金融審議会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第52回)議事録

1. 日時:平成21年5月22日(金曜日)10時00分~12時00分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山下WG座長

それでは、定刻でございますので、ただいまから第52回の保険の基本問題に関するワーキング・グループの会合を始めさせて頂きます。

皆様方におかれましては、本日もご多用のところ、誠にありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議も公開ということになっておりますので、その点まずご了承をお願いいたします。

本日の出席についてでございますが、久保田委員、洲崎委員、砂田委員、根本委員、野村委員、米山委員がご欠席となっております。第二部会のほうからは落合委員、高橋委員、原委員、増井委員にご出席頂くことになっております。

では、本日の議事のほうへ移らせて頂きますが、本日は、まず事務局側より保険料積立金等の支払いに関しまして、これまでの保険ワーキングにおける議論の経緯等の説明を行った後、保険商品室長の及川室長、続いて、日本アクチュアリー会会員の上田参考人よりご説明をお願いしたいと思っております。続けてお話を伺いまして、その上で委員の皆様方に自由なご議論を行って頂きたいということを考えております。

それでは、まず事務局よりご説明をお願いいたします。

○石田保険企画室長

それでは、お手元に配布してございます資料で、右肩のところに保険WG52-1という資料を配布しておりますので、それをご覧頂きたいと思います。こちらは平成20年の1月31日の第二部会への報告書の本日の関係する部分の該当部分でございます。

金融審議会への報告書において以下のように記載されているということでございますけれども、当時は、要するに保険法の改正に伴いまして、保険業法で何らかの、どういう手当てなり検討をすべきこととしてどんなことがあるのかというのを全体でご議論、ご検討頂くという中で、この保険料積立金等の支払いについてもご議論を頂きまして、その結果を第二部会に報告したという、こういう位置づけのものでございます。

それで、振り返った話でございますけれども、この内容につきましては、まず、この点線の括弧の中の話でございますけれども、当時法制審議会で、保険期間満了前に生命保険契約が終了した場合について、保険料積立金等の支払いに関する一般的な規定を定めるということについて検討が行われてございまして、特に解約返戻金について、解約時のペナルティーを控除することができない旨を明確化するということが検討されたという経緯もございまして、結論としては、保険法のほうでは特段これを規定するということには定めないということになりましたけれども、こういう議論があったということでございまして、それでこの保険ワーキングにおきましては、この点に関しまして、ここに4点列挙してございますけれども、1つ目には、この保険料積立金に係る規定の整備、2つ目には、解約控除のあり方、3つ目には、無・低解約返戻金型保険商品のあり方、4つ目には解約返戻金に係る開示のあり方という論点に分けて検討を行ったということでございました。

若干補足いたしますと、最初の保険料積立金に係る規定の整備のところにつきましては、まず、保険法のほうでは先ほど申し上げたようなご議論があったわけですけれども、当時このワーキングの場におきましては、後ほど商品審査のほうからご説明いたしますけれども、現行保険業法の審査基準第5条とか、そういうところで積立金の合理性とか妥当性に関する規定があるということ、この積立金に関しては、規定ぶりとしては定性的なものなのですけれども、考え方としては現行法で示しているということを当時ご説明いたしまして、その保険業法で改めてこの保険料積立金に係る規定の整備ということを法律レベルで改めて書くということは必要ないのではないかというご議論になったところでございました。

その次の解約控除のところにつきましては、この後のところでございますけれども、まさにこれに書いてあるとおりで、解約控除の対象は保険料計算基礎に基づいたものに限る、いわゆるペナルティーは含まれないという、こういう趣旨のものを、法律で書くかどうかというところはご議論あったわけですけれども、法律に書くという必要は必ずしもないのだけれども、この商品審査基準のレベルで明確化していくということが検討していく方向じゃないかということでご議論になったというところでございます。

これにつきまして、このペナルティーを取れないということは、具体的にどういうことなのか、ペナルティーを取らないというところについては広くご理解あるわけでございますけれども、それを具体的に商品の仕組み、設計というところに落としたときにどういうものを取る、取らないということになるのかというところについて整理しなきゃいけないという話がございまして、本日はこの点につきまして上田参考人に、この具体的な商品の設計、仕組みということについてご説明していただいて、このペナルティーを取らないという部分について具体的にどういうふうに整理できるのかというところについてつなげて頂くというつもりでございます。

それから、次の無・低解約返戻金型商品のあり方につきましては、当時この保険ワーキングでは、いわゆる無・低解約返戻金型保険商品につきまして、そもそもこういう商品の当否ということにつきましても若干ご議論ありましたけれども、現にこういう商品が出ているという中で、これらに対する特別な審査基準なり、そういうルールというものを特別に法令上何か整備する必要があるのかという点にご議論がありましたけれども、その点についてはそういう特別なルールをつくるというのはやはり難しいのじゃないかというご議論になったわけでございますけれども、その際にもこういった商品について、仕組みがやや複雑というところもございますので、本日も改めてこの点につきましても、参考人にどういう仕組み、設計ということになっているのかということについて、できるだけ専門家のお立場からわかりやすくご説明頂いた上で、さらにこういった商品のあり方をめぐってどういう点に議論すべき点があるのかというところにつきましてご議論頂いていければなというふうに思ってございます。

以上がざっと前回の、20年1月の時点での議論の整理でございまして、当時、保険料積立金に関するこれらの点につきましては、その技術的な要素も多くあるということでございますので、今申し上げたような点を含めて、専門的・実務的視点も含めてさらなる検討が行われるべきということでまいったところでございます。

それで、最後は、すみません、飛ばしてしまって申しわけありませんけれども、解約返戻金に係る開示のあり方という点につきましてご議論頂いたわけでございますけれども、その点につきましては1枚だけ次のページに資料をつけてございます。

これは何かと申しますと、現行この解約返戻金の開示に係る規定がどうなっているのか、それで実際にどう行われているのかというものを簡単に示したものでございますけれども、規定は真ん中の上の欄のところでございますけれども、要すれば今この返戻金の開示ということで言えば、契約の事後に交付されます保険証券には解約返戻金の額というものが表示されるということで行われているというのが現状でございまして、上の監督指針のほうでも、「金額を保険証券等に表示する、」ということで記載されているのを受けましてそういうやり方になってございます。

他方で、当時もご議論あったところでは、事前に交付される重要事項説明、いわゆる契約概要とか注意喚起情報というところには、その返戻金額の記載というものは必ずしも求められているわけでもないということについてどう考えるかというところのご議論がございました。

あと、右側のほうの約款等には、これは生命保険の場合ですと事前交付ということで一般的に行われてきていますけれども、この約款等に記載されているものはこの返戻金額というものではなくて、解約返戻金例表という形で表示されてきているというのがあって、こういうことを含めまして、この解約返戻金の額の開示についてどういうふうに考えるのかというところが1つご議論でございまして、下のほうの※に書いてございますけれども、返戻金の額につきましては一部の生保では設計書というものを使って、契約の締結の前に解約返戻金の額を開示するということが実務上行われている状況もあって、その上でルールをどう考えていくのかというところがご議論あったところでございます。

それからあと、一方この制度の上では、※の上のほうでございますけれども、返戻金額ということで開示のできないもの、変額保険やMVAの仕組みを用いた商品等につきましては、この返戻金額が変動するために約款に計算方法というものを表示しているということでやっているというのが現状でございます。この点につきまして、前回のご議論でも、この返戻金額ということじゃなくて計算方法、いわゆる現価とかノウハウに係るものでございますけれども、こういったものの開示が、現行では金額で開示できない変額保険等で出しているのですけれども、その他の商品についてどう考えるのか、さらにそのほかの開示のもの、例えば利回り収益率、こういったものの開示ということについてどう考えるのかというところについても前回ご議論を頂いたという状況でございました。

前回までのご議論を頂いたところの経過は以上でございます。

○山下WG座長

それでは、続きまして及川保険商品室長よりご説明をお願いいたします。

○及川保険商品室長

保険商品室の及川でございます。よろしくお願いします。

これから解約返戻金の審査状況について説明させていただきますが、説明の順番をちょっと兼ねまして、資料の確認といいますか、ご紹介をさせて頂きます。資料は52-2でございます。「解約返戻金の審査について」という表題の資料でございます。

まず、1ページ目でございますが、これは商品審査の全体像、いわゆる保険商品室が審査している全体像を簡単に紹介させてもらおうかなと思っております。

2ページ目でございますが、「解約返戻金の審査について」という表でございますが、本日のテーマでございます解約返戻金の水準面、いわゆるどのように返すのかというところの審査基準を中心にご説明したいなと思っております。

それから、最後でございますが、3ページ目でございます。「解約返戻金の開示について」というところでございますが、ただいまご紹介あった規定等と重複しますが、解約返戻金の開示面でどういう審査を行っているのかという点を簡単に説明したいと思っております。

4ページ以降は、これに関連する条文を3ページほど添付してありますので、よろしくお願いします。

それでは、1ページ目でございます。まず、保険商品室がどういうふうな認可をやっているのか、どういう視点でやっているのかというところを若干、本題に入る前にご紹介したいと思っております。

ご案内のとおり、保険商品というのはいろいろ各業態でその簡素化に取り組んでいるのでございますが、若干まだ仕組み面で複雑な面があるということと、それから本日のテーマでもあります保険数理という専門的な分野もあるという観点から、今認可制にして審査をやっているというところでございます。

その対象となるものは、この1ページにございますが、事業方法書、それから約款、算方書と言われるものでございます。いわゆる保険会社が事業経営に際して従うべき憲法的なといいますか、方法を定めている事業方法書、それから保険契約の内容を定めております約款、普通保険約款、それからまさに保険料とか責任準備金というものを算出しております算出方法書という、これらの3点について、それぞれその審査を行っている。これはこの表の右側のほうにございますが、審査基準がございます。それは大体法律の5条に書いておりまして、それを受けた規則11条、それから12条で補てんしているわけでございますが、大きく言えば事業方法書、それから約款につきましては、まずは保険契約者等の保護に欠けるものじゃないかどうか、それから不等に差別的な扱いをするようなものじゃないかどうか、いわゆる、例えば国籍とか宗教とか信条とかで契約内容に差をつけているようなものであってはいけないなという観点から見ている。それから公序良俗に反するようなものじゃないかどうか。これは例えば交通違反の反則を填補するようなといいますか、補てんするようなものはないかどうかというのが挙げられるかなと思っております。それから、今業界でも一生懸命業界でも取り組んでいますが、明確かつ平易なものかどうかという観点、これはいわゆる契約者にわかりやすく、誤解のない表現になっているかどうかという点でございます。それから規則11条で定めておるのが、まさに契約者の需要また利便に適合したものであるかどうか、これはちゃんと契約者のニーズにのっとったものであるかどうかという点でございます。

それから、保険料とか責任準備金の算出方法書につきましては、大きく3つございまして、合理的かつ妥当か。それから不当に差別的な扱いになってないかどうか。また、規則の12条で定めているように、その計算そのものが不当に不利益なものになってないかどうかという観点から審査をやっているということでございます。

これら3つの基礎書類、ここにしっかり記載させる、書いてもらうということが大事でございまして、ちゃんと書いてあるかどうかを審査をやっている。これに定めたことに反した場合には、特に重要な違反の場合でございますが、ある意味では行政庁の処分の対象となるような大事な書類になっているということでございます。

次に、2ページ目でございます。これが本日の本題のテーマであります解約返戻金の水準面の審査基準でございます。先ほど申し上げた算出方法書のところにこういうことを書きなさいよということが書いてありまして、上の表の真ん中の記載事項でございますが、当然保険料とか責任準備金の計算方法が書いてありますが、○の2つ目、網かけになっている部分でございます。ここをちょっと読み上げますと、「返戻金の額その他の被保険者のために積み立てるべき額を基礎として計算した金額」いわゆる契約者価額の「計算の方法及びその基礎に関する事項」これを書きなさいよというふうに定めております。

それで、審査はどうなっているのかというところを右のほうに書いておりまして、基本的には保険業法5条1項4号の、先ほどご紹介したいわゆる合理的かつ妥当、不当に差別的な扱いじゃないかどうかということでございますが、この返戻金に関しまして特に12条1号に掲げておりますように、契約者価額の計算が、保険契約者にとって不当に不利益なものでないかということを見ているということでございます。

これをさらにトーンダウンいたしまして、下のほうに監督指針の留意点として定めているものがございますが、保険料それから予定発生率云々とございますが、一番下に「監督指針 V -5-3 契約者価額」というところがございます。ここに書いておりますが、若干また読み上げさせていただきますが、「解約返戻金については、支出した事業費及び投資上の損失、保険設計上の仕組み等に照らし、合理的かつ妥当に設定し、保険契約者にとって不当に不利益なものとなっていないか。」ということが留意点とされております。

若干補足いたしますと、解約返戻金については、支出した事業費、これはまさに一般商品における事業費の支出ということの部分でございますが、いわゆる解約控除額の算式が適当なものかどうか。それから投資上の損失というのは、若干テクニカルなんですけれども、マーケット・バリュー・アジャストメントを組み入れた商品、いわゆる解約返戻金が市場金利の価格の変動でもって変わるという仕組みの商品でございますが、これは変動によっては損失を被る、いわゆる払い込んだ保険料よりも下がるということもあり得るわけでございますので、そういう投資上の損失の観点、いわゆる指標金利が適正なものかどうか。それから金利調整というのが計算方法が適正かどうかという観点を見ているということでございます。

それから、3つ目の「保険設計上の仕組み等」と書いているのは、先ほどもご紹介がありましたが、解約返戻金は全くありませんよとか、若干通常の商品よりも少ないですよ、いわゆるまさに解約返戻金を、返し方を設計上に組み込んでいるもの、さっき言ったように無解約返戻金型商品とか低解約返戻金型商品、そういったものの商品についての話でございますが、その際は予定解約率とか解約返戻金の削減率とかを見ている。まさにそこから生じるファンドが適正にそういった保険料に反映されているのかどうかという観点を見ているということでございます。こういった形の基準になっております。

それで先ほどご紹介頂きました昨年1月の報告書にあります当審議会の議論、いわゆる解約時にはペナルティーを課さない、含めないということを明確にすべきじゃないかという観点を踏まえまして、基準には明確にしてはいないのですが、実際の審査に当たりましては、この算方書に記載された計算式において解約控除がまさに新契約のこれの範囲なのかどうか、いわゆる新契約の未回収の部分の範囲なのかどうかというふうな仕組みなっているかどうかを確認している。まさにペナルティーを控除してないということを審査上は実態的には行っているというのが現状でございます。

次に、3ページ目でございます。ではその解約返戻金の開示について審査上はどう見ているのかということでございます。

先ほどご紹介ありましたので簡単になりますが、これは事業方法書に記載することになっております。そこの「法令上の審査基準」というところの下のほうに、先ほどもご紹介ありましたが、規則11条3号におきまして、「保険契約の解約による返戻金の開示方法が、保険契約者等の保護に欠けるおそれのない適正なものであり、かつ、明瞭に定められていること」というふうに書いております。

これを具体的に監督指針で留意事項として挙げているのが3つほどあるわけでございますが、その中の真ん中に「解約返戻金の開示方法」というものがございます。また読み上げさせてもらいますと「解約返戻金については、例えば、金額を保険証券等に表示する、計算方法等を約款等に掲載するなど、保険契約者等に明瞭に開示するための措置を講じているか。」それから、その下に書いています監督指針におきましては、具体的に契約概要、それから注意喚起情報の中で解約返戻金のことをちゃんと書いているかどうかということを定めているわけでございます。そういう意味では、審査上といたしましては事方書の中にこういった保険商品の開示の仕方、仕組み、建てつけがしっかりなっているか、仕組みを書いているかどうかという点を審査しているというところにあるわけでございます。

先ほどと重複して申しわけないのですけれども、実際解約返戻金の開示の実態はどうなっているかなということを、若干繰り返しになりますが整理いたしますと、いわゆる事前の開示という面では、先ほどの3ページの一番下にありますように、契約概要とか注意喚起情報という点のところに書いてあるわけなんでございます。そこの中で解約返戻金の有無を重要事項説明書に記載して契約者に説明するというふうになっているわけではございますが、解約返戻金そのものを書いているかというと、そこまでは求めたものになってないというところがあるというところでございます。

それから、先ほど説明した2つ目の解約返戻金の開示方法の中で保険証券に表示するというふうに書いていますとおり、実際契約した後、保険証券に解約返戻金が記載されているわけでございますが、その開示の内容というものが、いわゆる解約控除後の解約返戻金そのものでございまして、何が控除されて、何が返還されるのかといったところまでは書いてないというような記載のされ方になっているというのが現状の開示の実態でございます。こういったところが今ご議論になっている点なのかなと思っております。

以上が解約返戻金の審査の全体でございますが、こういった観点を現在我々商品室がアクチュアリーの資格を有する2人の保険数理専門官と、それから損保の関係でございますが、業務に精通した業務専門官の2人、4名を含めた13名で審査を行っているということでございます。

以上でございます。

○山下WG座長

ありがとうございました。

それでは、最後に、日本アクチュアリー会会員の上田参考人からご説明をお願いいたします。

○上田参考人

おはようございます。上田と申します。本日はよろしくお願いいたします。資料は52-3をご覧ください。

本日は「日本における生命保険契約の解約返戻金について」ということで、アクチュアリーの視点からお話をさせて頂ければというふうに思っております。

本題に入る前に、アクチュアリーというものについて簡単にご紹介をさせて頂きたいと思います。

アクチュアリーと言われますのは、確率・統計などの手法を用いまして不確定な事象を扱う数理の専門家と言われております。確率・統計学などの数理的手法を活用いたしまして、主に保険や年金に係る諸問題、価格設定や、最近ではリスク管理とかも含めておりますけれども、その辺の諸問題を解決いたしまして、財政の健全性の確保とか制度の公正な運営に努めていくということを主な業務としております。国際的な専門職として広く海外でも知られております。

日本アクチュアリー会は日本におけるアクチュアリーの専門団体なんですけれども、現在のところ約1,200名の正会員がいるというような状況でございまして、生命保険のほか、損害保険、それから年金分野等で業務に従事しているというようなことでございます。

それでは、本題の解約返戻金についてお話をさせて頂きます。資料を1枚おめくり頂きまして目次をご覧ください。

本日予定しておりますご説明内容でございますけれども、まず初めに「解約返戻金の設定について」ということで、アクチュアリーとして解約返戻金を設定していくときにどのような点に気をつけていくべきかというような、まずは教科書的なところを書いてございます。

その次に「伝統的商品」いわゆる養老保険ですとか終身保険をここでは指してございますけれども、それの解約返戻金について、具体的な解約返戻金算定に対する基本的な考え方というものをご説明いたします。ただ、先ほどもお話がありましたが、解約返戻金、これは価格の一種でございますので、どうしても保険数理の専門的な知識を必要としてまいりますので、若干そこの辺の必要最低限のご説明も今日は織り交ぜさせて頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。なるべく平易にご説明するつもりではございます。

その項目といたしまして、1つ目に(2)といたしまして基本となります保険料、それから保険料に基づく(3)といたしまして保険料積立金、それから(4)といたしまして解約返戻金というような流れで、まずは伝統的な商品についてご説明をする予定でございます。

3番目でございますが、最近のお客様ニーズに沿って、養老保険とか、終身保険と若干違った形の商品が発売されてきている。先ほどもございましたが、低解約返戻金もしくは無解約返戻金型の商品、それから解約返戻金を算定する際にMVAなどが考慮されておりますいわゆる市場金利連動型の商品、これらの2つの代表例につきまして、アクチュアリーとしてどのような視点で解約返戻金を、もしくは保険料を設定しているのかというのをご説明しようと思っております。

それでは1枚おめくりください。「はじめに」ということで「(1)解約返戻金の設定について」、さらにもう1枚おめくりください。

まず、解約返戻金の一般的な説明ということで、いろいろな定義の仕方があるとは思いますが、本日は法律面の解釈というよりも、生命保険業界の中で、いわゆる新入社員とか営業職員の方に教育するときに一般的に使用しているものをここで書かせていただいております。生命保険協会の出版しております本の中に「生命保険計理」という本がございますが、そこから抜粋をしてございます。「契約者が保険期間の途中で保険契約を解約した時に、保険会社から契約者に支払うことを約束している金額」というふうにあります。

この解約返戻金の設定に際しましては、保険数理の知識が必要ということで、アクチュアリーが大きく関与しているわけでございますけれども、そのアクチュアリーが解約返戻金の設定のときに留意すべき主な点ということで、2点まず挙げさせて頂いております。1つが財務の健全性、もう1つが契約者間の公平性ということでございます。

まず財務の健全性でございますが、これはご案内のとおり、会社、いわゆる保険群団としての必要なソルベンシーが確保できる仕組み・水準とすることが必要です。2点目、契約者間の公平性、契約者間というのはいろいろな考え方があろうかと思いますけれども、契約者保護の観点から、解約者に対して適切に還元できる仕組み・水準であることというような、思想的な部分でございますが、この2点がまずは留意すべき主な点ということでございます。

これをもとに実務的には、先ほどご当局からご説明のございました解約返戻金に関します法令、監督指針などに則り、さらに商品特性、商品の仕組み、それから生命保険契約の長期性、これらも勘案した上で価格を設定しているということでございます。

次のページをお願いいたします。解約返戻金を設定する上で具体的に留意している点を記載してございます。

まず1点目、これは新契約費の回収ということでございます。これは伝統的な商品を初めといたしまして、ほとんどの生命保険商品に共通する、いわば最も重要な事項と個人的には認識してございます。右側の図をご覧いただきまして、生命保険契約というものは、契約当初に新契約費がかかりますけれども、それをその後の保険期間にわたる、正確に申しますと保険料払込期間にわたってその収入保険料で回収していくという収支構造になってございます。したがいまして、その回収を終える前にご契約がご解約されると、新契約費について未回収の残高が残ってしまうというような状況になります。この未回収の残高を踏まえた解約返戻金の設定が必要であるということでございます。平たく言えば、いわゆる解約控除をどう設定するかというようなところかと思います。

2点目でございますが、これは最近の商品に多いわけですけれども、投資上の不利益の回避ということで、市場金利連動型の商品、MVAの仕組みの主要因でございますけれども、解約返戻金支払いのための資産換金化に伴う損失、それから事前に流動性を高めておくことによる資産運用利回りの低下を防ぐというような意味合いの部分でございます。

そのほかに、逆選択の防止などというのもアクチュアリー会の教科書などには事例として載っておりますが、個人的にはこの辺が定量化されて具体的な形で解約控除の中に入っているという事例は今のところないなというふうに思っております。内容といたしましては、健康者の解約による死亡リスクの濃縮、これは死亡保険の場合ですけれども、何らかの理由で健康に自信のある方がたくさん一気に抜けていきますと、お残りになられた方たちの死亡リスクが非常に濃縮してしまうということでございます。ご契約者様の選択的な解約によりまして、残存群団の収支が悪化する、この辺を留意して解約返戻金を設定していくという考え方も定性的にはあるということでございます。

次のページでございます。次のページからは伝統的な商品についてのご説明でございます。

もう1枚おめくり頂きまして3ページ目をごらんください。

まず、解約返戻金を算定する上で基本的な考え方、伝統的な商品ということでお聞きして頂ければと思いますが、これも生命保険協会から出ております「生命保険計理」という本から抜粋してきたものでございますが、「払い込まれる保険料から、年々の保険金の支払いおよび契約の締結・維持に必要な諸経費を差し引いた残額として、個々の契約について予め定められた金額」というふうに記載されてございます。

ここで1つご留意いただきたいところは、最後の「予め定められた金額」というところでございます。年々の払い込まれる保険料、それから保険金の支払い、諸経費を差し引いた残額というところを読みますと、あたかも実際の収支残高というようなイメージでとらえられる方もいらっしゃるかと思いますが、ここはあくまでもご契約の時点もしくは保険料率を設定した時点で予め定められた収支残高ということでございます。この辺についてこの後詳しく説明をしていくつもりでございますが、その下の四角のところでございますけれども、この言葉を保険数理的にどうなのかといいますと、実は解約時の営業保険料ベースの保険料積立金を基準とするというふうに言い換えることができます。

ここで申し上げました営業保険料ベースの保険料積立金というのは、保険料計算基礎、いわゆる予定死亡率、予定利率、予定事業費率とございますけれども、これらを用いて計算した契約時に予定されたベースの収支残高ということでございます。

なお、本日この資料では営業保険料ベースの保険料積立金という言葉を使わせて頂いておりますが、これはちょっとイメージを持ちやすくして頂くために私が勝手につくった造語でございます。保険数理的には、正確にはチルメル式の積立金というような言葉が正確ではございます。

この解約返戻金の算定の考え方をご説明する上で、若干保険料とか保険料積立金の話を復習をさせて頂きたいと思いますので、次のページからは保険料などの説明をさせていただきたいと思います。4ページをご覧ください。

まず、いわゆる保険料といいますのは営業保険料のことを一般的には指します。営業保険料は純保険料と付加保険料から構成されているということでございます。上の四角の純保険料、これは保険金の支払いに充てる部分、それから付加保険料につきましては、保険事業を運営していくために必要な経費などに充てる部分ということでございます。

純保険料につきましては、これはまた後ほどご説明はいたしますけれども、算出する上では、保険料計算基礎として予定死亡率、予定利率などを使用しております。付加保険料につきましては、予定事業費率、予定死亡率、予定利率などを使用してございます。

ここで、付加保険料の中で何で予定死亡率が出てくるのですかというご質問がよくございますけれども、これは将来保険料、付加保険料で事業費部分に係る収支を相当させるという予測をしなければいけないわけでございますけれども、そのときに、ある保険群団で、じゃ何年後にどれぐらいの方が生存されているか、要は保険料負担をできる状態にあるのかというような予測をしなければいけませんので、予定死亡率というものが必要になってくるということでございます。この辺の仕組みはまた後ほどご説明をいたしたいと思いますが、ここでご理解いただきたいのは、付加保険料を決めるときには予定事業費率だけではないということを念頭に入れて頂ければというふうに思います。

次のページでございます。それでは、今お話させて頂きました保険料計算基礎についてでございますけれども、代表的なものといたしましては、ご案内のとおり予定死亡率、将来の死亡状況ですけれども、一般的には男女別、性別ですね。それから年齢別に設定をいたします。それから予定利率、これは将来の運用利回りということでございます。それから予定事業費率、将来の事業運営経費の見積もり、予定ということでございます。

この予定事業費率はさらに大きく分けて2つに分かれてございます。新契約時に契約の締結・成立に必要な分といたしまして予定新契約費率、それからご契約頂いた契約を保険期間を通じて維持管理していくために必要な予定維持費率というものがございます。

それでは、この保険料計算が必要な理由ということでございますけれども、生命保険契約というものは長期間にわたりますので、この保険料を算定する際には将来の死亡状況、運用利回り、それから事業運営経費というものをある程度前提を置いて計算する必要があるということで、これらについて過去の経験値などに基づいて、保険料計算基礎としてまずは設定する必要がある、それに基づいて保険料を計算していくという順番になっているということでございます。

6ページをご覧ください。それでは、保険料が実際にどのように計算されているかということでございます。純保険料の例でまずご説明をいたします。

そこの絵をご覧頂きまして、純保険料を計算するには、まず将来の保険料の収入がどれぐらい見込まれるかというものを見積もる必要があります。一方で、これは下の箱の中ですけれども、生命保険契約の本来の使命であります死亡保険金とか満期保険金、将来の保険金の支払いがどのように予定できるかというものを計算する必要がございます。

上の箱でいきますと、予定死亡率を使いまして、まず将来的にどれぐらいの生存される方がいらっしゃるか、算式でいきますと1-予定死亡率ということになろうかと思いますけれども、その方たちの予測をする。一方下のほう、支払保険金のほうにつきましては、予定死亡率を使いまして将来の死亡者数、それから満期まで生存される方の人数を予測して保険金の額を想定します。毎年の純保険料負担可能者数及び保険金の支払金額の予測値を予定利率で現在価値に割り戻しをしている。これが純保険料の現価、それから支払保険金の現価ということでございますが、この2つの箱が等しくなるように、収支相当するように純保険料を計算しているという仕掛けになってございます。

次のページでございます。7ページ目でございますが、付加保険料につきましても基本的に純保険料と考え方は同じでございます。ただし、先ほど申し上げましたように、保険料計算基礎の中に予定事業費率という新しい項目、これが入ってくるということでございます。それで予測される経費の支出と収支相当するように付加保険料を設定をしているということでございます。

同じく営業保険料につきましても、予定死亡率、予定事業費率、予定利率の計算基礎を使って予測される保険金支払い及び諸経費の支出、それと収支相当するように営業保険料を計算するということでございます。

この保険料を計算するのですが、保険契約というものは長期間にわたりますから、保険期間を通じてご契約者の保険料負担を平準化する必要がある。これが仮に1年単位の保険料を計算いたしますと、そこの絵にあるように、年齢が進むにつれて当然その死亡率も高くなっていきますので、予定死亡率も高くなっていきますので、保険料も高くなっていく。こうしますと、長期間にわたるご契約の継続が非常にご負担がかかるということで、保険期間にわたって保険料を平準化しているということをやってございます。

ここまでが保険料の話でございますが、8ページからは、この保険料に基づく保険料積立金の話でございます。こちらもまず純保険料ベースでお話をいたします。

今ご説明いたしました平準保険料の、さらに純保険料のうち右側の絵をご覧頂きまして、年齢の若いところ、グラフの左側のほうにつきましては、平準保険料のほうが自然保険料を上回ってございます。ここの期間につきましては超過分というものが出てきますので、これを実は保険料積立金として予め積み立てておく。年齢が進むにつれて自然保険料が今度は平準保険料を上回るということになります。この状態になったときに今まで積み立ててきました保険料積立金を取り崩して保険金の支払いの原資にしていく。そういうことによりまして保険期間の保険金のお支払いを全うするというような仕組みになってございます。このような保険料積立金を純保険料ベースの保険料積立金というふうに申しております。

実際にどのように計算をしているかということでございますけれども、下の四角のところでございますが、予定死亡率、予定利率を使いまして、計算日までの純保険料収入の元利合計、そこからその計算日までの支払保険金の元利合計、これを引いたものが純保険料ベースの保険料積立金というふうに計算をすることができます。

次のページでございます。それでは、営業保険料ベースで見るとどういうことかというお話でございます。

営業保険料ベースの保険料積立金でございますが、考え方といたしましては、今ご説明申し上げました純保険料ベースの保険料積立金に付加保険料部分の累計収支を反映させるということでございます。これはページが戻りますが、2ページ目のところで、新契約費の回収のところで生命保険契約の長期性に基づいて未回収残高というものが発生するものがありますというお話をさせていただきましたけれども、ここに関連しております。

9ページに戻っていただきまして、9ページの下の絵をご覧頂きまして、新契約に係る収支ということでございますが、左側の絵でございますけれども、単年度ベースで見ますと、契約した初年度のときに予定される新契約費の支出というものがありますけれども、一方で付加保険料につきましては、これは平準化をして保険期間にわたって回収をしていくということでございますので、累計いたしますと右側にあるようなマイナスの累計収支というものが残ってしまうということになります。営業保険料ベースの保険料積立金は、先ほどの純保険料ベースの保険料積立金にこの予定される新契約費の未回収分相当額を加えてあげるというイメージになります。

10ページでございますけれども、具体的には、営業保険料ベースの保険料積立金の計算につきましては純保険料ベースと同じで、保険料計算基礎、この場合は予定事業費率も入ってきますけれども、これで計算をいたします。計算式は先ほどと同様でございまして、計算日までの営業保険料収入の元利合計、そこから支払保険金・経費の元利合計を引き算をして出すということでございます。

ここで最初の解約返戻金算定の基本的な考え方というのをちょっと振り返って頂きまして、「生命保険計理」という本に載っていたという部分でございますけれども、払い込まれる保険料から年々の保険金の支払い及び契約の締結・維持に必要な諸経費を差し引いた残額というふうに記載がございましたけれども、まさに上の算式はここの部分をあらわしているということでございます。

したがいまして、営業保険料ベースの保険料積立金というものは、解約返戻金の最低水準として考えられるベースであるということが申し上げられると思います。

11ページをご覧ください。営業保険料ベースと純保険料ベースの保険料積立金の水準ということで、30年満期養老保険の例でそこに示してございます。点線であります純保険料ベースというのは、これは純保険料だけの収支でございますので、30年かけて満期保険金のお支払いに向けたカーブ、スタートは0からスタートして右上がりに上がっていくということでございます。

一方、営業保険料ベースの保険料積立金のカーブは、繰り返しになりますが、最初の契約当初の新契約費の未回収分というものを平準的な30年間にわたる保険料払込によって賄っていかなければいけませんので、その分マイナスからスタートをして30年後に追いつくということでございます。どちらにしろ、30年後の満期保険金のお支払い、それからその途中の死亡保険金の支払いには影響を来たさないということでございます。この2つの保険料ベースの積立水準にはこのような差があるということでございます。

さらに、もう1ページおめくりいただきまして、12ページでございます。ここからは解約返戻金のお話をさせて頂きます。

それでは、現行の一般的な解約返戻金はどうなっているか。算式的には、解約返戻金は保険料積立金、これは明示はされておりませんけれども、純保険料ベースの保険料積立金ということでございます。そこから経過年数に応じました予定新契約費の一部を引き算をする、この部分がいわゆる解約控除と言われている部分でございます。

グラフであらわしますと、前ページと同じような図でございますけれども、一番上の線が純保険料ベースでの保険料積立金、これをA、それから一般的な解約返戻金、この上の算式で求められるものをグラフに織り込みますとBの線、それから営業保険料ベースの保険料積立金というものがCというふうになってございます。いわゆる解約控除につきましては10年間かかってございますので、そこのところを若干拡大して出したものが左の絵でございます。

左の図のところをご覧頂きまして、これはちょっと線が平行線になっていますけれども、ちょっとわかりやすいようにこれは平行線にしてありますが、A、B、Cという水準間がございまして、AとCというのが、つまり純保険料と営業保険料ベースでの差が新契約費の未回収分に該当するものでございます。これが保険数理面で見た、理論的に見たものでございます。

一方、実務では、AとBというのがいわゆる解約控除、AとBの差がいわゆる解約控除と言われている部分でございます。

これをご覧頂きますと、今の解約控除と言われている部分というものは、実は未回収の新契約費の範囲内で設定をされているということがご覧いただけるかというふうに思います。算式の成り立ち上、解約控除という何かある絶対値があって、そこから控除されているというような感覚を持ちますが、実は解約返戻金の水準Bを見て頂きますと、保険数理面での理論値である最低基準、そこよりは水準としては上にあるというところをご理解頂ければというふうに思います。

次のページ、13ページでございます。今の繰り返しになりますが、営業保険料ベースの保険料積立金に比べて解約返戻金というものは次の点で異なっています。新契約費の未回収分の一部、これを純保険料ベースの保険料積立金から差し引いている。またその期間は10年間を最長としている。このような理由がございまして、現行の一般的な計算方法による解約返戻金の水準、これは保険数理面から見た理論値であります営業保険料ベースの保険料積立金、これを上回っています。この2点の理由により実は上回っているのですということでございます。

もう1ページ、14ページをご覧頂きまして、それでは、過去どうだったかということで、養老保険の解約返戻金の変遷というものをそこに記載をしてございます。

真ん中の表と、下に今の解約返戻金の算式を載せてございますが、表の中の保険料積立金というところが、算式でいいます真ん中のところですね、純保険料ベースの保険料積立金、ここと対応して見てください。

昭和44年以降は、ここにつきましては純保険料ベースのものでずっと来ている。グラフを思い出していただきますと、解約返戻金を算定する元の水準が一番高い水準から計算をしているということでございます。

表の中の2番目、解約控除というところでございますが、これは算式の一番右側のところ、経過年数に応じた予定新契約費の一部、いわゆる解約控除というところでございます。ここを、昭和44年を100としたときに、平成7年の状況では55ということで、その解約控除として差し引いている金額自体がおおむね半分の水準まで来ている。段階的に引き下げてきているというような経緯がございます。この辺は解約契約をなるべく減少させたい、それからそもそもその事業費を圧縮、この辺が生命保険会社が努力をしてきて、解約返戻金の水準を高めてきた。解約控除を低くするということは解約返戻金の水準を高めてきたということでございます。そのような努力を行ってきたということが考えられます。

ここまでが伝統的商品の解約返戻金の話でございますけれども、資料にはございませんけれども、大きく3点ポイントがあるかと思います。1つは、保険数理的には解約返戻金というものは営業保険料ベースの保険料積立金を最低水準として考えられる。2点目、実際に現行の解約返戻金はこれを上回る水準ということで、歴史的にも段階的に水準を引き上げてきている。それから3番目といたしましては、その差し引いている金額、いわゆる解約控除と呼ばれている部分についてですが、そこの水準は純保険料ベースの保険料積立金と解約返戻金の差ということですが、これはいわゆる生命保険契約の特徴である契約初期の、新契約費の未回収部分の一部ということになっておりますので、あえて言えばペナルティーというような合理的な説明がつかない部分の控除というものは入っていないというふうに考えてございます。

では、次のページでございます。ここからは「最近の個人保険商品の解約返戻金」ということで、低解約返戻金型商品と市場金利変動型商品の2つをご説明をしたいと思います。15ページをご覧ください。

まず、まず低(無)解約返戻金型商品でございますけれども、これは解約返戻金の額よりも日常の保険料、これが安くなるということを重視するお客様のニーズに対応してでき上がってきた商品であるというふうに認識をしてございます。

そこの図は終身保険の例で書いてございますけれども、伝統的終身保険の解約返戻金の水準と、それから低解約返戻金型の解約返戻金の水準を並べて書いております。保険料払込期間中、ここでいいますと低解約返戻金期間とありますけれども、そこの間、いわゆる伝統的な終身保険よりも水準を引き下げているということでございます。

16ページをご覧ください。解約返戻金を、例えば伝統的終身保険の70%に設定するといたしますと、実はその解約返戻金を引き下げた分というのは保険料の低廉化、保険料が安くなるという効果をもたらします。実務的には保険料計算書に、伝統的商品と違いまして予定解約率というものを1つ新たに設定をしてあげるということでございます。

「価格設定のイメージ」ということで書いてございますが、左側に解約返戻金、これは引き下げとありますけれども、比較しているのは伝統的商品の解約返戻金に比べて引き下げをしているということでございますけれども、下げます。この引き下げた分にいわゆる予定解約率というものを掛けてあげますと、実はそこの保険料の引き下げ部分に影響してくる、効果が出てくるということでございます。

実際に試算をいたしますと、下の表にございますけれども、伝統的商品、これの解約返戻金水準を100、試算した低解約返戻金型70、要は7割水準にしたとき、予定解約率、伝統的商品についてはこれは使用しておりません。低解約返戻金型については予定解約率を入れます。今の試算ではこれを3%と置いております。そういたしますと、保険料率が、伝統的商品100に比べて、低解約返戻金型は92%、8%程度の引き下げ効果が出てくるということでございます。

したがいまして、前のページで申し上げましたが、生命保険契約というのは長期間にわたりますので、将来不測の資金ニーズとか、そういうのに備えてある程度解約返戻金を確保しておきたい、将来資金繰りといいますか、それに困ったときにその資金を調達できる準備として生命保険契約にご加入される方もいらっしゃると思うのですが、そういうことよりも、足元の保険料が安いほうがいいというお客様のニーズに対応しているということでございます。

17ページでございます。この低解約返戻金型商品の保険料、それから保険料積立金、解約返戻金、この算定フローをイメージとして書いております。左半分が低(無)解約返戻金型、右側が伝統的商品ということでございます。

まずは右側の伝統的商品をご覧ください。伝統的商品は、これはご案内のとおり、まず保険金というものが計算の前提としてございます。保険金例えば1,000万当たりの保険料をどう求めるかということでございます。その計算に当たりましては、予定死亡率等を用いるわけでございます。将来の保険金の支払いに係る収支が相当するように計算を行いまして、保険料が決まり、保険料が決まればそれに基づく保険料積立金が決まり、さらに保険料積立金に基づく解約返戻金が決まる。保険料積立金に、いわゆる解約控除を決めれば解約返戻金が決まってくるというようなものが今までの伝統的な商品の算定フローでございます。

一方、低(無)解約返戻金型につきましてはこの前提が結構異なっておりまして、まずは計算の前提として解約返戻金の水準、要は解約返戻金額を前提に持ってくる。保険金のほかに、お支払いする金額として解約返戻金というものを持ってきます。先ほどからご説明した例でいきますと、例えばこれは伝統的商品の7割水準にしましょうというのをまず決めにいきます。これに基づきまして、計算基礎で予定死亡率、これは伝統的商品と同じですね。そこに予定解約率というものを使いまして、将来の保険金と解約返戻金の支払いに係る収支相当、これが収支相当するような計算を行いまして保険料を決めにいくということでございます。それで、計算結果として出てきたこの保険料は、一般的には伝統的商品よりも低い保険料が出てくるということでございます。この保険料に基づきまして、これも伝統的商品と同じですが、保険料積立金というものが決まってくるということでございます。

先ほど伝統的商品のところでご説明いたしましたけれども、いわゆる解約控除というものが保険料積立金と、それから解約返戻金の差であるという見方をいたしますと、伝統的商品のほうは計算結果の間の中でその解約控除がある。むしろその解約控除を決めて解約返戻金を決めにいっているということでございますけれども、低(無)解約返戻金型の場合は、解約返戻金はその計算の前提のほうに乗っておりますので、この保険料積立金と解約返戻金の差である、伝統的商品で言えば解約控除という部分ですけれども、そこは結果的に決まってくるというような算定フローになります。繰り返しになりますけれども、それはなぜかといいますと、伝統的商品と違って、解約返戻金の水準を計算の前提に置いているからということでございます。

それで、今申し上げたことでございますけれども、下の四角でございますが、このような算定フローになってございますので、保険料積立金と解約返戻金の差、いわゆる解約控除と言われていた分については、予定解約率などの保険料計算基礎に基づいて、保険数理的には合理的に算定がされているというようなことでございます。

次、18ページでございます。これは市場金利連動型商品ということで、2つ目の商品のご説明でございます。これにつきましては、貯蓄性商品、一般的には一時払いの個人年金等でございますけれども、貯蓄効率、運用効率面でお客様のニーズに対応した商品ということでございます。

保険料計算基礎である予定利率について、契約時の市場金利により近い水準が設定できるよう、保険料を保険期間とほぼ同一の債券でマッチング運用することを前提とした商品というのが代表例でございます。

伝統的な商品の予定利率というものは、保険期間が非常に長期にわたるということで、その期間予定利率を保障しなければいけないということもございますので、予定利率は当然その足元の金利水準をもとに算定していくというのが一般的だと思いますけれども、将来の変動を予測してやはり保守的に設定をしなければいけないというのがございます。それは最初の留意しなければいけない健全性というところに基づいてそのような設定をしなければいけないということがございますが、この商品につきましては、そこのところを工夫いたしまして、解約返戻金の1つの仕組みを、例えばMVAとかと言われているものを入れまして、一般的な伝統的商品よりも予定利率を高めに設定できる。ここでいいますと市場金利により近い水準で設定することが可能になっているということでございます。

契約時と解約時の金利状況の差異による債券、この売却損益というものを、保険種類の特性に応じて解約返戻金に反映をさせていくという必要があるということでございます。そこは入れ方については、保険種類のバリエーションに応じて若干いろんなやり方があろうかとは思います。

19ページでございます。ここは今申し上げた話を図示しております。上のほうが保険契約でございます。一時払保険料をいただきまして、年金原資に向けて運用していくわけでございますけれども、その間の解約返戻金を資産の価格に連動して計算をしていく。一方で下のほうは、一時払保険料をもとに、例えば対応する債券を購入するということで、その債券の価格がこのように動く。これは市場金利により異なりますけれども、右側に書いてございますが、市場金利が契約時点よりも高くなれば債券価格は下がりますし、低くなれば債券価格は上がるということでございますので、この債券の価格変動を解約返戻金に商品特性に応じて反映させていくというような仕組みでございます。

したがいまして、ご当局からご説明ございましたが、契約時に将来の解約返戻金額を約定するということはできない商品、解約返戻金の算定の仕方は約定といいますか、お約束できるのですけれども、額は期中の金利の状況によって変わってくるというようなものでございます。そこが伝統的商品と異なるところでございます。

次のページ、20ページをご覧ください。では市場金利連動型商品、これについてどのように計算されていくかというフロー図を書いてございます。計算の前提といたしましては保険金、年金原資ということでございます。今申し上げましたように、解約返戻金自体は計算の前提にはできませんが、解約返戻金の仕組みというものは、点線になっていますけれども、前提としている。これに基づいて予定利率が設定され、収支相当するように計算した結果、保険料があり積立金があり、解約返戻金があるというようなことでございます。

したがいまして、保険料積立金と解約返戻金の差の部分につきましては、やはり保険料計算基礎に連動をして、合理的に保険数理的な算定をされているというふうに考えてございます。

21ページでございます。最後でございますけれども、「商品の多様化に対する保険数理面での考え方」ということでございますけれども、商品多様化に伴って解約返戻金や解約控除のあり方について、それぞれの商品特性や商品の仕組みに応じて適宜適切に考えていく必要があるというふうに思っております。

アクチュアリーといたしましては、これらの新たな商品タイプについても、冒頭に申し上げました健全性、それから公平性、この確保を前提に保険料や保険料積立金、これとの相互関係を考慮して、解約返戻金についても保険数理上合理的な価格設計をしていく必要があるというふうに考えております。

現時点で解約返戻金については、新契約費の回収のほかに、投資上不利益の回避、定性的ではございますが、逆選択の防止など、総合的に勘案して適正な設定がなされており、お客様ニーズにも対応してきているのではないかというふうに考えてございます。

以上でございます。どうもありがとうございました。

○山下WG座長

どうもありがとうございます。

それでは、ただいままでのご説明につきましてご質問、ご意見を頂きたいと思います。川本委員どうぞ。

○川本委員

すみません、ちょっと出なければいけないので最初に発言させて頂きます。

わかりやすいご説明、本当にどうもありがとうございました。上田さんに3点ほど非常に基本的なことを確認させて頂きたいのですけれども、2ページ目で新契約費用を賄うための保険料という形で出てくるのですけれども、これは現在のやり方をしたときの経費を前提に考えているということですね。ですからこの経費のところが半分になるとか、技術の進歩で10分の1になれば、それはそこのところに乗ってくるコストもそうなるということでよろしいということですね。

○上田参考人

おっしゃるとおりです。

○川本委員

それから、2つ目ですけれども、3ページ目に「予め定められた金額」という形で、あたかも客観的であるかのような、受身形で書いてあるのですけれども、これは生命保険業界で過去の経験値をもとにして予定しているということですので、現在の業界のプレーヤーの中では客観性だということですよね。ですから、ほかの人たちにとってみれば、これは予め定められたとは必ずしも言えない場合もあり得るということでしょうかという質問です。

それからあともう1つは、8ページ目で平準保険料というのがあるのですけれども、これを拝見すると、若い人から搾取して年齢の高い人への著しい補助金を出しているという図に見えるのですが、もちろん多少の平準は必要かもしれないのですけれども、これほどの平準をする必要はどういう形であるのかというのをお聞きしたいと思います。

○上田参考人

まず最初のほうでございますけれども、予め定められた金額というものについてどう考えられているかというご質問かと思いますけれども、そういう意味でございますと、アクチュアリーの任務といたしましては、その過去の経験値に基づきまして合理的な範囲でこの保険料基礎を定めていくというのが役目でございますので、そこはおっしゃられているような懸念はないというふうに私は考えてございます。

2点目でございますけれども、8ページの絵でございますが、ここはわかりやすいようにかなりデフォルメをして書いておるというところもございますけれども、今川本委員がおっしゃられました若い方から搾取をしてというお言葉がございましたが、搾取ということではなくて、こういう保険群団、個人個人ではなくて、保険のある集団をつくって、その中で相互扶助という形で料率を求めていくというのがまさに生命保険契約の仕組みそのものでありますので、その搾取という考え方は、ちょっと私の説明の仕方がよろしくなかったのかもしれませんけれども、当たらないというふうに思っております。

では、どういう群団でこれを切り分けていくかというところでございますが、それは個々の商品の内容に応じて、アクチュアリーも含め、その生命保険会社が考えていくということでございます。例えば、多少健康上問題があるというとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、今まではなかなか入りづらかった方たちも加入できるような範囲で保険群団を形成する場合と、昔やっていた伝統的なケースでどういうふうにつくるかというところでは、おのずと相互扶助の仕方が違ってくるというふうに考えてございます。

○山下WG座長

よろしいですか。

○川本委員

2番目の質問はアクチュアリーのお仕事ということではなくて、客観性が高いかという質問だったので、アクチュアリーのお仕事について私が何かコメントしたというわけではありませんので、そこは誤解のないようにして頂きたいと思います。死亡というのはある程度客観性があると思うのですけれども、運用とか事業費というのはかなり変動するものだろうなという印象を持ったということです。

○上田参考人

そこは、予定利率につきましても、過去の運用実績ですか、それを参考にして決めているということでございます。ただ最後の金利連動型の商品のように、商品特性に応じた過去の実績の取り方を工夫して予定利率を決めていくということでございます。予定事業費につきましては、これは会社の中で内部管理をして、その中で適切な価格を設定しているというふうに理解をしております。

○山下WG座長

いかがでしょうか。

では私から質問ですが、14ページに養老保険の解約返戻金の水準がこれまでどういうふうに変化してきたかということで、解約控除がだんだん縮小されているということ、これはもう、養老保険の解約返戻金ということになれば、すべての会社がこの基準で解約返戻金を算定しているのであって、本来事業費なんというのは各会社ごとに、例えば募集の手数料をどれだけ払うかというのは違うはずであって、先ほどのご説明であれば各社ごとにそういう計算基礎が事業費率という部分にもあるから、それをもとに解約返戻金を算定することになるのじゃないかと思うのですが、実際はこういう公的な規制がかかっておって、一種公定料金的なこういう計算方法になっている、そういう実態だというふうに理解してよろしいのですかね。

○上田参考人

規制というものがあったかどうかというのは、すみません、ちょっと私もわからないのですが、平成7年まではそのような形で運営をされていたというところが実態かと思いますが、平成8年以降はあえて記載をしておりませんけれども、料率の自由化というものも踏まえまして、業法改正を踏まえまして各社創意工夫をしているという実態であろうと認識しております。

○山下WG座長

やはり各社によって水準が違ってきているという、なかなか同じ商品というのがないかもしれないので比べにくい、まさにそこが問題だろうと思うのですが、実質を見ていくとそういう実態にあるという。

○上田参考人

はい。

○山下WG座長

この点あわせて及川さんのほうにも、この平成7年の後、こういった時期においては当局としては何かそのあたり監督的な基準を持っておられるのかというのは、そこらあたりいかがですか。

○及川保険商品室長

基準といいますのは、定性的な基準しかないわけでございまして、合理的妥当かというところがございますので、控除するものがまさに合理的な理由によるものであるかどうかは、その会社のいわゆる実績データ等々を持ってくるわけでございますけれども、それがまさに恣意的でなく、合理的なものであるかどうかという観点などなどを見ながら審査しているというのが実態でございます。そういう意味で各社ばらばらになっている状況になっております。

○山下WG座長

丹野委員どうぞ。

○丹野委員

解約返戻金について大変わかりやすいいご説明を、審査のほうの観点からもアクチュアリーの観点からもいただいて、大変勉強になりました。ちょっと今日のテーマと多少ずれてしまう、原理原則みたいなことも含めて2点ばかりお話をさせて頂きたいと思います。

1点は、保険法の審議の中で、何とかして解約返戻金というものを基本法で決めようという、非常に頑張ったのだけれどもできなかったという、そういう忸怩たる思いがあるのですね。保険契約者から見ると解約返戻金というのは、何かのときに解約をしたら戻ってくるお金という意味では非常にキャッシュバリュー的な価値がございます。基本法ではできなかった解約返戻金を業法で、何らかの形で手当てをすべきなのではないのかなと。例えば、どういうふうな文言にするかというのは全然私は素人でわかりませんけれども、中途解約をした場合、さっき生命保険協会のテキストではこうですよという「生命保険計理」というのが書いてありましたけれども、非常にこれはわかりやすい。こういうわかりやすいようなものを、中途解約した場合、保険契約者に返すべきものがあれば返すのだと。返すべきものは何だということが難しいというのはすぐわかるのですけれども、そういうことが書ければよろしいのではないかということを思っていまして、そういうことを書くことをぜひ挑んで頂けないかなというのが1点ございます。それが1点目でございます。

それから2点目は、今純保険料と付加保険料という、非常に素人にはわかりにくいものをとても噛み砕いて頂いてご説明していただいたのではありますが、契約者としては、いつも常に純保険料と付加保険料とまとめて払っているものですから、両方まとめて保険料なんですね。保険料については保険料を払って保険契約を続けていれば、いつか保険事故があれば戻ってくる、いわば保険金として戻ってくるのだという、私たちが預けたお金が戻ってくるのだという、非常に素朴なひもつき感みたいなものを持っていまして、そういうことからいうと、例えば純保険料は入りと出の数値の問題だから、テクニカルな問題であって、そこに何か恣意とか裁量の入る余地は本当はないのかもしれない。しかし保険料を払った者としては中途解約して解約返戻金として戻ってくる部分について非常にブラックボックス的なそういう印象をずっと持っている。

今日の説明でブラックボックスではないよというご説明だったのだろうと思うのですけれども、やはり一般の人はそういうイメージを非常に持っていて、では純保険料と付加保険料という形でいうと、例えば募集人が1社専属で売る時代は多分もうどんどん終わっていくのだろうというふうに考えたときに、この保険をどうやって勧められたみたいなことを考えていくときに、やはり付加保険料の開示とか、販売手数料の問題だとか、そういう今まで合理的に算出してきちんとやっているのだからあなたたち知らなくてもいいよといった世界に何らかの形で決別をすべきではないのかなということを考えているのですけれども、いかがでしょうか。

○上田参考人

私ですか。なかなか答えづらいご質問なんですけれども。ここはちょっとほかの方にご回答頂いたほうがよろしいかと。

○山下WG座長

当局……。

○及川保険商品室長

保険法の議論のときに大分ここら辺の部分は、何とか保険法に書けなければ業法にならないのかという、非常に議論があったことは聞いております。そのとき保険法の担当参事官のほうからご説明あったように、いろんなパターンといいますか、返し方はいろんなパターンがあるので、ある意味ではちょっと今の趣旨とは違うのですが、テクニカルな面で法文に書くのはどうかな、なかなか難しいなということで、最後はなかなか書けなかったというご説明があったように議事録を拝見いたしますと書いておりました。

ただ、今おっしゃったような、明らかに皆さんが合意されているペナルティーは、そういったものはちょっとおかしいよ、そういった解約控除をするのは3つくらいありますよとありましたけれども、まさにそういった新契約費、それから逆選択、それから投資損失がありますけれども、そういった面で、いわゆる理由がないものがそれ以外に入ってくるぞ、例えば逆選択の面でも、ある意味ではなかなか数値的には算定しづらい面があるかと思うのですけれども、何か統計的にでき得るのであれば、合理性が認められるのであればそれもまた審査上議論の余地があるのかなと思いますけれども、現在のところなかなかそういった申請もなく、また新契約の範囲であるということを数値的に当方のアクチュアリーが計算している実態にある。ですから書ける分につきましては、法律というか規則といいますか、そういう面で何かしら工夫する余地はあるのかなとは思っております。それが第1点目のところでございます。

第2点目のところですが、純保険料、付加保険料、まあ純保険料のところは先生おっしゃったように、まさにテクニカルな面がございまして、いわゆるどれだけ入ってきてどれだけ払ったかというところの結果でございまして、その収支が合わなければまた新商品の中でといいますか、商品の収支が悪ければそこは修正しながら、改正しながらやっていかなくちゃいけないということでございますから、終始見直しながら売っていくのが現状かなと思っております。

ただ付加保険料につきましては、まさに経営努力があります。また経営戦略があります。どういった広告をしてどういった売り方をしてというのがございますので、これは前にも説明したようでございますけれども、18年の4月から、これは審査は省略する、各社によっていろんな経営努力を促す観点から、各社で合理的な理由で算定してくださいという意味で、概括的に言いますとかなり自由度が高まっておりまして、最近いろんな本とかに書いてありますけれども、インターネット等々で募集しているところが2社ほどありますけれども、かなりそういった面を売り出しにして安く売っているというのも、ある意味では効果として出てきているのかなと思っております。

そういうようなご意見をいろいろ参考にしながらどんどんそういった経営努力の促されるような方向にはしていきたいなと思っておりますが、貴重なご意見として伺いたいと思っております。

○山下WG座長

隈部委員。

○隈部委員

私のほうから申し上げるのがいいのか、わからないのですけれども、規定化するレベルの話で言いますと、先ほど当局のほうからもご説明ございましたけれども、どのレベルでやるのがいいのかとか、どう既定化したらいいのか、いろいろ悩みどころはあると思っていて、また、技術的な難しさとか、そういうのもあるのかなというふうには思っています。

とは言いながら、確かにいろんな数理的な合理性とか、そういうところはきっちり確保していく必要はあると思ってはいますし、それはちゃんとやっているのだろうというふうに思っています。ただ、いろんなお客様のニーズに合わせた商品というのを開発し、それがお客様に受け入れられている現状がありますので、そういう商品開発の幅とか創意工夫というのは確保できるような形で、数理的な合理性を踏まえたものを考えていくということはあり得るのかなと。規定レベルについてはちょっと私、なかなか判断がつかないところでございます。

それから、先ほど付加保険料のことをおっしゃられておりまして、実際にかかる費用が個々の契約にひもついているというふうに、そういうイメージがされるということでありましたけれども、そこは、個々の契約ごとに実際にそのかかる費用というのをひもづけて算定しているのかというと、実態はそうではなくて、そこは実際にできないという実態があるのかなと。群団としての費用の支払い実態というのを踏まえながら、個々の契約にどう配賦して、配賦という言葉がいいのかわかりませんが、分担してもらう、それがちゃんと公平になっているかというような視点で恐らく決めているのだろうというふうに思います。

またあと、純保険料、付加保険料を見せていくということなのですが、付加保険料の見え方というのは、例えば平準の純保険料式であるとか、例えばチルメル式を採用することによって、その見え方自体が変わってしまうので、なかなかうまい統一した見せ方というのは技術的にはちょっと今のところ難しいのかなというふうには個人的に感じているところです。

以上です。

○山下WG座長

よろしいですか。

高橋委員。

○高橋二部会委員

私もご発言の他の委員と同じような考え方を持っております。ただ、ここでの討議も今後は合理的に、効率的に進むのだと思うのですけれども、現状を見ましたときに何かできることがないのかということもいろいろ考えるわけでございます。新保険業法施行の平成8年以降、各社各様の商品を金融庁さんがどういう審査をしていらしたのかというところにも私は関心を持っております。

先ほどのご説明によれば今は金融庁のアクチュアリーでしっかりやっていらっしゃるということでしたけれども、自前のアクチュアリーが入られるのが非常に遅かったということも、つまり体制整備が遅れたということもあって、8年以降出てきた新商品を見た場合に、やはり疑義があるものというのが私は幾つかございました。例えば外資の通販の新商品の解約控除が異常に高い。普通で見て全くわからないのですけれども、私は取材の立場から同様の保険を販売する各社に解約控除の資料を出してくださいと、いろいろ工夫して出してもらったら、2倍以上高かった。つまり途中で解約したら戻ってくる金額が少ない。無選択の終身保険で、つまりだれでも簡単に入れるけど、簡単に解約してしまうと大変なことになる商品だったにもかかわらず、そういうチェックがされてなくて、会社によってかなり差があったのですね。ですから、私はやはり、保険料の内訳を開示して頂くことが消費者にとって必要と思います。オーダーメードで高いけれども面倒見がどうなのかがわかったり、通販商品でも、おっしゃったようなネット商品はかなり開示していますのでよくわかるのですけれども、同じ通販でもテレビコマーシャルとか新聞広告をがんがんやっているものは付加保険料が非常に高くて、消費者にとって合理的なものではなくても、それがなかなか見えないという悩みがございます。

ですから、情報開示が大変重要だと思うのですけれども、金融庁さんの審査の中の基礎書類の3つ、事業方法書、普通保険約款、それから算方書、このうち普通保険約款は一般的に手に入るのですけれども、事業方法書と算出方法書の開示もしていただければ、契約者、消費者本人じゃなくても、中立性の高い専門家あるいは消費者保護の立場にある専門家からチェックを入れて頂くことも可能だというふうに思うのです。この辺の開示に関してはどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。

○山下WG座長

及川さんいかがですか。

○及川保険商品室長

非常にごもっともなご意見かと私は思っておりまして、体制整備が遅れたというところは、いろいろ当方としてもそういった必要性がありまして、専門的な者を保持して、今ある意味ではしっかりした体制をやっているつもりでございます。

それで、今の開示の話というところは、まさに先ほど簡単に現状のお話を申し上げたように、契約前の開示そのものは、ある意味では解約控除といいますか、解約返戻金がありますよ、ないですよという程度のものしかないので、そういう意味では十分でないなという感じは持っております。

では、契約成立後はどうかといいますと、証券のほうには書いておるわけでございますが、今ご指摘の、では何を引いているのか、どこを引いているのかというのがある意味では求めていないといいますか、今は結果しか書いておらないというところでは、その中身が広く皆さんにご理解頂けるものになってないなというところはございます。ただ、現状のルールの中では一応そこまで求めてないところもございまして、またここのところはもう少し議論しなくちゃいけないのですけれども、いわゆる各社の経営戦略的なものも若干ございまして、そこの部分をどういうふうな形で整理するかというところもちょっとあるのかなと思っております。

ただ、大きな方向性という意味では、そういった形の、天日にかけるといいますか、世間のほうに知らしめるというところは、ある意味では契約者保護を全うするといいますか、という意味では必要なことではないのかなというふうには感じております。

○高橋二部会委員

ありがとうございます。

データを見た者がわからなかったときに、ノーアクションレターのように当局にお尋ねができてお答え頂けるような仕組みも同時に整えて頂ければ、結果しか書いてないものに関しても第三者が見ていくことができると思いますので、ぜひその辺前進させて頂きたいと思います。

○山下WG座長

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、落合委員。

○落合第二部会委員

上田さんの保険料に対する説明、大変興味深く聞かせていただきました。

私は、当初、解約の返戻金についてはもっと安易に考えていたのですが、説明を聞いているうちに、保険料の決定方法が良く理解できました。この様なこと、契約者はあまり知らないで契約をしているのではないかという気がしました。

保険は非常に長期間の契約で、ある意味では非常に固定的なものになりますが、時代背景や生活環境が変わってきますと、いろいろな生活要因や保険ニーズが変わってくるのだと思います。その結果、保険の再契約や別の商品への変更が必要になる場合も発生することが予想されます。

このような場合、現在の既に加入している保険の解約金や保険料の実態が告知されると自分の生活状況と今の保険の返戻金を組み合わせたときに、新たな保険の選択権が広がるのではないかなと思いました。このことがお客さんに一番合った保険を選べるという面では、顧客保護につながって行くのではないかと考えます。

なお、現在の保険を解約するとこのくらいの返戻金が戻りますなどの情報は、定期的に、ホームページ上でも、可能ならば、個々に送ってあげればよいのではないかと考えます。契約者に開示してあげることは非常に重要なことであると感じました。

あと1つ、非常に基礎的な質問なのですが、死亡率というのは保険料算定の一番大きな要因でしょうが、時代とともに大きく変わってゆくと思われます。長い保険契約期間の中で当初の予定死亡率と途中で大きく変わってゆくときは、お客様にどのように還元をしているのか、ご説明していただきたいと思います。

○山下WG座長

上田参考人。

○上田参考人

予定死亡率の変遷ですが、一般的には死亡率は低くなってございますので、昔の保険はその分保険料率が高いという状況でございます。生命保険会社の場合は、私の今日のご説明の中で触れましたけれども、多少保守的に予め設定しているという部分がございますので、そこまで必要にならなかったという面も実際に出てきます。

したがいまして、生命保険会社の配当、これは配当というのは一般の株式会社の配当とは違いまして、保険料の事後精算という意味合いでございますけれども、そこで世代間の公平性を保っているというような考え方で進めてございます。

○落合第二部会委員

多分、利用者配当みたいなものになるのだろうと思いますが、それは基本的に解約するときまで、契約者に開示されないのですか。

○上田参考人

予定死亡率の……。

○落合第二部会委員

予定死亡率ではなくて、死亡率と予定死亡率の差異のことです。結局それは、契約者にはわからないのですね。

○上田参考人

そういう意味ですと、保険というのは群団を前提にしておりますので、ある意味のトータルで見なきゃいけないということでございますけれども、例えば基礎利益の中の三利源として、危険差の開示、これはもちろんすべての保険を含んではおりますけれども、そこの辺の死亡率の状況によってどういう損益が発生しているかということを開示している会社もあります。

○落合第二部会委員

解りました。すべての保険会社ではなく一部の会社が既に開示しているのですね。ありがとうございます。

○山下WG座長

ほかにいかがですか。隈部委員。

○隈部委員

今、保険料の決め方がちょっとわからないというお話がございました。上田さんがご説明頂いたように仕組みから、お客さまにご説明するのはなかなか難しいというのが実態としてあろうかと思います。一方で解約返戻金が今どうなっているのかとか、そういう情報をお客様にどういうふうにご理解頂くか、そういうところでは各社いろいろ工夫はしてきているところではあります。例えば、年1回、解約返戻金額がどうなっているのかというのを定例の通知の中に入れる会社が出てきたり、あるいはまずご契約頂く段階で、ご当局の資料にも出ておりましたが、設計書にこういう解約返戻金の変遷をたどるのだというようなものをご提示したりしております。

例えば弊社の、これはすべての会社ではなく、やり方はいろいろではありますが、例えばLAというような主力商品がございますけれども、その例で申しますと、まず毎年の保険料が幾らなのか、それから払い込みの累計の保険料が幾らになっているのか、経過年数ごとにそれらを出して、かつ累計の保険料の内訳が主契約部分のアカウントと特約で幾らになっているか、それから解約返戻金がそれぞれどうなっているか、それで、払い込みした保険料に対して解約返戻金が何%になっているかというようなあたりまで表示するようになっています。いかにお客様にご理解頂いてご加入頂くかというところには、各社非常に最近は工夫を凝らしているのだろうなというふうに思っております。

以上です。

○山下WG座長

深尾委員。

○深尾委員

この解約返戻金の問題を解決するためには、予定解約率を見込んだ商品を認めるか否かというところにさかのぼるのだろうと思います。つまり、解約した人が払い込んだ保険料を全部、一切戻ってこないということは、早く解約した人が損をして、長く続けている人を補助するといいう形の商品設計にしますと、解約返戻金は出せない、そもそも設計上出せなくなります。そうなってきますと、予定解約率、保険会社から見ればどの程度解約があるかという見通しをつけて、解約した人が損をして、長くやっている人が得するタイプの形にしつつ、長くやる人の保険料を下げられる。これを認めますと、本来その人がずっと続けて、そもそもこういう解約返戻金があるタイプの保険と比べると、保険料は高いのだけれども、そのほうがフェアといいますか、個々の人から見ると、途中でやめた人にも使わなかった分が戻ってくるという形でフェアな設計ができる。これに対して、解約返戻金がなくして、その結果予定解約率を設定して全体の保険料を下げますと、途中で例えば一時的に所得が少なくなって続けられなくなって解約した人に相当不利な形の設計になってしまう。

こういうタイプの保険を認めるか否かというのがポイントで、認めるという立場に立つと、解約返戻金がない保険があっても当然になる。これに対して、そういう保険はフェアでないので認めるべきでないという立場に立つと、解約返戻金は戻すものがあれば必ず戻せる、こういうことになります。

結局、これは平成7年だったかどうか、私も覚えてないのですが、そのころに考え方のシフトが起きたような気がしていまして、それまでは途中で解約することを余儀なくされた人が損をするようなタイプの保険はすべきでないという考え方で走って来たのが、それ以降はそういう保険もありだという形に変わってしまった。このために解約返戻金について、整理が、それまでとそれ以降の考え方で違っていて、すかっと切れないような気がしているわけです。

ですから、今回も解約返戻金についてしっかり議論するのであれば、まずそこにさかのぼって、つまり早期解約した人が損になるようなタイプの保険を認めるかどうかというのがポイントです。

現在の医療保険はほとんどが解約返戻金のない、長期の、終身の医療保険がたくさんあるわけですが、終身の医療保険は、若いうちに入ってずっと続けていきますと、若い間は医療費はあまりかかりませんのでずっと損をし続ける。長く続けていれば、本当に自分が年を取ったときにどんどん戻ってきますから回収できる。ただしこれは非常に超長期にわたりますので、その途中でやめてしまいますと、それまでの貯蓄相当分が没収されてしまって、それによって戻ってこない。ただ続けられる人はうんと有利になる。しかも、この解約率の想定は非常に難しいので、基礎率として死亡率なんかよりもよほど不安定なものですから、相当程度安全率を見込んだ低目の解約率を想定して、割引料も低目になっている。そのためにたくさん解約があると保険会社が相当利益が出てしまう。しかも配当はないという形の保険が生まれているわけです。このあたりが高橋さんのおっしゃった問題のある保険があったのではないかということじゃないかというふうに推察しております。

私は、低額の商品であれば、生涯の払込金額がそんなに大きくないものであれば、予定解約率を入れて保険料を下げたものというのはあり得ると思うのですが、ある程度以上の金額の払込額が多い商品については、私は途中で払えなくなった場合に全部没収されるというタイプの保険はフェアではないというふうに思っておりまして、何らかの規制を加えるということはあり得るのではないかと思います。

○山下WG座長

木下委員。

○木下委員

上田参考人のご報告の中でご質問なんですけれども、営業保険料ベースの保険料積立金ということをおっしゃって、これはチルメル式のことであるということですけれども、私の理解が少し誤っているのかもしれませんが、チルメル式がもともと考案された理由というのは、新しく設立された保険会社においては、その事業費を吸収する体力がないので、早期に前倒しで償却することが必要だということから考案された計算方法で、古くからずっと事業をされているような会社の商品でチルメル式というのは現在あまり採用されてないのではないかという認識を持っていた。そうだとすると、説明として私は少し、ううんそれでいいのかなという感じだったのですけれども、その点についてもう一度ご説明頂ければと思います。

○上田参考人

1つは、多分今おっしゃられたところは、生命保険会社として事業年度に積む責任準備金のお話をされているというふうに私は理解いたしました。

そこにつきましては、確かにチルメル式によって、設立間もない会社につきましては○年チルメル方式という形で積み立てを行っておると思いますけれども、今日ご説明いたしましたのは、これは各個々のご契約に割り当てられるものでございますので、事業年度末に積むいわゆる責任準備金とは、非常に似ているのですけれども、ちょっと違う概念である。さらにややこしいのは、業法改正の前までは、旧業法下では今お話のありました会社で積む責任準備金と、個々の今日ご説明をいたしました、あえて保険料積立金という形でご説明いたしましたけれども、そこは同じものを使っていたというようなこともございますので、ちょっとそこは確かに誤解を招くところがあるかなという気がしますけれども、今日は事業年度末に積むものとは別のお話をさせて頂きました。

○山下WG座長

ほかにいかがでしょうか。

○隈部委員

深尾先生のほうからおっしゃられた低解約とか無解約の商品、私のほうがちょっと説明する能力があるかというとあれなんですが、群団ということを考えて、要は保険商品は大数の法則が機能するような保険群団を維持していかなくちゃいけないという中で、どういうふうに群団維持というのを考えていくかという中で保険料を算出しています。もちろん商品内容をお客様にご理解頂いて加入して頂かなくてはいけないのだとは思うのですけれども、どなたかに不公平を与えているのかというと、そういう商品構造にはなってないのだろうというふうに私は思っています。そのあたりはアクチュアリーのほうからご説明頂いたほうがいいのかもしれませんけれども、そのような理解でおります。

○深尾委員

言葉は悪いかもしれませんが、一時途中で解約できない英語教育講座みたいなのがありまして、これでどんと払っておいて、途中で使わないと全部没収というような、あるいは非常に高い控除を取る。そうすると、それをやるとやめた人は損ですが、続けている人は得になる、こういうタイプになっているわけですが、こういうタイプの保険契約で、特に終身といったようなもので、例えば若い人が買って60歳ぐらいで払い込みが終わって、その後終身カバーというようなタイプのもので、途中で間に景気が悪くなって職を失ったりする時期が必ず1回や2回入ってくる可能性がある。そういうときに不幸にして維持できなくなった人の払い込んだ保険料が全部没収されてしまって、安定的に続けていた人が低い料率で生涯保障を受けられるというタイプの保険がフェアと考えるか否かでして、私は少額のものであればそういうタイプもあるかなとは思いますが、生涯にわたっての保険料の払い込みが高額のものであって、かつ非常に長期なものについては、特に若い人が掛け捨ての終身の医療保険に入るといった場合に、フェアではないように思います。

○山下WG座長

契約者の間を取ってみれば、それはちゃんと算数的には帳じりは合っているわけですが、そこの間で何か不公正なことがあるということではなくて……。

○深尾委員

ただ、予定解約率をどう見込むかによるわけで、予定解約率を低く見込んで保険料の割引を少なくして、実際は非常に継続の難しいような保険であれば、途中でどんどんやめていきますので、それは全部会社の利益になります。そういう意味ではアンフェアということになります。ですから群団の中でフェアとは言えない。といいますのは、予定解約率は死亡率と違いまして非常に見込みが難しいものであります。これについて安全割増を高く掛けてやれば、それでかつ、配当もしないということであれば、これは非常にアンフェアだと私は思います。

○山下WG座長

そういう意味でのアンフェアというのと、その個々の契約者にとって非常に予期しない中途解約のときに大きな不利益を受ける、それは英会話学校の知見と同じく、そういう2つの面があるという。

○深尾委員

2面あります。

○高橋第二部会委員

今のことに関連してなんですが、終身医療保険の場合、がん保険などは疾病医療そのものが終身のものがあるわけですけれども、今よく売られているものは、例えば入院給付金の支払い限度日数が最大でも3年分、一千九十五日で、入院日限度日数に達したら、疾病の入院保障はなくなってしまう商品が主流です。手術保障と障害保障だけ残る形で契約が継続し、保険料も変わりません。入院期間が3年に及んだらば、割高な保険料を払うということが合理的でないという判断が働くケースがあると思うのですね。そのときに深尾先生がおっしゃったようなことがやはり起こってきますので、そういうところも見ながら審査していただく必要があるので、その点に関する検討を我々がやっていく必要があると思います。

○山下WG座長

ほかによろしいでしょうか。

それでは、今日のこの積立金等に関する審議は以上にさしていただきたいと思います。上田参考人どうもありがとうございました。

○上田参考人

どうもありがとうございました。

○山下WG座長

そこで、今後どうするかということでございますが、昨年9月にこのワーキング・グループが再開されまして以来、今回までで7回にわたりまして、当局からの現状説明と委員の方あるいはその他各方面の方々からのヒアリングを行ってきたところでございまして、その中でさまざまな要望や提案がございまして、またそれらをめぐり活発な意見交換がされてきたところでございます。

このワーキング・グループは、もともと法制審議会保険法部会における保険法制定に向けての審議の過程におきまして、保険募集、保険金支払い、解約返戻金等について、保険法ではなかなか対応できませんねということで、保険業法等に基づく保険業の監督制度のあり方の問題として検討すべきではないかということで、この金融審議会のほうへ球が投げられまして、それを受けてこのワーキング・グループが検討を開始したということではないかと思います。

それが始まりまして、ヒアリング等によってそれぞれのテーマについて本日までいろいろ審議しまして、現状にどういう問題があるかというのがかなり明らかになってまいりましたし、具体的な提案がされた部分もございますが、本日までの審議ではやはりまだ各論的なテーマについて議論がされたにとどまっておるように思います。

そこで、今後のワーキング・グループの審議の進め方を考えると、やはりこの段階で、これまでの審議でいかなる議論がされたかを整理し、また今後のワーキング・グループでどのような審議の進め方をすべきかということについて一度意見交換をしておいたほうがよいように思われます。

特に、これまでは各論的に個別の問題について検討したにとどまり、これを総合するとどういうことになるのかという議論がまだほとんどされておりません。例えば今日の議論でも、解約返戻金のあり方、これは商品内容の面からの問題も指摘されたし、他方募集のときにどういう開示をするか、あるいは契約締結後どういう開示をするかという、いろんな面が絡み合った問題になっているというようなことがあるわけでございます。

そういう意味では、これまでの議論をひとまず総括するような機会を持ちたいと思っておるわけで、その際には、やはりこれまでの議論を私が伺った感触では、個別問題について、例えば保険募集あるいは保険金支払いとか解約返戻金とか、そういう個別の問題について局地的な小刻みの解決をすることではやはり十分でなくて、保険業及びその監督のあり方全体をいま一度基本に立ち返って考え直すことが必要であるということが次第に明らかになっているのではないかと思います。

それで、そのような私の感触も踏まえまして、今後いかなることを審議していくべきかの課題を整理したようなペーパー、これまでの意見を整理したものと、それを踏まえて今後いかなることを審議していくべきかの課題を整理したようなペーパーを至急事務局と私のほうで準備して作成しまして、それを事前に委員の皆様方にご覧頂き、その上で次回のワーキング・グループでご意見を頂きまして、それを整理して、夏休みに入る前の段階での中間的な整理というふうにしてはいかがかと思っておりますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

それでは、急いでペーパーをつくりまして、それを皆様方に見て頂き、ご意見を準備して頂く、そういう段取りにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは事務局から連絡をいたします。

○石田保険企画室長

次回のワーキング・グループでございますけれども、6月3日水曜日の13時30分から15時30分を予定してございます。

これに先立ちまして、今座長からお話がございましたものを皆様にご送付いたしまして、3日にはそれについてのご議論を行って頂きたいというふうに考えてございます。

本日はどうもありがとうございました。

○山下WG座長

どうもありがとうございました。

それではこれで終了いたします。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室
(内線3571)

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