金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」(第15回)議事録

1. 日時:平成21年5月29日(金曜日)16時00分~17時53分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室

○神田WG座長

それでは、予定の時間になりましたので、始めさせて頂きます。

協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループの第15回目の会合となります。

委員の皆様方におかれましては、いつも大変お忙しいところをお集まり頂きまして、ありがとうございます。

本日ですけれども、村田委員、それから農林水産省の青山金融調整課長がご欠席と伺っております。

議事に先立ちまして、前回の会合におきまして、家森委員からご発言のございました員外貸出の実績について、事務局からご説明頂けるということですので、渡邊室長、よろしくお願いいたします。

○渡邊協同組織金融室長

前回の会合での家森委員のご質問は、信用金庫、信用組合による会員・組合員以外の者に対する貸出し、員外貸出は20%以内とされてございますけれども、その比率の分布がどうなっているのかというご質問だったというふうに認識しております。

お手元の資料で、「協金WG15-2」という監督局の資料がございますので、ご覧頂きたいと思います。

信用金庫及び信用組合は、会員、それから組合員以外の者、すなわち員外に対する貸出しにつきまして、政令に掲げられているものに対して、総貸出しの20%以内のボリュームの範囲内であれば貸出しを行うことができるとされております。その政令には、会員・組合員以外の者への預金担保貸出し、それから会員・組合員たる資格を有する者に対する小口貸出しなどが掲げられてございます。

これに対する現状についてでございますが、円グラフで、真ん中の12時のところから時計回りに、員外貸出割合が高いところから低いほうというふうに右回りで並べております。

その分布状況でございます。これを見て頂ければわかりますように、全体の分布として多いのが、信用金庫においては4%から6%未満、これが19.6%、それから2%から4%未満のところが約40%、2%未満のところが約20%という状況でございます。業界平均では4.16%ということでございます。

信用組合におきましては、ちょっとばらけますけれども、一番多いところが0%から2%未満というところでございます。一切ないというところも1割ぐらいあると。業界平均で4.62%ということでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今のご説明につきまして、もしご質問等があればお出し頂ければと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、本日の議事に移らせて頂きます。本日ですけれども、協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループで、これまで皆様方にご議論を頂いてまいりましたものを論点整理としていくというための議論でございます。 

そこで、まず事務局からこれまで委員の皆様方から頂きましたご意見等も踏まえて、論点整理の土台といいますか、たたき台というか、その基礎となるような資料を用意して頂いておりますので、これについて説明をして頂きます。

小野参事官、よろしくお願いいたします。

○小野信用制度参事官

それでは、まずご説明する前に、一言説明させて頂きたいと思います。

本日の朝刊におきまして、「信用金庫、信用組合の区分撤廃する方向で金融庁検討」、「改正案を来年の通常国会に提出することを検討」等の報道がございました。委員の皆様ご承知のとおり、協同組織金融機関のあり方につきましては、現在、まさにこのワーキング・グループにおいてご検討頂いている最中でございまして、事務局として、結論や今後の運びについて、何ら予断を持っておりません。従いまして、報道のような内容の検討に入ったという事実や、改正案を次期通常国会に提出することを検討するといった事実も、何らございません。そもそもこの件に関しまして、事務局は確認の取材を受けておりませんで、このような報道内容は事務局にとしては、いわば寝耳に水という状況でございます。

本日、お示しいたします論点整理ペーパーは、これまで各委員から頂いたご意見を踏まえて論点をまとめたものでございます。その内容の表現ぶりにつきましては、各委員のご意見の問題意識を損なわないように細心の注意を払ったつもりでございますが、なおご意見をお持ちの方もおられると考えておりまして、本日はこのペーパーを土台にしつつ、各委員から忌憚のないご意見を頂きまして、さらに議論を深めて頂ければと存じます。

それでは、早速ペーパーの説明に入らせて頂きます。

「協金WG15-1、協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループにおける論点の整理」という資料でございます。時間の関係もございますので、なるべく簡単にご説明させて頂きます。

各論点ごとに整理してございます。

まず最初が、「協同組織金融機関のあり方を検討するに当たっての視点等」でございます。すなわち、協同組織金融機関が果たすべき今日的な役割を踏まえて見直しが必要という論点についてでございまして、ここに集約した形で3つ、ご意見を書いてございます。

1つ目は、我が国金融システムにおいてどのように協同組織金融機関を位置づけて役割を果たしていくことになるのか、業務、組織のあり方について、総合的な視点からの見直しが必要となるのではないかという視点。

2つ目は、今回の見直しに当たっては、これまでの、平成以降に見られる大きな変化を踏まえ、聖域なく、抜本的に制度のあり方を考察することが必要でないか、という視点。

3つ目は、地域経済や中小企業をめぐる状況が一段と厳しさを増している中、協同組織金融機関が地域経済や中小企業に対して果たすべき金融の仲介機能についてどう考えるかという視点が重要なのではないか、ということでございます。

こういう視点を踏まえまして、まず「地域金融・中小企業金融において協同組織金融機関が果たす役割」でございますが、まず、どのような役割を果たしてきたかという論点につきましては、例えば、貸出の残高は一定の水準を維持していることや、また、各種アンケート調査でも、中小企業への融資姿勢等、その機能を積極的に評価する意見もあるということで、一定の役割を果たしているのではないかというご意見。

また、次のページ(2ページ)でございますが、過去20年の推移を見ると、むしろ預貸率の低下、預証率の上昇が見られる点や、また、貸出しについて、中小企業専門金融機関として目利きが必要とされる製造業、卸小売向けが減少している点に鑑みると、貸出しの実態は、むしろ協同組織金融機関の理念から遠ざかっているのではないか、というご意見。

また、新規案件の掘り起こしや再生支援、コンサルティングという観点から、さらなる発展の余地があるのではないか、というご意見。

また、住宅ローンの割合が増加しているが、住宅ローンに過度に依存していますと、本来の役割である中小企業金融における目利き能力を低下させるおそれがあるのではないか、というご意見でございます。

次に、そういう評価を踏まえまして、今後、「期待される機能」についての論点でございますが、ご意見として、協同組織金融機関がより積極的に果たしていくべき役割として以下のようなものが考えられるのではないかということで、中小企業金融機能、中小企業再生支援機能、それから新たな視点としては、生活基盤支援機能、-これは何かと申しますと、次のページ(3ページ)でございますが、業績不振の中小企業経営者や多重債務者に対するきめ細かい対応や、地域で生活支援活動を行っている団体に対する協力支援というものがあるのではないかと。それから、4番目に、地域金融の支援機能、商店街の活性化とかニュービジネスの育成等があるのではないかと。それから、このような役割を担っていく上で、情報提供、アドバイスなどのコンサルティング機能の一層の強化が求められるのではないか、ということでございます。

それから、やはり、協同組織性の強みであるきめの細かい金融サービスの提供が重要ではないか、というご意見がございました。

次は、いずれの機能を果たす上でも、中央組織や経済団体、その他外部との連携を一層積極的に図る必要があるのではないか。また、中央組織の側でも、この協同組織金融機関によるこれらの機能の発揮を促進するための支援の枠組みや環境の整備というものを積極的に進める必要があるのではないか、というご意見がございました。

次に、「不良債権問題」についてでございますが、不良債権比率は、地域銀行に比較すると依然として高く、これを解決していく必要があるのではないかという論点についてでございます。 

不良債権というのは経営の自由度を低下させ、金融仲介機能の発揮を阻害する傾向がある一方で、協同組織金融機関の業務の特質上、不良債権を直ちに切り離すことが困難な面があり、再生支援を図りながら解決の道筋をつけていくことになるため、ある程度時間をかけた取り組みが必要となるのではないか、というご意見がございました。

また、この協同組織金融機関が不良債権問題を解決するためには、対象先を再生させる支援機能や、次のページ(4ページ)にございますように、コンサルティング機能が必要となるのではないかというご意見がございました。

また、業界全体の信用の維持・向上を図るという観点から、例えば中央組織と協同組織金融機関とが協働して、再生支援会社、ファンドを組成し、知識・経験を有する人材を集めて、再生支援に向けて専従的に行っていくスキームなどの自主的な取り組みを行っていくというのが望ましいのではないかというご意見がございました。

次に、「業態別のあり方」でございます。

「業態別のあり方」も幾つか論点がございますが、まずは「協同組織金融機関と地域銀行のあり方」についてでございます。

地域における協同組織金融機関と地域銀行の差異が相対化している中で、地域における棲み分けについてどう考えるかという論点でございますが、まず利用者の方から見れば、サービスやその提供方法の選択肢が多様である方が、利便性が高いのではないか、というご意見がございました。

また、協同組織金融機関が地域銀行と横並びで発展していくのではなく、協同組織金融機関としての本来の強みを十分に活かすべく、協同組織金融機関の側で業務の「選択と集中」が図られるべきではないかというご意見がございました。

次に、「信用金庫と地域信用組合のあり方」についてでございます。この両者の関係をどう考えるかという論点でございます。

1つ目は、現状を見ると、信用金庫と地域信用組合の一方が他方に対して際立った特性のある金融機関とは必ずしも言えないのではないかというご意見。

次に、協同組織金融機関以外の業態との競争も激しくなる可能性があることから、-次のページ(5ページ)でございますが-、長期的に見て、現状の枠組みのままで信用金庫と地域信用組合の両者が個別の業態として成り立ち得ないのではないかというご意見。

また、このような指摘を踏まえると、信用金庫と地域信用組合を別の制度として引き続き維持する意義・必要性は必ずしも強くなく、そのような観点から、あり方について、根本に遡った、多面的な検討を行っていくことが望ましいのではないか、というご意見がございました。

次に、「業域信組と職域信組のあり方」についてでございますが、もともとこの業域信組、職域信組は、本来的には協同組織金融機関の原点であり、他の金融機関から融資を受けにくい中小企業や個人に、その業務や職業を発展させていくために必要となる資金を融通することを使命としておりましたが、最近の業務の実態を見ると、必ずしもそのような役割を行っているとは言えず、本来の使命を果たしていないのではないか、という論点についてどう考えるかということでございます。

これにつきましてもやはり、根本に遡った、多面的な検討を行っていくことが望ましいのではないかというご意見がございました。

次に、「新たな形態の可能性」についてでございます。昨今、貧困や格差が大きな社会問題となる中で、小規模の事業者や消費者のうち、比較的リスクが高い人に対する使い勝手のよい金融サービスが手薄であるとの指摘を踏まえ、新たな形態を考えるべきではないかという論点についてでございます。

1つ目は、小規模の事業者、消費者の相互扶助を使命とする協同組織金融機関の原点に立ち返って、例えば、小規模の事業者や消費者の生活支援に特化して、協同組織性を発揮し得る新たな協同組織金融機関の設立・活用について検討することが望ましいのではないか、というご意見。

次に、その際には、例えば、業務内容については必要最小限のものとする一方で、行為規制を軽減する等の枠組みも視野に入れた制度的な検討を行っていくことが考えられるのではないか、というご意見がございました。

次のページ(6ページ)に行きまして、「ガバナンスのあり方」でございます。まず、ガバナンスについての「基本的考え方」についてでございます。

ガバナンスの充実を図るさまざまな方策がございますが、その方策につきましては、あるものは法律で制度化することが適当なもの、またあるものは法律で一般的な考え方を示し、具体的な運用等の内容については監督指針や自主ルールで示すことが適当なもの、また、あるものは、基本的に業界や個々の協同組織金融機関の判断にゆだねることが適当なもの、がございまして、それぞれの方策ごとに適切な手法がとられるべきではないか、というご意見。

次は、法律で制度化するものであっても、規模等に応じて、あるべきガバナンスの効かせ方が異なってくるのではないかというものにつきましては、段階的に適用する等の方法があるのではないかというご意見。

次に、このような「基本的考え方」を踏まえまして、個別の論点でございますが、まず、「総代会制度のあり方」についてでございます。これについて、何らかの制度的な枠組みを設ける必要があるのではないかという論点についてどう考えるかということでございます。

1点目は、現時点において、法律で何らかの制度的な枠組みを設ける必要性は必ずしも高くないのではないか。ただし、その一方で、各協同組織金融機関において取り組みが異なるという実情にも鑑みれば、例えば、以下のような指摘について、実現できるものから迅速に実行に移すべきではないかというご意見でございます。

その内容は、例えば、総代会制度に関する開示項目について、業界内で統一的な対応をすべき。また、総代会制度に係る開示の方法について、単にディスクロージャー誌に掲載するだけではなく、会員と組合員との懇談会やホームページで公表するなど、周知に努めるべき。また、-次のページ(7ページ)にございますが-、総代の職業、業種別、年齢別、地域別の構成というものを協同組織金融機関の取引先構成に近づけるようにすべき。また、特定の者が過度に長期にわたって総代を務めることがないように、総代の定年制の導入や氏名の公表等の工夫に努めるべきではないかというものでございました。

次に、信用金庫の総代の選出につきましては、法令上、「会員のうちから選任」と規定されているため、選挙の実施は制度として想定されていないと解されております。信用金庫におきましても、「会員のうちから選挙」とする改正も検討すべきではないかというご意見がございました。

次に、「理事会制度のあり方」についてでございます。どうしても現在の制度は、職員出身の理事が理事会の多数を占めているため、金融機関としての立場で収益性を過度に優先させる可能性があるのではないか。また、理事会の相互監視が期待しにくく、ガバナンスが低下するのではないかという論点。

このような論点についてどのように考えるかでございますが、これに対し、職員出身以外の会員、組合員理事を登用し、員外理事の積極的な登用が進められるべきではないかというご意見。

一方で、やはり人材面、能力面に限界があることから、一律に員外理事の登用を義務化するのは慎重に考えるべきではないか、というご意見がございました。

次に、「監事制度のあり方」についてでございます。監事会制度を創設すべきではないかという論点についてでございますが、これにつきましては、基本的に委員の皆様のご意見がほぼ1つに集約されており、選択的に監事会制度を導入できるとの任意の制度とすることが考えられるのではないかというものでございました。

次のページ(8ページ)に行きまして、「半期決算・半期開示」を導入すべきではないかという論点についてでございます。

これにつきましてはさまざまなご意見が出されておりますが、1つ目は、銀行は現在、既に半期決算、半期開示、また上場銀行は、金商法に基づいて四半期決算、四半期開示を行っておりますが、銀行と異なる制度を維持する必要性は乏しいのではないかというご意見。

また、現在自主的に行われている仮決算、半期の仮決算では、制度的な裏づけが乏しいのではないかというようなご意見。

その一方で、半期決算、半期開示の導入にあたっては、猶予期間の設定や協同組織金融機関の規模に応じた適用等の項目について検討を行っていく必要があるのではないかというご意見がございました。

また、まずは各々の経営判断のもとで、半期決算、半期開示に係る自主的な取り組みが一段と進展していくことが望ましいのではないかというご意見がございました。

次に、「外部監査」でございますが、この外部監査につきまして、半期監査の枠組みの導入や年度監査の義務づけについてどう考えるかという論点についてでございます。

これにつきましては、半期決算の導入を前提とした半期監査を導入する合理的な理由はないのではないかというご意見がございました。

一方で、半期監査を受けたほうが、協同組織金融機関の健全性に対する地域や預金者からの信頼が高まるのではないかというようなご意見、-次のページ(9ページ)でございますが-、がございました。

次に、協同組織金融機関の規模、特性がさまざまであることに鑑みると、半期監査の導入の努力義務化や猶予期間の設定、規模に応じた適用、中央組織による監査での代替等の項目について検討を行っていく必要があるのではないかというご意見がございました。

また、まずは、各々の経営判断のもとで、年度監査や半期監査に係る自主的な取り組みが一段と進展していくことが望ましいのではないかというご意見がございました。

次に、「業務等のあり方」についてでございます。

まず、「会員・組合員資格」の資本金基準を見直すべきではないかという論点についてでございますが、これにつきましても、皆様の意見が集約されておりまして、特段の問題は生じておらず、制度見直しの必要性は現時点では高くないのではないか、というものでございました。

次に、「業務範囲」についてでございますが、協同組織金融機関の業務範囲と銀行の業務範囲とをどのように考えるかという論点についてでございます。

一律に銀行と同じ業務を認めた上で選択制としてよいのではないかというご意見の一方で、次のページ(10ページ)でございますが、業務を拡大するに当たっては、その特有のリスクに見合った専門人材や体制の整備が当然必要となりますので、そのようなコストを負担してでも協同組織金融機関がやるべき業務とは何か、そういうコストを負担することで、むしろ本来果たすべき役割というものが安定的に果たせなくなるのではないか等という観点から、今後の業務範囲のあり方については検討していくべきではないかというご意見がございました。

次に、「地区規制」について、その存在意義や、今後どうあるべきかという論点でございます。

1つ目は、地区を定める必要性は低下しており、地区は当局の認可対象から外し、その変更は協同組織金融機関の自主的な判断で行えるようにすべきではないかというご意見。

一方で、やはり地区というものはコモンボンドであり、協同組織性の発揮にとっては極めて重要ではないか、また、地区というものを、法令を根拠として明確に定めることは、むしろ信用金庫、地域信用組合のその地区に対するコミットメントになり、地域の活性化につながるような行動の動機付けになるのではないか、というご意見もございました。

また、そういうことを考えますと、現在の枠組みを維持すべきではないか、というご意見。

その一方で、地区拡張や縮小の認可要件につきましては、その明確化を図ることが重要ではないか、というご意見もございました。

次の11ページに行きまして、次は、「余剰資金運用」でございます。

協同組織金融機関の余資について、今後どのように運用すべきか、という論点につきましては、例えば業界内の余剰資金の運用を一元的に行う枠組みを検討すべきではないかというご意見。

リスク管理能力が十分でないと認められる協同組織金融機関からは、信金中央金庫や全国信用協同組合連合会が余剰資金の預託を受ける枠組みを考えるべきではないかとのご意見。

連合会と協同組織金融機関によるファンド等の共同運用など、多様化を図るべきではないかとのご意見。

また、余剰資金の運用に関して、例えば、以下のような自主的な取り組みが行われていくことが望ましいのではないか、即ち、マル1安全資産運用或いはリスクをとる運用を行う等の運用方針、運用手法、内部のリスク管理体制の整備状況を、ディスクロージャー誌等で明示することで、自己規律の確保を図る、マル2余資運用について、連合会によるモニタリングを行う、マル3連合会と信用金庫と信用組合によるファンドの共同運用、連合会と単位組織の協同による地域への投資を促進するスキーム等、運用方法の多様化というものを図る、というご意見が出ました。

次に、最後から2番目でございますけれども、「連合会(中央機関)のあり方」についてでございます。この中央機関という言葉、右の(注)に書いてございますが、今まで「中央機関」という言葉を使っておりましたが、実は法律上に中央機関という言葉はございませんで、法律上、それに相当するものとしては「連合会」という規定がございますので、表題には「連合会(中央機関)」と書いてございます。いずれにしても、この連合会(中央機関)というものが、中央機関としての機能を十分に発揮するために、目的、役割、権限等について、法的に明確にすべきではないかという論点についてでございます。

1つ目は、会員である単位組織に対する監督、経営指導をより実効性の伴うものにする枠組みを検討すべきではないかというご意見。

業界全体として持続的に金融仲介機能というものを十分に発揮していくためには、連合会がそれを補完する役割が期待されるのではないかというご意見。

中小企業融資、不良債権処理、コンサルティング等の面で、単位組織に対する中央機関としてのサポートのあり方について検討すべきではないかというご意見。

一方、法的な権利が伴うと、かえって会員の自主性を損なうのではないかというご意見もございました。

次のページ(13ページ)にいって頂きまして、「相互支援制度」でございます。現在、連合会が自主的に取り組んでいる相互支援制度について、その機能を強化すべきではないかという論点についてでございます。

まずは、相互支援制度は、これまで一定の成果を上げていると考えられるが、以下のような観点から、その持続可能性に対して懸念があるのではないかというご意見。1つ目は、会員に対して適切な事前指導が行えず、現在、自主申告に依存しており、その結果、場合によっては、経営悪化の実態を事後的に認識するなど、受動的な立場で相互支援制度を運用している側面があるのではないか。2つ目は、相互支援制度は任意であるため、優良な会員が相互支援制度から離脱したり、連合会自身が金融機関としての機能を維持するために、会員に対する資本支援を十分に行わない可能性があるのではないか。3つ目は、連合会の資本の状況によっては、単位組織から資金を集めることもあり、見方によっては、業界として新規の資金調達となっていないのではないか。

一方で、相互支援制度というのは、相互扶助の精神のもとに自主的な取り組みとして行ってきたものであり、この枠組みの変更や廃止は信用強化につながらないのではないかというご意見。

また、連合会が資本支援をした会員には、「覚書」に基づいて、実態として必要な指導を行っているので問題はないのではないか、というご意見がございました。

次のページ(14ページ)でございます。昨今の厳しい金融資本市場の状況を踏まえて整備されました時限的な措置である改正金融機能強化法の枠組みを念頭に置きつつ、同法後の平時における将来的な相互支援制度のあり方について、持続可能な安定的な制度としてどのような枠組みが考えられるか検討すべきではないかというご意見。

最後でございますが、これは前回のWGでご議論頂きました「規制緩和要望事項」でございます。体系的に整理した上で、その内容について検討を加えておりまして、その内容は後ろに別表の形で添付してございます。基本的には、要望事項とその主な論点、それから、皆様からご意見があった場合には主な指摘という形で整理させて頂いておりますが、時間の関係でここは割愛させて頂きます。いずれにしましても、この問題につきましては業務のあり方、中央機関の役割等の問題と密接に関係するものであり、最終的な結論は、全体の協同組織金融機関のあり方の方向性の中で一体的に検討することが望ましいということでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、今ご説明頂きましたこの私どものワーキング・グループの資料「15-1」という論点整理につきまして、委員の皆様方からご意見、ご質問等を頂きたいと思います。時節柄、この論点整理ということは、取りまとめに向けたご議論をお願いしようということでもございますので、そういうことも意識した上でご意見を賜れればありがたく存じます。

今、詳細にご説明頂きましたけれども、ちょっと大部ですので、3つぐらいのパートに分けてご意見を頂きたいと思います。まず、第1が、番号で言いますと1番から3番、ページ数で言いますと1ページ目から5ページ。それから、第2が「ガバナンスのあり方」からで、番号で言いますと4番から6番、ページ数で言いますと6ページから11ページ。そして、最後に第3のパートが、番号で言いますと7番、8番、ページ数で言いますと12ページから14ページということかと思います。

そこで、まず以上のように区切らせて頂くことにしまして、第1のパートであります、ページ数で言いますと1ページから5ページまで、項番といいますか、テーマの番号で言いますと、1番、2番、3番につきまして、ちょっとそれぞれのテーマを読み上げることは省略させて頂きますけれども、ご意見、ご質問を頂ければと思います。

なお、全体、或いは全般にかかわるご意見がある場合には、いつでも随時お出し頂ければと思います。

それでは、どなたからでもどうぞ。神吉委員、お願いします。

○神吉委員

1番の「検討に当たっての視点等」のところに関して申し上げます。

いろいろなことを全部書けないということはよくわかっているのですけれども、このワーキング・グループでは、協同組織金融機関の社会における存在意義や必要性自体は、全体としては認められる、はっきりと認められるんだということが、まず議論のベースにあると思っております。この点に関して、この会合で異論はなかったと思います。その上で、その機能をさらに発揮させるためにどういうことが考えられるのか、機能をさらに発揮する上での阻害要因はどんなことがあるのかというようなことを議論しているというふうに認識しております。したがいまして、スタートとしては、この点をはっきりさせておいたほうがよいのではないかと思います。

以上でございます。

○神田WG座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。1ページ目から5ページ目まで。

中津川委員、お願いします。

○中津川委員

一応、こういう時間帯ですから、あまり細かいことを言うべきではないと思いますが、2ページの住宅ローンの関係でございますが、どうもここが少し一部で誤解がされているのかなと思うのですが、住宅ローンの割合が増加しているがために、その目利き能力が育っていないとか、本来の事業資金の融資ができていないというふうに表現されているやに思われますが、実際、数字で追いますと、それはちょっと誤解でございまして、当組合だけで見ましても、この近年というのを5年ぐらいのタームで見ますと、住宅ローンの割合というのが貸出しの構成比に占める比率というのは、5年前が約14%、現在が約12%、決して著増しているわけでもございません。そして、全国ベースで見ましても、5年前が大体19%ぐらい。現在、この19年度で20%ですから、横ばい。そんなところだと思います。

なおかつ、地域信組のみを取り上げますと、その比率が大体15、16%で、ずっとここ5年、横ばいということですから、ここはあまり住宅ローンが著増しているということの理屈は、ちょっと控えさせて頂ければありがたいかなという気がしております。

それから、5ページでございますけれども、ここでは、信金と地域信組が個別の業態として成り立ち得ない、そういうようなご意見が出ておりまして、この部分については、以前にも申し上げましたけれども、そもそも信金、信組というのは、あるところから取引対象であるとか理念というところの差で双方が枝分かれをしたわけでございまして、これは中企法、信金法の第1条でも明確に表現されているというふうに理解をして頂けないかなというふうに思うわけでございます。

そもそも信金と信組は必ずしも同質ではないというふうに思うんですが、信組はより、-以前にもこれは申し上げましたが-、裾野性を有しておりますから、いわゆる隙間の層へ足を運ぶことが存在価値として認められているのかなというふうに常々思っているわけですが、地域に必要なサービスというのは、固有の独自性というのはどうしても必要になるということでございまして、我々が信組として生きていく上では、ほかの業態がまねをできないところ、言ってみれば、つまりコストがかかるところ、或いはコスト等を考えるとちょっと割に合わないな、そういうところとの取り組みを行うことで、言ってみれば、かなり早い時期に税金の問題もご指摘ありましたが、そういうある種の不採算的な取引を我々としては一生懸命やっているというところにおいて、税負担の一部にかえていると。ちょっと理屈としておかしいかもしれませんが、そういう考え方もできるという理解をしているところでございます。

今日の日経新聞の件は、先ほど参事官からのご説明でございましたが、よしんば、2つの業態の区分の撤廃をしますとどういうふうになるかというと、多分、恐らく規模の利益を追求する結果を招来するのではないかというふうに思われます。ということは、先ほど申し上げましたある程度の不採算部門、かゆいところへ届くという営業のスタンスは恐らく希薄になっていくだろうというふうに考えられます。少し大げさに言えば、郵政民営化の辿った道を歩くことになりかねない。そういう気がいたしておりまして、1点、ちょっとここの表現の中で、「根本に遡った、多面的な検討を行っていく」と。このフレーズがちょっとイメージとして、必ずしもよく分かっていないものですから、何かそういう具体的なお考えがあればお聞かせ頂ければありがたい。そんなふうに思っております。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

事務局から何かありますか。

○小野信用制度参事官

ここの「根本に遡った、多面的な検討」というのは、信用金庫と地域信用制度とを別の制度で維持するかどうかということを検討する場合に、なぜ信金、信組という業態ができたのか、また職域信組という業態ができたのかという、根本のところまで、その歴史、その存在意義までもう一度遡って、そこから検討していくとともに、相当多面的な検討、例えば、議論の中に出ましたが、組織によってはもう為替業務をやらなくていいのではないかとか、預金保険機構から外れてもいいのではないかとか、そういう色々な視点から議論しなくてはならないので、そういう意味での議論が必要ということを表現すべく、このような書き振りにした次第でございます。

それから、住宅ローンについてでございますけれども、前に資料を提出させて頂きましたように、信用金庫の貸出金残高に占める住宅ローンのシェアにつきましては、平成12年は18.7%に対しまして、平成19年度は23.4%。それから、信用組合の貸出金残高に占める住宅ローンのシェアにつきましては、平成12年度は15.3%に対しまして、平成19年は20.5%ということで、業態全体としてそのようになっているということで、このように書かせて頂いた次第でございます。しかしながら、住宅ローンばかりやっているから云々…という問題ではなくて、過度に依存すると目利き能力がなくなりませんか、という心配、懸念を書いているということでございまして、そこは誤解のないよう、お願いしたいと思います。

○神田WG座長

それでは、隣の佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

今、中津川委員がおっしゃったことについて、ちょっとダブるかもしれませんけれども、実態として私の感じていることをお話しさせて頂きますと、確かに同じような協同組織金融機関ということで括られておりますけれども、経営の実態を、私が感じているところで言いますと、やはりそれぞれのお客様の対象というか、そういったものはかなり違っているのかなという気がします。これは最近、特にそうだということで、これまでも再三申し上げてきたんですけれども、同質な競争をしていくような時代ではないという、そういう認識をしておりまして、多分、信用組合としての経営もそういったことになりつつあるのだというふうに思うんですけれども、そういうことで、実際にお客様がバッティングしてどうこうということではなくて、この前も中津川委員がおっしゃったように、私どもの本店のあるところに支店があるわけですけれども、そういったところで十分に機能を発揮していらっしゃるという問題もあって、私どもはそれに対して、競合上、非常に問題があるとか、そういったことを感じているかというと、そうではなくて、むしろ地域にとって必要な機能を発揮して頂いているというふうな見方ができるわけで、そうした感覚から言いますと、やはり同じようなものを一緒にすればいいんじゃないかという感覚は、今は全然違っているというふうに、私は感じております。

ですから、どちらかといいますと、ここに、サービスやその提供方法の選択肢が多様であるほうがいいのではないかというのが、地域銀行と協同組織金融機関とのあり方の中で言われていますが、同じようなことが信用金庫と信用組合にも言えるんだというふうに感じておりまして、それぞれがやはりそれぞれの特性に合わせた、その地域の特性や経営のモデルといったものに合わせたやり方をしていくということで、今の組織のあり方、これからのことを考えても、これを一緒にすべきであるとか、そういうふうには決して考えられないというのが実感でございます。

それから、もう一つ、「新たな形態の可能性」ということで、5ページにありますけれども、これは恐らく、例としてはマイクロファイナンスというふうなことで言われている、福祉的な金融の問題にもつながるのだというふうに思いますけれども、そうしたことは、それぞれ得意な分野というのがあるというふうに思います。それを事業として成り立たせていくためには、やはり、それぞれの整備が必要なのだと思いますし、それについては、今の業態で全部をやっていくというのは難しいかなというふうに感じております。ですから、こうしたことについてもし必要があれば、そうした分野の新しいものができていくということについては、地域として見ればいいことではないかというふうにむしろ感じているということでございます。

住宅ローンについてはもう言われましたので…、私もそれぞれ、同じような住宅ローンといっても、ほかで手掛けることができないようなものを我々がやっていくということになりつつあるのではないかというふうに思っておりまして、そうしたことが地域の状況も反映して、比率も上がってきているということだというふうに思っております。

ここまでのところは、そういうことでございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

「不良債権問題」のところで書くべきなのか、それとも1ページの「これまでの評価」のところで書くべきなのかという感じがしているのですが、私が、信金・信組の実際の事業内容とか、詳細に見させて頂いたのは、リレーションシップバンキング-リレバンの検討をしたときなので、4年か5年ぐらい前になるかと思うのです。そのときに、検討した結果として、2つ大きな柱というのが出てきていて、1つは、やっぱりある程度の時間をかけた取り組みが必要ではないかという話で、それは今、この3ページの下から4行目辺りに、「ある程度の時間をかけた取組みが必要となるのではないか」と書かれているとおりです。 

それから、もう一つは、目利き能力の育成のような、人材育成のような話があって、これはほかのところに、住宅ローンに触れたところに書かれているのですけれども、この2つについて課題であると5年前に書いて、やはり5年経って、同じことを書くというのは、それが本当に今の指摘としても通用するのであれば、この5年間、どういうことをおやりになっていたのかという感じがあって、やはりまだもう一つ、もう一工夫、何か困難性があったのかどうかということも感じますので、それは「不良債権問題」のところに入れ込んで書くのか、それとも、1ページの「これまでの評価」というところで、5年前にそのようにしたけれども、やはりまだ困難な道のりを歩いているということの根本ですね。これは一体何なのかということを、「これまでの評価」のところに入れるべきではないかと思います。

それから、佐藤委員から心強い発言がありましたけれども、私としても、5ページに書かれている「新たな形態の可能性」ですね。これはやはり信用金庫、信用組合とも、拠って立つところを考えると、ぜひこういったマイクロファイナンス的な取り組みというものはお願いしたいと思っております。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

いっぱい手が上がりましたが、それではすみません、順番で恐縮ですが、まず渡邉委員、お願いします。

○渡邉委員

2ページ目の期待される機能のマル1なのですが、私どもは中小企業でして、融資を受ける側としまして、この文章を見たときに、「取引先が健全なときから事業計画に基づいて貸出しを行う金融を目指すべきではないか」。私どもの、事業が健全なときからこの事業計画を作っていくということにつきまして、ちょっと、違和感を感じる気が致します。

というのは、私の会社もそうなのですけれども、社長が経理や人事、営業、製造などの担当を全て兼務しているというような小規模な企業が多いと思います、私のところもそうです。毎日がそれで追われているということが多いものですから、経営が順調で特段の問題があるわけではないのに、詳細な事業計画を立てるということがちょっと難しいのではないのかなという気がいたします。

事実、私どもが信金さんからお金を融資して頂くときには、信金さんのほうから、じゃあ何に利用したいのか、それからどのような展開をしていくのか。などお金の使い道とか返済方法を、聞き出してくれ把握を信金さんがしてくれるわけです。そこで、私どもも相談に乗ってもらって、初めて事業計画が作れるといった状況なものですから、健全なときから事業計画を立てなければ融資取引ができないといった対応を信金さんがとると、ちょっと私どもとしては、違和感を感じてしまうところがあります。

単に事業計画の立案を求めるのではなく、その事業に合った、規模や特性に応じてのご配慮をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、吉野先生、どうぞ。

○吉野委員

ありがとうございます。

幾つかありますが、先ほどからご議論、2ページの下のほうですけれども、今回のここで、今までと少し違うと思いましたのは、やはり地域の中小企業とか零細企業以外に、3番目の生活基盤の支援といいますか、地域の生活者とか、或いは消費者に対してもきめ細かくということだと思いますが、ちょっと注意して頂きたいのは、マイクロクレジットと、先ほどからお話があったのですが、海外の途上国のマイクロクレジットは、生産のために消費者にお金を貸しているというのがマイクロクレジットなのです。つまり、ミシンを買って、そのミシンを使って自分で生産して、所得を増やすと。だから、消費者なんですけれども生産者である人に貸しているわけですから、だからここの場合も、そういう人たちにお金を貸して頂くのか、それとも、本当に消費者で苦しい人に貸すのかというのは、少し注意しなくてはいけないのだと思うのです。ですから、まさにマイクロクレジットであれば、生産のための消費者への資金ということになるのではないかと思うのです。それが第1点です。

それから、2点目は、4ページの一番上のあたり、3ページから4ページにかけて、やはり信用組合とか信用金庫というのは少しリスクの大きい方々に貸すわけですから、そうであるとしますと、4ページの4行目のあたりですけれども、預金で集めて貸出しをする部分と、そうでない資金で、再生支援ファンドとか様々なファンドで少しリスクがとれるという、こういうメカニズムをぜひつくって頂きたいと思いますし、そのための人材というのもつくって頂きたいと思いますが、こちらにおられる委員の方々の中で、じゃあ、これをするためには具体的にどうしたらいいだろうかというのを、もしできたらここに少し加えて頂いて、こういうような努力がなされればリスクを少しとれる資金が提供できるんだということが必要ではないかと思いました。

それから、同じ4ページの真ん中の辺りで、「協同組織金融機関と地域銀行のあり方」と書いてあるところの一番下の行ですけれども、「選択と集中」が図られることが必要だということですが、先ほどのいろんなご議論を聞いてみますと、やはり地銀とは違うところでもう少し具体的に、例えば、きめ細かい隙間の企業に対してコストはかかるけれども資金を提供するとか、それから、そこに対してコンサルティングをするとか、この「選択と集中」のところにもう少し文章を加えて頂くといいような気がしました。

それから、先ほどのご意見の中で、税負担が軽いわけですけれども、その税負担が軽い分だけ、本来であれば、地域の雇用の確保ができているとか、或いはそこの地域の生産性が向上しているということが必要でありまして、それを比べてみると、税負担よりもベネフィットが大きいんだというふうになれば、一番理想ではないかというふうに思います。多分、そういうのは我々学者が計量しなくちゃいけないんだと思いますけれども、理想としては、税が少し優遇されているということは、地域の雇用の確保、さらに生産の確保ではないかと思います。

それから、最後は、5ページの一番上ですけれども、信用金庫とか信用組合のこれまでのいろんな業務の中で、私が預金保険のあれを見ていますと、預金で保護されていますから、ほかの産業と比べますと、弱くてもなかなか退出ができない。それから、本来、他の企業であれば、もっと競争に晒されていますから、もっと早く合併しなくちゃいけない。しかし、そうでないところの信用金庫とか信用組合で、少し早めにそういう退出或いは合併をしたほうがいいという判断はだれがするのかと。それは金融庁で日々の検査をしながら判断ができたら、中央組織がそういう形でそこを集約化してより効率化させるということなのか、もう少し具体的に、ある地域で非常に競争が激しいと、そういうところではやはり合併をしながらうまく効率を上げたほうがいいというのであれば、それは誰が誰に対して、信用金庫とか信用組合にサジェスチョンしていくのかと。それがもう少し具体的にあれば、その手続を入れて頂けるといいと思います。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、久保田委員、それから今松委員。

○久保田委員

私も、今の5ページの一番上のところなのですが、今までの議論は、確かに信用金庫と信用組合の経営体力を強化すべきという点で、それはそのとおりだったと思うのですけれども、そのための方法は必ずしも信金と信組の制度を統一しようというところだけではなかったと思うのですが、ちょっと5ページの2番目のポツのところを読んでみると、何かそれしかないような印象を受けるのですが、私も今、吉野先生が言われたように、参入と退出をスムーズにするとか、合併の判断についてもう少し考えるとか、そういうほかの選択肢も色々ある中で、その制度のあり方を考えていくという趣旨でとらえていたので、「根本に遡った、多面的な検討」というのに多分そう含まれているんだなと、私は理解しました。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございます。

今松委員、どうぞ。

○今松委員

協同組織金融機関としての存在理由等々、これはまさにここでまとめて頂きましたように、これまで十分と言えるかどうかは別にして、かなりの程度、それなりの役割を果たしてきたということを私は思っております。ただ、やはり実態として、2ページの、貸出しのところに書いてありますこの「理念から遠ざかっている」というように、相対的に見ると、そういうふうに評価されることもあるのだろうと思います。だとすれば、やはりそこにありますような色んな、本来、協同組織金融が積極的にやるべき分野ですね、そこのところを明確にするということ、それでそれを鮮明にすることが、これからの存立というものを明確にというか、確実なものにできると思います。

その点で、先程、吉野先生からもご指摘がありましたけれども、税制の面での優遇を受けていると。そうであるとすれば、次のところにある、期待される機能ですね。ここのところで、やはり地域に根差した、という意味では、やはり中小企業の再生であるとか、或いは生活基盤をどのように支援するか。この形態は色々ありますけれども、あと地域金融の支援とか、こういうものをより地銀であるとか、或いはメガがやるものと違うものとしてどのように出していくのか。これは恐らく、「選択と集中」というところのいろんな業務分野にも関係してくると思います。

同時に、これは恐らく、個々の組合だけでは、或いは金庫だけではできるかどうかわかりませんから、その点で言えば、ファンドであるとかそういうところをどう使うのか。これは変な形でのファンドというのではなくて、明確にこれが地域というものをバックとしたようなファンドとして存立し得るようなこと、こういう点を少し明確に出していって、それによって、この協同組織金融というものの存立というものが必要であるというところを出す必要があるのではないかというふうに思っています。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、村本先生、どうぞ。

○村本委員

もう各委員が言われたことの重複になりますので、ポイントだけ申しますが、まず、このワーキングの取りまとめの立ち位置を明確にしておくべきだろうということで、神吉委員が言われたように、協同組織という形態、以前の金融審議会のレポートで言えば、非営利・相互扶助というようなことになるのですが、そういうことを明確にして、それの現代的な意義はやはり存在しているのだろうというようなスタンスが確認できているということで、足らざるところ、或いは問題点なり、或いは課題というのを整理するとこうなるよと。そんな立ち位置になるんじゃないだろうかというのが、ちょっと私の整理です。そのときに、今、吉野先生も言われましたが、例えば税制上の軽減税率があるのであれば、それはどういうような効果をもたらすものであるかということをきちっと明確にしておくことが、やはり重要な視点になるのじゃないだろうかという気がいたします。

それから、信金と地域信組の問題、これは先生方、皆さんおっしゃったので十分だろうと思いますが、こういう問題は、長期的に渡って、やはり頭の中に置いておかなくちゃいけないんだろうなという気は少ししております。

それから、5ページの「新たな形態の可能性」、これは非常におもしろい視点だろうと思っているのですが、さて、具体的にどういうことを考えるのかなというのを、私は、まだ少しイメージを掴めておりませんで、例えば、金融NPOのようなものを考えていくのか、或いは、一番下に書いてありますけれども、こういう行為は軽減する枠組み、業務内容によっては必要最低限、これはどういったものを考え、今の制度の中でスパっとはまるのかなという感じもするものですから、この辺も誤解のないような形で整理をしておいて頂ければありがたいと思っています。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、家森委員、宮村委員、若松委員の順でお願いします。

○家森委員

5ページのところの地域信用組合と信用金庫の件ですけれども、私自身は、一つの考え方としては、一本化ということもあり得るのではないかというふうに思います。しかし、統合するということのコストを考えると、制度として現状を維持して、むしろ機能を強化するという方向に各業界の力を使ったほうが望ましいと判断しています。組織を一体化するためにエネルギーを使うというのは本末転倒というか、現状では得策ではないというふうに、私は判断をしております。

それから、税制優遇の件では、さっき吉野先生がおっしゃったように、雇用というような問題も、当然あるんですけれども、それと同時に、不良債権のところにもさらりと書いてありますけれども、自己資本を充実させるということが言われているわけで、この資本蓄積につながるような形で、結局リスクをとれるようなためにこの税制優遇が行われているというのが、1つの理由だろうと思います。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

お隣の宮村委員、どうぞ。

○宮村委員

今の信用金庫と地域信用組合の件ですけれども、私はちょっと違う観点で、1つの法律のもとにしたほうがいいのではないかと思います。それというのは、私は信用金庫と信用組合というブランドを別々に残すのは構わないし、そのブランド自体は自主判断で選択すればいいのではないかと思います。

追加意見で書きましたけれども、私が1つの法律のもとに両方あるようになればいいと言ったのは、例えば、組合員から脱退するときの手続が違うとか、或いは総代の選び方について違うだとか、あまり意味のないところで違いがいっぱいあって、その違いがなぜ発生するかというと、信用組合のほうが中小企業等協同組合法、あそこのもとにあるから、そういうどちらかというとあまり本質的じゃないような違いがいっぱいあらわれるのではないかと思うのです。

それで、そういうようなことで、1つの法律のもとで違いを出して、別に生き残るという分にはいいのではないかなと。私は、信用金庫に統一しろとか、1つのことでまとめてしまえと、そういうことを言っているわけではございません。

それから、あと住宅ローンの件ですけれども、これは私の主張なんですけれども、実は中津川理事長のところの大東京信用組合は、住宅ローンについてはリレーションシップバンキングでやっている珍しいところなんですね。ですから、非常に自信を持って、住宅ローンをやっていることが目利き能力に影響しないと。中津川理事長のところは、保証会社を使わない住宅ローンをやっているということで、非常に珍しいのです。でも、それは非常に珍しくて、大抵の信用金庫、信用組合は、自分のところの業界団体の保証会社を使うか、または外の、例えば全国保証だとか、そういう会社の保証を使って、そういうところを使うということは、もはや中に審査能力を残していないということになってしまうわけなので、いつも言っているように、人減らしが非常に進んでいる段階で住宅ローンなんかの審査のほうに移っていくとどんどん審査能力が落ちるということは、やっちゃいけないと言っているわけではなくて、そういうのは頭の中に入れておくべきだというふうに、いつも思っております。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

では、若松委員、どうぞ。

○若松委員

私も協同組織金融機関の社会での存在意義、今後を展望しても、これはやはり必要なものだという認識はみんな多分一致するんだろうと思います。今後、より貧困とか格差とか、今の社会情勢の中で、今までよりも期待される機能、求められることも、非常に増えていくと思います。

ただ、そのためには、5年後、10年後を展望していった場合、じゃあ、今の協同組織機関が色々な多様な使命をさらに求められる中で、しっかりと存立していけるのかということ、経営基盤というものを強化していくということを、その一方では考えなきゃいけないと思います。だから、先ほど出たファンドという話もありましたけど、経営体質を強化しながらリスクをとれる資金をふやしていくのかとか、或いは吉野先生が言われたように、競争の激しいところにおいては、例えば高度な判断で合併していくのかとか、求められる意義、機能とともに、どうやって協同組織金融機関をより安定的に存立させていくのかという視点も 私は重要なのではないかと思います。

○神田WG座長

ありがとうございました。

神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

すみません、まとめて言えばよかったのですが。全体に関係する問題で、以前にも神田座長からもご発言がありましたが、業界の課題としまして、人材育成の強化ということがあるのではないかと思います。この点に関しては、どこに書くか、どこにも書くべきところがないということなのかもしれません。ただ、コンサルティング力や情報提供機能の強化、さらに経営の諸課題に対応するという観点からも、人材の育成の強化が必要だということが言えるのではないかと思います。そして、人材育成の強化を図って、今後とも、協同組織金融機関としての機能を一層発揮していくということが必要ではないかと思います。

○神田WG座長

ありがとうございました。

時間の関係もありますので、次に進ませて頂きたいと思います。

次は、項目番号でいいますと、4番から6番、ページ数で申し上げますと6ページから11ページ、ガバナンスと業務等のあり方についてであります。

ご質問、ご意見等、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

この中で私にとって一番、これはちょっと認めて頂きたくないというのは、総代の選出方法について、信用組合の制度としては「組合員のうちから選挙」というふうになっていまして、信用金庫についてはそういう規定はないのですけれども、もしそれについて、選挙というふうな制度を実施されるということを想定すると、非常に大変なことになると、そういうふうに思っております。これは、総代についての、その上にもありますけれども、7ページの上の枠ですけれども、選任方法等については公開されてしっかりやって、それにふさわしい方を手順としてやっているわけですけれども、その上で何か業界なり、そうした利害を代表する人たちが総代になってやっていくというふうな観点ではなくて、やはり地域の方の理解を持って、しかも金融についても、やはり経営について深く理解される方、そういった方を選定して、総代の方になって頂いているというふうな、そういうことになっているわけで、それはやはり信用組合から信用金庫ができてきた歴史というものもあると思いますが、恐らく金融機関としてのそうした性格を強めにし、会員数も多くなるということもあって、そうしたことになっているのかなというふうに感じておりますけれども、もしそれを選挙ということになったときに、何か特定の意図を持って総代になろうというふうなことが組織的に行われるようなことになった場合は、本当に経営そのものがおかしくなっていくということになると思いますし、そうでなくても、そうした選挙によればガバナンスが働いてうまくいくというようなことが、過去の例から見ても、私は、そういうことはないのではないかなというふうに感じているのですけれども、もし、そういうふうな選挙ということになると、経営上、非常に懸念が出てくるように思いますので、この辺については検討すべきではないかという意見になっておりますけれども、非常に反対せざるを得ないというふうに思います。

それから次に、理事の問題ですけれども、これは金融機関の経営という観点から、やはり専門的な能力を身につけた、そういうことを強化していくということでやってこられたわけで、今でもそのことについては員外といいますか、そういった理事が非常勤で私どももおり、そうした方々の役割はもちろん非常に認識はしておりますけれども、何かそうしたこと、職員出身以外の会員・組合員に統一しなきゃいけないというふうな、そういったことになってくると、ちょっと問題が出てくるのかなというふうに感じております。

むしろ、そうした理事会とか、そういう制度は監事制度でもってきちんとしたガバナンスを図っていくということ、現実にもうそういうふうな形になりつつあるわけで、それがガバナンスとしてよいあり方ではないかというふうに感じております。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今、ご指摘頂いたうちで、信用金庫の総代の選出方法ですね。問題提起頂きましたので、ほかの委員の皆様方のご意見もできればお聞かせ頂ければと思いますけれども。

多分現在のこの論点整理の記述というのは、次のような認識に立っているものだと思います。それはまず一般に実際に行われている総代の選出というのは通常は選考委員という方々がいて、その方々が会員の中から総代の候補者を選考すると。そして、他の会員等から異議がなければ理事長が候補者を総代に委嘱するというようなやり方だということだと思います。

これまでのご議論の中で、幾つか観点がありまして、1つは法制度の枠組みというのは、信用金庫法が制定されてから半世紀以上たっておりますので、そういう点をどういうふうに評価すべきか。状況の変化等があるのではないかという問題意識。それから第2に、これは一部の委員の方からですけれども、今のような推薦というのですか、そういうやり方よりも、会員みずから例えば総代に立候補する機会が与えられていいのではないかと。つまり、そういう考え方からいけば、いわゆる選挙制度という、そういうふうに呼ぶのが言葉としていいのかどうかわかりませんけれども、そういうものを導入することも考えられるのではないかというご意見も頂きましたので、現在の論点整理はそういったものに基づいた記述になっているということかと思います。佐藤委員からせっかくご指摘頂きましたので、ほかの委員の皆様方、もしご意見があれば、お伺いしたいと思います。

原委員と宮村委員、どうぞ。

○原委員

まず最初に質問ということでお願いしたいと思うのですけれども、法令上信用金庫は会員のうちから選任で信用組合は組合員のうちから選挙ということで、信用組合は選挙なんですね。これは何か時期的なものなのか、組織形態の違いでこういうことになったのかどうかというのが、まずお聞きしたいということと、それから信用金庫の総代の選出ですけれども、法令上、このようになっていますけれども、実際上、選挙でやっておられるようなところはないのかどうか。信用金庫の中でも、今の状況ですよね。それは実態としてどうなのかということをお聞かせ頂けたらと思います。

○神田WG座長

どうしましょうか。制度については事務局からお答えになりますか。それとも……。

○小野信用制度参事官

時期的なものによるのではないかと思いますが、ちょっとお時間頂いて、すぐに調べてお答えします。

○神田WG座長

それから実態については、どなたお答え頂くことは可能ですか。或いは……

○佐藤委員

選挙しているというのは……

○神田WG座長

あまり聞かないですね?

○佐藤委員

聞いていないですね。

○神田WG座長

そうですね。それちょっと宮村委員にその間、ご発言頂ければ。

○宮村委員

私が知っている限りでは総代の選挙というのは知らないですけれども、総代会を開かないで総会を開いてしまうというところはたしか2つあったと思います。それはもう巣鴨信用金庫とあと中国地方の信用金庫だと思います。だけれども、実際には、これは確か、前の私のプレゼンのとき言ったような気がしますけれども、委任状集めてきてという感じで終わってしまいますけれども、でも、やはりそうすれば参加することは可能になるわけです。

○神田WG座長

ご意見もありますでしょうか。

○宮村委員

意見もございます。私、この意見については言っているほうなので、私も意見繰り返して言うのも何ですので、言いにくいかもしれませんけれども、中津川理事長に先ほどの話で佐藤理事長のお話ですと、選挙制度をやるということは、経営上非常に問題になるということでありますから、実際、選挙をされている中津川理事長のところで、どういう問題が起こるのかということをお話し頂ければなと思います。

○神田WG座長

ちょっとあまりフェアな質問ではないようにも思いますけれども(笑)、せっかくですので……。

○中津川委員

選挙は、昨年が改選期だったものですから、実際に行った地域はございます。ただし、すべてのエリアで選挙が行われたということではございません。ですから、恐らく今の信用組合さんの多くはある種の無競争といいますか、そういう形での総代の選出をされているのではなかろうかと思いますけれども、実際に他信組さんの内容をよく存じ上げませんので、あまり軽々には言えないのですが、手前どもでは長い歴史の中で、選挙は極めて少なかったというのが実情でございます。

以上です。

○神田WG座長

渡邉委員、どうぞ。

○渡邉委員

私、信金の総代会には出ているのですけれども、現在、総代が149名、私のほうではいらっしゃると聞いております。そのうち、女性が3名ですけれども、じゃあ、選挙するとなると立候補する人がいるわけで、立候補する人が149名欲しいということになるわけですか。

選挙っていうことは、だれかが投票をして決めるということですよね。そうなると、それは大変な話ではないのかなって思ったのですけれども、無知な質問で申し訳ありませんが、いかがなものでしょうか。

○神田WG座長

ありがとうございます。

○小野信用制度参事官

今、神田先生から先ほどご説明ありましたように、別に定員以下でも選挙というのはあり得ると思うので、必ずしも定員以上いないと選挙ができないということではないと思います。

先ほども先生からもお話がございましたように、要するに単に推薦のみではなくて、会員の方で自分がやりたいのだという方、やる気のある方がいたら、そういう方が立候補する機会を与えてもいいのではないかという趣旨と理解して、ここは記載しております。例えば原先生がお詳しいのですけれども、生命保険会社でもいわゆる選挙制度を自主的に導入している会社もありますので、他業態でありますけれども、決して例がないわけではないというふうに考えております。

○神田WG座長

どうぞ。

○渡邉委員

私も生命保険会社のハガキが来て、どなたがよろしいですかという名前がつらつら挙がってくるのがありますけれども、全く知らない人に○をつけなければいけない状態なので、それはちょっとやらないほうがいいと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

何か大分盛り上がっておりますが、そろそろ、別の論点にも移行しようかと思うのですけれども、どうしましょうか。もしご意見があれば承りますけれども、私からご議論をお願いしておいて、次にいくというのもどうかと思いますが、時間の制約もありますので。申しわけありません。

今松委員、どうぞ。

○今松委員

ここは選挙と書くかどうかは別ですけれども、あえて排除することはないのではないかと思いますけれども。仕組みとして、信用金庫がそういう形をとりたいということがあって、しかも今おっしゃられたように、誰か「出たい」という場合にどうするかという、「あなただめだよ」となると、やはりそこは道というのはあったほうがいいというふうに思います。つまり、信用組合の実態としては選挙と言いながらも、実はほとんど推薦でもってということであるとすれば、現実には大々的に行われることはほとんどないでしょうし、しかし、やはりその道というのは一つどういう形で、参加という形は一定の道としては確保しておくというのがいいのではないかとは思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

そういう道を選択する道も認めていいのではないかというご趣旨ですね。

○小野信用制度参事官

先ほど原先生のご質問でございますけれども、お手元の「参考資料15-4」をお開き頂きたいのですが、ここの参考資料のページの20ページ、21ページを見て頂きますと、まず信用組合につきましては、昭和24年の中小企業等協同組合法、協同組合による金融事業に関する法律制定、ここのときからもう選挙という言葉が書いてございました。一方で信金法は26年でございますけれども、同じくこのときから会員のうちから選任というふうに書いています。この違いでございますが、これは歴史を紐解かないとわからないのですけれども、もともと中小企業協同組合法は市街地信用組合法の流れをとってこうなってきたというもので、そういう歴史的な流れの中で、こちらはそれを引っ張って選挙になり、新しく成立した信金法は選任となったと考えられます。

○神田WG座長

ありがとうございます。

すみません、私の進行が悪くて時間をとってしまっていますので、制度の歴史や趣旨等はまた調査いたしますので、それから皆様方からのご意見も、佐藤委員から重要なご指摘がありましたので、感じとしては今日ご発言頂きました委員の皆様の感じは今松委員がおっしゃったようなあたりに落ち着くような感じがいたしますけれども、なお、ご意見等がございましたら、恐縮ですが、この会合よりも後に事務局にメールとか電話とかで意見をお寄せ頂ければありがたく存じます。

それで、ほかの論点もあろうかと思いますので、引き続きページ数でいいますと、6ページから11ページにつきまして、ご意見、ご質問をお出し頂ければと思います。

いかがでしょうか。

吉野先生、どうぞ。

○吉野委員

6ページのところのガバナンスなのですけれども、1992年から2004年まで信用組合とか大分破綻したわけですけれども、その破綻理由が4つあって、そのうちの1つが経営者の資質といいますか、それがあったと思うのですけれども、例えば、経営者も大分いい方々が増えてきたと思うのですが、すばらしい理事長だったり、すばらしい上層部の信用金庫・信用組合と、それからそれほどでもない…と言ったら失礼ですけれども、そういうところもあるかもしれないのですが、それをどういう形で良い方々にかえていくかという、そういうメカニズムがあるのかどうかと。

それから、今度は逆に、それを見るための指標なり、家森先生かどなたかが、前に計量的にやったらそうでもないというようなこともありましたけれども、ただ、検査・監督をしたり、或いはそこで働いている方々から見れば、すぐわかるような気がするのですけれども、じゃあ、それを上層機関なり、色々なところに伝えてそこが変わるような制度になっているかどうかということが重要だと思うのですが、その辺りを教えて頂ければと思うのですけれども。現行の制度で、「あの人じゃちょっと無理だな」と思う人がずっと居続けるような、そういうようなところがあるのか、それともやはり、あれはすばらしいからこういう人なのだというふうになっているのかどうか。もし、職員の方々がみんな、「あの人じゃなぁ」と思っているのに、なかなかそれが代えられないとすれば、それはどういうふうに代えていったらいいのかというのを教えて頂ければ。こちらにおられる委員の中からでも結構なのですけれども。

○神田WG座長

どこの組織でもそういう問題はあるのではないかと思いますけれども……。

いかがでしょうか、吉野先生のご質問にお答え頂ける方がいらっしゃったら。

佐藤委員。

○佐藤委員

答えにならないのでしょうけれども、でも、結果責任というのはどこの経営でも一緒だと思うので、そういうことについて、やはりしっかり、当然ながら私どもは、検査も日銀の考査も受けておりますし、それから外部監査も受けているわけで、そういう中で業務監査も当然のことながらありますし、そうしたことを通じて、1つはやはり不適切な経営というものに対して非常に厳しく見られていると。

それともう一つは、やはりどうしても結果が出るということなので、これはお客様の厳しい目がありますが、そういったことを総合的に見て、やはりだめな人は代わっていくということに今はならざるを得ないし、そうなっているので、私以外、みんな立派な経営者になっているということで、ご理解頂きたいと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

お答えになっているかどうかわかりませんが、私の考えですと、特定の人物への権限の集中を排除する仕組みがあれば、仮に悪い経営者であっても独断専行にならないのではないかと、日ごろから考えております。さらに、重要な事項について会議体で意思決定をする仕組みを構築して、それを理念どおりに運用していけば、何とか克服できるのではないか思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、ほかの点でも結構ですので、ご意見、ご質問。

家森委員、それから神吉委員の順でどうぞ。

○家森委員

理事会制度のあり方ですけれども、ここのところで員外理事というと、員外監事との用語法から誤解を招くので、「員外」という用語は変えてもらったほうがいいかなと思っております。職員以外の会員理事というのは原則としては、私は求めたいと思います。一律に義務化をするということが仮に難しいとしても、原則は置くべきで、一定の場合に置かなくても良いという様にすべきだと私は思います。

ただ、そのときには、今の制度では非常勤の理事の方を選ぶのが非常に難しくなっているという意見もありますので、非常勤の理事の方を選ぶに際して、責任とかを軽減するとかというような形で、そういう制度的な手当てもする必要があるんではないかというふうに思っています。

それからもう一つ、色々なところで、規模に応じて規制を軽くするというような議論がたくさん出てきている点に関してです。もちろん、規模というのも重要な要素であることは認めますが、やはり金融システムに与える影響が同じなら、規模の大小をあまり考慮すべきではない。少なくとも移行プロセスを超えた後は考慮すべきではなくて、同じように規制をするべきであろうと思います。

むしろ、例えばアメリカの規制がそうなっているように、検査上の評点が高いとか、十分な自己資本比率があるというような場合には、検査の間をあけるとかというような形のやり方をしたほうが、むしろ金融機関の側でもインセンティブがあっていいのではないかと思います。規模が小さいと恒久的に規制が緩いよという形は望ましくないのではないかというふうに感じます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

半期決算・半期開示の問題なのですけれども、既に多くのご意見がありました。さらには中津川委員からの追加のご意見もあって、規模の小さい組織では非常に負担が大きいということでございます。確かにさまざまな困難があるのですけれども、世の中の上場会社が四半期決算・四半期開示という流れの中にあって、公的資金の注入対象となる金融機関が1年決算ということで、公的資金を負担します国民の立場から見て、果たして納得が得られるのかということがあるのではないかと思います。より早く経営上の問題点をはっきりとさせるためにも、半期決算をきちんと実施したほうが、より早い対応が可能になるとも思われます。

ただ、そうしますと、当然退出圧力として、特に規模の小さいところでは退出圧力になるかもしれませんけれども、あくまでも公的資金を負担する国民の立場から見てどうかというふうに考えますと、先ほど申し上げたように半期決算・半期開示が求められるのではないかと思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

今の半期決算・半期開示ということについては、業界でもほとんど、何とかご努力してそういうことをできるようにしてきているような状況だと思います。ですから、少し時間的なものがもうちょっと必要かもしれませんけれども、そういう方向でやっていくということに今認識が統一されてきているという状況なので、これについては、いずれ、しっかりやっていくというのは自主的な取り組みとしても一段と進展していくというふうにこちらも書いてありますけれども、これは今の状況ですし、そうならざるを得ないというふうに感じております。

もう一つ、それについて外部監査の問題なのですけれども、これについては非常に、年間の今監査をやって頂いていますけれども、これは年間通しての計数的な問題、業務も含めて問題ないのかどうかということを常時期末だけではない、そうしたことで見てもらうといいますか、監査を受けているというふうに理解しておりまして、そうしたことからして、またもちろん法定というふうなことになってくれば、それについての責任というのは非常に重いものがありますし、そういったことで当然ながら開示したものについて、信憑性、信用されるものだというふうに考えられますので、この半期監査というものについて、私はこの一番9ページの下に書いてあるような個々の経営判断のもとで自主的な取り組みが一段と進展していくというふうなことを選択していくのだ、というふうなことにして頂くようすべきではないかというふうに思っております。

○神田WG座長

ありがとうございました。

お隣の中津川委員。

○中津川委員

一方で、我々の組合員の方々は必ずしもそうした短期的な目で我々を見ているわけではなくて、ですから、あとはこれは情報の開示の頻度とやり方だろうと思うんですね。私どもでは今やっている最中ですが、季節を問わず、総代、或いはそれに準じた方々への情報提供は私どもが出向いて、直接そのときの経営内容をある程度具体的にご説明をして、色々の意見をちょうだいしているという状態ですので、意図的な情報の隠蔽というのはこれは論外ですけれども、やはり今の段階では半期決算を法的に規制していくという形は必要ないんじゃないかなと、そんな感じでおります。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

ほかに業務のほうはよろしゅうございますかね。項目番号でいいますと6番ということになるのですけれども、或いはガバナンスの点についての追加でのご発言でも結構ですけれども、とりあえず先に一遍進ませて頂いてもよろしいでしょうか。

ありがとうございます。

時間の関係もございますので、次に最後のパートになりますけれども、ページ数でいいますと12ページから14ページ、項目の番号でいいますと7番と8番、とりわけ7の「中央機関のあり方」ということになろうかと思いますけれども、ご質問、ご意見、どなたからでもよろしくお願いいたします。

神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

業界の要望事項の国立大学法人と自治体向けの融資について、4番と5番でございます。これに対する意見、個別の意見ということではなくて、基本的な考え方としまして、一言申し上げたいと思います。

信金・信組が地域金融機関としてこれからも存在して、機能を発揮するのだというふうに考えますと、地方公共団体や大学と連携を強化するということが欠かせないことなのではないかと思います。自治体との連携が必要だということは、これは改めて説明するまでもないことだと思います。

それから、大学につきましても、例えばビジネスニーズやビジネスシーズの発掘、或いは新しい経営分析手法の開発、コンサルティング機能の強化といったさまざまな点で連携が期待できるのではないかと思います。実際に、大学側がそれを提供するかどうかは別としまして、そういったことは期待できると思います。

このように考えますと、個別に20%の員外貸出の上限をどう考えるかということは別としまして、国立大学法人と自治体との連携をなるべく強化できるような制度上の基盤が必要ではないかと思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。お隣の久保田委員。

○久保田委員

書き方の問題なのかもしれませんが、「中央機関のあり方」の12ページのところで「法的に明確化すべきではないかとの論点について」、私は、一貫的にある部分については法的に明確化すべき、というふうに申し上げたつもりなのですが、最初の3つのポツはその「枠組みを検討」するとか、「役割が期待される」とか、「サポートのあり方について検討すべき」ということで、必ずしも法的に明確化すべきと書いていないのですけれども、その下は、いや法的な権限を明確化するのはあまり慎重だというご意見なので、法的に明確にすべきという意見もあったというニュアンスをどこかに入れて頂ければと思います。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございました。そんな遠慮しなくても……。

吉野先生、お願いします。

○吉野委員

度々すみません。12ページのまず一番最初の中央組織ですけれども、この書き方でいいと思うのですが、心としては個別の信金とか信組ではできない色々な内容で、ただ、この業界として必要なものに関して中央組織がやると。その1つが先ほどご意見のあった人材の育成のための教育とか、そういうのは全国レベルでやって頂くというのも一つではないかと思いました。

それから、ここにある余資運用とか、先ほどの色々な地域ファンドとかそういうもので、個別にはできませんけれども、そういうものをやっていくと。さらには、先ほどのガバナンスじゃないですけれども、やはり中央組織として見ていて、もちろんお客様の目もあるとは思いますけれども、ここのところはちょっと上層部がというようなところも多分見えるのだと思いますから、そういう意味での、いい意味でのコンサルティングというのはあると思います。

それから、先ほど地域の自治体向けの貸出しという後ろのほうで、これを今後進めていくべきであるというのは、非常にそのとおりだと思うのですけれども、今、財投のほうから自治体向けの貸出しというのを随分やっているのですけれども、昔は自治体の破綻というのはなかったわけですが、これからそういうのも出てくる可能性もあるわけですね。そうすると、ここが貸出しして、どんどんやっていいじゃないかとなると、最悪のときに、その返済って結局どうなるのだろうかと。ですから、自治体向け貸出しというのは必要ではあると思うのですけれども、自治体の格付けとか、そういうものがしっかりしないと一部難しいところがあるような気がいたします。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

中央機関の役割について、こちらに記述があるように、相互支援、会員の経営指導等、やはりしっかり機能を発揮していくということがこれから非常に求められるというふうに思っております。ただ、法的に明確にするかどうかというのは、やはり精神的なもので役割を明記するとか、そういうことであればあれなのですが、何か中央機関が法的な権限によって何かをしていくというようなことになるべくならないほうがいいという、これまでも申し上げてきたのですけれども、そういうふうに考えているわけですけれども、ただ、そういったことをどうしても法的に明確化したほうが機能発揮のためになるのだという判断があれば、これもやむないことかなというふうに思いますけれども。いずれにしても、それはこれから業界としてどういった形でもってもっと機能を発揮していくのかということを検討していくべきではないかというふうに感じております。

それから、これに関連しまして、相互支援制度というのがありまして、これは13ページにあるのですけれども、これも業界として自主的に長い時間をかけて、こうした制度をつくり上げてきているわけで、これからもそうしたことは必要だというふうに思いますけれども、これも自主的な検討をしていく上で、より強固な、といいますか、そういった形にしていければいいのではないかというふうに感じておりますので、これをまた検討課題といいますか、業界としてはしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

吉野委員がおっしゃられたとおりのこと、私もちょっと感じておりまして、12ページの中央機関の役割ですが、人材の育成ということですね。こういった資金面、投資ファンド組成とか、それから不良債権処理とかという、こういった資金面のところもありますけれども、人材の育成ですとか、それから先ほど冒頭にありました期待されるこれからの機能のところですね。こういう新しい形態の事業にまた取り組むというところでは、やはり個別の信金・信組ではなかなか大変なところもあるかと思いますので、そのためにはどういう仕組みをつくっていけばいいのかというあたりは、これはやはり中央機関が積極的に担っていくと展望が開けていくのかなと思っておりますので、その両面からぜひ中央機関の役割の拡充ということをお願いしたいと思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。

今松委員、どうぞ。

○今松委員

連合会のところですけれども、最終的にはそれぞれの個別の協同組織金融機関が健全にずっと業務を行っていければいいわけですけれども、つまり、相互支援制度とか、こういうものは本来的には動かないほうがいいわけですけれども、したがって、まずは破綻の未然防止であるとか、そういうことを考えていくとすれば、連合会自体がより、確かに佐藤委員がおっしゃられるように法律で規定するかどうか、そこまでの判断はあれですけれども、それなりの機能を十分発揮できるところ、つまり、今以上のものというのを明確にやったほうがいいのではないかと思います。つまり、先ほど法的に明確化という意見ですね。やはり、そのあたりあえて現実にそこに立って、或いはさらに言えば、これはあくまで相互支援制度も、これはお互いにやっている仕組みですんで、今ある国の制度等々が外れた場合の問題というのもありますので、そこは、変にリジットな格好ではないものであっても、やはり一番上にあるというか、中央組織的な意味合いというものを一定持つと。つまり、ヨーロッパ等々にある組織のようにあまりリジットなものは恐らく想定できないと思いますけれども、それとはちょっと違ったけれども、日本的なものとしてどうこれを形成していくのか。このあたりが明確になってくればいいのではないかというふうに思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

家森先生、どうぞ。

○家森委員

中央機関の役割は、非常に重要であって、こういうようなことをやっていかないといけないということは、そのとおりなのですけれども、そうすると、この中央機関そのものが存立できるようにどうやってそこが資金を得るのかというようなことが重要になってくるわけです。相互援助方式のほうについては、そこを切り離すかどうかというのは、今、議論に出ていますが、ここに出ている、こういうことをやっていくための財務基盤、そういう意味での財務基盤について検討しておく必要があると思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、全般について、もし追加でご意見とか、ご質問がございましたら、お出し頂きたいと思いますけれども。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

中央機関のところで、前に申し上げたのですけれども、例えば信用金庫についてはディスクロージャー誌が各金庫で出ているけれども、全体として比較したりするのは非常に難しくなっているという現状で、ぜひそういう大衆への情報提供という機能もあまり本質的なものでないのかもしれませんが、中央機関にぜひ求めたいというふうに思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

今のように、追加で、-追加というのも変ですけれども-、今までの議論の中では出ていた話なのですけれども、今回の論点整理に盛り込むというのでしょうかね。そういうようなことについてでも結構ですので、ご指摘あれば頂きたいのですけれども…。

久保田委員、どうぞ。

○久保田委員

これはちょっと多分、色々と物議があるかもしれませんが、税制の優遇の話で、最初の冒頭のところで色々と入れるという意見が出て、確かに税制優遇があることによって期待される役割はこうだという書き方も一つなのですが、例えば、新規業務に参入するのを認めるかどうかという議論において、例えば、優遇税制されている部分を金融機関性が高まって他の業態との競争が高まってきたら、その税制優遇のあり方もまた見直すべきではないかという問題意識もどこかで入れられたらいいかなと。ただ、この議論はあまり詳しくここで突っ込まなかったので、だからどこまで踏まえるかは、ちょっと議論があると思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

神吉委員。

○神吉委員

まとめて言えばよかったのですが、中央機関の役割のところなのですけれども、中央機関のガバナンスと単位組織のガバナンスを同じレベルで捉えるのかという問題があるのではないかと思います。この会合の場でも問題の提起があったと思うのですが、中央機関が破綻するとなおさら大変なことになりますので、ガバナンスをしっかりしなければならないと思います。中央機関のガバナンスのあるべき姿というものをどう考えるかということでございます。

○神田WG座長

ありがとうございます。

いかがでしょうか。

もしよろしければ、今日、若干予定の時間よりは余裕があるのですけれども、次回予定どおり終わるか自信がないものですから、今日の時間を次回に使わせて頂くということもあり得るかとは思います。

まだ時間の余裕はございますので、ご発言のある方はぜひ。どうかご遠慮なく。

○佐藤委員

あえて余計なことかもしれませんが、言わせて頂きたいのです。先ほど渡邉委員からお話があったと思うのですが、2ページの「期待される機能」の中で、取引先が健全なときから事業計画に基づいて貸出しを行う金融を目指すべきではないかと。これだけ読みますと、全くそのとおりだなというふうに私は感じてしまうわけですね。しかし、一方で事業計画を今言われている、例えば、要管理先が事業計画をつくって、それが要注意まで、ないしは正常先になるとか、そういったビジョンの話ではなくて、この事業計画というのは、やはり経営者が何しようとしているのかということをこちらで理解して、これで一緒に経営をしていくと。そのために必要な資金も必要があれば、いつでも未来のために出していくという、そういうことから考えると、この事業計画に基づいてもっとやれるようにしたいと思ってはいるのですけれども、渡邉委員がおっしゃったように、何かしっかりした経営計画書がなければ融資しませんよというふうなことになるようなことではいけないのですけれども、大体、私どもの中心的なお客様はそうしたしっかりした事業計画というのを作るだけの暇もないという、そういったことも現実にはあって、それこそ頭の中にはあるけれども、それを形としてあらわしてしっかり説明してこれでやっていこうということにまで時間がとれないというようなこともあるし、規模もそうですし、もっといえば、そんなこと以上にもっと毎日追われているということがあるので、そうしたことが当然だなというふうに思いました。

ということは、ここにある「期待される機能」と言われても、色々な面で、例えば、ファンドの問題もそうなのですけれども、我々が取り組んでいるのは、事業を継続してどうしたら将来よくなっていけるのかという仕事をしているというふうに感じているのですが、ファンドというのはどちらかというと、リスクをとって出して駄目ならしようがないや、というそういう生き方をせざるを得ないようなところがあって、本当に地域の中で一体となって、中小企業、中小・零細企業が生きていく、それを手助けするという格好にはならないのですね。だめならしようがないやと切り捨てていくような形にもならざるを得ないので、そうじゃないファンドというのはどういうふうにやっていくのかというのが課題だと思いますけれども、何かこういうふうに出てくると、すごく形態的には何かうまくいきそうなのですが、現実は意外と我々のやっていることはそうではないという、そうしたところに立脚して全体に協同組織金融というのがどうあったらいいかというのをもう一度考え直していくという、委員の先生方にも是非ご理解頂きたいなというふうに思うという…余計なことですけれども。

○神田WG座長

いえいえ、どうも大変重要なご指摘だと思います。ありがとうございました。

他にご発言は…、神吉委員。

○神吉委員

佐藤委員と渡邉委員からご指摘がありました、事業計画に基づいて行う貸出しの点について申し上げます。これは私が発言したことに基づいて書いて頂いているのかなと思っております。確かにおっしゃることはごもっともでして、経営危機に陥った企業が作成する非常に詳細な経営再建計画のようなものをイメージして言ったつもりは全くありません。お忙しいということもよくわかります。

ただ、非常にお忙しい小規模企業の経営者の方であっても、1年後にどれぐらい売上を上げて、どれぐらいの利益を上げるのか、あの点をこう改善したい、今年はこんなことをしたいというように、経営に関して必ず計画をお持ちであろうと思います。何を目標として経営されるのか、それを示していただき、そのための努力をしていただくというようなことをイメージして申し上げました。要するに、無計画な経営はだめですよということをアドバイスしてもらえればというような観点から申し上げました。このような貸出しによって、会員・組合員の企業と協同組織金融機関との共存共栄が期待できます。ですから、この点に関して、詳細な事業計画がなければ融資できませんというような対応が実務上とられるということになりますと、私の考えとは大きく異なることになります。それだけを改めて申し上げます。

○神田WG座長

ありがとうございます。

宮村委員、それから吉野委員の順でお願いします。

○宮村委員

5ページの業域信組と職域信組のあり方についてのところなのですけれども、業域信組と職域信組についての問題点というのは、色々指摘はされましたけれども、では今後のあり方はどうすべきか、ということについての議論は全然ないと思うんですね。ここにもそういうことなので、「根本に遡った、多面的な検討を行っていくことが望ましいのではないか」と書いてありますけれども、これは一体いつやるのでしょうかと、私はちょっと質問したいなと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

吉野先生、どうぞ。

○吉野委員

先ほど佐藤委員がおっしゃいました地域にどうやってリスクマネーを提供するかというのは非常に重要だと思いまして、アメリカですとベンチャーキャピタルみたいなのがありまして、創業支援とかあるわけですけれども、預金で集めたお金でないところで少しそこではカバーできないけれども、リスクがあるところにどうやったら資金が提供できるかというのは重要な論点じゃないかと思いました。

それからあと中央組織というのは、やはり日本の場合、信用組合でいえば一つでありますし、信用金庫でも一つで、独占になっていますから、そうすると、やはりそこの組織が経営効率よくやれているかどうかということは、誰かがきちんと見ていかないと、そこの全体の効率性に影響してくるような気がしました。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございました。

宮村委員ご指摘のいつ何をやるかという話は、本来ならば委員の皆様方のご意見もお聞きしたいところではあるわけですけれども、当然、金融庁の中の金融行政との関係でのご判断もあると思いますので、今回、私どものワーキング・グループで、どのような形での報告書をまとめて頂きというか、それを目指したご審議を頂いて、さらにその先をどう展望するかということにも関わると思うのですね、より一般的にいいますと。ご視点の論点だけではなくてということになりますけれども、これはどうしますかね。小野さんにご発言頂いたほうが。

○小野信用制度参事官

今回の協同組織金融のあり方は、色々な論点がありまして、結局、私ども事務局で、委員の皆さんのご意見を色々整理していくと分かったことは、例えば、中小企業金融支援など、今の現行の制度枠組みで今すぐできるようなものもあれば、やはり制度を変えなくてはいけないようなもの、それからさらに先ほど佐藤委員のほうから、まさに業界できちんと考えていくべきことというようなものもお話しございましたように、そういうようなものとか、あとは、例えば、業域信組と職域信組のように非常に難しい問題で、皆様から今のままではいけないというような意見はあるわけですけれども、ではどうしたらいいかというのは、まだ方向性がなかなか見えず、そういったものに結局取り組むとすれば、本当に、根本に遡った多面的な検討をしなければいけないこととなる相当時間軸の長いもの、と整理したものでございます。ただし、皆様から、いや、これはもうすぐにやるべきだとか、こういう方向でやるべきだというようなご意見があるならば、勿論そのように整理したいと思いますけれども、今、私どもが整理している中では、今までの記録を見ますと、要するに、現行制度で直ちに行うべきもの、まず業界できちんと対応すべきもの、制度上の対応が必要なもの、これから先、長期的なスパンで検討することが必要なもの、というように大体分かれておりますので、ここもそのような整理で書かせて頂いているところでございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。

いかがでしょうか。そういうことですので、皆様方から今の点についても、もし、ご議論なり、ご意見がございましたら、また別途で結構ですので、事務局のほうにお寄せ頂ければと思います。

ほかにご発言ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

本日も大変活発にご意見を頂きまして、本当にどうもありがとうございました。

まだ若干時間はあるかもしれませんけれども、そろそろ…、ということかと思います。

それで、何度も申し上げていますけれども、さらにご意見等があれば、ぜひお寄せ頂きたくて、事務局のほうにお電話とか、電子メール等でお寄せ頂ければありがたく存じます。

そこで次回でございますが、先ほどからほのめかさせて頂いていますように、できればこのワーキング・グループとして、この時点で何らかの報告書というのでしょうか、中間的な取りまとめというのでしょうか。中間的な論点整理のような報告書の取りまとめをトライしたいと思います、上手くいくかどうかわかりませんけれども。そういうことですので、このワーキング・グループとしての中間的な論点整理の取りまとめをするためのご審議ということで、次回の会合を予定したいと思うのですけれども、そういうことにさせて頂いてよろしゅうございますでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、そういうことにさせて頂きたいと思います。

事務局から連絡等お願いいたします。

○小野信用制度参事官

既にご覧頂いていらっしゃる委員の方もいらっしゃいますが、前回のワーキングの終了後に中津川委員、早崎委員、宮村委員からご意見頂いており、ワーキング・グループの資料の「15-3」として添付しております。中身についてはご説明する時間がございませんので、委員の皆様におかれましては、後程お目通し頂ければ幸いでございます。

次回のワーキング・グループにおきましては、ただいま神田座長からもお話がございましたとおり、当ワーキング・グループとしての中間的な論点整理報告書に向けたご審議をお願いしたいと存じます。本日の論点整理のたたき台、それから今日頂きましたご指摘、ご意見をもとに、中間的な論点整理報告書の素案を私どもの事務局のほうで神田座長ともご相談しながら作成し、お示ししたいと存じます。

次回は6月19日金曜日、同じく午後4時からを予定しております。正式には追ってご連絡させて頂きます。

それでは、よろしくお願いいたします。

○神田WG座長

それでは、以上で終了させて頂きます。

どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室
(内線3568、3577)

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