金融審議会金融分科会第二部会(第30回)・「情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループ」(第16回)合同会合議事要旨
1.日時:
平成18年6月14日(水)15時00分~16時40分
2.場所:
中央合同庁舎第4号館11階 共用第一特別会議室
3.議題:
- 電子債権の概要及びこれまでの検討経緯
- 電子債権の実務的な活用について
- 今後検討すべき課題について
- 韓国における類似制度について
4.議事内容:
○電子債権の概要及びこれまでの検討経緯等について事務局等から説明を行い、委員等による自由討議が行われた。
○主な意見は以下のとおり
欧米では、小切手が普及していることもあり、チェックトランケーションと呼ばれる小切手の電子化が進んでいるようである。わが国では一般債権を電子化しようとするものでユニークな制度である。韓国に類似の制度があるが、わが国が導入しようとしている電子債権とはかなり異なるものである。
電子債権に対するニーズについては、まず、手形による支払をなくしたいという企業が手形に代わるものとして使用したいとのニーズが強い。一括決済方式があるといっても、手形の裏書に当たる機能がなく、十分対応しているわけではない。一方、電子債権のインフラ構築にはコストがかかることもあり、電子債権を活用するかどうかは、採算にのるかどうかや顧客のニーズ等をみながら判断されるのではないか。
売掛債権を早期に資金化する手段として、電子債権に対する期待は大きい。手形を利用しようとすると、紙にしないといけないし、銀行口座を持たねばならない。電子商取引も普及する中で、資金決済や債権のやりとりにも電子債権が利用できる。何でも銀行決済にする必要はなく、幅広いニーズがあると思われる。
電子債権管理機関の業規制については、ビジネス上のニーズだけでなく、電子債権インフラを奨励し、将来にわたっても活用できるような視点で考えて欲しい。
電子債権の消滅について、弁済と抹消登録の同期性をどのように確保するのか。手形も所持人が取立てを依頼する際に銀行が預かる。債権者の協力がなければ抹消登録できないというのは債務者に酷ではないか。同時履行の請求するといっても、最後は信頼関係になっているのが実情ではないか。
弁済と抹消登録の同期性は大変重要。法制審議会でも、電子債権管理機関による職権抹消登録が必要との議論が強くなっている。
電子債権の検討テーマについては、例えば、電子債権管理機関がどこまで取引履歴の保存を行うか、利用者のために異常取引の検知システムを備えるかなども考えられ、資料に示された事項以外にも検討すべき課題が出てくれば、それを随時加えていくべき。
手形など既存制度との並存を認めるとすれば、例えば、電子債権を分割して、その一部を手形にすることなどもできるのか。信金中金で行われた「電子手形サービス」は参考になるのか。
電子債権というと電子商取引一般に生じる債権と誤解される。売掛債権を譲渡しやすくする手段ということなら、一般の方々にそのようなイメージが伝わるような名称に変更することを検討すべき。
以上
お問い合わせ先
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本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。