金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」(第11回)議事録

1. 日時:平成21年2月20日(金曜日)16時00分~18時01分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○神田WG座長

それでは、予定の時間になりましたので始めさせていただきます。

協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループの第11回目の会合を開催いたします。委員の皆様方には、いつも大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。

本日のご出欠の状況ですけれども、本日は村本委員と農林水産省の青山課長がご欠席と伺っております。

本日は2つのテーマについて集中的にご議論をお願いしたいと考えておりまして、具体的に言いますと、1つ目が中小企業金融、そして2つ目が不良債権問題ということになります。

これらをご議論いただく前に、前回の会合において吉野委員からご発言がございました協同組織金融機関の自治体向け貸付けに関する状況につきまして、事務局からまずご説明をいただきたいと思います。

渡邊室長、よろしくお願いします。

○渡邊協同組織金融室長

それではご説明いたします。

資料の協金WG11-2-マル1がございます。1枚紙でございますが、ご覧いただきたいと思います。

まず、上段の地方公共団体に対する貸出実績でございますけれども、地方公共団体向け貸出しにつきましては、20年度末の残高で信用金庫が2.7兆円、比率は4.4%、信用組合が0.3兆円、割合で言うと3.9%というふうになってございます。

それから、制度の概要、員外貸出規制との関係でございますけれども、地方公共団体向け貸出しにつきましては、信用金庫、信用組合ともに、政令により、員外貸出しとして取り扱いが可能となってございます。信用金庫につきましては、員外貸出しではございますが、総量規制は設けられておりません。一方、信用組合につきましては、総貸出しの20%以内とする総量規制が設けられているところでございます。この規制につきましては、資料WG11-1「論点メモ」の「6.その他」にもありますように、今後ワーキング・グループにおいてご議論いただくこととしているところでございます。その際、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今のご説明について、もしご質問等がございましたらお出しいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、先へ進ませていただきたいと思います。

事務局において、前回の会合における皆様方からのご意見を踏まえまして論点メモを修正しております。そしてまた、本日のテーマに合わせた資料もつくっていただいております。それらについて、事務局からご説明をお願いします。

それでは、小野さん、よろしくお願いいたします。

○小野信用制度参事官

それでは、お手元にございます論点メモ、右肩に協金WG11-1と書かれた資料をごらんいただければと思います。これは基本的に前回お示しした論点メモの要約版でございますけれども、これにつきまして、前回、委員の皆様方からいろいろサジェスチョン、ご意見をいただきましたので、それを踏まえて直したものでございます。

1枚おめくりいただきまして、2ページから、この論点メモの要約版が書いてございますが、まず、今日これからご議論いただく中小企業金融につきまして、前回も、非常に活発なご意見を色々いただいたところでございます。まず基本的には、この信金・信組の地域金融に対するこれまでの取組みをどう評価するかということにつきまして、ぜひご議論いただきたいわけでございますけれども、その際に前回出たご意見としまして、中小企業金融において、協同金融機関としての特性とか独自性が当然にあると思うのですけれども、それを踏まえてどういう役割を果たすことが期待されるかということもやっぱり論点としてあるのではないかということでございます。

また、中小企業の再生支援や地域のニュービジネスに対する支援、リスクマネーの提供等においても積極的な役割を果たすことが期待されるのではないかというようなことも前回ご指摘がございました。

さらに、こういうような役割、こういう中小企業の再生、ニュービジネスをやっていく上でも、この協同組織金融機関がコンサルティング機能を果たしていくことが重要となるのではないかと。いわばホームドクターと申しましょうか、かかりつけのお医者さんというか、ホームドクターとしての役割というようなものもあるのではないかというふうに解釈しております。

また、違った視点として、そもそもの原点に返りましたときに、この協同組織金融機関の使命というものは、地元に密着し、小規模の事業者、消費者の相互扶助を使命としているということに鑑みますと、今問題になっておりますこの多重債務問題というものについても役割を果たすことができるのではないかというようなことがございます。

さらに、そもそもこういうような協同組織金融機関に期待される様々な役割を適切に果たしていく上において、どういう後押しのための方策とか環境整備ですとか、またはボトルネックというものがあるのかということが、論点としてあるのではないかということでございます。

不良債権の問題につきましては、後半部分でご議論いただきますので、また後ほどご説明をさせていただきます。

それから、新たに加わった部分といたしまして、この次の(2)の業態別のあり方につきまして、この一番下の黒●で書いてございますが、地域における他の金融機関(メガバンク、地銀)との棲み分けというものをどう考えるかと、こういう視点も大事ではないかということが委員の先生方からご指摘があったと思います。

それから、次のページにいきまして3ページでございますが、この業態別のあり方を考えるときに、規模の違いという視点もあるのではないかというご指摘があったところでございます。

それから、次のページ、4ページにいきまして、新たな論点といたしまして、この業務等の中の、4ページ目のところの上のほうでございますが、業務範囲の問題、信金・信組の業務範囲について、その特性とか地域経済において役割を発揮する等が期待されると、そういう観点から、この信金・信組の業務範囲をどう考えるのか。銀行と同列の扱いで一律に拡大ということで良いのかどうかというようなご指摘がございました。これも論点として大事ではないかというご指摘があったところでございます。

また、次の次、(4)の余資運用でございますが、余資運用の2つ目の黒●でございますが、その地域金融機関としての特性に鑑み、この余資運用をやっていく上でも、地域への貢献、地域への均霑という観点から余資運用についても考えていくべきではないかという論点があるのではないかというご指摘があったところでございます。

最後に5ページでございますが、その他といたしまして、さまざまな、いろんな協同組織金融機関のあり方を考えて検討した上で、さまざまな規制緩和とか手続の明確化の要望についてもまとめてご議論いただくことが必要と考えておりますが、その際の視点として、やはり銀行と協同組織金融機関との機能、役割の分担という観点からも、考えていくべきではないかというご指摘があったところでございます。

それから、もう一ページおめくりいただきまして、これについては、この後、佐藤委員、中津川委員からプレゼンテーションいただきますが、それとも関連する話でございますけれども、プレゼンテーションを踏まえて、委員の皆様にご議論していただくときに一つの議論の切り口と申しますか、ご議論の参考として、こういうような論点が切り口として考えられるのかなということで事務方のほうで整理したものでございます。

すなわち、協同組織金融機関というものが地域金融、中小企業金融において果たす役割として、幾つか機能が考えられると。ここに書いていますように、まず1つめとして、中小企業への信用供与機能、ただ、この中でも、先ほど申しましたように、単に中小企業への信用供与機能と申しましても、協同組織金融機関としての独自性とか特性とかを踏まえたものとしてどういう信用供与機能があり得るのかとか、ビジネスのライフサイクルごと、特にニュービジネス立ち上げ段階での支援というもの、どういうものが考えられるのかと。それから、今後さらにこの中小企業金融で活躍していただく、推進していく上での課題、問題として、どういうものが考えられるかというようなことが議論の切り口としてあるのではないかということでございます。

2番目は、中小企業の再生支援機能も、やはり役割の1つとして考えられるんではないかと。これも後ほど委員の方々からプレゼンテーションがございますけれども、これまでの事例から見て、例えば、どういう時に再生支援に踏み切るのか、ポイントと申しますか、そのようなものがあるのかとか、当然この再生支援の過程では、他の金融機関等とのいろんな債務整理交渉があるわけでございますけれども、そういう中で、この協同組織金融機関、ホームドクターとしての協同組織金融機関というものがどういう役割を果たせるのかとか、さらに今後再生支援を行っていく上で、どういう問題点や課題があるのかというようなことが、議論の切り口としてあるのではないかと思います。

3番目は、地域金融支援機能というところでございまして、まさに、例えば地元の商店街の活性化等、地域経済に果たす役割、それをどう評価するかというようなことと、今後さらにこの地域金融において役割を果たしていくために、どういう分野が考えられるかとか、またそれを推進していく上でどのような課題があるかというふうなこともご議論していただければと思っております。

4番目に考えられる機能、中小企業金融が果たしていく機能というのは、先ほどもお話致しました、前回もご指摘がございました多重債務者支援機能というところでございます。まさに地元に密着、小規模の事業者、消費者の相互扶助というものを使命とした協同組織金融機関として、多重債務者問題に求められる役割とはどういうものが考えられるかと。これまでの取組事例をどう評価するか。今後さらにこういう多重債務支援の分野で一層の役割を果たしていただく上での課題とかボトルネックは何かというようなことについてもご議論いただければと思っています。

最後はコンサルティング機能でございまして、やはりこのような、今申しました1から4のような機能を果たしていく上でも、今後ますますこのコンサルティング機能というのは重要になっていくのではないかというような論点、それから、これまでももちろんこのようなコンサルティング機能、ホームドクターとしての役割を果たしていただいたわけでございますけれども、それをどう評価するかという今後の課題がございます。

こういうのを行っていく上では、内部の人的資源、人材の育成という観点も重要でございますし、また場合によっては外部の人材の活用、外部の団体、または中央機関とのコラボレーション、協働というものも考えられるのではないかと、そういうことをどう考えるかというような視点があるのではないかということでございます。

これはあくまでも参考でございますけれども、このような切り口でご議論いただければというふうに思っております。

また、もう一つ、これから佐藤委員と中津川委員にプレゼンテーションしていただく大前提として、マクロのデータとして事務局のほうで用意したものがございますので、それを簡単にご説明させていただきたいと思います。

資料マル2と書いたものでございますが、先ほど渡邊室長からご説明いただいた、後ろについていると思いますけれども、資料マル2、協金WG11-2-マル2という資料でございます。これにいろいろマクロ的な観点から見た中小企業金融の問題、それらについて整理したものをご説明させていただきたいと思います。

表紙をめくって、2ページ目以下にいろいろデータが書いていますが、まず、今、日本にどのぐらい中小企業があるのかということでございます。この中小企業の定義は、小さい字で恐縮でございますが、下に書いていますように1999年以降は、中小企業基本法の定義に基づきまして、常用雇用者300人以下(卸売業、サービス業は100人以下、小売業、飲食店は50人以下)又は資本金3億円以下(卸売業は1億円以下、小売業、飲食店、サービス業は5000万円以下)というものを中小企業と定義しております。

また、小規模企業というのは、中小企業のうち、常用雇用者が20人以下(卸売業、小売業、飲食店、サービス業は5人以下)の企業ということで定義してございます。

この推移を見ていただけば明らかなように、中小企業というものの数はだんだん減ってきてはおりますが、ここに書いていますように、現在も400万以上の中小企業がございます。その中でも、先ほど定義しました小規模企業の、常用雇用者が20人以下というものが366万ありますという数値でございますが、だんだん減ってきているということでございます。

次に、次のページを見ていただきますと、最近の企業の倒産件数と負債の総額の推移が書いてございますが、この黒い縦棒が全体の倒産件数でございまして、そのうち、右横にある棒が、これが資本金1億円未満の企業の倒産件数ということで書いています。この推移を見ますと、平成17年をボトムとして最近は、残念ながら、企業の倒産件数が上がってきていますし、その倒産企業の大部分がこの資本金1億円未満のいわゆる中小企業が占めているという状況が見てとれると思います。

次のページは、昨年、平成20年の月ごとの動向を見たものでございますけれども、月によって様々な動きがございますが、特に9月のリーマンショックのときに非常に倒産件数がはね上がり、その後も高水準で倒産件数が推移していて、そのうち、同じように資本金1億円未満の中小企業の倒産件数がやはり多いという状況に今もあるということでございます。

次の5ページでございますが、そういう中小企業の状況を念頭に置きながら、今度は信金・信組の貸出しの動向を見てみようということでございますけれども、まず左側、信金でございますが、当然金融機関でございますから、いわゆる預金をとって、それを貸出金と運用に回すということでございますけれども、預金量、貸出金、預け金、有価証券の運用がどう推移しているかと見ますと、信金、信組ともそれぞれ貸出金は減少傾向にある。特に信金の場合は、有価証券のほうが拡大傾向にあると。そのことは、従来からご説明しています預貸率を見ても、やはり低下傾向にあるというとで、同じように読み取れるということでございます。

次のページは、業態別に見ました中小企業向けの貸出残高でございます。この推移を見ますと、国内銀行が中小企業向けの貸出残高が一番多いと。その次が信金、その次が貸金業者と政府系金融機関がほぼ同じ位のシェアでございまして、その次が信組という状況でございまして、この協同組織金融機関について長いスパンで見ますと、やはりだんだん落ちてきて、今は横ばい程度となっております。

ただ、もう少し業種別で見ていくとどうなるかということでございますけれども、次の7ページに信用金庫の業種別の貸出金残高のシェアが書いてございます。

この中で、いわゆる中小企業、地元の中小企業というのは何かといいますと、この一番下のシェアで書いています製造業、それから次の建設業、それから卸・小売業等というものが一番典型的な地元の中小企業になります。不動産もありますが、一部ディベロッパーとか、商店街の再開発というのもあるようでございますけれども、特にこの不動産、平成12年から19年を見ても、信金の場合10.9から18.0と大幅に伸びておりますけれども、この伸びてきている大きな要因は、いわゆる個人の方に融資してアパートを建設するというのも結構あるというふうに聞いてございます。そう見ますと、先ほど申しましたように、製造・建設・卸・小売というのが典型的な地元の中小企業というふうに仮に考えますと、この3つのシェアの動向を見ていただきますと、一番左側の平成12年には58.5あったものが、平成19年度には47.5ということで、約11%シェアが減っているということでございます。

これをどう見るかということはいろいろありますけれども、少し雑駁な議論をいたしますと、信金の場合には、先程の5ページの表でご説明致しましたように、預金で約110兆集めて、貸出金が60兆で、そのうち、典型的な地元の中小企業というのが47%ですから、約半分以下ということで、仮に半分としても30兆ということで、110兆預金を集めて、結局地元の中小企業に貸しているのは30兆という見方もできるのではないか。こういう現状をどう考えるかという論点があるのではないかと思います。

同じように、信用組合の業種別シェアを見ても、傾向は基本的に同じでございまして、8ページでございますが、先ほどご説明致しましたように、典型的な地元の中小企業と言われる製造業、建設業、卸・小売業のシェアを見ますと、平成19年度は47%ということでございまして、一番左側の平成12年度を見ますと59%ありましたので、同じように12%減っているということでございます。これについても先ほどと同じような雑駁な議論をいたしますと、信組の場合には16兆預金を集めて、そのうち9兆貸出し、そのうち典型的な地元の中小企業は約4.5から5兆ぐらい貸している。即ち、集めた預金16兆のうち4.5から5兆しか地元に回っていないということの現状をどう見るかという論点がこの表から読み取れるのではないかと思っております。

次に、9ページを見ていただきまして、これは私どもの財務局のほうで、各地域の商工会議所の経営指導員の方々469名を対象に聞き取り調査をした結果でございます。中小企業への融資姿勢に対する評価でございますが、これを見ますと、一番積極的な、昨今の経済事情を反映していることもありまして、政府系金融機関が一番評価が高く、その次がホームドクターとしての協同組織金融機関が積極的であるという評価が出ているところでございます。

次に、地域の金融機関にどういう役割を期待しますかということにつきましては、10ページに書いてございますように、資金繰り支援が一番期待としては高く、次が営業面の支援、その次が経営相談ということでございまして、繰り返しになりますが、やはりまさに地元に密着し、そばにいて非常に頼れる存在、先ほどから申し上げているように、ホームドクターと申しますか、そのような役割というものがこの地域の金融機関に期待されると思います。

ただ一方で、色々な見方があると思いますので断定的なことは言えませんが、11ページの表でございますけれども、これはこの(注)に書いてございますように、東京情報大学の堂下先生という方が、ご自分でサンプルをとられ、アンケート調査をされて、情報工学の観点から分析された結果ですが、これはいわゆる従業員5人以下の零細企業にいろいろ聞き取りをしてやったものでございます。サンプルもここに書いていますように、約1,000以上サンプルがございますけれども、このような約1,000以上の、いわゆる従業員5人以下の零細企業主が、最近資金調達しましたか、そしてそれはどこから調達しましたかという、調査でございます。

これを見ますと、まずいわゆる経常的資金で一番頼っている調達先は銀行でございます。銀行は39%で一番でございます。その次が消費者金融・クレジット会社の34%でございまして、信用・信金は23%。次にいわゆるつなぎ資金、短期のつなぎ資金の調達になりますと、一番頼っている資金調達先は消費者金融・クレジットで45%でございまして、その次が銀行の24%、信金・信組は14%になっています。あと、そのほかに、ここに書いていますように、親族・知人にも頼っている。ですから、つなぎ資金、一番頼っているのは消費者金融・クレジットカードで、その次が親族・知人、その次が銀行で、その次が信金・信組というふうになっているということでございます。

こういう話をしますと、いや、もうそもそもこういうつなぎ資金を消費者金融やクレジットカードに頼るところには貸せないのですというお話があるのですが、これを見ると、結構、銀行も貸しておりますので、必ずしもそのような話も適正ではないのかと思っておりますし、また先日、堂下先生からお伺いしたお話ですと、もっと大きなサンプルで調査されたものもあるらしいのですけれども、やはり同じような傾向が出ておりまして、短期のつなぎ資金の調達の一番は銀行、その次が消費者金融、その次が親族・知人で、その次が信金・信組になっているということでございまして、今後さらに、このデータをどのように分析していくか考える必要があると思いますけれども、このような分析結果もあるということでございます。

これと関連する話と思いますが、12ページの表ですが、これはいわゆる金利別の貸付残高の比較で、よく「ふたこぶラクダ」というふうに呼んでおります。どのような意味かというと、金利の低いところ、2%、4%、6%ぐらいのところに一つ大きなこぶがあって、真ん中がへこんでいて、またこの金利が22%、24%、26%辺りにもう一つこぶがあるという、低金利と高金利に非常に分かれているというところで、その中間がないということでございます。

ということは、先ほどの零細企業主がクレジット会社、消費者金融に頼っているという現状を考えますと、やはりこういう短期の資金で、多少金利が高くても借りたいというニーズはあるのではないかと。そうしますと、ここにあるような余り残高がないところ、8%から20%のゾーンはいわばミドルリスク、ミドルリターンというか、ハイミドルリスク、ハイミドルリターンと申しますか、この辺のところがまだまだビジネスチャンスとしてはあるのではないか。日本の金融としてはこのゾーンがまだまだとっていけるようなチャンスがあるのではないかというふうにも読めるのではないかということで、これはあくまでも仮説でございますので、今後、ご議論いただけるかと思いますけれども、そういうことが考えられるのではないかということでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、この先、本日のテーマの1つ目であります中小企業金融についてご議論をお願いしたいのですけれども、今、小野さんからも、ちょっと触れていただきましたように、このテーマについて、まず最初に佐藤委員から信用金庫の取り組み事例についてご紹介いただきまして、次に中津川委員から信用組合の取り組み事例をご紹介いただきます。その上で、委員の皆様方からご議論をお願いしたいというふうに思います。 

それでは、佐藤委員、よろしくお願いいたします。

○佐藤委員

どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、私ども多摩信用金庫の中小企業金融に対する取り組みについて報告をさせていただきます。こうした機会をいただくということもありがたいと思うんですけれども、馴れていないもので、余りうまくご説明できるかどうか心配ですけれども、よろしくお願いいたします。

中小企業金融の取り組みについて、私どもの事例をご説明する前に、協同組織金融機関と株式会社銀行との違いということで、これについては昨年の夏も業界の代表の理事長からプレゼンテーションがあったのですけれども、時間もたっておりますので、そもそも論ということで、最初に簡潔にお話しして、その後、私どもの事例ということをご紹介ということにさせていただきたいと思います。

既に委員の皆様は中小企業の特性ということについてはもう十分にご理解いただいているところですけれども、改めて申し述べさせていただきますと、規模が小さい企業ほど、情報の非対称性が強く、また財務体制が脆弱であるという、そうした特性がありまして、規模の経済というのが働きにくい層だということが言えると思います。

こうした層の金融ニーズには、同じ地域金融機関である地方銀行にあっては、どうしても営利優先という目的を持っておりまして、効率性を重視しますから、十分にカバーすることはできないのではないかということだと思います。したがって、相互扶助、非営利の特性を持った協同組織金融機関が長期に安定的に支援していく必要があるというふうに考えております。

つまり、信用金庫が株式会社銀行と異なって、こうした機能を果たせるというのが資本の論理、すなわち出資比率と議決権をリンクさせて、1株当たりの利益や資本効率、利益成長というのを重視する考え方に支配されないで、1人1票制という協同組合原則といいますか、そうした組織運営にあるというふうに考えております。

地域金融機関である地方銀行を含めて、株式会社銀行の場合には、短期的な株主の利益を最優先ということを、これをせざるを得ないということだと思うのですけれども、そうした経営に努めていかなければならないということだと思いますし、信用金庫は単に短期的な損得にとらわれずに、会員等との日常的な相談支援活動とか、そうした密着した活動を通じて、長期的な収支のバランスをとること、さらには外部流出を抑制し、内部留保を蓄積して、長期的な相互扶助を実現しているというふうに思われます。

さらに、信用金庫には、地域と運命共同体ということですけれども、それを超えて、地域の中小企業、住民の方も含めて、この地域をよくしていこうという、そうした方々と一緒に、使命を共通に持って、最近、使命共同体という言葉を使っておりますけれども、そういう関係でその使命を果たしていこうとしているので、まさに信用金庫は地域に生まれ、地域とともに生きる金融機関として、使命共同体の中核となって、地域の発展、活性化のためにさまざまな経済的、社会的、文化的な貢献に尽くしているという、私どももそういうふうに考えてやっております。

地域が活性化するためには、まず中小企業が元気になることが必要な条件だというふうに思いますし、地域の暮らしを支えるという意味でも、商店街等の活性化が非常に大切だというふうに認識しております。そのために頑張る中小企業に対して、ぎりぎりのところで支援をしているということでございますし、業界の取次業としても、商店街の応援キャンペーン等、全国展開を今やっているというところでございます。

さらに、私どもの事例につきましては、後ほどお話しさせていただきますけれども、こうした行動、活動というのは、営利追求を第一義とせざるを得ない株式会社銀行には、採算面からしても非常に大変困難なことではないかなというふうに思っております。

委員の皆様方におかれましては、こうした現在の協同組織によるそういう金融という制度のもとで、信用金庫が人の集合体、そうした状態によって特性を生かして、今後とも自らの社会的使命として重要な政策課題である中小企業の育成、再生、地域の活性化に貢献していくために、信用金庫制度をさらに機能発揮、発展させる、そうしたご議論を、ご協議を賜れば非常に幸いだというふうに存じております。

以上、そもそも論といいますか、もう既に十分にご理解いただいているところだと思いますけれども、こうした点をご理解いただいた上で、私どもの事業計画、具体的な施策について、一例を紹介させていただきたいと思います。

資料がございまして、作っていただきましたので、これに沿って、時間も限られておりますので、非常に一覧ということになるかもしれませんけれども、説明を致します。

最初に、私どもの事例の1ページですけれども、このたましん「平成21年度短期経営計画編成方針」ということですけれども、これは例年ですが、年明け早々に、一番、1週目に大体短期経営計画編成方針というのを発表いたしまして、これに基づいて、この使い方というのは、ブロック支店長、部長等の会議ですけれども、この場合は21年度、どういうことをやっていくかという方針を示して、それに基づいて各支店が自らの支店のお客様に対しての、どういうことをやっていこうかということを、全店がそれぞれ支店長を中心に経営計画を立てるということで、それは非常にもっと細かく、どこでどういうことをするか、どういう行動計画をするかという、そういったものを含めて、最終的には係数も含めて計画するわけですけれども、それの指針になるものとして発表するものでございまして、今年の場合は、タイトルがこういったことで、「地域社会の繁栄、くらしの安心を実現する価値創造」、こうしたことを目指してやっていくんだということ、これについては、そう例年、ここのところ変わっているということはないんですけれども、特に優先行動計画ということで、サブタイトルにありますけれども、とにかく今現在大変な状況がお客様に起きていると。こうしたことに瞬時に行動を起こして対応していくことが中期的な観点での経営計画以上に大事だという、そうしたことを示して、とにかくお客様との接点、数多くそうしたことを強めて、危機感、スピード感を持って徹底した課題解決に取り組むんだというのが喫緊の課題として取り上げていると。これを現状での最大のテーマとしていこうということでございます。

あと、主要施策につきましては、これは課題解決ということをビジネスモデルとしてやっておりまして、これについてはそう変わることはないんですけれども、特にここで考えられる、今年、21年度、もっとそうしたレベルを上げていくというふうなことをここに取り上げております。

それから、こうしたことをやるための経営管理とガバナンスという、こうした面をサポート、実際に展開していくためには、そこがどうしてもサポートする体制として必要になってくるということでございますし、ちょっとはしょってありますが、こうしたことを実現する職員のレベル、能力アップということを重視しておりまして、それについて記述しているということで、この3つが相まって、我々のやろうとしていることが実現できていくという、そういうことになっております。

次に、2ページですけれども、私どもは地域の課題解決のインフラとして生きていくということを、数年前からそうしたことに中心を、考え方を置いているわけで、地域ということを言いましても、何だという、具体的に言えば、一つは企業の繁栄ということですし、もう一つは、個人が安心して暮らしていけるといった課題、それからもう一つは、地域そのものがよくなっていくという、そういったことが必要なので、企業支援というのがそのうちの一つの分野ということで、これはたまたま、どんなことをやっているかということをざっと総覧、網羅的に紹介させていただいているわけですけれども、ここにありますように、企業支援としては、地域力連携拠点としての運営、これも必ずしも委託事業としてだけではなくて、やっぱり地域力、つなぐ力をもっと強めていくということから出しております。

それから、ブルー・グリーン賞というものを実施しておりまして、これについても相当、ここで賞をとられた企業そのものをまたクラブとして、地域のためにそうした方々がまた一緒になって貢献していくという、そうした活動もされてきているということになっております。

それから、法人総合サービス、BOBですけれども、これはビジネス機会をお互いにつくり出していこうという、そういったBOBというのはその頭文字をとったんですけれども、これはお客様の企業の会員組織みたいなものですけれども、もっと具体的に、お互いにそういう問題を解決し合うような、そういう組織にしていこうというふうなことで、いろんなことをやれるようにしているという、そうした組織の運営ということでございます。

それから、マッチングイベントであるとか、そうしたことは数多く手がけております。

融資手法については、これも当然ですけれども、幾つかそういったものを出して、職員が非常にわかりやすく扱えるような形にする必要もあるということで、特別なそうしたことをやっていますが、そもそも商品というよりは、その手法そのものをやはり定着させていくということが大事だというふうに考えております。

それから、3ページですけれども、企業支援の(2)番としまして、産学連携ということで、私どものほう、非常に大学も多いのですけれども、そうしたところと一緒に企業を結びつけるであるとか、そうしたことでいろんなことをやっております。

それから、創業支援という、先ほどもライフサイクルに合わせたとかありますが、創業に関しては、インキュベーション施設「ブルームセンター」というものを運営しております。ほかに、そういったことから、インキュベーションマネジャーを派遣してほしいというふうな地公体の要請もありまして派遣しているところもあるという、そういうことと、創業セミナー等についての実施をしたりしているということでございます。

幾つかありますけれども、そうしたことです。

4ページで、個人支援ということで、課題解決は何も企業だけではなくて、その一つのもう一つの分野として個人の支援ということがございまして、これはコンサルティングが主体になりますけれども、日常の業務のほかに、そうした土日でも開いて、じっくりと相談していただける、すべての商品をワンストップでいろんな相談に応じられるような形で、すまいるプラザというのを、最近なんですけれども、4店舗、順次増えてきております。セミナーを開催したり、いろんなことをやっております。

それから、子育て支援と、大した、どれだけ役に立つかわかりませんが、こうした活動もしているということで、実際に多くの方が参加されているというふうなことでございます。

あとは健康コーナー、これはもうどこでもやっていらっしゃるでしょうけれども、全店に配置して、AEDというんでしょうか、自動体外式除細動器という、そうしたものを今年度中に全店で設置するというふうなことになっております。

それから、多摩らいふ倶楽部の運営という、これはお客様の組織なんですけれども、個人、特に高年齢の方が多いわけですけれども、そうした方が地元に帰ってきて、その暮らしという面から見ると、サポートするということは非常に大事だというふうに考えておりまして、健康、学ぶ、遊ぶ、そして地域の活動と、こうしたものをテーマに、様々なプログラムを提供しておりまして、大体毎日何か会員向けのイベント企画があって、参加いただいているというふうな形です。また、情報誌「多摩ら・び」というのを発刊しておりまして、これは3万部ぐらいやっております。

それから、5ページにいきまして、個人支援の2番ですけれども、これはどこでもやっている特徴あることだと思いますけれども、旅行を実施して、お客様同士のコミュニケーションであるとか、そうしたことを含めて、旅行を企画しているということでございます。

あとは、高齢者・障害者の方への対応であるとか、お客様の声を生かす仕組みを入れて、何とかもっとよりよいサービスにつなげていきたいというふうなことで、こういうことをやっているということであります。

それから、6ページですけれども、もう一方、3つのうちの1つで、地域支援ということがありますけれども、これは最近、私どもの地域でも非常にNPOが多いという特徴はあるのですが、そうした方々との連携、支援をしているということで、いろんな形で勉強しております。

また、PFI事業も参加ということですけれども、それから、各種協賛もいろんなことをやっていると。

それから、財団法人のたましん地域文化財団というのがございまして、これはもうずっと続いているのですけれども、ギャラリーの運営であるとかセミナーであるとか、そうしたこともやっておりますし、季刊誌「多摩のあゆみ」というのを発行しておりまして、これが非常に学術的と言うとちょっとあれですけれども、多摩の中で、または全国的な興味のある方々にとってみて、非常に論文を発表する機会にもなっておりますし、非常に評価されているということがございます。150号ぐらいまで、季刊ですので、30年でもう120で、それを超えてずっと続けているという形でございます。あとは、最近始めた多摩・武蔵野検定に全面的に協力しているとかいうことでございます。

あと、7ページは環境関連ということで、これはもう今から見れば大したあれではありませんが、そうしたことについてもやっていかなければいけないというふうに、地域の課題という意味では非常に大事なことだというふうに認識をして始めているということでございます。

以上、ざっとそうしたことですけれども、中小企業融資という、そういった面で支援等に関する具体的取り組みということをちょっと見ていただきますと、8ページは、化粧品・紅茶販売の会社ですけれども、これは具体的には課題とありますけれども、課題解決をしていくということを中心に取り組みをしてきた事例で、販売店がどうすれば黒字になるかというふうなことだとか、そういったこと、それから、財務キャッシュフローを改善するというふうなことで取り組んできて、そういうことが実現してきたということでございます。

それから、9ページですけれども、これは真空装置の部品設計製造している会社ですけれども、こうしたところが、主に研究機関であるとか、それから大手の電機会社のそうしたところへの納入があったんですけれども、やっぱり動きがあれば、それなりに大変なことが起きてくるということで、まずは当面の運転資金に応じた上で、どうすればいいかということを一緒に検討して、相談に応じて課題解決に結びつけたというふうなことでございます。

それから、10ページですが、土木造園業、古くからの地元の方ですけれども、やっぱり資産活用というふうなことも含めていろいろやってこられて、行き詰まるということもあるわけですけれども、そういったときに、とりあえずの安定を図るということと、それから金融債務の圧縮とかいろいろな面でキャッシュフローの改善状況を見ながら、私どもが肩がわり等を含めて安定した経営に戻すという、そういったことをやっているということでございます。

11ページは、商店街の活性化の事例ですけれども、幾つかここでは、11ページから15ページですか、そういう取組みをしているということで、これについて、これは見ていただければと思いますので、特に個別の説明はいたしませんが、色んなところで商店街活性化ということを商店街自身も取り組んでおりますし、私どもも、どちらかというと、商店街の店主といいますか、そうした方々と同じ立場でその辺、取組りむというふうなことを日頃やっているのですけれども、それに加えて、何か役に立つことはやろうということで取り組んだということでございます。

それから、16ページですが、これは再生ということで、本当にもう行き詰まってしまって、RCCに債権移管されているというふうなところについても、その事業の永続性であるとか、そういったことを考えて、何とかそれをいい方向に持っていきたいという、そういう相談もございますし、それで中小企業再生支援協議会を活用した再生事例、これは16ページでございます。

それから、17ページですけれども、これについては、保証協会も含めて、いろんな面で協力いただいて、本当にうまくいったと思いますけれども、何とかならないかということでせっぱ詰まって実は相談を受けた事例ですけれども、これについても今非常に順調に営業していくようになっております。残念ながら、その相談された社長は、つい昨年ですけれども、ちょっと亡くなられたんですが、それを息子さんがちゃんと引き継いで、立派にやってきているということでございます。

18ページは、民間コンサルタントを活用して、不動産業ですけれども、これについて整理回収機構に移管されたものをまた引き取ってでもやるという事例ですけれども、こうしたことをやりながら正常化を図るといいますか、事業を継続してやっていけるようにしたという、そういうふうな事例でございます。

以上、大変時間があれですけれども、余りにも簡単過ぎて申しわけないと思いますが、そうしたことをやっているということをご理解いただければと思います。

以上で終わらせていただきます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、お隣の中津川委員、どうぞよろしくお願いいたします。

○中津川委員

今日はこのような席を頂戴しまして、どうもありがとうございます。

前段となります、そもそも論的なことは、ただいま佐藤さんのほうから極めて適切なご意見がございまして、同じ協同組織の金融機関の立場では全く同感でございますので、屋上屋を重ねることは避けたいと思います。

それでは、ご報告をさせていただきますが、お手元の資料では、当組合の事例を3つと、あと4つは、現在、各財務局で開催されております地域密着型金融に関するシンポジウムというのがございまして、そこで地方の個々の信組さんが発表した事例の中から4つほどご紹介をさせていただいております。本日は時間の制約もございますので、また他の組合さんの事例については、必ずしも的確にご説明ができないと思いますので、とりあえず当組合の事例をご報告させていただきたいと思っております。内容的には、既にお目通しのとおり、大変単純なものでございまして、ご列席の皆様がご一読をされますれば、すぐお分かりいただけるような内容でございますので、かいつまんでお話をいたします。

最初の1ページ目は、これはちょっともう旧聞には属するのですが、例の偽装マンション、耐震偽装マンションの建てかえに関わる当組合としての取組みの事例でございまして、ここには地権者が23名、それから居住をされていた方が六十数名おられた物件でございます。実質的には退去命令が出て家を失うという事態に至ったわけでございますが、そこに(1)に、最後のところにありますように、居住者の方々にかなりの住宅ローンを融資していた銀行さんが、建てかえ資金についてはどうもいいご返事がなかった。こういうことで資金の調達を苦慮されまして、私どものほうへお話が来たという背景がございます。

私どもは、そういう事態を鑑みまして、これはやっぱり積極的にやらねばということにはなったんですが、当然のことながら、7億近い融資を担保なしでできるのかというところになりまして、いろいろご関係筋との相談の上、国交省の外郭団体であります全国市街地再開発協会、こちらが保証ができるということになりまして、これを利用しようと。こちらは、信用組合ではこの扱いが実はできない状態でございましたが、ご当局にお願いをしまして、極めて速やかな対応をしていただいて取扱いができたということで、結果的には5億円のご融資をしたと。8割保証でございますので、1億円は私どもは無担保のリスクを負うと、こういう取り組みでございます。

結果としては、昨年の6月に竣工になりまして、9月には全員の方のご入居ができたと、こういう事例でございます。

それから2つ目です。こちらは、実はこれもまた銀行さんのほうのご支援ができないという状況の案件を汲み上げたということでございますけれども、大体比較的こういう事例は多うございます。その一つの典型的な事例として出させていただいたわけですけれども、この当該先は(2)にございますように、寛永に創業するという大変な老舗の食品のスーパーでございます。ご多分に漏れず、バブルの際に色々、銀行さんのご斡旋等も含めまして、不動産に相当金をつぎ込んでしまったと。さりながら、こういう状態になって、かなり窮状に至ったということでございまして、平成17年に銀行さん、それから中小企業再生支援協議会ともども、当社の再建計画をつくってスタートをしたわけです。順調裏にいっていたようですが、その2年後に、近隣に大手の競合店が出たということで、売上高にかなりの影響が出た。このため資金繰りに窮して、返済条件の緩和を求めたところ、メイン行の了解が得られないということに至ったわけでございまして、私どももこの対応について検討して、債務を一本化して超長期の返済に組みかえれば十分立ち直れると、そういう判断をいたしましてお取り組みをいたしました。

その結果、そこにもございますように、年間で約6,800万円ほどが返済の軽減ができたということでございます。

このため、当然のことながら、資金繰りに今までかなり神経を使っていたんですが、そうしたものもなくなったと。当然営業に専心ができる、そして、そこにもありますように、設備資金等の引当ても、そこの中から十分に計画的に積み立てができる。ないしは、支払い条件を是正することによって、仕入れをさらに効率的にできるという副次的な効果もございます。

それから、3点目は、これは直接的な融資を行ったというんではなくて、既にご融資のある先の経営の改善について、手前どものほうから提言をさせていただいて、当該する会社に4人ほどの中小企業診断士の方に入っていただいて、多角的に企業診断をしていただいたと。その結果、診断士の方、それから企業と私どもの三者の目線を一応合わせたいと、そういうことがうまくいった事例ということでございます。

ただ、ここは実のところ、それより前に私どもから中小企業診断士をご斡旋して、その方と契約をされたんですが、うまくいきませんでした。その背景は、一つにはやはり社長として事業の運営に自信があると。ある意味で過度の自信があるといいますか、なかなか自分の実態を表面に出さないといいますか、そういうことで中小企業診断士の方もやはり手を挙げてしまったといいますか、そういう頓挫した時代があったんですが、再度建て直しという名目で、今回のような形がうまくいったということでございます。幸い、社長のご長男が後継者としてほかの企業から当社に入ってまいりました。大分企業としてもモラルが上がっていると、そういうような状況でございます。

それから、4つ目以降は各地方でございまして、4番目は温泉街の立て直し、それから5番目が農業事業者向けの無担保ローン、そして6つ目がいわゆる多重債務者向けへの取組み、それから7つ目が、これはそこにもありますように、いわゆる保証協会の代弁を受けた先の再建の事案でございます。

これらについては、一応後ほどお目通しをいただければと思っております。

以上でございますけれども、中小企業金融というようなフレーズで、今回はちょっと資金の供給の面からの融資の事例のみとなってしまいましたのは、ちょっと配慮が不足したかもしれません。ご容赦をいただきたいと思います。

また、取組みの事例といたしましては、本日の2番目に挙げたようなのは、実はかなり実務面では多うございます。先般、業界紙の記事にもございました。中小企業支援協議会の最近の活動状況からも、その協議会が取り扱った案件の60%以上が、リスケジュールによる再生案件であったようでございます。金融支援のほとんどが広義での条件変更でございますから、こうした方面への実効ある取り組みが本当に行われるかどうかということが大変重要なことではないかというふうに理解をしております。

事例とは少し離れますけれども、ちょっとお時間の関係もありますが、小規模企業への融資につきまして、これまで当組合としてどんなスタンスで臨んできたかということを、少しだけお話させていただきたいと思います。

昨年、当時の中小企業金融公庫が取扱いを始めました長期支援資本強化特例制度という長いのがあるのですが、これが大変注目をされたことはご存じかと思います。現在は資本的劣後ローンということで、各金融機関で検討されていると思いますけれども、当組合といたしましても現在商品化を具体的に進めております。そもそも、中小零細企業の多くは自己資本の比率が低くというよりも過少資本でございます。当然のことながら、財務体質が脆弱であるという構造的な欠陥を抱えて、その結果、不況抵抗力が弱いという基本的な課題がございます。

したがって、現下の経済情勢からは大変厳しい状況であるということは間違いがないと思います。

釈迦に説法かと思いますけれども、企業の金融機関からの借入金には、キャッシュフローによって返済がなされる通常の借入金、そのほかには疑似エクイティー的に長期間にわたって借り入れを反復、繰り返していくという、そうした資金の借り入れと2色がかなりはっきりあると思うんですね。この底辺の根雪のように固定化を必要とする借入金について、誰が資金提供をするのかと。それを面倒見るのは、恐らく中小企業の場合は代表者であり、ご親戚であり、あるいはスポンサーということになる例は比較的多いとは思いますが、我々のような信用組合として、そこに手を差し伸べる必要はないのかというところが、当組合としての一つの考え方でございます。

私どもでは、この根雪の部分、言いかえれば自己資本の代替に近い性格の長期資金の融資を商品としてこれまで意識的に取り組んでまいりました。もちろん、現在の資本的劣後ローンのように、きちっとした法的な理論構成までを伴ったものではございません。ある程度稚拙なものでございます。しかし、小規模企業への融資の一つの形としては正しかったというふうに思っております。この準資本型ローンの取り扱いについての当局のコメントには、債務者の属性あるいは債権者の属性や資金使途などを制限するものではないということが明確に述べられておりまして、言うなれば、破綻懸念先まで当然のことながら運用ができるという性格のものでございます。ですから、私どもとしては、それに近い、事実上それに近い長期の貸し出しということについて積極的に取り扱いをしてきたし、今後もその方向は変えないでいきたいというふうに思っております。

先ほどの資料にも、銀行との棲み分けという問題がございましたけれども、この長期資金というものは、考え方は実は上位行との棲み分けも十分可能になります。もちろん我々は、中小金融機関にとっては、銀行というのは金利の競争あるいは情報の提供力という点で、競争の相手としては大変な脅威ではありますけれども、実例としては棲み分けができるということのお話をちょっとさせていただきますけれども、簡単な例で申しますと、銀行は先ほどお話ししたように、通常のキャッシュフローで返済のできる範囲内の融資というふうについては、当然積極的にやっております。しかし一方で、先ほどの根雪の部分ですね、これは非常にやりづらい。間違いないと思います。したがって、これまで実は数行の銀行さんとは、先方さんからのお声がかりもありまして、当行としては、ここの短期、中期的な資金は必ず面倒を見ると。しかし、こちらの根雪の部分は組合さんのほうでいかがですかと、こういうお話が実はかなりございました。現状はちょっと数は少なくなっておりますが。

これは、やはり中小企業の方は従来のメイン行を十分に意識して、継続して面倒を見てもらえると。一方で、超長期的な借り入れによって資金繰りをしっかり安定させることができると、こういう非常に効果があるんですね。そんなことも考えますと、いたずらに銀行と画然として何か事を構えるという必要はないのでありまして、十分そういう面での棲み分けができるのではないかなと、そんなふうには思っております。

いずれにしましても、長期資金の効果的な取り組みというのは、中小企業にとっては財務構成の是正と資金繰りの安定というものにつながります。こういう点からも、やはり今後とも私どもではお客様とは長期継続的な関係を構築したい。ご都合主義といいますか機会主義といいますか、その意味では決して協同組織の金融機関としては、そのスタンスをよしとしませんので、中小企業にとっては我々のような協同組織というのは、相対的にはお取引にふさわしい金融機関であるという、そういう自信はあります。

ちょっと長くなりましたが、最後に、以前プレゼンで申し上げたことでございますけれども、いま一度おさらいという意味で申し上げたいと思いますが、私どものような信用組合というのは、小規模事業者、生活者が金融利便を享受するための協同組織の金融機関ということでございまして、先ほど佐藤さんのほうからもありましたが、会員あるいは組合員の利益を第一に考えて事業運営をしていっておるはずでございます。昨今のように大変厳しい経済情勢が続く中では、経済の効率性とか合理性の追求だけでは、地域経済あるいは地場産業の活性化というものは大変難しいのではないかと。これらを活性化させる上では、いわゆる本来の意味でのリレーションシップ、長い時間を小規模の事業者とともに地道に歩んでいけると、そういった金融機関が必要であるはずですし、我々としてはそういう金融機関であるという自負を持っております。

そんなことで、ぜひ今後のご議論としての参考にしていただければ幸いでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、討議に移りたいと思います。

ご発言をどなたからでもいただきたいのですけれども、先ほど小野参事官からご説明のありました論点メモ(要約版)ですね、11-1という本日付の資料の中に、中小企業金融についての論点が挙がっています。右下のページで言いますと2ページですね。それから、最後に切り口ということで、右下のページで言いますと6ページということになります。

なお、これらの論点のうちの不良債権についてはこの後にしますので、ご意見は後ということにしていただきまして、中小企業金融についてのご意見を出していただきたいと思います。

今、佐藤委員及び中津川委員からお話しいただいたことも踏まえた上で、皆様方からご意見あるいはご質問でも結構ですのでお出しいただければと思います。

いかがでしょうか。

それでは、渡邉委員、それから吉野委員の順番でお願いします。

○渡邉委員

私は、経営者の立場から、佐藤委員と中津川委員の事例発表にちょっとつけ加えとして私が実感したお話しをしたいと思います。

私の会社は給食会社であります。浜松市で自動車、それから楽器製造をしている地域の給食を営んでおります。当社の場合は製造会社が多いわけで、この不安な状況の中1月の新年のごあいさつに各会社を回ってまいりました。行く先とても不安な情報がいっぱいありその中でも、ある会社は、3年ほど前に工場を新築しまして、これからという時に、このような不況になってしまったと。受注の多くがキャンセルになってしまって、仕事がほとんどなくなってしまった。当社もそれを聞くとこの会社に給食はもう届けなくてもよくなってしまうのだろうかというような不安を一瞬抱いたわけですが、お話を聞いていますと、従業員をやめさせることもできない。というのは、その会社は高い技術を身につけさせた従業員がほとんどで、やめさせるわけにはいかないと。それを長くからつき合っている信金さんに相談をしたら、今後1年を何とかしのげるぐらいの資金を借りることができた。本当に安心したとのことでした。私も、あっ、これからあと1年はこの会社、給食をとっていただけるというとても安心な気持ちになった次第でございます。

それから、またほかの会社に行きましたら、今、浜松は金・土・日が製造会社はお休みするのが普通となっております。その金・土・日の休みが、金・土・日・月と休まなければならなくなるかもしれないという社長さんがいらっしゃいまして、また当社としましては、金・土・日を休むうえ、月曜日もお休みになるということは、当社の給食が少なくなるということでありまして、これまた私もとても不安な気持ちとなりましたが、その社長さんがおっしゃるには、信金さんのほうから、こういうときこそ社内の従業員のスキルアップをするべきだとビジネスマナーの講師を無料で派遣するから、お休みのときにそういう日にちをつくって、従業員に受講させてはというような助言をいただき、社長さんも、無料だということもあるし、社内の意識を少し高めるということで、すぐさまそのお話を受けられることになったそうです。そうしますと、当社としましても、月曜日がお休みにならないということで、またこれ安心というような状況もありました。

このように、信金さんというのは、長くおつき合いしているところの事業所さんをよく見ていらっしゃるなと私は感心しました。先ほど佐藤委員、それから中津川委員も言っておられましたが、長期的な地域の発展とか企業の発展というものを重視しておられるということが、とても実感させられました。要するに、長い目で見守ってあげるよということですよね。身をもって実感したことがありましたので、ちょっと発表させていただきました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

ありがとうございます。

幾つか質問があるんですけれども、今のお話も含めて、現状で銀行というのは、やっぱり手を相当引き出している、お2人にお聞きしたいんですけれども、手を引いていて、やはりその地域からは逃げることができないって、その地域だけでしか営業できない信金、信組さんは、いわゆる最後の貸し手として、その地域に今でも貸されているのかどうか、その現状をちょっとお伺いできればと思います。それが第1点です。

それから2番目は、コンサルティングというのを、先ほど中小企業診断士の方とか、あるいは会計士の方は、主に外の方に頼って、それでコンサルティングをされていらっしゃるのか、それとも内部でいろいろやはりいろんな情報を持ってやられていらっしゃるのか、2番目です。

それから3番目は、根雪の部分と短期の借り入れというお話があったんですけれども、先ほどの事務局の説明のつなぎ資金というところというのは、この短期の借り入れと考えていいのかどうか。つなぎ資金ってなかなか信用金庫、信用組合さんから借りていないという現状はどういうことなのかお聞きしたいと思います。

それから最後は、新しいお客さん、新しい顧客の方に対して、今日お2人からお話なかったんですけれども、どういう形で対応されて、審査されたり貸出しをなさっているのかお聞きしたいと思います。

○神田WG座長

いかがでしょうか、佐藤委員と中津川委員からお話をお願いできればと思います。

○佐藤委員

では先に。

今でも貸しているのかというお話ですけれども、これは今でも当然同じようにやっております。ただ、その状況が厳しいということがあって、先ほども本当に渡邉委員のお話がありましたけれども、私どもも同じことができているかどうかは別として、今経営者がやらなきゃいけないことを、何をしますかということを一緒に考えて、その上で必要なものをお貸しするということでやっているということです。

それから、貸すだけではなくて、例えば、とりあえず元金をとめて、しっかりしたことをやっていかれるように、従業員を解雇しなくても済むような、そういう状況をつくるとかいうことをやるということでも十分に相談に応じているという、そうしたことをやっているということです。

それから、診断士につきましては、私どもでは比較的診断士の資格を持った職員が多いというか、まだ30人ぐらいでしょうか、多いとも言えないかもしれませんが、新たにまた特別な教室を設けて養成しているということもありまして、そうしたことから、なるべく内部で使って、内部のあれですけれども、ただ資格があっても、いろんなスキルをもっと持った方もいらっしゃるんで、そうした方の支援もいただくということはございます。

それから、つなぎ資金ということ、どうなのかということ。とりあえずつなぎ資金と私ども言った場合には、当面その状況を乗り切るということで、それと同時に、全体として、継続して資金を安定的に使っていけるような、そういう仕組みをやっぱり一緒に考えるという、そこで、でもそうはいっても時間はありませんから、そういう方向を見出せるとすれば、具体的には相当まだ時間がかかるとしても、とりあえずのつなぎ資金を出して、その上で一緒に考えて、しっかりまた事業を再構築していくという、それから資産の配分をしていくというふうな、そういうふうなことをやるという、そんなことをやっております。

以上です。

○神田WG座長

中津川委員、いかがですか。

○中津川委員

断片的になりますけれども、コンサルの問題は、これは恐らく各信金、信組さんのマンパワー次第だろうと思います。今は佐藤さんのところは、いわば自分のところの中小職員が対応できると。私どもでは、残念ながら中小企業診断士の資格を持っている人間は、多分3人程度ではないかと思うんですね。ですから、そういう意味では、私どもは今そういう経営の診断、ご相談については、専門のコンサルタントの方にお願いして稼働しているというほうが多うございます。

それから、つなぎの件は、先ほどの資料を見てちょっと違和感がございましたけれども、どういうような対象で、どういう事例かというのをもうちょっとお伺いしませんと、これに対しては余り的確なご返事がしにくいかなというふうに思います。多分、このつなぎがもう明日にでも決済資金が要るというような意味合いなのか、あるいは、いついつ入る売掛金の回収までのつなぎなのかという、そういう資金の性格によって随分違うのじゃないかという気がいたします。特に銀行が多かったというのは、ちょっとよくわかりませんが、多分カードを利用しているのかなと。カードで少しちょい借りをすれば、これつなぎなんですね。ですから、その辺はちょっともう少し情報をいただかないと、私のほうとしてはなかなかお答えがしにくいかなという気がいたします。

それから、新規のお客はどうなのだということでございましたが、私どもはやはり組合としてといいますか、新規の顧客がふえるということは大変重要なことですし、言うなれば新しい血が入らなければ、企業としての成長は当然ないわけでございますので、新規先については、逆に業績の評定の中で、どの店が何軒増えたと、それをかなり高いウエイトで評価をしておりますので、新規先について何か門を閉ざしているとか、そういうようなスタンスは一切ございません。

あとは、何か棲み分け、最後の砦かどうかというようなお話でしたが、少なくともここ一両年のそういう融資の再生案件では、ちょっと言葉は悪いですけれども、銀行さんが債権放棄をした、その後、これだけ返しなさいという事例とか、先ほど多摩さんからも事例がありましたが、RCCに債権が行ってしまったけれども、もう弁済期が来るけれども、どうしようかと、そういう事案というのはやはりここ一両年は大変多うございました。これは、先ほどお話ししましたように、ある種のコンサルの方にもご相談をしつつ、じゃどうしようかということをお客様ともども考えて、よしとするならば踏み出すということしかできなかったのですね。ですから、そういう意味で、少なくとも我々としては最後の砦でやれると、あるいはやらなきゃいかんという認識は常に持ってきておりますが、しかし一方では、個別案件としてのリスク管理をどうするかという問題は、当然のことながら金融機関としては大きな問題でございますから、例えば担保が足りないと、しかし金は要るんだというときにはどうしましょうかということは当然出るわけですね。我々は、当然、自分のところの体力というものを一方ではかりつつ与信行為をしていくわけでございますので、それは全てご相談をいただいたから応諾ができるという環境でもございません。

以上でございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。

それでは、家森委員、村田委員、原委員の順番でお願いしたいと思います。

○家森委員

すみません。まず中小企業金融ということなんですが、中小企業にも超零細から300人というようなところまであると思うんですが、実際、やや曖昧に使わせていただきますが、リレバンを適用するということで、どのような規模ぐらいまででしたら実際このきめ細かな金融ができるというふうにお考えでしょうか。あるいは、先ほど事務局からありましたように、今は金利が安いけれども、10とか15%にすれば、どのくらいの規模の企業まで対応できるというような感じでおられるのかという、つまり、小さなところについて、十分対応していけるのかという点についての感覚を教えていただけたらと思います。

それから2番目は、銀行に断られたお客様が今たくさん、信用金庫にいらしているというふうな事例をご説明いただいたんですが、今日はそれで引き受けてうまくいったという話ばかりでしたが、実際に来たお客さんのうちのどの程度を引き受けられて、どの程度をごめんなさいとされているのかというのを教えていただければと思います。

それに付随して、今回のように成功したのは、銀行が見る目がなくって駄目なのか、あるいは先ほどおっしゃったような、何か銀行は根雪というものが出せないために難しくなっているというふうにお考えなのかという点についても教えて下さい。我々学者がリレバンを言っているときには、長期的な関係があるのでそういう難しいところへお金が貸せるんだと言っているんですけれども、銀行から断れた人がぱっとやってきて、いいですよというふうになるというのは、なぜそれが可能なのかという部分についても教えて下さい。

最後に、中津川委員のお話しが非常に示唆的だったんですけれども、私の実証研究でも、金融機関の競争が激しい地域だと、リレバンって余り進まないというふうな結果が出ています。それは苦しい時に助けても、よくなったら他に多くの銀行があると、さあっと逃げていくという、そういうインプリケーションだと理解しているのです。そういう点から言うと、長期的に金融機関が収益を確保できるような仕組みが必要であり、それがもしかしたら疑似資本ということになるのかというふうに思うんです。ただ、同時に、他方、それって中小企業側から言うとホールドアップ問題というやつで、銀行から逃げられなくって、調子がいいときに高い金利を払わされているというような問題も起こるかと思います。競争関係と顧客密着度について、何か経験から示唆していただけることがあれば教えていただきたい。

ちょっといろいろ大きい問題ばかりで、恐縮です。

○神田WG座長

いろいろありましたけれども。

○佐藤委員

お答えになるかどうか、私のほう、ちょっとそのリレバンとその企業、先生のお話は、余り小さいところはそういうことが通用しないのかという、そういったことでしょうか。

○家森委員

第一はそうです。

○佐藤委員

そうですね。私どもが考えているのは、そういうことはないというふうに思います。小さいところであっても、何をしようとしているかということを理解できれば、やっぱりむしろそのほうがやりやすいというふうに思っておりますし、実際には非常に脆弱で変動が激しいのですけれども、やっぱり経営者の考え方がすべてというふうになってくるので、そういったところはやっぱり我々の一番得意な分野ではないかなというふうに思っております。リレバンということと、その課題解決ということは一緒なので、その課題解決は何をすればいいかということを一緒にできるという意味では、むしろ小規模のほうがそういったことができるので、恐らく銀行さんの言われているリレバンという中での考え方と、我々の課題解決という地域のその中でどうやって課題を解決していくかということと多少は違うのかなという気はしますけど、そういうふうに思います。大きくて、もちろんできないということはないので、そういう感じです。

それから、銀行で駄目だと言われてなぜできるかということなのですけれども、やっぱりできないものも中にはあると思いますけれども、殆どは、銀行さんは財務諸表、今どうだということで、そこによってランクづけをするということと、それから最近は資産の内容についてしっかり見て、貸出しに見合ったものなのかどうかというふうな考え方をとられてきているので、そういう面からいうと、私どもが、なぜ断るのかなというふうにちょっと理解できないところもあるのですけれども、それはそれとして銀行さんがおやりになるのは、当然ながらそれぞれのモデルですから、決して非難するような気にはなりませんけれども、本当にお話を聞いてみると、我々が事業を継続してほしいという、お金を貸すか貸さないかというよりも、地域の本当に大事な要素として健全にずっとやっていってほしい、もっと頑張ってもらえばもっとよくなると、そういったことを込めて一緒に相談をするわけで、決して、じゃすぐにできるということじゃないのですけれども、そういう観点から見ると、何とかそれはやっていっていただけるということが多くて、そうそう駄目だということは、私のあれでは余りないかなと思います。

本当に駄目なところは、これは我々が情報をいただけないところですね。そして共有できない、何をどういうふうにしようとしているかということが分からない場合には、どうしてもそれは共有できないので、課題解決につながらないということになってしまうので、なかなか難しくなるということなんですけれども、そうじゃない限り、何とか経営者が努力してこうやっていく、それがうまくいくかどうかは、その仕組みとそのやり方、そういうものを我々も一緒に考えていけばできてくるという、そういうことと、もう一つは、全然知らない方が突然来るというんではなくて、地域の中で毎日のように、まあ表現は、這いずり回っていますと、いろんな情報があって、あそこはこうだ、ここはこうだ、ここの経営者はこういう考えでこういうことをやっているということは、あらかじめある程度、お取引がなくても、メインでなくてもよく分かるし、お取引がなくてもそういったことがあるんで、それについて、本当にあらかじめのそうした考えもあって、一緒にやれるということが多いというふうに思います。

ですから、相当程度、相当程度と言うと曖昧ですけれども、何とかやれることは多いということで、あまりお断りすることは、その場合は、本当に相談に来られて真剣な場合は、あまりないというふうに思います。

それから、競争の激化している地域でリレバンがやりにくいのかとおっしゃるんですけれども、私は逆に、競争があるということで、我々のリレーションシップバンキングというものが貫かれるというふうに思っております。本当なのかと思われるかもしれませんが、もう銀行と競争している時代ではないというふうに、もうここ数年、もうちょっと前から、そういうことで、我々のやることを本当にやることが大事なのであって、競争相手と同じような事を、同じような競争をしてきた時代とは全く違う考え方によってできてきておりますから、むしろ銀行さんがそうやって駄目なところを切り離していかれるのは、銀行さんのことについて、モデルとして私は納得できますし、またよくなったら取引するということも、これもまた地域にとってみると悪いことではないというふうに感じるので、現場の思いはちょっと複雑ですけれども、よくなってどんどん大きくなって、銀行さんがまた面倒を見るようになれれば、我々のやってきたことは間違いないというふうに思われるという、そういった仕事をやっていると思っているので、結構なことじゃないかなと、企業としてもそれを喜んでいらっしゃるとすれば、やっぱり地域にとってもいいことだ、というふうに思っております。ただ、経営が甘くなるということで、本当に必要もないのに、これだけよくなったのだから金をうんと使えというふうな形でいくと、またそこが経営上の課題を生み出してくるので、そういうことに対して、私は、ちょっと余りいいことではないと思いますけれども、これは経営者の資質の問題もあるので仕方がないというふうに思っております。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございます。

中津川委員、ございますでしょうか。

○中津川委員

それじゃ、なるべく手短に。

零細先の問題でございますけれども、これは小さいからどうこうということではなくて、私どもは結局、お取引先とは人と人との関係だと思うんですね。ですから、社長さんにお会いして、その社長さんの考え方であるとか経営手腕と、こういうものをじかに私どもとしては見させていただく、あるいはお話をいただけると、そういう関係からスタートしているということも言えますので、零細がゆえにどうこうということではなくて、やはりその企業としてどうかと。

それから、例えばそれが有限会社であれ株式会社であれ、小規模でも借り入れのときに例えば社長さんがご自宅を担保に提供されるということであれば、これはもうある種の現物出資をなさったと同じだという理解を当然のことながら我々としてはしますから、長いおつき合いをそこで前提としては置くわけです。そんなことを常日ごろやっているつもりでございます。

それから、銀行に見る目があるかないかのお話はちょっと微妙な話になりまして、ちょっと理論は違うかもしれないんですけれども、これは銀行に限りませんけれども、短期的に利益を求めるとすれば、どうしてもリスクは多くとるわけですね。と思うんです。ですから、先ほど来、例えば相当のロットの貸出しをやる、あるいは提案融資をやるということは銀行さんのケースではかなり多かったんじゃないんですかね。それが結果として齟齬をきたしたということではないかと思います。ですから、これはある意味で、先ほど来から出ておりますように、我々も利益を軽視するつもりはございませんけれども、言うなればクォーターごとに成績を問われるという株式形態の企業としては、そういうことは比較的当たり前にやっているんではないかなというようなふうにお答えをさせていただきます。

それから、競争の激しいところ云々は、今佐藤委員のおっしゃったとおりでございまして、激しいからリレバンという業務活動がしにくいかというと、必ずしもそうではないかなと思っておりますね。ちょっと余り正確なご回答でなくてすみません。

○神田WG座長

ありがとうございました。

それでは、村田委員、どうぞ。

○村田委員

中小企業の立場で、協同組織金融機関の中小企業金融ということでは、私はそれを評価する立場ですが、先ほどお2人の委員の方から事例がございましたけれども、そういった幾つかの役割の中で、特に中小企業金融の円滑化ということと、もう一つは経営支援と、この2つが非常に重要だと思いますし、この点について金融機関にお考えいただきたいという点だと思っています。

そしてまず、中小企業金融における安定的かつ円滑な資金供給ができる体制づくりという点では、金融機能強化法が昨年来非常に大きく取り上げられておりますけれども、これを活用することが大切だろうと考えております。

もう一つ、いわゆる資金繰り支援ということについては、昨年の11月ですか、「金融検査マニュアル別冊」というのが改訂されておりますけれども、そこにあります条件緩和措置を活用して、積極的に資金供給を図っていただくということだと思っております。この点で一つ事務局に伺いたいのは、この緩和措置によって、それなりの効果が出たというのが報告に挙がっているのかどうかお聞きしたいと思っております。

それからもう一つ、経営支援という点では、いわゆる中小企業とか地域経済が抱えるいろいろな問題解決を図るという意味での役割があるわけで、先ほどのお2人の委員の方からも、この点についてはかなり細かいいろいろな事例がございましたので、これについてはやはり積極的にお願いしたいと思っております。

その中で佐藤委員に伺いたいのは、先ほどのいろいろな事例の中で、営業面でのいわゆる経営支援と同時に、かなり社会貢献活動の意味が取り上げられておりましたが、その社会貢献活動にかけられる費用といいますか、業務益の中でどのぐらいの金額を社会貢献活動に充てているのかということをお聞きしたいと思っております。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございます。

事務局のほう、いかがでしょう。

○渡邊協同組織金融室長

先ほどの条件緩和取り扱いの効果ということでございます。この件につきましては、11月に取り扱いを始めたものであります。それで、我々としてもそうした措置を講じたものですから、その効果を検証するというのはやっぱり必要なことだと思っておりまして、部内でいろいろ情報を集めたりしております。ただ、まだ実施されてから日が浅いこともありまして、どの程度効果が出ているのか、その辺はまだきちっと分析が完全にはできているわけではありませんけれども、いずれにしてもその検証はしております。公表についてはまた別の観点で検討しているところでございます。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、佐藤委員、いかがでしょうか。

○佐藤委員

先ほどご紹介したこと、必ずしも私どもでは社会貢献ということと実際の毎日の業務ということを分けているわけではなくて、それがそもそも本業というふうな考え方で取り組んでいるということなんですけれども、そうした上でも費用がかかるわけで、これは当然なんですが、コストがかかると。先ほど紹介したこと、ざっと見積もってみるんですけれども、直接かかっているのは幾らぐらいかと。全体で約3億ぐらいということで、100億の業務純益があるとすると3%ということになり、150ですともうちょっと低いんですけれども、百二、三十というのがコアの業務純益ですから、その中の3%ぐらいがそれにかけられているのかなというふうなことですが、これは私ども特別なことを余裕があってやっているというよりは、本当にそのことも含めて、コスト、地域をよくしていく、一緒に生きていくためのコストで、お客様にとってもそれがコストとして認知されるようなものだというふうに思っていまして、その分は結構金利を高くいただいているということも実際ありまして、課題解決ということで理解されればいただけるという、そういうふうなことでやっているということなんで、特別なことで、別にそれを費用かけて、余っているからやるんだという、そういうふうなあれではないんで、ご理解いただいていると思いますけれども、そういうことでございます。

よろしいでしょうか。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、原委員、どうぞ。

○原委員

2つ質問と、それから1つ意見です。

資料マル2でご説明いただいた11ページの図表なんですが、最近1年間で借入期間別の資金調達先ということで、経常的資金とつなぎ資金ということで出ていて、消費者金融・クレジットカード、つなぎ資金で借りている人たちが非常に多いということなんですが、これは金額は一体どういう金額で借りておられるのかというところが大変気になりまして、というのは、実は渋谷のセンター街なんかの貸金のATMに座ると、多分借り手が個人の商店主の方たちで、月50万弱ぐらいですね、30万とか、そういう金額を借りておられる人たちが多いのかなという、こちらの履歴を書くような欄を見ると、そういうのを感じていて、何か個人のお店で従業員1人、2人の給料をやや前借り的に借りているような方が入っているのではないかと。そうすると、消費者金融は非常に高い金利を取っておりますから、本当に短期のつなぎで少額でないと借りないというふうに私は思うので、ただこの表だけを見てしまうと、非常にちょっとミスリードしてしまうのではないかというふうに思いますので、金額についても、この一覧のこの表の中でわかるようにしていただきたいというふうに思います。ですから、金額がわかれば、これ質問ということなんです。

それから、もう一つの質問なんですが、11-4でご説明いただいた一番最後、事例の6で、いわきの信用組合のおとりまとめローンというのを書いてくださっていて、このいわきの信用組合の場合は、非常にきめ細かく対応していただいて、それから司法書士の方とも連携をしていただいているということなんですが、信用組合、信用金庫もそうなんですが、信用金庫、信用組合でどれだけこういった形で取り組んでおられるのかということと、それから、単純にただ取りまとめているだけ、それにもややちょっと批判があるので、非常にこういうふうにきめ細かくやっておられる例と、もう少し詳しい情報があったらお願いをしたいというふうに、今日でなくても結構ですので、お願いをしたいと思いました。

それから、1つ意見なんですが、今日のお話を聞いていて、非常にもう銀行と競争する時代ではないというふうにおっしゃられたのが非常に印象的で、私もやっぱり地元で頑張っていただきたいというふうに思っていて、それにはやはり人材がすごく重要だというふうに感じていて、それは財務諸表や何かを適切に読み取れるような金融だけの人材ではなくて、やっぱりそれぞれの、先ほど中小企業診断士のお話が出ましたけれども、そういった事業自体をきちんと見きわめることができる人材が非常に必要だというふうに思いましたので、ぜひ取りまとめの最後のところでは、そういったところも今後の課題ということでお願いをしたいというふうに思いました。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、質問に関わる点は事務局からお答えをお願いします。

○小野信用制度参事官

まず、今ご質問がございましたこの調査でございますけれども、これは私どもが行ったものではなく、東京情報大学の堂下教授がご自分で調査をおやりになったものでございまして、残念ながら、借入金までの調査はおやりになっていないようでございますので、その数字は出すことはできないということでございます。

○神田WG座長

それから、2点目は中津川委員から……。

○中津川委員

実を言いますと、ここへ来る直前に、おそらくこの資料をごらんになると、原さんから今のようなご質問が出るかなと(笑)。私はちょっと事務局には言ってここへ臨んだわけなんです。

それで、どういう資料として統計をとるかというのは、また別にお任せいただくとして、できる範囲で整理はしたらいいかなと思っております。

東京都内にも、私がおつき合いしていただいている理事長さんのところでもこういうようなものを扱っていまして、2年ほど前からやっているようですけれども、この2年間での延滞がゼロだというんですね。もちろん何か住宅ローンとセットして取りまとめをしているということですので、担保を差し入れた形の取引のようですけれども、少なくとも、しかしこうした多重債務者的なところへご用立てして、2年間で延滞がゼロというのは、私どもからすると大変な成績なんですね。ですから、そういう面も含めて、いろいろちょっとお聞きした上で、またご説明ができればさせていただきます。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、神吉委員、どうぞ。それから今松委員の順でお願いします。

○神吉委員

今日は、中小企業金融について意見を言うというよりは、お2人の委員からのご説明を受けて疑問に感じた点などを申し上げさせていただきたいと思います。

まず、やはり小野参事官からご説明のありましたつなぎ資金について、私も随分疑問に感じたところでございます。それで、佐藤委員と中津川委員にお伺いしたいのですが、信用金庫、信用組合では、例えば当座貸越しを典型としますような限度稟議を上げて運転資金に対応するというようなことをなさっていないのかという疑問でございます。それがあれば、借り手の側からすればスムーズに借りられます。必要なものを必要なときに借りられるという対応がで今日かと思います。

これは逆に申しますと、限度稟議で対応しますと、資金使途を一件一件確認できませんから、厳格な融資運営という観点からすると相反する点はありますが、銀行でも限度稟議で当座貸越を典型とするものをやっているわけで、そういうことにこの表(資料マル211頁)の裏返しの意味があるのかな、というふうに思ったところでございます。

それから2つ目は疑似資本の問題です。これは従来から銀行でも、転がし単名に代表されますように、手形貸付けを延々と書きかえていくというふうなことを昔からやっております。ところが、収益の強化が言われ始めてから、転がし単名を長期運転資金にシフトするということをやりまして、長期金利ですから高い金利が取れるというようなことで対応してきております。私の理解によれば、貸し剥がしと言われるものは、転がし単名を書き替えに応じないで、返しなさいと、そういう事態なのかなと私は理解しておりました。ですから、疑似資本というのも銀行では対応しているのではないかというように思います。

3つ目は、先ほどの多重債務、原委員からのご指摘もありました多重債務に関する問題です。不良債権になっているものを肩代わりいたしまして、当局の分類がどうなるか。やりなさいとおっしゃっていますから、肩代わりを実施した途端に不良債権として分類されるということはないだろうとは思うんですが、当局の分類がどうなるのかということ。稟議上は当然、多重債務の肩代わりだということを稟議して対応されていると思いますので、当局の検査があったときの分類がどうなるのかということを教えていただければと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

佐藤委員、中津川委員からもしお答えいただける部分がありましたら……。

○佐藤委員

最後の点は、私どもではない…。じゃなくて私ということですか。

貸出しについて、極度貸しということで常時やっております。それは、ですからそういう扱いはあるということで、もう一つはカードですね。いわゆる事業者に対してのカードというものがありますので、それも一つの極度貸しの形態だというふうに思っております。

そういった点で、私もこの資料を見て、前提として、どういったところに対してのアンケートといいますか、そういうふうにちょっと疑問を持つんですが、これだけ見ると、本当に何かやっていないのかというふうなことに考えてしまうというのもしようがないんでしょうけれども、多分、特定というふうなことに偏った母集団といいますか、そういう中でのことかなというふうに感じられるぐらい、私どもでやっていることとお客様の状況と、この数字というのがあまり一致しないという、感覚的に、そういう感じがいたします。それはよく調べてみる必要があるし、私どもそういうつもりでこれからできれば調査をしていきたいというふうには思っております。

それから、あとは銀行での対応ということがございましたですね。それも銀行でもやっていると思いますが、ただ状況が変わったときにどうなるかということが大事な要素だと思うんです。ですから、通常、何気なく、当然のごとく繰り返し、資金を繰り返し使う手形貸し付けのような、そういったことをやってきても、あるところで判断が変わるということが往々にあって、非常にそれがもう中小経営にとって安定したことになっていかないということで、その判断がどうなのかということを考えると、私どもとは随分違うなというふうに思います。

そんなところでよろしいでしょうか。最後のことは、私どものあれではなくて、その辺についての債務者区分については、私どもとしては全然心配しておりません。

○神田WG座長

最後の点は、渡邊さん……。

○渡邊協同組織金融室長

検査当局ではないので、検査当局ではないということをお断りの上でのお答えなんですが、多重債務の借換えだからといって、一律に扱いが決まるということではなくて、やはり実態に即して、例えば返済状況がどうであるかとか、そうした状況を踏まえて分類を判断していくんじゃないかというふうに思っております。

○神田WG座長

よろしゅうございますでしょうか。

それでは、今松委員、どうぞ。

○今松委員

ありがとうございます。1点は、ちょっと思ったところで意見ということになると思います。その後は佐藤委員に教えていただければと思う点です。

最初のほうは、基本的にやはり地域金融、中小企業金融の中でやはり協同組織金融、今までの議論の中でもかなり明確になったと思うんですけれども、やはりかなりきめ細かい形で活動しておる協同組織金融の持ち味というか、これをどのように発揮していくかという点だったろうと思います。その点でやはりマンパワーというか、いろんな意味でその地域の中で役に立つものをどのように使っていくのか。これは佐藤委員、中津川委員等々から出されたことですね。非常によくやっているという例だったろうと思います。問題としては、こういうふうな非常にうまくいっているというか、その点、十分にこれまでも蓄積してきたところと、問題はそうではない地域、ところもたくさんあると思うわけです。やっぱりそういうところをどうかさ上げしていくのかという点、この点について、やはり協同組織金融というものの強化というか、リレバンの場合でもそうなってくると思いますけれども、この点をどうかさ上げするのか、あるいは能力をどうつけていくのかという、この点についてやっぱり報告の段階では十分言及していく必要があると思います。

あとさらに、例えば地域再生であるとかリスクマネーという問題、さらにはニュービジネスと、まあニュービジネスはちょっと違いますかね。その場合には、例えば、おそらく一つの機関だけではというか、金融機関では難しいという例が出てくるわけです。その場合には、そうするとやはりファンドという形であるか、どのような形で組成していくのか。その中でというか、その中で協同組織金融機関がどのような役割を果たしていくのか。この点、中心的な役割を果たすことができるような色んな力量等々をどうつけていくのか、この点必要になってくるのかなというふうに思いました。

それと、佐藤委員にちょっと教えていただきたいのは、非常にいろんな形でやっておられて、成果が上がっていると思います。じゃ今、この具体的な、ここで教えていただいたというか発表されたことをやっぱり十分さらにもっと成果を上げたいということはあるんだろうと思いますけれども、どの程度まで考えておられること、あるいは等々と比べてやっておられるのかという点、この点をひとつ。

それと、さらにいろんな意味での金融というか、地域への貢献であるとか、そういうものをやる上で、例えば制度的な面での制約であるとか規制とか、こういうものというのを、例えばこういう点を外してもらえればさらにできる点がある、こういう点があれば教えていただければと思います。

以上です。

○佐藤委員

私どものやっていることの評価ということで言いますと、やり始めてそんなに、やり始めてというのは、そうしたモデルをとにかくやろうと決めてやり出してまだ10年もたっていないと、そんなことなので、本当に本格的にそうしたことをみんなで確認できたということで言えば5年ぐらいだと思うんですけれども、5、6年と。まあ7年ぐらいでしょうか。私は、残念ながら40%とか50%、それぐらいだというふうに思っています。それができない要因というのは、やはり能力的なものが非常に大きいと、我々の。そういう意味ではもっともっと力をつける必要がありますし、その辺の支援をしていただくのが周りのネットワークであって、ですから我々でできないことがいっぱいあるんですが、それをネットワークで解決していくという方式なものですから、それでもまだ40、50%かなというふうに思います。

何を指標にそういうことを言うかと言われますと、まだそれだけの収益を、もっともっと地域に投入していくだけの収益を生み出していないという、そういう意味で感じられるんですけれども、それができてくれば、本当にもっといろんな形でやっていけるというふうに思っております。

それから、制度的な制約がそういうことをやることにあるのかというんですけれども、今のところ、まだ私どものレベルで、まだそこまで制約を感じられるほどのことをまだやっていないということもあるかもしれませんけれども、今の状況でもっともっとやれることがあるというふうに思っていますんで、余りそこについては感じておりません。

○神田WG座長

ありがとうございました。

もう何か時間が来てしまいまして、大変申し訳ありませんが、もう一つ今日は不良債権問題についてもご議論いただこうと思っており、資料も用意していただいているのですけれども、時間の関係でできませんので、不良債権問題は次回に回すということにさせていただきたいと思います。

本日も、大変活発なご意見をいただきましたけれども、ご発言いただけなかった委員の方もいらっしゃいますし、いつものことで恐縮ですけれども、さらに追加でご意見等ございましたら、事務局のほうにお知らせいただければと思います。なかなか難しい問題でして、報告書に何て書いたらいいのかなと。中小企業金融のあり方ですね。このワーキングとして、一体どういう提言を、どういう取りまとめになるのかということがあるのですけれども、また皆様方のほうでもお考えいただいて、お知恵があれば事務局のほうにお寄せいただければと思います。

それでは、本日は積み残してしまいましたけれども、活発なご議論をいただきまして、また佐藤委員、中津川委員からは大変ご丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。

最後に事務局から連絡等をお願いいたします。

○小野信用制度参事官

次回の協同組織のあり方に関するワーキング・グループでございますが、今、神田先生からお話がございましたように、今日は不良債権ができませんでしたので、次回は不良債権の問題を最初にご議論いただきまして、後半は中央機関のあり方についてのご議論をいただくことを予定しております。

次回の日程でございますが、3月13日金曜日午後4時からを予定しております。正式には追って委員の皆様にご連絡させていただきますので、何とぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

○神田WG座長

それでは散会いたします。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室
(内線3568、3577)

サイトマップ

ページの先頭に戻る