に関する情報受付窓口というものを開設して、まさに中川大臣が直接見られる中小企業円滑化に向けた動きというものを監視していくということが始まったわけでございます。

それで、もう1回、2ページにお戻りいただきますと、この後、10月24日に、後ほどご説明させていただきます金融機能強化法の改正案が国会に提出されまして、最終的に12月12日に成立し、12月16日公布、17日施行となりました。

そして、10月29日には、信用保証協会で緊急保証制度というものの受付けを開始しました。これはご承知のとおり、通常の信用保証は80%でございますけれども、これは100%保証ということで、中小企業金融の円滑化を図っていこうという策でございます。

また、11月7日のところを見ていただきますと、中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置というものをとらせていただきました。これにつきましては、恐縮でございますが、13ページをお開きいただければと存じます。右上のところに13と書かれたところでございますが、皆様ご承知のとおり、金融機関というものが貸し出しの条件変更、例えば、返済期間の延長、元本の支払い猶予や金利の減免ということに応じていただければ、当然、借り手企業から見れば資金繰り、経営改善になっていくわけでございます。ただ、このような条件変更を行った場合には、原則として貸出条件緩和債権ということになりまして、不良債権に該当するということになり、金融機関から見ると、結果的には、不良債権比率が上昇し、当然、引当率も上昇するということで、なかなかこのような貸出条件の緩和に応じにくいという事情がございます。

ただ一方で、私どもの金融庁の監督指針におきましては、この例外として、こういう条件変更を行う一方で、それと併せて、非常に実現可能性の高い抜本的な経営再建計画を作っているる場合は、このような貸出条件の変更があったときにおいても、これは貸出条件緩和債権という債権区分をしなくていいという扱いになってございます。これが今までは、抜本的な経営再建計画とは何かというと、これは概ね3年後に債務者の債務者区分というものが正常先となることということになっていたんですが、なかなか中小企業の場合には、もともとリストラの余地も少ないですし、いわゆる債務超過解消までに時間もかかるという特性がございます。そういうことに鑑みまして、今回の監督指針や検査マニュアルの改定で、計画期間が概ね5年以内で、計画終了後正常先となる場合には、これは条件変更を行っても、貸出条件緩和債権(不良債権)としなくていいというような改正にさせていただきました。

具体的には、次のページをおめくりいただきますと、ポンチ絵風に書いてございますが、ここに書いてございますように、債権区分というのが正常先から破綻先まであるわけでございますが、この真ん中あたりにあります要注意先について、その他要注意先から、条件緩和を行いますと要管理になってしまうという問題があります。返済期間の延長、元本の支払い猶予や金利減免等を行いますと、原則は貸出条件緩和債権ということで要管理先となり、要管理先以降の分類は不良債権ということになります。そこを、今、申しましたような実現可能性の高い抜本的な経営再建計画がある場合には条件緩和債権にしなくていいと。これを、今まで計画期間3年だったのを5年と。しかも、概ね計画どおり進捗している場合には10年、ただし、これは中小企業のみでございますけれども、計画期間5年、それから概ね計画どおり進捗している場合は10年ということにいたしまして、これで条件変更に応じやすくなるということでございます。

また、計画の内容につきましても、詳細な計画というものでなく、金融機関と債務者の方でいろいろお話し合いになって作る、経費の削減予定や売上げ増加の見通し等のシナリオのような計画もいいということになってございます。計画というと、どうしても分厚い計画をつくらないといけないのではないかというようなイメージがあると思いますけれども、必ずしもそんなものではなくて結構ですということでございます。こういうものをやりまして、これで金融機関がいわゆる貸出条件の変更に応じやすいような環境整備を図っていこうということでございます。

これにつきましては、中川大臣もこの考え方をきちっと浸透させる必要があるということで、2枚おめくりいただきまして17ページを見ていただきますと、中川金融担当大臣名で各検査・監督担当官あてに、指示書が出されておりまして、ここに書いてございますように、「中小企業の経営環境は大変厳しい状況にあり、金融機関においては、借手企業の経営実態や特性に応じたリスクテイクとリスク管理をきめ細かく行い、適切かつ積極的な金融仲介機能を発揮することが求められている」ということで、下の最後の段落でございますけれども、「金融庁及び財務局の各検査・監督担当官は、現場において、今回の改定内容を踏まえ、…適切な運用を徹底されたい。」と。また、「中小企業向け融資において、金融機関が条件緩和への対応を含め、借手企業の経営実態や特性を十分踏まえて柔軟に対応することにつながるよう、適切な検査・監督に一層努められたい。」ということで、私も役人を25年やっていますけれども、大臣名で自ら検査官にこのような通達が出されたのは初めてではないかと思います。それだけ金融担当大臣の思いがこもっているということで、今こういう趣旨の徹底を図っているところでございます。皆様におかれましても、このような措置を講じていることをぜひご承知おきいただければと思っております。私どももPRに今後とも努めていきたいと思っております。

それでは、また2ページ目に戻っていただきまして、11月7日の中小企業向け融資の貸出条件緩和の話をいたしましたが、その後もさまざまな策を打ち出してきております。

そして、12月12日、下のほうですが、改正金融機能強化法というものが成立いたしました。そして、12月19日には「生活防衛のための緊急対策」というのが決定されまして、その中で、後ほどご説明いたします改正金融機能強化法、これまでの金融機能強化法の公的資本参加の資本参加枠というのは2兆円でございましたが、これを「生活防衛のための緊急対策」の中で、補正予算、それから来年度予算の中で2兆円を12兆円に大幅に拡大しているところでございます。

それで、次に金融機能強化法の中身についてご説明させていただきたいと思います。3ページをお開きいただければと思います。

金融機能強化法というのは、実は平成16年にできた法律でございまして、もともと、ここに書いてありますように、目的は、国が資本参加することによって金融機能の強化を図り、もって地域における経済の活性化を図っていくということでつくられた法律でございます。この法律は基本的に公的資本参加を求める金融機関が申請を行うという申請方式をとっておりまして、その申請期限が昨年3月というふうに法律で定められておりまして、昨年3月に1回この法律は、申請期限は切れてしまったわけでございますが、冒頭、神田先生からお話がございましたような特に9月以降の国際的な金融市場の混乱という中で、これが日本にも波及し、日本の金融機関の自己資本の低下圧力がかかると、そうしますとリスクテイク能力が低下して貸し出しというものが減少するおそれがあるという中で、国の資本参加という選択肢を準備することで金融機関のリスクテイク能力を高めていこうと、そのためには、この法律を再び活用するのがいいだろうということになりまして、この改正を行ったわけでございます。

改正の中身としましては、大きく分けますと3つほどポイントがあると思いますが、これは現行と書いてありますが、今や現行ではなくて旧法になるわけでございますけれども、左側がかつての金融機能強化法の枠組みで、右側がどういう見直しを今般行ったかということでございます。

まず、この枠組みは先ほど申しましたように、国の資本参加を求める金融機関は申請を行います。その申請を行ったときに経営強化計画というものを提出するということになっております。まずここのところで1つ目の大きなポイントは、先ほど申しましたように、昨年3月で申請期限が切れていたのを延長するということで、申請期限を平成24年3月まで3年余り延長するということでございます。これがまず第1のポイントでございます。

第2のポイントは、かつての運用の反省を踏まえて、より使い勝手をよくしようということが第2のポイントでございます。先ほど申しましたように経営強化計画というものをつくるわけでございますけれども、その中で、例えば収益性とか効率性の数値目標をつくっていただくとか、そういう目標を達するための方策をつくっていただくこととなっております。また、責任ある経営体制の確立というものも書いていただくこととなっております。

ただ、その中で、網掛けになっている部分がありますが、かつての金融機能強化法は、申請段階で自己資本比率が基準値未満、国内行の場合は4%未満、国際基準行の場合は8%未満の金融機関が申請する場合には、経営責任と株主責任というものをどうしますかということを明確化してくださいということが書いてありました。

またもう一つ、目標未達成の場合、組織再編成、いわゆる合併等を伴う場合は別としまして、金融機関が単体で国に対して資本参加を求める場合には、収益性や効率性の数値目標が、仮に3年後なり5年後なりに達成できない場合は、どういう経営責任をとりますかということを書くこととなっておりました。しかしながら、昨今の経済情勢、金融情勢をめぐる環境に鑑みますと、なかなかその先は、いくら一生懸命張っても3年後、5年後はなかなか見通せないという状況の中で、目標を達成できなければ経営責任、簡単に言えば経営者の方に辞めることをコミットしていただくということでございますけれども、将来の状況が不確実の中で申請段階で辞めるということをコミットするのは厳しすぎるのではないかというご意見がございまして、今回の見直しでは、右側に書いてございますように、制度上一律には求めない。すなわち、かつては、経営の中身を見ずに一定の数値水準で直ちに経営責任の明確を求めるというような、そういうことはいたしませんということでございます。

ただ一方で、それだとモラルハザード等の問題もございますので、従前の経営体制はきちっと分析してもらいますと。従前の経営体制を分析した上で経営責任の明確化を求める場合もありますということは書いてございますけれども、今、言いましたように、オートマティックに経営責任を求めるというようなことはいたしませんということでございます。これが2つ目の使い勝手のよさということでございます。

3つ目は、今、地域経済、中小企業というものが非常に厳しい状況にあるということに鑑みまして、今回は中小企業金融の円滑化を図るという目的をより明確化にしています。それは、左側の表に書いていますけれども、経営強化計画の中で、かつては信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策というものについて計画に書いてくださいと書いておりましたが、今回は、右側を見ていただきますと分かりますように、中小企業に対する信用供与の円滑化というものについての方策を書いてくださいということを明確化しているところでございます。

次に、こういう計画書を出していただきますと、国が資本参加するかどうかということを審査します。その審査の基準といたしまして、2のところに書いてございますが、例えば、収益性・効率性等の向上が見込まれるかとか、3つ目の丸にあるような公的資金の回収が困難でないかとか、資産査定をやっていますかというようなことを書いています。それは変わりませんが、先ほど申しましたように、今回の改正で資本参加の審査基準のところに、同じように地域における中小企業に対する金融の円滑化が見込まれるかどうかということを明確化して、それを審査基準に加えております。

さらに、先程の2番目のポイントに関係しますが、使い勝手のよさというところで今回改正いたしましたのは、従来の国の資本参加の基準には、ここに書いていますように、リストラ等事業再構築の措置が講じられていることということと、自力で資本調達を行うことということが書いてあります。ただ、昨今の地域経済自体が大変疲弊しておりますので、そういう中で、地域経済の中でまず資本調達しようというのは非常にきついものでございますので、これは今回は審査基準から外しまして、制度上一律には求めないということとしております。

こういう資本参加の基準をクリアいたしますと、国が資本参加しまして、あとは半期ごとに経営強化計画の進捗状況を提出していただいて、国がフォローアップしていくと、そういう仕組みになってございます。

4つ目、最後の今回の改正のポイントでございますけれども、これがまさに今回の私どものワーキングに非常に関係するところでございますが、従来からございました協同組織金融機関に対する資本参加の枠組みというものを、これまで2つのルートだったものが、1つ新たに増やしまして3つのルートで協同組織金融機関に対して国が資本参加させていただく手段ができたということでございます。

左側の現行というところを見ていただきますと、かつては2つのルートがございました。1つは、単体としての協同組織金融機関に着目いたしまして国が資本参加をすると、即ち、協同組織金融機関がそれぞれの判断で申請していただいて、国が資本参加をするという枠組みと、もう一つは、まず中央機関が傘下の協同組織金融機関に対して資本増強の支援をしていただきまして、例えば優先出資の引受けをしていただいて、その後、国がこのような優先出資というものを信託受益権等の形にして、国が信託受益権を買い取るということによって、いわば2ステップの形で国が個々の協同組織金融機関に対して資本参加させていただくと、そういう枠組み、ルートがございました。

これに加えまして、今回の改正で、左側に「新設」と書いてございますけれども、そもそも中央機関とその傘下にある協同組織金融機関全体で金融機能を発揮していただいているということに着目いたしまして、まず国として中央機関に対して予め国が資本参加をするという枠組みを設けました。即ち、中央機関に国が資本参加いたしまして、その資本を傘下の協同組織金融機関の資本支援にも活用しますし、中央機関自体が健全であることが必要でございますので、中央機関の健全性の強化のためにも資本を使っていただくという仕組みをつくったところでございます。これが新たな枠組みでございまして、4つ目の改正のポイントです。

具体的には、次のページをおめくりいただきますと、中央機関を通した資本参加の枠組みでございますけれども、基本的な流れは先ほどご説明しましたこれまでの枠組みのものと同じでございます。

まずは、もし国の資本参加を求める場合には、当該中央機関におかれましては、協同組織金融機能強化方針というものを作成の上、申請に当たって提出していただきます。その中身というのはここに書いていますような、中央機関、それからその傘下の協同組織金融機関の収益性、業務の効率の向上に向けた方策ですとか、資本支援を行う傘下の協同組織金融機関に対する経営指導の方針ですとか、中小企業に対する信用供与の円滑化等の方策ですとか、そういうものを書いていただくと。そして、国が資本参加のための審査を行うということで、基本的にはこういう強化方針というものが金融機能の発揮の促進のために適切かとか、この方針の円滑かつ確実な実施が見込まれるかとか、そういうことを審査しまして、その審査が通った場合には国が資本参加し、あとは従来と同じように事後チェックということで、半期ごとに実施状況を報告していただくと、こういう仕組みでございます。

このような内容について、もう少し詳しくしたものが7ページ以降に書いてございます。例えば、経営改善の目標についてでございますが、ここに書いていますように、コア業務純益またはコア業務純益ROAというのが計画の始期より、即ちスタートラインよりも上昇するというような目標をつくっていただいてやっていただくと。また効率性につきましては、これは従来と同じでございまして、粗利益経費率というものが計画の始期より低下するようにすると。

それから、今回のポイントの1つですが、今までは不良債権処理というところで、不良債権比率が計画のスタートから低下するということを目標として定めていただくことにしていたんですが、今回は目標から削除いたしました。理由は、昨今の非常に厳しい状況に鑑みますと、不良債権比率を下げるというのも大変難しかろうと。ただ、といって適切な不良債権の管理は行って頂く必要がありますので、ここに書いていますように、責任ある経営体制の確立の中で、リスク管理体制の強化のための方策というのはきちっと書いていただくと。きちっとリスク管理、不良債権の適切な管理は行っていただくというための体制は構築していただくということでございます。

次に、信用供与の円滑化につきましては、今回は中小企業というものにスポットを当てますので、中小企業の事業者向けの信用供与円滑化計画というものを策定していただきまして、その中で中小企業向けの貸出比率の水準を維持・向上させるための方策、それから、中小企業者向けの貸出残高の見込みというものも計画の中に書き込んでいただくということでございます。

それから、次のページにいきまして経営責任のところでございますが、経営責任につきましては、先ほども申しましたように、今回は一律に経営責任を求めるということはいたしませんが、自己資本比率が基準値未満の金融機関におかれましては、申請に当たりまして、過去の経営がどうであったか、どういう経営をやっていたかという分析をしていただきまして、その分析の結果、例えばこういう問題があった、ああいう問題があったということがあれば、どのようにしてその問題に対処し、改善を図っていくか方策を併せて書いていただきます。その中で、もし仮に、これは明らかに経営者の責めに帰すべき事由によって自己資本比率が基準値未満に落ちたと、過去の分析をやったところ落ちたという場合には、経営責任の明確化を含めた経営管理体制の抜本的な改善を図るための方策も書いていただくと、そういう枠組みにしてございます。

次に、国の資本参加基準でございますが、地域からの自力資本調達は求めないということになってございます。それから、中小企業向けの円滑化計画というものが円滑に実施できるかどうかということについて、審査の着眼点を設けてございます。

また、先ほどの説明と関係いたしますけれども、基準値未満の金融機関で、業務執行やリスク管理が引き続きずさんな体制が維持されるという場合には国は資本参加しませんということを審査基準で明確化しており、モラルハザードを防ぐこととしております。

事後チェックにつきましては、ここに書いてございますように、半期ごとに事後チェックするわけでございますが、仮に経営改善の観点から見て、収益性、先ほどのROAとか、収益性が目標を3割以上下回った場合または効率性が計画の始期を下回った場合には、まずはその原因、どうしてこうなったかという分析、それからその改善策というものについて報告を求めまして、必要に応じて業務改善命令の発動を検討することとなっております。

また、信用供与の貸し出しにつきましては、中小企業向け貸出比率と残高というものが計画の始期を下回った場合にはその原因と改善策、その改善策が不十分であれば必要に応じて業務改善命令の発動を検討するということでございます。

また、2期連続で貸出比率と残高が下回った場合は、原則として業務改善命令の発動を検討することとなっております。

ただ今ご説明致しましたのは、単体としての金融機関に国が資本参加する場合の枠組みでございます。

次のページからが、協同組織金融機関の中央機関に国が資本参加する場合の枠組みでございます。先ほど申しましたように、もし国の資本参加を希望する協同組織金融機関の中央機関は、協同組織金融機能強化方針というものを策定、提出していただくわけでございますけれども、その中で、まずは業界全体としての中小企業に対する信用供与の円滑化に資するための方針というものを書いていただきます。また、中小企業向けの信用供与円滑化計画というものを作っていただきまして、傘下の個々の協同組織金融機関に資本支援を行った場合においては、その資本支援を行った協同組織金融機関の中小企業向けの貸出比率または残高の水準を維持・向上させるための方策を書いていただきます。

また、この強化方針の2つ目の中身として、公的資金を有効に活用するための体制というもの、体制整備の中身を書いていただきます。具体的には、特に中央機関が個々の傘下の協同組織金融機関から資本参加してくださいという申請が来た場合に、中央機関の審査体制といたしまして、資本支援を行うことが本当に傘下の協同組織金融機関の中小企業向けの信用供与の円滑化に資するかというような点のチェック、資本支援を行うことによって資金の回収可能性があるか、そもそも傘下の協同組織金融機関において適切な資産査定が行われているか、このような点について審査する体制というものができているかどうか、どのように整備していくのかということを強化方針に書いていただきます。

また、経営責任につきましては、先ほどの枠組みと同様でございます。もし、自己資本比率が基準値未満の場合については過去の経営を分析していただくということでございます。

その他といたしまして、剰余金の処分方針ですとか、財務内容の健全性の確保のための方策、これは従来のものと同じでございます。あと、農林中央金庫につきましては、ご承知のとおり、農協のほうでは信用事業と経済事業を一緒にやっておりますので、あくまでも公的資金は信用事業にのみ充てられるということを確保するための体制をどう整理するかということ、これはまさに農業協同組合の特殊性に鑑みて規定しております。

次に、こういう強化方針が出たときの国の資本参加の基準でございますけれども、まずは公的資金の回収可能性のメルクマールということで、マル1マル2に書いてありますような、そもそも国が取得する優先出資、貸付債権が譲渡困難ではないということと、中央機関において、概ね15年以内に返済原資、あくまで概ねでございますけれども、15年以内で返済原資が積み上がること、これも従来と同じ仕組みでございます。

次のページをおめくりいただきまして、あとは中央機関が資本支援を行った傘下の協同組織金融機関に対して、適切に中小企業の信用供与の円滑化のためのフォローアップ・指導を行うことになっているか、体制ができているかというようなことをチェックいたします。

また、これも先ほどの単体の金融機関へ資本参加する場合と同じでございますけれども、仮に自己資本比率が基準値未満の中央機関で、業務執行やリスク管理がずさんな体制というものが引き続き維持されるという場合には、国は資本参加しませんということを明確化してございます。

最後に事後チェックでございますけれども、これも方針の実施状況を半期ごとに報告していただきまして、その中で幾つか監督上の措置を講じるポイントを明記しております。

1つは、公的資金の返済可能性という観点から、仮に2事業年度連続で収益性が方針の始期を下回り、また目標を3割以上下回った場合、または効率性が方針開始の始期を下回った場合には、まずなぜそうなったかという原因分析、改善策について報告を提出していただきます。その上で、概ね15年以内の返済原資の確保に支障が生じるということが認められる場合には、業務改善命令の発動を検討することとなっております。

もう一つの方策としては、信用供与の円滑化という観点から、そもそも方針に書かれました協同組織金融機関全体としての、特に中小企業に対する信用供与の円滑化のための方針というものの実施状況をフォローアップ致しますとともに、中央機関が資本支援を行った協同組織金融機関の合算ベースでの中小企業向けの貸出比率及び残高、比率と残高がそのスタートラインにおける合算ベースの水準を下回った場合はその原因分析、及び改善策を求めますとともに、もし改善策が不十分であれば必要に応じて業務改善命令の発動を検討する。また、2期連続でこの貸出比率と残高というものが下回った場合は、やむを得ない事情があると認められる場合以外には、原則として業務改善命令の発動を検討すると、そういう枠組みになってございます。

最後に、18ページ、一番最後のぺージをごらんいただきますと、改正金融機能強化法というものが国会で成立いたしました12月12日に中川金融担当大臣が談話という形で発表されたものでございますけれども、ここの2.の2行目のところに書いてございますように、「金融庁としては、地域経済及び中小企業の状況がさらに厳しさをます中、金融機関が適切かつ積極的な資金供給を行い、借り手企業が期待する金融仲介機能を十分果たしていけるよう、あらゆる努力を傾注してまいります」と。3.でございますけれども、改正金融機能強化法につきまして一気呵成に施行していきますと。また、もう既に実施済みでございますけれども、「全国各地で金融機関向けの説明会を開催し、本制度について周知を図るとともに、関係団体等に対し本制度の活用の検討について積極的に呼びかけを行ってまいります」と。更に、4.でございますけれども、「各金融機関におかれては、改めて中小企業向け融資への積極的な取組みに尽力されるよう、強く期待します」ということで、改正金融機能強化法が動き出しているという状況でございます。

長くなりましたが、私のほうからは以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今の説明につきまして皆様方からご質問、ご意見がございましたら、ここでお出しいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

協同組織金融機関については、中央機関に、それから個別の信用金庫でも申請できるような形になっていますけれども、それは並行してそういったことができるということでよろしいんでしょうか。

○小野信用制度参事官

はい。もともと単体の協同組織金融機関として申請ができましたし、今回は新たに、中央機関に国が資本参加をして、そこから中央機関を経由して個別の信用金庫なり信用組合に入ると、そういう枠組みもできたということでございますので。

○佐藤委員

そうしますと、今ご説明があったような形に沿っていれば、個別の信用金庫が申請しても認められることがあるということで。

○小野信用制度参事官

さようでございます。

○佐藤委員

ありがとうございます。

それから、当たり前だと思いますけれども、協同組織金融機関は、今、私どももそうですけれども、中小企業金融ということですけれども、個人の場合には住宅ローンとかそういったものがあるわけですね。そうしたものは中小企業金融という中から除くというふうになるということでございますか。

○小野信用制度参事官

個人の住宅ローンは除くということで、あくまでも中小企業への貸し出しということでございます。

○佐藤委員

ありがとうございました。

○神田WG座長

ほかにご質問、ご意見はありませんでしょうか。

どうぞ、家森委員。

○家森委員

幾つかわかる範囲で教えていただけたらありがたいんですけれども、大臣目安箱というのができたということですが、貸し渋りというのは、特定の地域で今既に深刻になっているのでしょうか。この目安箱がどの程度使われているのかわかりませんが、特定の金融機関についてとか、特定の地域から多くのクレームというか意見がきているのかどうか、そういうあたりの状況を教えてもらえたらと思います。

それから2つ目は、貸出条件緩和債権の見直しということを今回やられたわけですけれども、これは過去の実績と整合的だというふうに考えてよろしいんでしょうか。要するに、こういう計画があれば、そもそも不良債権として過去に認定していたのがむしろ厳し過ぎたという合理的な検証があって、今回こういうことが決まったのかという、その辺りについて、どういうふうな分析がされたかを教えていただければと思います。

それから最後は、後の説明との関連になるんだと思うんですが、中央機関へ公的資金が入って、それがさらに信用金庫に入った場合に、中央機関が傘下の金融機関について監督というか、ちょっと正しい用語はわかりませんけれども、監督するということになっているというふうに今理解したんですけれども、それは一々契約を結んでやるのか、何かこの法律で権限が与えられているのか、その辺りについて分かる範囲で教えていただければと思います。

○小野信用制度参事官

まず一番最後の質問でございますけれども、これは法律で書いてございます。法律で、傘下の協同組織金融機関に資本参加した場合は、中央機関はその経営指導の権限を与えられるというふうに規定されております。

それから、条件緩和債権、貸出条件の変更の話でございますけれども、条件緩和する一方で、抜本的な実現可能性が高い計画を作るという場合は、先ほどご説明しましたように、従来から債務者区分の変更をしなくていいということになっておりまして、それを運用する中で、中小企業というものは、ここに書きましたようにどうしても時間がかかるということに鑑みると、5年とすることが適当ではないかということで今般の改正とさせていただいたというところでございます。

それから、大臣の目安箱でございますが、詳細は私も余り承知いたしませんが、地域についての片寄りとか、そういうものが特にあるとは承知いたしておりません。

○神田WG座長

それでは、お隣の吉野委員、お願いします。

○吉野委員

18ページのところで、3番目の第2パラグラフなんですけれども、これは金融庁というよりは、むしろ中小企業庁のほうかもしれませんが、金融機関の自己資本比率規制についても、信用保証協会、それから保証付融資の取り扱いについて見直しを行いますと書いてあるんですけれども、具体的には100%信用保証とかそういうようなことなんでしょうか。もしわかれば教えていただきたいんですけれども。

○小野信用制度参事官

これは中小企業向け与信の信用保証協会の別枠化の措置についてでございます。従来は中小企業向けの貸出しについては、直接与信に保証協会与信が乗る形となっておりました。ところが、リスク・ウェイトを75%とできるのはあくまで同一の債務者への与信額1億円以下となっていることから、この保証付与信の枠が1億円以下の与信をとってしまうこととなっていたが、保証付与信枠は別枠としてカウントするようにしたということでございます。

○神田WG座長

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、神吉委員。

○神吉委員

素朴な疑問なんですが、申請時に経営強化計画を提出するのですけれども、そこに返済計画は書かなくてよいのでしょうか。といいますのは、国の資本参加の基準の一つである「公的資金の回収が困難でないこと」という点をどうやって判断するのかがよくわからないのです。

○小野信用制度参事官

説明が不十分で申し訳ございませんでした。9ページ目のところにありますように、回収可能性のメルクマールといたしまして、マル2に書いてあるような、要するに中央機関も、単体の金融機関も同様ですが、概ね15年で返済原資が、要するに剰余金が積み上がっていくことが1つの基準になってございです。ですから、当然、返済については剰余金が、計画をつくって概ね15年で返済できるということが1つのメルクマールになってございます。

○神田WG座長

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

そうしましたら先へ進ませていただくことにさせていただきます。

それでは次ですけれども、本日の後半部分と言ってもよろしいかと思います。これまでの論点を再整理していただきまして、また、今後のワーキング・グループの進め方についてもあわせてご説明をいただきたいと思います。

これも小野参事官からよろしくお願いいたします。

○小野信用制度参事官

それでは、お手元にございます論点メモ(要約版)、協金WG10-1というものをおめくりいただければと思っています。

これは、これまでの論点メモを集約し、いろいろ皆様のご意見がある中を、問いかけと申しますか、今後さらに議論を深めていただきたい点について整理したものでございます。もし足りない点等があれば、後程ご教示いただければと思っております。

ページをおめくりいただきますと、論点メモ(要約版)の2ページでございますけれども、まず中小企業金融というところでございます。中小企業金融、これは秋口に議論しかけて、十分というか、ほとんど議論できていないところでございますけれども、協同組織金融機関というものの協同組織とは何ぞやということになりますと、これは小規模な事業者または消費者の相互扶助を目的とすることということになっておりますので、そういう意味で、協同組織金融機関というのがまさに中小企業の再生とか地域経済の活性化をするための各種取り組みを進めていくということが期待されるところでございます。そのようなことに鑑みまして、信用金庫・信用組合の地域金融に対するこれまでの取り組みというものをどのように評価するかというところをまず議論を深めていただければと思っています。

また、中小企業金融において協同組織金融機関はどのような役割を果たしていくことが期待されているのか。いろんな役割の形はあるとは思いますけれども、その役割を遂行するための方策はどういうものが考えられるか。これまでに若干の議論がありましたが、例えば、経済団体とか自治体との連携をとるような話ですとか、そもそも個々の協同組織金融機関のみならず、協同組織金融機関と中央機関でのコラボレーションと申しますか、協働してやっていくとか、そんなようなことが考えられるのではないかと思いますけれども、どのようなものが考えられるかということについて、議論を深めていただければというふうに思っております。

それから、前半で若干の議論が出て、これまで十分議論されていなかったところでございますけれども、中小企業金融における役割が期待されている中で、不良債権の問題をどう考えるかというのがございます。一番後ろの5ページに表をつけておきましたが、業態別不良債権比率の推移、これは今までも何回かお示しておりますけれども、これに今回、先ほど申しましたリーマンショックと申しますか、金融市場の最近の非常な混乱という中で、日本もだんだん影響を受けてくると。そういう中で、信用金庫と信用組合の場合は、今はまだ半期決算じゃないので数字は出てこないんですけれども、都銀、地銀、第二地銀の不良債権比率の20年9月末を見ますと、これを見れば明らかなように上昇に転じてきています。今までずっと不良債権比率が下がってきていたのが、まだ若干でございますけれども、上昇に転じてきておりまして、これは多分、今後、さらに上昇していくのではないかと。当然、このことは、20年9月末のデータはありませんけれども、ほかの業態を見れば明らかなように、信金・信組についても不良債権比率が上がっていくことが見込まれると。こういう中で、もともと他の業態に比べて高い不良債権でございますので、これをどう考えていくか、今後、中小企業金融を行っていく上でどう考えていくかというような論点も、今後ご議論いただくことが必要ではないかと考えています。

また2ページに戻っていただければと思いますが、もう一つの大きな論点として、業態別のあり方、すなわち、一口に協同組織金融機関と言いましても、信用金庫、地域信用組合、業域信用組合、職域信用組合というものが大きく分けるとあるわけでございますが、このように分かれている業態、同じ協同組織金融機関という中でも分かれているという業態、この業態のそれぞれのあり方というものについてどう考えていくかということでございます。これにつきましても、まだほとんど議論されておりませんので、今後、議論を深めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

2番目の問題は、いわゆる組織、ガバナンスの問題でございます。これにつきましては、これまで9月、10月で2回ご議論いただいたところでございますが、そういう意味では再掲という形で書いてございますけれども、ガバナンスという観点から見たときに、1つは総代会についてでございます。会員と組合員が多いということで、総代にかえて総代会制度というものを採用している信用金庫・信用組合が非常に多いわけでございますけれども、総代または総代会制度の現状についてどう考えるか、改善すべき点はないかと、例えば、定年制の話ですとか、総代の職業とか、構成の会議とか、総代会の資料の開示の話ですとか、総代の選出方法についてとか、これまで様々な議論が出ましたが、それについてどう考えるかということでございます。

次に理事会でございます。理事会につきまして改善すべき点はないかということでございます。今まで議論がございましたのは、社外者理事の問題などをどう考えるかというような議論ですとか、農業系の協同組織金融機関では既に採用されております経営管理委員会制度というものがございましたが、このような制度を踏まえた上で、理事会、理事のあり方についてどう考えるのかという論点が1つあると思っております。

次に監事でございますけれども、監事の問題につきましては、特に信用金庫の皆さんではもう既に監事会制度というものは事実上採用されていますが、こういう監事会制度についてどう考えるのか。ただ、この監事会制度は別に法令で明確化されているわけではございませんので、監事会制度というのを法令で明確に位置づけ、監事会制度の選択を行えるような、そういうことにすべきか、それについてどう考えるかというような論点があると思っております。

次にディスクロージャーでございますが、特に半期決算の問題でございます。信用金庫・信用組合の半期決算につきましては、法令上は義務づけられておりませんが、半期開示との関係を踏まえまして、これをどう考えるのかというような論点でございます。この半期決算、半期開示というのはセットで考えていく問題だとは思っておりますが、そういう意味で、半期開示というものにつきまして、現状では信用金庫・信用組合の半期開示は法令上あくまで努力義務となっておりますけれども、財務内容のタイムリーな開示、ご承知のとおり、上場銀行は既に昨年4月から四半期開示に移行しておりますが、財務内容のタイムリーな開示という要請の観点から、信用金庫・信用組合に半期決算、半期開示というものを義務づけることについてどのように考えるかというような論点があるかと思います。

次に外部監査でございます。外部監査につきましては、現行では、一定の要件を満たす信用金庫・信用組合、具体的には信用金庫については預金等が200億円以上、信用組合は預金等が200億円以上かつ員外預金比率が10%以上と、こういうことを満たすところについては外部監査が義務づけられておりますが、この外部監査要件につきましてどう考えるか。ちなみに、実際にはすべての信用金庫、それから信用組合については、168ある信用組合のうち128で既に外部監査が行われておりますが、それにつきまして、そういう点を鑑みると、現行の外部監査要件についてどう考えるのかというような論点があると思います。

次に業務でございます。業務につきましては3つ論点があると思っておりますが、1つは会員・組合員資格でございます。現在の信用金庫の会員の資本金の上限は9億円、信用組合の組合員の資本金の上限は3億円となってございますが、信用金庫・信用組合が地域経済において役割を果たしていく上で、資本金基準というものについてどう考えるのかということが1つ大きな論点としてあると思います。

2つ目は地区規制でございます。もともと地区規制というのは、人的な結合体としての統合の基盤をなす同質的な地域経済の中で限定することが合理的ということで、地区規制があるわけでございますが、時代の流れの中で、地区規制の存在意義または地区規制の今後のあり方についてどう考えるのかという論点があると思います。

3つ目の論点としては余資運用でございます。現行法上、信用金庫・信用組合の余資運用に関する特段の制限はございませんが、その一方で、有価証券投資等の失敗による破綻の事例とか、これまでのワーキング・グループでも議論になりましたいわゆる預証率の上昇というものが見られるところでございます。このような点を踏まえて、信用金庫・信用組合の余資の運用のあり方についてどう考えるのか、例えば、中央機関のあり方ともあわせてどう考えるかというような論点があると考えております。

次の論点が中央機関のあり方についてでございます。先ほどご説明しました改正金融機能強化法の施行によりまして、先ほどご質問がございましたように、国の資本参加が行われた中央機関につきましては、中央機関から資本支援を受ける個別の協同組織金融機関に対して経営指導権というものが法律上付与されることになっております。

ただ、金融機能強化法というのはあくまでも時限的なものでございますので、平時に戻ると申しますか、金融機能強化法の後の平時に戻った時の中長期的な問題として、信用金庫・信用組合の中央機関である信金中金・全信組連の位置づけ、役割についてどのように考えるのかという論点でございます。即ち、法令上、現在では信金中金・全信組連の目的とか役割または権限というもの、傘下の信用金庫・信用組合に対する権限というのは法律上規定されておりませんが、金融機能強化法の後の世界でそれをどう考えていくのかという問題があると思います。その際に、ワーキンググループの前半部分で、ヒアリングいたしましたような、JAバンクシステムや、ドイツ・オランダ等の海外の協同組織金融機関制度について何か参考とすべき点はないかという点でございます。

また、先ほどの一番最初の論点ともつながってきますが、そもそも信用金庫・信用組合が中小企業金融で期待されている役割を果たしていくという観点から、中央機関の役割・機能についてどう考えるかという論点もご議論いただければと思っております。

また、中央機関の位置づけとあわせまして、相互支援の問題をどう考えるかということがございます。ご承知のとおり、現在、信金中金・全信組連は、自主的な資本増強制度ということで、傘下の協同組織金融機関に対して資本支援を行っておりますが、それに加えまして今回の改正金融機能強化法によりまして、中央機関にあらかじめ国が資本参加することにより、中央機関が傘下の個別の協同組織金融機関に対して必要な資本支援を機動的に行うということで、中小企業金融の円滑化を図るという新たな枠組みが設けられたところでございます。

ただし、これもやはりあくまでも時限的なものでございますので、その後の世界として、協同組織金融機関の相互支援が引き続き有効に機能していくためにどのような制度が考えらえるのか。この問題につきましても、海外の例もありましたような、中央機関から切り離された支援基金を設けるとか、そのような事例を参考にしながらどう考えていくかという問題があるかと思います。

最後にその他ということになっておりますが、これはそもそも、ここに書いていますように、上に掲げましたような論点を整理した上でということではありますが、協同組織金融機関のあり方というものをきちっと整理した上で、いろんな規制緩和とか手続の明確化についてどのように考えるかということで、12ほど挙げさせていただいております。

1つは、所在不明会員を法定脱退事由に追加するような法定脱退事由の拡大ですとか、事後的に会員資格を喪失した債務者に対する貸し出しの取り扱い、いわゆる事後員外貸出についてどう考えるかとか、転居予定者に対する貸し出しというもについてどう考えるか。また、保証会社、個々の協同組織金融機関が設立した保証子会社について、他の協同組織金融機関も利用できるようにしたらどうかという点についてどう考えるか、脱退組合員の持ち分の一時取得を認めるかどうかというようなこと。それから、優先出資の分割を円滑に行うための手続について整備を行うべきかどうか、優先出資の消却手続の明確化、劣後債の発行を認めるべきかどうか、自治体向けの貸出規制の緩和を図るべきかどうか、自己優先出資を消却した際の取り扱いの明確化を図るべきかどうか。現在、全信組連に課されています員外貸付制限というものがございますけれども、これについて撤廃すべきかどうか、或いは緩和すべきかどうか。更に、現在、国立大学法人への融資というものは認められておりませんが、これを解禁すべきかどうか、こういうような規制緩和についてどう考えるかというような論点があるかと思います。

簡単でございますけれども、以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

久しぶりの会合になっておりますので、皆様方もだんだん思い出していただけたのではないかと思いますけれども、今ご説明いただきましたのが論点メモの要約版という形にはなっておりますけれども、現時点でもう一度再整理したものであります。したがいまして、これに基づいて今後、それぞれの具体的な各論点の項目に戻ってというか、項目について取りまとめに向けたご議論をお願いするということになると思います。

そこで、本日は、今ご説明いただきました論点メモ(要約版)をご覧いただきまして、その趣旨について、もちろんご質問でも結構ですけれども、ご意見、あるいは今後個別にまたご議論いただきますけれども、落ちているのでこういう論点なり項目を加えたほうがいいというご指摘があれば、ぜひそういうご意見等をお出しいただきたいと思います。なお、今日お帰りになった後で気がつくということもあるかと思いますので、そういう場合には、ご意見を事務局まで、または私でも結構ですが、お寄せいただければと思います。

どなたからでも結構でございますので、ご質問、ご意見をお出しいただきたいと思います。いかがでしょうか。

今松委員、お願いします。

○今松委員

この間考えてみますと、10月以降、金融全体で見ますと、経済もそうですけれども、極めて厳しい状況というのが進んだと。その中でつくづく思いましたというか、感じたのは、地域金融の中での信用金庫であるとか信用組合、中小向けの金融機関がしっかりしていなければいけないというのがかなりはっきりしてきたのではないかと思います。目詰まりと言われるように、なかなかお金が回らない状況というのが実態として動いている中で、一方で経済の活性化をどのようにやっていくかというときに、ではどのようにお金をうまい具合に回すか、その点で言うと、協同組織金融の場合というのは、それが地域なりそういう業態の中をきちんと把握しているという組織であれば、そこはうまい具合にお金なりを回せる機能というものを持っているんだろうと思います。

これまで、ともすると、金融自由化する中でそういう点を十分に留意してきたはずなんですけれども、どうしても、いろんな意味でいうと、自由化ということは大手の銀行等々が一つのモデルとなってきたと思うわけですけれども、改めてここで、中小というか、地域金融の中で協同組織金融が果たしていく役割というのを見直すというか、その点を明確にしていく必要があると思います。

それと、その場合に、この中でもあったわけですけれども、今回のサブプライム等々の問題にもかかわるわけですけれども、どうしても地域での地域内資金循環というか、地域内の金融の循環ということを考えると、余資が非常にたくさん出るということは、考えてみればうまい具合にお金が回っていないということだろうと思います。そこをどうこれから解決していくのか。これまでは、どちらかというと大手の金融機関等々が、中小、地域企業でもいいところはばんばんとっていくという状況はあったと思いますけれども、ここのところいろいろ話を聞いていましても、大企業が、これまでの直接金融ではなかなか調達できないところを間接的に改めてまた戻ってくると。そうすると、そういう中でこれまで資金的に比較的余裕があった中小等々も、こういうふうな協同組合金融等々に改めて戻るという動きがあるとも聞きます。

そういう点に十分留意しながら、資金を、先ほどありました余資運用というところにあるよりは、本業のところで相当程度回るというか、預貸率を一定高く、そこそこの水準というか、それなりの水準に保てるようにする方向というのが必要かなというふうに思います。それは余資という形でいろんな有利な商品に投資することで、それはその時々いいわけですけれども、実態として、一たん破綻というか、こういうふうな状況が起きてしまうと、そこの余資の部分が完全に動かなくなってしまう。こういう状況というのは金融機関として望ましくない。先ほどのような単なる失敗というところではなく、世界的な金融システムの中でおかしなことになるという、そういうところを避けるという意味では、余資の運用ですね、こういうところをどのように、規制という意味ではないんですけれども、やっぱり経営の中での位置づけとかそういうものをはっきりさせる。それと中央機関の運用、これについても適正かつこれが条件としていいものでいく。つまり単なる、これまでですと、トリプルAであれば大体大丈夫だというふうに言われていたわけですけれども、どうもそうじゃないという状況が生まれてきた状況下で、どのようにこれを対応していくのか、こういった点、1つ留意が必要かなというふうに思います。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

論点メモにないものとして、2つの視点があろうかと思います。

第一に、各協同組織金融機関の規模の違いをどう考えるかという視点です。一律に議論を進めてよいのかどうか、規模の違いを無視して一律に議論してよいのかという視点があろうかと思います。

第二に、規模の視点と関連しますけれども、業務等に関連しまして、業務範囲をどう考えるかということもあろうかと思います。銀行と横並びで業界一律に、例えば今後も拡大していくということでよいのかどうかという、2つの視点があると思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。

吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

私も、この中にない幾つかコメントさせていただきたいと思います。

1つは、先ほど、不良債権比率が中小企業は多いというお話でしたが、それはやはり中小企業は脆弱ですから、そうすると危機を再生するといいますか、うまくいかなかった時に、誰がその再生の力を担うのかというのが1つあると思います。

今度は逆に言いますと、参入も多い地域だと思いますが、そうしますとスタートアップとかリスクマネーの提供というのは誰がやっていくのか。恐らくキャピタルマーケットというのはあり得ないと思いますので、誰かがそこを担わないといけないわけですが、そうすると信金さん、信用組合さんがそういう情報を持ちながら、そこにリスクマネーを提供できるような手段がないと新しい産業が起こらないと思います。

それから3番目は、その地域におけるメガバンク、地銀と、それからこういう協同組織との関係がどうあるべきかというのがあると思います。

それから4番目ですけれども、もしこういう業界で規模の経済性とか範囲の経済性が働くのであれば、合併とか再編とかというほうに進めたほうがいいでしょうし、それから、もっと競争を激しくしてお互いに頑張ったほうがいいのであれば違うやり方があると思いますが、それも地域によって違うような気がいたしますので、今後、それぞれの個別の業態の中でどういう形で組織を組んでいくか。

最後は、地域金融の場合、自治体との関係があると思うんですが、自治体への貸し付けとかいうのは、信用金庫さんとか信用組合さんほとんどやられていないのか。地銀さんなんかですと、地方債を買ったり、それから地域への資金の供給というのがあると思うんですけれども。それから、自治体のいろんなプロジェクトがあると思うんですが、それと民間との整合性のようなもの、そんなところがあるのではないかと思います。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは渡邊さん、お願いします。

○渡邊協同組織金融室長

信金・信組の自治体貸付につきましては、ちょっとまた調べてみたいと思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

吉野先生からご指摘いただいた点、いずれも非常に重要で、このワーキンググループでまた一層ご議論していただかなければいけないことが増えることになるわけですけれども、いずれも非常に重要なご指摘ですので、神吉委員ご発言の点とあわせて、何とか今後の議論に生かすように再整理の中に加えていきたいと思います。

ほかの皆様方いかがでしょうか。

それでは若松委員、どうぞ。

○若松委員

このワーキンググループ、去年から論議を始めていたときも、今後の金融危機において、それぞれ見通しを持って言っていたと思うんですけれども、今起きている地域経済とか、あるいは大企業のトヨタなどを見ても、去年の今ごろ予想したよりも悪化しているわけですよね。

だから、今後の協同組織金融機関のあり方ということを言う場合において、今までヒアリングしてきた業界の方たちのヒアリングも、ある種、平時を前提にして、結論から言うと、なるべく今のままで、余り変ないじり方を上からしないで欲しいという印象を私は強く受けたんですけれども、本当に今の金融危機が今後、今年の後半さらにどうなるか、それは人によって見方が違うんでしょうけれども、業界の方々は、去年ヒアリングのときにおっしゃったときのままの意見をそのままお持ちなのか、状況が変わってかなり変えられてきているのか、私はその辺のところもちょっと疑問に思うというのが1点と、そもそも論で協同組織金融機関のあり方というのをこのワーキンググループで論ずるのは、今、金融庁の方から説明があったように改正金融機能強化法で、国は国として手を打っていますが、そのあり方という言う場合において、今までの去年の議論の前提と、現実の経済状況がかなり変わってきたということを私は踏まえる必要があるんじゃないのかなという気がいたします。

○神田WG座長

大変重要なご指摘で、全くそのとおりではあるのですけれども。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

今のお話に関連して、そういうお話があったのであえてお話しするんですけれども、私ども、平時だから手をつけないでほしいというふうなつもりで考えてきたということはないと断言できると思います。むしろ、今こういう状況になったということが、協同組織金融機関の存在価値、重要性というものが本当に認識されてきたというふうに考えていまして、だからこそ余計、協同組織金融というもの、地域金融というものの中で、そういったものをもっと強化すべきだというふうに、自分自身、信用金庫の経営者としてそういうふうに感じているわけです。

ただ、そのときに、一つ一つの信用金庫がどういうふうに、協同組織金融機関全部と言うのはちょっとおこがましいんですけれども、どうすればもっと本当の求められる機能が発揮できるのかという観点から、ビジネスモデルといいますか、そうしたものと切り離して、それぞれの論点を考えてみるということではなくて、むしろ何をすべきなのかという、そういったことを、これまでもありがたいと思うのは、協同組織金融機関についての理解が、いろんな面で私自身も勉強させていただきましたし、そういったことが深まってきたということでは非常にありがたいと思うんですけれども、そういう観点から言うと、今こそ本当にそういうものが必要だと、協同組織金融というのが強化されなければ、私自身は日本の国はもたないというぐらいに感じているわけです。

そのことから言いますと、関連して、ちょっとまとまりないんですけれども、不良債権比率についても下げればいいという、そういうことにはならないというふうに思うんです。ただ、それがリスク管理がしっかりできて、バランス、いわゆるプライマリーバランスといいますか、そういったものがしっかりとれるだけの仕事ができるかどうかということで見ていただく必要があると思いますし、そうなると、今どき不良債権比率が低いということがいいことなんだという観点で物事を見ると、協同組織金融機関については当てはまらないという、一例を挙げればそういったことで考えて、論点メモに対してこれから議論していただくということが必要なのではないかなというふうに思っているんです。

ですから、個々の金融機関としての信用金庫、個別の信用金庫はどうすれば機能を発揮できるか、強化できるかという観点から言いますと、余資の運用の規制であるとか、中央機関からの監督を強化するとか、そういうことではなくて、それぞれがリスクをどうとって、どういうビジネスモデルを確立するかという、そういう観点からの全体としての議論が、またその示唆をいただければ非常にありがたいというふうに思っております。そういうことでございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。

それでは原委員、どうぞ。

○原委員

遅れて参りまして申しわけございませんでした。

論点メモの要約版を今、再読させていただいて感じるところなんですけれども、これは去年、半年以上費やしてここまで論点を絞り出してきたということで、この姿になっておりますが、先ほど神吉委員がおっしゃられた規模の違いの話がございましたけれども、以前、不良債権処理のときにリレーションシップバンキングの検討ということで、各信金・信組の方、全国いろんな方のヒアリングをさせていただいたときに、非常に規模も違うし、おやりになっている業務も違うし、都市銀行との違い、業務内容の違いというものを感じました。ですから、そういった規模とか、おやりになっている業務の違いというのをどういうふうに考えていくのかということがあります。

それから、平時と今のように非常に緊急の対策が必要なとき、これとはやはり違うのではないかというご意見があって、私もこれはそのように思っていて、今回の要約版にぜひそのあたりの観点を加えていただけないかという感じがいたします。加えた上で、ただ基本的に、例えば2.の組織のあり方、3.の決算ですね、ここで半期の開示の話なんかをしておりますが、それから業務という、こういった基本的なところは、どんな業務内容をおやりになっていようと、規模であろうと、それから平時であろうと有事であろうと、基本的なベースというのは、ここはやっぱりきちんと制度設計をする必要があると思っていて、去年の半年を費やして整理してきたベースのところはきちんと議論をこれからも重ねていっていただいて、加えて、そういった変動する要因というのでしょうか、それをどのように論点として加えていくのかということを考えていったらいいのではないかと思っております。

それで、遅れて来た理由は、中小企業庁にお伺いしておりまして、そちらのほうの会議に出ていたのですが、やはりここの総論として掲げてあります中小企業金融においてどのような役割を果たしていくのかということ、これを最後のほう、出口のところではある程度の方向性というのが出せるように、それから、相互支援のところの2つ目の丸に書いてあります金融機能強化法の改正はあくまで時限的ですので、その後、有効な形で相互支援ができるような仕組みというものも、作っていくということが大事ではないかと考えております。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。中津川委員。

○中津川委員

余り時間もないのでちょっとだけ言わせていただきます。

貸し渋りその他の問題は、今、大変大きな課題としては論じられているんですけれども、貸し渋りそのものは、このワーキングの時にも、私はかなり早い時期に、銀行さんが既にそういう状態にあるということを申し上げた記憶があるんですけれども、正直現場で、私なんかは貸し渋りというのは全く認識がないんですね。かえって貸し先があれば積極的にやりたいという気持ちのほうが強いし、またそういうことを組合内でも指導はしてきているわけでございます。

不良債権の問題も確かにそうでして、極論としては、こういう時期は不良債権はふえて当たり前だという方もいるんですが、これはやはりリスク管理の問題でございますので、その論にくみするわけではございません。

先ほどの公的資金の問題もございまして、ちょっとお聞きし損なっちゃったんですが、あれは今、コスト等はどのぐらいというふうな形でお話が進んでいるのか、まだそこまで発表ができないのかどうか、それもちょっとお聞かせいただければありがたいなというふうに思っています。

○渡邊協同組織金融室長

詳細には個別の話になるんですけれども、考え方といたしましては、平時において、その機関がどれぐらいの調達コストでできるのかということをベースに考えているというように聞いております。という意味で、各機関の方々ができるだけ申請しやすいような形でやっていると、極力そうしているというふうに聞いております。

○神田WG座長

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、家森委員。

○家森委員

やや個別的なことに入りますけれども、余資運用についての議論が今後されますね。私は地域の貢献というのは非常に重要なので、なるべく信用金庫・信用組合が地域にお金を貸すというのはいいことだというふうに直観的には思っているんですけれども、これについて一律の規制を課せるというのはかなり疑問を持っているということを申し上げておきたいと思います。

ただ、他方でどうしたらいいかというのについては、やっぱりガバナンスのところで、会員理事とかを使いながら、理事会なんかで、例えば預証率が上がるということについてチェックが入るというような形が現実的ではないのかなと。各信用金庫・信用組合の自律的な運営において最適なものを出していただければいいので、預貸率の低さについて問題だというふうに考える必要はないように思っております。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

○小野信用制度参事官

先生のおっしゃるとおりでございまして、ここに書いた趣旨は、別に一律の規制を課そうとか、そういうことばかりではなくて、他の点についても同様でありますけれども、ここのワーキングでぜひご議論いただきたいのは、もちろん規制という手段もありましょうが、むしろ知恵を出して、どんなことがベストプラクティスとして考えられるのかとか、業界全体としてどのような知恵が出せて、どのような業界自主ルールが考えられるのかとか、様々なメニューがあると思っております。そういう中で、ぜひ皆様の知見をいただいて何とかいい形で、例えば余資運用にしてもどういう形があるのか。私も個人的には、先生のおっしゃるとおり、余資運用が地域に貢献できるような形をうまく仕組むことができないかとか、そういうことを考えておりますので、ぜひいいアイデアをいただければと思います。そういう意味ではあくまでも、別に一律に何でも規制というようなことではございませんで、色々なメニューがあるという中で考えていただければというふうに思っております。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは吉野先生。

○吉野委員

よく地方の企業の方にお聞きすると、金融機関に何を望むかという中で、融資を長くつき合っていただきたいというのと、コンサルティングとかいろんな情報をいただきたいということがあるわけです。中小企業の方というのは、自分の業界とか自分の業種は知っていますけれども、自分の経営状況はどうか、ほかの地域と比べたらどうかというところがあると思うんですが、そういうコンサルティング機能みたいなものを各信用金庫さん、信用組合さんが今後どうつけていくかということも必要ではないかと思いました。

○神田WG座長

ありがとうございます。

原委員。

○原委員

質問と意見なのですけれども、その他のところに加わっている1から12までの項目なんですが、これは「規制緩和、手続きの明確化等に係る要望について」と書かれているのですけれども、これは規制改革会議に出された要望ということですか、それとも金融庁に持ってこられた要望ですかというのが質問です。

それから、やはり消費者金融の観点から考えると、貸金業法の全面施行が今年12月ということで、今、世の中は大変厳しい状況になってきていますので、貸金ですとか多重債務とか大変気になっておりまして、きょうの参考資料の10-3の54ページに多重債務問題改善プログラムというのを資料としてつけていただいていて、(2)のマル3のところなんですけれども、岩手県の消費者信用生活協同組合の事例が紹介をされているんですけれども、原資を集めるには公的な信用付与が必要というふうに考えられるということで、ぜひこういった地元に密着した金融機関のところはその役割を果たしていただきたいと思っておりまして、それから見ると、先ほどの6.その他のところは、非常に個別具体的な要望になっていて、もしも要望で書き加えられるのであれば私の意見も加えていただきたいという、そういう意図でお願いしたいと思っております。

○神田WG座長

ありがとうございます。

どうぞ。

○小野信用制度参事官

ここの1から12に書きましたのは、規制改革会議に出された要望もございますし、個別の要望というものもあります。せっかくこの機会でございますので、協同組織金融機関の在り方について議論した後ということだと思いますけれども、そのような議論をした上で規制緩和の要望についてどのようなものがあり、どう考えていくかという包括的な整理をしたものでございますので、もし追加的なアイデアとかございますれば、それはいただければ、もちろん中に加えさせていただいて、ぜひ検討していただければと思っているところでございます。

○神田WG座長

原委員のご指摘の点は非常に重要な点ですので、6.の中ではもったいないので、上のほうへ上げさせていただきます。

○原委員

そうですね。1の担うべき役割のところでぜひお願いしたいと思います。

○神田WG座長

おっしゃるとおりだと思います。

きょうは多少早目に終わっても、また次回以降延々とやらせていただくかもしれませんので、ということではあるのですけれども、さらにご発言があればお伺いしたいとは思います。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

意見ではなくて、先ほど自治体向け貸し出しがあるのかどうかというお話がございましたね。これは、起債に応じるとかそういったこと、ないしは市役所の出納を預かっているような指定金融機関となっている場合に、一時的な融資というのが発生していまして、全国的にもそういうことで信用金庫の場合、地方自治体向けの貸し出しというのは結構あると思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

そうしましたら、きょうはそんなにお時間はとらなかったのですけれども、かなり多くのご指摘をいただいたと思いますので、この論点メモの要約版にいただいたご指摘を盛り込む形で改訂版をつくらせていただきたいと思います。さらにお気づきの点がございましたら、事務局のほうにお寄せいただきたいと思います。

感想めいたことで2点ほど手短かに申し上げたいと思います。平時か有事かということについては、多分、委員の皆様方の間でニュアンスというか認識の違いがあって、世界全体を見れば明らかに有事なのですけれども、恐らく現場で協同組織金融機関を経営しておられる方々からしてみれば、去年議論していたときも今議論しているときも、今、個別な例外はあるかもしれませんけれども、有事という感覚はそれほどないのではないかというようなこともあり得ると思うのですね。ただ、制度のあり方というものを議論する際には、やはり平時、有事は両方念頭に置かなければいけませんし、きょうの論点メモでも、もちろん中央機関の部分にそれを意識して述べてあるわけですので、その点は委員の皆様方の中で頭の整理をしていただければありがたく存じます。

もう1点は、言うまでもなく協同組織金融機関の機能強化ということが課題ですので、そのためのさまざまなアイデアを出していただき、これまでも多数出していただいておりますけれども、そういうものについて今後収れんというか取りまとめに向けたご議論をお願いしたいということになるわけです。機能強化といっても、そのためにさらに何をというふうに考えますと、例えば体力の強化ということがあろうかと思いますけれども、そういったものは個別性が強いというのでしょうか、個々の金融機関に応じて対策は異なるわけですし、個々の金融機関の努力が必要になるわけですね。それとはまたちょっと別の次元で、制度の改善というんですか、そういうものをしたほうがいいのではないかというのが、当然このワーキンググループのご審議の対象になるわけですので、そういう個別性がある話と、今ある制度そのものを多少改善したほうがいいという点があれば、それはそういうものとしてご議論の集約をお願いしたいと思います。

そういうわけでして、次回以降は、本日の論点メモをまとめ直したものというのでしょうか、追加等をしていただいたものに基づいて、各論点項目ごとにさらにご議論を展開していただき、取りまとめに向けたご議論をお願いしたいと思います。

それでは、最後に事務局からの連絡をお願いいたします。

○小野信用制度参事官

本日は貴重なご意見いただきましてありがとうございました。

論点メモにつきまして、本日は大変貴重な意見をいただきましたので、これをもとに事務局のほうでもう一回加筆・修正をいたしたいと思っております。

今後の進め方でございますが、この論点メモの中で、特にこれまで議論できませんでした中小企業金融の問題、それからあわせまして不良債権処理の問題につきまして、ご議論いただければと思っております。したがいまして、次回は中小企業金融と不良債権処理問題等についての議論を集中的にお願いできればと思っております。

次回は2月20日金曜日午後4時からを予定しております。正式には追ってご連絡いたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

以上でございます。

○神田WG座長

それでは、本日は以上とさせていただきます。

どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室
(内線3568、3577)

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